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JP6463283B2 - プレキャストコンクリート壁部材の連結構造 - Google Patents

プレキャストコンクリート壁部材の連結構造 Download PDF

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JP6463283B2 JP2016011994A JP2016011994A JP6463283B2 JP 6463283 B2 JP6463283 B2 JP 6463283B2 JP 2016011994 A JP2016011994 A JP 2016011994A JP 2016011994 A JP2016011994 A JP 2016011994A JP 6463283 B2 JP6463283 B2 JP 6463283B2
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Description

本発明は、壁体を形成する複数のプレキャストコンクリート壁部材を、壁体の延設方向に一体として連結するためのプレキャストコンクリート壁部材の連結構造に関する。
複数のプレキャストコンクリート製の壁部材(プレキャストコンクリート壁部材)を所定の方向に連続して設置することにより、相当の延長に亘って形成される鉄筋コンクリート製の壁体として、例えば道路橋や高架道路を構成するコンクリート床版の側縁部に沿って設置されることで、主として走行車両の運転者の視線を誘導したり、走行車両が道路の外側に逸脱するのを防止したりするための、コンクリート壁高欄が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。コンクリート壁高欄は、複数のプレキャストコンクリート壁部材を用いて形成することによって、現場打ちの鉄筋コンクリートで形成する場合と比較して、鉄筋及び型枠の組立作業や、コンクリートの打設作業及び養生等のための多くの手間を要することになく、簡易に且つ効率良く、壁高欄を新設したり、老朽化した壁高欄を取り替えたりすることが可能になる。
また、特許文献3には、橋梁壁高欄の接合工法について記載されており、特許文献3の接合工法によれば、床版の橋軸方向に隣接する各一対のプレキャスト壁高欄(プレキャストコンクリート製壁部材)どうしの接合は、一方のプレキャスト壁高欄の接合端面に凹溝を形成し、他方のプレキャスト壁高欄の接合端面にT字状の鋼製継手を突設し、凹溝内に鋼製継手のウェブ部を挿した状態で、凹溝内のウェブ部の周囲に無収縮性のモルタルを打設することによって、橋軸方向に隣接する一対のプレキャスト壁高欄を一体的に接合するようになっている(特許文献3の図4参照)。
特開平7−102528号公報 特開2001−193015号公報 特開2013−36205号公報 特開2013−36205号公報
しかしながら、特許文献3の接合工法では、接合部の接合強度は、他方のプレキャスト壁高欄の接合端面に突設したT字状の鋼製継手のウェブ部の、一方のプレキャスト壁高欄の接合端面に形成した凹溝内のモルタルとの付着力によって保持されているので、例えば走行車両が衝突した際の大きな衝撃によって、接合状態が外れやすく、また凹溝内のモルタルが飛散しやすくなる。さらに、十分な接合強度を得るためには、鋼製継手や凹溝を接合端面に沿って縦方向に長く設ける必要があるため、プレキャスト壁高欄の製造コストが増加することになる。
本発明は、壁体を形成する複数のプレキャストコンクリート壁部材を、壁体の延設方向に、簡易且つ安価な構造によって強固に連結して、例えば走行車両が衝突した際などの大きな衝撃を受けても、連結状態が外れないようにすることができると共に、構成材料が飛散するのを回避することのできるプレキャストコンクリート製壁部材の連結構造を提供することを目的とする。
本発明は、壁体を形成する複数のプレキャストコンクリート壁部材を、前記壁体の延設方向に一体として連結するためのプレキャストコンクリート壁部材の連結構造であって、隣接する一方のプレキャストコンクリート壁部材の連結端面に臨んで埋設固定された、雌ネジ孔を有するインサート部材と、隣接する他方のプレキャストコンクリート壁部材の連結端面に臨んで固定された、ボルト締着孔を有する締着プレートと、該締着プレートの前記連結端面とは反対側の部分において、前記他方のプレキャストコンクリート壁部材の側面に開口して設けられた締着作業用凹部と、該締着作業用凹部での作業により前記締着プレート側から前記インサート部材の雌ネジ孔に螺合されて、前記締着プレートに締着された締着ボルトと、該締着ボルトの頭部又は前記締着プレートに形成された雌ネジ口部に先端雄ネジ部を螺合して、前記締着作業用凹部の内部に突出して取り付けられた凹部アンカー部材と、該凹部アンカー部材に支持させて、前記締着作業用凹部に充填されて固化した充填固化材とを含んで構成されており、前記壁体は、コンクリート床版の側縁部に沿って連設配置された複数の単位コンクリート壁高欄によるコンクリート壁高欄であり、前記単位コンクリート壁高欄は、壁本体部と、該壁本体部の下端部内側面に一体として取り付けられた鋼製地覆部とからなり、前記壁本体部は、前記プレキャストコンクリート壁部材によって形成されており、前記鋼製地覆部は、複数のボルト締着孔が形成された底面接合板及び側面接合板によるL字断面形状を備える接合プレートと、該接合プレートの長手方向に間隔をおいて配置されると共に、前記底面接合板の内側面と前記側面接合板の内側面とに跨って、前記接合プレートの長手方向と垂直又は略垂直な面に沿って設けられた複数のリブプレートとを含んで形成されているプレキャストコンクリート壁部材の連結構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明のプレキャストコンクリート壁部材の連結構造によれば、壁体を形成する複数のプレキャストコンクリート壁部材を、壁体の延設方向に、簡易且つ安価な構造によって強固に連結して、例えば走行車両が衝突した際などの大きな衝撃を受けても、連結状態が外れないようにすることができると共に、構成材料が飛散するのを回避することができる。
本発明の好ましい一実施形態に係るプレキャストコンクリート壁部材の連結構造によって壁本体部が連結されたコンクリート壁高欄を、道路の内側から見た正面側の部分透視略示側面図である。 図1のA−Aに沿った略示矢視図である。 図1のB−Bに沿った略示矢視図である。 本発明の好ましい一実施形態に係るプレキャストコンクリート壁部材の連結構造を説明する、(a)は図1のC部拡大側面図、(b)は(a)のD−Dに沿った略示矢視図である。 プレキャストコンクリート壁部材(壁本体部)の構成を説明する、(a)は道路の内側から見た正面側の略示側面図、(b)は(a)のE−Eに沿った略示矢視図、(c)は(a)のF−Fに沿った略示矢視図、(d)は(a)のG−Gに沿った略示矢視図、(e)は(a)を左側から見た略示端面図である。 本発明の好ましい一実施形態に係るプレキャストコンクリート壁部材の連結構造を説明する、(a)は充填固化材が充填される前の図1のC部拡大側面図、(b)は締着ボルトの側面図、(c)は(b)を右側から視た締着ボルトの頭部の正面図である。 図3のH部拡大略示断面図である。 図3のJ部拡大略示断面図である。 図3のK部拡大略示断面図である。 鋼製地覆部の構成を説明する分解断面図である。
本発明の好ましい一実施形態に係るプレキャストコンクリート壁部材の連結構造10は、図1〜図3に示すように、例えば道路橋を新設する際に、コンクリート床版11の側縁部に沿って設置される壁体であるコンクリート壁高欄12の、プレキャストコンクリート壁部材による壁本体部13を、コンクリート壁高欄12の延設方向に一体として連結するための構造として採用されたものである。本実施形態の連結構造10は、各隣接する一対のプレキャストコンクリート壁部材(壁本体部)13を、コンクリート壁高欄12の延設方向に、締着ボルト17(図4(a)、(b)参照)を用いて、簡易且つ安価に一体として強固に連結して、例えば走行車両が衝突した際などの大きな衝撃を受けても、連結状態が外れないようにすると共に、構成材料として例えば締着作業用凹部16に充填された充填固化材19が、飛散して橋の下に落下するのを回避できるようにする機能を備えている。
そして、本実施形態のプレキャストコンクリート壁部材の連結構造10は、図1に示すように、壁体であるコンクリート壁高欄12を構成する複数のプレキャストコンクリート壁部材(壁本体部)13を、コンクリート壁高欄12の延設方向に一体として連結するための連結構造であって、図4〜図6に示すように、隣接する一方のプレキャストコンクリート壁部材13の連結端面13aに臨んで埋設固定された、雌ネジ孔14aを有するインサート部材14と、隣接する他方のプレキャストコンクリート壁部材13の連結端面13bに臨んで固定された、ボルト締着孔15aを有する締着プレート15と、締着プレート15の連結端面13bとは反対側の部分において、他方のプレキャストコンクリート壁部材13の側面に開口させて設けられた締着作業用凹部16と、締着作業用凹部16での作業により締着プレート15側からインサート部材14の雌ネジ孔14aに螺合されて、締着プレート15に締着された締着ボルト17と、締着ボルト17の頭部17a又は締着プレート15(本実施形態では、締着ボルト17の頭部17a)に形成された雌ネジ口部17b(図6(c)参照)に先端雄ネジ部18aを螺合して、締着作業用凹部16の内部に突出して取り付けられた凹部アンカー部材18と、凹部アンカー部材18に支持させて、締着作業用凹部16に充填されて固化した充填固化材19とを含んで構成されている。
また、本実施形態では、壁体であるコンクリート壁高欄12は、コンクリート床版11の側縁部に沿って連設配置された複数の単位コンクリート壁高欄12’によって形成されており、各々の単位コンクリート壁高欄12’は、図1〜図3に示すように、壁本体部13と、壁本体部13の下端部内側面に一体として取り付けられた鋼製地覆部20とからなり、壁本体部13は、上述のようにプレキャストコンクリート壁部材によって形成されており、鋼製地覆部20は、複数のボルト締着孔21a、22aが形成された底面接合板21及び側面接合板22によるL字断面形状を備える接合プレート23と、接合プレート23の長手方向に間隔をおいて配置されると共に、底面接合板21の内側面と側面接合板22の内側面とに跨って、接合プレート23の長手方向と垂直又は略垂直な面に沿って設けられた複数のリブプレート24、25とを含んで形成されている。
本実施形態では、コンクリート壁高欄12の各々の単位コンクリート壁高欄12’を構成する壁本体部13は、予め工場等で製造された、プレキャストコンクリート製の壁部材(プレキャストコンクリート壁部材)となっている。プレキャストコンクリート壁部材である壁本体部13は、図5(a)〜(e)に示すように、例えば高さが1080mm程度、長さが1990mm程度の大きさの矩形の(正面側及び背面側の)側面形状を有すると共に、厚さが200mm程度の偏平な断面形状を有する、角部が面取りされた厚板形状に形成されている。
また、本実施形態では、プレキャストコンクリート壁部材である壁本体部13の下端部分には、複数の地覆取付け用の側面インサート部材26が、例えばM27程度の大きさの雌ネジ孔26aが形成された端面を側面に臨ませた状態で、埋設固定されている。これらの側面インサート部材26は、後述する鋼製地覆部20の接合プレート23の側面接合板22に形成された側面ボルト締着孔22aの配設位置と対応させて、例えば壁本体部13の長さ方向に250mm程度のピッチで、上下に2列に配置されて取り付けられている。側面インサート部材26は、例えばD41程度の太さの異形鉄筋を、例えば150mm程度の長さに切断すると共に、一方の端面に雌ネジ加工を施して雌ネジ孔26を設けることによって、容易に形成することができる。また、各々の壁本体部13の上端面及び下端面には、吊上げ用のインサートアンカー27が、2箇所ずつ埋め込み配置されて取り付けられている。
そして、本実施形態では、プレキャストコンクリート壁部材である壁本体部13の一方の側端部には、連結端面13aとなる側端面に雌ネジ孔14aが形成された端面を臨ませて、端面インサート部材14が、上下方向に間隔をおいて2箇所に配置されて埋設固定されている。また、他方の側端部には、連結端面13bとなる側端面に表面を臨ませて、ボルト締着孔15aを有する締着プレート15が、端面インサート部材14の高さ位置と対応させて、上下方向に間隔をおいて2箇所に配置されて固定されている。さらに、締着プレート15の連結端面13bと反対側に隣接する部分には、締着作業用凹部16が、壁本体部13の正面側の側面に開口させて設けられている。
端面インサート部材14は、例えばD35程度の太さの異形鉄筋を、例えば150mm程度の長さに切断すると共に、一方に端面に雌ネジ加工を施して、例えばM22程度の大きさの雌ネジ孔14aを設けることによって、容易に形成することができる。端面インサート部材14は、予め工場等においてプレキャストコンクリート壁部材である壁本体部13を製造する際に、コンクリート中の所定の位置に精度良く配置して埋め込むことによって、容易に埋設固定することができる。
締着プレート15は、例えば縦150mm程度、横100mm程度、厚さ19mm程度の大きさの金属プレートからなり、中央部分に直径が例えば25mm程度の大きさのボルト締着孔15aが貫通形成されている。締着プレート15は、例えばこれの背面側に溶接して取り付けたアンカー鉄筋15b(図5(a)参照)を、締着作業用凹部16の周囲のコンクリート中に埋設することによって、連結端面13bの所定の位置に、精度良く配置して固定することができる。締着作業用凹部16は、予め工場等においてプレキャストコンクリート壁部材である壁本体部13を製造する際に、例えば箱抜き部を設けることによって、締着ボルト17の締着作業を行うのに必要十分な大きで、壁本体部13の正面側の側面に開口させて容易に形成することができる。
本実施形態では、壁本体部13と共に各々の単位コンクリート壁高欄12’を構成する鋼製地覆部20は、図1〜図3に示すように、底面接合板21及び側面接合板22によるL字断面形状を有する接合プレート23と、底面接合板21の内側面と側面接合板22の内側面とに跨って接合された複数のリブプレート24,25とを含んで形成されており、さらに、図10にも示すように、底面接合板21の先端部と側面接合板22の先端部との間の開口部分を覆って、斜め蓋プレート28が取り付けられている。
接合プレート23は、例えば幅が700mm程度、長さが1990mm程度の帯板形状を有する、厚さが6〜9mm程度の鋼製プレートに、折曲げ加工等を施すことによって形成される。接合プレート23は、幅方向中央部分を折曲げ線として、底面接合板21に対して側面接合板22を垂直に折り曲げることによって、L字断面形状を有するように形成される。また、底面接合板21や側面接合板22の先端側縁部分に溶接等により接合されて、斜め蓋プレート28を支持するための支持プレート片21b,22bが、底面接合板21や側面接合板22に対して内側に垂直に張り出すと共に、先端部分を45°の角度で斜め内側に延設させた状態で、各々連続して取り付けられている。
また、本実施形態では、底面接合板21の先端側縁部分に取り付けられた支持プレート片21bの斜め延設部分に溶接等により接合されて、ナットフォルダー30を備えるボルト接合片29a(図10参照)が、接合プレート23の長さ方向に所定の間隔をおいて、斜めに張り出して例えば4箇所に設けられている(図1参照)。さらに、側面接合板22の上部に溶接等により接合されて、斜め延設部分にナットフォルダー30を備えるボルト接合片29b(図10参照)が、接合プレート23の長さ方向にボルト接合片29aと同様の所定の間隔をおいて、内側に張り出して例えば4箇所に設けられている(図1参照)。さらにまた、底面接合板21や側面接合板22の内側面に溶接等により接合されて、1又は複数の補強用のリブプレート31(図10参照)が、底面接合板21や側面接合板22に対して垂直内側に張り出して、接合プレート23の長さ方向に延設して適宜の位置に取り付けられている。
そして、本実施形態では、接合プレート23の側面接合板22に、複数の側面ボルト締着孔22aが開口形成されていると共に、底面接合板21に、複数の底面ボルト締着孔21aが開口形成されている。すなわち、側面接合板22の側面ボルト締着孔22aは、壁本体部13の下端部分に取り付けられた複数の側面インサート部材26(図5(a)参照)の配設位置と対応させて、例えば接合プレート23の長さ方向に250mm程度のピッチで、上下に2列に配置されて形成されている。底面接合板21の底面ボルト締着孔21aは、例えば打込み式のアンカーとしてコンクリート床版11の上面に打ち込まれて固定された、複数の打込みアンカー部材40(図1、図3参照)の配設位置と対応させて、複数形成されている。底面接合板21の底面ボルト締着孔21は、現場で打ち込まれてコンクリート床版11に固定された打込みアンカー部材40の施工誤差を吸収できるように、好ましくは楕円形状を有する締着孔として開口形成されている。
底面接合板21の内側面と側面接合板22の内側面とに跨って接合されるリブプレート24,25は、本実施形態では、接合プレート23の長さ方向の両端部に取り付けられる端部リブプレート25(図1、図2参照)と、両側の端部リブプレート25の間の部分に、例えば500mm程度のピッチで配置されて取り付けられる複数の中間リブプレート24(図1、図3参照)とを含んで構成されている。
端部リブプレート25は、例えば5〜9mm程度の厚さの鋼製プレートからなり、図2に示すように、接合プレート23の底面接合板21及び支持プレート片21bと、側面接合板22及び支持プレート片22bとによって周囲を囲まれる、これらの内側領域に納まる大きさの、3箇所の角部が各々面取りされた略直角二等辺三角形の形状を有するように形成されている。端部リブプレート25は、直角部分を挟んだ両側の一対の辺部を接合辺部25cとして、溶接等によって、底面接合板21の内側面や側面接合板22の内側面に接合することで、接合プレート23の長手方向と垂直な面に沿って、接合プレート23の両端部に取り付けられる。これによって、略直角二等辺三角形の直角部分とは反対側の端部リブプレート25の斜辺部25bは、両側の支持プレート片21b。22bの間の部分において、底面接合板21及び側面接合板22に対して45°の角度で斜めに延設するように配設される。両側の支持プレート片21b。22bの間の部分の斜辺部25bには、これの中間部分に、略直角二等辺三角形の直角部分に向けて切り込まれた、切込み部25aが形成されている。また、端部リブプレート25は、略直角二等辺三角形の直角部分が切り欠かれていることによって、直角部分の両側の一対の接合辺部25cは、接合プレート23の角部23aとの間に間隔おいた状態で、底面接合板21の内側面や側面接合板22の内側面に接合されるようになっている。
中間リブプレート24は、端部リブプレート25と同様に、例えば5〜9mm程度の厚さの鋼製プレートからなり、図3及び図10に示すように、上述の略直角二等辺三角形の端部リブプレート25の形状から、上部角部の面取り部分を、側面接合板22の支持プレート片22bと離間させて、上述のボルト接合片29bと近接する高さ位置まで、さらに下方に切り欠いて形成した形状を備えている(図10参照)。中間リブプレート24は、端部リブプレート25と同様に、直角部分を挟んだ両側の一対の辺部を接合辺部24cとして、溶接等によって、底面接合板21の内側面や側面接合板22の内側面に接合することで、接合プレート23の長手方向と垂直な面に沿って、接合プレート23に取り付けられる。また、両側の支持プレート片21b。22bの間の部分の斜辺部24bには、これの中間部分に、略直角二等辺三角形の直角部分に向けて切り込まれた、切込み部24aが形成されている。さらに、中間リブプレート24は、端部リブプレート25と同様に、直角部分が切り欠かれていることによって、直角部分の両側の一対の接合辺部24cは、接合プレート23の角部23aとの間に間隔おいた状態で、底面接合板21の内側面や側面接合板22の内側面に接合されるようになっている。
なお、鋼製地覆部20に設けられるリブプレートの形状、厚さ、大きさ、配設ピッチ等は、上述の中間リブプレート24及び端部リブプレート25の形状や、これらの配設位置等に限定されることなく、後述するように、コンクリート壁高欄12が車両からの衝突荷重を受けた際に、壁本体部13の主鉄筋が降伏したり、壁本体部13のコンクリートが圧壊するのに先立って、リブプレートが、底面接合板21と側面接合板22との角度を広げる力を受けて効率良く変形することが可能なように、形状、厚さ、大きさ、配設ピッチ等を、適宜設計することが可能である。
また、本実施形態では、中間リブプレート24や端部リブプレート25は、接合辺部24c,25cを、接合プレート23の角部23aとの間に間隔おいた状態で、底面接合板21の内側面や側面接合板22の内側面に接合されるようになっているので、後述するように、コンクリート壁高欄12が車両からの衝突荷重を受けることで、底面接合板21と側面接合板22との角度を広げる力を受けた際の、リブプレート24,25の変形の開始時期を容易に調整することが可能になる。
特に、本実施形態では、リブプレート24,25の斜辺部24b,25bに切込み部24a,25aが形成されていることにより、後述するように、コンクリート壁高欄12が車両からの衝突荷重を受けた際に、底面接合板21と側面接合板22との角度を広げる力によって、リブプレート24,25を、よりスムーズに変形させることが可能になる。また切込み部24a,25aの長さや幅を調整することによって、鋼製地覆部20の耐力を容易に調整することが可能になる。
底面接合板21の先端部と側面接合板22の先端部との間の開口部分を覆って取り付けられる斜め蓋プレート28は、本実施形態では、図1〜図3及び図10に示すように、例えば幅が400mm程度、長さが1990mm程度の帯板形状を有する、厚さが6〜9mm程度の鋼製プレートに、種々の加工を施すことによって形成されている。斜め蓋プレート28には、接合プレート23の底面接合板21から張り出して設けられた4箇所のボルト接合片29aのナットフォルダー30や、側面接合板22から張り出して設けられた4箇所のボルト接合片29bのナットフォルダー30と対応する位置に、ボルト締着凹部28aが、斜め蓋プレート28の表面側から裏面側に窪んだ状態で、合計8箇所に設けられている。
また、斜め蓋プレート28の裏面側には、補強用のリブプレート32が、溶接等により接合されて、斜め蓋プレート28に対して垂直に張り出すと共に、斜め蓋プレート28の長さ方向に延設して、斜め蓋プレート28の幅方向中央部分に取り付けられている。さらに、斜め蓋プレート28の上端部には、係止プレート片33が、裏面側に溶接等により接合されて、斜め蓋プレート28の長さ方向に延設して、斜め蓋プレート28の上端縁部から上方に張り出した状態で取り付けられている。
斜め蓋プレート28は、係止プレート片33の張り出し部分を、側面接合板22の支持プレート片22bの斜め延設部分に内側から係止させると共に、8箇所のボルト締着凹部28aを、緩衝用のゴムワッシャー34を挟み込んだ状態で、接合プレート23から張り出して設けられたボルト接合片29a,29bのナットフォルダー30に各々重ね合わせて、図9に示すように、締着ボルト35を、ナットフォルダー30の内部に収容されたナット部材36に螺合して、ボルト締着凹部28aに各々締着することによって、接合プレート23に強固に接合される。これによって、接合プレート23と斜め蓋プレート28とが一体となった鋼製地覆部20が形成される。
また、本実施形態では、例えば接合プレート23の側面接合板22に取り付けられた補強用のリブプレート31や、斜め蓋プレート28に取り付けられた補強用のリブプレート32の適宜の位置に、連結チェーンや連結ワイヤ等の連結線状部材(図示せず)の端部を係止する、係止穴(図示せず)が設けられている。これらの係止穴に、連結線状部材の両側の端部を各々係止することによって、連結線状部材を介して、接合プレート23と斜め蓋プレート28や、隣接する単位コンクリート壁高欄12’の斜め蓋プレート28同志を、相互に連結しておくことが可能になる。
接合プレート23の底面接合板21の先端部と側面接合板22の先端部との間の開口部分を覆って、斜め蓋プレート28が取り付けられていることにより、走行車両がコンクリート壁高欄12に衝突する際に、鋼製地覆部20の斜め蓋プレート28に車輪を乗り上げさせてから、壁本体部13に車両を衝突させることで、コンクリート壁高欄12に負荷される衝突時のエネルギーを、効果的に緩和することが可能になる。また、斜め蓋プレート28のボルト締着凹部28aと、接合プレート23のナットフォルダー30との間に緩衝用のゴムワッシャー34を介在させて、これらが締着ボルト35によって接合されていることにより、鋼製地覆部20の斜め蓋プレート28に車輪が乗り上げる際の衝撃を、効果的に吸収することが可能になる。さらに、接合プレート23と斜め蓋プレート28や、隣接する単位コンクリート壁高欄12’の斜め蓋プレート28同志が、連結線状部材を介して連結されていることで、走行車両がコンクリート壁高欄12に衝突する際の衝撃によって、斜め蓋プレート28が飛び散ることになるのを、効果的に回避することが可能になる。
本実施形態では、各々の単位コンクリート壁高欄12’をコンクリート床版11の側縁部に沿って設置するのに先立って、鋼製地覆部20が、壁本体部13の下端部内側面に一体として取り付けられる。鋼製地覆部20の壁本体部13への取り付けは、図3及び図7に示すように、壁本体部13の下端部分の正面側の側面に、雌ネジ孔26aが形成された端面を臨ませた状態で埋設固定されている側面インサート部材26に、接合プレート23の側面接合板22に形成された複数の側面ボルト締着孔22aを各々重ね合わせた状態で、ボルト部材37,38を締め着けて、鋼製地覆部14を壁本体部13に接合することによって行うことができる。
本実施形態では、壁本体部13の下端部分に埋設固定された上段の列の側面インサート部材26に対しては、雄ネジロッド37aと締付けナット37bとからなるボルト部材37が用いられており、下段の列の側面インサート部材26に対しては、六角ボルトによるボルト部材38が用いられている。すなわち、上段の列の側面インサート部材26に対するボルト部材37は、図7に示すように、雄ネジロッド37aを側面インサート部材26の雌ネジ孔26aの底部まで螺着すると共に、接合プレート23の側面接合板22との間に、角座金37cと嵩上げ座金37dとを介在させた状態で、締付けナット37bを締め付けることによって、側面ボルト締着孔22aの周囲(周縁部分)の側面接合板22に、締付けナット37bを締着させるようになっている。下段の列の側面インサート部材26に対するボルト部材38は、接合プレート23の側面接合板22との間に角座金38cを介在させた状態で締め付けることによって、頭部38bを側面ボルト締着孔22aの周囲(周縁部分)の側面接合板22に締着させるようになっている。
上段の列の側面インサート部材26に対するボルト部材37が、接合プレート23の側面接合板22との間に嵩上げ座金37dを介在させて、側面ボルト締着孔22aの周囲の側面接合板22に締着されていることで、雄ネジロッド37aには、雌ネジ孔26aに螺着された部分と、締付けナット37bが締め付けられた部分との間に、相当の長さの自由長が確保されることになる。これによって、雄ネジロッド37aは、この自由長の部分で変形し易くなるので、後述するように、コンクリート壁高欄12が車両からの衝突荷重を受けた際に、リブプレート24,25が、底面接合板21と側面接合板22との角度を広げる力を受けてスムーズに変形するのを、阻害しないようにすることが可能になる。
壁本体部13の下端部内側面に鋼製地覆部20が一体として取り付けられて形成された単位コンクリート壁高欄12’は、例えば壁本体部13に埋設固定された吊上げ用のインサートアンカー27を介して吊り上げて、コンクリート床版11の側縁部に沿った所定の位置に、コンクリート壁高欄12の延設方向に連設させた状態で各々設置して固定する。単位コンクリート壁高欄12’のコンクリート床版11の側縁部への取り付けは、本実施形態では、図1、図3、及び図8に示すように、打込み式のアンカーとして、コンクリート床版11の上面の所定の位置に打ち込まれて埋設固定されている打込みアンカー部材40に、接合プレート23の底面接合板21に形成された複数の底面ボルト締着孔21aを各々重ね合わせた状態で、ボルト部材39を締め着けて、鋼製地覆部20をコンクリート床版11に締着して接合することによって行うことができる。
本実施形態では、鋼製地覆部20をコンクリート床版11に接合する締着するボルト部材39として、図8に示すように、雄ネジロッド39aと締付けナット39bとからなるものが用いられている。すなわち、ボルト部材39は、雄ネジロッド39aを打込みアンカー部材40の雌ネジ孔40aの底部まで螺着すると共に、接合プレート23の底面接合板21との間に、角座金39cを介在させた状態で、締付けナット39bを締め付けることによって、底面ボルト締着孔21aの周囲(周縁部分)の底面接合板21に、締付けナット39bを締着させるようになっている。
単位コンクリート壁高欄12’をコンクリート床版11の側縁部に沿って固定したら、上述のように、斜め蓋プレート28を、鋼製地覆部20の接合プレート23の底面接合板21の先端部と、側面接合板22の先端部との間の開口部分を覆って取り付ける。これによって、複数の単位コンクリート壁高欄12’が、コンクリート床版11の側縁部に沿って連設して設置されて、これらが一体となって連続するコンクリート壁高欄12が形成されることになる。
ここで、本実施形態では、コンクリート床版11の側縁部に複数の単位コンクリート壁高欄12’を各々据え付けるのに先立って、コンクリート床版11の上面に敷きモルタル41を、例えば20mm程度の厚さで敷設することで、敷きモルタル41を介在させた状態で、単位コンクリート壁高欄12’が、コンクリート床版11の側縁部に沿って設置されるようになっている。敷きモルタル41を敷設することにより、コンクリート床版11の側縁部の上面の不陸を整正して、単位コンクリート壁高欄12’を、より安定した状態で設置することが可能になる。
そして、本実施形態では、壁体であるコンクリート壁高欄12の延設方向に連設された複数の単位コンクリート壁高欄12’は、各隣接する一対のプレキャストコンクリート壁部材である壁本体部13が、本実施形態の連結構造10によって、互いに連結されるようになっている。すなわち、本実施形態のプレキャストコンクリート壁部材の連結構造10は、図1、図4、及び図6に示すように、隣接する一方のプレキャストコンクリート壁部材13の連結端面13aに臨んで埋設固定された上述の端面インサート部材14と、隣接する他方のプレキャストコンクリート壁部材13の連結端面13bに臨んで固定された上述の締着プレート15と、締着プレート15の連結端面13bとは反対側の部分に開口させて設けられた上述の締着作業用凹部16とを含んで構成されており、さらに、締着作業用凹部16での作業により締着プレート15側から端面インサート部材14の雌ネジ孔14aに螺合されて、締着プレート15に締着された締着ボルト17と、締着ボルト17の頭部17aに形成された雌ネジ口部17bに先端雄ネジ部18aを螺合して、締着作業用凹部16の内部に突出して取り付けられた凹部アンカー部材18と、凹部アンカー部材19に支持させて、締着作業用凹部16に充填されて固化した充填固化材19とを含んで構成されている。本実施形態では、これらの連結構造10は、各々の隣接する一対のプレキャストコンクリート壁部材13の連結部分に、上下に間隔をおいて2箇所に設けられている。
ここで、本実施形態の連結構造10を構成する締着ボルト17としては、端面インサート部材14の例えばM22程度の大きさの雌ネジ孔14aに螺着させることが可能な、例えばM22程度の大きさの、六角ボルトを用いることができる。六角ボルトによる締着ボルト17の頭部17aには、図6(b)、(c)に示すように、その中央部分に雌ネジ加工を施すことによって、例えばM10程度の大きさの雌ネジ口部17bが形成されている。
また、締着ボルト17の頭部17aの雌ネジ口部17bに螺合される凹部アンカー部材18としては、例えばM10mm程度の大きさの、六角ボルトを用いることができる。凹部アンカー部材19に支持させて、締着作業用凹部16に充填される充填固化材19としては、例えば無収縮モルタルを用いることができる。
本実施形態では、例えば上述のようにしてコンクリート床版11の側縁部に沿って複数の単位コンクリート壁高欄12’を設置して固定した後に、各々の隣接する一対のプレキャストコンクリート壁部材13の連結部分において、一方のプレキャストコンクリート壁部材13の連結端面13aに埋設固定された端面インサート部材14の雌ネジ孔14aと合致して配置された、他方のプレキャストコンクリート壁部材13の連結端面13bに固定された締着プレート15のボルト締着孔15aに、締着作業用凹部16での作業によって、締着プレート15側から締着ボルト17を挿通して、雌ネジ孔14aに螺合すると共に、頭部17aが締着プレート15に締着するまで締め着ける。これによって、隣接する一対のプレキャストコンクリート壁部材13が、これらの間に例えば10mm程度の幅の目地部42を保持した状態で、締着ボルト17を介して強固に連結される。
締着ボルト17を締め着けて、隣接する一対のプレキャストコンクリート壁部材13を連結したら、締着作業用凹部16での作業によって、締着ボルト17の頭部17aに形成した雌ネジ口部17bに、凹部アンカー部材18の先端雄ネジ部18aを螺合して、凹部アンカー部材18を、締着作業用凹部16の内部に突出させた状態で取り付ける。
しかる後に、締着作業用凹部16の内部に突出させて取り付けた凹部アンカー部材19に支持させて、充填固化材19を、締着作業用凹部16の内部に充填して固化させることによって、隣接する各一対の単位コンクリート壁高欄12’の、プレキャストコンクリート壁部材である壁本体部13が、本実施形態の連結構造10を介して、強固に且つ安定した状態で一体として連結されることになる。
また、本実施形態では、隣接する一対のプレキャストコンクリート壁部材である壁本体部13の間に保持された目地部42に、例えば目地モルタルを適宜充填することによって、複数の単位コンクリート壁高欄12’が一体として連設された、コンクリート壁高欄12が形成されることになる。
そして、上述の構成を備える本実施形態のプレキャストコンクリート壁部材の連結構造10によれば、コンクリート壁高欄12を形成する複数のプレキャストコンクリート壁部材である壁本体部13を、コンクリート壁高欄12の延設方向に、簡易且つ安価な構造によって強固に連結して、例えば走行車両が衝突した際などの大きな衝撃を受けても、連結状態が外れないようにすることができると共に、構成材料が飛散するのを効果的に回避することが可能になる。
すなわち、本実施形態のプレキャストコンクリート壁部材の連結構造10は、隣接する一方のプレキャストコンクリート壁部材13の連結端面13aに埋設固定されたインサート部材14と、隣接する他方のプレキャストコンクリート壁部材13の連結端面13bに固定された締着プレート15と、他方のプレキャストコンクリート壁部材13の側面に開口させて設けられた締着作業用凹部16と、インサート部材14の雌ネジ孔14aに螺合されて締着プレート15に締着された締着ボルト17と、締着ボルト17の頭部17aに螺合されて締着作業用凹部16の内部に突出して取り付けられた凹部アンカー部材18と、凹部アンカー部材19に支持させて、締着作業用凹部16に充填された充填固化材19とを含んで構成されている。
したがって、本実施形態によれば、プレキャストコンクリート壁部材13の一方の連結端面13aに埋設固定されたインサート部材14や、他方の連結端面13bに固定された締着プレート15は、例えば150mm程度の長さの異形鉄筋や、例えば縦150mm程度、横100mm程度、厚さ19mm程度の大きさの金属プレートを用いて、簡易に形成できると共に、予め工場等においてプレキャストコンクリート壁部材13を製造する際に、コンクリート中に埋め込むようにして、連結端面13a,13bの所定の箇所に精度良く且つ容易に固定することが可能になる。またプレキャストコンクリート壁部材13の設置現場では、プレキャストコンクリート壁部材13を設置した後に、締着作業用凹部16での作業によって、締着ボルト17を、インサート部材14の雌ネジ孔14aに螺合して締着プレート15に容易に締着できると共に、凹部アンカー部材18を容易に取り付けることができ、さらに凹部アンカー部材19に支持させて、充填固化材19を締着作業用凹部16に容易に充填することが可能になる。これらによって、簡易且つ安価に、連結構造10を形成することが可能になる。
また、本実施形態によれば、隣接する一対のプレキャストコンクリート壁部材13は、締着ボルト17を介して連結されているので、例えば鋼製継手と凹溝内のモルタルとの付着力によって接合強度を得るようにしたものと比較して、連結強度を大幅に向上させることが可能になり、一対のプレキャストコンクリート壁部材13を強固に連結して、例えば走行車両が衝突した際などの大きな衝撃を受けても、安定した状態で連結状態が外れないようにすることが可能になると共に、締着作業用凹部16に充填された充填固化材19は、凹部アンカー部材18によって強固に支持されているので、大きな衝撃を受けても、コンクリート壁高欄12の構成材料である充填固化材19が、周囲に飛び散るのを効果的に回避することが可能になる。
さらに、本実施形態によれば、コンクリート壁高欄12を構成する各々の単位コンクリート壁高欄12’は、プレキャストコンクリート製の壁本体部13と、壁本体部13の下端部内側面に一体として取り付けられる鋼製地覆部20とからなり、鋼製地覆部20は、L字断面形状を備える接合プレート23と、接合プレート23の長手方向と垂直な面に沿って設けられた複数のリブプレート24,25とからなり、壁本体部13は、ボルト部材37,38を締着して鋼製地覆部20を下端部内側面に接合すると共に、ボルト部材39を締着して鋼製地覆部20をコンクリート床版11に接合することで、鋼製地覆部20を介してコンクリート床版11の側縁部に沿って強固に取り付けられており、且つ鋼製地覆部20は、コンクリート壁高欄12が車両からの衝突荷重を受けた際に、壁本体部13の主鉄筋が降伏したり、壁本体部13のコンクリートが圧壊するのに先立って、リブプレート24,25が、接合プレート23の底面接合板21と側面接合板22との角度を広げる力を受けて変形するように設計できるようになっている。
これによって、本実施形態によれば、工場等で精度良く形成されたプレキャストコンクリート製の壁本体部13や、鋼製地覆部20を用いて、且つボルト部材27,28,29を締着するだけの簡易な施工方法によって、安価に且つ容易に、各々の単位コンクリート壁高欄12’をコンクリート床版11の側縁部に沿って設置することが可能になると共に、コンクリート壁高欄12が車両からの衝突荷重を受けた際に、鋼製地覆部20のリブプレート21,22が変形することで、衝突エネルギーを効果的に吸収して、壁本体部13が損傷するのを効果的に抑制することが可能になる。またこれによって、損傷が抑制された壁本体部13を再利用することが可能になる。さらに、本体構造物であるコンクリート床版11が破損するのを抑制して、コンクリート床版11を補修することなくそのまま利用できるようにすることが可能になる。さらにまた、コンクリート壁高欄12を簡易に設置できるので、通行止めや通行規制の時間を短縮することが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、締着作業用凹部での作業によって、凹部アンカー部材の先端雄ネジ部が螺合される雌ネジ口部は、締着ボルトの頭部に形成されている必要は必ずしも無く、締着プレートの連結端面とは反対側の面に形成されていても良い。本発明の連結構造によって連結されるプレキャストコンクリート壁部材は、コンクリート壁高欄を形成する壁本体部である必要は必ずしも無く、大きな衝撃を受けることになる、その他の種々のコンクリート製の壁体を形成する、連設配置されるプレキャストコンクリート壁部材であっても良い。
10 プレキャストコンクリート壁部材の連結構造
11 コンクリート床版
12 コンクリート壁高欄
12’単位コンクリート壁高欄
13 プレキャストコンクリート壁部材(壁本体部)
13a,13b 連結端面
14 インサート部材
14a 雌ネジ孔
15 締着プレート
15a ボルト締着孔
16 締着作業用凹部
16a 側面ボルト締着孔
16b 接合片
17 締着ボルト
17a 頭部
17b 雌ネジ口部
18 凹部アンカー部材
18a 先端雄ネジ部
19 充填固化材
20 鋼製地覆部
21 底面接合板
22 側面接合板
23 接合プレート
24 中間リブプレート
25 端部リブプレート

Claims (1)

  1. 壁体を形成する複数のプレキャストコンクリート壁部材を、前記壁体の延設方向に一体として連結するためのプレキャストコンクリート壁部材の連結構造であって、
    隣接する一方のプレキャストコンクリート壁部材の連結端面に臨んで埋設固定された、雌ネジ孔を有するインサート部材と、隣接する他方のプレキャストコンクリート壁部材の連結端面に臨んで固定された、ボルト締着孔を有する締着プレートと、該締着プレートの前記連結端面とは反対側の部分において、前記他方のプレキャストコンクリート壁部材の側面に開口して設けられた締着作業用凹部と、該締着作業用凹部での作業により前記締着プレート側から前記インサート部材の雌ネジ孔に螺合されて、前記締着プレートに締着された締着ボルトと、該締着ボルトの頭部又は前記締着プレートに形成された雌ネジ口部に先端雄ネジ部を螺合して、前記締着作業用凹部の内部に突出して取り付けられた凹部アンカー部材と、該凹部アンカー部材に支持させて、前記締着作業用凹部に充填されて固化した充填固化材とを含んで構成されており、
    前記壁体は、コンクリート床版の側縁部に沿って連設配置された複数の単位コンクリート壁高欄によるコンクリート壁高欄であり、
    前記単位コンクリート壁高欄は、壁本体部と、該壁本体部の下端部内側面に一体として取り付けられた鋼製地覆部とからなり、前記壁本体部は、前記プレキャストコンクリート壁部材によって形成されており、前記鋼製地覆部は、複数のボルト締着孔が形成された底面接合板及び側面接合板によるL字断面形状を備える接合プレートと、該接合プレートの長手方向に間隔をおいて配置されると共に、前記底面接合板の内側面と前記側面接合板の内側面とに跨って、前記接合プレートの長手方向と垂直又は略垂直な面に沿って設けられた複数のリブプレートとを含んで形成されているプレキャストコンクリート壁部材の連結構造。
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