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JP6460821B2 - アーク溶接制御方法 - Google Patents

アーク溶接制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶接ワイヤの送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り換える正逆送給制御を行って、短絡期間とアーク期間とを発生させて溶接するアーク溶接制御方法に関するものである。
一般的な消耗電極式アーク溶接では、消耗電極である溶接ワイヤを一定速度で送給し、溶接ワイヤと母材との間にアークを発生させて溶接が行なわれる。消耗電極式アーク溶接では、溶接ワイヤと母材とが短絡期間とアーク期間とを交互に繰り返す溶接状態になることが多い。
溶接品質をさらに向上させるために、溶接ワイヤの正送と逆送とを周期的に繰り返して溶接する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2等参照)。
特許文献1の発明では、溶接電流設定値に応じた送給速度の平均値とし、溶接ワイヤの正送と逆送との周波数及び振幅を溶接電流設定値に応じた値とする。
特許文献2の発明では、定常溶接時はワイヤ送給速度を所定の一定速度とし、溶接の終了を指示した時点からは、ワイヤ送給速度を、所定の一定速度から正送と逆送とを繰り返す送給に切り替える。
特許第5201266号公報 WO2013/136643号公報
上述したように、従来技術では、定常溶接期間中に、送給速度を所定の正送期間と所定の逆送期間とに交互に切り換える正逆送給制御を行うことによって、安定した溶接を行うことができる。しかし、従来技術では、溶接を終了する際に、正逆送給制御から送給を停止させるまでの過渡期間であるいわゆるアンチスティック期間中に溶接状態が不安定になるという問題があった。
そこで、本発明では、送給速度の正送期間と逆送期間とを交互に切り換える溶接において、アンチスティック期間中の溶接状態を安定化することができるアーク溶接制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接ワイヤの送給を正送期間と逆送期間とに交互に切り換える正逆送給制御を行って、短絡期間とアーク期間とを発生させて溶接するアーク溶接制御方法において、
溶接終了指令が入力されると、前記逆送期間が終了した時点で前記送給を停止して溶接を終了する、
ことを特徴とするアーク溶接制御方法である。
請求項2の発明は、前記送給が停止した時点で溶接電圧の出力を停止する、
ことを特徴とする請求項1記載のアーク溶接制御方法である。
本発明によれば、溶接終了指令が入力されると、アンチスティック期間に入るが、定常溶接期間中と同様の動作を繰り返した後に、逆送期間中のアーク期間中に溶接を終了する。このために、安定した溶接状態で溶接を終了することができる。この結果、溶接終了時において、溶接ワイヤ先端とビードとの距離が適正距離となるので、溶接ワイヤがビードと溶着することを防止することができる。さらに、溶接ワイヤ先端粒の大きさが適正化され、次回のアークスタート性を良好にすることができる。
本発明の実施の形態1に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係るアーク溶接制御方法を示す、図1の溶接電源における溶接終了時の各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態2に係るアーク溶接制御方法を示す、図3の溶接電源における溶接終了時の各信号のタイミングチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1の発明は、溶接電源に溶接終了指令が入力されると、その後に送給速度の逆送期間が終了した時点で送給を停止して溶接を終了するものである。
図1は、本発明の実施の形態1に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する駆動信号Dvに従ってインバータ制御等による出力制御を行い、出力電圧Eを出力する。この電源主回路PMは、図示は省略するが、商用電源を整流する1次整流器、整流された直流を平滑する平滑コンデンサ、平滑された直流を高周波交流に変換する上記の駆動信号Dvによって駆動されるインバータ回路、高周波交流を溶接に適した電圧値に降圧する高周波変圧器、降圧された高周波交流を直流に整流する2次整流器を備えている。
リアクトルWLは、上記の出力電圧Eを平滑する。このリアクトルWLのインダクタンス値は、例えば200μHである。
送給モータWMは、後述する送給制御信号Fcを入力として、定常溶接期間中は正送と逆送とを周期的に繰り返して溶接ワイヤ1を送給速度Fwで送給する。送給モータWMには、過渡応答性の速いモータが使用される。溶接ワイヤ1の送給速度Fwの変化率及び送給方向の反転を速くするために、送給モータWMは溶接トーチ4の先端の近くに設置される場合がある。また、送給モータWMを2個使用して、プッシュプル方式の送給系とする場合もある。
溶接ワイヤ1は、上記の送給モータWMに結合された送給ロール5の回転によって溶接トーチ4内を送給されて、母材2との間にアーク3が発生する。溶接トーチ4内の給電チップ(図示は省略)と母材2との間には溶接電圧Vwが印加し、溶接電流Iwが通電する。
電圧検出回路VDは、上記の溶接電圧Vwを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。短絡判別回路SDは、上記の電圧検出信号Vdを入力として、この値が短絡判別値(10V程度)未満のときは短絡期間であると判別してHighレベルとなり、以上のときはアーク期間であると判別してLowレベルとなる短絡判別信号Sdを出力する。
溶接開始回路STは、溶接開始指令のときはHighレベルとなり、溶接終了指令のときはLowレベルとなる溶接開始信号Stを出力する。この溶接開始回路STは、溶接トーチ4の起動スイッチ、溶接工程を制御するPLC、ロボット制御装置等が相当する。
平均送給速度設定回路FARは、予め定めた平均送給速度設定信号Farを出力する。周期設定回路TFRは、予め定めた周期設定信号Tfrを出力する。振幅設定回路WFRは、予め定めた振幅設定信号Wfrを出力する。
送給速度設定回路FRは、上記の平均送給速度設定信号Far、上記の周期設定信号Tfr及び上記の振幅設定信号Wfrを入力として、振幅設定信号Wfrによって定まる振幅Wf及び周期設定信号Tfrによって定まる周期Tfで正負対称形状に変化する予め定めた台形波を、平均送給速度設定信号Farの値だけ正送側にシフトした波形となる送給速度設定信号Frを出力する。この送給速度設定信号Frについては、図2で詳述する。
起動回路ONは、上記の溶接開始信号St、上記の短絡判別信号Sd及び上記の送給速度設定信号Frを入力として、溶接開始信号StがHighレベル(溶接開始指令)に変化した時点でHighレベルにセットされ、溶接開始信号StがLowレベル(溶接終了指令)に変化した後に前記送給速度設定信号Frの逆送期間が終了した時点で短絡判別信号SdがLowレベル(アーク)であったときにLowレベルにリセットされる起動信号Onを出力する。
送給制御回路FCは、上記の起動信号On及び上記の送給速度設定信号Frを入力として、起動信号OnがHighレベル(起動指令)に変化すると送給速度設定信号Frの値に相当する送給速度Fwで溶接ワイヤ1を送給するための送給制御信号Fcを出力し、起動信号onがLowレベル(停止指令)に変化した時点で送給を停止するための送給制御信号Fcを上記の送給モータWMに出力する。
出力電圧設定回路ERは、予め定めた出力電圧設定信号Erを出力する。出力電圧検出回路EDは、上記の出力電圧Eを検出し平滑して、出力電圧検出信号Edを出力する。
電圧誤差増幅回路EVは、上記の出力電圧設定信号Er及び上記の出力電圧検出信号Edを入力として、出力電圧設定信号Er(+)と出力電圧検出信号Ed(−)との誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。この回路によって、溶接電源は定電圧制御される。
駆動回路DVは、上記の電圧誤差増幅信号Ev及び上記の起動信号Onを入力として、起動信号OnがHighレベル(起動指令)に変化すると電圧誤差増幅信号Evに基づいてPWM変調制御を行い、上記の電源主回路PM内のインバータ回路を駆動するための駆動信号Dvを出力し、起動信号OnがLowレベル(停止指令)に変化すると駆動信号Dvの出力を停止する。
図2は、本発明の実施の形態1に係るアーク溶接制御方法を示す、図1の溶接電源における溶接終了時の各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)は送給速度Fwの時間変化を示し、同図(C)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(D)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(E)は短絡判別信号Sdの時間変化を示し、同図F)は起動信号Onの時間変化を示す。以下、同図を参照して溶接終了時における各信号の動作について説明する。
同図(A)に示すように、溶接開始信号StがLowレベル(溶接終了指令)に変化する時刻t11までの期間が定常溶接期間となり、時刻t11〜t14の期間がアンチスティック期間となる。アークが消滅して溶接が終了する時刻t14は、同図(F)に示すように、起動信号OnがLowレベル(停止指令)に変化する時点である。
同図(B)に示す送給速度Fwは、図1の送給速度設定回路FRから出力される送給速度設定信号Frの値に制御される。送給速度設定信号Frは、振幅設定信号Wfrによって定まる振幅Wf及び周期設定信号Tfrによって定まる周期Tfで正負対称形状に変化する予め定めた台形波を、平均送給速度設定信号Farの値だけ正送側にシフトした波形となる。このために、同図(B)に示すように、送給速度Fwは、平均送給速度設定信号Farによって定まる破線で示す平均送給速度Faを基準線として、上下に対称となる振幅Wf及び周期Tfで予め定めた台形波状の送給速度パターンとなる。すなわち、基準線から上側の振幅と下側の振幅とは同一値であり、基準線より上側の期間と下側の期間とは同一値となっている。
ここで、0を基準線として送給速度Fwの台形波を見ると、同図(B)に示すように、時刻t1〜t5の逆送期間は、それぞれ所定の逆送加速期間、逆送ピーク期間、逆送ピーク値及び逆送減速期間から形成され、時刻t5〜t9の正送期間は、それぞれ所定の正送加速期間、正送ピーク期間、正送ピーク値及び正送減速期間から形成される。
[時刻t1〜t5の逆送期間の動作]
同図(A)に示すように、溶接開始信号StはHighレベル(溶接開始指令)になっているので、同図(F)に示すように、起動信号OnもHighレベル(起動指令)になっている。このために、溶接電源が起動されて、溶接ワイヤ1が送給されると共に、溶接電圧Vw及び溶接電流Iwが出力されている。同図(B)に示すように、送給速度Fwは時刻t1〜t2の逆送加速期間に入り、0から上記の逆送ピーク値まで加速する。この期間中は短絡状態が継続しているので、同図(E)に示すように、短絡判別信号SdはHighレベル(短絡)となっている。
時刻t2において逆送加速期間が終了すると、同図(B)に示すように、送給速度Fwは時刻t2〜t4の逆送ピーク期間に入り、上記の逆送ピーク値になる。この期間中の時刻t3において、逆送及び溶接電流Iwの通電によるピンチ力によってアークが発生する。これに応動して、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは数十Vのアーク電圧値に急増し、同図(E)に示すように、短絡判別信号SdはLowレベル(アーク)に変化する。同図(C)に示すように、溶接電流Iwはこれ以降のアーク期間中は次第に減少する。
時刻t4において逆送ピーク期間が終了すると、同図(B)に示すように、時刻t4〜t5の逆送減速期間に入り、上記の逆送ピーク値から0へと減速する。
[時刻t5〜t9の正送期間の動作]
同図(B)に示すように、送給速度Fwは時刻t5〜t6の正送加速期間に入り、0から上記の正送ピーク値まで加速する。この期間中は、アーク期間のままである。
時刻t6において正送加速期間が終了すると、同図(B)に示すように、送給速度Fwは時刻t6〜t8の正送ピーク期間に入り、上記の正送ピーク値になる。この期間中の時刻t7において、正送によって短絡が発生する。これに応動して、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは数Vの短絡電圧値に急減し、同図(E)に示すように、短絡判別信号SdはHighレベル(短絡)に変化する。同図(C)に示すように、溶接電流Iwはこれ以降の短絡期間中は次第に増加する。
時刻t8において正送ピーク期間が終了すると、同図(B)に示すように、時刻t8〜t9の正送減速期間に入り、上記の正送ピーク値から0へと減速する。
時刻t9〜t10の逆送期間中は上記の動作を繰り返す。したがって、逆送ピーク期間中にアークが発生する。
時刻t10から正送期間に入り、時刻t10〜t12の正送加速期間中の時刻t11において、同図(A)に示すように、溶接開始信号StがLowレベル(溶接終了指令)に変化する。時刻t11に溶接開始信号StがLowレベル(溶接終了指令)に変化した時点から、次の逆送期間が終了する時刻t14において、同図(F)に示すように、起動信号OnがLowレベル(停止指令)に変化する。この時刻t11〜t14の期間がアンチスティック期間となる。但し、アンチスティック期間中も上述した定常溶接期間中の動作を繰り返す。したがって、時刻t10〜t13の正送期間中の正送ピーク期間中に短絡が発生し、時刻t13〜t14の逆送期間中の逆送ピーク期間中にアークが発生する。
溶接開始信号StがLowレベル(溶接終了指令)になるタイミングは、送給速度Fwの任意のタイミングとなり、アーク期間中であるか短絡期間中であるかも任意となる。時刻t10〜t14のどのタイミングで溶接開始信号StがLowレベル(溶接終了指令)に変化しても、起動信号OnがLowレベル(停止指令)に変化するタイミングは逆送期間が終了する時刻t14となる。
時刻t14において、同図(F)に示すように、起動信号OnがLowレベル(停止指令)に変化し、かつ、同図(E)に示すように、短絡判別信号SdがLowレベル(アーク)の状態であるので、同図(B)に示すように、送給速度Fwは0のタイミングとなり、送給を停止する。同時に、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwの出力も停止するので、同図(C)に示すように、溶接電流Iwの通電も停止する。時刻t14において、アークが消滅し溶接が終了する。
時刻t11〜t14のアンチスティック期間中は、定常溶接期間中と同様の動作を繰り返すので、溶接状態は安定している。その上で、時刻t14に溶接が終了した時点においては、アーク期間の状態で逆送が終了した時点となるために、溶接ワイヤ先端とビードとの距離が適正値となり、溶接ワイヤがビードに溶着することを防止することができる。さらに、溶接ワイヤ先端粒の大きさも適正値となるので、次回のアークスタート性も良好になる。
上記においては、送給速度Fwが台形波状に変化する場合であるが、正弦波状、三角波状等に変化する場合も同様である。
送給速度Fwの台形波の数値例を以下に示す。
周期Tf=10ms、振幅Wf=60m/min、平均送給速度Fa=5m/min、半周期の各傾斜期間=1.2ms、ピーク期間=2.6ms、ピーク値=30m/minの台形波に設定すると、この台形波を平均送給速度Fa=5m/minだけ正送側にシフトした波形となる。平均溶接電流は約250Aとなる。この場合の各波形パラメータは、以下のようになる。
逆送期間=4.6ms、逆送加速期間=1.0ms、逆送ピーク期間=2.6ms、逆送ピーク値=−25m/min、逆送減速期間=1.0ms
正送期間=5.4ms、正送加速期間=1.4ms、正送ピーク期間=2.6ms、正送ピーク値=35m/min、正送減速期間=1.4ms
上述した実施の形態1によれば、溶接終了指令が入力された後に、逆送期間が終了した時点でアーク期間であったときは、送給を停止して溶接を終了する。溶接終了指令が入力されると、アンチスティック期間に入るが、定常溶接期間中と同様の動作を繰り返すので、安定した溶接状態となる。このために、溶接終了時において、溶接ワイヤ先端とビードとの距離が適正距離となるので、溶接ワイヤがビードと溶着することを防止することができる。さらに、溶接ワイヤ先端粒の大きさが適正化され、次回のアークスタート性を良好にすることができる。
[実施の形態2]
実施の形態2の発明は、溶接終了指令が入力された後の逆送期間中にアーク期間に移行し、アーク期間が所定期間継続した時点で送給を停止して溶接を終了するものである。
図3は、実施の形態2に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図は、上述した図1と対応しており、同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は繰り返さない。同図は、図1の起動回路ONを第2起動回路ON2に置換したものである。以下、同図を参照してこのブロックについて説明する。
第2起動回路ON2は、上記の溶接開始信号St、上記の短絡判別信号Sd及び上記の送給速度設定信号Frを入力として、溶接開始信号StがHighレベル(溶接開始指令)に変化した時点でHighレベルにセットされ、溶接開始信号StがLowレベル(溶接終了指令)に変化した後に送給速度設定信号Frの逆送期間中に短絡判別信号SdがLowレベル(アーク)に変化した時点から、アーク期間中に所定期間が経過した時点でLowレベルにリセットされる起動信号Onを出力する。
図4は、本発明の実施の形態2に係るアーク溶接制御方法を示す、図3の溶接電源における溶接終了時の各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)は送給速度Fwの時間変化を示し、同図(C)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(D)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(E)は短絡判別信号Sdの時間変化を示し、同図(F)は起動信号Onの時間変化を示す。同図は、上述した図2と対応している。同図は、溶接が終了するタイミングのみが異なっており、それ以外の動作は同一であるので、同一動作についての説明は繰り返さない。以下、同図を参照して異なる動作について説明する。
同図(A)に示すように、溶接開始信号StがLowレベル(溶接終了指令)に変化する時刻t11までの期間が定常溶接期間となり、時刻t11〜t15の期間がアンチスティック期間となる。アークが消滅して溶接が終了する時刻t15は、同図(F)に示すように、起動信号OnがLowレベル(停止指令)に変化する時点である。この溶接が終了する時刻t15は、後述するように、時刻t11に溶接開始信号StがLowレベル(溶接終了指令)に変化した後に、送給速度Fwが時刻t13からの逆送期間に入り、時刻t14にアークが発生し、アーク期間が所定期間継続した時点となる。
時刻t11までの定常溶接期間中の動作は、図2と同一であるので説明は繰り返さない。時刻t10から正送期間に入り、時刻t10〜t12の正送加速期間中の時刻t11において、同図(A)に示すように、溶接開始信号StがLowレベル(溶接収容指令)に変化する。時刻t11に溶接開始信号StがLowレベル(溶接終了指令)に変化した時点から、同図(F)に示す起動信号OnがLowレベル(停止指令)に変化する時刻t15までの期間がアンチスティック期間となる。但し、アンチスティック期間中は上述した定常溶接期間中と同様の動作を繰り返す。
時刻t10〜t13の正送期間中の正送ピーク期間中に短絡が発生する。同図(B)に示すように、送給速度Fwは時刻t13から逆送期間に入る。そして、逆送ピーク期間中の時刻t14にアークが発生する。アークが発生すると、同図(E)に示すように、短絡判別信号SdはLowレベル(アーク)に変化する。この時刻t14から所定期間が経過した時刻t15までアーク期間が継続しているので、同図(F)に示すように、時刻t15において起動信号OnがLowレベル(停止指令)に変化する。これに応動して、同図(B)に示すように、送給速度Fwは強制的に0となり、送給が停止する。同時に、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwの出力も停止するので、同図(C)に示すように、溶接電流Iwの通電も停止する。時刻t15において、アークが消滅し溶接が終了する。
時刻t11〜t15のアンチスティック期間中は、定常溶接期間中と同様の動作を繰り返すので、溶接状態は安定している。その上で、時刻t15に溶接が終了した時点においては、アーク期間が所定期間継続した時点となるために、溶接ワイヤ先端とビードとの距離が適正値となり、溶接ワイヤがビードに溶着することを防止することができる。また、溶接ワイヤ先端粒の大きさも適正値となるので、次回のアークスタート性も良好になる。さらに、上記の所定期間を調整することによって、溶接ワイヤ先端粒の大きさを所望値に変化させることができる。このために、溶接ワイヤの直径、材質等の溶接条件に応じて最適なワイヤ粒にすることができ、アークスタート性を実施の形態1よりもさらに良好にすることができる。
同図においては、起動信号onがLowレベルに変化する時刻t15が、逆送期間の終了時点よりも前の時点である場合を示している。しかし、アーク期間中であれば、次の正送期間中であっても良い。
上述した実施の形態2によれば、溶接終了指令が入力された後に、逆送期間中にアーク期間に移行し、アーク期間が所定期間継続した時点で送給を停止して溶接を終了する。これにより、実施の形態2では、実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに、実施の形態2では、所定期間のアーク期間を調整することによって、溶接終了時のワイヤ先端粒を溶接条件に応じて最適科することができるので、アークスタート性をさらに良好にすることができる。
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
DV 駆動回路
Dv 駆動信号
E 出力電圧
ED 出力電圧検出回路
Ed 出力電圧検出信号
ER 出力電圧設定回路
Er 出力電圧設定信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
Fa 平均送給速度
FAR 平均送給速度設定回路
Far 平均送給速度設定信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
Fw 送給速度
Iw 溶接電流
ON 起動回路
On 起動信号
ON2 第2起動回路
PM 電源主回路
SD 短絡判別回路
Sd 短絡判別信号
ST 溶接開始回路
St 溶接開始信号
Tf 周期
TFR 周期設定回路
Tfr 周期設定信号
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
Vw 溶接電圧
Wf 振幅
WFR 振幅設定回路
Wfr 振幅設定信号
WL リアクトル
WM 送給モータ

Claims (2)


  1. 溶接ワイヤの送給を正送期間と逆送期間とに交互に切り換える正逆送給制御を行って、短絡期間とアーク期間とを発生させて溶接するアーク溶接制御方法において、
    溶接終了指令が入力されると、前記逆送期間が終了した時点で前記送給を停止して溶接を終了する、
    ことを特徴とするアーク溶接制御方法。
  2. 前記送給が停止した時点で溶接電圧の出力を停止する、
    ことを特徴とする請求項1記載のアーク溶接制御方法。
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