JP6460813B2 - 抗菌性繊維構造物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、ポリエステル樹脂などの中にあらかじめ銀粒子や銀が担持されたゼオライトなどを練り込み紡糸し、得られた繊維を用いて形成された繊維布帛が知られている。(特許文献1)
このような方法で得られた繊維布帛は、銀が樹脂中に埋没してしまい高いレベルの抗菌性を発揮することが難しく、抗菌性を出すため、特に制菌性のレベルにまで抗菌性を出すためには、銀の添加量を多くする必要があり、コスト面や糸強度、染色性などに問題があった。
これらの方法により得られた繊維布帛は、抗菌性は有しているものの、洗濯に対する耐久性が十分ではなく、改善が望まれていた。
また、銀を含有する樹脂膜を用いた抗菌性防水布帛が知られている。(特許文献3)
この方法で得られた繊維布帛は、防水性を有し、かつ洗濯耐久性に優れた抗菌性を有しており、合羽やレインコート、ウインドブレーカー、シェイプアップスーツ用には適しているが、銀を含んだ樹脂膜が数μm以上の厚さを有し、風合いが硬く、通気性が無いかごくわずかであるため、ブラウス、ジャケット、白衣、作業服などに用いる繊維布帛としては適していない。
(1)銀イオンを溶出する化合物と、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を重合させてなる重合物とを、繊維の表面に付着させてなる抗菌性繊維構造物。
(2)高温加速洗濯法による洗濯50回後の、JIS L1902 繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果 定量試験 菌液吸収法 使用菌種:黄色ブドウ球菌に準じ測定された殺菌活性値が、0超であることを特徴とする前記(1)記載の抗菌性繊維構造物。
(3)前記繊維が、合成繊維または半合成繊維であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の抗菌性繊維構造物。
(4)ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を重合させてなる重合物の厚みが5μm未満である前記(1)〜(3)のいずれか1に記載の抗菌性繊維構造物。
(5)銀イオンを溶出する化合物と、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体とを含む処理液を繊維に適用する工程と、
前記繊維の表面において前記単量体を重合させる重合工程と、
を含む抗菌性繊維構造物の製造方法。
本発明の抗菌性繊維構造物は、銀イオンを溶出する化合物と、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を重合させてなる重合物とを、繊維の表面に付着させてなるものである。
なお、本実施形態の銀イオンを溶出する化合物と、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を重合させてなる重合物とを、繊維の表面に付着させてなるとは、
1.銀イオンを溶出する化合物と、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を含む下記の種々の単量体若しくは高分子及び/又は得られた重合体とが、重合または化学結合した化合物が繊維表面に付着しているもの
2.溶出した銀イオンが、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を含む下記の種々の単量体若しくは高分子及び/又は得られた重合体と化学結合した化合物が、繊維表面に付着しているもの
3.ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を重合させてなる重合物がバインダーとなって、銀イオンを溶出する化合物(銀イオンを溶出する化合物自らが繊維表面への固着性能を持っているものも含む)が繊維表面に付着しているもの
の少なくとも一つを含むものをいう。
また、本実施形態では、銀イオンを溶出する化合物と、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を重合させてなる重合物は、互いに重合または化学結合することにより合一された同一化合物であってもよく、特に、銀イオンを溶出する化合物と、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を重合させてなる重合物とが同一の化合物のみを構成し、それぞれ別々の化合物が繊維表面に付着されていない態様も含まれる。
なお、本実施形態での銀イオンを溶出する化合物が付着していることの確認は、繊維構造物に対し、本実施形態に記載の抗菌性試験をおこない、抗菌性の有無により確認でき、抗菌性が確認できれば、銀イオンが溶出する化合物が付着しているものとする。具体的には、後述するJIS L1902準拠の抗菌性試験における殺菌活性値が0を上回る場合に、抗菌性が確認できる。
抗菌性の洗濯耐久性の観点からは合成繊維、若しくは半合成繊維が好ましく、特に好ましくはポリエステル繊維を含むものがよく、さらに好ましくはポリエステル繊維のみからなるものがよい。
また、さらに繊維の形状は、丸型、三角、星形、扁平、C型、中空、井形、ドックボーン等に限定されるものではない。洗濯耐久性の観点からは繊維は異形断面糸が良く、三葉断面、八葉断面、マルチローバル断面など凹部を有する異形断面糸が好ましい。
また、本実施形態の抗菌性繊維構造物は、染色、捺染、撥水加工、消臭加工、保温加工、紫外線遮蔽加工、柔軟加工、制電加工等が施されていてもよい。また、防水性や透湿防水性を付与するため、或いは合成皮革を得るため、本実施形態の抗菌性繊維構造物の表面(例えば、抗菌性繊維布帛の片面)上に、3μm〜1000μm程度の樹脂膜が別途積層されていてもよい。さらに、このような樹脂膜として、例えば特許文献3に記載されているような銀を含有する樹脂膜を採用することにより、抗菌性を追加してもよい。
具体的には、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社から提供されているSILVADUR(商標)900 Antimicrobial、松本油脂製薬株式会社製のブリアンBG−1(商標)、株式会社J−ケミカル製CF−01などが挙げられる。
銀イオンを溶出する化合物は1種類のみを用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよい。
このような銀イオンを溶出する化合物は、繊維と直接化学結合していても良いし、銀イオン及び/又は銀イオンを溶出する化合物が、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を含む下記の種々の単量体若しくは高分子及び/又は得られた重合体と化学結合していてもよい。また、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体がバインダー樹脂として作用することで、銀イオンを溶出する化合物が繊維表面に付着されていてもよい。また、他のバインダー樹脂を用いることで、銀イオンを溶出する化合物が繊維表面に付着されていてもよい。また、これらが混在するものであってもよい。
抗菌性繊維構造物100gあたり、0.01mgを下回ると十分な洗濯耐久性を有することができないおそれがある。上限は特にないが、1000mgを超えるとコスト的にメリットがなくなる上、得られる抗菌性繊維布帛に銀による着色(くすみ)が発生する場合がある。
本実施形態の抗菌性繊維構造物は、非常に少ない量の銀で洗濯耐久性を有する抗菌性構造物を得ることができる。
また、抗菌剤として、カテキン、キチン、キトサン等の天然系の抗菌剤やジンクピリチオンや第四級アンモニウム塩など公知の抗菌剤を併用してもよい。
より具体的には、一般式[I]で示されるジビニルモノマーが挙げられる。
ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を、繊維の表面で重合させて重合体を得たものが、洗濯耐久性の観点から好ましい。この場合、繊維と上記単量体が重合して重合物を生成してもよく、また繊維と上記単量体は重合せず、繊維の表面で単量体同士の重合物が樹脂膜を形成してもよく、さらにこれら両方の形態が存在してもよい。
このようなラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を重合させることにより得られる重合物が繊維表面に付着されていることにより、非常に少ない銀の量でありながら、また、当該重合体に銀を溶出する化合物が覆われていたとしても、高い抗菌性が持続する洗濯耐久性に優れた抗菌性繊維構造物が得られる。
特定の理論に束縛されるものではないが、上記単量体を繊維表面で重合させることにより、銀イオンを溶出する化合物を取り込みながら架橋構造体が形成されると考えられる。架橋構造体に包含された銀イオンは洗濯処理を施されても脱落しにくく、洗濯耐久性が向上する要因の一つであると考えられる。また、上記単量体を繊維表面でラジカル重合させることで、形成される架橋構造体の一部が繊維表面に化学結合を介して強固に固定され得ると考えられる。すなわち、銀イオンを保持する架橋構造体自体も洗濯耐久性が向上することと相俟って、全体として抗菌性が高いレベルで持続されるものと推察される。このように、本発明によると、銀イオンの脱落による抗菌性レベルの低下が顕著に抑制されるため、繊維構造物に最初に付着すべき所要銀量を大幅に削減することができる。
カルボジイミド基を有する化合物としては、−N=C=N−で表されるカルボジイミド基を官能基として有する架橋剤が挙げられる。例えば、日清紡績ケミカル株式会社製のカルボジライトV−01(イソシアネート基も有する)、カルボジライトV−02あるいはV−02−L2(親水性セグメント付与)、カルボジライトV−03、カルボジライトV−04(親水性セグメント付与)、カルボジライトV−05(イソシアネート基も有する)、カルボジライトV−05あるいはV−05−02(イソシアネート基を有する)、カルボジライトV−06(親水性セグメント付与)等が挙げられ、特に好ましくは、カルボジライトV−05−02を用いることができる。
アジリジン基を有するものとして、下記構造式(1)〜(5)などが挙げられる。例えば、株式会社日本触媒のケミタイト(商標)PZ−33、DZ−22Eなどを用いることができる。また、他のアジリジン基を有するものとして、株式会社日本触媒のエポミン(商標)が挙げられ、第2級、第3級アミンを含むイソシアネート変性ポリエチレンイミンとしてエポミンRP−18W、第1級、第2級および第3級アミンを含むエチレンイミンとしてエポミンP−1000が挙げられる。
重合可能な二重結合を1個以上持つ単量体としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、イソプレンスルホン酸ナトリウム、スルホエチルメタクリレート、アリルスルホン酸ナトリウム、メタクリルスルホン酸ナトリウムなどを用いることができる。本発明ではこれらのモノマーを2種類以上用いてもよい。特に重合効率と得られる繊維布帛に吸放湿性を付与するとの観点から、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用いるのが好ましい。
また、用いられる繊維の脆化防止の観点からは、ナトリウムイオンで置換されていることが好ましい。特に、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
得られる樹脂膜が上記上限値未満であると、得られる抗菌性繊維布帛の風合いが柔らかく、また、通気性も阻害されない。本実施形態の繊維構造体では、繊維の表面に非常に薄い樹脂膜が形成されたものであっても、耐久性を有する抗菌繊維を有することができる。なお、重合体の厚みは、電子顕微鏡を用いて確認すればよい。なお、繊維と繊維の間や糸の交絡点等の処理液の溜まる部分に凝集した状態で樹脂膜が形成された部分は、重合体の厚みとはみなさないものとする。また、樹脂膜は繊維表面の少なくとも一部に付着されていればよく、その被覆率として見た場合、樹脂膜の厚みや銀濃度にもよるが、繊維表面積の一般に20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上が覆われていればよい。繊維表面のほぼ全面が覆われていることが最も好ましい。
なお、前記銀イオンを溶出する化合物が粒状物として繊維表面に付着されている場合には、当該粒状物の大きさも5μm以下であるとよい。
高温加速洗濯法は、80℃の高温で洗濯を行うものであり、当該基準をみたすことにより、一般的な生活環境でも用いられるものだけではなく、医療施設及びそれに準じた施設用製品、例えば白衣などに対しても抗菌効果が期待できるとされている。
本発明の抗菌性繊維構造物の製造方法は、銀イオンを溶出する化合物と、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体とを含む処理液を繊維に適用する工程と、
前記繊維の表面において、前記単量体を重合させる重合工程とを含む。
銀イオンを溶出する化合物、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体は前記の通りである。
重合により得られる重合物が繊維表面に形成する樹脂膜の厚みを薄くするとの観点からは、処理液中のラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体の濃度は20質量%以下がよく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下がよい。
銀イオンを溶出する化合物の濃度は、銀換算として溶液100ml中0.02mg以上が好ましく、より好ましくは0.2mg以上、さらに好ましくは2mg以上、さらにより好ましくは20mg以上がよい。
溶液中の銀の濃度が0.02mgを下回ると、十分な洗濯耐久性を有する抗菌性繊維布帛が得られないおそれがある。
また、上限は特にないが、繊維布帛の銀による着色やコストの観点より2000mg以下が好ましい。
処理液には、そのほかに触媒、重合開始剤、光安定剤、酸化防止剤、界面活性剤などを本実施形態の目的を逸脱しない範囲で添加してもよい。
ラジカル重合開始剤を用いる場合には、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などの無機系重合開始剤や、2,2´−3アゾビス(2−アミディノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2´−3アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチラミディン)ジハイドロクロライド、2−(カルバモイラゾ)イソブチルニトリルなどの有機系重合開始剤を用いることができる。また、過酸化べンゾイル、アゾビスイソブチルニトリルなどの水不溶性重合開始剤をアニオン、ノニオンなどの界面活性剤で乳化させて用いてもよい。また、レドックス系重合開始剤を用いてもよい。
また、本実施形態に用いる処理液には、本実施形態の目的を逸脱しない範囲で染料、撥水剤、帯電防止剤、柔軟剤、難燃剤、酸、アルカリ、バッファーなどのpH調整剤等他の化合物を添加してもよい。なお、銀の変色を防ぐとの観点から処理液のpHを6以上に保つことが好ましい。さらに、抗菌剤として、カテキン、キチン、キトサン等の天然系の抗菌剤やジンクピリチオンや第四級アンモニウム塩など公知の抗菌剤も添加してもよい。
溶液は水や有機溶剤を溶媒として用いるとよく、水と有機溶剤を混合したものを用いてもよい。処理液は上記の種々の化合物を溶媒に溶解したものであってもよいし、溶媒に分散、乳化させた分散液や乳化液であってもよい。
処理液を繊維に適用した後、前記単量体を繊維に対して重合させ、繊維の表面に固着するためには、特に耐久性を付与するため、ラジカル重合に用いられるあらゆる手段を用いるとよい。例えば、乾熱処理、スチーム処理、浸漬法、コールドバッチ法、マイクロ波処理、紫外線処理、電子線処理などを用いることができる。これらの手段は、単独で適用してもよいし、加熱効率を高めるために、例えば、スチーム処理または乾熱処理時と同時またはその前後にマイクロ波処理、または紫外線処理や電子線処理を併用するなどしてもよい。なお、空気中の酸素が存在すると重合が進みにくくなるので、乾熱処理、マイクロ波処理、紫外線処理または電子線処理の場合には、不活性ガス雰囲気下で処理するのが好ましく、コールドバッチ法の場合にも、シール材で密閉するのが好ましい。
また、前記処理液を複数回適用してもよく、例えば処理液の適用、スチーム処理、ソーピング、乾燥、処理液の適用、スチーム処理、ソーピング、乾燥を繰り返してもよい。
また、カレンダー加工、タンブラー加工、仕上げセットなどを施してもよい。
本発明の製造方法により、
1、銀イオンを溶出する化合物と、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を含む前記の種々の単量体若しくは高分子及び/又は得られた重合体とが、重合又は化学結合し、又は
2、溶出した銀イオンが、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を含む前記の種々の単量体若しくは高分子及び/又は得られた重合体と化学結合し、又は
3、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を重合させてなる重合物がバインダーとなって、銀イオンを溶出する化合物(銀イオンを溶出する化合物自らが繊維表面に固着する性能を有しているものも含む)が繊維表面に固着し、
銀イオンを溶出する化合物が繊維表面に付着する。
なお、本発明における各種物性は以下の方法で測定を行った。
(1)抗菌性
JIS L1902 繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果 定量試験 菌液吸収法使用菌種:黄色ブドウ球菌に準じ、洗濯前と高温加速洗濯法50回後と100回後の殺菌活性値を測定した。
また、JIS L1902 繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果 定量試験 菌液吸収法使用菌種:黄色ブドウ球菌に準じた静菌活性値を測定した。(洗濯前)
(2)洗濯処理
一般社団法人繊維評価協議会 製品認証部 SEKマーク繊維製品の洗濯方法 高温加速洗濯法(洗濯50回規定の製品の洗濯方法)に準じて洗濯処理を施し「洗濯50回」とした。また、繊維としてポリエステルを用いたものは、上記洗濯50回を2回繰り返したものを「洗濯100回」とした。
また、繊維としてナイロンを用いたものは、一般社団法人繊維評価協議会 製品認証部 SEKマーク繊維製品の洗濯方法 高温加速洗濯法(洗濯10回規定の製品の洗濯方法)に準じて洗濯処理を施した。
(3)樹脂膜の厚み及び付着状態の観察
走査型電子顕微鏡(SEMEDX Type H形:(株)日立サイエンスシステムズ)を用い繊維構造物の断面および表面を5000倍の倍率にて観察し、樹脂膜の厚みの測定及び付着の状態の観察を実施した。5000倍の倍率で樹脂膜の存在が確認できなかった場合には、樹脂膜の厚みは0.1μm未満とした。なお、繊維と繊維の間や糸の交絡点等の処理液の溜まる部分に凝集した状態で樹脂膜が形成された部分は、樹脂膜の厚みとはみなさないものとした。
(4)制電性
JIS L1094 織物及び編物の制電性試験方法 摩擦帯電圧測定方法に準じて洗濯前と洗濯後の制電性の測定を行った。洗濯処理は、JIS L0217 103法に準じて20回の洗濯処理を施した。
(5)吸水性
JIS L1907 繊維製品の吸水性試験方法 吸水速度法 滴下法に準じて洗濯前と洗濯後の吸水性を測定した。洗濯処理は、JIS L0217 103法に準じて20回の洗濯処理を施した。
(6)風合い:繊維布帛を手で触り評価した。
平織物(タテ糸、ヨコ糸ともポリエステル。三葉断面糸。タテ糸 56デシテックス、36フィラメント、ヨコ糸 83デシテックス、72フィラメント。密度 タテ 261本/2.54cm、ヨコ 108本/2.54cm)を常法により精練し、連続アルカリ減量した後、分散染料を用いて黒色に染色し、160℃でセットした。
次に、表1の実施例1〜4に記載の処理液をパディング法により、上記織物に適用した。ピックアップは50質量%であった。
得られた繊維布帛の性能を表1に記載した。
実施例1と同様に精練、減量、染色、セットした平織物に対し、表1の比較例1に記載の処理液を、パディング法により適用し、120℃にて乾燥し、160℃にて仕上げセットをして、繊維布帛を得た。
得られた繊維布帛の性能を表1に記載した。
平織物(タテ糸 ポリエステル。83デシテックス、36フィラメント、ヨコ糸 ポリエステルと綿の混紡糸。配合比(質量比) ポリエステル:綿=80:20。ポリエステル:83デシテックス36フィラメント。綿。45番手。密度 タテ 131本/2.54cm、ヨコ 101本/2.54cm)を常法により精練し、分散染料で青色に染色をおこない、150℃でセットした。
次に、表2の実施例5に記載の処理液をパディング法により、上記織物に適用した。
得られた繊維布帛の性能を表2に記載した。
平織織物(タテ糸、ヨコ糸とも6−ナイロン。丸型断面糸。78デシテックス、68フィラメント。密度 タテ 125本/2.54cm、ヨコ 88本/2.54cm)を常法により精練し、酸性染料で青色に染色し、150℃でセットした。
次に、表2の実施例6及び参考例7に記載の処理液をパディング法により、上記織物に適用した。
得られた繊維布帛の性能を表2に記載した。
平織織物(タテ糸、ヨコ糸ともトリアセテート繊維、複数の凹部を有する異形断面糸。密度 タテ 125本/2.54cm、ヨコ 88本/2.54cm)を常法により精練し、分散染料で青色に染色を施し、150℃でセットした。
次に、表2の実施例8に記載の処理液をパディング法により、上記織物に適用した。
得られた繊維布帛の性能を表2に記載した。
Claims (4)
- 銀イオンを溶出する化合物と、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を重合させてなる重合物とを、繊維の表面に付着させてなり、銀の付着量が抗菌性繊維構造物100gあたり3.8mg以下であり、高温加速洗濯法による洗濯50回後の、JIS L1902 繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果 定量試験 菌液吸収法 使用菌種:黄色ブドウ球菌に準じ測定された殺菌活性値が、0超である抗菌性繊維構造物。
- 前記繊維が、合成繊維または半合成繊維である請求項1に記載の抗菌性繊維構造物。
- 前記ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体を重合させてなる重合物の厚みが5μm未満である請求項1または2に記載の抗菌性繊維構造物。
- 銀イオンを溶出する化合物と、ラジカル重合が可能な二重結合を2個以上有する単量体とを含む処理液を繊維に適用する工程と、
前記繊維の表面において、前記単量体を重合させる重合工程と、
を含み、
銀の付着量が抗菌性繊維構造物100gあたり3.8mg以下であり、高温加速洗濯法による洗濯50回後の、JIS L1902 繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果 定量試験 菌液吸収法 使用菌種:黄色ブドウ球菌に準じ測定された殺菌活性値が、0超である抗菌性繊維構造物の製造方法。
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