ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)検査装置の構成:
(1−1)基板搬送部の構成:
(1−2)撮影部の構成:
(1−2−1)カメラの最大視野と解析範囲の関係:
(1−2−2)撮影部の結合:
(1−2−3)補正データの生成:
(1−3)制御部の構成:
(2)検査処理:
(2−1)幅調整処理:
(1)検査装置の構成:
図1は本発明の一実施形態にかかる検査装置の概略ブロック図である。検査装置は、撮影機構部100と制御部200とを備えている。撮影機構部100において、図示しない搬送装置によって基板が搬送され、撮影機構部100の各部が制御部200によって制御されることにより、基板の画像が撮影される。すなわち、制御部200は、図示しないコントローラを介して撮影機構部100に制御信号を出力し、基板を所定の撮影領域に搬送し、当該基板を撮影する。画像が撮影されると、図示しないコントローラを介して当該画像を示す情報が制御部200に送られる。制御部200は、当該画像に基づいて基板上に実装された部品、半田等の良否を判定する処理や基板上の異物の有無等を検査する処理を実行する。
(1−1)基板搬送部の構成:
撮影機構部100は、基板搬送部110と撮影部120とを備えている。図2Aは、基板搬送部110および撮影部120の構成要素を示す斜視図である。基板搬送部110は、異なる種類の基板を撮影領域に搬送可能な複数個の手段である。本実施形態においては、基板搬送部110として2個の基板搬送部110a,110bが備えられており、各基板搬送部110a,110bにおいて、異なる種類の基板を撮影領域に搬送可能である。具体的には、基板搬送部110aはレールR1,R2、モータM4、ボールネジB4、搬送装置(図示省略)、固定部を備えている。基板搬送部110bはレールR3,R4、モータM5,M6、ボールネジB5,B6、搬送装置(図示省略)、固定部(図示省略)を備えている。
本実施形態においてレールR1〜R4は板状の直方体であり、図2Aにおいては鉛直方向をz軸方向、レールR1〜R4が延びる方向をx軸方向、z軸方向およびx軸方向に垂直な方向をy軸方向として3次元直交座標系を定義する(以下同様)。基板搬送部110aの搬送装置は、レールR1,R2の間においてx軸方向に基板を搬送可能であるとともに、z軸方向に基板を移動させることができる。当該搬送装置は、例えば、上部に基板を載せて搬送する搬送するベルトと当該基板を上下に移動させる昇降機構とによって構成可能である。図9A、図9Bは、搬送装置の説明図であり、レールR1をx軸方向から眺めた状態を示す図である。図9A、図9Bにおいては、図2A等で省略されている搬送装置が示されている。搬送装置はベルトBをx軸方向に沿って移動させることによってベルトB上に載せられた基板Wをx軸方向に搬送することができる。昇降機構Hはz軸方向に沿って上下に移動可能であり、撮影領域に搬送された基板Wをz軸方向に沿って上方に移動させることができる。
固定部は、レールR1,R2から突出する板状の部材であり、レールR1に備えられた固定部F1はレールR1からレールR2に向けて微少距離だけ突出するとともに板状の面はx−y平面に平行である。レールR2に備えられた固定部F2はレールR2からレールR1に向けて微少距離だけ突出するとともに板状の面はx−y平面に平行である。従って、搬送装置によって基板が撮影領域(図2Aに示す例では破線で示す領域Rs)に搬送された後、昇降機構によって基板がz軸方向の上方に移動されると、固定部F1,F2と昇降機構との間に基板が挟まれる。この結果、基板は対辺が固定部F1,F2のそれぞれによって固定され、レールR1,R2に挟まれた状態で撮影領域に固定される。基板搬送部110aのレールR1は検査装置に固定されている(非可動である)。一方、レールR2にはボールネジB4のナット(図示省略)が接合されており、軸はy軸方向に平行である。従って、モータM4が回転することによってボールネジB4の軸が回転すると、レールR2はy軸方向に移動する。なお、固定部の構成は、レールから板状の部材が突出する構成に限定されず、レールが溝を備えるとともに溝内にベルトが配置されるとともに、昇降機構で上方に移動させた基板が溝の内壁と昇降機構との間で固定される構成等であっても良い。
基板搬送部110bは、y軸方向に沿って基板搬送部110aと異なる位置に配置される。また、基板搬送部110bの搬送装置および固定部は基板搬送部110aの構成と同様である(ただし、固定部は図2Aにおいて図示省略)。従って、搬送装置によって基板が撮影領域Rsに搬送された後、搬送装置によって基板がz軸方向の上方に移動されると、固定部と搬送装置との間に基板が挟まれる。この結果、基板は対辺が固定部によって固定され、レールR3,R4に挟まれた状態で撮影領域に固定される。基板搬送部110bのレールR3にはボールネジB5のナット(図示省略)が接合されており、軸はy軸方向に平行である。従って、モータM5が回転することによってボールネジB5の軸が回転すると、レールR3はy軸方向に移動する。基板搬送部110bのレールR4にはボールネジB6のナット(図示省略)が接合されており、軸はy軸方向に平行である。従って、モータM6が回転することによってボールネジB6の軸が回転すると、レールR4はy軸方向に移動する。
以上のように、本実施形態においては、基板搬送部110aのレールR2および基板搬送部110bのレールR3,R4がy軸方向に移動可能である。従って、基板搬送部110は、各レールR2,R3,R4を移動させることにより、レールR1,R2の間の距離およびレールR3,R4の間の距離を調整することができる。このため、基板搬送部110a,110bのそれぞれにおいて、異なる幅の基板(y軸方向の長さが異なる基板)を撮影領域に固定することができる。
(1−2)撮影部の構成:
さらに、本実施形態においては、撮影部120として2個の撮影部120a,120bが備えられており、各撮影部120a,120bのそれぞれは、撮影領域に搬送された基板を撮影可能である。具体的には、撮影部120aは、本体H1、複数個の照明L1、複数個のカメラC1、モータM1、ボールネジB1を備えている。ボールネジB1は、x軸方向に延びる軸と本体H1の上部(z軸方向に沿って基板搬送部110aと反対側)に取り付けられたナットN1とを備えている。従って、モータM1が回転することによってボールネジB1の軸が回転すると、ナットN1とともに本体H1がx軸方向に移動する。なお、本実施形態において、基板は固定部(図2Aに示すF1,F2等)によって対辺が固定される板状の部材であるため、基板の部品実装面はx−y平面に平行である。従って、本実施形態において本体H1が移動するx軸方向(第2方向)は基板の部品実装面に平行である。
カメラC1は、テレセントリックレンズおよび2次元画像センサーを備えたカメラであり、本実施形態においては本体H1に対して10個設置されている。各カメラC1はテレセントリックレンズを介して視野からの光を2次元画像センサーに結像させ、2次元画像センサーが備える各画素における光の強度を示す画像情報を生成する。従って、各カメラC1によって撮影領域に搬送された基板を撮影すると、基板の画像を示す画像情報が各カメラC1から出力される。
図3Aはz軸方向に沿って本体H1を眺めた状態におけるカメラC1の設置位置を示す図であり、同図3Aにおいては本体H1に設置されるカメラC1と一部の照明L1の位置をx−y平面に投影した状態として示している。なお、同図3Aにおいては、本体H1、照明L1、画像の解析範囲Ia(詳細は後述)を実線で示すとともに、一点鎖線でテレセントリックレンズの最大口径部分T1を示している。また、図3Aにおいては、本体H1における理想的な位置(設計上の位置)にカメラC1が設置されている状態を前提にして、最大口径部分T1と解析範囲Iaの位置を示している。
図3Aに示すように、本実施形態においては、y軸方向にカメラC1が10個並ぶとともに、y軸方向に隣接するカメラC1はx軸方向に沿って距離4Lxだけ異なった位置に設置されている。また、y軸方向におけるカメラC1のピッチはLyである。なお、ここでLxは解析範囲Iaのx軸方向の辺の長さであり、Lyは解析範囲Iaのy軸方向の辺の長さである。従って、本実施形態において、カメラC1は、y軸方向に沿って長さLyをピッチにして並べられており、隣接するカメラC1同士は、x軸方向に沿って4Lxだけ離れている。すなわち、カメラC1は千鳥配置(ジグザグ配置)で本体H1に設置されている。なお、本実施形態において、x軸方向のカメラC1のピッチは4Lxであり、解析範囲Iaのx軸方向の辺の長さの整数倍であるが、非整数倍であっても良い。
照明L1は、y軸方向に長い形状であるとともに、主に鉛直下方に向けて光が照射されるように本体H1に対して設置されている(図2A、図3Aにおいては複数個の照明L1の一部のみ図示している)。図3Bは、本体H1とカメラC1と照明L1とを抜き出してy軸方向に沿って眺めた状態を示す側面図である(照明L1と本体H1とを接続する部材は省略)。本実施形態における照明L1は、図3Bに示す5個の照明L11〜L15によって構成されており、各照明L11〜L15が発光すると、z軸方向に沿って鉛直下方に存在し得る基板が照らされて撮影に適した明るさになる。
なお、照明L11,L15は、x−y平面に平行に配置される基板の部品実装面に対して斜めに光を照射することができる。従って、基板上に正反射成分の多い部分(例えば、部品や基板上の文字)が含まれていたとしても、多様な方向からの照明により、これらの部分の画像を識別できるように撮影を行うことが可能になる。また、照明L12,L13,L14は、x軸方向に沿って3個並んでおり、隣接する2個の照明の間にカメラC1が配置されている。これらの照明L12,L13,L14がz軸の負方向を照明することにより、落射照明に近い状態で基板の部品実装面を照らすことができる。
以上の構成により、撮影部120aにおいては、5個の照明L11〜L15の一部または全部によって基板を照らしながら、10個のカメラC1の一部または全部によって基板を撮影することができる。そして、上述のように、本体H1はx軸方向に沿って移動可能であるため、基板を図2Aに示す撮影領域Rsに固定した状態でカメラC1によって撮影を行い、さらに、本体H1を異なる撮影位置に移動させてカメラC1によって撮影を行うことで、異なる撮影位置において基板の画像を撮影することが可能である。撮影された画像には基板上に実装された部品や部品を接続する半田等の像が含まれるため、当該画像に基づいて検査を行うことが可能である。
(1−2−1)カメラの最大視野と解析範囲の関係:
本実施形態においては、一定の方向(x軸方向、第2方向)に本体H1が移動することによって各カメラC1の解析範囲がx−y平面内の所定範囲を隙間なく埋められるように、解析範囲の大きさおよびカメラC1の位置が決定されている。具体的には、カメラC1の最大視野は解析範囲Iaよりも大きく、当該解析範囲Iaがy軸方向(第1方向)に隙間なく並ぶようにカメラC1が本体H1に設置されている。
図4Aは、カメラC1の位置を最大口径部分T1によって示すとともに、各カメラC1の最大視野Imと解析範囲Iaとを示す図であり、それぞれをx−y平面に投影した状態を示している。なお、図4Aにおいて、最大口径部分T1は一点鎖線、最大視野Imは二点鎖線、解析範囲Iaは実線によって示されている。
図4Aは、カメラC1の位置が設計上の理想的な位置である場合の例である。本実施形態において、カメラC1が備える2次元画像センサーは長方形である。従って、カメラC1の最大口径部分T1の内側に存在する物体から反射した光の中で、カメラC1が画像データ化できるのは最大口径部分T1の内側の最大視野Imに存在する基板のみである。
さらに、本実施形態において、解析範囲Iaは当該最大視野Imよりも小さく、x軸方向の各端部でdx、y軸方向の各端部でdyだけ狭い範囲となるように解析範囲Iaの大きさ(LxおよびLy)が規定されている。すなわち、最大視野Imのx軸方向の長さは(Lx+2dx)、解析範囲Iaのy軸方向の長さは(Ly+2dy)である。
さらに、本実施形態においては、上述のようにカメラC1の解析範囲Iaはy軸方向のピッチLyで本体H1に設置されている。従って、y軸方向の1次元だけに着目すると、y軸方向の長さがLyである解析範囲Iaはy軸方向に隙間なく並ぶ。一方、y軸方向の1次元で見た場合において隣接するカメラC1同士は、x軸方向に沿って4Lxだけ離れている。従って、撮影部120aをx軸に移動させると、実空間上で連続する範囲を隣接するカメラC1で撮影することができる。例えば、図4Aに示すカメラC11で撮影し、本体H1をx軸の負の方向に4Lxだけ移動させてカメラC12で撮影すると、実空間上で連続する部位を各カメラC11,C12で撮影したことになる。
本実施形態においては、以上のようなx軸の負方向への本体H1の移動(スキャン)によって撮影領域内の基板を隙間なく撮影することが可能である。図4Bは、撮影領域内に存在する基板がスキャンされる様子を模式的に示す図であり、撮影領域内の基板の位置をx−y平面に投影した状態を破線Wによって示している。同図4Bに示す基板Wのy軸方向の幅は10Lyより小さいため、基板Wのy軸方向の幅はy軸方向に並ぶ10個のカメラC1の解析範囲Iaの長さ10Lyに包含される。また、基板Wのx軸方向の長さは9Lxよりも小さい。
従って、カメラC1における撮影と本体H1のx軸負方向へのピッチLxの移動とを9回繰り返す(すなわち、異なる撮影位置のそれぞれで撮影を行う)と、x軸方向の全長に渡って撮影を行うことができる。そして、隣接するカメラC1同士はx軸方向に4Lxだけ離れているため、隣接する2個のカメラの一方で基板Wの端部の撮影を開始した後、4回目の撮影を行う際に、他方のカメラの視野に基板Wの端部が含まれる状態となる。従って、4回目の撮影から9回撮影を繰り返すことにより、他方のカメラにおいてもx軸方向の全長に渡って撮影を行うことができる。図4Bにおいては、カメラによるスキャンの過程で変化する解析範囲Iaを実線の矩形で示すとともに、各矩形に撮影回数を記入して示している。このように、図4Bに示す基板Wは1〜9回目の撮影でx軸方向の全長に渡って撮影される部分と、4〜12回目の撮影でx軸方向の全長に渡って撮影される部分とが存在する。そして、1〜12回目の撮影により、基板Wの全範囲が撮影される。
さらに、本実施形態においては、上述のようにカメラC1の最大視野Imが解析範囲Iaよりも大きく、y軸方向のピッチLyでカメラC1が本体H1に設置されているため、カメラC1を本体H1に設置する際に組み付け誤差(カメラの理想的な位置からのずれ(向きのずれも含む))が生じたとしても、マージンdx、dyを利用して当該誤差を解消することができる。図4Cは、カメラC1の理想的な位置が図4Aと同様である場合において、一部のカメラC1(カメラC13,C14)が理想的な位置からずれた位置に設置された場合の例を示している。なお、図4Cにおいても図4Aと同様に、カメラC1の位置を最大口径部分T1によって示すとともに、各カメラC1の最大視野Imと解析範囲Iaとを示している。
図4Cに示すカメラC13は、理想的な位置に対して回転した位置に取り付けられている。すなわち、x−y平面において解析範囲Ia13の辺はx軸方向およびy軸方向に平行であるが、カメラC13が理想的な位置(取り付け方向)から回転した位置に取り付けられるとカメラC13の最大視野Im13は回転する。この結果、カメラC13の最大視野Im13の辺はx軸方向およびy軸方向と非平行になっている。このようにカメラC13が理想的な位置からずれていたとしても、図4CにおいてカメラC13の解析範囲Ia13は最大視野Im13の内部に存在する。従って、カメラC13が備える2次元画像センサーは、図4Cに示す適正な位置の解析範囲Ia13の画像を撮影可能である。このため、カメラC13が撮影した画像から適正な位置の解析範囲Ia13の画像を抽出することにより、理想的な位置からのずれ(回転誤差)を吸収することが可能である。
図4Cに示すカメラC14は、理想的な位置に対してx軸方向およびy軸方向に平行移動した位置に取り付けられている。この結果、カメラC14の最大視野Im14の位置は理想的な位置からずれているが、図4CにおいてカメラC14の解析範囲Ia14は最大視野Im14の内部に存在する。従って、カメラC14が備える2次元画像センサーは、図4Cに示す適正な位置の解析範囲Ia14の画像を撮影可能である。このため、カメラC14が撮影した画像から適正な位置の解析範囲Ia14の画像を抽出することにより、理想的な位置からのずれ(位置誤差)を吸収することが可能である。
(1−2−2)撮影部の結合:
以上のように、撮影部120aはx軸方向に基板をスキャンしながら複数個のカメラC1で撮影を行うことが可能であり、この構成により、基板を隙間のない状態で撮影することが可能である。一方、撮影部120bは、y軸方向に沿って撮影部120aと異なる位置に配置される。撮影部120bにおいても撮影部120aと同様の構成が備えられているが、撮影部120bは、x軸方向(第2方向)のみならず撮影部120bの一部がy軸方向(第1方向)にも移動可能である点で撮影部120aと異なっている。すなわち、図2Aに示すように、撮影部120bも、本体H2、複数個(5個)の照明L2、複数個(10個)のカメラC2、モータM2、ボールネジB2を備えている。これらの構成要素は、撮影部120aの構成要素とほぼ同様の構成であり、カメラC2や照明L2の本体H2に対する設置位置(ピッチ)も撮影部120aと同様である。そして、撮影部120bは、ボールネジB2の軸を回転させることにより、本体2をx軸方向に移動させることが可能である。このため、レールR3,R4に基板が挟まれて撮影領域に搬送された状態で、撮影部120bの本体H2を移動させることで、x軸方向に基板をスキャンすることができる。
なお、本実施形態において、撮影部120aの本体H1と撮影部120bの本体H2は互いに独立にx軸方向に移動可能に構成されている。すなわち、本体H1および本体H2がx軸方向に移動する際に互いに干渉しないように、y軸方向の1次元で見た場合に本体H1と本体H2との間にわずかなギャップ(y軸方向に沿った隙間)が生じるようにボールネジB1,B2が検査装置に設置されている。従って、撮影部120a,120bは、y軸方向(第1方向)に沿って異なる位置に配置され、x軸方向(第2方向)への移動において互いに干渉しないように構成されている。
ただし、本実施形態において撮影部120bは、撮影部120bの一部をy軸方向に移動させることが可能である。すなわち、撮影部120bの本体H2の内部には図示しないラックピニオン機構およびモータM3が備えられている。当該ラックピニオン機構による移動対象は、カメラC2が設置されたカメラ設置部である。図2Bは本体H1,H2を示す斜視図であり、同図2Bに示すように本体H2においては本体H2の下部の直方体部分にカメラC2が設置されており、カメラC2が設置された当該直方体部分がラックピニオン機構による移動対象となるカメラ設置部H22である。
そして、撮影部120bは、本体H2の内部に備えられたモータM3を駆動することにより、ラックピニオン機構を介してカメラ設置部H22をy軸方向に移動させることができる。図2Bにおいては、カメラ設置部H22が規定位置(撮影部120bで独立して撮影を行う際の位置:本体H2の直下)に配置された状態を上側に示しており、カメラ設置部H22がy軸の負方向に移動された状態を下側に示している。
このように、本体H1,H2のx軸方向の位置が同一の位置となった状態でカメラ設置部H22がy軸の負方向に移動されると、本体H1と本体H2がカメラ設置部H22を介して結合された状態となる。図3Cは、結合された状態の本体H1およびカメラ設置部H22を図3Aと同様の方向から眺めるとともにx−y平面に投影した状態においてカメラC1,C2および照明L1,L2、解析範囲Ia1,Ia2の位置を示す図である。
同図3Cに示すように、本体H1,H2のいずれにおいてもカメラC1,C2の設置位置は同一(ピッチ4Lx,Lyが同一であるとともに本体境界から見た各カメラの位置も共通)である。また、照明L1,L2の配置も共通であり、x軸方向に並ぶ3個の照明はy軸方向に沿って同距離だけずれている。従って、カメラC1,C2および照明L1,L2を互いに干渉させることなく本体H1とカメラ設置部H22とを結合させることができる。そして、本体H1とカメラ設置部H22とが結合された状態においては、カメラC1,C2の全てに渡ってx軸方向のピッチ4Lx,y軸方向のピッチLyでカメラC1,C2が並んでいることになる。
従って、本体H1とカメラ設置部H22とが結合された状態においては、撮影部120aの本体H1が実質的にy軸方向に延長されたカメラアレイであると見なすことができる。また、本体H1とカメラ設置部H22とが結合された状態において、ボールネジB1,B2によって同方向に同距離だけ本体H1,H2を移動させると、本体H1とカメラ設置部H22とが結合された状態でカメラアレイがx軸方向に移動する。従って、結合が行われる前と比較して、広い(2倍の)範囲を撮影領域として基板を撮影することが可能になる。なお、本体の結合は、本体同士が締結手段等によって一体化されなくても実現可能である。すなわち、ラックピニオン機構等の位置精度の高い機構によって本体同士が近づくように移動され、本体同士が接触した状態でボールネジ等の位置精度の高い機構で本体がx軸方向に移動されることにより、結合状態の本体を正確に移動させることができる。
(1−2−3)補正データの生成:
以上のように、本実施形態においてはカメラC1,C2の最大視野よりも狭い範囲を解析範囲とする構成が採用されているため、カメラC1,C2の本体H1,H2に対する組み付け誤差の影響を解消することが可能である。当該誤差の解消のため、本実施形態においては、検査が行われる前に、当該誤差の影響を解消した撮影を行うための補正データが生成される。本実施形態においては、上述のように、撮影部120a,120bが単独で撮影を行うことが可能であるとともに、撮影部120aの本体H1と撮影部120bのカメラ設置部H22とが結合された状態で撮影を行うことが可能である。
そこで、本実施形態においては、撮影部120a,120bが単独で撮影を行う場合の補正データと、結合された状態で撮影を行う場合の補正データとが予め生成される。図5Bおよび図5Cは、補正データを生成するための基準シートを模式的に示す図である。基準シートは、撮影部120a,120bが備えるカメラC1,C2の解析範囲を示すシートであり、解析範囲に相当する部分が着色されているとともに、各部分の形状および位置関係は予め正確に調整されている。
図5Bに示す基準シートは、撮影部120a,120bが単独で撮影を行う場合の補正データを生成するためのシートである。従って、当該図5Bに示す基準シートにおいて着色された部分は、y軸方向に5個離れて並んでいる列が2個存在し、合計10個の解析範囲Iaが再現されている。撮影部120aについての補正データが生成される際には、図5Bに示す基準シートがレールR1,R2に挟まれて固定された状態で、撮影部120aのカメラC1で撮影される。このとき、全ての着色部分が全てのカメラC1の最大視野に含まれるように撮影が行われる。そして、各カメラC1の画像において着色された部分が検出され、その角の位置の画素が検出されることで、最大視野内の解析範囲の座標が特定される。そして、当該座標を示すデータが生成され、撮影部120aについての補正データ240cとしてメモリ240に記録される。
撮影部120bについての補正データが生成される際には、図5Bに示す基準シートがレールR3,R4に挟まれて固定された状態で、撮影部120bのカメラC2で撮影される。このとき、全ての着色部分が全てのカメラC2の最大視野に含まれるように撮影が行われる。そして、各カメラC2の画像において着色された部分が検出され、その角の位置の画素が検出されることで、最大視野内の解析範囲の座標が特定される。そして、当該座標を示すデータが生成され、撮影部120bについての補正データ240cとしてメモリ240に記録される。
撮影部120aの本体H1と撮影部120bのカメラ設置部H22とが結合された状態についての補正データが生成される際には、図5Cに示す基準シートがレールR1,R2に挟まれて固定された状態(レールR3,R4は退避される:詳細は後述)で、結合された状態のままカメラC1,C2で撮影される。このとき、全ての着色部分が全てのカメラC1,C2の最大視野に含まれるように撮影が行われる。そして、各カメラC1,C2の画像において着色された部分が検出され、その角の位置の画素が検出されることで、最大視野内の解析範囲の座標が特定される。そして、当該座標を示すデータが生成され、結合された状態についての補正データ240cとしてメモリ240に記録される。
(1−3)制御部の構成:
図1に示すように、制御部200は、CPU210、入力部220、出力部230、メモリ240を備えている。入力部220は利用者の操作入力を受け付けるマウスやキーボード等の入力装置であり、利用者は入力部220を介して所望の操作指示を入力することができる。CPU210は、当該操作指示の内容を受け付ける。出力部230は利用者に対して任意の画像を出力するディスプレイであり、CPU210が出力する制御信号に従って、CPU210が指示した任意の画像を表示することができる。
メモリ240は、任意の情報を記録可能な記録媒体であり、検査装置を制御するためのプログラムがプログラムデータ240aとして予め記録されている。CPU210は、メモリ240に記録されたプログラムデータ240aに基づいて検査処理を実行することができる。本実施形態においては、プログラムデータ240aに基づいてCPU210が検査処理を実行することにより、CPU210が移動制御部210a、撮影制御部210b、結合制御部210c、検査対象画像取得部210d、検査部210eとして機能する。
移動制御部210aは、撮影部120a,120bの本体H1,H2をx軸方向に移動させる機能をCPU210に実行させる。すなわち、CPU210は、移動制御部210aの処理により、本体H1,H2を所定の指示位置に移動させるために必要なモータM1,M2の駆動量を特定する。そして、CPU210は、当該駆動量でモータM1,M2を駆動するための制御信号を、図示しないコントローラを介して撮影部120a,120bに出力する。この結果、CPU210が指示した指示位置に本体H1,H2が移動される。
撮影制御部210bは、相対的な位置関係が異なる複数の撮影位置で撮影部120a,120bが備えるカメラC1,C2に撮影を行わせる機能をCPU210に実行させる。すなわち、CPU210は、移動制御部210aの処理によって、撮影部120a,120bの本体H1,H2を撮影位置に移動させた後、撮影制御部210bの処理により、図示しないコントローラを介してカメラC1,C2に制御信号を出力する。この結果、カメラC1,C2から画像データが出力されるため、CPU210は図示しないコントローラを介して当該画像データを取得し、メモリ240に記録する(画像データ240b)。当該撮影は、撮影部120a,120bの本体H1,H2が任意の位置に存在する状態で実行可能であるため、CPU210は、撮影制御部210bの処理により、基板と本体H1,H2との相対的な位置関係が異なる複数の撮影位置でカメラC1,C2に撮影を行わせることができる。
結合制御部210cは、撮影部120をy軸方向に移動させて結合させる機能をCPU210に実行させる。すなわち、撮影部120aの本体H1と撮影部120bのカメラ設置部H22とを結合させた状態で撮影を行うべき場合(幅が広い基板の検査を行う場合)、CPU210は図示しないコントローラを介して撮影部120a,120bに対して制御信号を出力する。当該制御信号は、撮影部120aの本体H1と撮影部120bのカメラ設置部H22とを結合させるための信号であり、モータM1,M2,M3を駆動するための信号を含み得る。
すなわち、当該信号によりモータM1,M2が駆動され、本体H1,H2がx軸方向の同一位置に移動される。さらに、当該信号によりモータM3が駆動され、ラックピニオン機構を介してカメラ設置部H22がy軸の負方向に移動される(図2B参照)。この結果、撮影部120aの本体H1と撮影部120bのカメラ設置部H22とが結合された状態となる。
検査対象画像取得部210dは、撮影部120a,120bが撮影した画像に基づいて検査対象の画像を取得する機能をCPU210に実行させる。すなわち、CPU210は、検査対象画像取得部210dの処理により、搬送形態(撮影部120a単独による1ライン検査、撮影部120a,120b併用による2ライン検査、撮影部120a,120bが結合された状態による1ライン検査)に応じた補正データ240cを参照し、画像データ240bが示す各カメラC1,C2の撮影画像(最大視野分の画像)から解析範囲の画像を取得する。
検査部210eは、検査対象画像に基づいて基板を検査(基板に実装された部品、半田等の良否を判定する処理や基板上の異物の有無等を検査する処理)する機能をCPU210に実行させる。すなわち、CPU210は、検査対象画像取得部210dの処理によって取得された検査対象の画像から、検査対象の部品や半田の特徴量に基づいて検査対象の部品や半田の画像を取得する。そして、CPU210は、取得された画像に基づいて良否を特徴づける特徴量を取得し、所定の判定基準(閾値等)に基づいて良否を判定する。
以上のような本実施形態によれば、複数個の基板搬送部110a,110bによって撮影領域に複数の種類の基板を搬送することができ、複数個の撮影部120a,120bによって基板を撮影することが可能である。従って、複数の種類の基板を同時に検査することができる。このため、検査装置は、多様な基板を効率的に検査することが可能である。さらに、撮影部120aの本体H1と撮影部120bのカメラ設置部H22とが結合された状態においては、撮影範囲がy軸方向に実質的に延長される。従って、個別の撮影部120a,120bで撮影を行うよりも広い撮影領域を撮影することができる。このため、検査装置においては、個別の撮影部120a,120bによる検査と比較してより幅の広い基板を検査することが可能になり、より多様な基板を検査することが可能である。
(2)検査処理:
図5Aは、検査処理を示すフローチャートである。当該検査処理は、CPU210が移動制御部210a、撮影制御部210b、結合制御部210c、検査対象画像取得部210d、検査部210eとして機能することによって実行される。検査処理において、CPU210は、移動制御部210aの処理により、基板情報を取得する(ステップS100)。本実施形態において基板情報は、検査対象の基板を示す情報であり、検査対象の基板の形状(x軸方向の長さおよびy軸方向の幅)を示す情報と、検査対象の基板の搬送形態(撮影部120a単独による1ライン検査、撮影部120a,120b併用による2ライン検査、撮影部120a,120bが結合された状態による1ライン検査)を示す情報である。基板情報は、種々の手法で取得されて良く、例えば、予めメモリ240に記録されていても良いし、入力部220を介して利用者が入力しても良いし、外部の記録媒体(例えば、可搬型のメモリ)に記録された基板情報が図示しないインタフェースを介してメモリ240に転送されても良い。
(2−1)幅調整処理:
基板情報が取得されると、CPU210は、移動制御部210aの処理により、幅調整処理を行う(ステップS105)。図6は、ステップS105の幅調整処理を示す図である。幅調整処理において、CPU210は、基板の幅および搬送形態を判定する(ステップS200)。すなわち、CPU210は、ステップS100で取得した基板情報に基づいて検査対象となる基板の幅(y軸方向の長さ)および基板の搬送形態を特定する。
ステップS200において、基板の搬送形態が1ライン非結合(撮影部120a単独による1ライン検査)であると判定されると、CPU210は、撮影部120a用補正データを取得する(ステップS210)。すなわち、CPU210は、補正データ240cから撮影部120aが単独で撮影を行う場合の補正データを取得する。
次に、CPU210は、撮影部120aの本体H1を図7Aに示すマークMk1,Mk2の読取位置に移動させる(ステップS215)。本実施形態においては、レールR1〜R4の上面(z軸方向の撮影部120a側)にレールR2〜R4の位置を決定するためのマークMk1〜Mk4が予め取り付けられている。図7A,図7B,図8A,図8Bは、レールR1〜R4および撮影部120a,120bの本体H1,H2、モータM4〜M6をz軸方向に沿って鉛直下方を眺めた状態で模式的に示す図である。そこで、ステップS215において、CPU210はモータM1を制御し、マークMk1,Mk2の上方からこれらのマークMk1,Mk2を撮影可能な位置に本体H1を移動させる。
次に、CPU210は、レールR1,R2の幅(y軸方向のレール間隔)が基板を固定可能な幅となるようにレールR2を移動させる(ステップS220)。すなわち、本実施形態においては、任意の幅の基板を固定するためのレールR1,R2の幅が予め決められている。そこで、CPU210は、ステップS200で特定された基板を固定するために必要なレールR1,R2の幅を特定する。また、CPU210は、撮影部120aを制御してマークMk1,Mk2の撮影を行い、ステップS210で取得した補正データが示す解析範囲の画像に基づいてマークMk1,Mk2の位置を特定する。
そして、CPU210は、マークMk1,Mk2の幅に基づいて現在のレールR1,R2の幅を特定し、当該現在の幅がステップS200で特定された基板を固定するための幅であるか否かを判定する。レールR1,R2の幅がステップS200で特定された基板を固定するための幅であると判定されない場合、CPU210は、マークMk1,Mk2の幅に基づいてレールR2の移動量を特定し、モータM4を制御することによってレールR2を移動させる。そして、現在のレールR1,R2の幅がステップS200で特定された基板を固定するための幅であると判定されるまで、撮影とレールR1,R2の幅の判定を繰り返す。なお、レールの幅の調整法は、マークの位置の読み取りを利用する手法に限らず種々の手法を採用可能である。例えば、ステッピングモータにおけるステップ数のカウントに基づいて幅を調整しても良い。
レールR2が適切な位置に移動すると、CPU210は、基板を撮影領域に搬送する(ステップS222)。すなわち、CPU210は、搬送装置に制御信号を出力し、搬送装置のベルトによって基板をレールR1,R2の撮影領域に搬送する。次に、CPU210は、基板を固定する(ステップS225)。すなわち、CPU210は、搬送装置に制御信号を出力し、搬送装置の昇降機構によって基板を上方に移動させて基板をレールR1,R2の間に固定する。図7Aは、基板Wの幅が幅W1である場合におけるレールR1,R2の幅の調整例を示しており、図7Bは、基板Wの幅が幅W2である場合におけるレールR1,R2の幅の調整例を示している。このように、本実施形態においては、レールR2の位置を変動させることにより、異なる幅の基板Wを撮影部120aの本体H1の撮影領域に搬送し、固定することができる。
ステップS200において、基板の搬送形態が2ライン(撮影部120a,120b併用による2ライン検査)であると判定されると、CPU210は、撮影部120a用補正データおよび撮影部120b用補正データを取得する(ステップS235)。すなわち、CPU210は、補正データ240cから撮影部120aが単独で撮影を行う場合の補正データおよび撮影部120bが単独で撮影を行う場合の補正データを取得する。なお、搬送形態が2ラインの場合、2種類の基板が同時に検査されるが、ここではレールR1,R2に固定される基板を第1基板、レールR3,R4に固定される基板を第2基板と呼ぶ。
次に、CPU210は、撮影部120aの本体H1をマークMk1,Mk2の読取位置、撮影部120bの本体H2をマークMk3,Mk4の読取位置に移動させる(ステップS240)。すなわち、CPU210はモータM1を制御し、マークMk1,Mk2の上方からこれらのマークMk1,Mk2を撮影可能な位置に本体H1を移動させる。また、CPU210はモータM2を制御し、マークMk3,Mk4の上方からこれらのマークMk3,Mk4を撮影可能な位置に本体H2を移動させる。
次に、CPU210は、レールR4を規定位置に移動させる(ステップS245)。すなわち、搬送形態が2ラインである場合におけるレールR4の位置は予め決められており、本実施形態においては、レールR1から最も遠い位置がレールR4の規定位置である。そこで、CPU210は、モータM6によってレールR4の位置を移動させる制御を行い、レールR4を規定位置に移動させる。
次に、CPU210は、レールR3,R4の幅が基板を固定可能な幅となるようにレールR3を移動させる(ステップS250)。すなわち、CPU210は、撮影部120bを制御してマークMk3,Mk4を撮影し、ステップS235で取得された撮影部120b用補正データに基づいてマークMk3,Mk4の位置を特定する。そして、CPU210は、モータM5によってレールR3の位置を移動させる制御を行い、現在のレールR3,R4の幅がステップS200で特定された第2基板を固定するための幅であると判定されるまで、撮影とレールR3,R4の幅の判定を繰り返す。
レールR3が適切な位置に移動すると、CPU210は、レールR1,R2の幅が基板を固定可能な幅となるようにレールR2を移動させる(ステップS255)。すなわち、CPU210は、撮影部120aを制御してマークMk1,Mk2を撮影し、ステップS235で取得された撮影部120a用補正データに基づいてマークMk1,Mk2の位置を特定する。そして、CPU210は、モータM4によってレールR2の位置を移動させる制御を行い、現在のレールR1,R2の幅がステップS200で特定された第1基板を固定するための幅であると判定されるまで、撮影とレールR1,R2の幅の判定を繰り返す。
レールR2が適切な位置に移動すると、CPU210は、基板を撮影領域に搬送する(ステップS257)。すなわち、CPU210は、搬送装置に制御信号を出力し、搬送装置のベルトによって基板をレールR1,R2の撮影領域、レールR3,R4の撮影領域のそれぞれに搬送する。次に、CPU210は、基板を固定する(ステップS260)。すなわち、CPU210は、搬送装置に制御信号を出力し、搬送装置の昇降機構によって基板を上方に移動させて第1基板をレールR1,R2の間、第2基板をレールR3,R4の間に固定する。図8Aは、第1基板W11の幅が幅W1であり、第2基板W12の幅が幅W2である場合におけるレールR1〜R4の幅の調整例を示している。このように、本実施形態においては、レールR2〜R4の位置を変動させることにより、異なる2種類の幅の基板Wを撮影部120a,120bのそれぞれで同時に撮影可能な状態とすることができる。
ステップS200において、基板の搬送形態が1ライン結合(撮影部120a,120bが結合された状態による1ライン検査)であると判定されると、CPU210は、撮影部120a,120bの結合状態用補正データを取得する(ステップS270)。すなわち、CPU210は、補正データ240cから、撮影部120aの本体H1と撮影部120bのカメラ設置部H22とが結合された状態についての補正データを取得する。
次に、CPU210は、撮影部120a,120bを結合させ、結合後の本体H1,H2をマークMk1,Mk2の読取位置に移動させる(ステップS275)。すなわち、CPU210は、モータM1,M2を制御し、本体H1,H2をx軸方向の同一位置に移動させる。さらに、CPU210は、モータM3を制御し、ラックピニオン機構を介してカメラ設置部H22をy軸の負方向に移動させる。この結果、撮影部120aの本体H1と撮影部120bのカメラ設置部H22とが結合された状態となる。さらに、CPU210はモータM1,M2を制御し、マークMk1,Mk2の上方からこれらのマークMk1,Mk2を撮影可能な位置に本体H1,H2を移動させる。
次に、CPU210は、レールR3,R4を退避させる(ステップS280)。すなわち、CPU210は、モータM6によってレールR4の位置を移動させる制御を行い、レールR4を規定位置(レールR1から最も遠い位置)に移動させる。さらに、CPU210は、モータM5によってレールR3の位置を移動させる制御を行い、レールR4の隣まで移動させる。図8Bに示すレールR3,R4の位置は、ステップS280による移動後の位置である。
次に、CPU210は、レールR1,R2の幅が基板を固定可能な幅となるようにレールR2を移動させる(ステップS285)。すなわち、CPU210は、撮影部120a,120bを制御してマークMk1,Mk2を撮影し、ステップS270で取得された撮影部120a,120bの結合状態用補正データに基づいてマークMk1,Mk2の位置を特定する。そして、CPU210は、モータM4によってレールR2の位置を移動させる制御を行い、現在のレールR1,R2の幅がステップS200で特定された基板を固定するための幅であると判定されるまで、撮影とレールR1,R2の幅の判定を繰り返す。
レールR2が適切な位置に移動すると、CPU210は、基板を撮影領域に搬送する(ステップS287)。すなわち、CPU210は、搬送装置に制御信号を出力し、搬送装置のベルトによって基板をレールR1,R2の撮影領域に搬送する。次に、CPU210は、基板を固定する(ステップS290)。すなわち、CPU210は、搬送装置に制御信号を出力し、搬送装置の昇降機構によって基板を上方に移動させて基板をレールR1,R2の間に固定する。図8Bは、基板Wの幅が幅W3である場合におけるレールR1,R2の幅の調整例を示している。このように、本実施形態においては、本体H1,H2を結合させてレールR2の位置を変動させることにより、本体H1単独で撮影可能な基板の幅よりも大きい幅の基板Wを本体H1,H2の撮影領域に搬送し、固定することができる。
幅調整処理が終了すると、CPU210は図5Aに示すフローチャートに復帰してステップS110から処理を続ける。すなわち、CPU210は、移動制御部210aの処理により、撮影部を撮影位置に移動させる(ステップS110)。本実施形態においては、任意の基板がレールR1〜R4に固定される際にx軸の正方向の基板の端部が配置される位置が予め決められている(例えば、図4Bに示す例では位置(x0))。そこで、ステップS110がループ処理(ステップS110〜S130)の過程で初めて実行される場合においては、CPU210は、撮影部120を制御し、当該基板の端部が解析範囲に含まれるように撮影部120の本体を移動させる。
例えば、搬送形態が1ライン非結合の場合、CPU210はモータM1を制御し、x軸の負方向側のカメラC1(例えば、図4AであればC12ではなくC11)の解析範囲Iaに基板の端部が含まれるように本体H1を移動させる。搬送形態が2ラインの場合、CPU210はモータM1,M2を制御し、カメラC1,C2の解析範囲Iaに基板の端部が含まれるように本体H1,H2のそれぞれを移動させる。搬送形態が1ライン結合の場合、CPU210はモータM1,M2を制御し、カメラC1,C2の解析範囲Iaに基板の端部が含まれるように結合状態で本体H1,H2を移動させる。
一方、ステップS110がループ処理の過程で2回目以降に実行される場合、CPU210は、撮影部120を制御し、解析範囲のx軸方向のピッチLxだけx軸の負方向に撮影部120の本体を移動させる。搬送形態が1ライン非結合の場合、移動対象は本体H1であり、搬送形態が2ラインの場合、移動対象は個別の本体H1,H2であり、搬送形態が1ライン結合の場合、移動対象は結合された本体H1,H2である。
次に、CPU210は、撮影制御部210bの処理により、撮影を行う(ステップS115)。すなわち、CPU210は、図示しないコントローラを介して撮影部120を制御し、カメラによって撮影を行わせる。また、CPU210は撮影された画像を画像データ240bとして取得し、メモリ240に記録する。なお、搬送形態が1ライン非結合の場合、CPU210は本体H1に設置されたカメラC1が出力する画像を画像データ240bとして取得する。搬送形態が2ラインおよび1ライン結合の場合、CPU210は本体H1,H2に設置されたカメラC1,C2が出力する画像を画像データ240bとして取得する。
次に、CPU210は、検査対象画像取得部210dおよび検査部210eの処理により、良否判定を行う(ステップS120)。すなわち、CPU210は、検査対象画像取得部210dの処理により、補正データ240cを参照し、各カメラの解析範囲を特定する。そして、画像データ240bから各カメラの解析範囲の画像を取得する。さらに、CPU210は、検査部210eの処理により、各カメラから取得された解析範囲の画像から良否を特徴づける特徴量を取得し、所定の判定基準(閾値等)に基づいて良否を判定する。
なお、本実施形態においては、解析範囲が隙間なく並んでいるため、隣接する解析範囲同士の境界部分(例えば、辺から所定画素だけ内側の部分)においては、検査対象(半田、部品等)が切断されている状態となっている場合がある。このため、境界部分については隣接する解析範囲の画像が取得されるまで判定を保留し(画像をメモリ240に保持しておき)、隣接する解析範囲の画像が取得された場合にステップS120において良否判定を行う。例えば、図4Bに示す例において、1回目の解析範囲の境界Baについての検査は保留され、2回目の解析範囲が取得されることで境界Ba部分の連続した像が取得された後に良否判定が行われる。また、1回目の解析範囲の境界Bbについての検査は保留され、4回目の解析範囲が取得されることで境界Ba部分の連続した像が取得された後に良否判定が行われる。
次に、CPU210は、検査部210eの処理により、良否判定結果が良判定であったか否かを判定する(ステップS125)。ステップS125において、良否判定結果が良判定であったと判定されない場合(1個でも不良判定が存在した場合)、CPU210は、検査部210eの処理により、不良判定処理を行う(ステップS135)。すなわち、CPU210は、出力部230に対して制御信号を出力し、基板が不良であることを示す情報をディスプレイに表示させる。むろん、この場合において、不良箇所を示す表示等を行ってもよい。
一方、ステップS125において、良否判定結果が良判定であったと判定された場合、CPU210は、移動制御部210aの処理により、スキャンが終了したか否かを判定する(ステップS130)。すなわち、CPU210は、ステップS100で取得された基板情報に基づいて、基板のx軸方向の全長に渡ってカメラによる撮影が終了したか否かを判定し、撮影が終了したと判定された場合にスキャンが終了したと判定する。
ステップS130において、スキャンが終了したと判定されない場合、CPU210はステップS110以降の処理を繰り返す。一方、ステップS130において、スキャンが終了したと判定された場合、CPU210は、検査部210eの処理により、良判定処理を行う(ステップS140)。すなわち、CPU210は、出力部230に対して制御信号を出力し、基板が不良ではないことを示す情報をディスプレイに表示させる。なお、図5Aにおいては、1個の基板についての検査処理を示しており、複数個の基板が検査されるのであれば、1回の検査処理の修了後に検査装置からの基板の搬出が行われた後、未検査の基板が検査装置に搬入されて再び検査処理が実行されるサイクルが繰り返される。