JP6451112B2 - センサーユニット、電子機器、および移動体 - Google Patents
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他方、このような従来構成では、被装着面85(装置)から伝達される固有の振動(ノイズ振動)の影響を受け易く、検出精度への影響が否めないという問題があった。例えば、センサーユニット91をカーナビゲーションシステムに取付けた場合、自動車のエンジン動作に起因するノイズ振動が、ケース80の底面81から角速度センサー83に直接伝わってしまう恐れがあった。これは、角速度センサーのパッケージ構成に限らず、加速度センサーなどの慣性センサー全般のパッケージ構成に共通する問題であった。
また、バネ86で基板82を吊るす構成の場合、ノイズ振動の影響により、基板82が上下に振動してしまう恐れもあった。この上下振動も、検出結果に影響を及ぼす恐れがあり、安定した検出精度を得ることは困難であった。なお、センサー装置93,94においても、弾性を有する部材で基板82を吊るす構成であることから、ノイズ振動の影響による基板82の振動は生じるため、同様に、安定した検出精度を得ることは困難であった。
慣性センサーと、慣性センサーを搭載したセンサーモジュールと、底壁と底壁から立ち上がる側壁により囲まれた空間を形成し、かつ、慣性センサーを空間に配置してセンサーモジュールを収容するアウターケースと、を備え、センサーモジュールは、アウターケースの側壁に接合部材を介して接合されていることを特徴とするセンサーユニット。
また、アウターケース、接合部材、およびセンサーモジュール(ケース部分)は、切削加工や、金型で精度良く形成可能であり、これらの部位を順番に重ねて組立てる構成となるため、従来技術のように慣性センサーを宙吊り状態とした構成とは異なり、慣性センサーを搭載したセンサーモジュールを精度良く位置決めできる。
さらに好適には、接合部材としてアウターケースよりも柔軟な材質を用いることにより、接合部材が防振部材としても機能するため、アウターケースからセンサーモジュールにノイズ振動が伝わることを抑制することができる。
よって、適用例のセンサーユニットによれば、慣性センサーの位置が安定しているため信頼性が高く、防振性がある接合部材を備えているためノイズ振動の影響を受け難く、検出精度が安定する。従って、信頼性が高く、検出精度の安定したセンサーユニットを提供することができる。
また、センサーモジュールは、慣性センサーと、慣性センサーが実装された基板と、基板が搭載されたインナーケースと、を含んで構成され、インナーケースにおけるアウターケース側の周縁部には、接合部材と重なる第2接合面が形成されていることが好ましい。
《センサーユニットの概要》
図1は、実施形態に係るセンサーユニットの概要を示す斜視図である。まず、本実施形態に係るセンサーユニット100の概要について説明する。
センサーユニット100は、自動車や、ロボットなどの運動体(被装着装置)の姿勢や、挙動(慣性運動量)を検出する慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)である。センサーユニット100は、3軸の加速度センサーと、3軸の角速度センサーとを備えた、いわゆる6軸モーションセンサーとして機能する。
センサーユニット100は、平面形状が略正方形の直方体であり、正方形の一辺の長さが約3cmで、厚さが約1cmのサイズである。正方形の対角線方向に位置する2ヶ所の頂点近傍に、固定用の切欠き穴2が形成されている。この2ヶ所の切欠き穴2に、2本のネジ70を通して、自動車などの被装着体(装置)の被装着面71に、センサーユニット100を固定した状態で使用する。なお、上記サイズは一例であり、部品の選定や設計変更により、例えば、スマートフォンや、デジタルカメラに搭載可能なサイズに小型化することも可能である。
コネクター16には、被装着装置からソケット型(メス)のコネクター(図示せず)が接続されて、センサーユニット100の電力や、検出データなどの電気信号の送受信が両者間で行われる。
図2は、センサーユニットの分解斜視図である。
続いて、図2を主体に、適宜図1を交えながらセンサーユニットの構成について詳細に説明する。
図2に示すように、センサーユニット100は、アウターケース1、接合部材10、センサーモジュール25などから構成されている。換言すれば、アウターケース1の内部3に、接合部材10を介在させて、センサーモジュール25を篏合(挿入)した構成となっている。センサーモジュール25は、インナーケース20と、基板15とから構成されている。なお、説明を解り易くするために、部位名をアウターケース、インナーケースとしているが、第1ケース、第2ケースと呼び換えても良い。
アウターケース1は、外形が直方体で蓋のない箱状であり、その内部3(内側)は、底壁5(底面)と、側壁4とで囲まれた空間(内部空間を有する容器)となっている。内部3の平面形状は、正方形の3つの頂点部分の角を面取りした7角形であり、面取りされた3つの頂点部分のうち、2ヶ所は切欠き穴2の位置に対応している。また、内部3の断面形状(厚さ方向)において、底壁5と側壁4との間には、底壁5よりも一段高い第1接合面6が形成されている。第1接合面6は、側壁4の一部であり、平面的に底壁5を囲ってリング状に形成された一段の階段状の部位である。
インナーケース20の裏面(アウターケース1側の面)には、基板15を位置決めするための案内ピンや、支持面(いずれも図示せず)が形成されている。基板15は、当該案内ピンや、支持面にセット(位置決め搭載)されてインナーケース20の裏面に接着される。なお、基板15の詳細については後述する。インナーケース20の裏面の周縁部は、リング状の平面からなる第2接合面22となっている。第2接合面22は、平面的にアウターケース1の第1接合面6と略同様な形状であり、インナーケース20をアウターケース1にセットした際には、接合部材10を挟持した状態で2つの面が向い合うことになる。なお、アウターケース1およびインナーケース20の構造については、一実施例であり、この構造に限定されるものではない。
図3は、基板の斜視図である。
続いて、慣性センサーが実装された基板15の構成について説明する。基板15は、複数のスルーホールが形成された多層基板であり、ガラスエポキシ基板を用いている。なお、ガラエポ基板に限定するものではなく、複数の慣性センサーや、電子部品、コネクターなどを実装可能なリジット基板であれば良い。例えば、コンポジット基板や、セラミック基板を用いても良い。
基板15の表面(インナーケース20側の面)には、コネクター16、角速度センサー17z、加速度センサー18などが実装されている。コネクター16は、プラグ型(オス)のコネクターであり、X軸方向に等ピッチで配置された2列の接続端子を備えている。好適には、1列10ビンで合計20ピンの接続端子としているが、端子数は、設計仕様に応じて適宜変更しても良い。
また、基板15のX軸方向の側面には、実装面(搭載面)がX軸と直交するように、X軸方向における1軸の角速度を検出する角速度センサー17xが実装されている。同様に、基板15のY軸方向の側面には、実装面(搭載面)がY軸と直交するように、Y軸方向における1軸の角速度を検出する角速度センサー17yが実装されている。なお、軸ごとの3つの角速度センサーを用いる構成に限定するものではなく、3軸の角速度が検出可能なセンサーであれば良く、例えば、後述する加速度センサー18のように、1デバイス(パッケージ)で3軸の角速度が検出(検知)可能なセンサーデバイスを用いても良い。
基板15の裏面(アウターケース1側の面)には、制御IC19が実装されている。
制御IC19は、MCU(Micro Controller Unit)であり、不揮発性メモリーを含む記憶部や、A/Dコンバーターなどを内蔵しており、センサーユニット100の各部を制御する。記憶部には、加速度、および角速度を検出するための順序と内容を規定したプログラムや、検出データをデジタル化してパケットデータに組込むプログラム、付随するデータなどが記憶されている。なお、基板15には、その他にも複数の電子部品が実装されている。
図4は、図1のf−f断面におけるセンサーユニットの断面斜視図である。
続いて、センサーユニット100の特長あるパッケージ構成の要部について、適宜、図2を交えて詳しく説明する。
まず、基板15は、インナーケース20に対して、硬化後も柔軟性(弾性)がある接着剤(図示せず)で接着されている。好適例としては、シリコーンゴム系の接着剤を用いている。なお、シリコーンゴム系に限定するものではなく、硬化後においてアウターケース1よりも柔軟性がある接着剤であれば良く、常温硬化型、2液混合型、熱硬化型、紫外線硬化型、またはこれらの複合型であっても良い。例えば、ゴム系接着剤や、ホットメルト(ボンド)を用いて接着固定しても良い。また、コネクター16の周囲も隙間なく接着剤が塗布されているため、外気(外部)との気密性(密封性)は確保されており、外気の基板15裏側への入り込みを防止している。
センサーモジュール25(インナーケース20)をアウターケース1に組込むと、アウターケース1の第1接合面6とインナーケース20の第2接合面22とで、接合部材10を挟み込んだ状態となる。詳しくは、2つの面で接合部材10を圧縮して、少し潰した状態となっている。換言すれば、第1接合面6と、接合部材10と、第2接合面22とが重なり合った構成となっている。
ここで、図4に示すように、インナーケース20の外形と、アウターケース1との間には、全周に渡って一定の隙間が形成されている。換言すれば、インナーケース20と、アウターケース1とは、接合部材10のみを介して接合されている。また、センサーモジュール25(インナーケース20)の上面の高さは、アウターケース1の上面7よりも低くなっている。換言すれば、アウターケース1に対して、インナーケース20が落し蓋のように篏合されている。これらの隙間や、インナーケース20の厚さの設定は、設計段階において意図的に定めている。
センサーモジュール25(インナーケース20)は、アウターケース1の側壁に接合部材10を介して接合されている。インナーケース20は、アウターケース1に組込んだ際に、全周に渡って一定の隙間が形成されるサイズに設定されているため、両者は、接合部材10のみを介して接合される構成となっている。
ここで、接合部材10は、アウターケース1よりも柔軟性(弾性)がある材質で構成されているため、アウターケース1から伝わって来るノイズ振動を吸収(減衰)する作用を果たす。換言すれば、接合部材10は、防振性を有する防振部材としてノイズ振動がインナーケース20に及ぶことを抑制している。または、ノイズ振動を緩和する緩衝部材と言い換えても良い。特に、MEMS技術を用いた慣性センサーは、櫛歯状の電極構造などを備えた微小機械であるため、当該構造に拠る固有の共振周波数成分の振動に対して大きな反応を示し、計測結果にノイズが含まれてしまう恐れがあったが、これらの構成によれば、ノイズ振動を確実に抑制することができる。
よって、センサーユニット100によれば、慣性センサーの位置が安定しているため信頼性が高く、防振性がある接合部材10を備えているためノイズ振動の影響を受け難く、検出精度が安定する。
従って、信頼性が高く、検出精度の安定したセンサーユニット100を提供することができる。また、アルミ製のアウターケース1に、同じくアルミ製のインナーケース20を入れ子状に篏合させる構造であるため、小型(コンパクト)で、かつ、堅牢(強固)なパッケージ構成となっている。従って、設置場所の選択肢が広く、かつ、耐久性に優れたセンサーユニット100を提供することができる。
従って、使用可能な環境条件が広く、信頼性が高いセンサーユニット100を提供することができる。なお、気密性は、前述した接合部材10用の他の材料を用いた場合であっても、同様に確保することが可能である。
よって、接合部材10に加えて、基板の接着剤も防振部材、緩衝部材として機能するため、より効果的にノイズ振動を低減することができる。
従って、より信頼性が高く、検出精度の安定したセンサーユニット100を提供することができる。
また、センサーモジュール25(インナーケース20)の上面の高さは、アウターケース1の上面7よりも低く、落し蓋状に収納されているため、例えば、インナーケース20側を被装着装置に向けて固定する場合でも、インナーケース20が被装着面と接触しないため、ノイズ振動の伝播を防止することができる。従って、天地(上下)を反転しても使用可能な使い勝手の良いセンサーユニット100を提供することができる。
図6は、電子機器の一例としてのスマートフォンの外観図である。
スマートフォン110には、上述したセンサーユニット100が組込まれている。センサーユニット100が検出した検出データは、スマートフォン110の制御部111に送信される。制御部111は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成されており、受信した検出データからスマートフォン110の姿勢や、挙動を認識して、表示画像を変化させたり、警告音や、効果音を鳴らしたり、振動モーターを駆動して本体を振動させることができる。換言すれば、スマートフォン110のモーションセンシングを行い、計測された姿勢や、挙動から、表示内容を変えたり、音や、振動などを発生することができる。特に、ゲームのアプリケーションを実行する場合には、現実に近い臨場感を味わうことができる。
デジタルカメラ120には、上述したセンサーユニット100が組込まれている。センサーユニット100が検出した検出データは、デジタルカメラ120の制御部(図示せず)に送信される。制御部111は、CPUを含んで構成されており、受信した検出データからデジタルカメラ120の姿勢を検出して、検出結果に基づく制御信号を手振れ補正装置121に送信する。手振れ補正装置121は、制御信号に応じてレンズセット122内の特定のレンズを移動させて手振れ補正を行う。
なお、スマートフォンや、デジタルカメラに限定するものではなく、携帯電話機、携帯型ゲーム機、ゲームコントローラー、カーナビゲーションシステム、ポインティングデバイス、ヘッドマウンティングディスプレイ、タブレットパソコン等の各種電子機器にも、同様にセンサーユニット100が組込むことができ、同様の効果を得ることができる。
図8は、移動体の一例としての自動車130の外観図である。
自動車130には、上述したセンサーユニット100が組込まれている。センサーユニット100が検出した検出データは、自動車130の車体姿勢制御装置132に送信される。車体姿勢制御装置132は、CPUを含んで構成されており、受信した検出データから自動車130の姿勢や、挙動を検出して、検出結果に基づく制御信号を車輪133のブレーキ制御装置や、サスペンション制御装置に送信する。例えば、急なハンドル操作を行ったときや、滑りやすい路面を走行中など、横滑りと認識される姿勢や、挙動が検出された場合、ブレーキ制御装置は、制御信号に従って各車輪133のブレーキをかけることにより、車両の進行方向を修正し、元の進行方向を維持するように制御する。換言すれば、車両の進行方向を保つように、ブレーキングする。
なお、自動車に限定するものではなく、二輪車、土木・建設機械、農業機械、農場向け重機、無人機、航空機、ヘリコプター、小型潜水艦、ロボット等の各種移動体にも、同様にセンサーユニット100が組込むことができ、同様の効果を得ることができる。
図5は、変形例に係るセンサーユニットの一例を示す断面図である。
上記実施形態では、接合部材10は、1つとして説明したが、この構成に限定するものではなく、複数個用いても良い。例えば、図5(a)に示すように、接合部材10に加えて、インナーケース20上部(上面)の周縁部に接合部材11をさらに配置しても良い。この場合、接合部材10は多孔質部材とし、接合部材11は断面がL字状(クランク状)でシリコーンゴム製としても良い。この構成によれば、接合部材10により防振性を確保し、接合部材11で気密性を確保するというように、材料の特性を活かした2つの部材を補完的に用いることにより、必要な防振性と気密性とを確保することができる。さらに、接合部材10,11の2ヶ所ともに接着することにより、アウターケース1に対してインナーケース20(センサーモジュール)を、より確実に接着することができる。
Claims (11)
- 慣性センサーと、
前記慣性センサーが実装された基板と、前記基板が搭載されたインナーケースと、を含んで構成されたセンサーモジュールと、
底壁と前記底壁から立ち上がる側壁により囲まれた空間を形成し、かつ、前記慣性センサーを前記空間に配置して前記センサーモジュールを収容するアウターケースと、を備え、
前記センサーモジュールは、前記アウターケースの前記側壁に接合部材を介して接合され、
前記アウターケースは、一面が開放した箱状をなしており、前記一面を塞ぐように前記インナーケースが収納され、
前記基板には、外部と接続するためのコネクターが実装され、
前記インナーケースには、前記コネクターを外部に露出する開口部が形成され、
前記インナーケースを前記アウターケースに収納した状態において、前記インナーケースの上面の高さは、前記アウターケースの上面の高さより低く、
前記インナーケースの上面は外部に露出していることを特徴とするセンサーユニット。 - 前記接合部材は、前記アウターケースよりも柔軟な材料から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサーユニット。
- 前記センサーモジュールは、前記一面を塞ぐように前記アウターケースに収納され、
前記空間における周縁部には、前記底壁よりも高い第1接合面が形成されており、
前記第1接合面に重ねて、前記接合部材が配置されることを特徴とする請求項2に記載のセンサーユニット。 - 前記インナーケースにおける前記アウターケース側の周縁部には、前記接合部材と重なる第2接合面が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のセンサーユニット。
- 前記基板は、前記インナーケースに対して、柔軟性がある接着剤で接着されていることを特徴とする請求項4に記載のセンサーユニット。
- 前記接合部材は、ゴム、エラストマー、多孔質部材、および接着剤のいずれかであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセンサーユニット。
- 前記接合部材は、複数配置されていることを特徴とする請求項2に記載のセンサーユニット。
- 前記アウターケースには、被装着体に固定するための穴が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のセンサーユニット。
- 前記慣性センサーは、複数あり、加速度センサーと、角速度センサーとを含んでいることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のセンサーユニット。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のセンサーユニットを備えた電子機器。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載のセンサーユニットを備えた移動体。
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