以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1のサイクロン分離装置を備えた電気掃除機を示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態1の電気掃除機1は、例えば、吸込口体2、吸引パイプ3、接続パイプ4、サクションホース5及び掃除機本体6を備える。
吸込口体2に、下向きの開口が形成される。吸込口体2は、長手方向の中央部に円筒状の接続部を備える。上記開口と接続部とは、吸込口体2の内部で通じている。
吸引パイプ3は、円筒状の真直ぐな部材からなる。吸引パイプ3は、伸縮自在な構成を有する。吸引パイプ3は、一側の端部が吸込口体2の接続部に接続される。吸込口体2は、吸引パイプ3に着脱自在である。
接続パイプ4は、途中で折れ曲がった円筒状の部材からなる。接続パイプ4は、一側の端部が吸引パイプ3の他側の端部に接続される。吸引パイプ3は、接続パイプ4に着脱自在である。接続パイプ4に、取っ手7が設けられる。取っ手7は、掃除をする人が持つ部分である。取っ手7に、操作スイッチ8が設けられる。操作スイッチ8は、電気掃除機1の運転を制御するための複数のボタンを備える。
サクションホース5は、蛇腹状の細長い部材からなる。サクションホース5は、蛇腹状であるため任意の方向に曲がる。サクションホース5は、一側の端部が接続パイプ4の他側の端部に接続される。掃除機本体6の前側の端部に、ホース接続口9が形成される。掃除機本体6のホース接続口9に、サクションホース5の他側の端部が接続される。
掃除機本体6は、電動送風機10(図1では図示せず)及び電源コード11を備える。電源コード11は、掃除機本体6の内部に設けられたコードリール部(図示せず)に巻き付けられる。電源コード11が外部の電源に接続されると、電動送風機10等の機器が通電する。電動送風機10は、電源コード11が電源に接続されると、操作スイッチ8に対する操作に応じて予め設定された吸引動作を行う。
吸込口体2、吸引パイプ3、接続パイプ4及びサクションホース5は、内部が一続きに形成される。電動送風機10が吸引動作を行うと、床面上のごみ等の塵埃が空気と一緒に吸込口体2に吸い込まれる。吸込口体2の内部に流入したごみ等の塵埃を含む空気は、吸引パイプ3、接続パイプ4及びサクションホース5の各内部を通って掃除機本体6に送られる。吸込口体2、吸引パイプ3、接続パイプ4及びサクションホース5は、外部から掃除機本体6にごみ等の塵埃を含む空気を流入させるための風路を形成する。なお、本発明において、塵埃とは、ごみだけでなく、繊維、毛、綿毛、土砂、粉末、粉体等も包含する概念である。本発明では、塵埃を含む空気(塵埃と空気の混合物)を含塵空気と称する。
図2は、図1に示す掃除機本体6の拡大図である。図3は、図1に示す掃除機本体6の平面図である。掃除機本体6は、収容ユニット12と集塵ユニット13とを備える。集塵ユニット13は、収容ユニット12に対して着脱自在に搭載される。以下の説明では、掃除機本体6が真っ直ぐ前に進むときの進行方向を基準として左右を特定する。すなわち、図3中の上を右とし、図3中の下を左とする。
図4は、掃除機本体6の収容ユニット12を示す斜視図である。図5は、掃除機本体6の収容ユニット12を示す平面図である。図4及び図5は、収容ユニット12から集塵ユニット13を取り外した状態を示す。図6は、図5に示す収容ユニット12のA−A断面図である。
収容ユニット12は、上述の電動送風機10及び電源コード11を備える。また、収容ユニット12は、例えば、収容体14及び15と吸気風路形成部16と排気風路形成部17と車輪18とを備える。電動送風機10及び電源コード11は、収容体14に収容される。収容体15は、収容部15aを形成する。収容部15aは、集塵ユニット13を収容するための空間である。収容体14及び15は、例えば成型品である。
吸気風路形成部16は、吸気風路19を形成する。吸気風路19は、収容ユニット12に形成された風路である。吸気風路19は、サクションホース5を通過した含塵空気を集塵ユニット13に導くための風路である。吸気風路形成部16は、一端が収容ユニット12の前面で開口する。吸気風路形成部16のこの一端は、ホース接続口9を形成する。吸気風路形成部16は、他端が収容体15で開口する。吸気風路形成部16のこの他端は、集塵ユニット13との接続口20を形成する。
集塵ユニット13は、吸気風路19から流入した含塵空気から塵埃を分離する機能を有する。集塵ユニット13は、含塵空気を高速で旋回させることにより、遠心力によって塵埃を分離する。すなわち、集塵ユニット13は、サイクロン分離機能を有する。また、集塵ユニット13は、分離した塵埃を捕集し、一時的に溜めておく機能を有する。集塵ユニット13の具体的な構成及び機能については後述する。
排気風路形成部17は、排気風路21を形成する。排気風路21は、収容ユニット12に形成された風路である。排気風路21は、集塵ユニット13において塵埃が取り除かれた空気を排気口(図示せず)に導くための風路である。すなわち、排気風路21には、集塵ユニット13から清浄な空気が流入する。排気風路形成部17の一端の開口は、集塵ユニット13との接続口22を形成する。接続口22は、収容ユニット12の上面において、左右方向の中央に配置される。排気風路形成部17の他端は、収容ユニット12の外部に向けて開口する。排気風路形成部17のこの他端は、排気口を形成する。
電動送風機10は、電気掃除機1に形成された風路に気流を発生させる。電気掃除機1に形成された風路には、例えば、外部から掃除機本体6に含塵空気を流入させるための風路、吸気風路19、集塵ユニット13に形成された風路及び排気風路21が含まれる。電動送風機10は、排気風路21に配置される。
電動送風機10が吸引動作を行うと、電気掃除機1に形成された風路に気流が発生する。電動送風機10が発生させた気流により、吸込口体2に塵埃が吸い込まれる。吸込口体2に吸い込まれた含塵空気は、ホース接続口9から掃除機本体6の内部に取り込まれる。掃除機本体6の内部に流入した含塵空気は、吸気風路19を通って接続口20から集塵ユニット13に送られる。集塵ユニット13の内部で発生する気流については後述する。集塵ユニット13から排出された空気は、接続口22を通って排気風路21に送られる。集塵ユニット13から排出された空気は、排気風路21で電動送風機10を通過する。電動送風機10を通過した空気は、排気風路21をさらに進み、排気口から掃除機本体6の外部に放出される。例えば、電動送風機10を通過した空気は、排気口から掃除中の部屋に戻される。
次に、図7から図28を参照し、集塵ユニット13について詳細に説明する。図7は、掃除機本体6の集塵ユニット13を示す斜視図である。図8は、掃除機本体6の集塵ユニット13を示す前面図である。図9は、掃除機本体6の集塵ユニット13を示す左側面図である。図10は、掃除機本体6の集塵ユニット13を示す後面図である。図11は、掃除機本体6の集塵ユニット13を示す右側面図である。図12は、掃除機本体6の集塵ユニット13を示す上面図である。図13は、掃除機本体6の集塵ユニット13の分解斜視図である。
集塵ユニット13は、全体としておおむね円筒状を呈する。集塵ユニット13は、例えば、流出部ケース23、端面ケース24、流入部ケース25及び集塵部ケース26を備える。流出部ケース23、端面ケース24、流入部ケース25及び集塵部ケース26は、例えば成型品である。流出部ケース23、端面ケース24、流入部ケース25及び集塵部ケース26は、予め設定された操作を行うことにより、図13に示す状態に分解したり図7に示す状態に組み立てたりすることができる。例えば、ロック機構に対して解除操作を行うことにより、図13に示す状態に分解できる。例えば、図7に示す状態から集塵部ケース26のみを取り外すことができる。
図14は、集塵ユニット13の流入部ケース25を示す上面図である。図15は、集塵ユニット13の端面ケース24を示す前面図である。図16は、集塵ユニット13の端面ケース24を示す左側面図である。図17は、集塵ユニット13の端面ケース24を示す後面図である。図18は、集塵ユニット13の端面ケース24を示す右側面図である。図19は、集塵ユニット13の端面ケース24を示す上面図である。図20は、集塵ユニット13の端面ケース24を示す底面図である。
図21は、図12に示す集塵ユニット13のB−B断面図である。図22は、図12に示す集塵ユニット13のC−C断面図である。図23は、図12に示す集塵ユニット13のD−D断面図である。図24は、図9に示す集塵ユニット13のE−E断面図である。図25は、図9に示す集塵ユニット13のF−F断面図である。図26は、図9に示す集塵ユニット13のG−G断面図である。図27は、図9に示す集塵ユニット13のH−H断面図である。流出部ケース23、端面ケース24、流入部ケース25及び集塵部ケース26のうちのいずれか、あるいは複数の組み合わせにより、集塵ユニット13に、主流入風路27、副流入風路28、旋回室29、0次集塵室30、一次集塵室31及び流出風路32が形成される。以下の集塵ユニット13の構造、機能、及び動作に関する説明では、原則として、旋回室29の軸を鉛直方向に向けた場合(図8から図11、図21から図23に示す向き)における位置関係を基に説明する。
図13、図14、図21から図23に示すように、流入部ケース25は、例えば、円筒部33、円錐部34、隔壁部35、主流入管36、副流入風路形成部37、接続部38、一次開口39、0次開口40、立ち上がり部43、バイパス開口56を備える。
図21から図23に示すように、円筒部33は、中空の円筒状を呈する。円筒部33は、中心軸が鉛直方向を向くように配置される。円錐部34は、先端部が切り取られた中空の円錐状を呈する。円錐部34は、中心軸が鉛直方向を向くように配置される。例えば、円錐部34の中心軸は、円筒部33の中心軸と一直線状に配置される。円錐部34は、上端部が円筒部33の下端部に接続される。円錐部34は、上端部から下方に向かうにしたがって径が小さくなる。円錐部34は、下端部が下方を向いて開口する。円錐部34の下端部に形成されたこの開口が一次開口39である。
旋回室29を形成する側壁に、0次開口40が形成される。0次開口40は、例えば、円筒部33の下端部寄りのある位置から円錐部34の上端部に渡って形成される。0次開口40は、一次開口39より高い位置、すなわち上流側に形成される。0次開口40は、例えば図13に示すように、旋回室29の内部の含塵空気が旋回する方向(以下、「空気旋回方向」と称する)に対する下流側の縁部が、下方に向かうに従って上流側に近づくように湾曲する。
主流入管36は、円筒部33の上部に接続される。主流入管36の内側に形成された空間が主流入風路27である。主流入管36は、一端が外側を向いて開口する。主流入管36のこの一端は、ユニット流入口41を形成する。ユニット流入口41は、集塵ユニット13に含塵空気を取り込むための開口である。主流入管36は、他端が円筒部33に接続される。主流入管36は、他端が円筒部33の内側を向く壁面で開口する。主流入管36のこの他端は、主流入口42を形成する。吸気風路19からの含塵空気は、主流入風路27を通り、主流入口42を介して旋回室29に流入する。主流入口42は、0次開口40より高い位置、すなわち上流側に形成される。図14及び図23に示すように、主流入風路27(主流入管36)の上壁には、その壁面を多数の細孔により開口するバイパス開口56が設けられる。
主流入管36は、例えば四角筒状を呈する。図24に示すように、主流入管36は、主流入風路27からの含塵空気が旋回室29にその接線方向から流入するように、旋回室29の側方から接続される。主流入風路27(主流入管36)の左の側壁が、端面ケース24に形成されたリブ49に接する。図20に示すように、旋回室29の軸方向から見たとき、リブ49は、円筒部33と同心的な円弧状を呈する。主流入風路27(主流入管36)の上壁の下流端は、円筒部33を上方向に延長した仮想円筒面によりカットされた形状となる円弧形状を呈する。図24に示すように、主流入風路27(主流入管36)の途中には、ユニット流入口41側から主流入口42側に向かうにしたがって幅が徐々に狭くなる部分が存在する。これにより、右側(図24中の上側)の気流を左側(図24中の下側)に寄せ、旋回室29の外側から気流を導入することで、捕捉性能が向上する。
図23に示すように、主流入風路27(主流入管36)の中心線は、旋回室29の軸に垂直な平面に対して傾斜する。主流入風路27(主流入管36)の中心線は、気流の下流側が上流側より高くなるように傾斜する。なお、主流入風路27(主流入管36)の中心線とは、主流入風路27(主流入管36)の気流の流れ方向に対し垂直な断面の中心を結んだ線を言うものとする。主流入風路27(主流入管36)の中心線と、旋回室29の軸に垂直な平面との間の角度をθとする。この角度θは、例えば、約157度である。
図8から図11、図14、図21から図27に示すように、副流入風路形成部37は、主流入管36の左側から、空気旋回方向に沿って旋回室29の周囲を囲むようにして、主流入管36の右側までに亘り形成される。図21から図23に示すように、副流入風路形成部37は、円筒部33の上部に設けられる。副流入風路形成部37の断面形状は、例えば、L字形状を呈する。図8から図10、図14に示すように、副流入風路形成部37の底面部は、底面垂直部37b及び底面螺旋部37cを備える。底面垂直部37bは、旋回室29の軸に対し垂直な面形状を呈する。底面螺旋部37cは、底面垂直部37bに対し、空気旋回方向の下流側に位置する。底面螺旋部37cは、旋回室29の軸方向に沿って下降する螺旋状の面形状を呈する。底面垂直部37bと底面螺旋部37cとは、連続した面を形成する。図21に示すように、底面螺旋部37cの下流端部と、主流入管36の下面との間には、連続した平面が形成される。
図14に示すように、副流入風路形成部37の底面垂直部37bは、空気旋回方向に沿って、周方向に、例えば約90度の範囲に亘って形成される。副流入風路形成部37の底面螺旋部37cは、空気旋回方向に沿って、周方向に、例えば約180度の範囲に亘って形成される。
図14及び図24に示すように、副流入風路終端リブ59は、副流入風路形成部37の底面螺旋部37cの下流端部において、旋回室29の側壁に接するように形成される。副流入風路終端リブ59は、底面螺旋部37cの上面から上方向に立設したリブとして形成される。副流入風路終端リブ59の端部は、副流入風路形成部37の側壁に接続する。図13に示すように、副流入風路形成部37の上端部には、立ち上がり部43が設けられる。立ち上がり部43の縁部は、端面ケース24の取付向きを決定する。
図21から図23に示すように、隔壁部35は、中空の円筒状を呈する。隔壁部35の径は、円筒部33の径より小さい。円錐部34と隔壁部35とは、円錐部34が隔壁部35の内側に形成された空間に上方から挿入されるように配置される。隔壁部35は、上端部が円錐部34の外周面に接続される。例えば、隔壁部35の中心軸は、円錐部34の中心軸と一致するように配置される。
接続部38は、円筒部33から外側に突出するように設けられる。接続部38は、全体として楕円形のリング状を呈する。接続部38の中心軸は、旋回室29の軸に対して、左側にずらして配置される。接続部38は、円筒部33のほぼ中間高さに配置される。0次開口40は、接続部38より僅かに低い位置、すなわち下流側に形成される。
図13に示すように、端面ケース24は、流入部ケース25に上方から載せられる。端面ケース24は、円筒部33の上端部及び副流入風路形成部37の上端部(立ち上がり部43)に密着する。端面ケース24は、旋回室端面部48と副流入風路端面部44とリブ49とバイパス側壁部58とバイパス円弧壁部52と排出部51とを備える。
旋回室端面部48は、板状を呈する。旋回室端面部48は、旋回室29の軸方向上側の端面を形成する。図21から図23に示すように、旋回室端面部48は、旋回室29の軸に垂直な面に対して傾斜する端面傾斜部48aを備える。端面傾斜部48aは、主流入風路27(主流入管36)の上壁と実質的に連続した面を形成する。旋回室29の軸に垂直な面に対する端面傾斜部48aの傾斜角度は、旋回室29の軸に垂直な面に対する主流入風路27(主流入管36)の中心線の傾斜角度(角度θ)と同等であることが望ましい。
図13に示すように、旋回室端面部48は、端面傾斜部48aに対して空気旋回方向の下流側の位置に、端面垂直部48bを備える。端面垂直部48bは、旋回室29の軸に対し垂直な面形状を呈する。旋回室端面部48は、端面垂直部48bに対して空気旋回方向の下流側の位置に、端面螺旋部48cを備える。端面螺旋部48cは、旋回室29の軸方向に沿って下降する螺旋状の面形状を呈する。旋回室端面部48の端面傾斜部48aと、端面垂直部48bと、端面螺旋部48cとは、連続した面を形成する。
図19に示すように、端面傾斜部48aは、空気旋回方向に沿って、周方向に、例えば約90度の範囲に亘って形成される。端面垂直部48bは、空気旋回方向に沿って、周方向に、例えば約90度の範囲に亘って形成される。端面螺旋部48cは、空気旋回方向に沿って、周方向に、例えば約180度の範囲に亘って形成される。
旋回室端面部48の端面垂直部48bの周方向位置と、副流入風路形成部37の底面垂直部37bの周方向位置とは、略一致するように配置される。端面螺旋部48cの周方向位置と、副流入風路形成部37の底面螺旋部37cの周方向位置とは、略一致するように配置される。
図13に示すように、副流入風路端面部44は、板状を呈する。副流入風路端面部44は、旋回室端面部48の径方向外側(すなわち外周側)に設けられる。端面ケース24が流入部ケース25に適切に取り付けられると、副流入風路端面部44は、副流入風路形成部37の底面と対向するように配置される。副流入風路端面部44は、実質的に、副流入風路28の上壁を形成する。
副流入風路端面部44は、端面垂直部44bを備える。端面垂直部44bは、旋回室29の軸に対し垂直な面形状を呈する。副流入風路端面部44は、端面垂直部44bに対して空気旋回方向の下流側の位置に、端面螺旋部44cを備える。端面螺旋部44cは、旋回室29の軸方向に沿って下降する螺旋状の面形状を呈する。図15、図19、図22に示すように、副流入風路端面部44は、端面螺旋部44cに対して空気旋回方向の下流側の位置に、端面傾斜部44dを備える。副流入風路端面部44の端面傾斜部44dは、旋回室端面部48の端面傾斜部48aに平行な面を有する。副流入風路端面部44の端面垂直部44bと、端面螺旋部44cと、端面傾斜部44dとは、連続した面を形成する。
図13、図19に示すように、副流入風路端面部44の端面垂直部44bは、主流入管36の上部から、空気旋回方向に沿って、周方向に、180度未満の範囲に亘って形成される。端面垂直部44bの上流端は、上面視において、主流入管36の右側面の側壁面と略一致するように配置される。副流入風路端面部44の端面傾斜部44dの下流端は、主流入管36の上壁と右の側壁との境界に接続される。
図15から図19に示すように、副流入風路端面部44の端面螺旋部44cは、空気旋回方向に沿って、周方向に、例えば約180度の範囲に亘って形成される。副流入風路端面部44の端面螺旋部44cの周方向位置と、副流入風路形成部37の底面螺旋部37cの周方向位置とは、略一致するように配置される。
図13、図15、図16、図20に示すように、バイパス側壁部58は、副流入風路端面部44の端面垂直部44bの上流端と、端面傾斜部44dの下流端とを接続する壁面である。バイパス側壁部58は、端面垂直部44bの下面から下向きに立設して形成される。端面垂直部44bの上流端は、旋回室29の軸に垂直な稜線である。端面傾斜部44dの下流端は、旋回室29の軸に対して傾斜した稜線である。これらの稜線により、バイパス側壁部58は、台形状の面として形成される。
図13、図15に示すように、バイパス円弧壁部52は、端面ケース24が流入部ケース25に適切に取り付けられたときに、主流入管36の上壁の下流端と、副流入風路端面部44の端面垂直部44bとを接続する壁面として、端面垂直部44bの下面から下向きに立設して形成される。主流入管36の上壁の下流端は、円筒部33を上方向に延長した仮想円筒面に沿った円弧形状を呈する。バイパス円弧壁部52は、上面視において、これと同様の円弧形状を呈する。バイパス円弧壁部52の内壁面は、旋回室29の側壁の一部として機能する。バイパス円弧壁部52とバイパス側壁部58とは一体的な壁面として形成される。
図15から図18、図20に示すように、リブ49は、旋回室端面部48の下面から下方に突出するように設けられる。リブ49は、円筒部33と同じ直径及び同じ中心の円筒面に沿って、周方向の異なる位置に、3本形成される。図21から図23に示すように、端面ケース24が流入部ケース25に適切に取り付けられると、リブ49の下端は、円筒部33の上端に接触する。図24から図27に示すように、3本のリブ49のうち、空気旋回方向の最上流側にあるリブ49の上流側の端部は、主流入管36の左の側壁と連続するように構成される。
図21から図23に示すように、リブ49の内面と円筒部33の内面とにより、鉛直方向に連続した仮想円筒面を形成する。したがって、リブ49の内側の空間は、実質的に旋回室29の上部を形成する。円筒部33及びリブ49の内側に形成された空間と、円錐部34の内側に形成された空間とからなる一続きの空間が、旋回室29の全体となる。図9は、旋回室29の中心軸を鉛直方向に向けた状態を示している。
図16から図18、図20に示すように、リブ49の内面によって形成される仮想円筒面上において、リブ49が形成されない部分は、旋回室29の側壁が開口された状態となる。これらの部分により副流入口45が形成される。本実施の形態では、副流入口45は、最上流位置に配置される副流入口45aと、中流位置に配置される副流入口45bと、最下流位置に配置される副流入口45cとを含む。本明細書では、各々の副流入口を区別する場合には副流入口45a、副流入口45b、または副流入口45cと表記し、これらの副流入口を総称する場合には副流入口45と表記する。図27に示すように、最上流位置に配置される副流入口45aは、主流入口42を基準として、空気旋回方向に、例えば90度進んだ位置に配置される。中流位置に配置される副流入口45bは、主流入口42を基準として、空気旋回方向に、例えば180度進んだ位置に配置される。最下流位置に配置される副流入口45cは、主流入口42を基準として、空気旋回方向に、例えば270度進んだ位置に配置される。各々の副流入口45の開口面積は、主流入口42の開口面積より小さいことが望ましい。
最上流位置に配置される副流入口45aは、主流入口42よりも高い位置に配置される。中流位置に配置される副流入口45bと、最下流位置に配置される副流入口45cとは、主流入口42よりも低い位置に配置される。上述した0次開口40は、最下流位置に配置される副流入口45cより低い位置、すなわち下流側に形成される。
図21から図27に示すように、主流入管36(主流入風路27)の上壁と、主流入管36の左の側壁と、副流入風路形成部37と、副流入風路終端リブ59と、副流入風路端面部44と、バイパス側壁部58と、バイパス円弧壁部52と、リブ49の内面によって形成される仮想円筒と、で囲まれた空間により、副流入風路28が形成される。図23、図25、図26に示すように、主流入管36(主流入風路27)の上壁には、バイパス開口56が形成されている。バイパス開口56は、主流入風路27と副流入風路28とを連通させる。副流入風路28は、バイパス開口56と、副流入口45との間を接続する。バイパス開口56、副流入風路28及び副流入口45を介して、主流入風路27と旋回室29とが連通する。
排出部51は、旋回室29内の空気を旋回室29の外に排出するための部材である。図15から図23に示すように、排出部51は、旋回室端面部48の中央部から下方に突出する。すなわち、排出部51の突出方向は、下方向である。排出部51は、中空部を有する。排出部51の中空部は、旋回室端面部48の上面側で開口する。図21から図23に示すように、端面ケース24が流入部ケース25に対して適切に配置されると、排出部51は、旋回室29の軸方向の端面(旋回室29の上壁)から旋回室29の内部に向かって突出するように配置される。旋回室29の一部は、排出部51の周囲を取り囲む。副流入風路28は、排出部51の周囲を取り囲む部分の旋回室29の周囲を取り囲むように形成される。
図21から図23に示すように、排出部51は、例えば予め設定された中間位置より上方の部分が円筒状を呈する。排出部51の上記中間位置より下方の部分は、下方に向かうにしたがって径が小さくなる中空の円錐状を呈する。排出部51の内側に形成された空間は、流出風路32の前半部を形成する。流出風路32は、旋回室29内の空気を集塵ユニット13の外に流出させる風路である。排出部51は、中心軸が円筒部33の中心軸と一致するように配置される。このため、旋回室29、0次集塵室30、一次集塵室31及び流出風路32の前半部は、集塵ユニット13においてほぼ同心状に配置される。排出部51の下端は、例えば0次開口40の一部と同じ高さに配置される。
排出部51に、排出口53が形成される。排出口53は、旋回室29内の空気を旋回室29の外に排出するための開口である。旋回室29内の空気は、排出口53を介して流出風路32に取り込まれる。本実施の形態では、多数の細孔によって排出口53を形成する場合を一例として示している。排出口53は、例えば主流入口42より低い位置に形成される。排出口53は、例えば副流入口45より低い位置に形成される。排出口53は、例えば一部が0次開口40と同じ高さに配置される。本実施の形態では、0次開口40より高い位置にも排出口53を形成し、0次開口40より低い位置に排出口53を形成しない場合を一例として示している。また、排出部51の円筒状を呈する部分のうち主流入口42が直接対向する部分の直下に当たる部分には、排出口53を形成しない場合を一例として示している。排出部51の円筒状を呈する部分のうち副流入口45が直接対向する部分の直下に当たる部分には、排出口53が形成される。
集塵部ケース26は、例えば、底部46及び外壁部47を備える。底部46は、全体として楕円形の板状を呈する。外壁部47は、円筒部33より大きな楕円形の筒状を呈する。外壁部47は、底部46の縁部から直立するように設けられる。底部46及び外壁部47により、下方が閉じた楕円形の筒状の部材が形成される。
集塵部ケース26の中心軸は、旋回室29の軸に対し、左側にずらして配置される。これにより、図24に示すように、主流入風路27(主流入管36)の中心線と、吸気風路19の中心線との成す角度が緩やかになるように構成でき、圧力損失を低減する効果がある。
集塵部ケース26が流入部ケース25に対して適切に配置されると、外壁部47の内側に形成された空間に隔壁部35が配置される。隔壁部35は、下端部が底部46に接触する。外壁部47は、上端部が接続部38の縁部に接触する。集塵部ケース26が流入部ケース25に対して適切に配置されると、集塵部ケース26の内部には隔壁部35によって区切られた2つの空間が形成される。
隔壁部35の内側に形成された空間のうち、円錐部34の内側に形成された空間を除く部分が一次集塵室31である。一次集塵室31は、一次開口39を介して旋回室29に通じる。一次集塵室31は、円錐部34の下方を覆い且つ周囲を取り囲むように形成される。
外壁部47の内側に形成された空間のうち、旋回室29及び一次集塵室31を除く部分が0次集塵室30である。具体的には、外壁部47と隔壁部35との間、並びに、外壁部47と円筒部33の一部及び円錐部34の一部との間に形成された円筒状を呈する一続きの空間が0次集塵室30である。この一続きの空間は、上方が接続部38によって塞がれる。また、この一続きの空間は、下方が底部46によって塞がれる。0次集塵室30は、旋回室29の大部分の周囲を取り囲むように配置される。また、0次集塵室30は、一次集塵室31の周囲を取り囲むように配置される。0次集塵室30は、0次開口40を介して旋回室29に通じる。0次開口40は、0次集塵室30の最上部に開口するように接続部38に近い位置に形成される。このため、0次集塵室30は、0次開口40から下方に延びるように設けられる。
図13に示すように、流出部ケース23は、集塵ユニット13の最上部に配置される。流出部ケース23は、内側の部材と外側の部材との二重構造である。流出部ケース23の外側の部材にはメッキが施される。図21及び図22に示すように、流出部ケース23は、流出部55を備える。流出部ケース23を取り付ける向きは、端面ケース24及び流入部ケース25に対して一方向に定められている。
流出部55は、排出部51の内部を通過してきた空気を集塵ユニット13の外に排出するための部材である。流出部55は、例えばL字状に曲げられた筒状を呈する。流出部55は、一端が下方を向いて開口する。流出部55は、他端が側方を向いて開口する。流出部ケース23が集塵ユニット13の最上部に適切に配置されると、流出部55の一端は排出部51の上端に接続される。
流出部55の内側に形成された空間は、流出風路32の後半部を形成する。本実施の形態では、端面ケース24の排出部51と流出部ケース23の流出部55との2つの部材によって流出風路32を構成する場合を一例として示している。流出部55の他端は、集塵ユニット13から空気を流出させるユニット流出口57を形成する。ユニット流出口57は、ユニット流入口41より高い位置に配置される。
図29は、図3に示す掃除機本体6のJ−J断面図である。図29は、集塵ユニット13が収容ユニット12に適切に取り付けられた状態を示している。集塵ユニット13が収容ユニット12に適切に取り付けられると、ユニット流入口41が接続口20に接続される。また、ユニット流出口57が接続口22に接続される。
集塵ユニット13が収容ユニット12に適切に取り付けられると、図29に示すように、収容ユニット12を水平面に置いた場合に、旋回室29等の軸が鉛直方向に対して傾斜して配置される。この場合の旋回室29等の軸の鉛直方向に対する傾斜角度φは、前述した角度θを用いて、φ=180度−θとして表される。この傾斜角度φは、本実施の形態では23度である。これにより、側面視(図29)において、主流入風路27の中心線は水平に配置される。
集塵ユニット13が収容ユニット12に適切に取り付けられると、集塵部ケース26の軸は、掃除機本体6(収容ユニット12)の左右の対称面の上に配置される。旋回室29の軸は、当該対称面に対して右側にずれて配置される。これにより、上面視において、主流入風路27の中心線は吸気風路19の中心線と近接して配置される。
次に、集塵ユニット13の機能及び動作について具体的に説明する。電動送風機10が吸引動作を開始すると、上述したように、吸込口体2に吸い込まれた含塵空気は、吸気風路19を通過して接続口20に達する。この含塵空気は、接続口20からユニット流入口41を通過して主流入風路27に流入する。主流入風路27に流入した含塵空気は、主流入風路27を斜め上方に進む。当該含塵空気は、主流入口42を通過して旋回室29に流入する。この含塵空気は、旋回室29の内部において、旋回室端面部48の端面傾斜部48aに沿って、斜め上方に向けて流れる。かかる含塵空気の経路は、図23から図27において経路aとして実線の矢印で示されている。
主流入口42を通過した含塵空気は、旋回室29の側壁及び旋回室端面部48の端面傾斜部48aに沿いながら、上向きの力を持って流れる。当該含塵空気は、予め設定された方向に旋回しながら、旋回室端面部48の端面垂直部48bに向かって上昇した後、端面垂直部48bに衝突することにより、その反力として、下向きの力を受ける。さらに、この含塵空気は、旋回室端面部48の端面螺旋部48cに沿うことで、下向きの力をさらに受けながら、旋回室29の下方へと旋回降下していく。このような旋回室29内の流れを主旋回気流と呼ぶ。
一方、主流入風路27に流入した含塵空気の一部は、バイパス開口56を通過し、副流入風路28に流入する。かかる含塵空気の経路は、図23から図27において経路bとして破線の矢印で示されている。
副流入風路28に流入した含塵空気は、副流入風路28の内部形状に沿って、旋回室29内の含塵空気と同じ方向に旋回しつつ螺旋状に下降しながら副流入風路28を進行し、副流入口45から旋回室29に流入する。なお、上流側の副流入口45aから旋回室29に流入しなかった含塵空気は、下流側の副流入口45bへ向かう。副流入口45bから旋回室29に流入しなかった含塵空気は、最下流位置の副流入口45cへ向かい、副流入口45cから旋回室29に流入する。副流入風路28の含塵空気は、副流入口45から、旋回室29の側壁の接線方向に沿って旋回室29に流入する。副流入口45から旋回室29に流入した気流は下向きの速度成分(運動量成分)を有する。
副流入口45から旋回室29内に導入された含塵空気は、主旋回気流をその後方から順々に押すように主旋回気流に合流する。これにより、壁面との摩擦、及び、排出部51からの向心力により減速した主旋回気流を加速できる。その結果、強力な遠心力と、強力な下向きの力を生み出す旋回気流を旋回室29内全体に形成できる。
主流入口42からの含塵空気と、副流入口45からの含塵空気とが合流して生成された強力な旋回気流は、十分な下向きの速度成分を備える。当該気流は、中心軸近傍の強制渦領域とその外側の自由渦領域とを形成しながら、その経路構造と重力とによって下向きに流れていく。この際、旋回方向の流れによって塵埃には遠心力が作用するとともに、排出部51からの向心力を受ける。本実施の形態においては、強力な下向きな力を得ることができているため、旋回室29の内部における排出口53の高さと同等の高さの領域を短時間で通過する。
例えば繊維ごみ及び毛髪といった比較的嵩の大きなごみαは、遠心力によって旋回室29の側壁に押し付けられながら落下する。このため、ごみαは、0次開口40の高さに達すると旋回気流から分離され、0次開口40を通過する。0次開口40を通過したごみαは、0次集塵室30に送られる。0次開口40から0次集塵室30に進入したごみαは、旋回室29内の空気の旋回方向と同じ方向に移動しながら落下する。そして、ごみαは、0次集塵室30の最下部に達して捕集される。
0次開口40から0次集塵室30に進入しなかったごみは、旋回気流に乗って旋回しながら下方に移動する。砂ごみ及び細かい繊維ごみといった比較的嵩の小さなごみβは、一次開口39を通過する。そして、ごみβは、一次集塵室31に落下して捕集される。
旋回室29の旋回気流は、旋回室29の最下部に達するとその進行方向を上向きに変え、旋回室29の中心軸に沿って上昇する。この上昇気流を形成する空気からはごみα及びごみβが除去されている。ごみα及びごみβが取り除かれた清浄空気は、排出口53を通過して旋回室29から排出される。排出口53を通過した空気は、流出風路32を通過してユニット流出口57に達する。そして、清浄空気は、ユニット流出口57及び接続口22を通過して排気風路21に送られる。
次に、図30を用いて、本発明の実施の形態1におけるサイクロン分離装置(集塵ユニット13)の質量捕捉率を説明する。図30は、本発明の実施の形態1におけるサイクロン分離装置(集塵ユニット13)の質量捕捉率を示す図である。図30の横軸は、主流入風路27の中心線と、旋回室29の軸に垂直な平面との間の角度θである。図30の縦軸はJIS試験用粉体9種(タルク)の質量捕捉率である。白抜きプロットは、副流入風路28が有る場合(本実施の形態1)を示す。塗り潰しプロットは、副流入風路28が無い場合(比較例)を示す。本実施の形態1のサイクロン分離装置(集塵ユニット13)では、副流入風路28により、捕捉率が向上することが示されている。
また、上記角度θが180度から小さくなるにつれて、質量捕捉率は高くなる。角度θが150度を下回ると、含塵空気は、旋回室端面部48に衝突した際に旋回方向の流れに悪影響を受ける可能性がある。このため、質量捕捉率が低下する可能性がある。流体解析においても、当該傾向と同様の傾向が得られる。これらのことから、上記角度θは、150度以上、かつ、180度未満であることが望ましい。上記角度θは、175度以下がより望ましく、170度以下がさらに望ましい。
以上説明した実施の形態1によれば、旋回室29の内部の含塵空気は、排出口53の高さと同等の高さの領域を短時間で通過する。このため、塵埃が排出口53から排出されることを抑制できる。特に、排出口53の高さと同等の高さの領域は、他領域よりも塵埃に対する排出口53から吸引力の影響を受けやすい。このため、塵埃が排出口53から排出されることをより効果的に抑制できる。その結果、塵埃の捕捉性能を高めることができる。塵埃αを効率的に0次集塵室30に捕捉することができる。塵埃βを効率的に一次集塵室31に捕捉することができる。
本実施の形態では、旋回室29を形成する側壁に、3つの副流入口45を、周方向の異なる位置に形成する場合について説明した。副流入風路28は、バイパス開口56から取り込まれた空気を3つの副流入口45のそれぞれから旋回室29に流入させるように形成される。このような構成であれば、旋回室29の主旋回気流を、周方向に位置が異なる複数の箇所から加速することができ、より強力な遠心力を有する旋回気流を形成できる。また、主流入口42と副流入口45との間隔、及び複数の副流入口45間の間隔を、同程度にすることで、旋回気流の速度を一定にすることができる。なお、副流入口45を形成する個数は上記に限定されない。例えば、1つの副流入口45しか形成されていなくても効果は期待できる。
副流入口45を1つのみ形成する場合には、副流入口45は、旋回室29の軸方向から見たときに、主流入口42から空気旋回方向に半周(約180度)進んだ位置に配置されることが望ましい。主流入口42から流入した含塵空気は、旋回室29の内壁との摩擦及び排出口53からの向心力(内向きの吸込力)により、その流入位置から徐々に減速しながら旋回室29内を旋回することとなる。旋回室29の軸方向から見たときに、主流入口42から空気旋回方向に1周(約360度)進んだ位置は、主流入口42と同じ位置になる。すなわち、主流入口42から空気旋回方向に1周(約360度)進んだ位置は、減速される前の含塵空気が主流入口42から導入されることで、旋回室29を周回して減速された気流を加速する効果を備えている。このため、旋回室29を周回して減速された気流を加速する効果を最も必要とする箇所は、主流入口42から空気旋回方向に半周(約180度)進んだ位置になる。したがって、副流入口45を1つのみ形成する場合には、上記の位置に副流入口45を形成することで、さらに良い効率で旋回力を高めることが可能となる。
図27に示すように、本実施の形態では、旋回室29の軸方向から見たときに、副流入口45bは主流入口42から空気旋回方向に半周(約180度)進んだ位置に配置され、副流入口45cは主流入口42から空気旋回方向に3/4周(約270度)進んだ位置に配置される。本実施の形態では、複数の副流入口45のうちに、主流入口42から空気旋回方向に半周以上進んだ位置にある副流入口45b及び45cを含むことで、さらに良い効率で旋回力を高めることが可能となる。
本実施の形態では、主流入風路27(主流入管36)の中心線を旋回室29の軸に垂直な平面に対して傾斜させて構成した。これにより、主流入口42から旋回室29内に流入した気流が旋回室端面部48に衝突したときの反力で下向きの力を受ける。このため、旋回室29内の含塵空気が、排出口53の高さと同等の高さの領域をより短時間で通過する。その結果、塵埃が排出口53から排出されることをより効果的に抑制でき、塵埃の捕捉性能が高まる。
本実施の形態では、副流入風路28の一部(副流入風路形成部37の底面螺旋部37c、及び、副流入風路端面部44の端面螺旋部44cに沿う部分)は、空気旋回方向と同じ方向に旋回しながら下方(排出部51の突出方向)へ移行する螺旋状を呈する。これにより、副流入風路28から副流入口45へ供給された含塵空気は、下方への速度成分を持って、旋回室29内に流入する。下方への速度成分を持って副流入口45から旋回室29内に流入する気流により、主旋回気流は、さらに下方へ押し込まれる。このようにして、旋回室29内の含塵空気は、主流入口42から流入した気流が旋回室端面部48の端面垂直部48bへ衝突する反力による下向きの力に加えて、副流入口45から流入する気流による下向きの力をさらに受けることで、下向きの速度成分がさらに増大する。これにより、旋回室29内の含塵空気が、排出口53の高さと同等の高さの領域をより短時間で通過する。その結果、塵埃が排出口53から排出されることをより効果的に抑制でき、塵埃の捕捉性能が高まる。本実施の形態では、副流入風路28の螺旋状を呈する部分(副流入風路形成部37の底面螺旋部37c、及び、副流入風路端面部44の端面螺旋部44cに沿う部分)は、空気旋回方向に沿って、周方向に、例えば約180度の範囲に亘って形成される。図17に示すように、本実施の形態では、副流入口45b及び45cは、副流入風路28の螺旋状を呈する部分に配置される。なお、副流入風路28の全体が、空気旋回方向と同じ方向に旋回しながら下方(排出部51の突出方向)へ移行する螺旋状を呈するように構成しても良い。
本実施の形態では、主流入風路27と副流入風路28とを連通させるバイパス開口56を設け、主流入風路27の含塵空気の一部を副流入風路28にバイパスさせる構成とした。これにより、別の動力源を用いずに主旋回気流を加速することができるため、構造簡易化及び消費電力の低減を図ることができる。
図23に示すように、本実施の形態では、副流入風路28の一部(上流端に近い部分)は、主流入風路27(主流入管36)の上壁と、旋回室29の軸方向の端面の最も高い部分(旋回室端面部48の端面垂直部48b)との間の高さの範囲に位置する。主流入風路27(主流入管36)の中心線が、下流側が上流側より高くなるように、旋回室29の軸に垂直な平面に対して傾斜していることで、主流入風路27(主流入管36)の上壁と、旋回室29の軸方向の端面の最も高い部分(旋回室端面部48の端面垂直部48b)との間の高さの範囲にスペースが生じる。本実施の形態では、当該スペースを用いて副流入風路28の一部(上流端に近い部分)を形成することで、集塵ユニット13を小型化できる。なお、副流入風路28の全体が、主流入風路27(主流入管36)の上壁と、旋回室29の軸方向の端面の最も高い部分との間の高さの範囲に位置するように構成しても良い。本実施の形態では、副流入風路28のほぼ全体が、旋回室29の軸方向の端面の最も高い部分(旋回室端面部48の端面垂直部48b)の高さ以下の高さにある。これにより、集塵ユニット13をさらに小型化できる。
本実施の形態では、主流入風路27(主流入管36)の上壁にバイパス開口56を形成することで、主流入風路27(主流入管36)の上方の空間を用いて、主流入風路27から副流入風路28を分岐させることができる。このため、当該空間を有効に活用でき、集塵ユニット13を小型化できる。
本実施の形態では、旋回室29の軸方向の端面の一部(旋回室端面部48の端面螺旋部48c)は、空気旋回方向と同じ方向に旋回しながら下方(排出部51の突出方向)へ移行する螺旋状を呈する。旋回室29内の含塵空気は、旋回室端面部48の端面垂直部48bへの衝突の反力による下向きの力に加えて、端面螺旋部48cから下向きの力をさらに受けることで、下向きの速度成分がさらに増大する。このため、旋回室29内の含塵空気が、排出口53の高さと同等の高さの領域をより短時間で通過する。その結果、塵埃が排出口53から排出されることをより効果的に抑制でき、塵埃の捕捉性能が高まる。旋回室29の軸方向の端面の螺旋状を呈する部分(旋回室端面部48の端面螺旋部48c)は、空気旋回方向に沿って、周方向に、例えば約180度の範囲に亘って形成される。図17に示すように、本実施の形態では、副流入口45b及び45cは、旋回室29の周方向の位置に関して、旋回室29の軸方向の端面の螺旋状を呈する部分(旋回室端面部48の端面螺旋部48c)において開口する。なお、旋回室29の軸方向の端面の全体が、空気旋回方向と同じ方向に旋回しながら下方(排出部51の突出方向)へ移行する螺旋状を呈するように構成しても良い。
主流入口42から流入した含塵空気が旋回室端面部48へ衝突する際、内向きの力を受けてしまうと、塵埃が排出部51に近づきやすくなり、分離効率を損なう可能性がある。本実施の形態では、主流入口42から流入した含塵空気が旋回室端面部48へ衝突する位置に、端面垂直部48bを設けたことで、主流入口42から流入して旋回室端面部48へ衝突した含塵空気が内向きの力を受けることを確実に抑制できる。また、端面垂直部48bを設けたことで、端面螺旋部48cに円滑に流れを移行する作用も発揮され、圧損低減の効果もある。仮に、主流入口42から流入した含塵空気が旋回室端面部48へ衝突する位置が、端面螺旋部48cのような螺旋状だった場合、気流が跳ね返る方向が多少不安定になる可能性があり、気流が内向きの力を受ける可能性がある。
本実施の形態では、バイパス開口56を主流入風路27(主流入管36)の上壁に設けた。これにより、主流入風路27から副流入風路28に分岐する流れが上向きとなるため、重力の作用により、比較的大きな塵埃が副流入風路28に侵入するのを抑制する効果がある。
本実施の形態では、副流入口45の開口面積を主流入口42の開口面積よりも小さく形成した。これにより、主流入口42から導入される比較的大きな塵埃が、旋回室29から副流入風路28に侵入するのを抑制する効果がある。
本実施の形態では、旋回室29の軸を集塵部ケース26の軸に対して右側にずらして配置した。集塵部ケース26の軸とホース接続口9の軸は、ともに掃除機本体6(収容ユニット12)の左右の対称面の上に配置される構成である。したがって、旋回室29の軸の位置を、ホース接続口9の軸の位置に対して、ずらして配置していることとなる。これにより、吸気風路19から主流入風路27までの風路内での曲げを抑制し、含塵空気をスムーズに旋回室29に導入して捕捉性能を高める効果がある。また、圧損を抑制する効果もある。
本実施の形態では、主流入風路27(主流入管36)の中心線を旋回室29の軸に垂直な平面に対して角度θ(例えば157度)だけ傾斜させて構成するとともに、掃除機本体6を水平面に置いた場合に旋回室29の軸が鉛直方向に対して角度φ(φ=180度−θ)だけ傾斜するように集塵ユニット13を傾けて収容ユニット12に取り付ける(図29参照)。角度φは、例えば23度である。これにより、主流入風路27(主流入管36)の中心線は、水平方向に配置される。その結果、取っ手7からの操作力が掃除機本体6に伝達されるホース接続口9の床面からの高さを抑制し、ホース接続口9と車輪18との距離を近づけることができる。これにより、掃除機本体6の引き回し性を向上するとともに、転倒を抑制する作用がある。このような効果を得る上では、掃除機本体6(収容ユニット12)を水平面に置いた状態での主流入風路27(主流入管36)の中心線は、完全に水平でなくても良い。掃除機本体6(収容ユニット12)を水平面に置いたときの主流入風路27の中心線が、旋回室29の軸を鉛直方向に向けた場合の主流入風路27の中心線に比べて、水平に近くなるように構成することで、上記と類似の効果が得られる。
本実施の形態では、電動送風機10が吸引動作を行うことにより、ごみαが0次集塵室30に溜まる。また、ごみβが一次集塵室31に溜まる。0次集塵室30及び一次集塵室31に溜まったごみは、集塵部ケース26を取り外すことによって簡単に廃棄することができる。
本実施の形態では、主流入風路27の含塵空気の一部を副流入風路28に分岐する構成について示したが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。例えば、外気を導入して副流入風路28内の気流の流れを実現しても良い。例えば、コンプレッサー等の別の動力源を用いて副流入風路28内の気流の流れを実現しても良い。
本実施の形態では、旋回室29と集塵室との連通口として0次開口40及び一次開口39を備えた構成について示したが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。0次開口40及び一次開口39以外に連通口をさらに備える構成、0次開口40を備えない構成、一次開口39を備えない構成、0次開口40及び一次開口39の双方を備えない構成、などでも良い。これらの場合にも、排出口53からの向心力を抑制する効果を得ることができる。
本実施の形態では、一つの旋回室29を備えた構成について示したが、本発明は、このような構成に限られるものではない。例えば、旋回室29の下流側にさらに別の旋回室を備えても良い。例えば、旋回室29の上流側にさらに別の旋回室を備えても良い。
本実施の形態では、集塵ユニット13をサイクロン分離装置の一例として示した。サイクロン分離装置の詳細は、集塵ユニット13の構成に限定されない。本実施の形態では、サイクロン分離装置(集塵ユニット13)を電気掃除機に適用した場合について示したが、本発明のサイクロン分離装置は、電気掃除機以外の装置(例えば、粉体を分離する粉体分離装置)に適用することも可能である。
本実施の形態では、吸込口体2を吸込具の一例として示した。電気掃除機1は、他の形状を有する吸込具を備えていても良い。本実施の形態では、キャニスタータイプの電気掃除機1について説明したが、本発明の電気掃除機のタイプはこれに限定されない。本発明を所謂ロボット掃除機と呼ばれる電気掃除機に適用しても良い。かかる場合、吸込具は掃除機本体の下部に掃除機本体と一体的に設けられる。