以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係るデジタル複合機10の構成例を概略的に示す断面図である。本実施形態に係るデジタル複合機10(MFP,Multi-Functional Peripheral)は、画像形成装置として機能する。図1に示すように、デジタル複合機10(画像形成装置)は、スキャナ1、プリンタ2、操作パネル4および制御部5を有する。
スキャナ1は、原稿の画像を読み取って画像データに変換する装置である。スキャナ1は、たとえば、原稿の読取面における画像を画像データに変換するCCDラインセンサなどにより構成する。スキャナ1は、たとえば、デジタル複合機10の本体上部に設置する。スキャナ1は、制御部5により制御される。スキャナ1は、原稿の画像データを制御部5へ出力する。
プリンタ2(印刷部)は、被画像形成媒体(媒体)としての用紙に画像を形成する。画像形成装置としてのプリンタ2は、カラー画像を用紙に印刷するカラー印刷機能と、モノクロ(たとえば、ブラック)の画像を用紙に印刷するモノクロ印刷機能とを有する。たとえば、プリンタ2は、電子写真方式の画像形成装置である。プリンタ2は、複数色(例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の3色)のトナー(印刷材料)を用いてカラー画像を形成する。また、プリンタ2は、単色(例えば、ブラック)のトナーを用いてモノクロ画像を形成する。プリンタ2は、複数色の画像を重ねてカラー画像を形成するカラー印刷機能と単色の画像を形成するモノクロ印刷機能とを有するものであれば良い。
図1に示す構成例において、プリンタ2は、給紙カセット20(20A、20B、20C)を有する。給紙カセット20は、画像を印刷する用紙を供給する給紙部である。また、プリンタ2は、給紙部として、手差しトレイなどを有しても良い。たとえば、各給紙カセット20A、20B、20Cは、デジタル複合機10本体の下部に着脱可能な状態で設けられる。これらの給紙カセット20A、20B、20Cは、それぞれに設定した種類(例えば、サイズ、紙質)の用紙を収納する。
各給紙カセットが収納する用紙に関する情報などの設定情報は、不揮発性メモリ(例えば、後述するNVM54)に記憶される。プリンタ2は、設定情報に従って印刷処理に使用する用紙を収納する給紙カセットを選択する。プリンタ2は、選択した給紙カセットから給紙した用紙に画像をプリントする。なお、プリンタ2が手差しトレイを有する場合、手差しトレイに対しても各給紙カセットと同様に設定情報を不揮発性メモリに記憶すればよい。
各給紙カセット20A、20B、20Cは、それぞれピックアップローラ21A、21B、21Cを有する。ピックアップローラ21A、21B、21Cは、各給紙カセット20A、20B、20Cから用紙を一枚ずつ取り出す。ピックアップローラ21A、21B、21Cは、取り出した用紙を複数の搬送ローラなどから構成される搬送部22へ供給する。給紙部としての給紙カセット及びピックアップローラは、3個に限定されるものでは無い。たとえば、給紙カセット及びピックアップローラは、1又は2個であっても良いし、4個以上であっても良い。また、給紙部としては、カセットだけでなく、手差しトレイであっても良い。
搬送部22は、プリンタ2内で用紙を搬送する。搬送部22は、ピックアップローラ21A、21B、21Cにより供給された用紙をレジストローラ24へ搬送する。レジストローラ24は、中間転写ベルト27から用紙に画像を転写するタイミングで、当該用紙を転写位置へ搬送する。
画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)、露光部26、中間転写ベルト27、及び、転写部28は、画像を形成する画像形成手段として機能する。画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)は、用紙に転写する画像を形成する。図1に示す構成例において、画像形成部25Yは、イエローのトナーで画像を形成する。画像形成部25Mは、マゼンタのトナーで画像を形成する。画像形成部25Cは、シアンのトナーで画像を形成する。画像形成部25Kは、ブラックのトナーで画像を形成する。各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)は、各色の画像を中間転写ベルト27上で重ね合わせて転写する。これにより、中間転写ベルト27上には、カラー画像が形成される。
露光部26は、レーザ光により各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)の感光体ドラム(像坦持体)に静電潜像を形成する。露光部26は、画像データに応じて制御するレーザ光をポリゴンミラーなどの光学系を介して感光体ドラムに照射する。露光部26からのレーザ光は、各感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する。露光部26は、画像データに応じた制御信号に従ってレーザ光の発光を制御する。各感光体ドラムに形成する静電潜像は、各色のトナーで現像する画像である。たとえば、露光部26は、レーザ光のパワーを制御信号に応じて制御する。また、露光部26は、レーザ光の発光を制御するためのパルス幅の変調量なども制御信号に応じて制御する。
各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)は、それぞれの感光体ドラムに形成された静電潜像を各色のトナーで現像する。各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)は、感光体ドラム上に可視像としてのトナー像を形成する。中間転写ベルト27は、中間転写体である。各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)は、感光体ドラム上に形成したトナー像を中間転写ベルト27上に転写(一次転写)する。各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)は、1次転写位置でトナー像に転写バイアスを与える。各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)は、転写電流によって転写バイアスを制御する。各感光体ドラム上のトナー像は、それぞれの一次転写位置で転写バイアスにより中間転写ベルト27に転写される。
また、各画像形成部25Y、25M、25C、25Kは、それぞれ電位センサおよび濃度センサなどのセンサを有する。電位センサは、感光体ドラムの表面電位を検知するセンサである。各画像形成部25Y、25M、25C、25Kにおいて、帯電チャージャは、露光部26により露光される前に、感光体ドラムの表面を帯電する。電位センサは、帯電チャージャにより表面が帯電された感光体ドラムにおける表面電位を検知する。濃度センサは、中間転写ベルト27上に転写したトナー像の濃度を検知する。また、濃度センサは、感光体ドラム上に形成したトナー像を検知するものであっても良い。
たとえば、モノクロ画像を形成する場合、画像形成部25Kは、ブラック(モノクロ)のトナーで現像したトナー像(可視像)を中間転写ベルト27上に転写する(1次転写する)。この結果、中間転写ベルト27は、ブラック(モノクロ)のトナーで形成されたモノクロ画像を保持する。
また、カラー画像を形成する場合、各画像形成部25Y、25M、25C、25Kは、それぞれ各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーで現像したトナー像(可視像)を中間転写ベルト27上で重ね合わせて転写する(1次転写する)。この結果、中間転写ベルト27は、各色のトナー像が重なり合ったカラー画像を保持する。
転写部28は、中間転写ベルト27上のトナー像を2次転写位置において用紙(媒体)に転写する。2次転写位置は、中間転写ベルト27上のトナー像を用紙に転写する位置である。2次転写位置は、支持ローラ28aおよび2次転写ローラ28bが対向する位置である。転写部28は、2次転写位置に転写電流によって制御する転写バイアスを与える。転写部28は、転写バイアスにより中間転写ベルト27上のトナー像を用紙に転写する。
定着器29は、トナーを用紙(媒体)に定着させる機能を有する。たとえば、実施形態において、定着器29は、用紙に与える熱により用紙にトナー像を定着させるものとする。ただし、定着器29は、用紙に画像を定着させるものであれば良く、熱によって像を定着させるものに限定されない。
定着器29は、定着処理を行うため、用紙に熱を与える構成を有する。図1に示す構成例では、定着器29は、加熱部29aを内蔵したヒートローラ29bとヒートローラ29bに加熱された定着ベルトに加圧状態で接する加圧ローラ29cとにより構成する。加熱部29aは、温度制御可能なヒータであれば良い。たとえば、加熱部29aは、ハロゲンランプ等のヒータランプで構成しても良いし、誘導加熱(IH)方式のヒータであっても良い。また、加熱部29aは、複数のヒータで構成しても良い。
たとえば、用紙にトナー像を定着させる定着処理を行う場合、制御部5は、定着器29を定着温度に制御する。定着温度に制御された定着器29は、転写部28によりトナー像が転写された用紙を加圧しつつ定着温度で加熱する。これにより、定着器29は、用紙にトナー像を定着させる。また、定着器29は、定着処理した用紙を排紙部30あるいは自動両面装置31の何れかへ搬送する。
定着器29により定着処理した用紙を排紙する場合、当該用紙は、排紙部30へ搬出される。また、定着器29により定着処理した用紙の裏面にも画像を形成する場合、当該用紙は、一旦、排紙部30側へ搬送された後、スイッチバックしてADU31へ搬送される。この場合、ADU31は、スイッチバックにより反転させた用紙を再度、レジストローラ24の手前に供給する。
操作パネル4(操作部)は、ユーザインターフェースである。操作パネル4は、各種のボタンとタッチパネル4bを具備する表示部4aとを有する。制御部5は、操作パネル4の表示部4aに表示する内容を制御する。また、操作パネル4は、表示部4aのタッチパネル4bあるいはボタンに入力した情報を制御部5へ出力する。ユーザは、操作パネル4において動作モードを指定したり、機器設定などの情報を入力したりする。たとえば、ユーザは、操作パネル4により給紙カセット20に入れた用紙の種類などを指定する。
次に、デジタル複合機10の制御系の構成について説明する。
図2は、デジタル複合機10の制御部5およびプリンタ2における制御系の構成例を概略的に示すブロック図である。
図2に示す構成例において、制御部5は、システムCPU51(プロセッサ)、RAM52、ROM53、NVM54、HDD55、ページメモリ56、外部インターフェース57(外部I/F)および画像処理部58を有する。
システムCPU51は、デジタル複合機10全体および各部を統括的に制御する。システムCPU51は、プログラムを実行することにより処理を実現するプロセッサである。システムCPU51は、システムバスを介して、装置内の各部に接続する。システムCPU51は、制御部5内の各部だけでなく、システムバスを介して、スキャナ1、プリンタ2、操作パネル4なども接続する。システムCPU51は、スキャナ1、プリンタ2、および、操作パネル4との双方向の通信により、各部へ動作指示を出力したり、各部から種々の情報を取得したりする。また、システムCPU51は、装置内の各部に設置した各種のセンサの検知信号および動作状態などを示す情報を入力する。
RAM52は、揮発性のメモリで構成される。RAM52は、ワーキングメモリ、あるいはバッファメモリとして機能する。ROM53は、プログラムおよび制御データなどを記憶する書換え不可の不揮発性メモリである。システムCPU51は、RAM52を使用しながらROM53(或はNVM54、HDD55)に記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。たとえば、システムCPU51は、プログラムを実行することにより印刷の実行手段および禁止手段として機能する。
NVM54は、書換え可能な不揮発性メモリである。NVM54は、システムCPU51が実行する制御プログラムおよび制御データを記憶する。また、NVM54は、各種の設定情報および処理条件などを記憶する。
ハードディクスドライブ(HDD)55は、大容量の記憶装置である。HDD55は、画像データおよび各種の動作履歴情報などを記憶する。また、HDD55は、制御プログラムおよび制御データなどを記憶しても良いし、設定情報および処理条件などを記憶しても良い。
ページメモリ56は、処理の対象とする画像データを展開するためのメモリである。たとえば、コピー処理を行う場合、ページメモリ56は、スキャナ1が読み取ってスキャン用の画像処理した画像データを格納する。システムCPU51は、ページメモリ56に格納した画像データにプリント用の画像処理が施してプリンタ2へ出力する。また、システムCPU51は、ページメモリ56に格納した画像データをHDD55に保存したり、外部インターフェース57を介して外部装置へ送信したりしても良い。
外部インターフェース57(外部I/F)は、外部装置と通信するためのインターフェースである。たとえば、外部インターフェース57は、外部装置からのプリント要求に応じたプリントデータを受信する。外部インターフェース57は、外部装置とデータ通知を行うインターフェースであれば良く、たとえば、外部装置にローカルに接続するものであっても良いし、ネットワークを介して通信するためのネットワークインターフェースであっても良い。
画像処理部58は、スキャナ1が読み取った画像データを画像処理するスキャナ系の画像処理部、画像データの圧縮或いは伸張を行う圧縮伸長部、および、プリンタ2が用紙にプリントするプリント用の画像データを生成するプリンタ系の画像処理部などの機能を有する。たとえば、スキャナ系の画像処理部としては、シェーディング補正処理、階調変換処理、ライン間補正処理などの機能を有する。
なお、制御部5は、複数の制御部から構成されてもよい。また、制御部5が行う処理は、制御部5を構成する複数の制御部によってそれぞれ行われてもよい。
次に、プリンタ2における制御系の構成例について説明する。
図2に示す構成例において、プリンタ2は、制御系統の構成として、プリンタCPU61(プロセッサ)、RAM62、ROM63、NVM64、搬送制御部65、露光制御部70、画像形成制御部71、転写制御部73、定着制御部75、反転制御部76などを有する。
プリンタCPU61は、プリンタ2全体の制御を司る。プリンタCPU61は、プログラムを実行することにより処理を実現するプロセッサである。プリンタCPU61は、システムバスなどを介して、プリンタ2内の各部に接続する。プリンタCPU61は、システムCPU51からの動作指示に応じて、プリンタ2内の各部へ動作指示を出力したり、各部から取得した種々の情報をシステムCPU51へ通知したりする。
RAM62は、揮発性のメモリで構成される。RAM62は、ワーキングメモリ、あるいはバッファメモリとして機能する。ROM63は、プログラムおよび制御データなどを記憶する書換え不可の不揮発性メモリである。プリンタCPU61は、RAM62を使用しながらROM63(或はNVM64)に記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
NVM64は、書換え可能な不揮発性のメモリである。たとえば、NVM64は、プリンタCPU61が実行する制御プログラムおよび制御データを記憶する。また、NVM64は、プリンタの動作に関わる設定情報および処理条件などを記憶する。さらに、NVM64は、第1記憶部としてのテーブル64aと第2記憶部としてのテーブル64bとを有する。
テーブル64aは、ユーザが選択可能な設定内容を記憶する。テーブル64aは、ユーザが操作可能な操作画面に表示される各アイコンに対応づけた設定内容を記憶する。また、テーブル64bは、後述する画質維持制御機能および位置合わせ制御機能の設定情報を記憶する。テーブル64bに記憶する設定情報は、画質維持制御の実施条件(条件1)および位置合わせ制御の実施条件(条件2)を含むものである。なお、テーブル64a、64bは、NVM54あるいはHDD55などの記憶部に設けても良い。
搬送制御部65は、プリンタ2内における用紙搬送を制御する。搬送制御部65は、ピックアップローラ21及び搬送部22の駆動を制御する。搬送制御部65は、プリンタCPU61からの動作指示に応じてプリンタ2内における搬送部22としての搬送ローラの駆動を制御する。たとえば、プリンタCPU61は、用紙への画像形成処理を開始する場合に搬送制御部65へピックアップローラ21および搬送部22による用紙の給紙開始を指示する。
露光制御部70は、露光部26を制御するものである。露光制御部70は、プリンタCPU61からの動作指示に応じて露光部26により各画像形成部25Y、25M、25C、25Kの感光体ドラムに静電潜像を形成する。たとえば、露光制御部70は、プリンタCPU61に指示される画像データに応じて露光部26が各感光体ドラムに照射するレーザ光を制御する。
画像形成制御部71は、各画像形成部25Y、25M、25C、25Kの駆動を制御する。画像形成制御部71は、プリンタCPU61からの動作指示に応じて各画像形成部25Y、25M、25C、25Kの感光体ドラム上に形成された静電潜像を各色のトナーで現像する。転写制御部73は、転写部28の駆動および転写電流などを制御する。転写制御部73は、プリンタCPU61からの動作指示に応じて中間転写ベルト27に転写されたトナー像を転写部28により用紙に転写する。
定着制御部75は、定着器29の駆動を制御する。定着制御部75は、プリンタCPU61からの動作指示に応じてヒートローラ29bおよび加圧ローラ29cを駆動する。また、定着制御部75は、加熱部29aを制御することによりヒートローラ29bの表面温度を所望の温度に制御する。定着制御部75は、プリンタCPU61が指定する温度(定着温度)にヒートローラ29bの表面温度を制御する。
反転制御部76は、ADU31の駆動を制御する。反転制御部76は、プリンタCPU61からの動作指示に応じて定着器29を通過した用紙をADU31に取り込む。たとえば、定着処理した用紙の裏面に画像を形成する場合(両面印刷を行う場合)、反転制御部76は、定着処理後の用紙を一旦、排紙部30側へ搬送した後、スイッチバックさせてADU31に取り込むように駆動制御を行う。ADU31は、排紙部30がスイッチバックしてきた用紙をレジストローラ24の手前に再供給する。これにより、用紙は、反転した状態でレジストローラ24に再供給される。
次に、操作パネル4について説明する。
図3は、操作パネル4の構成例を説明するためのブロック図である。
図3が示すように、操作パネル4は、表示部4a、タッチパネル4b、パネルCPU41(プロセッサ)、RAM42、及び、ROM43などを備える。
パネルCPU41は、操作パネル4全体を制御する。たとえば、パネルCPU41は、表示部4aに、利用者が指示を入力するためのアイコンなどを表示する。また、パネルCPU41は、タッチパネル4bに入力された指示を取得する。パネルCPU41は、表示部4aが表示するアイコンの表示部位に利用者が触れたこと(タッチしたこと)をタッチパネル4bが検知することにより、アイコンを指示(選択)されたことを検出する。パネルCPU41は、入力された指示(例えば、アイコン)を示す情報をシステムCPU51へ送信する。
RAM42は、揮発性のメモリで構成される。RAM42は、ワーキングメモリ、あるいはバッファメモリとして機能する。ROM43は、プログラムおよび制御データなどを記憶する書換え不可の不揮発性メモリである。パネルCPU41は、RAM42を使用しながらROM43に記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
なお、パネルCPU41は、システムCPU51の機能として実現されてもよい。
次に、プリンタ2による印刷(画像形成)の品質を維持するための機能(制御)について説明する。
本実施形態においては、プリンタ2が印刷の品質を維持するための機能がセルフチェック機能に含まれるものとする。また、印刷の品質を維持する機能は、品質維持制御により実現される。本実施形態に係るプリンタ2では、品質維持制御として、画質維持制御と位置合わせ制御とを有するものとする。ここで、品質維持制御は、画質維持制御および位置合わせ制御の何れか、もしくは、両方を含むものであるとする。
画質維持制御は、品質維持制御の1つであり、印刷画像の画質を維持(調整、補正)するための処理(制御)である。画質維持制御機能は、画質維持制御を設定情報に従って実行する機能である。画質維持制御機能は、経年変化あるいは処理枚数などにより変化してしまうことがある画質を維持する機能である。例えば、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックなどの複数種類のトナーが用いられるプリンタ2では、時間経過あるいは印刷枚数に伴って、色調の変化などが起こる可能性がある。このため、プリンタ2は、画質を維持するために、画質維持制御を実行する。
位置合わせ制御は、品質維持制御の1つであり、複数画像の重ね合わせ精度を維持(調整、補正)するための処理(制御)である。位置合わせ制御は、主にカラー印刷をする場合に、カラーを構成する各色の画像の重ね合わせ精度を維持する処理である。位置合わせ制御機能は、位置合わせ制御を設定情報に従って実行する機能である。たとえば、プリンタ2は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の現像器を有し、各色で現像された画像を中間転写ベルト27上で重ね合わせてカラー画像を作り出す。プリンタ2は、位置合わせ制御として、各色の画像を中間転写ベルト27上で重ね合わせる精度を維持するための制御を行う。
画質維持制御および位置合わせ制御は、それぞれ独立した複数の制御パラメータで設定される。これらの設定情報は、NVM64のテーブル64bに記憶される。たとえば、画質維持制御および位置合わせ制御には、それぞれに実施条件が設定される。プリンタ2は、画質位置制御の実施条件が満たされた場合に画質維持制御を実行し、位置合わせ制御の実施条件が満たされた場合に位置合わせ制御を実行する。すなわち、画質維持制御と位置合わせ制御とは、それぞれに実施条件を設定できるため、同時に実施するようにしても良いし、どちらかだけを実施するように設定しても良い。
本実施形態のプリンタ2では、画質維持制御および位置合わせ制御を実施するための実施条件は、予め設定された複数種類の設定からユーザが直接的に選択するものに変更したり、専門知識を有するサービスマンがユーザの使い方や好みに応じてカスタマイズするものに変更したりすることが可能である。サービスマンは、デジタル複合機10における一般のユーザでは変更不可な設定情報をカスタマイズできる者であり、ユーザからの要請に応じて設定のカスタマイズ作業を行う者であるとする。
一般に、画像形成装置には、運用形態や製品カテゴリなどに応じて様々な仕様のものがある。たとえば、高画質が要求されるカラー画像形成装置では、高画質を保つため、画質維持制御および位置合わせ制御などの品質維持制御を頻繁に実施する設定(デフォルト設定)であることが多い。しかしながら、画質維持制御および位置合わせ制御などの品質維持制御を実行中は、画像形成処理が実行できない。このため、ユーザが想定する以上の頻度で画質維持制御や位置合わせ制御の動作が行われる設定である場合、ユーザは、画質維持制御や位置合わせ制御の頻度を減らしたい要求を持つことがある。
本実施形態に係るデジタル複合機10では、画質維持制御および位置合わせ制御機能の実施条件を、予め用意された複数種類の設定からユーザが選択できる。これにより、サービスマンを呼び出さなくても、ユーザ自身の操作によって画質位置制御および位置合わせ制御の実施条件(実行の頻度)を変更できる。また、本実施形態の画像形成装置は、予め用意された複数種類の設定よりもさらに詳細にカスタマイズしたい場合には、サービスマンによる設定の要求を受け付けることもできる。
図4は、画質維持制御及び位置合わせ制御の動作を説明するためのフローチャートである。
図4に示すように、プリンタ2のプリンタCPU61は、NVM64のテーブル64bに記憶している設定情報に基づいて画質維持制御の実施条件(条件1)と位置合わせ制御の実施条件(条件2)とを認識する。プリンタCPU61は、プリンタ2が稼働中である間、画質維持制御の実施条件(条件1)と位置合わせ制御の実施条件(条件2)と満たされたか否かを監視する(ACT11)。
すなわち、プリンタCPU61は、画質維持制御の実施条件(条件1)が満たされたと判断した場合(ACT11、YES)、画質維持制御を実行する(ACT12)。また、位置合わせ制御機能の実施条件(条件2)が満たされたと判断した場合(ACT13、YES)、位置合わせ制御を実行する(ACT14)。
実施条件は、印刷数(印刷頁数)であっても良いし、経過時間であっても良い。印刷数に基づく実施条件を設定した場合、プリンタCPU61は、プリントを実行するごとに印刷数を累積して計数する。この場合、プリンタCPU61は、印刷数の累積数が実施条件(条件1或いは条件2)として設定された閾値以上となったかを監視する。累積の印刷数が条件1或いは条件2の閾値以上となった場合、プリンタCPU61は、画質維持制御あるいは位置合わせ制御を実行する。画質維持制御あるいは位置合わせ制御を実施した場合、プリンタCPU61は、累積の印刷数をリセットし、印刷数の計数を再び行う。
また、経過時間に対して実施条件を設定した場合、プリンタCPU61は、経過時間をカウントする。この場合、プリンタCPU61は、経過時間が実施条件(条件1或いは条件2)として設定された閾値以上となったかを監視する。経過時間が条件1或いは条件2の閾値以上となった場合、プリンタCPU61は、画質維持制御あるいは位置合わせ制御を実行する。画質維持制御あるいは位置合わせ制御を実施した場合、プリンタCPU61は、カウントしていた経過時間をリセットし、経過時間のカウントを再び行う。
また、画質維持制御の実施条件(条件1)と位置合わせ制御の実施条件(条件2)とは、個々の画像形成装置の特性や運用形態に応じてそれぞれ設定される。つまり、条件1と条件2とは、それぞれ独立した任意の条件を設定するようにして良い。たとえば、画質維持制御および位置合わせ制御の何れかを実施しないように設定しても良いし、画質維持制御と位置合わせ制御とを同じ条件で実行するように実施しても良い。条件1と条件2とが同じ条件である場合、プリンタCPU61は、画質維持制御と位置合わせ制御とを同時期に実施する。
また、画質維持制御と位置合わせ制御との実施条件のうち、一方の実施条件を経過時間で設定し、他方の実施条件を印刷数で設定しても良い。たとえば、連続稼働時間に応じて位置ずれが起こる可能性がある画像形成装置では、位置合わせ制御の実施条件を連続稼働の経過時間に対する閾値として設定するようにしても良い。画質維持制御は、稼働時間に関連がなく、印刷数に応じて画質に変化が生じる可能性がある画像形成装置では、画質維持制御の実施条件を印刷数に対する閾値として設定するようにしても良い。すなわち、位置合わせ制御の実施条件は連続稼働の経過時間に対する閾値として設定し、画質維持制御の実施条件は印刷数に対する閾値として設定するようにしても良い。
次に、品質維持制御(画質維持制御および位置合わせ制御)に対する設定変更について説明する。
図5及び図6は、表示部4aに表示される設定メニュー画面の表示例である。図5は、設定メニュー画面の第1頁の画面であり、図6は、設定メニュー画面の第2頁目の画面である。図5及び図6に示す設定メニュー画面には、タッチパネル4bにより選択可能な複数のアイコンが表示される。たとえば、図5の画面と図6の画面とは、画面に向かって右側に設けた矢印アイコンにより切換可能である。
図5及び図6に示す設定メニュー画面では、各種の設定項目ごとに複数のアイコンが表示される。図5及び図6に示すアイコンのうちアイコンA1は、品質維持制御を含むセルフチェック機能の設定を指示するボタンである。品質維持制御の設定変更を希望するユーザは、アイコンA1を選択(タッチ)する。アイコンA1が選択(タッチ)されると、パネルCPU41は、品質維持制御を含むセルフチェック機能の設定画面を表示部4aに表示する。
図7は、セルフチェック機能の設定画面の表示例である。図7に示す表示例において、ユーザが選択可能な4つのアイコンA21、A22、A23、A24が表示される。
アイコンA21は、「パフォーマンス優先1」と表示される。アイコンA21は、デフォルト設定に比べて画質維持制御及び位置合わせ制御の両方あるいは何れかの実施頻度を少なくする設定内容が対応づけられる。このアイコンA21が選択されると、画質維持制御及び位置合わせ制御の両方あるいは何れか一方の実施頻度が少なくなる設定に変更される。アイコンA21に対応する設定内容は、例えば、NVM64のテーブル64aに記憶される。
例えば、カラー印刷数が少ない運用状況を想定した場合、アイコンA21には、画質維持制御の頻度を変更せずに位置合わせ制御の頻度を少なくする設定内容を対応づけても良い。これは、カラー印刷が少なければ、位置合わせの精度を維持する必要性が少なくなることを想定した設定内容である。
アイコンA22は、「パフォーマンス優先2」と表示される。アイコンA22は、アイコンA21が対応する設定内容よりもさらに画質維持制御及び位置合わせ制御の両方あるいは何れかの実施頻度を少なくする設定内容が対応づけられる。このアイコンA22が選択されると、アイコンA21が選択された場合よりもさらに画質維持制御及び位置合わせ制御の両方あるいは何れか一方の実施頻度が少なくなる設定に変更される。アイコンA22に対応する設定内容は、例えば、NVM64のテーブル64aに記憶される。
たとえば、カラー印刷がほとんど実行されない運用状況を想定した場合、アイコンA22には、画質維持制御の頻度を変更せずに位置合わせ制御を実施しないという設定内容を対応づけても良い。これは、カラー印刷をほとんど実施いない状態であれば、カラー画像の品質を維持するための位置合わせ制御の必要性がほとんどなくなることを想定した設定内容である。
アイコンA23は、「画質優先」と表示される。アイコンA23は、画質維持制御及び位置合わせ制御の実施頻度が印刷品質を良好に保てるような設定内容に設定される。ここでは、アイコンA23が対応する設定内容は、「画質優先」の設定がデフォルト設定であるものとする。アイコンA23が選択されると、画質維持制御及び位置合わせ制御の実施頻度は、デフォルト設定に設定される。
一般には、デフォルト設定は、実際の運用状況(たとえば、カラー印刷の頻度)に関係なく、当該デジタル複合機が本来有する画質を維持するために必要とする設定内容が設定される。このため、デフォルト設定は、当該デジタル複合機が有する画質を維持するため画質優先の設定となる。また、デフォルト設定は、当該デジタル複合機に固定的に設定される初期設定値であっても良いし、サービスマンがカスタマイズする設定内容をデフォルト設定とするようにしても良い。
アイコンA24は、「サービスマンコール」と表示される。アイコンA24は、専門的な知識を有するサービスマンによる設定変更を要求するものである。デジタル複合機10は、サービスマンだけが扱えるメンテナンスモードにおいて任意の設定への変更が可能である。つまり、アイコンA24は、メンテナンスモードでの設定を行える人(サービスマン)への通知へ行うためのボタンである。アイコンA24が選択された場合、画質維持制御及び位置合わせ制御の設定内容は、デフォルト設定に変更されるものとする。アイコンA24が選択された場合、サービスマンへの通知としては、オンラインでサービスマンにメンテナンスを依頼するようにしても良いし、サービスマンへの連絡先及び連絡方法などを案内表示するようにしても良い。
例えば、1000枚の印刷ごとに画質維持制御と位置合わせ制御を実施するデフォルト設定だとすると、アイコンA21は、2000枚の印刷ごとに画質維持制御と位置合わせ制御を実施する設定内容に対応づけ、アイコンA22は、5000枚の印刷ごとに画質維持制御と位置合わせ制御を実施する設定内容に対応づける。これらのように、ユーザが設定を選択するための各アイコンには、画質維持制御や位置合わせ制御を実施する間隔を示す設定内容(実施条件)を対応づけて作成する。
上記のようなアイコンをユーザが直接操作できる操作画面において提供することにより、ユーザは、画質維持制御や位置合わせ制御の間隔を変えたい場合には、いちいちサービスマンを呼ばなくても、アイコンを選択するだけで画質維持制御や位置合わせ制御を実施する間隔を変更することが可能となる。
また、予め用意したアイコンに対応する設定内容に満足しないユーザについては、サービスマンを呼び、画質維持制御と位置合わせ制御の入るタイミングを変更してもらうことも可能とするように設定値を調整できるようにする。この作業を支援するためにサービスマンコールのアイコンも設定するようにしても良い。
図8及び図9は、サービスマンの操作によって設定変更が可能となるメンテナンスモードにおける設定画面の表示例である。
ユーザから設定変更の依頼を受けたサービスマンは、当該デジタル複合機10をメンテナンスモードに切り替える。たとえば、デジタル複合機10の制御部5は、ユーザには知らされていないサービスマンが知りうる特殊なコードが入力された場合、あるいは、特殊な操作が入力された場合などにメンテナンスモードに移行する。メンテナンスモードは、通常のユーザが利用できる動作モードとは異なり、サービスマンだけが扱える動作モードである。メンテナンスモードにおいて、デジタル複合機10は、サービスマンが操作部によって指示した設定を行う。たとえば、メンテナンスモードにおいて、サービスマンが操作部4bにより入力するコードによって画質維持制御の実施条件あるいは位置合わせ制御の実施条件などが指定される。制御部5は、メンテナンスモードにおいて操作部4bにより指定されたコードに応じた設定を行う。
たとえば、図8に示す設定画面は、画質維持制御の実施条件として、コード「1」が指定された例である。サービスマンが画質維持制御の実施条件として指定する各種のコードには、画質維持制御の設定内容が割り当てられている。図8に示す例では、サービスマンは、画質維持制御の実施条件として、コード「1」に割り当てられている実施条件(例えば、印刷数が1000枚など)を指定している。また、図9に示す設定画面は、画像位置合わせ制御の実施条件として、コード「2」が指定された例である。サービスマンが画像位置合わせ制御の実施条件として指定する各種のコードには、画像位置合わせ制御の設定内容が割り当てられている。図9に示す例では、サービスマンは、位置合わせ制御の実施条件として、コード「2」に割り当てられている実施条件(例えば、経過時間が1時間など)を指定している。
このようなサービスマンによるメンテナンスモードでの設定では、セルフチェック機能の設定情報(画質維持制御の実施条件および位置合わせ制御の実施条件)を細かく指定することができる。このため、アイコンで選択可能な設定内容では満足しないユーザについては、サービスマンが操作するメンテナンスモードでの設定変更が可能となる。
次に、本デジタル複合機10における品質維持制御(画質維持制御および位置合わせ制御)に対する設定変更の処理について説明する。
図10は、画質維持制御および位置合わせ制御に対する設定変更を行う場合の処理例を説明するためのフローチャートである。
設定の変更を希望するユーザは、操作パネル4を操作することにより設定メニュー画面の表示を指示する。パネルCPU41は、ユーザの操作に応じて表示部4aに設定メニュー画面を表示する(ACT21)。表示部4aに設定メニュー画面が表示された後、品質維持制御の設定変更を希望するユーザは、セルフチェック機能の設定を指示するアイコン(ボタン)を選択する。
セルフチェック機能の設定を指示するアイコンが選択されると(ACT22、YES)、パネルCPU41は、セルフチェック機能の設定画面を表示部4aに表示する(ACT23)。パネルCPU41は、セルフチェック機能の設定画面として、少なくともユーザが選択可能な設定内容に対応する複数のアイコン(ボタン)を表示部4aに表示する。
ここでは、パネルCPU41は、図7に示す例のように、ユーザが選択可能な設定内容に対応する2つのアイコン(パフォーマンス優先1アイコンA21、パフォーマンス優先2アイコンA22)と、デフォルト設定を指示するアイコン(画質優先アイコンA23)と、サービスマンコードを指示するアイコン(サービスマンコールアイコンA24)と、を表示部4aに表示するものとする。
ユーザがパフォーマンス優先1アイコンA21をタッチすると、パネルCPU41は、タッチパネル4bの検知信号に基づいてパフォーマンス優先1アイコンA21が選択されたことを検知する。パネルCPU41は、パフォーマンス優先1アイコンA21が選択されたことをシステムCPU51へ通知する。パネルCPU41からの通知を受けて、システムCPU51は、プリンタCPU61に対してパフォーマンス優先1アイコンA21が選択されたことを指示する。
システムCPU51からのパフォーマンス優先1アイコンA21が選択されたことが指示された場合(ACT24、YES)、プリンタCPU61は、テーブル64bが保持する設定情報をパフォーマンス優先1アイコンA21に対応する設定内容に変更する(ACT25)。たとえば、パフォーマンス優先1アイコンA21に対応する設定内容はNVM64などに保持しておく。これにより、プリンタCPU61は、テーブル64bが保持する設定情報をパフォーマンス優先1アイコンA21に対応する設定内容に変更することが可能となる。
また、ユーザがパフォーマンス優先2アイコンA22をタッチすると、パネルCPU41は、タッチパネル4bの検知信号に基づいてパフォーマンス優先2アイコンA22が選択されたことを検知する。パネルCPU41は、パフォーマンス優先2アイコンA22が選択されたことをシステムCPU51へ通知する。パネルCPU41からの通知を受けて、システムCPU51は、プリンタCPU61に対してパフォーマンス優先2アイコンA22が選択されたことを指示する。
システムCPU51からのパフォーマンス優先2アイコンA22が選択されたことが指示された場合(ACT26、YES)、プリンタCPU61は、テーブル64bが保持する設定情報をパフォーマンス優先2アイコンA22に対応する設定内容に変更する(ACT27)。たとえば、パフォーマンス優先2アイコンA22に対応する設定内容はNVM64などに保持しておく。これにより、プリンタCPU61は、テーブル64bが保持する設定情報をパフォーマンス優先2アイコンA22に対応する設定内容に変更することが可能となる。
また、ユーザが画質優先アイコンA23をタッチすると、パネルCPU41は、タッチパネル4bの検知信号に基づいて画質優先アイコンA23が選択されたことを検知する。パネルCPU41は、画質優先アイコンA23が選択されたことをシステムCPU51へ通知する。パネルCPU41からの通知を受けて、システムCPU51は、プリンタCPU61に対して画質優先アイコンA23が選択されたことを指示する。
システムCPU51から画質優先アイコンA23が選択されたことが指示された場合(ACT28、YES)、プリンタCPU61は、テーブル64bが保持する設定情報を画質優先アイコンA23に対応する設定内容(ここでは、デフォルト設定とする)に変更する(ACT29)。たとえば、ユーザの操作によりテーブル64bの設定情報が変更された場合であっても、デフォルト設定の設定内容はNVM64などに保持しておく。これにより、プリンタCPU61は、テーブル64bが保持する設定情報を画質優先アイコンA23に対応する画質優先の設定内容(デフォルト設定)に変更することが可能となる。
また、ユーザがサービスマンコールアイコンA24をタッチすると、パネルCPU41は、タッチパネル4bの検知信号に基づいてサービスマンコールアイコンA24が選択されたことを検知する。パネルCPU41は、サービスマンコールアイコンA24が選択されたことをシステムCPU51へ通知する。パネルCPU41からの通知を受けて、システムCPU51は、プリンタCPU61に対してサービスマンコールアイコンA24が選択されたことを指示する。
システムCPU51からサービスマンコールアイコンA24が選択されたことが指示された場合(ACT30、YES)、プリンタCPU61は、テーブル64bが保持する設定情報をデフォルト設定に変更する(ACT31)。さらに、サービスマンコールアイコンA24が選択されたことが指示された場合(ACT30、YES)、プリンタCPU61は、サービスマンコールの処理を行う(ACT32)。サービスマンコールの処理は、パネルCPU41がサービスマンへの通知案内を表示部4aに表示するものであっても良いし、システムCPU51がネットワークインターフェースを介してサービスマンへ通知を行うものであっても良い。
上記のように、本実施形態に係るデジタル複合機は、品質維持制御に対する設定情報を、ユーザがアイコンで選択により設定内容に変更する機能とサービスマンがメンテナンスモードで指定する値に変更する機能とを有する。前者の機能として、デジタル複合機は、予め用意された複数種類の設定内容を対応づけたアイコン(ボタン)を提示する。デジタル複合機は、画質維持制御の実施条件と位置合わせ制御の実施条件とをユーザが選択するアイコン(ボタン)に対応づけた設定内容に変更する。
これにより、本実施形態に係るデジタル複合機では、ユーザがアイコンを選択するだけで、画質維持制御および位置合わせ制御の実施条件を変更することができ、ユーザの好みや実際の運用形態に応じた設定内容に簡単に変更できる。
また、各アイコンに対応づける設定内容は、任意の設定内容を提示することが可能である。アイコンでは、印刷品質の維持を優先するか、実際の印刷処理のパフォーマンスを優先するかによって提示する。たとえば、デフォルト設定が当該装置の印刷品質の維持を保証するものとすれば、アイコンに対応づける設定内容(ユーザが選択できる設定内容)としては、段階的に実際の印刷処理(パフォーマンス)を優先するものを提示するようにしても良い。このようなアイコンを有する画像形成装置は、印刷品質を優先するデフォルト設定からパフォーマンスを優先するような設定への変更をユーザが指示できる。
さらに、本実施形態に係る画像形成装置では、予め用意したアイコンに対応する複数種類の設定内容からユーザが設定を選択するだけでなく、品質維持制御の設定内容をカスタマイズするためにサービスマンを呼び出すこと指示するアイコンを選択することも可能である。
なお、設定変更などを指示する各アイコンは、管理者が設定する操作画面に表示するようにしても良い。管理者が設定する操作画面にアイコンを表示する場合、当該操作画面は、ユーザが選択可能な状態でアイコンを表示(公開)するものする。
また、ユーザが直接的に選択可能とするアイコンは、画質維持制御の実施条件と位置合わせ制御の実施条件とを別々に設定できるようにそれぞれ2つのアイコン(ボタン)を設定するようにしても良いし、画質維持制御と位置合わせ制御の実施タイミングのパラメータは印刷数あるいは経過時間だけではなくて、その他のパラメータであっても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
表示部と、
操作部と、
媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部における画像形成の品質を維持する品質維持制御に対する複数の設定を記憶する第1の記憶部と、
前記画像形成部における画像形成の品質を維持する品質維持制御に対する設定を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の記憶部に記憶される設定に基づいて品質維持制御を行う制御部と、
前記制御部は、前記第1の記憶部に記憶する複数の設定を前記表示部に表示させ、表示させた複数の設定の中から前記操作部によって1つの設定が選択された場合、前記第2の記憶部に記憶する設定を選択された設定に変更し、前記操作部によって任意の設定が指定された場合、前記第2の記憶部に記憶する設定を前記操作部によって指定された設定に変更する、
画像形成装置。
[2]
前記第2の記憶部が記憶する各設定は、前記品質維持制御の実施条件として経過時間あるいは印刷数の何れかを含む、
付記[1]に記載の画像形成装置。
[3]
前記品質維持制御は、個々の画像の画質を維持する画質維持制御および複数画像の位置合わせの精度を調整する位置合わせ制御の少なくとも何れかである、
付記[1]又は[2]の何れかに記載の画像形成装置。
[4]
前記第2の記憶部が記憶する複数の設定は、前記品質維持制御を実行する頻度が複数段階となる設定である、
付記[1]乃至[3]の何れか1項に記載の画像形成装置。
[5]
前記制御部は、メンテナンスモードにおいて任意の設定の指定を受け付け、前記第2の記憶部に記憶する設定を前記操作部によって指定された設定に変更する、
付記[1]乃至[4]の何れか1項に記載の画像形成装置。