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JP6326809B2 - 超音波センサー素子及びその製造方法並びに超音波センサー - Google Patents

超音波センサー素子及びその製造方法並びに超音波センサー Download PDF

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JP6326809B2
JP6326809B2 JP2013262139A JP2013262139A JP6326809B2 JP 6326809 B2 JP6326809 B2 JP 6326809B2 JP 2013262139 A JP2013262139 A JP 2013262139A JP 2013262139 A JP2013262139 A JP 2013262139A JP 6326809 B2 JP6326809 B2 JP 6326809B2
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Description

本発明は、超音波センサー素子及びその製造方法並びに超音波センサーに関する。
従来、開口部を有する半導体基板と、開口部を閉塞して半導体基板の表面に形成された絶縁膜層に2層の電極と、2層の電極の間で挟んだPZTセラミックス薄膜層と、を具備する超音波センサーが知られている(例えば特許文献1参照)。
このような超音波センサーは、超音波を対象物に向けて発信してから超音波(エコー信号)を受信するまでに要する時間や、超音波の通過領域における音速の関係等を利用して、測定対象物の有無や測定対象物までの距離を検出するものであり、その使用目的や用途に応じて適宜構成が選択されて広く用いられている。
特開2010−164331号公報
しかしながら、超音波センサーの構成によっては、測定対象物の方向に発信される超音波とは異なる方向(例えば反対方向)に発信された他の超音波が反射して、測定対象物側でエコー信号等と干渉し、ノイズが生じて測定分解能が低下する問題があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、高分解能を有する新規な超音波センサー素子及びその製造方法並びに超音波センサーを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、開口部が形成された基板と、前記開口部を塞ぐように前記基板に設けられた振動板と、前記振動板の前記開口部とは反対側に積層された第1電極、圧電体層及び第2電極からなる圧電素子と、を具備し、前記圧電素子を含む領域が封止板によって包囲されており、前記封止板の前記圧電素子に対向する面に凹部が形成されていることを特徴とする超音波センサー素子にある。
かかる態様によれば、測定対象物に発信される超音波とは異なる方向(例えば反対方向)に発信される他の超音波を、凹部が形成されている面で乱反射させることができる。このため、上記の他の超音波が測定対象物側でエコー信号と干渉するのを防止でき、高分解能を有する超音波センサー素子を提供できる。
ここで、前記凹部の内面が曲面状であることが好ましい。これによれば、上記の他の超音波を乱反射させやすくなる。
また、前記凹部の開口の半径rは、前記包囲された領域内の超音波の音速をc、及び前記圧電素子とは反対側に発振される超音波の周波数をfとしたときに、下記式(1)を満たすことが好ましい。これによれば、上記の他の超音波を確実に乱反射させることができる。
[式1]
r<c/(2πf) ・・・ (1)
また、前記凹部の開口の外接円が前記式(1)を満たすことが好ましい。これによれば、上記の他の超音波を確実に乱反射させることができ、かつ構成自由度の高い超音波センサー素子を提供できる。
前記圧電素子が、前記超音波を発信させる発信装置及び反射するエコー信号を受信する受信装置を兼ねることが好ましい。これによれば、上記の他の超音波を乱反射させることができ、かつ小型化に有利な超音波センサー素子を提供できる。
上記課題を解決する本発明の他の態様は、上記の何れかに記載の超音波センサー素子を具備し、前記基板と前記振動板に区画される領域に、樹脂を含む整合層が構成されていることを特徴とする超音波センサーにある。かかる態様によれば、上記の超音波センサー素子を具備するため、高分解能を有する超音波センサーを提供できる。
ここで、前記樹脂がシリコーン樹脂からなることが好ましい。これによれば、比較的取り扱い性に優れるシリコーン樹脂を用い、高分解能を有する超音波センサーを容易に提供できる。
また、前記振動板とは反対側の前記基板の前記開口部を塞ぐレンズ部材を具備することが好ましい。これによれば、レンズ部材、基板及び振動板によって整合層を容易に形成できるため、高分解能を有する超音波センサーを容易に提供できる。
また、上記課題を解決する本発明の別の態様は、開口部が形成された基板と、前記開口部を塞ぐように前記基板に設けられた振動板と、前記振動板の前記開口部とは反対側に積層された第1電極、圧電体層及び第2電極からなる圧電素子と、を具備し、前記圧電素子を含む領域を封止板により包囲する工程と、前記封止板の前記圧電素子に対向する面に凹部を形成する工程と、を有することを特徴とする超音波センサー素子の製造方法にある。
かかる態様によれば、測定対象物に発信される超音波とは異なる方向(例えば反対方向)に発信される他の超音波を、凹部が形成されている面で乱反射させることができる。このため、他の超音波が測定対象物側でエコー信号と干渉するのを防止でき、高分解能を有する超音波センサー素子の製造方法を提供できる。
実施形態1に係る超音波センサーの概略構成を示す分解斜視図。 実施形態1に係る超音波センサーの断面図。 実施形態1に係る超音波センサーの動作等を示す図。 実施形態1に係る超音波センサーの動作等を示す図。 実施形態1に係る超音波センサーの凹部の構成例を示す図。 実施形態1に係る超音波センサーの凹部の構成例を示す図。 実施形態1に係る超音波センサーの製造例を説明する図である。 実施形態1に係る超音波センサーの製造例を説明する図である。 他の実施形態に係る液体噴射装置の概略構成を示す図。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る超音波センサーの概略構成を示す分解斜視図である。図2(a)は、図1の断面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A′線断面図である。
図示するように、本実施形態の超音波センサー10は、開口部11が形成された基板12と、開口部11を塞ぐように基板12に設けられた振動板13と、振動板13の開口部11とは反対側に積層された第1電極14、圧電体層15及び第2電極16からなる圧電素子17と、を含んで構成される超音波センサー素子1を具備するものである。
基板12は例えばシリコン単結晶基板を用いることができる。振動板13は例えば二酸化シリコンからなる弾性膜として構成され、圧電素子17への電圧印加によって弾性変形する。これにより、超音波が発生することとなる。
つまり本実施形態では、振動板13の圧電素子17とは反対側が、測定対象物に向けて発信される超音波や測定対象物から反射した超音波(エコー信号)の通過領域となる構成が採用されている。これによれば、振動板13の圧電素子17とは反対側の構成を簡素化させ、超音波等の良好な通過領域を確保できる。また、電極や配線等の電気的領域や各部材の接着固定領域を測定対象物から遠ざけて、これらと測定対象物との間での汚染や漏れ電流を防止しやすくなる。
従って、本実施形態は、プリンターに搭載される圧力センサー等として好適に使用できるのはもちろん、汚染や漏れ電流を特に嫌う医療用の機器、例えば超音波診断装置、血圧計及び眼圧計にも好適に使用できる超音波センサー素子1となる。
このような超音波センサー素子1を具備し、基板12及び振動板13に区画される領域に樹脂を含む整合層(音響整合層)が形成されることで、本実施形態の超音波センサー10が構成される。
超音波センサー10において、基板12の振動板13とは反対側には、超音波等を透過可能なレンズ部材18が設けられている。レンズ部材18、基板12及び振動板13によって区画される領域には、音響整合層として機能する樹脂剤19、例えばシリコーンオイル、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムが充填されている。これにより、圧電素子17と測定対象物との間の音響インピーダンス差を低減でき、超音波が効率よく測定対象物側に発信されるようになる。
図中、超音波センサー素子1や超音波センサー10は、基板12に開口部11が一つである最小単位の構成により実現されており、小型化に有利な態様となっている。ただし、これを幅方向又は長さ方向に一次元的に並列させ、或いは幅方向及び長さ方向に二次元的に並列させてもよく、この場合、多数の信号に基づいて測定対象物の有無や測定対象物までの距離を検出でき、信頼性が向上する。
超音波センサー素子1や超音波センサー10を一次元的又は二次元的に並列させる場合、個々の超音波センサー素子1等を構成した後に接続固定して構成してもよく、複数の開口部11が形成された基板を用い、基板、振動板及びレンズ部材等が共通部材となるように構成してもよい。
振動板13の開口部11とは反対側には、酸化ジルコニウム等からなる絶縁体膜20と、厚さ30〜50nm程度の酸化チタン等からなり第1電極14の下地との密着性を向上させる密着層21と、が設けられている。絶縁体膜20や密着層21は必要に応じて省略可能である。
密着層21には、第1電極14と、厚さが3μm以下、好ましくは0.3〜1.5μmの薄膜である圧電体層15と、第2電極16と、からなる圧電素子17が形成されている。ここで、圧電素子17は、第1電極14、圧電体層15及び第2電極16を含む部分をいう。
一般的には、圧電素子17では、何れか一方の電極が共通電極とされ、他方の電極及び圧電体層15が開口部11毎のパターニングにより構成される。従って、超音波センサー素子1等を一次元的又は二次元的に並列させた態様とする場合には、例えば第1電極14を圧電素子17の共通電極とし、第2電極16を圧電素子17の個別電極とすることができるが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
ここでは圧電素子17と、当該圧電素子17の駆動により変位が生じる振動板13と、を合わせてアクチュエーター装置と称する。上記の例では、振動板13と、必要に応じて設けられる絶縁体膜20及び密着層21と、第1電極14と、が振動板として作用するが、これに限定されるものではない。例えば、振動板13を設けず、圧電素子17自体が実質的に振動板としての機能を兼ねるようにしてもよい。
第1電極14や第2電極16は導電性を有するものであれば制限されず、例えば白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、ステンレス鋼等の金属材料、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等の酸化スズ系導電材料、酸化亜鉛系導電材料、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO)、ニッケル酸ランタン(LaNiO)、元素ドープチタン酸ストロンチウム等の酸化物導電材料や、導電性ポリマー等を用いることができる。ただし、前記の材料に制限されない。
圧電体層15は、代表的にはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のペロブスカイト構造の複合酸化物を用いることができる。これによれば、圧電素子17の変位量を確保しやすくなる。
また、圧電体層15は、鉛を含まないもの、例えば少なくともビスマス(Bi)、バリウム(Ba)、鉄(Fe)及びチタン(Ti)を含むペロブスカイト構造の複合酸化物を用いることもできる。これによれば、環境への負荷が少ない非鉛系材料を用いて超音波センサー素子1を実現できる。
このようなペロブスカイト型構造、すなわち、ABO型構造のAサイトは、酸素が12配位しており、また、Bサイトは酸素が6配位して8面体(オクタヘドロン)をつくっている。鉛を含まない上記の圧電体層15の例では、AサイトにBi、Ba及びLiが、BサイトにFe、Tiが位置している。
Bi、Ba、Fe及びTiを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物では、その組成式は(Bi、Ba)(Fe、Ti)Oとして表されるが、代表的な組成としては、鉄酸ビスマスとチタン酸バリウムとの混晶として表されるものである。かかる混晶は、X線回折パターンで、鉄酸ビスマスやチタン酸バリウムが単独では検出できないものをいう。混晶の組成から外れる組成も含むものである。
ここでのペロブスカイト構造の複合酸化物には、欠損・過剰により化学量論の組成からずれたものや、元素の一部が他の元素に置換されたものも含まれる。すなわち、ペロブスカイト構造を取り得る限りにおいて、格子不整合、酸素欠損等による不可避な組成のずれは勿論、元素の一部置換等も許容される。
そして、ペロブスカイト構造の複合酸化物の構成は前記の例に制限されず、他の元素を含んで構成してもよい。例えば圧電体層15は、マンガン(Mn)をさらに含むことが好ましい。これによれば、リーク電流を抑制しやすくなり、例えば非鉛系の材料として信頼性の高い超音波センサー素子1を実現できる。
圧電体層15のAサイトのBiをリチウム(Li)、サマリウム(Sm)、セリウム(Ce)等で置換するようにしてもよく、BサイトのFeをアルミニウム(Al)、コバルト(Co)等で置換するようにしてもよい。これによれば、各種特性を向上させて構成や機能の多様化を図りやすくなる。これら他の元素を含む複合酸化物である場合も、ペロブスカイト構造を有するように構成されることが好ましい。
以上説明した圧電素子17では、回路(図3等に示す24)による電圧印加によってたわみ変形させられて、振動板13とともに弾性変形して超音波が発生する。圧電素子17のたわみ変形のしやすさは、圧電素子17や振動板13の構成材料や厚さ、配置位置や大きさによって変わってくるため、用途や使用態様に応じて適宜調節することが可能である。
各材料に固有の共振周波数を利用して、これと圧電素子17に印加する電荷信号の周波数とを一致又は実質的に一致させ、共振を利用して圧電素子17をたわみ変形させるようにしてもよい。
ここで、本実施形態では、圧電素子17を含む領域が封止板22によって包囲されている(包囲領域)。そして、振動板13の圧電素子17とは反対側が超音波の通過領域とされる一方、封止板22の圧電素子17に対向する面に、超音波を拡散させる凹部23が形成されている。言い換えれば、封止板22の圧電素子17に対向する面が、凹部23によって形成されるディンプル面とされている。このように凹部23は複数形成することができる。
これによれば、測定対象物に発信される超音波とは異なる方向(例えば反対方向)に発信される他の超音波を、凹部23が形成されている面で乱反射させることができる。乱反射した超音波は、測定対象物側に達しにくくなり、測定対象物の方向に発信される超音波や、測定対象物から反射されたエコー信号に対して干渉を及ぼしにくくなる。その結果、ノイズの生成を防止でき、高分解能を有する超音波センサー素子1や超音波センサー10を提供できる。
尚、包囲領域では、圧電素子17を含む領域が封止板22によって完全に封止されている必要はなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、圧電素子17が実質的に封止されるように封止板22によって包囲されていればよい。
圧電素子17を含む包囲領域には、音響整合層として機能する樹脂剤19が充填されている。ここでの樹脂剤19は、レンズ部材18、基板12及び振動板13によって区画される領域に満たされた上記の樹脂剤19と同様のものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。音響整合層としては、圧電素子と測定対象物の間の音響インビーダンス差を低減できる樹脂材料であればよく、アクリル(3.37×10−6)、ポリカーボネート(2.68×10−6)、ポリエチレンテレフタレート(2.97×10−6)、ポリエチレン(2.18×10−6)、ポリ塩化ビニル(3.20×10−6)、ポリプロピレン(2.43×10−6)、ABS(2.34×10−6)、ジュラコン(3.35×10−6)、シリコーン(1.5×10−6)等が挙げられ、特に音響インピーダンスが小さいシリコーン樹脂が好ましい。なお、上記かっこ内は音響インピーダンス値kg/m・secを示す。
封止板22は、例えばシリコン材料から構成できる。基板12や振動板13にもシリコン系材料を用いれば、同種の材料により各部の接合性や製造性が容易となる。
次に、以上説明した本実施形態の超音波センサー素子1や超音波センサー10の構成について、図3(a)〜(c)を用いて更に詳述する。図3(a)〜(c)は、超音波センサー10の動作等を示す断面図である。
まず本実施形態の超音波センサー10には、図3(a)に示すように、圧電素子17に電圧を印加するための回路24が電気的に接続されている。回路24は、公知の電源装置(図示せず)や公知のマイクロコンピューターを中心に構成された制御手段(図示せず)等を組み合わせて適宜構成することができる。
回路24は、配線25を介して第1電極14及び第2電極16に接続固定させることができ、これにより構造安定性や電気的信頼性が向上する。一方、回路24は、本発明の要旨を変更しない範囲において第1電極14及び第2電極16とは電気的に分離可能に構成されていてもよく、これによりメンテナンスや修理交換が容易となり、また、超音波センサー素子1や超音波センサー10自体の構成を簡素化させることができるため、多様な用途に用いやすくなる。
図3(b)に示すように、回路24から電荷信号Iinが圧電素子17に印加されると、第1電極14及び第2電極16で挟まれた実質的に駆動部となる圧電体層(圧電体能動部)15がたわみ変形し、振動板13とともに弾性変形して超音波が発生する。上記のように、本実施形態では、振動板13の圧電素子17とは反対側が、測定対象物に向けて発信される超音波等の通過領域となる構成が採用されており、超音波等の良好な通過領域が確保されている。また、電極や配線等の電気的領域や各部材の接着固定領域を測定対象物から遠ざけて、これらと測定対象物との間での汚染や漏れ電流を防止しやすくなっている。
図3(c)に示すように、測定対象物に反射した超音波はエコー信号として振動板13に入射して、これにより振動板13とともに圧電素子17が弾性変形し、発生した電荷信号Ioutが回路24にて測定される。そして、図示しない制御手段で所定の演算がなされ、電荷信号Iin及び電荷信号Ioutの時差や強度等により、測定対象物の有無や測定対象物までの距離が検出される。
ここで、本実施形態では、封止板22の圧電素子17に対向する面に、超音波を拡散させる凹部23が形成されている。言い換えれば、封止板22の圧電素子17に対向する面が、凹部23によって形成されるディンプル面とされている。
従って、図4に示すように、測定対象物とは異なる方向(例えば反対方向)に発信される超音波を、凹部23が形成されている面で乱反射させることができる。乱反射させられた超音波は、測定対象物側に達しにくくなり、測定対象物の方向に発信される超音波や、測定対象物から反射されたエコー信号に対して干渉を及ぼしにくくなる。
このような凹部23の構成例を、図5(a)〜(c)を用いて詳述する。図5(a)〜(c)は、凹部23の拡大断面図(図2のB−B′線拡大断面図)である。
凹部23aは、図5(a)に示すように、内面が曲面状であるように構成できる。これによれば、測定対象物とは異なる方向に発信される超音波を乱反射させやすくなる。また凹部23bは、図5(b)に示すように、内面がテーパー状である三角錐型となるように構成できる。これによれば、測定対象物とは異なる方向に発信される超音波をテーパー面で乱反射させることができ、除去部分も比較的少なく耐久性を維持しやすくなる。さらに凹部23cは、図5(c)に示すように、内面が垂直面及び水平面を含んだ四角柱型となるように構成できる。これによれば、測定対象物とは異なる方向に発信される超音波を垂直面及び水平面で乱反射させることができ、その製造も容易となる。
凹部23の構成例について、図6(a)〜(c)を用いて更に詳述する。図6(a)〜(c)は、凹部23を圧電素子17側(図5のC−C′方向)からみた拡大平面図である。
内面が曲面状である凹部23aを採用する場合(図5(a)参照)、その開口の半径rは、包囲された領域内の超音波の音速をc、及び圧電素子17とは反対側に発信される超音波の発信周波数をfとしたときに、下記式(1)を満たすことが好ましい。これによれば、測定対象物とは異なる方向に発信される超音波を確実に乱反射させることができる。
[式1]
r<c/(2πf) ・・・ (1)
また、三角錐型の凹部23bを採用する場合や(図5(b)参照)、四角柱型の凹部23cを採用する場合(図5(c)参照)、その開口の外接円が上記の式(1)を満たすことが好ましい。これによれば、測定対象物とは異なる方向に発信される超音波を確実に乱反射させることができる。
尚、凹部23はこれらに制限されない。例えば図5(a)〜(c)に示す凹部23を組み合わせ、内面が曲面状及びテーパー状を有し、かつ、垂直面及び水平面を含む段差部を有するように構成してもよい。図5(a)〜(c)に示す態様以外の凹部を採用する場合でも、その開口の外接円が上記の式(1)を満たすことが好ましい。
複数の凹部23の全てを同一態様にする必要性はないが、複数の凹部23の全てを同一態様にすることで製造容易性が向上する。複数の凹部23の形状は配置を適宜変更させてディンプル面を構成し、測定対象物とは異なる方向に発信される超音波を乱反射させる機能を調節してもよい。
このような超音波センサー素子1等では、圧電素子17が、超音波を発信させる発信装置及び反射するエコー信号を受信する受信装置を兼ねることが好ましい。これによれば、これによれば、小型化に有利な超音波センサー素子1を提供できる。ただし、超音波を発信させる発信装置と、反射するエコー信号を受信する受信装置と、を別個に具備しても構わない。
次に、本実施形態の超音波センサーの製造方法の一例について、図7〜図8を参照して説明する。図7〜図8は、超音波センサーの製造例を示す断面図である。尚、ここでは超音波センサー素子を具備し、音響整合層が形成された超音波センサーの製造方法の一例を説明するが、かかる音響整合層を形成する工程を省略し、超音波センサー素子の製造方法とすることもできる。
まず、図7(a)に示すように、基板12に振動板13を熱酸化等で形成後、振動板13に、ジルコニウムを成膜して例えば500〜1200℃の拡散炉で熱酸化し、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜20を形成する。そして、絶縁体膜20に、密着層21をスパッタリング法や熱酸化等で形成する。
その後、図7(b)に示すように、密着層21に、第1電極14をスパッタリング法や蒸着法等により形成し、この密着層21及び第1電極14が所定の形状となるように同時にパターニングする。
次いで、第1電極14に圧電体層15を積層する。圧電体層15は、例えば金属錯体を溶媒に溶解・分散した溶液を塗布乾燥し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電材料を得る、CSD(Chemical Solution Deposition)法を用いて形成できる。尚、CSD法に限定されず、例えば、ゾル−ゲル法や、レーザアブレーション法、スパッタリング法、パルス・レーザー・デポジション法(PLD法)、CVD法、エアロゾル・デポジション法等を用いてもよい。
その後、圧電体層15に、第2電極16をスパッタリング法や熱酸化等により形成する。これにより、図7(c)に示すように、密着層21に、第1電極14、圧電体層15及び第2電極16からなる圧電素子17が形成される。
次に、図8(a)に示すように、基板12の全周にマスク膜26を形成する。そして、図8(b)に示すように、マスク膜26を介して基板12をKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、基板12の圧電素子17に対向する領域を除去する。
そして、図8(c)に示すように、圧電素子17に対向する領域が除去された空間を樹脂剤19で満たし、基板12の振動板13とは反対側にレンズ部材18を接合する。このとき、基板12やレンズ部材18の必要箇所に孔を形成し、レンズ部材18を接合した後、形成した孔から樹脂を充填させるようにしてもよい。その後、例えばシリコン材料からなる封止板形成基板に対し、圧電素子17を包囲する領域や凹部23をエッチング等により形成し、樹脂剤19を満たして封止板22を振動板13に接合する。以上のように、超音波センサー10を製造することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、その基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
本発明の一実施形態である超音波センサー素子1や超音波センサー10は、種々の圧力センサーとして用いることができるため、プリンター等の液体噴射装置にも適用できる。図9は、インクジェット式記録装置(液体噴射装置)の一例を示す概略図である。
図9に示すインクジェット式記録装置IIにおいて、インクジェット式記録ヘッドIを有する記録ヘッドユニットIA及びIBは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニットIA及びIBを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニットIA及びIBは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニットIA及びIBを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
また、本発明の一実施形態である超音波センサー素子1や超音波センサー10は、優れた変位特性を示すことから、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに限られず、圧電モーター、超音波モーター、圧電トランス、振動式ダスト除去装置、圧力−電気変換機、超音波発信機及び加速度センサー等に好適に適用することができる。
そのほか、上記のとおり超音波センサー素子1や超音波センサー10では、振動板13の圧電素子17とは反対側が、測定対象物に向けて発信される超音波や測定対象物からのエコー信号の通過領域となる構成が採用されており、電極や配線等の電気的領域や各部材の接着固定領域を測定対象物から遠ざけて、これらと測定対象物との間での汚染や漏れ電流を防止しやすくなる。従って、汚染や漏れ電流を特に嫌う医療用の機器、例えば超音波診断装置、血圧計及び眼圧計にも好適に適用できる。
1 超音波センサー素子、 10 超音波センサー、 11 開口部、 12 基板、 13 振動板、 14 第1電極、 15 圧電体層、 16 第2電極、 17 圧電素子、 18 レンズ部材、 19 樹脂剤、 20 絶縁体膜、 21 密着層、 22 封止板、 23 凹部、 24 回路、 25 配線、 26 マスク膜

Claims (7)

  1. 開口部が形成された基板と、前記開口部を塞ぐように前記基板に設けられた振動板と、
    前記振動板の前記開口部とは反対側に積層された第1電極、圧電体層及び第2電極からなる圧電素子と、を具備し、
    前記圧電素子を含む領域が封止板によって包囲されており、
    前記封止板の前記圧電素子に対向する面に内面が曲面状である凹部が形成され、
    前記凹部の開口の半径rは、前記包囲された領域内の超音波の音速をc、及び前記圧電素子とは反対側に発信される超音波の周波数をfとしたときに、下記式(1)を満たすことを特徴とする超音波センサー素子。
    [式1]
    r<c/(2πf) ・・・ (1)
  2. 前記凹部の開口の外接円が前記式(1)を満たすことを特徴とする請求項に記載の超音波センサー素子。
  3. 前記圧電素子が、前記超音波を発信させる発信装置及び反射するエコー信号を受信する受信装置を兼ねることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波センサー素子。
  4. 請求項1〜の何れか一項に記載の超音波センサー素子を具備し、
    前記基板と前記振動板に区画される領域に、樹脂を含む整合層が構成されていることを特徴とする超音波センサー。
  5. 前記樹脂がシリコーン樹脂からなることを特徴とする請求項に記載の超音波センサー。
  6. 前記振動板とは反対側の前記基板の前記開口部を塞ぐレンズ部材を具備することを特徴とする請求項又はに記載の超音波センサー。
  7. 開口部が形成された基板と、前記開口部を塞ぐように前記基板に設けられた振動板と、前記振動板の前記開口部とは反対側に積層された第1電極、圧電体層及び第2電極からなる圧電素子と、を具備し、
    前記圧電素子を含む領域を封止板により包囲する工程と、
    前記封止板の前記圧電素子に対向する面に内面が曲面状である凹部を形成する工程と、を有し、
    前記凹部の開口の半径rは、前記包囲された領域内の超音波の音速をc、及び前記圧電素子とは反対側に発信される超音波の周波数をfとしたときに、下記式(2
    )を満たすことを特徴とする超音波センサー素子の製造方法。
    [式2]
    r<c/(2πf) ・・・ (2)
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