〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る電子書籍装置の構成例を示す図である。この電子書籍装置2は、たとえば記憶した電子書籍データを読み出し、文字や画像を含んで形成されたページを表示させる。また、電子書籍装置2は、表示された内容に対する入力操作に応じて、次のページへの切替え機能を備える。すなわち、この電子書籍装置2には、少なくとも表示機能、入力操作機能とともに、ページの切替え操作に対する操作感覚を利用者に与える機能を備えている。この電子書籍装置2は、たとえばPC(Personal Computer)やスマートフォンやタブレット(Tablet)などの情報処理端末装置、携帯電話機、携帯型ゲーム機などが含まれる。
電子書籍装置2は、たとえば記憶部4、表示手段6、入力手段8、振動手段12、制御部14を備えている。
記憶部4は、電子書籍プログラムや利用者による操作において検出した情報を記憶する手段の一例である。この記憶部4は、たとえば電子書籍装置2の筐体内部に形成され、または挿抜可能な外部記憶手段で形成されてもよい。その他、記憶部4には、たとえば電子書籍装置2を動作させる動作制御プログラムなどを格納してもよい。
電子書籍装置2は、取得した電子書籍プログラムを記憶部4内に常に記憶させてもよく、または通信手段を介してWebサイトなどで購入し、または借りた電子書籍プログラムを記憶部4に格納してもよい。
表示手段6は、実行処理された電子書籍プログラムの電子書籍ページを表示する手段の一例であり、たとえば1ページまたは複数ページが表示されるほか、操作案内表示やその他の機能情報などを表示させる。表示手段6には、たとえば利用者によるページ切替え操作に応じて、現在表示している第1のページ(I)から第2のページ(II)への切替え画像を表示させるほか、第2のページのみを表示させてもよい。
入力手段8は、本開示の入力操作検出手段の一例であり、表示手段6の表示面側に設置され、利用者の生体部位10の接触位置や接触状態を検出する。この入力手段8は、たとえば表示手段6と組み合わせたタッチパネルで形成されており、表示手段6に表示される電子書籍画像の表示内容と関連付けされている。すなわち、電子書籍装置2では、入力手段8に対する生体部位10の接触位置と、電子書籍画像に含まれる操作部分の表示位置とが一致することで入力操作が行われる。
生体部位10には、たとえば電子書籍装置2の利用者の指や掌、その他の体の一部が含まれる。電子書籍装置2では、表示手段6に表示される電子書籍ページ画像に対し、生体部位10を接触させ、その接触状態のままページを送りたい方向に向けたスライド操作として、所謂スワイプ(Swipe)操作やフリック(Flick)操作が行われる。スライド操作は、たとえば利用者が1本の指を接触させる場合や、2本以上の指を同時に接触させる場合、または掌を入力手段8に接触させる場合も含まれる。電子書籍装置2では、この生体部位10の接触位置やスライド方向、スライド量に基づいて、第1のページから第2のページへの切替え処理が実行される。
振動手段12は、表示手段6の表示面や電子書籍装置2の筐体を振動させる手段の一例であり、表示手段6への画像の表示処理タイミングや入力手段8に対する生体部位10の接触タイミング、スライド操作のタイミングで振動する。
制御部14は、電子書籍ページの表示処理や入力手段8に対する利用者の入力操作に応じたページ切替え処理などの動作制御を行う手段の一例である。また制御部14は、たとえば電子書籍ページの表示処理において、振動手段12による振動発生制御を行い、利用者に対して操作感覚を与える。
電子書籍装置2では、たとえば図2のAに示すように、表示画面に対して表示ページを送り、他のページに切替える切替え操作において、利用者の生体部位10が入力手段8上にスワイプ操作を行わせる。このとき制御部14では、入力手段8が検出した生体部位10の接触位置およびスライドする方向を監視している。具体的には、制御部14は、生体部位10が始めに接触した位置Aからスライド操作の停止、または生体部位10を入力手段8から離した位置Eまでの接触位置や操作軌跡を監視している。制御部14は、入力手段8が検出した生体部位10の接触位置について、表示画面16上に設定された座標などに基づいて、位置A、位置B、位置C、位置D、位置Eのスライド方向や変位量などを把握してもよい。
そして電子装置2は、図2のBに示すように検出した接触位置に対して振動強度設定テーブル18を作成し、それぞれの生体部位10の接触位置に対して振動強度Pが設定される。このとき振動強度Pは、たとえば最初の接触位置Aで最も強く振動させ、スライド操作に応じて徐々に振動強度を減衰するように変化させ、ページの切替え操作が完了する接触位置Eで、最も弱くなるように設定される。
この電子書籍装置2は、このような振動変化を与えることで、利用者に対して書籍ページをめくる感覚を与えている。すなわち、ページのめくり始めは、たとえば切替えるページ(Iページ)に対し、次の切り替わるページ(IIページ)との接触面積が大きく、スライド操作時の抵抗力が大きいことを振動強度の強さで表現する。
<表示処理について>
図3は、電子書籍装置の表示処理の一例を示している。図3に示す処理内容、処理手順は一例であり、本開示が斯かる内容に限定されるものではない。
この表示処理は、本開示の電子書籍プログラムの一例であり、入力手段8に対する操作検出処理、ページ切替え表示処理、操作に対する振動処理などが含まれる。
電子書籍装置2は、たとえば利用者の選択操作に応じて記憶部4に格納された電子書籍プログラムを実行し、その電子書籍ページを表示手段6に表示させる(S1)。制御部14は、入力手段8からの検出情報に基づいて表示手段6の表示面に対する生体部位10の接触検知を行う(S2)。制御部14は、たとえば取得した接触位置の情報を初期位置として記憶部4に記録する(S3)。このとき記憶部4には、たとえば接触位置の情報を含む振動強度設定テーブル18が形成される。
電子書籍装置2は、初期位置の検出タイミングで、振動手段12を最高強度で振動させる(S4)。電子書籍装置2には、たとえば複数個の振動手段12を配置してもよい。そして電子書籍装置2は、たとえば設置された全ての振動手段12を最高強度で振動させてもよく、または初期位置に近い位置に配置された振動手段12を振動させてもよい。
入力手段8は、生体部位10の接触操作の検出を継続させ、初期位置からの操作方向および接触位置情報を取得して(S5)、制御部14に通知する。この接触位置情報は、たとえば記憶部4に生成された振動強度設定テーブル18に記録されればよい。
電子書籍装置2は、入力手段8に対する生体部位10の接触位置の変化に応じて制御部14によって振動強度が設定され、この振動強度に基づいて振動手段12を振動させる(S6)。電子書籍2の利用者は、ページを切替えるためにスライド操作を行うと、ページの切替えが進むにつれて弱い振動になり、ページのめくり操作感覚を感じることになる。
斯かる構成によれば、ページをめくる感覚を直接的に利用者に与えるので、ページの切替えの操作性を向上させることができる。タッチパネルへの操作感覚によってページめくりの正否を利用者に把握させるので、表示されたページ数などの確認作業を軽減でき、利用者の読書の継続を妨げない。また、スライド操作に応じて振動を変化させることで、ページの切替えの状態や適否を利用者に感覚的に把握させることができ、無駄なやり直し操作などが回避される。
〔第2の実施の形態〕
図4は、第2の実施の形態に係る電子書籍装置の一例を示す図である。
表示装置20は、本開示の電子書籍装置の一例であり、たとえば電子書籍ページを表示する表示機能、画面に対する接触操作によりページ切替えを行う入力操作機能、および接触操作に応じて振動する振動機能を備える。表示装置20は、電子書籍プログラムの実行や表示制御および振動制御などの制御機能を有するコンピュータで形成される。
表示装置20は、表示面が配置される前面に対し、その側面周囲や背面側に配置される筐体22が形成される。筐体22には、内部にコンピュータを形成する機能部品が収納されるほか、モニタ24の表示面を筐体22外部に露出して配置される。モニタ24の表示面上には、タッチパネルセンサ26が設置される。タッチパネルセンサ26は、筐体22からの露出面の設置高さが筐体22の側面部分の高さと同等に形成されればよい。
モニタ24は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)ユニットや有機EL(Electro Luminescence)表示ユニットなどで形成され、生成された電子書籍ページを表示する。タッチパネルセンサ26は、本開示の入力操作検出手段の一例であり、たとえば利用者の指などの接触に対し、静電容量の変化や接触圧力の大きさを検出することで接触入力を可能にする手段の一例である。
表示装置20は、筐体22の内部に振動素子28を備えている。振動素子28は、本開示の振動手段の一例であり、図示しない駆動モータの回転力により振動するものや、電圧の印加によって素子自体が振動するものが含まれる。振動素子28は、たとえば筐体22の内部において、モニタ24の背面やその周囲の筐体22の一部に接触しており、モータの駆動や素子自体の発振によってモニタ24や筐体22を振動させる。振動素子28は、筐体22の内部に所定の間隔を持たせて複数個が設置されるほか、単一または一定の長さで形成され、筐体22の各辺に合せて1つずつ設置してもよい。振動素子28は、たとえばそれぞれ独立してモータや回路が形成され、独立して振動させてもよく、または複数個ずつ、もしくは全てを単一のモータや回路で連結させてもよい。
<電子書籍ページの表示状態について>
モニタ24には、たとえば図5に示すように、文字や写真、アイコン、その他の表示内容を含む電子書籍ページ30が表示される。この電子書籍ページ30は、モニタ24の表示可能領域内の全部、または設定された大きさで表示される。タッチパネルセンサ26には、モニタ24に表示された電子書籍ページ30の表示範囲の周縁に合せて、境界線31が設定される。
この境界線31は、電子書籍のページ切替え操作において、利用者の指などによるスライド操作に連動した振動動作を終了させる範囲を設定している。そして表示装置20では、利用者の指などが電子書籍ページ30の特定の位置M1に接触し、スライド操作を開始した場合、境界線31で区切られた範囲外に指が出たことを契機に振動動作を停止させる。スライド操作は、タッチパネルセンサ26により、表示範囲上に設定された座標情報に基づいて管理される。
電子書籍ページ30に対するスライド操作では、指などが最初に接触した位置M1が基準位置として設定され、その位置M1に接触したときの振動強度が最も大きく設定され、その位置から離れることで振動強度を減衰させる。またページの切替え処理では、位置M1に対し、電子書籍に設定された方向へのスライド量やスライド位置が監視され、電子書籍ページ30に対して次のページに切替え可能なモードに移行する。このスライド位置は、たとえば位置M1に対して特定の方向にある境界線31を設定してもよい。
境界線31は、電子書籍ページ30の表示内容や表示方向に関わらず、電子書籍ページ30の大きさに基づいて設定される。すなわち境界線31は、表示内容が縦長に1ページずつ表示される電子書籍ページの場合に限られず、横長に表示される場合や、見開き2ページが表示される場合であっても、その電子書籍ページ30の大きさによって設定される。
<ページ切替え操作について>
表示装置20は、たとえば図6に示すように、タッチパネルセンサ26を縦方向に区分けする基準軸LX、または横方向に区分けする基準軸LYが設定される。基準軸LX、LYは、たとえばモニタ24に設定された表示方向、すなわち電子書籍ページ30が表示される方向を基準に縦、横の方向が設定されればよい。これにより、表示装置20は、モニタ24を縦長の方向から横長の方向に傾けた場合、電子書籍ページ30の表示内容が縦長から横長に切替えられるとともに、長辺方向に平行に基準軸LX、短辺方向に平行に基準軸LYが設定されればよい。この基準軸LX、LYは、指などのスライド操作に対し、ページ切替え可能な状態に移行させるか否かの判断を行う基準の一例である。
タッチパネルセンサ26は、たとえば基準軸LXおよびLYにより操作検出領域〔R1〕〜〔R4〕が設定される。表示装置20のページ切替え操作では、最初に指が接触した位置M1を基準にページ切替え処理を行う。すなわち表示装置20は、スライド操作の開始時に接触した領域と異なる領域に達した場合、電子書籍のページを切替え可能な状態に移行させる。表示装置20は、位置M1が含まれる操作検出領域を把握し、スライド操作を監視する。
表示装置20は、たとえば切替え前の第1の電子書籍ページ30に対し、指が接触した位置M1が含まれる領域〔R1〕および同一ページに含まれる領域〔R2〕に対し、位置M1または指の接触位置に合せて切替えページ32を生成して表示させる。切替えページ32は、スライド操作の位置に応じてページをめくる状態を視覚的に示すページ操作画面の一例であり、第1の電子書籍ページ30の表示内容と、切替え後の第2のページ34の表示内容が含まれる。この切替えページ32は、指のスライド位置に応じて、第1のページ30と第2のページ34の表示割合が設定される。表示装置20は、最初に指が接触した領域内でのスライド操作によりページの切り替えを行わないように設定される。
切替えページ32を表示させる領域は、電子書籍プログラムのページ切替え方向や、基準軸LX、LYによる区分け状態に応じて設定される。従って、切替えページ32は、たとえば電子書籍ページが縦方向にスライド操作される場合であって領域〔R1〕に接触位置M1がある場合、領域〔R1〕とともに、領域〔R2〕以外の領域に表示される。
また表示装置20は、電子書籍ページの切替え操作に連動して振動素子28を振動させる。表示装置20は、位置M1に接触したときに振動素子28による振動強度を最大に設定し、スライド操作に応じて振動強度を減衰させる。すなわち、表示装置20は、スライド操作によって生成される切替えページ32において、第1の電子書籍ページ30と第2のページ34の表示割合に応じて振動素子28の振動周波数などを変更し、振動強度を設定する。
そして表示装置20は、スライド操作により基準軸LXまたはLYを跨ぎ、指が最初に接触した領域から他の操作検出領域に達したことを検出することにより、ページ切替え可能な状態に移行させる。ページ切替え可能な状態に移行した表示装置20は、利用者が指をタッチパネルセンサ26から離したことを契機に切替えページ32から第2のページ34に表示内容を切替える。この表示内容の切替えは、たとえば切替えページ32と第2のページ34を入れ替えてもよく、または第2のページ34の表示割合を段階的に増加させていく切替えページ32を連続的に生成してもよい。
<元の位置に戻すスライド操作について>
表示装置20は、たとえば図7に示すように、タッチパネルセンサ26上において、指が位置M1から他の領域を通過し、再び位置M1に戻す軌跡Sでスライド操作を行った場合、切替え可能なモードを解除する。そして、表示装置20は、指が位置M1においてタッチパネルセンサ26から離れた場合、切替えページ32から第1の電子書籍ページ30に表示内容を切替える。
このとき振動素子28は、たとえば位置M1において最大の振動強度で振動し、領域〔R2〕、領域〔R4〕に対する軌跡S上の変位に従って振動強度を減衰させた後、領域〔R4〕から領域〔R3〕を経て領域〔R1〕に向けて再度振動強度を増加させる。振動強度は、たとえば基準軸LX、LY上の座標に基づいて設定されればよい。
<電子書籍ページの他の表示例について>
表示装置20は、たとえば図8に示すように、モニタ24に対して電子書籍を1ページずつ表示し、このページに対する切替え操作に応じてページの切替え処理が行われる。この表示装置20には、たとえば既述のように、タッチパネルセンサ26の中心部分に対して縦横方向に2本の基準軸LX、LYが設定されている。
表示装置20は、タッチパネルセンサ26で検出された利用者の接触位置をM1と設定し、最大強度で振動を開始する。この電子書籍プログラムには、たとえば電子書籍ページの切替え方向として、領域〔R1〕または領域〔R2〕側から基準軸LYを跨ぐ方向が設定されている。
表示装置20は、たとえば区分けされたタッチパネルセンサ26に対し、第1の電子書籍ページ30の領域〔R1〕または領域〔R2〕に接触した後、スライド操作によって基準軸LYを跨ぎ、領域〔R3〕の位置M2に達すると、ページ切替え可能な状態となる。このとき、振動素子28は、図示しない位置M1からのスライド操作量や位置に応じて振動強度を減衰させる。
表示装置20は、領域〔R3〕に接触位置M2が検出されると、この位置M2に合せて切替えページ32の一部が配置され、その位置を基準に、左右方向に第1の電子書籍ページ30と第2のページ34の表示割合を設定した切替えページ32を生成する。
また表示装置20は、たとえば図9に示すように、利用者の指が位置M1からスライド操作によって基準軸LYおよびLXを跨いで、他の領域に達した場合であっても、連続して再び領域〔R1〕に戻る場合には、ページの切替え可能な状態を解除する。このとき振動素子28は、利用者が指を戻した位置が初期の位置M1と異なる場合、たとえば位置M1からの距離に応じて振動強度を異ならせてもよい。具体的には、振動素子28は、電子書籍プログラムの基準軸LX、または基準軸LYの値が小さくなる方向に対して振動強度が増加する。そして、領域〔R1〕に達すると、位置M1から離間した分、振動強度の最大値から減衰させる。
なお、表示装置20の切替え方向は、領域〔R1〕または領域〔R3〕から基準軸LXを跨ぐ方向に設定してもよい。また、表示装置20は、基準軸LX、LYを共に設定する場合に限られない。表示装置20は、たとえば表示される電子書籍ページの表示内容や、電子書籍プログラムに設定されたページ切替え操作の方向により、基準軸LXまたはLYのいずれか一方のみを設定してもよい。
<ページ切替え操作に対する処理について>
図10は、ページ切替え操作に対する処理の一例を示している。
表示装置20は、タッチパネルセンサ26による油部などの接触の検出によりページ切替えの入力処理を監視し(S11)、利用者の指が接触すると、ページ切替え操作を行う利用者に対してページのめくり感覚を与えるため、スライド操作に連動して振動制御処理を行う(S12)。この振動制御処理では、たとえばタッチパネルセンサ26による指の接触位置情報、圧力センサ40による操作力情報が制御部42に取り込まれ、振動素子28による振動強度などが設定される。また振動制御処理では、たとえば振動手段の振動強度の調整手段として、電源部44による給電量の制御が行われる。
そして、モニタ24を含む表示部では、電子書籍ページ30に対して切替えページ32の表示処理とともに、スライド操作に応じて振動素子28を振動させたバイブレーション処理が行われる(S13)。
<制御部の構成例について>
図11は、表示装置20などの電子書籍装置の制御部の構成例を示している。
表示装置20には、電子書籍ページの切替えを行う機能として、制御部42、振動部品60、センサ62、タッチパネルセンサ26、モニタ24、電源部44を備えている。制御部42は、ページ切替えの接触やスライド操作の監視やその操作に応じた切替えページ32の生成処理、振動制御処理を行う手段の一例であり、CPU(Central Processing Unit)50、メモリ52、データベース54、I/O(Input/Output)56を備える。
CPU50は、表示装置20を動作させるOS(Operating System)や電子書籍プログラムなどのアプリケーションプログラムを実行させる演算処理手段の一例である。メモリ52は、たとえばRAM(Random Access Memory)を備え、CPU50が演算処理する各種プログラムの処理領域を形成する。
データベース54は、記憶手段の一例であり、OSや電子書籍プログラムを記憶するとともに、タッチパネルセンサ26やその他のセンサ62による検出情報を記録する領域を備える。またデータベース54には、たとえば接触位置M1から指のスライド方向、接触位置の変移に応じて算出された振動強度の指示情報が格納される。I/O56は、表示装置20に搭載される各機能部品と制御部42とを接続するインターフェースの一例である。
振動部品60は、モニタ24や筐体22を振動させる手段の一例であり、給電制御により振動状態が変化する振動素子28や、モータなどの駆動手段を利用して振動する振動手段が含まれる。
センサ62は、表示装置20に設置されたタッチパネルセンサ26以外の各種検出手段の一例である。センサ62には、たとえばスライド操作によって負荷される力を検出する圧力センサ40や、利用者により携帯され、または支持部品などにより支持された表示装置20の傾斜方向を検出するジャイロセンサなどが含まれる。このセンサ62の検出情報は、たとえばページの表示方向の切替えや、ページの切替え枚数の設定処理または表示方向に基づいた基準軸LX、LYの設定に利用される。
電源部44は、表示装置20に対する給電手段の一例であり、バッテリユニットや外部の商用電源を通じて給電させる給電回路を備えている。
<電子書籍の表示処理について>
図12は、電子書籍の表示処理例を示すフローチャートである。この表示処理は、本開示の電子書籍プログラムの一例である。
表示装置20は、選択された電子書籍プログラムを実行すると(S31)、特定の電子書籍ページ30をモニタ24に表示させる(S32)。制御部42では、タッチパネルセンサ26の検出情報を監視し、利用者の指による接触が認識されたか否かを判断する(S33)。指の接触が検出されると(S33のYES)、接触位置が読み取れるか否かを判断し(S34)、最初の接触位置M1を特定する。この接触状態の監視は、接触位置M1が特定できるまで(S34のNO)、繰り返し行われる。
制御部42は、接触位置M1が特定されると(S34のYES)、振動素子28による振動処理および振動強度を変化させる振動制御に移行する(S35)。また制御部42は、検出された指の接触位置に合せたページのめくり状態を示す画像の表示として、切替えページ32を生成する(S36)。
制御部42は、ページの切替え可能な状態への移行判断として、指の接触位置が基準軸LX、LYのいずれかを越えて連続的にスライド操作が行われたか否かを判断する(S37)。制御部42は、指の接触監視結果から、基準軸を越えたと判断した場合(S37のYES)、その振動処理として、振動強度の減衰量を変化させるように振動制御を行う(S38)。この振動制御では、たとえば初期位置M1が含まれる領域と、基準軸を越えて操作された領域での振動状態を変化させることで、利用者にページが切替え可能な状態になったことを把握させる。
制御部42は、指の接触監視によりタッチパネルセンサ26から指を離したか、または連続した操作により初期領域に戻ったかを判断する(S39)。利用者が指をタッチパネルセンサ26から離した場合(S39の「離した」)、切替え可能な状態に移行しているので、制御部42は、表示ページを切替え、第2のページ34をモニタ24に表示させる(S40)。制御部42は、タッチパネルセンサ26の検出結果に基づき、利用者の接触が解除されると、振動部品60に対する停止制御や電源部44に対する給電制御により、振動素子28の振動を停止させる。
利用者が指を離さずに現在の領域または初期領域以外でスライド操作を行っている場合(S39の「離さない、戻らない」)、制御部42は、接触している領域の振動条件に基づいて振動制御を実行し(S41)、継続して指の接触監視を行う。
そのほか、制御部42は、利用者の指が初期領域に戻った場合(S39の「戻った」)、継続して指の接触状態の監視が行われる。
また制御部42は、利用者の指が基準軸を越えずにスライドしていると判断した場合(S37のNO)、初期位置M1からの距離などに応じて振動制御を行い(S42)、指の接触状態を監視する(S43)。そして、指がタッチパネルセンサ26から離れた場合(S43のYES)、めくり状態を示す切替えページ32を消去し、元の第1の電子書籍ページ30を表示させる(S44)とともに、振動を終了させる(S45)。
指が離れずにスライドを行う場合(S43のNO)、制御部42は、継続して指の接触監視を行う。
<指のスライド操作に応じた振動強度の設定について>
図13ないし図18は、ページ切替え操作に対する振動強度の設定処理例を示している。図13ないし図18に示す振動強度の値および接触位置座標、振動強度の変化状態は一例であり、振動強度の変化状態について、図示した内容に限定するものではない。
この振動強度の設定処理では、最初に接触した位置M1において最大振動強度が設定されるとともに、この位置M1を基準に、X方向の位置のみに基づいて振動強度を算出する。また制御部42は、基準軸LYを境界として、ページ切替え可能状態への移行を行う。また図中の矢印は、タッチパネルセンサ26による検出情報の内、X方向の検出順序を示している。またこの振動強度の設定では、基準軸LX、LYによって区分けされたタッチパネルセンサ26上の領域〔R1〕内に最初の接触が行われた場合を示している。
<振動制御例1>
制御部42は、たとえば図13に示すように、最初の接触位置として座標(X1、Y1)を検出すると、この位置における振動強度を最大値である初期振動強度Fsに設定する。指の接触監視では、たとえば一定時間t毎の接触座標をタッチパネルセンサ26によって検出する。振動強度の設定処理では、指の接触監視において取得した位置座標のうち、X方向の位置座標および指のスライド方向を利用する。
制御部42は、時間t経過後に検出された座標(X2、Y2)を取得すると、そのX方向の変化方向を判断し、ページの切替えに移行する基準軸LY方向に変位しているかを判断する。そして位置X2での振動強度Fは、たとえば以下の式(1)に基づいて算出される。ここで基準軸LYのX方向の座標をXkとすると、(X2≦Xk)の場合の振動強度Fは、
F=Fs−a×|X2−X1| ・・・(1)
となる。式(1)のaは、領域〔R1〕における振動強度の変化の傾きを示す定数である。
接触位置が領域〔R1〕の場合、すなわちX方向の座標が(X≦Xk)のときの振動強度Fは、以下の式(2)を利用して算出される。
F=Fs−a×|X−X1| ・・・(2)
制御部42は、初期接触位置からのスライド操作による指の接触位置の変移量に比例して振動強度を減衰させている。この振動強度の設定処理では、t時間毎に式(2)を利用して振動強度Fを積算する。
スライド操作によって指が基準軸LYに重なった場合、すなわちX=Xkとなったときの振動強度Fkは、式(2)によって算出される。
Fk=Fs−a×|Xk−X1| ・・・(3)
制御部42は、たとえばメモリ52に、算出したFkの値を保持する。
指が基準軸LYを跨ぎ、領域〔R1〕から領域〔R3〕に進入してXk<Xとなった場合、この領域内にある位置Xでの振動強度Fは、基準軸LYからの変移量に比例する。
F=Fk−b×|X−Xk| ・・・(4)
となる。この式(4)のbは、たとえば領域〔R3〕における振動強度の変化の傾きを示す定数である。
この振動強度の設定では、領域〔R1〕よりも領域〔R3〕の方が指のスライドによる振動強度の変化を大きくするため、a<bに設定されている。
位置Xnの振動強度算出処理において、1つ前の検出位置X(n−1)から位置Xnへの指のスライド方向が位置X1からX2までのスライド方向と同じで、一定方向へのページ切替え操作が行われた場合、制御部42は、式(4)を利用する。
制御部42は、利用者がページ切替え操作において、領域〔R3〕側に指が達したが、指を離さずに、元の経路を通って逆方向にスライド操作を行った場合、そのスライド操作の方向および接触位置に応じて振動強度を設定する。すなわち、位置XnがX方向への最大位置であり、次の位置X(n+1)のスライド方向が位置X1から位置X2までのスライド方向と逆にした場合、指が接触する領域に応じて、式(2)または式(4)を利用して振動強度Fを算出する。
<振動制御例2>
制御部42は、たとえば図14に示すように、最初の接触位置として座標(X1、Y1)を検出すると、この位置における振動強度を最大値である初期振動強度Fsに設定する。 制御部42は、時間tの経過後に検出された座標(X2、Y2)を取得すると、そのX方向の変化方向を判断し、ページの切替えに移行する基準軸LY方向に変位しているかを判断する。位置X2での振動強度は、既述の式(1)に基づいて算出される。
接触位置が領域〔R1〕の場合、すなわちX方向の座標が(X≦Xk)のときの振動強度Fは、式(2)を利用して算出される。すなわち、制御部42は、初期接触位置からのスライド操作による指の接触位置の変移量に比例して振動強度を減衰させている。
スライド操作によって指が基準軸LYに重なった場合、すなわちX=Xkとなったときの振動強度Fkは、式(3)と同様に算出され、メモリ52に算出した振動強度Fkの値が保持される。
指が領域〔R1〕から領域〔R3〕に進入してXk<Xとなった場合、この領域内にある位置Xでの振動強度Fは、以下の式(5)により算出される。
F=e×1/〔(|X−Xk|)c+d〕 ・・・(5)
この式(5)のc、d、eは、定数である。このうち、dは、基準軸LY上の位置(Xk)での振動強度を保持する値である。式(5)により制御部42は、スライド操作が基準軸LYを越えた場合、X方向への指の変移に対して振動強度Fを急激に変化させることで、ページ切替え可能な状態になったことを利用者に感覚的に伝える。
位置Xnの振動強度算出処理において、1つ前の検出位置X(n−1)から位置Xnへの指のスライド方向が、位置X1からX2までのスライド方向と同じで一定方向へのページ切替え操作が行われた場合、制御部42は、式(5)を利用する。
制御部42は、利用者がページ切替え操作において、領域〔R3〕側に指が達したが、指を離さずに、元の経路を通って逆方向にスライド操作を行った場合、そのスライド操作の方向および接触位置に応じて振動強度を設定する。すなわち、位置Xnから位置X(n+1)へのX方向のスライドが、位置X1から位置X2までのスライド方向と逆になる場合、指が接触する領域に応じて、式(2)または式(5)を利用して振動強度Fを算出する。
<振動制御例3>
制御部42は、たとえば図15に示すように、最初の接触位置として座標(X1、Y1)を検出すると、この位置における振動強度を最大値である初期振動強度Fsに設定する。 制御部42は、時間tの経過後に検出された座標(X2、Y2)を取得すると、そのX方向の変化方向を判断し、ページの切替えに移行する基準軸LY方向に変位しているかを判断する。そして位置X2での振動強度は、たとえば式(1)に基づいて算出される。
接触位置が領域〔R1〕の場合、すなわちX方向の座標が(X≦Xk)のときの振動強度Fは、式(2)を利用して算出される。
スライド操作によって指が基準軸LYに重なった場合、すなわちX=Xkとなったときの振動強度Fkは、式(3)と同様に算出され、メモリ52に算出したFkの値が保持される。
指が基準軸LYを跨ぎ、領域〔R1〕から領域〔R3〕に進入してXk<Xとなった場合、この領域内にある位置Xでの振動強度Fは、基準軸LYからの変移量に比例し、式(4)により算出される。
位置Xnの振動強度算出処理において、1つ前の検出位置X(n−1)から位置Xnへの指のスライド方向が、位置X1からX2までのスライド方向と同じで一定方向へのページ切替え操作が行われた場合、制御部42は、式(4)を利用する。
制御部42は、利用者のページ切替え操作において、領域〔R3〕側に指が達したが、指を離さずに、元の経路を通って逆方向にスライド操作を行った場合、そのスライド操作の方向および接触位置に応じて振動強度を設定する。このページ切替え処理では、切替えページ32の表示から第1の電子書籍ページ30の表示に戻す場合の操作に対しても、振動強度Fが減衰していく。
領域〔R3〕の位置Xnから領域〔R1〕の位置X(n+1)に向けたスライド操作では、以下の式(6)によって振動強度Fが設定される。
F=Fn−f×|X(n+1)−X(n)| ・・・(6)
式(6)のfは、X方向の変移に対する振動強度の変化の傾きを示す定数である。この定数fの値は、ページの切替えを中止して、ページを戻すときの振動強度の変化を示す値であり、式(4)の定数bよりも小さく設定してもよい。
<振動制御例4>
制御部42は、たとえば図16に示すように、最初の接触位置として座標(X1、Y1)を検出すると、この位置における振動強度を最大値である初期振動強度Fsに設定する。この振動制御では、たとえば領域〔R1〕から領域〔R3〕に向けてスライド操作される場合、すなわち第1の電子書籍ページ30から第2のページ34に切替える場合、式(1)から式(4)により振動強度Fが設定される。
位置Xnの振動強度算出処理において、1つ前の検出位置X(n−1)から位置Xnへの指のスライド方向が、位置X1からX2までのスライド方向と同じで一定方向へのページ切替え操作が行われた場合、制御部42は、式(4)を利用する。
このページ切替え処理では、切替えページ32の表示から第1の電子書籍ページ30の表示に戻す場合、領域〔R3〕から領域〔R1〕に向けて振動強度Fの減衰割合を変化させている。制御部42は、以下の式(7)に従って、XnからX(n+1)に向けた振動強度Fを算出する。
F=−e×1/〔(|X−Xk|)c−d〕 ・・・(7)
<振動制御例5>
制御部42は、たとえば図17に示すように、最初の接触位置として座標(X1、Y1)を検出すると、この位置における振動強度を最大値である初期振動強度Fsに設定する。この振動制御では、たとえば領域〔R1〕から領域〔R3〕に向けてスライド操作される場合、すなわち第1の電子書籍ページ30から第2のページ34に切替える場合、式(1)から式(4)により振動強度Fが設定される。
位置Xnの振動強度算出処理では、1つ前の検出位置X(n−1)から位置Xnへの指のスライド方向が、位置X1からX2までのスライド方向と同じで一定方向へのページ切替え操作が行われた場合、制御部42が式(4)を利用して振動強度Fnを算出する。
また、この振動制御では、スライド操作がX方向への最大位置Xnに達した後に、継続してページ切替えと反対方向にスライドさせた場合、位置Xnで振動強度を増加させ、次の検出タイミングの位置X(n+1)に向けて新たに振動強度Fを減衰させる。制御部42は、たとえば位置Xnから位置X(n+1)のスライド操作が位置X1から位置X2までのスライド方向と逆になった場合、位置Xnまたはその近傍に対して、基準振動強度F(l)が設定される。この基準振動強度F(l)は、ページを戻す操作に対する初期振動強度の一例であり、少なくとも初期振動強度Fsよりも小さい値が設定される。
制御部42は、戻り操作を行う場合であって、スライド操作が領域〔R3〕のXnから基準軸LYの位置Xkまでの振動強度Fを設定する場合、以下の式(8)を利用し、振動協働Fを。
F=F(l)−g×|X−Xn| ・・・(8)
ここで、gは、位置Xnから座標Xkに向けた振動強度の変化の傾きを示す定数である。
ページを戻すときのスライド操作により基準軸LYに達したときの振動強度F(k2)は、
F(k2)=F(l)−g×|Xk−Xn| ・・・(9)
となる。基準軸の振動強度F(k2)は、ページ切替えのスライド操作の場合と値を異ならせているがこれに限られない。FkとF(k2)を同等の値になるように式(8)の傾きgを設定してもよい。
そして制御部42は、スライド操作が基準軸LYの位置Xkから位置〔R1〕に達する場合の振動強度を以下の式(10)で算出する。
F=F(k2)−h×|X−Xk| ・・・(10)
ここで、hは、位置Xkから位置Xに向けた振動強度の変化の傾きを示す定数である。また振動強度設定では、基準軸LYを境界として、振動強度の傾きg、hを異ならせたが、これに限られない。
<振動制御例6>
制御部42は、たとえば図18に示すように、最初の接触位置として座標(X1、Y1)を検出すると、この位置における振動強度を最大値である初期振動強度Fsに設定する。この振動制御では、たとえば領域〔R1〕から領域〔R3〕に向けてスライド操作される場合、すなわち第1の電子書籍ページ30から第2のページ34に切替える場合、式(1)から式(4)により振動強度Fが設定される。
位置Xnの振動強度算出処理では、1つ前の検出位置X(n−1)から位置Xnへの指のスライド方向が、位置X1からX2までのスライド方向と同じで一定方向へのページ切替え操作が行われた場合、制御部42が式(4)を利用して振動強度Fnを算出する。
また、この振動制御では、スライド操作がX方向への最大位置Xnに達した後に、継続してページ切替えと反対方向にスライドさせた場合、位置Xnで振動強度を増加させ、次の検出タイミングの位置X(n+1)に向けて新たに振動強度Fを減衰させる。制御部42は、たとえば位置Xnから位置X(n+1)のスライド操作が位置X1から位置X2までのスライド方向と逆になった場合、位置Xnまたはその近傍に対して、基準振動強度F(l)が設定される。
制御部42は、戻り操作を行う場合であって、スライド操作による接触が領域〔R3〕のXnから基準軸LYの座標位置Xkまでの振動強度Fについて、式(8)を利用して算出する。ページを戻すときのスライド操作により基準軸LYに達したときの振動強度F(k2)は、式(9)によって算出される。
制御部42は、切替えページ32の表示から第1の電子書籍ページ30の表示に戻す場合、基準軸LYから領域〔R1〕に向けて振動強度Fの減衰割合を変化させている。制御部42は、たとえば式(7)を利用して振動強度Fを算出する。
なお、この実施の形態では、ページ切替え操作がタッチパネルセンサ26上の領域〔R1〕から操作され、または領域〔R3〕から領域〔R1〕に戻る場合を示したがこれに限られない。ページ表示処理では、たとえば領域〔R1〕内の特定座標に最初に接触する場合に戻る場合や、最初に接触した領域以外のページに戻る場合が含まれる。この場合、振動処理では、たとえばスライド操作によるページ切替えへの移行か否かを判断する方向(たとえば、X方向)に対し、既述の振動強度Fの変化状態に応じた算出式を利用して振動強度Fを設定すればよい。
<ページの切替え操作の変形例について>
表示装置20は、たとえば電子書籍のページ切替え操作において、1つの操作で複数枚のページを切替えることができる。
表示装置20は、たとえば図19に示すように、画面上に複数枚のページがあることを示す表示画像70が表示される場合に、複数枚を一度の操作でめくる状態にする。ページ切替え操作において、制御部20は、たとえばタッチパネルセンサ26や筐体22の内部に圧力センサ40を備えている。そして指の監視処理では、制御部42は、たとえば圧力センサ40の検出結果に基づき、操作力による負荷に応じて切替えのページ数を設定する。すなわち、表示装置20では、1枚のページの切替え時よりもモニタ24を押圧する操作力が大きい場合、その負荷の割合によってページの切替え数が決定される。
モニタ24には制御部42の表示処理により、複数枚がめくられたことを示す多層の切替えページが表示される。表示装置20は、指の監視処理において、圧力センサ40によって取得した押圧力情報に基づいて初期振動強度Fsを設定する。表示装置20では、たとえば1度の操作で切替えるページの枚数に応じて初期振動強度Fsの最大値を変化させている。
制御部42は、押圧の強弱によって操作枚数が設定されると、たとえば図20に示すように、第1の操作テーブルである振動強度設定テーブル80の振動強度割合に基づいて初期振動強度Fsを設定する。この振動制御では、多数の枚数をまとめてめくる場合、その枚数に応じた切替えページ32の重さなどにより、スライド操作の強度を変化させて、操作状態および紙をめくるときの抵抗感を利用者に与える。初期振動強度Fsは、たとえば振動素子28により振動可能な最大振動強度や、振動素子28に対して供給する電力の大きさに対して、設定された割合に応じて算出される。
斯かる構成によれば、表示装置20は、タッチパネルセンサ26に対するスライド操作によるページ切替え状態に応じて利用者に対して操作感覚を変化させることで、ページ切替え状態を感覚的に認識させることができる。また表示装置20は、このような操作感覚を利用者に与えることで、ページ切替えが可能か、指を離してよいか、直前に読んでいたページに戻すことが少ない作業で可能か否かを判断することができる。すなわち、振動変化により利用者に操作感覚を与えることで、適切な操作を実行したことまたは、適切に操作されていないことを把握させることができる。
〔第3の実施の形態〕
図21は、第3の実施の形態に係る電子書籍装置に用いられる使用履歴情報の一例を示している。
この実施の形態に係る表示装置20は、たとえば図21に示すように、データベース54に電子書籍プログラムの使用履歴テーブル82が格納されている。この使用履歴テーブル82は、本開示の利用履歴情報の一例である。表示装置20は、たとえば使用回数の多い書籍について、ページ切替え操作における抵抗感を変化させる。すなわち、利用者は、読み慣れた書籍であれば、タッチパネルのスライドによるめくり操作の感覚になれている。また表示装置20は、たとえば書籍が紙の場合、ページの表面の付着物やページの皺などにより、ページ同士の抵抗摩擦が軽減していることから、このような使い古した状態に近似させるため、使用回数により振動強度を変化させる。
表示装置20は、たとえば電子書籍プログラムを起動すると、図示しないカウンタ機能のカウント値を電子書籍データ30に関連付けて使用履歴テーブル82に記憶させる。表示装置20は、たとえば使用回数が所定値以上の電子書籍データが起動する場合、既述の振動強度設定テーブル80に代えて、図22に示す第2の操作テーブルとして、振動強度設定テーブル84を利用する。この振動強度設定テーブル84は、たとえば1度に切替えるページ数毎に、振動強度割合が設定されている。この振動強度設定テーブル84に設定される初期振動強度Fsは、たとえば振動強度設定テーブル80に対して半分の割合に減少されている。
<電子書籍の表示処理について>
図23および図24は、電子書籍の表示処理例を示すフローチャートである。図23、図24に示すaは、処理の継続を示す連結子である。
表示装置20では、電子書籍アプリが起動すると(S51)、この電子書籍アプリの起動回数が所定回数未満かを判断する(S52)。この使用回数の判断では、使用履歴テーブル82を利用すればよい。使用回数が所定回数未満の場合(S52のYES)、制御部42は、この電子書籍は、利用者が読み慣れていないと判断し、第1のテーブルである振動強度設定テーブル80に基づいて初期振動強度Fsが読み出され、電子書籍ページ30を表示させる(S53)。
タッチパネルセンサ26による指の接触状態および接触監視(S54、S55)や、切替えページ32を生成するページ切替え処理(S56)、指が基準軸を越えたか否かの判断(S57)は、既述のS33、S34、36、S37と同様に処理すればよく、詳細な説明を省略する。
振動正制御では、振動強度設定テーブル80(テーブル1)を参照し、スライド操作するページ数に応じた初期振動強度Fsの設定を含む振動制御が行われる(S58)。また制御部42は、接触位置の監視結果により基準軸LXまたはLYを越えたことを契機に、ページ切替えモードに移行する(S59)。
制御部42は、利用者のスライド操作の監視により、タッチパネルセンサ26から指を離したか、または連続した操作により初期領域(原点)に戻ったかを判断する(S60)。利用者が指をタッチパネルセンサ26から離した場合(S60の「離した」)、制御部42は、表示ページを切替え、第2のページ34をモニタ24に表示させる(S61)。
利用者が指を離さずに現在の領域または初期領域以外でスライド操作を行っている場合(S60の「離さない、戻らない」)、制御部42は、接触している領域の振動条件に基づいて振動制御が行われ(S62)、継続して指の接触監視が行われる。
そのほか、制御部42は、利用者の指が初期領域に戻った場合(S60の「戻った」)、継続して指の接触状態の監視が行われる。
また制御部42は、利用者の指が基準軸を越えずにスライドしていると判断した場合(S57のNO)、初期位置M1からの距離などに応じて振動制御を行い(S63)、指の接触状態を監視する(S64)。そして、指がタッチパネルセンサ26から離れた場合(S64のYES)、めくり状態を示す切替えページ34を消去し、元の電子書籍ページ30を表示させ(S65)、振動を終了させる(S66)。
また、制御部42は、電子書籍プログラムの使用回数が所定回数以上と判断した場合(S52のNO)、利用者がこの電子書籍を読み慣れていると判断し、第2のテーブルである振動強度設定テーブル84に基づいて初期振動強度Fsが読み出され、電子書籍ページ30を表示させる(S71)。指の接触監視や振動処理を含む処理S72〜S84は、既述の処理S54〜S66と同様に行えばよく、詳細な説明を省略する。
斯かる構成によれば、電子書籍プログラムの使用頻度に応じた振動強度により、利用者に対して、何度もページがめくられて使い古された紙製の書籍であるような感触を与えることで、タッチパネルへのスライドによる接触違和感を軽減させることができる。また、紙の書籍のめくり感覚に近似させた操作感を与えることで、タッチパネルに対するスライド操作に利用者を慣れさせることができる。またタッチパネルの操作状態を感覚的に把握させることで、ページ切替えが可能な状態に移行したことや、ページの切替え操作の正否を接触感覚によって把握させるので、表示内容を目視で確認することなどを無くし、利便性が高められる。
〔他の実施の形態〕
以上説明した実施の形態について、変形例を以下に列挙する。
(1) 上記実施形態では、表示装置20は、電子書籍プログラムの実行や表示制御および振動制御などの制御機能を備えるものを示したが、これに限られない。表示装置20は、たとえば図示しない他の情報処理装置からの指示に基づいて電子書籍ページ30を表示する装置であってもよい。この場合、他の情報処理装置は、表示装置20に対する指などのスライド操作に対し、切替えページ32の生成やページの切替え操作に対する振動強度の設定などを実行し、表示装置20に対してページ画像を送信すればよい。
(2) 上記実施の形態では、振動強度設定テーブル80、84に予め1度のスライド操作で切替えるページ数が設定され、このページ数に応じて最大振動強度の割合が設定されているが、設定されたページ数および最大振動強度の割合の値は、これに限られない。振動強度設定テーブル80、84は、たとえば、実行する電子書籍プログラムに応じて、スライド操作のページ数や振動強度割合の値が設定されてもよい。具体的には、制御部42は、読込んだ電子書籍プログラムの全体ページ数を読み出し、一定のページ数毎に振り分け、そのページ数毎に最大振動強度の割合を設定すればよい。これにより、表示装置20は、電子書籍毎に操作するページ数に応じた振動状態の変化を利用者に把握させることができる。
(3) 上記実施形態では、電子書籍プログラムの使用履歴を利用して、最大振動強度の割合を増減する場合を示したがこれに限られない。制御部42は、たとえば表示されるモニタ24の大きさに基づいて最大振動強度を設定してもよい。また、制御部42は、最大振動強度の設定について、たとえば電子書籍プログラムの発行日や取得日から利用時までの経過時間、または電子書籍プログラムを実行した時間に応じて、強度を変化させてもよい。これにより、表示装置20は、たとえば大きな書籍であればスライド操作において、利用者に重たい操作感を与えてもよく、または経過時間を経た電子書籍について、めくり操作感を軽くするなどの使用感を利用者に与えることができる。
(4) 上記実施の形態では、電子書籍装置2は、指などの生体部位10の接触状態の監視処理、この接触状態に対する振動動作制御について、電子書籍の表示やページの切替えとともに、電子書籍プログラムで行う場合を示したがこれに限られない。電子書籍装置2は、たとえば電子書籍ページの表示や切替えページの生成処理に対し、振動手段12や入力手段8の動作制御について、独立した制御プログラムにより制御を行ってもよい。
次に、以上述べた実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。本開示の技術に係る技術的思想は上位概念から下位概念まで、様々なレベルやバリエーションにより把握できるものであり、以下の付記に本開示の技術が限定されるものではない。
(付記1)連続する複数ページで形成された電子書籍データを記憶する記憶部と電子書籍のページを表示する表示手段を備える電子書籍装置であって、
前記表示手段の表示面に対する利用者の生体部位の接触および前記表示手段の表示面に対する該生体部位の連続的なスライド操作を検出する入力操作検出手段と、
前記表示手段に対する前記生体部位の接触およびスライド操作に応じて振動する振動手段と、
前記入力操作検出手段の検出結果に基づいて前記表示手段に対する接触位置とスライド操作方向を監視し、スライド操作の開始位置からページの切替え操作が完了する位置までのスライド操作に応じて振動強度を変化させるように前記振動手段を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする電子書籍装置。
(付記2)前記制御部は、前記表示手段に対する接触またはスライド操作を契機に、スライド操作前に表示されている第1のページとスライド操作によって切替える第2のページとを併せて表示させるページ操作画面を表示させ、前記表示手段に対する前記生体部位の接触位置またはスライド操作に応じて該ページ操作画面の前記第1のページと前記第2のページの表示割合を変化させるとともに、該表示割合に応じて前記振動手段の振動強度を変化させることを特徴とする付記1に記載の電子書籍装置。
(付記3)前記制御部は、前記表示面を複数の領域に区分けする基準軸を設定し、前記入力操作検出手段の検出情報により、前記生体部位がスライド操作で該基準軸を跨いで、スライド操作の開始時に接触した領域と異なる領域に達した場合、前記電子書籍のページを切替え可能な状態に移行させることを特徴とする付記1または付記2に記載の電子書籍装置。
(付記4)前記制御部は、連続したスライド操作によって、前記生体部位が始めに接触した前記領域に戻った場合、前記電子書籍のページの切り替え可能な状態を解除させることを特徴とする付記3に記載の電子書籍装置。
(付記5)前記制御部は、スライド操作によって前記基準軸を跨ぎ、前記表示面の他の領域内で前記表示手段から前記生体部位が離間したことを契機に前記ページ操作画面から前記第2のページに表示を切替えることを特徴とする、付記3または付記4に記載の電子書籍装置。
(付記6)前記制御部は、スライド操作により前記基準軸を跨ぐ場合、前記表示面に接触した最初の領域における振動の変化量と、前記境界線を跨いで進入した領域での振動の変化量を異ならせることを特徴とする付記3ないし付記5のいずれか1つに記載の電子書籍装置。
(付記7)前記制御部は、前記生体部位が始めに接触した前記表示面上の位置を基準位置に設定し、該基準位置に前記生体部位が接触したときに最も強い振動強度で前記振動手段を振動させることを特徴とする付記1ないし付記6のいずれか1つに記載の電子書籍装置。
(付記8)前記制御部は、前記表示面上に座標情報を設定し、前記入力操作検出手段により検出された前記生体部位の位置座標情報を利用して前記振動手段の振動強度の設定値を算出することを特徴とする付記1ないし付記7のいずれか1つに記載の電子書籍装置。
(付記9)前記記憶部には、1度のスライド操作によって切替える前記電子書籍のページ数に対する振動強度の割合情報を含む操作テーブルが格納され、
前記制御部は、前記操作テーブルを利用し、切替えるページ数に応じた最大振動強度を算出し、該最大振動強度に従って前記振動手段を振動させることを特徴とする付記1ないし付記8のいずれか1つに記載の電子書籍装置。
(付記10)さらに、前記生体部位による前記表示手段に対する接触またはスライド操作によって負荷される操作力を検出する圧力センサを備え、
前記制御部は、前記圧力センサで検出した操作力情報を利用し、負荷に応じてスライド操作で切替えるページ数を設定することを特徴とする付記9に記載の電子書籍装置。
(付記11)前記記憶部には、前記電子書籍データの利用履歴情報が格納され、
前記制御部は、実行する前記電子書籍データの前記利用履歴情報を前記記憶部から読み出し、前記利用履歴情報に基づく最大振動強度を算出し、この算出された最大振動強度に従って前記振動手段を振動させることを特徴とする付記1ないし付記10のいずれか1つに記載の電子書籍装置。
(付記12)連続する複数ページで形成された電子書籍データを記憶する記憶部と電子書籍のページを表示する表示手段を備える電子書籍装置のコンピュータに実行させる電子書籍プログラムであって、
前記表示手段の表示面に対する利用者の生体部位の接触および前記表示手段の表示面に対する該生体部位の連続的なスライド操作の検出結果を入力操作検出手段から取得し、
前記検出結果に基づいて前記表示手段に対する接触位置とスライド操作方向を監視し、
スライド操作の開始位置からページの切替え操作が完了する位置までのスライド操作に応じて振動強度を変化させるように振動手段を制御する、
処理を前記コンピュータに実行させる電子書籍プログラム。
以上、本開示の構成の好ましい実施形態等について説明した。しかし、本開示の技術は上記実施の形態の記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された技術の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論である。そして斯かる変形や変更が本開示の技術に含まれることは言うまでもない。