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JP6320651B2 - 被検物質の検出方法および被検物質の検出用試薬キット - Google Patents

被検物質の検出方法および被検物質の検出用試薬キット Download PDF

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Description

本発明は、被検物質の検出方法および被検物質の検出用試薬キットに関する。
免疫学的測定法として広く用いられているサンドイッチイムノアッセイは標識抗体と捕捉抗体とを試料中の抗原と結合させ、標識に基づいて抗原を検出する方法である。サンドイッチイムノアッセイにおいては標識抗体のエピトープと捕捉抗体のエピトープが重複すると、立体障害によりいずれかのみが抗原に結合して検出が行えなくなるため、通常はエピトープの異なる2種類の抗体が用いられる。しかしながら、抗原が多量体である場合、抗原に同一のエピトープが複数存在することになる。エピトープが重複する2種類の抗体を標識抗体および捕捉抗体として用いた場合は、単量体は検出されず、多量体が検出されることになる。
たとえば、特許文献1や非特許文献1には、検出抗体と捕捉抗体とを用いたサンドイッチイムノアッセイが記載されている。これらの文献においては、検出抗体のエピトープと捕捉抗体のエピトープとは同一またはオーバーラップしているため、アミロイドβの多量体を検出することができる。非特許文献2〜4には、検出抗体と2種類の捕捉抗体とを用いたサンドイッチイムノアッセイが記載されている。これらの文献においては、検出抗体のエピトープと2種類の捕捉抗体のエピトープとは全て同一またはオーバーラップしているため、アミロイドβの多量体を検出することができる。
米国特許出願公開第2010/021943号明細書
Savage, et al., J. Neuroscience 2014, 34(8):2884-97 LeVine III, Anal. Biochem. 335 (2004) 81-90 Kamali-Moghaddam, et al., BMC Neuroscience 2010, 11:124 Wang-Dietrich, et al., J. Alzheimer’s Disease 34 (2013) 985-94
本発明の目的は、抗原を免疫学的に測定する新規方法を提供することである。
本発明は、被検物質の検出方法を提供する。この方法は、被検物質、被検物質と結合する標識抗体、物質と結合する第1捕捉抗体、被検物質と結合する第2捕捉抗体、および第1捕捉抗体と結合する第1固相とを接触させ、被検物質、標識抗体、第1捕捉抗体および第2捕捉抗体を含む複合体を第1固相上に形成する工程と、第1捕捉抗体と第1固相との結合を解離することにより複合体を遊離させ、第2捕捉抗体と結合する第2固相と複合体とを接触させ、複合体を第2固相上に転移する工程と、第2固相上の複合体に含まれる標識を測定し、物質を検出する工程と、を含む。この方法において、被検物質は多量体であり、標識抗体のエピトープ、第1捕捉抗体のエピトープおよび第2捕捉抗体エピトープは重複する。
また、本発明は、異なる態様の被検物質の検出方法を提供する。この方法は、被検物質、被検物質と結合する標識抗体、被検物質と結合する捕捉抗体、捕捉抗体と結合する第1固相を接触させ、被検物質、標識抗体、および捕捉抗体を含む複合体を第1固相上に形成する工程と、捕捉抗体と前記第1固相との結合を解離することにより複合体を遊離させ、捕捉抗体と結合する第2固相と複合体とを接触させ、複合体を第2固相上に転移する工程と、第2固相上の複合体に含まれる標識を測定し、被検物質を検出する工程と、を含む。この方法において、被検物質は多量体であり、標識抗体のエピトープおよび捕捉抗体のエピトープは重複する。
また、本発明は、異なる態様の被検物質の検出方法を提供する。この方法は、被検物質、被検物質と結合する標識抗体、被検物質と結合する捕捉抗体、および捕捉抗体と結合する第1固相を接触させ、被検物質、標識抗体および捕捉抗体を含む複合体を第1固相上に形成させる工程と、捕捉抗体と第1固相との結合を解離することにより第1固相上の複合体を遊離させ、捕捉抗体と結合する第2固相に転移する工程と、第2固相上の複合体に含まれる標識を測定し、被検物質を検出する工程とを含む。この方法において、被検物質はアミロイドβまたはタウタンパク質である。
本発明によると、抗原を免疫学的に測定する新規方法が提供される。
第1の実施形態の測定機序を示す。 第2の実施形態の測定機序を示す。 第3の実施形態の測定機序を示す。 試薬キットの一例を示す。 試薬キットの一例を示す。 実施例1および比較例1の結果を示すグラフである。 実施例2の結果を示すグラフである。 実施例3の結果を示すグラフである。 実施例4の結果を示すグラフである。 実施例5の結果を示すグラフである。
本発明の一実施形態である被検物質の検出方法では、後述する各工程を含む免疫複合体転移法(以下、「ICT-EIA」ともいう)により被検物質を検出する。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
本実施形態では、被検物質として多量体が検出される。「多量体」は重合体とも呼ばれ、複数のモノマー分子が物理学的・化学的に重合あるいは凝集して形成される。モノマー分子としては、ポリペプチド、核酸、糖鎖などが例示される。ポリペプチドの多量体としては、具体的には、アミロイドβモノマーが重合したアミロイドβオリゴマー、タウタンパク質が重合したタウオリゴマーなどが例示される。その他にも、血清−アミロイド−A−タンパク質−凝集体、IgG−軽鎖−凝集体、AapoAI−凝集体、AapoAII−凝集体、ATTR−凝集体、DISC1−凝集体、FUS−凝集体、IAPP−凝集体、SOD1−凝集体、α−シヌクレイン−凝集体、TDP−43−凝集体、ハンチンチン−凝集体、リゾチーム−凝集体などが例示される。「多量体」は、モノマー分子が複数含まれていればよく、その他の分子が含まれていてもよい。「多量体」は、必ずしもモノマー分子同士が共有結合などによって強固に結合している必要はなく、より緩やかな結合により凝集して集合した凝集体も含む。
アミロイドβは通常40前後のアミノ酸からなるポリペプチドであり、凝集して不溶性のアミロイド線維を形成する性質を有する。タウタンパク質は、「タウ」とも呼ばれ、分子量約5万のタンパク質であり、細胞内の微小間に結合して細胞骨格を安定化する等の機能を有する。タウタンパク質は、ヒトにおいてはエキソン2、エキソン3およびエキソン10の選択的スプライシングにより6種類のアイソフォームが存在する。本明細書において「タウタンパク質」または「タウ」の語は、特に言及しない限り、何れのアイソフォームをも含む。
被検物質は生物由来の試料に含まれる。試料としては、生体あるいは死体から採取した試料、培養細胞などが例示される。具体的には、脳組織、血液(全血)、血漿、血清、脳脊髄液などが例示される。生物種は特に限定されず、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物から採取され得る。
(複合体の形成工程)
本実施形態の検出方法では、被検物質、被検物質と結合する標識抗体、被検物質と結合する第1捕捉抗体、被検物質と結合する第2捕捉抗体、および第1捕捉抗体と結合する第1固相とを接触させ、被検物質、標識抗体、第1捕捉抗体および第2捕捉抗体を含む複合体を前記第1固相上に形成する工程を行う。本明細書において、「抗体」は、Fab、F(ab')2などの抗原結合性抗体フラグメントまたはその誘導体をも含む。形成工程は、通常は溶液中で行われる。
本実施形態では、標識抗体のエピトープ、第1捕捉抗体のエピトープおよび第2捕捉抗体のエピトープは重複する。「エピトープが重複する」とは、これらの抗体のエピトープが同一であるか、部分的に一致することを意味する。エピトープが同一または部分的に一致することにより、モノマー分子のエピトープに対して1の抗体のみが結合し、その他の抗体は立体障害によって結合が阻害される。免疫学的測定法においてエピトープの重複する複数種類の抗体を用いることにより、エピトープを複数含む多量体が検出されることとなる。特に、本実施形態では3種類の抗体を用いるため、モノマー分子の検出およびモノマーを2分子含む多量体(二量体)の検出は抑制され、モノマーを3分子以上含む多量体が好適に検出される。
標識抗体は、被検物質と特異的に結合することができ、且つ免疫学的手法で慣用される公知の標識物質で標識された抗体であれば特に限定されない。そのような標識抗体は、適当な架橋剤や市販のラベリングキットなどを用いる公知の方法により、抗体と標識物質とを結合または連結させることによって作製することができる。
標識物質は、測定可能なシグナルを発することができる物質であれば特に限定されず、例えば、酵素、蛍光物質、放射性同位元素などが挙げられる。酵素としては、アルカリホスファターゼ、β−ガラクドシダーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼ、ルシフェラーゼなどが挙げられる。蛍光物質としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)などの蛍光色素、グリーン蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光タンパク質などが挙げられる。放射性同位元素としては、125I、14C、32Pなどが挙げられる。それらの中でも、標識物質としては酵素が特に好ましい。
第1固相は、免疫学的手法で慣用される公知の固相から選択することができる。そのような固相の材料としては、例えば、ラテックス、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、シリコーン、アガロース、ゼラチン、赤血球、シリカゲル、ガラス、不活性アルミナ、磁性体などが挙げられる。また、これらの1種または2種以上を組み合わせてもよい。固相の形状としては、例えば、マイクロタイタープレート、試験管、粒子などが挙げられる。粒子は、磁性を有していてもよい。磁性粒子は当該技術において公知であり、基材としてFe2O3および/またはFe3O4、コバルト、ニッケル、フィライト、マグネタイトなどを含む粒子が挙げられる。
複合体中の第1捕捉抗体が第1固相に結合することにより、複合体が第1固相上に固定される。該第1捕捉抗体と第1固相との結合様式は、解離可能な結合であれば特に限定されず、例えば、物理的吸着、イオン結合などが挙げられる。また、第1捕捉抗体と第1固相との間を介在する物質を用いて、両者を結合させることもできる。そのような物質としては、互いに特異的に結合し、且つ解離可能な2つの物質の組み合わせが好ましい(2つの物質をそれぞれ「結合物質」および「結合パートナー」という)。例えば、結合物質を第1捕捉抗体に結合させ、その結合パートナーを第1固相に結合させることにより、結合物質と結合パートナーとの親和性を利用して、第1捕捉抗体と第1固相とを結合させることができる。結合物質と結合パートナーの組み合わせは当該技術において公知であり、例えば、抗原(被検物質を除く)とその抗体、リガンドとその受容体、オリゴヌクレオチドとその相補鎖、ビオチン類(ビオチン、デスチオビオチンなどのビオチン類縁体を含む)とアビジン類(アビジン、ストレプトアビジンなどのアビジン類縁体を含む)、ニッケルとヒスチジンタグ、グルタチオンとグルタチオン-S-トランスフェラーゼといった組み合わせが挙げられる。なお、抗原とその抗体の組み合わせとしては、ハプテンと抗ハプテン抗体、および、ビオチン(またはデスチオビオチン)と抗ビオチン抗体(また抗デスチオビオチン抗体)が好ましい。また、ハプテンと抗ハプテン抗体の組み合わせとしては、2, 4-ジニトロフェノール(DNP)と抗DNP抗体が特に好ましい。
上に述べた組み合わせにおいて、どちらを結合物質とし、どちらを結合パートナーとするかは特に限定されない。たとえば、ハプテンと抗ハプテン抗体の組み合わせの場合、ハプテンを結合物質とし、抗ハプテン抗体を結合パートナーとして用いてもよいし、抗ハプテン抗体を結合物質とし、ハプテンを結合パートナーとして用いてもよい。結合物質は第1捕捉抗体に結合されるため、ハプテンを結合物質とし、抗ハプテン抗体を結合パートナーとして用いることが好ましい。結合物質または結合パートナーを抗体および第1固相に結合させる方法は、当該技術において公知である。例えば、第1捕捉抗体とビオチンとを結合させる場合は、該抗体中のアミノ基またはチオール基と反応する架橋剤(例えば、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミドなど)を用いる方法が知られている。また、結合パートナーと第1固相とを結合させる方法としては、物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法などが知られている。
形成工程では、被検物質と上記の標識抗体と第1捕捉抗体と第2捕捉抗体とが抗原抗体反応により結合して、「標識抗体−被検物質−第1捕捉抗体および第2捕捉抗体」を含むサンドイッチ複合体が形成される。そして、該複合体に含まれる第1捕捉抗体が第1固相に捕捉される。
標識抗体、第1捕捉抗体、第2捕捉抗体および第1固相の添加量は特に限定されないが、通常は予想される被検物質量よりも過剰に反応系に添加される。標識抗体、第1捕捉抗体、第2捕捉抗体、第1固相および被検物質が含まれる試料との接触順序は特に限定されない。好ましくは、標識抗体、第1捕捉抗体、第2捕捉抗体および被検物質とを接触させて複合体を形成した後、第1固相を接触させる。または、第1捕捉抗体と第1固相とを最初に接触させる。
形成工程における反応温度および反応時間は特に限定されないが、通常は、20〜45℃の温度下で15〜30分間静置するか、または穏やかに撹拌すればよい。
形成工程の後、第1固相を回収する工程を行うことが好ましい。反応系には、上記の複合体を形成させた第1固相の他に、前処理液の構成成分、試料に含まれていた夾雑物、余剰の抗体などの未反応の成分が存在する。ここで、「未反応の成分」は、第1固相上に結合した複合体以外の成分であって、第1固相に結合していない遊離の成分のことをいう。例えば標識抗体および第1捕捉抗体のみを含む複合体は、未反応の成分である。回収工程は一般的にB/F分離と呼ばれ、該第1固相は未反応の成分から分離して回収される。したがって、この回収工程により、後述する測定工程に悪影響を及ぼす未反応成分を除くことができる。回収工程においては、完全に未反応成分を除去する必要はなく、測定に悪影響を及ぼさない程度であれば残留していてもよい。
試料中の第1固相を回収する方法自体は当該技術において公知であり、第1固相の種類に応じて適宜決定することができる。例えば、磁性粒子を用いた場合、磁気分離により、試料中の第1固相を回収することができる。具体的には、形成工程で得られた試料が入った容器の壁面に磁石を近づけて、試料中の磁性粒子を容器の壁面に固定させ、液相を吸引除去することにより、磁性粒子を回収することができる。また、ゼラチン粒子またはラテックス粒子を用いた場合、遠心分離によって該粒子を沈殿させた後、液相を吸引除去することにより回収することができる。
回収工程は、回収された第1固相を洗浄する工程をさらに含むことができる。第1固相の洗浄は、例えば、回収した第1固相に洗浄液を添加した後、該第1固相から洗浄液を除去することにより行うことができる。洗浄液としては、第1固相上に形成された複合体を損なわない緩衝液が好ましい。そのような洗浄液としては、界面活性剤を含む緩衝液が特に好ましく、例えば、TBS-T(0.05% Tween20含有Tris緩衝生理食塩水)およびPBST(0.05% Tween20含有リン酸緩衝生理食塩水)などが挙げられる。また、HISCL洗浄液(シスメックス株式会社製)などの市販の洗浄液を用いることもできる。洗浄工程によって、第1固相や複合体に非特異的に吸着した成分を除去することができる。
(転移工程)
次に、第1固相上の複合体を遊離させて、該第1固相とは異なる第2固相に転移させる工程を行う。遊離は、通常は溶液中で行われる。ここで、固相上の複合体を遊離させる方法自体は、当該技術において公知である。例えば、形成工程で得られた複合体中の第1捕捉抗体と、第1固相との結合を解離させることができる物質(以下、「遊離剤」という)を用いる方法が挙げられる。遊離剤は当該技術において公知であり、第1捕捉抗体と第1固相との結合様式に応じて適宜選択することができる。例えば、複合体中の第1捕捉抗体と、第1固相とが物理的吸着により結合している場合は、遊離剤として、界面活性剤を含む溶液を用いることで、該複合体を遊離させることができる。また、イオン結合の場合は、イオンを含む溶液を用いることで該複合体を遊離させることができる。
第1捕捉抗体と第1固相とが、結合物質と結合パートナーとの親和性を利用して結合している場合にも、結合物質と結合パートナーとの結合を解離させる遊離剤を用いることにより、複合体を遊離させることができる。そのような遊離剤も当該技術において公知であり、結合物質と結合パートナーの組み合わせに応じて適宜選択することができる。例えば、ハプテンと抗ハプテン抗体の結合の場合は、遊離剤として該ハプテンまたはその誘導体を用いることができる。また、ビオチン(またはデスチオビオチン)とアビジン(またはストレプトアビジン)との結合の場合は、遊離剤としてビオチンを用いることができる。
遊離剤を用いて複合体を遊離させる場合、処理温度および処理時間は遊離剤の種類によって適宜設定することができる。通常は、20〜45℃の温度下で3〜8分間静置するか、または穏やかに撹拌すればよい。
転移工程では、上記のようにして第1固相から遊離させた複合体を、第1固相とは異なる第2固相と接触させて結合させることにより、該複合体を該第2固相に転移させる。ここで、本明細書において、「第1固相とは異なる第2固相」とは、上記の形成工程にて添加されたときから存在する第1固相とは別の第2固相を意味する(以下、単に「第2固相」ともいう)。すなわち、この転移工程では、遊離した複合体が、形成工程にて添加されたときから存在する第1固相に再び結合することを意図していない。本実施形態においては、第1固相から遊離させた複合体を回収して、新たに用意した第2固相と接触させる。例えば、第1固相として粒子を用いる場合、第1固相から複合体を遊離させた後、上記の回収工程と同様にして磁力や遠心分離などにより該第1固相を容器の壁面または底部に固定させる。そして、該複合体を含む液相を回収し、この液相を上記の第2固相と接触させることができる。複合体と第2固相との接触は、通常は溶液中で行われる。第2固相の材料および形状は上記の第1固相で述べたことと同様である。第1固相と第2固相の材料および形状は第1固相と異なっていてもよいし、同じであってもよい。
本実施形態において、遊離した複合体に含まれる第2捕捉抗体が第2固相と結合することにより、複合体が第2固相に固定される。第2固相と複合体との結合様式は特に限定されないが、複合体中の第2捕捉抗体と第2固相との間を介在する物質を用いて両者を結合させることが好ましい。そのような物質としては、上記の結合物質および結合パートナーの組み合わせが挙げられる。例えば、結合物質を「第2固相との結合部位」としてあらかじめ第2捕捉抗体に結合させておき、結合パートナーを第2固相に結合させることにより、結合物質と結合パートナーとの親和性を利用して、複合体中の第2捕捉抗体と第2固相とを結合させることができる。結合物質と結合パートナーの組み合わせとしては、ビオチン類とアビジン類が好ましい。なお、第2捕捉抗体と第2固相との結合のための結合物質と結合パートナーの組み合わせは、該第1捕捉抗体と第1固相との結合のための結合物質と結合パートナーの組み合わせとは異なっていることが好ましい。例えば、DNPを結合した第1捕捉抗体と、抗DNP抗体を固定した第1固相と、ビオチンを結合した第2捕捉抗体と、ストレプトアビジンを固定した第2固相とを用いることできる。
複合体を第2固相に転移させるための処理温度および処理時間は特に限定されないが、通常は、20〜45℃の温度下で1〜30分間静置するか、または穏やかに撹拌すればよい。特に、第2固相の形状が粒子である場合、1〜5分間静置するか、または穏やかに撹拌すればよい。
転移工程の後、測定工程の前に第2固相を回収する工程を行うことが好ましい。第2固相の回収工程は、第1固相の回収工程と同様の方法により行うことができる。
(測定工程)
測定工程では、第2固相上の複合体に含まれる標識が測定される。ここで、標識を測定する方法自体は当該技術において公知である。本発明の実施形態においては、上記の標識物質に由来するシグナルの種類に応じた適切な測定方法を選択することができる。例えば、該標識物質が酵素である場合、該酵素に対する基質を反応させることによって発生する光、色などのシグナルを、公知の装置を用いて測定することにより行うことができる。そのような測定装置としては、分光光度計、ルミノメータなどが挙げられる。
酵素の基質は、酵素の種類に応じて公知の基質から適宜選択することができる。例えば、酵素としてアルカリホスファターゼを用いる場合、基質としては、CDP-Star(登録商標)(4-クロロ-3-(メトキシスピロ[1, 2-ジオキセタン-3, 2'-(5'-クロロ)トリクシロ[3. 3. 1. 13, 7]デカン]-4-イル)フェニルリン酸2ナトリウム)、CSPD(登録商標)(3-(4-メトキシスピロ[1, 2-ジオキセタン-3, 2-(5'-クロロ)トリシクロ[3. 3. 1. 13, 7]デカン]-4-イル)フェニルリン酸2ナトリウム)などの化学発光基質;p-ニトロフェニルホスフェート、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸(BCIP)、4-ニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)などの発光基質;4-メチルウムベリフェニル・ホスフェート(4MUP)などの蛍光基質;5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸(BCIP)、5-ブロモ-6-クロロ−インドリルリン酸2ナトリウム、p-ニトロフェニルリンなどの発色基質が挙げられる。酵素としてβ−ガラクドシダーゼを用いる場合、基質の例としては、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドが挙げられる。
標識物質が放射性同位体である場合は、シグナルとしての放射線を、シンチレーションカウンターなどの公知の装置を用いて測定することができる。また、標識物質が蛍光物質である場合は、シグナルとしての蛍光を、蛍光マイクロプレートリーダなどの公知の装置を用いて測定することができる。
上記の測定結果に基づいて、被検物質が検出される。ここで、「検出する」の語は、存否を定性的に検出すること、定量すること、および半定量することを含む。「半定量する」とは、「陰性」、「弱陽性」、「強陽性」などのように段階的に被検物質の含有量を判定することを意味する。
被検物質を定性的に検出する場合は、予め陰性と陽性とを精度よく分類できる閾値を設定しておき、測定結果をこの閾値と比較し、被検物質の存否を判定することが好ましい。閾値は、複数の被検物質を含まないあるいは微量に含む試料(例えば、健常者から得た生体試料)、および、複数の被検物質を含む試料(例えば、アルツハイマー型認知症などの神経系疾患患者から得た生体試料)を用いて被検物質濃度を予め測定しておき、陰性群と陽性群とを最も精度よく分類できる値を閾値とすることができる。閾値の設定においては、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率などを考慮して、測定の目的に応じて当業者が適宜設定することができる。
本実施形態の測定機序の具体例について図1を参照して説明する。この具体例は、アミロイドβ(図では、Aβと表記)の三量体以上のオリゴマーを好適に検出する系である。これはあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。
図1(A):アミロイドβの単量体、二量体および三量体を含む試料と、標識抗体、第1捕捉抗体、第2捕捉抗体および第1固相とが混合される。標識抗体には酵素が標識されている。第1捕捉抗体にはDNPが付加されている。第2捕捉抗体にはビオチンが付加されている。第1固相は抗DNP抗体を固定化した粒子である。標識抗体、第1捕捉抗体および第2捕捉抗体は、アミロイドβの特定のエピトープを認識する同一のモノクローナル抗体である。すなわち、これらの抗体のエピトープは同一である。
図1(B):単量体に第1捕捉抗体が結合する。二量体には、第1捕捉抗体および標識抗体が結合する。三量体には、第1捕捉抗体、第2捕捉抗体および標識抗体が結合する。
図1(C):B/F分離の後、遊離剤としてDNP−Lys(DNP−リジン)を添加し、第1固相からアミロイドβと抗体との複合体を遊離する。
図1(D):(C)工程で得られた複合体を含む液相画分にストレプトアビジンを固定化した第2固相を添加する。これにより、アミロイドβ三量体を含む複合体と第2固相が結合する。
図1(E):B/F分離の後、酵素基質を添加し、酵素反応によって生じる発光を測定する。
図1(B)において、この例では単量体には第1捕捉抗体が結合しているが、第1捕捉抗体ではなく標識抗体または第2捕捉抗体が結合する単量体も存在し得る。標識抗体または第2捕捉抗体が結合した場合も、この複合体からシグナルは検出されない。
この例では、二量体には第1捕捉抗体および標識抗体が結合しているが、第1捕捉抗体、第2捕捉抗体および標識抗体のうち、同一又は異なる種類の抗体が2分子結合し得る。何れの場合も、この複合体からシグナルは検出されない。
この例では、三量体には第1捕捉抗体、第2捕捉抗体および標識抗体が結合しているが、たとえば3カ所あるエピトープのうち少なくとも2カ所に同一の種類の抗体が結合することも考えられる。この場合は、この複合体からシグナルは検出されない。
上述の通り、第1捕捉抗体、第2捕捉抗体および標識抗体の全てが1分子以上結合した複合体でないと、固相の転移または酵素反応が行われず、シグナルは生じない。重合度の高い被検物質には、第1捕捉抗体、第2捕捉抗体および標識抗体が1分子以上結合する確率が高くなる。一方、重合度が低くなるほど、いずれかの種類の抗体が一分子も結合しない確率が高くなる。本実施形態の方法により、低分子量のオリゴマーからのシグナルは抑制され、高分子量のオリゴマーをより正確に検出することができる。
[第2の実施形態]
本実施形態では、被検物質として多量体が検出される。「多量体」および被検物質を含む「試料」は、第1の実施形態において説明したことと同様である。
(複合体の形成工程)
本実施形態の検出方法では、被検物質、被検物質と結合する標識抗体、被検物質と結合する捕捉抗体、および捕捉抗体と結合する第1固相とを接触させ、被検物質、標識抗体および捕捉抗体を含む複合体を前記第1固相上に形成する工程を行う。「抗体」は、第1の実施形態において説明したことと同様である。
本実施形態では、標識抗体のエピトープおよび捕捉抗体のエピトープが重複する。「エピトープが重複する」は、第1の実施形態において説明したことと同様である。本実施形態では2種類の抗体を用いるため、モノマー分子の検出は抑制され、多量体が好適に検出される。
標識抗体は、第1の実施形態において説明したことと同様である。
第1固相は、第1の実施形態において説明したことと同様である。
本実施形態では、捕捉抗体に第1結合物質と第2結合物質とが結合しており、
第1固相に第1結合物質と特異的に結合する第1結合パートナーが固定されており、第2固相に第2結合物質と特異的に結合する第2結合パートナーが固定されている。捕捉抗体と第1固相との結合様式は、第1の実施形態の説明において説明した、第1捕捉抗体と第1固相との結合様式と同様である。捕捉抗体と第2固相との結合様式は、第1の実施形態の説明において説明した、第1捕捉抗体と第2固相との結合様式と同様である。
形成工程では、被検物質と上記の標識抗体と捕捉抗体とが抗原抗体反応により結合して、「標識抗体−被検物質−捕捉抗体」を含むサンドイッチ複合体が形成される。そして、該複合体に含まれる捕捉抗体が第1固相に捕捉される。
標識抗体、捕捉抗体および第1固相の添加量は、第1の実施形態において説明したことと同様である。標識抗体、捕捉抗体、第1固相および被検物質が含まれる試料との接触順序は、第1の実施形態において説明したことと同様である。
形成工程の後、第1固相を回収する工程を行うことが好ましい。回収工程については、第1の実施形態において説明したことと同様である。
(転移工程)
第1固相からの複合体の遊離は、第1の実施形態において説明したことと同様である。
本実施形態では、第1の実施形態と異なり、捕捉抗体に第1結合物質および第2結合物質の両方が含まれる。遊離した複合体に含まれる捕捉抗体の第2結合物質と、第2固相上の第2結合パートナーが結合することにより、遊離した複合体が第2固相に固定される。
転移工程の後、測定工程の前に第2固相を回収する工程を行うことが好ましい。第2固相の回収工程は、第1固相の回収工程と同様の方法により行うことができる。
(測定工程)
標識の測定及び被検物質の検出については、第1の実施形態において説明したことと同様である。
本実施形態の測定機序の具体例について図2を参照して説明する。この具体例は、アミロイドβ(図では、Aβと表記)の二量体以上のオリゴマーを検出する系である。これはあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。
図2(A):アミロイドβの単量体、二量体および三量体を含む試料と、標識抗体、捕捉抗体および第1固相とが混合される。標識抗体には酵素が標識されている。捕捉抗体にはDNP(図中、丸で示される)およびビオチン(図中、四角で示される)が付加されている。第1固相は抗DNP抗体を固定化した粒子である。標識抗体、捕捉抗体は、アミロイドβの特定のエピトープを認識する同一のモノクローナル抗体である。すなわち、これらの抗体のエピトープは同一である。
図2(B):単量体には、捕捉抗体が結合する。二量体には、捕捉抗体および標識抗体が結合する。三量体には、捕捉抗体と標識抗体2分子が結合する。
図2(C):B/F分離の後、遊離剤としてDNP−Lys(DNP−リジン)を添加し、第1固相からアミロイドβと抗体との複合体を遊離する。
図2(D):(C)工程で得られた複合体を含む液相画分にストレプトアビジンを固定化した第2固相を添加する。これにより、複合体と第2固相が結合する。
図2(E):B/F分離の後、酵素基質を添加し、酵素反応によって生じる発光を測定する。
図2(B)において、この例では単量体には捕捉抗体が結合しているが、捕捉抗体ではなく標識抗体が結合する単量体も存在し得る。標識抗体が結合した場合も、この複合体からシグナルは検出されない。
この例では、二量体には捕捉抗体および標識抗体が結合しているが、捕捉抗体および標識抗体のうち、同一又は異なる種類の抗体が2分子結合し得る。捕捉抗体が2分子結合した場合または標識抗体が2分子結合した場合は、シグナルは検出されない。
この例では、三量体には捕捉抗体および標識抗体2分子が結合しているが、捕捉抗体3分子が結合した場合または標識抗体が3分子結合した場合は、シグナルは検出されない。
上述の通り、捕捉抗体および標識抗体の両方が1分子以上結合した複合体でないと、固相の転移または酵素反応が行われず、シグナルは生じない。重合度の高い被検物質には、捕捉抗体および標識抗体が1分子以上結合する確率が高くなる。一方、重合度が低くなるほど、いずれかの種類の抗体が一分子も結合しない確率が高くなる。本実施形態の方法により、低分子量のオリゴマーからのシグナルは抑制され、高分子量のオリゴマーをより正確に検出することができる。
[第3の実施形態]
本実施形態では、被検物質としてアミロイドβおよびタウタンパク質が検出される。本実施形態では、標識抗体のエピトープおよび捕捉抗体のエピトープは相違しており、標識抗体および捕捉抗体は本実施形態の被検物質であるアミロイドβまたはタウタンパク質の異なる部位に結合し得る。これによって、多量体だけでなくモノマー分子も検出することができる。その他の点については、第2の実施形態と同様である。
本実施形態の測定機序の具体例について図3を参照して説明する。この具体例は、アミロイドβ(図では、Aβと表記)を検出する系である。これはあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。
図3(A):アミロイドβの単量体および二量体を含む試料と、標識抗体、捕捉抗体および第1固相とが混合される。標識抗体には酵素が標識されている。捕捉抗体にはDNP(図中、丸で示される)およびビオチン(図中、四角で示される)が付加されている。第1固相は抗DNP抗体を固定化した粒子である。標識抗体および捕捉抗体は、エピトープが相違しており、アミロイドβのアミノ酸配列において異なる位置に結合する。
図3(B):単量体および二量体には、それぞれ捕捉抗体および標識抗体が結合する。
図3(C):B/F分離の後、遊離剤としてDNP−Lys(DNP−リジン)を添加し、第1固相から複合体を遊離する。
図3(D):(C)工程で得られた複合体を含む液相画分にストレプトアビジンを固定化した第2固相を添加する。これにより、複合体と第2固相が結合する。
図3(E):B/F分離の後、酵素基質を添加し、酵素反応によって生じる発光を測定する。
図3(A)において、この例では試料に単量体および二量体が含まれるが、三量体以上の多量体についても同様に捕捉抗体及び標識抗体が結合し、シグナルを検出することができる。
上述の通り、捕捉抗体および標識抗体の両方が1分子以上結合した複合体でないと、固相の転移または酵素反応が行われず、シグナルは生じない。重合度の高い被検物質には、捕捉抗体および標識抗体が1分子以上結合する確率が高くなる。一方、重合度が低くなるほど、いずれかの種類の抗体が一分子も結合しない確率が高くなる。本実施形態の方法により、低分子量のオリゴマーからのシグナルは抑制され、高分子量のオリゴマーをより正確に検出することができる。
(第1の実施形態に用いられる試薬キット)
試薬キットは、標識抗体、第1捕捉抗体および第2捕捉抗体を含む。第1固相および第2固相をさらに含んでいてもよい。標識が酵素である場合は、さらに当該酵素の基質を含んでいてもよい。また、複合体を第1固相から分離するための遊離剤をさらに含んでいてもよい。これらの試薬のうちの一部が同一の容器に収容されていてもよいが、容器内での非特異的な反応を抑制するため各試薬は別々の容器に収容されていてもよい。酵素である場合は、標識抗体と基質とは別々の容器に収容される必要がある。遊離剤は、第1固相上に複合体を形成した後に反応系に添加されるため、他の試薬とは異なる容器に収容されることが好ましい。これらの試薬は乾燥状態または液状(液中に溶解もしくは分散させた状態)でユーザに提供されるが、上述の検出方法における化学反応は溶液中で行われることが好ましいため、試薬は液状であることが好ましい。なお、これらの試薬の詳細は、第1の実施形態において説明したことと同様である。
試薬キットは、さらに他の試薬を含んでいてもよい。たとえば、緩衝液を含む。そのような緩衝液はpH6.5〜8にて緩衝作用を有する緩衝液であれば特に限定されず、例えばリン酸緩衝液(PBS)、イミダゾール緩衝液、トリエタノールアミン塩酸塩緩衝液(TEA)、グッド緩衝液などが挙げられる。グッド緩衝液としては、MES、Bis-Tris、ADA、PIPES、Bis-Tris-Propane、ACES、MOPS、MOPSO、BES、TES、HEPES、HEPPS、Tricine、Tris、Bicine、TAPSなどの緩衝液が挙げられる。また、緩衝液は、必要に応じて、タンパク質安定化剤(BSAなど)、防腐剤(アジ化ナトリウム、フェニルメタンスルホニルフルオリドなど)、無機塩類(塩化マグネシウム、塩化亜鉛など)といった公知の添加物を含んでいてもよい。
図4に試薬キットの例を示す。この実施形態の試薬キット40は、第1捕捉抗体を収容した第1容器41と、第2捕捉抗体を収容した第2容器42と、第1固相として粒子を収容した第3容器43と、第2固相として粒子を収容した第4容器44と、標識抗体を収容した第5容器45を含む。これらの容器は、これらの容器は添付文書47とともに梱包箱48に収容される。
本発明は、第1の実施形態の検出方法に用いられる試薬キット製造のための、標識抗体、第1捕捉抗体および第2捕捉抗体の用途を含む。
(第2の実施形態に用いられる試薬キット)
試薬キットは、標識抗体および捕捉抗体を含む。第1の実施形態に用いられる試薬キットと異なり、捕捉抗体は1種類でよい。その他の構成については、第1の実施形態に用いられる試薬キットについて説明したことと同様である。
図5に試薬キットの例を示す。この実施形態の試薬キット30は、捕捉抗体を収容した第1容器31と、第1固相として粒子を収容した第2容器32と、第2固相として粒子を収容した第3容器33と、標識抗体を収容した第4容器34を含む。これらの容器は添付文書37とともに梱包箱38に収容される。
本発明は、第2の実施形態の検出方法に用いられる試薬キット製造のための、標識抗体および捕捉抗体の用途を含む。
(第3の実施形態に用いられる試薬キット)
試薬キットの構成は第2の実施形態に用いられる試薬キットと基本的に同様である。この試薬キットに含まれる捕捉抗体と標識抗体のエピトープは異なっている。
本発明は、第3の実施形態の検出方法に用いられる試薬キット製造のための、標識抗体および捕捉抗体の用途を含む。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、「粒径」は直径である。
以下において、各略語の意味は、以下のとおりである。
BSA: ウシ血清アルブミン
DNP: 2,4−ジニトロフェニル基
Bio: ビオチニル基
OPDM: N,N'-(1,2-フェニレン)ジマレイミド
SATA:N−スクシンイミド S−アセチルチオアセテート
EMCS: N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド
SH: チオール基
mal: マレイミド基
BSA−Bio−DNP: ビオチンとDNPとによって修飾されたBSA
(PEG)8−BSA−Bio−DNP: PEGリンカーが付加されたBSA−Bio−DNP
4−MUG: 4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド
DMF: N,N−ジメチルホルムアミド
PEG: ポリエチレングリコール鎖
(PEG)n: オキシエチレン基の付加モル数がnであるポリエチレングリコール鎖
Gal: β−ガラクトシダーゼ
ALP: アルカリフォスファターゼ
(実施例1)ICT−EIAによるアミロイドβ42の検出
1.被検物質溶液の調製
アミロイドβ42 ELISA Kit(コバンス社製、商品名:BetaMark)の標準物質を、緩衝液A(0.4M塩化ナトリウム、0.1質量%BSAおよび0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を含む)で段階希釈し、アミロイドβ42が0pg、0.003pg、0.01pg、0.1pg、0.3pg、1pg、3pgまたは10pg含まれる被検物質溶液100μLを調製した。
2.抗体溶液の調製
Galで標識した抗体を以下のようにして作製した。慣用の手法により、抗アミロイドβ42ウサギモノクローナル抗体(IgG)(ライフ・テクノロジーズ社製、クローン名:H31L21)をペプシンで断片化してF(ab’)断片を得た。F(ab’)断片を還元してFab’−SHを得た。GalにOPDMを反応させてGal−malを得た。Fab’−SHとGal−malを反応させることにより、Fab’−Galを含む標識抗体溶液を得た。
ビオチンおよびDNPを結合した捕捉抗体を以下のようにして作製した。慣用の手法により、抗アミロイドβ42マウスモノクローナル抗体(IgG)(コバンス(Covance)社製、クローン名:6E10)をペプシンで断片化してF(ab’)断片を得た。得られたF(ab’)断片を還元してFab’−SHを得た。また、BSA−Bio−DNPとリンカー(ライフテクノロジーズ社製、商品名:SM(PEG)8)とを反応させてBSA−Bio−DNP−(PEG)8−malを得た。Fab’−SHとBSA−Bio−DNP−(PEG)8−malを反応させることによってFab’−(PEG)8−BSA−Bio−DNPを含む捕捉抗体溶液を得た。
標識抗体10fmol、捕捉抗体100fmolの含有量となるよう標識抗体溶液、捕捉抗体溶液および緩衝液Aを混合し、抗体溶液100μLを調製した。
3.固相の調製
粒径6.35mmのポリスチレンビーズ(イムノケミカル社製、商品名:Immuno bead 6.35φ)に慣用の手法により抗DNP抗体(慣用の手法により作成したウサギポリクローナル抗体)を固定化することにより、抗DNP抗体固相を調製した。
粒径6.35mmのポリスチレンビーズ(イムノケミカル社製、商品名:Immuno bead 6.35φ)に慣用の手法によりストレプトアビジン(和光純薬工業社製、商品名ストレプトアビジン)を固定化することにより、ストレプトアビジン固相(以下、「STA固相」という)を調製した。
4.測定
(1)複合体形成
測定試料100μLと抗体溶液100μLとを混合した。4℃で12時間インキュベートし、標識抗体−被検物質−捕捉抗体のサンドイッチ複合体を形成させた。
(2)複合体の第1固相への固定
複合体を含む溶液200μLに、抗DNP抗体固相1個を添加した。25℃で30分間インキュベートし、固相上に複合体を固定した。
液相を除去し、2mLの洗浄液1(0.1M塩化ナトリウム、0.1質量%BSAおよび0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を含む)を用いて2回洗浄した。
(3)複合体の遊離
複合体を固定化した固相に溶出液1(12mM DNPを含む)を150μL添加した。25℃で30分間インキュベートすることにより、抗DNP抗体固相と複合体との間の結合を切断して複合体を遊離させた。
(4)複合体の第2固相への固定
複合体を含む上清を回収し、ここにSTA固相1個を添加した。25℃で30分間インキュベートし、固相上に複合体を固定した。液相を除去し、2mLの緩衝液B(0.1M塩化ナトリウム、0.1質量%BSAおよび0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を含む)を用いて3回洗浄した。
(5)酵素反応および蛍光測定
複合体を固定化した固相に200μLの緩衝液Bと基質溶液(4−MUGを0.2mM含む)とを添加し、30℃で20時間インキュベートした。反応液に波長360nmの励起光を照射し、波長450nmの蛍光の強度を測定した。複合体を固定化した固相を含まず、200μLの緩衝液Bと基質溶液とを混合した溶液の蛍光強度を上記と同様にして測定し、バックグラウンドの値とした。複合体を固定化した固相を用いて測定した蛍光強度からバックグラウンドの値を控除した。
(比較例1)サンドイッチELISAによるアミロイドβ42の検出
比較として、複合体の転移を行わないサンドイッチELISAでアミロイドβ42の測定を行った。実施例1(1)および(2)と同様にして抗DNP抗体固相に複合体を固定化、洗浄し、ここに実施例1(5)と同様にして、基質溶液を添加し、30℃で2時間インキュベートした後、蛍光強度の測定を行った。比較例1では、実施例1(3)および(4)の工程は行わなかった。
(実施例1および比較例1の結果)
実施例1および比較例1で算出した蛍光強度を図6示す。実施例1の方法の検出限界は約0.1pg/mLであり、比較例1の方法の検出限界は約1pg/mLであった。以上より、実施例1の方法によれば、比較例1に比べて約10倍高感度に検出することができた。
(実施例2)ICT−EIAによるタウタンパク質の検出
1.被検物質溶液の調製
タウタンパク質(ミリポア社製、商品名:HUMAN TAU−381)を、緩衝液Aで段階希釈し、タウタンパク質が0pg/mL、0.3pg/mL、0.6pg/mL、1.25pg/mL、2.5pg/mL、5pg/mL、10pg/mL、100pg/mLまたは1000pg/mLの濃度となるよう被検物質溶液70μLを調製した。
2.抗体溶液の調製
ALPで標識した抗体を以下のようにして作製した。慣用の手法により、抗タウマウスモノクローナル抗体(IgG)(バイオレジェンド社製、クローン名:TAU12)をペプシンで断片化してF(ab’)断片を得た。得られたF(ab’)断片を還元してFab’−SHを得た。ALPにEMCSを反応させてALP−malを得た。Fab’−SHとALP−malを反応させることにより、Fab’−ALPを含む標識抗体溶液を得た。標識抗体の濃度が50fmol/20μLとなるよう調整した。
ビオチンおよびDNPを結合した捕捉抗体を以下のようにして作製した。慣用の手法により、抗タウマウスモノクローナル抗体(IgG)(コバンス(Covance)社製、クローン名:TAU5)をペプシンで断片化してF(ab’)断片を得た。得られたF(ab’)断片を還元してFab’−SHを得た。また、BSA−Bio−DNPとリンカー(ライフテクノロジーズ社製、商品名:SM(PEG)8)とを反応させてBSA−Bio−DNP−(PEG)8−malを得た。Fab’−SHとBSA−Bio−DNP−(PEG)8−malを反応させることによってFab’−(PEG)8−BSA−Bio−DNPを含む捕捉抗体溶液を得た。捕捉抗体の濃度が200fmol/20μlとなるよう調整した。
3.固相の調製
粒径2.2μmの磁性粒子(JSR社製、商品名:MAG2201)に慣用の手法により抗DNP抗体(シスメックス社製)を固定化することにより、抗DNP抗体固相を調製した。
ストレプトアビジン固相(以下、「STA固相」という)はHISCL R2試薬(シスメックス社製)を使用した。
4.測定
(1)複合体形成
被検物質溶液70μLと捕捉抗体溶液20μLとを混合し、42℃で216秒間反応させた。ここに標識抗体溶液20μL添加し、42℃で584秒間反応させ、標識抗体−被検物質−捕捉抗体のサンドイッチ複合体を形成させた。
(2)複合体の第1固相への固定
抗DNP抗体固相の懸濁液(粒子濃度2.5%)20μLを添加した。42℃で720秒間インキュベートし、固相上に複合体を固定した。液相を除去し、300μLのHISCL洗浄液(シスメックス社製)を用いて4回洗浄した。
(3)複合体の遊離
複合体を固定化した固相に溶出液2(5mM DNP−Lys、DMSO、0.1M MES、2%casein Na、NaOH、NaN3を含む)を41μL添加した。42℃で144秒間インキュベートすることにより、抗DNP固相と複合体との間の結合を切断して複合体を遊離させた。
(4)複合体の第2固相への固定
複合体を含む上清30μLを回収し、ここにHISCL R2試薬(シスメックス社製)30μLを添加した。42℃で288秒間インキュベートし、固相上に複合体を固定した。液相を除去し、300μLのHISCL洗浄液(シスメックス社製)を用いて4回洗浄した。
(5)酵素反応および蛍光測定
複合体を固定化した固相に、HISCL発光基質セットR4試薬(シスメックス社製)50μLと、HISCL発光基質セットR5試薬(シスメックス社製)100μLとを混合し、42℃で300秒間反応させ、発光強度を測定した。
(結果)
実施例2で測定した蛍光強度を図7に示す。実施例2の方法の検出限界は約0.3pg/mLであり、当該方法によると高感度に検出可能であることがわかった。
(実施例3)エピトープの重複する捕捉抗体および標識抗体を用いたICT−EIAによるアミロイドβの検出
1.被検物質溶液の調製
アミロイドβ(1−11)単量体(Anaspec社製)1000pg/mL含む単量体試料を調製した。
アミロイドβ(1−16)二量体(IBL社製)1000pg/mL含む二量体試料を調製した。
アミロイドβ42(IBL社製)を重合させてオリゴマーを調製し、これを1000pg/mL含むオリゴマー試料を調製した。ゲル濾過クロマトグラフィーにより常法に従ってオリゴマーの分子量を分析した結果、オリゴマー試料の主な構成成分は5量体オリゴマーであった。
2.抗体溶液の調製
抗アミロイドβマウスモノクローナル抗体(IgG)(IBL社製、クローン名:82E1)を用い、実施例1の2.と同様にして標識抗体を調製した。
抗アミロイドβマウスモノクローナル抗体(IgG)(IBL社製、クローン名:82E1)を用い、実施例1の2.と同様にして捕捉抗体を調製した。
標識抗体100fmol、捕捉抗体100fmolの含有量となるよう標識抗体溶液、捕捉抗体溶液および緩衝液Aを混合し、抗体溶液80μLを調製した。
3.固相の調製
実施例2の3.と同様にして、抗DNP抗体固相およびSTA固相を調製した。
4.測定
(1)複合体形成
被検物質溶液70μLと抗体溶液80μLとを混合し、42℃で92分間反応させ、標識抗体−被検物質−捕捉抗体のサンドイッチ複合体を形成させた。
(2)複合体の第1固相への固定
抗DNP抗体固相の懸濁液(粒子濃度2.5%)20μLを添加した。42℃で11分間インキュベートし、固相上に複合体を固定した。液相を除去し、300μLのHISCL洗浄液(シスメックス社製)を用いて4回洗浄した。
(3)複合体の遊離
複合体を固定化した固相に溶出液2(2.5mM DNP−Lys、DMSO、0.1M MES、2%casein Na、NaOH、NaN3を含む)を110μL添加した。42℃で5分間インキュベートすることにより、抗DNP固相と複合体との間の結合を切断して複合体を遊離させた。
(4)複合体の第2固相への固定
複合体を含む上清80μLを回収し、ここにHISCL R2試薬(シスメックス社製)30μLを添加した。42℃で5分間インキュベートし、固相上に複合体を固定した。液相を除去し、300μLのHISCL洗浄液(シスメックス社製)を用いて4回洗浄した。
(5)酵素反応および蛍光測定
複合体を固定化した固相に、HISCL発光基質セットR4試薬(シスメックス社製)50μLと、HISCL発光基質セットR5試薬(シスメックス社製)100μLとを混合し、42℃で5分間反応させ、発光強度を測定した。
(結果)
実施例3で測定した蛍光強度を図8に示す。アミロイドβ(図では、Aβと表記)のオリゴマーおよび二量体は検出されたが、単量体は検出されなかった。当該方法によると、二量体以上のアミロイドβが検出され、単量体の検出は抑制されることがわかった。
(実施例4)エピトープの重複する第1捕捉抗体、第2捕捉抗体および標識抗体を用いたICT−EIAによるアミロイドβの検出
1.被検物質溶液の調製
実施例3と同様にして調製した。
2.抗体溶液の調製
抗アミロイドβマウスモノクローナル抗体(IgG)(IBL社製、クローン名:82E1)を用い、実施例1の2.と同様にして標識抗体を調製した。
抗アミロイドβマウスモノクローナル抗体(IgG)(IBL社製、クローン名:82E1)に、SATA(Thermo Fischer Scientific社製)を用いてチオール基を導入した。DNP−Lys(東京化成工業社製)を、EMCSを用いてマレイミド化した。チオール基を導入した抗体とマレイミド化したDNP−Lysとを混合して反応させ、第1捕捉抗体を調製した。
抗アミロイドβマウスモノクローナル抗体(IgG)(IBL社製、クローン名:82E1)に、SATA(Thermo Fischer Scientific社製)を用いてチオール基を導入した。チオール基を導入した抗体と、Biotin−PEAC5−maleimide(6-{N'-[2-(N-マレイミド)エチル]-N-ピペラジニルアミド}ヘキシルD-ビオチンアミド塩酸塩)とを混合して反応させ、第2捕捉抗体を調製した。
標識抗体100fmol、第1捕捉抗体50fmol、第2捕捉抗体50fmolの含有量となるよう標識抗体溶液、第1捕捉抗体溶液、第2捕捉抗体溶液および緩衝液Aを混合し、抗体溶液80μLを調製した。
3.固相の調製
実施例2の3.と同様にして、抗DNP抗体固相およびSTA固相を調製した。
4.測定
実施例3と同様にして発光強度を測定した。
(結果)
実施例4で測定した蛍光強度を図9に示す。アミロイドβ(図では、Aβと表記)のオリゴマー試料からは強い発光が検出された。二量体試料からは僅かに発光が検出された。単量体試料からは発光は検出されなかった。当該方法によると、5量体以上のアミロイドβが検出され、二量体および単量体の検出は抑制されることがわかった。
(実施例5)エピトープの重複する捕捉抗体および標識抗体を用いたICT−EIAによるタウタンパク質の検出
1.被検物質溶液の調製
タウタンパク質単量体(ニプロ社製)1000pg/mL含む単量体試料を調製した。
タウタンパク質単量体(Wako社製)を重合させてオリゴマーを調製し、これを1000pg/mL含むオリゴマー試料を調製した。ゲル濾過クロマトグラフィーにより常法に従ってオリゴマーの分子量を分析した結果、オリゴマー試料の主な構成成分は10量体オリゴマーであった。
2.抗体溶液の調製
実施例2の2.と同様にして標識抗体を調製した。
抗タウタンパク質マウスモノクローナル抗体(バイオレジェンド社製、IgG、クローン名:Tau12)を用い、実施例1の2.と同様にして捕捉抗体を調製した。
標識抗体100fmol、捕捉抗体100fmolの含有量となるよう標識抗体溶液、捕捉抗体溶液および緩衝液Aを混合し、抗体溶液80μLを調製した。
3.固相の調製
実施例2の3.と同様にして、抗DNP抗体固相およびSTA固相を調製した。
4.測定
(1)複合体形成
被検物質溶液70μLと抗体溶液80μLとを混合し、37℃で27分間反応させ、標識抗体−被検物質−捕捉抗体のサンドイッチ複合体を形成させた。
(2)複合体の第1固相への固定
抗DNP抗体固相の懸濁液(粒子濃度2.5%)20μLを添加した。37℃で11分間インキュベートし、固相上に複合体を固定した。液相を除去し、300μLのHISCL洗浄液(シスメックス社製)を用いて4回洗浄した。
(3)複合体の遊離
複合体を固定化した固相に溶出液2(2.5mM DNP−Lys、DMSO、0.1M MES、2%casein Na、NaOH、NaN3を含む)を110μL添加した。37℃で5分間インキュベートすることにより、抗DNP固相と複合体との間の結合を切断して複合体を遊離させた。
(4)複合体の第2固相への固定
複合体を含む上清80μLを回収し、ここにSTA固相の懸濁液(粒子濃度2.5%)30μLを添加した。37℃で5分間インキュベートし、固相上に複合体を固定した。液相を除去し、300μLのHISCL洗浄液(シスメックス社製)を用いて4回洗浄した。
(5)酵素反応および蛍光測定
複合体を固定化した固相に、HISCL発光基質セットR4試薬(シスメックス社製)50μLと、HISCL発光基質セットR5試薬(シスメックス社製)100μLとを混合し、42℃で5分間反応させ、発光強度を測定した。
(結果)
実施例5で測定した蛍光強度を図10に示す。タウタンパク質のオリゴマーは検出されたが、単量体は検出されなかった。当該方法によると、タウタンパク質オリゴマーが検出され、単量体の検出は抑制されることがわかった。
30 試薬キット
31 第1容器
32 第2容器
33 第3容器
34 第4容器
37 添付文書
38 梱包箱
40 試薬キット
41 第1容器
42 第2容器
43 第3容器
44 第4容器
45 第5容器
47 添付文書
48 梱包箱

Claims (16)

  1. 被検物質、前記被検物質と結合する標識抗体、前記被検物質と結合する第1捕捉抗体、前記被検物質と結合する第2捕捉抗体、および前記第1捕捉抗体と結合する第1固相とを接触させ、前記被検物質、前記標識抗体、前記第1捕捉抗体および前記第2捕捉抗体を含む複合体を前記第1固相上に形成する工程と、
    前記第1捕捉抗体と前記第1固相との結合を解離することにより前記複合体を遊離させ、前記第2捕捉抗体と結合する第2固相と前記複合体とを接触させ、前記複合体を前記第2固相上に転移する工程と、
    前記第2固相上の複合体に含まれる標識を測定し、前記被検物質を検出する工程と、
    を含み、
    前記被検物質が多量体であり、
    前記標識抗体のエピトープ、前記第1捕捉抗体のエピトープおよび前記第2捕捉抗体エピトープが重複する、
    被検物質の検出方法。
  2. 前記被検物質が、ポリペプチドを含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記被検物質が、三量体以上の多量体である、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記被検物質が、アミロイドβまたはタウタンパク質である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記第1捕捉抗体が第1結合物質を含み、前記第1固相が前記第1結合物質と特異的に結合する第1結合パートナーを含み、
    前記形成工程において、前記第1結合パートナーと前記第1結合物質との特異的結合により、前記複合体が前記第1固相上に結合し、前記第2捕捉抗体が第2結合物質を含み、前記第2固相が前記第2結合物質と特異的に結合する第2結合パートナーを含み、
    前記転移工程において、前記第2結合パートナーと前記第2結合物質との特異的結合により、遊離した前記複合体が前記第2固相に結合する、
    請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記第1固相が粒子であり、
    前記形成工程の後、前記転移工程の前に、未反応成分の除去および前記第1固相の回収を行う工程を含む、
    請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記転移工程において、遊離剤により前記第1固相上の複合体を前記第1固相から遊離する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記転移工程の後、前記検出工程の前に、未反応成分の除去および前記第2固相の回収を行う工程を含む、
    請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記第1結合パートナーが抗ハプテン抗体であり、前記第1結合物質がハプテンであり、前記第2結合パートナーがアビジン類であり、前記第2結合物質がビオチン類である、請求項5および請求項5を引用する請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記ハプテンがジニトロフェニル基であり、
    前記転移工程において、ジニトロフェニルアミノ酸を用いて前記第1固相上の複合体を前記第1固相から遊離する、
    請求項9に記載の方法。
  11. 前記標識が、酵素または蛍光物質である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記標識が、βガラクトシダーゼまたはアルカリフォスファターゼであり、
    前記測定工程において、前記酵素の基質と前記酵素とを反応させ、前記酵素反応により生じた反応産物から生じる標識を測定する、
    請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記標識が、蛍光物質であり、
    前記測定工程において、前記第2固相上の複合体に励起光を照射し、前記複合体の標識から生じる蛍光を測定する、
    請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の方法に用いられ、前記標識抗体、前記第1捕捉抗体、および前記第2捕捉抗体を含む、被検物質の検出試薬キット。
  15. 前記第1固相をさらに含む、請求項14に記載のキット。
  16. 前記第2固相をさらに含む、請求項14または15に記載のキット。
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