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JP6319832B2 - 製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物 - Google Patents

製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ソフトで歯切れのよい食感を経日的に維持したパン類を提供できる製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物に関する。
最近、ソフトで、歯切れのよいパン類が好まれてきている。しかし通常はソフトさを追求するとパンの歯切れが悪くなるという問題点があった。
このソフトさと歯切れの両立を追及した方法としては、乳化剤、澱粉、酵素及び増粘安定剤の2種又は3種以上の組み合わせを挙げることができる。
特許文献1には、食用油脂、糖類、乳化剤を含むO/Wエマルジョンを乾燥粉末化した製パン用粉末油脂が記載されている。
また、特許文献2には食用油脂に化工澱粉、糖質分解酵素及び食用酸化剤を含有する食用油脂組成物が記載されている。
しかし特許文献1及び2に記載の製パン用粉末油脂や食用油脂組成物を用いて製造されたパン類は歯切れの改良効果が低く、また経日的にソフト性が失われやすいという問題があった。
特許文献3には卵白、糖類、澱粉及び安定剤を含む含気組成物を小麦粉含有生地に混合してなるパン生地が記載されている。
また、特許文献4には平均粒子径が20μm以下の増粘安定剤を含有することを特徴とする製菓・製パン用品質改良剤が記載されている。
しかし特許文献3及び4で得られたパン類は、焼成直後はソフトで歯切れのよい食感であるが、経日的にソフト性が失われやすいという問題があった。
ところで、乳化剤は、パン生地への添加形態によって製パン改良効果に差異が生じることが知られている。特に乳化剤の水和物は、焼成直後のソフトな状態を経日的に維持できるパン類を提供できることが知られている。
この乳化剤の水和物を用いた先行技術としては例えば特許文献5及び6を挙げることができる。
特許文献5には、少なくとも一部が液晶状態の乳化剤と、プロテアーゼ類及びアミラーゼ類から選ばれる1種又は2種以上の酵素とを含む油脂組成物が記載されている。
また、特許文献6には固体脂含量が特定の範囲にあり、水和された乳化剤と構成脂肪酸中にトランス酸のモノエン酸を含むモノグリセライド及び糊剤を含有した練り込み用油中水型乳化油脂組成物が記載されている。
しかし、特許文献5及び6に記載の油脂組成物を用いたバン類は、焼成直後のソフト性の改良効果は高いが、歯切れの改良効果については、ほとんど見られないものであった。
特開2008−99581号公報 特開平9−94052号公報 特開2005−278534号公報 特開2002−291396号公報 特開平3−297345号公報 特開平4−144632号公報
従って、本発明は、ソフトで歯切れのよい食感を経日的に維持したパン類を製造できる製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を達成すべく種々検討した結果、油相と水相に特定の乳化剤を用いることにより、上記課題を解決できることを見出したものである。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(5)の全ての条件を満たす製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を提供するものである。
(1)グリセリンモノ脂肪酸エステルを2〜35質量%(組成物基準)含有する
(2)水相にグリセリンモノ脂肪酸エステルを1〜10質量%(組成物基準)含有する
(3)油相にグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを1〜15質量%(組成物基準)含有する
(4)油相にレシチン及び/又はグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを0.1〜5質量%(組成物基準)含有する
(5)油相中の、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量と、レシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率が20:80〜95:5(前者:後者)の範囲内である
また、本発明は、以下の(2)の条件を満たす水相と、以下の(3)〜(5)の全ての条件を満たす油相を乳化し、急冷可塑化することを特徴とする、(1)の条件を満たす製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物の製造方法を提供するものである。
(1)グリセリンモノ脂肪酸エステルを2〜35質量%(組成物基準)含有する
(2)水相にグリセリンモノ脂肪酸エステルを1〜10質量%(組成物基準)含有する
(3)油相にグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを1〜15質量%(組成物基準)含有する
(4)油相にレシチン及び/又はグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを0.1〜5質量%(組成物基準)含有する
(5)油相中の、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量と、レシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率が20:80〜95:5(前者:後者)の範囲内である
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物により、ソフトで歯切れの良い食感を経日的に維持できるパン類を製造することができる。
以下、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物について説明する。
先ず、上記(1)の条件について説明する。
上記(1)の条件の通り、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物はグリセリンモノ脂肪酸エステルを2〜35質量%(組成物基準)、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは8〜12質量%含有する。
2質量%未満であると、得られるパン類のソフト性の改良効果が全く見られず、35質量%を超えると得られるパン類がねちゃついた食感になってしまうことに加え、乳化剤特有の風味が発現し、パン類の味に悪影響を及ぼすので好ましくない。
次に、上記(2)の条件について説明する。
上記(2)の条件の通り、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物は、水相にグリセリンモノ脂肪酸エステルを1〜10質量%(組成物基準)、好ましくは1.5〜9質量%、より好ましくは2〜6質量%含有する。
1質量%未満であると、経日的にソフトであるパン類が得られないので好ましくなく、10質量%よりも多いと安定的な乳化物の製造が困難であることに加え、得られるパン類がねちゃついた食感になってしまい、さらには、乳化剤特有の風味が発現し、パン類の味に悪影響を及ぼすので好ましくない。
本発明では(2)水相に使用するグリセリンモノ脂肪酸エステルは、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルであることが好ましい。尚、グリセリンモノ脂肪酸エステルは通常、油溶性であり、親油基を表面に向けて配列した状態である。そのため、水相中に上記グリセリンモノ脂肪酸エステルを安定して分散させるためには、水分散型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用することが好ましい。
上記水分散型のグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、水溶液中でカゼインナトリウム等の高分子物質と複合体を形成させた後、噴霧乾燥した粉末状のグリセリンモノ脂肪酸エステルや、親水基を外側に向けたミセル構造である、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを挙げることができ、本発明では、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用することが好ましい。
上記ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルは、温水にグリセリンモノ脂肪酸エステルを攪拌しながら分散させることにより、得ることができる。尚、水や熱湯にグリセリンモノ脂肪酸エステルを懸濁しただけではハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルは得られない。
上記の温水の温度は50〜75℃の範囲であり、グリセリンモノ脂肪酸エステルの種類にもよるが、一般的にグリセリンモノ脂肪酸エステルの融点以上、特に5℃程度高い温度が好ましい。またグリセリンモノ脂肪酸エステルの種類にもよるが、温水におけるグリセリンモノ脂肪酸エステルの濃度が、好ましくは1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%、最も好ましくは2〜25質量%となるように調製することによりハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを得ることができる。
尚、このようにして得られたハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用する場合、上記グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は、水分を除いた、純乳化剤の量である。
次に、上記(3)の要件について説明する。
上記(3)の要件の通り、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物は、油相にグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを1〜15質量%(組成物基準)、好ましくは4〜13質量%、より好ましくは6〜10質量%含有する。
1質量%未満であると、得られるパン類のソフト性の改良効果が全く見られず、15質量%を超えると得られるパン類がねちゃついた食感になってしまうことに加え、乳化剤特有の風味が発現し、パン類の味に悪影響を及ぼすので好ましくない。
次に、上記(4)の要件について説明する。
上記(4)の要件の通り、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物は、油相にレシチン及び/又はグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを0.1〜5質量%(組成物基準)、好ましくは0.3〜4質量%、より好ましくは1〜3質量%含有する。尚、上記のレシチンの含有量はレシチン純分の含有量である。0.1質量%未満であると、乳化安定性が乏しくなり、また、歯切れのよいパン類が得られないので好ましくなく、5質量%よりも多いとヒキの強い食感のパン類となってしまうので好ましくない。
尚、本発明では、レシチンのみを使用してもよく、また、グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルのみを使用してもよく、また2者を併用してもよいが、好ましくはレシチンとグリセリンモノ不飽和脂肪酸を併用する。
次に、上記(5)の要件について説明する。
上記(5)の要件の通り、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物は、油相中の、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量と、レシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率が20:80〜95:5(前者:後者)、好ましくは50:50〜90:10、より好ましくは60:40〜80:20である。 前者の割合が95超、又は20未満であると、得られるパン類のソフト性の改良効果が全く見られなくなるという問題がある。
以下、上記グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステル、グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル及びレシチンについて具体的に記す。
本発明で使用するグリセリンモノ脂肪酸エステルは、グリセリンと脂肪酸とのエステル化生成物であり、その構成脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。具体的には、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルモトイル酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、パクセン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、ソフト性及び口溶けが良好なパン類が得られる点で炭素数12〜22の脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ脂肪酸エステルを用いることがより好ましく、炭素数14〜18の脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ脂肪酸エステルを用いることが一層好ましく、炭素数16〜18の脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを用いることが最も好ましい。
本発明で使用するグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルは、上記グリセリンモノ脂肪酸エステルのうち、結合脂肪酸が飽和脂肪酸であるものであり、また、本発明で使用するグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルは、上記グリセリンモノ脂肪酸エステルのうち、結合脂肪酸が不飽和脂肪酸であるものである。
また、本発明で使用するレシチンとしては、大豆レシチン、菜種レシチン、コーンレシチン、サフラワーレシチン等の植物レシチンや、卵黄レシチン等の動物レシチンが使用される。上記レシチンは、天然由来の未精製レシチン(クルードレシチン)、クルードレシチンから中性脂質、脂肪酸、炭水化物、タンパク質、無機塩、ステロール、色素等の不純物を常法により除去して得られる高純度に精製されたレシチン(精製レシチン)の何れでもよい。さらには、レシチン中のフォスファチジルコリンを分画して得られる分画レシチン、レシチンをリゾ化処理することにより得られるリゾレシチン、酵素分解処理した酵素レシチンのような改質レシチンでもよい。本発明ではこれらのレシチンの中から選ばれた1種種又は2種以上を用いることができる。本発明では大豆レシチンを用いることが好ましい。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物において、水相中のグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量と、油相中のレシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率は、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは25:75〜75:25、一層好ましくは33:67〜67:33である。本発明において前者の割合が90超であると、ソフトだが弾力がない、歯切れの悪いパンとなりやすく、前者の割合が10未満であると、ソフトだがヒキの強い、歯切れの悪いパンとなりやすい。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物は、上記のグリセリンモノ脂肪酸エステルとレシチン以外のその他の乳化剤を油相及び/又は水相に本発明の目的を損なわない限り含有させてもよい。
上記のその他の乳化剤としては、例えばグリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等を用いることができ、本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明では上記のその他の乳化剤として、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウムの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることが好ましい。本発明ではその他の乳化剤として特に、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及び/又は、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを用いることが、製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物の乳化安定性向上やパン類の歯切れが改善される点で望ましい。
上記その他の乳化剤は、油相に含有させてもよく、また、水相に含有させてもよく、さらには、水相及び油相に含有させてもよいが、基本的には油溶性の乳化剤は油相に、水溶性の乳化剤は水相に含有させることが好ましく、さらに好ましくは油相のみに含有させることが好ましい。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物におけるその他の乳化剤の含有量は好ましくは0.1〜10質量%(組成物基準)、より好ましくは0.5〜9質量%、最も好ましくは1〜8質量%である。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物は、油脂を好ましくは20〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%、最も好ましくは51〜85質量%含有する。本発明において上記油脂の含有量が20質量%よりも少ないと、パン生地に添加した際のパン生地への練りこまれやすさ(混合性)が悪化しやすいことに加え、得られるパン生地の伸展性が悪化することがあり、その場合、得られるパンの体積が減少し、また食感も悪化してしまうおそれがある。一方、95質量%よりも多いと、水相に添加するグリセリンモノ脂肪酸エステルを安定的に配合することが困難になってしまうおそれがある。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物で使用する油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂等が挙げられる。これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明では、口どけが良好である点で、ヨウ素価が好ましくは52〜70、より好ましくは60〜70のパーム分別軟部油を好ましくは70質量%以上、より好ましくは100質量%含む油脂配合物をランダムエステル交換したエステル交換油脂を、その含有量が油脂中に好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%となるように用いることが望ましい。
尚、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物に、油脂を含有するその他の材料を使用した場合は、上記油脂の含有量には、その他の材料に含まれる油脂分も含めるものとする。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物は、水を好ましくは70質量%以下、より好ましくは55質量%以下、最も好ましくは40質量%以下含有する。
上記の水としては水道水や天然水等の水や、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物で含有させる以下のその他の材料に由来する水分も含めたものとする。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物はその他の材料を含有しても良い。
その他の材料としては、増粘安定剤(キサンタンガム・アルギン酸・アルギン酸塩・アルギン酸エステル・グアガム・ローカストビーンガム・カラギーナン・アラビアガム・ペクチン・プルラン・タマリンドシードガム・結晶セルロース・カルボキシメチルセルロース・メチルセルロース・寒天・グルコマンナン・ゼラチン・ファーセルラン・タラガム・カラヤガム・トラガントガム・ジェランガム・大豆多糖類)、乳や乳製品(カゼイン・ホエー・クリーム・脱脂粉乳・発酵乳・牛乳・全粉乳・ヨーグルト・練乳・加糖練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳・純生クリーム・ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)・植物性ホイップ用クリーム、乳清ミネラル)、チーズ類(ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・クリームチーズ)、デキストリン、原料アルコール、焼酎・ウイスキー・ウオッカ・ブランデー等の蒸留酒、ワイン・日本酒・ビール等の醸造酒、各種リキュール、無機塩類、食塩、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵類、糖類や甘味料、β―カロチン・カラメル・紅麹色素等の着色料、トコフェロール・茶抽出物等の酸化防止剤、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、野菜類・肉類・魚介類等の食品素材、コンソメ・ブイヨン等の植物及び動物エキス、食品添加物等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記その他の材料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物中、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
続いて本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物の製造方法について記載する。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物は、以下の(2)の条件を満たす水相と、以下の(3)〜(5)の全ての条件を満たす油相を乳化し、急冷可塑化することにより得ることができる。
(1)グリセリンモノ脂肪酸エステルを2〜35質量%(組成物基準)含有する
(2)水相にグリセリンモノ脂肪酸エステルを1〜10質量%(組成物基準)含有する
(3)油相にグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを1〜15質量%(組成物基準)含有する
(4)油相にレシチン及び/又はグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを0.1〜5質量%(組成物基準)含有する
(5)油相中のグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルと、レシチン及び/又はグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルの含有量の比が20:80〜95:5(前者:後者)の範囲内である
具体的には、まず油脂に組成物基準でグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを1〜15質量%となる量、レシチン及び/又はグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを0.1〜5質量%となる量、必要によりその他の乳化剤やその他の材料を添加した油相と、水に組成物基準でグリセリンモノ脂肪酸エステルを1〜10質量%となる量、必要によりそのほかの乳化剤やその他の材料を添加した水相を油中水型に乳化し、乳化物とする。
上記の油相と水相との質量比率(前者:後者)は、好ましくは油相:水相=30:70〜90:10、より好ましくは油相:水相は45:55〜80:20である。本発明において、油相が30質量%よりも少なく、水相が70質量%よりも多いと、乳化が不安定となりやすい。また、油相が90質量%よりも多く、水相が10質量%よりも少ないと、良好な可塑性が得られにくい。
そして、次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。次に、冷却し、可塑化する。本発明において、上記の冷却は好ましくは−0.5℃/分以上、より好ましくは−5℃/分以上とする。この際、徐冷却より急速冷却の方が好ましい。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等が挙げられる。
また、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
次に本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を用いたパン生地について説明する。
上記のパン生地としては、山形食パン、角型食パン、コッペパン、バラエティブレッド、ロールパン、菓子パン、スイートロール、デニッシュ・ペストリー、バンズ、ブリオッシュ、マフィン、ベイグル、スコーン、イングリッシュマフィン、ドーナツ、ピザ、蒸しパン、ワッフル等の各種パン生地を挙げることができる。
上記のパン生地における本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物の使用量は、従来の製パン練り込み用油脂組成物と同様であり、パン生地の種類によっても異なるが、パン生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは4〜20質量部である。
上記澱粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉及び全粒粉等の小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉等のその他の穀粉類、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉、カシュ―ナッツ粉、オーナッツ粉及び松実粉等の堅果粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉及び米澱粉等の澱粉並びにこれらの澱粉に酵素処理、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理及びグラフト化処理から選択される1以上の処理を施した化工澱粉等が挙げられる。
本発明では、澱粉類中、好ましくは小麦粉類を50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、最も好ましくは100質量%使用することが望ましい。
本発明のパン生地においては、必要に応じ、一般の製パン材料として使用することのできるその他の原料を使用することができる。
その他の原料としては、例えば、水、油脂、イースト、イーストフード、米麹、酒かす、糖類や甘味料、増粘安定剤、着色料、酸化防止剤、デキストリン、乳や乳製品、チーズ類、蒸留酒、醸造酒、各種リキュール、乳化剤、膨張剤、無機塩類、食塩、ベーキングパウダー、イーストフード、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、蛋白質、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、各種食品素材や食品添加物等を挙げることができる。
上記その他の原料は、本発明の効果を損なわない限り、任意に使用することができるが、水については、上記澱粉類100質量部に対して、好ましくは30〜100質量部、より好ましくは30〜70質量部となる範囲で使用する。また、水以外のその他の原料については、上記澱粉類100質量部に対して、合計で好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下となる範囲で使用する。尚、その他の原料として、水分を含有する原料を使用した場合は、上記の水には、その他の原料に含まれる水分も含めるものとする。
次に、本発明のパン生地の製造方法について説明する。
本発明のパン生地は、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を生地に練り込むことにより、製造することができる。
その際の製パン法としては、中種法、直捏法、液種法、中麺法、湯種法等、従来製パン法として使用されるあらゆる製パン法を採ることができる。尚、本発明のパン生地を中種法で製造する場合は、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を中種生地及び/又は本捏生地に練り込むことにより製造することができるが、本捏生地に練り込むことが好ましい。
また、得られた本発明のパン生地は、冷蔵、冷凍保存することが可能である。
次に、本発明のパン類について述べる。
本発明のパン類は、上記の本発明のパン生地を、適宜、分割、成形し、必要に応じホイロ、リタード、レストをとった後、加熱処理することにより得ることができる。
上記成形は、どのような形状に成形してもよく、型詰めを行っても構わない。成形は、手作業で行っても、連続ラインを用いて全自動で行っても構わない。
上記加熱処理としては、例えば、焼成、フライ、蒸し、蒸し焼きが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上の処理を行うことができるが焼成によることが好ましい。
また、得られた本発明のパン類を、冷蔵、冷凍保存したり、該保存後に電子レンジ加熱したりすることも可能である。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
<製パン練り込み用乳化油脂組成物の製造>
〔実施例1〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂58.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を、70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例1の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物1を製造した。
〔実施例2〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂60.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル5.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル4.0質量%を70℃に加温した温水28質量%に混合した水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例2の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物2を製造した。
〔実施例3〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂62.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル3.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル6.0質量%を70℃に加温した温水26質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例3の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物3を製造した。
〔実施例4〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂62.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル3.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例4の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物4を製造した。
〔実施例5〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂68.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル3.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例5の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物5を製造した。
〔実施例6〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂58質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)3質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例6の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物6を製造した。
〔実施例7〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂58質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%及びグリセリンモノオレイン酸エステル3.0質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例7の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物7を製造した。
〔実施例8〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂54.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)4.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例8の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物8を製造した。
〔実施例9〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂56質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル4.5質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に混合した水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例9の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物9を製造した。
〔実施例10〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂58.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル6.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例10の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物10を製造した。
〔比較例1〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂58.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、70℃に加温した温水32質量%からなる水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、比較例1の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物11を製造した。
〔比較例2〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂65.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノオレイン酸エステル2質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する比較例2の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物12を製造した。
〔比較例3〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂61質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する比較例3の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物13を製造した。
〔比較例4〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂54.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル6質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する比較例4の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物14を製造した。
〔比較例5〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂60.8質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.2質量%を混合した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する比較例5の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物15を製造した。
〔比較例6〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂62.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル1.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル4質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する比較例6の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物16を製造した。
得られた製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物1〜16の、(1)組成物中のグリセリンモノ脂肪酸エステル含量、(2)水相中のグリセリンモノ脂肪酸エステル含量、(3)油相中のグリセリンモノ飽和脂肪酸エステル含量、(4)油相中のレシチンとグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルの合計量、(5)油相中の、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量と、レシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率、及び、水相中のグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量と、油相中のレシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率、を表1A及び表1Bに記載した。
尚、得られた製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物1〜16は下記の菓子パン製造によるベーカリー試験に供した。

Figure 0006319832
Figure 0006319832
<ベーカリー試験>
実施例1〜10及び比較例1〜6で得られた製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物1〜16を用い、以下の配合と製法にて菓子パン製造試験を実施した。
[配合]
(中種配合)
強力粉 70質量部
イーストフード 0.1質量部
イースト 3質量部
米麹 1質量部
ブドウ糖 3質量部
水 40質量部
(本捏配合)
強力粉 30質量部
食塩 1.5質量部
上白糖 15質量部
製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物 10質量部
水 23質量部
[製法]中種法
中種配合の全原料を、縦型ミキサーにて低速3分、中速3分ミキシングし、中種生地(捏ね上げ温度=26℃)を得た。得られた中種生地は28℃、相対湿度80%にて120分の中種発酵を取った。
次に本捏配合の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物以外の全原料と上記の中種発酵を行った中種生地を、縦型ミキサーにて低速3分、中速3分ミキシングした後、本捏配合の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を添加して、低速3分、中速4分ミキシングし、パン生地(捏ね上げ温度=28℃)を得た。
得られたパン生地は、フロアータイムを30分とり、50gに分割した。さらに30分ベンチタイムを取った後、丸め成形をし、38℃、相対湿度85%、50分のホイロを取った後、上火200℃下火200℃のオーブンで10分焼成した。
得られた菓子パンは室温で1時間冷却した後、ポリエチレン袋に密封し、室温(25℃)に保管し、1日後及び3日後に下記の方法で硬さ及び歯切れの評価を行い、その結果を表2A及び表2Bに記載した。
[評価]
[硬さの評価方法]
パンを高さ30mmとなるように上面をカットした後、レオメーター(株式会社レオテック製)にて、厚さ50%まで加圧した時の荷重(単位:gf)を測定した。測定条件は、測定速度6cm/min、接触面積314mm2(アダプター:直径2cm円盤使用)、1サンプルを3回測定し、その平均値を求め、下記の評価基準にあてはめて5段階評価を行い、これを硬さの評価とした。
[硬さ評価基準]
◎:100〜150
○+:151〜200
○:201〜250
△:251〜300
×:301〜350
[歯切れの評価方法]
パネラー12人により、パンの歯切れについて、下記の3段階評価をし、その合計点を下記の評価基準にあてはめて5段階評価を行い、これを歯切れの評価とした。
3点:歯切れが良い
2点:やや歯切れが良い
1点:歯切れが悪い
[歯切れ評価基準]
◎:合計点が32〜36点
○:合計点が27〜31点
○−:合計点が22〜26点
△:合計点が17〜21点
×:合計点が12〜16点
Figure 0006319832
Figure 0006319832
表2A及び表2Bの結果から、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物1〜10を使用した菓子パンは、ソフトで歯切れのよい食感を経日的に維持できることがわかる。
これに対して、(1)組成物中のグリセリンモノ脂肪酸エステル含量、(2)水相中のグリセリンモノ脂肪酸エステル含量、(3)油相中のグリセリンモノ飽和脂肪酸エステル含量、(4)油相中のレシチンとグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルの合計量、(5)油相中の、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量と、レシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率の1つでも欠けた製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を使用した菓子パンは、ソフトさと歯切れの全てを満足できないことがわかる。

Claims (5)

  1. 以下の(1)〜(5)の全ての条件を満たす製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物。
    (1)炭素数14〜18の脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ脂肪酸エステルを5〜20質量%(組成物基準)含有する
    (2)水相に、炭素数14〜18の脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ脂肪酸エステルを1〜10質量%(組成物基準)含有する
    (3)油相に、炭素数14〜18の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを1〜15質量%(組成物基準)含有する
    (4)油相にレシチン及び/又は炭素数14〜18の不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを0.1〜5質量%(組成物基準)含有する
    (5)油相中の、炭素数14〜18の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量と、レシチン及び炭素数14〜18の不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率が20:80〜95:5(前者:後者)の範囲内である
  2. 水相中のグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量と、油相中のレシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率が10:90〜90:10である請求項1記載の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物。
  3. 以下の(2)の条件を満たす水相と、以下の(3)〜(5)の全ての条件を満たす油相を乳化し、急冷可塑化することを特徴とする、(1)の条件を満たす製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物の製造方法。
    (1)炭素数14〜18の脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ脂肪酸エステルを5〜20質量%(組成物基準)含有する
    (2)水相に、炭素数14〜18の脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ脂肪酸エステルを1〜10質量%(組成物基準)含有する
    (3)油相に、炭素数14〜18の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを1〜15質量%(組成物基準)含有する
    (4)油相にレシチン及び/又は炭素数14〜18の不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを0.1〜5質量%(組成物基準)含有する
    (5)油相中の、炭素数14〜18の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量と、レシチン及び炭素数14〜18の不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率が20:80〜95:5(前者:後者)の範囲内である
  4. 請求項1又は2に記載の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を用いたパン生地。
  5. 請求項4に記載のパン生地を加熱処理したパン類。
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