JP6319832B2 - 製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物 - Google Patents
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Description
このソフトさと歯切れの両立を追及した方法としては、乳化剤、澱粉、酵素及び増粘安定剤の2種又は3種以上の組み合わせを挙げることができる。
また、特許文献2には食用油脂に化工澱粉、糖質分解酵素及び食用酸化剤を含有する食用油脂組成物が記載されている。
しかし特許文献1及び2に記載の製パン用粉末油脂や食用油脂組成物を用いて製造されたパン類は歯切れの改良効果が低く、また経日的にソフト性が失われやすいという問題があった。
また、特許文献4には平均粒子径が20μm以下の増粘安定剤を含有することを特徴とする製菓・製パン用品質改良剤が記載されている。
しかし特許文献3及び4で得られたパン類は、焼成直後はソフトで歯切れのよい食感であるが、経日的にソフト性が失われやすいという問題があった。
この乳化剤の水和物を用いた先行技術としては例えば特許文献5及び6を挙げることができる。
また、特許文献6には固体脂含量が特定の範囲にあり、水和された乳化剤と構成脂肪酸中にトランス酸のモノエン酸を含むモノグリセライド及び糊剤を含有した練り込み用油中水型乳化油脂組成物が記載されている。
しかし、特許文献5及び6に記載の油脂組成物を用いたバン類は、焼成直後のソフト性の改良効果は高いが、歯切れの改良効果については、ほとんど見られないものであった。
(1)グリセリンモノ脂肪酸エステルを2〜35質量%(組成物基準)含有する
(2)水相にグリセリンモノ脂肪酸エステルを1〜10質量%(組成物基準)含有する
(3)油相にグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを1〜15質量%(組成物基準)含有する
(4)油相にレシチン及び/又はグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを0.1〜5質量%(組成物基準)含有する
(5)油相中の、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量と、レシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率が20:80〜95:5(前者:後者)の範囲内である
(1)グリセリンモノ脂肪酸エステルを2〜35質量%(組成物基準)含有する
(2)水相にグリセリンモノ脂肪酸エステルを1〜10質量%(組成物基準)含有する
(3)油相にグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを1〜15質量%(組成物基準)含有する
(4)油相にレシチン及び/又はグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを0.1〜5質量%(組成物基準)含有する
(5)油相中の、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量と、レシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率が20:80〜95:5(前者:後者)の範囲内である
先ず、上記(1)の条件について説明する。
2質量%未満であると、得られるパン類のソフト性の改良効果が全く見られず、35質量%を超えると得られるパン類がねちゃついた食感になってしまうことに加え、乳化剤特有の風味が発現し、パン類の味に悪影響を及ぼすので好ましくない。
次に、上記(2)の条件について説明する。
1質量%未満であると、経日的にソフトであるパン類が得られないので好ましくなく、10質量%よりも多いと安定的な乳化物の製造が困難であることに加え、得られるパン類がねちゃついた食感になってしまい、さらには、乳化剤特有の風味が発現し、パン類の味に悪影響を及ぼすので好ましくない。
尚、このようにして得られたハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用する場合、上記グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は、水分を除いた、純乳化剤の量である。
次に、上記(3)の要件について説明する。
1質量%未満であると、得られるパン類のソフト性の改良効果が全く見られず、15質量%を超えると得られるパン類がねちゃついた食感になってしまうことに加え、乳化剤特有の風味が発現し、パン類の味に悪影響を及ぼすので好ましくない。
次に、上記(4)の要件について説明する。
尚、本発明では、レシチンのみを使用してもよく、また、グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルのみを使用してもよく、また2者を併用してもよいが、好ましくはレシチンとグリセリンモノ不飽和脂肪酸を併用する。
次に、上記(5)の要件について説明する。
以下、上記グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステル、グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル及びレシチンについて具体的に記す。
尚、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物に、油脂を含有するその他の材料を使用した場合は、上記油脂の含有量には、その他の材料に含まれる油脂分も含めるものとする。
その他の材料としては、増粘安定剤(キサンタンガム・アルギン酸・アルギン酸塩・アルギン酸エステル・グアガム・ローカストビーンガム・カラギーナン・アラビアガム・ペクチン・プルラン・タマリンドシードガム・結晶セルロース・カルボキシメチルセルロース・メチルセルロース・寒天・グルコマンナン・ゼラチン・ファーセルラン・タラガム・カラヤガム・トラガントガム・ジェランガム・大豆多糖類)、乳や乳製品(カゼイン・ホエー・クリーム・脱脂粉乳・発酵乳・牛乳・全粉乳・ヨーグルト・練乳・加糖練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳・純生クリーム・ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)・植物性ホイップ用クリーム、乳清ミネラル)、チーズ類(ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・クリームチーズ)、デキストリン、原料アルコール、焼酎・ウイスキー・ウオッカ・ブランデー等の蒸留酒、ワイン・日本酒・ビール等の醸造酒、各種リキュール、無機塩類、食塩、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵類、糖類や甘味料、β―カロチン・カラメル・紅麹色素等の着色料、トコフェロール・茶抽出物等の酸化防止剤、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、野菜類・肉類・魚介類等の食品素材、コンソメ・ブイヨン等の植物及び動物エキス、食品添加物等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物は、以下の(2)の条件を満たす水相と、以下の(3)〜(5)の全ての条件を満たす油相を乳化し、急冷可塑化することにより得ることができる。
(1)グリセリンモノ脂肪酸エステルを2〜35質量%(組成物基準)含有する
(2)水相にグリセリンモノ脂肪酸エステルを1〜10質量%(組成物基準)含有する
(3)油相にグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを1〜15質量%(組成物基準)含有する
(4)油相にレシチン及び/又はグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを0.1〜5質量%(組成物基準)含有する
(5)油相中のグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルと、レシチン及び/又はグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルの含有量の比が20:80〜95:5(前者:後者)の範囲内である
上記のパン生地としては、山形食パン、角型食パン、コッペパン、バラエティブレッド、ロールパン、菓子パン、スイートロール、デニッシュ・ペストリー、バンズ、ブリオッシュ、マフィン、ベイグル、スコーン、イングリッシュマフィン、ドーナツ、ピザ、蒸しパン、ワッフル等の各種パン生地を挙げることができる。
その他の原料としては、例えば、水、油脂、イースト、イーストフード、米麹、酒かす、糖類や甘味料、増粘安定剤、着色料、酸化防止剤、デキストリン、乳や乳製品、チーズ類、蒸留酒、醸造酒、各種リキュール、乳化剤、膨張剤、無機塩類、食塩、ベーキングパウダー、イーストフード、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、蛋白質、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、各種食品素材や食品添加物等を挙げることができる。
本発明のパン生地は、本発明の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を生地に練り込むことにより、製造することができる。
本発明のパン類は、上記の本発明のパン生地を、適宜、分割、成形し、必要に応じホイロ、リタード、レストをとった後、加熱処理することにより得ることができる。
〔実施例1〕
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂58.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を、70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例1の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物1を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂60.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル5.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル4.0質量%を70℃に加温した温水28質量%に混合した水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例2の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物2を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂62.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル3.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル6.0質量%を70℃に加温した温水26質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例3の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物3を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂62.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル3.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例4の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物4を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂68.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル3.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例5の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物5を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂58質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)3質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例6の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物6を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂58質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%及びグリセリンモノオレイン酸エステル3.0質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例7の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物7を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂54.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)4.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例8の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物8を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂56質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル4.5質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に混合した水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例9の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物9を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂58.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル6.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する実施例10の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物10を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂58.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル2質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、70℃に加温した温水32質量%からなる水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、比較例1の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物11を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂65.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノオレイン酸エステル2質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する比較例2の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物12を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂61質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する比較例3の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物13を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂54.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル6質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する比較例4の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物14を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂60.8質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル7.0質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.2質量%を混合した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する比較例5の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物15を製造した。
パームスーパーオレインのランダムエステル交換油95質量部とパームステアリン5質量部との混合油脂62.5質量%を60℃前後に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル1.0質量%、グリセリンモノオレイン酸エステル4質量%及び大豆レシチン(純分60質量%)0.5質量%を添加・溶解した油相68質量%と、グリセリンモノステアリン酸エステル2.0質量%を70℃に加温した温水30質量%に攪拌しながら分散させた水相32質量%とを油中水型の乳化物とし、殺菌し、急冷可塑化工程(冷却速度―20℃/分)にかけ、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する比較例6の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物16を製造した。
尚、得られた製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物1〜16は下記の菓子パン製造によるベーカリー試験に供した。
実施例1〜10及び比較例1〜6で得られた製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物1〜16を用い、以下の配合と製法にて菓子パン製造試験を実施した。
(中種配合)
強力粉 70質量部
イーストフード 0.1質量部
イースト 3質量部
米麹 1質量部
ブドウ糖 3質量部
水 40質量部
(本捏配合)
強力粉 30質量部
食塩 1.5質量部
上白糖 15質量部
製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物 10質量部
水 23質量部
中種配合の全原料を、縦型ミキサーにて低速3分、中速3分ミキシングし、中種生地(捏ね上げ温度=26℃)を得た。得られた中種生地は28℃、相対湿度80%にて120分の中種発酵を取った。
次に本捏配合の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物以外の全原料と上記の中種発酵を行った中種生地を、縦型ミキサーにて低速3分、中速3分ミキシングした後、本捏配合の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を添加して、低速3分、中速4分ミキシングし、パン生地(捏ね上げ温度=28℃)を得た。
得られたパン生地は、フロアータイムを30分とり、50gに分割した。さらに30分ベンチタイムを取った後、丸め成形をし、38℃、相対湿度85%、50分のホイロを取った後、上火200℃下火200℃のオーブンで10分焼成した。
得られた菓子パンは室温で1時間冷却した後、ポリエチレン袋に密封し、室温(25℃)に保管し、1日後及び3日後に下記の方法で硬さ及び歯切れの評価を行い、その結果を表2A及び表2Bに記載した。
[硬さの評価方法]
パンを高さ30mmとなるように上面をカットした後、レオメーター(株式会社レオテック製)にて、厚さ50%まで加圧した時の荷重(単位:gf)を測定した。測定条件は、測定速度6cm/min、接触面積314mm2(アダプター:直径2cm円盤使用)、1サンプルを3回測定し、その平均値を求め、下記の評価基準にあてはめて5段階評価を行い、これを硬さの評価とした。
[硬さ評価基準]
◎:100〜150
○+:151〜200
○:201〜250
△:251〜300
×:301〜350
[歯切れの評価方法]
パネラー12人により、パンの歯切れについて、下記の3段階評価をし、その合計点を下記の評価基準にあてはめて5段階評価を行い、これを歯切れの評価とした。
3点:歯切れが良い
2点:やや歯切れが良い
1点:歯切れが悪い
[歯切れ評価基準]
◎:合計点が32〜36点
○:合計点が27〜31点
○−:合計点が22〜26点
△:合計点が17〜21点
×:合計点が12〜16点
これに対して、(1)組成物中のグリセリンモノ脂肪酸エステル含量、(2)水相中のグリセリンモノ脂肪酸エステル含量、(3)油相中のグリセリンモノ飽和脂肪酸エステル含量、(4)油相中のレシチンとグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルの合計量、(5)油相中の、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量と、レシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率の1つでも欠けた製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を使用した菓子パンは、ソフトさと歯切れの全てを満足できないことがわかる。
Claims (5)
- 以下の(1)〜(5)の全ての条件を満たす製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物。
(1)炭素数14〜18の脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ脂肪酸エステルを5〜20質量%(組成物基準)含有する
(2)水相に、炭素数14〜18の脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ脂肪酸エステルを1〜10質量%(組成物基準)含有する
(3)油相に、炭素数14〜18の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを1〜15質量%(組成物基準)含有する
(4)油相にレシチン及び/又は炭素数14〜18の不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを0.1〜5質量%(組成物基準)含有する
(5)油相中の、炭素数14〜18の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量と、レシチン及び炭素数14〜18の不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率が20:80〜95:5(前者:後者)の範囲内である - 水相中のグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量と、油相中のレシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率が10:90〜90:10である請求項1記載の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物。
- 以下の(2)の条件を満たす水相と、以下の(3)〜(5)の全ての条件を満たす油相を乳化し、急冷可塑化することを特徴とする、(1)の条件を満たす製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物の製造方法。
(1)炭素数14〜18の脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ脂肪酸エステルを5〜20質量%(組成物基準)含有する
(2)水相に、炭素数14〜18の脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ脂肪酸エステルを1〜10質量%(組成物基準)含有する
(3)油相に、炭素数14〜18の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルを1〜15質量%(組成物基準)含有する
(4)油相にレシチン及び/又は炭素数14〜18の不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを0.1〜5質量%(組成物基準)含有する
(5)油相中の、炭素数14〜18の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルの含有量と、レシチン及び炭素数14〜18の不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを合計した含有量との質量比率が20:80〜95:5(前者:後者)の範囲内である - 請求項1又は2に記載の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を用いたパン生地。
- 請求項4に記載のパン生地を加熱処理したパン類。
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