以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物から変更し誇張してある。
なお、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図9は、本発明の一実施形態を説明するための図である。このうち図1は太陽電池パネル付き表示体(以下、単に表示体と呼ぶ)10を示す斜視図、図2は断面図、図3は平面図である。図4〜図6は、表示体10が発現する光学機能を説明するため図であり、図7〜図9は、パネル部材の製造方法の一例を説明するための図である。また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「光制御シート」には、「光制御フィルム」や「光制御板」等と呼ばれる部材も含まれる。
さらに、本明細書において、「シート面(フィルム面、板面、パネル面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。以下に説明する実施形態においては、後述する光制御シート20のシート面、及び、光制御シート20の後述する本体部40のシート面は、互いに並行となっている。また、第1の実施形態では、光制御シート20のシート面、光制御シート20の後述する本体部40のシート面、太陽電池パネル50のパネル面、及び、太陽電池パネル50の受光面50aは、互いに並行となっている。さらに、本明細書において、シート状(フィルム状、板状、パネル状)の部材に対して用いる「法線方向」とは、当該部材のシート面への法線方向のことを指す。
ここで説明する表示体10は、何らかの光学機能を発現することを期待された第1光学機能面11及び第2光学機能面12を含んだパネル状の部材である。光学機能面は、光の作用や性質を利用した機能を備える平面もしくは曲面またはこれらを組み合わせた面である。光は、可視光だけでなく赤外線から紫外線までを含む意味である。光の作用や性質としては、例えば、光の直進、屈折、反射、吸収、発光、干渉、および偏光などが挙げられる。光学機能としては、例えば、表示機能、照明機能、遮光機能、および太陽電池、光学素子、光学部材または光学機器などとの光接続機能などが挙げられる。図1及び図2に示すように、表示体10は、第1軸方向d1に配列された複数の単位レンズ30を有している。この単位レンズ30は、表示体10に入射する光または表示体10から出射する光に対してレンズ機能を発現し、当該光の進行方向を調整する。単位レンズ30は、或る角度範囲AR1内の方向から入射した光を第1光学機能面11に導き、或る角度範囲AR2内の方向から入射した光を第2光学機能面12に導く。つまり、単位レンズ30は、第1光学機能面11からの光を屈折させて第1角度範囲AR1内の方向へ出射させ、第2光学機能面12からの光を屈折させて第2角度範囲AR2内の方向へ出射させる。
つまり、第1光学機能面11は、第1角度範囲AR1から表示体10へ入射する光に対して、或いは、第1角度範囲AR1へ向けて表示体10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮する。また、第2光学機能面12は、第2角度範囲AR2から表示体10へ入射する光に対して、或いは、第2角度範囲AR2へ向けて表示体10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮する。
そして、ここで説明する表示体10では、各光学機能面11、12からの光学機能が連続して発現されるようになる角度範囲を、すなわち、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整し得るようにするための工夫がなされている。この結果、各光学機能面11、12での光学機能が安定して発揮され、表示体10が有効に機能するようになる。
以下に詳述する一実施形態では、一例として、第1光学機能面11は、太陽電池パネル50の入光面50aとして機能する。すなわち、第1角度範囲AR1から表示体10へ入射する光は、単位レンズ30によってその進行方向が調整されて、入光面(受光面)50aとしての第1光学機能面11を介して太陽電池パネル50へ入射し、発電に利用される。また、第2光学機能面12は、一例として、表示対象13を表示するための表示面をなしている。ここで、表示体10へ入射する光は、第2光学機能面12またはそれに接続された表示素子等で反射し、単位レンズ30によって進行方向が調整されて、第2角度範囲AR2へ向けて表示体10から出射する。あるいは、第2光学機能面12またはそれに接続された表示素子等が発光する場合、第2光学機能面12から出射された光は、単位レンズ30によって進行方向が調整されて、第2角度範囲AR2へ向けて表示体10から出射する。そして、第2角度範囲AR2へ向けて表示体10から出射する光は、表示対象13を表示する。すなわち、観察者は第2角度範囲AR2から表示対象13を観察することができる。なお、表示対象13として、図形、パターン、デザイン、色彩、絵、写真、キャラクターなどの絵柄(イメージ)や、文字、マーク、数字などの情報を例示することができる。表示対象13は、静止していても動いていてもよい。ただし、本発明は、以下に詳述する一実施形態に限定されるものではなく、第1光学機能面11による光学機能及び第2光学機能面12による光学機能は、適宜変更することができる。
以下、本実施形態による表示体10の構成および作用効果について詳述していく。図1および図2によく示されているように、表示体10は、光制御シート20と、光制御シート20の背面に配置された太陽電池パネル50と、を有している。光制御シート20は、表示体10の表面10aを形成し、太陽電池パネル50は、表示体10の裏面10bを形成している。表面10aは、表示体10へ入射する太陽光等の外光等の入射面をなす。また、表面10aは、表示対象13を可視化する第2光学機能面12からの光が表示体10から出射する出射面をなす。太陽電池パネル50としては、市販されている汎用的な種々の太陽電池パネルを使用可能である。
光制御シート20は、シート状の本体部40と、本体部40上に支持されたレンズ部25と、を有している。レンズ部25は、第1軸方向d1に配列された多数の単位レンズ30を含んでいる。多数の単位レンズ30は、その光軸odが互いに平行となるようにして、並べられている。とりわけ図示された例において、単位レンズ30は、その光軸odが、本体部40の法線方向ndと平行となるよう配置されている。また、第1軸方向d1は、表示体10のパネル面に沿っており、本体部40の法線方向ndに直交している。
図示された例において、表示体10は、第1軸方向d1が鉛直方向と平行になるようにして、配置されている。
レンズ部25は、図1に示すように、いわゆるレンチキュラーレンズ乃至シリンドリカルレンズを構成している。すなわち、各単位レンズ30は、その配列方向である第1軸方向d1に対して交差する方向に線状に延びている。とりわけ図示された例において、単位レンズ30は、第1軸方向d1及び法線方向ndの両方と直交する第2軸方向d2に、直線状に延びている。また、レンズ部25に含まれる複数の単位レンズ30は、互いに同一に構成されている。
各単位レンズ30は、凸レンズ状のレンズ面31を有し、シート状の本体部40から、本体部40の法線方向ndに向かって突出している。このレンズ面31は、表示体10の表面10aをなしている。第1軸方向d1及び法線方向ndの両方に平行な図2の断面(以下においては、「主切断面」とも呼ぶ)において、レンズ面31は、光軸odを中心として対称となっている。図2に示すように、各単位レンズ30は、そのレンズ面31に入射する平行光束を、集光領域に集める。図2に示す単位レンズ30は、単位レンズ30の光軸odに沿って入射する平行光L21を焦点fpに集める例が示されており、この場合、焦点fpは、単位レンズ30の光軸od上に位置する。
ところで、図示された例において、単位レンズ30は、互いに隙間をあけて第1軸方向d1に配列されている。すなわち、第1軸方向d1に隣り合う二つの単位レンズ30のレンズ面31の間には、当該二つのレンズ面31の対面する基端部32b間を接続する接続面38が設けられている。図示された例において、接続面38は、本体部40のシート面に沿って延びている。表示体10の表面10aは、単位レンズ30のレンズ面31と接続面38とによって形成されている。単位レンズ30を含む光制御シート20は、一例として、金型を用いた樹脂成型によって作製され得る。接続面38を設けて、隣り合う単位レンズ30の間に隙間を設けることによって、法線方向ndに対して大きく傾斜した角度範囲からの光が単位レンズ30に入射する前にその隣の単位レンズ30で遮られてしまう問題、いわゆる「ケラレ」を減らすことができる。
本体部40は、互いに対向する一対の主面として、第1主面40a及び第2主面40bを有している。第1主面40aは、レンズ部25と隣接する面を形成し、第2主面40bは、光制御シート20の、太陽電池パネル50と隣接する面を形成している。図2に示すように、本体部40の第2主面40bに、各々が対応する単位レンズ30に対向するようにして形成された複数の切込部41が設けられている。各切込部41は、本体部40の第2主面40bの他の部分よりも、本体部40の法線方向ndに向かって凹んでいる。複数の切込部41は、単位レンズ30に対応して、単位レンズ30の配列方向である第1軸方向d1に配列されている。本実施形態では、各切込部41は、対応する単位レンズ30と法線方向ndに沿って少なくとも部分的に対面するようにして、配置されている。言い換えると、各切込部41は、本体部40の法線方向ndからみて、対応する単位レンズ30と少なくとも部分的に重なっている。本実施形態では、各切込部41は、単位レンズ30と同様に、配列方向である第1軸方向d1と交差する方向、より厳密には、第1軸方向d1と直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。
図2に示すように、各切込部41は、表示体10の裏面10b側から表面10a側に向かって延びる第1切込面42及び第2切込面43を有している。第1切込面42と第2切込面43との幅は、本体部40の法線方向ndに沿って表示体10の表面10aに接近していくにつれて、狭くなっている。そして、最も接近した第1切込面42の表面10a側の端部と、第2切込面43の表面10a側の端部とが、互いに接続されている。
本実施形態では、第1切込面42の表面10a側の端部と、第2切込面43の表面10a側の端部との接続領域上に位置する切込部41の表面10a側の端部は、本体部40の第1主面40aから離間している。言い換えると、切込部41の表面10a側の端部は、本体部40の法線方向ndにおいて、当該切込部41に対応する単位レンズ30の基端部32bよりも、第1光学機能面11に近接して位置している。このような形態によれば、切込部41と本体部40の第1主面40aとの間に、肉厚を確保することができるため、屈曲や衝撃に対する機械強度を確保することができる。
本実施形態において、切込部41内を埋めるように低屈折率部60が配置されており、本体部40と低屈折率部60との間となる位置で、切込部41の第2切込面43に沿って第2光学機能面12が配置されている。一方、第1光学機能面11は、各低屈折率部60を本体部の第2主面40bとの間で挟むようにして配置されている。
第1光学機能面11は、第1軸方向d1に配列された複数の単位レンズ30の各々に対向して、平面状に延び広がっている。図示された例において、第1光学機能面11は、本体部40のシート面、言い換えると、表示体10のパネル面と平行に延びている。したがって図示された例では、第1光学機能面11は、単位レンズ30の配列方向である第1軸方向d1と平行に延び広がり、且つ、単位レンズ30の長手方向である第2軸方向d2とも平行に延び広がっている。
上述したように、第2光学機能面12は、本体部40に形成された切込部41内に配置されている。すなわち、本体部40の法線方向ndにおいて、第2光学機能面12は、単位レンズ30と第1光学機能面11との間に位置している。第2光学機能面12は、単位レンズ30に対応して、単位レンズ30の配列方向である第1軸方向d1に配列されている。各第2光学機能面12は、当該第2光学機能面12が対応する一つの単位レンズ30に対向して位置している。図2に示すように、各第2光学機能面12は、対応する単位レンズ30と法線方向ndに沿って少なくとも部分的に対面するようにして、配置されている。言い換えると、各第2光学機能面12は、本体部40の法線方向ndからみて、対応する単位レンズ30と少なくとも部分的に重なっている。本実施形態では、第2光学機能面12は、単位レンズ30と同様に、配列方向である第1軸方向d1と交差する方向に線状に延びている。より厳密には、第2光学機能面12は、単位レンズ30と同様に、第1軸方向d1と直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。なお、図示された例において、単位レンズ30に対応して多数設けられた第2光学機能面12は、互いに同一に構成されている。
各第2光学機能面12は、第1光学機能面11に対して傾斜し、単位レンズ30の光軸odに平行な方向に対して傾斜している。すなわち、各第2光学機能面12は、第1光学機能面11及び単位レンズ30の光軸odのいずれとも非平行になっている。このような第2光学機能面12によれば、後述するようにして、第2光学機能面12からの光学機能が発現されるようになる角度範囲である第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することが可能となり、また、第1光学機能面11からの光学機能が発現されるようになる角度範囲である第1角度範囲AR1も、高い自由度で調整することが可能となる。
図2に示すように、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1において一側(図示する例では、図2における上側であって、鉛直方向における上側)に位置する一端部12aが、第1軸方向d1において他側(図示する例では、図2における下側であって、鉛直方向における下側)に位置する他端部12bよりも、本体部40の法線方向ndにおいて単位レンズ30に近接するように、光制御シート20のシート面に対して傾斜している。したがって、第2光学機能面12の一端部12aは、第2光学機能面12の他端部12bよりも、本体部40の法線方向ndにおいて単位レンズ30に近接している。図2から理解されるように、このような第2光学機能面12には、法線方向ndに対して他側(下側)に傾斜した角度範囲からの光が、入射しやすくなる。したがって、第2光学機能面12からの光学機能は、法線方向ndに対して他側(下側)に傾斜した角度範囲に向けて、効果的に発揮されるようになる。
このような傾向を強化する観点から、表示体10の主切断面において、第2光学機能面12は、第1軸方向d1における一側(上側)から他側(下側)に向けて、段階的又は連続的に、本体部40の法線方向ndに沿って単位レンズ30から離間していくことが好ましい。図示された例において、第2光学機能面12は平面として形成されている。そして、図2に示された表示体10の主切断面において、第2光学機能面12は、第1軸方向d1における一側から他側に向けて、連続的に一定の傾斜の程度で、本体部40の法線方向ndに沿って単位レンズ30から離間していく。このような第2光学機能面12によれば、第2光学機能面12からの光学機能が、法線方向ndに対して他側に傾斜した角度範囲に向けて、効果的に発揮されるようになる。
また、図2に示すように、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1において一側(上側)に位置する一端部12aが、当該第2光学機能面12に対応する単位レンズ30の先端部32aよりも第1軸方向d1において一側に位置している。すなわち、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1において一側(上側)に位置する一端部12aが、当該第2光学機能面12に対応する単位レンズ30の光軸odよりも第1軸方向d1において一側に位置している。上述のように、単位レンズ30のレンズ面31は、光軸odを中心として対称となっており、単位レンズ30にて屈折して法線方向ndに対して他側に傾斜した方向から本体部40内を進行する光は、光軸odよりも第1軸方向d1において一側に位置した領域を通過し易い。したがって、各第2光学機能面12の一端部12aが、対応する単位レンズ30の光軸odよりも第1軸方向d1において一側に位置することにより、単位レンズ30にて屈折して法線方向ndに対して他側に傾斜した方向から本体部40内を進行する光を、第2光学機能面12にてさらに受光し易くなる。すなわち、第2光学機能面12からの光学機能は、法線方向ndに対して他側(下側)に傾斜した角度範囲に向けて、さらに効果的に発揮されるようになる。
図示された実施形態では、図2に示された表示体10の主切断面において、第2光学機能面12の第1軸方向d1における他側(下側)の端部である他端部12bは、当該第2光学機能面12に対応する単位レンズ30のレンズ面31の先端部32aと、第1軸方向d1において同一位置に位置している。また、図2に示された表示体10の主切断面において、第2光学機能面12の第1軸方向d1における一側の端部である一端部12aは、当該第2光学機能面12に対応する単位レンズ30のレンズ面31の第1軸方向d1における一側の基端部32bと、第1軸方向d1において同一位置に位置している。もっとも、図2に示された表示体10の主切断面において、第2光学機能面12の一端部12aは、当該第2光学機能面12に対応する単位レンズ30のレンズ面31の第1軸方向d1における一側の基端部32bから、第1軸方向d1においてずれて位置していてもよい。
とりわけ図示された例では、図2に示された表示体10の主切断面において、第2光学機能面12の一端部12aは、単位レンズ30のレンズ面31の第1軸方向d1における一側の基端部32bから、本体部40の法線方向ndに沿って表示体10の裏面10b側に離間している。
なお、単位レンズ30のレンズ面31の先端部32aは、レンズ面31のうちの、本体部40の法線方向ndに沿って本体部40から最も突出した部分のことである。また、単位レンズ30のレンズ面31の基端部32bは、レンズ面31のうちの、本体部40の法線方向ndに沿って本体部40に最も接近した部分、或いは、本体部40に接続する部分のことである。
加えて、図2に示すように、第1光学機能面11は、単位レンズ30の焦点fp上に位置している。より厳密には、第1光学機能面11は、レンズ部25に含まれる多数の単位レンズ30の焦点fpによって画成される仮想面上に位置している。そして、図2に示された表示体10の主切断面において、第2光学機能面12の第1軸方向d1における他側(下側)に位置する他端部12bは、第1光学機能面11に接続している。すなわち、図示された実施形態では、表示体10の主切断面において、第2光学機能面12の他端部12bは、本体部40の法線方向ndに進む平行光束L21(図2参照)が単位レンズ30に入射した際における単位レンズ30の焦点位置fp上に位置している。さらに言い換えると、第2光学機能面12の他端部12bは、単位レンズ30の光軸od上に位置している。このような表示体10によれば、本体部40の法線方向ndを境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。
なお、図示された本実施形態では、上述したように、第1光学機能面11は、太陽電池パネル50の入光面(受光面)50aとして機能する。すなわち、第1角度範囲AR1から表示体10へ入射する光は、入光面50aとしての第1光学機能面11を介して太陽電池パネル50へ入射し、発電に利用される。太陽電池パネル50は、太陽電池素子を含んでおり、取り込んだ光によって電流を生じさせる。太陽電池パネル50は、種々の既知な部材を用いることができ、特に限定されない。
一方、図示された本実施形態での第2光学機能面12は、表示対象13を表示するための表示面をなしている。したがって、第2角度範囲AR2へ向けて表示体10から出射する光は、表示対象13を可視化させる。すなわち、第2角度範囲AR2から第2光学機能面12が視認され、結果として、第2光学機能面12に形成された表示対象13を観察することができる。なお、第2光学機能面12によって動く表示対象13を表示する場合、第1光学機能面11と隣接した太陽電池パネル50から発電された電気を駆動に用いることが簡便である。
図3には、第2光学機能面12に形成される表示対象13の一例が示されている。複数の第2光学機能面12が、第1軸方向d1に配列されるとともに、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1に直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。したがって、第1軸方向d1における各位置に位置する第2光学機能面12が、当該第2光学機能面12の第1軸方向d1における位置に応じた表示対象要素13aを付与されることによって、第2軸方向d2に細長く延びる各第2光学機能面12に形成された表示対象要素13aの組み合わせとして二次元的な表示対象13を表示することが可能となる。図3に示された例では、アルファベットの大文字の「N」が表示対象13として表示されている。このように、複数の表示対象要素13aの組み合わせとして表示対象13を表示することで、各第2光学機能面12および各単位レンズ30のサイズを小さくできるため、第2角度範囲AR2を広げたり、表示体10のサイズを大きくしたとしても、より良好な表示対象13を観察できるようになる。
本実施形態の表示体10は、表示対象13が連続して表示される角度範囲を高い自由度で調整可能である。そのため、本実施形態の表示体10は、様々な用途で利用可能であり、例えば、屋外看板、道路情報掲示板、建築物の外壁面などで用いられる数m〜数十mサイズの大型パネル用途や、ポスター、標識、建築物の内壁面などで用いられる数十cm〜数mサイズの中型パネル用途や、卓上スタンド、携帯端末などで用いられる数cm〜数十cmの小型パネル用途などを例示することができる。
さて、上述のように、単位レンズ30は、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向から入射した光L22を第1光学機能面11に導き、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向から入射した光L23を第2光学機能面12に導く。ところが、図2に示すように、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に大きく傾斜した方向から単位レンズ30に入射した光L25は、当該単位レンズ30と他側で隣り合う単位レンズ30に対面する第2光学機能面12に、表示体10の裏面10b側から向かっていく。このような方向からの光L25が、裏面10b側から第2光学機能面12に入射してしまうと、第2光学機能面12から期待された光学機能が発現されない。そこで、本実施形態では、表示体10の裏面10b側から第2光学機能面12に向かう光L25を、第1光学機能面11に導くように、第2光学機能面12が配置された切込部41内に低屈折率部60が設けられている。この低屈折率部60は、本体部40よりも屈折率が低くなっている。
このような低屈折率部60によれば、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に大きく傾斜した方向から単位レンズ30に入射した光L25をも第1光学機能面11に導くことを可能にするため、第1角度範囲AR1をさらに広角化させることができる。
図4に、切込部41内に配置された低屈折率部60を拡大して示す。図4に示すように、本実施形態の低屈折率部60は、第2光学機能面12が配置された切込部41を埋めるようにして、当該切込部41内に設けられている。このため、低屈折率部60は、本体部40に形成された切込部41の形状に対応する。ゆえに、複数の低屈折率部60は、切込部41と同様に、単位レンズ30の配列方向である第1軸方向d1に配列されている。
本実施形態では、各低屈折率部60は、対応する単位レンズ30と法線方向ndに沿って少なくとも部分的に対面するようにして、配置されている。言い換えると、各低屈折率部60は、本体部40の法線方向ndからみて、対応する単位レンズ30と少なくとも部分的に重なっている。さらに、低屈折率部60は、切込部41の形状に対応して、単位レンズ30の配列方向である第1軸方向d1と交差する方向、より厳密には、第1軸方向d1と直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。
図4に示すように、低屈折率部60は、切込部41の第1切込面42に沿って配置された入光面61と、切込部41の第2切込面43に沿って配置された接続面62と、入光面61の裏面10b側の端部と接続面62の裏面10b側の端部との間を延びる出光面63と、を含んでいる。このうち、入光面61は、単位レンズ30にて屈折した光L31が入光する面をなし、出光面63は、入光面61からの光L31が出光する面をなしている。
図4に示す例では、出光面63は、第1光学機能面11に沿って位置し、第1光学機能面11に隣接している。入光面61は、出光面63の第1軸方向d1において一側に位置する端部から、単位レンズ30側つまり表示体10の表面10a側に向かって延び出している。接続面62は、出光面63の第1軸方向d1において他側に位置する端部から、単位レンズ30側つまり表示体10の表面10a側に向かって延び出している。また、接続面62は、第2光学機能面12に沿って位置し、当該第2光学機能面12に隣接している。
図4に示すように、切込部41の第1切込面42及び第2切込面43の形状に対応して、入光面61と接続面62との幅は、本体部40の法線方向ndに沿って出光面63から離間していくにつれて、狭くなっている。そして、最も幅の狭くなった入光面61の表面10a側の端部と、接続面62の表面10a側の端部とが、互いに接続されている。とりわけ、図4に示された例では、入光面61、接続面62および出光面63が平坦面として形成されており、低屈折率部60は、主切断面において三角形形状をなしている。
ただし、主切断面における低屈折率部60の断面形状は、三角形形状である必要はなく、種々の形状を有するようにしてもよい。例えば、主切断面における低屈折率部60の断面形状は、三角形の一以上の角、例えば入光面61と接続面62とが接続した角が面取りされてなる形状となっていてよい。また、入光面61の表面10a側の端部と、接続面62の表面10a側の端部と、の間を延びる上面がさらに設けられていてもよい。つまり、主切断面における低屈折率部60の断面形状は、台形形状であってもよい。
このような低屈折率部60は、本体部40をなす材料よりも屈折率の低いものであれば特に限定されず、流体であってもよいし、固体であってもよい。本体部40をなす材料として、例えば、屈折率が1.50〜1.60程度に調整されたウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系等のアクリレート系樹脂が挙げられる。一方、低屈折率部60をなす樹脂材料として、例えば、屈折率が1.45〜1.51程度に調整されたアクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の紫外線硬化性樹脂が挙げられる。低屈折率部60が本体部40をなす樹脂材料よりも屈折率の低い樹脂材料からなる場合、第2光学機能面12を樹脂材料で覆うことで当該第2光学機能面12を保護することができる。これにより、本体部40に形成された切込部41内に配置された第2光学機能面12に、環境の変化や振動等の外乱に対する耐性を付与することができる。あるいは、低屈折率部60は、気体からなってもよい。この場合、低屈折率部60の入光面61と本体部40との界面で、大きな屈折率差を生じさせることができるため、単位レンズ30から低屈折率部60に向かってくる光L25の進行方向を、本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、大きく変更させることができる。本実施形態では、低屈折率部60は、空気からなる。
このような低屈折率部60によれば、入光面61と本体部40との界面で、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に大きく傾斜した方向から単位レンズ30に入射した光L25を、当該光L25の進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、偏向させることができる。上述のように、第1光学機能面11は本体部40のシート面に沿って配置されているため、低屈折率部60によれば、単位レンズ30からの光L31を第1光学機能面11に向けて偏向させることができる。このような光学機能を効果的に発現する観点から、低屈折率部60の入光面61は、以下に説明するような幾何学的関係を満たすことが好ましい。
先ず、図4に示すように、低屈折率部60で偏向させることが意図された光L31は、第2光学機能面12に表示体10の裏面10b側から接近してくる。このため、低屈折率部60で偏向させることが意図された光L31が本体部40の法線方向ndに対してなす角度θ3は、第2光学機能面12が法線方向ndに対してなす角度θ1よりも大きくなる。図4に示す幾何学的関係から理解されるように、低屈折率部60で偏向させることが意図された光L31を、第1光学機能面11に向けて偏向させるためには、この光L31を入光面61の法線方向ND1に対して第1光学機能面11とは反対側から入射させる必要がある。したがって、低屈折率部60が、第2光学機能面12が法線方向ndに対してなす角度θ1よりも大きな角度で入射する光L31を、第1光学機能面11に向けて偏向させるためには、前記主切断面において、第2光学機能面12と低屈折率部60の入光面61とのなす角度θ2は、少なくとも第2光学機能面12に直交する平面P2と第2光学機能面12とのなす角度よりも小さくなればよい。すなわち、第2光学機能面12と低屈折率部60の入光面61とのなす角度θ2は、少なくとも鋭角、すなわち、0°以上90°未満の角度であればよい。ここで、平面P2とは、第2光学機能面12に直交する方向に向かって、低屈折率部60の表面10aに近接した端部から、裏面10b側に延び出す平面である。第2光学機能面12と入光面61とのなす角度θ2を鋭角にすることにより、第2光学機能面12が本体部40の法線方向ndに対してなす角度θ1よりも大きな角度で向かってくる光L31の少なくとも一部を、その進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、曲げることができる。
また、主切断面において、対象となる光が入射する単位レンズ30の第1軸方向d1において一側に位置する基端部32bと、対象となる光が偏向される低屈折率部60の表面10aに近接した端部と、を結ぶ直線をSL2とする。言い換えると、主切断面において、対象となる光が入射する単位レンズ30の基端部のうち、対象となる光が偏向される低屈折率部60から離間した側に位置する基端部32bと、対象となる光が偏向される低屈折率部60の入光面61と接続面62との接続位置と、を結ぶ直線をSL2とする。図4に示す幾何学的関係から理解されるように、低屈折率部60で偏向させることが意図された光L31、L32のうち本体部40の法線方向ndに対してなす角度が最も大きい光は、前記直線SL2と平行な方向から低屈折率部60に向かう光L32となる。したがって、前記直線SL2と平行な方向から低屈折率部60に向かう光L32を、第1光学機能面11に向けて偏向させるためには、上述のように、この光L31を入光面61の法線方向ND1に対して第1光学機能面11とは反対側から入射させる必要がある。したがって、前記直線SL2と平行な方向から低屈折率部60に向かう光L32を、第1光学機能面11に向けて偏向させるためには、前記主切断面において、第2光学機能面12と入光面61とのなす角度θ2は、前記直線SL2に直交する平面P3と第2光学機能面12とのなす角度θ4よりも小さいのがよい。すなわち、前記主切断面において、入光面61は、前記直線SL2に直交する平面P3と、第2光学機能面12と、の間に配置されるのがよい。ここで、平面P3とは、前記直線SL2に直交する方向に向かって、低屈折率部60の表面10aに近接した端部から、裏面10b側に延び出す平面である。第2光学機能面12と低屈折率部60の入光面61とのなす角度θ2を、前記直線SL2に直交する平面P3と第2光学機能面12とのなす角度θ4よりも小さくすることにより、低屈折率部60に向かう任意の光L31、L32を、その進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、曲げることができる。
また、金型の作製精度を向上させる観点から、低屈折率部60の入光面61と第2光学機能面12とは、第一軸方向d1に直交し本体部40の法線方向ndに平行な面に関して互いに逆側に傾斜しているのがよい。この場合、光制御シート20を賦型するための金型に、切込部41を形成するための凸部を精度良く形成することができる。これにより、本体部40に切込部41を高精度に形成することができ、この結果、切込部41内に配置される低屈折率部60を高精度に形成することができる。
次に、上述してきた表示体10の製造方法の一例について、主として図7〜図9を参照しながら、説明する。
まず、図7に示すように、透明樹脂を成型することにより、成型物70を作製する。成型は、熱溶融押出加工や射出成型等を採用することができる。図7に示すように、得られた成型物70には、上述した光制御シート20の本体部40の第2主面40bとなる部分に、切込部41が形成されている。また、成型物70には、レンズ部25が賦型されている。
次に、図8に示すように、成型物70の切込部41内に、第2光学機能面12としての表示面を形成する。一例として、耐候性インクを用いてインクジェット印刷によって、成型物70の切込部41内に、表示対象13を形成する。これにより、第2光学機能面12が形成された光制御シート20が得られる。
次に、図9に示すように、光制御シート20の切込部41が形成された面側に、太陽電池パネル50を接合させる。これにより、太陽電池パネル50の入光面50aをなす第1光学機能面11を形成することができる。また、光制御シート20の切込部41を太陽電池パネル50で覆うことにより、切込部41内に空気からなる低屈折率部60を設けることができる。なお、低屈折率部60が本体部40をなす材料よりも屈折率の低い樹脂材料にて構成される場合には、第2光学機能面12が形成された切込部41に、低屈折率部60をなす材料を充填すればよい。したがって、切込部41内に空気からなる低屈折率部60を設けることにより、切込部41を他の材料で埋める必要がなくなるため、表示体10を効率良く作製することができる。このようにして、上述の表示体10が得られる。
次に、主として、図4〜図6を参照しながら、表示体10の作用について説明する。表示体10は、例えば、単位レンズ30の配列方向である第1軸方向d1が鉛直方向に沿うようにして、配置される。また、第2光学機能面12の第1軸方向d1における一側に位置する一端部12aが、鉛直方向における上側に位置し、第2光学機能面12の第1軸方向d1における他側に位置する他端部12bが、鉛直方向における下側に位置するように、表示体10が配置される。
表示体10の最も観察者側には、レンズ部25が設けられている。レンズ部25の単位レンズ30は、表示体10に入射する光または表示体10から出射する光に対してレンズ機能を発揮して、当該光の進行方向を調整する。単位レンズ30は、或る角度範囲AR1内の方向から入射した光を、直接的にあるいは低屈折率部60を利用して第1光学機能面11に導き、或る角度範囲AR2内の方向から入射した光を第2光学機能面12に導く。言い換えると、単位レンズ30は、第1光学機能面11からの光を屈折させて第1角度範囲AR1内の方向へ出射させ、第2光学機能面12からの光を屈折させて第2角度範囲AR2内の方向へ出射させる。したがって、第1光学機能面11は、第1角度範囲AR1から表示体10へ入射する光に対して、或いは、第1角度範囲AR1へ向けて表示体10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮することができる。
また、第2光学機能面12は、第2角度範囲AR2から表示体10へ入射する光に対して、或いは、第2角度範囲AR2へ向けて表示体10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮することができる。
本実施形態では、第1光学機能面11が、太陽電池パネル50の入光面50aをなしている。したがって、広い角度範囲から入射する光を第1光学機能面11に導いて、太陽電池パネル50での発電に利用することが好ましい。とりわけ、太陽光は、時間帯や季節に応じて位置を変化させる。表示体10では、このように時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を第1光学機能面11に導くことができれば好ましい。すなわち、入射方向を変化させる太陽光を高効率で取り込むにあたり、上述した第1角度範囲AR1が広角化されていることが好ましい。
本実施形態において、第2光学機能面12は、表示対象13を表示するための表示面となっている。したがって、第2角度範囲AR2から第2光学機能面12に形成された表示対象13を観察することができる。この用途において、第2角度範囲AR2は、表示対象13を観察し得る視野角となる。一般的に、視野角である第2角度範囲AR2は、広角化されていることが好ましい。図17を参照して説明した従来技術のように、30°程度の視野角が間をあけて繰り返し現れる表示媒体では、表示される表示対象の視認性が著しく低下し、情報表示機能を有効に発揮することができない。したがって、本実施形態の表示体10の特長をより発揮させるために、第2角度範囲AR2の視野角が45°程度以上連続していることが好ましい。なお、第2角度範囲AR2の視野角の上限については、第1角度範囲AR1とのバランスで適宜設定すればよいが、135°程度未満になるケースが多いと考えられる。
また、表示対象13を観察している際に、表示対象13とともに太陽電池パネル50が観察されると、表示対象13の視認性や意匠性を著しく害することになる。したがって、表示対象13が付与された第2光学機能面12が観察され得る第2角度範囲AR2は、太陽電池パネル50が観察されるようになる第1角度範囲AR1と区分けされていること、すなわち重なり合っていないことが好ましい。
一方、上述してきた本実施形態による表示体10は、第1軸方向d1に配列された単位レンズ30と、複数の単位レンズに対向して位置している第1光学機能面11と、第1軸方向d1に配列されて単位レンズ30に対向して位置している第2光学機能面12と、を有している。そして、第2光学機能面12は、本体部40の法線方向ndにおいて、単位レンズ30と第1光学機能面11との間に位置し、且つ、第1光学機能面11に対して傾斜している。とりわけ、第2光学機能面12は、単位レンズ30の光軸odに直交する方向に対して傾斜して広がっている。その一方で、第1光学機能面11は、単位レンズ30の光軸odに直交する方向に広がっている。
このような表示体10では、図5によく示されているように、傾斜した第2光学機能面12が、当該第2光学機能面12の正面方向すなわち法線方向から向かってくる光L42、L43、L44を効率的に受光することが可能となる。図5に示す例では、第2光学機能面12が単位レンズ30の光軸odに対して第1軸方向d1における一側に傾斜しているため、当該光軸odに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L42、L43、L44、を効率的に受光することが可能となる。
図17を参照して説明した従来例では、実用上選択可能な樹脂材料の屈折率に起因して、単位レンズ130の光軸に対して30°程度以上傾斜した方向からの光L153、L154は、当該単位レンズ130でのレンズ機能によって大きく進行方向を曲げられることなく、結果として、当該単位レンズ130以外の単位レンズに対面する光学機能面111、112に入射していた。その一方で、本実施形態によれば、図5に示すように、光軸odに対して第1軸方向d1における他側に大きく傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L44も、入射した単位レンズ30に対向する第2光学機能面12にて受光されるようになる。図5に点線で示すように、この光L44は、仮に第2光学機能面12が第1光学機能面11と同一面上に交互に並べられていた場合、入射した単位レンズ30とは異なる単位レンズに対面する領域に進み、従来技術で説明した不具合を生じさせる。
すなわち、第2光学機能面12を光制御シート20のシート面に対して傾斜させることにより、第2光学機能面12に導かれるようになる表示体10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2、言い換えると、第2光学機能面12からの光の出射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を、図17に示された従来例と比較して、高い自由度で調整することができる。とりわけ、第2光学機能面12は、第1光学機能面11よりも単位レンズ30に接近した切込部41内で第1光学機能面11に対して傾斜している。これにより、第2光学機能面12が第1光学機能面11と同一面上に交互に並べられた図17に示す従来のパネル部材よりも、光軸odに対して傾斜した、第2光学機能面12の正面方向から向かってくる光L42、L43、L44を第2光学機能面12にて有効に受光することが可能となる。この結果、第2光学機能面12は、図17に示された従来例よりも、光軸odに対して傾斜した広範な方向から向かってくる光L42、L43、L44を受光することが可能となり、第2角度範囲AR2を広角化させることができる。
また、図6に示すように、第2光学機能面12は、本体部40の法線方向ndにおいて、単位レンズ30と第1光学機能面11との間に位置している。そして、傾斜した第2光学機能面12の単位レンズ30とは反対側となる位置にも、第1光学機能面11が配置されている。図示された例では、第1光学機能面11は、本体部40の法線方向ndに沿って各単位レンズ30に対面する全領域に、延び広がっている。このように広範囲に広がる第1光学機能面11によって、広い角度範囲から表示体10へ入射する光を受光することが可能となる。
また、第2光学機能面12に対してなす角度がより小さい方向から本体部40内を進行する光L52、L53、L54ほど、第2光学機能面12に受光され難い。このことから、傾斜した第2光学機能面12よりも裏面10b側に位置する第1光学機能面11は、図6に示すように、第2光学機能面12で効率的に受光される光L42、L43、L44(図5参照)とは逆側に傾斜した光L52、L53、L54を効率的に受光することが可能となる。つまり、第1軸方向d1において他側に進みながら単位レンズ30へ入射する光、図示する例では、鉛直方向における下方に進みながら単位レンズ30へ入射する光L52、L53、L54を効率的に受光することが可能となる。
ただし、第1軸方向d1において他側に進みながら単位レンズ30へ入射する光L54であっても、本体部40の法線方向ndに対してなす角度が大きい場合、単位レンズ30にて屈折されて、当該単位レンズ30と隣り合う単位レンズ30に対面する第2光学機能面12に、表示体10の裏面10b側から向かっていく。上述のように、本実施形態では、このような光L54をも第1光学機能面11に導くことを可能にするため、第2光学機能面12が配置された切込部41内に低屈折率部60が設けられている。このため、図6に示すように、第2光学機能面12に裏面10b側から向かっていく光L54は、低屈折率部60の入光面61と本体部40との界面で、当該光L54の進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、曲げられる。これにより、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に大きく傾斜した方向から単位レンズ30に入射した光L54であっても、第1光学機能面11に導くことができる。図6から理解されるように、この光L54は、仮に第2光学機能面12が第1光学機能面11と同一面上に交互に並べられていた場合、入射した単位レンズ30とは異なる単位レンズに対面する領域に進み、従来技術で説明した不具合を生じさせる。
すなわち、単位レンズ30と第1光学機能面11との間の領域で第2光学機能面12を傾斜させ、第2光学機能面12が配置された切込部41内に低屈折率部60を設けることにより、第1光学機能面11に導かれるようになる表示体10への入射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1、言い換えると、第1光学機能面11からの光の出射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1を、図17に示された従来例と比較して、高い自由度で調整することができ、さらには格段に広角化させることもできる。
ところで、第2角度範囲AR2からの光の一部は、配列方向に隣接する2つのレンズ面31の間の接続面38を通過する。接続面38を通過した光は、図10に示すように、第2光学機能面12の代わりに第1光学機能面11を通過して、太陽電池パネル50の受光面50aに到達する場合がありうる。太陽電池パネル50の受光面50aは通常は濃紺色や黒色であることから、接続面38を通過した光が第1光学機能面11に到達する場合、この受光面50aの色が第2角度範囲AR2に置かれた視点から視認されてしまうことになる。すなわち、第2角度範囲AR2に視点を置いたときに、第2光学機能面12に表示された表示対象13の合間に筋状に太陽電池パネル50の受光面50aが視認されることになり、この場合、外観が元の表示対象13の表示態様と異なったものとなることから、不調和な印象と違和感を与えることになる。
そこで、本実施形態の光制御シート20は、図11に示すように、第2角度範囲AR2からの光のうち、いずれかのレンズ面31に接する方向を通過して、このレンズ面31に隣接する接続面38を通過する光を、いずれかの第2光学機能面12上に到達させるようにしている。
これにより、第2角度範囲AR2に置かれた視点から接続面38の方向に視線を向けたときに、接続面38上のどの位置を視線が通過しても、その視線は、いずれかの第2光学機能面12に到達することになり、視点位置から太陽電池パネル50の受光面50aが視認されるおそれはなくなる。
図12は図11をより詳細に説明する図である。図12は、第2角度範囲AR2からの視線がレンズ面31に接する位置をTとし、この位置Tを通る視線が第2光学機能面12に到達するようにした例を示している。実際には、視点の置かれた位置の屈折率は光制御シート20の屈折率よりも小さいため、視点からの視線に沿った光は、接続面38で光制御シート20に入射されるときに屈折して第2光学機能面12の方向に進行する。したがって、視点位置からは、屈折した光が到達する第2光学機能面12上の位置に表示された表示対象13を視認することになる。図12において、視線は、第2角度範囲AR2から斜め上方に進行するため、この視線が接するレンズ面31に対応する第2光学機能面12の上側に隣接する第2光学機能面12上に視線が到達することになる。
この位置Tを通過する視線よりも図12の上側を通って接続面38を通過する視線は、図12の破線aに示すように、必ず第2光学機能面12に到達する。また、位置Tを通過する視線よりも図12の下側を通過する視線は、図12の破線bに示すように、レンズ面31で屈折されて、光制御シート20の内部を通過して、必ず第2光学機能面12に到達する。さらに、視線aよりも図12の上側を通る視線は、図12の破線cに示すように、破線bが入射するレンズ面31の上に隣接するレンズ面31で屈折されて、破線aと同じ第2光学機能面12に到達する。
このように、第2角度範囲AR2からの視線がいずれかのレンズ面31に接する位置と接続面38を通過した後に第2光学機能面12に到達するようにすれば、視線が上下にずれても、いずれの視線もいずれかの第2光学機能面12を通過することになる。
第2角度範囲AR2からの視線がいずれかのレンズ面31に接する位置と接続面38を通過した後に第2光学機能面12に到達するようにするには、例えば、第2光学機能面12の傾斜角度と面積の少なくとも一方を調整したり、第2光学機能面12、レンズ面31および接続面38の位置関係を調整したり、レンズ面31および接続面38の少なくとも一方の形状を調整することなどで実現可能である。すなわち、光制御シート20の形状を調整することで、第2角度範囲AR2からの視線がいずれかのレンズ面31に接する位置と接続面38を通過した後に第2光学機能面12に到達するようにすることができる。
なお、本実施形態では、太陽光の入射方向を示す第1角度範囲AR1を、各レンズ面31の光軸に対して一側の方向とし、視線方向を示す第2角度範囲AR2を、各レンズ面31の光軸に対して他側の方向としているが、第2角度範囲AR2を各レンズ面31の光軸方向の近くまで広げた場合に、第2光学機能面12を通して太陽電池パネル50の受光面50aが視認されないようにするには、接続面38の全体を、光制御シート20と太陽電池パネル50との積層方向において、第2光学機能面12と重なり合うように配置するのが望ましい。これにより、例えば、各レンズ面31の光軸方向から第2光学機能面12に視線を向けた場合であっても、視線は必ず第2光学機能面12に到達することになり、太陽電池パネル50の受光面50aが視認されるおそれがなくなる。
このように、本実施形態では、第2角度範囲AR2からの視線のうち、いずれかのレンズ面31に接する方向を通過して、このレンズ面31に隣接する接続面38を通過する視線がいずれかの第2光学機能面12に到達するようにしたため、接続面38を通して太陽電池パネル50の受光面50aが視認されるといった不具合が生じなくなる。よって、第2光学機能面12に表示された表示対象13を違和感なく視認可能となり、見た目の表示品質を向上できる。
また、本実施形態では、第1軸方向d1に配列された複数の単位レンズ30と、複数の単位レンズ30に対向して位置する第1光学機能面11と、複数の単位レンズ30と第1光学機能面11との間に配置され、複数の単位レンズ30を支持するシート状の本体部40と、本体部40の単位レンズ30を支持する側とは反対側となる第2主面40bに各単位レンズ30に対向するようにして形成された複数の切込部41内にそれぞれ位置する複数の低屈折率部60と、低屈折率部60と本体部40との間に設けられ第1光学機能面11に対して傾斜した複数の第2光学機能面12と、を備え、低屈折率部60は、本体部40との界面で単位レンズ30からの光L25、L54を、当該光L25、L54の進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、偏向させる。このような表示体10によれば、第1光学機能面11での光学機能が発揮される方向の角度範囲である第1角度範囲AR1および第2光学機能面12での光学機能が発揮される方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することが可能となる。また、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2を効果的に広角化させることも可能となる。さらに、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2の調整又は広角化は、一般的に高価となる高屈折率材料を単位レンズ30に用いることを必要とせず、従来と同様の材料を使用すればよい。すなわち、材料面からのコスト上昇を来すことなく、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2の調整又は広角化を行うことができる。
とりわけ、本実施形態によれば、第1光学機能面11が太陽電池パネル50の入光面50aをなしている。上述のように、本実施形態によれば、広い第1角度範囲AR1内で、第1光学機能面11からの光学機能が発揮されるようになるため、時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を効率的に受光して、太陽電池パネル50での発電に利用することが可能となる。
とりわけ、本実施形態によれば、第2光学機能面12は、表示対象13を表示するための表示面である。上述のように、本実施形態によれば、広い第2角度範囲AR2内で、第2光学機能面12からの光学機能が発揮されるようになるため、広い視野角から安定して第2光学機能面12に付与された表示対象13を観察することができる。したがって、観察者は、優れた視認性で表示対象13を観察することができ、且つ、優れた意匠性で表示対象13を表示することができる。
また、本実施形態では、図2に示すように、各第2光学機能面12の第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aは、当該第2光学機能面12に対応する単位レンズ30の先端部32aよりも第1軸方向d1において一側に位置し、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aが、第1軸方向d1において他側に位置する他端部12bよりも、本体部40の法線方向ndにおいて単位レンズ30に近接するように、第1光学機能面11に対して傾斜している。このような形態によれば、第2光学機能面12は、当該第2光学機能面12の正面方向から向かってくる光L23、L42、L43、L44を効率的に受光することが可能なため、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向からの光、言い換えると第1軸方向d1において一側に進みながら表示体10へ入射する光L23、L42、L43、L44が、第2光学機能面12に入射しやすくなる。言い換えると、第2光学機能面12からの光L23、L42、L43、L44は、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向へ出射しやすくなる。一方、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向からの光L22、L52、L53、L54は、第2光学機能面12となす角度が小さい方向から本体部40内を進行するため、第2光学機能面12に受光され難い。この第2光学機能面12にて受光され難い、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向からの光、言い換えると第1軸方向d1において他側に進みながら表示体10へ入射する光L22、L52、L53、L54は、第1光学機能面11に入射しやすくなる。言い換えると、第1光学機能面11からの光L22、L52、L53、L54は、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向へ出射しやすくなる。
つまり、上記の形態によれば、第1光学機能面11からの光学機能が発揮されるようなる方向の角度範囲である第1角度範囲AR1と、第2光学機能面12からの光学機能が発揮されるようなる方向の角度範囲である第2角度範囲AR2とが、区分けされやすくなる。言い換えると、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが、重なり合いにくくなる。これにより、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2をそれぞれ有効に広角化させることができる。
このように第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2との重なり合いが少なくなれば、さらには第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となれば、第1光学機能面11での光学機能および第2光学機能面12での光学機能が、互いに悪影響を及ぼすことなく、より有効に発揮されるようになる。本実施形態においては、第2光学機能面12に付与された表示対象13を観察している際に、第1光学機能面11に重ねられた太陽電池パネル50が表示対象13とともに観察されることを効果的に防止することが可能となる。この場合、表示対象13の視認性や表示対象13の意匠性を改善することができる。
とりわけ、本実施形態による表示体10では、第1光学機能面11に導かれるようになる表示体10への入射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1を鉛直方向における上側に傾斜した方向に設定し、第2光学機能面12に導かれるようになる表示体10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を鉛直方向における下側に傾斜した方向に設定している。この場合、典型的な利用として想定される表示板としての用途において表示体10を目線よりも高い位置に設置する場合に、観察者は、鉛直方向における上側に見上げながら表示体10を観察するため、第2角度範囲AR2から第2光学機能面12に付与された表示対象13を観察することができる。一方、太陽光は、時間帯や季節に応じて入射方向が変化するが、鉛直方向における下側に傾斜した方向に進みながらレンズ面31に入射する。このため、太陽光は、時間帯や季節に応じて入射方向が変化しても、第1角度範囲AR1からレンズ面31に入射して第1光学機能面11に向かうことができる。したがって、このような形態によれば、太陽光の受光および表示対象13の表示を効果的に両立させることができる。
加えて、本実施形態によれば、前記主切断面において、第2光学機能面12の第1軸方向d1における他側の他端部12bは、第1光学機能面11に接続している。このような形態によれば、第2角度範囲AR2から表示体10に入射する光が、第2光学機能面12の他端部12bと第1光学機能面11との間を通過して第1光学機能面11に到達してしまうことを防止することができる。このため、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とをよりはっきりと区分けすることに寄与する。
また、本実施形態によれば、低屈折率部60は、空気からなる。この場合、低屈折率部60の入光面61と本体部40との界面で、大きな屈折率差を生じさせることができるため、単位レンズ30から低屈折率部60に向かってくる光L25、L54を、当該光L25、L54の進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、大きく曲げることができる。これにより、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に極めて大きく傾斜した方向から単位レンズ30に入射した光L25、L54であっても、第1光学機能面11に効果的に導くことができる。この結果、第1光学機能面11に導かれるようになる表示体10への入射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1、言い換えると、第1光学機能面11からの光の出射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1を、図17に示された従来例と比較して、高い自由度で調整することができ、さらには格段に広角化させることもできる。
また、本実施形態によれば、低屈折率部60は、単位レンズ30にて屈折した光が入光する入光面61を含み、入光面61と第2光学機能面12とのなす角度θ2は、鋭角である。このような形態によれば、第2光学機能面12が法線方向ndに対してなす角度θ1よりも大きな角度θ3で低屈折率部60に向かってくる光の少なくとも一部L31を、その進行方向が本体部40の法線方向ndに対してなす角度が小さくなるように、曲げることができる。すなわち、単位レンズ30にて屈折して表示体10の裏面10b側から第2光学機能面12に向かってくる光の少なくとも一部L31を、第1光学機能面11に有効に導くことができる。
また、本実施形態によれば、低屈折率部60の入光面61と第2光学機能面12とは、第一軸方向d1に直交し本体部40の法線方向ndに平行な面に関して互いに逆側に傾斜している。この場合、光制御シート20を賦型するための金型に、切込部41を形成するための凸部を精度良く形成することができる。これにより、本体部40に切込部41が高精度に形成され、この結果、切込部41内に配置される低屈折率部60を高精度に形成することができる。
また、本実施形態によれば、低屈折率部60の単位レンズ30側の端部は、本体部40の法線方向ndにおいて、当該切込部41が対応する単位レンズ30の基端部32bよりも、第1光学機能面11に近接して位置している。このような形態によれば、切込部41と本体部40の第1主面40aとの間に、肉厚を確保することができるため、屈曲や衝撃に対する機械強度を確保することができる。
さらに、本実施形態によれば、複数の単位レンズ30は、第1軸方向d1に互いから離間して配置され、第1軸方向d1に隣り合う二つの単位レンズ30の間に、単位レンズ30とともに表示体10の表面10aをなす接続面38が設けられている。接続面38を設けることによって、法線方向ndに対して大きく傾斜した方向に進む光に対する隣接レンズの「けられ」を少なくすることができる。
とりわけ本実施形態において、接続面38は、表示体10のパネル面に沿って延びている。また、第2光学機能面12は、表示体10のパネル面に沿って接続面38からずれて配置されている。このような本実施形態では、図6に示すように、接続面38を介して表示体10に入射する光L56が、第1光学機能面11に入射するようになる。したがって、これらの光L56の方向にも、第1光学機能面11が何らかの光学機能を発揮すること、例えば太陽電池パネル50に当該光を取り込むことが可能となる。
≪変形例≫
なお、上述した実施形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
上述した実施形態では、図2に示すように、表示体10の主切断面において、第2光学機能面12の第1軸方向d1における他側(図面における下側)に位置する他端部12bが、本体部40の法線方向ndに進む平行光束L21(図2参照)が単位レンズ30に入射した際における単位レンズ30の焦点位置fp上に位置していた。このような表示体10では、本体部40の法線方向ndを境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。しかしながら、第2光学機能面12の他端部12bの配置は、このような例に限定されない。図13及び図14に、第2光学機能面12の他端部12bの配置例を示す。図13及び図14に示す例では、第2光学機能面12の他端部12bは、本体部40の法線方向ndに進む平行光束L27が単位レンズ30に入射した際における単位レンズ30の焦点位置fp上からずれて配置されている。
このうち、図13に示された例では、第2光学機能面12の他端部12bは、対応する単位レンズ30の焦点fpよりも第1軸方向d1において他側に位置している。さらに、第2光学機能面12の他端部12bは、多数の単位レンズ30の焦点fpによって画成される仮想面p1上で、第1光学機能面11に接続している。このような形態によれば、本体部40の法線方向ndよりも第1軸方向d1における一側(上側)に傾斜した方向daを中心として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが切り分けられるようになる。この場合、例えば、典型的な利用として想定される表示板としての用途において表示体10を目線に対してあまり高くない位置に設置する際に好適である。すなわち、観察者が、水平方向に対してなす角度が小さい方向dbから、あるいは、鉛直方向における上側に傾斜した方向dcに向かって、表示体10を観察した場合、第2光学機能面12に形成された表示対象13を観察することができる。一方、鉛直方向における下側に傾斜した方向deに進んでレンズ面31に入射する太陽光L26は、第1光学機能面11に向かっていくことができる。したがって、このような形態によれば、第1光学機能面11で太陽光を十分に取り込みながら、第2光学機能面12に付与された表示対象13を、目線と同じか目線よりも上に、優れた視認性で観察することができる。
一方、図14に示された例では、第2光学機能面12の他端部12bは、対応する単位レンズ30の焦点fpよりも第1軸方向d1において一側に位置している。さらに、第2光学機能面12の他端部12bは、多数の単位レンズ30の焦点fpによって画成される仮想面p1上で、第1光学機能面11に接続している。このような形態によれば、本体部40の法線方向ndよりも第1軸方向d1における他側(下側)に傾斜した方向dgを中心として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが切り分けられるようになる。この場合、例えば、典型的な利用として想定される表示板としての用途において、表示体10を目線よりも比較的高い位置に設置する際に好適である。すなわち、観察者は、鉛直方向における上側に見上げながら表示体10を観察することになるため、鉛直方向における上側に傾斜した方向dfに見上げて第2光学機能面12に付与された表示対象13を観察することができる。一方、水平方向に対してなす角度が小さい方向dhから、あるいは、鉛直方向における下側に傾斜した方向diに進んで表示体10に入射する太陽光L27、L28は、第1光学機能面11に向かって進行することができる。したがって、このような形態によれば、第2光学機能面12に付与された表示対象13を、十分な視認性で仰ぎ見ることを可能にしながら、第1光学機能面11で太陽光を非常に高い効率で取り込むことができる。
また、図2、図13及び図14に示す例では、表示体10の主切断面において、第2光学機能面12の他端部12bが、多数の単位レンズ30の焦点fpによって画成される仮想面上に位置した例を示したが、このような例に限定されない。第2光学機能面12の他端部12bは、多数の単位レンズ30の焦点fpによって画成される仮想面上からずれて配置されていてもよい。とりわけ、第2光学機能面12の他端部12bは、多数の単位レンズ30の焦点fpによって画成される仮想面上、あるいは、当該仮想面よりも単位レンズ30に近接した位置に配置されている場合、一端部12a付近の表示と他端部12b付近の表示とが観察する角度によって反転して見えるおそれを防ぐことができる。
また、上述した実施形態において、第2光学機能面12と重ねられるようにして反射面15がさらに配置されていてもよい。図15に、このような例が示されている。図15に示す表示体10において、第2光学機能面12が、単位レンズ30の側を向き、反射面15が、第1光学機能面11の側を向いている。すなわち、各反射面15は、対応する第2光学機能面12と背合わせとなるようにして、配置されている。このような反射面15は、一例として、高い反射率を有した材料からなる薄膜によって形成される。このような反射面15によれば、本体部40の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に極めて大きく傾斜した方向から低屈折率部60の入光面61に入射した光L33が、当該入光面61にて第1光学機能面11に向けて充分に偏向されなかった場合であっても、反射面15で反射して第1光学機能面11に向かうことができる。したがって、反射面15を設けることにより、第1光学機能面11に導かれる光の入射角度範囲に相当する第1角度範囲AR1をさらに広角化することができる。これにより、時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を、第1光学機能面11によって効率的に受光して、太陽電池パネル50での発電を効率良く行うことが可能となる。
さらに、既に説明したように、第1光学機能面11が、太陽電池パネル50の入光面50aとして機能すること、或いは、第2光学機能面12が、表示対象13を表示する面として機能することは例示に過ぎない。一例として、第1光学機能面11も、表示を行うための表示面として機能してもよい。この変形例では、第1方向d1が水平方向と交差するようにして、表示体10が配置され、第1光学機能面11によって表示される表示対象と第2光学機能面12によって表示される表示対象とが、水平面内で観察方向を変化させることにより、切り替わって観察されるようにしてもよい。このとき、第1光学機能面11にディスプレイを重ね合わせることによって、第1光学機能面11によって動く表示対象13を表示し、第2光学機能面12によって静止した表示対象13を表示するようにしてもよい。別の一例として、第1光学機能面11が表示対象13を表示する面として機能し、第2光学機能面12が太陽電池パネル50の入光面50aとして機能するようにするようにしてもよい。それによって、傾いた第2光学機能面12が上方から入射する太陽光を受けやすくなる。
なお、以上において上述した実施形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。例えば、図13〜図15においても、図11を用いて説明したように、第2角度範囲AR2からの視線のうち、いずれかのレンズ面に接する方向を通過して、このレンズ面に隣接する接続面38を通過する視線がいずれかの第2光学機能面に到達するようにしてもよい。さらに、図13〜図15においても、図11を用いて説明したように、接続面38の全体を、光制御シートと太陽電池パネルとの積層方向において、第2光学機能面と重なり合うように配置してもよい。
また、図1〜図15では、光制御シート20のレンズ面31が露出されている例を示したが、図16に示すように、レンズ面31の表面を覆う平坦化層71を設けてもよい。この場合、光制御シート20は、レンズ面31、第1光学機能面11および第2光学機能面12を有するシート本体部40と、平坦化層71とを積層した構造になる。平坦化層71の屈折率は、シート本体部40の屈折率とは異なっている。このため、平坦化層71とレンズ面31との界面に屈折率差が生じ、レンズ面31は光の屈折作用を行う。平坦化層71の屈折率をシート本体部40の屈折率より小さくすることで、平坦化層71がない図1〜図15と同様の光学機能を果たすことができる。平坦化層71を設けることで、光制御シート20の表面が平坦になり、レンズ面31を傷や変形、汚れから保護することができるとともに、手触りもよくなる。このように、図1〜図15で説明した光制御シート20に、図16と同様の平坦化層71を付加してもよい。
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。