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JP6306830B2 - インプリント装置、および物品の製造方法 - Google Patents

インプリント装置、および物品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インプリント装置、および物品の製造方法に関する。
モールドに形成されたパターンを基板上のインプリント材に転写するインプリント技術が磁気記憶媒体や半導体デバイスなどのリソグラフィ技術の1つとして注目されている。このような技術を用いたインプリント装置では、パターンが形成されたモールドと基板上に供給されたインプリント材とを接触させ、その状態でインプリント材を硬化させる。そして、硬化したインプリント材からモールドを剥離することにより基板上にパターンを形成することができる。
半導体デバイスなどの製造では、複数層のパターンを基板上に重ね合わせる必要がある。そのため、インプリント装置において、基板上に形成されたショット領域にモールドのパターンを精度よく位置合わせして転写することが重要である。そこで、基板を加熱することによりショット領域を変形し、基板とモールドとの位置合わせを行う方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−259985号公報
特許文献1に記載されたインプリント装置のように、基板を加熱することによりショット領域を変形する方法では、変形の対象となるショット領域が形成されている基板上の位置に応じてショット領域に生じる熱応力が異なってしまう。例えば、基板の端部付近に形成されたショット領域を変形させる場合では、基板に加えられた熱が基板の端部で遮断される。即ち、基板の端部によって熱拡散が妨げられる。その結果、基板の端部において熱が蓄積し、ショット領域が基板の中心に向かう方向に変形する量より、基板の外側に向かう方向に変形する量の方が大きくなってしまう。一方、基板の中心付近に形成されたショット領域の場合は、基板に加えられた熱が周囲のショット領域へ拡散する。したがって、基板の端部付近に形成されたショット領域では、そのショット領域の変形を高精度に制御することができず、モールドと基板との位置合わせを精度よく行うことが困難となってしまいうる。
そこで、本発明は、インプリント装置において、モールドと基板との位置合わせを精度よく行う上で有利な技術を提供することを例示的目的とする。
本発明の1つの側面は、パターンが形成されたパターン領域を有するモールドと基板上のショット領域に供給されたインプリント材とを接触させることで、前記基板上のショット領域に前記モールドのパターンを転写するインプリント装置に係り、前記インプリント装置は、前記基板を保持する基板ステージと、前記基板を加熱する加熱部と、前記パターン領域と前記ショット領域との位置合わせを行う制御部と、を含み、前記基板ステージは、前記基板を保持する保持部と、前記基板の外周部の少なくとも一部を吸着によって拘束する拘束部とを有し、前記拘束部は、リング形状、または、リング形状を複数個に分割した形状を有する吸着部を含み、前記制御部は、前記加熱部により前記基板を加熱することにより前記ショット領域を変形させて前記位置合わせを行っている際に、前記外周部のうち、少なくとも、前記基板の中心から見て前記加熱部によって加熱されている前記ショット領域の外側の部分を前記拘束部により拘束させる。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、インプリント装置において、モールドと基板との位置合わせを精度よく行う上で有利な技術を提供することができる。
第1実施形態のインプリント装置を示す図である。 第1実施形態の基板ステージにおける基板保持部とその周辺の構成を示す図である。 第1実施形態の基板保持部をZ方向から見たときの図である。 第1実施形態における押型工程から離型工程までの動作シーケンスを示すフローチャートである。 第2実施形態の基板保持部を示す図である。 第2実施形態の基板保持部をZ方向から見たときの図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材ないし要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。また、各図において、基板面上で互いに直交する方向をそれぞれX方向およびY方向とし、基板面に垂直な方向をZ方向とする。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態のインプリント装置1について、図1を参照しながら説明する。インプリント装置1は、半導体デバイスなどの製造に使用され、パターンが形成されたモールド7(原版)を基板上のインプリント材(樹脂)に接触させた状態でインプリント材を硬化させる。そして、インプリント装置1は、基板11とモールド7との間隔を広げ、硬化したインプリント材からモールド7を剥離することによって基板上にモールド7のパターンを転写することができる。インプリント材を硬化する方法には、熱を用いる熱サイクル法と光を用いる光硬化法とがあり、第1実施形態のインプリント装置1は、光硬化法を採用している。光硬化法とは、インプリント材として未硬化の紫外線硬化樹脂(以下、樹脂14)を基板上に供給し、モールド7と樹脂14とを接触させた状態で樹脂14に紫外線を照射することにより当該樹脂14を硬化させる方法である。紫外線の照射により樹脂14が硬化した後、樹脂14からモールド7を剥離することによって基板上にパターンを形成することができる。
図1は、第1実施形態のインプリント装置1を示す図である。インプリント装置1は、モールド7を保持するモールド保持部3と、基板11を保持する基板ステージ4と、照射部2と、樹脂供給部5と、計測部22とを含む。モールド保持部3は、ベース定盤24により支柱26を介して支持されたブリッジ定盤25に固定されており、基板ステージ4は、ベース定盤24に固定されている。また、インプリント装置1には、CPUやメモリを有し、インプリント処理を制御する(インプリント装置1の各部を制御する)制御部6が含まれる。インプリント処理は、制御部6のメモリに格納されているプログラムを実行することで実施される。
モールド7は、通常、石英など紫外線を通過させることが可能な材料で作製されており、基板側の面における一部の領域(パターン領域7a)には、基板11に転写する凹凸のパターンが形成されている。また、基板11は、例えば、単結晶シリコン基板やSOI(Silicon on Insulator)基板などが用いられる。基板11の上面(被処理面)には、後述する樹脂供給部5によって樹脂14(紫外線硬化樹脂)が供給される。
モールド保持部3は、例えば真空吸着力や静電力などの保持力によりモールド7を保持するモールドチャック15と、モールドチャック15をZ方向に駆動するモールド駆動部16とを含む。モールドチャック15およびモールド駆動部16は、それぞれの中心部(内側)に開口領域17を有しており、照射部2から射出された光がモールド7を通過して基板11に照射されるように構成されている。ここで、モールド7のパターン領域7aには、製造誤差や熱変形などにより、例えば倍率成分や台形成分などの成分を含む変形が生じている場合がある。そのため、モールド保持部3は、モールド7の側面における複数の箇所に力を加えてモールド7を変形させる変形部18を備えている。このように当該複数の箇所から変形部18によって力を加えることで、モールド7のパターン領域7aにおける変形を補正することができる。
モールド駆動部16は、例えば、リニアモータやエアシリンダなどのアクチュエータを含み、モールド7と基板上の樹脂14とを接触させたり剥離させたりするようにモールドチャック15(モールド7)をZ方向に駆動する。モールド駆動部16は、モールド7と基板上の樹脂14とを接触させる際には高精度な位置決めが要求されるため、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系によって構成されてもよい。また、モールド駆動部16は、Z方向の駆動だけではなく、XY方向およびθ方向(Z軸周りの回転方向)にモールド7の位置を調整する位置調整機能や、モールド7の傾きを補正するためのチルト機能などを有していてもよい。ここで、第1実施形態のインプリント装置1では、モールド7と基板11との間の距離を変える動作はモールド駆動部16で行っているが、基板ステージ4のステージ駆動部20で行ってもよいし、双方で相対的に行ってもよい。
基板ステージ4は、基板保持部19とステージ駆動部20とを含み、基板11をX方向およびY方向に駆動する。基板保持部19は、例えば、真空吸着力や静電力などの保持力によって基板11を保持する。ステージ駆動部20は、基板保持部19を機械的に保持するとともに、基板保持部19(基板11)をX方向およびY方向に駆動する。ステージ駆動部20は、例えば、リニアモータなどが用いられ、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系によって構成されてもよい。また、ステージ駆動部20は、基板11をZ方向に駆動する駆動機能や、基板11をθ方向に回転駆動して基板11の位置を調整する位置調整機能、基板11の傾きを補正するためのチルト機能などを有していてもよい。
計測部22は、基板11の面に沿った面方向(XY方向)におけるモールド上のパターン領域7aと基板上のショット領域12との位置ずれ量と、パターン領域7aの形状とショット領域12の形状との差を示す形状差とを計測する。例えば、位置ずれ量と形状差とを計測する方法としては、パターン領域7aとショット領域12とにそれぞれ設けられた複数のアライメントマークを検出する方法がある。パターン領域7aのアライメントマークとショット領域12のアライメントマークとは、パターン領域7aとショット領域12とをXY方向において一致させた際に互いに重なり合うように配置されている。そして、計測部22がパターン領域7aのアライメントマークとそれに対応するショット領域12のアライメントマークとの相対位置を、複数のアライメントマークにおいてそれぞれ検出する。これにより、計測部22は、XY方向におけるパターン領域7aとショット領域12との位置ずれ量および形状差を計測することができる。
ここで、基板上のショット領域12には、例えば一連の半導体デバイスの製造工程などの影響により、倍率成分や台形成分などの成分を含む変形が生じている場合がある。そして、この場合、基板上のショット領域12にモールド7のパターンを精度よく転写するためには、変形部18によってモールド上のパターン領域7aを変形することに加えて、ショット領域12も変形させる必要がある。そのため、第1実施形態のインプリント装置1は、後述するように、基板11を加熱し、ショット領域12を変形させる加熱部50を含む。
照射部2は、基板上の樹脂14を硬化させる光を射出する光源部9と、基板11を加熱する光を射出する加熱部50と、光源部9から射出された光と加熱部50から射出された光とを基板上に導く光学部材10とを含む。第1実施形態のインプリント装置1では、図1に示すように、光源部9と加熱部50とが1つのユニットとして構成されているが、それに限られるものではなく、別々のユニットとして構成されてもよい。光源部9は、基板上の樹脂14を硬化させる光(紫外線)を射出する光源と、当該光源から射出された光をインプリント処理において適切な光に整形する光学系とを含みうる。また、加熱部50は、基板11を加熱する光を射出する光源と、当該光源から射出された光の強度を調整するための光調整器とを含みうる。そして、加熱部50は、基板上に供給された樹脂14を硬化させず、かつ基板11の加熱に適した特定の波長を有する光を射出するように構成される。加熱部50から特定の波長を有する光を射出させる方法としては、例えば、加熱部50の光源から当該特定の波長を有する光を直接射出させてもよいし、加熱部50の光源の後段に当該特定の波長を有する光のみを透過させる光学フィルタを設けてもよい。加熱部50の光調整器は、ショット領域12における温度分布が所望の温度分布になるように、基板11に照射される光の強度を調整する。加熱部50の光調整器としては、例えば、液晶装置やデジタル・ミラー・デバイス(DMD)などが採用されうる。液晶装置は、複数の液晶素子を光透過面に配置し、複数の液晶素子の各々に印加される電圧を個別に制御することにより、基板11に照射される光の強度を変化させることができる。デジタル・ミラー・デバイスは、複数のミラー素子を光反射面に配置し、各ミラー素子の面方向を個別に調整することにより、基板11に照射される光の強度を変化させることができる。
樹脂供給部5は、基板上に樹脂14(未硬化樹脂)を供給(塗布)する。上述したように、第1実施形態では、樹脂14として、紫外線の照射によって硬化する性質を有する紫外線硬化樹脂(インプリント材)が用いられている。そして、樹脂供給部5から基板上に供給される樹脂14は、半導体デバイスの製造工程における各種条件によって適宜選択されうる。また、樹脂供給部5の吐出ノズルから吐出される樹脂の量は、基板上の樹脂14に形成されるパターンの厚さやパターンの密度などを考慮して適宜決定されうる。ここで、基板上に供給された樹脂14を、モールド7に形成されたパターンに十分に充填させるために、モールド7と樹脂14とを接触させた状態で一定の時間を経過させてもよい。
このように構成された第1実施形態のインプリント装置1は、照射部2に加熱部50を含み、加熱部50により基板11に光を照射して熱を加えることで基板上のショット領域12を変形させている。そして、ショット領域12を変形させる際、一般に、基板11は、その底面が基板保持部19によって保持されている。しかしながら、この状態では、基板11の温度変化に応じて生じる熱応力が、基板11と基板保持部19との間に生じる摩擦力より大きくならないと、ショット領域12の変形を速やかに、かつ十分に行うことが困難である。そのため、第1実施形態における基板保持部19は、基板11における複数の部分の各々に加えられる保持力をそれぞれ変更可能に構成されている。図2は、第1実施形態の基板ステージ4における基板保持部19とその周辺の構成を示す図である。以下に、基板11に加えられる保持力として真空保持力を用いた場合について、図2を参照しながら説明する。
基板保持部19は、例えば、基板11における複数の部分の各々に加えられる保持力をそれぞれ変更可能にするため、複数の保持部51を含む。図2に示す基板保持部19には、3つの保持部51a〜51cが含まれているが、保持部51の数は3つに限定されるものではなく、任意の数にすることができる。これらの保持部51a〜51cは、それぞれ圧力調整部52に接続されており、圧力調整部52は、各保持部51a〜51cの圧力を個別に変更することができる。即ち、各保持部51a〜51cが基板11を保持するための保持力(真空吸着力)を個別に調整することができる。したがって、各保持部51a〜51cがそれぞれ保持する基板11の各部分11a〜11cと基板保持部19との摩擦力を、基板11の各部分11a〜11cについて個別に変更することができる。
例えば、図2に示すように、加熱部50により基板11に熱を加えて、基板11の部分11aに配置されたショット領域12を変形する場合を想定する。この場合、位置合わせの対象とするショット領域12が配置された部分11a(第1部分)を保持する保持部51aの保持力を、保持部51bおよび51cの保持力より小さくする。保持部51bおよび51cは、第1部分とは異なり、かつショット領域12が配置されていない基板11の部分11bおよび11c(第2部分)をそれぞれ保持している。例えば、保持部51aの圧力を大気圧にする。これにより、保持部51aで保持される基板11の第1部分(部分11a)と基板保持部19との摩擦力を、保持部51bおよび51cで保持される基板11の第2部分(部分11bおよび11c)と基板保持部19との摩擦力より小さくすることができる。即ち、部分11aでは、加熱部50により基板11を加熱してショット領域12を変形している間は、ショット領域12を変形させていない間よりも摩擦力を小さくすることができる。そのため、ショット領域12の変形を速やかに、かつ十分に行うことができる。ここで、第1実施形態では、基板11に加えられる保持力として真空吸着力を用いて基板11を保持する方式を採用しているが、それに限られるものではなく、例えば静電力など、他の力によって基板11を保持する方式を採用してもよい。
次に、第1実施形態のインプリント装置1におけるインプリント処理の流れについて説明する。制御部6は、モールド7のパターンを転写すべき基板上のショット領域12が樹脂供給部5の下に配置されるように基板ステージ4を制御して、基板11を移動させる。ショット領域12が樹脂供給部5の下に配置されると、制御部6は、ショット領域12に樹脂14(未硬化樹脂)を供給するように樹脂供給部5を制御する。そして、制御部6は、ショット領域12に樹脂14が供給された後、モールド上のパターン領域7aの下にショット領域12が配置されるように基板ステージ4を制御して、基板11を移動させる。制御部6は、モールド上のパターン領域7aの下にショット領域12が配置されると、モールド7を−Z方向に駆動するようにモールド駆動部16を制御し、モールド7と基板上の樹脂14とを接触させる(押型工程)。そして、制御部6は、モールド7と基板上の樹脂14とを接触させた状態で所定の時間を経過させる。これにより、基板上の樹脂14を、モールド7のパターンの隅々まで充填することができる。
制御部6は、モールド7と基板上の樹脂14とを接触させた状態において、モールド7のアライメントマークとショット領域12のアライメントマークとを計測部22により検出させる。これにより、制御部6は、パターン領域7aとショット領域12とのXY方向における位置ずれ量と、パターン領域7aとショット領域12との形状差とを計測部22により計測することができる。そして、制御部6は、計測部22による計測の後、計測部22の計測結果に基づいてパターン領域7aとショット領域12との位置合わせを行う。
制御部6は、パターン領域7aとショット領域12との位置合わせを行った後、基板上の樹脂14にモールド7を介して光(紫外線)を照射するように光源部9を制御する。そして、制御部6は、モールド7が+Z方向に移動するようにモールド駆動部16を制御し、光を照射することにより硬化した基板上の樹脂14からモールド7を剥離する(離型工程)。これにより、モールド7のパターンを基板上の樹脂14に転写することができる。このようなインプリント処理は、基板上における複数のショット領域12の各々について行われる。
第1実施形態のインプリント装置1では、モールド上のパターン領域7aと基板上のショット領域12との位置合わせを行う際に、加熱部50により基板11を加熱することでショット領域12を変形させている。しかしながら、基板11を加熱することによりショット領域12を変形する方法では、変形の対象となるショット領域12が形成されている基板上の位置に応じて、ショット領域12に生じる熱応力が異なってしまう。例えば、基板11の端部付近に形成されたショット領域12を変形させる場合では、基板11に加えられた熱が基板11の端部で遮断される。即ち、基板11の端部によって熱拡散が妨げられる。その結果、基板11の端部において熱が蓄積し、ショット領域12が基板11の中心に向かう方向に変形する量より、基板11の外側に向かう方向に変形する量の方が大きくなってしまう。
特に、第1実施形態では、基板11を加熱してショット領域12を変形させる際、図2に示すように、ショット領域12が配置された部分11a(第1部分)に加えられる保持力を、部分11bおよび部分11c(第2部分)に加えられる保持力より小さくする。そのため、第1実施形態では、ショット領域12が基板11の中心に向かう方向に変形する量より、基板11の端部に向かう方向に変形する量の方が大きくなる現象が顕著に現れてしまいうる。そこで、本発明のインプリント装置1は、基板保持部19に、基板11の外周部のうち、基板11の中心から見てショット領域12の外側の部分を少なくとも拘束する拘束部60を有する。拘束部60は、加熱部50により基板11を加熱してショット領域12を変形させて、基板11とモールド7との位置合わせを行っている際に、基板11がその中心から外側に向かって熱膨張することを制限するように構成される。第1実施形態の基板保持部19は、拘束部60として、基板11の外周部を吸着することによって、基板11の外周部を拘束する吸着部61を含む。第1実施形態の吸着部61は、真空吸着力により基板11の外周部を保持しているが、それに限られるものではなく、例えば静電力など、真空吸着力以外の保持力によって基板11の外周部を保持してもよい。
ここで、基板11の外周部を拘束する吸着部61について、図2および図3を参照しながら説明する。図2は、上述のように、第1実施形態の基板ステージ4における基板保持部19とその周辺の構成を示す図であり、図3は、第1実施形態の基板保持部19をZ方向から見たときの図である。吸着部61は、図2に示すように、基板11の外周部を吸着するように基板保持部19に配置されており、圧力調整部52に接続されている。そして、吸着部61は、図3(a)に示すように、基板保持部19における保持部51a〜51cの周囲にリング状に配置されている。また、吸着部61は、図3(b)に示すように、保持部51a〜51cの配置に応じて複数に分割されていてもよい(吸着部61a〜61f)。この場合、基板11の外周部のうち、位置合わせの対象となるショット領域12の外側の部分を保持する吸着部61(吸着部61a〜61fのいずれか)だけに保持力を発生させればよいため、効率的である。
このように構成された吸着部61は、加熱部50により基板11を加熱してショット領域12を変形させて、基板11とモールド7との位置合わせを行っている際に、基板11の外周部を吸着する。例えば、図2に示すように、加熱部50により基板11に熱を加えて、基板11の部分11aに配置されたショット領域12を変形する場合を想定する。この場合、上述したように、位置合わせの対象とするショット領域12が配置された部分11a(第1部分)を保持する保持部51aの保持力を、保持部51bおよび51cの保持力より小さくする。例えば、保持部51aの圧力を大気圧にする。このように保持部51aの保持力を保持部51bおよび51cより小さくすると、ショット領域が基板の中心に向かう方向に変形する量より、基板の外側に向かう方向に変形する量の方が大きくなってしまう。このとき、吸着部61の保持力を保持部51aの保持力より上げる、例えば、吸着部61の保持力を保持部51bおよび51cの保持力と同等とすることで、吸着部61によって基板11の外周部を拘束する。これにより、基板11がその中心から外側に向かって熱膨張することを制限することができる。そのため、ショット領域12が基板11の中心に向かう方向に変形する量と、ショット領域12が基板11の端部に向かう方向に変形する量とを近づけることができ、ショット領域12の変形を高精度に制御することができる。即ち、モールド7と基板11との位置合わせを精度よく行うことができる。
ここで、第1実施形態のインプリント装置1において、例えば、図2に示すように基板11の部分11aに配置されたショット領域12にモールド7のパターンを転写するインプリント処理について、図4を参照しながら説明する。図4は、基板11の部分11aに配置されたショット領域12にモールド7のパターンを転写するインプリント処理において、押型工程から離型工程までの動作シーケンスを示すフローチャートである。
S101では、制御部6は、圧力調整部52を制御することにより吸着部61に保持力(真空吸着力)を発生させ、吸着部61に基板11の外周部を拘束させる。S102では、制御部6は、基板11における複数の部分のうち、モールド7のパターンを転写するショット領域12が配置された部分11a(第1部分)を保持する保持部51の保持力(真空吸着力)を低下させる。例えば、図2に示すように、ショット領域12が配置された部分11aが保持部51aによって保持されている場合、制御部6は、保持部51aの圧力を大気圧にするなど、保持部51aの保持力を保持部51bおよび51cの保持力より小さくする。このS101およびS102の工程により、保持部51aによって保持される基板11の部分11aに生じる摩擦力を、保持部51bおよび51cによって保持される基板11の部分11bおよび11cに生じる摩擦力より小さくすることができる。それと共に、基板11がその中心から外側に向かって膨張することを制限し、ショット領域12が基板11の中心に向かう方向に変形する量と基板11の端部に向かう方向に変形する量とを近づけることができる。ここで、保持部51aにおける保持力は、基板11の温度変化に応じて生じる熱応力が部分11aと基板保持部19との摩擦力より大きくなるように設定されるとよい。また、ショット領域12が複数の保持部51にまたがって配置されている場合は、当該複数の保持部51の保持力を低下してもよい。例えば、ショット領域12が保持部51aと51bとにまたがって配置されている場合は、保持部51aと51bとの保持力が低下される。
S103では、制御部6は、計測部22により、パターン領域7aとショット領域12とのXY方向における位置ずれ量と、パターン領域7aとショット領域12との形状差とを計測する(アライメント計測)。S104では、制御部6は、S103において計測部22により計測された位置ずれ量に応じて、モールド駆動部16およびステージ駆動部20を制御して、モールド7と基板11との相対位置を調整する。S105では、制御部6は、S103において計測部22により計測された形状差の補正(以下、形状補正)を行うための補正値を決定する。形状補正を行うための補正値には、変形部18によるモールド7の変形を制御するための情報(変形部18における補正値)と、加熱部50による加熱を制御するための情報(加熱部50における補正値)とが含まれうる。変形部18における補正値は、例えば、モールド上のパターン領域7aの形状が目標形状になるように、変形部18がモールド7の側面における複数の箇所の各々に加える力の情報を含む。また、加熱部50における補正値は、基板上のショット領域12の形状が当該目標形状になるように、加熱部50が基板11を加熱するための情報を含む。
S106では、制御部6は、S105で決定された加熱部50における補正値に基づいて加熱部50を制御し、基板11を加熱する。S107では、制御部6は、S105で決定された変形部18における補正値に基づいて変形部18を制御し、モールド7の側面における複数の箇所から力を加える。このS106とS107とにより、モールド上のパターン領域7aと基板上のショット領域12との形状差を許容範囲に収めることができる。S108では、制御部6は、モールドを接触させた樹脂14に対して紫外線を照射するように光源部9を制御し、樹脂14を硬化させる。S109では、制御部6は、圧力調整部52を制御することにより、吸着部61の保持力(真空吸着力)を解除する。S110では、制御部6は、圧力調整部52を制御することにより、ショット領域12が配置された部分11aを保持する保持部51aの保持力(真空吸着力)を、保持部51bおよび51cの保持力と同等にまで戻す。そして、制御部6は、硬化した樹脂14からモールド7を剥離する離型工程に移行する。
上述したように、第1実施形態のインプリント装置1は、基板保持部19に、基板11の外周部を吸着して拘束する吸着部61を有しており、基板11がその中心から外側に向かって熱膨張することを吸着部61により制限している。これにより、ショット領域12が基板11の中心に向かう方向に変形する量と基板11の端部に向かう方向に変形する量とを近づけることができるため、ショット領域12の変形を高精度に制御することができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態のインプリント装置について説明する。第2実施形態のインプリント装置は、第1実施形態のインプリント装置1と比較して、基板保持部19の構成が異なる。以下では、第2実施形態のインプリント装置における基板保持部19について、図5および図6を参照しながら説明する。
図5は、第2実施形態の基板ステージ4における基板保持部19とその周辺の構成を示す図であり、図6は、第2実施形態の基板保持部19をZ方向から見たときの図である。第2実施形態の基板保持部19は、基板11の外周部を拘束する拘束部として、加熱部50により基板11を加熱している際に基板11の側面に接触し、基板11が外側に向かって熱膨張することを制限する制限部材62を含む。制限部材62は、基板保持部19上に、かつ基板11の外側に配置されている。そして、制限部材62は、図6(a)に示すように、基板11の周囲にリング状に配置されており、XY方向に移動可能に構成されている。例えば、位置合わせの対象となるショット領域12が、基板上の図6(a)に示す位置にあるとき、制限部材62は矢印201の方向に駆動される。これにより、制限部材62を、ショット領域12に近い基板11の側面に部分的に接触させ、当該基板11の側面に突き当てることができる。その結果、制限部材62が接触した基板11の側面において、基板11がその中心から外側に向かって熱膨張することを抑制することができる。
また、制限部材62は、図6(b)に示すように、基板11の外周に沿って複数の部材62a〜62fに分割されていてもよい。この場合、制限部材62における複数の部材62a〜62fは、それぞれが独立して移動できるように構成されうる。例えば、位置合わせの対象となるショット領域12が、基板上の図6(b)に示す位置にあるとき、制限部材62の部材62aが矢印202の方向に駆動される。これにより、制限部材62の部材62aを、ショット領域12に近い基板11の側面に部分的に接触させ、当該基板の側面に突き当てることができる。その結果、制限部材62の部材62aが接触した基板11の側面において、基板11がその中心から外側に向かって熱膨張することを抑制することができる。
上述したように、第2実施形態のインプリント装置は、基板11の側面に接触して押さえつけることにより、基板11がその中心から外側に向かって熱膨張することを制限する制限部材62を基板保持部19に有する。これにより、第1実施形態と同様に、ショット領域12が基板11の中心に向かう方向に変形する量と基板11の端部に向かう方向に変形する量とを近づけることができるため、ショット領域12の変形を高精度に制御することができる。ここで、制限部材62は、それが接触する基板11の側面に力を加えるように構成してもよい。これにより、加熱部50によって基板11を加熱することだけでなく、制限部材62によって基板11の側面から力を加えることによってもショット領域12を変形させることができる。即ち、ショット領域12の変形をより高精度に制御することができる。また、第1実施形態において拘束部60として用いた吸着部61と、第2実施形態において拘束部60として用いた制限部材62とは、併用されてもよい。
<物品の製造方法の実施形態>
本発明の実施形態にかかる物品の製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品の製造方法は、基板に塗布された樹脂に上記のインプリント装置を用いてパターンを形成する工程(基板にインプリント処理を行う工程)と、かかる工程でパターンが形成された基板を加工する工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。

Claims (7)

  1. パターンが形成されたパターン領域を有するモールドと基板上のショット領域に供給されたインプリント材とを接触させることで、前記基板上のショット領域に前記モールドのパターンを転写するインプリント装置であって、
    前記基板を保持する基板ステージと、
    前記基板を加熱する加熱部と、
    前記パターン領域と前記ショット領域との位置合わせを行う制御部と、
    を含み、
    前記基板ステージは、前記基板を保持する保持部と、前記基板の外周部の少なくとも一部を吸着によって拘束する拘束部とを有し、前記拘束部は、リング形状、または、リング形状を複数個に分割した形状を有する吸着部を含み、
    前記制御部は、前記加熱部により前記基板を加熱することにより前記ショット領域を変形させて前記位置合わせを行っている際に、前記外周部のうち、少なくとも、前記基板の中心から見て前記加熱部によって加熱されている前記ショット領域の外側の部分を前記拘束部により拘束させる、ことを特徴とするインプリント装置。
  2. 記基板ステージは前記基板の外周部の少なくとも一部を拘束する第2拘束部を更に有し、
    前記制御部は、前記加熱部により前記基板を加熱することにより前記ショット領域を変形させて前記位置合わせを行っている際に、前記外周部のうち、前記基板の中心から見て前記加熱部によって加熱されている前記ショット領域の外側の部分を前記第2拘束部により拘束させ、
    前記第2拘束部は、前記加熱部により前記基板を加熱している際に前記基板が外側に向かって膨張することを制限する制限部材を含み、前記制限部材は、前記基板の側面のうち前記モールドのパターンが転写されるべきショット領域に応じた部分に突き当てられるように駆動される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
  3. 前記制限部材は、互いに独立して移動可能な複数の部材を有し、前記複数の部材のうち前記モールドのパターンが転写されるべきショット領域に応じた部材が前記基板の側面に突き当てられるように駆動される、
    ことを特徴とする請求項2に記載のインプリント装置。
  4. 前記保持部は、前記基板における複数の部分の各々に加えられる保持力をそれぞれ変更可能に構成され、
    前記複数の部分は、前記ショット領域を有する第1部分と、前記第1部分とは異なる第2部分とを含み、
    前記制御部は、前記位置合わせにおいて、前記第1部分に加えられる保持力が、前記第2部分に加えられる保持力より小さくなるように前記保持部を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のインプリント装置。
  5. 前記拘束部は、前記外周部のうち前記第1部分の外側の部分を少なくとも拘束するように構成されている、ことを特徴とする請求項4に記載のインプリント装置。
  6. 前記加熱部は、光を射出する光源を含み、当該光源から射出された光を前記モールドを介して前記基板に照射することにより前記基板を加熱して前記ショット領域を変形させる、ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載のインプリント装置。
  7. 請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載のインプリント装置を用いてモールドのパターンを基板に形成する工程と、
    前記工程でパターンが形成された前記基板を加工する工程と、
    を含む、ことを特徴とする物品の製造方法。
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