以下に、第1の実施の形態について、図1乃至図7を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直下方を下方向、鉛直上方を上方向と定義する。また、実施形態に係る構成要素や、当該要素の説明について、複数の表現を併記することがある。当該構成要素及び説明について、記載されていない他の表現がされることは妨げられない。さらに、複数の表現が記載されない構成要素及び説明について、他の表現がされることは妨げられない。
図1は、第1の実施の形態に係る三次元プリンタ10を概略的に示す断面図である。三次元プリンタ10は、積層造形装置の一例である。三次元プリンタ10は、粉末状の複数の種類の材料11による層12の形成と、層12を形成する材料11の固化と、を繰り返すことで、三次元形状の造形物13を造形する。図1は、形成途中の造形物13を示す。さらに、図1は、一つの層12を二点鎖線で示す。
図1に示すように、三次元プリンタ10は、処理槽21と、ステージ22と、供給装置23と、光学装置24と、制御部25とを有する。光学装置24は、結合形成部の一例である。なお、三次元プリンタ10がエネルギー線以外の手段により材料11を固化する場合、三次元プリンタ10は光学装置24を有さなくても良い。
処理槽21は、例えば、筐体とも称され得る。ステージ22は、例えば、台、造形領域、又は塗布領域とも称され得る。供給装置23は、例えば、保持部、投下部、又は撒布部とも称され得る。光学装置24は、例えば、形成部又は固化部とも称され得る。
処理槽21は、例えば、密封可能な箱状に形成される。処理槽21は、処理室21aを有する。処理室21aには、ステージ22、供給装置23、及び光学装置24が収容される。なお、ステージ22、供給装置23、及び光学装置24は、処理室21aの外にあっても良い。
処理槽21の処理室21aに、供給口31と、排出口32とが設けられる。例えば、処理槽21の外部に設けられたガス供給装置が、窒素及びアルゴンのような不活性ガスを、供給口31から処理室21aに供給する。例えば、処理槽21の外部に設けられたガス排出装置が、排出口32から処理室21aの上記不活性ガスを排出する。
ステージ22に、粉末状の材料11の層12が形成され、造形物13が造形される。ステージ22は、載置台35と、周壁36と、昇降機37とを有する。
図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、ステージ22の幅に沿う。Y軸は、ステージ22の奥行き(長さ)に沿う。Z軸は、ステージ22の高さに沿う。
載置台35は、例えば、正方形の板材である。なお、載置台35の形状はこれに限らず、矩形のような他の四角形(四辺形)、多角形、円、及び幾何学形状のような他の形状を呈する部材であっても良い。載置台35は、上面35aと、四つの端面35bとを有する。上面35aは、四角形の略平坦な面である。端面35bは、上面35aとそれぞれ直交する面である。
載置台35の上面35aは、材料11が供給され、材料11の層12が形成される供給領域Rを形成し得る。なお、供給領域Rは、載置台35の上面35aに限らず、当該載置台35の上面35aに置かれるベースプレートによっても形成され得る。また、載置台35の供給領域Rに材料11の層12が形成されると、当該層12が次の供給領域Rを形成する。このように、供給領域Rは、載置台35の上に順次形成される。
周壁36は、Z軸に沿う方向に延びるとともに、載置台35を囲む四角形の筒状に形成される。載置台35の四つの端面35bは、周壁36の内面にそれぞれ接する。周壁36は、四角形の枠状に形成され、開放された上端36aを有する。
昇降機37は、例えば、油圧昇降機である。昇降機37は、周壁36の内部で載置台35をZ軸に沿う方向に移動可能である。載置台35が最も上方に移動した場合、載置台35の上面35aと、周壁36の上端36aとは、略同一平面を形成する。
供給領域Rは、周壁36の上端36aから、例えば50μm下方に配置される。供給領域Rに材料11の層12が形成され、当該層12が次の供給領域Rを形成すると、昇降機37は載置台35を50μm降下させる。これにより、供給領域Rと周壁36の上端36aとの間の距離は、50μmに保たれる。なお、供給領域Rと周壁36の上端36aとの間の距離は、これに限られず、例えば任意に変更され得る。
供給装置23は、供給領域Rに材料11を供給するとともに、供給された材料11を固化する。供給装置23は、吐出装置41と、移動装置42と、収容装置43と、回収装置44とを有する。吐出装置41は、供給部及び結合形成部を有する場合の一例である。移動装置42は、移動部の一例である。
図2は、ステージ22及び供給装置23の一部を示す斜視図である。図3は、ステージ22及び供給装置23の一部を示す断面図である。図2及び図3に示すように、吐出装置41は、ホルダ51と、複数のノズル52A,52B,52C,52Dと、複数のタンク53A,53B,53C,53D,53Eとを有する。
ホルダ51は、複数のタンク53A,53B,53C,53D,53Eを保持する。ホルダ51に保持されたタンク53A,53B,53C,53D,53Eは、Y軸に沿う方向に一列に並ぶ。ホルダ51は、下方に向く下面51aを有する。下面51aは、供給領域Rに面する。
ノズル52A,52B,52C,52Dは、ホルダ51の下面51aにそれぞれ設けられ、供給領域Rに面する。ノズル52A,52B,52C,52Dは、Y軸に沿う方向に一列に並ぶ。なお、ノズル52A,52B,52C,52Dの配置はこれに限られない。
ノズル52Aは、タンク53Aに接続される。ノズル52Bは、タンク53Bに接続される。ノズル52Cは、タンク53Cに接続される。ノズル52Dは、タンク53D,53Eにそれぞれ接続される。
タンク53A,53B,53Cは、複数の種類の材料11をそれぞれ収容する。図3に示すように、以下の記載において、材料11は、種類ごとに材料11A,11B,11Cと個別に記載されることがある。
三次元プリンタ10が使用する複数の材料11は、中心粒径が約40μmの粉末状の金属材料である。なお、材料11はこれに限らない。例えば、材料11は、合成樹脂、セラミックス、及び生体物質のような他の材料であっても良い。また、材料11A,11B,11Cは、同じ成分の材料であって、中心粒径がそれぞれ異なっても良い。このように、複数の種類の材料11は、互いに成分が異なる材料に限らず、例えば、互いに中心粒径が異なる材料や、互いに形状が異なる材料であっても良い。
タンク53Aは、粉末状の材料11Aを収容する。材料11Aは、例えば鉄粉である。タンク53Bは、粉末状の材料11Bを収容する。材料11Bは、例えば銅粉である。タンク53Cは、粉末状の材料11Cを収容する。材料11Cは、例えばアルミニウム粉である。なお、材料11A,11B,11Cはこれに限られない。
タンク53Dは、接着剤56を収容する。接着剤56は、材料11A,11B,11Cを固化可能な種類の接着剤である。タンク53Eは、溶剤57を収容する。溶剤57は、例えば、接着剤56に含まれる溶剤である。
ノズル52Aは、タンク53Aに収容された材料11Aを吐出する。ノズル52Bは、タンク53Bに収容された材料11Bを吐出する。ノズル52Cは、タンク53Cに収容された材料11Cを吐出する。このように、吐出装置41は、ノズル52A,52B,52Cから、複数の種類の材料11を吐出可能である。
ノズル52A,52B,52Cは、例えば、電磁弁により開閉されることで、タンク53A,53B,53Cの材料11A,11B,11Cを重力によりそれぞれ吐出する。ノズル52A,52B,52Cは、材料11A,11B,11Cの中心粒径の6倍以上の直径を有する開口である。このため、重力によって材料11A,11B,11Cが、ノズル52A,52B,52Cからそれぞれ滑らかに吐出される。
なお、ノズル52A,52B,52Cは、他の手段によって材料11A,11B,11Cを吐出しても良い。例えば、ノズル52A,52B,52Cは、アクチュエータによって材料11A,11B,11Cを押し出したり、キャリアガスによって材料11A,11B,11Cを噴き出したりしても良い。
ノズル52Dは、タンク53Dに収容された接着剤56を吐出する。ノズル52Dは、接着剤56を、タンク53Eの溶剤57と混合させて吐出可能である。ノズル52Dは、接着剤56に混合させる溶剤57の量を変更可能である。すなわち、吐出装置41は、ノズル52Dから、複数の濃度の接着剤56を吐出可能である。複数の濃度の接着剤56は、複数の種類の接着剤の一例である。
なお、吐出装置41は、複数の成分や色の接着剤56を収容する複数のタンク53Dと、当該複数の成分や色の接着剤56を吐出する複数のノズル52Dとを有しても良い。このように、複数の種類の接着剤56は、互いに濃度が異なる接着剤に限らず、例えば、互いに成分や色が異なる接着剤であっても良い。
移動装置42は、吐出装置41をX軸及びY軸に沿う方向に移動させる。すなわち、移動装置42は、吐出装置41と供給領域Rとを相対的に移動させる。移動装置42は、材料11A,11B,11Cを吐出するノズル52A,52B,52Cと、接着剤56を吐出するノズル52Dと、を一体として移動させる。移動装置42は、レール61と、二つの搬送部62とを有する。
レール61は、ステージ22の上方に配置され、Y軸に沿う方向に延びる。レール61の長さは、Y軸に沿う方向におけるステージ22の長さよりも長い。レール61は、供給領域Rの上に架け渡される。
吐出装置41のホルダ51は、レール61に移動可能に取り付けられる。レール61は、例えば、モータ、ギア、及びベルトのような種々の部品を有する機構を駆動させることにより、吐出装置41をレール61に沿って移動させる。すなわち、レール61は、吐出装置41をY軸に沿う方向に移動させる。吐出装置41のノズル52A,52B,52C,52Dは、供給領域Rに面するが、例えば吐出装置41がレール61の端部に位置するときに供給領域Rから外れても良い。
二つの搬送部62は、ステージ22の周壁36の上端36aにそれぞれ載置される。二つの搬送部62は、Y軸に沿う方向に並んで配置される。搬送部62は、レール61を支持する。搬送部62は、例えば、モータのような種々の部品を有する機構を駆動させることにより、X軸に沿う方向に移動する。すなわち、搬送部62は、レール61に取り付けられた吐出装置41をX軸に沿う方向に移動させる。
移動装置42は、上述の記載に限られない。例えば、移動装置42は、吐出装置41をZ軸に沿う方向にさらに移動させても良い。また、移動装置42は、ステージ22を移動させることで、吐出装置41と供給領域Rとを相対的に移動させても良い。
図1に示すように、収容装置43は、複数の供給管65を通じて、複数のタンク53A,53B,53C,53D,53Eにそれぞれ接続される。収容装置43は、材料11A,11B,11Cと、接着剤56と、溶剤57とを、対応するタンク53A,53B,53C,53D,53Eに供給する。なお、供給管65は、例えば可撓性及び伸縮性を有し、吐出装置41の位置にかかわらずステージ22から離間する。
なお、タンク53A,53B,53C,53D,53Eは、カートリッジであっても良い。この場合、収容装置43とタンク53A,53B,53C,53D,53Eとは接続されなくても良い。
回収装置44は、回収管66を通じて、収容装置43に接続される。回収装置44は、例えば、Y軸に沿う方向に延びるとともに、ステージ22の上方をX軸に沿う方向に移動可能である。回収装置44は、下方の粉末状の材料11を吸引し、収容装置43に送る。
光学装置24は、発振素子を有しレーザ光Lを出射する光源、レーザ光Lを平行光に変換する変換レンズ、レーザ光Lを収束させる収束レンズ、及び、レーザ光Lの照射位置を移動させるガルバノミラーのような、種々の部品を有する。図1は、レーザ光Lを二点鎖線で示す。レーザ光Lは、エネルギー線の一例であり、複数の種類の材料11を溶融可能である。なお、エネルギー線はレーザ光Lのように材料を溶融できるものであれば良く、電子ビームや、マイクロ波から紫外線領域の電磁波などであっても良い。
光学装置24は、レーザ光Lのパワー密度を変更可能である。さらに、光学装置24は、複数の波長のレーザ光Lを選択的に出射可能である。このように、光学装置24は、複数の種類のレーザ光Lを出射する。複数の種類のレーザ光Lは、互いに波長が異なるレーザ光Lに限らず、例えば、互いにパワー密度が異なるレーザ光Lであっても良い。
光学装置24は、ステージ22の上方に位置する。なお、光学装置24は他の場所に配置されても良い。光学装置24は、前記光源が出射したレーザ光Lを、前記変換レンズによって平行光に変換する。光学装置24は、傾斜角度を変更可能な前記ガルバノミラーにレーザ光Lを反射させ、前記収束レンズによってレーザ光Lを収束させることで、レーザ光Lを供給領域Rの所望の位置に照射する。
制御部25は、ステージ22、供給装置23、及び光学装置24に、電気的に接続される。制御部25は、例えば、CPU、ROM、及びRAMのような種々の電子部品を有する。制御部25は、前記ROM、又は他の記憶装置に格納されたプログラムを読み出し実行することで、ステージ22、供給装置23、及び光学装置24を制御する。三次元プリンタ10は、制御部25の制御(プログラム)に基づき、造形物13を積層造形する。
以下、三次元プリンタ10が粉末状の複数の種類の材料11から造形物13を積層造形する手順の第1の例について説明する。なお、三次元プリンタ10が造形物13を積層造形する方法は、以下に説明されるものに限らない。
図4は、造形物13を積層造形する手順の第1の例を示すフローチャートである。まず、三次元プリンタ10の制御部25に、例えば外部のパーソナルコンピュータから、造形物13の三次元形状のデータが入力される(S11)。当該三次元形状のデータは、例えばCADのデータであるが、これに限らない。
上記三次元形状のデータは、造形物13の各部分を作る材料についての情報を含む。すなわち、上記三次元形状のデータは、造形物13の、材料11Aによって作られる部分(以下、第1の部分13aと称する)と、造形物13の、材料11Bによって作られる部分(以下、第2の部分13bと称する)と、の情報を含む。
本実施形態における造形物13は、材料11A,11Bによって作られる。材料11Cは、層12を支持するためのサポート材として用いられる。なお、造形物13は、材料11A,11B,11Cによって作られても良く、四種類以上の材料11によって作られても良い。
次に、制御部25は、取得した上記データの三次元形状を、複数の層に分割する(スライス)。制御部25は、スライスされた三次元形状を、例えば複数の点や直方体(ピクセル)の集まりに変換する(ラスタライズ、ピクセル化)。このように、制御部25は、取得した造形物13の三次元形状のデータから、複数の二次元形状の層のデータを生成する(S12)。生成されたデータは、制御部25の記憶部(不図示)に記憶される。なお、上記二次元形状の層のデータに含まれる複数のピクセルのそれぞれの面積は、ノズル52A,52B,52Cの開口面積よりも広い。
次に、制御部25は、上記複数の二次元形状の層のデータから、複数の層12のデータを生成する(S13)。複数の層12のデータは、上記複数の二次元形状の層のデータと同様に、複数のピクセルの集まりである。層12のデータは、材料11Aが供給されて固化される部分(第1の部分13a)と、材料11Bが供給されて固化される部分(第2の部分13b)と、材料11Cが供給される部分と、の情報をそれぞれ含む。
次に、制御部25は、移動装置42によって、吐出装置41を移動させる(S14)。吐出装置41は、例えば、ノズル52Aが供給領域Rの角部分に面する初期位置に予め配置される。移動装置42は、吐出装置41を当該初期位置から、例えばY軸に沿う方向に移動させる。
図3に示すように、供給領域Rは、複数の区画Sを含む。図3は、複数の区画Sを二点鎖線で区切る。複数の区画Sは、層12のデータの複数のピクセルに対応する四角形の領域である。
移動装置42が吐出装置41を移動させることで、区画Sの上方を、吐出装置41のノズル52A,52B,52C,52Dが順に通過する。すなわち、移動部42は、供給領域Rの区画Sに面する位置に、ノズル52A,52B,52C,52Dを順に配置させる。以下、ノズル52A,52B,52Cが区画Sに面する位置は、吐出位置と称される。吐出位置は、供給位置の一例である。また、ノズル52Dが区画Sに面する位置は、塗布位置と称される。ノズル52A,52B,52Cが区画Sに面した後に、ノズル52Dが区画Sに面する。
なお、図3において、層12が供給領域Rを形成するが、最初は載置台35の上面35aが供給領域Rを形成する。なお、載置台35の上面35aに置かれたベースプレートや、載置台35の上面35aに予め形成された材料11の層12によって、供給領域Rが形成されていても良い。
次に、制御部25は、各区画Sに、対応するノズル52A,52B,52Cが面するか否かを判断する(S15)。すなわち、制御部25は、ノズル52A,52B,52Cが、対応する区画Sに面する吐出位置に配置されたか否かを判断する。
制御部25は、例えば、レール61や搬送部62に含まれるモータの回転量をセンサによって取得することで、吐出装置41のノズル52A,52B,52C,52Dの位置を検出する。なお、制御部25は、他の手段によって吐出装置41のノズル52A,52B,52C,52Dの位置を検出しても良い。
層12のデータの材料11Aが供給されるピクセルに対応する区画Sに、ノズル52Aが面する場合、制御部25は、ノズル52Aが対応する区画Sに面する吐出位置に配置されたと判断する(S15:Yes)。同様に、層12のデータの材料11B,11Cが供給されるピクセルに対応する区画Sに、ノズル52B,52Cが面する場合、制御部25は、ノズル52B,52Cが対応する区画Sに面する吐出位置に配置されたと判断する。
制御部25は、ノズル52A,52B,52Cが対応する区画Sに面する吐出位置に配置されたと判断した場合、当該ノズル52A,52B,52Cに、対応する区画Sへ材料11A,11B,11Cを吐出させる(S16)。例えば、図3の一点鎖線の矢印で示すように、制御部25は、ノズル52Cに区画Sへ材料11Cを吐出させる。
制御部25は、ノズル52A,52B,52Cに、対応する区画Sへ材料11A,11B,11Cを吐出させることで、区画Sに材料11A,11B,11Cの層を形成する。すなわち、各区画Sに、材料11A、材料11B、又は材料11Cの層が選択的に形成される。
制御部25は、ノズル52A,52B,52Cが対応する区画Sに面する吐出位置に配置されていないと判断した場合(S15:No)、各区画Sに、対応するノズル52Dが面するか否かを判断する(S17A)。すなわち、制御部25は、ノズル52Dが、対応する区画Sに面する塗布位置に配置されたか否かを判断する。制御部25は、ノズル52A,52B,52Cに区画Sへ材料11を吐出させた場合(S16)も、同様に判断を行う(S17A)。
図5は、ノズル52Dが対応する区画Sに面する塗布位置に配置されたステージ22及び供給装置23の一部を示す断面図である。図5に示すように、ノズル52A,52B,52Cが供給領域Rに材料11A,11B,11Cを吐出することで、供給領域Rに、第1の部分12aと、第2の部分12bと、第3の部分12cとが形成される。第1の部分12aは、少なくとも一つの区画Sに、材料11Aによって形成された層12の一部である。第2の部分12bは、少なくとも一つの区画Sに、材料11Bによって形成された層12の一部である。第3の部分12cは、少なくとも一つの区画Sに、材料11Cによって形成された層12の一部である。
層12のデータの材料11A,11Bが固化されるピクセルに対応する区画Sに、ノズル52Dが面する場合、制御部25は、ノズル52Dが対応する区画Sに面する塗布位置に配置されたと判断する(S17A:Yes)。
制御部25は、ノズル52Dが対応する区画Sに面する塗布位置に配置されたと判断した場合、当該ノズル52Dに、対応する区画Sへ接着剤56を吐出させる(S18A)。例えば、図5の一点鎖線の矢印で示すように、制御部25は、ノズル52Dに区画Sへ接着剤56を吐出させる。
層12のデータは、材料11Aが固化されるピクセルの接着剤56の濃度と、材料11Bが固化されるピクセルの接着剤56の濃度と、の情報をさらに含む。制御部25は、ノズル52Dに、当該層12のデータに基づく濃度の接着剤56を吐出させる。なお、吐出装置41が複数の成分の接着剤56を吐出する複数のノズル52Dを有する場合、制御部25は、ノズル52Dに、対応する区画Sへ少なくとも一種類の接着剤56を吐出させる。
ノズル52Dが面する区画Sには、材料11A,11B,11Cの層が既に形成されている。ノズル52Dは、材料11A,11Bの層が形成された区画Sに接着剤56を吐出することで、当該区画Sの材料11A又は材料11Bに接着剤56を塗布する。
接着剤56は、区画Sで層を形成する材料11A又は11Bに染み込む。これにより、当該区画Sの材料11A又は材料11Bは結合し固化する。接着剤56が塗布された材料11A,11Bは、隣接する固化した材料11A又は11Bとも結合する。
さらに、層12のデータは、材料11A,11Bが固化されるピクセルについて、接着剤56の他の条件の情報をさらに含んでも良い。例えば、層12のデータは、各ピクセルについて、接着剤56の量の情報を含んでも良い。この場合、制御部25は、ノズル52Dに、当該層12のデータに基づく量の接着剤56を吐出させる。このように、制御部25は、ノズル52Dに、区画Sに対応する条件で接着剤56を吐出させる。
制御部25は、ノズル52Dが対応する区画Sに面する塗布位置に配置されていないと判断した場合(S17A:No)、層12の形成が完了したか否かを判断する(S19)。制御部25は、ノズル52Dに区画Sへ接着剤56を吐出させた場合(S18A)も、同様に判断を行う(S19)。
制御部25は、層12の形成が完了していない場合(S19:No)、移動装置42に吐出装置41を再度移動させる(S14)。制御部25は、区画Sへの材料11の吐出(S16)を繰り返すことで、供給領域Rに複数の種類の材料11の層12を形成する。さらに、制御部25は、材料11A,11Bの固化(S18A)を繰り返すことで、層12を形成する複数の種類の材料11の一部である材料11A,11Bを結合及び固化させ、造形物13の第1の部分13a及び第2の部分13bの一部を形成する。なお、層12が材料11A,11Bのみによって形成される場合、制御部25は、当該層12を形成する材料11の全てを結合及び固化させる。
移動装置42は、吐出装置41を、Y軸に沿う方向における供給領域Rの一方の端部から他方の端部に向かって移動させる。吐出装置41がY軸に沿う方向における供給領域Rの他方の端部に到達すると、移動装置42は、吐出装置41をY軸に沿う方向における供給領域Rの一方の端部に戻し、吐出装置41をX軸に沿う方向に移動させる。移動装置42が吐出装置41をX軸に沿う方向に移動させる距離は、区画Sの一辺の長さに大よそ等しい。移動装置42は、吐出装置41をX軸に沿う方向に移動させると、再度、吐出装置41をY軸に沿う方向に移動させる。移動装置42がこのような吐出装置41の移動を繰り返すことで、ノズル52A,52B,52C,52Dは、供給領域Rの全ての区画Sの上を通過する。
図6は、層12の形成が完了したステージ22及び供給装置23の一部を示す断面図である。制御部25は、層12の形成が完了した場合(S19:Yes)、全ての層12の形成が完了したか否かを判断する(S20)。制御部25は、全ての層12の形成が完了していない場合(S20:No)、昇降機37に、載置台35を降下させる(S21)。これにより、形成された材料11の層12が、周壁36の上端36aの50μm下方に次の供給領域Rを形成する。
制御部25は、材料11の層12の形成を繰り返すことで(S14〜S21)、造形物13を形成する。制御部25は、全ての層12の形成が完了したと判断した場合(S20:Yes)、造形物13の積層造形を終了する。
造形物13の積層造形が終了すると、制御部25は、回収装置44を供給領域Rの上方に移動させる。回収装置44は、粉末状のまま残された材料11Cを吸引して回収し、収容装置43に送る。
上述のように、制御部25は、ノズル52Dに、材料11A,11Bにのみ接着剤56を塗布させる。すなわち、制御部25は、ノズル52Dに、材料11Cを粉末状のまま残させ、他の材料11A,11Bを結合させ固化させる。このため、回収装置44は材料11Cのみを回収でき、吸引した材料11を分別することなく材料11Cを収容装置43で再利用できる。
回収装置44が材料11Cを回収することで、ステージ22の載置台35の上に、材料11A,11Bによって作られた造形物13が残る。これにより、三次元プリンタ10のユーザは、処理槽21の中から、造形物13を取り出すことができる。造形物13は、アームやベルトのような搬送機構によって、処理槽21の処理室21aの外に搬出されても良い。
以上の説明において、制御部25は、接着剤56を塗布することで材料11A,11Bを結合させたが、光学装置24にレーザ光Lを照射させることによって材料11A,11Bを結合させても良い。以下、制御部25が材料11A,11Bをレーザ光Lによって結合する場合の一例について説明する。
図7は、造形物13を積層造形する手順の第2の例を示すフローチャートである。三次元プリンタ10は、第1の例と同様に、造形物13の三次元形状データから層12のデータを生成し、(S11〜S13)、吐出装置41を移動させて区画Sに対応する材料11を吐出する(S14〜S16)。
制御部25は、ノズル52A,52B,52Cが対応する区画Sに面する吐出位置に配置されていないと判断した場合(S15:No)、材料11A,11Bが供給された区画Sの上から、吐出装置41が移動したか否かを判断する(S17B)。制御部25は、ノズル52A,52B,52Cに区画Sへ材料11を吐出させた場合(S16)も、同様に判断を行う(S17B)。
制御部25は、材料11A,11Bが供給された区画Sの上から、吐出装置41が移動したと判断すると(S17B:Yes)、光学装置24に当該区画Sへレーザ光Lを照射させる(S18B)。
層12のデータは、材料11Aが固化されるピクセルに対応するレーザ光Lと、材料11Bが固化されるピクセルに対応するレーザ光Lと、の情報をさらに含む。制御部25は、光学装置24に、当該層12のデータに基づくパワー密度及び波長のレーザ光Lを出射させる。すなわち、制御部25は、光学装置24に、区画Sに対応する種類のレーザ光Lを、当該区画Sの材料11A又は材料11Bに照射させる。
光学装置24は、区画Sの材料11A又は材料11Bにレーザ光Lを照射することで、当該材料11A,11Bを溶融させる。これにより、当該区画Sの材料11A又は材料11Bは結合し固化する。
三次元プリンタ10は、第1の例と同様に、材料11の層12の形成を繰り返すことで(S14〜S21)、造形物13を形成する。制御部25は、全ての層12の形成が完了したと判断した場合(S20:Yes)、造形物13の積層造形を終了する。
第1の実施の形態に係る三次元プリンタ10において、制御部25は、ノズル52A,52B,52Cに材料11A,11B,11Cを吐出させ、供給領域Rに複数の種類の材料11の層12を形成させる。ノズル52D又は光学装置24は、層12を形成する材料11A,11Bを結合させる。これにより、三次元プリンタ10は、複数の種類の材料11A,11Bを用いた積層造形をすることができる。
第1の例において、ノズル52Dは、材料11A,11Bに接着剤56を塗布することで、層12を形成する材料11A,11Bを結合させる。これにより、ノズル52Dが容易に材料11を結合させることができる。
制御部25は、塗布位置に配置されたノズル52Dに、対応する区画Sへ接着剤56を吐出させ、区画Sの材料11A,11Bに接着剤56を塗布させる。これにより、層12を形成する材料11A,11Bを結合させることが容易になる。
制御部25は、ノズル52Dに、対応する区画Sへ複数の濃度の接着剤56を吐出させる。これにより、区画Sに吐出された材料11A,11Bに応じた濃度の接着剤56が塗布され、当該区画Sの材料11A,11Bがより確実に結合される。
移動装置42は、ノズル52A,52B,52Cとノズル52Dとを一体として移動させる。これにより、移動装置42の構造が簡素になり、三次元プリンタ10の製造コストが低減されるとともに、処理槽21の処理室21aがより広く利用可能になる。
第2の例において、光学装置24は、材料11A,11Bにレーザ光Lを照射することで、層12を形成する材料11A,11Bの少なくとも一部を結合させる。すなわち、光学装置24は、材料11A,11Bを溶融することで、材料11A,11Bを結合させる。これにより、材料11A,11Bがより強固に結合される。なお、光学装置24は、材料11A,11Bを焼結して結合させても良い。
制御部25は、光学装置24に、区画Sに対応する種類のレーザ光Lを、当該区画Sの材料11A,11Bに照射させる。これにより、区画Sに吐出された材料11A,11Bに応じた種類のレーザ光Lが照射され、当該区画Sの材料11A,11Bがより確実に結合される。
制御部25は、ノズル52Dに、材料11Cを粉末状のまま残させ、他の材料11A,11Bを結合させる。このため、積層造形後に粉末状のまま残った材料11を回収する場合、一種類の材料11Cのみが回収され、当該材料11Cが容易に再利用可能となる。
以下に、第2の実施の形態について、図8を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
図8は、第2の実施の形態に係るステージ22及び供給装置23の一部を示す斜視図である。図8に示すように、第2の実施形態の供給装置23は、二つの吐出装置41A,42Bと、二つの移動装置42A,42Bと、フレーム71と、を有する。
吐出装置41Aは、ホルダ51Aと、ノズル52A,52B,52Cと、タンク53A,53B,53Cとを有する。ホルダ51Aは、第1の実施形態のホルダ51と同様に、タンク53A,53B,53Cを保持する。ノズル52A,52B,52Cは、ホルダ51Aに設けられる。すなわち、吐出装置41Aは、複数の種類の材料11A,11B,11Cを吐出する。
吐出装置41Bは、ホルダ51Bと、ノズル52Dと、タンク53D,53Eとを有する。ホルダ51Bは、第1の実施形態のホルダ51と同様に、タンク53D,53Eを保持する。ノズル52Dは、ホルダ51Bに設けられる。すなわち、吐出装置41Bは、複数の濃度の接着剤56を吐出する。
移動装置42Aは、レール61Aと搬送部62Aとを有する。レール61Aは、第1の実施形態と同様に、吐出装置41AをY軸に沿う方向に移動させる。搬送部62Aは、第1の実施形態と同様に、吐出装置41AをX軸に沿う方向に移動させる。
移動装置42Bは、移動装置42Aと、X軸に沿う方向に並んで配置される。移動装置42Bは、レール61Bと搬送部62Bとを有する。レール61Bは、第1の実施形態と同様に、吐出装置41BをY軸に沿う方向に移動させる。搬送部62Bは、第1の実施形態と同様に、吐出装置41BをX軸に沿う方向に移動させる。
フレーム71は、略四角形の枠状に形成される。フレーム71は、周壁36の上端36aに載置される。フレーム71のY軸に沿う方向の長さは、周壁36のY軸に沿う方向の長さと大よそ等しい。フレーム71のX軸に沿う方向の長さは、周壁36のX軸に沿う方向の長さよりも長い。搬送部62A,62Bは、フレーム71の上端71aに載置される。
フレーム71は、X軸に沿う方向における吐出装置41A,41Bの移動可能な範囲を拡張する。これにより、吐出装置41A,41Bの両方が、供給領域Rの全ての区画Sの上を通過可能になる。
移動装置42A,42Bは、吐出装置41A,41Bを個別に移動させる。移動装置42Bは、X軸に沿う方向において、吐出装置41Aが吐出装置41Bから所定の距離だけ離間してから、吐出装置41Bを移動させる。
ノズル52Dが対応する区画Sに面する塗布位置に配置されたとき、当該区画Sに隣接する区画Sに、材料11A,11B,11Cのいずれかの層が既に形成されている。このため、ノズル52Dが対応する区画Sの材料11A又は11Bに接着剤56を塗布した場合に、当該区画の材料11A又は11Bが崩れることが抑制される。
以下に、第3の実施の形態について、図9を参照して説明する。図9は、第3の実施の形態に係るステージ22及び供給装置23の一部を示す断面図である。図9に示すように、第3の実施形態のホルダ51は、共通室81と、共通ノズル82とを有する。共通ノズル82は、第3の実施形態における吐出部の一例である。
第3の実施形態において、ノズル52A,52B,52Cは、タンク53A,53B,53Cにそれぞれ設けられる。ノズル52A,52B,52Cは、それぞれ共通室81に開口する。
共通室81は、ホルダ51の内部に設けられる。ノズル52A,52B,52Cが材料11A,11B,11Cを吐出すると、当該材料11A,11B,11Cは、共通室81に供給される。
共通ノズル82は、ホルダ51の下面51aに設けられ、供給領域Rに面する。共通ノズル82は、共通室81に開口する。共通ノズル82は、共通室81に供給された材料11A,11B,11Cを、例えば重力により吐出する。
制御部25は、共通ノズル82が対応する区画Sに面する吐出位置に配置されると、当該区画Sに対応するノズル52A,52B,52Cから材料11A,11B,11Cを吐出させる。共通室81に供給された少なくとも一つの材料11A,11B,11Cは、共通ノズル82から、対応する区画Sに吐出される。
制御部25は、ノズル52A,52B,52Cに、複数の種類の材料11A,11B,11Cを共通室81へ吐出させても良い。すなわち、共通ノズル82は、共通室81で混合された二種類以上の材料11A,11B,11Cを吐出しても良い。
第3の実施形態の三次元プリンタ10において、制御部25は、吐出位置に配置された共通ノズル82に、対応する区画Sへ複数の種類の材料11A,11B,11Cを吐出させる。これにより、三次元プリンタ10は、混合された複数の種類の材料11A,11B,11Cを用いた積層造形をすることができる。
以下に、第4の実施の形態について、図10を参照して説明する。図10は、第4の実施の形態に係るステージ22及び供給装置23の一部を示す断面図である。第4の実施形態のタンク53A,53B,53Cは、材料11A,11B,11Cと分散剤Dとをそれぞれ収容する。
第4の実施形態の材料11は、粒子径が100nmより小さい、いわゆるナノ粒子である。第4の実施形態の材料11Aは、例えば金(Au)の粉末である。なお、材料11Aはこれに限られない。
金属のナノ粒子の融点は、ナノ粒子よりも大きく結合した金属(バルク材)の融点よりも低い。例えば金のナノ粒子の融点は、金の本来の融点(約1064℃)よりも数百℃低い。すなわち、タンク53A,53B,53Cに収容される材料11は、当該材料11の融点が、結合した当該材料11の融点よりも低くなる粒径を有する。
分散剤Dは、例えば、純水やエタノールである。なお、分散剤Dはこれに限られない。ナノ粒子は、凝集することで融点を上昇させる。分散剤Dは、材料11のナノ粒子を分散させる。これにより、分散剤Dは、材料11のナノ粒子が凝集し、当該材料11の融点が上昇することを抑制する。
載置台35の上面35aに、ベースプレート91が載置される。ベースプレート91は、例えば金の板材である。すなわち、ベースプレート91は、材料11Aと同じ材料で作られる。なお、ベースプレート91はこれに限られない。ベースプレート91は、最初に供給領域Rを形成する。
載置台35は、ヒータ35cを有する。ヒータ35cは、結合形成部の一例である。ヒータ35cは、載置台35と、載置台35に載置されたベースプレート91とを加熱する。すなわち、ヒータ35cは、供給領域Rを加熱する。
第4の実施形態において、排出口32は、処理室21aの空気を排出し、処理室21aを真空にする。このため、載置台35やベースプレート91が気体によって冷却されることが抑制される。処理室21aはこれに限らず、供給口31によって例えば窒素が充填されても良い。
制御部25は、ヒータ35cによって、供給領域Rの温度を、材料11のナノ粒子の融点よりも高く、且つ、結合した材料11の融点よりも低くする。このため、ヒータ35cによって加熱されるベースプレート91は、溶融せずに固体のまま保たれる。
ノズル52Aが吐出位置に配置されると、制御部25は、ノズル52Aに、材料11Aのナノ粒子を含む分散剤Dを吐出させる。ノズル52Aは、例えば、アクチュエータにより分散剤Dを加圧することで吐出させる。
ノズル52Aから吐出された材料11Aのナノ粒子を含む分散剤Dは、ベースプレート91が形成する供給領域Rに向かう。処理室21aが真空であるため、供給領域Rに到達するまでの間に、分散剤Dは蒸発する。このため、材料11Aのナノ粒子のみが、供給領域Rに到達する。
供給領域Rの温度は、材料11Aのナノ粒子の融点よりも高い。このため、供給領域Rに到達した材料11Aのナノ粒子は溶融し、ベースプレート91に結合する。ベースプレート91に結合することで、材料11Aの融点は、供給領域Rの温度よりも高くなる。このため、ベースプレート91に結合した材料11Aは、凝固して固体に戻る。
ベースプレート91に結合した材料11Aは、ヒータ35cによって加熱される。このため、当該材料11Aに、ノズル52Aから吐出された材料11Aのナノ粒子が到達すると、材料11Aのナノ粒子は溶融する。これにより、材料11Aが互いに結合される。
このように、ヒータ35cは、積層される材料11Aのナノ粒子を結合させる。ヒータ35cは、同様に、材料11B,11Cのナノ粒子を溶融及び凝固させる。すなわち、供給領域Rに材料11の層が形成された直後に、ヒータ35cが材料11を結合させる。材料11のナノ粒子の積層と、材料11のナノ粒子の溶融と、材料11の結合及び凝固とが繰り返されることにより、造形物13が造形される。
なお、分散剤Dは、蒸発せずに供給領域Rに到達しても良い。例えば、分散剤Rは、供給領域Rに付着可能な粘度を有するとともに、エタノールや純水よりも長い時間をかけて蒸発するゲル溶媒であっても良い。このような分散剤Dは、材料11のナノ粒子を含んだまま供給領域Rに付着し、徐々に蒸発する。分散剤Dが蒸発すると、材料11のナノ粒子は、重力によって供給領域Rに到達する。これにより、蒸発した分散剤Dにより材料11が飛散することが抑制される。
第4の実施形態の三次元プリンタ10において、粉末状の材料11は、当該材料11の融点が、結合した当該材料11の融点よりも低くなる粒径を有する。ヒータ35cは、供給領域Rの温度を、粉末状の材料11の融点よりも高く且つ結合した材料11の融点よりも低くする。これにより、吐出された粉末状の材料11は、供給領域Rに到達すると溶融し、結合する。結合した材料11の融点はヒータ35cによって設定された温度よりも高いため、結合した材料11は凝固する。これにより、三次元プリンタ10は、接着剤56やレーザ光L無しで積層造形をすることができる。
さらに、材料11Cのようなサポート材無しで積層造形をすることができる。このため、制御部25は、ノズル52A,52B,52Cに複数の種類の材料11を吐出させ、供給領域Rの一部に複数の種類の材料11の層12を形成させる。
以下に、第5の実施の形態について、図11を参照して説明する。図11は、第5の実施の形態に係るステージ22及び供給装置23の一部を示す断面図である。図11に示すように、第5の実施形態の供給装置23は、マスク形成装置100を有する。
マスク形成装置100は、ホルダ101と、ノズル102と、タンク103とを有する。マスク形成装置100は、供給領域Rに、マスク105を形成する。マスク105は、材料11A,11Bが供給される区画Sを開放する開口部106を有する。
ホルダ101は、タンク103を保持するとともに、レール61に取り付けられる。これにより、マスク形成装置100は、移動装置42により移動させられる。ノズル102は、ホルダ101に設けられ、供給領域Rに向く。タンク103は、マスク105の材料を収容する。
マスク形成装置100は、サポート材である材料11Cが供給される区画Sに、ノズル102からマスク105の材料を吐出する。これにより、材料11A,11Bが供給される区画Sが開放されたマスク105が形成される。
吐出装置41のノズル52A,52Bが、開口部106によって開放された区画Sに、材料11A,11Bを吐出する。これにより、区画Sに、より正確に材料11A,11Bの層が形成される。
開口部106によって開放された区画Sに供給された材料11A,11Bは、例えば、接着剤56によって結合及び固化される。材料11A,11Bが固化されると、マスク105の表面に残った粉末状の材料11A,11Bが除去され、マスク105が例えばエッチングにより除去される。そして、マスク105が除去された区画Sに、吐出装置41がサポート材である材料11Cを供給する。
なお、マスク105が形成された後、材料11A,11Bは、吐出装置41に限らず、ローラや撒布によって区画Sに供給されても良い。また、接着剤56も、撒布により区画Sに供給されても良い。
以下に、第6の実施の形態について、図12を参照して説明する。図12は、第6の実施の形態に係るステージ22及び供給装置23の一部を示す断面図である。図12に示すように、第6の実施形態の吐出装置41は、ヒータ110を有する。
ホルダ51は、ヒータ110を収容する。ヒータ110は、タンク53A,53Bを収容する。ヒータ110は、タンク53A,53Bを、材料11A,11Bの融点より高い温度に加熱する。これにより、タンク53A,53Bに収容される材料11A,11Bの少なくとも一部が溶融する。
ノズル52A,52Bは、少なくとも部分的に溶融した材料11A,11Bを吐出する。材料11A,11Bは、供給領域Rに接触することで冷却される。これにより、材料11A,11Bは凝固して結合する。
材料11A,11Bは、供給領域Rに積層した直後に、凝固して結合する。このため、三次元プリンタ10は、接着剤56やレーザ光L無しで積層造形をすることができる。さらに、材料11Cのようなサポート材無しで積層造形をすることができる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、制御部は、吐出部に少なくとも一種類の材料を吐出させ、供給領域の少なくとも一部に複数の種類の材料の層を形成させる。結合形成部は、層を形成する複数の種類の材料の少なくとも一部を結合させる。これにより、積層造形装置は、複数の種類の材料を用いた積層造形をすることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、第1の実施形態において、材料11Cが粉末状のまま残されたが、材料11A,11B,11Cの全てが結合されても良い。結合された材料11Cは、例えば、エッチングによって除去されても良い。
以下に、出願当初の特許請求の範囲の内容を付記する。
[1]
供給領域に粉末状の複数の種類の材料を供給可能な供給部と、
前記供給部と前記供給領域とを相対的に移動させ、前記供給部を前記供給領域に面する複数の供給位置に配置させる移動部と、
前記複数の供給位置に配置された前記供給部に少なくとも一種類の前記材料を前記供給領域へ供給させ、少なくとも一種類の前記材料によって形成された第1の部分と、前記第1の部分と異なる少なくとも一種類の前記材料によって形成された第2の部分と、を前記供給領域に形成させ、前記第1の部分と前記第2の部分とを有する前記材料の層を前記供給領域に形成させる制御部と、
前記第1の部分の少なくとも一部を結合させるとともに、前記第2の部分の少なくとも一部を結合させる、結合形成部と、
を具備する積層造形装置。
[2]
前記結合形成部は、前記材料に接着剤を塗布することで、前記第1の部分の少なくとも一部を結合させるとともに、前記第2の部分の少なくとも一部を結合させる、[1]の積層造形装置。
[3]
前記結合形成部は前記接着剤を吐出し、
前記移動部は、前記結合形成部と前記供給領域とを相対的に移動させ、前記結合形成部を前記第1の部分又は前記第2の部分に面する複数の塗布位置に配置させ、
前記制御部は、前記塗布位置に配置された前記結合形成部に、当該結合形成部に面する前記第1の部分又は前記第2の部分へ前記接着剤を吐出させ、前記第1の部分の少なくとも一部の前記材料と、前記第2の部分の少なくとも一部の前記材料と、に前記接着剤を塗布させる、
[2]の積層造形装置。
[4]
前記結合形成部は、複数の種類の前記接着剤を吐出可能であり、
前記制御部は、前記塗布位置に配置された前記結合形成部に、前記第1の部分及び前記第2の部分へそれぞれ異なる種類の前記接着剤を吐出させる、
[3]の積層造形装置。
[5]
前記移動部は、前記吐出部と前記結合形成部とを一体として移動させる、[3]又は[4]の積層造形装置。
[6]
前記結合形成部は、前記材料にエネルギー線を照射することで、前記第1の部分の少なくとも一部を結合させるとともに、前記第2の部分の少なくとも一部を結合させる、[1]の積層造形装置。
[7]
前記結合形成部は、複数の種類のエネルギー線を出射可能であり、
前記制御部は、前記結合形成部に、前記第1の部分及び前記第2の部分へそれぞれ異なる種類の前記エネルギー線を照射させる、
[6]の積層造形装置。
[8]
前記制御部は、前記供給部に、一種類の前記材料によって形成された第3の部分を前記供給領域に形成させ、前記第1の部分と前記第2の部分と前記第3の部分とを有する前記材料の前記層を前記供給領域に形成させ、
前記結合形成部は、前記第3の部分の前記材料を粉末状のまま残す、
[1]乃至[7]のいずれか一つの積層造形装置。
[9]
粉末状の前記材料は、当該材料の融点が、結合した当該材料の融点よりも低くなる粒径を有し、
前記結合形成部は、前記供給領域の温度を、粉末状の前記材料の融点よりも高く且つ結合した前記材料の融点よりも低くする、
[1]の積層造形装置。
[10]
粉末状の複数の種類の材料を供給可能な供給部を、供給領域に面する複数の供給位置に配置させる工程と、
前記複数の供給位置に配置された前記供給部に少なくとも一種類の前記材料を前記供給領域へ供給させ、少なくとも一種類の前記材料によって形成された第1の部分と、前記第1の部分と異なる少なくとも一種類の前記材料によって形成された第2の部分と、を前記供給領域に形成させ、前記第1の部分と前記第2の部分とを有する前記材料の層を前記供給領域に形成させる工程と、
前記第1の部分の少なくとも一部を結合させる工程と、
前記第2の部分の少なくとも一部を結合させる工程と、
を有する積層造形方法。