なお、本明細書は、次のような遊技機に係る発明も開示している。
(0)遊技球が入球可能な入球手段と、前記入球手段に遊技球が入球したことに基づいて遊技球の入球が可能となる入賞装置とを、遊技球が打ち込まれる遊技領域の所定箇所にそれぞれ配設した遊技盤を有する遊技機において、
前記入賞装置は、
入球してきた遊技球が転動する転動面と、
前記転動面を転動した遊技球が入球可能で、遊技球の入球により遊技者にとって有利な遊技状態の発生の契機となる特定入球手段と、
を備え、
前記転動面は、その上流側から下流側に遊技球が流下するように傾斜している傾斜面となっており、その上流側から下流側までを複数個に分割した複数個の分割傾斜面を備え、
前記複数個の分割傾斜面のうちで一つの分割傾斜面の下流側の端部よりも、当該分割傾斜面の下流側に隣接する他方の分割傾斜面の上流側の端部を高くした、遊技球を停留させる段差を形成するように、前記分割傾斜面の傾斜姿勢を変更する姿勢変更手段
を備えていることを特徴とする遊技機。
前記(0)に記載の発明によれば、遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤には、遊技球が入球可能な入球手段と、この入球手段に遊技球が入球したことに基づいて遊技球の入球が可能となる入賞装置とが、それぞれ遊技領域の所定箇所に配設されている。この入賞装置に入球された遊技球は、当該入賞装置内の転動面を転動する。転動面を転動した遊技球が特定入球手段に入球すると、遊技者にとって有利な遊技状態が発生することになるのである。転動面は、その上流側から下流側に遊技球が流下するように傾斜している傾斜面となっており、その上流側から下流側までを複数個に分割した複数個の分割傾斜面を備えている。姿勢変更手段は、複数個の分割傾斜面のうちで一つの分割傾斜面の下流側の端部よりも、当該分割傾斜面の下流側に隣接する他方の分割傾斜面の上流側の端部を高くした、遊技球を停留させる段差を形成するように、分割傾斜面の傾斜姿勢を変更する。したがって、遊技球を停留させる段差を転動面に生じさせない状態(転動面が非段差状態となっている場合)、つまり、一方の分割傾斜面の下流側の端部よりも、その分割傾斜面の下流側に隣接する他方の分割傾斜面の上流側の端部を高くした段差を生じさせない状態の場合には、遊技球を停留させることなく上流側から下流側に流下させることができる。また、遊技球を停留させる段差を転動面に生じさせた状態(転動面が段差状態となっている場合)、つまり、一方の分割傾斜面の下流側の端部よりも、その分割傾斜面の下流側に隣接する他方の分割傾斜面の上流側の端部を高くした段差を生じさせた状態の場合には、当該段差により遊技球を停留させることができる。つまり、転動面が非段差状態となっているときには、転動面全体を転動スペースとして利用することができるので、遊技球の転動スペースを十分に確保できる。また、転動面が段差状態となっているときには、転動面のその段差により、遊技球の停留させることができ、転動面を段差状態から非段差状態に戻すことで遊技球の停留を解除できる。その結果、遊技球の転動スペースを十分に確保できるとともに、遊技球の一時的な停留およびその解除ができるという興趣性に優れた遊技機を提供することができる。
(1)遊技球が入球可能な入球手段と、前記入球手段に遊技球が入球したことに基づいて遊技球の入球が可能となる入賞装置とを、遊技球が打ち込まれる遊技領域の所定箇所にそれぞれ配設した遊技盤を有する遊技機において、
前記入賞装置は、
入球してきた遊技球が転動する転動面と、
前記転動面を転動した遊技球が入球可能で、遊技球の入球により遊技者にとって有利な遊技状態の発生の契機となる特定入球手段と、
を備え、
前記転動面は、その上流側から下流側に遊技球が流下するように傾斜している傾斜面となっており、その上流側から下流側までを2分割した2個の分割傾斜面を備え、
上流側の前記分割傾斜面の下流側の端部よりも、当該分割傾斜面の下流側に隣接する他方の前記分割傾斜面の上流側の端部を高くした、遊技球を停留させる段差を形成するように、前記分割傾斜面の傾斜姿勢を変更する姿勢変更手段
を備えていることを特徴とする遊技機。
前記(1)に記載の発明によれば、遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤には、遊技球が入球可能な入球手段と、この入球手段に遊技球が入球したことに基づいて遊技球の入球が可能となる入賞装置とが、それぞれ遊技領域の所定箇所に配設されている。この入賞装置に入球された遊技球は、当該入賞装置内の転動面を転動する。転動面を転動した遊技球が特定入球手段に入球すると、遊技者にとって有利な遊技状態が発生することになるのである。転動面は、その上流側から下流側に遊技球が流下するように傾斜している傾斜面となっており、その上流側から下流側までを2分割した2個の分割傾斜面を備えている。姿勢変更手段は、上流側の分割傾斜面の下流側の端部よりも、当該分割傾斜面の下流側に隣接する他方の分割傾斜面の上流側の端部を高くした、遊技球を停留させる段差を形成するように、分割傾斜面の傾斜姿勢を変更する。
したがって、遊技球を停留させる段差を転動面に生じさせない状態(転動面が非段差状態となっている場合)、つまり、一方の分割傾斜面の下流側の端部よりも、その分割傾斜面の下流側に隣接する他方の分割傾斜面の上流側の端部を高くした段差を生じさせない状態の場合には、遊技球を停留させることなく上流側から下流側に流下させることができる。また、遊技球を停留させる段差を転動面に生じさせた状態(転動面が段差状態となっている場合)、つまり、一方の分割傾斜面の下流側の端部よりも、その分割傾斜面の下流側に隣接する他方の分割傾斜面の上流側の端部を高くした段差を生じさせた状態の場合には、当該段差により遊技球を停留させることができる。つまり、転動面が非段差状態となっているときには、転動面全体を転動スペースとして利用することができるので、遊技球の転動スペースを十分に確保できる。また、転動面が段差状態となっているときには、転動面のその段差により、遊技球の停留させることができ、転動面を段差状態から非段差状態に戻すことで遊技球の停留を解除できる。その結果、遊技球の転動スペースを十分に確保できるとともに、遊技球の一時的な停留およびその解除ができるという興趣性に優れた遊技機を提供することができる。
(2)前記(0)に記載の遊技機、または、前記(1)に記載の遊技機において、
前記姿勢変更手段は、隣接する前記分割傾斜面のうちで上流側の前記分割傾斜面の下流側の端部を下降させるとともに、当該隣接する前記分割傾斜面のうちで下流側の前記分割傾斜面の上流側の端部を上昇させるように、それらの分割傾斜面の傾斜姿勢を変更することを特徴とする遊技機。
前記(2)に記載の発明によれば、姿勢変更手段は、隣接する分割傾斜面のうちで上流側の分割傾斜面の下流側の端部を下降させるとともに、当該隣接する分割傾斜面のうちで下流側の分割傾斜面の上流側の端部を上昇させるように、それらの分割傾斜面の傾斜姿勢を変更する。したがって、隣接する分割傾斜面の両方を姿勢変更することで段差を形成しているので、隣接する分割傾斜面のうちの一方の分割傾斜面のみを姿勢変更して段差を形成する場合に比べて、個々の分割傾斜面の姿勢変更量を小さく抑えることができるし、迅速に段差を形成することができる。
(3)前記(0)に記載の遊技機、または、前記(1)または(2)に記載の遊技機において、
隣接する前記分割傾斜面は、その境界部分の形状を凹凸形状とし、かつ、それらを咬合させていることを特徴とする遊技機。
前記(3)に記載の発明によれば、隣接する分割傾斜面は、その境界部分の形状を凹凸形状とし、かつ、それらを咬合させたものとしている。したがって、遊技球を停留させる段差を転動面に生じさせない状態の場合(転動面が非段差状態となっている場合)には、隣接する分割傾斜面の境界部分で遊技球を停留させることなくそのまま通過させていくことができる。また、遊技球を停留させる段差を転動面に生じさせた状態の場合(転動面が段差状態となっている場合)には、隣接する分割傾斜面の境界部分に、遊技球を停留させる段差が形成されており、当該段差により遊技球を停留させることができる。つまり、隣接する分割傾斜面のうちで下流側の分割傾斜面の上流側の端部たる凹凸形状端部における凹部に遊技球を停留させることができ、遊技球の停留位置を定めることができる。
(4)前記(3)に記載の遊技機において、
隣接する前記分割傾斜面は、その凹凸形状とした境界部分の凹部の大きさを遊技球の直径程度としていることを特徴とする遊技機。
前記(4)に記載の発明によれば、隣接する分割傾斜面は、その凹凸形状とした境界部分の凹部の大きさを遊技球の直径程度としている。したがって、遊技球を停留させる段差を転動面に生じさせた状態の場合(転動面が段差状態となっている場合)には、隣接する分割傾斜面の境界部分に、遊技球を停留させる段差が形成されており、当該段差により遊技球を停留させることができ、隣接する分割傾斜面のうちで下流側の分割傾斜面の上流側の端部たる凹凸形状端部における凹部に遊技球を停留させることができ、遊技球の停留位置を定めることができる。
(5)前記(3)または(4)に記載の遊技機において、
前記特定入球手段は、前記転動面の下流側端部の所定箇所に配設されており、
前記転動面の最下流側の分割傾斜面上における、前記特定入球手段と同一軸線上の所定箇所に、遊技球を前記特定入球手段の方に案内するための案内溝を設け、
前記案内溝の上流側には、前記転動面の最下流側の前記分割傾斜面での上流側端部の一つの前記凹部が位置している
ことを特徴とする遊技機。
前記(5)に記載の発明によれば、特定入球手段は、転動面の下流側端部の所定箇所に配設されている。転動面の最下流側の分割傾斜面上における、特定入球手段と同一軸線上の所定箇所には、特定入球手段の方に遊技球を案内するための案内溝が設けられている。案内溝の上流側には、転動面の最下流側の分割傾斜面での上流側端部の一つの凹部が位置している。したがって、転動面の最下流側の分割傾斜面での上流側端部の一つの凹部であって、分割傾斜面上での案内溝の上流側に位置する凹部に、遊技球が停留されると、その停留解除後には案内溝に沿って当該分割傾斜面を流下して行き、特定入球手段の方に案内することができる。最下流側の分割傾斜面での上流側端部の一つの凹部であって、案内溝に連設する凹部に遊技球が停留されると、その解除後に特定入球手段の方に案内されるため、当該凹部に遊技球が停留されることを期待するという遊技の面白味を発生させることができる。
(6)前記(0)に記載の遊技機、または、前記(1)から(5)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記姿勢変更手段は、前記複数個の分割傾斜面に連結される単一のリンク部材と、前記リンク部材を第1状態と第2状態とに変移可能に駆動する駆動手段と、を備え、前記駆動手段を動作させて前記リンク部材を第1状態に変移させることで、隣接する前記分割傾斜面間に前記段差を生じさせないようにし、前記駆動手段を動作させて前記リンク部材を第2状態に変移させることで、隣接する前記分割傾斜面間に前記段差を生じさせるようにするものである
ことを特徴とする遊技機。
前記(6)に記載の発明によれば、姿勢変更手段は、複数個の分割傾斜面に連結される単一のリンク部材と、このリンク部材を第1状態と第2状態とに変移可能に駆動する駆動手段と、を備え、駆動手段を動作させて単一のリンク部材を第1状態に変移させることで、隣接する分割傾斜面間に段差を生じさせないようにし、駆動手段を動作させて単一のリンク部材を第2状態に変移させることで、隣接する分割傾斜面間に段差を生じさせるようにするものである。したがって、駆動手段によって単一のリンク部材を第1状態と第2状態とに変移するだけで、隣接する分割傾斜面間に段差を生じさせたりそれを解除したりでき、分割傾斜面の個数分だけ駆動手段を設ける必要がなく、複数個の分割傾斜面を簡易な構成で好適に駆動することができる。
(7)前記(0)に記載の遊技機、または、前記(1)から(6)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記姿勢変更手段は、隣接する前記分割傾斜面間の前記段差の解除から再び段差が発生するまでの時間を、当該段差により停留されている最下流側の列の遊技球よりも後方に位置する次の列の遊技球が、最下流側の列の遊技球が放出されたことによって最下流側の位置に移動するまでの時間よりも短くしている
ことを特徴とする遊技機。
前記(7)に記載の発明によれば、姿勢変更手段は、隣接する分割傾斜面間の段差の解除から再び段差が発生するまでの時間を、当該段差により停留されている最下流側の列(所定列、例えば一列)の遊技球よりも後方に位置する次の列(所定列、例えば一列)の遊技球が、最下流側の列(所定列、例えば一列)の遊技球が放出されたことによって最下流側の位置に移動するまでの時間よりも短くしている。つまり、隣接する分割傾斜面間の段差の解除から再び段差が発生するまでが迅速に行われている。したがって、段差により停留されている各列の遊技球を、最下流側から順番にその列ごとに開放出力することができる。つまり、停留されている遊技球を複数回に分けて開放出力することができ、各回の開放出力について特定入球手段に遊技球が入球するのではないかとい期待感を持つことができ、より面白味のある遊技を実現することができる。
(8)前記(0)に記載の遊技機、または、前記(1)から(7)のいずれか一つに記載の遊技機において、
隣接する前記分割傾斜面間の前記段差で停留された遊技球の増加によって、当該段差が大きくなるように前記分割傾斜面の傾斜姿勢に遊びを持たせている
ことを特徴とする遊技機。
前記(8)に記載の発明によれば、隣接する分割傾斜面間の段差で停留された遊技球の増加によって、当該段差が大きくなるように分割傾斜面の傾斜姿勢に遊びを持たせている。したがって、隣接する分割傾斜面間の段差で停留された遊技球が増加することによって、当該段差が大きくなる。つまり、隣接する分割傾斜面のうちの上流側の分割傾斜面の下流側端部がさらに沈み込み、より多くの遊技球が停留されたことを遊技者は視認することができ、より多くの遊技球が停留される方が遊技者にとって有利であるため、遊技球の停留についての面白味を向上させることができる。
(9)前記(0)に記載の遊技機、または、前記(1)から(8)のいずれか一つに記載の遊技機において、
隣接する前記分割傾斜面間の前記段差の解除により開放出力された遊技球のうちで前記特定入球手段の入口に至った遊技球を当該入口で一時的に保持する保持手段
を備えていることを特徴とする遊技機。
前記(9)に記載の発明によれば、保持手段は、隣接する分割傾斜面間の段差の解除により開放出力された遊技球のうちで特定入球手段の入口に至った遊技球を当該入口で一時的に保持する。その遊技球の一時的な保持が解除されると、当該遊技球は特定入球手段に入球されることになる。したがって、特定入球手段の入口で一時的に保持することにより、特定入球手段の入口で遊技球が一時的に保持されている状態を遊技者は視認することができ、特定入球手段への遊技球の入球を見逃すことを低減できる。特定入球手段への遊技球の入球は遊技者にとって利益のある事象であるので、特定入球手段の入口で遊技球を一時的に保持して、特定入球手段への遊技球の入球確約を遊技者に提供することで、利益を受けることができるという喜びや達成感を味わうことができ、より遊技の興趣性を向上させることができる。
(10)前記(0)に記載の遊技機、または、前記(1)から(9)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機。
前記(10)に記載の遊技機によれば、遊技球の転動スペースを十分に確保できるとともに、遊技球の一時的な停留およびその解除ができるという興趣性に優れたパチンコ機を提供できる。なお、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技用媒体としての球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)するものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された入賞装置(可変入賞手段や特定入賞口など)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、外枠11に対して内枠12と前面枠セット14とを開放した状態を示す斜視図である。但し、図2では便宜上、下皿ユニット13が内枠12から取り外された状態を示している。
図1,2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に詳細に説明する。
外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。本実施の形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。
内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。例えば、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できない。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂により構成されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。
内枠12の構成を図3も用いて詳細に説明する。図3は、パチンコ機10から前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である(但し、図3では便宜上、遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している)。
内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、後述する樹脂ベース20と、この樹脂ベース20の後側に取り付けられる遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に貯留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して下方向外部に抜くことができる。遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出して配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、遊技球発射装置38によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。遊技球発射装置38は、遊技球発射ハンドル18と発射モータなどで構成されている。なお、上述した遊技球発射装置38が本発明における遊技球発射手段に相当する。音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片持ち支持されている。
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。特に、下皿15を形成する表面層と下皿奥方の前面パネル部分とを難燃性のABS樹脂にて成形している。このため、この部分は燃え難くなっている。
また、前面枠セット14は、図2に示すように、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。しかも前面枠セット14は内枠12の外側壁(リブ)12b(図3参照)内に嵌まり込むようにして取り付けられている。つまり、この前面枠セット14の側面の少なくとも一部が内枠12の外側壁(リブ)12b内に嵌まり込むようにして取り付けられているので、内枠12と前面枠セット14との隙間から異物(針状あるいは薄板状等のもの)を差し入れるなどの不正行為を防止できるようになっている。また、前面枠セット14は、内枠12と同様に、合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されているので、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が一体的に設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本実施の形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。
ここで、前面枠セット14は、少なくとも遊技球発射ハンドル18に干渉しないようにして本パチンコ機10の下方に拡張して設けられており、具体的な数値を示すと、パチンコ機10の下端から前面枠セット14の下端までの寸法(図1のH1)は、既存の一機種で例えば約201mmであるのに対し、本パチンコ機10では30mm程小さく、約172mmとなっている。また、これに伴いパチンコ機10の下端から上皿19までの寸法(図1のH2)も小さくなっており、既存の一機種では例えば約298mmであるのに対し、本パチンコ機10では261mmとなっている。かかる構成では、上皿19の位置を下げたことにより、球貸し装置のノズル部と上皿19との距離が大きくなって貸し出される遊技球のこぼれ落ちなどが懸念されるが、本実施例では、当該ノズル部からの遊技球を受ける部分(向かって左側部分)で上皿19の周囲壁の一部を高くした(図1の高壁部19a)。これにより、上皿19の位置を下げた構成にあっても貸し遊技球のこぼれ落ち等の不都合が解消されるようになっている。なお、高壁部19aの高さ寸法は、上皿19の下げ寸法に見合うものであればよく、本実施例では25mmとした。
図3に示すように、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。樹脂ベース20の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている(従来と同等サイズ)。
次に、図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、盤面下方の左側および右側の2箇所にそれぞれ配置された第1始動口31と、盤面下方の真中に配置された第2始動口33と、盤面中央の上側に配置された入賞装置40と、を備えている。さらに、遊技盤30は、第1始動口31や第2始動口33などに入らなかった遊技球を回収するアウト口36を備えている。これらの第1始動口31,第2始動口33,入賞装置40等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。なお、上述した第1始動口31,第2始動口33は本発明における入球手段に相当する。
図4に示すように、入賞装置40は、上部にて左右一対となるように配置された羽根41a,41bを有しており、この羽根41a,41bは羽根駆動装置49(図6参照)によって開閉動作が駆動される。この羽根41a,41bが開くと遊技球は入賞装置40内へ入賞することが可能となり、この羽根41a,41bが閉じると遊技球は入賞装置40内へ入賞することが不可能となる。なお、1回につき羽根41a,41bが開いた状態(開放状態)となる時間は1.8秒となっている。なお、この開放時間を1.8秒以外の任意の時間に変更してもよい。
また、本実施例のパチンコ機10は、図6に示すように、パチンコ機10全体を制御するメイン制御装置70を備えている。図6は、本実施例のパチンコ機10の電気的接続を例示するブロック図である。
図4に示した第1始動口31は、図6に示すように、遊技球が通過したことを検出可能な第1始動口通過センサ32を備えている。この第1始動口通過センサ32は、遊技球の通過を検出するとその検出信号をメイン制御装置70へ出力する。メイン制御装置70は、第1始動口通過センサ32からの検出信号を受けると、入賞装置40の羽根41a,41bを同時に1回開放させるという動作を行う。また、図4に示した第2始動口33は、図6に示すように、遊技球が通過したことを検出可能な第2始動口通過センサ34を備えている。この第2始動口通過センサ34は、遊技球の通過を検出するとその検出信号をメイン制御装置70へ出力する。メイン制御装置70は、第2始動口通過センサ34からの検出信号を受けると、入賞装置40の羽根41a,41bを同時に2回開放させるという動作を行う。
また、入賞装置40は、所定のキャラクタ形状に形成された部材であって所定の周期動作を行う駆動体42を備えている。この駆動体42は、遊技球が転動する転動面202(図11,図14参照)上に駆動自在に配設されたものであり、その駆動により、転動面202上を転動する遊技球の転動態様に影響を与えることがあるものである。転動面202の下流側には、Vゾーンと呼ばれる特定入賞部210と、この特定入賞部210を挟むようにしてその両側に配設された2個の普通入賞部212とが設けられている。通常の遊技状態、つまり、遊技者にとって有利な遊技状態(大当たり状態)以外の状態において、特定入賞部210(Vゾーン)に遊技球が入球(入賞)すると大当たり状態が発生することになるが、普通入賞部212に入球するとその入球に対しての賞球が与えられるだけで大当たり状態は発生しない。入賞装置40に入球した遊技球は、特定入賞部210または普通入賞部212のいずれかに入球するようになっている。前述の特定入賞部210(Vゾーン)には、V検出センサ43が配置されており(図6参照)、特定入賞部210(Vゾーン)に入賞された遊技球を通過検出する。V検出センサ43からの検出信号はメイン制御装置70に出力される。また、普通入賞部212に入球した遊技球は、検出センサ44で入球検出される。この検出センサ44からの検出信号はメイン制御装置70に出力される。
入賞装置40はデジタル表示器60を備えている。デジタル表示器60は、特別遊技のラウンド回数を表示したり、1回のラウンドにおいて入賞装置40内に入賞した遊技球のカウント数を表示したり、各種の遊技状態に関する情報や合図などを表示したりする機能を備えたものである。このパチンコ機10では、通常の遊技状態で遊技球がVゾーンを通過したときに遊技者にとって有利な遊技状態に移行して最大8ラウンドの特別遊技が行われる。
アウト口36は、入賞装置40や第1始動口31,第2始動口33などに入賞しなかった遊技球を遊技盤30の裏面から図示しない遊技球回収樋へと導くための入口である。
遊技盤30には、この他、発射された遊技球を円弧上に導くレールユニット50や、遊技盤30の左右の肩部に配置された風車37や、入賞装置40の左右に配置された風車37なども取り付けられている。また、遊技球をガイドしたり弾いたりしてその遊技性を高める複数の釘も遊技盤30に配置されている。
ここで、レールユニット50などについて説明する。また、遊技盤30には、遊技球発射装置38から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。なお、レールユニット50はフッ素樹脂を添加して成形されているので、図3に示す奥面50aについての遊技球の摩擦抵抗を少なくできる。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51,52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51及び外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返されるようになっている。外レール52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、つまり遊技球の摩擦抵抗を少なくするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。この実施例では、レールユニット50の少なくとも左側を遊技盤30に強固に締結するために、レールユニット50の左側はその右側よりも多いネジで遊技盤30に締結されているので、レールユニット50の左側についての遊技盤30への密着性を上げることができ、遊技球の球飛びを良くすることができる。レールユニット50の左側が遊技盤30に対してぐらついているとこのレールユニット50に出射された遊技球の勢いが当該ぐらつきにより吸収されてしまうからである。
さらに本実施の形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。
内レール51及び外レール52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙(例えば製造番号が記載されている)等のシール(図4のS1,S2)やプレートを貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。遊技盤30の右下隅部や左下隅部に、証紙等のシール(図4のS1,S2)を貼着することで、遊技盤30と証紙との一義性を持たせることができる。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール52の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール51の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール51及び外レール52によって囲まれる領域のうち、内外レール51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール52によってではなく内レール51によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール51によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール52によって特定される。
従って、本実施の形態では、遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
ここで、前記遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらに460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。すなわち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらには460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。すなわち、遊技領域の高さは、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
本実施の形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤30を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。尚、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。さらに好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。さらには、80%以上であってもよい。
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
また、遊技領域が左右方向に拡張されていることによって、風車37、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための誘導釘)、他の役物を種々配設することができ、入賞装置40の左右両側の遊技領域での遊技球の挙動を一層面白くすることができるようになっている。また、遊技領域が上下方向にも拡張されていることから、さらに風車37、複数の釘、他の役物を種々配設することができ、遊技領域での上下方向の遊技球の挙動をより一層面白くすることができるようになっている。
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース20において、窓孔21(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置38より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成下では、誘導レールの曲率を小さくせざるを得ないことから、打出球を安定化させるための工夫を要する。そこで本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くするとともに発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(すなわち発射レール61を立ち上げるようにし)、さらに発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保するようにしている。これにより、遊技球発射装置38から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合特に、発射レール61を、遊技球発射装置38の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成している。
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置38から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15に排出される。因みに、本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール先端部の隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール52に沿って流れ、外レール52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内されるようになる。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置38には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前面枠セット14側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側にそれぞれガイド部材65,66を設置した。これにより、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球が常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作が実現できる。また、遊技球発射装置38には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射されるが、打球槌に関して軽量化が望まれている。それ故、アルミニウム等の軽金属への材料変更や軸部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(軸部と反対側の端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることができ、槌先の打球強さの調整等がし易くなるという効果がある。
なお、図3中の符号67は上皿19に通ずる排出口であり、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される。排出口67には、略水平方向の回転軸を軸心として略水平状態と略垂直状態とに変位する開閉式のシャッタ68が取り付けられている。前面枠セット14を内枠12から開放した状態(図3の状態)では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が略水平状態から略垂直状態となり、排出口67から遊技球がこぼれ落ちないようにこの排出口67を閉鎖する。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられて略水平状態になり、排出口67の方へ排出された遊技球はもれなく球通路樋69を通って上皿19に排出されるようになる。従って、前飾り枠が省略され前面枠セット14に対して上皿19が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がパチンコ機10外にこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部に張られた証紙などのシール(図4のS1)は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71からシール等を貼り付けることも可能となっている。
また、図3に示すように、内枠12の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。
図3に示すように、内枠12の上側には、前面枠セット14が内枠12に対して開かれたことを検出する前面枠セット開検出スイッチ90が設けられている。前面枠セット14が開かれると、前面枠セット開検出スイッチ90からホール内(パチンコ店内)用コンピュータへ出力されるようになっている。また、前面枠セット14が閉じられると、図5に示す前面枠セット14の金属製の補強板132,131が図3に示す内枠12の一対の金具92に接触するようになっており、前面枠セット14のアースが確保されている。
ここで、前述した前面枠セット14について、図1,図5を参照しつつより詳細に説明する。図5は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。本実施の形態において、窓部101の上端(外レール52の最上部、遊技領域の上端)と、前面枠セット14の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は61mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域の上部領域が確保されやすくなるとともに、大型の入賞装置40も比較的上方に配置することができるようになっている。前面枠セット14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、さらに望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図5では右側に示されている)、すなわち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1及び図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール52の左端部はもちろん、内レール51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部フレーム部分と重複し覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール52の左端位置と外枠11の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール51の右端位置)と外枠11の右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂からなる小窓107が設けられている。この小窓107の所定箇所を平面状としているので、遊技盤30の右下隅部に貼り付けられた証紙などを、小窓107の当該平面状箇所から機械で好適に読み取ることができる。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
また、図1に示すように、前面枠セット14の左側の小窓107付近を前面側(図1の紙面手前側)に必要以上に突出しないようにしている。こうすることで、パチンコ機10の左側に設けられたカードサンドの球貸し装置から直接に上皿19に遊技球を貸し出す際に、当該球貸し装置のノーズ部(いわゆる象の鼻)の先端排出口を好適に上皿19の上方位置に位置させることができ、当該球貸し装置のノーズ部から貸し出される遊技球を上皿19で受けることができる。
前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、図5に示すように、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。このように補強板132,133の連結部に樹脂パーツ135を介在させているので、ノイズが補強板131〜134でループすることを防止できる。また、図5の右側の補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図3参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりが防止できる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となる。故に、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないようになっている。
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されるようになっている。
前述の通り本実施の形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前面枠セット14を閉じた状態にあっては、内外のレール52,53により構成された誘導レールの一部が前面枠セット14により覆い隠される構成となっている。それ故、当該誘導レールでは手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置38より発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らず戻ってくると、当該遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール52とガラス137との間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前面枠セット14に、誘導レールの手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。
レールカバー140は略円弧状をなす略平板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記誘導レールの形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、誘導レールの基端部から先端部近傍までの区間を覆うようにして前面枠セット14の裏側に取着されている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール52のそれにほぼ一致する。レールカバー140が取着された状態では、その表面側がガラス137に当接した状態となる。前面枠セット14が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が誘導レールのほぼ全域を覆うこととなる。これにより、誘導レールのほとんどの区間において遊技球のガラス137への衝突を防止できる。従って、ガラス137への接触による破損等の悪影響を抑制することができる。
また、レールカバー140の右端部(すなわち、レールカバー140を前面枠セット14に取着した図5の状態で右端となる部位)には、誘導レールがガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。これにより、遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール52とガラス137との間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
さらに、レールカバー140の裏側には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ図5の手前側に突出した突条142が形成されている。突条142は、前面枠セット14が閉じられた状態において、誘導レール内に入り込んだ状態で内レール52にほぼ一体的に重なり合うよう構成されている。従って、例えば前面枠セット14と内枠12との隙間から針金等を侵入させて不正行為を行おうとしても、誘導レールの内側にある遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良く、かかる構成によれば、より広い範囲で針金等を侵入させにくくなり、針金等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
また、前面枠セット14の図5の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14が開閉可能に装着されるようになる。
ここで、メイン制御装置70について図6を用いて説明する。メイン制御装置70は、図6に示すようにCPU72を中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPU72には電源を供給する電源回路73の他に、各種処理プログラムを記憶するROM74や一時的にデータを記憶するRAM76,時間計測を行うタイマ77,所定周波数の矩形波を出力するクロック回路78,入出力処理回路80がバス79によって接続されている。メイン制御装置70には、第1始動口通過センサ32,第2始動口通過センサ34からの検出信号や、V検出センサ43からの検出信号などが入出力処理回路80を介して入力される。また、メイン制御装置70からは、1対の羽根41a,41bの開閉を駆動する羽根駆動装置49への駆動信号や、デジタル表示器60の表示制御を司る表示制御装置45への制御信号や、賞球の払い出しを司る払出制御装置46への制御信号や、スピーカ48が接続された音声制御装置47への制御信号や、図示しない各種ランプへの点灯信号などが入出力処理回路80を介して出力されている。
次に、本実施例のパチンコ機10のさらなる特徴部分の構成について図7〜図15を用いて以下に説明する。図7は駆動体42が下降しているときの入賞装置40の正面図であり、図8は入賞装置40の右面図であり、図9は入賞装置40の平面図であり、図10は図7に示した入賞装置40を右上方から見下ろした状態での斜視図であり、図11は図7に示した入賞装置40の一部切欠き斜視図であり、図12は図7に示した入賞装置40の縦断面図であり、図13は駆動体42が上昇しているときの入賞装置40の正面図であり、図14は図13に示した入賞装置40の一部切欠き斜視図であり、図15は図13に示した入賞装置40の縦断面図である。
図7〜図15に示すように、入賞装置40は、第1始動口31,第2始動口33への遊技球Bの入球に基づいて開閉駆動する羽根41a,41bと、この羽根41a,41bが開状態のときに当該羽根41a,41bの開空間から入球した遊技球Bをステージ200に案内する案内通路220と、この案内通路220から案内供給された遊技球Bが上流側から下流側へと転動するステージ200と、異なる2方向に駆動自在でステージ200上に配設された駆動体42と、ステージ200の下流側端部の所定箇所に配設された遊技球Bが入球可能な特定入賞部210(Vゾーン)と、ステージ200の下流側端部で特定入賞部210(Vゾーン)を挟むようにして2箇所に配設された遊技球Bが入球可能な2個の普通入賞部212とを備えている。以下に、入賞装置40の各構成について説明する。
図7に示すように、羽根41a,41bは、その下端側に設けられた回動軸41cを軸心とし、その先細りとなった先端側が開くように回動する。つまり、羽根41a,41bは、閉じた状態では、図7に実線で示すような状態となり、開いた状態では、図7に破線で示すような状態となる。
案内通路220は、羽根41a,41bが開いて入球した遊技球Bを案内する、入賞装置40の奥へ向かう方向にやや傾斜する所定長さ(例えば6cm程度)の奥行き通路部221と、この奥行き通路部221の最奥部に形成された、遊技球Bが通過可能な垂直方向の通過孔222と、この通過孔222を通過した遊技球Bを左右の2方向のいずれかに案内可能で入賞装置40の中央から左右方向にやや傾斜する所定長さ(例えば5cm程度)の分岐する分岐通路部223(図19参照)と、この分岐通路部223の左右の出力部から垂下するそれぞれの垂下通路部224と、この垂下通路部224の下側でステージ200側に開いた開口部225とを備えている。つまり、羽根41a,41bが開いて入球した遊技球Bは、奥行き通路部221を通ることで入賞装置40の奥側へ進み、通過孔222を落下して分岐通路部223に入り、この分岐通路部223で入賞装置40の左右のいずれか一方の方向に進み、垂下通路部224を垂下してステージ200上に供給されることになる。すなわち、羽根41a,41bが開いて入球した遊技球Bは、図7に示す2つの経路Kでステージ200上に供給されることになる。
なお、入賞装置40の正面視で左右2箇所に設けられた開口部225は、ステージ200側に向けて開口されているので、遊技球Bはステージ200の横方向に開口部225から出力されることになる。また、後述するようにステージ200は正面視で奥側から手前側に下るような傾斜面となっているため、遊技球Bが傾斜面の上流側で横方向に供給されてから、当該傾斜面の傾斜によりその傾斜方向に流下するという遊技球の挙動を実現できる。つまり、遊技球Bが傾斜方向とは異なる方向にステージ200に供給されるので、ステージ200を流下する遊技球の挙動に面白味を持たせることができる。
なお、通過孔222には、遊技球Bの通過を検出する入賞個数検出用通過センサ226が設けられており、入賞装置40が大当たり状態、つまり、入賞装置40の羽根41a,41bの開閉が所定回数行われている状態において、入賞装置40への遊技球Bの入賞(入球)個数を検出できるようになっており、当該大当たり状態での遊技球Bの入賞個数が所定数に達するとそのラウンドを終了するようにしている。また、入賞装置40の羽根41a,41bの開閉が所定回数に達した場合にもそのラウンドを終了するようにしている。つまり、当該大当たり状態での1ラウンドは、入賞装置40の羽根41a,41bの開放回数、または、遊技球Bの入賞個数のうち、いずれかが所定数に達成するとそのラウンドが終了するようになっている。
ステージ200は、案内通路220から案内供給された遊技球Bが上流側から下流側へと転動するものである。ステージ200は、図11に示すように、案内通路220の開口部225が位置する上流側から特定入賞部210(Vゾーン)などが位置する下流側に傾斜した転動面202(傾斜面)を備えている。転動面202(傾斜面)は、その上流側から下流側までを2分割した2個の分割傾斜面202a,202bを備えている。このステージ200は、2個の分割傾斜面202a,202bのうちで一つの分割傾斜面202aの下流側の端部よりも、当該分割傾斜面202aの下流側に隣接する他方の分割傾斜面の上流側の端部を高くした、遊技球Bを停留させる段差230を形成するように、分割傾斜面202a,202bの傾斜姿勢を変更する姿勢変更機構部240を備えている。2個の分割傾斜面202a,202bは、その境界部分の形状を凹凸形状としており、かつ、それらを咬合させた状態としている。隣接する分割傾斜面202a,202bは、その凹凸形状とした境界部分の凹部203の大きさを遊技球Bの直径程度としている。2個の分割傾斜面202a,202b間は、前述したように当該2個の分割傾斜面202a,202bの姿勢変更自在とするため、隙間(例えば1mm程度の隙間)が存在しているが、2個の分割傾斜面202a,202b間で段差230が生じていないときは、当該2個の分割傾斜面202a,202b間を遊技球Bがそのまま通り過ぎていくことになる。
図7,図11に示すように、特定入賞部210(Vゾーン)は、ステージ200の下流側端部の所定箇所(例えば中央箇所)に配設されており、ステージ200を転動した遊技球Bが入球可能なものである。2個の普通入賞部212は、ステージ200の下流側端部で特定入賞部210(Vゾーン)を挟むようにして2箇所に配設されており、遊技球Bが入球可能なものである。
また、2個の分割傾斜面202a,202bのうちで下流側の分割傾斜面202b上には、その中央箇所で上流側から下流側にわたって、遊技球Bを特定入賞部210(Vゾーン)の方に案内するための案内溝204が形成されている。案内溝204は、特定入賞部210(Vゾーン)と同一軸線上に形成されている。案内溝204の上流側には、最下流側の分割傾斜面202bでの上流側端部の一つの凹部203が位置している。
駆動体42は、ステージ200上に配設され、異なる2方向(本実施例では水平方向および垂直方向)に駆動自在なものである。つまり、駆動体42は、転動面202を転動する遊技球Bと接触してその遊技球Bの転動態様に影響を及ぼすものであって、第1方向(例えば水平方向)とその方向とは異なる第2方向(例えば垂直方向)とに駆動可能に転動面202上に配設されたものであり、本実施例では人物が乗ったカヌーをかたどったものを採用している。駆動体42は、その一端側としての人物が配置されている箇所を基端部42aとし、その他端側を先端部42bとする棒状部材としてのカヌーを象ったカヌー部材を備え、基端部42a(カヌー部材の後端部)を軸心として他端部(カヌー部材の先端部42b)を、軸心に直交する水平面の所定範囲内で水平面回動往復自在であり、かつ、垂直面の所定範囲内で垂直面回動往復自在なものとしている。
入賞装置40は、駆動体42(カヌー部材)を水平方向に第1の周期で往復駆動させる第1駆動機構部250と、駆動体42(カヌー部材)を垂直方向に第1の周期とは異なる第2の周期で往復駆動させる第2駆動機構部260とを備えている。駆動体42は、第1駆動機構部250および第2駆動機構部260による駆動によって、転動面202上を転動する遊技球Bが特定入賞部210(Vゾーン)に入球され易い位置に存在することがある。
つまり、図11に示すように、入賞装置40の左側の垂下通路部224の開口部225から遊技球Bがステージ200に供給される場合には、駆動体42(カヌー部材)が、その基端部42aを軸心に他端部(カヌー部材の先端部42b)が右側に振られた状態であれば、ステージ200の下流側端部の特定入賞部210(Vゾーン)に入球することがあるが、駆動体42(カヌー部材)が、その基端部42aを軸心に他端部(カヌー部材の先端部42b)が中央側に位置する状態あるいは左側に振られた状態であれば、ステージ200の下流側端部の特定入賞部210(Vゾーン)に入球することは難しい。また、入賞装置40の右側の垂下通路部224の開口部225から遊技球Bがステージ200に供給される場合にも、同様のことが言える。
図6に示すように、メイン制御装置70は、第1駆動機構部250と第2駆動機構部260とを同時に駆動させるように制御する同時駆動制御部270を備えている。同時駆動制御部270は、遊技者にとって有利な遊技状態(大当たり状態)の場合に、駆動体42(カヌー部材)を所定位置(例えば中央位置)で駆動停止し、隣接する分割傾斜面202a,202b間に段差230を生じさせ、当該段差230により駆動体42の他端側(カヌー部材の先端側)を上昇させた状態とする。なお、同時駆動制御部270は、メイン制御装置70のCPU72の機能の一部に相当するものである。
以下に、第1駆動機構部250と第2駆動機構部260と姿勢変更機構部240について、図16〜25を用いて説明する。図16は入賞装置40の前方から見た分解斜視図であり、図17は入賞装置40の後方から見た分解斜視図であり、図18は入賞装置40の要部を前方から見た分解斜視図であり、図19は入賞装置40の要部を後方から見た分解斜視図であり、図20は第1駆動機構部250を前方から見た分解斜視図であり、図21は第1駆動機構部250を後方から見た分解斜視図であり、図22はステージ200の段差発生状態での姿勢変更機構部240の分解斜視図であり、図23はステージ200の段差非発生状態での姿勢変更機構部240の分解斜視図であり、図24はステージ200の段差発生状態での姿勢変更機構部240の側面図であり、図25はステージ200の段差非発生状態での姿勢変更機構部240の側面図である。
図16〜図19に示すように、入賞装置40は、大別すると、前面側部材280と中間枠体290とステージ200と駆動体42と背面側部材300とを備えている。
前面側部材280は、入賞装置40の前面側に位置する部材(枠体)であって、羽根41a,41bや奥行き通路部221の一部やV検出センサ43などを備えたものである。
中間枠体290は、前述した案内通路220の主要部を備えたものであり、案内通路220の通過孔222や、分岐通路部223と垂下通路部224の一部などを備えたものである。
ステージ200は、2個の分割傾斜面202a,202bと姿勢変更機構部240と保持機構部310とを備えている。保持機構部310は、隣接する分割傾斜面202a,202b間の段差230の解除により開放出力された遊技球Bのうちで特定入賞部210(Vゾーン)の入口に至った遊技球Bを当該入口で一時的に保持するものである。
図16,図17に示すように、保持機構部310は、駆動信号のオンオフにより可動片312を前後させるソレノイド311と、一端側に可動片312の先端側が取り付けられ、他端側に遊技球Bを載置するための舌片部314が取り付けられ、中央箇所を回転軸として軸支された棒状体313と、を備えている。保持機構部310は、ソレノイド311に駆動信号(例えばオフ信号)を入力すると可動片312が前方向に突出した状態となり、中央箇所を回転軸として軸支された棒状体313の一端側が前方向に押し出されるとともに他端側が後方向に引き戻される(要するに棒状体313が回動する)ことで、舌片部314が引き戻された状態となり、当該舌片部314が特定入賞部210(Vゾーン)の入口に存在しない状態となり、このときに遊技球Bが特定入賞部210(Vゾーン)の入口に入球されると、当該舌片部314で遊技球Bが保持されることなく入球されることになる。これに対して、保持機構部310は、ソレノイド311に駆動信号(例えばオン信号)を入力すると可動片312が後方向に引き戻された状態となり、中央箇所を回転軸として軸支された棒状体313の一端側が後方向に引き戻されるとともに他端側が前方向に突き出される(要するに棒状体313が回動する)ことで、舌片部314が押し出された状態となり、当該舌片部314が特定入賞部210(Vゾーン)の入口に存在する状態となり、このときに遊技球Bが特定入賞部210(Vゾーン)の入口に入球されると、当該舌片部314で遊技球Bが保持される。
背面側部材300は、駆動体42が取り付けられ、かつ、中間枠体290と組み合わされる第1裏面側部材320と、この第1裏面側部材320の背後に取り付けられる第2裏面側部材330と、この第2裏面側部材330の背後に取り付けられる第3裏面側部材340と、この第3裏面側部材340の背後に取り付けられる第4裏面側部材350と、を備えている。
第1駆動機構部250は、第1裏面側部材320と第2裏面側部材330と第3裏面側部材340とを備えている。第1駆動機構部250の構成を説明する前に、まず駆動体42の構成について詳細に説明することにする。
駆動体42(カヌー部材)は、その基端部42aに設けられた支持軸360(図20参照)に対して、その先端部42b(カヌー部材の先端部42b)が回動自在で、かつ、支持軸360の軸方向に上下動自在となっている。つまり、駆動体42(カヌー部材)の基端部42aには、支持軸360と、この支持軸360の軸周りに回動可能に取り付けられた第1連結部材361と、が設けられ、駆動体42(カヌー部材)の基端部42aが第1連結部材361に連結されている。第1連結部材361は、支持軸360から駆動体42(カヌー部材)の舳先に向かう方向(舳先方向)とは反対方向に突出する第1突出棒362を備えている。つまり、第1突出棒362の方向を変更すれば駆動体42の舳先方向が変更されるようになっている。さらに、この支持軸360の第1連結部材361よりも上方位置には、第2連結部材363が当該支持軸360に対して回動可能に取り付けられており、第2連結部材363には、オール(ボートの櫂)を手にした人物を象った飾り部材364が取り付けられている。第2連結部材363は、支持軸360から飾り部材364に向かう方向(前面方向)とは反対方向に突出する第2突出棒365を備えている。つまり、第2突出棒365の方向を変更すれば飾り部材364の向きが変更されるようになっている。
図18に示すように、第1裏面側部材320は、駆動体42の支持軸360をその両端で軸支する軸受け部321を上下2箇所に備えており、駆動体42の支持軸360を垂設状態で支持するようになっている。具体的には、上側の軸受け部321は支持軸360の上端が挿入される挿込孔(図示省略)となっており、下側の軸受け部321は支持軸360の下端側が入れられる切欠き部322となっており、駆動体42の支持軸360を上下の軸受け部321に取り付けた状態で下側の軸受け部321を固定部材323で固定することで、当該支持軸360が外れないようになっている。また、図19に示すように、第1裏面側部材320には、第1突出棒362が突出可能で所定範囲の回動が可能なスペースの第1貫通部324と、第2突出棒365が突出可能で所定範囲の回動が可能なスペースの第2貫通部325とが設けられている。
図18に示すように、第2裏面側部材330は、その第1裏面側部材320と対向する側で第1突出棒362および第2突出棒365に対応する箇所に、両端に挿入孔331が形成され略中心箇所を回動軸として軸支された可動棒332を備えている。可動棒332の両端の挿入孔331には、第1突出棒362および第2突出棒365がそれぞれ挿入されるようになっている。可動棒332の裏面側には、第2裏面側部材330から突出する突出ピン333(図19参照)が設けられており、第2裏面側部材330の突出ピン333に対応する箇所には、略円弧状の溝孔部(図示省略)が形成されており、可動棒332の突出ピン333が第2裏面側部材330の略円弧状の溝孔部(図示省略)から突出した状態となっている。図19に示すように、第2裏面側部材330の裏面側には、可動棒332の突出ピン333を案内するための案内溝部334が形成された、第2裏面側部材330の裏面側に取り付けられる上下可動板335が備えられている。上下可動板335の案内溝部334は、例えば、高さ33mm程度とし底辺3mm程度とする三角形の斜辺を溝部としたものであってその溝部が段々と変化するような形状となっている。つまり、上下可動板335の案内溝部334は、上部から6mm程度垂下する第1直下案内溝部と、この第1直下案内溝部に連通されやや右下方向(僅かに斜め方向)に6mm程度進む第1傾斜案内溝部と、この第1傾斜案内溝部に連通され6mm程度垂下する第2直下案内溝部と、この第2直下案内溝部に連通されやや右下方向(僅かに斜め方向)に6mm程度進む第2傾斜案内溝部と、この第2傾斜案内溝部に連通され6mm程度垂下する第3直下案内溝部とからなるものである。さらに、上下可動板335の第3裏面側部材340と対向する側には、横方向に形成された横方向案内溝部336が形成されている。
第3裏面側部材340は、第1アクチュエータ341と、この第1アクチュエータ341の回転軸に取り付けられた第1歯車342と、この第1歯車342に咬合された第2歯車343とを備えている。第2歯車343は、その第2裏面側部材330に対向する側には円板部344を有しており、この円板部344に上下可動板335の横方向案内溝部336に挿入される突起ピン345が形成されている。また、第2歯車343の回転軸には、当該第2歯車343の回転に伴って回転する半円板部346を備えている。駆動体42を水平方向に第1の周期で往復移動させる場合には、第1アクチュエータ341の回転軸を回転させることで、第1アクチュエータ341の回転軸の回転運動が第1歯車342を介して第2歯車343に伝達されて回転することになり、第2歯車343の突起ピン345が円形軌道に回転運動することになる。第2歯車343の突起ピン345の円形軌道の回転運動は、上下可動板335の上下方向の往復移動に変換され、上下可動板335の上下方向の往復移動は、可動棒332の回動軸を軸心に当該可動棒332の上部が円弧方向に往復移動するとともに当該可動棒332の下部が円弧方向に往復移動する。つまり、可動棒332の上部が円弧経路の左側に位置するときには、可動棒332の下部が円弧経路の右側に位置することになる。
可動棒332の上部の円弧方向の往復移動は、第2突出棒365に水平方向(横方向)の往復移動として伝達される。それは、可動棒332の挿入孔331が第2突出棒365よりも大きくしているので、第2突出棒365を円弧に往復移動させる際の上下方向の移動成分が伝達されず反映されないようになっており、オール(ボートの櫂)を手にした人物を象った飾り部材364が水平方向(横方向)に往復移動するようになっている。また、可動棒332の下部の円弧方向の往復移動は、第1突出棒362に水平方向(横方向)の往復移動として伝達される。それは、可動棒332の挿入孔331が第1突出棒362よりも大きくしているので、第1突出棒362を円弧に往復移動させる際の上下方向の移動成分が伝達されず反映されないようになっており、駆動体42(カヌー部材)が水平方向(横方向)に往復移動するようになっている。つまり、駆動体42(カヌー部材)および飾り部材364が水平方向(横方向)に第1の周期で往復移動するようになっている。この第1の周期は、第3裏面側部材340の第1アクチュエータ341の回転軸の回転周期に依存している。また、上下可動板335の案内溝部334を前述の形状にすることで、駆動体42(カヌー部材)および飾り部材364は、一定速度で水平方向に往復移動するのではなく、最左位置、中央位置、最右位置に比較的長く存在し、それらの最左位置、中央位置、最右位置の間の位置には比較的短く存在する、つまり、最左位置と中央位置との間の移動速度と、中央位置と最右位置との間の移動速度とを速くするようにしている。
なお、図20に示すように、可動棒332の位置関係からわかるように、駆動体42(カヌー部材)が水平方向(横方向)の左側に位置しているときは、それとは逆に、オール(ボートの櫂)を手にした人物を象った飾り部材364が水平方向(横方向)の右側に位置するようになっている。それとは逆に、図21に示すように、駆動体42(カヌー部材)が水平方向(横方向)の右側に位置しているときは、オール(ボートの櫂)を手にした人物を象った飾り部材364が水平方向(横方向)の左側に位置するようになっている。つまり、駆動体42(カヌー部材)と、オール(ボートの櫂)を手にした人物を象った飾り部材364とは逆の動きをするようになっている。
なお、第3裏面側部材340は、その所定箇所に、半円板部346の回転位置を検出する光透過型の光検出器347(図17参照)を備えている。半円板部346が光透過型の光検出器347に位置するときにはこの半円板部346により光検出器347での光が遮光され、それに応じた検出信号が出力されるし、半円板部346が光透過型の光検出器347に位置しないときにはこの半円板部346により光検出器347での光が遮光されることがなく、それに応じた検出信号が出力される。この光検出器347での検出信号に基づいて、駆動体42および飾り部材364が正面を向いた状態で停止させることができる。この場合には、第3裏面側部材340の第1アクチュエータ341の回転により第2歯車343の突起ピン345が当該第2歯車343の縦方向の中心に位置し、上下可動板335が上下方向の中心位置に位置し、可動棒332が垂直姿勢となり、駆動体42および飾り部材364が正面を向いた状態で停止することなる。
続いて、姿勢変更機構部240について説明する。図22,図23に示すように、ステージ200は、2個の分割傾斜面202a,202bと姿勢変更機構部240と保持機構部310(図16,図17参照)とを備えている。なお、保持機構部310については、図16,図17を用いて説明したため、ここでは2個の分割傾斜面202a,202bと姿勢変更機構部240とについて詳細に説明する。したがって、図22,図23では、保持機構部310の図示を省略したステージ200、つまり2個の分割傾斜面202a,202bと姿勢変更機構部240と取付枠体241を図示している。
取付枠体241は、2個の分割傾斜面202a,202bと姿勢変更機構部240と保持機構部310(図示省略)とが取り付けられるものであり、正面側,裏面側および上部側が開放された、正面視で略Uの字形状の枠体としている。つまり、両側壁241aと底部241bとを備えた枠体としている。
図22,図23に示すように、2個の分割傾斜面202a,202bは、上流側の分割傾斜面202aと下流側の分割傾斜面202bとして、その傾斜方向に並べられている。下流側の分割傾斜面202bは、その下流側に近い箇所で側面の2箇所に貫通孔が形成されており、さらに、正面視で左側面にはその側面方向に延出した延出部242を備え、この延出部242には当該延出部242の先端側から起端側に斜め方向に切り欠かれた切り欠き部243を備えている。取付枠体241の両側壁241aでの正面側に近い箇所には、貫通孔がそれぞれ形成されており、取付枠体241の両側壁241aでの正面側に近い貫通孔および下流側の分割傾斜面202bの下流側に近い2箇所の貫通孔に、支持ピン244を挿入し、この支持ピン244の両端を固定部材245で固定する。こうすることで、下流側の分割傾斜面202bは、その横方向(幅方向)に挿入された支持ピン244で取付枠体241に軸支された状態となる。
次に、上流側の分割傾斜面202aは、その流下方向の略中央箇所で側面の2箇所に貫通孔が形成されており、さらに、正面視で左側面にはその側面方向に延出した延出部242を備え、この延出部242には当該延出部242の先端側から起端側に斜め方向に切り欠かれた切り欠き部243を備えている。取付枠体241の両側壁241aでの正面側から離れた箇所には、貫通孔がそれぞれ形成されており、取付枠体241の両側壁241aでの正面側から離れた貫通孔および上流側の分割傾斜面202aの側面の2箇所の貫通孔に、支持ピン244を挿入し、この支持ピン244の両端を固定部材245で固定する。こうすることで、上流側の分割傾斜面202aは、その横方向(幅方向)に挿入された支持ピン244で取付枠体241に軸支された状態となる。
姿勢変更機構部240は、上流側の分割傾斜面202aの下流側の端部よりも下流側の分割傾斜面202bの上流側の端部を高くした、遊技球Bを停留させる段差230を形成するように、それらの分割傾斜面202a,202bの傾斜姿勢を変更するものである。具体的には、姿勢変更機構部240は、2個の分割傾斜面202a,202bに連結される単一のリンク部材246と、このリンク部材246を第1状態と第2状態とに変移可能に駆動する駆動装置247と、を備え、駆動装置247を動作させてリンク部材246を第1状態に変移させることで、隣接する分割傾斜面202a,202b間に段差230を生じさせないようにし、駆動装置247を動作させてリンク部材246を第2状態に変移させることで、隣接する分割傾斜面202a,202b間に段差230を生じさせるようにするものである。
駆動装置247は、第2アクチュエータ248と、この第2アクチュエータ248の回動軸に取り付けられた接続部249とを備えている。この接続部249は、第2アクチュエータ248の回動軸を軸心として回転する半円形状の回動位置検出板249aを有するものであり、当該回動軸の軸心方向に突出するとともに当該軸心とは偏心した円筒部249bを備えている。
リンク部材246は、図24,図25に示すように、その基端部が、第2アクチュエータ248が取り付けられている被取付部材370に軸支され、その略中央箇所に開口部246aが形成され、その先端側およびそれよりも中央寄りの2箇所に突起部246b,246cが形成されたものである。
リンク部材246の2箇所の突起部246b,246cは、各分割傾斜面202a,202bの切り欠き部243にそれぞれ嵌入されており、第2アクチュエータ248の回動軸に取り付けられた接続部249の円筒部249bは、リンク部材246の開口部246aに挿入されている。
上流側の分割傾斜面202aと下流側の分割傾斜面202bとの間に段差230を周期的に発生させる場合には、第2アクチュエータ248の回動軸を回転させることで、第2アクチュエータ248の回動軸の回転運動が接続部249の円筒部249bを介してリンク部材246に伝達されることになり、第2アクチュエータ248の回動軸の回転運動が、当該回動軸に対して偏心された位置に設けられた円筒部249bおよびリンク部材246の開口部246aにより、リンク部材246を基端側を軸としてその先端側が上下方向に揺動する揺動往復運動に変換され、リンク部材246の先端側の上下方向への揺動往復運動が各分割傾斜面202a,202bの切り欠き部243を介して伝達され、下流側の分割傾斜面202bの上流側端部が上昇するとともに上流側の分割傾斜面202aの下流側端部が下降して分割傾斜面202a,202b間に段差230が生じた状態となったり、それとは逆に、下流側の分割傾斜面202bの上流側端部が下降するとともに上流側の分割傾斜面202aの下流側端部が上昇して分割傾斜面202a,202b間に段差230が生じない状態となったりすることが、第1の周期とは異なる第2の周期で繰り返し行われる。
図24に示すように、第2アクチュエータ248の回動軸が回転して、この回動軸に設けられた接続部249の偏心位置にある円筒部249bが下側に位置すると、リンク部材246の先端側が上昇した位置となり、リンク部材246の2箇所の突起部246b,246cが分割傾斜面202a,202bの切り欠き部243にそれぞれ奥まで入り込み、この突起部246b,246cが切り欠き部243の奥まで入り込むことでそれぞれの分割傾斜面202a,202bがさらに傾斜した姿勢となり、隣接する分割傾斜面202a,202b間で段差230が生じた状態となる。
それとは逆に、図25に示すように、第2アクチュエータ248の回動軸が回転して、この回動軸に設けられた接続部249の偏心位置にある円筒部249bが上側に位置すると、リンク部材246の先端側が下降した位置となり、リンク部材246の2箇所の突起部246b,246cが分割傾斜面202a,202bの切り欠き部243の入口側に戻った状態となり、この突起部246b,246cが切り欠き部243の入口側に戻ることでそれぞれの分割傾斜面202a,202bの傾斜姿勢が弱まり、隣接する分割傾斜面202a,202b間で段差230が生じない状態となる。本明細書で言う「段差」とは、隣接する分割傾斜面202a,202b間で遊技球Bを停留させるためのものを意味するので、図24に示す隣接する分割傾斜面202a,202b間での段差230が該当するが、図25に示すような遊技球Bの停留を生じさせない隣接する分割傾斜面202a,202b間での段差、つまり、遊技球Bが停留せずに流下可能となっているような段差は該当しない。
なお、図24,図25に示すように、被取付部材370は、その所定箇所に、半円形状の回動位置検出板249aの回転位置を検出する光透過型の光検出器371を備えている。回動位置検出板249aが光透過型の光検出器371に位置するときにはこの回動位置検出板249aにより光検出器371での光が遮光され、それに応じた検出信号が出力されるし、回動位置検出板249aが光透過型の光検出器371に位置しないときにはこの回動位置検出板249aにより光検出器371での光が遮光されることがなく、それに応じた検出信号が出力される。この光検出器371での検出信号に基づいて、図24に示すような隣接する分割傾斜面202a,202b間に段差230を生じさせた状態でこれらの分割傾斜面202a,202bを停止させた状態を維持したり、図25に示すような隣接する分割傾斜面202a,202b間に段差230を生じさせない状態でこれらの分割傾斜面202a,202bを停止させた状態を維持したりすることができる。
姿勢変更機構部240は、隣接する分割傾斜面202a,202b間の段差230によって停留されている遊技球Bの排出を目的とする、隣接する分割傾斜面202a,202b間の段差230の解除から再び段差230が発生するまでの時間を、当該段差230により停留されている最下流側の一列の遊技球Bよりも後方に位置する次の一列の遊技球Bが、最下流側の一列の遊技球Bが放出されたことによって最下流側の位置に移動するまでの時間よりも短くしている。
図24に示すように、隣接する分割傾斜面202a,202b間の段差230で停留された遊技球Bの増加によって、当該段差230が大きくなるように分割傾斜面202a,202bの傾斜姿勢に遊びを持たせている。具体的には、上流側の分割傾斜面202aの下流側に停留される遊技球Bが増加すると、その重みでさらに上流側の分割傾斜面202aが傾斜するようにしている。
続いて、第2駆動機構部260について説明する。図22〜図25に示すように、隣接する分割傾斜面202a,202bのうちで上流側の分割傾斜面202aでの所定箇所(最上流側の箇所)に突起部380を設け、駆動体42は、その下面側に上流側の分割傾斜面202aの突起部380が位置するように転動面202上に配設されている。第2駆動機構部260は、姿勢変更機構部240によって、上流側の分割傾斜面202aの傾斜姿勢を変更することでこの上流側の分割傾斜面202aの突起部380を昇降させ、突起部380の昇降動作が駆動体42の下面に伝動されることで当該駆動体42を昇降させるものとしている。
なお、上述した特定入賞部210(Vゾーン)は本発明における特定入球手段に相当し、上述した駆動体42は本発明における作用部材に相当し、上述した第1駆動機構部250は本発明における第1駆動手段に相当し、上述した第2駆動機構部260は本発明における第2駆動手段に相当し、上述した同時駆動制御部270は本発明における同時駆動制御手段に相当し、上述した姿勢変更機構部240は本発明における姿勢変更手段に相当し、上述した駆動装置247は本発明における駆動手段に相当し、上述した保持機構部310は本発明における保持手段に相当する。
次に、こうして構成された入賞装置40の駆動体42および飾り部材364の水平方向の往復移動とともに駆動体42が上下方向にも往復移動し、ステージ200中に段差230を周期的に発生させる動作について説明する。
入賞装置40の駆動体42および飾り部材364は、前述したように第1駆動機構部250により、水平方向に第1の周期で往復移動するとともに、駆動体42および飾り部材364の移動方向が常時異なるようになっている。
姿勢変更機構部240により、入賞装置40の上流側の分割傾斜面202aは、その上流側端部から下流側端部までの中央箇所を軸としてその上流側端部およぎ下流側端部が上下動されるように第2の周期で上下往復移動(揺動)するとともに、入賞装置40の下流側の分割傾斜面202bは、その下流側の基端部を軸としてその上流側の端部が上下動されるように第2の周期で上下往復移動する。
さらに、上流側の分割傾斜面202aが上下往復移動(揺動)することで、この上流側の分割傾斜面202aの突起部380も第2の周期で上下動することになり、この第2の周期で上下動する突起部380が駆動体42の下面に伝動されることで当該駆動体42が上下方向に第2の周期で昇降する。
つまり、駆動体42は、水平方向に第1の周期で往復移動するとともに、上下方向に第1の周期とは異なる第2の周期で往復移動する。
なお、中間枠体290は、図18,図19に示すように、その開口部225のやや下側に、正面視で左右2箇所に前後方向(奥行き方向)に延びた案内溝291が形成されている。ステージ200は、ユニット化されたものとなっており、図22,図23に示すように、取付枠体241の両側壁241aの上部に、中間枠体290の案内溝291に嵌入可能な鍔部241cを備えている。中間枠体290の案内溝291にステージ200の鍔部241cを嵌入させるようにすることでステージ200を中間枠体290に取り付けることができ、逆に、中間枠体290の案内溝291からステージ200の鍔部241cを引き戻すようにすることでステージ200を中間枠体290から取り外すことができる。つまり、ステージ200を中間枠体290に容易に着脱することができる。
次に、パチンコ機10の上述した入賞装置40の動作について、通常の遊技状態と、特別遊技状態(大当たり状態)とに分けて説明する。
(通常の遊技状態)
通常の遊技状態とは、特別遊技状態(大当たり状態)となっていない遊技状態を意味する。通常の遊技状態では、入賞装置40の駆動体42および飾り部材364は水平方向に第1の周期で往復移動するとともに、隣接する分割傾斜面202a,202b間に段差230を第2の周期で生じさせるように上下動し、さらに、駆動体42が垂直方向に第2の周期で往復移動するようになっている。つまり、メイン制御装置70、より具体的には同時駆動制御部270は、第1駆動機構部250と姿勢変更機構部240とを同時に動作させるように制御しているので、第1駆動機構部250と姿勢変更機構部240とが同時に動作するようになっており、前述した駆動体42の第1の周期での水平方向の往復移動および第2の周期での垂直方向の往復移動と、隣接する分割傾斜面202a,202b間の第2の周期での段差230の発生とを実現している。
(特別遊技状態)
特別遊技状態に移行すると、つまり、入賞装置40の特定入賞部210(Vゾーン)に遊技球Bが入球すると、メイン制御装置70は、第1駆動機構部250と姿勢変更機構部240とを制御することで、駆動体42を正面位置に停止させるとともに、隣接する分割傾斜面202a,202b間に段差230を発生させる。駆動体42を正面位置に停止させることは、前述したように、第3裏面側部材340の光透過型の光検出器347で半円板部346の回転位置を検出することに基づいて、第1アクチュエータ341の回転を停止することで実現している。また、隣接する分割傾斜面202a,202b間に段差230を発生させることは、前述したように、被取付部材370の光透過型の光検出器371で回動位置検出板249aの回転位置を検出することに基づいて、第2アクチュエータ248の回転を停止することで実現している。
なお、正面位置に停止させた状態での駆動体42は、前述した水平面内で回動方向に微動可能な遊びを持たせており、遊技球Bの衝突(接触)によってその向きが変更されるようになっており、駆動体42に衝突等した遊技球Bの跳ね返りが少なくなっている。例えば、正面位置で停止した状態の駆動体42の左側から遊技球Bが衝突(接触)などすると、駆動体42の舳先が右側にその衝突力に応じた程度に振られた状態(少し振られた状態)となり、駆動体42に衝突等した遊技球Bの跳ね返りが少なく、特定入賞部210(Vゾーン)に向かい易い位置から大幅に遠ざかるようなことがない。駆動体42の舳先が右側に振られた状態となると、入賞装置40の正面視で左側の開口部225からステージ200に供給される遊技球Bは、ステージ200の中央部分に停留し易くなり、特定入賞部210(Vゾーン)に入球され易くなる。通常、遊技者は、入賞装置40の左側または右側のうちの一方に遊技球Bが供給されるような打ち方をすることが多い。つまり、入賞装置40の左側または右側のうちの一方の開口部225からステージ200に遊技球Bが供給されることが多いと言え、一方の開口部225からステージ200に遊技球Bを供給するようにすることで、より有利な状態(つまり、駆動体42の舳先が振られた状態)を作ることができる。
さらに、メイン制御装置70は、羽根駆動装置49を駆動して羽根41a,41bを18回開閉させるが、その間に、入賞装置40内に所定数(ここでは10個)の遊技球Bが入賞するか、Vゾーンを遊技球Bが通過してV検出センサ43に検出されたときには、開閉動作が18回(18ラウンド)に満たない場合であっても羽根駆動装置49に指令を出力して羽根41a,41bを閉鎖状態とする。また、この間に遊技球BがVゾーンに入ってV検出センサ43に検出されたときには、メイン制御装置70は特別遊技状態を継続させる。この継続される回数(ラウンド数)は、例えば、最大8回(8ラウンド)まで継続される。なお、特別遊技状態が限度回数まで行われた後か、特別遊技状態が継続されなかったときには、通常の遊技状態に戻る。また、入賞装置40内に10個の遊技球Bが入賞したか否かは入賞個数検出用通過センサ226からの検出信号が入力される毎にカウントアップしていきそのカウント値が10個になったか否かによって判定する。
各ラウンドの終了時には、隣接する分割傾斜面202a,202bの段差230が解除され、この段差230に停留されていた遊技球Bがステージ200から特定入賞部210(Vゾーン)や普通入賞部212に向けて排出されることになる。つまり、姿勢変更機構部240は、隣接する分割傾斜面202a,202b間の段差230によって停留されている遊技球Bの排出を目的とする、隣接する分割傾斜面202a,202b間の段差230の解除から再び段差230が発生するまでの時間を、当該段差230により停留されている最下流側の一列の遊技球Bよりも後方に位置する次の一列の遊技球Bが、最下流側の一列の遊技球Bが放出されたことによって最下流側の位置に移動するまでの時間よりも短くしている。このため、段差230に複数列の遊技球Bが停留されている場合には複数回にわたって遊技球Bが排出されることになり、特定入賞部210(Vゾーン)への遊技球Bの入球に期待を持つことができる。またこのとき、保持機構部310の舌片部314が押し出された状態となり、当該舌片部314が特定入賞部210(Vゾーン)の入口に存在する状態となり、このときに遊技球Bが特定入賞部210(Vゾーン)の入口に入球されると、当該舌片部314で遊技球Bが保持される。したがって、特定入賞部210(Vゾーン)への遊技球Bの入球が確約されたことを遊技者にわかり易く知らせる(見せる)ことができる。
上述したように本実施例の遊技機によれば、入賞装置40は、入球してきた遊技球Bが転動する転動面202と、この転動面202を転動した遊技球Bが入球可能で、遊技球Bの入球により遊技者にとって有利な遊技状態の発生の契機となる特定入賞部210(Vゾーン)と、転動面202を転動する遊技球Bと接触してその遊技球Bの転動態様に影響を及ぼすものであって、第1方向とその方向とは異なる第2方向とに駆動可能に転動面202上に配設された駆動体42と、この駆動体42を水平方向に第1の周期で往復駆動第1駆動機構部250と、駆動体42を水平方向とは異なる垂直方向に第1の周期とは異なる第2の周期で往復駆動させる第2駆動機構部260と、を備え、第1駆動機構部250と第2駆動機構部260とを同時に駆動させるように制御する同時駆動制御部270を備えているので、駆動体42を水平方向に第1の周期で往復駆動させつつ、垂直方向に第1の周期とは異なる第2の周期で往復駆動させることができる。すなわち、駆動体42を、水平方向の往復駆動と垂直方向の往復駆動とを合成させた駆動とすることができ、しかも第1の周期と第2の周期とを異ならせているので、水平方向の同一位置で毎回垂直方向の動きが駆動体42に発生するのではなく、水平方向の種々の位置で垂直方向の動きがランダムに駆動体42に発生するという面白味のある動きで駆動体42を動作させることができる。つまり、駆動体42は第1の周期で第1方向に往復駆動しつつ第2の周期で垂直方向にも往復駆動するので、駆動体42の水平方向および垂直方向の往復駆動がそれぞれ所定の周期で行われていることを遊技者は見ることができ、当該駆動体42の動作態様について遊技者に不信感を与えることはないし、しかも第1の周期での水平方向の往復駆動中に第2の周期での垂直方向の往復駆動が発生するという駆動体42の動作態様となっていることから、駆動体42と転動面202を転動する遊技球Bとの関係(駆動体42と転動面202を転動する遊技球Bとが接触したりしなかったりするという事象)に意外性を持たせることができ、転動面202を転動する遊技球Bの挙動に意外性を持たせることができる。その結果、興趣性に優れた遊技機を提供することができる。
具体的には、駆動体42は、その一端側を基端部42aとし、その他端側を先端部42bとする棒状部材であって、基端部42aを軸心として先端部42bを軸心に直交する水平面の所定範囲内で水平面回動往復自在であり、かつ、先端部42bを軸心と平行な垂直面の所定範囲内で垂直面回動往復自在なものとしているので、駆動体42を、水平面内の回動往復駆動と垂直面内の回動往復駆動とを合成させた往復駆動とすることができ、しかも第1の周期と第2の周期とを異ならせているので、同一の方位角位置で毎回垂直面回動往復の動きが駆動体42に発生するのではなく、種々の方位角位置で垂直面回動往復の動きがランダムに駆動体42に発生するという面白味のある動きで駆動体42を動作させることができる。つまり、駆動体42は第1の周期で水平面回動往復しつつ第2の周期で垂直面回動往復するので、駆動体42の水平方向および垂直方向の回動往復駆動がそれぞれ所定の周期で行われていることを遊技者は見ることができ、当該駆動体42の動作態様について遊技者に不信感を与えることはないし、しかも第1の周期での水平面回動往復駆動中に第2の周期での垂直面回動往復駆動が発生するという駆動体42の動作態様となっていることから、駆動体42と転動面202を転動する遊技球Bとの関係(駆動体42と転動面202を転動する遊技球Bとが衝突したりしなかったりするという事象)に意外性を持たせることができ、転動面202を転動する遊技球Bの挙動に意外性を持たせることができる。その結果、興趣性に優れた遊技機を提供することができる。
また、転動面202(傾斜面)は、その上流側から下流側までを2分割した2個の分割傾斜面202a,202bを備え、特定入賞部210(Vゾーン)は、転動面202の下流側端部の所定箇所に配設されており、2個の分割傾斜面202a,202bのうちで上流側の分割傾斜面202aの下流側の端部よりも、その分割傾斜面202aの下流側に隣接する他方の分割傾斜面202bの上流側の端部を高くした、遊技球Bを停留させる段差230を形成するように、分割傾斜面202a,202bの傾斜姿勢を変更する姿勢変更機構部240を備えているので、遊技球Bを停留させる段差230を転動面202に生じさせない状態(転動面202が非段差状態となっている場合)、つまり、上流側の分割傾斜面202aの下流側の端部よりも、下流側の分割傾斜面202bの上流側の端部を高くした段差230を生じさせない状態の場合には、遊技球Bを停留させることなく上流側から下流側に流下させることができる。また、遊技球Bを停留させる段差230を転動面202に生じさせた状態(転動面202が段差状態となっている場合)、つまり、上流側の分割傾斜面202aの下流側の端部よりも、下流側の分割傾斜面202bの上流側の端部を高くした段差230を生じさせた状態の場合には、当該段差230により遊技球Bを停留させることができる。つまり、転動面202が非段差状態となっているときには、転動面202全体を転動スペースとして利用することができるので、遊技球Bの転動スペースを十分に確保できる。また、転動面202が段差状態となっているときには、転動面202のその段差230により、遊技球Bの停留させることができ、転動面202を段差状態から非段差状態に戻すことで遊技球Bの停留を解除できる。その結果、遊技球Bの転動スペースを十分に確保できるとともに、遊技球Bの一時的な停留およびその解除ができるという興趣性に優れた遊技機を提供することができる。
また、異なる周期で水平方向および垂直方向に往復駆動するという駆動体42の動作により、傾斜面をその上流側から下流側に流下する遊技球Bの転動方向に影響を及ぼしたりそうしなかったりすることになり、駆動体42と傾斜面を流下する遊技球Bとの関係(駆動体42と傾斜面を流下する遊技球Bとが衝突したりしなかったりするという事象)に意外性を持たせることができ、傾斜面を流下する遊技球Bの挙動に意外性を持たせることができる。その結果、興趣性に優れた遊技機を提供することができる。以上のことから、前述した遊技球Bを転動面202上で停留させるという隣接する分割傾斜面202a,202b間の段差230と、異なる周期で水平方向および垂直方向に往復駆動するという駆動体42と、を備えた入賞装置40を実現でき、入賞装置40内での遊技球Bの挙動をさらに意外性のあるものにすることができる。
また、隣接する分割傾斜面202a,202bのうちで上流側の分割傾斜面202aでの所定箇所に突起部380を設け、駆動体42は、その下面側に突起部380が位置するように転動面202上に配設されており、第2駆動機構部260は、姿勢変更機構部240によって、隣接する分割傾斜面202a,202bのうちで上流側の分割傾斜面202aの傾斜姿勢を変更することで突起部380を昇降させ、突起部380の昇降動作が駆動体42の下面に伝動されることで当該駆動体42を昇降させるものとしているので、隣接する分割傾斜面202a,202bによる段差230の発生とその解除との動作に連動して、駆動体42を昇降動作させることができ、より面白味のある遊技球Bの挙動を実現することができる。
また、隣接する分割傾斜面202a,202bは、その境界部分の形状を凹凸形状とし、かつ、それらを咬合させているので、遊技球Bを停留させる段差230を転動面202に生じさせない状態の場合(転動面202が非段差状態となっている場合)には、隣接する分割傾斜面202a,202bの境界部分で遊技球Bを停留させることなくそのまま通過させていくことができる。また、遊技球Bを停留させる段差230を転動面202に生じさせた状態の場合(転動面202が段差状態となっている場合)には、隣接する分割傾斜面202a,202bの境界部分に、遊技球Bを停留させる段差230が形成されており、当該段差230により遊技球Bを停留させることができる。つまり、隣接する分割傾斜面202a,202b202a,202bのうちで下流側の分割傾斜面202bの上流側の端部たる凹凸形状端部における凹部203に遊技球Bを停留させることができ、遊技球Bの停留位置を定めることができる。
また、隣接する分割傾斜面202a,202bは、その凹凸形状とした境界部分の凹部203の大きさを遊技球Bの直径程度としているので、遊技球Bを停留させる段差230を転動面202に生じさせた状態の場合(転動面202が段差状態となっている場合)には、隣接する分割傾斜面202a,202bの境界部分に、遊技球Bを停留させる段差230が形成されており、当該段差230により遊技球Bを停留させることができ、隣接する分割傾斜面202a,202bのうちで下流側の分割傾斜面202bの上流側の端部たる凹凸形状端部における凹部203に遊技球Bを停留させることができ、遊技球Bの停留位置を定めることができる。
また、特定入賞部210(Vゾーン)は、転動面202の下流側端部の所定箇所に配設されており、転動面202の最下流側の分割傾斜面202b上における、特定入賞部210(Vゾーン)と同一軸線上の所定箇所に、遊技球Bを特定入賞部210(Vゾーン)の方に案内するための案内溝204を設け、この案内溝204の上流側には、転動面202の最下流側の分割傾斜面202bでの上流側端部の一つの凹部203が位置しているので、転動面202の最下流側の分割傾斜面202bでの上流側端部の一つの凹部203であって、分割傾斜面202b上での案内溝204の上流側に位置する凹部203に、遊技球Bが停留されると、その停留解除後には案内溝204に沿って当該分割傾斜面202bを流下して行き、特定入賞部210(Vゾーン)の方に案内することができる。最下流側の分割傾斜面202bでの上流側端部の一つの凹部203であって、案内溝204に連設する凹部203に遊技球Bが停留されると、その解除後に特定入賞部210(Vゾーン)の方に案内されるため、当該凹部203に遊技球Bが停留されることを期待するという遊技の面白味を発生させることができる。
また、駆動体42は、第1駆動機構部250および第2駆動機構部260による駆動によって、転動面202上を転動する遊技球Bが特定入賞部210(Vゾーン)に入球され易い位置に存在することがあるので、駆動体42がある位置に存在しているときには、転動面202上を転動する遊技球Bが特定入賞部210(Vゾーン)に入球され易くなっており、駆動体42がその位置になるときを狙って入賞装置40内に遊技球Bを打ち込むようにするという面白味があるし、特定入賞部210(Vゾーン)への遊技球Bの入球に基づく利益を得ることができ、遊技に面白味を感じることができる。
また、同時駆動制御部270は、遊技者にとって有利な遊技状態(大当たり状態)の場合に、駆動体42を正面位置で駆動停止し、隣接する分割傾斜面202a,202b間に段差230を生じさせ、当該段差230により駆動体42を上昇させた状態とするので、転動面202上を転動する遊技球Bに駆動体42が影響を及ぼすことが少なくなる。つまり、駆動体42が転動面202上に遊技球Bの転動に影響を及ぼし易い状態で存在すると、遊技球Bの停留分布状態に偏りが生じてしまうが、駆動体42が転動面202上に遊技球Bの転動に影響を及ぼし難い状態で存在しているので、遊技球Bの停留分布状態に偏りを生じさせ難くでき、分割傾斜面202a,202b間の段差230の部分に停留される遊技球Bの停留分布状態を好適なものとすることができ、より遊技を面白くできる。
また、姿勢変更機構部240は、2個の分割傾斜面202a,202bに連結される単一のリンク部材246と、このリンク部材246を第1状態と第2状態とに変移可能に駆動する駆動装置247とを備え、駆動装置247を動作させて単一のリンク部材246を第1状態に変移させることで、隣接する分割傾斜面202a,202b間に段差230を生じさせないようにし、駆動装置247を動作させて単一のリンク部材246を第2状態に変移させることで、隣接する分割傾斜面202a,202b間に段差230を生じさせるようにするものであるので、駆動装置247によって単一のリンク部材246を第1状態と第2状態とに変移するだけで、隣接する分割傾斜面202a,202b間に段差230を生じさせたりそれを解除したりでき、分割傾斜面202a,202bの個数分だけ駆動装置を設ける必要がなく、2個の分割傾斜面202a,202bを簡易な構成で好適に駆動することができる。
また、姿勢変更機構部240は、隣接する分割傾斜面202a,202b間の段差230によって停留されている遊技球Bの排出を目的とする、当該段差230の解除から再び段差230が発生するまでの時間を、この段差230により停留されている最下流側の一列の遊技球Bよりも後方に位置する次の一列の遊技球Bが、最下流側の一列の遊技球Bが放出されたことによって最下流側の位置に移動するまでの時間よりも短くしている。つまり、隣接する分割傾斜面202a,202b間の段差230の解除から再び段差230が発生するまでが迅速に行われているので、段差230により停留されている各列の遊技球Bを、最下流側から順番にその列ごとに開放出力することができる。つまり、停留されている遊技球Bを複数回に分けて開放出力することができ、各回の開放出力について特定入球手段に遊技球Bが入球するのではないかとい期待感を持つことができ、より面白味のある遊技を実現することができる。
また、隣接する分割傾斜面202a,202b間の段差230で停留された遊技球Bの増加によって、当該段差230が大きくなるように分割傾斜面202a,202bの傾斜姿勢に遊びを持たせているので、隣接する分割傾斜面202a,202b間の段差230で停留された遊技球Bが増加することによって、当該段差230が大きくなる。つまり、隣接する分割傾斜面202a,202bのうちの上流側の分割傾斜面202aの下流側端部がさらに沈み込み、より多くの遊技球Bが停留されたことを遊技者は視認することができ、より多くの遊技球Bが停留される方が遊技者にとって有利であるため、遊技球Bの停留についての面白味を向上させることができる。
また、隣接する分割傾斜面202a,202b間の段差230の解除により開放出力された遊技球Bのうちで特定入賞部210(Vゾーン)の入口に至った遊技球Bを当該入口で一時的に保持する保持機構部310を備えているので、特定入賞部210(Vゾーン)の入口で一時的に保持することにより、特定入賞部210(Vゾーン)の入口で遊技球Bが一時的に保持されている状態を遊技者は視認することができ、特定入賞部210(Vゾーン)への遊技球Bの入球を見逃すことを低減できる。特定入賞部210(Vゾーン)への遊技球Bの入球は遊技者にとって利益のある事象であるので、特定入賞部210(Vゾーン)の入口で遊技球Bを一時的に保持して、特定入賞部210(Vゾーン)への遊技球Bの入球確約を遊技者に提供することで、利益を受けることができるという喜びや達成感を味わうことができ、より遊技の興趣性を向上させることができる。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、第1駆動機構部250は、作用部材(例えば駆動体42)を水平方向に第1の周期で往復駆動させるものとしているが、作用部材を第1の周期で周回駆動させる機構,装置などを採用してもよい。具体的には、回転軸の回転に伴って回転する、回転軸とは垂直方向に突出する回転棒状体(作用部材に相当する)と、この回転軸を回転させる回転機構(モータやアクチュエータなど)としての第1駆動機構部(第1駆動手段)と、回転棒状体を上下方向に第2の周期で往復移動させる第2駆動機構部(第2駆動手段)とを備え、回転棒状体と回転軸とを例えばスプライン結合し、回転棒状体を上下方向に移動させる移動範囲にわたる回転軸の所定範囲部分がスプライン結合部分としている。このようにすることで、回転棒状体を第1の周期で周回駆動させるとともに、回転棒状体を第2の周期で上下方向に往復移動させることができる。
(2)上述した実施例では、第1駆動機構部250は作用部材(例えば駆動体42)を水平方向に第1の周期で往復駆動させるものとし、第2駆動機構部260は作用部材(例えば駆動体42)を垂直方向に第2の周期で往復駆動させるものとしているが、作用部材を第1の周期で周回駆動させ、かつ、第2の周期で周回駆動させる機構,装置などを採用してもよい。具体的には、回転軸の回転に伴って回転する円盤状体の回転中心から偏心した位置から当該回転軸方向に突出する回転棒状体(作用部材に相当する)と、この回転軸を回転させる回転機構(モータやアクチュエータなど)としての第1駆動機構部(第1駆動手段)と、回転棒状体および第1駆動機構部の全体を、垂設された回転軸周りに第2の周期で周回移動させる第2駆動機構部(第2駆動手段)とを備える構成が挙げられる。
(3)上述した実施例では、転動面202を2分割した2個の分割傾斜面202a,202bを設けているが、2個以上の分割傾斜面を設けるようにしてもよい。この場合には、各段差で遊技球Bを停留させることができ、さらに興趣性に優れた遊技機を提供することができる。
(4)上述した実施例では、姿勢変更機構部240は、分割傾斜面202a,202b間の段差230の解除から再び段差230が発生するまでの時間を、当該段差230により停留されている最下流側の一列の遊技球Bよりも後方に位置する次の一列の遊技球Bが、最下流側の一列の遊技球Bが放出されたことによって最下流側の位置に移動するまでの時間よりも短くしているが、段差230により停留されている最下流側の所定列の遊技球Bよりも後方に位置する次の所定列(この所定列は、最下流側の所定列と同数であってもよいし、違っていてもよい。)の遊技球Bが、最下流側の所定列の遊技球Bが放出されたことによって最下流側の位置に移動するまでの時間よりも短くするようにしてもよい。