以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係るカメラの構成を示すブロック図であり、一例として、撮像素子を有するカメラ本体と撮影レンズ100が一体構成されたデジタルスチルカメラを示している。
同図において、Lは撮影レンズ100の光軸、101は撮影レンズ100の先端に配置された第1レンズ群であり、光軸方向に進退可能に保持される。102は絞り兼用シャッタであり、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を行うほか、静止画撮影時には露光秒時を調節する機能も備える。103は第2レンズ群である。そして、絞り兼用シャッタ102及び第2レンズ群103は一体となって光軸方向に進退し、第1レンズ群101の進退動作との連動により、変倍作用(ズーム機能)をなす。
105は第3レンズ群であり、光軸方向の進退により、焦点調節を行う。106は光学的ローパスフィルタであり、撮影画像の偽色やモアレを軽減するための光学素子である。107はCMOSイメージセンサとその周辺回路で構成された撮像素子である。この撮像素子107では、横方向m画素、縦方向n画素の受光画素上に、ベイヤー配列の原色カラーフィルタがオンチップで形成されている。
111はズームアクチュエータであり、不図示のカム筒を回動することで、第1レンズ群101〜第2レンズ群103を光軸方向に進退駆動し、変倍操作を行う。112は絞りシャッタアクチュエータであり、絞り兼用シャッタ102の開口径を制御して撮影光量を調節すると共に、静止画撮影時の露光時間制御を行う。114はフォーカスアクチュエータであり、第3レンズ群105を光軸方向に進退駆動して焦点調節を行う。
115は撮影時の被写体照明用電子フラッシュであり、キセノン管を用いた閃光照明装置が好適であるが、連続発光するLEDを備えた照明装置を用いても良い。116はAF補助光発光部であり、所定の開口パターンを有したマスクの像を、投光レンズを介して被写界に投影し、暗い被写体や低コントラスト被写体に対する焦点検出能力を向上させる。
121はCPUであり、撮像装置内でカメラ本体の種々の制御を司る。CPU121は、例えば、演算部、ROM、RAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェイス回路等を有する。そして、CPU121は、ROMに記憶された所定のプログラムに基づいて、撮像装置が有する各種回路を駆動し、AF、撮影、画像処理、及び記録等の一連の動作を実行する。
122は電子フラッシュ制御回路であり、撮影動作に同期して電子フラッシュ115を点灯制御する。123は補助光駆動回路であり、焦点検出動作に同期してAF補助光発光部116を点灯制御する。124は撮像素子駆動回路であり、撮像素子107の撮像動作を制御すると共に、取得した画像信号をA/D変換してCPU121に送信する。125は画像処理回路であり、撮像素子107が取得した画像のγ変換、カラー補間、JPEG圧縮等の処理を行う。
126はフォーカス駆動回路であり、焦点検出結果に基づいてフォーカスアクチュエータ114を駆動制御し、第3レンズ群105を光軸方向に進退駆動して焦点調節を行う。128は絞りシャッタ駆動回路であり、絞りシャッタアクチュエータ112を駆動制御して絞り兼用シャッタ102の開口を制御する。129はズーム駆動回路であり、撮影者のズーム操作に応じてズームアクチュエータ111を駆動する。
131はLCD等の表示器であり、撮像装置の撮影モードに関する情報、撮影前のプレビュー画像と撮影後の確認用画像、焦点検出時の合焦状態表示画像等を表示する。132は操作スイッチ群であり、電源スイッチ、レリーズ(撮影トリガ)スイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチ等で構成される。133は着脱可能なフラッシュメモリであり、撮影済み画像を記録する。
図2は、図1の撮像素子107において、被写体像が形成される受光画素を撮影レンズ100側からみた平面図である。20は撮像素子107上に横方向m画素、縦方向n画素で形成される画素全体を、21はそのうちの1つの画素部を示す。そして各画素部にはオンチップでベイヤー配列の原色カラーフィルタが形成され、2行×2列の4画素周期で並んでいる。なお、図2においては図を見やすくするために、左上側の10画素×10画素の画素部のみを表示し、その他の画素部は省略している。
図3及び図4は、図2における画素部のうち撮像用画素と焦点検出用画素の構造を説明する図である。第1の実施形態においては、2行×2列の4画素のうち、対角2画素にG(緑色)の分光感度を有する画素を配置し、他の2画素にR(赤色)とB(青色)の分光感度を有する画素を各1個配置した、ベイヤー配列が採用されている。そして、このベイヤー配列の間に、後述する構造の焦点検出用画素が配置される。
図3に撮像用画素の配置と構造を示す。図3(a)は2行×2列の撮像用画素の平面図である。図3(a)におけるA−A断面図を図3(b)に示す。MLは各画素の最前面に配置されたオンチップマイクロレンズ、CFRはR(赤色)のカラーフィルタ、CFGはG(緑色)のカラーフィルタである。PD(Photo Diode)は撮像素子107の光電変換素子を模式的に示したものである。CL(Contact Layer)は、撮像素子107内の各種信号を伝達する信号線を形成するための配線層である。TL(Taking Lens)は撮影レンズ100を模式的に示したもの、Lは撮影レンズTLの光軸である。なお、図3は撮像素子107の内、中心付近の画素、すなわち撮影レンズTLの軸上付近の画素構造を示す図である。
ここで、撮像用画素のオンチップマイクロレンズMLと光電変換素子PDは、撮影レンズTLを通過した光束を可能な限り有効に取り込むように構成されている。換言すると、撮影レンズTLの射出瞳EP(Exit Pupil)と光電変換素子PDは、マイクロレンズMLにより共役関係にあり、かつ光電変換素子の有効面積は大面積に設計される。光束30はその様子を示し、射出瞳EPの全領域が光電変換素子PDに取り込まれている。なお、図3(b)ではR画素の入射光束について説明したが、G画素及びB(青色)画素も同一の構造となっている。
図4は、撮影レンズTLの水平方向(横方向)に瞳分割を行うための焦点検出用画素の配置と構造を示す。ここで水平方向とは、図2で示す撮像素子107の長手方向を示す。図4(a)は、焦点検出用画素を含む2行×2列の画素の平面図である。記録又は観賞のための画像信号を得る場合、G画素で輝度情報の主成分を取得する。これは、人間の画像認識特性は輝度情報に敏感であるためで、G画素が欠損すると画質劣化が認知されやすい。一方でR画素又はB画素は、色情報(色差情報)を取得する画素であるが、人間の視覚特性は色情報には鈍感であるため、色情報を取得する画素は多少の欠損が生じても画質劣化は認識され難い。そこで、本第1の実施形態においては、2行×2列の画素のうち、G画素は撮像用画素として残し、R画素とB画素を焦点検出用画素に置き換える。この焦点検出用画素対を図4(a)においてSHA及びSHBと示す。
図4(a)におけるA−A断面図を図4(b)に示す。マイクロレンズMLと、光電変換素子PDは図3(b)に示した撮像用画素と同一構造である。なお図4も、撮像素子107のうち中心付近の画素、すなわち撮影レンズTLの軸上付近の画素の構造を示す図である。
本第1の実施形態においては、焦点検出用画素の信号は画像生成には用いないため、色分離用カラーフィルタの代わりに透明膜CFW(白色)が配置される。また、撮像素子107で瞳分割を行うため、配線層CLの開口部はマイクロレンズMLの中心線に対して一方向に偏心している。具体的には、画素SHAの開口部OPHAはマイクロレンズMLの中心線に対して右側に41HAだけ偏心しているため、撮影レンズTLの光軸Lを挟んで左側の射出瞳領域EPHAを通過した光束40HAを受光する。同様に、画素SHBの開口部OPHBはマイクロレンズMLの中心線に対して左側に41HBだけ偏心しているため、撮影レンズTLの光軸Lを挟んで右側の射出瞳領域EPHBを通過した光束40HBを受光する。そして、図から明らかなように、偏心量41HAは偏心量41HBに等しい。
以上のような構成を有する画素SHAを水平方向に規則的に配列し、これらの画素群で取得した被写体像をA像とする。また、画素SHBも水平方向に規則的に配列し、これらの画素群で取得した被写体像をB像とすると、A像とB像の相対位置を検出することで、被写体像のピントずれ量(デフォーカス量)が検出できる。
一方、図5は図4(b)と同じように図4(a)におけるA−A断面図であるが、撮像素子107の周辺部の焦点検出用画素に関する構造を示す。周辺部においては、マイクロレンズMLと配線層CLの開口部OPHA、OPHBを図4(b)とは異なる状態で偏心させることにより瞳分割を行っている。開口部OPHAの方を例にとって説明すると、開口部OPHAの中心と射出瞳領域EPHA中心を結ぶ線上に略球状でできたマイクロレンズMLの球芯を合わせるよう偏心させることにより周辺部においても軸上とほぼ同等の瞳分割を行うことができる。
具体的には、画素SHAの開口部OPHAはマイクロレンズMLの中心線に対して右側に51HAだけ偏心しているため、撮影レンズTLの光軸Lを挟んで左側の射出瞳領域EPHAを通過した光束50HAを受光する。同様に、画素SHBの開口部OPHBはマイクロレンズMLの中心線に対して左側に51HBだけ偏心しているため、撮影レンズTLの光軸Lを挟んで右側の射出瞳領域EPHBを通過した光束50HBを受光する。そして、図から明らかなように、偏心量51HAより偏心量51HBは大きく設定される。なお、上記説明による偏心は水平方向に関する周辺部を例として説明したが、垂直方向の周辺部、さらには水平と垂直が混在する周辺部においても同様の手法で瞳分割を行うことが可能となる。
ところで、上記焦点検出用画素対SHA及びSHBでは、撮影画面の横方向に輝度分布を有した被写体、例えば縦線に対しては焦点検出可能だが、縦方向に輝度分布を有する横線は焦点検出不能である。そのためには、撮影レンズの垂直方向(縦方向)にも瞳分割を行う画素も備えるよう構成すればよい。
図6は、撮影レンズの垂直方向に瞳分割を行うための焦点検出用画素の配置と構造を示す。ここで垂直方向及び縦方向は、図2で示す撮像素子107の短手方向を示す。図6(a)は、焦点検出用画素を含む2行×2列の画素の平面図であり、図4(a)と同様に、G画素は撮像用画素として残し、R画素とB画素を焦点検出用画素としている。この焦点検出用画素を図6(a)においてSVC及びSVDと示す。
図6(a)のA−A断面図を図6(b)に示す。図4(b)の画素が横方向に瞳分離する構造であるのに対して、図6(b)の画素は瞳分離方向が縦方向になっているが、その他の画素の構造は同様である。画素SVCの開口部OPVCはマイクロレンズMLの中心線に対して下側に61VCだけ偏心しているため、撮影レンズTLの光軸Lを挟んで上側の射出瞳領域EPVCを通過した光束60VCを受光する。同様に、画素SVDの開口部OPVDはマイクロレンズMLの中心線に対して上側に61VDだけ偏心しているため、撮影レンズTLの光軸Lを挟んで下側の射出瞳領域EPVDを通過した光束60VDを受光する。なお、図から明らかであるが、図6は図4と同様に撮像素子107の軸上付近の画素構造を示すため、偏心量61VCと偏心量61VDは等しくなっている。
以上のような構成を有する画素SVCを垂直方向に規則的に配列し、これらの画素群で取得した被写体像をC像とする。また、画素SVDも垂直方向に規則的に配列し、これらの画素群で取得した被写体像をD像とする。すると、C像とD像の相対位置を検出することで、垂直方向に輝度分布を有する被写体像のピントずれ量(デフォーカス量)が検出できる。なお、縦方向に瞳分割を行う場合においても、周辺部の焦点検出画素については図5で説明した手法にて瞳分割を行っており、説明は省略する。
ところで、上記焦点検出用画素対SHA及びSHB、SVC及びSVDは本来の色情報を有さないため、撮影画像形成にあたっては周辺部の画素信号から補間演算することによって信号を作成する。したがって、撮像素子107に焦点検出用画素対を連続的に並べるのではなく離散的に並べることで撮影画像の画質を低減させることもない。
以上図3〜図6を参照して説明したように、撮像素子107は撮像のみの機能だけではなく本発明の焦点検出手段としての役割を果たしている。
図7は、本発明の焦点検出構成を概略的に示す図である。撮像素子107は、瞳分割された第1の焦点検出用画素901aと第2の焦点検出用画素901bとで構成される焦点検出部901を複数有する。なお、焦点検出部901は図4(a)に示した構成を有し、焦点検出用画素901aが画素SHAに、焦点検出用画素901bが画素SHBにそれぞれ対応する。また、撮像素子107は撮影レンズ100により結像された被写体像を光電変換するための撮像用画素を複数含む。
CPU121は、合成部902と、連結部903と、演算部904とを含む。CPU121はまた、複数の焦点検出部901を含むように、撮像素子107の撮像面にセクション(領域)CSTを複数割り当てる。CPU121は、セクションCSTの大きさ、配置、数等を適宜変更することができる。合成部902は、撮像素子107に割り当てられた複数のセクションCSTの各々において、第1の焦点検出用画素901aからの出力信号を合成して1画素の第1の合成信号を得る処理を行う。合成部902はまた、各セクションCSTにおいて、第2の焦点検出用画素901bからの出力信号を合成して1画素の第2の合成信号を得る処理を行う。連結部903は、複数のセクションCSTにおいて、第1の合成信号である各画素を連結して第1の連結信号を得る処理と、第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る処理とを行う。このように、第1の焦点検出用画素901a及び第1の焦点検出用画素901bのそれぞれに対して、セクション数の画素が連結された連結信号が得られる。演算部904は、第1の連結信号及び第2の連結信号に基づいて、結像光学系の焦点ずれ量を演算する。このように、セクション内に配置された同一の瞳分割方向における焦点検出用画素の出力信号を合成するため、焦点検出部の1つ1つの輝度は小さい場合であっても、被写体の輝度分布を十分に検出することが可能となる。
なお、図7では、水平方向に瞳分割する場合を例に示したが、垂直方向に瞳分割する場合についても同様である。
図8は、図7の焦点検出部901、合成部902、連結部903により形成され、演算部904に入力される焦点検出用信号対(画像信号対)の一例を示す。図8のグラフにおいて、横軸は連結された信号の画素並び方向を示し、縦軸は信号の強度である。図8に示す焦点検出用信号は、縦1本線を検出した際のもので、焦点検出用信号IMGAは焦点検出用画素901aで、焦点検出用信号IMGBは焦点検出用画素901bでそれぞれ形成される信号である。そして、図1で示す撮影レンズ100が撮像素子107に対して後ピン側にずれた状態であるため、焦点検出用信号IMGAは左側に、焦点検出用信号IMGBは右側にずれた状態となっている。
この焦点検出用信号IMGA、IMGBのずれ量を公知の相関演算などによって算出することにより、撮影レンズ100がどれだけデフォーカスしているかを知ることができるので、焦点合わせを行うことが可能となる。なお、ずれ量の算出については公知であるため、説明は省略する。また、図8では後ピン側にずれた場合を例として説明したが、前ピン側にずれる場合は焦点検出用信号IMGA、IMGBのずれ方向が左右反転する。
図9は、撮像素子107の焦点検出用画素による瞳分割機能を概念的に説明する図である。TLは撮影レンズ、107は撮像素子、OBJは被写体、IMGは被写体像である。
撮像用画素は図3で説明したように、撮影レンズTLの射出瞳全域EPを通過した光束を受光する。一方、焦点検出用画素は図4〜図6で説明したように、瞳分割機能を有している。具体的には、図4の画素SHAは撮像面からレンズ後端を見て左側の瞳を通過した光束LHA、すなわち図4の瞳EPHAを通過した光束を受光する。同様に画素SHB、SVC及びSVDはそれぞれ射出瞳領域EPHB、EPVC及びEPVDを通過した光束をそれぞれ受光する。そして、焦点検出用画素は、撮像素子107の全領域に渡って分布しているため、撮像領域全域での焦点検出も可能となっている。以上のような構成により、撮像素子107の広い範囲に渡って位相差方式の焦点検出を行うことが可能である。
ところで、上記説明は製造誤差を考慮しない、理想の状態での焦点検出系を説明したが、実際には製造誤差などの変動要因により焦点検出用の射出瞳領域EPHA、EPHB、EPVC、EPVDに大きなずれが生じてしまう。したがって、本発明ではこのずれ情報をあらかじめ記憶しておき、焦点検出用信号を補正することで高精度な焦点検出を行う。以下詳細を説明する。
一般的にCMOSセンサなどの撮像素子はシリコンウエハ上に複数のレイヤー層を重ねて製造される。図10は、図1における撮像素子107に含まれるレイヤー層構造のCMOSセンサチップを模式的に表す図である。CMOSセンサチップにおいては、フォトダイオードとトランジスタとが形成されている下部層の上に、パッド絶縁層を形成して、単位画素を形成する。次に、下部層内の金属配線を露出させるように、パッド絶縁層を選択的に除去する。金属配線は、トランジスタを外部素子に接続するために使用される。そして、このような配線および絶縁層は回路規模に応じて複数形成され、図10ではまとめて配線層および絶縁層11として示す。つまり、図4〜図6における配線層CLも11内に含まれる。
それから、着色フォトレジストを塗布し、これを露光及び現像工程によって処理することで、カラーフィルタ層12を形成する。次に、均一なマイクロレンズを形成できるように、マイクロレンズ平坦化層13を形成する。そして、マイクロレンズ平坦化層13上にフォトレジストを塗布し、これを露光及び現像工程によって処理することで、フォトレジストをパターニングする。次に、熱処理工程によってパターニングされたフォトレジストを処理することで、フォトレジストにリフロー工程を施して、ドーム形状のマイクロレンズ14の層を形成する。このように、CMOSセンサチップはレイヤー層ごとに製造されるため、各レイヤー層間には製造時の誤差が介在する。したがって、配線層および絶縁層11に対するマイクロレンズ14の位置精度は、フォトレジストをパターニングする半導体製造装置のアライメント精度により決定する。つまり、図4〜6で示す配線層CLに対してマイクロレンズMLは、このアライメント精度によりずれが生じることとなる。一般的にマイクロレンズMLとフォトダイオードPDまでの距離は数ミクロンである。一方、マイクロレンズMLから撮影レンズ100の射出瞳までの距離は数十ミリという単位であるため、光学的な結像倍率は数万倍となる。そうすると、0.1ミクロンのアライメント誤差が、射出瞳上においては、数ミリの非常に大きなずれとなってしまい、焦点検出精度を大きく低下させる要因となる。
図11は図4(b)で示す撮影レンズの水平方向(横方向)に瞳分割を行うための焦点検出用画素において、この水平方向にマイクロレンズMLにアライメント誤差が発生した場合を示す。図において、マイクロレンズMLは左側にDML分だけずれており、点線で示すマイクロレンズMLが誤差がない場合(図4(b))を表す。すなわち、図4(b)の偏心量41HA、41HBに図11のずれDMLが加減算され、画素SHAの開口部OPHAはマイクロレンズMLの中心線に対して右側に111HAだけ偏心している。また、画素SHBの開口部OPHBはマイクロレンズMLの中心線に対して左側に111HBだけ偏心している。そして、画素SHA、SHBは撮影レンズTLの光軸Lに対してDEPだけずれた射出瞳領域EPHA、EPHBに対応する光束110HA、110HBを受光する。
図12は図5に示す撮像素子107の周辺部の焦点検出用画素において、図9と同様にマイクロレンズMLのアライメント誤差が生じた場合を示す。図10で説明したように、マイクロレンズはレイヤー層ごとに製造されるため、アライメント誤差は撮像素子107上の位置によらず一定である。したがって、図11でアライメント誤差がDMLだけ発生すると、図12においても点線で示すマイクロレンズMLに誤差がない場合(図5)に比べて同量のDMLだけずれている。すなわち、図5の偏心量51HA、51HBに図12のずれDMLが加減算され、画素SHAの開口部OPHAはマイクロレンズMLの中心線に対して右側に121HAだけ偏心している。また、画素SHBの開口部OPHBはマイクロレンズMLの中心線に対して左側に121HBだけ偏心している。そして、画素SHA、SHBは撮影レンズTLの光軸Lに対してDEPだけずれた射出瞳領域EPHA、EPHBに対応する光束120HA、120HBを受光する。
一方、図6(b)で説明した垂直方向に瞳分割を行うための焦点検出用画素においては、誤差の発生方向が紙面垂直方向であるため、この断面においては瞳分割状態に変わりはない。したがって、図を用いた詳細な説明は省略する。なお、上記説明ではずれDEPをマイクロレンズMLのアライメント誤差として説明したが、実際のカメラにおいては、撮像素子107の平行偏心や傾きなど組み込み調整誤差も加わる。しかしながら、ずれDEPの中ではマイクロレンズMLのアライメント誤差がもっとも支配的である。
図13、図14は、図11もしくは図4(b)、図6(b)における撮像素子107の軸上付近の画素の射出瞳EPを撮像素子107側から見た図である。図13(a)及び図14(a)がマイクロレンズMLの誤差ありの状態を、図13(b)図14(b)を付した図が誤差なしの状態をそれぞれ示す。
図13(a)において、撮影レンズTLの光軸Lに対して、焦点検出用の射出瞳領域EPHA、EPHB、EPVC、EPVDの中心LAFはDEPだけずれた位置にある。ここで、LAFは本発明における焦点検出手段の中心軸となり、DEPが中心軸ずれに相当する。そして、射出瞳EPと焦点検出用の射出瞳領域EPHA、EPHBとの共通領域、すなわち、実際に焦点検出に使用する光束が通過する領域を図で示すように右上がりの斜線領域130HA、130HBで示す。このとき、斜線領域130HA、130HBは中心軸ずれDEPにより瞳分割方向である水平方向に非対称形状となっている。
一方、図13(b)に示すように、マイクロレンズMLの誤差がない場合においては、光軸Lと焦点検出手段の中心軸LAFは一致する。したがって、焦点検出光束が通過する右上がりの斜線領域131HAと131HBは中心軸LAFを中心として水平方向に対称形状となっている。
図14は図13と同様の図で、垂直方向に射出瞳EPを分離する焦点検出用の射出瞳領域EPVC、EPVDに注目した図である。撮影レンズTLの射出瞳EPと焦点検出用の射出瞳領域EPVC、EPVDの共通領域は、左上がりの斜線領域140VC、140VDとなっている。この場合、中心軸ずれDEPにより斜線領域140VC、140VDは同様に横ずれしているが、光軸Lもしくは中心軸LAFを中心として瞳分割方向である垂直方向においては上下対称性を維持したまま横ずれしている。
なお、上記説明は水平方向に中心軸ずれDEPが発生した場合を説明したが、垂直方向に発生する場合、もしくは水平垂直両方向に発生する場合においても上記と同様の考え方で焦点検出光束が通過する斜線領域を導き出すことができる。
図13及び図14は、撮像素子107の中央付近の画素についての説明だが、周辺部ではこれに加え像高によって撮影レンズTLの射出瞳EPが変化する。図15はこれを説明するための図で、撮影レンズ100を入射瞳ENTPと射出瞳EPで単純化している。入射瞳ENTPと射出瞳EPは撮像素子107からの距離と径がそれぞれ異なり、撮像素子107に入射する光束はこの2つの円を通過しなければならない。したがって、撮像素子107の光軸L付近以外の画素部に入射する光束は、射出瞳EPのみならず入射瞳ENTPの影響を受ける。
図16は撮像素子107とその像高における射出瞳形状を対応付けた図である。図16において、EPCは軸上の射出瞳形状を示し、添え字T、B、L、Rがそれぞれ上下左右の像高を示す。そして、例えば左上対角はTLを合わせてEPTLと表記している。この図から明らかなように撮像素子107中央からの像高が大きいほど射出瞳形状が小さくなるのが分かる。したがって、本第1の実施形態では、図中点線で示す160を焦点検出領域として設定し、全ズーム、フォーカス位置にて射出瞳形状の変化が比較的少ない領域を使用している。なお、撮影レンズ100を撮像素子107の端まで射出瞳の形状変化が少ないテレセントリックな光学系にすれば、より撮影画面の端まで良好な焦点検出を行うことができる。
以上のことからマイクロレンズのアライメント誤差による中心軸ずれと像高による撮影レンズの射出瞳の形状変化の組み合わせで、図13、図14の斜線部に示すような射出瞳上における焦点検出用光束の射出瞳領域は決定する。そして、位相差方式焦点検出においては、このような射出瞳領域変化が生じた際に、主に3つの弊害が生じてしまう。
(1)各焦点検出用画素対に入射する光量のアンバランス
(2)瞳分離方向の線像分布変化による焦点検出用信号の形状くずれ
(3)基線長変化によるデフォーカス量検知誤差
このうち、(2)、(3)については合焦位置に近づくに従って影響が少なくなり、合焦位置では理論上完全に無くなるため、焦点検出のアルゴリズムなどを工夫して合焦時間に多少時間をかければ、最終的な合焦精度での影響を低減することができる。しかしながら、(1)についてはデフォーカス量を算出する相関演算精度に多大なる影響を及ぼす。そのため、本第1の実施形態においては(1)に関して、焦点調節用信号対の信号レベルを光量のアンバランスを補償するように補正することにより高精度な位相差方式焦点検出を実現する。
図17は本第1の実施形態におけるの焦点検出用信号対を補正するための、図7のCPU121に設けられる演算部904の内部詳細を示すブロック図である。図17において図7の連結部903にて形成される焦点検出用信号は演算部904内部の補正部170にて(1)を含む補正を行い、その後相関演算部171に入力される。
CPU121に連結されるフラッシュメモリ133は焦点検出用信号を形成する各画素の画素感度ムラ情報175、撮影レンズ100の像高による射出瞳情報176、マイクロレンズのアライメント誤差による中心軸ずれ情報177を備える。ここで、画素感度ムラ情報175と中心軸ずれ情報177はカメラの製造工程時に書き込まれる情報である。そして、射出瞳情報176は誤差のない設計値による情報をあらかじめ記憶している。
図18は本第1の実施形態の焦点検出用信号の補正手順を示すフローチャートである。まず入力される一対の焦点検出用信号に対して、補正部170ではステップS181とステップS182により2段階の補正を行う。そして、相関演算部171ではステップS183〜S186の処理を行う。
ステップS181ではフラッシュメモリ133の画素感度ムラ情報175をもとに、各画素の出力値データに感度ムラを補正する係数を乗じることによって各画素固有の感度ムラ補正を行う。
ステップS182では、一対の焦点検出用信号を形成する各画素ごとに、射出瞳情報176、中心軸ずれ情報177から図13(a)、図14(a)で説明したような斜線領域の面積を計算する。そして、この面積に応じた係数を各画素の出力値に乗じることで光量の補正が行われる。ここで、各画素ごとに面積演算を都度行うのでは演算量が膨大すぎて焦点検出に時間がかかってしまう。そこで以下のような手法をとることにより演算量を削減することが可能となる。
図19は横軸に対となる焦点検出画素の像高hを、縦軸にその光量比Cをとった場合のグラフを示す。ここで、光量比Cは、図4の焦点検出用画素部SHAを基準としたときのSHBの光量比を表す。190は図13(b)、図14(b)で説明したような製造誤差がない場合の光量比を示し、h=0では光量比C=1.0となっている。そして、190で示す光量比をC0とし、像高hの関数であらわすと以下の式(1)のように表現できる。
C0=f(h) …(1)
191はマイクロレンズのアライメント誤差DMLなどにより製造誤差が生じた場合の光量比を示し、対となる焦点検出用画素部の光量が等しくなる像高はシフトしている。そのシフト量をhERRとすると、h=hERRのときC=1.0となる。hERRに応じて全体の曲がり具合も変わってくるため、191で示す光量比をCERRとし、像高hとhERRを変数とすると、以下の式(2)で表現できる。
C ERR =f(h−hERR)・g(hERR) …(2)
本第1の実施形態のカメラにおいては、撮影レンズ100の射出瞳変化は光軸Lを中心として回転対称であるが、撮像素子107の焦点検出用画素構造は回転対称ではない。そのため、像高hの代わりに撮像素子107の焦点検出用画素の軸上からの距離を(x,y)、製造誤差によるシフト距離を(xERR、yERR)と置き換えると、式(2)は以下の式(3)に書き換えることができる。
C(xERR,yERR)=f(x−xERR,y−yERR)・g(xERR,yERR) …(3)
以上のような構成で、射出瞳情報176としてf(x,y)を、中心軸ずれ情報177として、(xERR,yERR)とg(xERR,yERR)をあらかじめ格納しておく。そして、焦点検出用信号に式(3)で算出される光量比C(xERR,yERR)に基づいた係数を乗じることで、演算量の少ない補正を行うことが可能となる。ここで、製造誤差(xERR,yERR)は、マイクロレンズのアライメント誤差が支配的である。アライメント誤差は、図10で説明した製造方法によるとウエハ単位で一律なずれとなる。そのため、カメラの製造工程においてはこのアライメント誤差をCMOSセンサチップごとに管理すれば、1台ごとにアライメント誤差を確認する必要がないため工程を短縮することができる。製造誤差(xERR,yERR)としては、その他に撮像素子107をカメラに組み込む際の平行偏心や傾きなどの位置調整誤差がある。
なお、上記の格納された情報が撮影レンズのズームもしくはフォーカス位置で異なる場合は、ズームもしくはフォーカス位置を便宜分割し、その分割位置ごとに格納すればよい。なお、本第1の実施形態の撮影レンズ100はズームもしくはフォーカスによる射出瞳の変動がない撮影レンズとしている。
ステップS183では補正部170により補正された焦点検出用信号に以後の処理を行うにあたって、十分に信頼性があるかを判定する。具体的には、像のコントラスト成分等を分析することにより判定を行う。
ステップS184は焦点検出用信号に信頼性があると判定された場合の処理で、デジタルフィルタ処理を行うことで演算に不要な周波数成分を除去する。一方、S185は焦点検出用信号に信頼性がないと判定された場合の処理で、この場合はユーザーに合焦不能を知らせるなどの合焦不能処理を行い終了する。
最後にステップS186では、公知の相関演算により像ずれ量を算出する。そして、図17に示すようにこの像ずれ量をもとに撮影レンズ100の焦点ずれ量、すなわちデフォーカス量が算出される。
以上のような構成により、マイクロレンズのアライメント誤差による焦点検出用射出瞳領域の中心軸ずれが発生した場合にも、補正部により焦点検出用信号を補正することで高精度な焦点検出を実現できる。なお、本第1の実施形態の補正部による補正は上述した(1)〜(3)のうち(1)のみを補正する構成としたが、(2)、(3)についても第1の実施形態の構成で補正することは可能である。そうすれば、デフォーカス時においてもより高精度な焦点検出を行うことができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は第1の実施形態と比較して、撮影レンズ100がズームやフォーカス位置により大きく瞳距離が変化する場合に対応するところが異なる。
図20はこれを説明するための図で、第1の実施形態の図11で示した焦点検出画素に対応する焦点検出用画素を示す。図20において、EP1は撮影レンズ100のズーム位置がテレ端にある場合の射出瞳を示し、一方EP2は撮影レンズ100のズーム位置がワイド端にある場合を示す。そして、テレとワイドの間においては、射出瞳は図中点線で結ぶ範囲で変化する。
このように、第2の実施形態では撮影レンズ100のズーム位置に応じて射出瞳径のみならず、マイクロレンズから射出瞳までの距離、すなわち射出瞳距離が変化しているのが分かる。したがって、射出瞳EP1とEP2とでマイクロレンズMLのアライメント誤差DMLによる射出瞳領域EPHA1とEPHB1、EPHA2とEPHB2のずれDEP1とDEP2はそれぞれ異なる。
図21は図20における撮像素子107の軸上付近の画素の射出瞳を撮像素子107側から見た図で、(a)がテレ端側を、(b)がワイド端側をそれぞれ示す。撮影レンズTLの光軸Lに対して、焦点検出用の射出瞳領域EPHA1とEPHB1、EPHA2とEPHB2の中心LAF1、LAF2はそれぞれDEP1、DEP2だけずれた位置にある。ここで、LAF1、LAF2は各射出瞳EP1、EP2における焦点検出手段の中心軸となり、DEP1、DEP2が中心軸ずれに相当する。そして射出瞳EP1、EP2と焦点検出用の射出瞳領域EPHA1とEPHB1、EPHA2とEPHB2との共通領域、すなわち、実際焦点検出に使用する光束が通過する領域を右上がりの斜線領域210HA1と210HB1、211HA2と211HB2で示す。
これら斜線領域から明らかなように、テレ端側とワイド端側では対となる焦点検出用画素の光量比は異なることが分かる。これは射出瞳EP1からEP2への変動に加えて、中心軸ずれがDEP1からDEP2へ変化しているためである。また、図20及び図21は撮像素子107の軸上付近の画素についての説明だが、周辺部においては中心軸ずれの変化具合が軸上とは異なる。したがって、中心軸ずれを第1の実施形態のように1つの射出瞳上だけでの情報として記憶するのではなく、射出瞳距離変化に対応できるような形式で記憶しておく必要がある。
そこで、撮像素子107から射出瞳までの距離をlとすると、撮像素子107の任意の画素位置(x,y)における中心軸ずれ(xERR,yERR)はこの距離lと画素位置(x,y)の関数として以下の式(4)、(5)で表すことができる。
xERR=h(l,x) …(4)
yERR=i(l,y) …(5)
このh(l,x)とi(l,y)を中心軸ずれ情報としてあらかじめカメラに記憶しておき、算出した(xERR,yERR)を第1の実施形態の式(3)に代入することにより光量の補正を行うことができる。ところで、h(l,x)とi(l,y)をカメラの製造工程中に書き込むにあたっては、図20で示すような2つの射出瞳距離EP1、EP2における中心軸ずれDEP1、DEP2を複数の像高で測定する。このようにすれば容易にh(l,x)とi(l,y)を決定することができる。なお、第2の実施形態はズーム位置に応じて射出瞳が変化しているため、式(3)におけるf(x,y)、g(xERR,yERR)もズーム位置ごとに格納する構成をとっている。
以上のように、第2の実施形態では中心軸ずれ情報を撮影レンズ100の瞳距離変化に対応した形の情報としてカメラに記憶するため、瞳距離変動が大きい撮影レンズが備えられたカメラにおいても精度よく焦点検出を行うことができる。なお、上記説明は撮影レンズのズームによる瞳距離変動を例として説明したが、本第2の実施形態は射出瞳が個々で異なる複数の撮影レンズを装着可能なカメラシステムにも適用できる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、第1の実施形態の焦点検出手段をカメラシステムに適用した例を示す。
図22は第3の実施形態におけるカメラシステムの構成を示すブロック図である。なお、第1の実施形態と同様の符号を付したものは同様の役割を果たし、説明は省略する。図22において、220はカメラ本体、221はカメラ本体220に着脱可能な交換レンズを示し、それぞれのIF部222と223を介して、情報通信可能な構成にて接合されている。交換レンズ221は各種演算処理を行うCPU224を備え、撮影レンズ100のズーム、フォーカス、絞りシャッターなどを駆動する駆動回路225が接続され、さらに駆動回路225には各アクチュエータ226が接続される。また、各種情報を書き換え可能なフラッシュメモリ227をカメラ本体220と同様に備える。
図23は、図22のブロック図中、本発明に関わる部分を抜き出したブロック図で、より詳細な内容を示す。図において中央の点線より右側がカメラ本体220で、左側が交換レンズ221(レンズユニット)を示す。第1の実施形態と異なる箇所は、カメラ本体220のフラッシュメモリ133は画素感度ムラ情報175と中心軸ずれ情報177のみを有し、交換レンズ221のフラッシュメモリ227が射出瞳情報176を有することである。したがって、交換レンズ221として別の種類のレンズが装着された際にも、そのレンズ固有の射出瞳情報176をIF部222、223を介して取得することができる。
なお、本第3の実施形態は射出瞳径および距離が個々のレンズで異なる複数の撮影レンズを装着可能なカメラシステムが前提であるため、中心軸ずれ情報177は第2の実施形態のような形式で格納するのが好適である。フラッシュメモリ133の容量を減らすためには、各種交換レンズの代表的な射出瞳距離での中心軸ずれ情報177とすることが効果的であるが、第2の実施形態による手法がより高精度であることは言うまでもない。以上のような構成で、補正部170により第1の実施形態もしくは第2の実施形態で説明した補正を行うことで、カメラシステムにおいても高精度な焦点検出を実現することができる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態は第1の実施形態と比較して、2次結像タイプで位相差方式の焦点検出部を有するカメラシステムに本発明を適用した例を示す。
図24は第4の実施形態におけるカメラシステムの構成を示すブロック図である。なお、第1〜第3の実施形態と同様の符号を付したものは同様の役割を果たし、説明は省略する。図において、カメラ本体220には2次結像タイプで位相差方式の焦点検出部240を備える。したがって、撮像素子107は第1の実施形態とは異なり、図3の画素のみで構成される撮像専用の撮像素子となる。交換レンズ221の撮影レンズ100と撮像素子107の間にはメインミラー241とサブミラー242が配置され、撮影レンズ100を通過した光束を分割および偏光している。
まず、メインミラー241はハーフミラーで構成され、撮影レンズ100を通過した光束の一部を上方に反射し、残りを透過する。メインミラー241で反射した光束は、フォーカシングスクリーン、コンデンサレンズ、ペンタプリズム、接眼レンズ群からなるファインダー光学系243に入射し、ユーザーによって被写体像を観察可能な構成となっている。一方、メインミラー241を透過した光束はサブミラー242で下方へ反射され、焦点検出部240に入射する。メインミラー241とサブミラー242は周知のクイックリターン機構により構成され、撮影時には光路外へ退避することができる。
焦点検出部240は2次結像タイプの位相差方式を用いており、フィールドレンズ、対の2次結像レンズ、対の受光センサなどから構成される公知の構成であり、詳細な説明は省略する。
図25は焦点検出部240と各種交換レンズの射出瞳の関係を示す概念図で、図24のメインミラー241とサブミラー242を省略して展開した図である。図25において、EPL1はある交換レンズの射出瞳を示し、EPL2はこれとは異なる別の交換レンズの射出瞳を示す。L1、L2はこれら交換レンズの光軸を示し、2つの光軸が重なっているためここでは1本の線で表されている。250は交換レンズの焦点面である1次結像面を示し、図24の撮像素子107の撮像面と光学的に等価な位置となっている。そして、焦点検出部240は1次結像面250の後方に配置され、一点鎖線で示す251が焦点検出部240の中心軸となっている。
中心軸251は製造誤差により光軸L1、L2に対してずれが生じ、射出瞳EPL1上では中心軸ずれDEPL1となり、射出瞳EPL2上では中心軸ずれDEPL2となっている。すなわち、焦点検出部240の中心軸251にずれが生じた場合、様々な射出瞳を有する撮影レンズが装着可能なカメラシステムにおいては、中心軸ずれが射出瞳距離によって異なることを示す。したがって、このような中心軸ずれ情報を射出瞳距離に対応する形式であらかじめカメラに記憶しておけば、第2の実施形態で説明した手法により高精度な焦点検出を行うことができる。
なお、本第4の実施形態における中心軸ずれはメインミラー241やサブミラー242の位置誤差、もしくは焦点検出部240内部のフィールドレンズによる製造誤差などで起こり得る。そこで、焦点検出部240の中心軸ずれを調整する機構を設けて、組立製造時に調整を行ういくつかの方法が公開されているが、本第4の実施形態を適用すれば、この機構自体を無くすことができるため、コストダウンの効果がある。