JP6300178B2 - 固体酸化物形燃料電池装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池装置は、燃料電池ハウジング一側面に設けられた発電用空気供給口から供給した発電用空気を他側面へ向けて送っているため、発電用空気供給口から近い一側面方向の燃料電池セルと他側面方向の燃料電池セルでは、発電用空気の供給量に偏りが生じてしまい、一部の燃料電池セルに空気枯れを引き起こす懸念がある。そのため、発電用空気を大流量で流し、空気枯れを防止する必要がある。
しかしながら、このような構成にすると、燃料電池ハウジング側面へ発電用空気を吹き付けることになり、燃料電池ハウジング側面に沿って発電用空気が上昇していく。そのため、燃焼室が上部タンク天井面に設けられた場合、上昇してきた発電用空気が燃焼室にまで回り込まず、燃焼が不安定になり、改質触媒の昇温が不十分となる。
このように構成された本発明においては、上部タンクは上面視においてドーナツ状に形成されており、上部タンクの中央を酸化剤ガス供給管が貫通するように延びている。上部タンクの内周面と酸化剤ガス供給管外周面との間は全周に渡って均等に間隔が設けられているため、全周に渡って酸化剤ガスを均一に上部タンクの上方へ供給することができる。したがって、上部タンクの上方からも燃焼室へ空気が供給できるようになり、且つ燃料電池セル集合体の中央上部方向における空気枯れを防ぐことができる。
このように構成された本発明においては、上部タンクを段状に形成すると、上部タンクの角部の形状により、空気の戻りが生じて発電用空気が滞留しやすくなる。さらに、横向きの燃焼炎からの熱を滞留している発電用空気に蓄熱することができ、熱溜部が形成される。したがって、その熱溜部からの熱により、改質触媒の充填された内側ケース部材を温めることができる。且つ、下方から供給された発電用空気を熱溜部での熱交換により昇温することが可能になるので、排ガスは高温になり、排気の過程で改質部に熱を与えて暖めることができ、冷間時においても迅速な昇温が可能となる。
この燃料電池ハウジング8内の内部には発電室10が設けられ、この発電室10の中には複数の燃料電池セル16が同心円状に配置されており、これらの燃料電池セル16により、燃料ガスと酸化剤ガスである発電用空気の発電反応が行われる。
燃焼触媒60は、排ガス排出パイプ58よりも上方に、外側ケース部材66の外周面と内側円筒容器68の内周面の間の円環状の空間に充填された触媒である。排ガス排出流路21を下降した排気ガスは、燃焼触媒60を通過することにより一酸化炭素が除去され、排ガス排出パイプ58から排出される。
シースヒーター61は、燃焼触媒60の下方の、外側ケース部材66の外周面を取り囲むように取り付けられた電気ヒーターである。固体酸化物形燃料電池装置1の起動時において、シースヒーター61に通電することにより、燃焼触媒60が活性温度まで加熱される。
まず、内側ケース部材64と外側ケース部材66の間の空間により形成されている燃料ガス供給流路20の下部には、水蒸気改質用の水を蒸発させるための蒸発部86が設けられている。蒸発部86は、外側ケース部材66の下部内周に取り付けられたリング状の傾斜板86a及び水供給パイプ88から形成されている。また、蒸発部86は、発電用の空気を導入するための酸化剤ガス導入パイプ56よりも下方で、排気ガスを排出する排ガス排出パイプ58よりも上方に配置されている。傾斜板86aは、リング状に形成された金属の薄板であり、その外周縁が外側ケース部材66の内壁面に取り付けられる。一方、傾斜板86aの内周縁は外周縁よりも上方に位置し、傾斜板86aの内周縁と、内側ケース部材64の外壁面との間には隙間が設けられている。
CmHn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (1)
本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池装置においては、燃料電池セル16は、固体酸化物を用いたセルであり、さらに、複数の電極が上下方向に沿って配置された円筒横縞型セルである。各燃料電池セル16上には、複数の単セル16aが横縞状に形成されており、これらが電気的に直列に接続されることにより1本の燃料電池セル16となる。
多孔質支持体97は、本実施形態においては、フォルステライト粉末、及びバインダーの混合物を押し出し成形し、焼結することにより形成されている。
燃料極層98は、本実施形態においては、NiO粉末及び10YSZ(10mol%Y2O3−90mol%ZrO2)粉末の混合物により構成された導電性の薄膜である。
固体電解質層100は、本実施形態においては、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3の組成のLSGM粉末により構成された薄膜である。この固体電解質層100を介して酸化物イオンと水素又は一酸化炭素が反応することにより電気エネルギーが生成される。
インターコネクタ層102は、本実施形態においては、SLT(ランタンドープストロンチウムチタネート)から作られた導電性の薄膜である。燃料電池セル16上の隣接する単セル16aはインターコネクタ層102を介して接続される。
電極層103a、103bは、本実施形態においては、燃料極層98と同一の材料で形成されている。
リード膜保護層104a、104bは、本実施形態においては、固体電解質層100と同一の材料で形成されている。
まず、固体酸化物形燃料電池装置の起動工程において、燃料供給パイプ90から原燃料の供給が開始されると共に、シースヒーター61への通電が開始される。シースヒーター61への通電が開始されることにより、その上方に配置された燃焼触媒60が加熱されると共に、内側に配置された蒸発部86も加熱される。図2の実線の矢印に示すように、燃料ガス供給パイプ90から燃料電池ハウジング8の内部に流入した燃料は、燃料ガス供給流路20内を上昇した後、改質部94内通過し、内側ケース部材64の下部に設けられた小穴64bを通って燃料ガス分散室76に流入する。なお、固体酸化物形燃料電池装置の起動直後においては、改質部94内の改質触媒96の温度が十分に上昇していないため、燃料の改質は行われない。
別言すると、図3に示すように上部タンク18は、燃焼炎が形成される燃焼炎形成部18fと、燃焼炎形成部18fよりも下方に設けられ、燃焼炎形成部18fよりも水平方向における外径幅が大きい燃料ガス貯留部18eからなる。第一発電用空気通路123から上昇した酸化剤ガスは、上部タンク18の燃焼炎形成部18fの側面と内側ケース部材64の内壁面とで構成される空間へ流入する。そして、流入した発電用空気は燃焼炎形成部18fの側面に衝突して折り返し、内側ケース部材64へ向かう流れを形成するため、その場に滞留することができる。ゆえに、燃焼炎形成部18fの側面と内側ケース部材64の側面とで形成される空間には、滞留した発電用空気に横向きの燃焼炎の熱が蓄熱され、熱溜部19が形成される。
なお、本実施例において燃料電池ハウジング8や収容される部材を円筒形状で説明したが、本発明はこれに限ったものではなく、直方体や多角形でもよい。
10 発電室
16 燃料電池セル
16a 単セル
17 燃焼室
18 上部タンク
18d 噴出孔
19 熱溜部
20 燃料ガス供給流路
21 排ガス排出流路
22 酸化剤ガス供給流路
62 点火ヒーター
63 固定部材
64 内側ケース部材
65 中間ケース部材
66 外側ケース部材
72 分散室底部材
74 酸化剤ガス供給管
76 燃料ガス分散室
94 改質部
97 多孔質支持体
97a 燃料ガス通路
98 燃料極層
100 固体電解質層
101 空気極層
103a 電極層(リード膜層)
104a リード膜保護層
122 セラミック接着剤層
123 第一発電用空気流路
124 第二発電用空気流路
Claims (3)
- 炭化水素系の原燃料ガスが改質された燃料ガスと、酸化剤ガスとにより発電する固体酸化物形燃料電池装置であって、
前記原燃料ガスを前記燃料ガスに改質する改質部と、
内部に燃料ガス通路を備え、上下方向に延びる複数の燃料電池セルと、
前記複数の燃料電池セルの周囲を取り囲むように形成された内側ケース部材と、
前記内側ケース部材の周囲を取り囲むように形成された外側ケース部材と、
前記内側ケース部材の外壁面と前記外側ケース部材の内壁面との間に形成された、前記燃料ガスを前記複数の燃料電池セルの下端へ供給する燃料ガス供給流路と、
前記内側ケース部材の内部の中心に配置された酸化剤ガス供給管と、
前記複数の燃料電池セルの各々の上端を内包すると共に、前記複数の燃料電池セルの各々の上端から噴出される未反応の燃料ガスを集約する上部タンクと、
を備え、
所定の間隔で、前記上部タンクの側面と前記内側ケース部材の内壁面との間に設けられ、前記酸化剤ガス供給管から前記内側ケース部材の内壁面へ向けて酸化剤ガスが通過する第一発電用空気流路を有し、
前記第一発電用空気流路に前記未反応の燃料ガスを燃焼させた横方向の燃焼炎が形成され、
前記改質部は、前記燃料ガス供給流路内に前記燃料電池セルの上部を取り囲み、前記燃焼炎からの熱を受けるように配置されていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池装置。 - 前記酸化剤ガス供給管は前記上部タンクの中央を貫通して延びるように配置され、
所定の間隔で全周に渡って、前記上部タンクの内周面と前記酸化剤ガス供給管の外周面との間に設けられ、前記酸化剤ガス供給管から前記上部タンクの上方へと前記酸化剤ガスが通過する第二発電用空気流路を備えていることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池装置。 - 前記上部タンクは段状に形成され、前記上部タンク段状部と前記内側ケース部材内壁面とで構成される空間に熱溜部が形成され、排気ガスは前記内側ケース部材に設けられた排気ガス噴出孔から噴出され、前記改質部に熱を与えつつ外部へ排出されることを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
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