JP6380121B2 - 樹脂成形体の製造方法、及び樹脂積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
塗布工程では、図2及び図3に示すように、所定方向に揃えられた繊維18の束に対して、スプレー31などで熱可塑性樹脂19を塗布する。塗布する熱可塑性樹脂19は、予め水を混ぜて希釈しておく。例えば、熱可塑性樹脂19として、ナイロンエマルジョンを用いる場合には、熱可塑性樹脂19と水の割合が1対1となるように希釈する。その後、乾燥工程では、熱可塑性樹脂19を塗布された繊維18の束を例えば、常温で数時間(例えば約3時間)乾燥させる。なお、熱可塑性樹脂19と水の割合、乾燥温度、及び乾燥時間はこれに限定されず、適宜変更可能である。
次に、ドライヤーなどの加熱装置を用いて、基材17の一部17A(図4参照、例えば、製品において角部16Lとなる部分及びその付近の部分)に熱風(図4の矢印H1で示す)を吹き付け、加熱する。これにより、基材17の一部17Aが加熱され、基材17に含まれる熱可塑性樹脂が軟化する。角部16Rは、車両上下方向に延びる形状をなしているため、一部17Aは、線状をなすものとされる。なお、この時の熱風の温度は、例えば、約100℃で設定され、加熱時間は1〜10秒で設定されるが、熱風の温度及び加熱時間は、これに限定されず、適宜変更可能である。
次に、図5に示すように、第1加熱工程において加熱した部分に対応する吸引孔41Bを介して基材17を吸引する。これにより、基材17の一部17A(より詳しくは成形型40の角部43L,45Lに対応する箇所)を基点として、基材17が折り曲げられ、成形面42の形状に倣う形状に成形される。この結果、樹脂成形体12における側壁部14L及び接合部15Lが成形される。その後、吸引孔41A,41Bによる吸引を続けながら、例えば、常温(約20℃〜30℃)で基材17を数秒間(例えば5秒間)保持し、加熱した部分の温度を低下させる。
次に、ドライヤーなどの加熱装置を用いて、基材17の他部17B(一部17Aとは別の部分、例えば製品において角部16Lとなる部分及びその付近の部分)に熱風(図5の矢印H2で示す)を吹き付け、加熱する。これにより、基材17の他部17Bが加熱され、基材17に含まれる熱可塑性樹脂が軟化する。なお、角部16Lは、車両上下方向に延びているため、他部17Bは、線状をなすものとされる。
次に、図6に示すように、第2加熱工程において加熱した部分に対応する吸引孔41Bを介して基材17を吸引する。これにより、基材17の他部17B(より詳しくは成形型40の角部43R,45Rに対応する箇所)を基点として、基材17が折り曲げられ、成形面42の形状に倣う形状に成形される。この結果、樹脂成形体12における側壁部14R及び接合部15Rが成形される。その後、吸引孔41A,41Bによる吸引を続けながら、例えば、常温(約20℃〜30℃)で基材17を数秒間(例えば5秒)保持し、加熱した部分の温度を低下させる。
次に樹脂成形体12及び樹脂成形体22R,22Lからバックボード10を製造する製造方法について説明する。図9に示すように、下型71の成形面71A上に樹脂成形体12及び樹脂成形体22R,22Lを各3枚ずつ積層した状態で配置する。具体的には、一枚の樹脂成形体12を配置した上から、一対の樹脂成形体22R,22Lを重ね、その上から、次の樹脂成形体12を重ねるようにする。この時、接合部15Lと接合部24Lとが互いに重なるように配置し、接合部15Rと接合部24Rとが互いに重なるように配置する。次に、上型61及び下型71を型閉じする。これにより、各樹脂成形体12及び各樹脂成形体22R,22Lが成形空間S1に配置された状態となる。なお、樹脂成形体12及び樹脂成形体22R,22Lは、成形時と上下反転した状態で成形空間S1に配置される。
次に、樹脂注入口63を通じて成形空間S1に合成樹脂を供給する。成形空間S1に供給される合成樹脂としては、例えばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。一般的に熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂に比べて流動性が高く好適である。これにより、樹脂成形体12及び樹脂成形体22R,22Lを構成する繊維間、及び隣り合う樹脂成形体の間に合成樹脂27が充填される。その後、例えば、上型61を加熱するなどして、充填された合成樹脂27を加熱させ、硬化させる。これにより、積層された樹脂成形体12及び樹脂成形体22R,22Lが一体的に成形され、バックボード10の製造が完了する。なお、バックボード10においては、樹脂成形体12の接合部15Rと樹脂成形体22Rの接合部24Rが合成樹脂27によって互いに接合され、樹脂成形体12の接合部15Lと樹脂成形体22Lの接合部24Lが合成樹脂27によって互いに接合されている。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、樹脂積層体としてバックボード10を例示し、樹脂成形体としてバックボード10を構成する部材を例示したが、これに限定されない。樹脂積層体及び樹脂成形体の用途及び形状は、上記実施形態で例示したものに限定されず、適宜変更可能である。
(2)上記実施形態においては、ドライヤーなどの加熱装置を用いて、基材17を加熱する方法を例示したが、これに限定されない。例えば、赤外線ヒーターなどの加熱装置で基材17を加熱してもよい。
(3)上記実施形態では、積層体成形工程において熱硬化性樹脂を成形空間S1に注入する方法を例示したが、これに限定されない。熱可塑性樹脂を成形空間S1に注入してもよい。
(4)上記実施形態では、繊維18に水で希釈した熱可塑性樹脂19を塗布し、乾燥させることで基材17とする方法を例示したが、これに限定されない。例えば、加熱することで軟化した熱可塑性樹脂を繊維18に含浸させることで、基材17を製造してもよい。
Claims (3)
- 繊維と熱可塑性樹脂とを含む板状の基材から、線状に連なる角部を複数含む樹脂成形体を製造する樹脂成形体の製造方法であって、
成形型に配置された前記基材の一部であって第1の前記角部となる部分に熱風を吹き付け加熱することで前記一部に含まれる前記熱可塑性樹脂を軟化させる第1加熱工程と、
前記第1加熱工程の後に行われ、前記成形型に設けられた吸引孔を介して前記一部を吸引することで、軟化した前記一部を前記成形型の成形面に倣う製品形状に成形する第1成形工程と、
前記第1成形工程の後に行われ、前記基材の他部であって第2の前記角部となる部分に熱風を吹き付け加熱することで前記他部に含まれる前記熱可塑性樹脂を軟化させる第2加熱工程と、
前記第2加熱工程の後に行われ、前記成形型に設けられた吸引孔を介して前記他部を吸引することで、軟化した前記他部を前記成形型の前記成形面に倣う製品形状に成形する第2成形工程と、を備える樹脂成形体の製造方法。 - 前記第1成形工程では、前記一部を基点として前記基材を折り曲げ、
前記第2成形工程では、前記他部を基点として前記基材を折り曲げる請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。 - 複数の主壁側樹脂成形体を積層してなる主壁部と、前記主壁部における側端部の各々から立ち上がり複数の側壁側樹脂成形体を積層してなる一対の側壁部と、を備える樹脂積層体の製造方法であって、
前記主壁側樹脂成形体と前記側壁側樹脂成形体は、請求項1又は請求項2に記載された樹脂成形体の製造方法により製造されるものであり、
製造された前記主壁側樹脂成形体を、一対の型の間に形成された成形空間に配置し、その側端部の上から製造された前記側壁側樹脂成形体を一対重ね、その上から製造された別の前記主壁側樹脂成形体を重ねる配置工程と、
前記配置工程の後に行われ、前記成形空間に合成樹脂を充填することで、前記複数の前記樹脂成形体を樹脂積層体として一体的に成形する積層体成形工程と、を備える樹脂積層体の製造方法。
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