図面についての注記
図1〜14図1〜図22は、装置の開発のために使用される機械製図に基づく。したがって、図面は縮尺通りであり、かつディスペンサに係るディスペンサ装置並びに本発明によるエネルギー保存及び拘束機構の幾何形状を代表するものである。
ここで図1を参照すると、本発明による計量液体液滴ディスペンサ装置100の斜視図を示す。
ディスペンサ100は細長い形態であり、基端側の第1の端部108から末端側の第2の端部112までの長手軸104に沿って延びる。説明するために、長手軸104は水平軸104とも呼ぶ。
リザーバアセンブリ300がディスペンサ100の第1の端部108に設けられ、ノズルアセンブリ500がディスペンサ100の第2の端部112に設けられる。中間アセンブリ700がリザーバアセンブリ300とノズルアセンブリ500との間に設けられる。
アセンブリの分解図及び断面図
図2及び図3を参照しながら装置100の概要をここで説明する。図2は図1のディスペンサ100の分解図を示す。図3は、装置100の長手軸104を通る垂直平面における断面を示した、図1の組立てたディスペンサ100の断面図を示す。
装置は、第1のハウジング端部118から第2のハウジング端部112までの装置長手軸104に沿って延びるハウジング116を備える。第2の端部112は装置100の末端側端部112を提供する。
ハウジング116はハウジング本体120及びハウジング蓋122を備える。蓋122は第2の端部112にて本体120に連結される。蓋122及び本体120は好ましくは、連続的なレーザ溶接によって連結されて事実上一体型構造のハウジングアセンブリ116を提供する。これによって、組立てた装置100への汚染物質の潜在的な進入経路をなくす。
リザーバアセンブリ
ハウジング116の第1の端部118は、リザーバアセンブリ300を、ハウジング116の長手軸104に沿って延びる段付き穴124の第1の部に摺動可能に受容するように構成される。リザーバアセンブリ300は、中空駆動ピストン302、リザーバ栓304及びリザーバ真空シール306を備える。
円筒形ベローズ308は、駆動ピストン302とハウジング116との間の境界面を密閉する一方で、ピストン302とハウジング116との間の相対運動を調整する。
ノズルアセンブリ
ハウジング116の第2の端部112は、長手軸104に対して垂直な垂直軸132に沿って延びるノズル貫通穴128を備える。穴128は、先端シール502及び先端シールピストン504を含むノズルアセンブリ500を摺動可能に受容する。ノズルアセンブリ500は、ハウジング116外側に取り付けられ、かつ先端シールが出口オリフィスに押し当てられて静止時に密閉するように先端シールピストン504を圧迫して、ハウジング116の内部密閉面との接触を促す、板ばね506をさらに備える。
中間アセンブリ
ハウジング116が、第1の端部118と第2の端部112との間に位置する中間領域136にて構成され、摺動可能に中間アセンブリ700を受容する。アセンブリ700は、真空シール702、第1のO−リング704、第2のO−リング706、マスターピストン708、作動ポンプシール710及び投薬ポンプシール712を備える。
概要−機能
要約すると、リザーバアセンブリ300は数回分の用量の液体薬物を大量に保存し、さらに装置100内へ作動エネルギーを入力するための往復可能なアクチュエータを提供する。
ノズルアセンブリ500は、閉鎖状態で微生物バリアシールを提供するノズル出口を備え、このノズル出口は、複数回の定量の液体薬物を分配するために、この閉鎖状態から開口状態に繰り返し行き来(cycle)できる。
中間アセンブリ700はノズルアセンブリ500と相互作用して、定量の液体をノズルアセンブリ500に送達する投薬/計量システムと、ノズルアセンブリ500を作動して、ノズルにその閉鎖状態と開口状態を行き来させ、定量を液滴として排出/放出させることができるアクチュエータシステムとを提供する。両方のシステムは好ましくは同一の液体薬物を用いて、汚染のリスクを最小化する。装置が所定回数の用量を送達したときに残されて使用不能になる液体の量を減少させるために、両方のシステム、特にアクチュエータシステムの容量は最小限にされる。
別々の投薬/計量システム及び作動システムの使用により、先端シールが、排出される用量の液圧とは独立した液圧で開口され得る。これにより定量を低圧で排出でき、液滴形成を改善し、装置からの液滴分離の非常に良好な制御を可能とする。
中間アセンブリ700はリザーバアセンブリ300及びノズルアセンブリ300と相互作用して、いくつかの機能を提供する。中間アセンブリ700及びリザーバアセンブリ300は相互作用して、密閉チャンバを膨張させてエネルギーを保存するピストンポンプ、及びこのエネルギーを放出して投薬/計量システムを動作させる放出機構を提供する。これらによって確実に、保証されたレベルのエネルギーが投薬/計量システム及び作動システムで利用可能となり、さらに、このエネルギーをこれらのシステムへ送達するやり方を制御することが可能となる。これによりさらに改善された液滴形成及び装置からの液滴分離の良好な制御が可能となる。
これらの特徴を以下でより詳細に説明する。
詳細な説明
ハウジング
種々のサブアセンブリ300、500、700の構成部品は装置ハウジング116内に受容される。ここで図4を参照すると、ハウジング116のみを示す図3の断面図が示されているが、装置100の残りは明瞭さのため省略された。
ハウジング116を三つの主要特徴、すなわち、前述した段付き長手穴124、垂直ノズル貫通穴128、及び中間ハウジング領域136の長手穴124の上に位置する液圧マニホールド140を備える。
段付き穴
ハウジングアセンブリ116の本体120は、ハウジング本体120内に形成され、ハウジング入口142から延びる段付き穴124を規定する。周縁面取り部143が入口142周りに設けられ、これにより段付き穴124に先細のエントランスを提供する。
段付き穴124は、第1のハウジング端部118から装置長手軸104と同軸に延びて、ノズルアセンブリ500を収容する貫通穴128に連結する。段付き穴124は直列に配置された四つの同軸穴144、146、148、150を含む。穴144、146、148、150は、第1のハウジング端部118に位置する最大直径穴から直径が大きい順に配置される。
第1の穴
駆動ピストンハウジング144としても知られている第1の穴144は、入口142から穴144の末端側端部158を規定する平面端部壁156まで、装置長手軸104に略平行に延びる第1の環状壁154の内部表面152により規定される。
第1の穴144は、直列に配置された第1の円錐台形サブセクション160及び第2の円筒形サブセクション162を備える。
より詳細には、第1の円錐台形サブセクション160は約2°のテーパを有する、すなわち、穴の直径を挟んで反対側の面同士の角度約2°を規定する。第2の「円筒形」セクションは約0.5°のテーパを有する。
拘束部分160としても知られる円錐台形部分160は入口142から延びて、拘束環状部164として呼ばれるであろう環状部164にて円筒形サブセクション162に隣接する。円錐台形穴160の直径は入口142の最大直径から拘束環状部164に向かって内向きにテーパする。このテーパによって穴144は射出成形によって容易に製造することができ、ハウジング本体120が形成された後に成形工具を取り外せる。
主要真空穴162としても知られている円筒形サブセクション162は拘束環状部164から穴144の末端側端部158まで延びる。穴162は拘束環状部164から末端側端部158まで、約0.5°の夾角でもって非常にわずかに内向きにテーパする。このテーパによって内表面152が、リザーバアセンブリ300と係合するための良好な密閉面を提供できるが、依然としてハウジング本体120を射出成形により形成できる。
穴144の末端側端部壁156は、隣接する第2の穴146と通じる貫通孔166を備える。端部壁156は、貫通孔166周りに周縁面取り部168を備え、先細食付き部を提供する。
その内二つのみが図4に見ることができる、三つの軸方向に向けられた入口溝170が、円錐台形穴160の内部表面152内に配置される。溝170は入口142から拘束環状部164へ軸方向、すなわち、円錐台形穴160の全軸長に沿って延び、穴144の周縁部周りに等置される。溝170はそれぞれ、一定深さの溝部を含み、これは入口142における最大幅から拘束環状部164における最小幅へとテーパし、これも射出成形による製造が容易である。
第1の環状壁154は局所的にハウジング入口142周りが厚く、環状バットレス172を提供する。環状バットレス172の外表面174は局所的に除去されて(relieved)、ベローズ308の第1の端部を受容するための環状溝部176を規定する。
第2の穴
副真空穴146とも呼ばれる第2の穴146は円筒形であり、第1の穴144の末端側端部158から延び、第2の環状壁178により規定される。壁178は第1の穴の端部壁156から、第1の環状段184を介して第3の環状壁182に隣接する末端側端部180まで延びる。穴は約0.5°の夾角を有して内向きにテーパして、中間アセンブリ700に対する良好な密閉面を提供しつつも、射出成形によってハウジング本体120を製造できる。環状段184は周縁面取り部186を備え、第2の穴146に隣接する第3の穴148への先細の入口を提供する。
第3の穴
作動穴148とも呼ばれる第3の穴148は円筒形であり、第3の環状壁182により規定される。穴は副真空穴146の末端側端部180から、第2の環状段192を介して第4の環状壁190に隣接する末端側端部188まで延びる。穴はこの距離にかけて約0.5°の夾角を有して内向きにテーパする。
第2の環状段192は周縁面取り部194を備え、第3の穴148に隣接する第4の穴150への先細の入口を提供する。
移送導管196としても知られる貫通孔196は、第3の穴148の壁182内の、第2の穴146の末端側端部180とは軸方向に離れた長手軸104の真上の位置に設けられる。導管196により第3の穴148と、液圧マニホールド140の第1のリザーバ197との二方向連通を可能にする。
バイパス溝198としても知られている軸方向溝198は、穴壁182の内表面200内に設けられ、穴148の開始点における環状段184と導管196との間に延びる。この溝198は図5でよりはっきりと示されており、図5は装置長手軸104を通る水平断面におけるハウジングアセンブリ116の下面図を示す。
図4を再び参照して、作動導管202とも呼ばれる第2の貫通孔202は点線輪郭で示される。作動導管202は、第3の穴148の壁182内の末端側端部188に隣接する位置に設けられる。導管202により作動穴148と、中間アセンブリ700の、点線輪郭でさらに示される第2のリザーバ199との連通が可能となる。図5を参照するとよりはっきりと見ることができるように、導管202は垂直に配向されるが、装置100の長手軸104からずれている。
第4の穴
投薬穴150とも呼ばれる第4の穴150は作動穴148の末端側端部188から延びて、第2のハウジング端部118に位置する貫通穴128に交わる。穴150は、第3の穴の末端側端部に設けられる段付き移行部192から延びる第4の環状壁190により規定される。穴150は約0.5°のテーパを有する第1の円筒形サブセクション204、及び約2°のテーパを有する第2の円錐台形セクション206を直列に備える。第2のサブセクション206は、第2のハウジング端部112にて貫通穴128と連結するまで、二つの小穴204、206の結合部から内向きにテーパする。
点線輪郭で示す、制御導管208とも呼ばれる第3の貫通孔208が投薬穴150の環状壁190に設けられる。導管208は垂直に穴150から第1のリザーバ197内へと上向きに延び、作動穴148の末端側端部188からは軸方向に離れている。導管208は図4の断面の正面にあり、水平平面における長手軸104からずれている。
図4を再び参照して、プレナム導管210とも呼ばれる第4の貫通孔210は点線輪郭で示される。導管210は投薬穴150の円筒形セクション204の壁に設けられ、垂直に上向きに延びて、点線輪郭で示した密閉されたプレナムチャンバ211と、投薬穴150との単独の連通路を提供する。プレナム導管210は制御導管208と同一平面にあり、穴150の端部寄りに制御導管208とは軸方向に離れている。制御導管208とプレナム導管210とのずれは図5にてよりはっきりと示される。
ノズルアセンブリ用の垂直貫通穴
ハウジングアセンブリ116の第2の端部112にて、貫通穴128は第5の環状壁212により規定される。貫通穴128の構造は図6でさらに詳細に規定され、図6は、図4のハウジングアセンブリ116、特に前記アセンブリの第2の端部112の断面等角図を示す。
貫通穴128は、先端シール502及び先端シールピストン504を摺動可能に受容するように構成された内部表面216を有する第1の下部円筒形セクション214を備える。円筒形セクション214の底部は基部218を末端とし、基部218は出口オリフィス220を規定する。基部218の内面222は、平面密閉面222を提供し、平面密閉面222はノズルアセンブリ500(図示せず)の先端シール502に当接して出口オリフィス220を閉鎖する。面222の表面仕上げ品質は好ましくは、VDI3400 no.18 Ra=0.80 Rz=3.3とSPI A1 Ra=0.025 Rz=0.1との間である。
オリフィス220は、環状リップ部226により規定されるノズル224につながる。リップ部226の内部表面228は、軸対称な「フレア形ベル」を形成するように成形される。この幾何形状により、ノズルを通る液体がノズルオリフィス220から離れるにつれ、減速し、安定した滴形成を促すことが確実になる。
円筒形サブセクション214の上端部は幅広の上部穴230へと開口している。上部穴230は浅い円錐形基部232を備え、浅い円錐形基部232は下部円筒形穴214から外向きかつ上向きに広がり、円筒形環状壁234に連結する。この環状壁234はハウジング本体120に形成される下部環状リップ部236、及びハウジング蓋122に形成される上部環状リップ部238を備える。上部リップ部236及び下部リップ部238が離間された関係にて保持され、その間に環状溝部242を規定し、ノズルアセンブリ500が所定位置にあるときに、環状溝部242が先端シール502(図示せず)を微生物的に(microbially)保持し密閉するように、ハウジング本体120及びハウジング蓋122は、環状壁234の外側に位置する環状当接部240周りで恒久的に連結される。
上部穴230の浅い円錐形基部232は、投薬穴150上に位置する、下部穴214の壁と上部穴230の壁との間の領域が局所的に除去されて、作動従動リザーバ244として知られている凹部244を形成する。このリザーバ244は、図4に点線輪郭で示した水平な先細導管246を介して液圧マニホールド140の第2のリザーバ199につながっている。
液圧マニホールド
ハウジング液圧マニホールド140の構造を図4とさらに図7を参照してここで説明する。図7は、ハウジング蓋122がない、ハウジング本体120の第2の端部112の斜視図を示す。
マニホールド140は、作動穴148及び投薬穴150の壁182、190から垂直上方に突出する周辺壁250により規定される矩形平面のボウル部248を備える。同じ壁182、190はボウル部248の基部を提供する。
ボウル部は、上部穴環状リップ部236に当接する第1の端部252から、副真空穴146と作動穴148との間の段付き移行部184の上に位置する末端側端部254まで延びる。
隔壁256によりボウル部248を三つの別々のリザーバ、すなわち、第1のリザーバ197、第2のリザーバ199及びプレナムチャンバ211に分割する。周辺壁250及び隔壁256は装置軸104上において同一の高さがあり、ハウジング蓋122が当接する平面上面258を規定する。三つのリザーバ197、199、211は、各々が、ハウジング116の軸104を垂直に通る平面の可能な限り近くにある周縁部を有するように配置される。これにより、マニホールド140と段付き穴との間を通る垂直孔196、202、208、210を12時の位置に可能な限り近く配置する、すなわち、最小限の横方向の変位を有して軸104上に垂直に位置させることができる。これにより、これらが穴124と交わる場合、交点にて穴148、150の内部表面にごく小さな破壊しか生じないことが保証される。これにより、孔上を通る中間アセンブリ700へのどのシールにもごく小さな損傷しか与えないことを保証する。
長手方向に延びるフランジ260がボウル部248の両側に設けられる。フランジはボウル部の末端側端部254寄りに位置する矩形切り抜き部262によって途切れている。
フランジ260は、局所的に除去された第1のハウジング端部112を除いた、貫通穴128の上部230の下部環状リップ部236の周りまで続く。
いくつかの頂部が平坦なバットレスが、第1のリザーバ197及びプレナムチャンバ211内で周縁壁から突出する。これらは、周辺壁及び隔壁256の平面上面258の下に位置する当接平面まで延びる。
ハウジング蓋
図8はハウジング蓋122の上面斜視図を示し、図9はハウジング蓋122の下面からの、すなわち、組立てたハウジング116の液圧マニホールド140内から見た斜視図を示す。
ハウジング蓋122は第2のハウジング端部を配置するための環状カラー268を含む平面上面266と、ハウジング本体120のボウル部248の周辺部250と重なるように構成される末端側平面ボウル部キャップ270とを規定する。
環状カラー268は、その内周面に垂直貫通穴128の上部環状リップ部238を設ける、円形切り抜き部272を規定する。
十字形断面の直立ペグ274が、ノズルアセンブリ500の板ばね506(図示せず)を配置するために上面266から突出する。三つの直立壁276、278、280がボウル部キャップ270から盛り上がっており、ばねのための支持面を提供して、ばねがハウジング蓋122から離間されることを保証する。第1の横断壁276はカラー268に対する末端側端部にて蓋を横切っているが、第2の軸方向壁278及び第3の軸方向壁280は、ボウル部キャップの両側を通っており、蓋122及び本体120が組立てられた状態にてハウジング本体120に設けられるフランジ切り抜き部262に隣接する。
図9を参照すると、ボウル部キャップ270の裏面282は三つの栓284、286、288を有しており、これらの栓はキャップから下方に突出する。第1の栓284は第1のリザーバ197内に嵌合し、ボウル部周辺壁250に設けられたバットレス264に当接するように成形される。第2の栓286は第2のリザーバ199内に嵌合するように成形される。第3の栓288はプレナムチャンバ211内に嵌合し、プレナムチャンバ211内の周辺壁250に設けられたバットレス264に当接するように成形される。栓284、286、288及びバットレス264は、一緒に配置されるときにハウジング本体120に対して蓋122を配置してから、好ましくはレーザ溶接により、連結する。さらに、栓284、286は、液体を含む第1及び第2のリザーバ197、199の容量を減少させるのに役立ち、装置が所定回数の用量を送達したときに残されて使用不能になる液体の量を減少させる。特に、栓284、286の使用により小容量のリザーバ197、199を確実に射出成形プロセスにより製造することができる。
下方に突出する周辺壁290がボウル部キャップ270周りに、環状カラー268の一部を中心にして設けられる。キャップ270がボウル部248に組立てられるとき、壁290はハウジング本体120のフランジ260に当接する。
キャップ270が恒久的にボウル部248に取り付けられるとき、リザーバ197、199及びプレナムチャンバ211間の連通が既に述べた垂直孔196、202、208、210及び水平導管246を介してのみ起こり得るように、キャップ270はリザーバ197、199及びプレナムチャンバ211を密閉する。連結プロセスにより、ハウジング本体120とハウジング蓋122間の密閉によって装置100外部の周囲気圧を超えるか又は周囲気圧未満の内部圧力を維持できることが保証される。
ハウジング本体120は単一のものとして、好ましくは射出成形によってポリプロピレンから形成される。同様に、ハウジング蓋122は、好ましくは射出成形によってポリプロピレンから形成される。
本実施形態では、ハウジング蓋122はハウジング本体120にレーザ溶接される。このプロセスを手助けするために、本体120の材料にはレーザ吸収性材料を添加し、蓋の材料には添加しない。これによってレーザエネルギーを、蓋を通り抜けさせてから添加材料に吸収させることができる。このことにより、蓋122及び本体120が互いに融合するように、本体120の材料の局所的な加熱が保証される。本実施例では、添加材料は約0.2重量%の炭素である。
ハウジング本体の周辺壁250、隔壁256、及び下部環状リップ部236はすべて、ハウジング本体120内に形成された、当接部264の上面により形成される連結平面265の上まで延びる。連結平面の上の材料は連続的なレーザ溶接のための消耗可能な材料の領域を提供する。
より詳細には、ハウジング本体120をハウジング蓋122に連結する間、レーザを垂直に下方へ、ハウジング本体120の連結面236、250、256の直上にある蓋122の上面266に向ける。レーザは、内部に吸収性材料がないため蓋122を通り抜け、その後ハウジング本体120の消耗可能な領域により吸収されて、この領域は融解する。そのようにするとき、ハウジング蓋122は、レーザに照射されないバットレス264の上に載るまで下方へ降ろされる。
したがって、バットレス、特にバットレスの上面により、連結されるハウジング116全体の高さを良好に制御できる。このことは、連結されるハウジング116の高さが過剰にばらつくと、板ばね506の性能の一貫性が損なわれ、またノズルオリフィス220の密閉に一貫性が損なわれるであろうことから、重要である。
リザーバアセンブリ
図10は、リザーバアセンブリ300をより詳細に示すために、図3の断面で示した装置の第1の端部108の図を示す。
リザーバアセンブリ300の中空駆動ピストン302は、ハウジング116の駆動ピストン穴144内に摺動可能に取り付けられるように構成される。図10に示した装置100の静止状態にて、駆動ピストンを完全に駆動穴内に挿入すると、駆動ピストンは中間アセンブリ700に当接する。
ピストン302は、開口端部312から平面バルクヘッド314まで延びる円筒形本体セクション310を備える。第1の環状肩部316及び第2の環状肩部318は、円筒形本体310からバルクヘッド314の外縁までの段付き移行部を提供する。段316、318間の環状ランド320は、溝部322を備え、リザーバ真空シール306に係留係合する。
ステム324はピストンバルクヘッド314の基端側端部326から末端側端部328まで突出する。ステム324は、本体310から末端側ステム端部328の出口332まで延びる内腔330を規定する。ステム324及び本体310は直列に、装置長手軸104に関して軸対称に配置されているため、駆動ピストン302は横にされた開いたボトルに似ているように見える。
本体の開口端部312は、第1の環状段316と同じだけ延び、リザーバ栓304を受容する円形穴334を規定する。本体の端部312は、組立てた装置100の第1の端部108を形成する。
駆動ピストン302の内部336は、リザーバ栓304によって開口端部312にて密閉されるバルクリザーバキャビティ336を規定する。キャビティ336は、装置100を使用前に充填したとき、液体薬物(図示せず)の大部分を保持する。本実施形態では、バルクリザーバ336の最大容量は約5立方センチメートルである。
栓304は、平面基部338から駆動ピストン穴334内に受容される円錐形先端340まで延びる、柔軟な材料、好ましくはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムからなるシリンダを有する。栓304は基部に隣接する第1の環状リップシール342、並びに先端340寄りの第2の環状リップシール344及び第3の環状リップシール346を備える。第2及び第3のシール344、346は横方向に、移動距離(swept distance)348と呼ばれる所定距離だけ離間されている。
栓304及びピストン302は、液体がバルクリザーバ336から取られるにつれて栓304がピストンバルクヘッド314の方へと引き込まれるように構成される。換言すると、栓304及びピストン302が協働して、縮小可能な(collapsible)リザーバを提供し、これによりヘッドスペース、すなわち、アレージの形成を回避し、そのためリザーバ336内における、装置内への空気及び汚染物質を引き込み得る準周囲気圧(sub−ambient pressure)の生成を最小限にする。非縮小可能なリザーバ内に導入される周囲空気に対する代替的解決手段もまた、装置内への汚染物質の導入の危険にさらすことになる
可動栓304のさらなる効果は、バルクリザーバの拡張又は収縮を可能にすることにより、装置100内の圧力を周囲気圧、大気圧、外気圧と等しくすることである。したがって、必要に応じてバルクリザーバ336と流体連通する装置100のこれら内部領域へ、又は内部領域から流体が流れることができる。
主ピストン本体310の円筒形外表面350は、ハウジング116内に位置する駆動ピストン302領域を覆う駆動ピストン穴144に摺動可能に係合する直径を有する。この摺動係合は同軸的にピストン302を穴144内に位置付け、リザーバアセンブリ300を安定させピストンの揺動を防ぐのに役立つ。このことにより、アセンブリ300の一方向真空シール306が安定しており、最適に機能して、リザーバアセンブリ300と駆動ピストン穴144の主要真空穴162との間に規定される第1の摺動密閉境界面352にて気密シールを提供することを保証する。
より詳細には、シール306は、ランド320に形成される環状シール溝部322に位置するリップシール306である。シール306は、シール306がピストン302と共に動くように溝部内に軸方向に係留保持される環状基部354を備える。半径方向に直立する壁356はシール基部354から突出し、リップ部358はこの壁356の直径方向の外縁からピストン312の端部の方へ、すなわち、ピストンバルクヘッド314から離れる方へ、かつ半径方向外向きに延びて、円錐形密閉面360を規定する。組立ててない状態では、円錐形密閉面360の完全に環状の部分362は少なくとも、主要真空穴162の内部表面152より大きい直径からなる。リップ部358は駆動穴144内に挿入されるときに半径方向内向きに圧迫されるため、シール306は、図10の組立てた静止状態にて駆動ピストン穴144の内部表面152とポジティブ係合して、密閉境界面352を提供する。密閉面352と内部穴表面152とのこの弾力的なポジティブ係合は、穴146に沿った密閉面の摺動動作中、穴144に設けられたわずかなテーパに適合する。
ハウジング116に設けられた入口面取り部168により、ハウジング116内に導入されるときにシール306が徐々に圧迫されてハウジングへの損傷を回避することを保証する。
リップ部358の円錐形の幾何形状により、密閉境界面352を通って、反対方向ではなく穴の末端側端部158から入口142の方向へといくらかの漏れを許容する。
本実施形態では、リザーバ真空シール306は、好ましくは射出成形により、低密度ポリエチレンから単一部品として形成される。
使用時には、後により詳細に説明するように、駆動ピストン302は駆動穴144を往復する。結果として、ピストンの外部の「移動」領域364は穴144内部からその外部の位置へ、またその逆へと行き来する。これにより、移動面364がハウジング116の外にある間に汚染物質にさらされ得るため、汚染リスクが生じる。
環状溝部366は、常にハウジング116の外にある駆動ピストン302の位置に設けられる。この溝部366は、ベローズ308の環状のリップ部付きの第1の端部368を保持する。ベローズ308の反対側の第2のリップ部付き端部368は、ハウジング120に設けられる環状溝部176により保持される。ベローズ308は、ピストン302の移動領域364が汚染物質にさらされないことを保証する、軸方向に拡張可能なカバーを提供する。ベローズのリップ部付き端部368、370の両方はピストン302及びハウジング116にそれぞれ密閉するように係合し、外部環境から隔離された密閉気体リザーバ372をベローズ308内に規定する。
中間アセンブリ
図11は、中間アセンブリ700をより詳細に示すために、図3の断面で示した装置100の中間領域136の図を示す。
アセンブリ700の中間真空シール702は、静止時に駆動ピストン穴144内に位置する第1の自由端部716から、マスターピストン708の第1の端部を保持する第2の端部まで延びる開口シリンダ714を含む。
図11に示す静止状態では、第1のシリンダ端部716は、主要真空穴162内にあり、駆動ピストン穴144の端部壁156の隣で終端する。半径方向に延びる密閉ディスク720は、第1のシリンダ端部716の周りに延び、穴162の内部表面152の隣にある外周面722を提供する。
ディスク720は、駆動ピストン穴144の末端側端部156に隣接する第1の平面724、及び第1のハウジング端部118に向かって末端側端部156から離れる方に向く第2の平面726を有する。
環状突設部728は、ディスク面726から穴144の第1の端部の方へと装置長手軸104と同軸的に突出する。突設部728は、外周面722の内側に位置する基部730及び末端側端部732を有する。
リップシール734は、密閉ディスク縁部722からピストン312の端部へと、半径方向外向きに延びて、外側円錐形密閉面736を規定する。円錐形密閉面736の完全に環状の部分738は、真空穴162の内部表面152よりも直径が大きい。リップ部734はハウジング116によって半径方向内向きに圧迫され、示される組立てた状態における内部表面152との密閉係合を保証する。ハウジング116に設けられた入口面取り部168により、ハウジング116内に導入されるときにシールが徐々に圧迫されてハウジングへの損傷を回避することを保証する。
リップシール734と駆動ピストン穴144の内部表面152とのポジティブ係合により、密閉ディスク720とハウジング116間の第2の摺動密閉境界面740を形成する。シールは一方向弁として作用するが、これはリップシールの円錐形の幾何形状により、密閉境界面740を通って、反対方向ではなく第1のディスク面724から第2のディスク面726の方向へといくらかの漏れを許容するからである。
シール702の外側表面742は円筒形であり、約0.5°の夾角を有し、射出成形によるシール702の製造を可能にする。面742は第2の端部718で除去され、第2のO−リング706を、O−リング706の内径746によって半径方向に配置するために直径が低減された環状棚部744を提供する。棚部744は、O−リングの外径748を副真空穴壁178に押し当て、穴146と中間真空シール702との間に第3の密閉境界面750を形成する。O−リング706は、シリンダの穴752内の、ときに低圧である空気と、O−リング706の反対側の液体薬物との間の摺動対称密閉境界面750を提供する。
シールシリンダ714の穴752は、第1の端部に内側配置リップ部754を備え、これは摺動係合しながら駆動ピストンステム324に当接する内周面756を提供する。第1のシリンダ端部716と第2のシリンダ端部718の間のこのリップ部754の隣にて、穴752は、その外径760によって中間アセンブリ700の第1の内部O−リング704を保持する、内部ランド758を備える。このランドは、O−リング704の内径762を駆動ピストンステム324に押し当て、第4の密閉境界面764を形成する。O−リング704は対称摺動シールを提供し、弁としては機能しない。本実施形態では、第1及び第2のO−リング704、706はニトリルから製造される。
ランド758の隣にて、シリンダ穴752は外方に、マスターピストン保持リップ部766とも呼ばれ、第2の端部718に位置するさらなる内部環状リップ部766へとテーパする。以下で述べられるように、リップ部756により、シール702をマスターピストン708に結合する。
中間真空シール702は、好ましくは射出成形により、低密度ポリエチレンから単一部品として形成される。
中間アセンブリ700のマスターピストン708のみの斜視図を示す図12をさらに参照すると、マスターピストン708は、大部分が装置長手軸104に関して軸対称である細長の本体を備える。ピストン708は直列に配置された三つのセクション768、770、772からなると考えることができる。
保持されるセクション768としても知られている第1のセクション768は管状であり、マスターピストン708の第1の端部774から第1のフランジ776まで延び、第1のフランジ776は、第1の弓状支持面778及び、副真空穴146の内部表面に当接する第2の弓状支持面780を提供する。第1及び第2の弓状支持面778、780は、円周の一部であり、円周は第1及び第2の弦面782(そのうち一つのみを図12で見ることができる)により途切れている。
保持されるセクション768の外側表面784は円筒形サブセクション785の開口端部774から外方にテーパし、円筒形サブセクション785は、テーパ部分と第1のフランジ776との間にある。保持されるセクション768は全体が中間真空シール702内にあり、円筒形サブセクション785はシール702のシリンダ穴752との良好な位置決めを保証する。フランジ776の隣の、円筒形サブセクション785の外側表面に配置される環状溝部786は中間真空シール702のマスターピストン保持リップ部766を受容して、シール702に対して軸方向にピストン708を固定する。このことによって、シール702及びピストン708が互いに結合され、一つの部品として軸方向に動くことを保証する。
移送セクション770とも称される第2のセクション770は、装置100の静止状態においてハウジング作動穴148内にある。セクション770は第1のフランジ776から第2のフランジ788まで延び、第2のフランジ788は第1の弓状支持面790及び、作動穴148の内部表面に当接する第2の弓状支持面792を提供する。第1及び第2の弓状支持面790、792は、円周の一部であり、円周は第1及び第2の弦面794(そのうち一つのみを図12で見ることができる)により途切れている。
移送セクション770の外側表面796は、第1及び第2のフランジ776、788間に延びる一連の軸方向のランナー798を備える。ランナー798はそれぞれ、作動穴148の内部表面と係合する軸方向支持面880を提供する。第2のフランジ788寄りの点にて、移送チャネル802がマスターピストン708の本体周りに規定されるように各ランナー798は除去される。チャネル802は、ピストン708の頂部及び底部に配置される第1及び第2の移送孔804、806により供給される(図11にてよりはっきりと示す)。孔804、806は、示されているように作動穴壁182に設けられる移送導管196とほぼ位置合わせされるが、実際は孔804、806は移送導管196に対して、装置長手軸104を中心に回転し得る。第1及び第2の対向する孔804、806を規定することによって、この角度は、移送孔804、806と移送導管196との間に常に良好な流路が提供されることを保証するために、最大値90°を有することを保証する。
ポンピングセクション772とも称される第3のセクション772は、マスターピストン708の第2のフランジ788から第2の閉鎖端部808まで延びる。ポンピングセクション772は段付きピストンであり、これにより同一の本体上の、作動ポンプシール710により作動ピストン、及び投薬ポンプシール712により投薬ピストンを提供する。
より詳細に、ポンピングセクション772は、第2のフランジ788から、フランジ788と閉鎖ピストン端部808の中間に位置する肩部812まで延びる作動シリンダ810を備える。作動シリンダ810の外側表面814は、投薬穴150の内部表面に摺動可能に係合するように構成される。外部ランド816は外側表面に、軸方向に第2のフランジ788から離間されて設けられ、作動シール保持溝部818を規定する。
図11を参照すると、作動ポンプシール710は環状リップシールであり、位置決めリング820及びリップシール822を含む。位置決めリング820はポンピングセクション772の溝部818により保持される。リップシール822は位置決めリングの外径に配置され、第2のピストン端部808に向かって、半径方向外向きに突出して、組立てられてない状態で作動穴148よりも直径が大きい円錐形密閉面824を規定する。円錐形密閉面824は段付き穴124内へと内向きに、マスターピストン708のアセンブリに押しつけられるため、少なくとも密閉面の一部は作動穴148と係合して、マスターピストン708と穴148との間の液密密閉境界面826を提供する。作動穴148のテーパされた入口186により、シール710が装置100のアセンブリに対して徐々に圧迫されてシールへの損傷を回避することを保証する。
リップ部822の円錐形の幾何形状により、シール710は一方向弁として作用し、密閉境界面826を通って、移送セクションに向かう反対方向ではなく移送セクションから離れる方向へといくらかの漏れを許容する。
作動ポンプシール710は、好ましくは射出成形により、低密度ポリエチレンから単一部品として形成される。
図12を再び参照すると、作動部分の外側表面814は、四つの軸方向溝828をランド816の下流に備え、これらは作動シリンダ810の端部にて肩部812を通って延びる。
投薬シールボス830は、作動シリンダ810と同軸に、作動シリンダ810の肩部付き端部812から延びる。ボス830は作動シリンダ810よりも直径が小さく、直立した位置決めリング832をその中央部辺りに備え、投薬ポンプシール712をボス830に固定する。
図11を参照すると、投薬ポンプシール712は、ボス830上に嵌合する中央キャップ834を備える環状の二方向リップシールである。キャップ834は環状のキャップ壁836及び、第2のピストン端部808に位置する端部壁838により規定される。
環状壁836の内部表面に形成される内部溝部840は、直立するボスリング832を受容する。フランジ842は半径方向にキャップ834の中央部から突出し、その最外周に一対の環状リップシール844、846を備える。第1のリップシール844はマスターピストン708の肩部812に向かって突出し、第2のリップシール846は肩部812から離れるように突出する。リップシール844、846の両方はさらに半径方向に突出し、組立てられてないときに投薬穴150の移動部分204よりも直径が大きい背向円錐形密閉面848、850を提供する。各密閉面848、850は段付き穴124内へと内向きに、マスターピストン708のアセンブリに押しつけられるため、少なくとも各リップシール844、846の一部は、投薬穴150とマスターピストン708との間の密閉境界面852、854を提供する。投薬穴150のテーパされた入口194により、シール712が装置100のアセンブリに対して徐々に圧迫されてシール712への損傷を回避することを保証する。
密閉境界面852、854はそれぞれ一方向型シールであるが、それらの背向構成により、シール712の全密閉効果は対称である、すなわち、シールを通過する漏れが両方向において防止されることを保証する。
投薬ポンプシール712は、好ましくは射出成形により、低密度ポリエチレンから単一部品として形成される。
マスターピストン708は、ピストンの第1の端部774からポンピングセクション772内のテーパ端部まで延びる、軸方向止まり穴856を規定する。穴856は、保持されるセクション768内に駆動ピストン302のステム324を受容するようにサイズ決めされる。このことにより、バルクリザーバ336の中身が移送孔804、806を介して、ピストン308の外部移送チャネル802と流れ連通することを保証する。
マスターピストン708は、好ましくは射出成形により、ポリプロピレンから単一部品として形成される。
ノズルアセンブリ
ここで図13を参照すると、装置のノズルアセンブリ500を示すために、装置100の第2の端部をより詳細に示す。
ノズルアセンブリ500は、装置100の第2の端部112にて摺動可能に垂直貫通穴128内に配置される先端シール502及び先端シールピストン504と、ハウジング蓋122に取り付けられて先端シールピストン504を圧迫する板ばね506とを備える。
先端シール502は、上部の第1の端部512にて作動隔板510を備える柔軟な管状本体508と、底部の第2の端部にて平面密閉キャップ514とを備える。環状リップシール516は、隔板510と平面密閉キャップ514の間のほぼ中間点において本体の外面周りに延びるため、段付き穴124との連結部上部の点にて貫通穴128を密閉する。リップシール516は、シール502と貫通穴128の内部表面216との間に摺動液密シールを提供するようにサイズ決めされる。
止まりソケット518は、隔板510の中心の開口端部520から密閉キャップ514により形成された閉鎖端部522まで延びる。先端シールピストン504はこの止まりソケット518内に固定される。
作動隔板510は、シール502の管状本体508から外向きに延びる、略一定の厚さの浅いファンネル形ディスク524を含む。ほぼ円形断面の一体型密閉ビード526が、隔板510の外径周りに設けられる。組立てた状態では、密閉ビード526が、ハウジング本体120とハウジング蓋122との間に規定される環状溝部242に締め付けられ、かつ圧迫される。ハウジング116内での先端シール502の締め付け係合は微生物バリアを提供する。隔板510の上面527は装置100の外面を提供し、この外面は外部環境と液体薬物とを分離する。締め付けられた隔板510とハウジング116とのアセンブリにより、これらの連結が汚染物質の進入、及び薬物が出ていくこと、すなわち漏れを防止することを保証する。
管状本体508は、貫通穴128の垂直軸132に沿って、かつこれの周りに延びる環状壁528を含む。壁528は、シール502の下端でキャップ514の外部平面密閉面532から、外向きにテーパする切頭双円錐バットレス534まで延びる、円筒形基部530を備える。リップシール516はこの支持部上部の最外縁部から、組立てられてない状態で貫通穴128よりもわずかに直径が大きい直径まで延びる。リップシール516の外縁は、先端シール502が上部穴230を介して貫通穴128内に挿入されるときに、内向きかつ上向きに、すなわち、隔板の方へ圧迫される。
半径方向リップシール516の幾何形状により、逆方向ではなく、リップ部516の下の領域からそこを通って、すなわち、密閉面222から隔板510への方向に流体が漏れ得る。その結果、リップシール516は、逆の方向、すなわち、流体の圧力がシールの下で高く上で高い方向ではなく、第1の方向、すなわち、流体の圧力がシールの上は高く、下は低い方向における、より大きい圧力の不均衡を維持することができる。
リップシール516は、リップシール516から隔板510に延びる、環状壁528の首部分538まで延びる上部平面密閉面536を規定する。環状壁の首部分538は基部530よりも外径が小さい。
先端シール502は単一部品として、本実施形態ではEPDMゴムから製造される。
先端シールピストン504は、先端シールソケット518の閉鎖端部522に位置するその基部540から、シールアセンブリ500を組立てたときに、ハウジング蓋122の上面266から盛り上がっている自由端部542まで延びる細長ロッド539を備える。円形フランジ544は、上部自由端部542と上部隔板表面527間の点にてロッド539周りに延びる。静止状態では、フランジ544は隔板510から離間している。
先端シールピストン504の上部自由端部542はドーム形である。
本実施形態では、先端シールピストン504はポリプロピレンから形成される。好ましくは、先端シール502及び先端シールピストン504はそれぞれ射出成形される。さらにより好ましくは、先端シール502及び先端シールピストン504は、二個取り射出成形プロセスにより同一の成形ツールで射出成形される。
板ばね506は、取り付け端部546から自由支持端部548まで延びる弾力ステンレス鋼板からなる。取り付け端部546では、ばねはハウジング蓋122の直立ペグ274上に嵌合する取り付け孔550を規定する。ばね506の下面は壁276、278、280の上に載っており、これらにより下面がハウジング蓋122の上面とは離間している。横断壁276のみが図13に見ることができる。
一対のアーム554(一つのみが見える)はばね506の取り付け端部546から横方向に延び、ハウジング蓋122を取り巻いて、本体120両側のフランジ切り抜き部262を通過し、蓋122の露出した裏面を締める。これにより、ばね506がしっかりとハウジング蓋122に固定されて、動作の一貫性を保証することが保証される。
ばね506の自由端部548は取り付けセクションから先端シールピストン504上部の点まで延びる。ばね506の端部は取り付け端部546から内向きにテーパして、先端シールピストン504のドーム形頭部に当接する細長先端556を規定する。
示される静止状態では、板ばね506はピストン504のドーム形頭部542にポジティブ係合して、これを穴128の垂直軸132に沿って下方へ押す。ばね506の裏面552により先端シールに印加される力が垂直穴軸132にぴったりと位置合わせされ、穴128内における先端シールピストン504及び先端シール502の揺動を最小限にすることを保証するように、ドーム形頭部542及び板ばねの自由端部の長さは選択される。
ピストン504の下端は先端シール502の閉鎖基部を、貫通穴の基部における密閉面222に対して駆動し、出口オリフィス220を密閉する。また、板ばね506により先端シールピストン504を介して先端シール502に印加されるばね力は、先端シール502が、先端シール502が出口オリフィス220を密閉する公称点を超えて圧迫されるのを保証するのに十分である。
本実施形態では、ばね506は約7.5Nの荷重を先端シールピストン504の自由端部542に加え、先端シール502をハウジング密閉面222に対して付勢する。これによりピストンシールの外部密閉面532と、貫通穴128内の密閉面222との締付力約5Nが生じる。これは、約3.75mm2の面積を有するこれら二つの間に形成される密閉境界面を密閉するのに必要とされる3Nを超過している。
可変容量チャンバ
組立てたとき、装置100は、ディスペンサ100の動作の鍵となる複数の可変容量チャンバを規定する。図14を参照すると、図3の装置を通る断面図が示される。
第1の真空チャンバ
結合真空チャンバ900は装置ハウジング116、リザーバアセンブリ300と中間アセンブリ700の間に規定される。
より詳細には、図11も参照すると、チャンバ900は主要真空穴162の内部表面152、リザーバ真空シール306、リザーババルクヘッド314とリザーバステム324の間に、中間真空シール702、特にリップシール734、第2のディスク面726及び第1のO−リング704により規定される。
真空チャンバ900は装置100が静止時の収縮状態で示される。この静止状態では、中間真空シール702の密閉ディスク720はリザーバアセンブリ300のバルクヘッド314にぴったり適合するように構成されているのが見てとれる。これにより収縮状態での結合真空チャンバ900の容量を最小限にし、チャンバが保持する周囲空気の容量を最小限にする。後述のようにこれにより動作時にチャンバ900の有効性が改善する。
真空チャンバ900は、駆動ピストン302及び中間アセンブリ700の移動によって、この静止位置から摺動して移動可能である。チャンバ900の一体性は、リザーバ真空シール306と主要真空穴162との間に設けられる第1の密閉境界面352、及び中間シール702と主要真空穴162との間に設けられる第2の密閉境界面740により維持される。
第2の真空チャンバ
作動真空チャンバ902は装置ハウジング116と中間アセンブリ700との間に規定される。
より詳細には、図11も参照すると、チャンバ902は主要真空穴162の内部表面152、末端側壁156の内部表面、副真空穴壁146の内部表面、中間真空シール702、特にリップシール734、第1のディスク面724、真空シール外側表面742と第2のO−リング706により規定される。
作動真空チャンバ902は装置100が静止時の収縮状態で示される。この静止状態では、中間真空シール702の密閉ディスク720及び外側表面742は末端側穴端部158、及び副真空穴146の内部表面にぴったりと合致するように構成される。これによりチャンバが保持する周囲空気の容量を最小限にし、後述のように動作時のチャンバ900の有効性を改善する。
チャンバ902は示される収縮状態から、作動真空シールを駆動穴144の開口端部の方へ摺動させることによって拡張可能である。
作動真空チャンバの一体性は、リップシール734と主要真空穴162の内部表面152の間に形成される第2の密閉境界面、及び第2のO−リングと副真空穴146の内部表面の間に提供される第3の密閉境界面750により維持される。
図11を参照すると、ピストンバルクヘッド314及び密閉ディスクの第2の面726の面積は、密閉ディスクの第1の面724及び中間シール外側表面742の外側の第1の穴の端部壁156の面積よりも大きいため、結合真空チャンバ900は作動真空チャンバ902よりも大きな移動面積を有する。
結合真空チャンバ900のより大きな移動面積により、装置軸104に沿った所定の拡張については、第1のチャンバ900の容量の増加分は作動真空チャンバ902の容量の増加分よりも大きいことが保証される。これにより、マスターピストン708をハウジング116から引き離すときに、作動真空チャンバ902は結合真空チャンバ900よりも拡張する。そのため、図16Aから図18Bに示す装置サイクルの作動ステップの間、結合真空チャンバ900は中間アセンブリ700を駆動ピストンに固定する。
作動ポンプ
可変容量チャンバ904からなる作動ポンプ904は、図14から明らかなようにハウジング116と中間アセンブリ700との間に規定される。
より詳細には、図11及び図12も参照すると、作動ポンプ904は作動穴148の内部表面によって、投薬穴150の内部表面によって、また作動ポンプシール710と投薬ポンプシール712との間のマスターピストン708の外面、並びにシール710、712それら自体によって規定される。
図14は、収縮状態の静止位置における作動ポンプ904を示す。チャンバ904はこの収縮状態から、中間アセンブリ700を駆動穴の開口端部の方へ摺動させることによって拡張可能である。
投薬ポンプ
可変容量チャンバ906からなる投薬ポンプ906はハウジング116と、中間アセンブリ700と、先端シール502を含むノズルアセンブリ500との間に規定される。投薬ポンプ906は後述するように、定量の液体薬物を送達するように構成される。
より詳細には、図13も参照すると、投薬ポンプ906は投薬ポンプシール712、投薬穴150の内部表面、貫通穴128の内部表面216、密閉面222、先端シール502の円筒形基部530及びリップシール516の間に規定される。特に、先端シール502は貫通穴128と協働して、密閉面222とリップシール516間の環状投薬ポンプ908を規定し、これは段付き穴124の投薬穴150と流れ連通することが見てとれる。
図14は、収縮状態の静止位置における投薬ポンプ906を示す。チャンバ904はこの収縮状態から、中間アセンブリ700を駆動穴の開口端部の方へ摺動させることによって拡張可能である。
先端シール作動チャンバ
先端シール作動チャンバ910はハウジング116とノズルアセンブリ500との間に規定される。
より詳細には、図13も参照すると、チャンバ910は、リップシール516と作動隔板510の下面との間にて、リップシール516と隔板510の間の貫通穴128の壁によって、貫通穴128の浅い円錐形基部232によって、さらに凹部244によって規定される。
装置の動作
図15〜図21は装置動作サイクルを概略的に示す。
図15Aから図15Cを参照して、ここでは静止時の装置100を説明する。図15Aは、第2のリザーバ199及び第1のリザーバ197の一部を示す、静止時の装置100の第1の断面を示し、図15Bは、第1のリザーバ197及びプレナムチャンバ211を示す、静止時の装置100の第2の断面を示す。図15Cは静止時の装置100のフローチャートを示す。
静止状態では、駆動ピストン302は中間アセンブリ700に当接し、中間アセンブリ700は駆動穴の末端側壁156に当接する。結果として、結合真空チャンバ900及び作動真空チャンバ902は両方とも収縮状態にあり、最小容量を有する。両方のチャンバ900、902は周囲気圧にて空気で満たされている。
第1のリザーバ197は移送導管196、移送ポート804、(図示されていない806も)、リザーバ内腔330及びマスターピストン穴856を介してバルクリザーバ336と恒久的に流体連通する。とりわけ、作動穴に設けられたバイパス溝198により、第1のリザーバ197が動作サイクルを通して、作動ポンプシール710の位置に関係なくバルクリザーバ336と流れ連通することが保証される。特に、シール710が移送導管196のバルクリザーバ336側にあるときは、溝198はシール710を迂回するが、そうしなければ第1のリザーバ197をバルクリザーバ336から隔離してしまう。
静止時は作動ポンプシール710が作動穴の末端側端部188に隣接しているため、作動ポンプ904は収縮状態にある。チャンバ710は液体薬物912で満たされている。
作動ポンプ904は、チャンバ904と第1のリザーバ197の間の制御導管208を介して第1のリザーバ197と流れ連通する。チャンバはさらに、静止状態では作動ポンプシール710によって密閉されない作動導管202を介して第2のリザーバ199と流体連通する。
先端シール作動チャンバ910は水平導管246を介して第2のリザーバ199と流れ連通し、装置100の動作サイクル中、このまま維持する。静止時は、先端シール作動チャンバ910は周囲気圧にて薬物912で満たされる。
したがって、静止時にバルクリザーバ336は第1のリザーバ197と、さらに作動ポンプ904、第2のリザーバ199及び先端シール作動チャンバ910と流れ連通する。これにより、これら領域中の液体薬物912の圧力を、リザーバ栓304の移動により、装置100外部の周囲気圧と実質的に等しくできることを保証する。これにより、装置100内の圧力は実質的に大気圧を超えず、これにより投薬時の漏れ、すなわち「噴射」をもたらし得ることが保証される。同様に、装置100内の圧力は実質的に大気圧未満にならないことを保証し、これにより装置100内へ外部の汚染物質を引き入れる可能性がある。
静止状態では、投薬ポンプ906及びプレナムチャンバ211はともに、図15Cに概略的に示す閉鎖計量システム914としての装置100の残りからは隔離される。投薬ポンプシール712は円筒形サブセクション204の末端側端部にあり、チャンバ906を収縮状態に置く。シール712は制御導管208を閉鎖し、それによってチャンバ906及びプレナムを第1のリザーバ197から隔離する。チャンバ906はさらに、先端シール502によって外部環境からも隔離され、先端シール502は板ばね506により出口オリフィス220に対して閉鎖される。
静止時には、チャンバ906は、先端シールリップシール516の作用によってわずかに加圧されて外部周囲気圧を超える薬物912で満たされ、先端シールリップシール516は板ばね506の力でチャンバ内に押し込まれる。
プレナム211はプレナム導管210を介して投薬ポンプ906と恒久的に流れ連通する。プレナムは意図的に空気で満たされており、この空気は、プレナム導管210を介して投薬ポンプ906内の薬物912と同じ圧力にバランスされる。薬物が空気との接触、例えば酸化により変質しやすい場合、プレナム211は代わりに窒素等の不活性ガスで満たされ得ることが理解されよう。
圧力差が十分に大きい、すなわち、投薬ポンプ906内の圧力が先端シール作動チャンバ910内の圧力を十分に超えている場合に、先端シール周りに設けられる半径方向のリップシール516は変形でき、液体912が投薬ポンプ906から先端シール作動チャンバ910へと移動させられる。前述の通り、先端シール作動チャンバ910は静止時にバルクリザーバ336と流れ連通するため、このような漏れに対応でき、したがってこれは必要に応じて投薬ポンプ906の圧力を下げるのに役立つ。そのため、投薬ポンプ906が送達するのと同じ液体薬物912を作動ポンプ904に使用することにより、リップシール516を通過するいくらかの漏れを許容し、投薬チャンバ906における圧力スパイクに対応することができる。さらに、別個の作動液体を使用した場合の、作動ポンプ904用の別の作動液体による液体薬物の汚染の可能性を、両方のポンプ904、906に共通の液体を使用することによりなくす。
ベローズ内の密閉した気体リザーバ372は周囲気圧にて空気を含む。
使用者操作−アクチュエータ
図3を参照すると、駆動ピストン302、中間真空シール702及びハウジング116は装置100を操作するためのアクチュエータを提供する。
より詳細には、装置100を操作するために、使用者は、駆動穴144の端部壁156付近から外に突出する、一対の対向するハウジングラグ918(図2に一つのみ示す)から離れるように駆動ピストン302の開口端部付近から外に突出する、一対の対向するリザーバ作動ラグ916(図2に示される)を引っ張る。
このようにして、使用者は、駆動ピストン302をハウジング116から、図18A及び図18Bに示すような作動位置まで引くことによって液体薬物を送達するための装置100を作動させる。
図18a、図18bに示す位置では、駆動ピストン/リザーバ真空シール306は軸方向入口溝170に隣接するが、覆い被さらないように位置する。動作のこのステージまでは、駆動ピストン302の移動によって中間真空シール702の移動、したがって、付属する作動ポンプ904及び投薬ポンプ906の動作を引き起こす。駆動ピストン302は、密閉されて拡張を阻止する結合真空チャンバ900の動作により中間真空シール702に結合する。
したがって、駆動ピストン302の引き離しにより、さらに中間真空シール702もハウジングから引き離され、これにより作動真空チャンバ902を拡張し、事実上、作動エネルギーを保存する(だが、エネルギーは実際には、駆動ピストン302の引き離しによって入れ替わった空気により真空チャンバ902の外に保存される)。
図19a及び図19bに示すように駆動ピストン302がハウジング内の溝170を超えて引っ張られると、結合真空チャンバ900は密閉されず、中間真空シール702が駆動ピストン302から外れる。そのため、動作サイクルのこのステージからは中間真空シール702は駆動ピストン302から独立して、すなわち使用者のディスペンサ100への入力から独立して移動する。
また、中間アセンブリ700の移動はここでは結合真空チャンバ900に入る大気の圧力により駆動される。作動真空チャンバ902により維持される低い圧力により、中間アセンブリ700の密閉ディスク720中の差圧が生じ、これにより中間アセンブリ700を装置内に戻すように駆動する。これにより、以下でより詳細に述べられるような装置の送達段階の動力を供給する。
ディスペンサの動作サイクル
第1のステージ−プライミング段階1
ここで図16Aから図16Cを参照すると、図15Aから図15Cと同じ図が示されるが、装置100は動作の第1のステージのものである。動作のこの第1のステージでは、リザーバラグ916(図2)をハウジングラグ(918、図2)から離すように引っ張ることによって、駆動ピストン302をハウジング116から引き離す。駆動ピストン302の引き離しによって、アセンブリ700を駆動ピストンに結合する結合真空チャンバの作用により、中間アセンブリ700は駆動穴の末端側壁156から離れるように引っ張られる。
結果として、作動真空チャンバ902は拡張し、これによりチャンバ902内の空気の圧力が大気圧未満になる。作動真空チャンバ902を拡張するのに必要な仕事量(work)は事実上チャンバ902内の準周囲気圧により保存される。
中間アセンブリ700の移動によりマスターピストン708及び作動ポンプシール710を作動穴の末端側端部188から離すように引っ張って作動ポンプ904を拡張する。
投薬ポンプシール710は作動ポンプ904を制御導管208から分離し、実質的に作動ポンプを第1のリザーバ197、したがってバルクリザーバ336から隔離する。これは第2のリザーバ199及び先端シール作動チャンバ910をバルクリザーバ336から実質的に隔離するというさらなる効果を有する。
その結果、作動ポンプ904の拡張により作動ポンプ904、第2のリザーバ199及び先端シール作動チャンバ910の局所的な圧力低下が生じる。
作動ポンプシール710は第1のリザーバ197からの小さな一方向流路を提供し、これにより作動ポンプ904の拡張によりもたらされる差圧下でいくらかの漏れを許容する(第1のリザーバ197は恒久的にバルクリザーバ336と流れ連通するため周囲気圧のままである)。これは図16Cの点線矢印920にて示す。
薬物912のシール710を通る流れ920により作動ポンプ904内の圧力低下を低減することによって、液圧式ロックを回避し、駆動ピストン302を引き離すために必要とされる作動力を低減させる。
中間アセンブリ700の移動により、さらに投薬ポンプシール712を円筒形サブセクション204の末端側端部から離れるように移動させ、投薬ポンプ906を拡張させる。投薬ポンプ906は動作の第1のステージにおいて、液体薬物のいかなる供給源からも隔離されるため、ポンプを満たすのに十分な液体がないことから容量の増加によりポンプ906内の圧力低下を引き起こす。
プレナムチャンバ211内の空気は膨張して、増加した容量を占める。これによりプレナム及び投薬ポンプ906の圧力は大気圧未満に下がるが、真空ロックが生じることは防ぎ、そうしなければ装置100の作動を妨げることがある。先端シール502はさらに、投薬ポンプ906の拡張により生じる希薄状態を低減させるために投薬ポンプ906内へと撓むことができる。
先端シール作動チャンバ910は周囲気圧にてなお薬物912で満たされたままである。
第2のステージ−プライミング段階2
図17Aから図17Cを参照すると、投薬プライミングステージとしても知られている動作の第2のステージでは、投薬ポンプシール712が制御導管208を露出させ、制御導管208を介して第1のリザーバ197と流体連通するように投薬ポンプ906を配置すべく移動するように、駆動ピストン302はハウジング116からさらに引き離される。
図17Cにて矢印922で示すように、第1のリザーバ197はバルクリザーバ336と恒久的に流れ連通するため、液体薬物は第1のリザーバ197から投薬ポンプ906内へと流れる。これにより投薬ポンプ906を周囲気圧にて液体薬物912で満たす。したがって、プレナムチャンバ211内の空気はまた大気圧に戻る。
チャンバ902内の圧力が周囲気圧よりもずっと低くなるように、ピストン302は中間アセンブリ700をさらに駆動穴の末端側壁156から離れるように引っ張って、さらに作動真空チャンバ902を拡張させる。
作動ポンプ904、第2のリザーバ199及び先端シール作動チャンバ910は周囲気圧未満にて液体薬物912で部分的に満たされる。
第3のステージ−プライミング段階3
図18Aから図18Cを参照すると、作動プライミングステージとしても知られている動作の第3のステージでは、駆動ピストン302は、真空シール306が入口溝170の隣に位置するが、当接しないように、すなわち、拘束環状部164(図4に示される)にあるように、ハウジング116からさらに引き離される。
チャンバ902内の圧力が周囲気圧よりもずっと低くなるように、ピストン302は中間アセンブリ700をさらに駆動穴の末端側壁156から離れるように引っ張って、さらに作動真空チャンバ902を拡張させる。
中間アセンブリ700の移動により、作動ポンプシール710は移送導管196を露出させ、第1のリザーバ197と流れ連通するように作動ポンプ904を配置し、その結果、矢印924で示すように、液体薬物912は第1のリザーバ197から作動ポンプ904に流れる。第1のリザーバ197はバルクリザーバ336と恒久的に流れ連通するため、作動ポンプは周囲気圧にて液体薬物912で満たされている。
要約すれば、図18Aから図18Cに示す動作の第3の段階では、作動ポンプ904及び投薬ポンプ906はそれらが最大容量であり、両方とも周囲気圧にて液体薬物912で満たされている。プレナム211は標準圧力にて空気で満たされているが、先端シール作動チャンバ910は周囲気圧にて液体薬物912で満たされている。
プライミングする、すなわち、拡張された投薬ポンプ906を充填してから拡張された作動ポンプ904をプライミングをすることにより、投薬ポンプ906内に加圧液体912が存在してない状態で先端シール502が開放され得るという可能な誤用シナリオが回避される。投薬ポンプ906が開口する前に充填されていること、さらに先端シールが開く前に投薬ポンプがわずかに加圧されていることを保証することにより、装置100は、空気が出口オリフィス220の開口時に投薬ポンプ904に入ることができないことが保証される。
第4のステージ−作動
図19Aから図19Cを参照すると、作動ステージとしても知られている動作の第4のステージでは、駆動ピストン302はハウジング116からさらにわずかに引き離され、真空シール306は入口溝170の上を覆う。これがピストン302がハウジング116から引き離される最大距離である。
入口溝170は、結合真空シール306とハウジング116との間の密閉境界面352に割り込むため、気体リザーバ372は結合真空チャンバ900と流れ連通する配置となる。これにより空気はリザーバ372から溝170へ、シール306を通過してチャンバ900内に流れることができる。チャンバ900内への空気流によって結合真空チャンバ900内の圧力が上昇し、中間アセンブリ700と駆動ピストン302との間のロックを解除する。
結合真空チャンバ900内の圧力上昇により、結合真空900を作動真空902から分離させる密閉ディスク720での圧力不均衡が生じる。これにより中間アセンブリ700は駆動ピストン穴の末端側端部158に向かって駆動される。空気のチャンバ900内への流速により、中間アセンブリが、図15A及び図15Bに示すその静止位置に戻る速度を制御する。
結果として、装置100の中間アセンブリ700はここで、作動サイクルの最終ステージのために駆動ピストン302に加える任意のさらなる使用者の努力とは独立して動力を供給される。したがって、拘束環状部164の位置により全作動エネルギーが既定され、この既定エネルギーに到達し保存されてから、これを放出し、中間アセンブリを静止状態に戻すように駆動することを保証する。
結合真空チャンバ900への空気流速は溝170により低下し、これにより、コイルばね等のその他のエネルギー保存システムと比較した場合に、投薬のための中間アセンブリ700及びノズルアセンブリ500へのエネルギー放出速度が良好に制御される。溝170のサイズ及び数は、中間アセンブリ700をその静止位置に駆動するために放出されるエネルギー量を規定するように選択され得る。
このシステム内へのエネルギーの良好な制御は、良好な液滴形成のために重要であることが見出された。
第5のステージ−プライミング段階4
動作の第4のブリード(bleed)ステージにおける、図20Aから図20Cを参照すると、作動ポンプシール710が作動穴148と第1のリザーバ197との間の移送導管196を覆うようにその静止位置へと移動する。
シール710が戻る方向にて移送導管196を通過すると、リップシール710の一方向性質により、流体が作動ポンプ904から逃げられないことを保証する。したがって、図20Cに概略的に示される連続的な閉鎖作動容量926は、作動ポンプ904、第2の貫通孔202、第2のリザーバ199、水平導管246及び先端シール作動チャンバ910により規定される。
結果として、静止位置への中間アセンブリ700のさらなる移動により、作動ポンプ904の容量を減少させ、これにより閉鎖容量926内の薬物912を加圧する。先端シール作動チャンバ910の結果として生じる加圧により、先端シール隔板510の裏面に液圧による揚力が加えられる。
中間アセンブリ700の移動はさらに、投薬ポンプシール712を円筒形サブセクション204の末端側端部へと移動させる。投薬穴150と第1のリザーバ197との間の制御導管208は露出されたままであり、これにより投薬ポンプ906内の薬物912はリザーバ336へと流れて戻ることができる。より詳細には、図20Cにて矢印928で概略的に示されるように、液体912はポンプ906から制御導管208を介して第1のリザーバ197に流れる。
第6のステージ−第1の送達段階
装置出口オリフィス220から薬物912の放出を開始する、動作の第6のステージである、図21Aから図21Cを参照すると、中間アセンブリ700はさらに静止状態へと移動し、さらに連続的閉鎖容量926を加圧する。結果として、先端シール作動チャンバ910に生じる加圧により、先端シール隔板510の裏面に液圧による揚力が液圧開口力まで増加し、これは、板ばね506により、先端シールピストン504を介して先端シール502に印加されるばね力を超える。
これによって、先端シール502、特に先端シールキャップ514が圧力解除され、その後上昇し、出口オリフィス220が開く。
先端シールキャップの圧力解除中、すなわち、オリフィス220が依然として密閉されている間、マスターピストン708の移動はさらに、投薬ポンプシール712を制御導管208を通って円筒形サブセクション204の末端側端部へと移動させる。これにより、投薬ポンプ906を密閉し、マスターピストン708の静止位置の方へのさらなる移動により最小圧力下で密閉されていない出口オリフィス220から出す。
より詳細には、先端シールキャップ514が投薬ポンプ906において正圧があるときだけ、密閉面222から退け始めるように、板ばね506によって先端シールの圧縮度が選択される。
さらに、リップシール516がオリフィス220から離れて上方に移動するにつれ、シール516の下の環状チャンバ908の容量は増加する。この容量の増加により、投薬ポンプシール712のオリフィス220の方への移動によって起こる投薬ポンプ906の容量減少を部分的に補う一方、投薬ポンプ906内の液体の加圧を可能にする。換言すれば、先端シールの開口により、投薬ポンプ906が収縮する有効速度を低下させる。これにより、薬物が遅い速度で出口オリフィス220へと供給されることを保証するため、定量の液体912が、後述される送達の第2の段階まで実質的にポンプ906内に維持される。これによりオリフィス220からの漏れを最小限にする。
作動ポンプ904の移動領域と先端シール作動チャンバ910の移動領域との比により、板ばね506により印加されるばね力に打ち勝つために、マスターピストン708の比較的大きな移動を、より短いがさらに強力な先端シール隔板の移動に変換することができる。
動作の第6の投薬ステージ中に、プレナムチャンバ211は投薬ポンプ906内の流体圧力のいかなるスパイクをも吸収し、出口オリフィス220における噴射を防ぐ。理論に束縛されるものではないが、プレナム211は気体ばねとして作用し、これにより動作の投薬ステージ中のエネルギーのスパイクを吸収すると考えられている
第7のステージ−第2の送達段階
装置出口オリフィス220から薬物912の放出を終了する、動作の第7のステージにおける、図22Aから図22Cを参照すると、作動ポンプシール712が作動穴150と第1のリザーバ197との間の移送導管208を超えて通過するように、中間アセンブリ700はさらにその静止状態の方へと移動する。それによって、投薬ポンプ906を第1のリザーバ197から隔離し、作動ポンプ904を第1のリザーバ197と流体連通させることで大気圧になるまで作動ポンプ904を通液させる。
これにより、動作のステージ5及び6中に形成された連続的閉鎖作動容量926を開放し、通液させる。より詳細には、図22Cを参照すると、第2のリザーバ199内の加圧液体はここで作動導管202を介して作動ポンプ904へ、マスターピストン708の肩部(図12に示す)を介して、制御導管208を通り第1のリザーバ197内へと流入し得る。この除去(relief)流れは930により概略的に示される。
連続的閉鎖作動容量926の通液により、先端シール隔板510の上方への力を取り除く。これによって板ばね506は先端シール502を強制的に密閉面222と密閉係合させ、出口オリフィスを密閉する。
先端シール502の出口オリフィス220への動作によりここで環状チャンバ908の容量が減少し、これは投薬ポンプシール712の連続動作と組み合わされて、上述した第1の送達段階と比較して、投薬ポンプ906が収縮する速度が大きくなる。これにより、薬物912が出口オリフィスへと送達される速度が大きくなり、したがって、定量の薬物を投薬ポンプ906から出し、薬物の液滴930をオリフィス220から分配する。
マスターピストン708は、先端シール502が出口オリフィス220を閉鎖した後も投薬ポンプシール712が移動し続けるように構成される。これにより、オリフィスが密閉されて閉じるまで液体がオリフィスから出て、汚染物質の進入を防止することが保証される。投薬ポンプ906の内容物が、プレナムチャンバ211内の空気と一緒にわずかにだけ加圧されるように、残りの移動は最小限にされる。
分配される液滴930の定量の容量は、投薬ポンプシール712が投薬ポンプ906を第1のリザーバ197から密閉する(第1の送達段階の開始)時点から同一のシール712が、制御導管208を露出させることにより作動回路926を通液させる(第2の送達段階の開始)時点までの間に投薬ポンプシール712により変化した容量によって規定される。
そのため、定量は投薬ポンプシール712の幾何形状、孔の幾何形状、及び投薬穴150の幾何形状によってのみ制御される。これによって製造上の定量の良好な制御が可能となる。
薬物の液滴を送達するために、好ましくは0.03252mJ/s〜0.120mJ/sの低い液圧エネルギーにより定量を送達することが望ましい。この目的を達成するために、投薬時、すなわち、出口オリフィス220の開口中に、投薬ポンプ906は0.002barから0.095barの間まで加圧されるのが好ましい。先端シール502と密閉面222との間に印加される密閉力を信頼性が高く一貫した方法にて超えることを保証するために、作動回路が投薬時に約1.77barの作動圧力を提供することが好ましい。
第8のステージ−パージ段階
分配サイクルの最終ステージでは、中間アセンブリ700は、上述の図1から図15Cを参照して規定される静止状態に戻る。駆動ピストン302はその後、使用者によって、又は使用者が操作する何らかのアクチュエータによってホームに戻され、これによりリザーバ作動ラグ916をハウジング作動ラグに向けて押す。
駆動ピストン302がホームへと押されるとき、一方向真空シール306は、空気を結合真空チャンバ900から密閉された気体リザーバ372内へと戻るように排出できる。これによって、チャンバ900は、図15A及び図15Bに示す静止状態にあるときは周囲気圧にて最小容量の空気を含むことが保証される。
外部環境から結合真空チャンバ900の内外を行き来する空気を隔離するための気体リザーバ372の使用は、汚染物質が結合真空チャンバに入ること、及びさらには装置100内の薬物912内への潜在的な進入を防止するのに役立つ。
また、駆動ピストン302が中間アセンブリ密閉ディスク720に対して押されるとき、ディスク720はポジティブにリザーバ穴の末端側端部158に対して位置する。一方向リップシール734により、作動真空チャンバ902に入ったいかなる空気をも、ホームにあるときにはこのシールを通して排出させることができる。これにより再び、作動真空チャンバが装置100の静止位置にあるときは周囲気圧にて最小容量の空気を含むことが保証される。
上記の装置は40μlの液滴を排出するように設計された。しかし、改変をもってデバイスは試験時に4.53μlと少ない用量の水を計量することができた。かかる小さな用量については、投薬ポンプシール712を提供するために使用されるリップシールをO−リングシールで置き換えることが有利であると分かった。
水で30回作動させたデータが、リップシールの代わりにこのようなO−リングシールを有して構成された装置について収集された。平均滴重量は5.63μlであり、最小滴重量は4.53μlであった。
最大滴重量は7.19μlであった。30回の作動の範囲は、平均の±30%であった。
30回の作動のうち28回は、垂滴が形成され出口ノズルに残った。このデータは、PFMDポンプ技術が確実に10μlの滴を計量できるであろうことを示す。