以下、本発明の服薬支援装置について、服薬支援システムを構成する1つの装置として適用した実施形態を説明する。
服薬支援システムは、在宅患者の定期的な服薬行為を支援するシステムであり、患者やその介護者(ユーザ)の負担を削減しつつ、患者が、服薬行為を適切に、かつ継続して行えるようにすることを目的としている。
図1は、本実施の形態における服薬支援システムの全体構成を示した図である。図1に示すように、服薬支援システム100は、患者宅に設置され、ユーザに対して適切なタイミングで薬剤を提供する服薬支援装置1、データ管理センタに設置されるセンタ装置200、病院などの医療機関に設置される医療機関装置400、調剤薬局に設置される薬局装置500で構成されている。これらの各装置は、インターネット、公衆電話回線などの広域通信網300で接続されており、患者の服薬行為を支援するために必要な各種の情報を送受信する。
服薬支援装置1は、所定期間分(例えば、1週間分)の薬剤を収納した薬剤マガジン2を筐体内に格納可能であり、適切なタイミングで当該薬剤マガジンの中から服用1回分の薬剤を取り出して、患者に提供する。薬剤マガジン2は、病院等の医療機関が発行した患者の処方箋データに基づいて調剤薬局で生成された後、配送会社によって患者宅に配達される。そして、患者宅に配達された薬剤マガジン2は、ユーザによって服薬支援装置1に格納される。このような服薬支援装置によれば、薬剤マガジン2の薬剤が空になった場合でも、ユーザは、空になった薬剤マガジン2を患者宅に配達済みの交換用の薬剤マガジン2に交換するだけで、引き続き服薬を行うことができる。
次に、本実施形態における薬剤マガジン2について、図面に基づいて詳細に説明する。
図2は、本実施の形態における薬剤マガジン2および薬剤カートリッジ3を示した図である。図2(a)は薬剤マガジン2の斜視図、図2(b)は薬剤マガジン2の右断面図、図2(c)は薬剤マガジン2の正面断面図、図2(d)は薬剤カートリッジ3の模式図である。
薬剤マガジン2は、筐体21内の収納スペース22に所定期間分(例えば、1週間分)の薬剤を収納した容器である。具体的には、薬剤マガジン2は、服用1回分の薬剤を入れた薬剤カートリッジ3を複数個収納している。薬剤カートリッジ3には、所定のタイミングにおいて患者が服用する1または複数個の薬剤31が1つの容器32内に収納されている。すなわち、1つの薬剤マガジン2には、予め、筐体21内の収納スペース22に複数個(例えば、1週間分×朝昼夜の3回分=21個)の薬剤カートリッジ3が収納されている。このとき、薬剤カートリッジ3は、図2(b),(c)に示すように、服薬するタイミングが早いものから順に高さ方向に積層されて薬剤マガジン2の収納スペース22に収納される。薬剤マガジン2を格納した服薬支援装置1は、薬剤マガジン2内に積層されて収納されている複数個の薬剤カートリッジ3について、所定のタイミングで下から積層順に1つずつ薬剤カートリッジ3を装置外に排出することで、ユーザに対して1回分の薬剤を提供する。
薬剤カートリッジ3の容器32には、当該薬剤カートリッジ3を識別するカートリッジIDが書き込まれたRFID33が取り付けられている。
薬剤マガジンの筐体21には、薬剤マガジン2を識別するマガジンIDが書き込まれたバーコード23が取り付けられている。なお、バーコードに限らず、RFID等で実現してもよい。また、図示しないが、薬剤マガジン2の筐体21には、薬剤マガジン2のマガジンIDが記載されており、ユーザが、服薬支援装置1に薬剤マガジン2を格納する際に、格納すべき薬剤マガジン2のマガジンIDを確認できるようになっている。
また、薬剤マガジン2は、筐体21の前面に、薬剤カートリッジ3を薬剤マガジン2外に排出するためのカートリッジ出口24を備える。また、薬剤マガジン2は、筐体21の背面に、薬剤カートリッジ3を薬剤マガジン2の外に排出する押し出し機構が出入りするための押し出し機構出入口25を備える。図2(b)に示すように、カートリッジ出口24および押し出し機構出入口25は、収納スペース22の底面に収納されている薬剤カートリッジ3と高さが揃う位置に設置される。カートリッジ出口24の横幅および縦幅は、薬剤カートリッジ3が進入できるように同一、もしくは薬剤カートリッジ3よりも大きい寸法になっている。なお、薬剤マガジン2は、カートリッジ出口24および押し出し機構出入口25が封印シール等で塞がれた状態で患者宅に配送され、ユーザによって、服薬支援装置1内に格納される際に、封印シールが剥がされて使用可能な状態になる。
また、薬剤マガジン2は、収納スペース22とは別に、服薬すべき時刻が過ぎてもユーザによって取出しが行われなかった薬剤カートリッジ3を収納する廃棄スペース26が設けられている。廃棄スペース26に廃棄された薬剤カートリッジ3は、使用済みの薬剤マガジン2をサービス事業者が回収する際に、一緒に回収される。薬剤マガジン2には、筐体21の前面に、押し出し機構によって収納スペース22内から薬剤マガジン2の外に排出された薬剤カートリッジ3を廃棄スペース26内に収納するための廃棄スペース入口27が設けられている。なお、廃棄スペース入口27には、廃棄スペース26内に収納された薬剤カートリッジ3が取り出されることを防ぐため、内側に開く扉28が設けられている。
また、薬剤マガジン2は、薬剤マガジン2の保管環境の状態を記録する保管環境記録部29を有する。本実施の形態では、保管環境記録部29は、保管環境の状態を表す情報(保管環境情報)として、温度情報と湿度情報を記録する。なお、保管環境記録部29は、温度情報と湿度情報のうち、いずれか一方を保管環境情報として記録するようにしてもよい。また、薬剤が変質している可能性があることを判断できる情報であれば、温度情報や湿度情報以外の情報を保管環境情報として記録するようにしてもよい。例えば、直射日光や紫外線の量を保管環境情報として記録するようにしてもよい。
以下に、本実施の形態における保管環境記録部29について、図面に基づいて詳細に説明する。
図3は、保管環境記録部29の構成を示した機能ブロック図である。
保管環境記録部29は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置であるデータ処理部291、電池292、内部時計293、温度センサ294、湿度センサ295、不揮発性メモリである記憶部296、および近接無線通信モジュールである通信部297から構成される。なお、保管環境記録部29は、薬剤カートリッジ3が曝されている温度や湿度を正確に計測できるように、温度センサ294と湿度センサ295を薬剤マガジン2の収納スペース22内に設置することが好適である。
データ処理部291は、内部時計293を参照して所定時間(例えば5分)毎に、温度センサ294および湿度センサ295の計測値を読み取る。そして、データ処理部291は、各センサから読み取った計測値と、読み取った時刻を保管環境情報として記憶部296に記憶する。記憶された保管環境情報は、通信部297を介して、服薬支援装置1に入力される。データ処理部291は、記憶部296内の記憶容量が所定量を超えると、読み取った時刻が古いものから順に上書きする。また、保管環境記録部29は、予め設定した所定温度や所定湿度を超えた回数を記憶するようにしてもよい。
次に、本実施形態における服薬支援装置1について、図面に基づいて詳細に説明する。
服薬支援装置1は、患者に対して、適切なタイミングで服薬行為を促すとともに、当該タイミングに服薬すべき薬剤が入った薬剤カートリッジ3を提供する装置である。
本実施形態における服薬支援装置1の構成について、図4,図5および図6を参照して詳細に説明する。図4は、本実施の形態の服薬支援装置1の斜視図である。図5は、本実施の形態の服薬支援装置1の右断面図である。図6は、本実施の形態の服薬支援装置の機能ブロック図である。
服薬支援装置1は、筐体4、薬剤マガジン2を格納する格納スペース5、薬剤マガジン2を格納スペース5に格納する際に開閉する蓋6、薬剤マガジン2が格納スペース5に格納されたか否かを検知する格納検知部7、薬剤マガジン2のマガジンIDを読み取るID読み取り部8、記憶部9、各種の処理を行う処理部10、服薬支援装置1の動作を制御する制御部11、ユーザが薬剤カートリッジ3を取り出す際に操作する取出しボタン12、筐体4に設けた薬剤カートリッジ3が排出される取出し口13、取出し口13から排出された薬剤カートリッジ3を受ける受け口14、薬剤カートリッジ3を薬剤マガジン2内から薬剤マガジン2外に押し出すための押し出し機構15、薬剤マガジン2外に押し出された薬剤カートリッジ3を取出し口13に移動するための移動機構16、薬剤マガジン2の保管環境記録部29から保管環境情報を取得する保管環境取得部17、ユーザに対する服薬タイミングの通知等を表示する表示部18、データ管理センタに設置されたセンタ装置200等の外部の装置と通信を行うための通信部19、から構成される。また、図示しないが、服薬支援装置1の各部が動作するために必要な電力を供給する電源部を有する。
格納検知部7は、薬剤マガジン2が服薬支援装置1の格納スペース5に格納されたか否かを検知する。本実施の形態では、格納検知部7は、格納スペース5の底面に設置したマイクロスイッチと、当該マイクロスイッチの状態を処理部10に出力する出力手段から構成される。
図7は、服薬支援装置1の格納スペース5に薬剤マガジン2を格納している様子を示した右断面図である。図8は、服薬支援装置1の格納スペース5に薬剤マガジン2が格納された様子を示した右断面図である。
図7および図8に示すように、格納スペース5に薬剤マガジン2が格納されると、格納スペース5の底面に設置したマイクロスイッチが押し込まれる。出力手段は、マイクロスイッチが押し込まれてOFF状態からON状態になった場合に、その旨の信号を処理部10に出力する。また、格納スペース5から薬剤マガジン2が取り出されると、押し込まれていたマイクロスイッチが元の位置に戻る。出力手段は、マイクロスイッチが元の位置に戻りON状態からOFF状態になった場合にその旨の信号を処理部10に出力する。
ID読み取り部8は、マガジンIDを読み取るリーダである。具体的には、ID読み取り部8は、薬剤マガジン2が格納スペース5に格納されると、当該薬剤マガジンに付されたバーコード23を認識し、マガジンIDを取得する。ID読み取り部8は、取得したマガジンIDを、処理部10に出力する。図8に示すとおり、ID読み取り部8は、薬剤マガジン2を格納スペース5に格納した際に、薬剤マガジン2のバーコード23と対向する位置になるように設置される。
記憶部9は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ、ハードディスク等のメモリ装置で構成される。記憶部9は、処理部10などからアクセス可能である。
記憶部9は、患者ID、服薬支援装置1の装置ID、格納中の薬剤マガジン2のマガジンID、服薬スケジュール情報、薬剤マガジン2の薬剤カートリッジ総数、服薬履歴情報を記憶する。その他、服薬支援装置1の各処理を実行するのに必要なプログラムを記憶する。
患者IDは、服薬支援装置1を利用している患者を識別する情報である。また、装置IDは、服薬支援装置1を識別する情報であり、患者IDに紐づいている。また、格納中の薬剤マガジンIDは、ID読み取り部8にて読み取られた格納スペース5に格納中の薬剤マガジン2を識別する情報である。
服薬スケジュール情報は、ユーザに対して服薬を促す際に用いられる情報である。図9に、本実施の形態における服薬スケジュール情報のテーブル図を示す。図9に示すように、服薬スケジュール情報は、患者が服薬する予定時刻(服薬予定時刻)および服薬日、当該時刻に服用する薬剤名、および当該薬剤が収納された薬剤カートリッジ3のカートリッジID、当該薬剤カートリッジ3を収納した薬剤マガジン2のマガジンIDを対応付けた情報である。
本実施の形態では、服薬スケジュール情報は、データ管理センタにて作成され、服薬支援装置1は、所定のタイミングでデータ管理センタのセンタ装置200から通信部19を介して取得する。なお、服薬スケジュール情報は、データ管理センタで作成して、センタ装置200から取得するものに限らない。例えば、患者や介護者が服薬支援装置1を操作して手動で服薬スケジュール情報の服薬予定時刻を入力してもよいし、予め、記憶部9に記憶しておくようにしてもよい。
薬剤カートリッジ総数は、調剤薬局にて薬剤マガジンが生成された時点における薬剤マガジン2内に収納されている薬剤カートリッジ3の総数である。図10に、本実施の形態の薬剤カートリッジ総数のテーブル図を示す。図10に示すように、薬剤カートリッジ総数は、マガジンIDに対応づけられている。薬剤カートリッジ総数は、格納スペース5に格納中の薬剤マガジン2内の薬剤カートリッジ3の残数を算出する際などに用いられる。薬剤カートリッジ総数は、服薬スケジュール情報と同様に、所定のタイミングでデータ管理センタのセンタ装置200から通信部19を介して取得される。
服薬履歴情報は、服薬スケジュール情報に示された服薬予定時刻において、患者が服薬を行ったか否かを示す情報である。服薬の有無は、服薬予定時刻と取出しボタン12の操作の有無に基づいて、後述する処理部10により判定される。図11に、本実施の形態の服薬履歴情報を示す。図11に示すように、服薬履歴情報は、薬剤マガジン2のマガジンIDと対応付けて記憶される。
保管環境取得部17は、薬剤マガジン2の保管環境記録部29から保管環境情報を取得する。保管環境取得部17は、取得した保管環境情報を処理部10の異常判定手段104に出力する。なお、保管環境取得部17は、処理部10からの信号に基づいて、動作を開始する。
本実施の形態における保管環境取得部17は、薬剤マガジン2の保管環境記録部29に記憶された保管環境情報を読み取るための近接無線通信モジュールである。図8に示すように、保管環境取得部17は、薬剤マガジン2を格納スペース5に格納した際に、保管環境記録部29と対向する位置に配置される。保管環境取得部17は、動作を開始すると、保管環境記録部29の通信部297と通信を行い、記憶部296に記憶されている保管環境情報を取得する。そして、保管環境取得部17は、取得した保管環境情報を処理部10の異常判定手段104に出力する。
処理部10は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置により構成され、記憶部に記憶している各種プログラムを読み出して実行する。処理部10は、図6に示すように、格納判定手段101、服薬指示手段102、服薬判定手段103、異常判定手段104、情報取得手段105、から構成され、記憶部9に記憶されている各種の情報や服薬支援装置1の各部から出力される信号に基づいて、各種の処理を行う。
格納判定手段101は、格納検知部7およびID読み取り部8から出力された信号に基づいて、格納スペース5に薬剤マガジン2が格納されたか否かを判定し、格納中の薬剤マガジン2のIDを記憶部9に記憶する。また、格納検知部7から出力された信号に基づいて、格納スペース5から薬剤マガジン2が取り外されたか否かを判定する。具体的には、格納判定手段101は、格納検知部7からマイクロスイッチがON状態になった旨の信号を受け取ると、格納スペース5に薬剤マガジン2が格納されたと判定し、ID読み取り部8に対して、読み取り動作を指示する。そして、ID読み取り部8にて読み取った薬剤マガジンIDを受け取り、現在、格納スペース5に格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDとして記憶部9に記憶する。そして、格納判定手段101は、異常判定手段104に格納スペース5に薬剤マガジン2が格納された旨の信号を出力する。
また、格納判定手段101は、格納検知部7からマイクロスイッチがOFF状態になった旨の信号を受け取ると、格納スペース5から薬剤マガジン2が取り出されたと判定する。このとき、記憶部9に記憶したマガジンIDを削除する。そして、格納判定手段101は、異常判定手段104に格納スペース5から薬剤マガジン2が取り外された旨の信号を出力する。
服薬指示手段102は、記憶部9に記憶されている服薬スケジュール情報を参照し、服薬支援装置1の内部時計(図示しない)から取得した現在時刻と比較する。そして、服薬指示手段102は、服薬予定時刻が到来すると、その旨の信号を服薬判定手段103および異常判定手段104に出力する。また、服薬指示手段102は、その旨の信号を表示部18に出力する。
また、服薬指示手段102は、服薬予定時刻が到来するとタイマの計時を開始する。そして、服薬指示手段102は、タイマの計時から所定時間(例えば、2時間)が経過したか否かを判定する。服薬指示手段102は、所定時間が経過すると、その旨の信号を服薬判定手段103および制御部11に出力する。
なお、本実施の形態の服薬指示手段102は、上述した処理を、格納スペース5に適切な薬剤マガジン2が格納されているときに行う。
具体的には、服薬指示手段102は、記憶部9に記憶されている格納スペース5に格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDを参照し、薬剤マガジン2が格納されているか否かを判定する。服薬指示手段102は、格納スペース5に薬剤マガジン2が格納されていない場合、その旨の信号を表示部18に出力する。また、服薬指示手段102は、記憶部9に記憶されている服薬スケジュール情報を参照し、格納すべき薬剤マガジン2のマガジンIDを表示させる。また、服薬指示手段102は、格納スペース5に薬剤マガジン2が格納されている場合、当該格納されている薬剤マガジン2のマガジンIDが、記憶部9に記憶されている服薬スケジュール情報における次回の服薬に使用される薬剤マガジン2のマガジンIDか否かを確認する。服薬指示手段102は、次回の服薬に使用される薬剤マガジンが格納されていない場合は、その旨を表示部18に出力し、格納すべき薬剤マガジンのマガジンIDを表示させる。すなわち、服薬指示手段102は、記憶部9に記憶されている格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDが次回の服薬に使用される薬剤マガジン2のマガジンIDと一致する場合に、格納スペース5に適切な薬剤マガジン2が格納されていると判定し、上述した服薬予定時刻か否かの判定やタイマの計時処理を行う。
なお、本実施の形態では、服薬指示手段102は、適切な薬剤マガジン2が格納スペース5に格納されている場合に服薬予定時刻か否かを確認し、ユーザに服薬予定時刻の通知を行うが、これに限らない。例えば、適切な薬剤マガジン2が格納されていない場合であっても、服薬予定時刻が到来した場合は、そのタイミングで、患者に対して通知を行い、適切な薬剤マガジンを格納スペース5に格納するよう促すようにしてもよい。
また、服薬指示手段102は、記憶部9に記憶されている薬剤カートリッジ総数および服薬履歴情報を参照し、薬剤マガジン2の収納スペース22に収納されている薬剤カートリッジ3の残数を求める。具体的には、服薬指示手段102は、薬剤カートリッジ総数から、服薬履歴情報における「服薬あり」または「服薬なし」の数を減算して薬剤カートリッジ3の残数を求める。服薬指示手段102は、薬剤カートリッジ3の残数が所定数以下になった場合に、その旨を表示部18に出力する。また、服薬指示手段102は、通信部19を介して、その旨の信号をデータ管理センタのセンタ装置200に送信する。
服薬判定手段103は、服薬スケジュール情報に示された服薬予定時刻において、患者が服薬を行ったか否かを判定し、服薬履歴情報を更新する。具体的には、服薬予定時刻から所定時間が経過するまでに取出しボタン12が操作された旨の信号を受け取ると、当該服薬予定時刻において服薬が行われたこと、および、服薬が行われた時刻(服薬実績時刻)を記憶部9に記憶することで服薬履歴情報を更新する。そして、服薬判定手段103は、制御部11に薬剤カートリッジ3を排出する旨の信号を送信する。なお、服薬実績時刻は、取出しボタン12が操作された旨の信号を受け取った時刻とすればよい。
また、服薬判定手段103は、服薬予定時刻から所定時間が経過するまでに取出しボタン12が操作された旨の信号を受信しなかった場合、当該服薬予定時刻において服薬が行われなかったことを記憶部9に記憶することで服薬履歴情報を更新する。そして、服薬判定手段103は、制御部11に服薬が行われなかった旨の信号を出力する。また、服薬判定手段103は、その旨の信号を表示部18に出力する。また、服薬判定手段103は、通信部19を介して、その旨の信号をデータ管理センタのセンタ装置200に送信する。
また、本実施形態における服薬支援装置1は、患者が外出先で服薬を行うことができるように、服薬予定時刻以前であっても薬剤カートリッジ3を取り出すことが可能である。この場合、ユーザは、服薬支援装置1にて、外出操作(例えば、取出しボタン12を所定時間以上押し続ける操作)を行う。ユーザによって、外出操作が行われると、服薬支援装置1は、服薬判定手段103および異常判定手段104にその旨の信号を出力する。本実施の形態では、取出しボタン12にて、その旨の信号を出力する。服薬判定手段103は、この信号を受け取り、かつ、取出しボタン12が操作された旨の信号を受け取ると、制御部11に薬剤カートリッジ3を排出する旨の信号を送信する。そして、服薬判定手段103は、直近の服薬予定時刻において服薬が行われたこと、および、服薬が外出先で行われたことを記憶部9に記憶することで服薬履歴情報を更新する。このとき、服薬実績時刻は、服薬スケジュール情報に示された直近の服薬予定時刻とすればよい。また、服薬判定手段103は、服薬指示手段102に外出先で服薬が行われた旨の信号を出力する。服薬指示手段102は、この信号を受け取ると、直近の服薬予定時刻については、外出先で服薬が行われたと判断し、当該服薬予定時刻になっても、その旨の信号を服薬判定手段103や表示部18に出力せず、タイマの計時処理もキャンセルする。
また、服薬判定手段103は、服薬履歴情報を更新するタイミングで、通信部19を介して、データ管理センタのセンタ装置200に対して服薬実績(服薬の有無および服薬実績時刻、外出時の服薬か否か)を送信する。
異常判定手段104は、保管環境取得部17から取得した保管環境情報に基づいて、現在、格納スペース5に格納されている薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があるか否かを判定する。このとき、異常判定手段104は、所定のタイミングで保管環境取得部17を動作させて、保管環境取得部17から保管環境情報を受け取ると、格納スペース5に格納されている薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があるか否かを判定する。具体的には、異常判定手段104は、格納判定手段101から格納スペース5に薬剤マガジン2が格納された旨の信号を受け取ると保管環境取得部17を動作させる。また、異常判定手段104は、服薬指示手段102から服薬予定時刻が到来した旨の信号を受け取ると保管環境取得部17を動作させる。また、服薬予定時刻が到来していなくても、外出操作がされた旨の信号を受信したときに保管環境取得部17を動作させる。なお、異常判定手段104は、予め設定した所定時間間隔で保管環境取得部17を動作させてもよいし、服薬支援装置1の電源がONにされた時点から常時、保管環境取得部17を動作させるようにしてもよい。
なお、異常判定手段104は、記憶部9に記憶されている格納スペース22に格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDの有無を確認し、薬剤マガジン2が格納されている場合に、保管環境取得部17を動作させる。
異常判定手段104は、保管環境取得部17から受け取った保管環境情報を参照し、薬剤マガジン2が保管されていた環境の温度およびその継続時間、湿度を求める。そして、異常判定手段104は、所定温度(例えば、40度)以上の状態が所定時間(例えば、2時間)以上継続していた場合に、薬剤に変質の可能性があると判定する。また、異常判定手段104は、所定湿度(例えば、70%)以上であった場合に、薬剤に変質の可能性があると判定する。なお、異常判定手段104は、温度と湿度の状態を組み合わせて異常を判断してもよい。例えば、所定温度(40度)以上の状態が所定時間(2時間)以上継続し、かつ、湿度が所定湿度(70%)以上のときに薬剤に変質の可能性があると判定する。
異常判定手段104は、薬剤に変質の可能性があると判定すると、その旨の信号を制御部11および表示部18に出力する。また、異常判定手段104は、薬剤に変質の可能性があると判定すると、通信部19を介して、その旨の信号をデータ管理センタのセンタ装置200に送信する。このとき、異常判定手段104は、センタ装置200に対して、記憶部9に記憶されている格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDを送信する。
異常判定手段104は、薬剤に変質の可能性がないと判定すると、正常な薬剤マガジン2が新たに格納されたと判断し、復旧信号を制御部11に出力する。本実施の形態では、異常判定手段104は、格納判定手段101から格納スペース5に薬剤マガジン2が格納された旨の信号を受け取り、保管環境取得部17を動作させた場合において、薬剤に変質の可能性がないと判定すると、復旧信号を制御部11に出力する。
本実施の形態における異常判定手段104は、保管環境取得部17から取得した温度や湿度の時系列情報を保管環境情報として参照し、薬剤マガジンが保管されていた環境の温度と経過時間および湿度を求める。そして、異常判定手段104は、求めた温度とその継続時間が所定以上であれば、薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があると判定する。また、異常判定手段104は、求めた湿度が所定以上であれば、薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があると判定する。
図12に、本実施の形態における温度や湿度の時系列情報を示す。図12(a)は、温度の時系列情報を示したものであり、図12(b)は、湿度の時系列情報を示したものである。白丸記号○は、所定時間間隔で計測された計測値を表す。なお、本実施の形態では、5分毎に温度および湿度を計測している。
図12(a)では、Dの時点からEの時点までにおいて、所定値である40度以上の状態が2時間以上継続している。このため、異常判定手段104は、薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があると判定する。また、図12(b)では、Fの時点からGの時点までにおいて、所定値である70%以上の湿度が計測されているため、異常判定手段104は、薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があると判定する。
なお、温度の経過時間は、所定値以上となった断続的な時間を累積し、累積した値に基づいて、薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があるか否かを判定してもよい。例えば、図12(a)では、Aの時点で40度を超えた後、Cの時点で40度以下に温度が下がっているが、40度を超えていたAの時点からBの時点までの経過時間を温度が40度以上になった経過時間として累積してもよい。
また、保管環境記録部17にて、温度や湿度が所定値を超えた回数を記憶するようにし、異常判定手段104は、それらの値が所定回数以上であった場合に薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があると判定するようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、湿度について経過時間の条件を設けなかったが、これに限らず、異常判定手段104は、湿度についても経過時間を用いて、薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があるか否かを判定するようにしてもよい。
情報取得手段105は、通信部19を介して、服薬支援装置1の外部から各種の情報を取得する。本実施の形態では、情報取得手段105は、所定のタイミングでデータ管理センタのセンタ装置200から服薬スケジュール情報や薬剤カートリッジ総数を取得する。具体的には、情報取得手段105は、服薬支援装置1の電源ON時にセンタ装置200に問い合わせ信号を送信し、その後は、所定時間間隔で問い合わせ信号を送信する。情報取得手段105は、センタ装置200へ問い合わせ信号を送信した後、服薬スケジュール情報および薬剤カートリッジ総数をセンタ装置200から受信し、記憶部9に記憶する。なお、データ管理センタ側で服薬スケジュール情報が変更された場合は、情報取得手段105による問い合わせをすることなく、変更された服薬スケジュール情報をセンタ装置200から通信部19を介して受信する。また、情報取得手段105は、問い合わせ信号とともに、格納スペース22に格納中の薬剤マガジン2のマガジンID等を送信するようにしてもよい。
制御部11は、処理部10からの信号に基づいて、後述する取出しボタン12や押し出し機構15および移動機構16を制御する。具体的には、制御部11は、服薬判定手段103から薬剤カートリッジ3を排出する旨の信号を受け取ると、押し出し機構15を制御する。また、制御部11は、服薬判定手段103から服薬が行われなかった旨の信号を受け取ると、移動機構16を制御した後、押し出し機構15を制御し、その後、再び移動機構16を制御する。
また、制御部11は、異常判定手段104から薬剤に変質の可能性がある旨の信号を受け取ると、取出しボタン12の操作が無効になるように制御する。また、制御部11は、異常判定手段104から復旧信号を受け取ると取出しボタン12の操作が有効になるように制御する。
取出しボタン12は、ユーザが服薬支援装置1から薬剤を取り出す際に操作する操作部である。取出しボタン12は、制御部11によって有効/無効が切り替えられる。取出しボタン12は、制御部11によって有効にされているときに、ユーザによって操作されると、服薬判定手段103に対して取出しボタン12が押された旨の信号を出力する。また、取出しボタン12は、制御部11によって無効にされているときに、ユーザによって操作されても、服薬判定手段103に対して取出しボタン12が押された旨の信号を出力しない。なお、取出しボタン12は、物理ボタンでもよいし、後述する表示部18に画像で表示するようにして、ユーザによってタッチパネル操作やその他の操作キーで選択させるようにしてもよい。また、ユーザの顔認識や音声入力など、その他の入力方式を用いて薬剤の取出し操作を行うようにしてもよい。この場合、患者や介護者など薬剤を取り出す権限がある人物の顔画像や音声情報を予め登録しておき、服薬支援装置1に入力された顔画像や音声情報を登録されている情報と照合し、認証された場合に、ユーザによる取出し操作がされたと判定するようにしてもよい。
押し出し機構15は、薬剤マガジン2の収納スペース21に収納されている薬剤カートリッジ3を1つずつ移動機構16上に排出する機構である。図13に本実施の形態における押し出し機構15を示す。図13(a)は、押し出し機構15の右断面図であり、図13(b)は、押し出し機構15の正面図である。
図13に示すように、押し出し機構15は、モータ151、ギア152、押し出し部材153、から構成され、制御部11によって制御される。押し出し機構15は、制御部11によってモータ151が駆動されると、モータ151の回転によって回転軸155と接続されているギア152が回転する。押し出し部材153は、図13(b)に示すように、それぞれのギア152に対して、ガイド154が設けられている。ガイド154は、図13(a)に示すようなラック構造になっており、ギア152と係合している。このため、モータ151が駆動すると、ギア152の回転に連動して押し出し部材153が前後に移動する。
移動機構16は、押し出し機構15によって薬剤マガジン2の収納スペース22から押し出された薬剤カートリッジ3を服薬支援装置1の筐体4に設置された取出し口13に導くことで、ユーザに薬剤カートリッジ3を提供する機構である。また、移動機構16は、服薬予定時刻が到来しても薬剤カートリッジ3の取出し操作がされなかった場合に、押し出し機構15によって薬剤マガジン2の収納スペース22から押し出された薬剤カートリッジ3を薬剤マガジン2の廃棄スペース入口27に導くことで、使用されなかった薬剤カートリッジ3を廃棄スペース26内に収納する機構である。
図14に本実施の形態の移動機構16を示す。図14(a)は、移動機構16の右断面図であり、図14(b)は、移動機構16の正面図である。
図14に示すように、移動機構16は、モータ161、駆動用ギア162、スライダ部材163、スライダ部材用ギア164から構成され、制御部11によって制御される。なお、スライダ部材163とスライダ部材用ギア164は固定されている。移動機構16は、制御部11によって動作を開始すると、モータ161を駆動する。そして、モータ161が駆動すると、モータの回転によって回転軸165に接続されている駆動ギア162が回転する。このとき、駆動ギア162は、スライダ部材163に固定されているスライダ部材用ギア164と係合しているため、駆動ギア162の回転に連動してスライダ部材163がスライダ部材回転軸166を中心に回転移動する。
以下に、図8,図15および図16を参照して、本実施の形態における押し出し機構15と移動機構16による薬剤カートリッジ3の排出制御を説明する。
図8に示すように、押し出し部材153は、制御部11によって制御されるまでは、規定位置で停止している。また、スライダ部材163は、制御部11によって制御されるまでは、所定の角度をもって取出し口13に接続されている。その後、制御部11によって押し出し機構15が動作を開始すると、押し出し部材153は、図15(a)に示すように、前進して薬剤マガジン2の背面に設置された押し出し機構出入口25を通過して薬剤マガジン2の収納スペース22内に進入する。収納スペース22内には、薬剤カートリッジ3が積層されており、収納スペース22内に進入した押し出し部材153は、収納スペース22の底面に収納されている薬剤カートリッジ3を押しながら、薬剤マガジン2のカートリッジ出口24に向かって前進する。そして、図15(b)に示すように、押し出し部材153が一定量前進すると、押し出し部材153によって押された薬剤カートリッジ3は、薬剤マガジン2のカートリッジ出口24に進入し、薬剤マガジン2の外に押し出される。そして、押し出された薬剤カートリッジ3は、自重により移動機構16のスライダ部材163上に落下する。そして、図16(a)に示すように、薬剤カートリッジ3は、スライダ部材163上に落下した後、スライダ部材163上を滑り落ちて取出し口13から排出され、受け口14内に落下する。そして、押し出し部材153は、前進した分だけ後退し、押し出し機構出入口25を通過して、図13(b)に示すように、再び、規定位置に戻り、停止する。
押し出し部材153の前進後退および移動量は、制御部11にて、モータ151の回転方向や回転量を制御することで実現する。具体的には、制御部11は、前進時は薬剤カートリッジ3を押し出すために必要な量だけモータ151を回転させ、その後、押し出し部材153を規定位置に戻すために、同じ回転量だけモータ151を逆方向に回転させる。
次に、図17および図18を参照して、押し出し機構15と移動機構16による薬剤カートリッジ3の廃棄制御を説明する。
図17(a)に示すように、移動機構16は、制御部11によって動作を開始すると、モータ161が一定量回転し、スライダ部材163が所定の角度をもって廃棄スペース入口27に接続される。その後、制御部11によって、押し出し機構15が制御されると、押し出し機構15によって、薬剤カートリッジ3が薬剤マガジン2の収納スペース22内から押し出され、図17(b)に示すように、薬剤カートリッジ3は自重によりスライダ部材163上に落下する。そして、図18(a)に示すように、薬剤カートリッジ3は、スライダ部材163上を滑り落ちて、廃棄スペース入口27から廃棄スペース26内に収納される。その後、制御部11によって、モータ161が制御され、図18(b)に示すように、スライダ部材163は、再び、動作前の角度に戻り、取出し口13に接続される。そして、押し出し部材153は、前進した分だけ後退し、押し出し機構出入口25を通過して、再び、規定位置に戻り、停止する。
スライダ部材163の回転方向および回転量は、制御部11によって、モータ161の回転方向や回転量を制御することで実現する。具体的には、制御部11は、スライダ部材163が廃棄スペース入口27に接続するために必要な量だけモータ161を回転させ、その後、押し出し機構15の制御が終了すると、スライダ部材163を再び取出し口13に接続させるために、同じ回転量だけモータ161を逆方向に回転させる。
なお、本実施の形態では、制御部11によって動作を開始するまでは、スライダ部材163を取出し口13側に接続するようにしたが、これに限らない。例えば、制御部11によって、動作が開始されるまでは、スライダ部材163を廃棄スペース入口27に接続しておき、取出しボタン12が操作された場合に、スライダ部材163を取出し口13側に接続するように制御してもよい。この場合、スライダ部材163は、押し出し機構15が動作した後、再び、廃棄スペース入口27に接続するように制御される。また、制御部11によって動作が開始されるまでは、スライダ部材163を他の所定角度(例えば、水平)で停止させておき、取出しボタン12が押された場合には、スライダ部材163を取出し口13側に接続し、服薬予定時刻になっても取出し操作が行われない場合には、スライダ部材163を廃棄スペース入口27に接続するよう制御するようにしてもよい。
表示部18は、ユーザが服薬支援装置1を操作するために必要な情報や、ユーザへの通知を表示する液晶ディスプレイ等の情報表示デバイスである。表示部18は、液晶パネルおよび表示制御手段等から構成される。なお、表示部18による表示は、液晶パネルへの映像表示に限らない。例えば、スピーカ等によって、音を出力するようにしてもよいし、照明等による表示でもよい。
表示部18は、服薬指示手段102から服薬予定時刻が到来した旨の信号を受け取ると、ユーザへの通知を行う。また、表示部18は、服薬判定手段103から、服薬が行われなかった旨の信号を受け取ると、ユーザへの通知を行う。なお、必要に応じて、所定時間が経過する度にリマインダを通知するようにしてもよい。
また、表示部18は、異常判定手段104から薬剤に変質の可能性がある旨の信号を受け取ると、ユーザへの通知を行う。
また、表示部18は、服薬指示手段102から薬剤マガジン2が格納されていない旨の信号や、次回の服薬に使用される薬剤マガジン2が格納されていない旨の信号を受け取ると、ユーザへの通知を行う。このとき、表示部18は、格納スペース5に格納すべき薬剤マガジンのマガジンIDをユーザに通知する。
また、表示部18は、薬剤カートリッジ3の残数が所定数以下になった旨の信号を受け取ると、ユーザに対して、薬剤マガジン2の交換時期が近いことを通知する。
なお、表示部18は、これらの表示に限らず、患者の服薬を支援するために必要な様々な情報を表示する。
通信部19は、服薬支援装置1を広域通信網300に接続するインターフェース回路である。通信部19は、広域通信網300経由で服薬支援装置1の外部から各種の情報を受信すると、処理部10に出力する。また、通信部19は、処理部10の各手段から入力された各種の情報を広域通信網300に送信する。すなわち、服薬支援装置1は、通信部19を介して、センタ装置200、医療機関装置400、薬局装置500に対する情報の送受信を行う。
次に、本実施形態における医療機関装置400について、説明する。
医療機関装置400は、病院等の医療機関に設置される装置である。医療機関装置400は、広域通信網300に接続する通信部を備え、当該通信部を介して、外部の装置に対して情報を送受信する。
病院等の医療機関にて患者が診察を受けると、医師等は、当該患者の診断結果に応じた処方箋を発行し、当該病院に設置された医療機関装置400に当該患者のIDに紐づけて処方箋データを入力する。医療機関装置400は、通信部を介して、データ管理センタのセンタ装置200に処方箋データを送信する。処方箋データは、少なくとも、患者ID、処方した薬剤名、用法、用量、からなるデータである。なお、処方箋データは、患者の氏名や年齢、処方した医師名、医療機関名などの情報を含んでいてもよい。
また、医療機関装置400は、データ管理センタのセンタ装置200から通信部を介して、患者の服薬履歴情報等の必要な情報を取得する。取得した情報は、患者に対する今後の処方内容に反映させたり、治療の方針を決定したりすることに用いられる。
次に、本実施形態における薬局装置500について、説明する。
薬局装置500は、調剤薬局に設置される装置である。薬局装置は、広域通信網300に接続する通信部を備え、通信部を介して、外部の装置に対して情報を送受信する。
薬局装置500は、通信部を介して、データ管理センタのセンタ装置200から薬剤マガジン2の生成指示信号、患者IDおよび当該患者の処方箋データを受信する。調剤薬局では、当該処方箋データに基づいて、薬剤マガジン2の収納スペース22に薬剤カートリッジ3を収納することで薬剤マガジン2を生成する。薬剤カートリッジ3を収納する作業は、手作業、もしくは、機械等を用いて行われる。具体的には、まず、処方箋データに従って、服用1回分の薬剤が薬剤カートリッジ3の容器32に収納される。このとき、調剤薬局では、薬剤カートリッジ3毎にカートリッジIDを付与し、薬剤カートリッジ3のRFID33にカートリッジIDを書き込む。そして、薬剤カートリッジ3に収納した薬剤の薬剤名をカートリッジIDに紐づけて薬局装置500に記憶する。
また、調剤薬局では、処方箋データに従って、所定量(例えば、1週間分)の薬剤カートリッジ3を服薬するタイミングが早いものから順に高さ方向に積層して、薬剤マガジン2の収納スペース22に収納する。本実施の形態では、薬剤カートリッジ3は、処方箋データに従って、朝に服用する薬剤が収納された薬剤カートリッジ3、昼に服用する薬剤が収納された薬剤カートリッジ3、夜に服用する薬剤が収納された薬剤カートリッジ3、次の日の朝に服用する薬剤が収納されたカートリッジ3の順になるように収納スペース22内に積層される。このとき、調剤薬局では、薬剤カートリッジ3のRFID33に書き込まれたカートリッジIDを確認することで、薬剤カートリッジ3の収納順に誤りがないことを確認し、収納スペース22に収納した薬剤カートリッジ3のカートリッジIDと積層順を薬局装置500に記憶する。そして、薬剤マガジン2にマガジンIDを付与し、当該マガジンIDが書き込まれたバーコード23を薬剤マガジン2に設置する。薬局装置500は、薬剤マガジン2のマガジンIDと、当該薬剤マガジン2の収納スペース22に収納されている薬剤カートリッジ3のカートリッジIDと、それぞれの薬剤カートリッジ3に収納されている薬剤名、薬剤カートリッジ3の積層順を紐づける。薬局装置500は、この情報をマガジン情報として、データ管理センタのセンタ装置200に通信部を介して、送信する。図19が本実施の形態のマガジン情報を示した図である。
また、薬局装置500は、薬剤マガジン2内に収納した薬剤カートリッジ3の個数を薬剤カートリッジ総数としてマガジンIDに紐づけて記憶し、データ管理センタのセンタ装置200に通信部を介して、送信する。
また、調剤薬局では、薬剤マガジン2のカートリッジ出口24および押し出し機構出入口25が封印シール等で塞がれる。
このようにして、調剤薬局では、処方箋データに基づいて、1または複数個の薬剤マガジン2が生成される。そして、調剤薬局は、配送会社に配達を依頼し、生成した薬剤マガジン2を患者宅に配送する。このとき、配達に必要な患者の住所等の情報は、データ管理センタのセンタ装置200から取得する。
なお、調剤薬局では、処方箋データに従って薬剤マガジン2を生成するが、処方された全ての処方量について、薬剤マガジン2を生成して患者宅に配送しなくてもよい。例えば、1度の診察にて、4週間分の薬剤が処方された場合、薬剤マガジン2の生成指示信号を受け取った調剤薬局は、まず、処方箋データに従って、1週間分の薬剤を収納した薬剤マガジン2を2つ生成して、患者宅に配送する。そして、残りの2週間分の薬剤については、再度、データ管理センタのセンタ装置200から薬剤マガジン2の生成指示信号を受け取ったタイミングで薬剤マガジン2を生成し、患者宅に配送するようにする。薬局装置500は、このような未調剤分の薬剤がある場合、当該未調剤分の薬剤から生成できる薬剤マガジン2の個数を患者IDに紐づけて記憶し、当該情報をデータ管理センタのセンタ装置200に送信するようにする。これにより、データ管理センタは、未調剤分の薬剤から生成できる薬剤マガジン2の個数を参照して、新たな処方箋データを発行することなく、薬局装置500に対して、薬剤マガジン2の生成指示を行えるか否かを判断することができる。
次に、本実施形態におけるセンタ装置200について、説明する。
センタ装置200は、データ管理センタに設置される装置である。センタ装置200は、広域通信網300に接続する通信部を備え、通信部を介して、外部の装置に対して情報を送受信する。
センタ装置200は、予めさまざまな情報を患者IDに紐づけて記憶している。また、センタ装置200は、外部の各装置から受信した各種の情報を患者IDに紐づけて記憶する。例えば、患者の氏名、患者の住所、患者の連絡先、患者スケジュール情報、患者が利用している服薬支援装置1の装置ID、服薬支援装置1に現在格納されている薬剤マガジン2のマガジンID、服薬支援装置1から送信された服薬実績に基づく服薬履歴情報、医療機関装置400から受信した処方箋データ、薬局装置500から受信したマガジン情報、薬剤マガジン2のカートリッジ総数等を記憶する。
患者スケジュール情報は、患者の生活時間、患者の行動予定、およびその予定時刻を示した情報である。例えば、朝/昼/夜の時刻、食事の予定時刻、就寝の予定時刻、起床の予定時刻などがそれぞれ設定された情報である。これらの時刻は、複数の患者で共通する標準的な時刻が設定されてもよいし、患者毎の生活習慣に合わせて個別に設定されてもよい。
センタ装置200は、記憶した処方箋データやマガジン情報、患者スケジュール情報に基づいて、服薬スケジュール情報を作成する。具体的には、センタ装置200は、処方箋データに含まれる薬剤毎の用法やマガジン情報を参照して、薬剤カートリッジ3毎の服薬タイミングを確認する。そして、センタ装置200は、患者スケジュール情報を参照して、当該服薬タイミングに対応する時刻を求め、薬剤カートリッジ3毎の服薬予定時刻を設定する。例えば、患者スケジュール情報に設定されている朝に該当する時刻が「07:00」であれば、朝に服用する薬剤が収納された薬剤カートリッジ3について、「07:00」を服薬予定時刻として設定する。センタ装置200は、このようにして薬剤マガジン2の収納スペース22に収納されている全ての薬剤カートリッジ3について、服薬予定時刻を設定する。そして、センタ装置200は、再び、マガジン情報を参照し、薬剤カートリッジ3の積層順を確認し、それぞれの薬剤カートリッジ3について、服薬日を設定する。例えば、服薬日は、センタ装置200が処方箋データを受信した日付以降で患者が服薬支援装置1を利用して服薬を行うことが可能な直近の日付を収納スペース22内の積層順が一番下の薬剤カートリッジの服薬日として設定すればよい。このようにして、センタ装置200は、図9に示すような患者の服薬スケジュール情報を作成する。なお、既に患者について、過去の服薬スケジュール情報が存在する場合は、前述したように服薬予定時刻を設定するとともに、当該過去の服薬スケジュール情報の続きになるように服薬日を設定し、既に記憶部に記憶されている過去の服薬スケジュール情報を更新する。
センタ装置200は、通信部を介して、服薬支援装置1から、服薬スケジュール情報の問い合わせ信号を受信すると、服薬スケジュール情報を服薬支援装置1に対して送信する。また、センタ装置200は、服薬スケジュール情報とともに、薬剤カートリッジ総数を服薬支援装置1に対して送信する。なお、センタ装置200は、記憶部に記憶されている患者スケジュール情報に変更があった場合や、医師等によって患者の服薬履歴に基づいて服薬予定時刻が変更された場合は、変更された情報に基づいて、服薬スケジュール情報を更新し、通信部を介して、服薬支援装置1に服薬スケジュール情報を送信する。
また、データ管理センタは、センタ装置200が服薬支援装置1から、服薬予定時刻に服薬をしなかった旨の信号、服薬支援装置1に格納されている薬剤マガジン2の薬剤カートリッジ残数が少なくなった旨の信号、薬剤に変質の可能性がある旨の信号等を受信した場合、患者に対して電話連絡等を行うとともに、適切な対応を行う。
また、センタ装置200は、薬剤マガジン2内のカートリッジ残数が少なくなった旨の信号を受信した場合、当該患者について、未調剤分の薬剤から生成できる薬剤マガジン2があるか否かを確認し、薬局装置500に対して、新たな薬剤マガジン2の生成指示信号を送信する。このとき、未調剤分の薬剤がなく、新たな処方箋の発行が必要となる場合、データ管理センタは、患者に対して病院等の医療機関への受診を促す。そして、センタ装置200は、新たに発行された処方箋の処方箋データに基づいて、新たな薬剤マガジン2の生成指示信号を薬局装置500に対して行う。
また、センタ装置200は、薬剤に変質の可能性がある旨の信号を受信した場合、当該患者について、未調剤分の薬剤から生成できる薬剤マガジン2があるか否かを確認し、薬局装置500に対して、新たな薬剤マガジン2の生成指示信号を送信する。その際、センタ装置200は、格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDに該当する服薬履歴情報および服薬スケジュール情報、マガジン情報を参照し、薬剤に変質の可能性があるため服薬できなかった薬剤名とそれらの積層順が記述されたリストを薬局装置500に送信する。この場合、調剤薬局では、受信した薬剤名のリストを参照して、薬剤に変質の可能性があると判定されて服用ができなくなった以降の薬剤をリストに記述された積層順に収納した薬剤マガジン2を生成する。
また、未調剤分の薬剤がなく、新たな処方箋の発行が必要となる場合、データ管理センタは、患者に対して病院等への受診を促す。その際、センタ装置200は、格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDに該当する服薬履歴情報および服薬スケジュール情報、マガジン情報を参照し、薬剤に変質の可能性があるため服薬できなかった薬剤名とそれらの積層順が記述されたリストを医療機関装置400および薬局装置500に送信する。そして、病院では、医師等によって、受信した薬剤名のリストを考慮して処方箋が発行され、処方箋データがセンタ装置200に送信される。そして、センタ装置200は、新たに発行された処方箋に基づいた処方箋データとともに、新たな薬剤マガジン2の生成指示信号を薬局装置500に対して送信する。調剤薬局では、処方箋データおよび薬剤名のリストを参照して、新たな薬剤マガジン2を生成する。
センタ装置200は、新たに生成された薬剤マガジン2のマガジン情報に基づいて、服薬スケジュール情報を更新し、服薬支援装置1に対して、更新された服薬スケジュール情報を送信する。
また、センタ装置200は、調剤薬局に対して、新たな薬剤マガジン2の生成を指示する際、未調剤分の薬剤がない場合は、医療機関装置400にその旨の信号を送信する。そして、当該信号を受け取った病院等の医療機関は、公知の遠隔診察システム等を利用して、患者を診察し、新たな処方箋を発行するようにしてもよい。なお、未調剤分の薬剤がない場合であっても、新たな処方箋を発行する必要がない場合は、未調剤分の薬剤がある場合と同様に、過去の処方箋データ等に基づいて、薬局装置500に対して薬剤マガジン2の作成を指示するようにすればよい。
また、センタ装置200は、薬剤に変質の可能性がある旨の信号を受信した場合、薬剤に変質の可能性があると判定されたタイミングが薬剤マガジン2を格納スペース5に格納したタイミングであれば、ユーザに対して、患者宅に既に配達されている他の薬剤マガジン2を服薬支援装置1に格納して、服薬を継続するよう促す。その際、センタ装置200は、服薬スケジュール情報のマガジンIDを薬剤に変質の可能性があると判定されたものから、既に患者宅に配達されている他の薬剤マガジン2のマガジンIDに変更することで、服薬スケジュール情報を更新し、服薬支援装置1に対して、更新された服薬スケジュール情報を送信する。この場合、センタ装置200は、格納スペース5に格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDに該当する服薬履歴情報および服薬スケジュール情報、マガジン情報を参照して、積層順の1番目の薬剤の服薬履歴が存在するか否かを確認し、薬剤に変質の可能性があると判定されたタイミングが薬剤マガジン2を格納スペース5に格納したタイミングであるか否かを判定すればよい。なお、薬剤に変質の可能性があると判定されたタイミングが薬剤マガジン2を格納スペース5に格納したタイミングであるか否かを判定する方法は、これに限らない。例えば、異常判定手段104にて、薬剤に変質の可能性がある旨の信号を送信する際に、薬剤マガジン2を格納スペース5に格納したタイミングで異常判定されたものであることをセンタ装置200に対して送信すればよい。
以下、図20を参照して、本実施形態における服薬支援装置1の服薬支援処理を説明する。図20は、本実施形態における服薬支援処理のフローチャートである。
まず、服薬支援装置1の電源がONにされると、処理部10の情報取得手段105にて、センタ装置200に対する問い合わせ信号の送信が行われる。そして、情報取得手段105にて、通信部19を介して、センタ装置200から送信された服薬スケジュール情報および薬剤カートリッジ総数が取得され、記憶部9に記憶される。これにより、図20に示す、服薬支援処理が開始される。
ステップS101では、処理部10の服薬指示手段102にて、記憶部9に記憶されている服薬スケジュール情報が読み出される。
ステップS102では、服薬指示手段102にて、格納スペース5に薬剤マガジン2が格納されているか否かが判定される。具体的には、服薬指示手段102にて、記憶部9に格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDが記憶されているか否かが確認される。そして、マガジンIDが記憶されていない場合は、服薬指示手段102にて、格納スペース5に薬剤マガジン2が格納されていないと判定される。薬剤マガジン2が格納されていない場合、服薬指示手段102にて、表示部18にその旨の信号が出力され、処理をステップS104に移行する。薬剤マガジン2が格納されている場合、処理をステップS103に移行する。
ステップS103では、服薬指示手段102にて、格納スペース5に適切な薬剤マガジン2が格納されているか否かが判定される。具体的には、記憶部9に記憶されている服薬スケジュール情報を参照し、次回の服薬に使用される薬剤マガジン2のマガジンIDと一致するか否かが判定される。次回の服薬に使用される薬剤マガジン2のマガジンIDと一致しない場合は、格納スペース5に適切な薬剤マガジン2が格納されていないと判定される。また、次回の服薬に使用される薬剤マガジン2のマガジンIDと一致する場合は、格納スペース5に適切な薬剤マガジン2が格納されていると判定される。適切な薬剤マガジン2が格納されていない場合は、服薬指示手段102にて、表示部18にその旨の信号が出力され、処理をステップS104に移行する。適切な薬剤マガジン2が格納されている場合は、処理をステップS105に移行する。
ステップS104では、表示部18にて、ユーザに対して、次回の服薬に使用する薬剤マガジンのIDを通知するとともに、適切な薬剤マガジン2を服薬支援装置1に格納するよう通知を行う。そして、処理をステップS101に移行する。すなわち、適切な薬剤マガジン2が格納スペース5に格納されるまで、ユーザに対する通知が行われる。
ステップS105では、服薬指示手段102にて、服薬予定時刻が到来したか否かが判定される。服薬予定時刻が到来した場合、服薬指示手段102にて、処理部10の服薬判定手段103、異常判定手段104、表示部18にその旨の信号を出力し、処理をステップS106に移行する。また、服薬予定時刻が到来していない場合、処理をステップS113に移行する。
ステップS106では、表示部18にて、ユーザに対して服薬を行うよう通知を行う。その後、処理をステップS107に移行する。
ステップS107では、服薬指示手段102にて、タイマの計時を開始する。その後、所定時間が経過すると、服薬指示手段102にて、服薬判定手段103および制御部11にその旨の信号が出力される。タイマの計時が開始されると、処理をステップS108に移行する。
ステップS108では、服薬判定手段103にて、服薬予定時刻から所定時間内であるか否かが判定される。具体的には、服薬判定手段103にて、服薬指示手段102から所定時間が経過した旨の信号が出力されたか否かが判定される。服薬予定時刻から所定時間内である場合には、処理をステップS109に移行する。服薬予定時刻から所定時間が経過した場合には、服薬履歴情報を更新するとともに、服薬が行われなかった旨の信号を制御部11および表示部18に出力し、処理をステップS111に移行する。
ステップS109では、服薬判定手段103にて、取出しボタン12が操作されたか否かを判定する。具体的には、服薬判定手段103にて、取出しボタン12から操作された旨の信号が出力されたか否かが判定される。取出しボタン12が操作されていない場合、処理をステップS108に戻す。すなわち、服薬予定時刻から所定時間が経過するまでに取出しボタン12が操作されたか否かが判定される。取出しボタン12が操作された場合、服薬履歴情報を更新するとともに、薬剤カートリッジ3を排出する旨の信号を制御部11に出力し、処理をステップS110に移行する。
ステップS110では、制御部11にて、薬剤カートリッジの排出制御が行われる。具体的には、制御部11にて、押し出し機構15が制御され、薬剤マガジン2の収納スペース22に収納されている薬剤カートリッジ3が取出し口13から排出される。その後、処理をステップS101に戻す。
ステップS111では、制御部11にて、服薬予定時刻が経過してもユーザによって取り出されなかった薬剤カートリッジ3の廃棄制御が行われる。具体的には、制御部11にて、移動機構16が制御された後、押し出し機構15が制御され、その後、再び移動機構16が制御されることで、薬剤カートリッジ3が薬剤マガジン2の廃棄スペース26に収納される。その後、処理をステップS101に戻す。
ステップS112では、服薬判定手段103にて、ユーザが外出用の薬剤を持ち出そうとしているか否かが判定される。具体的には、服薬判定手段103にて、外出操作の有無、および取出しボタン12から操作された旨の信号が出力されたか否かが判定される。外出操作および取出しボタン12の操作があった場合には、服薬履歴情報を更新するとともに、薬剤カートリッジ3を排出する旨の信号を制御部11に出力し、外出先で服薬が行われた旨の信号を服薬指示手段102に出力し、処理をステップS110に移行する。それ以外の場合は、現時点においては、服薬予定時刻でも外出用の薬が必要な状況でもないため、処理をステップS101に戻す。
次に、図21を参照して、本実施形態における服薬支援装置1の異常判定処理を説明する。図21は、本実施形態における異常判定処理のフローチャートである。
まず、服薬支援装置1の電源がONにされると、図21に示す、異常判定処理が開始される。
ステップS201では、処理部10の異常判定手段104にて、格納スペース5の薬剤マガジン2の格納状態に変化があったか否かを判定する。具体的には、異常判定手段104にて、薬剤マガジン2が格納された旨の信号、または、薬剤マガジン2が取り外された旨の信号が処理部10の格納判定手段101から出力されたか否かを判定する。これらの信号が出力されていた場合、格納状態に変化があると判定し、処理をステップS202に移行する。いずれの信号も出力されていない場合、格納状態に変化がないと判定し、処理をステップS203に移行する。
ステップS202では、異常判定手段104にて、格納スペース5に薬剤マガジン2が格納されたか否かを判定する。具体的には、異常判定手段104にて、薬剤マガジン2が格納された旨の信号が格納判定手段101から出力されたか否かを判定する。薬剤マガジン2が格納された旨の信号が出力された場合、格納スペース5に薬剤マガジン2が格納されたと判定し、処理をステップS204に移行する。一方、薬剤マガジン2が取り外された旨の信号が格納判定手段101から出力された場合、格納スペース5には薬剤マガジン2が格納されていない状態であるため、処理をステップS201に戻す。
ステップS203では、異常判定手段104にて、格納スペース5に薬剤マガジン2が既に格納されているか否かを判定する。具体的には、異常判定手段104にて、記憶部10に記憶されている格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDの有無が確認される。格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDがある場合は、格納スペース5に格納されたタイミングでは保管環境に異常がなかった薬剤マガジン2が格納スペース22に格納されている状態であるため、処理をステップS207に移行する。格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDがない場合は、格納スペース5には薬剤マガジン2が格納されていない状態であるため、処理をステップS201に戻す。
ステップS204、ステップS205およびステップS206では、異常判定手段104にて、薬剤マガジン2が格納スペース5に格納されたタイミングにおいて、薬剤マガジン2に収納されている薬剤に変質の可能性があるか否かが判定される。つまり、薬剤マガジン2が格納スペース5に格納されるまでの間に薬剤マガジン2内の薬剤が変質した可能性があるか否かを判定する。具体的には、ステップS202で格納スペース5に薬剤マガジン2が格納されたと判定されると、異常判定手段104にて、保管環境取得部17が動作され、薬剤マガジン2の保管環境記録部29から保管環境情報を取得する。そして、異常判定手段104にて、取得した保管環境情報に基づいて、薬剤マガジン2の保管環境に異常があったか否かが判定される。異常ありと判定された場合、制御部11および表示部18にその旨の信号を出力し、処理をステップS211に移行する。異常がないと判定された場合、正常な薬剤マガジン2が新たに格納されたと判定し、制御部11に復旧信号を出力し、処理をステップS207に移行する。
ステップS207では、異常判定手段104にて、服薬予定時刻が到来したか否かが判定される。具体的には、異常判定手段104にて、服薬指示手段102から服薬予定時刻が到来した旨の信号が出力されているか否かが判定される。服薬予定時刻が到来した場合、処理をステップS209に移行する。服薬予定時刻が到来していない場合、処理をステップS208に移行する。
ステップS208では、異常判定手段104にて、ユーザによる外出操作があったか否かが判定される。具体的には、異常判定手段104にて、服薬指示手段102から外出素操作がされた旨の信号が出力されているか否かを判定される。外出操作がある場合、処理をステップS209に移行する。外出操作がない場合、服薬予定時刻でも外出用の薬が必要な状況でもないため、処理をステップS201に戻す。
ステップS209およびステップS210では、異常判定手段104にて、服薬予定時刻が到来したタイミング、または、ユーザによる外出操作がされたタイミングで、薬剤マガジン2の薬剤に変質の可能性があるか否かが判定される。すなわち、ユーザが薬剤マガジン2から薬剤を取り出す可能性があるタイミングで、薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があるか否かが判定される。また、ステップS209では、ステップS204とは異なり、薬剤マガジン2が格納スペース5に格納された後、薬剤マガジン2内の薬剤が変質した可能性があるか否かが判定される。具体的には、ステップS207およびステップS208で、服薬予定時刻または外出操作がされたと判定されると、異常判定手段104にて、保管環境取得部17が動作され、薬剤マガジン2の保管環境記録部29から保管環境情報を取得する。そして、異常判定手段104にて、取得した保管環境情報に基づいて、薬剤マガジン2の保管環境に異常があったか否かが判定される。異常ありと判定された場合、制御部11および表示部18にその旨の信号を出力し、処理をステップS211に移行する。異常がないと判定された場合、格納スペース5に格納された後も薬剤マガジン2が正常な状態を保っていると判断し、処理をステップS201に戻す。
ステップS211では、制御部11にて、ユーザが変質した可能性のある薬剤を服用することを防止するため、薬剤の取出しを禁止する制御が行われる。具体的には、制御部11にて、取出しボタン12の操作が無効になるよう制御される。その後、処理をステップS212に移行する。なお、無効にされた取出しボタン12は、異常判定手段104から出力される復旧信号によって、再び有効になる。
ステップS212では、異常判定手段104にて、通信部19を介して、外部の装置に薬剤に変質の可能性がある旨の信号を出力する。本実施の形態においては、異常判定手段104にて、データ管理センタのセンタ装置200に薬剤に変質の可能性がある旨の信号が送信される。その後、処理をS213に移行する。
ステップS213では、表示部18にて、ユーザに対して、薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性がある旨が通知される。その後、処理をステップS201に戻す。
以下に、本発明の服薬支援装置1の別の実施形態について説明する。
上述した実施の形態では、薬剤マガジン2の保管環境記録部29をCPU等で構成したが、これに限らない。例えば、保管環境記録部29を温度や湿度を記録するラベルによって実現してもよい。この構成により、服薬支援装置1の保管環境取得部17および処理部10の異常判定手段104もそれぞれ上述した実施形態とは、異なる動作を行う。
図22は、別の実施形態における保管環境記録部29を示した図である。保管環境記録部29は、薬剤マガジン2の筐体に設けられた透過窓298と、薬剤マガジン内部に貼りつけられた温度湿度ラベル299から構成される。この構成により、保管環境記録部29は、薬剤マガジンの外部から透過窓298を通して薬剤マガジン2内の温度湿度ラベル299の状態を確認できるようになっている。以降、この透過窓298から確認できる温度湿度ラベル299を表示窓と称する。
温度湿度ラベル299は、熱積算型温度ラベルと湿度ラベルで構成される。熱積算型温度ラベルは、所定温度以上で溶けだす色素染料が含まれており、所定温度以上の環境にどの程度の時間曝されていたかに応じて、染色される表示窓の数が変化するようになっている。また、湿度ラベルは、所定湿度以上で溶けだす染料が含まれており、到達した湿度に応じて表示窓が変色するものである。例えば、薬剤マガジン2が、温度40度以上の環境に30分以上2時間未満保管され、かつ湿度80%の以上90%未満の環境に保管された場合、温度湿度ラベルは、図22のように変化する。なお、熱積算型温度ラベルおよび湿度ラベルは、これに限らず、公知の技術を用いればよい。
図23は、別の実施形態における保管環境取得部17を示した図である。保管環境取得部17は、発光ダイオード、光検知器から構成される。図23に示すように、保管環境取得部17は、薬剤マガジン2を格納スペース5に格納した際に、保管環境記録部29の透過窓298および温度湿度ラベル299と対向する位置になるように設置される。すなわち、保管環境取得部17は、保管環境記録部29の表示窓と対向する位置になるように設置される。また、発光ダイオードおよび光検知器は、各表示窓に1対1で対応する位置に複数個配置される。具体的には、複数の発光ダイオードおよび光検知器をそれぞれT1、T2、T3、H1、H2、H3とすると、図23に示すとおり、2×3配列の配列で、図22に示した温度湿度ラベル299の各表示窓と対応するように配置される。このとき、それぞれの発光ダイオードと光検知器は、LEDIDで区別される。
保管環境取得部17は、動作を開始すると、発光ダイオードから光を出力する。出力された光は、表示窓で反射されて光検知器で検出される。このとき、表示窓の変色状況に応じて反射光の強度が変化するため、光検知器の出力電圧が変化する。保管環境取得部17は、温度と継続時間の表示窓に対応する発光ダイオードと、湿度の表示窓に対応する発光ダイオードをそれぞれ順に動作させ、それぞれの発光ダイオードの出力電圧を求める。保管環境取得部17は、求めた出力電圧をLEDIDとともに処理部10の異常判定手段104に出力する。
別の実施形態における異常判定手段104は、保管環境取得部17から受け取った光検知器の出力電圧に基づいて、薬剤マガジン2が保管されていた環境の温度と継続時間、および湿度を求める。具体的には、「LEDID」、「温度ラベルの変色の有無」、「温度の経過時間」を対応づけた温度判定テーブルおよび、「LEDID」、「湿度ラベルの変色の有無」、「最高湿度」を対応づけた湿度判定テーブルを予め、異常判定テーブルとして記憶部9に記憶しておく。図24は、本実施の形態における異常判定テーブルと光検知器の出力電圧を示した図である。図24の(a)は本実施の形態の温度判定テーブルであり、図24の(b)は本実施の形態の湿度判定テーブルである。
まず、異常判定手段104は、保管環境取得部17から受け取った光検知器の出力電圧が所定閾値以上であるか否かを発光ダイオード毎に判定し、出力電圧が所定閾値以上のときに変色有と判定する。光検知器の出力電圧は、表示窓からの反射光の強度に応じて図24(c)のようになる。温度湿度ラベル299が変色している場合、反射光の強度が減少するため出力電圧が小さくなる。すなわち、出力電圧を所定閾値と比較することにより、温度湿度ラベル299の変色の有無を判定することができる。そして、異常判定手段104は、判定した表示窓の変色の有無および当該表示窓に対応する発光ダイオードのLEDIDを温度判定テーブルと比較して、薬剤マガジン2が保管されていた環境の温度と経過時間を求める。また、異常判定手段104は、判定した表示窓の変色の有無および当該表示窓に対応する発光ダイオードのLEDIDを湿度判定テーブルと比較して、薬剤マガジン2が保管されていた環境の湿度を求める。そして、異常判定手段104は、求めた温度と経過時間や求めた湿度が所定以上であれば、薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があると判定する。
以上のように、本発明の実施形態によれば、薬剤マガジンの保管環境が悪く、薬剤マガジン内の薬剤が変質してしまった可能性がある場合に、当該変質した可能性のある薬剤を患者が服用してしまうことを未然に防止できる。
<変形例>
上述した実施の形態では、データ管理センタのセンタ装置200を経由して、服薬支援システム100を構成する装置間で各種の情報を送受信するようにしたが、これに限らず、服薬支援システム100を構成する装置間で必要な情報を送受信するようにしてもよい。
また、格納検知部7は、他の方法で薬剤マガジン2が格納スペース5に格納されたか否かを検知するようにしてもよい。例えば、ID読み取り部8を格納検知部7として使用し、ID読み取り部8が薬剤マガジン2のバーコード23からマガジンIDを取得できた場合に薬剤マガジン2が格納スペース5に格納されたことを検知するようにしてもよい。
また、異常判定手段104は、薬剤マガジン2内に収納されている薬剤名と、当該薬剤名に基づいて予め設定した異常レベルに基づいて、薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があるか否かを判定するようにしてもよい。具体的には、温度については、40度以上の温度に30分以上2時間未満曝された場合を異常レベル1、40度以上の温度に2時間以上8時間未満曝された場合を異常レベル2、40度以上の温度に8時間以上曝された場合を異常レベル3のように予め設定しておく。また、湿度については、70%以上の湿度に曝された場合を異常レベル1、80%の湿度に曝された場合を異常レベル2、90%以上の湿度に曝された場合を異常レベル3のように予め設定しておく。そして、異常判定手段104は、例えば、薬剤マガジン2に高温ですぐに変質する薬剤Aが入っている場合は、異常レベル1で当該薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があると判定する。また、薬剤マガジン2に薬剤Aが入っていない場合は、異常レベル1では正常と判定して、異常レベル2で当該薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があると判定する。この場合、薬剤マガジン2のマガジンIDと当該薬剤マガジン内に収納されている薬剤名と薬剤名に基づいて設定した異常レベルとの関係を示したテーブルをデータ管理センタのセンタ装置200に予め記憶しておき、異常判定手段104は、格納中の薬剤マガジン2のマガジンIDをデータ管理センタのセンタ装置200に送信して、当該薬剤マガジン2について、異常と判定する異常レベルの情報を取得すればよい。また、曝された継続時間の長さによって異常レベルを変えるのではなく、曝された温度に応じて異常レベルを変えるようにしてもよい。例えば、40度以上の温度に1時間以上曝された場合を異常レベル1、50度以上の温度に1時間以上曝された場合を異常レベル2、60度以上の温度に1時間以上曝された場合を異常レベル3のように設定する。この場合、保管環境記録部17は、互いに異なる複数の温度を記録できる温度ラベルを採用して、保管環境取得部17にて当該温度ラベルに記録された保管環境情報を取得すればよい。また、曝された継続時間と曝された温度の両方を組み合わせて異常レベルを設定してもよい。なお、湿度についても同様に異常レベルを設定してもよい。
また、薬剤カートリッジ3を薬剤マガジン2内から排出する機構や廃棄する機構は、上述したものに限らない。
また、上述した実施形態では、薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性があると判定された場合に、取出しボタン12を無効にすることで薬剤カートリッジ3の取出しを禁止したが、これに限らない。例えば、服薬判定手段103にて、異常判定手段104から薬剤マガジン2内の薬剤に変質の可能性がある旨の信号を受け取ると、薬剤カートリッジ3を排出する旨の信号を制御部11に出力しないようにする。また、制御部11にて、押し出し機構15の制御を無効にしたり、移動機構16を廃棄スペース入口27側に制御したりすることで、薬剤カートリッジ3の取出しを禁止するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、容器32に薬剤を収納した薬剤カートリッジ3を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、服用一回分の薬剤を袋に収納して薬剤カートリッジ3を実現してもよい。また、薬剤カートリッジ3を排出するのではなく、薬剤マガジン2内から服用1回分の薬剤を排出するようにしてもよい。この場合、それぞれ適応可能な機構を採用して、本発明の服薬支援装置1の機能を実現すればよい。
また、上述した実施形態では、ユーザによる取出し操作に基づいて、ユーザに薬剤を提供する服薬支援装置1を例に説明したが、これに限らない。例えば、服薬予定時刻が到来すると自動的に服用1回分の薬剤をユーザに対して排出するようにしてもよい。この場合、制御部11は、薬剤に変質の可能性があると判定されると、服薬予定時刻が到来しても薬剤を排出しないよう制御すればよい。
また、上述した実施形態では、服用1回分の薬剤を排出して、ユーザに薬剤を提供する服薬支援装置1を例に説明したが、これに限らない。例えば、服薬支援装置内に薬剤を収納する扉付の収納スペースを設け、服薬予定時刻が到来するとユーザが扉を開けて収納されている薬剤を取り出すようにしてもよい。そして、制御部11は、薬剤に変質の可能性があると判定されると、扉が開かないよう制御することでユーザが薬剤を取出しできないよう制御すればよい。なお、この場合、収納スペース内の温度や湿度等を計測し、保管環境情報として取得するようにすればよい。また、扉の開閉は、手動ではなく制御部11にて制御するようにしてもよいし、服薬予定時刻が到来するまでは扉が開かないように制御するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、薬剤マガジン2内に薬剤を収納し、当該薬剤マガジン2内の薬剤をユーザに提供する服薬支援装置1を例に説明したが、これに限らない。例えば、服薬支援装置1内に薬剤を収納する収納スペースを設け、当該収納スペース内から薬剤を排出するようにしてもよい。この場合、収納スペース内の温度や湿度等を計測し、保管環境情報として取得するようにすればよい。