JP6371625B2 - 雨水貯留浸透施設 - Google Patents
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例えば、特許文献1及び特許文献2には、雨水を集水するトレンチや集水ます等といった土中構造物の周囲に砕石を敷設し、該土中構造物の略全体にわたって設けられた孔から周囲に敷設された砕石中に雨水を排水・浸透させる構造が提供されている。
特許文献3には、透水性のコンクリートからなる枡体の側面に1本ないし複数本の透水性コンクリート製の横引き管を設けた雨水浸透装置が提供されている。
特許文献4には、処理槽の側面に流入口とともに貫通孔を設け、該貫通孔に排水管を、該処理槽から離れるに従って上昇するように傾斜させた状態で連結した貯水槽が提供されている。
上記特許文献3の装置は、枡本体中に貯留された雨水が、枡体から周りの地盤中に浸透する以外に、横引き管からも周りの地盤中に浸透するから、雨水の地盤中への浸透量を、枡体のみと比較すると大巾に増大させることが出来る。しかし、該雨水浸透装置にあっては、地盤中へ雨水を浸透させる機能は、透水性コンクリートに因るものであり、雨水中に含まれる土砂等の異物によって該透水性コンクリートが目詰まりすると、機能低下してしまう。
上記特許文献4の貯水槽によれば、排水管を処理槽から離れるに従って上昇するように傾斜させたことにより、排水管への異物の侵入を阻止することができる。しかし、該貯水槽にあっては、排水管の先端のみでしか雨水を排水することができず、豪雨にも対応できるような性能とするには、排水管を増やすより他になく、また排水管の先端で雨水が集中的に排水されることで、土壌の崩れが問題となる。
本発明は上記雨水を地盤中に浸透させるためのますとして、雨水浸透装置の機能を付加し、その上、雨水浸透性を上記従来の装置よりも大巾に改良し、雨水浸透施設の機能を維持することを課題とするものである。
上記ます本体に備えられた雨水流入口に接続される管の管底は、上記ます本体に備えられる雨水流出口に接続される管の管底および上記ます本体に接続される横引き管の管底よりも高位に設定されていることが望ましく、また上記横引き管の管壁の上半部分に配置されるように設けられている複数個の孔は、該横引き管の管軸方向の略全体にわたって配設されていることが望ましい。
更には上記ます本体に備えられる雨水流出口には雨水の流出量を抑制するための流出量抑制部材を取り付けることが望ましい。
本発明においては、好ましくは上記雨水ますは、建物の排水設備の末端に取付けられる最終ますである。
また上記横引き管の管において、上記ます本体に対する接続部には、フィルターが被着されていることが望ましい。
さらにまた、上記複数個の孔9が上記横引き管8の上半部に配置されるように設けられていることにより、該横引き管8内の雨水は、該雨水中に含まれる異物を該横引き管8の管底に堆積させながら、該複数個の孔9から該異物に干渉されることなく該浸透部19内へ排出される。その結果、本発明の雨水貯留浸透施設は、特に浸透部19内への異物の侵入を抑制できるので、該異物による汚れで機能低下することを抑制することができる。
加えて、上記横引き管8は、ます本体2から斜め上方に差出されており、横引き管8内に流れ込んだ雨水は、上記ます本体2内の雨水の貯留量に余裕が生じた際に該横引き管8内を流下して、ます本体2中へ戻るから、該横引き管8内や複数個の孔9を目詰まりさせる原因となる土砂等の異物がます本体2内へ流出されるので、異物による該横引き管8の機能低下を抑制することができる。更に、上記雨水貯留浸透施設の機能を維持するためのメンテナンスに際して土砂等の異物を取り除く場合に、該異物は、ます本体2内へ流出されるので、該ます本体2のみから異物を取り除けばよいので、メンテナンスを容易に行うことができる。
上記ます本体2に備えられる雨水流入口3に接続される管の最低位L2を、上記ます本体2に備えられる雨水流出口4に接続される管の最低位および上記ます本体2に接続される横引き管8の最低位L1よりも高位(L2>L1)に設定しておくと、上記ます本体2内の雨水や排水が上記雨水流入口3側(雨水流入管10側)へ逆流することが防止される。
また、上記横引き管8に設けられている複数個の孔9を、該横引き管8の管軸方向の略全体にわたって配設しておくと、該横引き管8内の雨水を該横引き管8から該浸透部19の略全体へ、むらなく浸透させることが出来る。
また、上記ます本体2の雨水流出口4には、流出量抑制部材13を取り付けてます本体2中の雨水の貯留量を確保することが望ましい。
また、上記雨水ます7は、建物の排水設備からの雨水を集水して排水溝12に導く最終ますを兼務させることが出来る。
また、上記横引き管8において、上記ます本体2への接続部には、フィルター20が被着されることにより、該横引き管8内に落葉等の大きな異物が入り込むことを抑制することが望ましい。
したがって、本発明ではます本体2内に貯留されている雨水を効率良く周囲の地盤に浸透させることができ、かつ雨水貯留浸透施設の機能低下を抑制することができる。
図1に示す雨水貯留浸透施設1において、2はます本体であり、該ます本体2の側面には対向位置に雨水流入口3と雨水流出口4とが備えられ、更に上記ます本体2の上端部には蓋6を付した点検口5が設けられて、雨水ます7が構成されている。
上記雨水ます7の側面には、更に上記雨水流入口3および上記雨水流出口4と直交した位置において左右一対の横引き管8,8が接続されている、
上記横引き管8,8には、それぞれ小径の孔9の複数個が設けられており、更に上記横引き管8,8は上記ます本体2からそれぞれ斜め上方に差出されている。また該横引き管8に設けられた複数個の孔9は、該横引き管8を断面視した場合に管壁の上半部分に配置されており、更に複数個の孔9は、該横引き管8の管軸方向の略全体にわたって配設されている。
上記雨水貯留浸透施設1にあっては、図3に示すように雨水流入口3に接続される雨水流入管10の最低位L2は、横引き管8の最低位L1よりも高位(L2>L1)に設定されている。なお、横引き管8の最低位L1は、ます本体2の雨水流出口4に接続される雨水流出管11の最低位よりも高位に設定されているため、雨水流入管10の最低位L2は、雨水流出管11の最低位よりも高位に設定されている。
また、雨水流出口4にはます本体2内に貯留された雨水の流出量を抑制するための流出量抑制部材13が取付けられている。上記流出量抑制部材13は、図4に示すように雨水流出口4に取付けるための取付筒14と、該取付筒14の先端フランジ15から差出される異形漏斗状の先端部16とからなり、該先端部16の先端にオリフィス17が形成されている。
なお、上記流出量抑制部材13には把手18が上記先端フランジ15部分から立設されており、メンテナンス時などには上記蓋6を外した点検口5からの取り出し等といった作業がし易くなっている。
上記構成にあっては、建物の排水設備である雨樋等から集められた雨水は、雨水流入管10から最終ますである雨水ます7のます本体2内に一時的に貯留される。
上記ます本体2内に一時的に貯留されている雨水は、通常、上記雨水流出口4に取り付けられた流出量抑制部材13によって流出量を抑制されつつ、該雨水流出口4から雨水流出管11を介して排水溝12に排出される。
一方、豪雨等によって雨水流入管10から上記ます本体2内への雨水の流入量が劇的に増加し、上記雨水流出管11への流出量を上回った場合には、上記横引き管8の最低位L1が上記雨水流入管10の最低位L2よりも低位であるから、雨水は上記横引き管8,8内に溢入し、上記横引き管8による雨水の貯留機能が最大限に利用されるとともに、上記雨水流入口3側(雨水流入管10側)への逆流が防止される。
上記横引き管8,8内に溢入した雨水は、該横引き管8,8内への雨水の溢入量が所定量を超えて増加する傾向にある場合、該横引き管8,8内から複数個の孔9を介して浸透部19内に溢れ出し、そのまま浸透部19内に浸透する。また該横引き管8内への雨水の溢入量が所定量を超えない場合には、該雨水は、該横引き管8,8内に一時的に待避して貯留され、上記ます本体2内の雨水の貯留量が所定量以下となったときに、該ます本体2内へ戻る。
上記横引き管8の複数個の孔9は、該横引き管8の上半部分に設けられているから、雨水中に含まれる土砂やゴミ等といった異物は、該横引き管8の管底に堆積する。そして、上記横引き管8には上向きの傾斜が付されているから、上記ます本体2内へ戻る水とともに該横引き管8の管底に堆積した異物が上記ます本体2内へ排出されやすくなる。
更に本発明は上記実施例によって限定されるものではなく、横引き管の孔は管全体に配設されてもよいし、流出量抑制部材は本発明にとって必須なものではない。
また、本発明の雨水ますは建物内排水設備の末端に取付けられる最終ます以外、該排水設備の中間に配置される中間ますであってもよい。
また上記ます本体2は、例えば周壁や底壁に小孔からなる複数の透水孔を貫通形成することで、該ます本体2内に貯留される雨水を、該透水孔を介して該ます本体2の周囲の地盤中に浸透させるように構成してもよい。また該ます本体2に該透水孔を設ける場合、該透水孔を介して該ます本体2内に土砂等の異物が入り込まないように、該ます本体2の外面を不織布等からなる透水性シートで被覆することが望ましい。更に、該透水性シートで上記横引き管8,8を被覆し、該横引き管8,8の孔9から土砂等の異物が入り込まないように構成してもよい。
また上記雨水流入管10及び上記雨水流出管11の上記ます本体2に対する接続の態様は、例えば雨水流入管10と雨水流出管11とが直交するようにます本体2に対して接続する等のように、本発明に開示されている以外のものとしてもよい。
また上記横引き管8、上記雨水流入管10及び上記雨水流出管11の上記ます本体2に対する接続の本数は、特に限定されない。
2 ます本体
3 雨水流入口
4 雨水流出口
5 点検口
7 雨水ます
8 横引き管
9 孔
12 排水溝(側溝)
13 流出量抑制部材
19 浸透部
Claims (5)
- ます本体の側面に雨水流入口と雨水流出口とを備え、上端部に点検口を備えた雨水ますにおいて、該雨水ますの側面には更に、管に複数個の孔を設けた横引き管が接続され、該横引き管の周囲には浸透部が形成されており、該横引き管はます本体から斜め上方に差出されており、
上記ます本体に備えられた雨水流入口に接続される管の最低位は、上記ます本体に備えられる雨水流出口に接続される管の最低位および上記ます本体に接続される横引き管の最低位よりも高位に設定されていることを特徴とする雨水貯留浸透施設。 - 上記横引き管に設けられている複数個の孔は、管の上半部分に配置されているとともに、該横引き管の管軸方向の略全体にわたって配設されている請求項1に記載の雨水貯留浸透施設。
- 上記ます本体に備えられる雨水流出口には雨水の流出量を抑制するための流出量抑制部材を取り付けた請求項1または請求項2に記載の雨水貯留浸透施設。
- 上記横引き管において、上記ます本体への接続部には、フィルターが被着されている請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の雨水貯留浸透施設。
- 上記雨水ますは、建物の排水設備の末端に取付けられる最終ますである請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の雨水貯留浸透施設。
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