JP6364343B2 - パワーステアリング装置およびその予圧調整方法 - Google Patents
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Description
本発明によれば、ハウジングに孔を形成するとともに当該孔を塞ぐ閉塞部材を備えるという簡単な構造で、ウォームとウォームホイールとの間の予圧調整を容易に行える。
≪電動パワーアリング装置の構成≫
図1において、電動パワーステアリング装置100(操舵装置)は、アシスト力がピニオン軸114に入力されるピニオンアシスト型である。ただし、本発明はコラムアシスト型、ラックアシスト型の電動パワーステアリング装置にも適用可能である。
ウォームホイール120は、ピニオン軸114にセレーション結合している。つまり、ウォームホイール120は、ピニオン軸114に同軸で軸着されている。ウォームホイール120は、ウォーム130と噛合し、モータ140のアシスト力を操舵軸(ラック軸115)に伝達する。
図2に示すように、ウォーム130は、回転軸線O2を中心に回転する略円柱状の部品であって、その周面にギヤ歯131aが形成されたウォーム本体131と、ウォーム本体131の一端側(モータ140側)に形成された第1軸部132と、ウォーム本体131の他端側(モータ140の反対側)に形成された第2軸部133と、を備えている。
モータ140は、図示しないECU(Electronic Control Unit)の指令に従って駆動し、アシスト力を発生する電動式のモータである。モータ140の出力軸141は、継手150を介して、ウォーム130の第1軸部132に連結されている。ECUは、トルクセンサ(図示しない)を介して、トーションバー113(図1)に発生した捩れトルクを検出し、捩れトルクの大きさに対応してモータ140を駆動させ、アシスト力を発生する。
継手150は、出力軸141と第1軸部132とを連結し、モータ140の動力をウォーム130に伝達する。
第1軸受11は、ウォーム130の第1軸部132とハウジング20との間に設けられ、第1軸部132をハウジング20に対して回転自在に支持している。第1軸受11は、例えばラジアルボールベアリングで構成され、径方向の荷重を支持している。第1軸受11は、ハウジング20に螺合した円筒状の止部材13によってハウジング20に保持されている。
第2軸受12は、ウォーム130の第2軸部133とハウジング20との間に設けられ、第2軸部133をハウジング20に対して回転自在に支持している。第2軸受12は、例えばラジアルボールベアリングで構成され、径方向の荷重を支持している。第2軸受12は、後記するホルダ30に収容されている。
ハウジング20は、ウォームホイール120、ウォーム130等を収容している。ハウジング20内には、ホルダ30を収容するホルダ収容孔21が形成されている。ホルダ収容孔21は、短円柱状であり、その軸方向はウォーム130の軸方向に延びている。ホルダ収容孔21は、後記する付勢方向(ウォーム130の径方向(離間方向))に延びる連通孔22を介して外部に連通している。連通孔22は、プラグ23により塞がれる。ハウジング20には、プラグ23の雄ねじ24を螺合させるための雌ねじ25が形成されている。
電動パワーステアリング装置100は、第2軸受12(ウォーム130)をウォームホイール120に向けて付勢し、ウォーム130に予圧を与えるウォーム付勢構造体1を備えている。ウォーム付勢構造体1は、図4に示すように、第2軸受12と、ホルダ30と、カップ40と、弾性部材50と、を備えて構成されている。なお、ここでは、第2軸受12(ウォーム130)を付勢する付勢方向は、図4における左右方向(紙面上下方向)であり、ウォーム130の一径方向である。
ホルダ30は、図3、図4に示すように、略環状を呈しており、第2軸受12の外側に被さり、第2軸受12を保持する部材である。ホルダ30は、第2軸受12の軸方向視において、ウォームホイール120側が切り離されたC字形を呈している。そして、ホルダ30は、前記したホルダ収容孔21に若干縮径した状態で収容されている。
カップ40は、第2軸受12側が閉じた有底円筒状を呈しており、ばね収容部32内に摺動自在に収容されている。カップ40は、円筒状の周壁部41と、周壁部41の第2軸受12側に形成された底壁部42と、を備えている。周壁部41はカップ40の摺動方向においてある程度の長さを有しており、周壁部41の外周面はばね収容部32の内周面に摺接している。底壁部42の外面は、第2軸受12の外周面に線接触している。
弾性部材50は、第2軸受12(ウォーム130)をウォームホイール120に向けて付勢する弾性体である。本実施形態では、弾性部材50を圧縮コイルばね51から構成している。圧縮コイルばね51は、ばね収容部32内において付勢方向に沿って延びるように圧縮された状態で配され、その一端51Aはカップ40の底壁部42に当接し、他端51Bはプラグ23に当接している。つまり、圧縮コイルばね51は、付勢方向において一端51Aがカップ40、第2軸受12を介してウォーム130に支持され、他端51Bがプラグ23に支持されている。これにより、圧縮コイルばね51の弾性復元力により、ウォーム130とウォームホイール120との間に予圧が付与される。なお、弾性部材50としては、皿ばねやゴム材等であってもよい。
電動パワーステアリング装置100は、ハウジング20の雌ねじ25に螺合する雄ねじ24を外周面に有したプラグ23を備えている。プラグ23は、軸長にわたり略一定径に形成された短円柱状の部材である。プラグ23の軸方向一端側の端面(外端面26という)には、ねじ締め工具71(図5)を差し込むための六角穴28が形成されている。プラグ23の軸方向他端側の端面(内端面27という)には、圧縮コイルばね51の他端51B周りを収容するための凹部29が形成されている。
電動パワーステアリング装置100は、ウォーム130とウォームホイール120との間に所望の予圧が得られるように、任意のねじ締め位置に位置調整されたプラグ23を、ハウジング20に対し回転不能に固定するプラグ固定手段80を備えている。プラグ固定手段80の好適例の一つとして、ロックナット(緩み止めナット)81が挙げられる。この場合、所望の予圧が得られた位置に位置調整されたプラグ23は、その雄ねじ24の一部がハウジング20の外面よりも外部に露出するようになっている。ロックナット81は、その露出した雄ねじ24に、ハウジング20の外面に突き当たるまで螺合される。これにより、プラグ23はハウジング20に対し回転不能に固定され、プラグ23の軸方向の移動が阻止される。ロックナット81は公知構造のロックナットを用いることができ、その詳細構造についての説明は省略する。
ハウジング20内の各部品を全て組み付けた状態にし、測定子挿通孔62(図2)は空けたままにしておく。そして、図5に示すように、ねじ締め工具71を六角穴28に差し込み、プラグ23の雄ねじ24をハウジング20の雌ねじ25に螺合し、圧縮コイルばね51を圧縮させる。圧縮コイルばね51に生じた弾性復元力は、第2軸受12をホルダ30内においてウォームホイール120側に押圧する力として作用する。これにより、ウォーム130とウォームホイール120との間に予圧が付与される。この後、以下に記すプラグ調整工程とプラグ固定工程とを行う。
プラグ調整工程では、所望の予圧が得られるようにプラグ23を任意のねじ締め位置に位置調整する。所望の予圧が得られているか否かを判定する一方法例は次の通りである。測定子挿通孔62を介して荷重計60の測定子61をハウジング20の内部に挿入し、その先端を第2軸部133の端面に形成された測定子係止穴64に係止させる。モータ140によりウォーム130を駆動させた状態で、ウォーム130の予圧に関する荷重を測定し、その測定値が「所定荷重」に達するように、ねじ締め工具71によりプラグ23のねじ締め位置を調整し、圧縮コイルばね51の圧縮量を調整する。前記「所定荷重」の値は、所望の予圧が得られたときの荷重値であり、概ねウォーム130が回転していないときの予圧から、既述したようにウォーム130が回転したときに生じる、ウォーム130がウォームホイール120から離れる離間力を差し引いた値である。この「所定荷重」の値は予めシミュレーション等により求めた値である。
プラグ固定工程では、プラグ調整工程で位置調整されたプラグ23を、ロックナット81によりハウジング20に対し回転不能に固定する。これにより、プラグ23の軸方向の移動が阻止され、ウォーム130とウォームホイール120との間の予圧が適正値に保持される。
図6を参照して第2実施形態を説明する。第2実施形態は、プラグ固定手段80を、プラグ23とハウジング20との加締めから構成した形態である。その他の要素は第1実施形態と同じであるため、その説明は省略する。
20 ハウジング
23 プラグ
24 雄ねじ
25 雌ねじ
50 弾性部材
51 圧縮コイルばね(弾性部材)
62 測定子挿通孔
63 閉塞部材
80 プラグ固定手段
81 ロックナット(プラグ固定手段)
82 突起部(プラグ固定手段)
100 電動パワーステアリング装置
120 ウォーム
130 ウォームホイール
140 アシスト用モータ
Claims (4)
- アシスト用モータにより駆動されるウォームと、
前記ウォームに噛合し、操舵軸にアシスト力を伝達するウォームホイールと、
前記ウォームおよび前記ウォームホイールを収容するハウジングと、
前記ハウジングに形成された雌ねじに螺合する雄ねじを外周面に有したプラグと、
付勢方向において一端が前記ウォームに支持され他端が前記プラグに支持されて、前記ウォームと前記ウォームホイールとの間に予圧を付与する弾性部材と、
を備えたパワーステアリング装置であって、
所望の予圧が得られるように任意のねじ締め位置に位置調整された前記プラグを、前記ハウジングに対し回転不能に固定するプラグ固定手段と、
前記ハウジングに形成され、前記ウォームの予圧に関する荷重を測定するための測定子を外部から通すための測定子挿通孔と、
前記測定子挿通孔を塞ぐ閉塞部材と、を備える
ことを特徴とするパワーステアリング装置。 - 前記プラグ固定手段は、前記プラグの雄ねじに螺合するロックナットである
ことを特徴とする請求項1に記載のパワーステアリング装置。 - 前記プラグ固定手段は、前記プラグと前記ハウジングとの加締めである
ことを特徴とする請求項1に記載のパワーステアリング装置。 - アシスト用モータにより駆動されるウォームと、
前記ウォームに噛合し、操舵軸にアシスト力を伝達するウォームホイールと、
前記ウォームおよび前記ウォームホイールを収容するハウジングと、
前記ハウジングに形成された雌ねじに螺合する雄ねじを外周面に有したプラグと、
付勢方向において一端が前記ウォームに支持され他端が前記プラグに支持されて、前記ウォームと前記ウォームホイールとの間に予圧を付与する弾性部材と、
を備えたパワーステアリング装置において、
所望の予圧が得られるように前記プラグを任意のねじ締め位置に位置調整するプラグ調整工程と、
前記プラグ調整工程で位置調整された前記プラグを前記ハウジングに対し回転不能に固定するプラグ固定工程と、
を有し、
前記ハウジングに測定子挿通孔を形成し、
前記プラグ調整工程において、前記測定子挿通孔を介して荷重計の測定子を前記ハウジングの内部に挿入し、前記アシスト用モータにより前記ウォームを駆動した状態で、前記ウォームの予圧に関する荷重を測定してその測定値から前記プラグのねじ締め位置を決定し、
その後、前記測定子挿通孔を塞ぐ
ことを特徴とするパワーステアリング装置の予圧調整方法。
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