JP6351028B2 - 整流装置用多孔板、整流装置および流量計測装置 - Google Patents
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Description
また、2枚の多孔板による整流装置を用いるにあたり、その抵抗係数がISO5167に示されている抵抗係数の値(例えばK=5.0)では実用的ではない。
図1は、本発明の整流装置を備えた配管構成を説明する斜視図である。
配管構成1は、例えば空間二重曲り管路であり、管路入口10から管路出口15までが円形断面(例えば内径D=100mm)である。管路入口10は図1に示すZ軸の負方向に向けて開口し、管路出口15はY軸の正方向に向けて開口している。
管路入口10から第1エルボ11の始端までの距離は例えば発達流が得られる助走区間25Dで示すことができる。第1エルボ11の始端はZ軸の負方向に向けて開口し、第1エルボ11の終端はX軸の負方向に向けて開口している。第1エルボ11の終端から第2エルボ12の始端までの距離は例えばDで示すことができる。第2エルボ12の始端はX軸の正方向に向けて開口し、第2エルボ12の終端はY軸の正方向に向けて開口している。なお、第1,2エルボ11,12の曲率半径は、比較的強い旋回流を発生するために、例えば0.62Dに設定されている。
図2は、図1の整流装置を説明する部分断面図であり、流量計14以降を除き、第2エルボ12の下流側を断面図で示している。
整流装置13は、上流側の旋回整流用多孔板20および下流側の速度分布用多孔板30による2枚の多孔板を備えている。旋回整流用多孔板20は主として旋回成分を除去する機能を有しており、第2エルボ12の終端から旋回整流用多孔板20の始端までの距離は上述したように2Dで示すことができる。
一方、速度分布用多孔板30は主としてじょう乱を除去する機能を有し、速度分布用多孔板30の始端は、旋回整流用多孔板20の終端から距離L1の位置に配置されている。
なお、旋回整流用多孔板20が本発明の上流用多孔板に、速度分布用多孔板30が本発明の下流用多孔板にそれぞれ相当する。
旋回整流用多孔板20は、円板状のプレート21と、このプレート21を貫通して穿設された貫通円孔22とを有している。貫通円孔22は、非特許文献1に示された構造と同様に例えば計35個で構成され、かつ上流側のエッジ部分が面取りされており、いずれも同一の孔径dで形成されている。
ここで、旋回整流用多孔板20は、その抵抗係数Kが半径方向で均一な値を持ち、その流出角係数αが零になるように設計されており、貫通円孔22は、隣接する相互の距離がプレート21の中心では小さく、プレート21の周辺ほど大きくなっている。
なお、この図3では、1枚のプレートからなる旋回整流用多孔板の例を挙げて説明したが、重量軽減や材料の節約を図るために、プレートにチューブを嵌合させて板厚tの旋回整流用多孔板を形成してもよい。また、旋回整流用多孔板をフランジ間に挟み込む場合、最外周に位置する貫通円孔(例えばh4,h7,h10,h11,h12)とプレートの外周縁との間には、孔を設けない領域が形成されていてもよい。
速度分布用多孔板30は、円板状のプレート31と、このプレート31を貫通して穿設された貫通円孔32とを有する。貫通円孔32は、例えば計55個で構成され、いずれも同一の孔径dで形成されている。
ここで、速度分布用多孔板30は、その抵抗係数Kが半径方向で均一な値を持ち、その流出角係数αも均一な値になるように設計されており、貫通円孔32は、非特許文献1に示された構造の設計法に従って複数の同心円上に孔を設けている。
まず、第1同心孔H1は例えば6個からなり、中央孔H0と同心円上にて等間隔(例えば60°毎)で配置されている。図4(B)に示すように、第1同心孔H1に関する同心円の半径r1は0.26Dで示すことができる。
ただし、第5同心孔H5は、非特許文献1のような12個ではなく、例えば24個からなり、第4同心孔H4の外側であって中央孔H0と同心円上にて等間隔(例えば15°毎)で配置されている。このため、非特許文献1の構造に比べて円管の壁付近の流速を大きくすることができる。第5同心孔H5に関する同心円の半径r5は0.92Dで示すことができる。
図5は、第2の実施形態の下流用多孔板を説明する正面図であり、図5(A)は速度分布用多孔板40の正面図を、図5(B)は孔の配列を説明するために、速度分布用多孔板40の一部分(30°)を抜き出した図を示している。
速度分布用多孔板40も、速度分布用多孔板30と同様に、1枚のプレート41(板厚t=0.035D)に同一の孔径d(例えば10mm)の貫通円孔42を有しているが、貫通円孔42は例えば計43個で構成されている。
続いて、上記整流装置の解析結果について説明する。本解析で検討した整流装置には、図3で説明した旋回整流用多孔板20および図5で説明した速度分布用多孔板40を組み合わせている。そして、旋回整流用多孔板20の終端から速度分布用多孔板40の始端までの距離L1=Dに設定した整流装置(以下、本実施例Aとする)と、旋回整流用多孔板20の終端から速度分布用多孔板40の始端までの距離L1=2Dに設定した整流装置(以下、本実施例Bとする)と、図3で説明した旋回整流用多孔板20のみの整流装置(以下、比較例とする)とについて、本実施例A,Bは速度分布用多孔板40の終端からの距離L2=8Dの位置における整流効果を、比較例は旋回整流用多孔板20の終端からの距離L2=8Dの位置における整流効果を検討した(図6、図7)。
上記の比較例は、図6(A),(B)に●で示しており、図6の破線よりは旋回成分を除去できるものの、図6の実線付近の値で現れているので、1枚の多孔板で偏りを伴う旋回流を除去するのは難しいことが分かる。
また、軸方向速度分布の測定には、例えば4測線の伝搬時間逆数差法による超音波流量計を用い、発達流を生成させるために助走区間を十分に設け、作動流体にはガソリンを用いて測定レイノルズ数Re=104〜107の範囲で測定した。すなわち、計測している流速は、超音波が伝搬していく経路上の平均流速(線平均流速)であるため、流量補正係数によって管内平均流速(面の平均流速)に補正した後に、管路断面積を乗じて流量を算出している。測定間隔はマイクロ秒のオーダであるが、ここでは、速度分布の傾向を把握するために測定値(14,550個)を平均した。本解析では、流体を空気(粘性係数μ=1.822×10−5Pa・s、密度ρ=1.205kg/m3)とし、レイノルズ数を上記の測定レイノルズ数の範囲(104〜107)の下限に近い値(7.3×104)とした。
これに対し、図7(A)に●や○で示すように、本実施例A(L1=D)は、V/Vm=1.0の位置に集中し、比較例に比べて◇で示す超音波流量計の測定結果に一致する箇所が多く現れている。さらに図7(B)に●や○で示すように、本実施例B(L1=2D)は、本実施例Aに比べて◇で示す超音波流量計の測定結果に一致する箇所が多く現れている。
Claims (5)
- 円管内の流れを整流する整流装置用多孔板であって、
該多孔板は、所定厚のプレートと、該プレートを貫通して設けられ、各孔の直径が互いに等しい複数個の貫通円孔とを有し、
該貫通円孔は、前記プレートの中心に配置される1個の中央孔と、該中央孔と同心円上にて等間隔で配置される6個の第1同心孔と、該第1同心孔の外側で前記中央孔と同心円上にて等間隔で配置される6個の第2同心孔と、該第2同心孔の外側で前記中央孔と同心円上にて等間隔で配置される6個の第3同心孔と、該第3同心孔の外側で前記中央孔と同心円上にて等間隔で配置される12個の第4同心孔と、該第4同心孔の外側で前記中央孔と同心円上にて等間隔で配置される24個の第5同心孔とからなることを特徴とする整流装置用多孔板。 - 前記円管の内径をDとした場合、前記第1同心孔を前記プレートの中心から0.26Dで規定される前記同心円上に、前記第2同心孔を前記プレートの中心から0.42Dで規定される前記同心円上に、前記第3同心孔を前記プレートの中心から0.54Dで規定される前記同心円上に、前記第4同心孔を前記プレートの中心から0.68Dで規定される前記同心円上に、前記第5同心孔を前記プレートの中心から0.92Dで規定される前記同心円上にそれぞれ配置することを特徴とする請求項1に記載の整流装置用多孔板。
- 前記第3同心孔が、その両側で隣接する前記第4同心孔に連通されることを特徴とする請求項1又は2に記載の整流装置用多孔板。
- 上流用多孔板および下流用多孔板を備えた整流装置であって、
前記上流用多孔板は、所定厚のプレートと、該プレートを貫通して設けられ、各孔の直径が互いに等しい複数個の貫通円孔とを有し、前記上流用多孔板の貫通円孔が、隣接する相互の距離が前記プレートの中心では小さく前記プレートの周辺ほど大きくされ、
前記下流用多孔板が、請求項1から3のいずれか1項に記載の整流装置用多孔板であることを特徴とする整流装置。 - 請求項4に記載の整流装置を備えると共に、前記下流用多孔板の下流に管内平均流速に基づいて流量計測を行う流量計を配置したことを特徴とする流量計測装置。
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