JP6350559B2 - 作動流体制御機構用ボディの製造方法及びそのボディを用いる作動流体制御機構の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、油圧アクチュエータ等への作動流体の供給を制御するための作動流体制御機構用ボディの製造方法及びそのボディを用いる作動流体制御機構の製造方法に関する。
一般に、車両に搭載される自動変速機は、変速機構を構成する複数の摩擦締結要素への締結用油圧の生成及び給排、変速機ケース内の各部への潤滑油の供給、並びに、トルクコンバータへのオイルの供給等を制御する油圧制御装置を備えている。
例えば特許文献1に開示されているような従来の油圧制御装置は、アルミニウムのダイキャスト等により、金型を用いてバルブボディを構成する複数層のバルブボディ構成部材をそれぞれ成形し、これらバルブボディ構成部材を、各層の合わせ面間にセパレートプレートを挟んで積み重ねて複数のボルトで締結してユニット化し、ユニット化されたバルブボディにソレノイドバルブやスプールバルブ等を組み付けることで製造される。
この成形工程において、バルブボディ構成部材には、合わせ面に沿って延びる複数の油路と、ソレノイドバルブのバルブ部やスプールバルブのスプール等を挿入するためのバルブ挿入穴と、例えば、オイルポンプ等から油路や切替弁等を介して入力油圧が供給される入力ポート、摩擦締結要素等へ油路を介して出力油圧を供給する出力ポート、オイルパン等にオイルを排出するドレインポート等の複数のポートと、が形成される。これにより、各バルブ挿入穴の周壁には、該バルブ挿入穴内に向けて開口する凹状をなす環状溝としての前記ポートがバルブ挿入穴の軸方向に沿って互いに離間するように複数設けられた状態となる。
ところが、従来の製造方法では、効率的な大量生産の実現のために金型を用いてバルブボディ構成部材を成形するので、複数層のバルブボディ構成部材を積み重ねないと、厚み方向に異なる位置に複数の油路を重ねて配置することができない等、油路の取り回しに制限がある。そのため、バルブボディを構成する部品数が多くなり、複数のバルブボディ構成部材にまたがって延びる油路を形成するために油路の取り回しが複雑になる。結果として、バルブボディの大型化及び重量の増大のおそれがあった。また、油路の設計変更を行う場合、金型を作り直す必要があることから、多大な労力や時間が必要であった。
これに対して、金型を用いず、従来と全く異なる製造方法である三次元積層造形法によってバルブボディを一体的に積層造形することが考えられる。ここでいう三次元積層造形法とは、CADデータ等に基づいて、金属等の粉末を薄く敷き詰めた粉末層にレーザを選択的に照射することによって溶融固化させ、この上に新たな粉末層を積層してレーザ照射を行うことを繰り返すことで、複数の層が積層一体化した三次元形状の造形物を製造する方法である。この方法によれば、中空構造等の複雑な内部構造を有する製品を一体的に造形することも可能である。
しかしながら、三次元積層造形法によって前記自動変速機用油圧制御装置等の作動流体制御機構用のボディを製造する場合、例えば、上下方向にバルブ挿入穴が延びるように、すなわちバルブ挿入穴の軸心方向にボディを積層造形することが考えられる。このように積層造形する場合、図7に示すように、バルブ挿入穴131の周壁において、各ポート132の上下に位置する溝肩部のうち、上側にある溝肩部133を溶融固化する際、この溝肩部133は、下方が溶融固化していない粉末によって支持されており、その溝肩部133の先端角部まで積層造形されずに、溝肩部133が先端角部の欠けた状態となり易いという課題を当該出願人は新たに見出した。そして、このように製造したボディを作動流体制御機構に用いた場合、上述の先端角部が欠けた溝肩部133からポート132内のオイルが漏れるおそれがある。
そこで、本発明は、作動流体制御機構用ボディを三次元積層造形法によって製造する際、バルブ挿入穴の周壁に形状不良が発生するのを防止することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る作動流体制御機構用ボディの製造方法及びそのボディを用いる作動流体制御機構の製造方法は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、作動流体制御弁の弁体が挿入されるバルブ挿入穴と、該バルブ挿入穴に連通する連絡路とを備えた作動流体制御機構用ボディの製造方法であって、
三次元積層造形方法により、前記バルブ挿入穴となる部分に余肉を残して前記ボディを積層造形する造形工程と、
前記造形工程の後、前記ボディの余肉を切削することにより、前記連絡路に連通する前記バルブ挿入穴を形成する切削工程と、
を有することを特徴とする。
三次元積層造形方法により、前記バルブ挿入穴となる部分に余肉を残して前記ボディを積層造形する造形工程と、
前記造形工程の後、前記ボディの余肉を切削することにより、前記連絡路に連通する前記バルブ挿入穴を形成する切削工程と、
を有することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記造形工程では、前記バルブ挿入穴の軸心方向に沿って前記ボディを積層造形する
ことを特徴とする。
前記造形工程では、前記バルブ挿入穴の軸心方向に沿って前記ボディを積層造形する
ことを特徴とする。
更に、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、
前記連絡路は、前記制御弁のポートである
ことを特徴とする。
前記連絡路は、前記制御弁のポートである
ことを特徴とする。
また更に、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記造形工程では、前記ポートが前記バルブ挿入穴の軸心方向に複数設けられる
ことを特徴とする。
前記造形工程では、前記ポートが前記バルブ挿入穴の軸心方向に複数設けられる
ことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明によって製造された前記ボディを用いる作動流体制御機構の製造方法であって、
前記切削工程の後、前記バルブ挿入穴の一端の開口部から前記弁体を挿入する挿入工程を有する
ことを特徴とする。
前記切削工程の後、前記バルブ挿入穴の一端の開口部から前記弁体を挿入する挿入工程を有する
ことを特徴とする。
また更に、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記挿入工程の後、前記開口部を閉塞するための閉塞部材を取り付ける閉塞工程を有する
ことを特徴とする。
前記挿入工程の後、前記開口部を閉塞するための閉塞部材を取り付ける閉塞工程を有する
ことを特徴とする。
また更に、請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の発明において、
前記制御弁は、スプールバルブである
ことを特徴とする。
前記制御弁は、スプールバルブである
ことを特徴とする。
また更に、請求項8に記載の発明は、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の発明において、
前記作動流体制御機構は、車両用自動変速機を油圧によって制御するための油圧制御機構である
ことを特徴とする。
前記作動流体制御機構は、車両用自動変速機を油圧によって制御するための油圧制御機構である
ことを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明に係る作動流体制御機構用ボディの製造方法によれば、三次元積層造形方法により、バルブ挿入穴となる部分に余肉を残して作動流体制御機構用ボディを造形した後、この余肉を切削することにより、連絡路に連通するバルブ挿入穴を形成するので、バルブ挿入穴の周壁に開口する連絡路の開口肩部となる部分を溶融固化する際、この部分は、下方が溶融固化した余肉によって支持されており、その開口肩部の先端角部となる部分まで安定して確実に積層造形されるので、従来のような欠けが発生するのを防止できる。そして、不要となった余肉は造形後に除去されるので、目的の形状を有するバルブ挿入穴を得ることができる。したがって、バルブ挿入穴の周壁に形状不良が発生するのを防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、ボディをバルブ挿入穴の軸心方向に沿って積層造形するので、より高精度にボディ、特にバルブ挿入穴の周壁を積層造形することができる。
請求項3に記載の発明によれば、連絡路は、作動流体制御弁から作動流体が給排されるポートであるので、ポートからのオイル漏れを防止することができる。
請求項4に記載の発明によれば、バルブ挿入穴の軸心方向に複数のポートが設けられるので、隣接するポート間でオイルが漏れるのを防止することができる。
請求項5に記載の発明に係る作動流体制御機構の製造方法によれば、弁体が挿入された作動流体制御機構において、請求項1に係る発明と同様の効果を得ることができる。
請求項6に記載の発明によれば、バルブの挿入後に開口部を閉塞するための閉塞部材を取り付けるので、弁体がバルブ挿入穴から不用意に抜け出るのを防止することができる。
請求項7に記載の発明によれば、制御弁はスプールバルブであるので、スプールバルブがオイル漏れによって動作不良が起きるのを防止することができる。
請求項8に記載の発明によれば、作動流体制御機構は車両用自動変速機を油圧によって制御するための油圧制御機構であるので、自動変速機が正常に動作するようにできる。
以下、図1〜図5を参照しながら、本発明の実施形態に係る油圧制御装置1について説明する。
[バルブボディの構造]
図1は、油圧制御装置1を上方から見た斜視図である。図1に示すように、油圧制御装置1は、オイルポンプ等の油圧源からの作動油を調圧して、車両に搭載される自動変速機やトルクコンバータを作動させるための油圧を生成すると共に、各種軸受等の潤滑部分に作動油を供給するものである。油圧制御装置1は、図示しない複数の油路を有するバルブボディ10と、該バルブボディ10に取り付けられて当該バルブボディ10の油路と共に油圧回路を構成する複数のソレノイドバルブ2及びスプールバルブ3(図3を参照)と、を備えている。
図1は、油圧制御装置1を上方から見た斜視図である。図1に示すように、油圧制御装置1は、オイルポンプ等の油圧源からの作動油を調圧して、車両に搭載される自動変速機やトルクコンバータを作動させるための油圧を生成すると共に、各種軸受等の潤滑部分に作動油を供給するものである。油圧制御装置1は、図示しない複数の油路を有するバルブボディ10と、該バルブボディ10に取り付けられて当該バルブボディ10の油路と共に油圧回路を構成する複数のソレノイドバルブ2及びスプールバルブ3(図3を参照)と、を備えている。
ソレノイドバルブ2は、電磁力によってスプールを軸方向に移動させることで、弁の開度を調整するバルブであり、コイルを収容した円筒状の電磁部2aと、電磁部2aよりも小径であって電磁部2aから軸方向に延びる円筒状のバルブ部(図示しない)と、を備えている。該バルブ部は、周囲に入力ポート、出力ポート及びドレインポートが形成されたスリーブと、該スリーブの中空部分に摺動自在に嵌挿されたスプールと、を有する。複数のソレノイドバルブ2として、例えば、摩擦締結要素等の油圧アクチュエータに供給される油圧を直接的に制御するためにリニアソレノイドバルブや、スプールバルブ3の制御ポートへの油圧供給経路を開閉するためにオンオフソレノイドバルブが用いられる。
スプールバルブ3は、その制御ポートに入力される油圧に応じてスプール3aが軸方向に移動することで、吐出圧を調整したり、油圧供給経路を切り換えるためのバルブであり、例えば、機械式オイルポンプの吐出圧をライン圧に調整する調圧レギュレータバルブ、運転者によるシフトレバーの操作に連動して油圧供給経路を切り換えるマニュアルバルブ、ソレノイドバルブ2の故障時に所定の変速段を実現するように油圧供給経路を切り換えるフェールセーフバルブ等として機能する。
図2は、油圧制御装置1のバルブボディ10単体を上方から見た斜視図である。図2に示すように、バルブボディ10は、アルミニウム等からなる単一部材で構成されており、略筒状に形成された複数のソレノイドバルブ収容部20及びスプールバルブ収容部30を備えている。ソレノイドバルブ収容部20には、ソレノイドバルブ2を挿入するための複数のバルブ挿入穴21が第1の幅方向D1に延びてその一端に開口するように設けられており、該バルブ挿入穴21には、ソレノイドバルブ2のバルブ部が嵌合された状態でバルブボディ10に組み付けられる。また、スプールバルブ収容部30には、複数のバルブ挿入穴31が第1の幅方向D1に延びてその一端に開口するように設けられている。
本実施形態では、スプールバルブ3のバルブ挿入穴31は、ソレノイドバルブ2のバルブ挿入穴21に比べて小径かつ長尺である。また、スプールバルブ3のバルブ挿入穴31は、バルブボディ10の比較的上側の部分に集約されて配置されており、ソレノイドバルブ2のバルブ挿入穴21は、バルブボディ10の比較的下側の部分に集約されて配置されている。ソレノイドバルブ2のバルブ挿入穴21は、第2の幅方向D2に複数並ぶように配置されており、これらのバルブ挿入穴21は全て厚み方向D3のほぼ同じ高さに配置されている。
図3は、油圧制御装置1におけるスプールバルブ3の周辺部を示す断面図である。図3に示すように、バルブ挿入穴31には、軸方向に摺動可能にスプール3aが収容されると共に、該スプール3aを軸方向の一方に向けて付勢するためにスプリング3bが軸方向に伸縮可能に収容されており、更に、該スプリング3bの一端に当接してバルブ挿入穴31の開口部31aを閉塞するためのプラグ3cが収容されている。該プラグ3cは、バルブ挿入穴31の開口近傍に形成された孔に差し込まれた抜け止めピン3dによって所定位置に固定されている。
また、バルブボディ10には、複数の油路34が設けられている。該油路34は、機械式オイルポンプや電動式オイルポンプ等の油圧供給源、変速機構を構成する変速制御用の油圧アクチュエータ、変速機ケース内のギヤ同士の噛み合い部や軸受等の被潤滑部、及び、トルクコンバータの被潤滑部やロックアップクラッチの油圧室等に連絡されている。これにより、バルブ2、3の動作の制御によって、変速制御用の油圧アクチュエータの動作、変速機ケース内の各部への潤滑油の供給、並びに、トルクコンバータへのオイルの供給等を制御することができる。
なお、変速制御用の油圧アクチュエータの具体例としては、有段変速機のクラッチやブレーキ等の摩擦締結要素、ベルト式無段変速機のプーリ、デュアルクラッチトランスミッションのクラッチ等が挙げられる。また、ここでいう変速制御とは、変速やその準備等、変速に関連する動作の制御を意味し、例えば、摩擦締結要素の締結や解放、スリップ制御、或いは、プーリ径の拡大又は縮小等、油圧アクチュエータの各種動作によって変速制御が行われる。
更に、バルブボディ10において各バルブ挿入穴31の周壁には、該バルブ挿入穴31内に向けて開口する凹状をなす環状溝としてのポート35がバルブ挿入穴31の軸方向に沿って互いに離間するように複数設けられており、これらポート35を介して各バルブ挿入穴31は油路34に連通されている。
[バルブボディの製造方法]
上述のように構成されたバルブボディ10と該バルブボディ10を用いた油圧制御機構1は、以下の製造方法によって製造される。
上述のように構成されたバルブボディ10と該バルブボディ10を用いた油圧制御機構1は、以下の製造方法によって製造される。
まず、図4(a)に示すように、例えばアルミニウム等の金属粉末を原料として3Dプリンタを用いて、三次元積層造形法によって、スプールバルブ3のバルブ挿入穴31となる部分に余肉36を残してバルブボディ10をバルブ挿入穴31の軸心方向に沿って該バルブ挿入穴31の開口する方向(矢印参照)へ向かって一体的に積層造形する造形工程を行う。
ここで、本実施形態では、バルブ挿入穴31となる部分に残される余肉36は、図4(b)に示すように、複数のポート35となる部分を除いてバルブ挿入穴31が設けられる部分をほぼ埋めるような軸状形状(図4(b)のドットのハッチング領域)をしている。具体的には、バルブ挿入穴31の軸心方向に設けられる複数のポート35となる部分を含み、かつバルブ挿入穴31の内周面となる位置よりも僅かに内径側に空間が広がった複数の空洞部35’を除く部分が余肉36によって埋められるように、バルブボディ10のバルブ挿入穴31となる部分を含む周囲が積層造形される。
また、この造形工程では、上述の複数の空洞部35’等に連通する複数の油路34や、後述する除去工程で用いる排出穴(図示しない)を併せて積層造形される。
更に、この造形工程では、図示しないが、ソレノイドバルブ2のバルブ挿入穴21となる部分についても、スプールバルブ3のバルブ挿入穴31の場合と同様に、軸状の余肉を残すように積層造形される。
ここで、三次元積層造形法として、例えば、CADデータ等に基づいて、材料となる粉末にレーザ又は電子ビームを用いて一層ずつ焼結して造形させていく粉末焼結積層造形法が採用され得る。具体的には、金属等の粉末を薄く敷き詰めた粉末層にレーザ又は電子ビームを選択的に照射することによって溶融固化させ、この上に新たな粉末層を積層してレーザ照射を行うことを繰り返して積層造形する粉末床溶融法(Powder Bed Fusion)や、粉末などを供給しながらレーザ又は電子ビームで溶融し、溶融物を堆積させながら積層造形する指向性エネルギー堆積法(DMP(Direct Metal Deposition))を用いることができる。このような方法によれば、金型を用いた成形では製造できない中空構造等の複雑な内部構造を有する製品を一体的に造形することが可能である。なお、三次元積層造形法は、上述の方式に限るものではない。
次に、バルブボディ10に形成された油路34や空洞部35’等の空洞部の内部に溶融固化せずに残留する金属等の粉末をバルブボディ10の排出穴から除去する除去工程を行う。 この除去は、具体的には、空洞部に連通する複数の排出穴の一つから空洞部に圧縮空気を送り込んで他の排出穴から空気と共に残留する粉末を吹き出したり、積層造形後のバルブボディ10に振動を加えて、排出穴から残留する粉末を振り落とすことによって行う。
次に、図4(b)に示すように、バルブボディ10の余肉36を所定のドリルによって矢印方向に切削して除去することにより、ポート35に連通するバルブ挿入穴21、31を形成する切削工程を行う。このとき、本実施形態では、全てのバルブ挿入穴21、31は、その軸心方向が第1の幅方向D1に平行であり、第1の幅方向D1の同じ側に開口している。そのため、切削工程の際、全てのバルブ挿入穴21、31について同じ方向から加工を行うことができる。また、バルブ挿入穴21、31は、異なる内径を有する段付きの穴であるので、この切削工程では、径の異なる複数のドリルを用いて段階的に余肉を切削することも、段付きドリル(図4(b)の破線を参照)を用いて一度に余肉を切削することもできるが、後者の方が生産効率の点で有利である。
この切削工程によって、図5に示すように、バルブ挿入穴31の周壁において、ポート35の溝肩部37が正常に形成された、単一部材からなるバルブボディ10が製造される。
更に、各バルブ挿入穴21にその一端の開口部21aからソレノイドバルブ2のバルブ部を挿入すると共に、各バルブ挿入穴31にその一端の開口部31aからスプールバルブ3のスプール3a、スプリング3b等を挿入する挿入工程を行う。
最後に、スプリング3bを内方に押し込んだ状態で、バルブ挿入穴31の開口部31aを閉塞するためのプラグ3cを抜け止めピン3dを用いてバルブ挿入穴31の内部に取り付ける閉塞工程を行う。
以上の製造方法によって、バルブボディ10を用いた油圧制御機構1が製造される。
[製造方法の変形例]
図6を参照しながら、製造方法の変形例について説明する。図6は、バルブボディの製造方法の変形例を説明する説明図である。なお、上述の実施形態と同様の構成要素については、図6において同一の符号を付すと共に、その説明を省略する。
図6を参照しながら、製造方法の変形例について説明する。図6は、バルブボディの製造方法の変形例を説明する説明図である。なお、上述の実施形態と同様の構成要素については、図6において同一の符号を付すと共に、その説明を省略する。
まず、図6(a)に示すように、三次元積層造形法によって、スプールバルブ3のバルブ挿入穴31となる部分に余肉36(図6(b)を参照)を残して穴部31’が形成されたバルブボディ10をバルブ挿入穴31の軸心方向に沿って一体的に積層造形する造形工程を行う。
ここで、この変形例では、バルブ挿入穴31となる部分に残される余肉36は、図6(b)に示すように、バルブ挿入穴31が設けられる部分の内周面をほぼ埋めるような管状形状(図6(b)のドットのハッチング領域)をしている。具体的には、バルブ挿入穴31の軸心方向に設けられる複数のポート35となる部分を含み、かつバルブ挿入穴31の内周面となる位置よりも僅かに内径側に空間が広がった複数の環状の空洞部35’と、バルブ挿入穴31の軸方向に延びる穴部31’と、を除く部分が余肉36によって埋められるように、バルブボディ10のバルブ挿入穴31となる部分を含む周囲が積層造形される。
また、この造形工程では、上述の複数の空洞部35’等に連通する複数の油路34や、空洞部35’と連通する排出穴等も併せて積層造形される。
更に、この造形工程では、図示しないが、ソレノイドバルブ2のバルブ挿入穴21となる部分についても、スプールバルブ3のバルブ挿入穴31の場合と同様に、管状の余肉を残すように積層造形される。
次に、バルブボディ10に形成された油路34、空洞部35’、穴部31’等の空洞部の内部に溶融固化せずに残留する金属等の粉末をバルブボディ10の排出穴から除去する除去工程を行う。
次に、図6(b)に示すように、バルブボディ10の余肉36を所定のドリルによって切削することにより、ポート35に連通するバルブ挿入穴21、31を形成する切削工程を行う。
この切削工程によって、図5に示すように、バルブ挿入穴31の周壁において、ポート35の溝肩部37が正常に形成された、単一部材からなるバルブボディ10が製造される。
ここで、本実施形態の製造方法と変形例の製造方法を比較すると、前者は、切削時に芯ずれが生じにくいという点で後者よりも有利である。一方で、後者は、切削工程で除去される余肉の量が少ないため、切削工程に要する時間が少ない点で前者よりも有利である。
以上により、本実施形態によれば以下のような作用効果を奏する。
本実施形態によれば、三次元積層造形方法により、バルブ挿入穴21、31となる部分に余肉36を残して油圧制御機構1のバルブボディ10を造形した後、この余肉36を切削することにより、ポート35に連通するバルブ挿入穴21、31を形成するので、ポート35の溝肩部37となる部分を溶融固化する際、この部分は、下方が溶融固化した余肉36によって支持されており、その溝肩部37の先端角部となる部分まで安定して確実に積層造形されるので、従来のような欠けが発生するのを防止できる。そして、不要となった余肉36は造形後に除去されるので、目的の形状を有するバルブ挿入穴21、31を得ることができる。したがって、バルブ挿入穴21、31の周壁に形状不良が発生するのを防止することができる。
本実施形態によれば、バルブ挿入穴21、31の軸心方向に沿って積層造形するので、より高精度にバルブボディ10、特にバルブ挿入穴21、31の周壁を積層造形することができる。
本実施形態によれば、余肉36を切削することによってスプールバルブ3のポート35に連通するバルブ挿入穴31を形成するので、ポート35からのオイル漏れを防止することができる。
本実施形態によれば、バルブ挿入穴21、31の軸心方向に複数のポート35が設けられるので、隣接するポート35、35間でオイルが漏れるのを防止することができる。
本実施形態によれば、スプール3aの挿入後に開口部21a、31aを閉塞するためのプラグ3cを取り付けるので、スプール3aがバルブ挿入穴21、31から不用意に抜け出るのを防止することができる。
本実施形態によれば、制御弁はスプールバルブ3であるので、スプールバルブ3がオイル漏れによってスプールが正常に動作しなくなるのを防止することができる。
本実施形態によれば、作動流体制御機構は車両用自動変速機を油圧によって制御するための油圧制御機構1であるので、スプールバルブ3のオイル漏れに起因して自動変速機が正常に動作しなくなるのを防止することができる。
なお、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
例えば、各バルブ挿入穴21、31の向きや大きさ、配置は任意であり、例えば、一部のバルブ挿入穴21、31の開口部21a、31aを、第1の幅方向D1において残りのバルブ挿入穴21、31の開口部21a、31aと反対側に設けたり、1つ以上のバルブ挿入穴21、31を第1の幅方向D1とは異なる方向に沿って配置したりしてもよい。
更に、上述の実施形態では、自動変速機に搭載される油圧制御装置のバルブボディについて説明したが、本発明は、自動変速機以外のあらゆる機器に搭載される油圧制御装置のバルブボディにも同様に適用可能である。
以上のように、本発明によれば、作動流体制御機構用ボディを三次元積層造形法によって積層造形する際にバルブ挿入穴の周壁に形状不良が発生するのを防止できるから、油圧制御装置を有する自動変速機及びこれを搭載した車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
1 油圧制御機構(作動流体制御機構)
2 ソレノイドバルブ(作動流体制御弁)
3 スプールバルブ(作動流体制御弁)
3a スプール(弁体)
3c プラグ(閉塞部材)
10 バルブボディ(作動流体制御機構用ボディ)
31 バルブ挿入穴
31a 開口部
35 ポート(連絡路)
36 余肉
2 ソレノイドバルブ(作動流体制御弁)
3 スプールバルブ(作動流体制御弁)
3a スプール(弁体)
3c プラグ(閉塞部材)
10 バルブボディ(作動流体制御機構用ボディ)
31 バルブ挿入穴
31a 開口部
35 ポート(連絡路)
36 余肉
Claims (8)
- 作動流体制御弁の弁体が挿入されるバルブ挿入穴と、該バルブ挿入穴に連通する連絡路とを備えた作動流体制御機構用ボディの製造方法であって、
三次元積層造形方法により、前記バルブ挿入穴となる部分に余肉を残して前記ボディを積層造形する造形工程と、
前記造形工程の後、前記ボディの余肉を切削することにより、前記連絡路に連通する前記バルブ挿入穴を形成する切削工程と、を有する
ことを特徴とする作動流体制御機構用ボディの製造方法。 - 前記造形工程では、前記バルブ挿入穴の軸心方向に沿って前記ボディを積層造形する
ことを特徴とする請求項1に記載の作動流体制御機構用ボディの製造方法。 - 前記連絡路は、前記制御弁のポートである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作動流体制御機構用ボディの製造方法。 - 前記造形工程では、前記ポートが前記バルブ挿入穴の軸心方向に複数設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の作動流体制御機構用ボディの製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明によって製造された前記ボディを用いる作動流体制御機構の製造方法であって、
前記切削工程の後、前記バルブ挿入穴の一端の開口部から前記弁体を挿入する挿入工程を有する
ことを特徴とする作動流体制御機構の製造方法。 - 前記挿入工程の後、前記開口部を閉塞するための閉塞部材を取り付ける閉塞工程を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の作動流体制御機構の製造方法。 - 前記制御弁は、スプールバルブである
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の作動流体制御機構の製造方法。 - 前記作動流体制御機構は、車両用自動変速機を油圧によって制御するための油圧制御機構である
ことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の作動流体制御機構の製造方法。
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