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JP6346307B2 - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光板の構成部材として用いることのできる偏光フィルムの製造方法に関する。また本発明は、偏光フィルム及びそれを含む偏光板に関する。
偏光フィルムには、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料のような二色性色素を吸着配向させたものが従来用いられている。一般に偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する染色処理、架橋剤で処理する架橋処理を順次施すとともに、製造工程の間に一軸延伸処理を施すことによって製造される〔例えば、特開平7−325218号公報(特許文献1)〕。
特開平7−325218号公報
偏光フィルムは、液晶表示装置に代表される画像表示装置に用いられている。偏光フィルムは通常、その片面又は両面に保護フィルムを貼合して偏光板とされ、画像表示装置に組み込まれる。例えば液晶表示装置は、画像表示素子としての液晶セルの両面に偏光板を貼合してなる液晶パネルを搭載する。
近年益々、偏光板の薄型化が要求されているが、偏光板は、薄型である場合にはとりわけ、高温環境下及び高湿環境下で反り(湾曲)を生じやすい。反りを生じる偏光板を液晶セルに貼合して液晶パネルを構築すると、場合によっては液晶パネルにも反りが生じてしまう。液晶パネルの反りは、液晶表示装置の視認性に悪影響を与えるおそれがある。
偏光板の反り、ひいては液晶パネルの反りを抑制するためには、偏光板に用いる偏光フィルムの吸収軸方向における収縮力(以下、「MD収縮力」ともいう。)を低下させることが有効である。MD収縮力を低下させる方法としては、偏光フィルム製造時の延伸倍率を低くすることが挙げられるが、しかしこの方法の場合、偏光フィルムの光学特性(例えば、偏光度)が不十分となってしまう。
本発明の目的は、良好な光学特性を有しながらもMD収縮力が小さい偏光フィルムを製造するための方法を提供することにある。また本発明の他の目的は、良好な光学特性を有しながらもMD収縮力が小さい偏光フィルム、及びそれを含む偏光板を提供することにある。
本発明は、以下に示す偏光フィルムの製造方法、偏光フィルム及び偏光板を提供する。
[1] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する染色工程と、
染色工程後のフィルムを架橋剤で処理する架橋工程と、
架橋工程後のフィルムであって、かつ湿潤状態にあるフィルムを、温度40〜100℃、絶対湿度40g/m3以上の雰囲気下に置く高温高湿処理工程と、
を含む、偏光フィルムの製造方法。
[2] 前記架橋工程後のフィルムを、水を含有する洗浄液を用いて洗浄する洗浄工程をさらに含み、
前記高温高湿処理工程は、前記洗浄工程後のフィルムであって、かつ湿潤状態にあるフィルムに対して実施される、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記高温高湿処理工程の処理時間は、5秒〜60分である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 前記高温高湿処理工程によってフィルムの水分率を低下させる、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記高温高湿処理工程前後のフィルムの水分率の差は、15重量%未満である、[4]に記載の製造方法。
[6] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されている偏光フィルムであって、
広角X線回折測定により得られる方位角分布曲線に基づき、下記式:
配向度(%)=(360−W)/360
〔式中、Wは、前記方位角分布曲線のピーク全体の積分値を100%とするときに積分値が50%となるピーク全幅を、すべてのピークについて求めたときのこれらの和である。〕
に従って求められる配向度が、前記偏光フィルムの厚みが20μm以上であるとき71%以下であり、前記偏光フィルムの厚みが10μm以上20μm未満であるとき74.0%以下である、偏光フィルム。
[7] [6]に記載の偏光フィルムと、その少なくとも一方の面に積層される保護フィルムとを含む、偏光板。
本発明によれば、良好な光学特性を有しながらもMD収縮力が小さい偏光フィルム及びその製造方法を提供することができる。本発明に係る偏光フィルムを用いた偏光板及び液晶パネルは、高温環境下又は高湿環境下において反りを生じにくい。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法の一例を示すフローチャートである。 バックグラウンド補正後の方位角分布曲線の一例を示す図である。
<偏光フィルムの製造方法>
図1を参照して、本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、以下の工程:
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する染色工程S20、
染色工程後のフィルムを架橋剤で処理する架橋工程S30、及び
架橋工程後のフィルムであって、かつ湿潤状態にあるフィルムを、温度40〜100℃、絶対湿度40g/m3以上の雰囲気下に置く高温高湿処理工程S50
を含む。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、上記以外の他の工程をさらに含むことができ、その具体例は、図1に示されるように、染色工程S20の前に行う膨潤工程S10、及び架橋工程S30の後に行う洗浄工程S40である。また、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、偏光フィルム製造工程のいずれか1以上の段階、より具体的には、膨潤工程S10の前から架橋工程S30までのいずれか1以上の段階で一軸延伸処理される(延伸工程)。
本発明に係る製造方法に含まれる各種の処理工程は、偏光フィルム製造装置のフィルム搬送経路に沿って原反フィルムであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを連続的に搬送させることによって連続的に実施できる。フィルム搬送経路は、上記各種の処理工程を実施するための設備(処理浴や炉等)を、それらの実施順に備えている。処理浴とは、膨潤浴、染色浴、架橋浴、洗浄浴のような、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して処理を施す処理液を収容する浴をいう。
フィルム搬送経路は、上記設備の他、ガイドロールやニップロール等を適宜の位置に配置することによって構築することができる。例えば、ガイドロールは、各処理浴の前後や処理浴中に配置することができ、これにより処理浴へのフィルムの導入・浸漬及び処理浴からの引き出しを行うことができる。より具体的には、各処理浴中に2以上のガイドロールを設け、これらのガイドロールに沿ってフィルムを搬送させることにより、各処理浴にフィルムを浸漬させることができる。
原反フィルムであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常約85モル%以上、好ましくは約90モル%以上、より好ましくは約99モル%以上である。本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルから選択される少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等も使用し得る。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、好ましくは100〜10000であり、より好ましくは1500〜8000であり、さらに好ましくは2000〜5000である。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。平均重合度が100未満では好ましい偏光性能を得ることが困難であり、10000超ではフィルム加工性に劣ることがある。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの厚みは、例えば10〜150μm程度であり、偏光フィルムの薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下、なおさらに好ましくは40μm以下である。
原反フィルムであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、例えば、長尺の未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのロール(巻回品)として用意することができる。この場合、偏光フィルムもまた、長尺物として得られる。以下、各工程について詳細に説明する。
(1)膨潤工程S10
本工程における膨潤処理は、原反フィルムであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの異物除去、可塑剤除去、易染色性の付与、フィルムの可塑化等の目的で必要に応じて実施される処理であり、具体的には、水を含有する膨潤浴にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる処理であることができる。当該フィルムは、1つの膨潤浴に浸漬されてもよいし、2以上の膨潤浴に順次浸漬されてもよい。膨潤処理前、膨潤処理時、又は膨潤処理前及び膨潤処理時に、フィルムに対して一軸延伸処理を行ってもよい。
膨潤浴は、水(例えば純水)であることができる他、アルコール類のような水溶性有機溶媒を添加した水溶液であってもよい。
フィルムを浸漬するときの膨潤浴の温度は、通常10〜70℃程度、好ましくは15〜50℃程度であり、フィルムの浸漬時間は、通常10〜600秒程度、好ましくは20〜300秒程度である。
(2)染色工程S20
本工程における染色処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着、配向させる目的で行われる処理であり、具体的には、二色性色素を含有する染色浴にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる処理であることができる。当該フィルムは、1つの染色浴に浸漬されてもよいし、2以上の染色浴に順次浸漬されてもよい。二色性色素の染色性を高めるために、染色工程に供されるフィルムは、少なくともある程度の一軸延伸処理が施されていてもよい。染色処理前の一軸延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の一軸延伸処理に加えて、染色処理時に一軸延伸処理を行ってもよい。
二色性色素は、ヨウ素又は二色性有機染料であることができる。二色性有機染料の具体例は、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックを含む。二色性色素は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色浴には、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液を用いることができる。ヨウ化カリウムに代えて、ヨウ化亜鉛等の他のヨウ化物を用いてもよく、ヨウ化カリウムと他のヨウ化物を併用してもよい。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、ホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルト等を共存させてもよい。ホウ酸を添加する場合は、ヨウ素を含む点で後述する架橋処理と区別される。上記水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部程度である。また、ヨウ化カリウム等のヨウ化物の含有量は通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部程度である。
フィルムを浸漬するときの染色浴の温度は、通常10〜45℃程度、好ましくは10〜40℃程度であり、より好ましくは20〜35℃程度であり、フィルムの浸漬時間は、通常30〜600秒程度、好ましくは60〜300秒程度である。
二色性色素として二色性有機染料を用いる場合、染色浴には、二色性有機染料を含有する水溶液を用いることができる。当該水溶液における二色性有機染料の含有量は通常、水100重量部あたり1×10-4〜10重量部程度であり、好ましくは1×10-3〜1重量部程度である。この染色浴には染色助剤等を共存させてもよく、例えば、硫酸ナトリウム等の無機塩や界面活性剤等を含有していてもよい。二色性有機染料は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。フィルムを浸漬するときの染色浴の温度は、例えば20〜80℃程度、好ましくは30〜70℃程度であり、フィルムの浸漬時間は、通常30〜600秒程度、好ましくは60〜300秒程度である。
(3)架橋工程S30
染色工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを架橋剤で処理する架橋処理は、架橋による耐水化や色相調整等の目的で行う処理であり、具体的には、架橋剤を含有する架橋浴に染色工程後のフィルムを浸漬させる処理であることができる。当該フィルムは、1つの架橋浴に浸漬されてもよいし、2以上の架橋浴に順次浸漬されてもよい。架橋処理時に一軸延伸処理を行ってもよい。
架橋剤としては、ホウ酸、グリオキザール、グルタルアルデヒド等を挙げることができ、ホウ酸が好ましく用いられる。2種以上の架橋剤を併用することもできる。架橋浴におけるホウ酸の含有量は通常、水100重量部あたり0.1〜15重量部程度であり、好ましくは1〜10重量部程度である。二色性色素がヨウ素の場合、架橋浴は、ホウ酸に加えてヨウ化物を含有することが好ましい。架橋浴におけるヨウ化物の含有量は通常、水100重量部あたり0.1〜15重量部程度であり、好ましくは5〜12重量部程度である。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛等が挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等を架橋浴に共存させてもよい。
フィルムを浸漬するときの架橋浴の温度は、通常50〜85℃程度、好ましくは50〜70℃程度であり、フィルムの浸漬時間は、通常10〜600秒程度、好ましくは20〜300秒程度である。
上述のように、偏光フィルムの製造にあたり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、膨潤工程S10の前から架橋工程S30までのいずれか1又は2以上の段階で一軸延伸処理される(延伸工程、図1)。二色性色素の染色性を高める観点から、染色工程に供されるフィルムは、少なくともある程度の一軸延伸処理を施したフィルムであることが好ましく、又は染色処理前の一軸延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の一軸延伸処理に加えて、染色処理時に一軸延伸処理を行うことが好ましい。
一軸延伸処理は、空中で延伸を行う乾式延伸、浴中で延伸を行う湿式延伸のいずれであってもよく、これらの双方を行ってもよい。一軸延伸処理は、2つのニップロール間に周速差をつけて縦一軸延伸を行うロール間延伸、熱ロール延伸、テンター延伸等であることができるが、好ましくはロール間延伸を含む。原反フィルムを基準とする延伸倍率(2以上の段階で延伸処理を行う場合にはそれらの累積延伸倍率)は、3〜8倍程度である。良好な偏光特性を付与するために、延伸倍率は、好ましくは4倍以上、より好ましくは5倍以上とされる。
(4)洗浄工程S40
本工程における洗浄処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに付着した余分な架橋剤や二色性色素等の薬剤を除去する目的で必要に応じて実施される処理であり、水を含有する洗浄液を用いて架橋工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを洗浄する処理である。具体的には、洗浄浴(洗浄液)に架橋工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる処理であることができる。当該フィルムは、1つの洗浄浴に浸漬されてもよいし、2以上の洗浄浴に順次浸漬されてもよい。あるいは、洗浄処理は、架橋工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して洗浄液をシャワーとして噴霧する処理であってもよく、上記の浸漬と噴霧とを組み合わせてもよい。
洗浄液は、水(例えば純水)であることができる他、アルコール類のような水溶性有機溶媒を添加した水溶液であってもよい。洗浄液の温度は、例えば5〜40℃程度であることができる。
洗浄工程S40は任意の工程であり省略されてもよいし、後述するように、高温高湿処理工程S50中に洗浄処理を行ってもよい(高温高湿処理が洗浄処理を兼ねていてもよい)。好ましくは、洗浄工程S40を行った後のフィルムに対して高温高湿処理工程S50を行う。
(5)高温高湿処理工程S50
本工程における高温高湿処理は、架橋工程S30後又は洗浄工程S40後のフィルムを温度40〜100℃、絶対湿度40g/m3以上の雰囲気下に置く処理である。高温高湿処理を施すことにより、偏光フィルムの光学特性の劣化を抑えながら、高温高湿処理の代わりに絶対湿度40g/m3未満での高温処理(乾燥処理)を行う場合に比べて、そのMD収縮力を小さくすることができる。これは、二色性色素の配向性が乱されることなく、偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂の分子鎖の配向性が低下することが要因であると考えられる。
これに対し、上記特許文献1に具体的に記載されている方法のように、洗浄工程後に従来一般的に行われている絶対湿度40g/m3未満での高温処理(乾燥処理)を従来どおり実施し、その後に高温高湿処理を実施する場合には、意外なことにMD収縮力は低下しないばかりか、上昇することさえある。
高温高湿処理は、湿潤状態にある架橋工程S30後又は洗浄工程S40後のフィルムに対して施される。「湿潤状態にある」とは、架橋工程S30後又は洗浄工程S40後の高水分率のフィルムを(従来の絶対湿度40g/m3未満での高温処理(乾燥処理)を行うことなく)そのまま、高温高湿処理に付すことを意味しており、より具体的には、フィルムの水分率が13重量%以上(好ましくは15重量%以上)にあることを意味する。フィルムの水分率は、後述する実施例の項に記載の方法に従って測定される。
高温高湿処理は、架橋工程S30後又は洗浄工程S40後のフィルムを、温度及び湿度調整の可能な炉(加熱炉)やブース又は室内に導入する処理であることができる。炉(加熱炉)やブース又は室内に導入する処理に加えて、遠赤外線ヒーターや熱ロール等の加熱手段を併用してもよい。高温高湿処理は、好ましくは洗浄工程S40の後に実施されるが、所定の高温高湿雰囲気下で洗浄液を噴霧するなど、高温高湿処理と洗浄処理とを同時に行ってもよく、また、高温高湿雰囲気下に置かれることによって実質的にフィルムの洗浄がなされる場合など、高温高湿処理が洗浄処理を兼ねていてもよい。
高温高湿処理の温度は、上述のとおり40℃以上であり、MD収縮力をより効果的に低下させる観点から、好ましくは55℃以上、より好ましくは60℃以上である。また高温高湿処理の温度は、上述のとおり100℃以下であり、光学特性の劣化をより効果的に抑制する観点から、好ましくは90℃以下である。
高温高湿処理における絶対湿度は、上述のとおり40g/m3以上であり、MD収縮力をより効果的に低下させる観点から、好ましくは75g/m3以上、より好ましくは85g/m3以上、さらに好ましくは100g/m3以上である。一方、絶対湿度が過度に高いと、処理ゾーン内での結露の発生や、結露水によるフィルムの汚染が懸念されることから、絶対湿度は、好ましくは550g/m3以下、より好ましくは400g/m3以下、さらに好ましくは300g/m3以下、特に好ましくは160g/m3以下である。
高温高湿処理の時間は、MD収縮力をより効果的に低下させる観点から、好ましくは5秒以上であり、より好ましくは10秒以上である。また当該時間は、温度にもよるが、あまり長いと光学特性の劣化が懸念されることから、好ましくは60分以下であり、より好ましくは30分以下であり、さらに好ましくは10分以下であり、特に好ましくは5分以下である。
高温高湿処理は、長尺のポリビニルアルコール系樹脂フィルムをフィルム搬送経路に沿って搬送し、上記炉等に連続的に導入、通過させる処理であることができるが、このような高温高湿処理におけるフィルムの張力は、MD収縮力をより効果的に低下させる観点から、50〜1000N/mであることが好ましい。フィルムのシワが発生することを抑制する観点から、フィルム張力は、300N/m以上であることがより好ましい。
高温高湿処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥する処理、すなわち、その水分率を低下させる処理を兼ねていてもよく、極端な高温高湿条件を採用しない限り、通常は乾燥処理が同時になされる。これにより、必ずしも高温高湿処理の後に乾燥処理を別途実施する必要がなくなるため、絶対湿度40g/m3未満での高温処理(乾燥処理)の後に高温高湿処理を実施する従来の方法と比較して、製造プロセスの簡略化及び効率化の面で有利となる。
高温高湿処理に供されるフィルム、すなわち架橋工程S30後又は洗浄工程S40後の湿潤状態にあるフィルムの水分率は、フィルムの厚みに依存するが、通常13〜50重量%程度である。高温高湿処理による水分率の低下の程度、すなわち高温高湿処理前の水分率と高温高湿処理後の水分率との差(水分率差ΔS)もまたフィルムの厚みに依存するが、例えば5〜45重量%であり、好ましくは8〜35重量%である。例えば原反フィルムの厚みが40μm程度以下である場合、水分率差ΔSは15重量%未満であることができる。
高温高湿処理後のフィルム(高温高湿処理が最終工程である場合には偏光フィルム)の水分率もまたフィルムの厚みに依存するが、通常5〜30重量%であり、その後のフィルムの搬送性の観点から、好ましくは6〜15重量%である。水分率があまりに低いと搬送中にフィルムが裂けやすくなり、また水分率があまりに高いと、放湿によりフィルム端部にカールが生じやすくなる。
概して、フィルムが薄いほど水分は散逸しやすく、従って原反フィルムが薄いほど高温高湿処理前及び高温高湿処理中の水分率が低下しやすい。水分率があまりに低すぎるとフィルムの搬送性が低下しやすくなる。そこで、原反フィルムの厚みが40μm程度以下である場合、高温高湿処理の温度を低めに設定し、40〜70℃とすることが好ましい。
以上の工程を経て、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されている偏光フィルムを得ることができる。偏光フィルムの厚みは、通常5〜40μmであり、好ましくは30μm以下である。本発明によって得られる偏光フィルムによれば、厚みが30μm以下、さらには25μm以下と薄い場合であっても、MD収縮力が小さいため、偏光板や液晶パネルとしたときの反りを効果的に抑制することができる。
例えば水分率の調整のために、高温高湿処理工程S50の後に乾燥処理(絶対湿度40g/m3未満での高温処理)を施してもよい。ただし、高温高湿処理工程S50によって水分率の調整は可能であるので、この乾燥処理は必要に応じてなされるものである。
得られた偏光フィルムは、例えば、そのまま次の偏光板作製工程(偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムを貼合する工程)に搬送することもできる。
1つの実施形態において本発明に係る偏光フィルムは、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されているフィルムであり、広角X線回折(WAXD:Wide Angle X−ray Diffraction)のスルー法により測定される、偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂のMDへの配向性を表す配向度(%)に特徴を有するものであることができる。この特徴を有することにより、本実施形態に係る偏光フィルムは、良好な光学特性を有しながらもMD収縮力が小さいという特性・効果を示すことができるものと推定される。
具体的には、本実施形態に係る偏光フィルムは、その厚みが20μm以上であるとき、上記の配向度が71%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、67%以下であることがさらに好ましい。偏光フィルムの配向度は、その厚みが20μm以上であるとき、通常60%以上であり、好ましくは65%以上である。厚みが20μm以上である偏光フィルムの厚みは、通常30μm以下であり、好ましくは25μm以下であり、また好ましくは22μm以上である。
本実施形態に係る偏光フィルムは、その厚みが10μm以上20μm未満であるとき、上記の配向度が74.0%以下であることが好ましく、73%以下であることがより好ましく、72%以下であることがさらに好ましい。偏光フィルムの配向度は、その厚みが10μm以上20μm未満であるとき、通常65%以上であり、好ましくは70%以上である。厚みが10μm以上20μm未満である偏光フィルムの厚みは、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは13μm以下であり、また好ましくは11μm以上であり、より好ましくは12μm以上である。
本実施形態に係る偏光フィルムは、その厚みが10μm未満であるとき、上記の配向度が75%以下であることが好ましく、74%以下であることがより好ましい。偏光フィルムの配向度は、その厚みが10μm未満であるとき、通常70%以上である。厚みが10μm未満である偏光フィルムの厚みは、通常3μm以上であり、好ましくは7μm以上であり、また好ましくは9μm以下である。
上記のような配向度を示す偏光フィルムは、上述の本発明に係る偏光フィルムの製造方法によって好適に製造することができる。ここでいう配向度は、後述する実施例の項に記載の方法に従って測定される。
また、他の実施形態において本発明に係る偏光フィルムは、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されているフィルムであり、偏光フィルムの架橋剤による架橋状態を表す波数775cm-1における吸収軸方向のラマン散乱光強度と透過軸方向のラマン散乱光強度との比(以下、「ラマン散乱光強度比」ともいう。)に特徴を有するものであることができる。この特徴を有することにより、本実施形態に係る偏光フィルムは、良好な光学特性を有しながらもMD収縮力が小さいという特性・効果を示すことができるものと推定される。
具体的には、本実施形態に係る偏光フィルムは、上記のラマン散乱光強度比が0.86以上であることが好ましく、0.89以上であることがより好ましい。ラマン散乱光強度比は、通常1.00以下であり、好ましくは0.95以下である。
上記のようなラマン散乱光強度比を示す偏光フィルムは、上述の本発明に係る偏光フィルムの製造方法によって好適に製造することができる。ここでいうラマン散乱光強度比は、後述する実施例の項に記載の方法に従って測定される。
さらに他の実施形態において本発明に係る偏光フィルムは、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されているフィルムであり、上記範囲内の配向度を示し、かつ上記範囲内のラマン散乱光強度比を示す。上記範囲内の配向度を示し、かつ上記範囲内のラマン散乱光強度比を示すことは、良好な光学特性を有しながらMD収縮力を小さくするうえで有利である。
<偏光板>
以上のようにして製造される、又は、上記配向度及び上記ラマン散乱光強度比の少なくとも一方を示す偏光フィルムの少なくとも片面に、接着剤を介して保護フィルムを貼合(積層)することにより偏光板を得ることができる。保護フィルムとしては、熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;又はこれらの混合物、共重合物等からなる透明樹脂フィルムであることができる。
保護フィルムは、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであることもできる。例えば、上記材料からなる透明樹脂フィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸等)したり、該フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。
保護フィルムにおける偏光フィルムとは反対側の表面には、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を形成することもできる。
保護フィルムの厚みは、偏光板の薄型化の観点から薄いことが好ましいが、薄すぎると強度が低下して加工性に劣るから、好ましくは5〜150μm、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。
偏光フィルムと保護フィルムとの貼合に用いる接着剤としては、紫外線硬化性接着剤のような活性エネルギー線硬化性接着剤や、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液、又はこれに架橋剤が配合された水溶液、ウレタン系エマルジョン接着剤のような水系接着剤を挙げることができる。偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合する場合、2つの接着剤層を形成する接着剤は同種であってもよいし、異種であってもよい。例えば、両面に保護フィルムを貼合する場合、片面は水系接着剤を用いて貼合し、もう片面は活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて貼合してもよい。紫外線硬化型接着剤は、ラジカル重合性の(メタ)アクリル系化合物と光ラジカル重合開始剤の混合物や、カチオン重合性のエポキシ化合物と光カチオン重合開始剤の混合物等であることができる。また、カチオン重合性のエポキシ化合物とラジカル重合性の(メタ)アクリル系化合物とを併用し、開始剤として光カチオン重合開始剤と光ラジカル重合開始剤を併用することもできる。
活性エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合、貼合後、活性エネルギー線を照射することによって接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線(紫外線)が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が好ましく用いられる。
偏光フィルムと保護フィルムとの接着性を向上させるために、偏光フィルムと保護フィルムとの貼合に先立ち、偏光フィルム及び/又は保護フィルムの貼合面に、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、プライマー塗布処理、ケン化処理等の表面処理を施してもよい。
本発明の偏光板は、上述のとおり、単層フィルムである偏光フィルムに保護フィルムを貼合することによって作製することもできるが、この方法に限らず、例えば特開2009−98653号公報に記載されるような、基材フィルムを利用する方法によっても作製することができる。後者の方法は薄膜の偏光フィルム(偏光子層)を有する偏光板を得るのに有利であり、例えば次の工程を含むことができる。
基材フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂を含有する塗工液を塗工した後、乾燥させることによりポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程、
積層フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程、
延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して偏光子層(偏光フィルムに相当)を形成することにより偏光性積層フィルムを得る染色工程、
偏光性積層フィルムの偏光子層上に接着剤を用いて保護フィルムを貼合して貼合フィルムを得る第1貼合工程、
貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去して片面保護フィルム付の偏光板を得る剥離工程。
偏光子層(偏光フィルム)の両面に保護フィルムを積層する場合には、さらに片面保護フィルム付偏光板の偏光子面に接着剤を用いて保護フィルムを貼合する第2貼合工程を含む。
基材フィルムを利用する上記方法においては、偏光性積層フィルムを得る染色工程(例えば、偏光性積層フィルムを得る染色工程中の架橋工程後又は洗浄工程後)に高温高湿処理工程を含ませることができる。上記偏光性積層フィルム、片面保護フィルム付の偏光板、及び第2貼合工程を経て得られる両面保護フィルム付の偏光板に含まれる偏光フィルム又はこれらから単離される偏光フィルムもまた、本発明に属する偏光フィルムであり、好ましくは上記範囲内の配向度及び上記範囲内のラマン散乱光強度比の少なくとも一方を示す。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
厚み60μmの長尺のポリビニルアルコール(PVA)原反フィルム〔(株)クラレ製の商品名「クラレポバールフィルムVF−PE#6000」、平均重合度2400、ケン化度99.9モル%以上〕をロールから巻き出しながら連続的に搬送し、30℃の純水からなる膨潤浴に滞留時間81秒で浸漬させた(膨潤工程)。その後、膨潤浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/水が2/100(重量比)であるヨウ素を含む30℃の染色浴に滞留時間143秒で浸漬させた(染色工程)。次いで、染色浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が12/4.1/100(重量比)である56℃の架橋浴に滞留時間67秒で浸漬させ、続いて、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が9/2.9/100(重量比)である40℃の架橋浴に滞留時間11秒で浸漬させた(架橋工程)。染色工程及び架橋工程において、浴中でのロール間延伸により縦一軸延伸を行った。原反フィルムを基準とする総延伸倍率は5.7倍とした。
次に、架橋浴から引き出したフィルムを5℃の純水からなる洗浄浴に滞留時間3秒で浸漬させた後(洗浄工程)、引き続き、湿度調節が可能な第1加熱炉に導入することにより滞留時間161秒で高温高湿処理を行って(高温高湿処理工程)、厚み22.9μm、幅207mmの偏光フィルムを得た。第1加熱炉内の温度、絶対湿度はそれぞれ80℃、88g/m3とし、高温高湿処理時のフィルム張力は565N/mとした。第1加熱炉導入(高温高湿処理)直前、直後のフィルムの水分率はそれぞれ33.3重量%、7.9重量%であり、水分率差ΔSは25.4重量%であった。
<実施例2>
第1加熱炉内の温度及び絶対湿度、並びに第1加熱炉による処理時のフィルム張力を表1に示されるとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚み23.7μm、幅200mmの偏光フィルムを作製した。
<比較例1>
第1加熱炉内の温度及び絶対湿度、並びに第1加熱炉による処理時のフィルム張力を表1に示されるとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚み23.2μm、幅206mmの偏光フィルムを作製した。第1加熱炉内の温度、絶対湿度はそれぞれ76℃、8g/m3であり、第1加熱炉では高温高湿処理ではなく、加熱(乾燥)処理を行ったのみである。
<比較例2>
温度、絶対湿度がそれぞれ76℃、8g/m3である第1加熱炉にて加熱(乾燥)処理を行った後、さらに別の湿度調節が可能な第2加熱炉に導入することにより滞留時間161秒で高温高湿処理を行ったこと以外は比較例1と同様にして、厚み23.4μm、幅208mmの偏光フィルムを作製した。第2加熱炉内の温度、絶対湿度はそれぞれ80℃、88g/m3とし、第2加熱炉での高温高湿処理時のフィルム張力は2N/mとした。
<比較例3>
第2加熱炉内の温度及び絶対湿度を表1に示されるとおりに変更したこと以外は比較例2と同様にして、厚み23.3μm、幅207mmの偏光フィルムを作製した。
<実施例3>
厚み30μmの長尺のポリビニルアルコール(PVA)原反フィルム〔(株)クラレ製の商品名「クラレポバールフィルムVF−PE#3000」、平均重合度2400、ケン化度99.9モル%以上〕をロールから巻き出しながら連続的に搬送し、20℃の純水からなる膨潤浴に滞留時間31秒で浸漬させた(膨潤工程)。その後、膨潤浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/水が2/100(重量比)であるヨウ素を含む30℃の染色浴に滞留時間122秒で浸漬させた(染色工程)。次いで、染色浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が12/4.1/100(重量比)である56℃の架橋浴に滞留時間70秒で浸漬させ、続いて、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が9/2.9/100(重量比)である40℃の架橋浴に滞留時間13秒で浸漬させた(架橋工程)。染色工程及び架橋工程において、浴中でのロール間延伸により縦一軸延伸を行った。原反フィルムを基準とする総延伸倍率は5.4倍とした。
次に、架橋浴から引き出したフィルムを5℃の純水からなる洗浄浴に滞留時間3秒で浸漬させた後(洗浄工程)、引き続き、湿度調節が可能な第1加熱炉に導入することにより滞留時間190秒で高温高湿処理を行って(高温高湿処理工程)、厚み12.1μm、幅208mmの偏光フィルムを得た。第1加熱炉内の温度、絶対湿度はそれぞれ73℃、89g/m3とし、高温高湿処理時のフィルム張力は601N/mとした。第1加熱炉導入(高温高湿処理)直前、直後のフィルムの水分率はそれぞれ19.4重量%、8.0重量%であり、水分率差ΔSは11.4重量%であった。
<実施例4〜8>
第1加熱炉内の温度及び絶対湿度、並びに第1加熱炉による高温高湿処理時のフィルム張力を表1に示されるとおりに変更したこと以外は実施例3と同様にして、偏光フィルムを作製した。
<比較例4>
第1加熱炉内の温度及び絶対湿度、並びに第1加熱炉による処理時のフィルム張力を表1に示されるとおりに変更したこと以外は実施例3と同様にして、厚み12.5μm、幅203mmの偏光フィルムを作製した。第1加熱炉内の温度、絶対湿度はそれぞれ60℃、12g/m3であり、第1加熱炉では高温高湿処理ではなく、加熱(乾燥)処理を行ったのみである。
<比較例5>
温度、絶対湿度がそれぞれ59℃、10g/m3である第1加熱炉にて加熱(乾燥)処理を行った後、さらに別の湿度調節が可能な第2加熱炉に導入することにより滞留時間161秒で高温高湿処理を行ったこと、及び第1加熱炉による処理時のフィルム張力を表1に示されるとおりに変更したこと以外は比較例4と同様にして、厚み12.9μm、幅204mmの偏光フィルムを作製した。第2加熱炉内の温度、絶対湿度はそれぞれ73℃、89g/m3とし、第2加熱炉での高温高湿処理時のフィルム張力は1N/mとした。
各実施例及び比較例における偏光フィルムの製造条件、第1加熱炉導入(高温高湿処理)直前、直後のフィルムの水分率、並びにこれらの差である水分率差ΔSを表1にまとめた。
なお、加熱炉内の絶対湿度は、炉内温度と相対湿度の測定値から算出した。得られた偏光フィルムの厚みは、(株)ニコン製のデジタルマイクロメーター「MH−15M」を用いて測定した。また、フィルム(偏光フィルム)の水分率は次の方法で求めた。
予め、水分率の異なる複数の偏光フィルム試料を用いて、乾燥重量法による水分率と、赤外線吸収式の水分計(株式会社フジワーク製の「IM 3SCV MODEL−1900L」)の測定値との相関を示す検量線(換算式)を次式:
厚み60μmPVA原反使用の偏光フィルムの場合:乾燥重量法による水分率(重量%)=0.0600×(水分計測定値)−50.0252
厚み30μmPVA原反使用の偏光フィルムの場合:
乾燥重量法による水分率(重量%)=0.0495×(水分計測定値)−38.8379のとおり求めた。この際、乾燥重量法による水分率は、105℃で2時間乾燥させたときの偏光フィルムの重量をW1、乾燥前の偏光フィルムの重量をW0とするとき、次式:
乾燥重量法による水分率(重量%)={(W0−W1)÷W0}×100
に従って求めた。表1に記載の水分率は、上記水分計を用いて測定値を得、これを上記検量線(換算式)に代入して、乾燥重量法による水分率(重量%)に換算したものである。第1加熱炉導入直前の水分率から導入直後の水分率を差し引くことにより、水分率差ΔSを算出した。
〔偏光フィルムの評価〕
下記の項目について、各実施例及び比較例で得られた偏光フィルムの特性を測定した。結果を表1に示す。
(1)視感度補正単体透過率(Ty)及び視感度補正偏光度(Py)
得られた偏光フィルムについて、積分球付き分光光度計〔日本分光(株)製の「V7100」〕を用いて波長380〜780nmの範囲におけるMD透過率とTD透過率を測定し、下記式:
単体透過率(%)=(MD+TD)/2
偏光度(%)={(MD−TD)/(MD+TD)}×100
に基づいて各波長における単体透過率及び偏光度を算出した。
「MD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光フィルム試料の透過軸とを平行にしたときの透過率であり、上記式においては「MD」と表す。また、「TD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光フィルム試料の透過軸とを直交にしたときの透過率であり、上記式においては「TD」と表す。得られた単体透過率及び偏光度について、JIS Z 8701:1999「色の表示方法−XYZ表色系及びX101010表色系」の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率(Ty)及び視感度補正偏光度(Py)を求めた。
(2)MD収縮力
得られた偏光フィルムから、吸収軸方向(MD、延伸方向)を長辺とする幅2mm、長さ10mmの測定用試料を切り出した。この試料をエスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の熱機械分析装置(TMA)「EXSTAR−6000」にセットし、寸法を一定に保持したまま、80℃で4時間保持したときに発生する長辺方向(吸収軸方向、MD)の収縮力(MD収縮力)を測定した。
(3)配向度
偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂のMDへの配向性を表す「配向度」を、広角X線回折(WAXD:Wide Angle X−ray Diffraction)のスルー法により求めた。まず、得られた偏光フィルムから、吸収軸方向(MD、延伸方向)を長辺とする長方形のフィルムの複数枚切り出した。切り出したフィルムを、それらのMD(長辺)が平行となるように複数枚重ねて固定し、これを測定用試料とした。測定用試料の厚みは0.1mm程度とした。下記のX線回折装置を用い、測定用試料の表面に対して垂直な方向から、下記のX線出力条件でX線を測定用試料の一方の表面に照射し、透過法での回折像を撮像した。
X線回折装置:(株)リガク製の「NANO−Viewer」、
X線出力条件:Cuターゲット、40kV、20mA。
得られた回折像から、回折角度2θ=20°付近のピークに関して、2θ=19.5〜20.5°の範囲を円環積分することによって、まず、未補正方位角分布曲線(方位角度(β角度)−強度分布曲線)を算出した。未補正方位角分布曲線とは、バックグラウンド補正を実施する前の方位角分布曲線をいう。次に、X線の光軸上から測定用試料を取り外したこと以外は同じ条件で測定を行い、方位角分布曲線のバックグランドを算出した。透過率補正を行った後、上記の未補正方位角分布曲線からバックグランドを除去して、バックグラウンド補正後の方位角分布曲線(以下、単に「方位角分布曲線」ともいう。)を得た。図2に、バックグラウンド補正後の方位角分布曲線の一例を示す。この方位角分布曲線におけるピークは配向性ピークであり、本測定においては、測定用試料のMDを鉛直方向に設置し、水平方向に現れる配向性ピークの最大強度におけるβ角度を0°とした。配向性ピークの最大強度におけるβ角度(0°と180°)は、偏光フィルムのMDに配向した成分に由来する。得られた方位角分布曲線から、下記式:
配向度(%)=(360−W)/360
に従って、配向度を求めた。Wは、方位角分布曲線のピーク全体の積分値を100%とするときに積分値が50%となるピーク全幅を、すべての配向性ピークについて求めたときのこれらの和である。上記ピーク全幅における中心位置(°)は、ピークが最大強度を示すβ角度(°)と合致する。
(4)ラマン散乱光強度比
得られた偏光フィルムのラマン散乱光強度比を求めるために、染色浴がヨウ素を含まないこと以外は各実施例及び各比較例と同様にして分析用フィルムを作製した。得られた偏光フィルムのラマン散乱光強度比は、この分析用フィルムのラマン散乱光強度比と同じであると認められる。
得られた分析用フィルムについて、日本分光(株)製のレーザーラマン分光光度計「NRS−5100」を用い、波数775cm-1における吸収軸方向のラマン散乱光強度と透過軸方向のラマン散乱光強度との比(ラマン散乱光強度比)を、下記式:
ラマン散乱光強度比=(波数775cm-1における分析用フィルムの延伸方向のラマン散乱光強度)/(波数775cm-1における分析用フィルムの延伸方向と直交する方向のラマン散乱光強度)
に従って求め、これを、得られた偏光フィルムのラマン散乱光強度比とした。
ここで、波数775cm-1における分析用フィルムの延伸方向のラマン散乱光強度は、レーザー光を、レーザー光の偏光面が分析用フィルムの延伸方向と平行となるように分析用フィルム表面より垂直に入射させ、検光子の偏光面がレーザー光の偏光面と平行となるようにして測定した。同様に、波数775cm-1における分析用フィルムの延伸方向と直交する方向のラマン散乱光強度は、レーザー光を、レーザー光の偏光面が分析用フィルムの延伸方向と直交するように分析用フィルム表面より垂直に入射させ、検光子の偏光面がレーザー光の偏光面と平行となるようにして測定した。
上記のラマン分光測定に用いた条件は以下のとおりである。
・励起波長:532nm、
・グレーチング:600 l/mm、
・スリット幅:100×1000μm、
・アパーチャ:φ40μm、
・対物レンズ:100倍。
Figure 0006346307
<実施例9>
厚み20μmの長尺のポリビニルアルコール(PVA)原反フィルム〔(株)クラレ製の商品名「クラレポバールフィルムVF−PE#2000」、平均重合度2400、ケン化度99.9モル%以上〕をロールから巻き出しながら連続的に搬送しながら、乾式で4.1倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、30℃の純水からなる膨潤浴に滞留時間50秒で浸漬させた(膨潤工程)。その後、膨潤浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/水が5/100(重量比)であるヨウ素を含む30℃の染色浴に滞留時間88秒で浸漬させた(染色工程)。次いで、染色浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が18/5.6/100(重量比)である65℃の架橋浴に滞留時間115秒で浸漬させた(架橋工程)。染色工程及び架橋工程において、浴中でのロール間延伸によりさらに縦一軸延伸を行った。原反フィルムを基準とする総延伸倍率は4.3倍とした。
次に、架橋浴から引き出したフィルムを4℃の純水からなる洗浄浴に滞留時間7秒で浸漬させた後(洗浄工程)、引き続き、湿度調節が可能な第1加熱炉に導入することにより滞留時間97秒で高温高湿処理を行って(高温高湿処理工程)、厚み8.1μm、幅216mmの偏光フィルムを得た。第1加熱炉内の温度、絶対湿度はそれぞれ71℃、135g/m3とし、高温高湿処理時のフィルム張力は208N/mとした。第1加熱炉導入(高温高湿処理工程)直前、直後のフィルムの水分率はそれぞれ15.5重量%、9.7重量%であり、水分率差ΔSは5.8重量%であった。
<比較例6>
第1加熱炉内の温度及び絶対湿度、並びに第1加熱炉による高温高湿処理時のフィルム張力を表2に示されるとおりに変更したこと以外は実施例9と同様にして、偏光フィルムを作製した。
実施例9及び比較例6における偏光フィルムの製造条件、第1加熱炉導入(高温高湿処理)直前、直後のフィルムの水分率、並びにこれらの差である水分率差ΔSを表2にまとめた。また、上記の項目について、実施例9及び比較例6における偏光フィルムの特性を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006346307
<実施例10>
(1)基材フィルムの作製
エチレンユニットを約5重量%含むプロピレン/エチレンのランダム共重合体(住友化学(株)製の商品名「住友ノーブレン W151」、融点Tm=138℃)からなる樹脂層の両側にプロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレン(住友化学(株)製の商品名「住友ノーブレンFLX80E4」、融点Tm=163℃)からなる樹脂層を配置した3層構造の基材フィルムを、多層押出成形機を用いた共押出成形により作製した。得られた基材フィルムの合計の厚みは100μmであり、各層の厚み比(FLX80E4/W151/FLX80E4)は3/4/3であった。
(2)プライマー層形成用塗工液の調製
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製の商品名「Z−200」、平均重合度1100、ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(田岡化学工業(株)製の商品名「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末2重量部に対して1重量部の割合で混合して、プライマー層形成用塗工液を得た。
(3)ポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液の調製
ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製の商品名「PVA124」、平均重合度2400、平均ケン化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製し、これをポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液とした。
(4)ポリビニルアルコール系樹脂層の形成
上記(1)で作製した基材フィルムを連続的に搬送しながら、その一方の面にコロナ処理を施し、次いでコロナ処理された面に小径グラビアコーターを用いて上記(2)で調製したプライマー層形成用塗工液を連続的に塗工し、60℃で3分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。引き続き、フィルムを搬送しながら、プライマー層上にカンマコーターを用いて上記(3)で調製したポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液を連続的に塗工し、90℃で4分間乾燥させることにより、プライマー層上に厚み9.5μmのポリビニルアルコール系樹脂層(以下、「第1のPVA層」という。)を形成した。
引き続き、基材フィルムの第1のPVA層が形成されている面とは反対側の面に、上記と同様にして厚み0.2μmのプライマー層を形成し、プライマー層上にポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液を塗工し、90℃で4分間乾燥させることにより、プライマー層上に厚み9.4μmのポリビニルアルコール系樹脂層(以下、「第2のPVA層」という。)を形成し、両面にPVA層を有する積層フィルムを得た。
(5)延伸フィルムの作製
上記(4)で作製した積層フィルムを連続的に搬送しながら、ニップロール間での延伸方法により延伸温度160℃で縦方向(フィルム搬送方向)に5.3倍の倍率で一軸延伸して延伸フィルムを得た。延伸フィルムにおいて、第1のPVA層の厚みは5.0μm、第2のPVA層の厚みは4.9μmとなった。
(6)偏光フィルム(偏光子層)を含む偏光性積層フィルムの作製
上記(5)で作製した延伸フィルムを、ヨウ化カリウム/水が7.5/100(重量比)であるヨウ素を含む30℃の染色浴に滞留時間230秒で浸漬させた(染色工程)。次いで、染色浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が10/9.5/100(重量比)である78℃の架橋浴に滞留時間240秒で浸漬させ、続いて、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が4.5/5.0/100(重量比)である70℃の架橋浴に滞留時間77秒で浸漬させた(架橋工程)。
次に、架橋浴から引き出したフィルムを4℃の純水からなる洗浄浴に滞留時間22秒で浸漬させた後(洗浄工程)、引き続き、湿度調節が可能な第1加熱炉に導入することにより滞留時間276秒で高温高湿処理を行って(高温高湿処理工程)、上記第2のPVA層から形成された厚み5.3μm、幅210mmの偏光フィルム(偏光子層)を含む偏光性積層フィルムを得た。第1加熱炉内の温度、絶対湿度はそれぞれ80℃、117g/m3とし、高温高湿処理時のフィルム張力は1290N/mとした。第1加熱炉導入(高温高湿処理)直前、直後のフィルムの水分率はそれぞれ18.2重量%、10.7重量%であり、水分率差ΔSは7.5重量%であった。
<比較例7>
第1加熱炉内の温度及び絶対湿度、並びに第1加熱炉による処理時のフィルム張力を表3に示されるとおりに変更したこと以外は実施例10と同様にして、厚み5.3μm、幅210mmの偏光フィルム(偏光子層)を含む偏光性積層フィルムを作製した。第1加熱炉内の温度、絶対湿度はそれぞれ65℃、8g/m3であり、第1加熱炉では高温高湿処理ではなく、加熱(乾燥)処理を行ったのみである。
実施例10及び比較例7における偏光性積層フィルムの製造条件、第1加熱炉導入(高温高湿処理)直前、直後の偏光フィルムの水分率、並びにこれらの差である水分率差ΔSを表3にまとめた。また、上記の項目(配向度は除く。)について、実施例10及び比較例7における偏光フィルムの特性を測定した。結果を表3に示す。なお、積分球付き分光光度計〔日本分光(株)製の「V7100」〕を用いたTy及びPyの測定には、得られた偏光性積層フィルムから、第1のPVA層から形成された偏光フィルムを剥離除去した積層フィルムを測定サンプルとして使用した。この際、偏光フィルム(第2のPVA層から形成された偏光フィルム)側から入光して測定を行った。また、MD収縮力は、得られた偏光性積層フィルムから、第2のPVA層から形成された偏光フィルムのみを取り出し、これを測定サンプルとした。
Figure 0006346307

Claims (6)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する染色工程と、
    染色工程後のフィルムを架橋剤で処理する架橋工程と、
    前記架橋工程後のフィルムを、水を含有する洗浄液を用いて洗浄する洗浄工程と、
    洗浄工程後のフィルムであって、かつ水分率が13重量%以上であるフィルムを、絶対湿度40g/m3未満での高温処理を行うことなく、温度40〜100℃、絶対湿度40g/m3以上の雰囲気下に置く高温高湿処理工程と、
    フィルムを一軸延伸する延伸工程と、を含み、
    前記延伸工程は、前記高温高湿処理工程よりも前に行う、偏光フィルムの製造方法。
  2. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する染色工程と、
    染色工程後のフィルムを架橋剤で処理する架橋工程と、
    架橋工程後のフィルムであって、かつ水分率が13重量%以上であるフィルムを、絶対湿度40g/m3未満での高温処理を行うことなく、温度40〜100℃、絶対湿度40g/m3以上の雰囲気下に置く高温高湿処理工程と、
    フィルムを一軸延伸する延伸工程と、を含み、
    前記染色工程は、前記二色性色素を含有する染色浴に前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる処理であり、
    前記延伸工程は、前記高温高湿処理工程よりも前に行う、偏光フィルムの製造方法。
  3. 前記架橋工程後のフィルムを、水を含有する洗浄液を用いて洗浄する洗浄工程をさらに含み、
    前記高温高湿処理工程は、前記洗浄工程後のフィルムであって、かつ水分率が13重量%以上であるフィルムに対して実施される、請求項に記載の製造方法。
  4. 前記高温高湿処理工程の処理時間は、5秒〜60分である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記高温高湿処理工程によってフィルムの水分率を低下させる、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記高温高湿処理工程前後のフィルムの水分率の差は、15重量%未満である、請求項に記載の製造方法。
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