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JP6343770B2 - 界面制御機構及び界面制御方法 - Google Patents

界面制御機構及び界面制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、作用電極に接する2種類の液体の間の界面の形状を制御する界面制御機構及び界面制御方法に関する。
表示素子としては、液晶表示素子のように光源からの光を遮光することで表示を行うものや電気泳動方式の電子ペーパーのように分散媒体中の白色及び黒色の粒子を電界によって移動させて表示を行うものが開発されている。また、電気化学反応により物質を酸化還元反応させることで吸光度を変化させて明暗を表出することで表示を行うものや色素となる液滴を電極上の撥水性誘電膜に配置して電圧を加えることで液滴の粒径を変化させて表示を行うエレクトロウェッティング(Electrowetting)方式が提案されている。
図10は、エレクトロウェッティング方式の表示原理に関する説明図である。下部電極100の上面に誘電体膜101が形成されており、撥水性の誘電体膜101の上面に液滴102が配置されている(図10(a)参照)。そして、図示せぬ上部電極が液滴102と電気的に導通するように設定されており、上下の電極に電圧を印加すると、下部電極100と液滴102との間に形成されるキャパシタの静電エネルギー分だけ表面エネルギーが減少して液滴の接触角θが減少する(図10(b)参照)。図10では、固相である電極と気相である空気との間の界面エネルギーγSG、気相である空気と液相である液滴との間の界面エネルギーγLG及び固相である電極と液相である液滴との間の界面エネルギーγSLが三相界面において作用して接触角θが設定されており、電圧の印加により界面エネルギーγSLが減少することで、接触角θが減少するようになる。そのため、印加電圧の制御により液滴102の形状を変化させて下部電極100の上面を覆う面積が変化することで、表示素子として用いることができる。
こうしたエレクトロウェッティング方式を用いた表示素子としては、例えば、特許文献1では、不混和性の極性液体及び不極性液体を含む流体室を有する表示素子において、流体室に設けられた2つの電極に電圧を印加することで極性液体及び不極性液体の間の界面を制御するとともに液体に界面活性剤を添加して作動電圧を低下させる点が記載されている。また、特許文献2では、非水性極性溶媒及び着色剤を含む着色流体を用いて着色流体の形状を電圧を印加することで変化させて画素のディスプレイ状態を切り換える点が記載されている。
本発明者らは、これまでに三相界面反応について研究を進め、水溶液中においてフェロセン(ferrocene;Fc)を含むニトロベンゼン(NB)の油滴をグラッシィカーボンからなる電極面上に配置して形成された三相界面について電気化学的な反応に関する分析を行い、様々な知見を得ている(非特許文献1から3参照)。
こうした知見によれば、図11に示すように、塩を含む水溶液202中において、電極200の電極面上にFcを含むNBがドーム状の油滴201が形成されている場合、固相である電極200と水相である水溶液202との間の界面N1では、水溶液202に含まれる塩により電気二重層が形成される。また、固相である電極200と油相である油滴201との間の界面N2では、電極200に対する電圧の印加によりFcの酸化還元反応が生じるが、支持電解質である塩が水溶液202中のみに存在している場合には、界面N2において酸化還元反応は抑制される。そのため、電極200、油滴201及び水溶液202が接するリング状の界面N3において、Fcの酸化が生じて水溶液202中に拡散するようになる。こうしたFcの移動に伴い、油滴201内に対流203が生じるとともに、水溶液202中のFcが油相内に浸透することで水相及び油相の界面に沿ってエマルション204が生じるようになる。このように、三相界面では複雑な電気化学的な反応が生じている。
特表2007−528009号公報 特表2012−520485号公報
K. Aoki et al, "Voltammetry of a single oil droplet on a large electrode", Journal of Electroanalytical Chemistry, 2002, 533, pp.119-126. K. Aoki et al, "Electrode reactions at sub-micron oil|water|electrode interfaces", Journal of Electroanalytical Chemistry, 2003, 542, pp.51-60. K. Aoki et al, "Electrochemical coalescence of nitrobenzene |water emulsions", Journal of Electroanalytical Chemistry, 2003, 553, pp.117-124.
エレクトロウェッティング方式では、液滴の切換動作を行うための印加電圧を高電圧(10V〜50V)に設定する必要がある。誘電体膜の膜厚を薄くすることで、印加電圧を下げることは可能であるが、誘電体膜を薄くすることは耐久性の面で問題が生じるようになる。
そこで、本発明は、作用電極に接する2種類の液体の間の界面の形状を変化させる場合に作用電極に印加する電圧を低電圧にすることができるとともに高速で制御することができる界面制御機構及び界面制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係る界面制御機構は、作用電極が配置されるとともに当該作用電極の電極面に接するように水系の第一液体及び当該第一液体と不混和性を有する油系の第二液体が配置された液体収容部を備え、前記第一液体及び前記第二液体の間に形成される界面の形状を制御する界面制御機構であって、前記第一液体には、前記第二液体に対して難溶性で電極反応によりイオン化して前記第二液体内に浸透してエマルションとなるとともに電極反応により前記作用電極の電極面に対して吸着して酸化還元される反応物質及び当該反応物質の支持電解質として機能するイオン性の界面活性剤が溶解しており、前記第二液体には、前記界面活性剤が溶解しており、前記反応物質の酸化還元反応が可逆的に生じるように前記作用電極に電圧を印加する電圧印加部を備えており、電圧印加により前記第二液体が接する前記作用電極の電極面に吸着した前記反応物質の可逆的な酸化還元反応に基づいて前記第二液体内の前記界面活性剤が電極面に吸着又は脱離することで前記界面の形状を変化させる。さらに、前記電圧印加部は、前記反応物質の酸化還元電位に基づいて設定された電圧範囲において印加電圧を変動させることで、前記反応物質の酸化還元反応を可逆的に生じさせる。さらに、前記界面活性剤は、4級アンモニウム塩を含む。さらに、前記作用電極は複数設けられており、それぞれの前記作用電極の電極面に独立して第二液体が配置されている。さらに、前記作用電極は複数設けられており、少なくとも2つの前記作用電極の電極面と重なるように前記第二液体が配置されている。
本発明に係る界面制御方法は、作用電極の電極面に接するように配置された水系の第一液体及び当該第一液体と不混和性を有する油系の第二液体の間に形成された界面の形状を制御する界面制御方法であって、前記第二液体に対して難溶性で電極反応によりイオン化して前記第二液体内に浸透してエマルションとなるとともに電極反応により前記作用電極の電極面に対して吸着して酸化還元される反応物質及び当該反応物質の支持電解質として機能するイオン性の界面活性剤が前記第一液体に溶解した状態に設定し、前記界面活性剤が前記第二液体に溶解した状態に設定し、前記反応物質の酸化還元反応が可逆的に生じるように前記作用電極に電圧を印加し、電圧印加により前記第二液体が接する前記作用電極の電極面に前記反応物質を吸着させて前記反応物質の可逆的な酸化還元反応に基づいて前記第二液体内の前記界面活性剤が電極面に吸着又は脱離することで前記界面の形状を変化させる。
本発明によれば、作用電極の電極面に接するように配置された第一液体及び当該第一液体と不混和性を有する第二液体の間に形成された界面の形状を低電圧及び高速で制御することができる。
三相界面の界面制御機構の制御原理に関する説明図である。 複数の作用電極を設けた界面制御機構に関する説明図である。 電流値及び電圧値をプロットしたボルタモグラムである。 確認実験における測定結果を示すボルタモグラムである。 掃引速度とピークとなる電流値との相関関係を示すグラフである。 印加電圧の波形図である。 界面を電極表面と直交する方向から撮影した写真である。 界面を電極表面と直交する方向から撮影した写真である。 作用電極となる電極体の液体とは反対側から撮影した写真である。 作用電極となる電極体の液体とは反対側から撮影した写真である。 作用電極となる電極体の液体とは反対側から撮影した写真である。 作用電極となる電極体の液体とは反対側から撮影した写真である。 リング・ディスク電極体の表面と直交する方向から撮影した写真である。 リング・ディスク電極体の表面と直交する方向から撮影した写真である。 エレクトロウェッティング方式の表示原理に関する説明図である。 三相界面反応に関する説明図である。
以下、本発明について具体的に説明する。図1は、三相界面の界面制御機構の制御原理に関する説明図である。界面制御機構は、液体を収容する液体収容部1に作用電極Eが配置されるとともに、作用電極Eの電極面に接するように第一液体W及び第二液体Oが配置されており、作用電極E、第一液体W及び第二液体Oにより三相界が構成されている。固相である作用電極Eと第一液相である第一液体Wとの間及び固相である作用電極Eと第二液相である第二液体Oとの間には、それぞれ界面N1及びN2が形成されている。第二液体Oは、第一液体Wに対して不混和性を有しているため、第一液体Wと第二液体Oとの間には、明確な界面N3が形成されており、界面N1、N2及びN3が交わる位置に界面N4が形成されている。この例では、界面N3がドーム状に形成されており、界面N3が電極面に接する位置に界面N4が形成されている。
第一液体Wには、電極反応により電極面に対して吸着して酸化還元される反応物質C及び反応物質Cの支持電解質として機能するイオン性の界面活性剤Kが溶解しており、図示せぬ電極と電気的に導通状態となるように設定されている。そして、第二液体Oにも界面活性剤Kが溶解している。反応物質Cは、第二液体Oに対して難溶性であるのに対し、界面活性剤Kは第二液体Oに対して可溶性である。そのため、図1(a)に示すように、界面活性剤Kは、第一液体Wと第二液体Oとの間を相互に浸透して拡散している。界面活性剤Kは、第一液体Wと第二液体Oとの間を界面N3を介して移動するが、移動する界面活性剤Kの物質量と方向は、界面活性剤K及び第一液体Wの溶解状態における化学ポテンシャルと、界面活性剤K及び第二液体Oの溶解状態における化学ポテンシャルとの差が無くなるように生起し、やがて平衡状態に達して界面活性剤Kの移動が停止するようになる。こうしたことから、初期状態において、第一液体Wにのみ界面活性剤Kを溶解しておき、第一液体Wから第二液体Oに界面活性剤Kが浸透して拡散していくことで、2つの液相間で平衡状態としてもよい。
図1(b)では、作用電極Eと対極となる第一液体Wに導通する電極との間に電圧印加部2により電圧が印加されており、そのため界面N1には、支持電解質である界面活性剤Kにより電気二重層が形成される。反応物質Cは、界面N1において、電位掃引することで、拡散過程に基づく酸化還元反応が行われるが、界面N1に吸着することはない。また、反応物質Cは、電圧が印加されていない状態では、第二液体O内に浸透していくことはないが、電圧が印加された状態では、反応物質Cが界面N4において電極反応によりイオン化して第二液体O内に浸透するとともにエマルションとなって界面N3から第二液体O内に浸透して拡散するようになる。
そして、第二液体O内に拡散した反応物質Cは、界面N2において電極反応により電極面上に吸着し、印加する電圧値により可逆的に酸化還元反応が行われるようになる。例えば、印加電圧を上昇させて所定の電圧を超えると酸化反応が生じ、酸化反応が生じた後印加電圧を降下させて所定の電圧より低下すると還元反応が生じるようになり、こうした電圧変化を繰り返すことで、反応物質Cの酸化還元反応を可逆的に行うことができる。
反応物質Cの酸化還元反応が生じると、反応物質Cの電気的特性の変化に合わせてイオン化された界面活性剤Kが界面N2における電極面に吸着又は脱離を行うようになる。例えば、界面活性剤Kが陽イオン化されている場合、負電位とされている電極面に吸着している反応物質Cが還元されることで、負電位の電極面を電気的に中性とするために、界面活性剤Kが電極面に吸着する。また、反応物質Cが酸化されることで、負電位の電極面が電気的に中性化されると、界面活性剤Kは電極面から脱離するようになる。
こうした反応物質Cの酸化還元反応に伴う界面活性剤Kの界面N2における電極面に対する吸着及び脱離作用により、界面N2における界面活性剤Kの吸着濃度が変化するようになる。界面活性剤Kの吸着濃度の変化により界面N2における界面張力が変化するため、図10で説明したように、三相の界面エネルギーの増減により接触角が増減することから、第二液体Oと作用電極Eとの間の界面N2の界面エネルギーの変化により界面N3の接触角が変化するようになる。この場合、界面活性剤Kの電極面への吸着量は、第二液体Oに含まれる界面活性剤Kの量に比べて微量であるため、吸着量の変化による第二液体O内の界面活性剤Kの量に与える影響はほとんどない。そのため、第一液体Wに含まれる界面活性剤Kはほとんど変動することがなく、界面N1の界面エネルギーはほぼ一定となり、界面N2の界面エネルギーの変化により界面N3の接触角が変化するようになる。
その結果、図1(b)に示すように、反応物質Cの還元反応により界面活性剤Kが電極面に電荷数を中和するのに消費される場合には、界面N2の付近の界面活性剤Kの濃度が下がり界面エネルギーが大きくなって界面N3及びN4の形状は盛り上がるように界面N3’及びN4’に変形し、その表面積が小さくなるように変化する。また、反応物質Cの酸化反応により電極面への界面活性剤Kの脱離によって界面N2の付近の界面活性剤Kの濃度が上がり界面エネルギーが小さくなると、界面N3’及びN4’はその表面積が大きくなって拡がるように変化する。そして、こうした電極面に対する界面活性剤Kの可逆的な変化は、電気的なエネルギーにより行われるが、界面の移動は界面エネルギーの変化によるため、通常の物質の拡散現象に比べて高速で行われる。
したがって、電圧印加部2の電圧を調整して、反応物質Cの酸化還元反応が可逆的に生じるようにすることで、界面N3及びN4の形状を可逆的に制御することができる。そして、反応物質Cの酸化還元反応を可逆的に生じさせるため電圧範囲は、反応物質Cの酸化還元電位(レドックス電位)に基づいて設定することができる。電極表面の反応物質Cの酸化還元反応に必要な電位は、理論的には、酸化還元電位よりわずかに高ければ酸化反応が生じ、わずかに低ければ還元反応が生じるが、実際には、溶液の抵抗、反応物質Cによる抵抗、液間電位差、熱揺らぎによる電圧降下を相殺するための過剰電圧を設定して印加することが必要である。すなわち、酸化還元電位よりも少なくとも0.03Vより高い電圧を印加すると酸化反応を生じさせることができ、酸化還元電位よりも少なくとも0.03Vより低い電圧を印加することで、還元反応を生じさせることができる。過剰電圧の値は、第一液体W及び第二液体Oに含まれるすべての化合物が分解しない範囲の電圧であればよく、具体的には、−2.0V〜2.0Vの電圧範囲において酸化還元電位に基づいて電圧を変動させればよい。また、実際の酸化還元反応を生じさせるために印加する電圧は、参照電極の材質や設置場所等の条件により変化するが、−1.5V〜1.5Vの電圧範囲で印加電圧を変動させれば、反応物質Cの可逆的な酸化還元反応を確実に行うことができ、さらに、酸化還元電位によっては−0.5V〜0.5Vの電圧範囲に設定することも可能で、より低電圧での動作制御が可能となる。こうした反応物質Cの可逆的な酸化還元反応に基づく界面活性剤Kの電極面への吸着及び脱離による移動で、界面N2の付近の界面活性剤Kの濃度を制御し、界面エネルギーの変化により界面制御を行うため、低電圧で高速の駆動制御が可能となる。
第一液体W及び第二液体Oに用いる液体としては、水及び油の組み合せが好適である。油としては、例えば、ニトロベンゼン、ニトロトルエン、2−ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)、大豆油、シリコンオイルが挙げられるが、水と不混和性を有する液体であれば、特に限定されない。また、液体には、表示装置や光学装置といった用途に応じて、着色剤、光散乱剤、微小粒子、顔料等を添加することもできる。
作用電極Eとしては、上述した液体と反応しない導電性材料を用いることができ、例えば、グラファイト、グラッシィカーボン、白金、ITO(酸化インジウムスズ)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、グラフェンシート、ニッケル、ステンレスが挙げられる。
界面活性剤Kとしては、上述した液体に可溶性を有するイオン性のものが用いられ、4級アンモニウム塩等の有機陽イオン性の界面活性剤が好ましい。こうした界面活性剤としては、例えば、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、テトラへキシルアンモニウム、テトラへプチルアンモニウム、テトライソペンチルアンモニウムが挙げられる。陽イオンに対応する陰イオン(対アニオン)には、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、四フッ化ホウ酸イオン、六フッ化リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオンが挙げられる。界面活性剤Kの液体中の濃度は、定常状態において0.01モル/リットル〜1モル/リットルに設定することが好ましい。
反応物質Cとしては、一方の液体に対して難溶性で他方の液体に対して可溶性を有するとともに、電極面に吸着して可逆的な酸化還元反応を生じるものが用いられる。例えば、フェリシアニド([Fe(CN)63-)、ルテニウム錯体が挙げられる。フェリシアニドについては、フェリシアン化カリウム等の化合物を水に溶解させることで得られる。また、ルテニウム錯体については、ヘキサアンミンルテニウム(III)クロリド (1)、トリス(2,2′-ビピリジル)ジクロロルテニウム(II) 六水和物等の化合物を水に溶解させることで得られる。
以上説明した界面制御機構は、表示装置や光学装置に適用することができる。例えば、図1に示す構成では、上方からみて、第二液体Oの形状が変化するため、第一液体W及び電極Eとして透明材料を用いるとともに第二液体Oに着色液体を用いることで、着色部分の表示面積が変化する表示素子として機能するようになる。また、界面N3の曲面形状が変化することから、上方から入射する光線の界面N3における屈折率が変化するようになり、焦点可変レンズとして機能する。また、第二液体Oの膜厚が変化することから、第二液体に着色液体を用いて第二液体を通過する光量を変化させることができる。また、第二液体Oに光反射性の高い材料を用いることで、反射率が可変の反射材として機能することができる。
作用電極Eの形状は、図1に示すようなプレート状以外に用途に合わせて様々な形状に変化させることができ、第二液体Oを配置可能な形状であればよく特に限定されない。例えば、作用電極を筒状に形成して、筒状電極内に第二液体Oを収容することもできる。この場合、筒状電極に電圧を印加して、上述したように、筒状電極の内周側電極面における界面エネルギーを変化させれば、第二液体Oを筒状電極内から露出させるように移動させることもできる。こうした筒状電極に対して出入りする第二液体Oの動きを表示装置等に用いることが可能である。
また、図2に示すように、複数の作用電極E1及びE2を間隔を置いて配列しておき、これらの対極となる電極を共通電極として、各作用電極に印加する電圧を適宜切り換えることで、それぞれの作用電極上に独立して配置した第二液体Oに様々な動きを行わせることができる。例えば、各作用電極にそれぞれ第二液体Oを配置することで、第二液体Oをそれぞれ独立して形状変化させることができる(図2(a))。また、1つの第二液体Oが各作用電極の電極面の両方に重なるように配置することで、各作用電極の電極面の界面張力の変化により第二液体Oが作用電極間を可逆的に移動するようになる(図2(b))。この場合、第二液体Oが各作用電極の電極面の全部又は一部と重なるように配置されていればよい。
なお、複数の作用電極に第二液体Oを配置する場合、一部を作用電極に対応して第二液体Oを配置し、一部を複数の作用電極に重なるように配置することもできる。また、2つ以上の作用電極に重なるように第二液体Oを配置することもできる。
また、電極面の界面張力の変化により電極面の濡れ性が変化することになるため、第二液体Oは濡れ性の良い方に移動していくため、電極面の濡れ性を順次変化させていくことで、第二液体Oを所定の方向に連続的に移動させていくこともできる。
こうした第二液体Oの移動原理を応用することで、第二液体Oを回転運動させたり、直線運動させることが可能となり、マイクロマシンの切換スイッチやモータ、液体分離装置、センサとして機能させることができる。
<実施例1>
(装置構成について)
図1に示す第一液体として、0.5モル/リットルのテトラペンチルアミニウム・クロリド(TPA・Cl;東京化成工業株式会社製)及び0.002モル/リットルのフェリシアン化カリウム(和光純薬工業株式会社製)を混合した水溶液を調製した。ガラス容器の底部に作用電極として円形状のグラッシィカーボン材(ビー・エー・エス株式会社製)を配置し、ガラス容器内に水溶液を2〜3ミリリットル投入し、20分間放置して脱気した。対極となる電極として白金コイルを水溶液中にセットし、参照電極として飽和塩化カリウム水溶液銀・塩化銀の電極(E0=0.2V vs NHE 25℃)を用いた。図1に示す第二液体として、0.5モル/リットルのTPA・Clを溶解した2−ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)(株式会社同仁化学研究所製)を準備し、10マイクロリットルのマイクロピペッタを用いて3マイクロリットルの第二液体を作用電極表面に配置した。配置したNPOEである第二液体は、図1に示すように、ドーム状に形成されて明確な界面が生じた。
TPA・Clは、水溶液中で陽イオンTPAを生じ、界面活性剤として機能するようになる。また、NPOEにも可溶性であり、定常状態では、NPOE内に均一の濃度で存在するようになる。フェリシアン化カリウムは、水溶液中でフェリシアニド[Fe(CN)63-を生じるが、NPOEに対しては難溶性であるため、イオンの状態でNPOE内に浸透することはない。
なお、実施例1では、第一液体及び第二液体にTPA・Clを溶解させているが、第一液体にのみTPA・Clを溶解させておき、第一液体から第二液体にTPA・Clを浸透させて拡散させるようにしてもよい。
(酸化還元反応の測定について)
ポテンシオスタット(Ivium CompactStat;IVIUM社(オランダ)製)を用いて、電極電位を30mV/秒の掃引速度で0.05Vから正の方向に掃引を開始し、0.5Vで反転して−0.4Vまで負の方向に掃引した後、−0.4Vで再び折り返し、正の方向に0.05Vまで掃引して、その間に流れる電流を記録した。界面の変化は、ビデオマイクロスコープ(PICOSCOPEMAN;ショットモリテックス株式会社製)でNPOEの界面を撮影し、撮影された画像データに基づいて界面のサイズ及び面積を算出した。
図3は、得られた電流値及び電圧値をプロットしたボルタモグラムである。参照電極(Ag/AgCl電極)に対し、0.1Vの付近に見られる酸化還元波形は、図1(a)に示すN1界面における、フェリシアニド[Fe(CN)63-の水溶液中での酸化還元反応を示しており、フェリシアニド[Fe(CN)63-の拡散過程による電流値であることが知られている(Analytica Chimica Acta 397 (1999) 113-121 Fig.1 左、Anal. Chem. 1997, 69, 3687-3692)。そして、参照電極に対し、−0.1Vの付近に見られる酸化還元波形は、図1(a)に示すN2界面において、フェリシアニド[Fe(CN)63-が作用電極Eに吸着したことによる酸化還元反応を示すものと考えられる。
(フェリシアニド[Fe(CN)63-の吸着の確認について)
フェリシアニド[Fe(CN)63-の電極面に対する吸着を確認するため次のような実験を行った。まず、図1(a)に示す三相界面が形成された状態において、第二液体Oの容量を大きくしていくと、作用電極Eの電極面全体が第二液体Oにより覆われる状態に設定することができる。この状態では、作用電極Eと第一液体Wが接触することがなくなり、界面N1及びN4が存在せず、界面N2及びN3のみ存在するようになる。こうした界面構成を設定するため、上述した装置構成と同様のものを用い、第一液体として、0.1モル/リットルの塩化ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)、0.1モル/リットルの過塩素酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)及び0.004モル/リットルのフェリシアン化カリウム(和光純薬工業株式会社製)を混合した水溶液を調製し、ガラス容器内に水溶液を5ミリリットル投入した。第二液体として、0.25モル/リットルのテトラヘプチルアンモニウム・クロリド(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製)を含むニトロベンゼン(和光純薬工業株式会社製)を準備し、10マイクロリットルのマイクロピペッタを用いて20マイクロリットルの第二液体を作用電極表面に配置した。酸化還元される反応物質フェリシアニド[Fe(CN)63-を含まない油相である第二液体は、作用電極の電極面全体に拡がり、第一液体と作用電極とが接触していない状態に設定された。
図4は、確認実験における測定結果を示すボルタモグラムである。なお、図4に示すグラフでは、液間電位差、使用した支持電解質の種類及び濃度等の条件の違いから、図3に示す測定結果と異なっており、図4に示す0.3V付近の酸化還元波形の電位が図3に示す−0.1V付近の酸化還元波形の電位に対応している。
図4では、曲線(a)が30mV/秒を、曲線(b)が20mV/秒を、及び、曲線(c)が10mV/秒を、それぞれ示している。各曲線では、正方向及び負方向の掃引により電流値のピークが生じており、電極表面において酸化還元反応が生じているものと考えられる。そして、ピークの電流値は、0.22V〜0.28Vの電圧値の範囲で生じていた。
比較のため、0.002モル/リットルのフェリシアン化カリウムの水溶液のみをガラス容器内に投入して同様の測定を行ったところ、ピーク時の還元波形の電圧値は、0.06Vとなった。したがって、図4に示すピーク時の電圧値は、フェリシアニド[Fe(CN)63-の場合の電圧値に近似していることがわかる。
図5は、掃引速度とピークとなる電流値との相関関係を示すグラフである。○印のグラフは、正方向に掃引した際のピーク値であり、△印のグラフは負方向に掃引した際のピーク値である。いずれのグラフも比例関係を示しており、電位の掃引速度とピーク電流値とが比例関係にあることは、得られた電流値が、物質の拡散ではなく電極表面に酸化還元される反応物質が吸着固定しての反応によるものであることを示している。したがって、フェリシアニド[Fe(CN)63-が電極表面に吸着して酸化還元反応を行っているものと考えられる。最も遅い掃引速度(5mV/秒)における正電極及び負電極の電荷量に基づいて吸着量密度を算出したところ、2×10-10モル/cm2が得られた。この密度は、フェリシアニド[Fe(CN)63-が単分子吸着していることを示している。
ニトロベンゼンにフェリシアン化カリウムを添加して超音波振動を加えることで調製した分散液のみをガラス容器に投入して同様の測定を行ったところ、図4に示すような電流値の変化は見られなかった。このことから、図4に示す電流値のピークは、フェリシアニド[Fe(CN)63-を含む水溶液がエマルションとして第二液体中に存在していることを示唆している。水溶液の存在を確認するため、作用電極としてリチウム電極を用いて、確認実験用に調製した混合水溶液及びニトロベンゼンをガラス容器内に配置して作用電極に電圧を印加する実験を行った。電圧の印加によりリチウム電極表面に細かい泡が発生し、水素ガスの発生が確認された。ニトロベンゼンのみで同様の実験を行った場合には泡の発生が認められなかったことから、電極表面に水がエマルションとしてニトロベンゼン内に存在していることが確認できた。
以上のことから、作用電極に電圧を印加することで、電極表面にフェリシアニド[Fe(CN)63-が吸着して可逆的な酸化還元反応を行っていることがわかる。
(界面の形状変化の測定について)
次に、最初に調製した混合水溶液及びNPOEをガラス容器内に配置して作用電極上にドーム状の界面を形成した状態に設定し、図6に示す交流波形の電圧を印加した。基準となる電圧V0を、図3に示す酸化還元波形における−0.1V付近のピーク時の電圧値に近い値(−0.1V)に設定し、最大振幅0.5V及び周期4秒とした。このように設定することで、基準電圧V0を超えるとフェリシアニド[Fe(CN)63-の酸化反応が生じ、基準電圧V0より下がると還元反応が生じるため、酸化還元反応が可逆的に繰り返し生じるようになる。
こうした電圧の印加により電圧の周期に合わせてドーム状の界面が盛り上がるように可逆的に変化する様子が観察された。図7Aは、−0.15Vの電圧を印加した時の界面を電極表面と直交する方向から撮影した写真であり、図7Bは、0Vの電圧を印加した時の界面を電極表面と直交する方向から撮影した写真である。
それぞれの写真の画像データに基づいてドーム状のN2界面のサイズを測定したところ、電極表面に接するリング状の楕円形状の長径及び短径は、それぞれ、0.2V以上では2.04mm及び1.76mmで、−0.2V以下では2.47mm及び1.76mmであった。したがって、電極表面を覆うNPOEの表示面積は、長径方向に約20%変動しており、面積比では約45%変動していることが確認された。
また、ドーム状のN2界面の電極面からの高さは、−0.15Vでは200μmで、0Vでは100μmであった。また、N4界面の囲む面積については、概算で、−0.15Vでは0.98mm2で、0Vでは2.8mm2であった。したがって、還元電位(−0.15V)では、N2界面の界面形状が酸化電位(0V)よりも盛り上がるように変化していることが確認された。
こうした界面の可逆的な変形は、フェリシアニド[Fe(CN)63-の酸化還元反応に同期して生じていることから、電極表面に吸着したフェリシアニド[Fe(CN)63-の酸化還元反応に伴って陽イオンTPAの電極表面への吸着及び脱離が生じているものと考えられる。すなわち、上述したように、フェリシアニド[Fe(CN)63-の吸着密度は、2×10-10モル/cm2であることから、陽イオンTPAの電極表面への吸着量は微量であり、液体中の陽イオンTPAの濃度はほとんど変化することがない。そのため、界面の可逆的な変形は、陽イオンTPAの電極表面への吸着及び脱離に基づく電極表面の界面エネルギーの変化によるものと考えられる。
<実施例2>
次に、複数の作用電極を用いて各作用電極に配置された第二液体の界面形状の制御に関する実験を行った。
(装置構成について)
第一液体として、実施例1と同様に、0.5モル/リットルのTPA・Cl及び0.002モル/リットルのフェリシアン化カリウムを混合した水溶液を調製した。ガラス容器の底部に作用電極として、ガラス基板にITOを形成した電極体(株式会社倉元製作所製)を配置した。電極体は、中心位置に沿って幅0.3mmでエッチングして絶縁処理し、両側を一対の作用電極とした。ガラス容器内に水溶液を2〜3ミリリットル投入し、20分間放置して脱気した。第二液体として、0.5モル/リットルのTPA・Clを溶解したニトロベンゼン(和光純薬工業株式会社製)を準備し、10マイクロリットルのマイクロピペッタを用いて1〜3マイクロリットルの第二液体を一対の作用電極のそれぞれの電極表面に複数個配置した。ニトロベンゼンには、水溶液との間にドーム状の界面が明確に形成された。対極となる電極として白金コイルを水溶液中にセットし、一対の作用電極に対する共通電極とした。
(界面形状の制御について)
電源として市販のニッケル水素電池(起電力;約1.34V)を用いて、作用電極に独立して電圧を印加するように各電極を接続した。そして、それぞれの作用電極に、0.67V及び−0.67Vを交互に印加して、電極表面に配置したニトロベンゼンと水溶液との間の界面形状を観察した。この場合、実施例1で述べたように、電極表面には、フェリシアニド[Fe(CN)63-が吸着しており、0.67Vでは酸化反応が生じ、−0.67Vでは還元反応が生じるようになる。
(観察結果について)
図8Aから図8Dは、作用電極となる電極体の液体とは反対側から撮影した写真である。撮影には、デジタル一眼カメラ(NEX-5N;ソニー株式会社製)にマウント用レンズ(安原製作所株式会社製)を取り付けて用いた。写真の中央において左右方向に所定幅で薄く表示された直線部分が絶縁した箇所であり、その上側及び下側がそれぞれ作用電極となっている。上下の作用電極に0.67Vを印加した場合(図8A)には、上下の作用電極とも、同じように電極表面の界面形状が拡がるように変化したことが観察された(写真では、界面を示すラインが薄くなっている)。上側の作用電極に−0.67Vを印加し、下側の作用電極に0.67Vを印加した場合(図8B)には、上側の作用電極の電極表面の界面形状は略円形に小さくまとまるように変化し、下側の作用電極の電極表面の界面形状は拡がるように変化したことが観察された(写真では、界面形状がまとまることで円形のラインが明確になっている)。上側の作用電極に0.67Vを印加し、下側の作用電極に−0.67Vを印加した場合(図8C)には、上側の作用電極の電極表面の界面形状は拡がるように変化し、下側の作用電極の電極表面の界面形状は小さくまとまるように変化したことが観察された。上下の作用電極に−0.67Vを印加した場合(図8D)には、上下の作用電極とも、同じように電極表面の界面形状が円形に小さくまとまるように変化したことが観察された。
以上の観察結果から、還元電圧を印加すると界面形状は小さくまとまり、酸化電圧を印加すると界面形状は大きく拡がることが確認されるとともに、共通電極となる対極に対して、複数の作用電極において独立して界面形状が制御できることが確認された。
<実施例3>
次に、複数の作用電極に重なるように第二液体を配置した場合の界面形状の変化に関する実験を行った。
(装置構成について)
図1に示す第一液体として、実施例1と同様に、0.5モル/リットルのTPA・Cl及び0.002モル/リットルのフェリシアン化カリウムを混合した水溶液を調製した。ガラス容器の底部に作用電極として白金によるリング・ディスク電極体(NIKKO KEISOKU社製)を配置した。電極体は、周方向の中央位置に沿って幅0.1mmでエッチングして絶縁処理し、外周側電極及び内周側電極を形成して一対の作用電極とした。
ガラス容器内に水溶液を2〜3ミリリットル投入し、20分間放置して脱気した。第二液体として、実施例1と同様に、0.5モル/リットルのTPA・Clを溶解したNPOEを準備し、10マイクロリットルのマイクロピペッタを用いて3マイクロリットルの第二液体を外周側電極及び内周側電極の間に投入して両側の電極表面に部分的に重なるように配置した。配置したNPOEには、水溶液との間にドーム状の明確な界面が形成された。対極となる共通電極として白金コイルを水溶液中にセットした。
(界面形状の制御について)
実施例2と同様に、電源として市販のニッケル水素電池(起電力;約1.34V)を用いて、外周側電極及び内周側電極にそれぞれ独立して電圧を印加するように各電極を接続した。そして、外周側電極及び内周側電極に、それぞれ0.67V及び−0.67Vを交互印加して、電極表面に配置したNPOEと水溶液との間の界面形状を観察した。この場合、実施例1で述べたように、電極表面には、フェリシアニド[Fe(CN)63-が吸着しており、0.67Vでは酸化反応が生じ、−0.67Vでは還元反応が生じるようになる。
(観察結果について)
図9A及び図9Bは、リング・ディスク電極体の表面と直交する方向から撮影した写真である。撮影には、実施例2と同様の撮影装置を用いた。写真において周方向の中央に沿って黒く表示された曲線部分が絶縁した箇所であり、その上側が外周側電極であり、下側が内周側電極となっている。外周側電極に酸化電位(0.67V)を印加するとともに内周側電極に還元電位(−0.67V)を印加した場合(図9A)、第二液体は、外周側電極に向かって矢印で示すように移動する様子が観察された。また、外周側電極に還元電位(−0.67V)を印加するとともに内周側電極に酸化電位(0.67V)を印加した場合(図9B)、第二液体は、内周側電極に向かって矢印で示すように移動する様子が観察された。
本発明に係る界面制御機構は、2つの異なる液体の間に形成された界面の形状を制御することができるので、界面形状を変化させて表示する電子ペーパー等の表示装置、界面形状の変化により光学的な特性を変化させる焦点可変レンズ等の光学装置、界面形状の変化に伴う液体の動きを利用した切換スイッチ素子等のアクチュエータに適用できる。また、界面を介した二相間の化学ポテンシャルの大小関係を鋭敏に検出できることから、吸着電極にイオン選択性を持たせることで、高精度のイオン濃度センサへの応用が期待される。
1・・・液体収容部、2・・・電圧印加部、W・・・第一液体、O・・・第二液体、E・・・作用電極、N1〜N4・・・界面

Claims (9)

  1. 作用電極が配置されるとともに当該作用電極の電極面に接するように水系の第一液体及び当該第一液体と不混和性を有する油系の第二液体が配置された液体収容部を備え、前記第一液体及び前記第二液体の間に形成される界面の形状を制御する界面制御機構であって、前記第一液体には、前記第二液体に対して難溶性で電極反応によりイオン化して前記第二液体内に浸透してエマルションとなるとともに電極反応により前記作用電極の電極面に対して吸着して酸化還元される反応物質及び当該反応物質の支持電解質として機能するイオン性の界面活性剤が溶解しており、前記第二液体には、前記界面活性剤が溶解しており、前記反応物質の酸化還元反応が可逆的に生じるように前記作用電極に電圧を印加する電圧印加部を備えており、電圧印加により前記第二液体が接する前記作用電極の電極面に吸着した前記反応物質の可逆的な酸化還元反応に基づいて前記第二液体内の前記界面活性剤が電極面に吸着又は脱離することで前記界面の形状を変化させる界面制御機構。
  2. 前記電圧印加部は、前記反応物質の酸化還元電位に基づいて設定された電圧範囲において印加電圧を変動させることで、前記反応物質の酸化還元反応を可逆的に生じさせる請求項1に記載の界面制御機構。
  3. 前記界面活性剤は、4級アンモニウム塩を含む請求項1又は2に記載の界面制御機構。
  4. 前記作用電極は複数設けられており、それぞれの前記作用電極の電極面に独立して第二液体が配置されている請求項1から3のいずれかに記載の界面制御機構。
  5. 前記作用電極は複数設けられており、少なくとも2つの前記作用電極の電極面と重なるように前記第二液体が配置されている請求項1から3のいずれかに記載の界面制御機構。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の界面制御機構を備えている表示装置であって、前記界面の形状の変化に基づいて表示を行う表示装置。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の界面制御機構を備えている光学装置であって、前記界面の形状の変化に基づいて光学特性を変化させる光学装置。
  8. 請求項1から5のいずれかに記載の界面制御機構を備えている濃度検知装置であって、前記界面の形状の変化に基づいて前記第二液体中に含まれる前記界面活性剤の濃度変化を検知する濃度検知装置。
  9. 作用電極の電極面に接するように配置された水系の第一液体及び当該第一液体と不混和性を有する油系の第二液体の間に形成された界面の形状を制御する界面制御方法であって、前記第二液体に対して難溶性で電極反応によりイオン化して前記第二液体内に浸透してエマルションとなるとともに電極反応により前記作用電極の電極面に対して吸着して酸化還元される反応物質及び当該反応物質の支持電解質として機能するイオン性の界面活性剤が前記第一液体に溶解した状態に設定し、前記界面活性剤が前記第二液体に溶解した状態に設定し、前記反応物質の酸化還元反応が可逆的に生じるように前記作用電極に電圧を印加し、電圧印加により前記第二液体が接する前記作用電極の電極面に前記反応物質を吸着させて前記反応物質の可逆的な酸化還元反応に基づいて前記第二液体内の前記界面活性剤が電極面に吸着又は脱離することで前記界面の形状を変化させる界面制御方法。
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