以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1及び図2は、本発明の実施の形態1である建具を示したものである。ここで例示する建具は、開口枠10の内部に2枚の障子20,30を上下に配設した段窓と称されるものである。
開口枠10は、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13を四周枠組みし、さらに上枠11と下枠12との中間となる位置に水平方向に沿って無目枠(断熱フレーム)14を配設することにより構成してある。上枠11及び下枠12は、それぞれアルミニウムやアルミニウム合金によって成形した押し出し形材からなる金属枠部分11A,12Aと、樹脂によって成形した押し出し形材からなる樹脂枠部分11B,12Bとを有して構成したものである。金属枠部分11A,12A及び樹脂枠部分11B,12Bは、見込み方向に並設した状態で互いに係合し、かつ金属枠部分11A,12Aを室外側に配置した状態で躯体Bに取り付けてある。図には示していないが、開口枠10の縦枠13は、上枠11及び下枠12と同様の構成を有したものである。
これに対して無目枠14は、アルミニウムやアルミニウム合金によって成形した押し出し形材からなる2つの無目枠部分(フレーム要素)140,240を見込み方向に並設し、かつ互いの間を断熱材340によって連結することにより構成してある。断熱材340は、ウレタン等、硬質の樹脂によって構成したもので、それぞれの無目枠部分140,240に設けた収容部141,241に収容した状態で2つの無目枠部分140,240の間に介在している。断熱材340としては、予め成形したものを2つの無目枠部分140,240の収容部141,241に収容させるようにしても良いし、硬化性を有する樹脂材を2つの無目枠部分140,240の収容部141,241にわたって充填した後に硬化させるようにしても良い。
収容部141,241は、それぞれの無目枠部分140,240において互いに対向するように無目枠14の全長に構成したもので、互いに対向する部位に断熱材340を収容するための収容溝141a,241aを有している。室外側に配置される無目枠部分(以下、区別する場合に「外無目枠部分140」という)においては、室内側に位置する部分に上下方向に延在する外方見付け壁部142が設けてあり、この外方見付け壁部142の上縁部に水平方向に沿って収容溝141aを形成することにより収容部141が構成してある。これに対して室内側に配置される無目枠部分(以下、区別する場合に「内無目枠部分240」という)においては、下方となる部分に見込み方向に沿って延在する見込み壁部242が設けてあるとともに、室外側に位置する部分に上下方向に延在する内方見付け壁部243が設けてあり、見込み壁部242の最も室外側に位置する縁部から見付け方向に沿って下方に突出するように収容部241が構成してある。これらの無目枠部分140,240の収容部141,241を断熱材340によって連結した無目枠14は、図1に示すように、外無目枠部分140に対して内無目枠部分240が上方に大きく突出した断面形状となっている。
2つの障子20,30は、それぞれ矩形状を成すガラス21,31の四周に上框22,32、下框23,33及び左右の縦框24,34を装着することによって構成したものである。ガラス21,31としては、網入りガラスまたは耐熱強化ガラス21a,31aとフロートガラス21b,31bとを積層した複層ガラスを用いている。上框22,32及び下框23,33は、それぞれアルミニウムやアルミニウム合金によって成形した押し出し形材からなる金属框部分22A,32A,23A,33Aと、樹脂によって成形した押し出し形材からなる樹脂框部分22B,32B,23B,33Bとを有したものである。これら金属框部分22A,32A,23A,33A及び樹脂框部分22B,32B,23B,33Bは、見込み方向に並設した状態で互いに係合し、金属框部分22A,32A,23A,33Aを室外側に配置してそれぞれの障子20,30の框を構成している。図には明示していないが、障子20の縦框24及び障子30の縦框34は、上框22,32及び下框23,33と同様の構成を有したものである。
開口枠10の下側に配置した障子(以下、「下側障子30」という)は、無目枠14によって区分けされる開口枠10の下側開口が常時閉じた状態となるように、框32,33,34を介して開口枠10に固定してある。開口枠10の上側に配置した障子(以下、「上側障子20」という)は、無目枠14によって区分けされる開口枠10の上側開口を開閉できるように開閉支持機構25を介して開口枠10に支持してある。図には明示していないが、開閉支持機構25は、開口枠10に対して上側障子20が室外側に向けて押し開くように動作するものである。本実施の形態1では、無目枠14に設けたオペレータハンドル26を操作した場合に上側障子20が縦すべり出し窓として機能するように開閉支持機構25が構成してある。すなわち、本実施の形態1では、一方の縦框24が上框22及び下框23の長手方向に沿ってスライドするとともに、一方の縦框24の長手方向を中心として他方の縦框24が室外側に開くように開閉支持機構25が構成してある。オペレータハンドル26は、無目枠14において内無目枠部分240の見付け面から室内側に突出した状態で取り付けてあり、回転操作することにより開閉支持機構25を動作させることができる。
一方、この建具の無目枠14には、図2、図3−1、図3−2に示すように、外無目枠部分140に係合部材50が取り付けてあるとともに、内無目枠部分240に上方加熱膨張材60が配設してある。係合部材50は、アルミニウムやアルミニウム合金よりも融点の高いステンレスや鋼材によって成形したもので、無目枠14の内無目枠部分240と同じ長さにわたる部位に設けてある。
本実施の形態1では、平板状を成す取付基部51と、取付基部51の一方の縁部から屈曲するように延在したカバー部52と、カバー部52の延在縁部から取付基部51とは反対方向に向けて屈曲するように延在した係合受部53とを一体に成形することによって構成した係合部材50を適用している。この係合部材50は、カバー部52が収容部141,241の相互間に露出する断熱材340の下方を覆い、かつ係合受部53が内無目枠部分240に設けた収容部241の室内側に位置する見付け面に対向した状態で、取付基部51を介して外無目枠部分140の外方見付け壁部142にネジ55を螺合させることにより固定してある。
図からも明らかなように、係合受部53と内無目枠部分240の収容部241との間は、それぞれ隙間を確保した状態で相互に近接するように設定してある。カバー部52と内無目枠部分240の収容部241との間には、係合受部53との間の隙間よりも大きな隙間が確保してあり、カバー部52の上面に帯状を成す下方加熱膨張材(加熱膨張材)54が配設してある。下方加熱膨張材54は、膨張黒鉛等のように、高温状態となった場合に膨張するもので、2つの無目枠部分140,240の収容部141,241を連結する断熱材340の下面に対向するように、無目枠14の内無目枠部分240と同じ長さにわたる部位に貼り付けてある。
上方加熱膨張材60は、下方加熱膨張材54と同様、一定の幅の帯状に構成したもので、内無目枠部分240の内方見付け壁部243において収容部241の直上となる位置に貼り付けてある。
上記のように構成した建具では、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13の室内側に樹脂枠部分11B,12Bが配置され、かつそれぞれの障子20,30の上框22,32、下框23,33及び左右の縦框24,34の室内側に樹脂框部分22B,32B,23B,33Bが配置された状態にある。さらに、無目枠14においては、2つの無目枠部分140,240の間に断熱材340が介在されるとともに、外無目枠部分140に固定した係合部材50が内無目枠部分240とは接触していない。従って、この建具によれば、室内と室外とで熱の伝達が抑制され、冷暖房効率が高まるとともに、結露の発生を抑えることができる等の利点がある。
しかも、火災発生時に高温状態となった場合には、図4に示すように、内無目枠部分240に貼り付けた上方加熱膨張材60が膨張し、無目枠14と上側障子20の下框23との空間に充填されることになる。また、係合部材50の上面に貼り付けた下方加熱膨張材54が膨張し、係合部材50と内無目枠部分240の収容部241との隙間に充填されることになる。従って、無目枠14の断熱材340が焼失したとしても、外無目枠部分140と内無目枠部分240との間のいずれの部分にも隙間ができることはなく、室内と室外との間に火炎が貫通するおそれはない。
また、係合部材50の係合受部53が内無目枠部分240に設けた収容部241の室内側に位置する見付け面に対向した状態で近接配置されているため、さらに、上述したように、下方加熱膨張材54の膨張によって係合部材50と内無目枠部分240の収容部241との隙間が埋められるため、断熱材340の焼失に伴って外無目枠部分140と内無目枠部分240との間の連結状態が解除されて互いに離隔する方向に移動した場合にも、直ちに係合部材50の係合受部53が収容部241の室内側に位置する見付け面に係合し、以降の移動が阻止されることになる。従って、無目枠14の室内側に位置する見付け面からオペレータハンドル26が突出する構成であるものの、内無目枠部分240が室内側に脱落する事態を招来するおそれはなく、無目枠14が外無目枠部分140と内無目枠部分240とに分離することに起因して火炎の貫通口が形成される事態を防止することが可能となる。
尚、上述した実施の形態1では、断熱材340によって外無目枠部分140と内無目枠部分240とを連結した無目枠14について例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、2つのフレーム要素を断熱材によって連結した断熱フレームであれば、下枠や縦枠に適用することも可能である。また、係合部材50は、必ずしも室外側に配置されるフレーム要素に固定する必要はなく、室内側に配置されるフレーム要素に固定しても良い。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2である建具の要部を示したものである。ここで例示する建具の下枠(断熱フレーム)70は、アルミニウムやアルミニウム合金によって成形した押し出し形材からなる2つの下枠部分(フレーム要素)170,270を見込み方向に並設し、かつ互いの間を断熱材370によって連結することにより構成してある。断熱材370は、ウレタン等、硬質の樹脂によって構成したもので、それぞれの下枠部分170,270に設けた収容部171,271に収容した状態で2つの下枠部分170,270の間に介在している。断熱材370としては、予め成形したものを2つの下枠部分170,270の収容部171,271に収容させるようにしても良いし、硬化性を有する樹脂材を2つの下枠部分170,270の収容部171,271にわたって充填した後に硬化させるようにしても良い。
収容部171,271は、それぞれの下枠部分170,270において互いに対向するように下枠70の全長に構成したもので、互いに対向する部位に断熱材370を収容するための収容溝171a,271aを有している。室外側に配置される下枠部分(以下、区別する場合に「外下枠部分170」という)においては、室内側に位置する部分に上下方向に延在する外方見付け壁部172が設けてあり、この外方見付け壁部172の上縁部に水平方向に沿って収容溝171aを形成することにより収容部171が構成してある。これに対して室内側に配置される下枠部分(以下、区別する場合に「内下枠部分270」という)においては、見込み方向に沿って延在する見込み壁部272が設けてあるとともに、室外側に位置する部分に上下方向に延在する内方見付け壁部273が設けてあり、見込み壁部272の最も室外側に位置する縁部から見付け方向に沿って下方に突出するように収容部271が構成してある。
また、この建具の下枠70には、外下枠部分170に係合部材470が取り付けてある。係合部材470は、アルミニウムやアルミニウム合金よりも融点の高いステンレスや鋼材によって成形したもので、下枠70の内下枠部分270と同じ長さにわたる部位に設けてある。
本実施の形態2では、平板状を成す取付基部471と、取付基部471の一方の縁部から屈曲するように延在したカバー部472と、カバー部472の延在縁部から取付基部471とは反対方向に向けて屈曲するように延在した係合受部473とを一体に成形することによって構成した係合部材470を適用している。この係合部材470は、カバー部472が収容部171,271の相互間に露出する断熱材370の下方を覆い、かつ係合受部473が内下枠部分270に設けた収容部271の室内側に位置する見付け面に対向した状態で、取付基部471を介して外下枠部分170の外方見付け壁部172にネジ570を螺合させることにより固定してある。
図からも明らかなように、係合受部473と内下枠部分270の収容部271との間は、それぞれ隙間を確保した状態で相互に近接するように設定してある。カバー部472と内下枠部分270の収容部271との間には、係合受部473との間の隙間よりも大きな隙間が確保してあり、カバー部472の上面に帯状を成す加熱膨張材670が配設してある。加熱膨張材670は、膨張黒鉛等のように、高温状態となった場合に膨張するもので、2つの下枠部分170,270の収容部171,271を連結する断熱材370の下面に対向するように、下枠70の内下枠部分270と同じ長さにわたる部位に貼り付けてある。
上記のように構成した建具では、下枠70において2つの下枠部分170,270の間に断熱材370が介在されるとともに、外下枠部分170に固定した係合部材470が内下枠部分270とは接触していない。従って、この建具によれば、室内と室外とで熱の伝達が抑制され、冷暖房効率が高まるとともに、結露の発生を抑えることができる等の利点がある。
しかも、火災発生時に高温状態となった場合には、係合部材470の上面に貼り付けた加熱膨張材670が膨張し、係合部材470と内下枠部分270の収容部271との隙間に充填されることになる。従って、下枠70の断熱材370が焼失したとしても、外下枠部分170と内下枠部分270との間のいずれの部分にも隙間ができることはなく、室内と室外との間に火炎が貫通するおそれはない。
また、係合部材470の係合受部473が内下枠部分270に設けた収容部271の室内側に位置する見付け面に対向した状態で近接配置されているため、さらに、上述したように、加熱膨張材670の膨張によって係合部材470と内下枠部分270の収容部271との隙間が埋められるため、断熱材370の焼失に伴って外下枠部分170と内下枠部分270との間の連結状態が解除されて互いに離隔する方向に移動した場合にも、直ちに係合部材470の係合受部473が収容部271の室内側に位置する見付け面に係合し、以降の移動が阻止されることになる。従って、下枠70が外下枠部分170と内下枠部分270とに分離することに起因して火炎の貫通口が形成される事態を防止することが可能となる。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3である建具の要部を示したものである。ここで例示する建具の下枠(断熱フレーム)80は、アルミニウムやアルミニウム合金によって成形した押し出し形材からなる2つの下枠部分(フレーム要素)180,280を見込み方向に並設し、かつ互いの間を断熱材380によって連結することにより構成してある。断熱材380は、ウレタン等、硬質の樹脂によって構成したもので、それぞれの下枠部分180,280に設けた収容部181,281に収容した状態で2つの下枠部分180,280の間に介在している。断熱材380としては、予め成形したものを2つの下枠部分180,280の収容部181,281に収容させるようにしても良いし、硬化性を有する樹脂材を2つの下枠部分180,280の収容部181,281にわたって充填した後に硬化させるようにしても良い。
収容部181,281は、それぞれの下枠部分180,280において互いに対向するように下枠80の全長に構成したもので、互いに対向する部位に断熱材380を収容するための収容溝181a,281aを有している。室内側に配置される下枠部分(以下、区別する場合に「内下枠部分280」という)においては、室外側に位置する部分に上下方向に延在する内方見付け壁部282が設けてあり、この内方見付け壁部282の上縁部に水平方向に沿って収容溝281aを形成することにより収容部281が構成してある。これに対して室外側に配置される下枠部分(以下、区別する場合に「外下枠部分180」という)においては、見込み方向に沿って延在する見込み壁部182が設けてあるとともに、室内側に位置する部分に上下方向に延在する外方見付け壁部183が設けてあり、見込み壁部182の最も室外側に位置する縁部から見付け方向に沿って下方に突出するように収容部181が構成してある。
また、この建具の下枠80には、内下枠部分280に係合部材480が取り付けてある。係合部材480は、アルミニウムやアルミニウム合金よりも融点の高いステンレスや鋼材によって成形したもので、下枠80の外下枠部分180と同じ長さにわたる部位に設けてある。
本実施の形態3では、平板状を成す取付基部481と、取付基部481の一方の縁部から屈曲するように延在したカバー部482と、カバー部482の延在縁部から取付基部481とは反対方向に向けて屈曲するように延在した係合受部483とを一体に成形することによって構成した係合部材480を適用している。この係合部材480は、カバー部482が収容部181,281の相互間に露出する断熱材380の下方を覆い、かつ係合受部483が外下枠部分180に設けた収容部181の室内側に位置する見付け面に対向した状態で、取付基部481を介して内下枠部分280の内方見付け壁部282にネジ580を螺合させることにより固定してある。
図からも明らかなように、係合受部483と外下枠部分180の収容部181との間は、それぞれ隙間を確保した状態で相互に近接するように設定してある。カバー部482と外下枠部分180の収容部181との間には、係合受部483との間の隙間よりも大きな隙間が確保してあり、カバー部482の上面に帯状を成す加熱膨張材680が配設してある。加熱膨張材680は、膨張黒鉛等のように、高温状態となった場合に膨張するもので、2つの下枠部分180,280の収容部181,281を連結する断熱材380の下面に対向するように、下枠80の外下枠部分180と同じ長さにわたる部位に貼り付けてある。
上記のように構成した建具では、下枠80において2つの下枠部分180,280の間に断熱材380が介在されるとともに、内下枠部分280に固定した係合部材480が外下枠部分180とは接触していない。従って、この建具によれば、室内と室外とで熱の伝達が抑制され、冷暖房効率が高まるとともに、結露の発生を抑えることができる等の利点がある。
しかも、火災発生時に高温状態となった場合には、係合部材480の上面に貼り付けた加熱膨張材680が膨張し、係合部材480と外下枠部分180の収容部181との隙間に充填されることになる。従って、下枠80の断熱材380が焼失したとしても、内下枠部分280と外下枠部分180との間のいずれの部分にも隙間ができることはなく、室内と室外との間に火炎が貫通するおそれはない。
また、係合部材480の係合受部483が外下枠部分180に設けた収容部181の室内側に位置する見付け面に対向した状態で近接配置されているため、さらに、上述したように、加熱膨張材680の膨張によって係合部材480と外下枠部分180の収容部181との隙間が埋められるため、断熱材380の焼失に伴って内下枠部分280と外下枠部分180との間の連結状態が解除されて互いに離隔する方向に移動した場合にも、直ちに係合部材480の係合受部483が収容部181の室内側に位置する見付け面に係合し、以降の移動が阻止されることになる。従って、下枠80が内下枠部分280と外下枠部分180とに分離することに起因して火炎の貫通口が形成される事態を防止することが可能となる。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4である建具の要部を示したものである。ここで例示する建具の縦枠(断熱フレーム)90は、アルミニウムやアルミニウム合金によって成形した押し出し形材からなる2つの縦枠部分(フレーム要素)190,290を見込み方向に並設し、かつ互いの間を断熱材390によって連結することにより構成してある。断熱材390は、ウレタン等、硬質の樹脂によって構成したもので、それぞれの縦枠部分190,290に設けた収容部191,291に収容した状態で2つの縦枠部分190,290の間に介在している。断熱材390としては、予め成形したものを2つの縦枠部分190,290の収容部191,291に収容させるようにしても良いし、硬化性を有する樹脂材を2つの縦枠部分190,290の収容部191,291にわたって充填した後に硬化させるようにしても良い。
収容部191,291は、それぞれの縦枠部分190,290において互いに対向するように縦枠90の全長に構成したもので、互いに対向する部位に断熱材390を収容するための収容溝191a,291aを有している。室外側に配置される縦枠部分(以下、区別する場合に「外縦枠部分190」という)においては、見込み方向に沿って延在する見込み壁部192が設けてあり、見込み壁部192の最も室内側に位置する縁部から見付け方向に沿って外周方向に突出するように収容部191が構成してある。同様に、室内側に配置される縦枠部分(以下、区別する場合に「内縦枠部分290」という)においては、見込み方向に沿って延在する見込み壁部292が設けてあり、見込み壁部292の最も室外側に位置する縁部から見付け方向に沿って外周方向に突出するように収容部291が構成してある。
また、この建具の縦枠90には、外縦枠部分190に係合部材490が取り付けてある。係合部材490は、アルミニウムやアルミニウム合金よりも融点の高いステンレスや鋼材によって成形したもので、縦枠90の内縦枠部分290と同じ長さにわたる部位に設けてある。
本実施の形態4では、平板状を成すカバー基部491と、カバー基部491の両側縁部からそれぞれ同一方向に向けて屈曲するように延在した一対の係合受部492と、一方の係合受部492の延在縁部からカバー基部491とは反対方向に向けて屈曲するように延在した取付基部493とを一体に成形することによって構成した係合部材490を適用している。この係合部材490は、一対の係合受部492の間に外縦枠部分190の収容部191及び内縦枠部分290の収容部291を配置した状態で取付基部493を介して外縦枠部分190の見込み壁部192にネジ590を螺合させることにより固定してある。
図からも明らかなように、係合受部492と内縦枠部分290の収容部291との間は、それぞれ隙間を確保した状態で相互に近接するように設定してある。カバー基部491と内縦枠部分290の収容部291との間には、係合受部492との間の隙間よりも大きな隙間が確保してあり、カバー基部491に帯状を成す加熱膨張材690が配設してある。加熱膨張材690は、膨張黒鉛等のように、高温状態となった場合に膨張するもので、2つの縦枠部分190,290の収容部191,291を連結する断熱材390に対向するように、縦枠90の内縦枠部分290と同じ長さにわたる部位に貼り付けてある。
上記のように構成した建具では、縦枠90において2つの縦枠部分190,290の間に断熱材390が介在されるとともに、外縦枠部分190に固定した係合部材490が内縦枠部分290には接触していない。従って、この建具によれば、室内と室外とで熱の伝達が抑制され、冷暖房効率が高まるとともに、結露の発生を抑えることができる等の利点がある。
しかも、火災発生時に高温状態となった場合には、係合部材490に貼り付けた加熱膨張材690が膨張し、係合部材490と内縦枠部分290の収容部291との隙間に充填されることになる。従って、縦枠90の断熱材390が焼失したとしても、外縦枠部分190と内縦枠部分290との間のいずれの部分にも隙間ができることはなく、室内と室外との間に火炎が貫通するおそれはない。
また、係合部材490の係合受部492が内縦枠部分290に設けた収容部291の室内側に位置する見付け面に対向した状態で近接配置されているため、さらに、上述したように、加熱膨張材690の膨張によって係合部材490と内縦枠部分290の収容部291との隙間が埋められるため、断熱材390の焼失に伴って外縦枠部分190と内縦枠部分290との間の連結状態が解除されて互いに離隔する方向に移動した場合にも、直ちに係合部材490の係合受部492が収容部191,291の室内側に位置する見付け面に係合し、以降の移動が阻止されることになる。従って、縦枠90が外縦枠部分190と内縦枠部分290とに分離することに起因して火炎の貫通口が形成される事態を防止することが可能となる。
尚、上述した実施の形態4では、係合部材490を外縦枠部分190に固定するようにしているが、図8に示すように、内縦枠部分290に係合部材490を固定するようにしても構わない。
また、上述した実施の形態1〜実施の形態4では、いずれも係合部材を直接断熱フレームのフレーム要素に固定しているが、本発明はこれに限定されず、断熱フレームの端部に連結されて直角方向に延在する隣接フレームに係合部材を固定しても良い。
(実施の形態5)
図9−1及び図9−2は、本発明の実施の形態5である建具の要部を示したものである。ここで例示する建具の無目枠(断熱フレーム)14は、実施の形態1と同様、アルミニウムやアルミニウム合金によって成形した押し出し形材からなる2つの無目枠部分(フレーム要素)140,240を見込み方向に並設し、かつ互いの間を断熱材340によって連結することにより構成したもので、実施の形態1とは係合部材950の構成のみが異なっている。以下、主に実施の形態1と相違する部分について説明し、実施の形態1と共通する部分については同一の符号を付して詳細説明を省略する。
係合部材950は、アルミニウムやアルミニウム合金よりも融点の高いステンレスや鋼材によって成形したもので、無目枠14の全長にわたる部位に設けてある。本実施の形態5では、平板状を成す基部951と、基部951の一方の縁部から屈曲するように延在したカバー部952と、カバー部952の延在縁部から基部951とは反対方向に向けて屈曲するように延在した係合受部953と、基部951の両端部に設けた一対の取付板部954とを一体に成形することによって係合部材950が構成してある。取付板部954は、基部951の両端縁部からカバー部952と同じ方向に屈曲したものである。この係合部材950は、カバー部952が収容部141,241の相互間に露出する断熱材340の下方を覆い、かつ係合受部953が内無目枠部分240に設けた収容部141,241の室内側に位置する見付け面に対向した状態で、両端の取付板部954を介して縦枠13(図1参照)の図示せぬ金属枠部分に設けた見付け面にネジを螺合させることにより固定してある。係合部材950の基部951は、外無目枠部分140の外方見付け壁部142に当接するのみであり、外方見付け壁部142に対してネジは螺合していない。
図からも明らかなように、係合受部953と内無目枠部分240の収容部241との間は、それぞれ隙間を確保した状態で相互に近接するように設定してある。カバー部952と内無目枠部分240の収容部241との間には、係合受部953との間の隙間よりも大きな隙間が確保してあり、カバー部952の上面に帯状を成す下方加熱膨張材(加熱膨張材)955が配設してある。下方加熱膨張材955は、膨張黒鉛等のように、高温状態となった場合に膨張するもので、2つの無目枠部分140,240の収容部141,241を連結する断熱材340の下面に対向するように、無目枠14の内無目枠部分240と同じ長さにわたる部位に貼り付けてある。
上記のように構成した建具では、上枠11、下枠12の室内側に樹脂枠部分11B,12Bが配置され、かつそれぞれの障子20,30の上框22,32、下框23,33の室内側に樹脂框部分22B,32B,23B,33Bが配置された状態にある。さらに、無目枠14においては、2つの無目枠部分140,240の間に断熱材340が介在されるとともに、縦枠13に固定した係合部材950が内無目枠部分240とは接触していない。従って、この建具によれば、室内と室外とで熱の伝達が抑制され、冷暖房効率が高まるとともに、結露の発生を抑えることができる等の利点がある。
しかも、火災発生時に高温状態となった場合には、内無目枠部分240に貼り付けた上方加熱膨張材60が膨張し、無目枠14と上側障子20の下框23,33との空間に充填されることになる。また、係合部材950の上面に貼り付けた下方加熱膨張材955が膨張し、係合部材950と内無目枠部分240の収容部241との隙間に充填されることになる。従って、無目枠14の断熱材340が焼失したとしても、外無目枠部分140と内無目枠部分240との間のいずれの部分にも隙間ができることはなく、室内と室外との間に火炎が貫通するおそれはない。
また、係合部材950の係合受部953が内無目枠部分240に設けた収容部241の室内側に位置する見付け面に対向した状態で近接配置されているため、さらに、上述したように、下方加熱膨張材955の膨張によって係合部材950と内無目枠部分240の収容部241との隙間が埋められるため、断熱材340の焼失に伴って外無目枠部分140と内無目枠部分240との間の連結状態が解除されて互いに離隔する方向に移動した場合にも、直ちに係合部材950の係合受部953が収容部241の室内側に位置する見付け面に係合し、以降の移動が阻止されることになる。従って、内無目枠部分240が室内側に脱落する事態を招来するおそれはなく、無目枠14が外無目枠部分140と内無目枠部分240とに分離することに起因して火炎の貫通口が形成される事態を防止することが可能となる。
さらに、係合部材950を縦枠13に固定するようにした建具によれば、外無目枠部分140に係合部材950を固定するためのネジ挿通孔等の加工を施す必要がなく、製造コストを低減することが可能になるばかりでなく、外無目枠部分140の強度を十分に確保することが可能となり、火災発生時に高温状態となった場合にも容易に変形することがない等の利点がある。
尚、上述した実施の形態1及び実施の形態5では、内無目枠部分240の内方見付け壁部243において収容部241の直上となる位置に上方加熱膨張材60を配設するようにしているため、火炎の貫通口が形成される事態をより確実に防止することが可能であるが、本発明は必ずしも上方加熱膨張材を設ける必要はない。