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JP6340436B2 - 電飾用インクジェット記録材料及びその製造方法、電飾用画像及びその形成方法、並びに電飾看板 - Google Patents

電飾用インクジェット記録材料及びその製造方法、電飾用画像及びその形成方法、並びに電飾看板 Download PDF

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JP6340436B2 JP2016566560A JP2016566560A JP6340436B2 JP 6340436 B2 JP6340436 B2 JP 6340436B2 JP 2016566560 A JP2016566560 A JP 2016566560A JP 2016566560 A JP2016566560 A JP 2016566560A JP 6340436 B2 JP6340436 B2 JP 6340436B2
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Description

本開示は、電飾用インクジェット記録材料及びその製造方法、電飾用画像及びその形成方法、並びに電飾看板に関する。
インク吐出口からインクを液滴で吐出するインクジェット方式は、小型で安価であり、被記録媒体に非接触で画像形成が可能である等の理由から、多くのプリンターに用いられている。中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、及び、熱エネルギーによるインクの沸騰現象を利用しインクを液滴吐出する熱インクジェット方式は、高解像度の画像が得られる点、及び高速印字性に優れる点で長所を有する。
最近では、家庭用又はオフィス用の写真印刷や文書印刷にインクジェット方式を使用するだけでなく、商業用印刷や産業用印刷にインクジェット方式が利用されている。例えば、ショーウィンドウ、駅通路やビルなどの壁に貼り付ける大判の電飾看板に使用される画像を、インクジェット方式により作製する画像形成方法の需要が増えつつある。
電飾看板は、日差しのない夜間において、バックライト光源からの光により透過画像として観察される看板である。インクジェット方式により電飾看板を作製する場合には、被記録媒体として、透明なインクジェット記録材料が使用される。更に、電飾看板は、屋外に設置されるため、耐水性に優れる樹脂基材の上にインク受容層を有するインクジェット記録材料が使用される。
例えば、特開2014−144578号公報には、プラスチック等の支持体の一方の面に、特定の樹脂及び架橋剤を含むインク受容層を有するインクジェット記録材料が記載されている。特開2014−144578号公報に記載されているインクジェット記録材料は、電飾看板に使用される画像をインクジェット方式により作製するための記録材料として有用であるとされている。
例えば特開平10−207100号公報には、透明支持体の一方の表面に透明なインク受容層が設けられ、更に透明支持体の他方の表面に白色の塗布層が設けられたインクジェット記録材料が記載されている。特開平10−207100号公報に記載されているインクジェット記録材料は、オーバーヘッドプロジェクター(OHP)用フィルム、バックライトディスプレイ用フィルム等として有用であるとされている。
既述のとおり、電飾看板は屋外で使用されるため、電飾用インクジェット記録材料の基材としては、ポリエステルフィルムのような樹脂基材が使用される。更に、電飾看板は、白地に画像が形成されていることが好ましいので、例えば特開平10−207100号公報に記載されているような、白色層を有する電飾用インクジェット記録材料が好ましい。
電飾用インクジェット記録材料にインクジェット方式で画像形成された画像を、電飾看板フレームに設置する作業は、電飾看板が設置されている場所で行われている。
特開平10−207100号公報に記載されているインクジェット記録材料は、透明支持体の他方の表面に白色層を有している。しかし、特開平10−207100号公報に記載されたインクジェット記録材料を用いて作製された電飾用画像を電飾看板フレームに設置する作業において、例えば鋭利な先端を有する物で擦られると、白色層が剥がれてしまうことがあった。白色層が剥がれた電飾看板は、白色層が剥がれた箇所ではバックライトの光が白色層で散乱されずに直接表面に漏れ出てきてしまうため、肉眼での観察が困難となり、電飾看板としての画質が低下してしまう。
従って、本発明の実施態様の課題は、耐傷性に優れる電飾用画像が得られる電飾用インクジェット記録材料及びその製造方法を提供することである。
更に、本発明の実施態様の課題は、耐傷性に優れ、画像品質に優れる電飾用画像及びその形成方法、並びに電飾看板を提供することである。
上記の課題を解決する本発明の実施態様は、以下の実施態様が含まれる。
<1> 樹脂基材の一方の表面に、樹脂基材に近い側から順に、白色粒子及び樹脂を含み、樹脂の総質量に対してアクリル樹脂を30質量%以上含有する白色層と、樹脂を含むインク受容層と、を有する電飾用インクジェット記録材料。
<2> 白色層が、白色層に含まれる樹脂の総質量に対して50質量%以上90質量%以下のアクリル樹脂を含む<1>に記載の電飾用インクジェット記録材料。
<3> 白色粒子が、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、及びカオリナイトから選ばれる少なくとも1つを含む<1>又は<2>に記載の電飾用インクジェット記録材料。
<4> 白色層が、平均一次粒子径200nm以下のシリカを含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の電飾用インクジェット記録材料。
<5> 白色層が、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1つを含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の電飾用インクジェット記録材料。
<6> 白色層に含まれる樹脂の少なくとも一部が、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、及びメラミン化合物から選ばれる少なくとも1つの架橋剤で架橋された架橋構造を有する<1>〜<5>のいずれか1つに記載の電飾用インクジェット記録材料。
<7> 白色層が、白色粒子を1.0g/m以上10.0g/m以下の範囲で含有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載の電飾用インクジェット記録材料。
<8> 白色層が、更に白色粒子以外の着色剤を含有する<1>〜<7>のいずれか1つに記載の電飾用インクジェット記録材料。
<9> 白色層の厚みが、0.5μm以上10μm以下である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の電飾用インクジェット記録材料。
<10> インク受容層の厚みが、0.01μm以上5μm以下である<1>〜<9>のいずれか1つに記載の電飾用インクジェット記録材料。
<11> 樹脂基材のインク受容層を有する側とは反対側の表面に、樹脂基材に近い側から順に、帯電防止層、及びハードコート層を有する<1>〜<10>のいずれか1つに記載の電飾用インクジェット記録材料。
<12> <1>〜<11>のいずれか1つに記載の電飾用インクジェット記録材料のインク受容層上に、放射線硬化性インク組成物をインクジェット方式により吐出するインク吐出工程と、インク受容層上に吐出された放射線硬化性インク組成物に放射線を照射して、放射線硬化性インク組成物を硬化させる硬化工程と、を含む電飾用画像の形成方法。
<13> <12>に記載の電飾用画像の形成方法により作製された電飾用画像。
<14> 光源と、<13>に記載の電飾用画像を有する電飾看板。
<15> 樹脂基材の一方の表面に、白色粒子及び樹脂を含み、樹脂の総質量に対してアクリル樹脂を30質量%以上含有する白色層形成用塗布液を塗布して白色層を形成する工程、及び白色層の表面に、樹脂を含むインク受容層形成用塗布液を塗布してインク受容層を形成する工程、を有する<1>〜<11>のいずれか1つに記載の電飾用インクジェット記録材料の製造方法。
<16> 更に、白色層形成用塗布液を調製する工程、及びインク受容層形成用塗布液を調製する工程を有し、白色層形成用塗布液を調製する工程、及びインク受容層形成用塗布液を調製する工程の少なくとも一方がろ過工程を含む、<15>に記載の電飾用インクジェット記録材料の製造方法。
<17> ろ過工程が、白色層形成用塗布液をろ過する工程、白色層形成用塗布液を調製するために予め調製された予備調製溶液及び分散液の少なくとも一つをろ過する工程、インク受容層形成用塗布液をろ過する工程、並びにインク受容層形成用塗布液を調製するために予め調製された予備調製溶液及び分散液の少なくとも一つをろ過する工程から選ばれる少なくとも一つの工程である、<16>に記載の電飾用インクジェット記録材料の製造方法。
本発明の実施態様によれば、耐傷性に優れる電飾用画像が得られる電飾用インクジェット記録材料及びその製造方法が提供される。
更に、本発明の実施態様によれば、耐傷性に優れ、画像品質に優れる電飾用画像及びその形成方法、並びに電飾看板が提供される。
本発明に係る電飾用インクジェット記録材料の好ましい実施態様を示す模式的断面図である。
以下、本発明の実施態様の内容について詳細に説明する。以下の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明は斯かる代表的な実施態様に限定されない。
本発明において、「アクリル樹脂」とは、アクリル樹脂の総質量を100質量%とした場合に、アクリロイル基及びメタクリロイル基から選ばれた少なくとも1つの基を有するモノマーを重合させて形成される繰り返し単位の総質量が50質量%を超える樹脂を意味する。
なお、以下の本明細書の記載において、アクリロイル基を有するモノマーを「アクリルモノマー」とも呼び、メタクリロイル基を有するモノマーを「メタクリルモノマー」とも呼ぶ。更に、「アクリルモノマー」及び「メタクリルモノマー」の両者を包括的に含む場合には、「(メタ)アクリルモノマー」と呼ぶ。
<<電飾用インクジェット記録材料>>
本開示に係る電飾用インクジェット記録材料は、樹脂基材の一方の表面に、樹脂基材に近い側から順に、白色粒子及び樹脂を含み、樹脂の総質量に対してアクリル樹脂を30質量%以上含有する白色層と、樹脂を含むインク受容層と、を有する。
本開示に係る電飾用インクジェット記録材料は、インクジェット記録が可能な形態である限り特に限定されないが、用いる樹脂基材の形状から、例えば電飾用インクジェット記録シートや電飾用インクジェット記録フィルムなどの形態が好ましい。
本開示に係る電飾用インクジェット記録材料により、耐傷性に優れる電飾用画像が得られる理由は、以下のようであると思われる。
本開示に係る電飾用インクジェット記録材料における白色層は、白色層に含まれる樹脂の総質量に対して30質量%以上のアクリル樹脂を含有するため、白色層の弾性率が高くなる。従って、本開示に係る電飾用画像が、例えば鋭利な先端を有する物体によって物理的に擦られたとしても、白色層が削り取られる恐れが少ない。
以上の効果により、本開示による電飾用インクジェット記録材料を用いて形成された電飾用画像は、耐傷性に優れるという効果を奏する。
本開示に係る電飾用インクジェット記録材料を用いて形成された画像は、電飾看板フレームに設置する作業を行う際において、仮に、例えば鋭利な先端を有する物体と接触して擦られたとしても、白色層が樹脂基材から剥がれてしまうことが少ない。従って、電飾看板としての画質の低下も少ない。
本開示に係る電飾用インクジェット記録材料の特に好ましい態様は、図1に示すとおり、樹脂基材11の一方の表面に、樹脂基材11に近い側から順に、白色粒子及び樹脂を含有する白色層23、及び、インク受容層21が配置され、樹脂基材11の他方の表面に、樹脂基材11に近い側から順に、帯電防止層31、及びハードコート層33が配置される。
以下、本開示に係る電飾用インクジェット記録材料について、図1に示される電飾用インクジェット記録材料1を中心に、詳しく説明する。
<白色層>
白色層23は、少なくとも白色粒子及び樹脂を含有する。
[白色粒子]
白色層23に含まれる白色粒子は、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、及びカオリナイトから選ばれる少なくとも1種であることが、鮮明な電飾用画像が得られるので好ましい。中でも、チタンホワイトと呼称されるルチル型の酸化チタンが、可視領域の波長の光を反射する性能に優れるので好ましい。
酸化チタンは、平均一次粒子径が0.1μm以上10μm以下の範囲が好ましい。平均一次粒子径は、粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、得られた写真から50個の粒子の投影面積円相当径を求めて算出した値である。
白色粒子は、白色層中に、1.0g/m以上10.0g/m以下の範囲で含有していることが、電飾用画像として優れるので好ましい。
[樹脂]
本開示においては、白色層に含まれる樹脂の総質量に対して、30質量%以上のアクリル樹脂を含有する。白色層に含まれる樹脂が30質量%以上のアクリル樹脂を含有することにより、白色層が硬くなり、耐傷性に優れる電飾用画像が得られる。白色層に含まれるアクリル樹脂の含有量は、白色層に含まれる樹脂の総質量に対して50質量%以上90質量%以下であることが、耐傷性に一段と優れる電飾用画像が得られ、かつ樹脂基材11及びインク受容層21に対する接着力に優れるので好ましい。
〈アクリル樹脂〉
アクリル樹脂は、アクリル樹脂の総質量を100質量%とした場合に、アクリロイル基及びメタクリロイル基から選ばれた少なくとも1つの基を有するモノマーを重合させて形成される繰り返し単位の総質量が50質量%を超える樹脂である。アクリル樹脂は、(メタ)アクリルモノマーを単独重合又は他のモノマーと共重合させて得られる。(メタ)アクリルモノマーと共重合させる他のモノマーには、炭素−炭素二重結合を有するポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)であってもよい。重合体には、例えば、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体等が含まれる。また、アクリル樹脂には、ポリエステル溶液又はポリエステル分散液中で、(メタ)アクリルモノマーを単独重合又は他のモノマーと共重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様に、アクリル樹脂には、ポリウレタン溶液又はポリウレタン分散液中で、(メタ)アクリルモノマーを単独重合又は他のモノマーと共重合して得られたポリマーも含まれる。また同様に、アクリル樹脂には、他のポリマー溶液又は分散液中で、(メタ)アクリルモノマーを単独重合又は他のモノマーと共重合して得られたポリマーも含まれる。
アクリル樹脂は、白色層に隣接する、例えば樹脂基材又はインク受容層との接着性をより向上させるため、ヒドロキシ基及びアミノ基から選ばれた少なくとも1つの基を有してもよい。
(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、特に限定はないが、代表的な化合物として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のようなアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド;ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のようなN−置換アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のような珪素含有モノマーが挙げられる。
アクリル樹脂は、上市された市販品を用いてもよく、市販品としては、ジュリマー(登録商標)ET−410(東亜合成化学株式会社製)やAS−563A(ダイセルファインケム株式会社製)が挙げられる。
〈アクリル樹脂以外の樹脂〉
白色層23は、アクリル樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。アクリル樹脂以外の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1つであることが、例えばインク受容層のような隣接する層、及び樹脂基材との接着力に優れる白色層が得られるので好ましい。
〈ポリオレフィン樹脂〉
白色層に含有させてもよいポリオレフィン樹脂は、エチレン、ブチレン、プロピレン等のアルケンを出発物質として重合してなるポリマーであり、アルケンと、アルケン以外の重合性モノマーとの両者を出発物質として共重合してなる共重合体も含まれる。
本開示において、「ポリオレフィン樹脂」とは、ポリオレフィン樹脂の総質量を100質量%とした場合に、アルケンを重合させて形成される繰り返し単位(以下、「アルケンに由来する繰り返し単位」ともいう。)の総質量が50質量%を超える樹脂を意味する。
ポリオレフィン樹脂には、アルケンに由来する繰り返し単位の総質量が50質量%を超えることを条件として、以下の共重合体が含まれる。
・ エチレン又はプロピレンと、アクリル酸以外のアクリルモノマー又はメタクリル酸以外のメタクリルモノマーとからなる共重合体。
・ エチレン又はプロピレンと、不飽和カルボン酸(無水物を含む)とから成る共重合体。
・ エチレン又はプロピレンと、アクリル酸以外のアクリルモノマー又はメタクリル酸以外のメタクリルモノマーと、不飽和カルボン酸(無水物を含む)とから成る共重合体。
アクリル酸以外のアクリルモノマー、及び、メタクリル酸以外のメタクリルモノマーの好ましい具体例には、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸の好ましい具体例には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物等が挙げられる。
アルケン、アクリル酸以外のアクリルモノマー、メタクリル酸以外のメタクリルモノマー、及び不飽和カルボン酸は、各々単独で用いてもよいし、二種以上を組合せて用いてもよい。
ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は2000以上200000以下が好ましい。ポリオレフィン樹脂は、直鎖構造であっても、分岐構造であってもよい。
ポリオレフィン樹脂は、いわゆるラテックスと呼称される水性分散物で使用されることが好ましい。ポリオレフィン樹脂の水性分散物を製造する方法については、乳化による方法と、乳化分散による方法とがあるが、前者が好ましい。具体的な方法については例えば特許第3699935号明細書に記載の方法を参考にすることができる。
ポリオレフィン樹脂が水性分散物の形態である場合には、ポリオレフィン樹脂がカルボキシル基、水酸基などの水親和性の官能基を有していることが好ましい。ポリオレフィン樹脂が水性分散物の形態である場合には、安定性を向上させるために界面活性剤(例:アニオン性やノニオン性の界面活性剤)、ポリマー(例:ポリビニルアルコール)等の乳化安定剤を含有させてもよい。さらに、必要に応じてpH調整剤(例:アンモニア、トリエチルアミン、炭酸水素ナトリウム等)、防腐剤(例:1,3,5−ヘキサヒドロ−(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール等)、増粘剤(例:ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース等)、造膜助剤(例:ブチルカルビトールアセテート等)等のラテックス添加剤として公知の化合物を添加してもよい。
ポリオレフィン樹脂の水性分散物は、市販されており、本発明においても使用することが可能である。市販品の具体例としては、ボンダインHX−8210、HX−8290、TL−8030、LX−4110(以上、住友化学工業株式会社製)、アローベース(登録商標)SA−1200、同SB−1010、同SE−1013N、同SE−1200(以上、ユニチカ株式会社製)、Nipol(登録商標)UFN1008(日本ゼオン株式会社製)、等がある。
〈ポリエステル樹脂〉
ポリエステル樹脂とは主鎖にエステル結合を有するポリマーの総称であり、通常ジカルボン酸とポリオールの反応で得られる。ジカルボン酸としては例えばフマル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、スルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などがあり、ポリオールとしては例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどがある。ポリエステル樹脂、及び、ポリエステル樹脂の原料については、例えば、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(滝山栄一郎著、日刊工業新聞社、昭和63年発行)に記載されている。
またポリエステル樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシブチレート(PHB)系、ポリカプロラクトン(PCL)系、ポリカプロラクトンブチレンサクシネート系、ポリブチレンサクシネート(PBS)系、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)系、ポリブチレンサクシネートカーボネート系、ポリエチレンテレフタレートサクシネート系、ポリブチレンアジペートテレフタレート系、ポリテトラメチレンアジペートテレフタレート系、ポリブチレンアジペートテレフタレート系、ポリエチレンサクシネート(PES)系、ポリグリコール酸(PGA)系、ポリ乳酸(PLA)系のポリエステル、脂肪族ポリエステルのカーボネート共重合体、及び、脂肪族ポリエステルとポリアミドとの共重合体などが挙げられる。ポリエステル樹脂は、ファインテックス(登録商標)ES650、ES2200(DIC株式会社製)、バイロナール(登録商標)MD1245、同MD1400、同MD1480(東洋紡株式会社製)、ペスレジン(登録商標)A−110、A−124GP、A−520、A−640(高松油脂株式会社製)、プラスコート(登録商標)Z502、Z561、Z730、Z687、Z592(互応化学株式会社製)の市販品としても入手可能である。
〈ポリウレタン樹脂〉
ポリウレタン樹脂は、主鎖にウレタン結合を有するポリマーの総称であり、通常ジイソシアネートとポリオールの反応によって得られる。ジイソシアネートとしては、TDI(トルエンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、NDI(ナフタレンジイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)等がある。
ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール等がある。また、イソシアネートとしては、ジイソシアネートとポリオールの反応によって得られたポリウレタンポリマーに鎖延長処理をして分子量を増大させたポリマーも使用することができる。以上に述べたジイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長処理については、例えば「ポリウレタンハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社、昭和62年発行)において記載されている。ポリウレタン樹脂は、スーパーフレックス(登録商標)470、210、150HS、150HF、エラストロン(登録商標)H−3(第一工業製薬株式会社製)、ハイドラン(登録商標)AP−20、AP−40F、WLS−210(DIC株式会社製)、タケラック(登録商標)W−6061、オレスター(登録商標)UD−350(三井化学株式会社製)の市販品としても入手可能である。
白色層に含まれる、アクリル樹脂以外の樹脂の含有量は、白色層に含まれる樹脂の総質量に対して70質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上50質量%以下である。
[平均一次粒子径200nm以下のシリカ]
白色層は、平均一次粒子径200nm以下のシリカを含有していることが、より一段と耐傷性に優れる電飾用画像が得られるので、好ましい。ここで、平均一次粒子径は、粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、得られた写真から50個の粒子の投影面積円相当径を求めて算出した値である。
平均一次粒子径200nm以下のシリカとしては、いわゆる「コロイダルシリカ」として市販されており、容易に入手することができる。
コロイダルシリカは、水中にシリカ粒子を必要により分散剤(安定化剤とも呼ばれる。)等の助けを借りて安定に分散させた状態となっている。
分散剤としては、四級アンモニウム塩、シランカップリング剤等が挙げられる。
シリカ粒子は、粒子の表面に存在するSi原子の一部が、アルミナ、亜鉛等の金属酸化物、金属原子等で置換されていてもよい。
平均一次粒子径200nm以下のシリカとしては、例えば、日産化学工業株式会社から市販されているスノーテックス(登録商標)(平均一次粒子径20nm)、日本アエロジル(株)から市販されているアエロジル(登録商標)が挙げられる。
平均一次粒子径200nm以下のシリカは白色粒子としても機能するが、例えば酸化チタンのような白色粒子と平均一次粒子径200nm以下のシリカと併用することにより、耐傷性に一段と優れる電飾用画像が得られるので、好ましい。
白色層に白色粒子と平均一次粒子径200nm以下のシリカとを含有させる場合には、白色層の総質量に対して、平均一次粒子径200nm以下のシリカを3質量%以上20質量%以下の範囲で含有されていることが好ましく、特に5質量%以上15質量%以下の範囲で含有されていることが好ましい。
白色層の厚みは、0.5μm以上10μm以下であることが、白地の背景色として優れる電飾用画像が得られるので好ましい。白色層の厚みは、1μm以上8μm以下であることが好ましく、2μm以上6μm以下であることが更に好ましい。
[架橋剤]
白色層は、白色層に含まれる樹脂の少なくとも一部が架橋剤により架橋された構造を含むことが好ましい。白色層に、架橋剤により架橋された樹脂を含むことにより、インク受容層と樹脂基材との接着力がより高められる。架橋剤としては、白色層に含まれる樹脂と架橋反応を起こす化合物が使用される。
白色層に使用される架橋剤としては、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、及びメラミン化合物から選ばれることが好ましく、二種以上の架橋剤を組合せて使用してもよい。
〈オキサゾリン化合物〉
オキサゾリン化合物は、分子中に2個以上のオキサゾリン基を有する化合物である。
オキサゾリン化合物としては、オキサゾリン基を有する重合体、例えば、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体を、必要に応じて、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体以外の重合性不飽和単量体と公知の方法(例えば溶液重合、乳化重合等)によって共重合させることにより得られる重合体を挙げることができる。オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン等をモノマー単位として含む化合物が挙げられる。オキサゾリン化合物は、例えば、エポクロス(登録商標)K−2020E、エポクロスK−2010E、エポクロスK−2020E、エポクロスK−2030E、エポクロスWS−300、エポクロスWS−500、エポクロスWS−700等の市販品(日本触媒株式会社製)としても入手可能である。
〈カルボジイミド化合物〉
カルボジイミド化合物は、−N=C=N−で示される官能基をもつ化合物である。ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成されるが、合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいは芳香族系及び脂肪族系の混合系も使用可能である。ただし、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。合成の原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。
具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。また、カルボジイミド化合物は、例えば、カルボジライト(登録商標)V−02−L2(日清紡株式会社製)等の市販品としても入手可能である。
〈エポキシ化合物〉
エポキシ化合物は、分子内にエポキシ基を有する化合物、及びエポキシ基が反応した結果得られる化合物である。分子内にエポキシ基を有する化合物としては、例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基を有する化合物との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトール、ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。エポキシ基を有する水溶性モノマーの具体例としては、例えば、「デナコール(登録商標)−614B」(ソルビトールポリグリシジルエーテル、エポキシ当量173、商品名、ナガセケムテックス株式会社製)、「デナコール−EX−313」(グリセロールポリグリシジルエーテル、エポキシ当量141、商品名、ナガセケムテックス株式会社製)、「デナコール−EX−521」(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、エポキシ当量168、商品名、ナガセケムテックス株式会社製)、及び「デナコール−EX−830」(ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量268、商品名、ナガセケムテックス株式会社製)としても入手可能である。
〈イソシアネート化合物〉
イソシアネート化合物は、−N=C=Oの部分構造を持つ化合物である。有機イソシアネート化合物の例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネートが挙げられ、二種以上の化合物を混合して用いてもよい。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が用いられる。また、イソシアネート化合物は、例えば、エラストロン(登録商標)H−3(第一工業製薬株式会社製)、DP9C214(Baxenden社製)、タケネート(登録商標)XWD−HS30(三井化学株式会社製)としても入手可能である。
〈メラミン化合物〉
メラミン化合物は、分子内に2つ以上のメチロール基を有する化合物である。メラミン化合物の例としては、ヘキサメチロールメラミンが挙げられる。また、市販のメラミン化合物の例としては、ベッカミン(登録商標)PM−N、ベッカミンJ−101、ベッカミンM−3(DIC株式会社製)が挙げられる。
架橋剤は、二種以上の化合物を組合せて白色層に含有させてもよい。架橋剤は、白色層に含まれる樹脂の総質量に対して、3質量%以上30質量%以下の範囲で含有させることが好ましく、3質量%以上20質量%以下の範囲で含有させることがより好ましい。
架橋剤を、樹脂に対して3質量%以上含有させることで、白色層と隣接する、例えば樹脂基材、及び/又は、インク受容層との接着性が向上し、耐傷性に優れる電飾用画像が容易に得られる。架橋剤を、樹脂に対して30質量%以下の範囲で含有させることにより、インク受容層の樹脂が架橋剤によって架橋構造を形成した場合に、適度の量の架橋構造が形成される。白色層に含まれる樹脂が架橋構造を有する場合には、例えば温度が60℃以上で相対湿度が90%以上のような高温高湿度下に長時間晒された場合においても、インクとインク受容層との接着性の高い画像が維持されるという効果が得られる。
白色層には、必要に応じて、白色粒子以外の着色剤、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、蛍光増白剤、及び耐水化剤等から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有させてもよい。
[白色粒子以外の着色剤]
白色層には、白色層の色調を調整することを目的に、白色粒子以外の着色剤(以下、単に「着色剤」ともいう。)を含有させてもよい。
着色剤としては、顔料が好ましく、特に青色顔料、及び紫色顔料から選ばれた少なくとも1つを含有させた場合には、電飾看板を肉眼で観察した際に、視覚的に白色度の高い印象の背景となるので好ましい。
好適な青色顔料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー(β)(例えば、大日精化株式会社製のEP−700 Blue GA)等が挙げられる。
好適な紫色顔料としては、ジオキサン系顔料(例えば、大日精化株式会社製のTB1548)等が挙げられる。
[界面活性剤]
白色層には、製造適性付与といった観点から、界面活性剤を含有させておくことが好ましい。
界面活性剤としては、公知のアニオン性、ノニオン性、及びカチオン性の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤については、例えば、「界面活性剤便覧」(西一郎、今井怡知一郎、笠井正蔵編、産業図書株式会社、1960年発行)に記載されている。
白色層に含有させる界面活性剤としては、特にアニオン性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤及び/又はが、白色層形成用塗布液を塗布する際に被塗布表面への濡れ性を向上させる効果に優れるので好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸カリウム、ベヘニン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレン(以下、「POE」と略記する。)ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム等のアルキルエーテルカルボン酸塩、N−ステアロイル−L−グルタミン酸モノナトリウム塩等のN−アシル−L−グルタミン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸塩、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ステアリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩、POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のアルキルエーテルリン酸塩、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼン、スルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩が挙げられる。
市販のアニオン性界面活性剤としては、例えば、ラピゾール(登録商標)A−90、ラピゾールA−80、ラピゾールBW−30、ラピゾールB−90、ラピゾールC−70(商品名:日油株式会社製)、NIKKOL(登録商標) OTP−100(日光ケミカルズ株式会社製)、コハクール(登録商標)ON(東邦化学工業株式会社製)、コラクールL−40(商品名、東邦化学工業株式会社製)、フォスファノール(登録商標)702(東邦化学工業株式会社製)、ビューライト(登録商標)A−5000、ビューライトSSS、サンデッド(登録商標)BL(三洋化成工業株式会社製)等を挙げることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N、Nジメチル−3、5−メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムが挙げられる。上記のような界面活性剤を使用することで、塗膜の乾燥過程での粒子の凝集を抑制し、均一な表面凹凸を形成できる。
他にも市販のカチオン性界面活性剤として、例えばフタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業株式会社製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業株式会社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学株式会社製)、W001(裕商株式会社製)等が挙げられる。
市販のノニオン性界面活性剤としては、例えば、ナロアクティー(登録商標)CL−95、HN−100(三洋化成工業株式会社製)、リソレックス(登録商標)BW400(高級アルコール工業株式会社製)、EMALEX(登録商標)ET−2020(日本エマルジョン株式会社)、ユニルーブ(登録商標)50MB−26、ノニオンIS−4(日油株式会社)等を挙げることができる。
白色層に界面活性剤を含有させる場合の界面活性剤の量は、白色層の総固形分質量に対して、0.5質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3.0質量%以下がより好ましい。
<樹脂基材>
樹脂基材11としては、一方の表面(前面とも呼ばれる。)及び他方の表面(背面又は裏面とも呼ばれる。)を備えるシート形状の樹脂基材が使用される。
樹脂基材に使用される樹脂としては、プラスチックフィルムであることが好ましく、顔料や可塑剤等の添加剤が含まれていてもよい。
樹脂の種類は、耐候性に優れるポリエステル樹脂であることが好ましい。
ポリエステル樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等が含まれる。中でも、コストや機械的強度の観点から、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
樹脂基材11としての機械的強度の観点から、延伸処理を含んで製造されたシート状樹脂基材が好ましく、特に2軸延伸したシート状樹脂基材が好ましい。延伸倍率は特に限定されないが、好ましくは1.5倍以上7倍以下の範囲である。延伸倍率が1.5倍以上であることにより、機械的強度が優れ、7倍以下であることにより、厚みの均一性に優れる樹脂基材が容易に得られる。延伸倍率は、より好ましくは2倍以上5倍以下の範囲である。特に好ましい延伸の方向及び倍率は、互いに直交する2方向に、各々2倍以上5倍以下の範囲である。
樹脂基材11の厚みは、例えば、30μm以上500μm以下の範囲であり、より好ましくは50μm以上300μm以下の範囲である。樹脂基材11の厚みが30μm以上であることにより、取り扱いが容易となり、製造上有利である。他方で、樹脂基材11の厚みが500μm以下であることにより、表示装置の小型化や軽量化の達成が容易となり、製造原価に占めるコストも低減できる。
樹脂基材11の一方の表面及び他方の表面は、各々の表面に配置される層との接着力が高くなるという理由から、コロナ放電処理、真空グロー放電処理、火炎処理等の表面処理を施すことが好ましい。
<インク受容層>
インク受容層21は、樹脂基材11の白色層23を有する一方の面に、最外層として配置される。
インク受容層21は、インクジェット記録用インク組成物(以下、「インク」と略称することもある。)との密着力を高め、かつインクジェット記録装置から吐出されたインクの滲みを抑えて、鮮明な画像が得られやすくなる機能を有する。
インク受容層は樹脂を含み、好ましくは樹脂の少なくとも一部は、架橋剤で架橋された構造を含む。
[樹脂]
インク受容層21に含まれる樹脂は、特に限定されることはないが、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレンブタジエン共重合体樹脂、及びポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。インク受容層21に含まれる樹脂は、水溶性又は水分散性であることが環境への負荷が少ない点で特に好ましい。
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、及びポリオレフィン樹脂については、既述の白色層に含まれる樹脂として記載した樹脂が、インク受容層21に含まれる樹脂として使用でき、好ましい樹脂も同様である。
インク受容層21は、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂との含有比率は、ポリエステル樹脂:ポリウレタン樹脂の質量比で、1:9乃至9:1が好ましく、3:7乃至7:3がより好ましく、4:6乃至6:4が特に好ましい。
[架橋剤]
インク受容層は、架橋剤を含有していてもよく、インク受容層に含まれる樹脂が架橋剤によって架橋された構造を有していることが好ましい。
架橋剤は、オキサゾリン化合物及びカルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
好ましいオキサゾリン化合物及びカルボジイミド化合物には、白色層に関する説明において記載した化合物が含まれ、特に好ましい化合物も同様である。
インク受容層における架橋剤は、インク受容層に含まれる樹脂に対して3質量%以上30質量%以下の範囲で含有させることが好ましく、3質量%以上20質量%以下の範囲で含有させることがより好ましい。
架橋剤を、樹脂に対して3質量%以上の架橋剤を含有させることで、インクがインク受容層へ染み込み易くなり、画像形成した後のインク受容層とインクとの定着性に優れる画像が得られ易くなるという利点が得られる。架橋剤を、樹脂に対して30質量%以下の範囲で含有させることにより、インク受容層の樹脂が架橋剤によって架橋構造を形成した場合に、適度の量の架橋構造が形成される。インク受容層の樹脂が架橋構造を有することにより、例えば温度が60℃以上で相対湿度が90%以上のような高温高湿度下に長時間晒された場合においても、インクとインク受容層との接着性の高い画像が維持されるという効果が得られる。
インク受容層には、必要に応じて界面活性剤、滑剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤、粒子等を含有させてもよい。
界面活性剤としては、既述の白色層に含有させる界面活性剤が、インク受容層においても使用することができる。
[滑剤]
滑剤としては、脂肪族ワックス等が好適に用いられる。
脂肪族ワックスの具体例としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、パームワックス、ロジン変性ワックス、オウリキュリーワックス、サトウキビワックス、エスパルトワックス、バークワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、イボタロウ、セラックワックス等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックスを挙げることができる。中でも、カルナバワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが特に好ましい。
滑剤は、環境負荷の低減が可能であること及び取扱のし易さから水分散物として用いることもできる。市販品としては例えばセロゾール(登録商標)524(中京油脂株式会社製)などが挙げられる。
滑剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
[防腐剤]
防腐剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン、ソルビン酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。
インク受容層の厚さは、インク受容層を形成する塗布液の塗布量を調整することにより制御することができる。電飾看板とした場合に、透明度が高く、インクとの優れた密着力を発現するために、インク受容層の厚みは、0.01μm以上5μm以下の範囲であることが好ましい。
厚みを0.01μm以上とすることにより、0.01μm未満である場合に比べてインクとの密着力をより確実に向上させることができる。他方、厚みを5μm以下とすることにより、5μmよりも大きくする場合に比べて、より均一な厚みでインク受容層を形成することができる。さらには、塗布液の使用量の増加を抑えて乾燥時間の長時間化を防止し、コストの増加を抑止することができる。
インク受容層の厚みは、0.02μm以上3μm以下の範囲がより好ましく、0.1μm以上1μm以下であることが更に好ましい。
<帯電防止層>
本開示に係る電飾用インクジェット記録材料は、帯電防止層を有していることが好ましい。帯電防止層を有する電飾用インクジェット記録材料は、インクジェット方式で電飾用画像を形成する際に誤作動が生じにくいうえに、電飾用画像を電飾用フレームに設置して電飾看板を作製する際に、静電気が発生して塵埃が付着することが効果的に防止される。
帯電防止層は、例えば、樹脂基材と、白色層との間、白色層とインク受容層の間に配置してもよい。
図1に示すとおり、樹脂基材11のインク受容層21が設けられた一方の表面とは反対側である他方の表面に、帯電防止層31を有する電飾用インクジェット記録材料であることが、特にインクジェット印刷及び施工時の塵埃付着防止に効果があるので好ましい。
[金属酸化物]
帯電防止層は、金属酸化物を含む層であることが好まししい。
金属酸化物としては、錫、亜鉛、チタン、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、バリウム、モリブデン等の金属の酸化物が含まれる。具体的には、SnO、ZnO、TiO、Al、In、MgO、BaO、MoO等の金属酸化物、二種以上の金属を含んで構成される金属複合酸化物が含まれる。更に、金属酸化物又は金属複合酸化物に異種原子を含有させた異種金属複合金属酸化物であってもよい。
金属酸化物としては、SnO、ZnO、TiO、Al、In又はMgOが好ましく、SnOが特に好ましい。SnOとしては、アンチモンがドープされたSnOが好ましく、特にアンチモンが0.2モル%以上2.0モル%以下の範囲でドープされたSnOが好ましい。
金属酸化物は、粒子形状を呈している。形状については特に制限はなく、球状、立方体状、八面体状、針状、紡錘状等の形状が含まれる。金属酸化物の平均一次粒子径は、0.4μm以上3.0μm以下が好ましい。金属酸化物の平均一次粒子径を上記の範囲とすることで、インクジェット記録時に誤作動を生じることが少なく、かつ塵埃の付着の少ない画像が得られる電飾用インクジェット記録材料が容易に得られる。
本開示において、金属酸化物の平均一次粒子径は、粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、得られた写真から50個の粒子の投影面積円相当径を求めて算出した平均一次粒子径の値である。
帯電防止層に含まれる金属酸化物の量は、帯電防止層の総固形分質量に対して10質量%以上80質量%以下が適当である。上記の範囲とすることで、本開示によるインクジェット記録時に誤作動を生じることが少なく、かつ塵埃の付着の少ない画像が得られる電飾用インクジェット記録材料を容易に得ることができる。帯電防止層31に含まれる金属酸化物の量の下限については、帯電防止層31の総固形分質量に対して30質量%以上であることが更に好ましい。帯電防止層31に含まれる金属酸化物の量の上限については、帯電防止層31の総固形分質量に対して60質量%以下であることが更に好ましい。
[帯電防止層に含まれる樹脂]
帯電防止層31に含まれる樹脂は、金属酸化物を均一に分散させ、かつ樹脂基材の他方の表面に固着させるバインダーとしての機能を有する。帯電防止層31に含まれる樹脂としては、非水溶性、水溶性、及び水分散性のいずれの樹脂でもよいが、環境への負荷が少ない点で水溶性又は水分散性の樹脂が好ましい。
帯電防止層31に含まれる樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びアクリル樹脂としては、既述の白色層に含まれる樹脂として記載した樹脂が、帯電防止層31に含まれる樹脂として使用でき、好ましい樹脂も同様である。
帯電防止層31は、上記以外の他の樹脂を含んでいてもよい。
他の樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。
帯電防止層31に含まれる樹脂の量は、帯電防止層31の総固形分質量に対して30質量%以上80質量%以下が適当である。上記の範囲とすることで、インクジェット記録時に誤作動を生じることが少なく、かつ塵埃の付着の少ない画像が得られる電飾用インクジェット記録材料を容易に得ることができる。帯電防止層31に含まれる樹脂の量の下限については、帯電防止層31の総固形分質量に対して40質量%以上であることが更に好ましい。帯電防止層31に含まれる樹脂の量の上限については、帯電防止層31の総固形分質量に対して60質量%以下であることが更に好ましい。
帯電防止層31は、金属酸化物及び樹脂以外に、例えば界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤としては、公知のアニオン性、ノニオン性、カチオン性、フッ素系、シリコーン系の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤については、例えば、「界面活性剤便覧」(西一郎、今井怡知一郎、笠井正蔵編、産業図書株式会社、1960年発行)に記載されている。
帯電防止層31には、アニオン性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤が含まれていることが好ましい。
アニオン性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤については、白色層に関する説明において記載した化合物が適用でき、好ましい化合物も同様である。
帯電防止層31に界面活性剤を含有させる場合の界面活性剤の量は、帯電防止層31の総固形分質量に対して、0.5質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3.0質量%以下がより好ましい。
帯電防止層31の厚みは、0.05μm以上5.0μm以下の範囲であることが、本開示によるインクジェット記録時に誤作動を生じることが少なく、かつ塵埃の付着の少ない画像が得られる電飾用インクジェット記録材料を容易に得ることができるので、好ましい。帯電防止層31の厚みの下限は、0.07μm以上であることが更に好ましい。帯電防止層31の厚みの上限は、3.0μm以下であることが更に好ましい。
本開示に係る電飾用インクジェット記録材料の帯電防止層を有する側の表面は、温度23℃及び相対湿度30%での表面抵抗率が、1.0×1012Ω/sq以下であることが好ましい。上記の範囲の表面抵抗率を有することにより、インクジェット記録時に誤作動を生じることが少なく、かつ塵埃の付着の少ない画像が得られる電飾用インクジェット記録材料を容易に得ることができる。本開示に係る電飾用インクジェット記録材料の帯電防止層を有する側の表面抵抗率は、1.0×1011Ω/sq以下であることが更に好ましい。
表面抵抗率は、帯電防止層31に含有させる金属酸化物の種類及び含有量により、調節することができる。
なお、「電飾用インクジェット記録材料の帯電防止層を有する側の表面」とは、樹脂基材に対して帯電防止層を有する側の最外層の表面を意味する。例えば、樹脂基材の他方の表面に、順に帯電防止層及び後述のハードコート層を有する場合には、ハードコート層の表面を意味する。
本発明において、表面抵抗率は、JIS−K−6911−1995に準拠して測定された値を意味する。
<ハードコート層>
既述の帯電防止層を、図1に示すとおり樹脂基材11の他方の表面に配置する場合には、帯電防止層31を保護するためのハードコート層33を、他方の表面の最外層として設けることが好ましい。ハードコート層33を帯電防止層31の表面を覆って設けることにより、帯電防止層が物理的に損傷されることが低減される。
ハードコート層33は、粒子及び樹脂を含んで構成されることが好ましい。
ハードコート層33は、更に、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、既述の白色層に関する説明において記載した化合物が適用できる。
[粒子]
ハードコート層に含まれる粒子は、無機粒子及び樹脂粒子から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
無機粒子としては、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、及びカオリナイトが挙げられる。
樹脂粒子としては、架橋された樹脂粒子が好ましく、例えば架橋されたアクリル樹脂粒子、架橋されたメタクリル樹脂粒子、架橋されたポリスチレン樹脂粒子等が挙げられる。
架橋された樹脂粒子は、いわゆるラテックスと呼称される樹脂粒子の水性分散物における樹脂粒子であってもよい。
ハードコート層に含まれる粒子の含有量は、ハードコート層の固形分総質量に対して、20質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下の範囲が更に好ましい。
ハードコート層に含まれる粒子の平均一次粒子径は、ハードコート層の厚みよりも大きいことが好ましい。ハードコート層に含まれる粒子の平均一次粒子径は、0.4μm以上3.0μm以下範囲であることが好ましい。
ここで、平均一次粒子径は、粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、得られた写真から50個の粒子の投影面積円相当径を求めて算出した値である。
[樹脂]
ハードコート層に含まれる樹脂は、ハードコート層に含まれる粒子に対するバインダーとして機能し、かつハードコート層が帯電防止層に接着する機能を果たす樹脂が好ましい。例えば、既述のインク受容層の樹脂、帯電防止層に含まれる樹脂、白色層の樹脂等を、ハードコート層に含まれる樹脂として使用することができる。ハードコート層に含まれる樹脂は、少なくとも一部が架橋剤によって架橋された構造を含んでいてもよい。
ハードコート層に含まれる樹脂としては、鉛筆硬度でF以上の硬度を有するハードコート層を形成することができ、帯電防止層を保護する効果に優れるという点から、ケイ素含有樹脂が好ましい。
[ケイ素含有樹脂]
ケイ素含有樹脂としては、シリコン原子と酸素原子とが交互に結合している三次元構造を含む構造を有する樹脂が好ましく、アルコキシシラン(シランカップリング剤とも呼ばれる。)を加水分解及び縮合して得られる樹脂であることが好ましい。
アルコキシシランは、4個のアルコキシ基を有する4官能アルコキシシランと、2個又は3個のアルコキシ基を有する2官能アルコキシシラン又は3官能アルコキシシランとを組合せた混合物とし、混合物を加水分解及び縮合して得られる樹脂が特に好ましい。2官能アルコキシシラン、3官能アルコキシシラン、及び4官能アルコキシシランを組合せた混合物であってもよい。
混合物における4官能アルコキシシランと、2官能アルコキシシラン及び3官能アルコキシシランから選ばれる少なくとも1種のアルコキシシランとの混合比は、前者(4官能アルコキシシラン):後者(2官能アルコキシシラン及び3官能アルコキシシランから選ばれる少なくとも1種のアルコキシシラン)のモル比で、25:75以上85:15以下の範囲が好ましく、30:70以上70:30以下の範囲がより好ましい。
4官能アルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシラン、メトキシトリエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等を挙げることができる。中でもテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが好ましい。
3官能アルコキシシランは、エポキシ基を有することが好ましく、具体例としては、例えばグリシジルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
2官能アルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
[触媒]
アルコキシシランを加水分解及び縮合させる際には、触媒を含有させておくことが好ましい。
触媒としては、酸性化合物(以下、「酸性触媒」ともいう。)、又は塩基性化合物(以下、「塩基性触媒」ともいう。)が含まれる。触媒は、水又はアルコールなどの溶媒に溶解させて使用してもよい。
酸性化合物、又は塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸性化合物、又は塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。ここで、触媒を構成する酸性化合物或いは塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高過ぎる塩基性触媒を用いると、沈殿物が生成して導電性層に欠陥となって現れる場合があるので、塩基性触媒を用いる場合の濃度は水溶液での濃度換算で1規定以下であることが望ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には、導電性層中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、RCOOHで示される構造式のRを他元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
触媒は、アルコキシシランを加水分解及び縮合させる反応液の不揮発性成分に対して、好ましくは0質量%以上50質量%以下、更に好ましくは5質量%以上25質量%以下の範囲で使用される。触媒は、単独で用いても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
このほかに、アルコキシシランを加水分解及び縮合させる反応液にはアルミニウムキレート化合物のような金属キレート化合物などの硬化剤や、界面活性剤などを含有してもよい。界面活性剤としては、帯電防止層に関する説明においての記載と同様に、公知のアニオン性、ノニオン性、カチオン性、フッ素系、シリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
[溶剤]
アルコキシシランを加水分解及び縮合させる反応液には、有機溶剤を含有させてもよい。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
有機溶剤を含有させる場合、VOC(揮発性有機溶剤)の関連から問題が起こらない範囲での添加が有効であり、ゾルゲル塗布液の総質量に対して50質量%以下の範囲が好ましく、更に30質量%以下の範囲がより好ましい。
アルコキシシランを加水分解及び縮合させる反応液と、既述の粒子とを混合し、混合液を帯電防止層の表面に塗布し、加熱及び乾燥を行うことにより、帯電防止層上の塗膜中でアルコキシシランの加水分解及び縮合の反応が起こり、ハードコート層が形成される。
加熱の温度は、30℃以上200℃以下の範囲が適しており、50℃以上180℃以下の範囲がより好ましい。加熱、乾燥時間は10秒間以上300分間以下が好ましく、1分間以上120分間以下がより好ましい。
ハードコート層の厚みは、0.4μm以上3.0μm以下の範囲であることが好ましく、0.7μm以上2.0μm以下の範囲がより好ましく、0.8μm以上1.8μm以下の範囲が特に好ましい。
<<電飾用インクジェット記録材料の製造方法>>
本開示に係る電飾用インクジェット記録材料の製造方法は、樹脂基材の一方の表面に、白色粒子及び樹脂を含み、樹脂の総質量に対してアクリル樹脂を30質量%以上含有する白色層形成用塗布液を塗布して白色層を形成する工程、及び
白色層の表面に、樹脂を含むインク受容層形成用塗布液を塗布してインク受容層を形成する工程、を有する。
白色層形成用塗布液は、白色粒子、樹脂及び塗布溶媒を含有し、塗布溶媒としては、有機溶剤もしくは水、又は、水及び有機溶剤が使用される。また、インク受容層形成用塗布液は、樹脂及び塗布溶剤を含有し、塗布溶媒としては、有機溶剤もしくは水、又は、水及び有機溶剤が使用されることが好ましい。
白色層形成用塗布液及びインク受容層形成用塗布液は、不純物が混入すると、ハジキ(Cissing)が発生し面状故障となる場合がある。面状故障は、電飾用インクジェット記録材料の生産得率が大きく低下してしまう原因となる。
ここで、上記の「ハジキ」とは、塗布後から乾燥過程にかけて塗布溶液中、気液界面、もしくは被塗布物と塗布溶液界面との間に低い表面張力を有する部位(汚染部位)が存在すると、そこを中心に塗布溶液がはじかれて発生するくぼみを指す。
ハジキの原因となる不純物には、例えば、不溶性のゴミ、使用する原料(例えば、白色粒子、樹脂等)由来の微量の金属原子含有成分、シリコーン含有成分などが含まれ、特にシリコーン含有成分は、ハジキの原因となりやすい。
そこで、面状故障を抑制するために、ハジキの原因となりやすい不純物を塗布液から除去することが好ましい。
例えば、白色層形成用塗布液を調製する工程及びインク受容層形成用塗布液を調製する工程(以下、「塗布液調製過程」ともいう。)の少なくとも一方は、不純物を除去するために、一般的な方法で白色層形成用塗布液又はインク受容層形成用塗布液を精製する工程を含むことが好ましい。
塗布液調製過程に含まれる精製する工程としては、塗布液の調製の最後の工程(即ち、調液された塗布液を精製する工程)で塗布液を精製する工程、塗布液を調製するために予め調製された予備調製溶液及び/又は分散液を精製する工程が含まれる。
具体的には、下記の1〜4が含まれる。
1. 白色層形成用塗布液を精製する工程。
2. 白色層形成用塗布液を調製するために予め調製された予備調製溶液及び/又は分散液を精製する工程。具体的な例には、白色層形成用塗布液に含有させる白色粒子を溶剤(ここで、溶剤には、有機溶剤及び/又は水が含まれる。以下同様。)に予め分散した、予備調製白色粒子分散液を精製する工程、白色層形成用塗布液に含有させる樹脂を溶剤に予め溶解又は分散した溶液を予め調製した予備調製樹脂溶液又は予備調製樹脂分散液を精製する工程、などが挙げられる。
3. インク受容層形成用塗布液を精製する工程。
4. インク受容層形成用塗布液を調製するために予め調製された予備調製溶液及び分散液の少なくとも一つを精製する工程。具体的な例には、例えば、インク受容層形成用塗布液に含有させる樹脂を溶剤に予め溶解又は分散した溶液を予め調製した予備調製樹脂溶液又は予備調製樹脂分散液を精製する工程、などが挙げられる。
精製する具体的方法としては、例えば、フィルター等を通過させるろ過工程、洗浄工程、再沈工程などが挙げられ、これらの工程は、2つ以上を組み合わせて実施してもよい。精製方法として特に好ましくは、フィルター等を通過させるろ過工程が挙げられる。
フィルター等を通過されるろ過工程の具体的な方法は、特に限定されないが、ポリプロピレン、ガラスファイバー、テフロン(登録商標)等からなるデプスフィルターやスクリーンフィルターに、既述の塗布液、予め調製された溶液及び/又は分散液を1回以上、より好ましくは1回以上5回以下、特に好ましくは1回以上3回以下通し、不純物を除去する方法が例示できる。
不純物の有無の検出方法は、核磁気共鳴分光法(NMR)、X線光電子分光法(ESCA)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)等の測定手段を例示することができる。
本発明の好ましい態様に係る、図1に示される電飾用インクジェット記録材料1は、樹脂基材11の一方の面に、白色層23及びインク受容層21を形成し、他方の表面に帯電防止層31及びハードコート層33を形成することにより製造される。
樹脂基材11の一方の面に配置される白色層23及びインク受容層21は、逐次塗布あるいは同時重層塗布し、乾燥させて、形成することができる。同様に、樹脂基材の他方の表面に配置される帯電防止層31及びハードコート層33は、逐次塗布あるいは同時重層塗布し、乾燥させて、形成することができる。必要に応じて、更に他の工程が設けられてもよい。
塗布は、例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リバースコーター等により行なうことができる。
インク受容層21の形成に用いられる塗布液の塗布量としては、5g/m以上20g/m以下が好ましく、7g/m以上10g/m以下がより好ましい。
また、白色層23の形成に用いられる塗布液の塗布量としては、5g/m以上20g/m以下が好ましく、7g/m以上10g/m以下がより好ましい。
<<電飾用画像の形成方法>>
本開示に係る電飾用画像の形成方法は、本開示に係る電飾用インクジェット記録材料のインク受容層の表面に、放射線硬化性インク組成物をインクジェット方式により吐出するインク吐出工程と、吐出されたインク受容層上の放射線硬化性インク組成物に放射線を照射して、放射線硬化性インク組成物を硬化させる硬化工程と、を含む。
本開示で使用する放射線硬化性インク組成物としては、公知の放射線硬化性インク組成物が使用できる。有機溶剤としての揮発性有機化合物(VOC)を含まない、液状の重合性化合物を溶剤として兼ねる、いわゆる無溶剤型放射線硬化性インク組成物であることが特に好ましい。
放射線としては、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。したがって、本開示では、紫外線硬化性インク組成物が好ましい。
放射線硬化性インク組成物としては、例えば、特開2010−47015号公報、特開平5−214280号公報などの記載を参酌することができる。
無溶剤型放射線硬化性インク組成物としては、例えば、特開2004−131725公報、特開2009−299057公報などの記載を参酌することができる。
本開示に係る電飾用画像の形成方法は、上記工程を含むことにより、インクジェット記録材料上において硬化したインク組成物による電飾用画像として形成される。
本開示で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、ピエゾ型のインクジェットヘッド、インクを貯留する貯留タンク、貯留タンクからインクジェットヘッドに供給する供給配管、直前のインク供給タンク、及びフィルター等を有する。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1pl(ピコリットル)以上100pl以下、より好ましくは8pl以上30pl以下のマルチサイズドットを、好ましくは320×320dpi(dot per inch)以上4,000×4,000dpi以下、より好ましくは400×400dpi以上1,600×1,600dpi以下、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、1インチ(2.54cm)当たりのドット数を表す。
放射線硬化性インクのようなインクは、吐出されるインクを一定温度にすることが望ましいことから、インクジェット記録装置には、インク温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクを貯留するタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からインクジェットヘッドの吐出口などである。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。
温度を制御する方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断又は断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行い、かつ、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
インクの吐出はインクを好ましくは25℃以上80℃以下、より好ましくは25℃以上50℃以下に加熱して、インクの粘度を、好ましくは3mPa・s以上15mPa・s以下の範囲、より好ましくは3mPa・s以上13mPa・s以下の範囲に下げた後に行うことが好ましい。特に、本開示では、インクとして、25℃におけるインク粘度が50mPa・s以下であることが、良好に吐出が行えるので好ましい。ここで、粘度は一般的な粘度計を用いて測定可能であり、例えば振動式粘度計(BROOKFIELD社製、DV−II+VISCOMETER)及びコーンプレート(φ35mm)を用い、温度25℃、相対湿度50%の環境下で測定された値である。
放射線硬化性インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本開示において、インクの温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
次に、電飾用インクジェット記録材料上に吐出されたインクに放射線を照射して、インクを硬化する硬化工程について説明する。
電飾用インクジェット記録材料上に吐出されたインクは、放射線を照射することによって硬化し、硬化画像が得られる。
インクに放射線が照射されると、インクに含まれるラジカル重合開始剤が放射線の照射により分解して、ラジカルを発生し、発生したラジカルによってラジカル重合性化合物の重合反応が、生起、促進される。ラジカル重合開始剤と増感剤とが存在すると、インク中の増感剤が放射線を吸収して励起状態となり、ラジカル重合開始剤と接触することによってラジカル重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される放射線のピーク波長は、増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200nm以上600nm以下であることが好ましく、300nm以上450nm以下であることがより好ましく、350nm以上420nm以下であることがさらに好ましい。
また、インクは、低出力の放射線であっても十分な感度を有する。したがって、露光面照度が、好ましくは10mW/cm以上4,000mW/cm以下、より好ましくは20mW/cm以上2,500mW/cm以下で硬化させることが適当である。
放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化性インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光は産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザーダイオード(UV−LD)が好ましい。
特に、紫外線源を要する場合、UV−LED及びUV−LDを使用することができる。例えば、日亜化学株式会社は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。さらに一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他のUV−LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい放射線源はUV−LEDであり、特に好ましくは350nm以上420nm以下にピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの電飾用インクジェット記録材料上での最高照度は10mW/cm以上2,000mW/cm以下であることが好ましく、20mW/cm以上1,000mW/cm以下であることがより好ましく、50mW/cm以上800mW/cm以下であることが特に好ましい。
インクは、放射線に、好ましくは0.01秒間以上120秒間以下、より好ましくは0.1秒間以上90秒間以下照射されることが適当である。
放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(好ましくは0.01秒間以上0.5秒間以下、より好ましくは0.01秒間以上0.3秒間以下、さらに好ましくは0.01秒間以上0.15秒間以下)をおいて行われることになる。インク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、電飾用インクジェット記録材料に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。
さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へ紫外線(UV)光を照射する方法が開示されており、本開示の製造方法に適用することができる。
インクジェット方式を用いたインクジェット記録装置は、ワイドフォーマットインクジェットプリンターシステムを用いることが好ましく、ワイドフォーマットUVインクジェットプリンターシステムを用いることが好ましい。ワイドフォーマットインクジェットプリンターシステムとは、インクジェット記録装置からインクを吐出したとほぼ同時に放射線を照射させて、吐出されたインクを硬化させるシステムであり、短時間で大型の印刷物を作製することが可能となる。ワイドフォーマットプリンターは、一般的には24インチ(61cm)幅以上の印字が可能なプリンターとして定義されている。
44インチ(111.7cm)以上64インチ(162.5cm)以下の幅のプリンターが主流であるが、最大で197インチ(500cm)幅まで印字できるプリンターもある。
ワイドフォーマットUVインクジェットプリンターシステムとしては、LuxelJet(登録商標) UV360GTW/XTW及びUV550GTW/XTWシリーズ、AcuityLED(登録商標) 1600(いずれも富士フイルム株式会社製)、inca SP320/SP320e/SP320S/SP320W(Inca Digital Printers Limited製)などを用いることができる。
電飾用画像の形成方法には、インクを含むインクセットを好適に使用することができる。例えば、イエロー色のインクに、シアン色のインク、マゼンタ色のインク、ブラック色の組成物を組み合わせてインクセットとして使用することが例示できる。インクを使用してフルカラー画像を得るためには、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックよりなる4色の濃色インクを組み合わせたインクセットであることが好ましい。また、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトよりなる5色の濃色インク群と、ライトシアン、ライトマゼンタのインク群と、を組み合わせたインクセットであることがさらに好ましい。なお、「濃色インク」とは、顔料の含有量がインク全体の1質量%を超えているインクを意味する。
本開示に係る電飾用画像の形成方法にてカラー画像を得るためには、各色のインク(インクセット)を用い、明度の低いインクから明度の高いインクへと順に重ねていくことが好ましい。具体的には、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのインクからなるインクセットを使用する場合には、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの順で本開示に係る電飾用インクジェット記録材料上に付与することが好ましい。さらに、ライトシアン、ライトマゼンタ色のインク組成物群と、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイト、イエローの濃色インク群と、の計7色が少なくとも含まれるインクセットを使用する場合には、ホワイト、ライトシアン、ライトマゼンタ、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの順で本開示に係る電飾用インクジェット記録材料上に付与することが好ましい。
上記のとおり、明度の低いインクから明度の高いインクへと順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
<<電飾用画像及び電飾看板>>
本開示に係る電飾用画像は、本開示による電飾用画像の形成方法により形成される。
本開示に係る電飾用画像は、白色粒子による白色の地色を有しているので、日差しのある日中においては、反射画像として視覚的に観察することが可能である。
本開示による電飾用画像は、バックライト用の光源を備える電飾用フレームに設置することにより、電飾看板とすることができる。
電飾看板は、バックライト光源と、電飾用画像とを有し、電飾用画像として、本開示に係る画像形成方法により形成された画像が設置される。
電飾用画像は、透明性、耐候の優れた2種類のアクリル樹脂板などの間に配置されることが好ましい。
バックライト光源は、特に限定されず、例えば電球、蛍光灯、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセンスパネル(ELP)、1本又は複数の冷陰極管(CCFL)、熱陰極蛍光灯(HCFL)等いずれも用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されない。
以下の記載において、「部」及び「%」は、他の指定がない限り、「質量部」及び「質量%」を意味する。
<実施例1>
[樹脂基材の作製]
アンチモン化合物を触媒として重縮合したポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を含水率50ppm以下になるまで乾燥させた。乾燥したPET樹脂を、ヒータ温度が280℃〜300℃に設定された押出機に供給して溶融混練した。溶融混練したPET樹脂をダイ部より静電印加されたチルロール上に吐出し、非結晶PETシートを得た。次に、得られた非結晶PETシートを、シートの走行方向(MD;Machine Direction)に3.1倍に延伸後、幅方向(TD;Transverse Direction)に3.8倍延伸し、厚さ180μmのPET支持体(樹脂基材)を得た。
[白色層及びインク受容層の形成]
PET支持体の一方の面に、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った後、下記の塗布液Aをバーコート法により塗布した。PET支持体の一方の面に塗布された塗布液Aの塗膜を、145℃で1分間乾燥して、PET支持体の一方の面に、厚さ4μmの白色層を形成した。
PET支持体の一方の面に形成された白色層の表面に288J/mの条件でコロナ放電処理を行った後、下記の塗布液Bをバーコート法により塗布した。白色層の表面に塗布された塗布液Bの塗膜を、160℃で1分間乾燥して、白色層の上に厚さ0.4μmのインク受容層を形成した。
[塗布液A(白色層形成用塗布液)の調製]
(二酸化チタン分散液の調製)
下記の二酸化チタン分散液の組成の各成分を混合して得られた混合物を、ダイノミル型分散機により1時間、分散処理した。
(二酸化チタン分散液の組成)
・ 二酸化チタン(白色粒子:タイペーク(登録商標)CR−95、石原産業株式会社製、固形分100%、平均一次粒子径:0.3μm) ・・・456.0部
・ ポリビニルアルコール(PVA−105、株式会社クラレ製、固形分10%水溶液) ・・・233.0部
・ 界面活性剤(デモール(登録商標)EP、花王株式会社製、固形分25%水溶液) ・・・5.6部
・ 蒸留水 ・・・二酸化チタン分散液の総質量が1000部となる量
(塗布液Aの組成)
塗布液Aの組成は以下の通りである。
・ 上記で調製された二酸化チタン分散液 ・・・232.1部
・ ポリオレフィン樹脂(ユニチカ株式会社製アローベース(登録商標)SE−1013N、固形分20%水分散物) ・・・293.9部
・ アクリル樹脂(ダイセルファインケム株式会社製、AS−563A、固形分28%水分散物) ・・・90.8部
・ 架橋剤(オキサゾリン系化合物。日本触媒(株)製、エポクロス(登録商標)WS−700、固形分25%水溶液) ・・・84.9部
・ 触媒(日本化学工業(株)製、食添用第2リン酸アンモニウムの35%水溶液) ・・・6.6部
・ 平均一次粒子径が20nmのシリカ(日産化学工業株式会社製スノーテックス(登録商標)、固形分20%の水分散液) ・・・113.0部
・ 青色顔料の水分散物(フタロシアニンブルー(大日精化株式会社製EP−700 Blue GA、固形分濃度35%水分散液)をイオン交換水で1%に希釈した分散物) ・・・6.4部
・ 紫色顔料の水分散物(ジオキサン系紫色顔料(大日精化株式会社製TB1548、固形分濃度20%水分散液)をイオン交換水で1%に希釈した分散物) ・・・9.3部
・ 分散剤(固形分2%) ・・・3.8部
・ 蒸留水 ・・・塗布液Aの総質量が1000部となる量
[塗布液B(インク受容層形成用塗布液)の調製]
下記の塗布液Bの組成の各成分を混合して、塗布液Bを調製した。
塗布液Bの組成は次の通りである。
・ ポリエステル樹脂(互応化学株式会社製、プラスコート(登録商標)Z592 固形分25%の水分散物) ・・・165.1部
・ ポリウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製スーパーフレックス(登録商標)150HS 固形分38%水分散物) ・・・46.6部
・ 架橋剤(日本触媒(株)製、エポクロスK−2020E 固形分濃度20%) ・・・10.5部
・ アニオン性界面活性剤(日油株式会社製ラピゾール(登録商標)A−90の1%水溶液) ・・・16.91部
・ 滑り剤(中京油脂(株)製カルナバワックス分散物セロゾール524 固形分3%) ・・・23.2部
・ ノニオン性界面活性剤(三洋化成工業(株)製、ナロアクティー(登録商標)CL−95の1%水溶液) ・・・40.87部
・ 防腐剤(大東化学株式会社製、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン、固形分3.5%メタノール溶媒) ・・・1.0部
・ 蒸留水 ・・・塗布液Bの総質量が1000部となる量
[帯電防止層の形成]
PET支持体の他方の表面(PET支持体の、白色層及びインク受容層が形成された面とは反対側の面)に、310J/mの条件でコロナ放電処理を行った後、下記の帯電防止層用塗布液をバーコート法により塗布した。帯電防止層用塗布液の塗布量は、8.4cm/mとした。PET支持体の他方の表面に塗布された帯電防止層用塗布液の塗膜を、145℃で1分間乾燥し、平均膜厚が約0.1μmの金属酸化物を含む層を形成した。
(帯電防止層用塗布液)
帯電防止層用塗布液の組成は以下の通りである。
・ 自己架橋型ポリウレタン樹脂(三井化学株式会社製、タケラック(登録商標)WS−5100、固形分30%) ・・・31.5部
・ アンチモンがドープされた二酸化スズ(針状形状)の水分散物(石原産業株式会社製、FS−10D、固形分20%) ・・・43.7部
・ 界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、サンデッド(登録商標)BLの10%水溶液、アニオン性) ・・・2.1部
・ 界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、ナロアクティー(登録商標)CL−95の1%水溶液、ノニオン性) ・・・21.0部
・ 蒸留水 ・・・帯電防止層用塗布液の総質量が1000部となる量
[ハードコート層の形成]
PET支持体の他方の表面に形成した帯電防止層に、200J/mの条件でコロナ放電処理を行った後、下記のハードコート層形成用塗布液をバーコート法により塗布した。ハードコート層用塗布液の塗布量を、13.8cm/mとした。PET支持体の他方の表面に塗布された帯電防止層の表面に塗布されたハードコート層形成用塗布液の塗膜を、145℃で1分間乾燥し、平均膜厚約0.85μmのハードコート層を形成し、実施例1に係る電飾用インクジェット記録材料1を作製した。
(ハードコート層形成用塗布液の調製)
ハードコート層形成用塗布液の調製には、以下の成分を使用した。
・ 酢酸水溶液(ダイセル化学工業株式会社製、工業用酢酸の1%水溶液) ・・・402.0部
・ 3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−403) ・・・110.0部
・ テトラエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE−04)・・127.6部
・ 硬化剤(川崎ファインケミカル株式会社製、アルミキレートA(W)) ・・・1.3部
・ 界面活性剤A(三洋化成工業株式会社製、サンデッド(登録商標)BLの10%水溶液、アニオン性) ・・・14.7部
・ 界面活性剤B(三洋化成工業株式会社、ナロアクティー(登録商標)CL−95の1%水溶液、ノニオン性) ・・・40.9部
・ アクリル樹脂粒子(綜研化学社製、MX−150 平均一次粒子径1.5μm) ・・・9.2部
・ アクリル樹脂粒子(綜研化学社製、MX−80H3WT 平均一次粒子径0.8μm) ・・・9.2部
・ ポリスチレン樹脂粒子の水分散物(日本ゼオン株式会社製Nipol(登録商標) UFN1008 固形分20% 平均一次粒子径1.9μm) ・・・6.9部
・ 蒸留水 ・・・ハードコート層用塗布液の総質量が1000部となる量
上記の成分を使用して、ハードコート層形成用塗布液を以下の方法で調製した。
25℃の恒温槽内で酢酸水溶液を激しく攪拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを3分間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続けたのち、30℃の恒温槽にて引き続き、テトラエトキシシランを、酢酸水溶液中に強く攪拌しながら5分間かけて添加し、添加終了後、2時間攪拌を続けた。さらに1時間かけて10℃へ冷却を行った。得られた水溶液を水溶液Xとする。
別に、硬化剤、界面活性剤A及びB、蒸留水、及び三種類の樹脂粒子を混合し、混合液を5分間超音波分散した。得られた樹脂粒子分散液を水溶液Yとする。
水溶液Xに、水溶液Y、及び蒸留水を順次添加したのち、10℃へ冷却して、ハードコート層形成用塗布液とした。
<実施例2〜10、及び比較例1〜2>
実施例1において、各成分の含有割合を表1に記載の含有割合に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜10、及び比較例1〜2に係る電飾用インクジェット記録材料2〜10、及びC1〜C2を作製した。表1において、インク受容層及び白色層に含まれる各々二種類の樹脂の量は、二種類の樹脂の質量比を表す。二種類の樹脂の合計量は、実施例1の場合と同じとした。
<実施例11、及び実施例12>
実施例3及び実施例1において、白色層形成用塗布液の調製に用いる「青色顔料の水分散物」及び「紫色顔料の水分散物」をそれぞれ下記の「青色顔料フィルターろ過物」6.4部及び「紫色顔料フィルターろ過物」9.3部に変更した以外は実施例3及び実施例1と同様にして、それぞれ実施例11及び実施例12に係る電飾用インクジェット記録材料11及び12を作製した。
表1において、インク受容層及び白色層に含まれる各々二種類の樹脂の量は、二種類の樹脂の質量比を表す。二種類の樹脂の合計量は、実施例11は実施例3と同じであり、実施例12は実施例1と同じである。
[青色顔料フィルターろ過物の調製]
青色顔料(フタロシアニンブルー(大日精化株式会社製EP−700 Blue GA、固形分濃度35%水分散液)をイオン交換水で希釈して1%濃度の水分散溶液とした。得られた1%濃度の水分散溶液を日本ポール(株)製デプスフィルター(1μm、プロファイルII)に、流量が1L/minの条件で2回通してフィルターろ過を行い、目的とする青色顔料フィルターろ過物を得た。青色顔料フィルターろ過物中に、シリコーン化合物が存在するか、ESCAで測定したところ、シリコーン化合物は存在しないことが確認された。
[紫色顔料フィルターろ過物の調製]
紫色顔料(ジオキサン系紫色顔料(大日精化株式会社製TB1548、固形分濃度20%水分散液)をイオン交換水で希釈して1%濃度の水分散溶液とした。得られた1%濃度の水分散溶液を日本ポール(株)製デプスフィルター(1μm、プロファイルII)に、流量が1L/minの条件で2回通してフィルターろ過を行い、目的とする紫色顔料フィルターろ過物を得た。紫色顔料フィルターろ過物中に、シリコーン化合物が存在するか、ESCAで測定したところ、シリコーン化合物は存在しないことが確認された。
<電飾画像の作製>
実施例1〜12に係る電飾用インクジェット記録材料1〜12、及び、比較例1〜2に係る電飾用インクジェット記録材料C1〜C2を用いて、各電飾用インクジェット記録材料のインク受容層の表面に、下記の条件でインクジェット方式でカラー画像を印刷して、電飾用画像を作製した。
インクとして、無溶剤型放射線硬化性インク(FUJIFILM Speciality Ink System Limited 製、製品番号UVIJET KO 021 White、UVIJET KO 004 Black、UVIJET KO 215 Cyan 、UVIJET KO 867 Magenta、UVIJET KO052 Yellow)を用いた。
印刷機として、「ワイドフォーマットUVインクジェットプレスLuxelJet(登録商標) UV550GTW、富士フイルム株式会社製」を使用し、(波長:365nm〜405nm、印画スピード22m/hr)でカラー画像を2回印刷することで、約2m×1.5mサイズの電飾用画像を得た。
作製された各電飾用画像について、下記の方法で耐傷性及び面状を評価した。
[耐傷性の評価方法]
♯0番のスチールウールを、白色層側から750gの加重を掛けて20往復させ、白色層の磨耗状態を観察した。
耐傷性の評価は、下記の基準でランク付けした。結果を表1に示す。
1点:擦った部分で、透明基材が露出する状態である。
2点:擦った部分で、白色層が削れているが、透明基材は見えない状態である。
3点:擦った後が認識できるが、白色層は僅かに削れている状態である。
4点:擦った後が認識できるが、白色層はほとんど削られていない状態である。
5点:擦った後が全く見えない状態である。
作製した電飾用インクジェット記録材料11、及び12の面状について、インク受容層の面積1m当たりのハジキの個数に基いて、下記の基準でランク付けした。
[面状の評価方法]
A:ハジキの個数が20個/5000m未満である。
B:ハジキの個数が20個/5000m以上である。
なお、参考までに、電飾用インクジェット記録材料1、3、C1、及びC2の面状についても、ランク付した。
結果を表1に記載する。なお、面状の欄の「−」は、面状の評価を省略したことを意味する。
表1から、以下のことが分かる。
白色層に含まれる樹脂として、アクリル樹脂を30質量%以上含む場合には、耐傷性に優れる電飾用画像が得られる。特にアクリル樹脂を50質量%以上含む場合には、電飾用画像の耐傷性が一段と優れることが分かる。他方、インク受容層に含まれる樹脂であるポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂との含有比率を変えても、電飾用画像の耐傷性に変化はない。
白色層に平均一次粒子径が200nm以下のシリカを含有する場合には、電飾用画像の耐傷性が更に一段と優れる。
更に、実施例11及び12の電飾用インクジェット記録材料11及び12は、実施例1及び3の電飾用インクジェット記録材料1及び3に比べて、面状が優れている。
2014年12月25日に出願された日本国特許出願2014−262743号及び2015年3月24日に出願された日本国特許出願2015−061232号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (16)

  1. 樹脂基材の一方の表面に、前記樹脂基材に近い側から順に、
    白色粒子及び樹脂を含み、前記樹脂の総質量に対してアクリル樹脂を30質量%以上含有する白色層と、
    樹脂を含むインク受容層と、
    を有し、
    前記白色層に含まれる樹脂の少なくとも一部が、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、及びメラミン化合物から選ばれる少なくとも1つの架橋剤で架橋された架橋構造を有する
    電飾用インクジェット記録材料。
  2. 前記白色層が、前記白色層に含まれる樹脂の総質量に対して50質量%以上90質量%以下のアクリル樹脂を含む請求項1に記載の電飾用インクジェット記録材料。
  3. 前記白色粒子が、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、及びカオリナイトから選ばれる少なくとも1つを含む請求項1又は請求項2に記載の電飾用インクジェット記録材料。
  4. 前記白色層が、平均一次粒子径200nm以下のシリカを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電飾用インクジェット記録材料。
  5. 前記白色層が、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1つを含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電飾用インクジェット記録材料。
  6. 前記白色層が、前記白色粒子を1.0g/m以上10.0g/m以下の範囲で含有する請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の電飾用インクジェット記録材料。
  7. 前記白色層が、更に前記白色粒子以外の着色剤を含有する請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の電飾用インクジェット記録材料。
  8. 前記白色層の厚みが、0.5μm以上10μm以下である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の電飾用インクジェット記録材料。
  9. 前記インク受容層の厚みが、0.01μm以上5μm以下である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の電飾用インクジェット記録材料。
  10. 前記樹脂基材の前記インク受容層を有する側とは反対側の表面に、前記樹脂基材に近い側から順に、帯電防止層、及びハードコート層を有する請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の電飾用インクジェット記録材料。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電飾用インクジェット記録材料の前記インク受容層上に、放射線硬化性インク組成物をインクジェット方式により吐出するインク吐出工程と、前記インク受容層上に吐出された前記放射線硬化性インク組成物に放射線を照射して、該放射線硬化性インク組成物を硬化させる硬化工程と、を含む電飾用画像の形成方法。
  12. 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電飾用インクジェット記録材料の前記インク受容層上に、放射線硬化性インク組成物のインクジェット記録画像の硬化物からなる画像を有する電飾用画像。
  13. 光源と、請求項12に記載の電飾用画像を有する電飾看板。
  14. 樹脂基材の一方の表面に、
    白色粒子及び樹脂を含み、前記樹脂の総質量に対してアクリル樹脂を30質量%以上含有する白色層形成用塗布液を塗布して白色層を形成する工程、及び
    前記白色層の表面に、樹脂を含むインク受容層形成用塗布液を塗布してインク受容層を形成する工程、
    を有する請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電飾用インクジェット記録材料の製造方法。
  15. 更に、前記白色層形成用塗布液を調製する工程、及び前記インク受容層形成用塗布液を調製する工程を有し、
    前記白色層形成用塗布液を調製する工程、及び前記インク受容層形成用塗布液を調製する工程の少なくとも一方がろ過工程を含む、請求項14に記載の電飾用インクジェット記録材料の製造方法。
  16. 前記ろ過工程が、前記白色層形成用塗布液をろ過する工程、前記白色層形成用塗布液を調製するために予め調製された予備調製溶液及び分散液の少なくとも一つをろ過する工程、前記インク受容層形成用塗布液をろ過する工程、並びに前記インク受容層形成用塗布液を調製するために予め調製された予備調製溶液及び分散液の少なくとも一つをろ過する工程から選ばれる少なくとも一つの工程である、請求項15に記載の電飾用インクジェット記録材料の製造方法。
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