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JP6238330B1 - Ct撮影用リファレンスマーカーおよび3次元断層撮影像作成方法 - Google Patents

Ct撮影用リファレンスマーカーおよび3次元断層撮影像作成方法 Download PDF

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JP6238330B1 JP2017124449A JP2017124449A JP6238330B1 JP 6238330 B1 JP6238330 B1 JP 6238330B1 JP 2017124449 A JP2017124449 A JP 2017124449A JP 2017124449 A JP2017124449 A JP 2017124449A JP 6238330 B1 JP6238330 B1 JP 6238330B1
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Abstract

【課題】シングルCTスキャン方式による3次元CT断層撮影像と口腔内または口腔模型スキャンにより得られた3次元口腔内表面形状像との精度の高い直接マッチング、3次元CT断層撮影像において正確な大きさの画像か得られる3次元CT断層撮影用リファレンスマーカー、滅菌が可能で再利用可能な3次元CT断層撮影用リファレンスマーカー、簡便に作製が可能なリファレンスマーカーを含むCTマッチングテンプレート、簡便なシングルCTスキャン方式によるマッチングシステム、アーチファクトの多い症例から無歯顎症例を含むすべての症例に使用でき、3次元CT断層撮影像と3次元口腔内表面性状像との精度の高い直接マッチングを提供する。【解決手段】ガラスセラミックス材料からなるリファレンスマーカーは、3次元CT断層撮影において膨張収縮がなく、正確な大きさの画像が得られ、3次元CT断層撮影と3次元口腔内表面形状像との正確なマッチングが行える。またこのリファレンスマーカーは、滅菌が可能で有り、再利用可能である。患者の口腔内にリファレンスマーカーを含むCTマッチングテンプレートが装着された患者の3次元CT断層撮影像かつリファレンスマーカーが配置された状態の3次元口腔内表面形状像より、リファレンスマーカーの3次元画像が取得される。このリファレンスマーカーを基準に、3次元CT断層撮影像と3次元口腔内表面形状像の正確な直接マッチングが可能になる。【選択図】図7

Description

本発明は、シングルCTスキャン方式でのCT撮影のための新たな素材によるリファレンスマーカーであり、そのリファレンスマーカーを使用し、3次元CT断層撮影像と口腔内または口腔模型スキャンにより得られた3次元口腔内表面形状像のマッチングを行う方法及びシステムである。
全ての症例に対して、口腔模型(サーファイス)スキャンデータとCTデータ(DICOM)のマッチングに基づくCAD/CAMサージカルガイドの使用は、精密なインプラント外科手術を行うために重要である。しかしながら今までのCAD/CAMサージカルガイドに於いては、模型スキャンデータとCTデータのマッチングに基づくCAD/CAMサージカルガイドの使用は、遊離端欠損やメタルアーチファクトが多い場合などは、1、メタルアーチファクトの影響や口腔内サーフェィスデータの不一致より、軟組織、硬組織における正確な診断ができない、2、口腔模型スキャンデータとCTデータのマッチング不良が起こり、サージカルガイドの位置ズレ、インプラント埋入位置ズレの危険性がある。これは、Tabea Flggeらの研究において同様の報告がある。(非特許文献1)
これらの解決のため、従来は、特許文献1〜6に開示されているように、位置合わせのためにCT撮影を2回行うダブルCTスキャニング方法と呼ばれる手法が考案された。
特許文献2〜6においての手法は、歯の模型を作製し、作製した歯の作業用模型を元にして、X線造影剤によるマーカーを含んだCT撮影用テンプレートを作製し、CT撮影時に患者にCT撮影用テンプレート装着する。そしてCT撮影用テンプレートのみを再度CT撮影を行う。その後、この2つの3次元画像データを重ね合わせるために、マーカーを基準として手動の位置合わせ、およびマッチングを行う。その後アーチファクトは手動による消去を行い、インプラントプラニングを行う。そのデータを基に3次元CT撮影像より直接、サージカルガイドを作製する。
特許文献1においての手法は、歯の模型を作製し、作製した歯の作業用模型を基にして、X線造影剤によるマーカーを含んだCT撮影用テンプレートを作製し、CT撮影時に患者の口腔内にCT撮影用テンプレートを装着する。そして、製作した患者の歯の模型にCT撮影用テンプレートを装着させ、再度CT撮影を行う。その後この2つのデータを重ね合わせるために、マーカーを基準に手動の位置合わせを行い、重ね合わせる。その後アーチファクトを取り除く。
特許文献2〜6において、有歯顎から無歯顎までの症例で行われるダブルCTスキャン手法の課題は、非特許文献2〜3に示すようにCT断層撮影から得られる3次元像には寸法誤差あるということである。つまりダブルCTスキャン方式においては、CT断層撮影を基にして、3次元CT断層撮影像より直接サージカルガイドを作製する為、CT誤差が含まれるサージカルテンプレートが作製されてしまう。このサージカルテンプレートを使用し、インプラント手術を行う場合、サージカルガイドの寸法精度が悪いため、インプラント埋入時に誤差を生じると言う問題点がある。また、ダブルCTスキャン方式のもう一つの問題点は、レジンで作製されたラジオグラフィックガイドにある。レジン収縮などにより変形が生じた場合、適合に問題があるラジオグラフィックガイドの形態がそのままCT断層撮影され、問題のある3次元CT断層撮影像よりサージカルガイドに転写されてしまう。そのため、口腔内適合性が悪くなり、サージカルガイドの位置ズレ、インプラント埋入位置ズレの危険性がある。
また特許文献2〜6においてのシングルCTスキャン方式による、3次元CT断層撮影像と3次元口腔内表面形状像とのマッチングは、一部の症例のみ可能となっているが、アーチファクトが有る症例や遊離端欠損症例においては、非特許文献1にあげる問題や課題が起こる。
この手法のマッチング不良の原因は、歯を基準にマッチングを行うためであり、マッチングが可能な歯の数や歯の位置によりマッチング不良がおこる。つまりこの手法では、無歯顎、多数歯欠損症例、遊離端欠損症例、アーチファクトの有る症例におけるマッチングは、不可能であったり大きな誤差を生む可能性が有る。そのため、アーチファクトが有る症例や遊離端欠損症例においては、非特許文献1にあげる問題や課題を解決することが求められる。
特許文献1においての手法の課題は、複雑な マーカー作製のため、時間と費用がかかり、しかも操作が複雑であり、臨床的な面からも凡庸性に欠ける面が指摘される。また特許文献1のマーカーは、X線造影剤としてバリュウム入りアクリル即時スキャニングレジンを使用している。これは、熱に弱く滅菌は、不可能であり、臨床的に問題がある。また特許文献1に記載されているように、実際の寸法に対するCT像の寸法の増加する割合は、4.41%もあり膨張していることが分かる。これにより3次元CT断層撮影像と実際のマーカーの形状データーとの直接マッチングには、大きな誤差が生まれる可能性が指摘され、マーカーとしては、不適切であることが伺える。
特許5283949号広報 特許5857108号広報 特開2015-051281号広報 特表2015-531640号広報 特表2015-535182号広報 特表2011-510685号広報
Tabea Flgge,Wiebe Derksen,Jobine te Poel,Bassam Hassan,Katja Nelson,Daniel Wismeijer,"Registration of cone beam computed tomography data and intraoral surface scans A prerequisite for guided implant surgery with CAD/CAM drilling guides.Clinical Oral Implants Research(20 July 2016) 顎骨描出における歯科用エックス線CTの精度―マイクロCTによる検証― 三矢 晶吾1), 内藤 宗孝1) 2), 勝又 明敏3), 大崎 千秋4), 有地 榮一郎1) 1) 愛知学院大学歯学部歯科放射線学講座 2) 愛知学院大学歯学部附属病院口腔インプラント外来 3) 朝日大学歯学部口腔病態医療学講座歯科放射線分野 4) 愛知学院大学歯学部附属病院技工部 日本口腔インプラント学会誌Vol. 16 (2003) No. 4 p. 485-492 内藤 宗孝1) 2), 勝又 明敏3), 野原 栄二1), 泉 雅浩1) 2), 大崎 千秋4), 有地 榮一郎1) 1) 愛知学院大学歯学部歯科放射線学講座 2) 愛知学院大学歯学部附属病院口腔インプラント外来 3) 朝日大学歯学部歯科放射線学分野 4) 愛知学院大学歯学部附属病院技工部 インプラント画像診断におけるマルチスライスヘリカルCTの有用性―ダブルオブリーク断面再構築画像について― 日本口腔インプラント学会誌 Vol. 18 (2005) No. 2 p. 280-284
先行特許文献及び非特許文献における技術の問題点、課題は、
1、マーカーのCT撮影時の膨張収縮の問題点、課題(先行特許文献1〜6)
2、ダブルCTスキャン方式にによる、誤差の問題点、課題
3、臨床的な煩雑さ、複雑さによって起こる誤差の問題点、課題
4、樹脂で出来たマーカーの滅菌の問題点、課題
5、マッチング精度の問題点、課題
6、マッチング部位を歯で行う場合、遊離端欠損症例、多数歯欠損は、残存歯の数が少ない、残存歯の位置(マッチング部位が少ない、マッチング部位の位置が近すぎる問題)などの原因により起こるマッチング精度悪化の問題、課題が挙げられる。
7、無歯顎症例における3次元断層撮影像と3次元口腔内表面形状STLデータの精度の高いマッチング方法の問題、課題
そこで、本発明は、3次元CT断層撮影を行った場合にも正確な大きさの画像が得られる3次元断層撮影用リファレンスマーカー、およびかかるリファレンスマーカー用いたCTマッチングテンプレートの作成方法、及びシングルCTスキャン方式における3次元断層撮影像と3次元口腔内表面形状像の精度の高いマッチング方法を提供することを目的とする。
また、無歯顎から有歯顎まですべての症例において、1回のCT撮影で、3次元顎骨CT断層撮影DICOMデータと3次元口腔内表面形状STLデータとの正確なマッチングが行える方法は現在存在しない。そのため、発明者らは、これらの問題の解決を行うために、下記の1〜5に記載された内容を見出した。
1、シンプルで実用性、凡庸性が高く、容易に作製できるマーカーを使用したCTマッチングテンプレート。
2、無歯顎、多数歯欠損、遊離端欠損、アーチファクトの多い症例などすべての症例に対応したシステム。
3、CT撮影が1回で完了するシングルCTスキャン方式で得られた3次元顎骨CT断層撮影DICOMデータと3次元口腔内表面形状STLデータのマッチングが直接行える高精度マッチング方法およびそのシステム。
4、使用するマーカーの材料として、実際の寸法に対するCT像の寸法の増加する割合は、0%であり、膨張収縮がない材料。
5、滅菌が可能である実用性の高いマーカー
本発明のリファレンスマーカーは、ガラスセラミックス素材からなるCT撮影用リファレンスマーカーである。このリファレンスマーカーは、患者の口腔内に装着された状態で3次元CT断層撮影データに再現でき、かつ3次元スキャナーによる3次元口腔内表面形状データに再現することができる。このリファレンスマーカーの位置を基準として、患者3次元CT断層撮影データと3次元口腔内表面形状データ(3次元スキャナー使用による)との高精度なマッチングが可能である。
また、本発明は、従来法の欠点を補い、シンプルで実用性、凡庸性が高く、滅菌による再利用可能な規格統一化されたリファレンスマーカーを使用したCTマッチングテンプレートにより、無歯顎、多数歯欠損、遊離端欠損、アーチファクトの多い症例などすべての症例に対応する。また、CT撮影が1回で完了するシングルCTスキャン方式でえられたDICOMデータとSTLデータマッチングが直接行える高精度マッチング方法およびそのシステムである。その工程(図11)は、
1、咬合床、およびマウスピース(以降ベーステンプレートと総称する)に固定されたリファレンスマーカーからなるCTマッチングテンプレートを準備する工程A1、
2、CTマッチングテンプレートを装着し、バイトを噛んだ状態で患者のCT断層撮影後、DICOMデータを取得する工程A2、
3、CTマッチングテンプレートを装着した患者の歯列模型および口腔内を3次元計測機にてその外形データを取得し、3次元口腔内表面形状像STLデータを取得とする工程A3、
4、CTマッチングテンプレートを装着し無い患者の歯列模型および口腔内3次元計測機にてその外形データを取得した3次元口腔内表面形状像STLデータを取得とする工程A3、
5、コンピュータシステムにおいて、患者CT断層撮影DICOMデータからマーカーを含む3次元CT断層撮影像を作成し、3次元口腔内表面形状像STLデータを取り込み、3次元CT断層撮影像中のマーカーと3次元口腔内表面形状像画像中のマーカーを、コンピュータ上で自動マッチングさせる工程A4、
6、CTマッチングテンプレート装着歯列模型と非装着歯列模型より取得した3次元口腔内表面形状像(口腔内直接外形スキャニングを含む)の2つの3次元画像を自動マッチングさせる工程6
アーチファクトの無い症例、無歯顎、多数歯欠損、遊離端欠損症例はこの工程6で作業が終了となり、インプラント治療計画、CADCAMサージカルガイドの作製を行う。
アーチファクトのある症例では、CTマッチングテンプレート非装着歯列模型より取得した3次元口腔内表面形状像を基にして、3次元CT断層撮影像のアーチファクト像を自動的に除去する工程A5を行い、インプラント治療計画、CADCAMサージカルガイドの作製を行う。
上記の行程からなるリファレンスマーカーの作製、及び3次元口腔領域像を作成するシステムからなることを特徴とする。
本発明による効果、利点を、下記に述べる。
1、CT撮影が1回で完了するシングルCTスキャン方式であるため、非特許文献2〜3に示すCT寸法誤差の影響を少なくし、1回で3次元CT断層撮影像と高精度3次元口腔内表面形状像との高精度な直接マッチングにより、インプラント手術に使用するサージカルガイドの寸法制度の飛躍的な向上が得られる。
2、歯科医師及び歯科医院にとって1回のCTスキャンで済むため、時間短縮、利便性、経済性が得られる。
3、熱に対応したマーカーであるため、オートクレーブなどの滅菌が出来、臨床的に実用的である。
4、使用するマーカーの材料として、実際の寸法に対するCT像の寸法の増加する割合は、0%であり、CT像の膨張収縮がない材料であるため、マッチング精度の向上が得られる。
5、精度の向上により、手術の安全性が担保され、患者に絶大な恩恵が得られる。
などの効果、利点がある。
本発明にかかるCT撮影用リファレンスマーカーおよび3次元断層撮影像の作成方法を用いることにより、従来法の欠点を補うことができる。このリファレンスマーカーは、シンプルで実用性、凡庸性が高く、滅菌による再利用可能な規格統一されている。このリファレンスマーカーを使用したCTマッチングテンプレートにより、無歯顎、多数歯欠損、遊離端欠損、アーチファクトの多い症例などすべての症例に対応することが出来る。しかもCT撮影が1回で完了するシングルCTスキャン方式であるため、臨床的に時間や費用のコストが抑えられる。それにより得られた3次元CT断層撮影像DICOMデータと3次元口腔内表面形状像STLデータの高精度な直接マッチングが可能となる。これによりインプラント手術の精度が上がり、患者の利益に貢献することができる。
金属修復物を有する患者の(a)レントゲン写真(b)口腔内写真である。 歯の金属修復物を有する患者の(a)3次元CT断層撮影像と(b)本発明を利用し、3次元口腔内表面形状像を合成しアーチファクトを自動消去した像と(c)本発明を利用し、アーチファクトを自動消去後の3次元CT断層撮影像である。 ジルコニア修復物を有する患者の(a)レントゲン写真(b)口腔内写真である。 歯のジルコニア復物を有する患者の(a)3次元CT断層撮影像と(b)本発明を利用し、3次元口腔内表形状像を合成しアーチファクトを自動消去した像と(c)本発明を利用し、アーチファクトを自動消去後の3次元CT断層撮影像である。 無歯顎患者の (a)レントゲン写真(b)口腔内写真である。 (a)無歯顎患者の3次元CT断層撮影像と(b)本発明を利用し、3次元口腔内表面形状像を合成した像である。 リファレンスマーカーが固定されたCTマッチングテンプレートである。 (a)ガラスセラミックス素材からなるリファレンスマーカーである。(b)リファレンスマーカーの断面図である。(c)リファレンスマーカーの展開図である。 (a)規格化されたリファレンスプレートにリファレンスマーカーを固定したリファレンスインターフェイスである。(b)リファレンスプレートにリファレンスマーカーを固定した様子を示したリファレンスインターフェイスである(c)リファレンスプレートのサイズである。 (a)口腔模型を示した図である。(b)口腔模型を基にして作成されたベースプレートである。及び口腔模型の3次元計測装置でえられた3次元画像を基に 3Dプリンターで作られたマウスピースである。(c)リファレンスプレートである。(d)リファレンスプレートにベーステンプレートが固定されたCTマッチングテンプレートである。 3次元断層撮影像作成方法のフローチャートである。 本発明のシステムに必要な、現在市販されているシュミレーションコンピュータシステムの必要用件を示す概略図である。(市販ソフトcoDiagnostiXなど) (a)CTマッチングテンプレートを口腔内に装着し、噛んだ状態の口腔内写真である。(b)CTマッチングテンプレートを口腔内に装着したCT3次元断層撮影像である。 (a)CTマッチングテンプレートを口腔模型に装着した状態である。(b)口腔模型にCTマッチングテンプレートを装着した状態の3次元計測機による3次元口腔内表面形状像STLデータである。(c)CTマッチングテンプレートを口腔模型に装着しない状態である。(d)口腔模型にCTマッチングテンプレートを装着しない状態の3次元計測機による3次元口腔内表面形状像STLデータである。 (a)CTマッチングテンプレートを装着した3次元CT断層撮影像である(b)CTマッチングテンプレートを装着した3次元CT断層撮影像とCTマッチングテンプレートを装着した3次元口腔内表面形状像のマッチング後の重ね合わせを示す像である。(c)3次元口腔内表面形状像を市販コンピュータソフト(例coDiagnostiX)を利用してマッチングさせた後、アーチファクトを除去した像である。(d)アーチファクト除去後の3次元CT断層撮影像である。 3次元CT断層撮影像と3次元模型表面形状像を市販コンピュータソフト(例coDiagnostiX)を利用してマッチングさせた例である。 (a)STLデータマッチングさせるため模型の切れ込みを示す。(b)模型の切れ込みを基準にCTマッチングテンプレート装着3次元口腔内表面形状像とCTマッチングテンプレート非装着3次元口腔内表面形状像を市販コンピュータソフト(例coDiagnostiX)を利用してマッチングさせた例である。 リファレンスマーカーの表面に、凹み部が設けられることにより、基準点の特定が容易かつ正確に行える事を示す図である。 ガラスセラミック素材のCT像である。 ガラスセラミック素材のCT撮影像とガラスセラミック素材の表面形状画像を重ね合わせた像である。
図1は、歯の金属修復物を有する患者の口腔内写真(下顎)である。このような金属修復物を有する患者に対して口腔領域のCT像を撮影し、3次元イメージに合成した3次元CT断層撮影像を図2に示す。3次元CT断層撮影像は、断層写真であるCT像を積み重ねて合成する。3次元CT断層撮影像の合成には、既存のソフトを用いる。(例coDiagnostiX)
図3は、無歯顎患者の口腔内写真(下顎)である。このような無歯顎患者に対して口腔領域のCT像を撮影し、3次元イメージに合成した3次元CT断層撮影像を図4に示す。
一方、人工歯根インプラント手術を行う場合、従来は、3次元CT断層撮影像のみでサージカルガイドが作製されていた。これは、多くの誤差が示されており、精度が落ちる。一方、歯列模型は、患者の歯列の型を取り作製されるため、その患者の歯列が正確に再現されており、歯列模型から3次元口腔内表面形状像をとる場合、この精度は、3次元計測機で計測し、寸法精度は、5ミクロンの精度で3次元口腔内表面形状像としてSTLデータに変換されるため、高精度なデータが得られる。かかる3次元口腔内表面形状像を用いて図7のCTマッチングテンプレートを装着した口腔内模型の3次元口腔内表面形状像と患者の3次元CT断層撮影像との直接マッチングを行う。
図7は、本発明である、CTマッチングテンプレートである。このCTマッチングテンプレートの詳しい構造を図8に示す。
図8aは、ガラスセラミックス素材からなるリファレンスマーカーである。 発明者は、セラミックの中で強度は360〜400mPaと天然歯(エナメル質)の350mPaに近く、天然歯に近い強度、固さを持っているガラスセラミックスに注目した。セラミックス素材の種類として、1、長石系ガラスセラミックス 2、リューサイト系ガラスセラミックス 3、ニケイ酸リチウムガラスセラミックス 4、ジルコニア強化リチウム1ケイ酸系ガラスセラミックス 5、 多孔質結晶ランタン系ガラス 6、ジルコン 7、アルミナ 8、ジルコニア があげられるが、しかしながらCT断層撮影像において、アーチファクトが発生するジルコニア素材やCT断層撮影像において膨張収縮する素材は、使用することはできない。
後に示す実験結果において、 本発明は、ガラスセラミックス素材の中でも、3次元断層撮影による収縮膨張がほとんどなく、マッチング精度に優れたニケイ酸リチウムガラスとリューサイト系ガラスセラミックスに特に注目した。 リファレンスマーカーに使用できるガラスセラミックスは、上記の材料から適宜選択することができる。リファレンスマーカーの表面形状データとCT断層撮影像との高精度マッチングに必要な事は、膨張収縮がほとんどない事であり、この基準に該当するリファレンスマーカは、ニケイ酸リチウムガラス及びリューサイト系ガラスセラミックスである。マッチング精度の向上を図るには、これらの素材の使用が求められる。
図8bは、本発明のリファレンスマーカーの断面図である。
上部中心部に1mmの凹(マッチングの適合確認のために使用)、
頬側中心部に1mmの凹(マッチングの適合確認のために使用)、
舌側中心部に1mmの凹(マッチングの適合確認のために使用)
底部にベーステンプレートと接着させるための凹を設ける。
図8cは、本発明の展開図である。
図9は、リファレンスマーカー1を固定するリファレンスプレート3は、厚さ2ミリのレントゲン透過の樹脂プレート(アクリル樹脂等)を使用する。図9aに示すように、リファレンスマーカー1を最低3個、通常6個を配置し、リファレンスプレート3に固定する。(図9b)固定する方法は、脱着が可能でしかも強固に固定できるレゴブロックを使用するか、取り外しが可能な熱可塑性の樹脂2で固定する。これは、リファレンスマーカー1が滅菌が可能であり、経済性を重視し再利用するためである。図9cに示すリファレンスプレート3は、S、M、Lのサイズがあり、口腔内歯列の大きさによって選ばれる。以降リファレンスマーカーが、リファレンスプレートに固定された状態をリファレンスインターフェイスと総称する。
次に、図10に示すように、歯列模型4(図10a)にベーステンプレート5(図10b)を作成する。このベーステンプレート5は、レントゲン透過性の透明の樹脂プレートをバキュームフォームの製法で作成されるか(エルコプレス等で作成される)、及びデジタルにて3Dプリンターで作成されたレントゲン透過性のレジンで作成されたマウスピースであり、このベーステンプレートにリファレンスインターフェイスを取り付け固定する。上述のように、CTマッチングテンプレートは、歯列模型(図10a)に装着するようにできている。
このように、歯列模型4(図14a)にCTマッチングテンプレート6を装着固定した状態で、3次元計測機(模型スキャナー、口腔内スキャナー)を用いて外形データを取得し、記録装置に保存される(工程B1)。歯列模型(図14a、c)の形状は、3次元表面形状測定機(模型スキャナー、口腔内スキャナー)を用いて測定する。シングルCTスキャン方式であるため、この工程では、誤差を避けるためCT像を用いて形状を求めることはしない。
更に、図14のb、dに示す様に、3次元表面形状計測機を用いて測定された外形データから、3次元歯列模型像が構築される(工程B3)。
次に、図13aに示すように、患者の口腔内にCTマッチングテンプレートを噛ませた状態で、口腔領域を撮影し、CT像(口腔領域断層撮影データ)を得る(図13b)。この時の注意点は、リファレンスマーカーに上下歯列のメタルアーチファクトがかからないように、リファレンスプレートを基準にCT撮影を行う。かかるデータは、工程B2に示す入力手段を介してコンピュータに入力され、記録部に保存される。
患者のCTDICOMデータは、3次元CT断層撮影像に表示される(工程B4)。図15aは、患者に CTマッチッングテンプレートを装着した状態の3次元口腔内表面形状像である。図15aからわかるように、歯列周辺では、金属修復物の影響でアーチファクトが発生している。
次に、図16に示すように、図14bの3次元歯列模型像を取り込む。具体的には、図16に示すように、同じ位置にある3次元口腔内表面形状像に再現されたリファレンスマーカー1と、図16の患者3次元CT断層撮影像に再現されたリファレンスマーカー1の自動マッチングを行う。これにより重ね合わせが完了する。(工程B6)その後、図17に示すように CTマッチングテンプレート装着3次元口腔内表面形状像(図14b)とCTマッチングテンプレート非装着3次元口腔内表面形状像(図14d)の自動マッチングを行う(工程B7)。これらの工程において、本発明のリファレンスマーカーを基準にマッチングを行うことにより、高い位置精度で3次元口腔内表面形状像と3次元CT断層撮影像をマッチングすることができる。アーチファクトに影響された歯の表面を基準にすることと比較し高精度で位置合わせができる。また後方に歯がない遊離端欠損症例のようにマッチングが出来る歯が少ない場合は、マッチング誤差が生じる。このような場合においても本発明のリファレンスマーカーを使用することにより、歯の数や位置に関係せず、高精度なマッチングにより、3次元口腔内表面形状像と3次元CT断層撮影像を高精度に重ね合わせることができる。
3次元歯列模型表面像(図14d)とCTマッチングプレートを装着した3次元模型表面像(図14b)の自動マッチングを行う際(工程B7)、模型の一部に切れ込みを入れた部分を(図17a)基準にマッチングを行う(図17b)。これは基準点の特定が容易かつ正確に行えるためである。 また、口腔内3次元計測機(口腔内スキャナー)を使用する場合、 CTマッチングテンプレートに覆われていない歯を基準に重ね合わせる。
図18に示す様に、基準点の位置が正確に抽出されているかを確認する。また、リファレンスマーカー1の表面に、凹み部が設けられることにより、基準点の特定が容易かつ正確に行える。
これにより、図15(b)に示すような3次元像が得られる。
また、図15(b)では、アーチファクト8が残っているが、必要に応じてこれも削除する(工程 B8)。アーチファクト(8)の除去には、選択領域に含まれるデータを3次元CT断層撮影像のデータから自動削除する。(使用ソフト例coDiagnostiX)
以上の工程で、アーチファクト源を削除した口腔領域の3次元CT断層撮影像が完了する。本実施の形態にかかる3次元CT断層撮影像(CT像)の作成方法を、インプラント手術を行う患者に適用した場合の3次元像である。(図15c d) 図15からわかるように、本方法を適用することにより、アーチファクトにより不明瞭であった上顎の歯列が明確に表されるようになる。図15aは、本方法適用前の3次元像であり、図15(cd)は、本方法適用後の3次元像である。 図15からわかるように、本方法を適用することにより、アーチファクトにより不明瞭であった上顎の歯列が明確に表されるようになる。
また、図1〜6、図15は、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像(CT像)の作成方法により作成された3次元像である。図2、4、15(a)は、本方法適用前の3次元CT像であり、図2(c)、図4(c)、15(d)は、本方法適用後の3次元CT像である。これからわかるように、本方法を適用することにより、アーチファクトにより不明瞭であった歯列が、明確に表されるようになる。また図5〜6に示すように、無歯顎患者においてもリファレンスマーカーを基準にマッチングさせ、3次元口腔内表面形状像と精密に重ね合わすことができる。
続いて、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像を作成するためのコンピュータシステムについて、簡単に説明する。 図12は、このシステムに必要なコンピュータシステムの概略図である。このコンピュータシステムは、1、患者の3次元CT断層撮影データ(DICOM)、2、3次元口腔内表面形状像データ(STL)を入力するための、入力部Bを有し、複数のデーターが記録でき、マッチングが可能なシステムである。この条件に当てはまる一般的な市販シュミレーションソフト(使用ソフト例coDiagnostiXなど)を利用する。
このコンピュータシステムは、3次元CT断層撮影像とCTマッチングテンプレートを装着した3次元口腔内表面形状像との自動マッチングが行え、その後CTマッチングテンプレートを装着した3次元口腔内表面形状像とCTマッチングテンプレート非装着の3次元口腔内表面形状像を自動マッチングさせ、画像合成を行う事が出来る。3次元像マッチング部Bでは、2つ以上の3次元口腔内表面形状像のマッチングを行う。最後にそれぞれの像を合成部Bにて、3次元画像の合成を可視化する。その後、3次元CT断層撮影像と3次元口腔内表面形状画像を基準にインプラントの適切な位置のポジショニングを行う。
CT撮影用リファレンスマーカーの造影精度を測るため、実際の大きさに比べてどの程度の大きで撮影されるかについて、以下のような実験を行って調べてみた。
<試料>
試料1:(CT値1949)
試料2:(CT値2741)
試料3:(CT値2606)
試料4:(CT値3500)
<撮影条件> CT装置:TOSHIBA社製Asteion 撮影条件:120Kv、200mA、Slice:0.5mm
<結果>
実際の寸法に対するCT像の寸法変化の割合は、以下の通りである。
試料1 :長石系ガラスセラミックス:マイナス4.73% (縮小)
試料2:ニケイ酸リチウムガラスセラミックス:0.00%
試料3:リューサイト系ガラスセラミックス:0.00%
試料4:ジルコニア強化リチウム1ケイ酸系ガラスセラミックス:プラス5.64%(膨張)
このように、試料2(ニケイ酸リチウムガラスセラミックス)と、試料3(リューサイト系ガラスセラミックス)で、0%、試料1の長石系ガラスセラミックスは、実際の大きさより縮小、試料4のジルコニア強化リチウム1ケイ酸系ガラスセラミックスは、実際の大きさより膨張するため、 従って、口腔内に設置するリファレンスマーカーには試料2と3を用いることが好ましいことがわかる。
いくら素晴らしい発明であっても、臨床上複雑であったり、特殊な装置が必要であったりした場合、普及がすすまず、患者への恩恵は少なくなる。本発明は、CTの撮影回数を1回に限定し、複雑なステップを簡素化し、普及しやすさと高精度なマッチングの両方に重点が置かれている。また本発明に係るリファレンスマーカーによるマッチングシステムは、3次CT断層撮影像と3次元口腔内表面形状像の均一で安定した高精度なマッチングが行える。これにより、高精度な3次元口腔内表面形状像を基にして、高精度なCAD/CAMサージカルガイドが作製が可能になる。
ダブルCTスキャン方法と比較し、マッチング回数が減少し、その分マッチング時の誤差の影響を避けることができる。つまりマッチング回数が多いほど誤差を生む可能性がある。また3次元CT断層撮影像は、5ミクロンの精度をほこる3次元計測機による3次元表面形状像と比較し寸法精度が悪い。そのため、全ての症例に対して、3次元口腔内表面形状像スキャンデータ(STLデータ)と3次元CT断層撮影像データ(DICOM)のマッチングに基づくCAD/CAMサージカルガイドの使用は、精密なインプラント外科手術を行うために重要である。 本発明は、インプラント埋入用のCAD/CAMサージカルガイドの適合精度、およびそれに伴うインプラント埋入精度の向上が期待され、インプラント手術の安全性が担保される。これは、患者の利益に貢献でき、産業上の利用可能性を有する。
またX線造影剤とプラスチックの混合材料からなることを特徴とする先行特許文献1のマーカーは、X線造影剤としてバリュウム入りアクリル即時スキャニングレジンを使用している。これは、熱に弱く滅菌は、不可能であり、臨床的に問題がある。また文献1に記載されているように、実際の寸法に対するCT像の寸法の増加する割合は、4.41%もあり膨張していることが分かる。これにより3次元CT断層撮影像と実際のマーカーの形状データーとの直接マッチングには、大きな誤差が生まれる可能性が指摘され、マーカーとしては、不適切であることが伺える。
それに対して、本発明のリファレンスマーカーは、ガラスセラミック素材を使用し、均一で精度の高いマッチングが行われるだけではなく、安定した素材であり、熱、化学薬品による変形がなく患者ごとの滅菌が可能であること、滅菌後に再利用が可能で、経済的である。
また 先行特許文献1は、種類の異なる口腔外と口腔内の2種類のマーカーの複雑な作製が必要であるのに対して、本発明は、口腔内のみであり、口腔内に装着の出来るマウスピース、及び義歯等にインターフェイスに固定するのみであり、すべての症例に対応出来、簡単な作業で完了する。
また解析にあたっての方法は、先行特許文献1では、複雑で難解な工程が必要であり、歯科医院での普及には限界がある事に対して、本発明は、条件に当てはまる一般的な市販シュミレーションソフト(使用ソフト例coDiagnostiXなど)を利用して、自動のマッチングが行え、簡便で時間的経済性が得られる等の利点が多く産業上の利用可能性が拡大する。
1、リファレンスマーカー
2、リファレンスマーカーを固定する接着素材
3、リファレンスプレート
4、口腔内模型
5、マウスピース、およびベーステンプレート
6、CTマッチングテンプレート
7、バイト
8、アーチファクト
9、患者3次元CT断層撮影像
10、模型切り込みマーキング
11、3次元模型表面形状データ
12、口腔内の金属修復物
13、口腔内のジルコニアによる修復物

Claims (7)

  1. 患者の口腔領域に装着された状態で口腔領域断層撮影データが取得さ れ、かつ患者の歯列模型に配置された状態で歯列模型の外形データが取得されるリファレンスマーカーであって、このリファレンスマーカーの位置を基準として、CT断層撮影DICOMデータの3次元断層撮影像と3次元口腔内表面形状STLデータがマッチング出来るガラスセラミックス材料からなるCT撮影用リファレンスマーカー。
  2. 請求項1に記載のリファレンスマーカーが患者の口腔内に装着された状態で、CT断層撮影データが取得されることを特徴とする3次元断層撮影像作成方法。
  3. 請求項1に記載のCT撮影用リファレンスマーカーであって、脱着可能なマウスピース状のベーステンプレートに固定されたCTマッチングテンプレートとして、患者の口腔内、および口腔内模型に装着することを特徴とするCT撮影用リファレンスマーカー
  4. 請求項1に記載のCT撮影用リファレンスマーカーであって、CT値 は、1501〜3500の範囲にあることを特徴とするCT撮影用リファレンスマーカー。
  5. 請求項1に記載のCT撮影用リファレンスマーカーであって、その表面 上部、下部、側 面に半球状の凹部を有することを特徴とするCT撮影用リファレンスマーカー。
  6. 請求項1に記載のリファレンスマーカーであって、リファレンスプレートおよびマウスピースに接着されることを特徴とするCT撮影用リファレンスマーカー。
  7. 請求項1に記載のガラスセラミックス材料からなるCT撮影用リファレンスマーカーであ って、長石系ガラスセラミックス、リューサイト系ガラスセラミックスまたはニケイ酸リチウムガラスセラミックス素材からなることを特徴とするCT撮影用リファレンスマーカ ー。


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