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JP6235705B2 - ゼロ価水銀を含有するガスの処理方法及び水銀分離システム - Google Patents

ゼロ価水銀を含有するガスの処理方法及び水銀分離システム Download PDF

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Description

本発明は、燃焼排ガス等のゼロ価水銀を含有するガスからゼロ価水銀を分離するゼロ価水銀を含有するガスの処理方法及び水銀分離システムに関する。
火力発電所のボイラなどから排出される燃焼排ガス(以下「排煙」ともいう)には、一般に亜硫酸ガスが含まれるほか、燃焼する化石燃料(特に石炭)の種類によっては水銀が高濃度で含まれる場合がある。これらは環境中に排出されると健康被害をもたらす有害物質なので、燃焼排ガスを大気に放出する前にこうした有害物質を除去する必要がある。このうち亜硫酸ガスの除去は従来から排出規制により義務付けられてきたが、最近ではこれに加えて水銀汚染防止に向けた国際的な取組みが強化されつつある。
燃焼排ガス中の亜硫酸ガス(SO)を除去する方法には、吸収液に吸収させて除去する湿式法と吸着材に吸着させて除去する乾式法とがあり、それぞれについて各種の方法が知られているが、高濃度の亜硫酸ガスを含む多量の燃焼排ガスを処理する場合には、処理コストの点で有利である湿式法が一般に採用されている。
燃焼排ガス中の水銀には、燃焼炉内や排煙脱硝装置の酸化触媒などで酸化されて2価の水銀化合物の形態で存在する2価水銀(Hg2+)と、単体(0価)の金属水銀の形態で存在するゼロ価水銀(Hg(0))とがあり、Hg2+は湿式法の排煙脱硫装置でほとんど除去されるが、ゼロ価水銀は吸収液に対する溶解度が小さいため除去効率が低い。
ゼロ価水銀を分離除去する方法として、亜硫酸ガス及び水銀を含む排煙を、過硫酸及びヨウ素化合物を含有する吸収液に接触させる方法がある(特許文献1等参照)。また、亜硫酸ガス及び水銀を含む排ガスにヨウ素ガスを添加し次いでこれを湿式排煙脱硫装置の吸収液と接触させる方法であってヨウ素ガス発生源としてヨウ素化合物を用いる方法がある(特許文献2等参照)。このようなヨウ素化合物を用いてゼロ価水銀を分離除去する方法では、ヨウ素化合物の使用量が多いという問題が生じ、ヨウ素化合物の使用量を低減することが望まれる。
また、ゼロ価水銀、亜硫酸ガス、酸素および水分を含む排煙を、炭素系材料の表面にヨウ素化合物等が担持され撥水処理が施されている水銀吸着材に接触させる方法がある(特許文献3)。特許文献3の技術においても、ヨウ素化合物を添加した吸収液を用いてゼロ価水銀を分離除去することが考えられるが、この場合にもヨウ素化合物の使用量を低減することが望まれる。
なお、ゼロ価水銀を分離除去する際のヨウ素化合物の使用量の低減という要望は、上記亜硫酸及びゼロ価水銀を含む燃焼排ガスの処理に限らず、その他のゼロ価水銀を含むガスにおいても、同様に存在する。
特開2008−212886号公報 特開2009−125659号公報 特開2009−226254号公報
これらの課題に鑑み、本発明は、ヨウ素化合物を用いてゼロ価水銀を含むガスからゼロ価水銀を分離する際にヨウ素化合物の使用量を低減することができるゼロ価水銀を含むガスの処理方法及び水銀分離システムを提供することをその目的とする。
上記課題を解決する本発明のゼロ価水銀を含むガスの処理方法は、ゼロ価水銀を含むガスに含まれるゼロ価水銀を、アルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相を用いて酸化して前記第1液相中に取り込むことにより2価水銀イオン及びヨウ化物イオンを含む第2液相を得る水銀酸化工程と、前記水銀酸化工程で得られた前記第2液相のpHを、pH調整剤を用いて調整すると共に、アルカリ金属硫化物を添加することにより、前記2価水銀イオンを硫化水銀として分離する水銀分離工程と、前記水銀分離工程で硫化水銀が分離されて得られたアルカリ金属イオン及びヨウ化物イオンを含む第3液相を循環させて前記水銀酸化工程の前記第1液相として用いる第1循環工程と、を有することを特徴とする。
前記水銀酸化工程で用いるアルカリ金属ヨウ化物のアルカリ金属と、前記水銀分離工程で用いる前記アルカリ金属硫化物のアルカリ金属が、同じアルカリ金属であることが好ましい。
前記水銀酸化工程において、炭素系材料からなる水銀吸着酸化材上で前記ゼロ価水銀を含むガスと前記第1液相とを接触させることが好ましい。
そして、前記炭素系材料が撥水処理されていることが好ましい。
前記ゼロ価水銀を含むガスが硫黄酸化物を含んでいてもよい。
また、前記ゼロ価水銀を含むガスが酸素を含んでいてもよい。
前記水銀酸化工程は、前記第2液相を捕集し該捕集された前記第2液相を循環させて前記第1液相として用いる第2循環工程を有することが好ましい。
前記アルカリ金属ヨウ化物が、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム及びヨウ化ナトリウムから選択される少なくとも一種であり、前記第1液相中のヨウ素イオン濃度が0.01〜10wt%であることが好ましい。
前記水銀分離工程において、前記pH調整剤が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから選択される少なくとも一種であり、前記第2液相のpHを1.7〜7に調整することが好ましい。
前記水銀分離工程において、前記アルカリ金属硫化物が、硫化リチウム、硫化ナトリウム及び硫化カリウムから選択される少なくとも一種であり、前記アルカリ金属硫化物に含まれる硫黄量は、該アルカリ金属硫化物を添加する前記第2液相に含まれる2価水銀に対して、モル比で、0.6〜1.2倍であることが好ましい。
前記水銀分離工程において、前記アルカリ金属硫化物が添加される前記第2液相の酸化還元電位に基づいて、前記アルカリ金属硫化物の添加を制御することが好ましい。
前記水銀酸化工程で生成したヨウ素ガスにアルカリ金属水酸化物を接触させてヨウ素ガスを吸収するヨウ素ガス回収工程を有してもよい。
前記ヨウ素ガス回収工程で得られたヨウ素ガスが吸収された溶液を前記水銀分離工程に循環するようにしてもよい。
本発明の水銀分離システムは、ゼロ価水銀を含むガスが導入されると共に、前記ゼロ価水銀を、アルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相を用いて酸化して前記第1液相中に取り込むことにより2価水銀イオン及びヨウ化物イオンを含む第2液相を得る水銀酸化手段と、前記水銀酸化手段から排出された前記第2液相のpHを、pH調整剤を用いて調整すると共に、アルカリ金属硫化物を添加することにより、前記2価水銀イオンを硫化水銀として分離する水銀分離手段と、前記水銀分離手段で硫化水銀が分離されて得られたアルカリ金属イオン及びヨウ化物イオンを含む第3液相を循環させて前記水銀酸化手段の前記第1液相として用いる第1循環手段とを有することを特徴とする。
前記水銀酸化手段は、前記ゼロ価水銀を第1液相にて酸化して前記第1液相中にとり込む水銀酸化部と、該水銀酸化部と連通し前記第2液相を収容する液槽部を有し、前記液槽部に収容された前記第2液相を前記水銀酸化部に循環させて前記第1液相として用いる第2循環手段を有することが好ましい。
前記液槽部のヨウ素イオン濃度が0.01〜10wt%であることが好ましい。
前記液槽部にアルカリ金属ヨウ化物を添加するアルカリ金属ヨウ化物添加手段を有してもよい。
前記水銀分離手段は、前記アルカリ金属硫化物が添加される前記第2液相の酸化還元電位を測定する酸化還元電位測定手段と、該酸化還元電位測定手段で測定された酸化還元電位に基づいて前記アルカリ金属硫化物の添加を制御する添加制御手段を有することが好ましい。
前記水銀酸化手段で生成したヨウ素ガスにアルカリ金属水酸化物を接触させてヨウ素ガスを吸収するヨウ素ガス回収手段を有していてもよい。
前記ヨウ素ガス回収手段から排出されるヨウ素ガスを吸収した溶液を前記水銀硫化物分離手段に循環する第3循環手段を有していてもよい。
本発明の水銀分離システムは、炭素系材料からなる水銀吸着酸化材を充填した水銀酸化部と、該水銀酸化部にゼロ価水銀を含むガスを導入して流通させるガス導入手段と、該水銀酸化部にアルカリ金属ヨウ化物を含む液を導入して前記水銀吸着酸化材の表面を流下させるアルカリ金属ヨウ化物供給手段と、流下した液を収容する液槽部とを有する水銀酸化装置と、前記液槽部から引き抜かれた液にpH調整剤を添加するpH調整手段と、該引き抜かれた液にアルカリ金属硫化物を添加して硫化水銀を生成する硫化水銀生成手段と、pHが調整されアルカリ金属硫化物が添加された液中に生成した硫化水銀を分離する硫化水銀分離手段とを有する水銀分離装置と、前記水銀分離装置の前記硫化水銀分離手段で硫化水銀が分離除去された液を前記水銀酸化装置に循環する第1循環手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、ゼロ価水銀をアルカリ金属ヨウ化物を含む液相を用いて酸化して2価水銀とし、得られた2価水銀をアルカリ金属硫化物と反応させて硫化水銀として水銀を固定化すると共に、この硫化水銀と共に得られるアルカリ金属ヨウ化物を含む液相を循環させて再びゼロ価水銀を酸化する液相として用いることにより、アルカリ金属ヨウ化物を用いてゼロ価水銀を含むガスからゼロ価水銀を分離除去する際のアルカリ金属ヨウ化物の使用量を大幅に低減することができる。
本発明のゼロ価水銀を含むガスの処理方法を適用することができる水銀分離システムの一例を示す概略系統図である。 本発明のゼロ価水銀を含むガスの処理方法を適用することができる水銀分離システムの他の例を示す概略系統図である。 実施例1及び比較例1の結果を示す図である。 実施例3の結果を示す図である。 実施例4の結果を示す図である。
本発明のゼロ価水銀を含むガスの処理方法は、ゼロ価水銀を含むガスに含まれるゼロ価水銀を、アルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相を用いて酸化して第1液相中に取り込むことにより2価水銀イオン及びヨウ化物イオンを含む第2液相を得る水銀酸化工程と、水銀酸化工程で得られた第2液相のpHを、pH調整剤を用いて調整すると共に、アルカリ金属硫化物を添加することにより、2価水銀イオンを硫化水銀として分離する水銀分離工程と、水銀分離工程で硫化水銀が分離されて得られたアルカリ金属イオン及びヨウ化物イオンを含む第3液相を循環させて水銀酸化工程の第1液相として用いる第1循環工程とを有することを特徴とする。
具体的には、まず、ゼロ価水銀を含むガスに含まれるゼロ価水銀を、アルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相を用いて酸化して第1液相中に取り込むことにより、2価水銀イオン及びヨウ化物イオンを含む第2液相を得る(水銀酸化工程)。
被処理ガスであるゼロ価水銀を含むガスは、ゼロ価水銀を含むものであれば特に限定されないが、例えば、燃焼排ガスなど硫黄酸化物(亜硫酸ガス等)及びゼロ価水銀を含むガス、このガスを排煙脱硫装置等で脱硫処理したガスや、バッテリー等から金属を回収する際に加熱により生じゼロ価水銀を含む排ガス等が挙げられる。また、ゼロ価水銀を含むガスは酸素を含むことが好ましい。ゼロ価水銀を含むガス中に含まれる酸素は、水銀酸化工程においてゼロ価水銀を酸化するための酸化剤として機能するためである。なお、ゼロ価水銀を含むガスは、水分を含んでいてもよいが、水分を含む場合は、詳しくは後述するが水銀酸化工程において撥水処理された水銀吸着酸化材を用いることが好ましい。
ゼロ価水銀を酸化するために用いるアルカリ金属ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウムやヨウ化ナトリウムが挙げられる。このようなアルカリ金属ヨウ化物を、水、アルコール類や、エーテル類等の溶媒に溶解したものが第1液相である。第1液相中のヨウ素イオン濃度は0.01〜10wt%であることが好ましい。ヨウ素イオン濃度が高いほど水銀除去性能が高くなるが、10wt%を超えると水銀除去性能があまり向上しなくなるためである。
このようなアルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相を用いて、ゼロ価水銀を含むガスに含まれるゼロ価水銀を酸化して第1液相中に取り込むことにより2価水銀イオン及びヨウ化物イオンを含む第2液相を得る方法は特に限定されないが、アルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相をゼロ価水銀を含むガスに接触させる方法が挙げられる。アルカリ金属ヨウ化物をゼロ価水銀に接触させると、ゼロ価水銀(Hg(0))を2価水銀(Hg2+)にすることができる。例えばアルカリ金属ヨウ化物としてヨウ化カリウムを用いた場合は、下記式(1)及び式(2)の反応が生じる。式(2)に示すように、HgIが溶解した形態の液相、すなわち2価水銀イオン及びヨウ化物イオンを含む液相が、第2液相である。なお、下記式の反応は、酸素の存在下で生じる反応であり、被処理ガスであるゼロ価水銀を含むガスが酸素を含まない場合または酸素が少ない場合は、外部から酸素を供給するようにすればよい。具体的には、例えば水銀酸化工程の前段で被処理ガスに酸素を供給する、又は、水銀酸化工程で別途酸素を供給するようにすればよい。
2I→I (1)
Hg(0)+I→Hg2++2I (2)
水銀酸化工程において、炭素系材料からなる水銀吸着酸化材上でゼロ価水銀を含むガスと第1液相とを接触させることが好ましい。炭素系材料にゼロ価水銀及び酸素を吸着させてアルカリ金属ヨウ化物と接触させることにより、良好にゼロ価水銀を酸化することができる。炭素系材料としては、活性炭、活性炭素繊維や、オーブンコークス等が挙げられる。活性炭の材質としては、木質、ヤシ殻、石炭、褐炭、泥炭、ピッチ等が挙げられる。炭素系材料は、BET比表面積が、1g当たり2500m以下であることが好ましく、また、1g当たり50m以上であることが好ましい。BET比表面積とは、窒素ガスの吸着量からBET吸着等温式を利用して算出した比表面積であり、例えば、比表面積測定装置(製品名「AUTOSORB−1」、ユアサアイオニクス(株)社製)を使用し、液体窒素を用いて多点法によって測定される値である。炭素系材料の形状としては、微粒子状または微粒子状のものを、成形助剤等を用いて粒状、ペレット状、シート状、ハニカム状等にしたものが好ましい。これらは比表面積が大きく、水銀等の吸着量を多くすることができるためである。中でも、ハニカム状のものは、ガスの圧力損失を低減することができるため好ましい。また、炭素系材料は撥水処理されたものであることが好ましい。炭素系材料が撥水処理されたものであると、水分による炭素系材料の水銀吸着容量の低下を防止できるため、ゼロ価水銀の酸化をより良好に行うことができる。撥水処理としては、例えば水に対する接触角が90度以上の樹脂等の撥水性材料を炭素系材料に含有させる方法や、炭素系材料を熱処理して炭素系材料の表面の親水基を除去する方法が挙げられる。水に対する接触角が90度以上の樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等を挙げることができる。
アルカリ金属ヨウ化物と共に該アルカリ金属ヨウ化物と同一種のアルカリ金属を含む過硫酸塩を加えても良い。アルカリ金属を含む過硫酸塩としては、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等が挙げられる。過硫酸もゼロ価水銀を酸化して2価水銀にすることができる。また、溶液中のヨウ化物イオンを酸化し、ゼロ価水銀の酸化剤となるヨウ素の遊離(すなわち式(1)で表される反応)を促進する。なお、過硫酸は反応後硫酸イオンとなる。アルカリ金属を含む過硫酸塩は第1液相に添加して用いることができる。
また、アルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相を用いてゼロ価水銀を含むガスに含まれるゼロ価水銀を酸化して第1液相中に取り込むことにより2価水銀イオン及びヨウ化物イオンを含む第2液相を得る他の方法として、アルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相に酸素を曝気する等して第1液相中に含まれるヨウ化物イオンを酸化してヨウ素ガスを生成し、生成したヨウ素ガスを第1液相と共にゼロ価水銀に接触させる方法が挙げられる。
水銀酸化工程において、2価水銀イオン及びヨウ化物イオンを含む第2液相を捕集し、捕集された第2液相を循環させて、ゼロ価水銀の酸化に用いる第1液相として用いることが好ましい(第2循環工程)。ゼロ価水銀を酸化するために用いる第1液相中に含まれるアルカリ金属ヨウ化物の全てが該ゼロ価水銀の酸化に消費されることはほとんどないため、ゼロ価水銀の酸化に用いた後のアルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相を水銀酸化工程内で循環して再度ゼロ価水銀の酸化に用いることにより、アルカリ金属ヨウ化物の使用量を減らすことができる。なお、ゼロ価水銀の酸化に用いる第1液相のヨウ素イオン量を調整するために、後述する第1循環工程で循環される第3液相や第2循環工程で循環される第2液相に、アルカリ金属ヨウ化物を連続的あるいは間欠的に添加するようにしてもよい。
次に、水銀酸化工程で得られた第2液相のpHを、pH調整剤を用いて調整すると共に、アルカリ金属硫化物を添加することにより、2価水銀イオンを硫化水銀として分離する(水銀分離工程)。2価水銀イオン及びヨウ化物イオンを含む第2液相をpH調整してアルカリ金属硫化物と反応させることにより、溶解せず沈殿する硫化水銀が生成する、すなわち、水銀を固定化することができる。なお、水銀分離工程において、水銀酸化工程で得られた第2液相のpHを、pH調整剤を用いて調整する工程(pH調整工程)と、アルカリ金属硫化物を添加する工程は、いずれの工程を先に行ってもよく、また、これらの工程を同時に行ってもよい。
pH調整剤としては、従来使用されているものを使用することができるが、この中でも、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等のアルカリ金属水酸化物を用いることが好ましい。
また、第2液相のpHは1.7〜7に調整することが好ましい。硫化水銀が生成しやすくなり、水銀の回収率を高くすることができるためである。
アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウムや硫化カリウム等を挙げることができる。このアルカリ金属硫化物のアルカリ金属は、水銀酸化工程で用いるアルカリ金属ヨウ化物のアルカリ金属と、同じアルカリ金属であることが好ましい。例えば、水銀酸化工程でアルカリ金属ヨウ化物としてヨウ化カリウムを用いる場合は、アルカリ金属硫化物として硫化カリウムを用いることが好ましい。水銀分離工程では沈殿となる硫化水銀と共にアルカリ金属硫化物に由来するアルカリ金属イオン及びヨウ化物イオンを含む第3液相が得られるが、本発明においてはこの第3液相を循環させて水銀酸化工程の第1液相として再利用するため、水銀分離工程で用いるアルカリ金属硫化物のアルカリ金属が水銀酸化工程で用いるアルカリ金属ヨウ化物のアルカリ金属と同一であれば、水銀分離工程で得られる第3液相が水銀酸化工程の第1液相と同一のアルカリ金属ヨウ化物が溶解した液相になる。このように第1循環工程で水銀酸化工程に循環されるアルカリ金属ヨウ化物が、水銀酸化工程で使用したアルカリ金属ヨウ化物と同一であれば、水銀酸化工程で生じさせる水銀酸化反応等の好適な条件が変化しにくくなり、ガスの処理を制御しやすくなる。また、このように同一のアルカリ金属を用いることにより、水銀分離工程で得られた第3液相を系外に排出する場合に必要に応じて行う精製処理やアルカリ金属の回収が容易になる。なお、同様の理由で、上記pH調整剤としてアルカリ金属水酸化物を用いる場合、このアルカリ金属水酸化物のアルカリ金属は、水銀酸化工程で用いるアルカリ金属ヨウ化物のアルカリ金属と、同一のアルカリ金属であることが好ましい。
アルカリ金属硫化物の第2液相への添加量は特に限定されないが、アルカリ金属硫化物に含まれる硫黄(S)の有効使用量及び水銀の吸収速度の観点から、アルカリ金属硫化物に含まれる硫黄量が、該アルカリ金属硫化物を添加する第2液相に含まれる2価水銀に対して、モル比で、0.6〜1.2倍であることが好ましい。
また、水銀分離工程において、アルカリ金属硫化物が添加される第2液相の酸化還元電位に基づいて、アルカリ金属硫化物の添加速度や添加量等の添加条件を制御することが好ましい。
生成して沈殿となった硫化水銀は液相から分離して回収する。硫化水銀を分離する方法は特に限定されず、例えば静置する等、固液分離が挙げられる。固液分離した硫化水銀は必要に応じて濾過等して回収することができる。
そして、水銀分離工程で硫化水銀が分離された残渣である、アルカリ金属イオン及びヨウ化物イオンを含む第3液相は、循環させて水銀酸化工程の第1液相として用いる(第1循環工程)。水銀分離工程で得られた第3液相全てを水銀酸化工程に循環させてもよいが、一部を必要に応じて精製処理を施した後排水として系外に排出するようにしてもよい。
このように、ゼロ価水銀をアルカリ金属ヨウ化物を含む液相を用いて酸化して2価水銀とし、得られた2価水銀をアルカリ金属硫化物と反応させて硫化水銀として水銀を固定化すると共に、この硫化水銀と共に得られるアルカリ金属ヨウ化物を循環させて再びゼロ価水銀を酸化する液相として用いることにより、アルカリ金属ヨウ化物の使用量を大幅に抑制することができる。
また、ゼロ価水銀の酸化に用いるアルカリ金属ヨウ化物の量がゼロ価水銀の量に対して多い場合等、水銀酸化工程においてヨウ素ガスが生成する場合があるが、生成したヨウ素ガスにアルカリ金属水酸化物を接触させてヨウ素ガスを吸収させてもよい(ヨウ素ガス回収工程)。そして、このヨウ素ガス回収工程で得られたヨウ素ガスが吸収された溶液を水銀分離工程に循環するようにしてもよい。ヨウ素ガスが吸収された溶液を水銀分離工程に循環して水銀分離工程や第1循環工程を経ることにより、水銀酸化工程で生成した上記ヨウ素ガスをアルカリ金属ヨウ化物として水銀酸化工程で用いることができる。
ヨウ素ガス回収工程で用いるアルカリ金属水酸化物は、ヨウ素ガスを吸収することができれば特に限定されず、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等、pH調整工程と同様のアルカリ金属水酸化物を挙げることができる。
このような本発明のゼロ価水銀を含むガスの処理方法を行なうことができる水銀分離システムの一例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明のゼロ価水銀を含むガスの処理方法を適用することができる水銀分離システムの一例を示す概略系統図である。
図1に示すように、本発明の水銀分離システム10は、ゼロ価水銀を含むガスが導入されると共にゼロ価水銀をアルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相を用いて酸化して第1液相中に取り込むことにより2価水銀イオン及びヨウ化物イオンを含む第2液相を得る水銀酸化手段(水銀吸着酸化塔)11と、水銀酸化手段11から排出された第2液相のpHをpH調整剤を用いて調整すると共に、アルカリ金属硫化物を添加することにより、2価水銀イオンを硫化水銀として分離する水銀分離手段12と、水銀分離手段12で硫化水銀が分離されて得られたアルカリ金属イオン及びヨウ化物イオンを含む第3液相を循環させて水銀酸化手段11の第1液相として用いる第1循環手段13とを有する。
水銀酸化手段11は、ゼロ価水銀を含むガスが導入され該ゼロ価水銀を第1液相を用いて酸化して第1液相中にとり込む水銀酸化部21と、水銀酸化部21と連通し第2液相を収容する液槽部22を有する。この液槽部22は水銀酸化部21の下方に設けられ、水銀酸化部21と液槽部22の間に、ゼロ価水銀を含むガスを水銀酸化手段11に導入するガス導入口が設けられると共に、水銀酸化手段11の塔頂には、処理ガスが排出されるガス出口が設けられている。そして、水銀酸化部21には、炭素系材料等からなる水銀吸着酸化材が充填されている。このような構成にすることにより、水銀酸化手段11に導入されたゼロ価水銀を含むガスは、水銀吸着酸化材が充填された水銀酸化部21を上向流で流通する。水銀吸着酸化材が充填された水銀酸化部21と、水銀酸化部21の下方に設けられた液槽部22と、水銀酸化部21と液槽部22の間に設けられたガス導入口と、水銀酸化手段11の塔頂に設けられたガス出口とで、請求項に記載する「ガス導入手段」を構成する。そして、液槽部22に収容された第2液相を水銀酸化部21に循環させるポンプ24等で構成される第2循環手段を有する。また、水銀酸化手段11には、水銀酸化部21に充填された水銀吸着酸化材に第1液相を噴霧する噴霧器23(アルカリ金属ヨウ化物供給手段)が設けられ、水銀酸化部21においてゼロ価水銀を含むガスと第1液相とが水銀吸着酸化材上で接触し第2液相となって落下し、液槽部22に収容される構成となっている。そして、水銀酸化手段11には、液槽部22に連続的あるいは間欠的にアルカリ金属ヨウ化物を添加するアルカリ金属ヨウ化物添加手段(図示無し)が設けられている。
水銀分離手段12は、水銀酸化手段11から排出された第2液相のpHをpH調整剤を用いて調整するpH調整手段31と、pH調整手段31から排出された第2液相にアルカリ金属硫化物を添加することにより硫化水銀を生成する硫化水銀生成手段41と、硫化水銀生成手段41から排出された硫化水銀を分離する硫化水銀分離手段51を有する。
pH調整手段31は、pH調整剤が供給される第2液相のpHを測定するpH計32と、pH調整剤であるアルカリ金属水酸化物が収容されるアルカリ金属水酸化物収容容器33からアルカリ金属水酸化物をpH調整手段31内の第2液相に供給するためのポンプ34を有している。
硫化水銀生成手段41は、アルカリ金属硫化物が添加される第2液相の酸化還元電位(ORP)を測定する酸化還元電位測定手段42と、アルカリ金属硫化物が収容されるアルカリ金属硫化物収容容器43からアルカリ金属硫化物を硫化水銀生成手段41内の第2液相に供給するためのポンプ44と、酸化還元電位測定手段42で測定された酸化還元電位に基づいてアルカリ金属硫化物の添加を制御する添加制御手段(図示無し)を有している。
硫化水銀分離手段51は、硫化水銀生成手段41から排出された硫化水銀を含む液相を静置して硫化水銀(沈殿)及び第3液相(上澄み)に分離する固液分離手段からなる。
第1循環手段13は、硫化水銀分離手段51の上澄みである第3液相を循環させて水銀酸化手段11の液槽部22に導入するためのポンプ61を有している。
このような水銀分離システム10を用いてゼロ価水銀を含むガスを処理する例を以下に説明する。まず、被処理ガスとして、ゼロ価水銀及び酸素を含むガスを、水銀酸化部21の下方のガス導入口から導入することにより、ゼロ価水銀を含むガスが上昇して水銀酸化部21に充填された水銀吸着酸化材を上向流で流通し、水銀吸着酸化材にゼロ価水銀及び酸素が吸着する。一方、噴霧器23から、アルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相が、水銀酸化部21に充填された水銀吸着酸化材に、連続的又は間欠的に噴霧される。これにより、水銀吸着酸化材で上記式(1)及び式(2)の反応が生じる、すなわち、被処理ガス中に含まれるゼロ価水銀がアルカリ金属ヨウ化物により酸化されて2価水銀となる。ゼロ価水銀はイオンである2価水銀になることにより第1液相に取り込まれて、2価水銀及びヨウ化物イオンを含む第2液相が得られる。得られた第2液相は、水銀吸着酸化材の表面を流下して、液槽部22に収容される。なお、このゼロ価水銀の酸化反応には酸素が必要なので、被処理ガスが酸素を含まない又は酸素が少ない場合は、水銀酸化部21の前段又は水銀酸化部21に酸素を供給する、すなわち、水銀酸化部21に導入される前又は導入される際に被処理ガスに酸素を供給する。このようにしてゼロ価水銀が除去された処理ガスは、水銀酸化手段11の塔頂に設けられたガス出口から排出される。
液槽部22に収容された第2液相にはアルカリ金属ヨウ化物も溶解しており、液槽部22に収容された第2液相の一部は、ポンプ24を有する第2循環手段を経て噴霧器23に循環されて、再び水銀吸着酸化材に噴霧され、ゼロ価水銀の酸化に用いられる。また、液槽部22に収容された第2液相の一部は、連続的又は間欠的に液槽部22から排出されpH調整手段31に供給される。すなわち、液槽部22に収容された第2液相の一部は、連続的又は間欠的に液槽部22から引き抜かれpH調整手段31へと移送される。
pH調整手段31に供給された第2液相は、アルカリ金属水酸化物収容容器33からポンプ34等を用いて供給されるアルカリ金属水酸化物(pH調整剤)により所望のpHに調整される。pH調整手段31の第2液相のpHを、1.7〜7に調整することが好ましい。pH調整手段31でpH調整された第2液相は排出され、硫化水銀生成手段41に供給される。
硫化水銀生成手段41に供給された第2液相には、アルカリ金属硫化物収容容器43からポンプ44等を用いてアルカリ金属硫化物が添加され、第2液相に含まれる2価水銀は硫化水銀となる。アルカリ金属硫化物の添加速度や添加量等の添加条件は、硫化水銀生成手段41の第2液相の酸化還元電位を酸化還元電位測定手段42で測定し、測定された酸化還元電位に基づいて、硫化水銀が生成しやすくなるように制御することが好ましい。
硫化水銀生成手段41から排出された硫化水銀を含む液相は、硫化水銀分離手段51に供給され、固液分離等されて、硫化水銀は回収される。また、上澄みである第3液相は、ポンプ61を有する第1循環手段13により水銀酸化手段11の液槽部22に導入される。
第1循環手段13により液槽部22に導入された第3液相は、アルカリ金属ヨウ化物が溶解しており、第2循環手段により噴霧器23に循環されて、再び水銀吸着酸化材に噴霧される第1液相として使用される。図1においては、第3液相は液槽部22に循環したが、第3液相は水銀酸化手段11でゼロ価水銀を酸化するための第1液相として用いることができるように循環させれば液槽部22を経由しなくてもよく、例えば噴霧器23に直接導入するようにしてもよい。
このように、本発明の水銀分離システムを用いることにより、アルカリ金属ヨウ化物使用量を大幅に減少させることができる。
上記では、水銀酸化手段11に導入されたゼロ価水銀を含むガスを、水銀吸着酸化材が充填された水銀酸化部21を上向流で流通させたが、水銀酸化部21に流通させるゼロ価水銀を含むガスは上向流に限定されず、下向流として流通させてもよい。例えば、図1において、ガス導入口を水銀酸化部21の上部に設けると共にガス出口を水銀酸化部21の下方に設ける構成等にして、ゼロ価水銀を含むガスが水銀酸化部21を下向流で流通するようにしてもよい。
また、本発明の水銀分離システムは、水銀酸化手段11で生成したヨウ素ガスにアルカリ金属水酸化物を接触させてヨウ素ガスを吸収するヨウ素ガス回収手段71を有していてもよい。ヨウ素ガス回収手段を有する水銀分離システムについて、図2を用いて説明する。図2は、ヨウ素ガス回収手段71を有する水銀分離システム70であり、図1と同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略してある。図2に示すように、水銀分離システム70は、図1の水銀分離システム10において、ヨウ素ガス回収手段71及びヨウ素ガス回収手段から排出されるヨウ素ガスを吸収した溶液を水銀分離手段12に循環する第3循環手段74を設けたものである。
具体的には、水銀分離システム70は、水銀酸化手段11の塔頂から排出される処理ガスが導入され該導入された処理ガスにアルカリ金属水酸化物収容容器33からポンプ72を経由してアルカリ金属水酸化物を噴霧する噴霧器73が設けられたヨウ素ガス回収手段71を有する。そして、水銀分離システム70は、ヨウ素ガス回収手段71から排出されヨウ素ガスを吸収した溶液をpH調整手段31に循環させる第3循環手段74を有する。
このような水銀分離システム70においては、水銀酸化手段11の塔頂から排出された処理ガスがヨウ素ガス回収手段71に導入され、導入された処理ガスにアルカリ金属水酸化物が噴霧器73から噴霧されることにより、導入された処理ガスに含まれるヨウ素ガスがアルカリ金属水酸化物(ヨウ素ガス吸収液)に吸収される。したがって、ヨウ素ガス回収手段71から排出される処理ガスは、ヨウ素ガスが低減されたものとなる。
一方、ヨウ素ガス回収手段71から排出されるヨウ素ガスを吸収した溶液は第3循環手段74により、pH調整手段31に循環される。pH調整手段31に循環されることにより、水銀分離手段12及び第1循環手段13を経て再び液槽部22に循環されて、第1液相として使用することができる。
上記図1や図2において、ゼロ価水銀を含むガスを処理する例を説明したが、ゼロ価水銀に加えてさらに亜硫酸ガスを含むガス等を処理することもできる。亜硫酸ガスも含むガスを被処理ガスとした場合、亜硫酸ガスは水銀酸化手段11に充填された炭素系材料からなる水銀酸化吸着材上で酸化されて硫酸となって第2液相に取り込まれるため、被処理ガスから亜硫酸ガスも分離除去した処理ガスを得ることができる。
また、ゼロ価水銀及び亜硫酸ガスを含むガスをいわゆる石灰石膏法を行う湿式法の排煙脱硫装置で処理して亜硫酸ガスを除去し、この排煙脱硫装置から排出されるガスを、本発明の上記水銀分離システムの被処理ガスとしてもよい。すなわち、排煙脱硫措置の後段に本発明の水銀分離システムを設けてもよい。
また、第1循環手段13を経た第3液相等を酸素曝気等することにより第3液相中に含まれるヨウ化物イオンを酸化してヨウ素ガスとし、このヨウ素ガスを含む第3液相を、第1液相として用いてヨウ素ガスによりゼロ価水銀を2価水銀に酸化するようにしてもよい。
以下に、本発明の更なる理解のために実施例を用いて説明するが、実施例はなんら本発明を限定するものではない。
(比較例1)
硫化水銀分離手段51の上澄みである第3液相を第1循環手段13で水銀酸化手段11の液槽部22に循環させる構成である図1に示す水銀分離システム10を用いて、ゼロ価水銀を含むガスを処理し、処理ガスを水銀酸化手段11のガス出口から排出すると共に、硫化水銀分離手段51から固体状の硫化水銀を回収した。被処理ガスとして、ガス温度50℃、ガス量500NL/hで酸素濃度5vol%、ゼロ価水銀濃度50μg/Nm、水分12vol%、残りをNガスで調整した模擬排ガスを用いた。また、水銀吸着酸化材として、活性炭と成形助剤(ポリエチレン樹脂)を混合しハニカム形状に成型した吸着材0.01Lを、水銀酸化部21に充填し、噴霧器23から、水を液ガス比(噴霧器23から噴霧される液体と被処理ガスとの比)0.5(L/Nm)の割合で水銀吸着酸化材に連続的に噴霧することにより、水銀吸着酸化材上で被処理ガスと噴霧器23から噴霧される液体が接触するようにした。なお、用いた活性炭の、比表面積測定装置(製品名「AUTOSORB−1」、ユアサアイオニクス(株)社製)を使用し液体窒素を用いて多点法によって測定されたBET比表面積は、780m/gであった。また、pH調整剤として水酸化ナトリウムを用いてpH調整手段31において第2液相のpHが7になるようにした。また、アルカリ金属硫化物として硫化カリウムを用いた。
水銀酸化手段11のガス出口から排出された処理ガス中の全Hg濃度を測定し、被処理ガスの通ガス時間(図3において「通ガス時間」と記載する)に対する全Hg濃度(図3において「Hg吸着酸化塔出口ガス中の全Hg濃度」と記載する)の推移を測定した結果を図3に示す。なお、測定装置は、還元気化紫外吸光光度法の原理に基づく、形態別水銀連続測定装置を用いた。
(実施例1)
水の代わりにヨウ化ナトリウムを含有する水を噴霧器23から水銀吸着酸化材に噴霧した以外は、比較例1と同様の操作を行った。NaI濃度はヨウ素イオン濃度(図3において「I濃度」と記載する)として0.005wt%と0.01wt%の2条件を実施した。結果を図3に示す。
実施例1では、硫化水銀分離手段51の上澄みである第3液相を第1循環手段13で水銀酸化手段11の液槽部22に循環させる構成である本発明の水銀分離システムを用いているため、ゼロ価水銀を酸化するために用いるアルカリ金属ヨウ化物(ヨウ化ナトリウム)の使用量は少なかった。また、図3に示すように、実施例1は、アルカリ金属ヨウ化物を用いているため、比較例1と比べてゼロ価水銀を好適に除去することができることも確認された。そして、ヨウ素イオン濃度が上昇するのに伴い、全Hg濃度は長時間抑制され、0.01wt%以上添加することで、高Hg除去率を長時間(500時間以上)維持できることも分かった。
(比較例2)
硫化水銀分離手段51の上澄みである第3液相を第1循環手段13で水銀酸化手段11の液槽部22に循環させる構成である図1に示す水銀分離システム10を用いて、ゼロ価水銀を含むガスを処理し、処理ガスを水銀酸化手段11のガス出口から排出すると共に、硫化水銀分離手段51から固体状の硫化水銀を回収した。被処理ガスとして、ガス温度50℃、ガス量200NL/hで酸素濃度5vol%、ゼロ価水銀濃度3000μg/Nm、SO濃度3000ppm、水分12vol%、残りをNガスで調整した模擬排ガスを用いた。また、水銀吸着酸化材として、活性炭と成形助剤(ポリエチレン樹脂)と撥水処理剤(ポリテトラフロロエチレン樹脂)を混合しハニカム形状に成型した吸着材0.5Lを、水銀酸化部21に充填し、噴霧器23から、水を液ガス比(噴霧器23から噴霧される液体と被処理ガスとの比)0.5(L/Nm)の割合で水銀吸着酸化材に連続的に噴霧することにより、水銀吸着酸化材上で被処理ガスと噴霧器23から噴霧される液体が接触するようにした。なお、用いた活性炭の、比表面積測定装置(製品名「AUTOSORB−1」、ユアサアイオニクス(株)社製)を使用し液体窒素を用いて多点法によって測定されたBET比表面積は、780m/gであった。また、pH調整剤として水酸化カリウムを用いてpH調整手段31において第2液相のpHが3になるようにした。また、アルカリ金属硫化物として硫化カリウムを用いた。
水銀酸化手段11のガス出口から排出された処理ガス中の全Hg濃度を測定し、このHg濃度が100μg/Nmに到達する時間(表1において「出口ガス中のHg濃度が100μg/Nmに到達した時間」と記載する)を測定した。また、100μg/Nmに到達したときの水銀酸化手段11のガス出口から排出された処理ガス中のヨウ素ガスの濃度(表1において「出口ガス中のI濃度」と記載する)も測定した。結果を表1に示す。なお、測定装置は、還元気化紫外吸光光度法の原理に基づく、形態別水銀連続測定装置を用いた。
(実施例2)
水の代わりにヨウ化カリウムを含有する水を噴霧器23から水銀吸着酸化材に噴霧した以外は、比較例2と同様の操作を行った。KI濃度はヨウ素イオン濃度(表1において「I濃度」と記載する)として30wt%以下の範囲で実施した。結果を表1に示す。
Figure 0006235705
実施例2では、実施例1と同様に硫化水銀分離手段51の上澄みである第3液相を第1循環手段13で水銀酸化手段11の液槽部22に循環させる構成である本発明の水銀分離システムを用いているため、ゼロ価水銀を酸化するために用いるアルカリ金属ヨウ化物(ヨウ化カリウム)の使用量は少なかった。また、表1に示すように、ヨウ素イオン濃度を上昇させることで、水銀酸化手段11のガス出口から排出された処理ガスのHg濃度が抑制される時間は持続させるが、ヨウ素イオン濃度15wt%以上ではヨウ素ガスが発生し、アルカリ金属ヨウ化物のロスが発生することが確認された。したがって、アルカリ金属ヨウ化物の使用量を最適化する観点から、噴霧器23から噴霧する第1液相のアルカリ金属ヨウ化物の濃度は、15wt%未満が好ましく、10wt%程度以下がより好ましいといえる。
(実施例3)
実施例2においてヨウ素イオン濃度を1wt%とし、pH調整手段31において第2液相のpH(水素イオン濃度)を変化させ、硫化水銀生成手段41で添加する硫化カリウム中のS量と硫化水銀分離手段51から回収した硫化水銀中に含まれるHg量のモル比(S/Hg比)が1.0になるようにした以外は、実施例2と同様の条件でゼロ価水銀を含むガスを処理し、処理ガスを水銀酸化手段11から排出すると共に、硫化水銀分離手段51から固体状の硫化水銀を回収した。pH調整手段31の第2液相の水素イオン濃度と第2液相からのHg回収率との関係を求めた結果を図4に示す。なお、Hg回収率(%)は、硫化水銀生成手段41へ入ってくる時間当たりのHg重量で、同じく時間当たりに硫化水銀分離手段51で回収された硫化水銀中に含まれる水銀の重量を除した値に100を乗じて求めた。
図4に示すように、水素イオン濃度2×10−2mol/L(pH=1.7)以下で、90%近いHg回収率が得られ、1×10−2mol/L(pH=2)では99.9%以上で、その後、水素イオン濃度1×10−7mol/L(pH=7)まで、Hg回収率は99.9%以上を示した。
(実施例4)
実施例2においてヨウ素イオン濃度を1wt%とし、硫化水銀生成手段41で添加する硫化カリウム量を変化させた以外は、実施例2と同様の条件でゼロ価水銀を含むガスを処理し、処理ガスを水銀酸化手段11から排出すると共に、硫化水銀分離手段51から固体状の硫化水銀を回収した。硫化水銀生成手段41で添加された硫化カリウム中のS量と硫化水銀分離手段51で回収された硫化水銀中に含まれるHg量とのモル比(図5において「硫化水銀分離手段でのS/Hg比」と記載する)と、添加された硫化カリウムの有効利用率(図5において「添加S分の有効利用率」と記載する)との関係を図5に示す。また、硫化水銀生成手段41で添加された硫化カリウム中のS量と硫化水銀分離手段51で回収された硫化水銀中に含まれるHg量とのモル比(S/Hg比)と、そのモル比S/Hg=1.0として運転した際の水銀酸化手段11でのゼロ価水銀の吸収速度を基準(1.0)とし、S/Hgのモル比(S/Hg比)を変化させた時の水銀酸化手段11でのゼロ価水銀の吸収速度との比(図5において「Hg吸収速度比」と記載する)との関係も図5に示す。
なお、添加された硫化カリウムの有効利用率は、硫化水銀生成手段41で添加された硫化カリウム中のS量で、硫化水銀分離手段51で回収された硫化水銀中に含まれるS量を除した値に100を乗じて求めた。
また、ゼロ価水銀の吸収速度は、時間当たりに水銀酸化手段11に入ってくる排ガス中のゼロ価水銀量と、同じく時間当たりに水銀酸化手段11から出て行くゼロ価水銀量の差分にGHSV(=処理した排ガス量÷触媒量)を乗じ、水銀酸化手段11の第2循環手段の循環液量で除した値として導出し、上述したように、硫化水銀生成手段41で添加された硫化カリウム中のS量と硫化水銀分離手段51で回収された硫化水銀中に含まれるHg量とのモル比(S/Hg比)が1.0の時の速度を基準とした比(ゼロ価水銀の吸収速度比)で示した。
図5より、硫化水銀生成手段41で添加するアルカリ金属硫化物に含まれる硫黄量はS/Hg比で1.2を超えると、添加S分の有効利用率は80%未満となり不経済となることが分かった。一方、ゼロ価水銀の吸収速度は硫化水銀生成手段41で添加するアルカリ金属硫化物に含まれる硫黄量がS/Hg比=0.6以上で、S/Hg比=1.0の速度の80%以上となり、S/Hg比=1.0付近をピークに徐々に低下することが確認された。
硫化水銀生成手段41で添加するアルカリ金属硫化物に含まれる硫黄量は、この添加S分の有効利用率とHg吸収速度比を乗じた値が約80%以上となる領域が経済的に有利と考えられ、S/Hg比を0.6〜1.2程度になるように、硫化水銀生成手段41を制御することが好ましいことが分かった。
この出願は2014年5月21日に出願された日本国特許出願第2014−104888からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。
10、70 水銀分離システム
11 水銀酸化手段
12 水銀分離手段
13 第1循環手段
21 水銀酸化部
22 液槽部
23、73 噴霧器
31 pH調整手段
32 pH計
33 アルカリ金属水酸化物収容容器
34、44、61、72 ポンプ
41 硫化水銀生成手段
42 酸化還元電位測定手段
43 アルカリ金属硫化物収容容器
51 硫化水銀分離手段
71 ヨウ素ガス回収手段

Claims (21)

  1. ゼロ価水銀を含むガスに含まれるゼロ価水銀を、アルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相を用いて酸化して前記第1液相中に取り込むことにより2価水銀イオン及びヨウ化物イオンを含む第2液相を得る水銀酸化工程と、
    前記水銀酸化工程で得られた前記第2液相のpHを、pH調整剤を用いて調整すると共に、アルカリ金属硫化物を添加することにより、前記2価水銀イオンを硫化水銀として分離する水銀分離工程と、
    前記水銀分離工程で硫化水銀が分離されて得られたアルカリ金属イオン及びヨウ化物イオンを含む第3液相を循環させて前記水銀酸化工程の前記第1液相として用いる第1循環工程と、
    を有することを特徴とするゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  2. 前記水銀酸化工程で用いるアルカリ金属ヨウ化物のアルカリ金属と、前記水銀分離工程で用いる前記アルカリ金属硫化物のアルカリ金属が、同じアルカリ金属であることを特徴とする請求項1に記載するゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  3. 前記水銀酸化工程において、炭素系材料からなる水銀吸着酸化材上で前記ゼロ価水銀を含むガスと前記第1液相とを接触させることを特徴とする請求項1又は2に記載するゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  4. 前記炭素系材料が撥水処理されていることを特徴とする請求項3に記載するゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  5. 前記ゼロ価水銀を含むガスが硫黄酸化物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載するゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  6. 前記ゼロ価水銀を含むガスが酸素を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載するゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  7. 前記水銀酸化工程は、前記第2液相を捕集し該捕集された前記第2液相を循環させて前記第1液相として用いる第2循環工程を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載するゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  8. 前記アルカリ金属ヨウ化物が、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム及びヨウ化ナトリウムから選択される少なくとも一種であり、前記第1液相中のヨウ素イオン濃度が0.01〜10wt%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載するゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  9. 前記水銀分離工程において、前記pH調整剤が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから選択される少なくとも一種であり、前記第2液相のpHを1.7〜7に調整することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載するゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  10. 前記水銀分離工程において、前記アルカリ金属硫化物が、硫化リチウム、硫化ナトリウム及び硫化カリウムから選択される少なくとも一種であり、前記アルカリ金属硫化物に含まれる硫黄量は、該アルカリ金属硫化物を添加する前記第2液相に含まれる2価水銀に対して、モル比で、0.6〜1.2倍であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載するゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  11. 前記水銀分離工程において、前記アルカリ金属硫化物が添加される前記第2液相の酸化還元電位に基づいて、前記アルカリ金属硫化物の添加を制御することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載するゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  12. 前記水銀酸化工程で生成したヨウ素ガスにアルカリ金属水酸化物を接触させてヨウ素ガスを吸収するヨウ素ガス回収工程を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載するゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  13. 前記ヨウ素ガス回収工程で得られたヨウ素ガスが吸収された溶液を前記水銀分離工程に循環することを特徴とする請求項12に記載するゼロ価水銀を含むガスの処理方法。
  14. ゼロ価水銀を含むガスが導入されると共に、前記ゼロ価水銀を、アルカリ金属ヨウ化物を含む第1液相を用いて酸化して前記第1液相中に取り込むことにより2価水銀イオン及びヨウ化物イオンを含む第2液相を得る水銀酸化手段と、
    前記水銀酸化手段から排出された前記第2液相のpHを、pH調整剤を用いて調整すると共に、アルカリ金属硫化物を添加することにより、前記2価水銀イオンを硫化水銀として分離する水銀分離手段と、
    前記水銀分離手段で硫化水銀が分離されて得られたアルカリ金属イオン及びヨウ化物イオンを含む第3液相を循環させて前記水銀酸化手段の前記第1液相として用いる第1循環手段とを有することを特徴とする水銀分離システム。
  15. 前記水銀酸化手段は、前記ゼロ価水銀を第1液相を用いて酸化して前記第1液相中にとり込む水銀酸化部と、該水銀酸化部と連通し前記第2液相を収容する液槽部を有し、
    前記液槽部に収容された前記第2液相を前記水銀酸化部に循環させて前記第1液相として用いる第2循環手段を有することを特徴とする請求項14に記載する水銀分離システム。
  16. 前記液槽部のヨウ素イオン濃度が0.01〜10wt%であることを特徴とする請求項15に記載する水銀分離システム。
  17. 前記液槽部にアルカリ金属ヨウ化物を添加するアルカリ金属ヨウ化物添加手段を有することを特徴とする請求項15又は16に記載する水銀分離システム。
  18. 前記水銀分離手段は、前記アルカリ金属硫化物が添加される前記第2液相の酸化還元電位を測定する酸化還元電位測定手段と、該酸化還元電位測定手段で測定された酸化還元電位に基づいて前記アルカリ金属硫化物の添加を制御する添加制御手段を有することを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載する水銀分離システム。
  19. 前記水銀酸化手段で生成したヨウ素ガスにアルカリ金属水酸化物を接触させてヨウ素ガスを吸収するヨウ素ガス回収手段を有することを特徴とする請求項14〜18のいずれか一項に記載する水銀分離システム。
  20. 前記ヨウ素ガス回収手段から排出されるヨウ素ガスを吸収した溶液を前記水銀硫化物分離手段に循環する第3循環手段を有することを特徴とする請求項19に記載する水銀分離システム。
  21. 炭素系材料からなる水銀吸着酸化材を充填した水銀酸化部と、該水銀酸化部にゼロ価水銀を含むガスを導入して流通させるガス導入手段と、該水銀酸化部にアルカリ金属ヨウ化物を含む液を導入して前記水銀吸着酸化材の表面を流下させるアルカリ金属ヨウ化物供給手段と、流下した液を収容する液槽部とを有する水銀酸化装置と、
    前記液槽部から引き抜かれた液にpH調整剤を添加するpH調整手段と、該引き抜かれた液にアルカリ金属硫化物を添加して硫化水銀を生成する硫化水銀生成手段と、pHが調整されアルカリ金属硫化物が添加された液中に生成した硫化水銀を分離する硫化水銀分離手段とを有する水銀分離装置と、
    前記水銀分離装置の前記硫化水銀分離手段で硫化水銀が分離除去された液を前記水銀酸化装置に循環する第1循環手段とを有することを特徴とする水銀分離システム。

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