JP6235308B2 - 繊維強化樹脂複合体用強化繊維基材、及びその成形体 - Google Patents
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Description
(1)前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が100℃以上である。
(2)前記熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)が、結晶性樹脂の場合には結晶融解温度より30℃高い温度において20〜80g/10minであり、非晶性樹脂の場合にはガラス転移温度より120℃高い温度において20〜80g/10minである。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂からなる繊維(以下、熱可塑性繊維と称することがある)は、力学物性や耐熱性、難燃性、寸法安定性の観点から、該繊維を形成する樹脂のガラス転移温度が100℃以上であることが重要である。一般に、高分子の力学物性は非晶部の分子が動き出すガラス転移温度で大きく落ち込むことがよく知られている。例えば、PETやナイロン6等のような200℃以上の融点を持つ熱可塑性繊維であっても、その力学物性は60〜80℃付近のガラス転移温度で大きく落ち込んでしまうため、耐熱性に優れているとは言い難い。従って、ガラス転移温度が100℃未満の熱可塑性繊維を用いると、得られる繊維強化樹脂複合体の耐熱性が高いとは言えず、実使用に制限がかかるものとなる。本発明で用いる熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、好ましくは105℃以上、更に好ましくは110℃以上である。なお、前記ガラス転移温度は、後述する実施例に記載の測定方法により算出されるものである。
本発明の熱可塑性繊維からなる不織布の製造方法は特に限定はなく、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スチームジェット不織布、乾式抄紙法、湿式抄紙法等が挙げられる。本発明の不織布には、ポリビニルアルコール系繊維等の水溶性ポリマー繊維、ポリエチレンテレフタレート系繊維等の熱融着繊維、パラ系アラミド繊維や全芳香族ポリエステル系繊維のパルプ状物)等を含んでいてもよい。また、紙の均一性や圧着性を高めるために、スプレードライによるバインダーを塗布したり、熱プレス工程を加えたりしてもよい。
本発明で用いる強化繊維については、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、有機繊維であっても無機繊維であってもよく、また、単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、無機繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、玄武岩繊維、各種メタル繊維(例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、チタン、ステンレス等)を例示することができ、また、有機繊維としては、全芳香族ポリエステル系繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、アラミド繊維、ポリスルフォンアミド繊維、フェノール樹脂繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維等を例示することができる。
本発明の繊維強化樹脂複合体は、前記強化繊維からなる織物、編み物、及び引き揃え糸シート状物からなる群より選択された少なくとも1つの形態を有する布帛に対して、前記熱可塑性繊維で構成された不織布を重ね合わせてなる強化繊維基材を用いることが重要である。好ましくは、前記強化繊維基材を一枚ないしは複数枚積層して、該熱可塑性繊維の流動開始温度以上の温度で加熱加圧成形することで繊維強化樹脂複合体を得ることができる。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、レオロジ社製の固体動的粘弾性装置「レオスペクトラDVE−V4」を用い、周波数10Hz、昇温速度10℃/minで損失正接(tanδ)の温度依存性を測定し、そのピーク温度から求めた。ここで、tanδのピーク温度とは、tanδの値の温度に対する変化量の第1次微分値がゼロとなる温度のことである。
熱可塑性樹脂のMFRは、テクノセブン社製の「メルトインデクサー L244−2531」を用い、結晶性樹脂の場合には結晶融解温度より30℃高い温度において、非晶性樹脂の場合にはガラス転移温度より120℃高い温度において、ノズル径2.095mmφ、荷重6.66kg、10分間における吐出量を測定することにより算出した。
熱可塑性樹脂の分子量分布は、Waters社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、1500ALC/GPC(ポリスチレン換算)を用いて測定した。クロロホルムを溶媒として、0.2重量%となるように試料を溶解した後、ろ過して測定に供した。得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比から、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
熱可塑性繊維のマルチフィラメントから無作為に100本抜き出し、それぞれの繊度を測定し、単繊維の平均繊度を求めた。
熱可塑性繊維のカット糸から無作為に100本抜き出し、それぞれの繊維長を測定し、平均繊維長を求めた。
熱可塑性繊維からなる不織布に関して、JIS L1913試験法に準じて測定し、n=3の平均値を採用した。
繊維強化樹脂複合体に関して、24℃ならびに100℃における曲げ強度ならびに曲げ弾性率は、ASTM790に準拠して測定した。
繊維強化樹脂複合体の難燃性は、UL94 V規格の方法に準拠して測定した。
強化繊維基材の含浸性に関する評価は、繊維強化樹脂複合体の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、断面中にボイドが占める面積比率により以下の通り3段階で評価した。
○:ボイドが占める面積が10%未満
△:ボイドが占める面積が10%以上30%未満
×:ボイドが占める面積が30%以上
強化繊維基材の賦形成形性に関し、図1のような金型を用いて成形した際に、得られる繊維強化樹脂複合体の外観を観察することにより、以下の観点から3段階で評価した。
○:外観に皺等が見られず、良好である。
△:一部外観に皺等が見られる。
×:一部外観に穴等が見られ、不良である。
(1)非晶性樹脂であるポリエーテルイミド(以下、PEIと略称することがある)系ポリマー(サービックイノベイティブプラスチックス社製「ULTEM9001」)を150℃で12時間真空乾燥した。ここで用いた樹脂のガラス転移温度は217℃であり、MFRは、337℃(前記ガラス転移温度より120℃高い)で42g/10minであった。
(2)上記(1)のポリマーを紡糸ヘッド温度390℃、紡糸速度1500m/分、吐出量50g/分の条件で丸孔ノズルより吐出し、2640dtex/1200fのPEI系繊維のマルチフィラメントを得た。次いで、得られた繊維を捲縮加工した後、長さを51mmにカットし、ステープルファイバーを得た。
(3)得られた繊維の外観は毛羽等なく良好で、単繊維の平均繊度は2.2dtex、平均繊維長は51.1mmであった。
(4)得られたステープルファイバーをスパンレース法により布帛化し、190℃でロールプレスすることにより、目付け100g/m2、厚み0.5mm、かさ密度0.2g/cm3のPEI系繊維からなる不織布を得た。
(5)強化繊維からなる布帛としての炭素繊維織物(東邦テナックス社製「W−3101:3K織物、200g/m2目付け」の上下両面に、上記(4)で得られたPEI系繊維からなる不織布を重ね合わせたものを1セットとして強化繊維基材を得た。該繊維基材を6枚積層させた後(総目付け=2400g/m2)、PEI系繊維が全て溶ける温度である360℃で3分間圧縮成形して平板を成形し、繊維強化樹脂複合体を得た。なお、該複合体における強化繊維と熱可塑性樹脂の重量比率は1:1である。
(6)得られた複合体の外観は良好であり、また複合体断面内のボイドも殆ど観測されず、含浸性に優れる結果となった。室温での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、710MPa、41.7GPa、100℃での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、570MPa、33.8GPaで、その保持率はそれぞれ、80%、81%となり、耐熱性に優れるものであった。また、難燃性はUL94V−0規格に合格した。
(7)(5)と同様の繊維基材を用いて図1に示す金型にて賦形成形を実施した。得られた繊維強化樹脂複合体は目立った皺や基材の目ズレ等も起こっておらず、外観は良好で賦形成形性に優れるものであった。
参考例1の(4)の不織布に関して、目付け40g/m2、厚み0.2mm、かさ密度0.2g/cm3とし、且つ(5)の複合体に関して、重量比率(強化繊維:熱可塑性樹脂)が1:2.5となるように強化繊維基材を積層させたこと以外は、参考例1と同様な方法で繊維強化樹脂複合体を得た。得られた複合体の外観は良好であり、室温での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、990MPa、58.4GPa、100℃での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、832MPa、50.2GPaで、その保持率はそれぞれ、84%、86%となり、耐熱性に優れるものであった。また、難燃性はUL94V−0規格に合格し、含浸性、及び賦形成形性にも優れるものであった。
参考例1の(5)の強化繊維からなる布帛に関して、ガラス繊維織物(ユニチカ社製「M205K104H:200g/m2」としたこと以外は参考例1と同様な方法で繊維強化樹脂複合体を得た。得られた複合体の外観は良好であり、室温での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、550MPa、19.1GPa、100℃での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、440MPa、15.5GPaで、その保持率はそれぞれ、80%、81%となり、耐熱性に優れるものであった。また、難燃性はUL94V−0規格に合格し、含浸性、及び賦形成形性にも優れるものであった。
(1)結晶性樹脂である半芳香族ポリアミド系ポリマー(クラレ社製「ジェネスタPA9MT」)を80℃で12時間真空乾燥した。ここで用いた樹脂のガラス転移温度は125℃、結晶融解温度は262℃であり、MFRは、292℃(記結晶融解温度より30℃高い)で30g/10minであった。
(2)上記(1)のポリマーを紡糸ヘッド温度310℃、紡糸速度1500m/分、吐出量50g/分の条件で丸孔ノズルより吐出し、半芳香族ポリアミド系繊維のマルチフィラメントを得た。次いで、得られた繊維に捲縮加工を施し、長さを51mmにカットしてステープルファイバーを得た。
(3)得られた繊維の外観は毛羽等なく良好で、単繊維の平均繊度は0.7dtex、平均繊維長は51.2mmであった。
(4)得られたステープルファイバーをスパンレース法により布帛化し、150℃でロールプレスすることにより、目付け100g/m2、厚み0.5mm、かさ密度0.2g/cm3の半芳香族ポリアミド系繊維からなる不織布を得た。
(5)強化繊維からなる布帛としての炭素繊維織物(東邦テナックス社製「W−3101:3K織物、200g/m2目付け」の上下両面に、上記(4)で得られた半芳香族ポリアミド系繊維からなる不織布を重ね合わせたものを1セットとして強化繊維基材を得た。
該繊維基材を6枚積層させた後(総目付け=2400g/m2)、半芳香族ポリアミド系繊維が全て溶ける温度である320℃で3分間圧縮成形して平板を成形し、繊維強化樹脂複合体を得た。
(6)得られた複合体の外観は良好であり、室温での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、600MPa、48.3GPa、100℃での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、498MPa、40.6GPaで、その保持率はそれぞれ、83%、84%となり、耐熱性に優れるものであった。一方、半芳香族ポリアミド系樹脂が難燃性を有しないため、UL94V−0規格には合格しなかったが、含浸性、及び賦形成形性には優れるものであった。
(1)結晶性樹脂であるポリエーテルケトンケトン(以下、PEKKと略称することがある)系ポリマー(アルケマ社製「8000番シリーズ」)を80℃で12時間真空乾燥した。ここで用いた樹脂のガラス転移温度は160℃、結晶融解温度は305℃であり、MFR、335℃(前記結晶融解温度より30℃高い)で50g/10minであった。
(2)上記(1)のポリマーを紡糸ヘッド温度370℃、紡糸速度1500m/分、吐出量50g/分の条件で丸孔ノズルより吐出し、PEKK系繊維のマルチフィラメントを得た。次いで、得られた繊維に捲縮加工を施し、長さを51mmにカットしてステープルファイバーを得た。
(3)得られた繊維の外観は毛羽等なく良好で、単繊維の平均繊度は5.0dtex、平均繊維長は51.1mmであった。
(4)ステープルファイバーをスパンレース法により布帛化し、190℃でロールプレスすることにより、目付け100g/m2、厚み0.5m、かさ密度0.2g/cm3のPEKK系繊維からなる不織布を得た。
(5)強化繊維からなる布帛としての炭素繊維織物(東邦テナックス社製「W−3101: 3K織物、200g/m2目付け」の上下両面に、上記(4)で得られたPEKK系繊維からなる不織布を重ね合わせたものを1セットとして強化繊維基材を得た。該繊維基材を6枚積層させた後(総目付け=2400g/m2)、PEKK系繊維が全て溶ける温度である390℃で3分間圧縮成形して平板を成形し、繊維強化樹脂複合体を得た。
(6)得られた複合体の外観は良好であり、室温での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、730MPa、42.5GPa、100℃での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、621MPa、36.1GPaで、その保持率はそれぞれ、85%、85%となり、耐熱性に優れるものであった。また、難燃性はUL94V−0規格に合格し、含浸性、及び賦形成形性にも優れるものであった。
(1)結晶性樹脂である熱可塑性ポリイミド系ポリマー(三井化学社製「PL450C」)を80℃で12時間真空乾燥した。ここで用いた樹脂のガラス転移温度は250℃、結晶融解温度は387℃であり、MFRは、417℃(前記結晶融解温度より30℃高い)で55g/10minであった。
(2)上記(1)のポリマーを紡糸ヘッド温度420℃、紡糸速度1500m/分、吐出量50g/分の条件で丸孔ノズルより吐出し、熱可塑性ポリイミド系繊維のマルチフィラメントを得た。次いで、得られた繊維に捲縮加工を施し、長さを51mmにカットしてステープルファイバーを得た。
(3)得られた繊維の外観は毛羽等なく良好で、単繊維の平均繊度は5.6dtex、平均繊維長は51.1mmであった。
(4)上記(3)で得られた繊維ステープルファイバーをスパンレース法により布帛化し、190℃でロールプレスすることにより、目付け100g/m2、厚み0.5mm、かさ密度0.2g/cm3の熱可塑性ポリイミド系繊維からなる不織布を得た。
(5)強化繊維基材としての炭素繊維織物(東邦テナックス社製「W−3101:3K織物、200g/m2目付け」の上下両面に、上記(4)で得られた熱可塑性ポリイミド系繊維からなる不織布を重ね合わせたものを1セットとして強化繊維基材を得た。該繊維基材を6枚積層させた後(総目付け=2400g/m2)、熱可塑性ポリイミド系繊維が全て溶ける温度である400℃で3分間圧縮成形して平板を成形し、繊維強化樹脂複合体を得た。
(6)得られた複合体の外観は良好であり、成形時の操作性にも優れていた。室温での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、650MPa、41.5GPa、100℃での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、585MPa、36.9GPaで、その保持率はそれぞれ、90%、89%となり、耐熱性に優れるものであった。また、難燃性はUL94V−0規格に合格し、含浸性、及び賦形成形性にも優れるものであった。
(1)参考例1のポリエーテルイミド系ポリマーを、より粘度の低い樹脂(サービックイノベイティブプラスチックス社製「ULTEM1040」)としたこと以外は、参考例1と同様の方法にて目付け100g/m2、厚み0.5mm、かさ密度0.2g/cm3のPEI系繊維からなる不織布を得た。ここで用いた樹脂のガラス転移温度は217℃で、MFRは337℃(前記ガラス転移温度より120℃高い)で105g/10minであった。
(2)強化繊維基材としての炭素繊維織物(東邦テナックス社製「W−3101:3K織物、200g/m2目付け」の上下両面に、上記(1)で得られたPEI系繊維からなる不織布を重ね合わせたものを1セットとして強化繊維基材を得た。該繊維基材を6枚積層させた後(総目付け=2400g/m2)、PEI系繊維が全て溶ける温度である360℃で3分間圧縮成形して平板を成形し、繊維強化樹脂複合体を得た。
(3)得られた複合体の外観は良好であり、また複合体断面内のボイドも殆ど観測されなかった。しかし、室温での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、560MPa、39.1GPa、100℃での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、420MPa、30.1GPaで、その保持率がそれぞれ75%、77%となり、力学物性に劣るものであった。一方、難燃性はUL94V−0規格に合格した。
(4)(2)と同様の繊維基材を用いて図1に示す金型にて賦形成形を実施した。得られた繊維強化樹脂複合体は、目立った皺や基材の目ズレ等も起こっておらず、賦形成形性の点では問題ないが、前述したように、用いる樹脂の粘度が低いために力学物性に劣るものであった。
(1)強化繊維基材としての炭素繊維織物(東邦テナックス社製「W−3101:3K織物、200g/m2目付け」の上下両面に、PEI系樹脂からなるフィルム(住友ベークライト社製「スミライトFS−1450:厚み75μm」)を重ね合わせたものを1セットとして強化繊維基材を得た。該繊維基材を6枚積層させた後(総目付け=2340g/m2)、PEI系フィルムが全て溶ける温度である360℃で3分間圧縮成形して平板を成形し、繊維強化樹脂複合体を得た。なお、ここで用いた樹脂のガラス転移温度は217℃、MFRは、337℃(前記ガラス転移温度より120℃高い)で42g/10minであった。
(2)得られた複合体の外観は良好であったが、複合体断面中に確認できるボイドが観測され、含浸性に劣る結果であった。また、室温での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、610MPa、38.1GPa、100℃での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ、476MPa、30.1GPaで、その保持率がそれぞれ78%、79%となり、力学物性に劣るものであった。一方、難燃性はUL94V−0規格に合格した。
(3)(1)と同様の繊維基材を用いて図1に示す金型にて賦形成形を実施した。得られた繊維強化樹脂複合体はやや皺や繊維基材のズレ等が起こり、外観不良が発生し、賦形成形性に劣るものであった。
(1)強化繊維基材としての炭素繊維織物(東邦テナックス社製「W−3101:3K織物、200g/m2目付け」に、予め粉砕し、平均粒径が80μmであるPEI系パウダーを塗し、それを熱プレス成形機により300℃で3分間プレス成形し、強化繊維基材を作成した。ここで用いた樹脂のガラス転移温度は217℃で、MFRは337℃(前記ガラス転移温度より120℃高い)で42g/10minであった。この強化繊維基材を6枚積層させた後(総目付け=3050g/m2)、PEI系パウダーが全て溶ける温度である360℃で3分間圧縮成形して平板を成形し、繊維強化樹脂複合体を得た。成形時における基材の設置等の操作性は良好であった。
(2)得られた複合体の外観は良好であったが、成形品断面中に確認できるボイドが観測され、含浸性に劣る結果となった。室温での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ600MPa、37.5GPa、100℃での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ462MPa、28.9GPaであり、その保持率がそれぞれ77%、77%となり、力学物性に劣るものであった。一方、難燃性はUL94V−0規格に合格した。
(3)図1に示す金型にて賦形成形を実施したところ、成形品外観に皺が確認され、賦形成形性に劣るものであった。
(1)結晶性樹脂であるポリアミド系ポリマー(宇部興産社製「UBEナイロン6」)を90℃で12時間真空乾燥した。ここで用いた樹脂のガラス転移温度は48℃、結晶融解温度は225℃であり、MFRは、255℃(前記結晶融解温度より30℃高い)で40g/10minであった。
(2)上記(1)のポリマーを紡糸ヘッド温度230℃、紡糸速度3000m/分、吐出量25g/分の条件で丸孔ノズルより吐出し、ポリアミド系繊維のマルチフィラメントを得た。次いで、得られた繊維に捲縮加工を施し、長さを51mmにカットしてステープルファイバーを得た。
(3)得られた繊維の外観は毛羽等なく良好で、単繊維の平均繊度は3.0dtex、平均繊維長は51.0mmであった。
(4)上記(3)で得られた繊維ステープルファイバーをスパンレース法により布帛化し、150℃でロールプレスすることにより、目付け100g/m2、厚み0.5mm、かさ密度0.2g/cm3のポリアミド系繊維からなる不織布を得た。
(5)強化繊維基材としての炭素繊維織物(東邦テナックス社製「W−3101:3K織物、200g/m2目付け」の上下両面に、上記(4)で得られたポリアミド系繊維からなる不織布を重ね合わせたものを1セットとして強化繊維基材を得た。該繊維基材を6枚積層させた後(総目付け=2400g/m2)、ポリアミド系繊維が全て溶ける温度である250℃で3分間圧縮成形して平板を成形し、繊維強化樹脂複合体を得た。
(6)得られた複合体の外観は良好であり、また、含浸性、及び賦形成形性にも優れるものであった。しかし、室温での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ620MPa、45.0GPa、100℃での曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ267MPa、18.0GPaで、その保持率はそれぞれ、43%、40%となり、耐熱性に大きく劣るものであった。更に、難燃性についてはUL94V−0規格に合格しなかった。
2:金型の上蓋
Claims (7)
- 強化繊維からなる織物、編み物、及び引き揃え糸シート状物からなる群より選択された少なくとも1つの形態を有する布帛に対して、熱可塑性樹脂からなる繊維のステープルファイバーで構成された不織布を重ね合わせてなる強化繊維基材であって、前記強化繊維基材を構成する熱可塑性樹脂からなる繊維が半芳香族ポリアミド系繊維であり、以下の条件を全て満たすことを特徴とする強化繊維基材。
(1)前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度が100℃以上である。
(2)前記熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)が、結晶性樹脂の場合には結晶融解温度より30℃高い温度において20〜80g/10minであり、非晶性樹脂の場合にはガラス転移温度より120℃高い温度において20〜80g/10minである。 - 前記強化繊維基材を構成する、熱可塑性樹脂からなる繊維の単繊維の平均繊度が0.1〜12dtexであり、且つ前記熱可塑性樹脂からなる繊維で構成された不織布の目付けが5〜500g/m2、厚みが0.1〜10mm、及びかさ密度が0.01〜1.0g/cm3であることを特徴とする、請求項1に記載の強化繊維基材。
- 前記半芳香族ポリアミド系繊維が、芳香族ジカルボン酸単位と炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位とからなるポリアミド系樹脂からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の強化繊維基材。
- 前記半芳香族ポリアミド系繊維が、テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位と、1,9−ノナンジアミン単位及び/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位とからなるポリアミド系樹脂からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の強化繊維基材。
- 前記強化繊維基材を構成する強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、全芳香族ポリエステル繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、メタル繊維からなる群より選択された少なくとも1種で構成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の強化繊維基材。
- 前記強化繊維基材を、該繊維基材を構成する熱可塑性樹脂からなる繊維の流動開始温度よりも高い温度にて加熱加圧成形して得られることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の強化繊維基材より得られる繊維強化樹脂複合体。
- 前記強化繊維基材を、該繊維基材を構成する熱可塑性樹脂からなる繊維の流動開始温度よりも高い温度にて加熱加圧成形して繊維強化樹脂複合体を得る際に、予め該流動開始温度よりも低い温度にて加圧成形し、半含浸状態とすることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の強化繊維基材より得られる繊維強化樹脂複合体。
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