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JP6226011B2 - インク収容体、インクジェット記録方法 - Google Patents

インク収容体、インクジェット記録方法 Download PDF

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JP6226011B2 JP2016059668A JP2016059668A JP6226011B2 JP 6226011 B2 JP6226011 B2 JP 6226011B2 JP 2016059668 A JP2016059668 A JP 2016059668A JP 2016059668 A JP2016059668 A JP 2016059668A JP 6226011 B2 JP6226011 B2 JP 6226011B2
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Description

本発明は、インク収容体、当該収容体に収容されている紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物、及びインクジェット記録装置に関する。
従来、紙などの被記録媒体に、画像データ信号に基づき画像を形成する記録方法として、種々の方式が利用されてきた。このうち、インクジェット方式は、安価な装置で、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、インクジェット方式は騒音が小さいため、記録方法として優れている。
近年、高い耐水性、耐溶剤性、及び耐擦過性などを有する画像を被記録媒体の表面に形成するため、インクジェット方式の記録方法において紫外線を照射すると硬化する、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物が使用されている。
例えば、特許文献1は、色材と水と活性エネルギー線架橋性高分子化合物とを含有するインクジェット用インクにおいて、該活性エネルギー線架橋性化合物が親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物であり、25℃におけるインク中の溶存酸素濃度が0.05ppm以上、1.8ppm以下であるインクジェット用インクを開示し、当該インクにより出射性に優れ、写像性光沢に優れ、ブリード耐性、耐擦過性に優れる旨も開示している(文献1の段落0023)。
例えば、特許文献2は、水溶性媒体中に少なくとも色材、紫外線重合性化合物、及び光重合開始剤を含有する紫外線硬化性のインクジェットインクであって、25℃における該インク中の溶存酸素濃度が0.1〜2ppmであるインクジェットインクを開示し、これにより長期に渡って記録を行っても、安定した射出性能が得られる旨も開示している(文献2の段落0017,0019)。
特開2007−138070号公報 特開2004−196936号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示のインクは共に、硬化性、保存安定性、及び吐出安定性のうち少なくともいずれかに劣るという問題が生じる。
そこで、本発明は、硬化性、保存安定性、及び吐出安定性に優れた紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を収容したインク収容体を提供することを目的の一つとする。
また、本発明は、上記インク収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物、及び当該紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を用いたインクジェット記録装置を提供することも目的の一つとする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。まず、インクジェット記録装置(以下、単に「記録装置」とも言う。)に好適に使用できるようにするため、吐出安定性及び硬化性に優れた紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物(以下、単に「インク組成物」とも言う。)を検討した。その結果、所定のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含み、かつ、脱気処理を行うこと等により溶存酸素量(溶存空気量)を所定値以下まで減少させたインク組成物をインク収容体に収容するとよいことを見出した。
ここで、所定のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含むインク組成物は、硬化性に非常に優れる一方、保存安定性に劣る場合があることを知見した。そこで、本発明者らは更に検討を重ねた結果、重合禁止剤としてのヒンダードアミン化合物をさらに含むインク組成物を収容したインク収容体により、溶存酸素量が小さい場合であっても保存安定性に優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、ヒンダードアミン化合物と、を少なくとも含み、かつ、溶存酸素量が20ppm以下である紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を収容した、インク収容体。
[2]
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、チオキサントン化合物をさらに含む、[1]に記載のインク収容体。
[3]
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物に接触する構成材料の酸素透過度が23℃且つ湿度65%において、5.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下である、[1]又は[2]に記載のインク収容体。
[4]
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を100〜1,000mLの容量で収容可能な、[1]又は[2]に記載のインク収容体。
[5]
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類がアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、[1]〜[4]のいずれかに記載のインク収容体。
[6]
前記ヒンダードアミン化合物が2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載のインク収容体。
[7]
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の含有量が、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の総質量に対し、10〜70質量%である、[1]〜[6]のいずれかに記載のインク収容体。
[8]
前記チオキサントン化合物の含有量が、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の総質量に対し、0.5〜4質量%である、[2]〜[7]のいずれかに記載のインク収容体。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載のインク収容体に収容されている、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物。
[10]
[1]〜[8]のいずれかに記載のインク収容体に収容された前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を、ヘッドから吐出する吐出手段を少なくとも備えた、インクジェット記録装置。
[11]
ヘッドから吐出する前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の溶存酸素量が20ppm以下である、[10]に記載のインクジェット記録装置。
[12]
インク収容体からヘッドへインクを供給する過程でインクの溶存酸素量が上昇する、[11]に記載のインクジェット記録装置。
[13]
[1]〜[8]のいずれかに記載のインク収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を、ヘッドから吐出する吐出工程を少なくとも備えた、インクジェット記録方法。
本発明のインク収容体の一例であるインクパックを示す斜視図である。 本発明のインクジェット記録装置のヘッドの周囲の一例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において、「硬化性」とは、光に感応して硬化する性質をいう。「保存安定性」とは、インク組成物を保存したときに、保存前後における粘度が変化しにくい性質をいう。「吐出安定性」とは、ノズルの目詰まりがなく常に安定したインク組成物の液滴をノズルから吐出させる性質をいう。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
[インク収容体]
本発明の一実施形態は、所定の紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を収容したインク収容体に係る。当該インク組成物は、後述の一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(以下、単に「ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類」とも言う。)と、ヒンダードアミン化合物と、を少なくとも含む。これに加えて、上記インク収容体に収容されたインク組成物の溶存酸素量が20ppm以下である。
以下、本実施形態におけるインク組成物に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
〔重合性化合物〕
インク組成物に含まれる重合性化合物は、単独で、又は後述する光重合開始剤の作用により、光照射時に重合されて、印刷されたインクを硬化させることができる。
(ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類)
インク組成物は、重合性化合物として下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含む。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
インク組成物が当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有することにより、インクの硬化性を優れたものとすることができ、さらにインクを低粘度化することもできる。さらに言えば、ビニルエーテル基を有する化合物及び(メタ)アクリル基を有する化合物を別々に使用するよりも、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリル基を一分子中に共に有する化合物を使用する方が、インクの硬化性を良好にする上で好ましい。
上記の一般式(I)において、R2で表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記の一般式(I)において、R3で表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
これらの中でも、インクをより低粘度化でき、引火点が高く、かつ、インクの硬化性に優れるため、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、即ち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。特にアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルは、何れも単純な構造であって分子量が小さいため、インクを顕著に低粘度化することができる。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルに比べて硬化性の面で優れている。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、特に(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、10〜70質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。含有量が10質量%以上であると、インクを低粘度化でき、かつ、インクの硬化性を一層優れたものとすることができる。一方で、含有量が70質量%以下であると、インクの保存安定性を優れた状態に維持することができる。
なお、上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の含有量が上記の好ましい範囲の上限に近い場合、インク組成物の保存安定性が悪化し得る。だが、後述のヒンダードアミン化合物が上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と共にインク組成物に含まれることにより、上記の場合であっても優れた保存安定性を維持することができる。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の製造方法としては、以下に限定されないが、(メタ)アクリル酸と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法B)、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法C)、(メタ)アクリル酸無水物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法D)、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有ビニルエーテルとをエステル交換する方法(製法E)、(メタ)アクリル酸とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法F)、(メタ)アクリル酸アルカリ(土類)金属塩とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法G)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとカルボン酸ビニルとをビニル交換する方法(製法H)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとアルキルビニルエーテルとをエーテル交換する方法(製法I)が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態に所望の効果を一層発揮することができるため、製法Eが好ましい。
(上記以外の重合性化合物)
上記以外の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物」という。)としては、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及びアクリロイルモルホリン、並びにそれらの誘導体などが挙げられる。
その他の重合性化合物のうち、(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい。
上記(メタ)アクリレートのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
上記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、その他の重合性化合物は単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。この場合、インク組成物が低粘度となり、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性に優れ、かつ、インクジェット記録時の吐出安定性が得られやすい。さらに塗膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性が増すため、単官能(メタ)アクリレート及び2官能(メタ)アクリレートを併用することがより好ましく、中でもフェノキシエチル(メタ)アクリレート及びジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを併用することがさらに好ましい。
上記その他の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記その他の重合性化合物の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、5〜85質量%が好ましく、15〜80質量%がより好ましい。含有量が上記範囲内であると、粘度及び臭気を低下させることができるとともに、光重合開始剤の溶解性及び反応性を優れたものとすることができる。
〔重合禁止剤〕
インク組成物は、重合禁止剤として少なくともヒンダードアミン化合物を含む。
(ヒンダードアミン化合物)
インク組成物が重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物を含むことにより、インクの保存安定性を優れたものとすることができる。
このヒンダードアミン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−アルキル骨格を有する化合物、及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−アシル骨格を有する化合物などが挙げられる。
ヒンダードアミン化合物の市販品として、アデカスタブ LA−7RD(2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル)(ADEKA社製商品名)、IRGASTAB UV 10(4,4’−[1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,2,6,6−テトラメチル]−1−ピペリジニルオキシ)(CAS.2516−92−9)、TINUVIN 123(4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)(以上、BASF社製商品名)、FA−711HM、FA−712HM(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、日立化成工業社(Hitachi Chemical Company, Ltd.)製商品名)、TINUVIN 111FDL、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 765、TINUVIN 770DF、TINUVIN 5100、SANOL LS−2626、CHIMASSORB 119FL、CHIMASSORB 2020 FDL、CHIMASSORB 944 FDL、TINUVIN 622 LD(以上、BASF社製商品名)、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63P、LA−68LD、LA−77Y、LA−77G、LA−81、LA−82(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート)、LA−87(以上、ADEKA社製商品名)が挙げられる。
なお、上記の市販品のうち、LA−82は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−メチル骨格を有する化合物であり、アデカスタブLA−7RDは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物である。
上記の中でも、優れた硬化性を維持しつつインクの保存安定性を一層優れたものとすることができるため、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物が好ましい。
上記の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物の具体例として、以下に限定されないが、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、4,4’−[1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,2,6,6−テトラメチル]−1−ピペリジニルオキシ、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルが挙げられる。
上記の市販品として、例えば、アデカスタブLA−7RD、IRGASTAB UV 10が挙げられる。
ヒンダードアミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ヒンダードアミン化合物の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、0.05〜0.5質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。含有量が0.05質量%以上であると、インクの保存安定性を一層優れたものとすることができ、含有量が0.1質量%以上であると、インクの保存安定性をより一層優れたものとすることができる。また、含有量が0.5質量%以下であると、優れた硬化性を効果的に維持することができる。
(その他の重合禁止剤)
インク組成物は、重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物以外のものをさらに含んでもよい。その他の重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
その他の重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その他の重合禁止剤の含有量は、他の成分の含有量との関係で決まるため、特に制限されない。
〔光重合開始剤〕
インク組成物は光重合開始剤をさらに含んでもよい。当該光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。光(紫外線)のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、α−アミノアルキルフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
これらの中でも、インクの硬化性を一層優れたものとすることができるため、チオキサントン化合物が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物及びチオキサントン化合物の組み合わせがより好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
上記の中でも、幅広い領域の紫外光(UV光)を効率良く活性種に変換できるため、ジエチルチオキサントンが好ましい。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、BASF社製)、Speedcure TPO、Speedcure DETX(2,4−ジエチルチオキサントン)、Speedcure ITX(2−イソプロピルチオキサントン)(以上、Lambson社製)、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)などが挙げられる。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、5〜20質量%が好ましい。含有量が当該範囲内であると、紫外線硬化速度を十分に発揮させ、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色を避けることができる。
特に、インク組成物に含まれる光重合開始剤がチオキサントン化合物である場合、当該チオキサントン化合物の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、0.5〜4質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましい。含有量が0.5質量%以上であると、インクの硬化性を一層優れたものとすることができる。また、含有量が4質量%以下であると、優れた吐出安定性を効果的に維持することができる。インク組成物がチオキサントン化合物を含む場合、インク組成物の硬化性が特に優れたものとなる反面、特にインク組成物の溶存酸素量が比較的高い場合に、吐出安定性が低下する傾向が見られ、本実施形態とする場合、特に有用であった。この原因としては、インク中に微小な粒子として残存ずるチオキサントン化合物が気泡核として気泡を誘発するものと推測するが、原因はこれに限られるものではない。
なお、上述の重合性化合物として光重合性の化合物を用いることで、光重合開始剤の添加を省略することが可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
〔色材〕
インク組成物は、色材をさらに含んでもよい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
(顔料)
色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
更に詳しく言えば、ブラックインクに使用されるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は300nm以下が好ましく、50〜200nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、インク組成物における吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
(染料)
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の含有量は、優れた隠蔽性及び色再現性が得られるため、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、1〜20質量%が好ましい。
〔分散剤〕
インク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
〔その他の添加剤〕
インク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、スリップ剤(界面活性剤)、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
〔紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の物性〕
本実施形態におけるインク組成物は、溶存酸素量が20ppm以下であることを特徴とする。溶存酸素量が20ppm以下になるよう脱気などの処理をすることで、吐出安定性及び硬化性に優れたインク組成物とすることができる。これにより、当該インク組成物はインクジェット記録装置に好適に使用可能となる。また、インクジェット記録装置での使用において、インク流路をインクが通過するときに空気がインクに溶け込むため、溶存酸素量は上昇する場合がある。だが、インク収容体内でのインク組成物の溶存酸素量が20ppm以下であれば、インク収容体からインクジェット記録装置内にインクを充填して記録を行う際に、吐出安定性及び硬化性に優れたインク組成物とすることができる。
また、上記溶存酸素量は、1〜20ppmが好ましく、3〜20ppmがより好ましく、5〜15ppmがさらに好ましい。特に、溶存酸素量が1ppm以上であると、重合性化合物の重合を適当に阻害させることができるため、優れた保存安定性を効果的に維持することができる。そのため、インク組成物が重合禁止剤として上述のヒンダードアミン化合物を含むとともに所定範囲内の溶存酸素量を有することにより、保存安定性が極めて優れたものとなる。
ここで、本明細書における「溶存酸素量」は、少なくともインクジェット記録装置にインク組成物を充填する際に、上記の所定範囲内であればよい。より詳しく言えば、溶存酸素量が上記所定範囲内である必要のある期間は、インク収容体が出荷されてから、インク収容体又は当該収容体内のインク組成物が記録装置に装着、充填、又は使用される直前までである。また、脱気機構を備えた記録装置の場合は、当該記録装置内で溶存酸素量を減少させることができる。だが、この場合でも脱気能力に限界があり得ることから、インク収容体中で溶存酸素量が上記範囲内であるとよい。一方で、記録装置内で溶存酸素量の変化が(ほぼ)無い記録装置の場合は、仮に脱気機構を備えていない記録装置であっても、少なくともインク収容体中でインクの溶存酸素量を上記範囲内とすればよい。
なお、本明細書における溶存酸素量は、従来公知の方法により測定することができるが、便宜上、後述の実施例において実施した測定方法により得られた値を採用するものとする。
ここで、溶存酸素量を減少させる目的で脱気などの処理をしない場合、インク組成物の溶存酸素量は通常50〜60ppm程度である。そのため、溶存酸素量を20ppm以下とするためには脱気などの処理が必要となる。当該処理としては、以下に限定されないが、例えば、脱気機構、不活性ガスのバブリングが挙げられる。
〔インク収容体の構成〕
本実施形態のインク収容体の形状としては、以下に限定されないが、例えば、インクカートリッジ、パック、ボトル、タンク、ビン、缶が挙げられる。これらの中でも、汎用されており、かつ、後述の酸素透過度を所望の値に制御しやすいため、インクカートリッジ、パック、ボトル、タンクが好ましく、パックがより好ましく、フィルムのパックが特に好ましい。
また、本実施形態のインク収容体の使用態様として、(A)記録装置とは別体であり、記録装置に装着されてインクを順次、記録装置に供給するインクカートリッジ等の形態と、(B)記録装置とは別体であり、インク使用時にはインクのみをボトル等のインク収容体から記録装置に移す形態と、(C)予め記録装置に備え付けられインクが収容されたタンク等の形態と、が少なくとも挙げられる。
上記の(A)及び(B)は、インク収容体を出荷してから記録装置にインクを供給する(移す)直前までのインク収容体と言うことができる。上記の(C)は、記録装置が出荷されてから当該記録装置で初めてインクの使用を開始する前までにおけるインク収容体と言うことができる。
なお、上記の(A)及び(C)は、インク容器からインクチューブ等の接続部を介して記録装置にインクを供給している状態で、記録装置の印刷を行うインク収容体と言うことができる。
また、上記の(B)は、インク収容体から記録装置にインクを移した後、当該記録装置で印刷を行うインク収容体と言うことができる。なお、当該(B)においてインクを移す対象としては、記録装置に備え付けられたタンク等が挙げられる。
また、インク収容体の構成材料としては、以下に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)等のプラスチック、各種の金属(合金を含む。)、並びにポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン等のポリオレフィンが挙げられる。だが、これらに限らず、上記の各ポリマーを適当な比率で配合あるいはラミネートして得られるポリマーやそのフィルム等であってもよい。
インク収容体の構成材料の中でも、インク組成物に接触する構成材料、即ちインクと接触してインクを包含する部材の酸素透過度(以下、単に「酸素透過度」と言う。)は、5.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下が好ましく、2.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下がより好ましい。酸素透過度が上記範囲内であると、保管中のインク組成物の溶存酸素量が変化しにくくなる。上記の構成材料ないし部材としては、特に限定されることはない。インクパックの場合、フィルムを熱融着(ヒートシール)して袋状に加工して用いることができる。インクパックに用いるフィルムとしては、高密度、低密度、又は線状低密度のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、及びポリスチレン、等の延伸プラスチックフィルムが挙げられる。複数層のフィルムを貼りあわせた積層フィルムとしてもよい。上記のフィルムで上記酸素透過度が得られる場合はフィルムのみから構成してもよいし、上記のフィルムにガスバリア層を積層することで酸素透過度を確保してもよい。ガスバリア層は、アルミニウム層などの金属層、酸化ケイ素や酸化アルミニウム層などの無機酸化物層を用いてもよいし、上記のフィルムのなかでも酸素透過度の低いエチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールなどを積層してもよい。フィルムの総膜厚としては50μm以上が好ましく、70μm以上が好ましく、70〜200μmがより好ましい。上記膜厚であると保管中のインク組成物の溶存酸素量が変化しにくく、パックの強度や柔軟性が得られる。これらの中でも酸素透過度が低く、強度が優れる点で、エチレン-ビニルアルコール共重合体からなるフィルムが好ましい。また、パック以外の収容体の場合は、上記の他に、その他の合成樹脂、ガラス、及び金属などが挙げられる。
なお、本明細書における酸素透過度は、単位をcc・20μm/(m2・day・atm)とし、当該「atm」は23℃且つ湿度65%の条件下での圧力(atm)とする。また、当該酸素透過度は、ISO 14663−2:1999(Annex C)に定められた方法で、即ち電量分析センサーを用いてフィルムを透過する酸素の透過速度を(相対湿度が平衡状態に達した時に)測定することで、算出できる。
インク収容体が収容可能なインク組成物の容量は、以下に制限されないが、100〜2,000mLが好ましく、100〜1,000mLがより好ましく、200〜800mLがさらに好ましい。容量が上記範囲内であると、硬化性、保存安定性、及び吐出安定性をいずれも一層優れたものとすることができる。
なお、当該容量が上記の範囲内であると、インク収容体の使用開始後、インク収容体中のインクの溶存酸素量が殆ど変わらない間に、インク組成物を使い切ることができることや、保管中のインク組成物の溶存酸素量が変化しにくいこと等の有利な効果がある。また、インク収容体が上記のインク収容体の部材の酸素透過度を有し、且つ収容可能なインク組成物の容量が上記の範囲であることが特に好ましい。また、本明細書における「容量」は、容積を意味する。
ここで、本実施形態のインク収容体の一例であるインクパックについて説明する。図1は、インクパック1を示す斜視図である。インクパック1は、インク取り出し口2とフィルム10とから構成される。フィルム10の材質は上述のものを使用することができる。インクパック1は、輸送中の保護のために、図示しない箱状の容器内に収められていてもよい。インクパック1は、インクカートリッジとして上述の使用態様(A)のように用いることができるが、インクパック1の使用態様はこれに限られない。
このように、本実施形態によれば、保存安定性、硬化性、及び吐出安定性のいずれにも優れた紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を収容したインク収容体を提供することができる。
[紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物]
本発明の一実施形態は、上記実施形態のインク収容体に収容されている、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物に係る。当該紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、上述したように、保存安定性、硬化性、及び吐出安定性のいずれにも優れている。
[インクジェット記録方法]
本発明の一実施形態は、上記実施形態のインク収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を用いた、インクジェット記録方法に係る。
当該インクジェット記録方法は、被記録媒体上に、上記インク組成物を吐出する吐出工程と、上記吐出工程により吐出されたインク組成物に紫外線を照射して、上記インク組成物を硬化する硬化工程と、を含む。このようにして、被記録媒体上で硬化したインク組成物により、塗膜(硬化膜)が形成される。
[インクジェット記録装置]
また、本発明の一実施形態は、上記のインクジェット記録方法により記録を行うインクジェット記録装置に係る。図2は本実施形態のインクジェット記録装置のヘッドの周囲の一例を表す概略図である。
サブタンク200はインクカートリッジ(図示せず)からインクの供給を受け、加圧ポンプ202によってインクを脱気機構の一例である脱気モジュール204、ヒーター220の順に通過させて、複数個設けられたヘッド100に供給する。
ヘッド100は被記録媒体(図示せず)にインクを吐出するものである。圧力調整弁108は開弁アクチュエーター320によって開弁され、サブタンク200からヘッド100へインクを供給する際のインクの圧力を調整する。
脱気モジュール204を通過したインクは、圧力調整弁108が開弁すると、分岐継手106に流入する。分岐継手106の内部では、往路214が複数の通路に分岐されて、複数個のヘッド100に接続されている。
ヘッド100から吐出されなかったインクは、開閉バルブ212が開いた状態において、統合継手210及び復路216を介してサブタンク200へ循環される。サブタンク200とヘッド100との間にインクを循環させることで、インクが長期滞留してインク成分が分離、沈降した場合にこれを回復させたり、循環するインクの温度を一定にしたりすることができる。インクはヒーター218,220,222によって加熱されることで粘度が低下し、ヘッド100からの吐出に適した粘度となり、ヘッド100から吐出される。
これらの装置は、主走査移動テーブル64に設けられており、主走査移動テーブルごと被記録媒体に対して移動しながらヘッド100から被記録媒体にインクの吐出を行う主走査が行われる。
脱気モジュール204内には、インクが流入する脱気室(図示せず)と、空気などの気体を通してインクなどの液体を通さない分離膜を介して脱気室と接する減圧室(図示せず)と、が設けられている。減圧ポンプ(図示せず)によって減圧室を減圧すると、脱気室内のインクに混入していた気泡やインクに溶解していた酸素などの気体は抜けていくので、気泡の混入がなく、脱気モジュール204へ送られたインクよりも溶存酸素濃度を低くしたインクをヘッド100へ供給し、ヘッド100から吐出させることができる。本記録装置の脱気モジュール204は、サブタンク200からヘッド100へインクを供給し続けた状態で、連続的にインクの脱気を行うことができる。
上記の記録装置は、例えば特開2011−240565号の図4のように構成することができる。なお、上記の装置が移動せずに、被記録媒体がヘッドに対して移動しながらヘッドから被記録媒体に向けてインクの吐出が行われるラインプリンターのような構成としてもよい。また、脱気モジュールが上記のような連続的にインクの脱気を行うものである代わりに、分離膜を備えずに、圧力調整弁を閉じた状態にして、減圧室を減圧することでインクの脱気を行うことと、脱気を終了したら、減圧室を常圧に戻して圧力調整弁108を開いた状態にしてインクをヘッドに供給することと、を交互に断続的に行う形態としてもよい。前者はインクを連続的に脱気することができる点で好ましく、後者は脱気能力が高い点で好ましい。
ここで、インクカートリッジに収容されていたインクの溶存酸素量が20ppm以下である場合に、記録装置がインクの供給の過程でインクの溶存酸素量が上昇しないものであれば、吐出安定性を好ましいものとして吐出することができる。一方、記録装置がインクの供給の過程でインクの溶存酸素量が上昇するようなものであっても、脱気モジュールを備えることで溶存酸素量を減少させることができ、このとき、インクカートリッジに収容されていたインクの溶存酸素量が20ppm以下であれば、脱気モジュールの脱気能力に制限があった場合でも、インクの溶存酸素量を20ppm以下に保ちヘッド100から吐出させることができる。溶存酸素量の上昇は、記録装置内のインクをヘッドへ供給する供給管の長さや材質、インクがインク供給の過程にある時間、インク供給の際に必要とされる加圧条件などによって起こる。よって、本実施形態のインク収容体とすることが、記録装置の設計の自由度の点で好ましい。
〔被記録媒体〕
本実施形態のインクジェット記録方法を利用して、インク組成物が被記録媒体上に吐出されること等により、記録物が得られる。この被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。本実施形態のインクジェット記録方法は、水溶性インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、当該インク組成物を非吸収性の被記録媒体に適用した場合は、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設けること等が必要となる場合がある。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インクの浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。
〔吐出工程〕
上記吐出工程においては、後述のインクジェット記録装置を用いることができる。インク組成物の吐出の際は、インク組成物の粘度を、好ましくは25mPa・s以下、より好ましくは5〜20mPa・sとすることが好ましい。インク組成物の粘度が、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱しない状態として、上記のものであれば、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱せずに吐出させればよい。一方、インク組成物を所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
紫外線硬化型インク組成物は、通常のインクジェット用インクで使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。かかるインクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。
〔硬化工程〕
次に、上記硬化工程においては、被記録媒体上に吐出されたインク組成物が、紫外線(光)の照射によって硬化する。換言すれば、被記録媒体上に形成されたインク塗膜が、紫外線の照射によって硬化膜となる。これは、インク組成物に含まれ得る光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、光重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線の照射によって、重合性化合物の光重合反応が開始するためである。このとき、インク組成物において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
紫外線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。その一方で、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線硬化型インクジェット用光源として期待されている。これらの中でも、UV−LEDが好ましい。
ここで、発光ピーク波長が、好ましくは365〜405nmの範囲、より好ましくは380〜400nmの範囲のうち単一の波長にある紫外線を照射することにより、硬化可能であるようなインク組成物を用いることが好ましい。また、照射エネルギーは、300mJ/cm2以下が好ましく、100〜250mJ/cm2がより好ましい。
上記の場合、上記インク組成物の組成に起因して低エネルギー且つ高速での硬化が可能となる。照射エネルギーは、照射時間に照射強度を乗じて算出される。上記インク組成物の組成によって照射時間を短縮することができ、その場合、印刷速度が増大する。他方、本実施形態におけるインク組成物の組成によって照射強度を減少させることもでき、その場合、装置の小型化やコストの低下が実現する。その際の紫外線照射には、UV−LEDを用いることが好ましい。このようなインク組成物は、上記波長範囲の紫外線照射により分解する光重合開始剤、及び上記波長範囲の紫外線照射により重合を開始する重合性化合物を含むことにより得られる。なお、発光ピーク波長は、上記の波長範囲内に1つあってもよいし複数あってもよい。複数ある場合であっても上記発光ピーク波長を有する紫外線の全体の照射エネルギーを上記の照射エネルギーとする。
[インクジェット記録装置]
本発明の一実施形態は、上記実施形態のインク収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を、ヘッドから吐出する吐出手段を少なくとも備えたインクジェット記録装置に係る。
当該インクジェット記録装置は、上記実施形態のインクジェット記録方法を実現できる装置であれば、特に制限されない。好ましくは、当該インクジェット記録装置は、上述のインク組成物をヘッドから吐出する吐出手段に加えて、被記録媒体上に吐出された当該インク組成物が紫外線の照射によって硬化される硬化手段も備える。
以下、本発明の実施形態を実施例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[使用原料]
下記の実施例及び比較例において使用した原料は、以下の通りである。
〔色材〕
・C.I.ピグメントブラック7(Microlith Black C−K〔商品名〕、BASF社製、下記表では「ブラック顔料」と略記した。)
〔分散剤〕
・Solsperse 36000(Noveon社製商品名、下記表では「Sol36000」と略記した。)
〔ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製商品名、下記表では「VEEA」と略記した。)
〔上記以外の重合性化合物〕
・ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名、下記表では「PEA」と略記した。)
・SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製商品名、下記表では「DPGDA」と略記した。)
〔ヒンダードアミン化合物(重合禁止剤)〕
・LA−82(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ADEKA社製商品名、下記表では「LA−82」と略記した。)
・アデカスタブ LA−7RD(2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、ADEKA社製商品名、下記表では「LA−7RD」と略記した。

〔光重合開始剤〕
・IRGACURE 369(BASF社製商品名、固形分100%、下記表では「369」と略記した。)
・DAROCURE TPO(BASF社製商品名、固形分100%、下記表では「TPO」と略記した。)
・Speedcure DETX(Lambson社製商品名、固形分100%、下記表では「DETX」と略記した。)
・Speedcure ITX(Lambson社製商品名、固形分100%、下記表では「ITX」と略記した。)
[実施例1〜25、比較例1〜7]
〔顔料分散液の作製〕
インク組成物の作製に先立ち、顔料分散液を作製した。上記のブラック顔料を18質量%、分散剤を9質量%の割合で、それぞれ混合し、1時間スターラーで撹拌した。撹拌後の混合液をビーズミルで分散し、顔料分散液を得た。なお、分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間を2〜4時間とした。
〔紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の作製〕
下記表に記載の成分を、下記表に記載の組成(単位は質量%)となるように添加し、これを高速水冷式撹拌機により撹拌することにより、ブラック色の紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を調製した。
〔溶存酸素量の測定〕
溶存酸素量の測定は、ガスクロマトグラフィー Agilent 6890(アジレント・テクノロジー社製)を用いて、インク組成物の溶存酸素量を測定した。キャリアガスとしてはヘリウム(He)ガスを使用した。
ここで、各実施例及び各比較例の位置づけを説明する。まず、実施例1〜5は、インク組成を互いに同一であり、溶存酸素量を変化させたときの各評価結果の違いを調べたものである。一方で、比較例1及び2は、上記実施例1〜5とインク組成は同一であるものの、それぞれ溶存酸素量が非常に高い(30ppm)点及び非常に低い(1ppm)点で、上記実施例1〜5に対する比較対照となっている。
また、実施例6〜12,及び25は、主に、光重合開始剤としてのチオキサントン化合物の含有量を変化させたときの各評価結果の違いを調べたものである。一方で、比較例3は、チオキサントン化合物を含まない点及び溶存酸素量が非常に高い点以外は、実施例6のインク組成とほぼ同一であり、実施例6に対する比較対照となっている。ここで、実施例24はチオキサントン化合物を含む点で実施例6と異なり、実施例25はチオキサントン化合物を含まない点で実施例1と異なる。
また、実施例13〜18は、主に、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(ここではVEEA)の含有量を変化させたときの各評価結果の違いを調べたものである。一方で、比較例4及び5は、いずれも当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含まない(比較例5はさらにヒンダードアミン化合物も含まない)点で、実施例13〜18に対する比較対照となっている。
また、実施例19〜23は、主に、ヒンダードアミン化合物の種類及び含有量を変化させたときの各評価結果の違いを調べたものである。一方で、比較例6及び7は、いずれも当該ヒンダードアミン化合物を含まない点で、実施例19〜23に対する比較対照となっている。
Figure 0006226011
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[評価項目]
各実施例及び各比較例で調製するとともに脱気時間を変えることにより溶存酸素量を調整した紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物について、以下の方法により硬化性、保存安定性、及び吐出安定性を評価した。硬化性及び吐出安定性の評価、並びに表中の溶存酸素量の測定は、保存安定性評価の条件の保存後のインク組成物を用いた。
〔1.保存安定性〕
インク収容体として、上述の図1に示されるようなインクパックを用意した。各実施例及び各比較例のインク組成物を、当該インクパック内に密封し、60℃のオーブンで20日間保管した。そして、保管前後の増粘率を求めた。なお、上記インクパックの容量は700mLであり、フィルムをエチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム(フィルムの酸素透過度は2.0cc・20μm/(m2・day・atm)、フィルムの膜厚は100μm)とした。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を上記表に示した。
A:3%以下
B:3%を超えて6%以下
C:6%を超えて9%以下
D:9%を超えて12%以下
E:12%超
〔2.硬化性〕
バーコーターを用いて、各実施例及び各比較例のインク組成物をPETフィルム(PET50A PLシン〔商品名〕、リンテック社製)上に塗り、厚さ10μmのインク塗膜を作製した。その後、照射強度が1,100mW/cm2であり且つ波長が395nmである紫外線を照射して上記塗膜を硬化させた。硬化した塗膜(硬化膜)を、綿棒を用いて100g加重で10回擦り、傷が付かなくなる時点の硬化エネルギー(照射エネルギー)を求めた。
なお、照射エネルギー[mJ/cm2]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm2]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。照射強度の測定は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING, INC.)製)を用いて行った。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を上記表に示した。
A:150mJ/cm2以下
B:150mJ/cm2を超えて200mJ/cm2以下
C:200mJ/cm2を超えて250mJ/cm2以下
D:250mJ/cm2を超えて300mJ/cm2以下
E:300mJ/cm2
〔3.吐出安定性〕
吐出ノズル径20μm及び駆動周波数24kHzとし、かつ、1回当たりのインク吐出量を5ngに調整した、180ノズルを有するインクジェット評価機(試作機)を用意した。そして、当該評価機を用いて、60分間連続でインクの吐出を行った時にノズル抜けが生じたノズル数を求めた。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を上記表に示した。
A:なし(0本)
B:1〜5本
C:6〜10本
D:11〜15本
E:15本以上
以上の結果より、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、ヒンダードアミン化合物と、を少なくとも含み、かつ、溶存酸素量が20ppm以下であるインク組成物を収容したインク収容体(各実施例)は、そうでないインク組成物を収容したインク収容体(各比較例)と比べて、硬化性、保存安定性、及び吐出安定性のいずれにも優れることが分かった。
さらに、実施例2のインク組成物と同じインク組成物を用い、かつ、容量が50mLのインクパックとした点以外は実施例2と同様の条件で、60℃のオーブンで20日間保管後に上記の各評価を行った。その結果、溶存酸素量18ppm、保存安定性A、硬化性A、及び吐出安定性Bであることが分かった。
また、実施例2のインク組成物と同じインク組成物を用い、かつ、ポリアクリロニトリルのフィルム(酸素透過度10.0cc・20μm/(m2・day・atm)、膜厚70μm)のインクパックとした点以外は実施例2と同様の条件で、60℃のオーブンで20日間保管後に上記の各評価を行った。その結果、溶存酸素量20ppm、保存安定性A、硬化性A、及び吐出安定性Cであることが分かった。
さらに、図2の記録装置を用いこれにインクを収容した上記のインクパックをインクカートリッジとして装着し、ヘッド100へインクを供給させ、サブタンク200内のインク及びヘッド100内のインクを採取して、溶存酸素量を測定した。その結果、実施例1のインクパックをインクカートリッジにして装着したものはサブタンク200内のインクが27ppmであり、ヘッド100内のインクが20ppmであったのに対し、比較例1のインクパックをインクカートリッジにして装着したものはサブタンク200内のインクが36ppmであり、ヘッド100内のインクは31ppmであった。
1…インクパック、2…インク取り出し口、10…フィルム、64…主走査移動テーブル、100…ヘッド、106…分岐継手、108…圧力調整弁、200…サブタンク、202…加圧ポンプ、204…脱気モジュール、210…統合継手、212…開閉バルブ、214…往路、216…復路、218,220,222…ヒーター、320…開弁アクチュエーター。

Claims (12)

  1. 下記一般式(I):
    CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
    (式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、ヒンダードアミン化合物と、を少なくとも含み、前記ヒンダードアミン化合物が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物を含み、溶存酸素量が20ppm以下である紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を収容し、
    前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物に接触する構成材料が、プラスチックのフィルムから構成され、酸素透過度が、23℃且つ湿度65%において、5.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下であり、
    前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の供給を受け記録を行う記録装置とは別体であり、該記録装置へ前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の供給を行うものである、インク収容体。
  2. 前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、チオキサントン化合物をさらに含む、請求項1に記載のインク収容体。
  3. 前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物に接触する構成材料の酸素透過度が、23℃且つ湿度65%において、2.0cc・20μm/(m2・day・atm)
    以下である、請求項1又は2に記載のインク収容体。
  4. 前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を100〜1,000mLの容量で収容可能な、請求項1又は2に記載のインク収容体。
  5. 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類がアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク収容体。
  6. 前記ヒンダードアミン化合物である2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物が、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、4,4’−[1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,2,6,6−テトラメチル]−1−ピペリジニルオキシ、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)セバケートの少なくとも何れかを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク収容体。
  7. 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の含有量が、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の総質量に対し、10〜70質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク収容体。
  8. 前記チオキサントン化合物の含有量が、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の総質量に対し、0.5〜4質量%である、請求項2〜7のいずれか1項に記載のインク収容体。
  9. 前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の前記ヒンダードアミン化合物の含有量が、インク組成物の総質量に対し、0.05〜0.5質量%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク収容体。
  10. 前記収容されている紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物が溶存酸素量が15ppm以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインク収容体。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のインク収容体に収容されていた前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を、ヘッドから吐出する吐出工程を少なくとも備えた、インクジェット記録方法。
  12. 前記吐出工程で被記録媒体へ吐出された紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を光の照射によって硬化させる硬化工程を備え、前記光の照射を紫外線発光ダイオードによって行う、請求項11に記載のインクジェット記録方法。
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