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JP6216305B2 - 薬物過量摂取の治療のためのモルヒナン誘導体 - Google Patents

薬物過量摂取の治療のためのモルヒナン誘導体 Download PDF

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JP6216305B2
JP6216305B2 JP2014216538A JP2014216538A JP6216305B2 JP 6216305 B2 JP6216305 B2 JP 6216305B2 JP 2014216538 A JP2014216538 A JP 2014216538A JP 2014216538 A JP2014216538 A JP 2014216538A JP 6216305 B2 JP6216305 B2 JP 6216305B2
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Description

関連出願
本願は、2009年12月4日に出願された米国仮特許出願第61/266,881号の利益を主張する。上記出願の全教示は、参照により本明細書に援用される。
技術分野
本発明は、薬物毒性および薬物過量摂取、特にオピオイドの過量摂取の治療に有用なモルヒナン化合物に関する。
発明の背景
オピオイドは、天然物質および合成物質の両方を含む薬物の部類である。天然のオピオイド(アヘン剤という)としては、アヘンおよびモルヒネが挙げられる。最も濫用されるオピオイドであるヘロインは、アヘンから合成される。一般的に咳抑制剤としてまたは下痢止め剤として疼痛について処方される他の合成オピオイドとしては、コデイン、オキシコドン(OXYCONTIN(登録商標))、メペリジン(DEMEROL(登録商標))、フェンタニール(SUBLIMAZE(登録商標))、ヒドロモルホン(DILAUDID(登録商標))、メタドンおよびプロポキシフェン(DARVON(登録商標))が挙げられる。通常ヘロインは、静脈内または皮下のいずれかで注射されるが、タバコで吸うか、または経鼻的に使用されることもある。他のオピオイドは、注射されるかまたは経口摂取のいずれかされる。
臨床的環境下または非臨床的環境下のいずれで使用されようと、オピオイドは、非常に嗜癖性であり、様々な程度のオピオイド毒性をもたらし得る。「常用者」として知られるいくらかの慢性オピオイドユーザーは、オピオイドの使用により重大な問題が引き起こされるかまたはオピオイドの使用により重大な問題が悪化するにもかかわらず、オピオイドの濫用を続ける。典型的に、慢性的なユーザーは、耐性および/または禁断症状で示されるように、身体的にオピオイドに依存するようになる。急性のユーザーは、オピオイド中毒を経験し、「ハイ」になるのに充分な量のオピオイドを使用する。これらの急性のユーザーは、オピオイドの排出時に典型的な禁断症状を経験しないが、非常に多くのオピオイドを摂取すると、過量摂取症状(例えば、オピオイド誘導性昏睡)を経験することがある。
伝統的に、種々の程度のオピオイド耐性を有するユーザーを標的とした、いくつかの形態のオピオイド解毒プログラムがある。典型的な治療養生法(regimen)により、ユーザーの体内からのオピオイドの完全な排出が可能になり、ユーザーがオピオイドへの依存を再確立することが防止される。オピオイド受容体アンタゴニストは、オピオイド毒性の臨床的特徴の逆転に有効な治療の一形態である。オピオイド受容体アンタゴニストは、オピオイドと同じ受容体に完全に結合することにより機能する。オピオイド受容体アンタゴニストは、オピオイドを置換(displace)しつつも、オピオイド受容体を活性化できないので常用の潜在能を有さないという付加的な利点を有する。このアプローチは、オピオイドアゴニストが身体から除去されるのを可能にしながら、非常に速い速度でオピオイドユーザーの薬力学効果(例えば「ハイ」)を低減する有望な効果を有する。しかしながら、非常に速いオピオイドの除去速度は、オピオイドに耐性を有する常用者に禁断症状の悪化をもたらすことがある。
オピオイドアンタゴニストであるナロキソン(NARCAN(登録商標))はしばしば、オピオイド中毒またはオピオイド過量摂取の効果を逆転させるために投与される。この治療の欠点は、いくつかのオピオイドの作用の持続時間が、単回ナロキソン投与の持続時間を超えることがあるということである。ナロキソンの薬力学作用は、ほとんどの短い作用時間のオピオイド以外の全てよりも短い期間持続する。非特許文献1。Clarkeは、Clarke、612頁で、「ナロキソンの排出半減期は、モルヒネと同等である(60〜90分)が、脳からはより迅速に再分配される脳の外に出ると言及する。その結果、患者は、自身で診療を早期に止めた場合に、再度中毒になり、害に苦しむことがある。明らかに、臨床医はAWS(急性禁断症状)に陥ることと再中毒の回避の間で綱渡りをしている。」と言及している。したがって、しばしば入院により達成される継続的な監視が必要である。さらに、腎不全および肝不全を有する患者では、長期間にわたる大量のナロキソンの投薬が必要である。治療有効ナロキソン濃度を維持することは難題である。非特許文献2。このように、長期間有効な、薬物過量摂取/毒性の治療のための新規の治療薬が必要である。
Clarke, SFJ et al., Emergency Medicine Journal, 2005 (22) 612-616 Redfern, N., British Medical Journal, 1983 (287) 751-752
本発明の課題は、薬物過量摂取の治療のためのモルヒナン誘導体を提供することである。
発明の概要
本発明は、特定のカルボキサミド置換モルヒナンが、薬物過量摂取および薬物過量摂取の症状、特にオピオイド過量摂取の治療に有用であるという予期されない発見に関する。カルボキサミド置換モルヒナンは、ナロキソンと比べて長期間、例えば24〜48時間の薬物過量摂取の治療に有効である。本発明の別の局面は、薬物過量摂取、特にオピオイド過量摂取の治療のための、ナロキソンと組み合わせたまたは併用したカルボキサミド置換モルヒナンの使用である。本発明のさらに別の局面は、オピオイド経験非依存性患者におけるオピオイド過量摂取の治療である。
本発明は、式I:
Figure 0006216305

(式中、
R1は、-(CH2)n-c-C3H5、-(CH2)n-c-C4H7、-(CH2)n-c-C5H9、-(CH2)n-CH=CH2または-(CH2)n-CH=C(CH3)2であり、ここでnは独立して、0、1、2または3であり;
R2は、-CONH2または-CSNH2であり;
R3およびR4は独立して、H、-OHであるかまたはR3およびR4は一緒になって、-O-基もしくは-S-基を形成し;
R5は、HまたはC1-C8アルキルであり;
R6およびR7は独立して、H、-OH、OCH3であるかまたはR6およびR7は一緒になって、=O基もしくは=CH2基を形成する)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの投与による薬物過量摂取の治療に関する。
本願の化合物は、コデイン、ヘロイン、ヒドロモルホン、メタドン、プロポキシフェン オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドンまたはおよびモルヒネなどのオピオイド薬により生じる薬物過量摂取の治療に有用である。
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕式:
Figure 0006216305

を有する化合物-1のリンゴ酸塩
に関する。
本発明により、薬物過量摂取の治療のためのモルヒナン誘導体が提供される。
図1は、1日目の瞳孔測定法の測定値である。 図2は、1〜7日間の瞳孔測定法の測定値である。 図3は、1日目の「ハイ」についての視覚アナログスケール(VAS)スコアである。 図4は、1〜7日間の「ハイ」についてのVASスコアである。 図5は、1日目の「良好な効果」についてのVASスコアである。 図6は、1〜7日間の「良好な効果」についてのVASスコアである。
発明の詳細な説明
本発明は、薬物毒性または薬物過量摂取の治療のための、式Iのカルボキサミド置換モルヒナンの使用に関する。本発明は、式Iの化合物が薬物毒性または薬物過量摂取に苦しむ患者の治療に持続的な効果を発揮するという予期しない発見に関する。式Iの化合物は、オピオイド毒性またはオピオイド過量摂取の治療のために、単回用量または1回の1日用量として使用され得る。
本願の化合物は、アルフェンタニル、アリルプロジン(allylprodine)、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド(bezitramide)、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルホン(diamorphone)、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール(dimenoxadol)、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニールおよび誘導体、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン(levophenacylmorphan)、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine)、ナルセイン、ニコモルフィン(nicomorphine)、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン(phenomorphan)、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン(propheptazine)、プロメドール(promedol)、プロペリジン、プロポキシフェン、サフェンタニル、チリジン、トラマドール、前述のいずれかの混合物などのオピオイド薬により生じる薬物過量摂取の治療に有用である。
式Iの化合物は、オピオイド毒性またはオピオイド過量摂取に苦しむオピオイド経験非依存性患者である被験体の治療に特に有用である。例えば、過去にオピオイド薬を使用した患者およびオピオイド薬に耐性または依存症を発症していない患者は、オピオイド毒性またはオピオイド過量摂取について治療され得る。式Iの化合物の有効性の期間の延長は、オピオイド過量摂取またはオピオイド毒性のモニタリングされない治療に有益である。例えば、単回用量投与の有効性は、約30分から48時間を超えて持続し得る。有効性の時間は、1時間より長く、好ましくは2時間より長く、好ましくは3時間より長く、好ましくは4時間より長く、より好ましくは8時間より長く、より好ましくは24時間より長く、さらに好ましく48時間より長くあり得る。好ましい態様において、単回用量投与の有効性は、約1時間〜約96時間持続し得る。いくつかの態様において、有効性は、約24時間〜約96時間持続し得る。いくつかの態様において、有効性は約24時間〜約72時間持続し得る。
本発明の化合物は、ベンゾモルファンのフェノール性ヒドロキシルからカルボキサミド部分への転換により得られ得る。ベンゾモルファンのフェノール性ヒドロキシルおよびモルヒナン誘導体は、その全てが参照により本明細書に援用される米国特許第6,784,187号、第7,262,298号および第7,057,035号、ならびに米国特許出願公開US 2007/0021457 A1に記載される簡単で、融通がききかつ便利な経路によりカルボキサミドに化学的に転換され得る。
一局面において、本発明は、式I:
Figure 0006216305

(式中、
R1は、-(CH2)n-c-C3H5、-(CH2)n-c-C4H7、-(CH2)n-c-C5H9、-(CH2)n-CH=CH2または-(CH2)n-CH=C(CH3)2であり、ここでnは独立して、0、1、2または3であり;
R2は、-CONH2または-CSNH2であり;
R3およびR4は独立して、H、-OHであるかまたはR3およびR4は一緒になって、-O-基もしくは-S-基を形成し;
R5は、HまたはC1-C8アルキルであり;
R6およびR7は独立して、H、-OH、OCH3であるかまたはR6およびR7は一緒になって、=O基もしくは=CH2基を形成する)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの経口または静脈内または筋内の投与による、薬物過量摂取の治療に関する。
式Iの例示的な化合物としては、以下:
Figure 0006216305

Figure 0006216305

が挙げられる。
より好ましい化合物は、式:
Figure 0006216305

を有する化合物1のリンゴ酸塩である。
定義
本発明を説明するために使用する種々の用語の定義を以下に列挙する。これらの定義は、具体例において他に限定されていない限り、個々に、または大きな群の一部としてのいずれかで本明細書および特許請求の範囲を通じて使用される際に用語に適用される。
用語「副作用」は、薬物によってもたらされる、特に組織または器官系に対する有害な効果をいう。オピオイドの場合、用語「副作用」は、例えば、呼吸低下、急な鎮静、便秘、オピオイド誘導性の腸機能不全、悪心および/または嘔吐などの状態をいうものであり得る。
用語「C1〜C8アルキル」は、本明細書で使用される場合、それぞれ、1〜6個または1〜8個の炭素原子を含む飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルをいう。C1〜C6アルキルラジカルの例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルラジカルが挙げられ;C1〜C8アルキルラジカルの例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、ヘプチル、オクチルラジカルが挙げられる。
本明細書に記載の化合物は、1つ以上の不斉中心を含むので、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび絶対立体化学に関して(R)-または(S)-、あるいはアミノ酸では(D)-または(L)-で規定され得る他の立体異性形態を生じる。本発明は、かかる可能な全ての異性体、ならびにそのラセミ化合物形態および光学的に純粋な形態を含むことを意図する。光学異性体は、そのそれぞれの光学的に活性な前駆体から本明細書に記載の手順によって、またはラセミ混合物を分割することによって調製され得る。分割は、分割剤の存在下で、クロマトグラフィーにより、または反復結晶化により、または当業者に公知のこれらの技術のいくつかの組合せにより行なわれ得る。分割に関するさらなる詳細は、Jacques, et al., Enantiomers, Racemates, and Resolutions (John Wiley & Sons、1981)に見られ得る。本明細書に記載の化合物がオレフィン性二重結合または他の幾何学的非対称の中心を含む場合、他に記載のない限り、該化合物は、E幾何異性体およびZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。同様に、全ての互変異性形態も含まれることが意図される。本明細書で見られる任意の炭素-炭素二重結合の立体配置は、便宜のためだけに選択され、本文中にそのように記載のない限り、特定の立体配置の指定を意図せず、したがって、本明細書において随意にトランスとして示された炭素-炭素二重結合は、シス、トランス、または両者の任意の割合の混合物であり得る。
用語「被験体」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物をいう。したがって、被験体は、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモットなどをいう。好ましくは、被験体はヒトである。被験体がヒトである場合、本明細書において被験体を患者と称することがある。
本明細書で使用する場合および当業者により理解されるように、「化合物」という記載は、さらに明確に限定されない限り、該化合物の塩、溶媒和物、エステル、プロドラッグおよび包接複合体を含むことを意図する。
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容され得る塩」は、本発明の方法によって形成される該化合物の塩であって、正常な医学的判断の範囲内において、過度な毒性、刺激、アレルギー性応答などがなくヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に適しており、ほどよい利益/リスク比と釣り合った塩をいう。薬学的に許容され得る塩は当該技術分野で周知である。
用語「オピオイド薬」としては、限定されないが、本明細書に記載されるように、以下の薬物;アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルホン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニールおよび誘導体、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、サフェンタニル、チリジン、トラマドール、前述のいずれかの混合物が挙げられる。
用語「オピオイド毒性」は、被験体に対し毒性であり、中程度〜重度の換気の低下(ventilatory depression)、低酸素症、意識消失、呼吸数の低下、呼吸深度(respiratory depth)の低下、無呼吸、低酸素症、せん妄、低血圧、徐脈、体温の低下、尿停留および瞳孔縮瞳などの効果をもたらすオピオイド薬の効果のことをいう。オピオイド毒性は、錯乱、精神状態の変化、過剰な嗜眠状態、嗜眠、昏迷、不明瞭発語(新たに発生)、換気過小、息切れ、無呼吸、低酸素症および/または高炭酸ガス症についての評価による中枢神経系の検査;および/または徐脈、低血圧および/またはショックについての評価による心臓の検査を行なうことにより評価され得る。
用語「オピオイド経験(opioid experienced)」は、治療が捜されている段階の前に、少なくとも1度オピオイドを摂取したことのある被験体のことをいう。
用語「非依存性」は、治療が捜されている段階の前に、依存になることなく、少なくとも1度オピオイドを摂取したことのある被験体のことをいう。
Berge, et al.は、J. Pharmaceutical Sciences、66: 1-19 (1977)において薬学的に許容され得る塩を詳細に記載している。塩は、本発明の化合物の最終単離および精製の間にそのままで調製され得るか、または遊離塩基官能基と適切な有機酸を反応させることにより別個に調製され得る。薬学的に許容され得る塩の例としては、限定されないが、無毒性酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸と形成されるアミノ基の塩か、または酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸と形成されるアミノ基の塩か、あるいはイオン交換などの当該技術分野で使用される他の方法を使用して形成されるアミノ基の塩が挙げられる。他の薬学的に許容され得る塩としては、限定されないが、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、ショウノウスルホン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、エタンジスルホン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩(エデト酸塩)、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩(hydroxynaphtoate)、イセチオン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ムチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が挙げられる。例示的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛等が挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容され得るエステル」は、インビボで加水分解する本発明の方法により形成された化合物のエステルのことをいい、人体内で容易に分解されて、親化合物またはその塩を放出するものが挙げられる。適切なエステル基としては、例えば薬学的に許容され得る脂肪族カルボン酸、特にそれぞれのアルキルまたはアルケニル部分が有利には、6個以下の炭素原子を有するアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸、およびアルカンジオール酸由来のものが挙げられる。特定のエステルの例としては、限定されないが、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、アクリレートおよびエチルスクシネートが挙げられる。さらなる薬学的に許容され得る塩としては、適切な場合、1〜20個の炭素原子を有するアルキルに結合した無毒性アンモニウムカチオンならびにカルボン酸塩、スルホン酸塩およびホスホン酸塩アニオンが挙げられる。
用語「モニタリングされる治療」は、診療所、病院、医師の診察室において、または医学専門家がいる場所での設定において施与される治療のことをいう。
用語「薬学的に許容され得るプロドラッグ」は、本明細書で使用する場合、本発明の方法によって形成される該化合物のプロドラッグであって、正常な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に適しており、過度な毒性、刺激、アレルギー性応答などを有し、ほどよい利益/リスク比と釣り合っており、意図される用途に有効なプロドラッグ、ならびに可能な場合は本発明の化合物の両性イオン形態をいう。「プロドラッグ」は、本明細書で使用する場合、代謝的手段(例えば、加水分解)によってインビボで転換可能であり、本発明の式で示される任意の化合物が得られる化合物を意味する。種々の形態のプロドラッグが当該技術分野で公知であり、例えば、Bundgaard(編)、Design of Prodrugs、Elsevier(1985);Widder,et al.(編)、Methods in Enzymology、第4巻、Academic Press(1985);Krogsgaard-Larsen,et al.(編)、"Design and Application of Prodrugs、Textbook of Drug Design and Development、第5章、113-191(1991);Bundgaard,et al.,Journal of Drug Deliver Reviews、8:1-38(1992);Bundgaard,J. of Pharmaceutical Sciences、77:285以降(1988);HiguchiおよびStella(編)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems、American Chemical Society(1975);および Bernard Testa & Joachim Mayer、“Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism: Chemistry, Biochemistry And Enzymology," John Wiley and Sons,Ltd.(2002)に考察されている。
本発明の化合物は、選択的生物学的特性を向上させるために、本明細書に詳細に示した合成手段によって種々の官能基を付加することにより改変され得る。かかる改変としては、所与の生物学的系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)内への生物学的浸透を増大させるもの、経口アベイラビリティを増大させるもの、注射による投与を可能にするために溶解性を増大させるもの、代謝を改変するもの、および排出速度を改変するものが挙げられる。
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、1種類以上の薬学的に許容され得る担体と一緒に製剤化された治療有効量の本発明の化合物を含む。本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容され得る担体」は、任意の型の無毒性の、不活性な固体、半固体または液体の、充填剤、希釈剤、カプセル封入物質または製剤化助剤を意味する。薬学的に許容され得る担体としての機能を果たし得る物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロースならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤用ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油;ベニバナ油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油およびダイズ油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質無含有水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸バッファー溶液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒性の適合性の滑沢剤、ならびに着色剤、放出剤(releasing agent)、コーティング剤、甘味料、矯味矯臭剤および芳香剤であり、保存料および酸化防止剤もまた、製剤者の判断に応じて、組成物中に存在させてもよい。
本発明の医薬組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、口腔内的に(buccally)、経膣的にまたは埋め込みレザバーを介して、好ましくは経口投与または注射による投与により投与され得る。本発明の医薬組成物は、任意の従来の、無毒性の薬学的に許容され得る担体、佐剤またはビヒクルを含み得る。いくつかの場合、製剤のpHは、製剤化された化合物またはその送達形態の安定性を高めるために、薬学的に許容され得る酸、塩基または緩衝剤により調整され得る。本明細書で使用する場合、用語非経口としては、皮下、皮内、静脈内、筋内、関節内、動脈内、滑液包内(intrasynovial)、胸骨内(intrasternal)、硬膜下腔内、病変内および頭蓋内の注射または注入技術が挙げられる。
薬物の効果を長くするため、しばしば、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くすることが望ましい。これは、水溶性が低い結晶性または非晶質の物質の液体懸濁物の使用によって達成され得る。そのため、薬物の吸収速度は溶解速度に依存し、さらに、溶解速度は結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。代替的に、非経口投与される薬物形態の吸収遅延は、薬物を油性ビヒクルに溶解または懸濁させることにより達成される。注射可能なデポ形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中で薬物のマイクロカプセル封入マトリックスを形成することにより作製され得る。ポリマーに対する薬物の比率および使用される具体的なポリマーの性質に応じて、薬物放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)(poly(anhydride))が挙げられる。
経口投与のための液体剤型としては、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤型は、例えば、水または、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合物などの他の溶媒、可溶化剤ならびに乳化剤などの当該技術分野で一般に使用されている不活性な希釈剤を含み得る。不活性な希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、矯味矯臭剤および芳香剤などの佐剤も含み得る。
経口投与のための固体剤型としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が挙げられる。かかる固体剤型において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムおよび/または:a) デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b) 例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、c) グリセロールなどの保湿剤(humectant)、d) 寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケート、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e) パラフィンなどの溶解遅延剤、f) 第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g) 例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、h) カオリンおよびベントナイトクレーなどの吸収剤、ならびにi) タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤、ならびにその混合物などの少なくとも1種類の不活性な薬学的に許容され得る賦形剤または担体と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤型はまた、緩衝剤も含み得る。
また、活性化合物は、上記のような1種類以上の賦形剤を用いたマイクロカプセル封入形態であってもよい。固体剤型である錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤は、腸溶性コーティング、放出制御コーティングおよび医薬調剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェル(shell)を用いて調製され得る。かかる固体剤型において、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種類の不活性な希釈剤と混合され得る。また、かかる剤型は、通常の実務の場合と同様、不活性な希釈剤以外のさらなる物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの打錠滑沢剤および他の打錠助剤ならびに微結晶セルロースを含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤型はまた、緩衝剤を含み得る。これらは、任意に不透明化剤を含んでいてもよく、また、活性成分(1種類または複数種)のみを、またはそれらを優先的に、腸管の特定の部分に、任意に遅延様式で放出する組成物からつくられるものであってもよい。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
本明細書に記載の本発明の化合物に好ましく適切な経口1日投薬量は、だいたい約1.5mg〜約20mgである。投与スケジュールは、最適な治療応答が提供されるように調整され得る。例えば、投与は、1日〜数日間、数週間、数ヶ月、さらには数年間の期間1日1回〜3回であり得、患者の生涯の間でさえあり得る。実際には、本発明の任意の所定の組成物または活性剤の単位用量は、医師の判断、患者の必要性などに応じて種々の投与スケジュールで投与され得る。具体的な投与スケジュールは、当業者に公知であるか、または慣用的な方法を用いて実験的に決定され得る。例示的な投与スケジュールとしては、限定されないが、1日2回、1日1回、1日おき、週3回、週2回、週1回、月2回、月1回などでの投与が挙げられる。単位用量調製物は、約1.5〜約30mgの範囲の式Iの化合物を含み得る。好ましくは、単位投薬形態は、約1.5〜約20mgの式Iの化合物を含み得るが、さらにより好ましくは、単位用量は約1.5〜約10mgの式Iの化合物を有し得る。
1つ以上の滅菌容器内の本発明の式Iの化合物を用いたオピオイド過量摂取またはオピオイド毒性の治療に有用な医薬キットも、本発明の範囲内にある。容器の滅菌は当業者に周知の従来の滅菌方法論を用いて行なわれ得る。物質の滅菌容器は、所望により、別々の容器を含み得るか、またはUNIVIAL(登録商標)2パート容器(Abbott Labs、Chicago、Ill.から入手可能)に例示されるような1つ以上のマルチパート容器を含み得る。かかるキットは、所望により、さらに、当業者に容易に明らかであるように、例えば1種類以上の薬学的に許容され得る担体、成分の混合のためのさらなるバイアルなどの1種類以上の種々の従来の医薬キット成分を含み得る。また、投与される成分の量、投与のためのガイドラインおよび/または成分の混合のためのガイドラインを示す添付文書またはラベルのいずれかとしての使用説明書もキットに含まれ得る。
他に定義しない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、当業者に一般的に知られた意味に従う。本明細書に挙げた全ての刊行物、特許、公開特許出願、および他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
合成方法
本発明の化合物および方法は、本発明の化合物が調製され得る方法を示し、単なる例示を意図し、本発明の範囲を限定しない以下の合成スキームと関連させて、よりよく理解されよう。開示された態様に対する種々の変更および改変は当業者に自明であり、限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、製剤および/または方法に関するものを含むかかる変更および改変は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱せずに行なわれ得る。
本発明の式Iの化合物は、例えば、その開示が全体において参照により本明細書に援用される米国特許第5,250,542号、米国特許第5,434,171号、米国特許第5,159,081号、米国特許第4,176,186号、米国特許第6,365,594号、米国特許第6,784,187および米国特許第5,270,328号に教示される方法を使用して合成され得る。インドリルモルヒナンの合成方法は、Jones et al, Journal of Medicinal Chemistry, 1998, 41, 4911に記載される。ピリドモルヒナンの合成方法は、Ananthan et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 13, 2003, 529-532に記載される。本発明の化合物の合成において開始物質として使用された、光学的に活性な市販のナルトレキソンは、その開示が全体において参照により本明細書に援用される米国特許第3,332,950号に教示される一般的な手順によって調製され得る。化合物1aおよび1bは、以下の参考文献:米国特許第6,784,187号;Wentland et al. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2001, 11, 623;Wentland et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2001, 11, 1717、Wentland et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2005, 15, 2107に記載された方法を使用して、それらの対応するフェノールから合成された。
実施例
本発明の化合物および方法は、単なる例示を意図し、本発明の範囲を限定しない以下の実施例と関連させて、よりよく理解されよう。開示された態様に対する種々の変更および改変は当業者に自明であり、限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、製剤および/または方法に関するものを含むかかる変更および改変は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱せずに行なわれ得る。
実施例1: 単一施設の無作為化された単盲検プラシーボ対照試験を、24名の健常、非依存性オピオイド経験被験体において行なった。プラシーボ(キニーネ溶液(0.01%w/v))を、1日目に投与した。化合物1(10または20mg)を、2日目に投与した。1日目および2日目に、5回のレミフェンタニル(REMI)および2回の食塩水注入負荷を投与した。REMIおよび食塩水の毎日負荷を3〜9日目に投与した。それぞれの負荷の時点で、瞳孔直径を含む反復薬力学(PD)評価を、注入の25分後まで行なった。化合物1によるレミフェンタニル誘導縮瞳の阻害の開始を、1日目(プラシーボ)のそれぞれの負荷注入時点対対応する2日目の時点に由来する最大瞳孔収縮(MPC)、および曲線上の瞳孔測定法面積(PAOC0-25分)のPDパラメーターを比較することにより分析した(図1および2)。
「ハイ」および「良好な効果」などについての視覚アナログスケール(VAS)スコアリングを、瞳孔測定法測定の直後に評価した。それぞれのVAS試験サイクルは、およそ1分間持続し、それぞれのVAS測定値に関連する質問を含んだ。被験体は、主観的な状態の自分の現在の知覚および負荷注入の効果の自分の現在の知覚を評価した(図3〜6)。
阻害の程度、開始および持続時間を、それぞれの負荷時点で瞳孔縮瞳およびVASスコアの統計的な比較により決定した。REMIは、1日目に有意なPD効果を生じた(食塩水に対してp<0.001)。化合物1(10および20mg)は、1時間(hr)および0.25hrのそれぞれの内に、REMIにより誘導される瞳孔縮瞳を阻害した。阻害は少なくとも24時間持続した(食塩水に対してp=0.54)。「薬物嗜好(liking)」の主観的な効果の阻害は、少なくとも48時間持続した(食塩水に対してp=0.31)。15ng/mLより高い化合物1の濃度は、完全な阻害に充分であった。生理学的および主観的効果の部分的な阻害は、化合物1の99%超が排出された後でも(t1/2=7hr)投与後4日間持続した。
本明細書に参照される特許文献および科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書に引用される全ての米国特許および公開または非公開米国特許出願は、参照により援用される。本明細書に引用される全ての公開された外国特許および特許出願は、参照により援用される。本明細書に引用される全ての他の公開された参考文献、文書、原稿および科学文献は、参照により援用される。
上述の患者に加えて、1人のオピオイド依存性、オピオイド経験被験体に、REMI負荷後化合物1(10mg)を与えた。2日目に、患者は、10mgの化合物1の投与の2分後に重度の薬物禁断症状を経験した。禁断症状には、悪心、悪寒、頭痛、下痢、背中の疼痛、筋肉痙攣および嘔吐が含まれた。これらは、集合的に評価され、アヘン剤禁断状態の症状として決定した。0.25時間のレミフェンタニル負荷注入を与える前に被験体の試験を中止した。
オピオイド依存性患者において観察された禁断症状と組み合わせた試験の結果、特に迅速な開始および有効性の延長は、オピオイド過量摂取およびオピオイド毒性の治療のための化合物1の有用性を示す。
実施例2:
Figure 0006216305

不活性雰囲気下の被覆(jacketed)反応器に、化合物1(80g)を添加した。該反応器にメタノール(250mL)、次いでエタノール(250mL)を添加した。反応器の内容物を約65℃まで温めた。リンゴ酸のエタノール溶液(100mLのエタノール中34.5gのリンゴ酸)を60〜65℃で反応器に添加した。高温で攪拌後、反応器内容物をゆっくりと室温まで冷却した。ろ過により固体を分離して、数倍容量のメタノール:エタノール(40:60)溶液で湿ったケークを洗浄した。一定重量に達するまで、固体を真空オーブン中で乾燥させた。
NMR (300 MHz, DMSO-d6): 14.37, 0.9H, s; 12.39, 1.3H, br; 8.41, 1.2H, s; 7.93, 1.2H, s; 7.66, 1.1H, d; 6.65, 1.2H, d; 6.29-4.83, 1.6H, m, 4.04, 1.2H, m; 3.87, 1.2H, d; 3.48, 1.2H, d; 3.10, 2.1H, m; 2.90-2.73, 2.9H, m; 2.72-2.48, 4.5H, m; 2.37, 1.1H, dd; 2.13, 2H, m; 1.96, 1.1H, m; 1.80, 1.9H, m; 1.59, 1H, d; 0.97, 1H, m; 0.57, 2H, m; 0.27, 2H, m.
本発明を、その好ましい態様を参照して具体的に示し、記載したが、形態および詳細における種々の変形が、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱せずになされ得ることは、当業者によって理解されよう。
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1]式I:
Figure 0006216305

(式中、
R1は、-(CH2)n-c-C3H5、-(CH2)n-c-C4H7、-(CH2)n-c-C5H9、-(CH2)n-CH=CH2または-(CH2)n-CH=C(CH3)2であり、ここでnは独立して、0、1、2または3であり;
R2は、-CONH2または-CSNH2であり;
R3およびR4は独立して、H、-OHであるかまたはR3およびR4は一緒になって、-O-基もしくは-S-基を形成し;
R5は、HまたはC1-C8アルキルであり;
R6およびR7は独立して、H、-OH、OCH3であるかまたはR6およびR7は一緒になって、=O基もしくは=CH2基を形成する)
の化合物または薬学的に許容され得る塩、エステル代謝産物もしくはプロドラッグを投与する工程を含む、薬物毒性または薬物過量摂取の治療を必要とする被験体における薬物毒性または薬物過量摂取の治療方法。
[2]前記式Iの化合物が
Figure 0006216305

である、[1]記載の方法。
[3]前記化合物が、式:
Figure 0006216305

を有するマレイン酸塩である、[1]記載の方法。
[4]前記薬物毒性または薬物過量摂取が、非依存性患者へのオピオイド投与により生じる、[1]または[2]記載の方法。
[5]前記被験体が、オピオイド経験、非依存性オピオイドユーザーである、[1]〜[4]いずれか記載の方法。
[6]前記式Iの化合物が、約3〜約20mg/日の1日用量で投与される、[1]または[2]記載の方法。
[7]前記1日用量が、約10mg/日である、[6]記載の方法。
[8]式Iの化合物の投与により、薬物毒性または薬物過量摂取の症状が少なくとも約15〜約30分間にわたり低減される、[1]記載の方法。
[9]薬物過量摂取の症状が、少なくとも1時間低減される、[8]記載の方法。
[10]薬物過量摂取の症状が、少なくとも2時間低減される、[8]記載の方法。
[11]薬物過量摂取の症状が、少なくとも3時間低減される、[8]記載の方法。
[12]薬物過量摂取の症状が、少なくとも4時間低減される、[8]記載の方法。
[13]薬物過量摂取の症状が、少なくとも8時間低減される、[8]記載の方法。
[14]前記投与が、約3mg〜約20mgの式Iの化合物を含む、[8]〜[13]いずれか記載の方法。
[15]前記過量摂取の症状が、呼吸数の低下、呼吸深度(respiratory depth)の低下、無呼吸、コモトーシス(comotosis)、低酸素症、せん妄 低血圧、徐脈、体温の低下、尿停留および瞳孔縮瞳から選択される、[8]〜[13]いずれか記載の方法。
[16]前記化合物が、式:
Figure 0006216305

の塩である、[15]記載の方法。
[17]約3mg〜約20mgの前記化合物の投与を含む、[16]記載の方法。
[18]第1のオピオイド受容体アンタゴニスト、次いで式I:
Figure 0006216305

(式中、
R1は、-(CH2)n-c-C3H5、-(CH2)n-c-C4H7、-(CH2)n-c-C5H9、-(CH2)n-CH=CH2または-(CH2)n-CH=C(CH3)2であり、nは独立して、0、1、2または3であり;
R2は、-CONH2または-CSNH2であり;
R3およびR4は独立して、H、-OHであるかまたはR3およびR4は一緒になって、-O-基もしくは-S-基を形成し;
R5は、HまたはC1-C8アルキルであり;
R6およびR7は独立して、H、-OH、OCH3であるかまたはR6およびR7は一緒になって、=O基もしくは=CH2基を形成する)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを投与する工程を含む、オピオイド毒性またはオピオイド過量摂取の治療を必要とする被験体におけるオピオイド毒性またはオピオイド過量摂取の治療方法。
[19]前記第1のオピオイド受容体アンタゴニストがナロキソンである、[18]記載の方法。
[20]前記化合物が、式:
Figure 0006216305

の塩である、[18]または[19]記載の方法。
[21]前記被験体が、オピオイド経験、非依存性オピオイドユーザーである、[19]記載の方法。
[22]前記式Iの化合物の投与の先に、前記ナロキソン投与を行う、[19]記載の方法。
[23]式Iの化合物の投与の前に、前記ナロキソン投与により、過量摂取または毒性の症状が低減される、[22]記載の方法。
[24]ナロキソンが式Iの化合物と同時に投与される、[19]記載の方法。
[25]1時間にわたる期間の急性オピオイド毒性または急性オピオイド過量摂取の治療を必要とする被験体への式I:
Figure 0006216305

(式中、
R1は、-(CH2)n-c-C3H5、-(CH2)n-c-C4H7、-(CH2)n-c-C5H9、-(CH2)n-CH=CH2または-(CH2)n-CH=C(CH3)2であり、nは独立して、0、1、2または3であり;
R2は、-CONH2または-CSNH2であり;
R3およびR4は独立して、H、-OHであるかまたはR3およびR4は一緒になって、-O-基もしくは-S-基を形成し;
R5は、HまたはC1-C8アルキルであり;
R6およびR7は独立して、H、-OH、OCH3であるかまたはR6およびR7は一緒になって、=O基もしくは=CH2基を形成する)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの単回投与を含む、1時間にわたる期間の急性オピオイド毒性または急性オピオイド過量摂取の治療方法。
[26]前記被験体が、非依存性オピオイド経験患者である、[25]記載の方法。
[27]オピオイド毒性またはオピオイド過量摂取の症状が、1時間より長い期間低減される、[25]記載の方法。
[28]オピオイド毒性またはオピオイド過量摂取の症状が、4時間より長い期間低減される、[25]記載の方法。
[29]オピオイド毒性またはオピオイド過量摂取の症状が、8時間より長い期間低減される、[25]記載の方法。
[30]オピオイド毒性またはオピオイド過量摂取の症状が、24時間より長い期間低減される、[25]記載の方法。
[31]前記化合物が、式
Figure 0006216305

の塩である、[25]〜[30]いずれか記載の方法。
[32]式I:
Figure 0006216305

(式中、
R1は、-(CH2)n-c-C3H5、-(CH2)n-c-C4H7、-(CH2)n-c-C5H9、-(CH2)n-CH=CH2または-(CH2)n-CH=C(CH3)2であり、式中nは独立して、0、1、2または3であり;
R2は、-CONH2または-CSNH2であり;
R3およびR4は独立して、H、-OHであるかまたはR3およびR4は一緒になって、-O-基もしくは-S-基を形成し;
R5は、HまたはC1-C8アルキルであり;
R6およびR7は独立して、H、-OH、OCH3であるかまたはR6およびR7は一緒になって、=O基もしくは=CH2基を形成する)
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグの投与を含む、オピオイド毒性またはオピオイド過量摂取のモニタリングされない治療を必要とする患者におけるオピオイド毒性またはオピオイド過量摂取のモニタリングされない治療方法。
[33]前記モニタリングされない治療が、1時間を超えた時間にわたり有効である、[32]記載の方法。

Claims (2)

  1. 化合物-1:
    Figure 0006216305

    のL−リンゴ酸塩。
  2. 請求項1記載のL−リンゴ酸塩および担体を含む医薬組成物。
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