JP6215804B2 - 非水電解質二次電池用負極活物質、非水電解質二次電池用負極、及び非水電解質二次電池、並びに負極活物質粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の非水電解質二次電池用負極活物質を用いた非水電解質二次電池用負極について説明する。図1は、本発明の一実施形態における非水電解質二次電池用負極(以下、単に「負極」と称することがある。)の断面構成を表している。
図1に示したように、負極10は、負極集電体11の上に負極活物質層12を有する構成になっている。この負極活物質層12は負極集電体11の両面、又は、片面だけに設けられていても良い。さらに、本発明の負極活物質が用いられたものであれば、負極集電体11はなくてもよい。
負極集電体11は、優れた導電性材料であり、かつ、機械的な強度に長けた物で構成される。負極集電体11に用いることができる導電性材料として、例えば銅(Cu)やニッケル(Ni)があげられる。この導電性材料は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない材料であることが好ましい。
負極活物質層12は、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な複数の負極活物質粒子を含んでおり、電池設計上、さらに負極結着剤や導電助剤など、他の材料を含んでいても良い。本発明の非水電解質二次電池用負極活物質は、この負極活物質層12を構成する材料となる。
XPS
・装置: X線光電子分光装置、
・X線源: 単色化Al Kα線、
・X線スポット径: 100μm、
・Arイオン銃スパッタ条件: 0.5kV 2mm×2mm。
29Si MAS NMR(マジック角回転核磁気共鳴)
・装置: Bruker社製700NMR分光器、
・プローブ: 4mmHR−MASローター 50μL、
・試料回転速度: 10kHz、
・測定環境温度: 25℃。
本発明の負極を製造する方法について説明する。まず、負極に使用する負極材に含まれる負極活物質粒子の製造方法を説明する。まず、SiOx(0.5≦x≦1.6)で表されるケイ素化合物を作製する。次に、ケイ素化合物にLiを挿入することにより、該ケイ素化合物の表面若しくは内部又はその両方にLi化合物を生成させてケイ素化合物を改質する。その後、ケイ素化合物を酸で処理することで、1%分散液の25℃におけるpHを9以下に制御した負極活物質粒子を得る。このように、負極活物質粒子を製造した後に、負極活物質粒子を導電助剤、結着剤および溶媒と混合し、スラリーを得る。次に、スラリーを負極集電体の表面に塗布し、乾燥させて負極活物質層を形成する。
次に、上記したリチウムイオン二次電池用負極を用いたリチウムイオン二次電池について説明する。
図3に示すラミネートフィルム型二次電池30は、主にシート状の外装部材35の内部に巻回電極体31が収納されたものである。この巻回体は正極、負極間にセパレータを有し、巻回されたものである。また正極、負極間にセパレータを有し積層体を収納した場合も存在する。どちらの電極体においても、正極に正極リード32が取り付けられ、負極に負極リード33が取り付けられている。電極体の最外周部は保護テープにより保護されている。
正極は、例えば、図1の負極10と同様に、正極集電体の両面又は片面に正極活物質層を有している。
負極は、上記した図1のリチウムイオン二次電池用負極10と同様の構成を有し、例えば、集電体11の両面に負極活物質層12を有している。この負極は、正極活物質剤から得られる電気容量(電池として充電容量)に対して、負極充電容量が大きくなることが好ましい。負極上でのリチウム金属の析出を抑制することができるためである。
セパレータは正極と負極を隔離し、両極接触に伴う電流短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータは、例えば合成樹脂、あるいはセラミックからなる多孔質膜により形成されており、2種以上の多孔質膜が積層された積層構造を有しても良い。合成樹脂として例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどが挙げられる。
活物質層の少なくとも一部、又はセパレータには液状の電解質(電解液)が含浸されている。この電解液は、溶媒中に電解質塩が溶解されており、添加剤など他の材料を含んでいても良い。
最初に上記した正極材を用い正極電極を作製する。まず、正極活物質と、必要に応じて結着剤、導電助剤などを混合し正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させ正極合剤スラリーとする。続いて、ナイフロールまたはダイヘッドを有するダイコーターなどのコーティング装置で正極集電体に合剤スラリーを塗布し、熱風乾燥させて正極活物質層を得る。最後に、ロールプレス機などで正極活物質層を圧縮成型する。この時、加熱を行っても良い。また、圧縮、加熱を複数回繰り返しても良い。
以下の手順により、図3に示したラミネートフィルム型の二次電池30を作製した。
ケイ素化合物のバルク内酸素量を調整したことを除き、実施例1−1と同様に、二次電池の製造を行った。この場合、気化出発材の比率や温度を変化させることで、酸素量を調整した。実施例1−1〜1−5、比較例1−1、1−2における、SiOxで表されるケイ素化合物のxの値を表1中に示した。
基本的に実施例1−3と同様に二次電池の製造を行ったが、SiOxで表わされるケイ素化合物において、Liドープ処理(バルク内改質)の条件、すなわち、Liドープの処理方法を変化させ、含まれるLi化合物種を変化させた。実施例2−1〜実施例2−6、比較例2−1の二次電池のサイクル特性及び初回充放電特性を調べたところ、表2に示した結果が得られた。
ケイ素化合物に含まれる酸及びLi塩を表3に示すように変化させたこと以外、実施例1−3と同様に二次電池の製造を行った。ケイ素化合物に含まれる酸及びLi塩は、ケイ素化合物に作用させる酸成分を変えることで変化させた。なお、比較例3−1では、ケイ素化合物の酸処理を行わず、ケイ素化合物に酸及びそのLi塩を含ませなかった。実施例3−1〜実施例3−5、比較例3−1、比較例3−2の二次電池のサイクル特性及び初回充放電特性を調べたところ、表3に示した結果が得られた。
ケイ素化合物の結晶性を変化させた他は、実施例1−3と同様に二次電池の製造を行った。結晶性の変化はLiの挿入、脱離後の非大気雰囲気下の熱処理で制御可能である。実施例4−1〜4−8のケイ素系活物質の半値幅を表4に示した。実施例4−8では半値幅を20.221°と算出しているが、解析ソフトを用いフィッティングした結果であり、実質的にピークは得られていない。よって実施例4−8のケイ素系活物質は、実質的に非晶質であると言える。実施例4−1〜実施例4−8の二次電池のサイクル特性及び初回充放電特性を調べたところ、表4に示した結果が得られた。
ケイ素化合物のメディアン径を調節した他は、実施例1−3と同様に二次電池を製造した。メディアン径の調節はケイ素化合物の製造工程における粉砕時間、分級条件を変化させることによって行った。実施例5−1〜5−4の二次電池のサイクル特性、初回充放電特性を調べたところ、表5に示した結果が得られた。
ケイ素化合物表面の炭素被膜の含有率(ケイ素化合物及び炭素被膜の合計に対する割合)、厚み(膜厚)、被覆率を変化させた以外は、実施例1−3と同様に二次電池の製造を行った。炭素被膜の含有率、厚み、被覆率の変化はCVD時間およびCVD時のケイ素化合物の粉の流動性を調節することで制御可能である。実施例6−1〜6−5の二次電池のサイクル特性、初回充放電特性を調べたところ、表6に示した結果が得られた。
ケイ素化合物に含まれるポリアクリル酸及びそのLi塩の、ケイ素化合物に対する割合を変更したこと以外は、実施例1−3と同様と同様に二次電池の製造を行った。実施例7−1〜実施例7−3の二次電池のサイクル特性、初回充放電特性を調べたところ、表7に示した結果が得られた。
実施例8−1〜実施例8−5では、基本的に実施例1−3と同様に二次電池の製造を行ったが、負極活物質として、さらに、炭素系活物質(黒鉛)を加えた。ここでは、負極中の炭素系活物質材の含有量とケイ素化合物の含有量との比を90:10(質量比)に固定した。すなわち、炭素系活物質とケイ素化合物の総量に対する、ケイ素化合物の割合を10質量%とした。また、酸及びLi塩の分布部分は、負極活物質粒子を酸処理するタイミングを変化させることで変化させた。実施例8−1〜8−5の二次電池のサイクル特性、初回充放電特性を調べたところ、表8に示した結果が得られた。表8中には、酸及びそのLi塩の分布の中心を示した。
ケイ素化合物の表面の炭素被膜の状態を変化させ、ラマンスペクトル分析における、1330cm−1と1580cm−1の散乱ピークの強度比I1330/I1580を変化させたこと除き、実施例8−1と同様に、二次電池の製造を行った。結果を表9に示す。なお、散乱ピークの強度比は、CVD時の温度およびガス圧力を変化させることによって行った。
20…バルク内改質装置、 21…陽電極(リチウム源、改質源)、
22…ケイ素化合物の粉末、 23…有機溶媒、 24…セパレータ、
25…粉末格納容器、 26…電源、 27…浴槽、
30…リチウム二次電池(ラミネートフィルム型)、 31…電極体、
32…正極リード(正極アルミリード)、
33…負極リード(負極ニッケルリード)、 34…密着フィルム、
35…外装部材。
Claims (13)
- 負極活物質粒子を有し、該負極活物質粒子はLi化合物が含まれるケイ素化合物(SiOx:0.5≦x≦1.6)を有する非水電解質二次電池用負極活物質であって、
前記負極活物質粒子は、1%分散液の25℃におけるpHが7.8以上9以下であり、
酸及びそのLi塩を表面に含み、
前記酸及びそのLi塩として、カルボキシ基を有する高分子酸及びそのLi塩を含み、
前記カルボキシ基を有する高分子酸及びそのLi塩として、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸のLi塩、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースのLi塩、並びに、ポリマレイン酸及びポリマレイン酸のLi塩のいずれか1つ以上を含み、
前記ケイ素化合物が、その内部にLi 2 SiO 3 を含むことを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質。 - 前記酸及びそのLi塩は、酢酸及び酢酸のLi塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
- 前記酸およびそのLi塩は、前記ケイ素化合物に対し、2質量%以上25質量%以下の割合で含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
- 前記ケイ素化合物は、少なくとも一部に炭素を含む炭素被膜で被覆されており、該炭素被膜が、ラマンスペクトル分析において、1330cm−1と1580cm−1に散乱ピークを有し、それらの強度比I1330/I1580が0.7<I1330/I1580<2.0を満たすことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
- 前記炭素被膜の含有率が、前記ケイ素化合物及び前記炭素被膜の合計に対し5質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項4に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
- 前記負極活物質粒子は、前記酸及びそのLi塩が、前記炭素被膜の外周面から検出されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
- 前記ケイ素化合物が、その内部にLi6Si2O7、Li4SiO4のうち、少なくとも一種以上のLi化合物を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
- 前記ケイ素化合物のメディアン径は0.5μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極活物質、及び炭素系活物質を含むことを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
- 前記炭素系活物質と前記ケイ素化合物の総量に対する、前記ケイ素化合物の割合が5質量%以上のものであることを特徴とする請求項9に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 請求項9又は請求項10に記載の非水電解質二次電池用負極を用いたものであることを特徴とする非水電解質二次電池。
- 非水電解質二次電池用負極材に含まれる負極活物質粒子の製造方法であって、
SiOx(0.5≦x≦1.6)で表されるケイ素化合物を作製する工程と、
前記ケイ素化合物にLiを挿入することにより、該ケイ素化合物の表面若しくは内部又はその両方にLi化合物としてLi 2 SiO 3 を生成させて該ケイ素化合物を改質する工程と、
該改質後のケイ素化合物をポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、及び、ポリマレイン酸のいずれか1つ以上のカルボキシ基を有する高分子酸で処理することで、1%分散液の25℃におけるpHを7.8以上9以下に制御する工程と
により前記負極活物質粒子を製造することを特徴とする負極活物質粒子の製造方法。 - 前記ケイ素化合物を改質する工程を電気化学的手法により行うことを特徴とする請求項12に記載の負極活物質粒子の製造方法。
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