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JP6214140B2 - カルボキシビニルポリマーアミン塩の製造方法 - Google Patents

カルボキシビニルポリマーアミン塩の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アミン塩の製造方法、特に、カルボキシビニルポリマーアミン塩の製造方法に関する。
カルボキシビニルポリマーは、水または水可溶性のアルコール類やグリコール類に対して添加したときに膨潤性を示し、増粘ゲルを形成することから、化粧品等の増粘剤、パップ剤等の保湿剤、乳化剤や懸濁物等の懸濁安定剤、消毒用アルコールジェル、消火剤ゲル、燃料ゲル、止水ゲル、繊維捺染のりおよび電池の電解液ゲル等を調製するための増粘剤またはゲル化基剤として幅広く用いられている。
カルボキシビニルポリマーを上述のような用途に使用する場合、カルボキシビニルポリマーを水やアルコール類水溶液等に添加して均一な分散液を調製した後にアルカリで中和し、高粘度ゲルを調製する必要がある。すなわち、カルボキシビニルポリマーを用いて高粘度ゲルを調製する場合においては、アルカリによる中和工程が必要である。そこで、中和工程を省略可能な、予めアルカリにより中和された既中和タイプのカルボキシビニルポリマー塩の開発が望まれている。このような既中和タイプのカルボキシビニルポリマー塩は、水やアルコール類水溶液等へ添加するだけで簡単に高粘度ゲルを調製可能なことから、火災現場において消火用ゲルを調製したり、地下工事現場において漏水を止めるための止水ゲルを調製したりする場合等、目的のゲルを速やかに調製する必要がある用途において利用の拡大が期待される。
カルボキシビニルポリマー塩は、水やアルコール類水溶液等へ容易に添加できることから、粉末状のものが好ましい。粉末状のカルボキシビニルポリマー塩を製造する方法として、特許文献1は、有機溶媒中に分散したアクリル酸の架橋ポリマーまたはコポリマーを脂肪族アミンを用いて中性化した後、濾過するか、または、溶媒を蒸発させることで、粉末状のカルボキシビニルポリマーアミン塩を回収する方法を提案している。また、特許文献2は、カルボキシビニルポリマー粉末にアミンガスを作用させることで、粉末状のカルボキシビニルポリマーアミン塩を製造する方法を提案している。
特許文献1の製造方法は、危険物である有機溶媒を使用することから安全面での配慮や有機溶媒の回収等が必要であり、また、中和、分離および乾燥等の工程が必要なことから操作が煩雑である。また、得られるカルボキシビニルポリマーアミン塩は、必然的に有機溶媒が残存することになる。一方、特許文献2の製造方法は、アミンをガス化する必要がある場合において、そのための操作が煩雑であり、しかも多大なエネルギーを要することから経済性においても不利である、また、当初からガス状のアミンを用いる場合においては、その保管や取扱いのための特別な配慮が必要であることから、やはりそれらのための作業が煩雑になる。
特開平4−218582号公報 特開昭59−109502号公報
本発明の目的は、ゲル化剤として使用可能な粉末状のカルボキシビニルポリマーアミン塩を簡単に製造することにある。
本発明は、カルボキシビニルポリマーアミン塩の製造方法に関するものであり、この製造方法は、カルボキシビニルポリマー粉末およびアルキル変性カルボキシビニルポリマー粉末からなる群より選ばれた少なくとも1種のポリマー粉末と、融点が0〜55℃でありかつ沸点が150〜300℃の液状の脂肪族アミンとを機械的に混合および攪拌することで反応させる工程を含む。
この製造方法で用いられる脂肪族アミンは、モノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンおよびジオクチルアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種である。
本発明の製造方法では、通常、ポリマー粉末のカルボキシル基1モルあたり、脂肪族アミンを0.1〜1モル用いるのが好ましい。
本発明の製造方法は、カルボキシビニルポリマーの粉体に対し、特定温度範囲内の融点および沸点を有する液状の脂肪族アミンを反応させているため、目的のカルボキシビニルポリマーアミン塩を簡単に製造することができる。
本発明に係るカルボキシビニルポリマーアミン塩の製造方法は、ポリマー粉末と脂肪族アミンとを反応させる工程を含む。
この製造方法で用いられるポリマー粉末は、カルボキシビニルポリマー粉末およびアルキル変性カルボキシビニルポリマー粉末からなる群より選ばれた少なくとも1種のものである。カルボキシビニルポリマーは、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下において、アクリル酸およびメタクリル酸のうちの少なくとも1つとエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物とを不活性溶媒中で重合させることで製造することができる。また、アルキル変性カルボキシビニルポリマーは、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下において、アクリル酸およびメタクリル酸のうちの少なくとも1つ、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルのうちの少なくとも1つ並びにエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を不活性溶媒中で重合させることで製造することができる。
カルボキシビニルポリマーまたはアルキル変性カルボキシビニルポリマーの製造において用いられる、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、サッカロースまたはソルビトール等のポリオールの2置換以上のアクリル酸エステル類、同様のポリオールの2置換以上のアリルエーテル類、フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、メタクリル酸アリル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、アジピン酸ジビニル、クロトン酸ビニル、1,5−ヘキサジエン並びにジビニルベンゼン等を挙げることができる。
これらのエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物の中でも、少量の使用で高い増粘性を付与でき、また、乳化物や懸濁物等に高い懸濁安定性を付与できるカルボキシビニルポリマーアミン塩が得られやすいことから、ペンタエリスリトールアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、リン酸トリアリルまたはポリアリルサッカロースを用いるのが好ましい。エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物は、2種以上のものが併用されてもよい。
アルキル変性カルボキシビニルポリマーの製造において用いられる、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルは、通常、アクリル酸またはメタクリル酸と、アルキル基の炭素数が18〜24である高級アルコールとのエステルが好ましい。アルキル基の炭素数が18〜24である高級アルコールとしては、例えば、ステアリルアルコール、エイコサノール、ベヘニルアルコールおよびテトラコサノールを挙げることができる。
アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルとして好ましいものは、得られるアルキル変性カルボキシビニルポリマーアミン塩を用いて調製した分散液の粘度を高め、透明性を高める観点から、通常はメタクリル酸とアルキル基の炭素数が18〜24である高級アルコールとのエステル、例えば、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸エイコサニル、メタクリル酸ベヘニルまたはメタクリル酸テトラコサニルである。
アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルは、それぞれ2種以上のものが併用されてもよい。また、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとが併用されてもよい。
アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルとしては、各種の市販品を用いることができる。例えば、メタクリル酸アルキルエステルの好ましい市販品として、日油株式会社の商品名「ブレンマーVMA70」(メタクリル酸ステアリルの含有量が10〜20質量部、メタクリル酸エイコサニルの含有量が10〜20質量部、メタクリル酸ベヘニルの含有量が59〜80質量部およびメタクリル酸テトラコサニルの含有量が1質量部以下の混合物)を挙げることができる。
カルボキシビニルポリマーまたはアルキル変性カルボキシビニルポリマーの製造時に用いられるエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物の使用量は、通常、アクリル酸若しくはメタクリル酸または両者の合計100質量部に対して0.01〜1質量部に設定するのが好ましく、0.3〜0.8質量部に設定するのがより好ましい。この使用量が0.01質量部未満の場合、目的のカルボキシビニルポリマーアミン塩を用いて調製した分散液の粘度が高まりにくくなる可能性がある。逆に、この使用量が1質量部を超える場合、目的のカルボキシビニルポリマーアミン塩を用いて調製した分散液において、不溶性のゲルが生成しやすくなる可能性がある。
また、アルキル変性カルボキシビニルポリマーの製造時に用いられる、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルの使用量は、アクリル酸若しくはメタクリル酸または両者の合計100質量部に対して1〜10質量部に設定するのが好ましく、1.5〜8質量部に設定するのがより好ましい。この使用量が1質量部未満の場合、目的のカルボキシビニルポリマーアミン塩を用いて調製した分散液の粘度が高まりにくくなる可能性がある。逆に、この使用量が10質量部を超える場合、目的のカルボキシビニルポリマーアミン塩を用いて調製した分散液の透明性が低下する可能性がある。
カルボキシビニルポリマーまたはアルキル変性カルボキシビニルポリマーの製造時に用いられる不活性溶媒は、特に限定されるものではないが、通常、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルおよびエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を溶解可能であり、かつ、生成するカルボキシビニルポリマーまたはアルキル変性カルボキシビニルポリマーを溶解しないものが好ましい。このような不活性溶媒の具体例としては、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、エチレンジクロライド、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、エチルメチルケトンおよびイソブチルメチルケトン等が挙げられる。このうち、品質が安定しており、しかも入手が容易であることから、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、エチレンジクロライドまたは酢酸エチルを用いるのが特に好ましい。不活性溶媒は、2種以上のものが併用されてもよい。
不活性溶媒の使用量は、通常、アクリル酸若しくはメタクリル酸または両者の合計100質量部に対して200〜10,000質量部に設定するのが好ましく、300〜2,000質量部に設定するのがより好ましい。不活性溶媒の使用量が200質量部未満の場合、重合反応が進行するに従ってカルボキシビニルポリマーまたはアルキル変性カルボキシビニルポリマーが析出し、均一な攪拌が困難となることから反応を制御しにくくなる可能性がある。逆に、不活性溶媒の使用量が10,000質量部を超える場合、単位質量当りで得られるカルボキシビニルポリマーまたはアルキル変性カルボキシビニルポリマーが少なくなるため、製造上の効率性および経済性を欠く可能性がある。
カルボキシビニルポリマーまたはアルキル変性カルボキシビニルポリマーの製造において用いられるラジカル重合開始剤は、特に限定されるものではないが、例えば、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルおよび2,2’−アゾビスメチルイソブチレート等のアゾ系開始剤並びに過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドおよび第三級ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、2種以上のものが併用されてもよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、アクリル酸若しくはメタクリル酸または両者の合計100質量部に対して0.01〜0.45質量部に設定するのが好ましく、0.01〜0.35質量部に設定するのがより好ましい。この使用量が0.01質量部未満の場合、重合反応速度が遅くなるため、製造上の効率性や経済性が損なわれる可能性がある。逆に、この使用量が0.45質量部を超える場合、重合反応速度が速まることから、反応の制御が困難になる可能性がある。
カルボキシビニルポリマーまたはアルキル変性カルボキシビニルポリマーを製造するための重合反応は、通常、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で実行するのが好ましい。また、重合反応時の温度は、反応溶液の粘度上昇を抑制し、反応制御を容易にする観点、および、得られるカルボキシビニルポリマーまたはアルキル変性カルボキシビニルポリマーの嵩密度を制御する観点から、50〜90℃に設定するのが好ましく、55〜75℃に設定するのがより好ましい。重合反応時間は、反応温度によって異なるために一概に決定するのは困難であるが、通常、2〜10時間である。
目的のカルボキシビニルポリマーまたはアルキル変性カルボキシビニルポリマーは、通常、重合反応終了後に反応溶液を80〜130℃に加熱することで重合溶媒を除去すると、白色の微粉末状のものとして得られる。
本発明の製造方法において用いられる脂肪族アミンは、融点が0〜55℃でありかつ沸点が100〜300℃のものである。特に、増粘効果が高く、透明性の高いゲルを形成しやすいカルボキシビニルポリマーアミン塩を調製可能なことから、脂肪族アミンとしては、融点が0〜50℃でありかつ沸点が150〜300℃のもの、特に、融点が2〜45℃でありかつ沸点が150〜250℃のものを用いるのが好ましい。なお、沸点は、標準大気圧下での沸点である。
上述の特定範囲の融点および沸点を有する脂肪族アミンとしては、例えば、モノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンおよびジオクチルアミン等を挙げることができる。このうち、モノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2メチル−1−プロパノールおよびジイソプロパノールアミンは、融点が0〜50℃でありかつ沸点が150〜300℃の条件、特に、融点が2〜45℃でありかつ沸点が150〜250℃の条件を具備するため、好ましい。
上述の条件を満たす脂肪族アミンは、2種以上のものが併用されてもよい。
ポリマー粉末に対する脂肪族アミンの使用量は、通常、ポリマー粉末のカルボキシル基1モルあたり0.1〜1モルに設定するのが好ましく、0.2〜0.8モルに設定するのがより好ましい。この使用量が0.1モル未満の場合は、良好な増粘効果を示すカルボキシビニルポリマーアミン塩が得られにくい可能性がある。逆に、この使用量が1モルを超える場合は、増粘効果が高く、透明性の高いゲルを調製可能なカルボキシビニルポリマーアミン塩が得られにくくなる可能性がある。
ポリマー粉末と脂肪族アミンとの反応において、脂肪族アミンは液状のものを用いる必要がある。このため、脂肪族アミンは、必要な場合(例えば、融点が常温以上の場合等)において適宜加熱することで融解して用いる必要がある。また、ポリマー粉末と液状の脂肪族アミンとは、ポリマー粉末と液状の脂肪族アミンとを機械的に混合および攪拌することで反応させる。この際、目的のカルボキシビニルポリマーの水分制御および変色防止のために、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で反応させるのが好ましい。機械的な混合および攪拌による反応では、攪拌を調整することで中和熱の発生を制御することができ、結果的に反応温度を制御しやすいことから、効率的に目的のカルボキシビニルポリマーアミン塩を製造することができる。
機械的な混合および攪拌をするための装置は、中和熱を制御するための冷却ユニットを有し、また、好ましくは反応系へ不活性ガスの通気が可能な装備を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、これらの所要の装備を有するブレンダー、ニーダー、コニカルミキサー、ヘンシェルミキサーおよび2軸押出機等の押出機を用いることができる。このうち、ポリマー粉末と液状の脂肪族アミンとの混練性が良好であり、作業性に優れていることから、ニーダーまたは2軸押出機を用いるのが特に好ましい。
ポリマー粉末に対して脂肪族アミンを添加する方法は、特に限定されるものではないが、通常は攪拌下のポリマー粉末に対してポンプにより脂肪族アミンの液滴を滴下したり、スプレーを用いて脂肪族アミンを霧状に噴霧したりする方法を採るのが好ましい。
ポリマー粉末と脂肪族アミンとの反応温度は、通常、30〜70℃に制御するのが好ましく、反応速度(中和熱)を制御しやすいことから40〜60℃に制御するのがより好ましい。この反応温度が30℃未満の場合は、反応速度が遅くなることから目的のカルボキシビニルポリマーアミン塩の効率的な製造が困難になる可能性がある。逆に、この反応温度が70℃を超える場合は、反応を制御しにくくなる可能性があり、発熱の影響により目的のカルボキシビニルポリマーアミン塩が変色してしまう可能性がある。
ポリマー粉末と液状の脂肪族アミンとの反応により得られるカルボキシビニルポリマーアミン塩は、基本的に、ポリマー粉末と同様の粉末状を維持しているが、この粉末は、適宜、粉砕や分級等の処理をすることで、所望の粒度に調整することもできる。
本発明の製造方法は、所定のポリマー粉末と所定の液状の脂肪族アミンとを反応させるものであるため、中和、分離および乾燥などの煩雑な操作が必要な従来法や、取扱いが困難なガス状のアミン化合物を用いる従来法よりも操作が単純で簡単であり、目的の粉末状のカルボキシビニルポリマーアミン塩を容易に製造することができる。すなわち、本発明の製造方法は、従来法に比べ、効率性および経済性において優れている。
本発明の製造方法により得られるカルボキシビニルポリマーアミン塩は、水または水可溶性のアルコール類やグリコール類に対して添加するだけで膨潤性を示し、透明性が良好な増粘ゲルを形成し得る。したがって、このカルボキシビニルポリマーアミン塩は、各種の用途の増粘剤として用いることができ、例えば、化粧品等の増粘剤、パップ剤等の保湿剤、乳化剤や懸濁物等の懸濁安定剤、消毒用アルコールジェル、消火剤ゲル、燃料ゲル、止水ゲル、繊維捺染のりおよび電池の電解液ゲル等を調製するための増粘剤またはゲル化基剤等として特に有用である。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例等によってなんら限定されるものではない。
製造例1(カルボキシビニルポリマー粉末の製造)
攪拌機、温度計、窒素吹き込み管および冷却管を備えた500ml容の四つ口フラスコにアクリル酸45g(0.625モル)、ペンタエリスリトールアリルエーテル0.225g、2,2’−アゾビスメチルイソブチレート0.081g(0.00035モル)、ノルマルヘプタン121.8g(179.1ml)および酢酸エチル40.3g(44.8ml)を仕込み、均一に攪拌および混合することで溶液を調製した。そして、四つ口フラスコの上部空間および溶液中に存在している酸素を除去するために、溶液中に窒素ガスを吹き込んだ後、溶液を窒素雰囲気下で60〜65℃に保持して4時間反応させた。
反応終了後、生成したスラリーを90℃に加熱することでノルマルヘプタンおよび酢酸エチルを留去し、さらに110℃、10mmHgの条件下で8時間減圧乾燥した。これにより、白色微粉末のカルボキシビニルポリマー44gを得た。
製造例2(アルキル変性カルボキシビニルポリマー粉末の製造)
攪拌機、温度計、窒素吹き込み管および冷却管を備えた500ml容の四つ口フラスコにアクリル酸45g(0.625モル)、アルキル基の炭素数が18〜24であるメタクリル酸アルキルエステルである日油株式会社の商品名「ブレンマーVMA70」0.88g、ペンタエリスリトールアリルエーテル0.225g、2,2’−アゾビスメチルイソブチレート0.081g(0.00035モル)、ノルマルヘプタン121.8g(179.1ml)、酢酸エチル40.3g(44.8ml)および界面活性剤である日本エマルジョン株式会社の商品名「エマレックスRWIS−350」(ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油)1.35gを仕込み、均一に攪拌および混合することで溶液を調製した。そして、四つ口フラスコの上部空間および溶液中に存在している酸素を除去するために、溶液中に窒素ガスを吹き込んだ後、溶液を窒素雰囲気下で60〜65℃に保持して4時間反応させた。
反応終了後、生成したスラリーを90℃に加熱することでノルマルヘプタンおよび酢酸エチルを留去し、さらに110℃、10mmHgの条件下で8時間減圧乾燥した。これにより、白色微粉末のアルキル変性カルボキシビニルポリマー43gを得た。
実施例1(カルボキシビニルポリマーアミン塩の製造)
製造例1と同様にして得られたカルボキシビニルポリマー粉末20g(0.278モル)を内容積300ccの卓上型ニーダー(株式会社入江商会製の型番「PBV−0.3」)に仕込み、20rpmの攪拌下で液状のAMP(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール:融点26℃、沸点166℃)12.38g(0.139モル)を滴下漏斗より約5分間かけて添加した(中和度50%)。この際、中和熱を冷却しながら反応温度を40℃に維持し、滴下終了後に攪拌をさらに0.5時間継続した。これにより、粉末状のカルボキシビニルポリマーアミン塩30gを得た。
実施例2(アルキル変性カルボキシビニルポリマーアミン塩の製造)
製造例2と同様にして得られたアルキル変性カルボキシビニルポリマー粉末20g(0.272モル)を内容積300ccの卓上型ニーダー(株式会社入江商会製の型番「PBV−0.3」)に仕込み、20rpmの攪拌下で液状のモノイソプロパノールアミン(融点2℃、沸点159℃)8.35g(0.111モル)を滴下漏斗より約5分間かけて添加した(中和度41%)。この際、中和熱を冷却しながら反応温度を40℃に維持し、滴下終了後に攪拌をさらに0.5時間継続した。これにより、粉末状のアルキル変性カルボキシビニルポリマーアミン塩25gを得た。
実施例3(カルボキシビニルポリマーアミン塩の製造)
製造例1と同様にして得られたカルボキシビニルポリマー粉末20g(0.278モル)を内容積300ccの卓上型ニーダー(株式会社入江商会製の型番「PBV−0.3」)に仕込み、20rpmの攪拌下で加熱により液状化したジイソプロパノールアミン(融点45℃、沸点249℃)25.92g(0.195モル)を滴下漏斗より約10分間かけて添加した(中和度70%)。この際、中和熱を冷却しながら反応温度を40℃で維持し、滴下終了後に攪拌をさらに0.5時間継続した。これにより、粉末状のカルボキシビニルポリマーアミン塩42gを得た。
実施例4(カルボキシビニルポリマーアミン塩の製造)
製造例1と同様にして得られたカルボキシビニルポリマー20g(0.278モル)と液状のAMP(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール:融点26℃、沸点166℃)4.95g(0.056モル)とをドライブレンドし(中和度20%)、これを2軸押出機(株式会社栗本鐵工所製の型番「クリモト ニーダーS1型」)を用いてバレル温度40℃、回転数20rpmの条件で押出した。これにより、粉末状のカルボキシビニルポリマーアミン塩15gを得た。
比較例1(アルキル変性カルボキシビニルポリマーアミン塩の製造)
製造例2と同様にして得られたアルキル変性カルボキシビニルポリマー20g(0.272モル)をガス導入管と排出管とを装備した内容積300ccの卓上型ニーダー(株式会社入江商会製の型番「PBV−0.3」)に仕込み、これに対してトリメチルアミン(融点−117℃、沸点3.5℃)9.86g(0.167モル)のガスを30分間かけて通気した(中和度61%)。この際、トリメチルアミンガスの通気量を制御することで反応温度が40℃になるよう制御した。これにより、粉末状のアルキル変性カルボキシビニルポリマーアミン塩26gを得た。
比較例2(カルボキシビニルポリマーアミン塩の製造)
製造例1と同様にして得られたカルボキシビニルポリマー20g(0.278モル)を内容積300ccの卓上型ニーダー(株式会社入江商会製の型番「PBV−0.3」)に仕込み、20rpmの攪拌下で液状のトリエタノールアミン(融点21℃、沸点360℃)16.59g(0.111モル)を滴下漏斗より約5分間かけて添加した(中和度40%)。この際、中和熱を冷却しながら反応温度を40℃で維持し、滴下終了後に攪拌をさらに0.5時間継続した。これにより、カルボキシビニルポリマーアミン塩の凝集物33gを得た。
得られたカルボキシビニルポリマーアミン塩の凝集物をミキサーで粉砕後に850μmの標準篩いを用いて篩い、中位粒度が450μmに調整された顆粒状のカルボキシビニルポリマーアミン塩を調製した。
評価
500ml容のビーカーに純水298.5gを入れ、この純水の温度を25℃に調整した。この純水を4枚パドル羽根(翼径50mm)を備えた攪拌機を用いて500rpmの回転数で攪拌し、実施例または比較例で得られたカルボキシビニルポリマーアミン塩またはアルキル変性カルボキシビニルポリマーアミン塩を1.5g添加した(添加後の純水におけるカルボキシビニルポリマーアミン塩またはアルキル変性カルボキシビニルポリマーアミン塩の濃度0.5質量%)。そして、1時間攪拌後、得られた水溶液の粘度をBH型回転粘度計を用いて25℃、20rpmの条件で測定した。また、分光光度計(株式会社島津製作所製の型番「UV−3150」)を用い、得られた水溶液の透過光量(透過度)を測定することで透明度を評価した。これらの結果を表1に示す。
純水を70質量%エタノール水溶液に変更し、上述の方法と同様の方法で得られた水溶液の粘度および透明度の測定結果を併せて表1に示す。
Figure 0006214140

Claims (2)

  1. カルボキシビニルポリマー粉末およびアルキル変性カルボキシビニルポリマー粉末からなる群より選ばれた少なくとも1種のポリマー粉末と、融点が0〜55℃でありかつ沸点が150〜300℃の液状の脂肪族アミンとを機械的に混合および攪拌することで反応させる工程を含み、
    前記脂肪族アミンがモノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンおよびジオクチルアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種である
    ルボキシビニルポリマーアミン塩の製造方法。
  2. 前記ポリマー粉末のカルボキシル基1モルあたり、前記脂肪族アミンを0.1〜1モル用いる、請求項1に記載のカルボキシビニルポリマーアミン塩の製造方法。
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