[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP6210530B2 - デュアルゲート有機薄膜トランジスタ - Google Patents

デュアルゲート有機薄膜トランジスタ Download PDF

Info

Publication number
JP6210530B2
JP6210530B2 JP2013117654A JP2013117654A JP6210530B2 JP 6210530 B2 JP6210530 B2 JP 6210530B2 JP 2013117654 A JP2013117654 A JP 2013117654A JP 2013117654 A JP2013117654 A JP 2013117654A JP 6210530 B2 JP6210530 B2 JP 6210530B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
semiconductor layer
thin film
gate
film transistor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013117654A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014236138A (ja
Inventor
裕 若山
裕 若山
康志 石黒
康志 石黒
竜馬 早川
竜馬 早川
剛 安田
剛 安田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Materials Science
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Materials Science filed Critical National Institute for Materials Science
Priority to JP2013117654A priority Critical patent/JP6210530B2/ja
Publication of JP2014236138A publication Critical patent/JP2014236138A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6210530B2 publication Critical patent/JP6210530B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Thin Film Transistor (AREA)

Description

本発明は新規な構造を有するデュアルゲート有機薄膜トランジスタに関し、さらに詳細には有機半導体層が光活性度の異なる2つの層から構成され、これにより例えば光メモリ動作を示すデュアルゲート有機薄膜トランジスタに関する。
従来から有機半導体を使用した薄膜トランジスタの研究・開発が広範に行われ、各種の構造の素子が提案されてきた。
このような素子の一種として、デュアルゲート構造の有機薄膜トランジスタについて多数の報告がなされてきた。例えば、Ibaらはフレキシブルなプラスチック基板を用いてデュアルゲートトランジスタを作製し、ペンタセントランジスタの閾値電圧シフトを報告している(非特許文献1)。更に、Maddalenaらはトップゲート絶縁層も溶液プロセスで製膜したデュアルゲート有機薄膜トランジスタを報告している(非特許文献2)。
また、シングルゲートトランジスタ構造の有機半導体層に光異性化分子と高分子半導体の混合薄膜を用いて、光制御に成功した例が報告されている。たとえば、Liらはポリチオフェン中にスピロピラン分子を混ぜて、光制御トランジスタを報告している(非特許文献3)。Orgiuらはポリチオフェン中に光異性化分子であるジアリールエテン分子を混ぜて光制御トランジスタを報告している(非特許文献4)。
有機半導体層を光活性度の異なる二層構成としそれぞれにゲートを設けた単一素子として構成されたデュアルゲート構造の有機薄膜トランジスタを作製すれば多様な機能が実現可能であると期待されるが、そのような構造のデュアルゲート構造の有機薄膜トランジスタはこれまで提案されていなかった。
本発明の一側面によれば、ソース電極とドレイン電極との間に有機半導体薄膜が設けられるとともに、前記有機半導体薄膜中を流れるキャリアを制御する有機半導体薄膜トランジスタにおいて、前記有機半導体薄膜は第1の有機半導体層及び前記第1の有機半導体層と光活性度の異なる第2の有機半導体層が積層されて構成され、前記有機半導体薄膜の第1の面及び第2の面上にそれぞれ第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜を介して第1のゲート電極及び第2のゲート電極を設けたデュアルゲート有機薄膜トランジスタが与えられる。
ここで、前記第1の有機半導体層と前記第2の有機半導体層とは異なる成分組成を有してよい。
また、前記第1の有機半導体層は光異性化分子を含んでよい。
また、前記第2の有機半導体層は前記光異性化分子を含まないか、あるいは前記第1の有機半導体層よりも少ない前記光異性化分子を含んでよい。
また、前記光異性化分子は光異性化前後で前記第1の有機半導体層中のキャリア輸送を抑制する程度が異なってよい。
また、前記光異性化分子はスピロピラン、ジアリールエテン、アゾベンゼン及びスピロオキサジンからなる群から選択されてよい。
また、前記第1の有機半導体層と前記第2の有機半導体層との間に、一方の有機半導体層の成分が他方の有機半導体層へ拡散することを阻止する層を設けてよい。
また、前記第1の有機半導体層及び前記第2の有機半導体層は相分離により形成されてよい。
本発明のデュアルゲート有機薄膜トランジスタは、ゲート電圧を光活性度の異なる2つの有機半導体に対応した2つのゲートの内の何れのゲートに供給するかを切り替えることにより、一つの素子で複数種類の動作を切り替えることが容易になる。例えば、光記憶機能を有する素子と通常のトランジスタ動作をする素子の何れにも切り替えて動作可能なデュアルゲート有機薄膜トランジスタが実現できる。
(a)本発明の第1の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタの構造を概念的に示す図。(b)図1A(a)に示すデュアルゲート有機薄膜トランジスタの等価回路図。 (a)PTAAの分子構造を示す図。(b)スピロピランの分子構造と光異性化反応を示す図。紫外光を照射することにより閉環体から開環体へ異性化し、可視光照射により再び閉環体に戻る。 本発明の第1の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタの特性を示す図。(a)トップゲート動作時のId−Vd特性、(b)トップゲート動作時のId−Vg特性、(c)ボトムゲート動作時のId−Vd特性、及び(d)ボトムゲート動作時のId−Vg特性。 (a)本発明の第1の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタのボトムゲート電圧によるId−Vg特性がトップゲート電圧印加により変化することを示す図。(b)閾値電圧のトップゲート電圧印加依存性を示す図。 (a)本発明の第1の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタをトップゲート動作させたときのId−Vg特性の光変化を示す図。(b)ボトムゲート動作させたときのId−Vg特性の光変化を示す図。 本発明の第1の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタの上側有機層をチャネルとして流れているときのドレイン電流の変化を示す図。 本発明の第1の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタの上側有機層をチャネルとして流れているときのドレイン電流の変化を示す図。 本発明の第1の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタの上側及び下側両方の有機層をチャネルとして流れているときのドレイン電流の変化を示す図。 本発明の第1の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタの下側有機層をチャネルとして流れているときのドレイン電流の変化を示す図。 本発明の第1の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタのドレイン電流の変化を示す図。上側有機層をチャネルとしているときは光に反応して光メモリ動作を示すが、下側有機層をチャネルとしているときは光に反応せず、光メモリ機能は消失している。 本発明の第2の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタをトップゲート動作させた場合の有機半導体層内の電流経路及びドレイン電流の変化を示す図。 本発明の第2の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタをボトムゲート動作させた場合の有機半導体層内の電流経路及びドレイン電流の変化を示す図。 P3HT/スピロピラン混合膜表面及びPTAA/スピロピラン混合膜表面のAFM像。
本発明では、光活性度に関して相異なる特性を有する2種類の有機半導体層を積層し、其々にゲートを対応付けることにより、内部的に異なる特性を有し、互いに独立に動作できる2つの有機薄膜トランジスタを回路的には並列に接続し、また構造的には上下に積み重ねたデュアルゲート有機薄膜トランジスタが与えられる。
例えば、光異性化分子を有機半導体層に組み込むことによる、光メモリ動作を示すデュアルゲート有機薄膜トランジスタを実現することができる。このような光メモリ動作を示すトランジスタ素子は、従来の通常のトランジスタとしての動作だけでなく、不揮発性の光メモリとしても動作することが可能である。有機半導体層が2層構造になっており、光に反応する層と反応しない層とを上下に分けることで、ゲート電圧の調整により光メモリ機能の発現を自在に制御することができる。
以下で説明する実施例では、デュアルゲート有機薄膜トランジスタ構造の有機半導体層にスピロピラン分子とPTAAとの組み合わせを用いているが、スピロピランとPTAAの組み合わせだけでなく、他の光異性化分子(ジアリールエテンやアゾベンゼン、スピロオキサジンなど)と高分子半導体(ポリチオフェンなど)の組み合わせでも同様の機能を発現できる。
また、本願発明のデュアルゲート有機薄膜トランジスタは、シリコン基板だけでなくプラスチック基板上にも作製できる。絶縁膜も、溶液プロセスにより製膜可能なポリスチレン(polystyrene、PS)やポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)などが使用できる。
また、以下の実施例では有機半導体層を2層に分けるためにAl膜を用いてスピロピラン分子の下側層への拡散を防止しているが、相分離現象を利用して有機半導体層を2層に分けることも可能である。結晶性の異なる2種類の材料を混合し、スピンコート法により製膜するだけで縦方向に2層に相分離させた例がいくつか報告されており、この現象を利用して作製した有機薄膜トランジスタも研究されている。
例えば、Liuらは、結晶性低分子半導体2,7-didodecyl[1]benzothieno[3,2-b][1]benzothiophene(C12−BTBT)とアモルファスな絶縁材料であるPMMAを混ぜた溶液をスピンコート法により製膜し、相分離現象を利用してシングルゲートトランジスタの作製を行っている(非特許文献5)。Qiuらは結晶性ポリチオフェンとPMMAとの相分離現象を利用してシングルゲートトランジスタの作製を行っている(非特許文献6)。本願発明のデュアルゲート有機薄膜トランジスタにおいても、アモルファスな光異性化分子と結晶性の半導体材料とを混ぜた溶液をスピンコート法で製膜し、相分離現象を利用して2層構造を作ることが可能である。また、以下の実施例では光に反応する有機半導体層(光活性層)を上側に設けてしているが、光活性層を下側にしても同様の機能を示すことができる。
以下、光メモリ機能を有する実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は当然ながらこれらの実施例に限定されるものではない。
[第1の実施例−2種類の有機半導体層間を膜で分離した構造]
作製したデュアルゲート有機薄膜トランジスタの概略図及び有機半導体層に用いた有機分子の構造をそれぞれ図1A及び図1Bに示す。
基板として200nm厚の熱酸化膜を有する高濃度p型シリコン(キャリア濃度1020cm−3)を用いた。本素子構造では熱酸化膜がボトムゲート絶縁膜として、また高濃度シリコン基板がボトムゲート電極として機能する。熱酸化膜上にヘキサメチルジシラザン(hexamethyldisilazane、HMDS)処理を行った後,下側の有機半導体層としてトリアリルアミン(polytriarylamine、PTAA)をスピンコトート法により製膜した。PTAAはp型の高分子半導体として知られており、光や大気に対して安定な材料である(図1B(a))。その上にソース電極及びドレイン電極として金電極を真空蒸着により製膜した。その後、原子層堆積(atomic layer deposition、ALD)装置を用いてAl薄膜を製膜し、その上に上側有機半導体層としてPTAAとスピロピラン分子の混合膜をスピンコート法により製膜した。スピロピランは光異性化分子として知られており、UV光を照射すると開環体(イオン分極状態)になり、可視光照射で閉環体(非イオン分極状態)になる(図1B(b))。Al薄膜はスピロピラン分子の下側有機層への拡散を防止する役割を果たしている。その上に、トップゲート絶縁膜としてパリレン膜をCVD(chemical vapor deposition)法により製膜した。最後にトップゲート電極として金電極を真空蒸着により製膜し、デュアルゲート有機薄膜トランジスタを作製した。作製した素子のトランジスタ特性については、半導体デバイスアナライザー(アジレント・テクノロジー株式会社のB1500A)を用いて評価した。
図2(a)及び(b)に、作製したトランジスタ素子をトップゲート電圧で動作させたときのドレイン電流−ドレイン電圧(I−V)特性及びドレイン電流−ゲート電圧(I−V)特性をそれぞれ示す。このときのボトムゲート電圧は0Vとした。I−V特性は典型的なp型のトランジスタ特性を示した。I−V測定結果から算出した閾値電圧は−2.2V、キャリア移動度は7.1×10−5cm/Vsであった。同様に、図2(c)及び(d)にはボトムゲート電圧で動作させたときのI−V電圧特性及びI−V特性をそれぞれ示す。ここで、I−V測定のときのトップゲート電圧は0Vとした。I−V特性は、トップゲートで動作させたときと同様に典型的なp型のトランジスタ特性を示した。I−V測定結果から算出した閾値電圧は−1.2V、キャリア移動度は2.5×10−4cm/Vsであった。このように、トップゲート動作およびボトムゲート動作のそれぞれで正常なトランジスタ動作が確認された。
デュアルゲートトランジスタの特徴の一つは、2つ目のゲート電圧によって閾値電圧を制御できることである。この閾値電圧の制御は、本願のデュアルゲートトランジスタでも確認できた。図3(a)に、本発明の一実施例のデュアルゲートトランジスタにおけるI−V特性が他方のゲートに電圧を印加することでシフトする様子を示す。ここで、VG,Top及びVG,Bottomはそれぞれトップゲート電圧及びボトムゲート電圧を示す。負側のトップゲート電圧を印加すると、I−V特性は正側にシフトし、正側のトップゲート電圧を印加するとI−V特性は負側にシフトした。また、この特性から算出した閾値電圧を図3(b)に示す。負側のトップゲート電圧を印加すると、閾値電圧は正側にシフトし、正側のトップゲート電圧を印加すると閾値電圧は負側にシフトした。
次に、トランジスタ素子に光を照射し、I−V特性の変化を調べた。図4(a)にトップゲート動作させたときの光照射によるI−V特性の変化の様子を示す。このときのボトムゲート電圧は0Vとした。I−V特性は紫外(UV)光照射によって減少し、可視(VIS)光照射によって増加した。この光スイッチングはスピロピラン分子の光異性化反応によるものである。
図4(b)には、ボトムゲート動作させたときの光照射によるI−V特性の測定結果を示す。このときのトップゲート電圧は0Vとした。I−V特性は、光照射を行っても変化を示さなかった。これは、ボトムゲート動作時にはドレイン電流が下側の有機層をチャネルとして流れているため、スピロピラン分子の光異性化反応の影響を受けていないことを示している。
このデュアルゲート有機薄膜トランジスタの動作を利用すると、過去の動作条件の記憶を持たない通常のトランジスタ動作と過去の動作条件の記憶を持つ、つまり光照射があったか否かを記憶しているという光メモリの両方の機能を単一の素子により実現することが可能になる。
また、この光メモリは、トランジスタの動作のための電圧の印加を一旦停止し、その後電圧印加を再開しても電圧印加再開前の光照射履歴を記憶している、という意味で不揮発性の記憶機能を有する。しかも、このデュアルゲート有機薄膜トランジスタのボトムゲート動作はスピロピラン分子の開環体と閉環体との間の遷移には何の影響も与えないので、ボトムゲート動作に切り替えることにより光記憶状態が一時的に見えないようにしておき、その後トップゲート動作に戻すことにより記憶状態が再現するように動作させることができる。
図5Aには、デュアルゲート有機薄膜トランジスタの通常のトランジスタとしての動作を示す。トップゲート電圧は一定の周期で−35Vから−40Vのパルス電圧を印加した。ボトムゲート電圧は、最初は0Vにした。このときのドレイン電流は、上側の有機層をチャネルとして流れ、トップゲート電圧と同周期で変調された。
次に、ボトムゲート電圧を0Vから−15Vにすると、閾値電圧が変化してドレイン電流が全体的に増加した。ドレイン電流は、ボトムゲート電圧を−15V印加している間はその状態を保持していた。この動作は過去の動作履歴(この場合は光照射履歴)の影響を受けないものであり、通常のトランジスタ動作そのものである。
図5Bには光メモリとしての動作を示す。トップゲート電圧は一定の周期で−35Vから−40Vのパルス電圧を印加しておいた。ボトムゲート電圧は0Vに固定した。このときもドレイン電流は上側の有機層をチャネルとして流れ、ドップゲート電圧と同周期で変調された。
次に、この状態の素子にUV光を照射し、一定時間経過後照射を止めて測定した。すると、ドレイン電流は全体的に減少した。これは、UV光照射によりスピロピラン分子の光異性化反応が生じ、スピロピランの開環体(イオン分極状態)がキャリア輸送を抑制したためである。スピロピラン分子の光異性化反応が起こると、光照射を止めてもその状態が保持されるので、光照射を止めても、ドレイン電流値も全体的に減少した状態を保持する。この動作は、光照射の履歴を記憶している点で光メモリ動作であるということができる。またトランジスタ動作のための電源供給によりスピロピラン分子の開環体が元に戻ることはないので、このメモリ動作は不揮発性である。このように、デュアルゲートトランジスタ構造に光異性化分子を組み込むことで、不揮発性光メモリとしても動作するトランジスタを実現することができた。
図5Cには、ボトムゲート電圧を−20Vにして動作させたときの測定結果を示す。このときのUV光照射に対する電流値の変化は、図5Bのときに比べて小さくなっている。これは、ボトムゲート電圧を−20Vにするとドレイン電流の一部は光に対して反応しない下側の有機層を流れるためである。
図5Dには、ボトムゲート電圧を−30Vにしたときの測定結果を示す。このときは、UV光照射を行ってもほとんどドレイン電流値に変化は見られなかった。このことは、ドレイン電流が下側の有機層をチャネルとして流れていたことを示している。つまり、下側の有機層にはスピロピラン分子が存在しないため、光を照射を行っても光異性化反応の影響を受けず、ドレイン電流値は変化しない。
図5A〜図5Dの結果は、トップとボトムのゲート電圧の大きさを調整することで、不揮発性光メモリ機能の発現を自在に制御できることを示している。
図6にその動作例を示す。図6中でグラフ上部の「UV」との記載は当該時間区間においてUV光照射を行ったことを示している。トップゲート電圧は−35Vから−40Vの一定周期のパルス電圧を常に印加しておいた。時間軸上で0〜600秒の間はボトムゲート電圧を0Vにしておき、次に600秒〜2200秒の間、ボトムゲート電圧を−30V印加すると、ドレイン電流値は全体的に増加した。この状態ではドレイン電流が下側の有機層をチャネルとして流れている。そこで、この状態でUV光照射を行っても、ドレイン電流値は変化せず、光メモリ動作を示さない。次に2200秒〜4000秒の間、ボトムゲート電圧を−30Vから−10Vにすると、ドレイン電流値は全体的に減少した。このゲート電圧条件ではドレイン電流が流れるチャネルは下側の有機層から上側の有機層へと切り替わる。この状態でUV光照射を行うと、ドレイン電流値は全体的に減少し、光メモリ動作を示した。これはスピロピラン分子の光異性化反応の影響によるものである。その後、4000秒以降で再びボトムゲート電圧を−30Vにすると、光照射を行ってもドレイン電流値は変化せず、光メモリ動作は消失した。このように、有機半導体層を光活性層と光不活性層の2層に分けたことで、不揮発性光メモリ機能の発現を自在に制御可能なデュアルゲート有機薄膜トランジスタが実現できた。
[第2の実施例−2種類の有機半導体層を相分離により実現した構造]
図1A(a)に概念的な構造を示し、また上にその特性を示したデュアルゲート有機薄膜トランジスタは、上側の有機半導体層と下側の有機半導体層との間に分離膜としてのAl層を設けることによって両層の有機半導体がスピロピラン分子の下側層への拡散を防止している。しかしこのように物理的な隔壁を設ける代わりに、相分離現象を利用してスピロピラン(あるいは同様な光異性化分子)を、層内で均一ではなく偏って分布させることで、スピロピラン含有有機半導体層とスピロピランを含まない(あるいはスピロピランの濃度が低い)有機半導体層の二層構造を実現することができる。図7A及び図7Bには、相分離により作製した別の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタのトップゲート動作及びボトムゲート動作のI−V特性を、それぞれの動作時の有機半導体層中の電流経路とともに示す。
図7A及び図7Bに示す第2の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタは有機半導体層以外は第1の実施例と同じ構造であるので、これらの部分については第1の実施例と同じプロセスにより作製した。
有機半導体層については、第1の実施例とは異なり、ポリ3ヘキシルチオフェン(poly(3-hexylthiophene)、P3HT)とスピロピランとの混合膜をスピンコート法により成膜した。有機半導体の一種であるP3HTは結晶性高分子であり、これを非晶質であるスピロピランと混合すると相分離現象が生じ、スピロピラン分子は上側に偏析する。
このようにして相分離が起こったP3HT/スピロピラン混合膜の表面をAFMで観察した結果を図8に示す。図8の上側に示すこの結果から、P3HT/スピロピラン混合膜では表面に析出が起こっていることがわかる。これに対して図8の下側に比較対象用に示したPTTA/スピロピラン混合物膜のAFM結果からは、この混合膜の表面はP3HT/スピロピラン混合膜と比較して非常に均一であり、偏析が起こっていないことがわかる。従って、図7A及び図7Bに示す第2の実施例の構造においても、有機半導体層P3HT/スピロピランは、その下側部分のスピロピラン濃度が低く、また上側部分はスピロピラン濃度が高い。
図7Aは第2の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタをトップゲート動作させたもの、すなわちトップゲート側にゲート電圧を印加し、ボトムゲート側のゲート電圧を0Vに固定したときの動作を示す。ゲート電圧を印加している側の絶縁膜近傍にチャネルが形成されるので、この条件では有機半導体層中のトップゲート側、つまりスピロピラン濃度が高い部分を通ってドレイン電流が流れる。この場合には、初期状態のドレイン電流が、UV光照射により約25%低下した。このドレイン電流現象はUV光照射を打ち切った後もそのまま継続し、記憶動作を示した。
図7Bは第2の実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタをボトムゲート動作させたもの、すなわちボトムゲート側にゲート電圧を印加し、トップゲート側を0Vに固定したときの動作を示す。このときには有機半導体層中のボトムゲート側、つまりスピロピラン濃度が低い部分を通ってドレイン電流が流れる。UV光照射後のドレイン電流の低下は初期状態から約12%と、トップゲート動作の場合の低下量に比べて半分以下となった。本実施例のデュアルゲート有機薄膜トランジスタは実験的に作成したものであるのでボトムゲート動作の場合でもわずかな記憶動作が見られたが、作成プロセスなどを適宜調整することにより、これら2種類の動作の間の違いを更に大きくできると考えられる。
以上詳細に説明したように、本発明によれば複雑な機能を少ない素子数で実現でき、またそれぞれの素子は従来の素子と比較しても専有面積は実質的に同じで構造の複雑さも最小限に抑えられているなど、有機薄膜トランジスタの光関係分野への応用に大いに貢献するものと期待される。
S. Iba et al., Appl. Phys. Lett. 87, 023509 (2005). F. Maddalena et al., Org. Electron. 9, 839 (2008). Y. Li et al., J. Mater. Chem. 22, 4261 (2012). E. Orgiu et al., Nature Chemistry. 4, 675 (2012). C. Liu et al., Org. Electron. 13, 1146 (2012). L. Qiu et al., Adv. Mater. 20, 1141 (2008).

Claims (8)

  1. ソース電極とドレイン電極との間に有機半導体薄膜が設けられるとともに、前記有機半導体薄膜中を流れるキャリアを制御する有機半導体薄膜トランジスタにおいて、
    前記有機半導体薄膜は第1の有機半導体層及び前記第1の有機半導体層と光活性度の異なる第2の有機半導体層が積層されて構成され、
    前記有機半導体薄膜の第1の面及び第2の面上にそれぞれ第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜を介して第1のゲート電極及び第2のゲート電極を設けた
    デュアルゲート有機薄膜トランジスタ。
  2. 前記第1の有機半導体層と前記第2の有機半導体層とは異なる成分組成を有する、請求項1に記載のデュアルゲート有機薄膜トランジスタ。
  3. 前記第1の有機半導体層は光異性化分子を含む、請求項2に記載のデュアルゲート有機薄膜トランジスタ。
  4. 前記第2の有機半導体層は前記光異性化分子を含まないか、あるいは前記第1の有機半導体層よりも少ない前記光異性化分子を含む、請求項3に記載のデュアルゲート有機薄膜トランジスタ。
  5. 前記光異性化分子は光異性化前後で前記第1の有機半導体層中のキャリア輸送を抑制する程度が異なる、請求項4に記載のデュアルゲート有機薄膜トランジスタ。
  6. 前記光異性化分子はスピロピラン、ジアリールエテン、アゾベンゼン及びスピロオキサジンからなる群から選択される、請求項5に記載のデュアルゲート有機薄膜トランジスタ。
  7. 前記第1の有機半導体層と前記第2の有機半導体層との間に、一方の有機半導体層の成分が他方の有機半導体層へ拡散することを阻止する層を設けた、請求項2から6の何れかに記載のデュアルゲート有機薄膜トランジスタ。
  8. 記第1の有機半導体層及び前記第2の有機半導体層は相分離により形成された、請求項2から6の何れかに記載のデュアルゲート有機薄膜トランジスタ。
JP2013117654A 2013-06-04 2013-06-04 デュアルゲート有機薄膜トランジスタ Expired - Fee Related JP6210530B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013117654A JP6210530B2 (ja) 2013-06-04 2013-06-04 デュアルゲート有機薄膜トランジスタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013117654A JP6210530B2 (ja) 2013-06-04 2013-06-04 デュアルゲート有機薄膜トランジスタ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014236138A JP2014236138A (ja) 2014-12-15
JP6210530B2 true JP6210530B2 (ja) 2017-10-11

Family

ID=52138615

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013117654A Expired - Fee Related JP6210530B2 (ja) 2013-06-04 2013-06-04 デュアルゲート有機薄膜トランジスタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6210530B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10381583B2 (en) * 2013-12-05 2019-08-13 Xerox Corporation Electronic device
KR102480656B1 (ko) * 2015-12-23 2022-12-23 한국재료연구원 듀얼 게이트 구조로 이루어진 유기 전계효과 트랜지스터 타입의 복합센서장치 및 그 제조방법
CN110098329B (zh) * 2019-05-06 2021-01-29 上海交通大学 有机薄膜晶体管及其制备方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0382166A (ja) * 1989-08-25 1991-04-08 Casio Comput Co Ltd 薄膜トランジスタメモリおよびその製造方法
JP3367711B2 (ja) * 1993-06-30 2003-01-20 株式会社リコー 電界効果型トランジスタ
US6759282B2 (en) * 2001-06-12 2004-07-06 International Business Machines Corporation Method and structure for buried circuits and devices
JP4334907B2 (ja) * 2002-05-21 2009-09-30 株式会社半導体エネルギー研究所 有機電界効果トランジスタ
JP2005166713A (ja) * 2003-11-28 2005-06-23 Sharp Corp 電界効果型トランジスタ
JP2006245408A (ja) * 2005-03-04 2006-09-14 Toshiba Corp 半導体集積回路および半導体装置
JP5636626B2 (ja) * 2007-12-27 2014-12-10 ソニー株式会社 半導体薄膜の形成方法および薄膜半導体装置の製造方法
JP5419063B2 (ja) * 2008-09-24 2014-02-19 独立行政法人産業技術総合研究所 半導体素子
KR101752348B1 (ko) * 2009-10-30 2017-06-29 가부시키가이샤 한도오따이 에네루기 켄큐쇼 반도체 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014236138A (ja) 2014-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Lee et al. Rapid vapor-phase fabrication of organic− inorganic hybrid superlattices with monolayer precision
Li et al. High‐Performance Nonvolatile Organic Field‐Effect Transistor Memory Based on Organic Semiconductor Heterostructures of Pentacene/P13/Pentacene as Both Charge Transport and Trapping Layers
Luo et al. Control of ambipolar transport in SnO thin-film transistors by back-channel surface passivation for high performance complementary-like inverters
Xu et al. Organic transistor nonvolatile memory with three-level information storage and optical detection functions
Zhang et al. Tunable charge-trap memory based on few-layer MoS2
US8129714B2 (en) Semiconductor, semiconductor device, complementary transistor circuit device
Wang et al. Highly reliable top-gated thin-film transistor memory with semiconducting, tunneling, charge-trapping, and blocking layers all of flexible polymers
Lan et al. High-performance nonvolatile organic photoelectronic transistor memory based on bulk heterojunction structure
Kubozono et al. Transistor application of phenacene molecules and their characteristics
Chen et al. Recent advances in metal nanoparticle‐based floating gate memory
EP2323167B1 (en) Transistors, electronic devices including a transistor and methods of manufacturing the same
Lee et al. DNA-base guanine as hydrogen getter and charge-trapping layer embedded in oxide dielectrics for inorganic and organic field-effect transistors
Ren et al. Low-voltage organic field-effect transistors: challenges, progress, and prospects
Tang et al. Strategy for selective printing of gate insulators customized for practical application in organic integrated devices
JP6210530B2 (ja) デュアルゲート有機薄膜トランジスタ
Wang et al. Enhancement of memory properties of pentacene field-effect transistor by the reconstruction of an inner vertical electric field with an n-type semiconductor interlayer
Kurokawa et al. Ambipolar carrier transport in an optically controllable diarylethene thin film transistor
Kim et al. Complementary hybrid semiconducting superlattices with multiple channels and mutual stabilization
Lada et al. Morphology control via dual solvent crystallization for high-mobility functionalized pentacene-blend thin film transistors
Wu et al. Solution processed top-gate high-performance organic transistor nonvolatile memory with separated molecular microdomains floating-gate
Kim Organic heterojunction transistors
JP5419063B2 (ja) 半導体素子
Ramos et al. Performance enhancement in N-channel organic field-effect transistors using ferroelectric material as a gate dielectric
Park et al. Controlled growth of a graphene charge-floating gate for organic non-volatile memory transistors
Ha et al. Electrode-material-dependent switching characteristics of organic nonvolatile memory devices based on poly (3, 4-ethylenedioxythiophene): poly (styrenesulfonate) film

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160426

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170221

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170907

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6210530

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees