以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明のビークルを自動二輪車に適用した例について説明する。以下の説明において、前、後、左、右は、それぞれ自動二輪車の乗員から見た前、後、左、右を意味するものとする。但し、自動二輪車は、水平な地面に配置されたものとする。各図面に付した符号F、Re、L、Rは、それぞれ前、後、左、右を表す。
(実施形態1)
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態1の自動二輪車の側面図である。図2は、実施形態1の自動二輪車の車体カバー等を外した状態の側面図である。図3は、実施形態1の自動二輪車の車体カバー等を外した状態の底面図である。図5は、実施形態1の自動二輪車のエンジンと排気系を示す模式図である。
実施形態1のビークルは、いわゆるアンダーボーン型の自動二輪車1である。図2に示すように、自動二輪車1は、車体フレーム2を備えている。車体フレーム2は、ヘッドパイプ3と、メインフレーム4と、シートレール5とを備えている。メインフレーム4は、ヘッドパイプ3から後下向きに延びている。シートレール5は、メインフレーム4の中途部から後上向きに延びている。
ヘッドパイプ3にはステアリングシャフトが回転可能に挿入されている。ステアリングシャフトの上部には、ハンドル7(図1を参照)が設けられている。ハンドル7の近傍には、表示装置(図示せず)が配置されている。表示装置には、車速、エンジン回転速度、各種の警告などが表示される。
ステアリングシャフトの下部には、左右一対のフロントフォーク6が支持されている。フロントフォーク6の下端部には、車軸8aが固定されている。この車軸8aには、前輪8が回転可能に取り付けられている。前輪8の上方および後方にはフェンダ10が設けられている。
シートレール5には、シート9(図1を参照)が支持されている。図2に示すように、シートレール5には、左右一対のリアクッションユニット13の上端部が連結されている。リアクッションユニット13の下端部は、左右一対のリアアーム14の後部に支持されている。リアアーム14の前部は、ピボット軸14aを介して車体フレーム2に連結されている。リアアーム14は、ピボット軸14aを中心として上下に揺動可能である。リアアーム14の後部には、後輪15が支持されている。
図2に示すように、メインフレーム4の下方には、エンジン本体20が配置されている。エンジン本体20は、車体フレーム2に支持されている。具体的には、メインフレーム4に設けられたブラケット4aに対して、エンジン本体20の上部が、ボルト4bによって固定されている。より詳細には、エンジン本体20の後述するクランクケース部21の上前部がブラケット4aに固定されている。また、エンジン本体20の後部も、車体フレーム2に設けられた他のブラケットに固定されている。メインフレーム4の下方で且つエンジン本体20の上方には、エアクリーナ32が配置されている。
図1に示すように、自動二輪車1は、車体フレーム2等を覆う車体カバー11を有する。車体カバー11は、メインカバー16と、フロントカバー17とを有する。フロントカバー17は、ヘッドパイプ3の前方に配置される。メインカバー16は、ヘッドパイプ3の後方に配置される。メインカバー16は、メインフレーム4とシートレール5を覆っている。メインカバー16とフロントカバー17は、エンジン本体20の前部の左方および右方を覆っている。フロントカバー17は、エアクリーナ32の左方および右方を覆っている。
メインフレーム4および車体カバー11は、シート9とヘッドパイプ3との間の部分が低くなっている。これにより、アンダーボーン型の自動二輪車1は、車両左右方向から見て、ヘッドパイプ3の後方かつシート9の前方かつメインフレーム4の上方に、凹部12が形成されている。この凹部12によって、乗員は車体を跨ぎやすくなっている。
自動二輪車1は、単気筒4ストロークエンジンユニット19を有している。単気筒4ストロークエンジンユニット19は、エンジン本体20と、エアクリーナ32と、吸気管33と、排気管34と、消音器35と、メイン触媒39(単一燃焼室用メイン触媒)と、上流酸素検出部材37(単一燃焼室用上流酸素検出部材)とを備えている。詳細は後述するが、メイン触媒39は、排気管34内に配置されている。メイン触媒39は、排気管34を流れる排ガスを浄化する。上流酸素検出部材37は、排気管34のメイン触媒39より上流に配置されている。上流酸素検出部材37は、排気管34を流れる排ガス中の酸素濃度を検出する。
エンジン本体20は、単気筒の4ストロークエンジンである。図2および図3に示すように、エンジン本体20は、クランクケース部21と、シリンダ部22とを備えている。シリンダ部22は、クランクケース部21から前方に延びている。
クランクケース部21は、クランクケース本体23と、クランクケース本体23に収容されたクランク軸27および変速機構等を有する。以下、クランク軸27の中心線Cr1を、クランク軸線Cr1と称する。クランク軸線Cr1は、左右方向に延びている。クランクケース本体23内には潤滑用のオイルが貯蔵されている。かかるオイルはオイルポンプ(図示せず)によって搬送され、エンジン本体20内を循環している。
シリンダ部22は、シリンダボディ24と、シリンダヘッド25と、ヘッドカバー26と、これらの内部に収容された部品とを有する。図2に示すように、シリンダボディ24は、クランクケース本体23の前部に接続されている。シリンダヘッド25は、シリンダボディ24の前部に接続されている。ヘッドカバー26は、シリンダヘッド25の前部に接続されている。
図5に示すように、シリンダボディ24には、シリンダ孔24aが形成されている。シリンダ孔24a内には、ピストン28が往復移動可能に収容されている。ピストン28はコンロッドを介してクランク軸27に連結されている。以下、シリンダ孔24aの中心線Cy1を、シリンダ軸線Cy1と称する。図2に示すように、エンジン本体20は、シリンダ軸線Cy1が、前後方向(水平方向)に延びるように配置されている。より詳細には、シリンダ軸線Cy1のクランクケース部21からシリンダ部22に向かう方向は、前上向きである。シリンダ軸線Cy1の水平方向に対する傾斜角度は、0度以上45度以下である。
図5に示すように、シリンダ部22の内部には、1つの燃焼室29が形成されている。燃焼室29は、シリンダボディ24のシリンダ孔24aの内面と、シリンダヘッド25と、ピストン28とによって形成されている。つまり、燃焼室29の一部は、シリンダ孔24aの内面によって区画されている。燃焼室29には、点火プラグ(図示せず)の先端部が配置されている。点火プラグは、燃焼室29内で燃料と空気との混合ガスに点火する。図2に示すように、燃焼室29は、クランク軸線Cr1よりも前方に位置する。これは、以下のように言い換えられる。クランク軸線Cr1を通り、上下方向と平行に延びる直線をL1とする。左右方向から見て、燃焼室29は直線L1の前方に配置されている。
図5に示すように、シリンダヘッド25には、シリンダ吸気通路部30と、シリンダ排気通路部31(単一燃焼室用シリンダ排気通路部)が形成されている。本明細書において、「通路部」とは、ガスなどが通過する空間(経路)を形成する構造物のことである。シリンダヘッド25において、燃焼室29を形成する壁部には、吸気ポート30aおよび排気ポート31aが形成されている。シリンダ吸気通路部30は、吸気ポート30aからシリンダヘッド25の外面(上面)に形成された吸入口まで延びている。シリンダ排気通路部31は、排気ポート31aからシリンダヘッド25の外面(下面)に形成された排出口まで延びている。燃焼室29に供給される空気は、シリンダ吸気通路部30内を通過する。燃焼室29から排出される排ガスは、シリンダ排気通路部31を通過する。
シリンダ吸気通路部30には吸気弁V1が配置されている。シリンダ排気通路部31には排気弁V2が配置されている。吸気弁V1および排気弁V2は、クランク軸27と連動する動弁機構(図示せず)によって作動する。吸気ポート30aは、吸気弁V1の運動により開閉される。排気ポート31aは、排気弁V2の運動により開閉される。シリンダ吸気通路部30の端部(吸入口)には吸気管33が接続されている。シリンダ排気通路部31の端部(排出口)には排気管34が接続されている。シリンダ排気通路部31の経路長をa1とする。
シリンダ吸気通路部30または吸気管33には、インジェクタ48(図4を参照)が配置されている。インジェクタ48は、燃焼室29に燃料を供給するためのものである。より具体的には、インジェクタ48は、シリンダ吸気通路部30または吸気管33内で燃料を噴射する。なお、インジェクタ48は、燃焼室29内に燃料を噴射するように配置されていてもよい。また、吸気管33内には、スロットルバルブ(図示せず)が配置されている。
図2に示すように、左右方向から見て、吸気管33は、シリンダヘッド25の上面から上方に延びている。吸気管33は、エアクリーナ32に接続されている。エアクリーナ32は、エンジン本体20に供給される空気を浄化する。エアクリーナ32を通過することによって浄化された空気が、吸気管33を通じてエンジン本体20に供給される。
排気系の構成の詳細は後述する。
次に、単気筒4ストロークエンジンユニット19の制御について説明する。図4は、実施形態1の自動二輪車の制御ブロック図である。
単気筒4ストロークエンジンユニット19は、図4に示すように、エンジン回転速度センサ46a、スロットル開度センサ46b(スロットルポジションセンサ)、エンジン温度センサ46c、吸気圧センサ46d、吸気温センサ46eを有する。エンジン回転速度センサ46aは、クランク軸27の回転速度、即ち、エンジン回転速度を検出する。スロットル開度センサ46bは、スロットルバルブ(図示せず)の位置を検出することにより、スロットルバルブの開度(以下、スロットル開度という)を検出する。エンジン温度センサ46cは、エンジン本体の温度を検出する。吸気圧センサ46dは、吸気管33内の圧力(吸気圧)を検出する。吸気温センサ46eは、吸気管33内の空気の温度(吸気温)を検出する。
単気筒4ストロークエンジンユニット19は、エンジン本体20の制御を行う電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)45を備えている。電子制御ユニット45は、本発明の制御装置に相当する。電子制御ユニット45は、エンジン回転速度センサ46a、エンジン温度センサ46c、スロットル開度センサ46b、吸気圧センサ46d、吸気温センサ46e、車速センサ等の各種センサと接続されている。また、電子制御ユニット45は、イグニッションコイル47、インジェクタ48、燃料ポンプ49、表示装置(図示せず)等と接続されている。電子制御ユニット45は、制御部45aと、作動指示部45bとを有する。作動指示部45bは、イグニッション駆動回路45cと、インジェクタ駆動回路45dと、ポンプ駆動回路45eとを備えている。
イグニッション駆動回路45c、インジェクタ駆動回路45d、および、ポンプ駆動回路45eは、制御部45aからの信号を受けて、イグニッションコイル47、インジェクタ48、燃料ポンプ49をそれぞれ駆動する。イグニッションコイル47が駆動されると、点火プラグで火花放電が生じて混合ガスが点火される。燃料ポンプ49は、燃料ホースを介してインジェクタ48に接続されている。燃料ポンプ49が駆動されると、燃料タンク(図示せず)内の燃料がインジェクタ48へ圧送される。
制御部45aは、例えばマイクロコンピュータである。制御部45aは、上流酸素検出部材37の信号、エンジン回転速度センサ46a等の信号に基づいて、イグニッション駆動回路45c、インジェクタ駆動回路45d、および、ポンプ駆動回路45eを制御する。制御部45aは、イグニッション駆動回路45cを制御することで、点火のタイミングを制御する。制御部45aは、インジェクタ駆動回路45dおよびポンプ駆動回路45eを制御することで、燃料噴射量を制御する。
燃焼効率と、メイン触媒39の浄化効率を高めるには、燃焼室29内の混合気の空燃比は、理論空燃比(ストイキオメトリ)であることが好ましい。制御部45aは、必要に応じて、燃料噴射量を増減させる。
以下、制御部45aによる燃料噴射量の制御(燃焼制御)の一例について説明する。
制御部45aは、まず、エンジン回転速度センサ46a、スロットル開度センサ46b、エンジン温度センサ46c、吸気圧センサ46dの信号に基づいて、基本燃料噴射量を算出する。具体的には、スロットル開度およびエンジン回転速度に対して吸入空気量を対応付けたマップと、吸気圧およびエンジン回転速度に対して吸入空気量を対応付けたマップを用いて、吸入空気量を求める。そして、マップから求められた吸入空気量に基づいて、目標空燃比を達成できる基本燃料噴射量を決定する。スロットル開度が小さい場合には、吸気圧およびエンジン回転速度に対して吸入空気量を対応付けたマップを使用する。一方、スロットル開度が大きい場合には、スロットル開度およびエンジン回転速度に対して吸入空気量を対応付けたマップを使用する。
また、制御部45aは、上流酸素検出部材37の信号に基づいて、基本燃料噴射量を補正するためのフィードバック補正値を算出する。具体的には、まず、上流酸素検出部材37の信号に基づいて、混合気がリーンであるかリッチであるかを判定する。なお、リッチとは、理論空燃比に対して燃料が過剰な状態をいう。リーンとは、理論空燃比に対して空気が過剰な状態をいう。制御部45aは、混合気がリーンであると判定すると、次回の燃料噴射量が増えるようにフィードバック補正値を算出する。一方、制御部45aは、混合気がリッチであると判定すると、次回の燃料噴射量が減るようにフィードバック補正値を求める。
また、制御部45aは、エンジン温度、外気温度、外気圧等に基づいて、基本燃料噴射量を補正するための補正値を算出する。さらに、制御部45aは、加速及び減速時の過渡特性に応じた補正値を算出する。
制御部45aは、基本燃料噴射量と、フィードバック補正値などの補正値に基づいて、燃料噴射量を算出する。こうして求められた燃料噴射量に基づいて、燃料ポンプ49およびインジェクタ48が駆動される。このように、電子制御ユニット45(制御装置)は、上流酸素検出部材37の信号を処理する。また、電子制御ユニット45(制御装置)は、上流酸素検出部材37の信号に基づいて、燃焼制御を行う。
[排気系の構成]
以下、実施形態1の自動二輪車1の排気系について説明する。本明細書の排気系の説明において、上流とは、排ガスの流れ方向の上流のことである。また、下流とは、排ガスの流れ方向の下流のことである。また、本明細書の排気系の説明において、経路方向とは、排ガスの流れる方向のことである。
上述したように、単気筒4ストロークエンジンユニット19は、エンジン本体20と、排気管34と、消音器35と、メイン触媒39と、上流酸素検出部材37とを備えている。排気通路部36(単一燃焼室用排気通路部)は、排気管34と消音器35によって構成される。消音器35は、大気に面する放出口35eを有する。排気通路部36は、シリンダ排気通路部31の下流端から放出口35eまで排ガスを流す。燃焼室29から放出口35eに至る経路を、排気経路41(図5を参照)とする。排気経路41は、シリンダ排気通路部31と排気通路部36とによって形成される。排気経路41は、排ガスが通過する空間である。
図5に示すように、排気管34の上流端部は、シリンダ排気通路部31に接続される。排気管34の下流端部は、消音器35に接続される。排気管34の途中には、触媒ユニット38が設けられている。排気管34の触媒ユニット38より上流の部分を、上流排気管34aとする。排気管34の触媒ユニット38より下流の部分を下流排気管34bとする。なお、図5では、簡略化のために排気管34を一直線状に描いているが、排気管34は一直線状ではない。
図3に示すように、排気管34は、自動二輪車1の右部に設けられている。図2に示すように、排気管34の一部は、クランク軸線Cr1の下方に位置する。排気管34は、2つの屈曲部を有する。2つの屈曲部のうち上流の屈曲部を、単に、上流の屈曲部という。2つの屈曲部のうち下流の屈曲部を、単に、下流の屈曲部という。上流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、上下方向に延びる方向から前後方向に延びる方向に変化させる。より具体的には、屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、下向きから後上向きに変化させる。下流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、後上向きから後向きに変化させる。下流の屈曲部より若干下流の部分が、クランク軸線Cr1の下方に位置する。メイン触媒39は2つの屈曲部の間に配置されている。
消音器35には、排気管34の下流端から排出された排ガスが流入する。消音器35は、排気管34に接続されている。消音器35は、排ガスの脈動波を抑制するように構成されている。それにより、消音器35は、排ガスによって生じる音(排気音)の音量を低減できる。消音器35内には、複数の膨張室と、膨張室同士を連通する複数のパイプが設けられている。排気管34の下流端部は、消音器35の膨張室内に配置されている。消音器35の下流端には、大気に面する放出口35eが設けられている。図5に示すように、排気管34の下流端から放出口35eに至る排気経路の経路長をe1とする。なお、消音器35内の膨張室の経路長は、膨張室の流入口の真ん中から膨張室の流出口の真ん中を最短で結んだ経路の長さである。消音器35を通過した排ガスは、放出口35eから大気へ放出される。図2に示すように、放出口35eは、クランク軸線Cr1よりも後方に位置する。
メイン触媒39は、排気管34(排気通路部36)内に配置されている。触媒ユニット38は、筒状のケーシング40と、メイン触媒39とを有する。ケーシング40の上流端は、上流排気管34aに接続されている。ケーシング40の下流端は、下流排気管34bに接続されている。ケーシング40は、排気管34(排気通路部36)の一部を構成する。メイン触媒39は、ケーシング40の内部に固定されている。排ガスは、メイン触媒39を通過することで浄化される。メイン触媒39には、燃焼室29の排気ポート31aから排出された全ての排ガスが通過する。メイン触媒39は、排気経路41において、燃焼室29から排出された排ガスを最も浄化する。
メイン触媒39は、いわゆる三元触媒である。三元触媒とは、排ガスに含まれる炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物の3物質を酸化または還元することで除去する。三元触媒は、酸化還元触媒の1種である。メイン触媒39は、基材と、この基材の表面に付着された触媒物質とを有する。触媒物質は、担体と貴金属を有する。担体は、貴金属と基材の間に設けられる。担体は貴金属を担持する。この貴金属が、排ガスを浄化する。貴金属としては、例えば、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物をそれぞれ除去する、プラチナ、パラジウム、ロジウムなどが挙げられる。
メイン触媒39は、多孔構造を有している。多孔構造とは、排気経路41の経路方向に垂直な断面に多孔が形成されている構造を言う。多孔構造の一例は、ハニカム構造である。メイン触媒39には、上流排気管34aの経路幅より十分に細い複数の孔が形成されている。
メイン触媒39は、メタル基材触媒であっても、セラミック基材触媒であってもよい。メタル基材触媒とは、基材が金属製の触媒である。セラミック基材触媒とは、基材がセラミック製の触媒である。メタル基材触媒の基材は、例えば、金属製の波板と金属製の平板を交互に重ねて巻回することで形成される。セラミック基材触媒の基材は、例えば、ハニカム構造体である。
図5に示すように、メイン触媒39の経路方向の長さをc1とする。メイン触媒39の経路方向に垂直な方向の最大幅をw1とする。メイン触媒39の長さc1は、メイン触媒39の最大幅w1より長い。メイン触媒39の経路方向に直交する断面形状は、例えば円形状である。断面形状は、上下方向長さよりも左右方向長さが長い形状であってもよい。
図5に示すように、ケーシング40は、触媒配置通路部40bと、上流通路部40aと、下流通路部40cとを有する。触媒配置通路部40bには、メイン触媒39が配置される。経路方向において、触媒配置通路部40bの上流端および下流端は、メイン触媒39の上流端および下流端とそれぞれ同じ位置である。触媒配置通路部40bの経路方向に直交する断面の面積は、経路方向においてほぼ一定である。上流通路部40aは、触媒配置通路部40bの上流端に接続されている。下流通路部40cは、触媒配置通路部40bの上流端に接続されている。
上流通路部40aは、少なくとも一部が、テーパー状に形成されている。このテーパー部は、下流に向かって内径が大きくなっている。下流通路部40cは、少なくとも一部が、テーパー状に形成されている。このテーパー部は、下流に向かって内径が小さくなっている。触媒配置通路部40bの経路方向に直交する断面の面積をS1とする。上流通路部40aの少なくとも一部の経路方向に直交する断面の面積は面積S1よりも小さい。ここでの上流通路部40aの少なくとも一部には、上流通路部40aの上流端が含まれる。下流通路部40cの少なくとも一部の経路方向に直交する断面の面積は面積S1よりも小さい。ここでの下流通路部40cの少なくとも一部には、下流通路部40cの下流端が含まれる。
図2および図3に示すように、メイン触媒39は、クランク軸線Cr1よりも前方に配置されている。つまり、左右方向から見て、メイン触媒39は、直線L1の前方に配置されている。上述したように、直線L1は、クランク軸線Cr1を通り、上下方向と平行に延びる直線である。当然ながら、メイン触媒39の上流端も、クランク軸線Cr1よりも前方に配置されている。また、左右方向から見て、メイン触媒39は、シリンダ軸線Cy1の前方(下方)に位置する。
図2に示すように、シリンダ軸線Cy1に直交し且つクランク軸線Cr1に直交する直線をL2とする。左右方向から見て、メイン触媒39は、直線L2の前方に位置する。
図5に示すように、排気通路部36(排気管34)の上流端からメイン触媒39の上流端までの経路長をb1とする。経路長b1は、上流排気管34aと触媒ユニット38の上流通路部40aからなる通路部の経路長である。言い換えると、経路長b1は、シリンダ排気通路部31の下流端からメイン触媒39の上流端までの経路長である。また、メイン触媒39の下流端から排気管34の下流端までの経路長をd1とする。経路長d1は、触媒ユニット38の下流通路部40cと下流排気管34bからなる通路部の経路長である。燃焼室29からメイン触媒39の上流端までの経路長は、a1+b1である。メイン触媒39の下流端から放出口35eまでの経路長は、d1+e1である。
メイン触媒39は、経路長a1+b1が、経路長d1+e1よりも短くなる位置に配置される。また、メイン触媒39は、経路長a1+b1が、経路長d1よりも短くなる位置に配置される。さらに、メイン触媒39は、経路長b1が、経路長d1よりも短くなる位置に配置される。
上流酸素検出部材37は、排気管34(排気通路部36)に配置されている。上流酸素検出部材37は、メイン触媒39よりも上流に配置される。上流酸素検出部材37は、排ガスに含まれる酸素濃度を検出するセンサである。上流酸素検出部材37は、酸素濃度が所定値より高いか低いかを検出する酸素センサであってもよい。また、上流酸素検出部材37は、酸素濃度を複数段階またはリニアに表わす検出信号を出力するセンサ(例えばA/Fセンサ: Air Fuel ratio sensor)であってもよい。上流酸素検出部材37は、一端部(検出部)が排気管34内に配置され、他端部が排気管34の外に配置される。上流酸素検出部材37の検出部は、高温に加熱されて活性化状態となったときに、酸素濃度を検出できる。上流酸素検出部材37の検出結果は、電子制御ユニット45に出力される。
図5に示すように、燃焼室29から上流酸素検出部材37までの経路長をh1とする。上流酸素検出部材37からメイン触媒39の上流端までの経路長をh2とする。上流酸素検出部材37は、経路長h1が経路長h2よりも長くなる位置に配置されている。
以上、実施形態1の自動二輪車1の構成について説明した。実施形態1の自動二輪車1は以下の特徴を有する。
上述したように、燃焼室29の少なくとも一部はクランク軸線Cr1よりも前方に配置されている。排気通路部36の放出口35eはクランク軸線Cr1よりも後方に位置している。排気通路部36の一部はクランク軸線Cr1の上方を通るように配置されている。このように構成された単気筒4ストロークエンジンユニット19において、メイン触媒39の少なくとも一部は、クランク軸線Cr1よりも前方に位置している。したがって、メイン触媒39は、燃焼室29に比較的近い位置に配置されている。
メイン触媒39は、排気経路41において、1つの燃焼室29から排出された排ガスを最も浄化する。そのため、メイン触媒39は、排ガスの流れの抵抗となる。それにより、メイン触媒39よりも上流で、排ガスの流速が低下する。よって、排気経路41の燃焼室29に近い位置で、排ガスの流速が低下する。
また、燃焼室29から間欠的に排出された排ガスによって、排気経路41内の圧力は脈動する。圧力が脈動するとは、圧力が周期的に変動することである。排気経路41にはメイン触媒39が配置されている。そのため、メイン触媒39によって、圧力脈動の反射が生じる。これにより、メイン触媒39の上流において、燃焼室29から排出された排ガスとこの反射波が衝突する。この衝突によって、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。よって、排気経路41の燃焼室29に近い位置で、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。また、上記衝突によって、メイン触媒39の上流で、排ガスの流速をより低下させることができる。したがって、排気経路41の燃焼室29に近い位置で、排ガスの流速をより低下させることができる。
ここで、燃焼室29から排出される排ガスについて説明する。燃焼室29から排出された時点の排ガスは、気体の未燃燃料と酸素を含む。排ガスは、排気経路41中で未燃燃料の酸化を続けながら移動する。酸化が進むに従って、排ガス中の酸素濃度が減少する。
多気筒4ストロークエンジンユニットでは、複数の燃焼室から異なるタイミングで排ガスが排出される。異なる燃焼室から排出された排ガスは、排気経路中で混合または衝突する場合がある。排ガスが混合または衝突することで、排ガスの流速が低下する。加えて、未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。それによって、未燃燃料の酸化が促進される。これに対して、単気筒4ストロークエンジンユニットでは、1つの燃焼室から排ガスが間欠的に排出される。そのため、排ガスの混合または衝突が生じにくい。したがって、従来の単気筒4ストロークエンジンユニットは多気筒4ストロークエンジンユニットと比べると、未燃燃料が、排気経路のより下流の位置まで酸化されずに到達しやすい。
しかしながら、本実施形態では、排気経路41の燃焼室29に近い位置で、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。それに加えて、排気経路41の燃焼室29に近い位置で、排ガスの流速を低下させることができる。その結果、排気経路41の燃焼室29に近い位置で、未燃燃料の酸化を促進させることができる。
上流酸素検出部材37は、排気通路部36において、メイン触媒39よりも上流に配置される。1つの燃焼室29から上流酸素検出部材37までの経路長(h1)は、上流酸素検出部材37からメイン触媒39の上流端までの経路長(h2)よりも長い。メイン触媒39の上流端は、クランク軸線Cr1よりも前方に位置する。したがって、上流酸素検出部材37は、燃焼室29からメイン触媒39までの経路において、燃焼室29から遠い位置に配置される。上述したように、本実施形態では、排気経路41の燃焼室29に近い位置で、未燃燃料の酸化を促進させることができる。そのため、上流酸素検出部材37は、酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材37は、酸素濃度が安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することができる。
直線L2は、シリンダ軸線Cy1に直交し且つクランク軸線Cr1に直交する直線である。この直線L2は、クランク軸27から下方に延びている。左右方向から見て、メイン触媒39の少なくとも一部は、この直線L2の前方に位置する。したがって、メイン触媒39は、燃焼室29により近い位置に配置される。そのため、排気経路41の燃焼室29により近い位置で、未燃燃料の酸化を促進させることができる。それにより、上流酸素検出部材37は、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材37は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより一層安定的に検出することができる。
1つの燃焼室29からメイン触媒39の上流端までの経路長(a1+b1)は、メイン触媒39の下流端から放出口35eまでの経路長(d1+e1)よりも短い。したがって、メイン触媒39を、燃焼室29により近い位置に配置することができる。そのため、排気経路41の燃焼室29により近い位置で、未燃燃料の酸化を促進させることができる。それにより、上流酸素検出部材37は、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材37は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより一層安定的に検出することができる。
1つの燃焼室29からメイン触媒39の上流端までの経路長(a1+b1)は、メイン触媒39の下流端から排気管34の下流端までの経路長(d1)よりも短い。したがって、メイン触媒39は、燃焼室29により近い位置に配置される。そのため、排気経路41の燃焼室29により近い位置で、未燃燃料の酸化を促進させることができる。それにより、上流酸素検出部材37は、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材37は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより一層安定的に検出することができる。
メイン触媒39は、排気管34内に配置される。したがって、メイン触媒39が、排気管34より下流に配置される場合に比べて、メイン触媒39を燃焼室29に近い位置に配置される。そのため、排気経路41の燃焼室29により近い位置で、未燃燃料の酸化を促進させることができる。それにより、上流酸素検出部材37は、酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材37は、酸素濃度が安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することができる。
上流酸素検出部材37は、排気管34に配置される。したがって、上流酸素検出部材37がシリンダ排気通路部31に配置される場合に比べて、上流酸素検出部材37は燃焼室29からより遠い位置に配置される。そのため、上流酸素検出部材37は、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材37は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することができる。
上流通路部40aの少なくとも一部の排ガスの流れ方向に直交する断面の面積は、面積S1よりも小さい。面積S1は、触媒配置通路部40bの排ガスの流れ方向に直交する断面の面積である。これにより、メイン触媒39の上流において、排気経路41の断面積が変化する。そのため、排ガスの流れに変化を生じさせることができる。よって、未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。したがって、メイン触媒39の上流で、未燃燃料の酸化が促進される。それにより、上流酸素検出部材37は、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材37は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより一層安定的に検出することができる。
また、メイン触媒39が燃焼室に近い位置に配置されることにより、上流酸素検出部材37を配置可能な経路長が短くなる。したがって、メイン触媒39と上流酸素検出部材37とは比較的近い位置に配置される。それにより、上流酸素検出部材37で検出される酸素濃度は、メイン触媒39に流入する排ガスの酸素濃度に近くなる。そのため、上流酸素検出部材37の信号を用いた燃焼制御をより精度よく行うことができる。
(実施形態1の変形例1)
図6は、実施形態1の変形例1の自動二輪車の側面図である。図7は、実施形態1の変形例1のエンジン本体および排気系を示す模式図である。変形例1において、実施形態1と同一の構成要素については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
図6および図7に示すように、上流サブ触媒200(単一燃焼室用上流サブ触媒)とメイン触媒39と上流酸素検出部材37は、排気管234に配置されている。排気管234は、実施形態1の排気管34と同様に、シリンダ排気通路部31(図7を参照)と消音器35に接続されている。排気管234の途中には、触媒ユニット38が設けられている。図7に示すように、排気管234の触媒ユニット38より上流の部分を、上流排気管234aとする。排気管234の触媒ユニット38より下流の部分を下流排気管234bとする。なお、図7では、簡略化のために排気管234を一直線状に描いているが、排気管234は一直線状ではない。
上流サブ触媒200は、メイン触媒39より上流に設けられている。上流サブ触媒200は、上流排気管234a(排気管234)に設けられている。上流サブ触媒200は、排気管234の内壁に付着された触媒物質だけで構成されていてもよい。この場合、上流サブ触媒200の触媒物質が付着される基材は、排気管234の内壁である。また、上流サブ触媒200は、排気管234の内側に配置される基材を有していてもよい。この場合、上流サブ触媒200は、基材と触媒物質で構成される。上流サブ触媒200の基材は、例えば、板状である。板状の基材の経路方向に直交する断面の形状は、S字状であっても、円形状であっても、C字状であってもよい。上流サブ触媒200が基材を有する場合と有さない場合のいずれにおいても、上流サブ触媒200は多孔構造を有さない。そのため、上流サブ触媒200は、メイン触媒39と比較して排ガスによる圧力脈動の反射を生じさせる作用が小さい。また、上流サブ触媒200は、メイン触媒39に比べて、排ガスの流れの抵抗が小さい。
メイン触媒39は、排気経路41において、燃焼室29から排出された排ガスを最も浄化する。つまり、メイン触媒39は、排気経路41において、燃焼室29から排出された排ガスを上流サブ触媒200よりも浄化する。言い換えると、上流サブ触媒200は、メイン触媒39に比べて、排ガスを浄化する寄与度が低い。
メイン触媒39と上流サブ触媒200のそれぞれの浄化の寄与度は、以下の方法で測定できる。測定方法の設明において、メイン触媒39と上流サブ触媒200のうち、上流に配置される触媒をフロント触媒と称し、下流に配置される触媒をリア触媒と称する。変形例1では、上流サブ触媒200がフロント触媒であって、メイン触媒39がリア触媒である。
変形例1のエンジンユニットを運転して、暖機状態のときに放出口35eから排出された排ガスに含まれる有害物質の濃度を測定する。排ガスの測定方法は、欧州規制に従った測定方法とする。暖機状態では、メイン触媒39と上流サブ触媒200は、高温となって活性化される。そのため、メイン触媒39と上流サブ触媒200は、暖機状態のときに、浄化性能を十分に発揮できる。
次に、試験で用いたエンジンユニットのリア触媒を取り外して、その代わりにリア触媒の基材のみを配置する。この状態のエンジンユニットを、測定用エンジンユニットAとする。そして、同様に、暖機状態のときに放出口35eから排出された排ガスに含まれる有害物質の濃度を測定する。
また、この測定用エンジンユニットAのフロント触媒を取り外して、その代わりにフロント触媒の基材のみを配置する。この状態のエンジンユニットを、測定用エンジンユニットBとする。そして、同様に、暖機状態のときに放出口35eから排出された排ガスに含まれる有害物質の濃度を測定する。なお、上流サブ触媒200(フロント触媒)が排気管234の内壁に触媒物質を直接付着させた構成の場合、排気管234が基材に相当する。このような上流サブ触媒200の代わりに、上流サブ触媒200の基材のみを配置するとは、排気管234の内壁に触媒物質を付着させないことである。
測定用エンジンユニットAは、フロント触媒を有し、リア触媒を有しない。測定用エンジンユニットBは、フロント触媒とリア触媒を有しない。そのため、測定用エンジンユニットAの測定結果と、測定用エンジンユニットBの測定結果の差から、フロント触媒(上流サブ触媒200)の浄化の寄与度が算出される。また、測定用エンジンユニットAの測定結果と、変形例1のエンジンユニットの測定結果の差から、リア触媒(メイン触媒39)の浄化の寄与度が算出される。
上流サブ触媒200の浄化能力は、メイン触媒39の浄化能力より小さくても大きくてもよい。上流サブ触媒200の浄化能力が、メイン触媒39の浄化能力より小さいとは、上流サブ触媒200だけを設けた場合の排ガスの浄化率が、メイン触媒39だけを設けた場合の排ガスの浄化率より小さいことをいう。
図6に示すように、メイン触媒39は、クランク軸線Cr1よりも前方に配置されている。また、左右方向から見て、メイン触媒39は、直線L2の前方に位置する。なお、直線L2の定義は実施形態1と同じである。つまり、直線L2は、シリンダ軸線Cy1に直交し且つクランク軸線Cr1に直交する直線である。
図7に示すように、排気管234の上流端からメイン触媒39の上流端までの経路長をb2とする。メイン触媒39の下流端から排気管234の下流端までの経路長をd2とする。燃焼室29からメイン触媒39の上流端までの経路長は、a1+b2である。メイン触媒39の下流端から放出口35eまでの経路長は、d2+e1である。
実施形態1と同様に、メイン触媒39は、経路長a1+b2が、経路長d2+e1よりも短くなる位置に配置される。また、実施形態1と同様に、メイン触媒39は、経路長a1+b2が、経路長d2よりも短くなる位置に配置される。さらに、実施形態1と同様に、メイン触媒39は、経路長b2が、経路長d2よりも短くなる位置に配置される。
上流酸素検出部材37は、排気管234に配置されている。上流酸素検出部材37は、上流サブ触媒200より上流に配置されている。燃焼室29から上流酸素検出部材37までの経路長をh3とする。上流酸素検出部材37からメイン触媒39の上流端までの経路長をh4とする。実施形態1と同様に、上流酸素検出部材37は、経路長h3が、経路長h4よりも長くなる位置に配置されている。
変形例1では、メイン触媒39の上流に上流サブ触媒200が設けられる。上流サブ触媒200は、多孔構造ではない。そのため、上流サブ触媒200は、メイン触媒39に比べて、排ガスの流れに対する抵抗が小さい。また、上流サブ触媒200は、メイン触媒39に比べて、排ガスによる圧力脈動の反射を生じさせる作用が小さい。そのため、上流サブ触媒200を設けても、排ガスの流れに大きな影響を与えない。よって、メイン触媒39と上流酸素検出部材37の配置によって得られる効果を妨げない。
(実施形態2)
図8は、本発明の実施形態2の自動二輪車の側面図である。図9は、実施形態2の自動二輪車の底面図である。図10は、実施形態2の自動二輪車の車体カバー等を外した状態の側面図である。図11は、実施形態2の自動二輪車の車体カバー等を外した状態の底面図である。図12は、実施形態2の自動二輪車のエンジンと排気系を示す模式図である。
実施形態2のビークルは、いわゆるストリート型の自動二輪車50である。図10に示すように、自動二輪車50は、車体フレーム53を備えている。車体フレーム53は、ヘッドパイプ53aと、上メインフレーム53bと、下メインフレーム53cと、シートフレーム53dとを有する。上メインフレーム53bは、ヘッドパイプ53aから後下向きに延びた後、下方に湾曲して下向きに延びている。下メインフレーム53cは、上メインフレーム53bの下方に位置する。下メインフレーム53cは、ヘッドパイプ53aから後下向きに延びている。シートフレーム53dは、上メインフレーム53bの中途部から後方に延びている。
ヘッドパイプ53aにはステアリングシャフトが回転自在に挿入されている。ステアリングシャフトの上部にはハンドル55が設けられている。ハンドル55の近傍には、表示装置(図示せず)が配置されている。表示装置には、車速、エンジン回転速度、各種の警告などが表示される。
ステアリングシャフトの上下両端部は、ブラケットを介して、左右一対のフロントフォーク56に連結されている。フロントフォーク56の下端部には、前輪57が回転自在に支持されている。
車体フレーム53の後部には、左右一対のリアアーム58の前端部が揺動自在に支持されている。リアアーム58の後端部には後輪59が回転自在に支持されている。
上メインフレーム53bには、燃料タンク51(図8を参照)が支持されている。また、シートフレーム53dには、シート52(図8を参照)が支持されている。車体フレーム53には、エンジン本体61が支持されている。車体フレーム53には、エアクリーナ73(図10を参照)が支持されている。図10に示すように、左右方向から見て、エンジン本体61の上部は、上メインフレーム53bと下メインフレーム53cの間に配置されている。エアクリーナ73は、エンジン本体61の後方に配置されている。
図8に示すように、自動二輪車50は、車体フレーム53等を覆う車体カバー54を有する。車体カバー54は、エンジン本体61の上部とエアクリーナ73を覆っている。
自動二輪車50は、単気筒4ストロークエンジンユニット60を有している。単気筒4ストロークエンジンユニット60は、エンジン本体61と、エアクリーナ73(図10を参照)と、吸気管74と、排気管75と、消音器76と、メイン触媒180(単一燃焼室用メイン触媒)と、上流酸素検出部材78(単一燃焼室用上流酸素検出部材)を備えている。また、単気筒4ストロークエンジンユニット60は、実施形態1の電子制御ユニット45と同様の電子制御ユニットを有する。電子制御ユニットは、エンジン本体61を制御する。
エンジン本体61は、単気筒の4ストロークエンジンである。図10に示すように、エンジン本体61は、クランクケース部62と、シリンダ部63とを備えている。シリンダ部63は、クランクケース部62から前上向きに延びている。
クランクケース部62は、クランクケース本体64と、クランクケース本体64に収容されたクランク軸68および変速機構等を有する。クランク軸68の中心線(クランク軸線)Cr2は、左右方向に延びている。クランクケース本体64内には潤滑用のオイルが貯蔵されている。かかるオイルはオイルポンプ(図示せず)によって搬送され、エンジン本体61内を循環している。
シリンダ部63は、シリンダボディ65と、シリンダヘッド66と、ヘッドカバー67と、これらの内部に収容された部品とを有する。図10に示すように、シリンダボディ65は、クランクケース本体64の上部に接続されている。シリンダヘッド66は、シリンダボディ65の上部に接続されている。ヘッドカバー67は、シリンダヘッド66の上部に接続されている。
図12に示すように、シリンダボディ65には、シリンダ孔65aが形成されている。シリンダ孔65a内には、ピストン69が往復移動可能に収容されている。ピストン69はコンロッドを介してクランク軸68に連結されている。以下、シリンダ孔65aの中心線Cy2を、シリンダ軸線Cy2と称する。図10に示すように、エンジン本体61は、シリンダ軸線Cy2が、上下方向に延びるように配置されている。より詳細には、シリンダ軸線Cy2のクランクケース部62からシリンダ部63に向かう方向は、前上向きである。シリンダ軸線Cy2の水平方向に対する傾斜角度は、45度以上90度以下である。
図12に示すように、シリンダ部63の内部には、1つの燃焼室70が形成されている。燃焼室70は、シリンダボディ65のシリンダ孔65aの内面と、シリンダヘッド66と、ピストン69とによって形成されている。図10に示すように、燃焼室70は、クランク軸線Cr2よりも前方に位置する。これは、以下のように言い換えられる。クランク軸線Cr2を通り、上下方向と平行に延びる直線をL3とする。左右方向から見て、燃焼室70は直線L3の前方に配置されている。
図12に示すように、シリンダヘッド66には、シリンダ吸気通路部71と、シリンダ排気通路部72(単一燃焼室用シリンダ排気通路部)が形成されている。シリンダヘッド66において、燃焼室70を形成する壁部には、吸気ポート71aおよび排気ポート72aが形成されている。シリンダ吸気通路部71は、吸気ポート71aからシリンダヘッド66の外面(後面)に形成された吸入口まで延びている。シリンダ排気通路部72は、排気ポート72aからシリンダヘッド66の外面(前面)に形成された排出口まで延びている。燃焼室70に供給される空気は、シリンダ吸気通路部71内を通過する。燃焼室70から排出される排ガスは、シリンダ排気通路部72を通過する。
シリンダ吸気通路部71には吸気弁V3が配置されている。シリンダ排気通路部72には排気弁V4が配置されている。吸気ポート71aは、吸気弁V3の運動により開閉される。排気ポート72aは、排気弁V4の運動により開閉される。シリンダ吸気通路部71の端部(吸入口)には吸気管74が接続されている。シリンダ排気通路部72の端部(排出口)には排気管75が接続されている。シリンダ排気通路部72の経路長をa2とする。
単気筒4ストロークエンジンユニット60は、実施形態1のエンジン本体20と同様に、点火プラグ、動弁機構、インジェクタ、スロットルバルブを備えている。また、単気筒4ストロークエンジンユニット60は、実施形態1と同様に、エンジン回転速度センサ、スロットル開度センサ等の各種センサを備えている。
上述したように、単気筒4ストロークエンジンユニット60は、エンジン本体61と、排気管75と、消音器76と、メイン触媒180と、上流酸素検出部材78とを備えている。排気通路部77(単一燃焼室用排気通路部)は、排気管75と消音器76によって、構成される。消音器76は、大気に面する放出口76eを有する。排気通路部77は、シリンダ排気通路部72の下流端から放出口76eまで排ガスを流す。燃焼室70から放出口76eに至る経路を、排気経路182(図12を参照)とする。排気経路182は、シリンダ排気通路部72と排気通路部77とによって形成される。排気経路182は、排ガスが通過する空間である。
図12に示すように、排気管75の上流端部は、シリンダ排気通路部72に接続される。排気管75の下流端部は、消音器76に接続される。排気管75の途中には、触媒ユニット79が設けられている。排気管75の触媒ユニット79より上流の部分を、上流排気管75aとする。排気管75の触媒ユニット79より下流の部分を下流排気管75bとする。なお、図12では、簡略化のために排気管75を一直線状に描いているが、排気管75は一直線状ではない。
図9および図11に示すように、排気管75の大部分は、自動二輪車50の右部に設けられている。図10に示すように、排気管75の一部は、クランク軸線Cr2の下方に位置する。排気管75は、2つの屈曲部を有する。2つの屈曲部のうち上流の屈曲部を、単に、上流の屈曲部という。2つの屈曲部のうち下流の屈曲部を、単に、下流の屈曲部という。上流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、前後方向に延びる方向から上下方向に延びる方向に変化させる。より具体的には、上流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、前下向きから後下向きに変化させる。下流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、上下方向に延びる方向から前後方向に延びる方向に変化させる。より具体的には、下流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、後下向きから後向きに変化させる。下流の屈曲部より下流の部分が、クランク軸線Cr2の下方に位置する。メイン触媒180はこの2つの屈曲部の間に配置されている。
消音器76には、排気管75の下流端から排出された排ガスが流入する。消音器76は、排気管75に接続されている。消音器76は、排ガスの脈動波を抑制するように構成されている。それにより、消音器76は、排ガスによって生じる音(排気音)の音量を低減できる。消音器76内には、複数の膨張室と、膨張室同士を連通する複数のパイプが設けられている。排気管75の下流端部は、消音器76の膨張室内に配置されている。消音器76の下流端には、大気に面する放出口76eが設けられている。図12に示すように、排気管75の下流端から放出口76eに至る排気経路の経路長をe2とする。消音器76を通過した排ガスは、放出口76eから大気へ放出される。図10に示すように、放出口76eは、クランク軸線Cr2よりも後方に位置する。
メイン触媒180は、排気管75(排気通路部77)内に配置されている。触媒ユニット79は、筒状のケーシング181と、メイン触媒180とを有する。ケーシング181の上流端は、上流排気管75aに接続されている。ケーシング181の下流端は、下流排気管75bに接続されている。ケーシング181は、排気管75(排気通路部77)の一部を構成する。メイン触媒180は、ケーシング181の内部に固定されている。排ガスは、メイン触媒180を通過することで浄化される。メイン触媒180には、燃焼室70の排気ポート72aから排出された全ての排ガスが通過する。メイン触媒180は、排気経路182において、燃焼室70から排出された排ガスを最も浄化する。
メイン触媒180の材質は、実施形態1のメイン触媒39と同様である。メイン触媒180は、多孔構造を有している。メイン触媒180には、上流排気管75aの経路幅より十分に細い複数の孔が形成されている。図12に示すように、メイン触媒180の経路方向の長さをc2とする。メイン触媒180の経路方向に垂直な方向の最大幅をw2とする。メイン触媒180の長さc2は、メイン触媒180の最大幅w2より長い。
図12に示すように、ケーシング181は、触媒配置通路部181bと、上流通路部181aと、下流通路部181cとを有する。触媒配置通路部181bには、メイン触媒180が配置される。経路方向において、触媒配置通路部181bの上流端および下流端は、メイン触媒180の上流端および下流端とそれぞれ同じ位置である。触媒配置通路部181bの経路方向に直交する断面の面積はほぼ一定である。上流通路部181aは、触媒配置通路部181bの上流端に接続されている。下流通路部181cは、触媒配置通路部181bの上流端に接続されている。
上流通路部181aは、少なくとも一部が、テーパー状に形成されている。このテーパー部は、下流に向かって内径が大きくなっている。下流通路部181cは、少なくとも一部が、テーパー状に形成されている。このテーパー部は、下流に向かって内径が小さくなっている。触媒配置通路部181bの経路方向に直交する断面の面積をS2とする。上流通路部181aの少なくとも一部の経路方向に直交する断面の面積は面積S2よりも小さい。ここでの上流通路部181aの少なくとも一部には、上流通路部181aの上流端が含まれる。下流通路部181cの少なくとも一部の経路方向に直交する断面の面積は面積S2よりも小さい。ここでの下流通路部181cの少なくとも一部には、下流通路部181cの下流端が含まれる。
図10に示すように、メイン触媒180は、クランク軸線Cr2よりも前方に配置されている。つまり、左右方向から見て、メイン触媒180は、直線L3の前方に配置されている。上述したように、直線L3は、クランク軸線Cr2を通り、上下方向と平行に延びる直線である。当然ながら、メイン触媒180の上流端も、クランク軸線Cr2よりも前方に配置されている。また、左右方向から見て、メイン触媒180は、シリンダ軸線Cy2の前方に位置する。
図10に示すように、シリンダ軸線Cy2に直交し且つクランク軸線Cr2に直交する直線をL4とする。左右方向から見て、メイン触媒180は、直線L4の前方に位置する。
図12に示すように、排気通路部77(排気管75)の上流端からメイン触媒180の上流端までの経路長をb3とする。経路長b3は、上流排気管75aと触媒ユニット79の上流通路部181aからなる通路部の経路長である。言い換えると、経路長b3は、シリンダ排気通路部72の下流端からメイン触媒180の上流端までの経路長である。また、メイン触媒180の下流端から排気管75の下流端までの経路長をd3とする。経路長d3は、触媒ユニット79の下流通路部181cと下流排気管75bからなる通路部の経路長である。燃焼室70からメイン触媒180の上流端までの経路長は、a2+b3である。メイン触媒180の下流端から放出口76eまでの経路長は、d3+e2である。
メイン触媒180は、経路長a2+b3が、経路長d3+e2よりも短くなる位置に配置される。また、メイン触媒180は、経路長a2+b3が、経路長d3よりも短くなる位置に配置される。さらに、メイン触媒180は、経路長b3が、経路長d3よりも短くなる位置に配置される。
上流酸素検出部材78は、排気管75(排気通路部77)に配置されている。上流酸素検出部材78は、メイン触媒180よりも上流に配置される。上流酸素検出部材78は、排ガスに含まれる酸素濃度を検出するセンサである。上流酸素検出部材78の構造は、実施形態1の上流酸素検出部材と同様である。
図12に示すように、燃焼室70から上流酸素検出部材78までの経路長をh5とする。上流酸素検出部材78からメイン触媒180の上流端までの経路長をh6とする。上流酸素検出部材78は、経路長h5が経路長h6よりも長くなる位置に配置されている。
以上説明したように、実施形態2の自動二輪車50は、クランク軸線Cr2より前方にメイン触媒180を有する。それ以外にも実施形態1の自動二輪車1と同様の配置関係を有する。実施形態1と同様の配置関係については、実施形態1で述べた効果と同様の効果を奏する。
実施形態2において、シリンダ軸線Cy2は、上下方向に延びている。シリンダ軸線Cy2は、クランク軸線Cr2を通る。また、左右方向から見て、メイン触媒180の少なくとも一部は、シリンダ軸線Cy2の前方に位置する。したがって、メイン触媒180を、燃焼室70により近い位置に配置することができる。そのため、排気経路182の燃焼室70に近い位置で、未燃燃料の酸化を促進させることができる。それにより、上流酸素検出部材78は、酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材78は、酸素濃度が安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することができる。
また、実施形態2の自動二輪車50においても、上述した変形例1の排気系の構成を適用することが可能である。この場合、変形例1と同様の作用が得られる。
(実施形態3)
図13は、本発明の実施形態3の自動二輪車の側面図である。図14は、実施形態3の自動二輪車の底面図である。図15は、実施形態3の自動二輪車の車体カバー等を外した状態の側面図である。図16は、実施形態3の自動二輪車の車体カバー等を外した状態の底面図である。図17は、実施形態3の自動二輪車のエンジンと排気系を示す模式図である。
実施形態3のビークルは、いわゆるスクータ型の自動二輪車80である。図15に示すように、自動二輪車80は、車体フレーム81を備えている。車体フレーム81は、ヘッドパイプ81aと、メインフレーム81bと、左右一対のサイドフレーム81cと、左右一対のリアフレーム81dと、左右一対のシートフレーム81eとを備えている。メインフレーム81bは、ヘッドパイプ81aから後下向きに延びている。左右一対のサイドフレーム81cは、メインフレーム81bの下端部から後方へ略水平に延びている。左右一対のリアフレーム81dは、サイドフレーム81cの後端部から後上向き延びている。左右一対のシートフレーム81eは、リアフレーム81dの後端部から後方へ略水平に延びている。
ヘッドパイプ81aには、ステアリングシャフトが回転自在に挿入されている。ステアリングシャフトの上部にはハンドル82が設けられている。ハンドル82の近傍には、表示装置(図示せず)が配置されている。表示装置には、車速、エンジン回転速度、各種の警告などが表示される。
ステアリングシャフトの下部には、左右一対のフロントフォーク83が支持されている。フロントフォーク83の下端部には前輪84が回転自在に支持されている。
左右一対のサイドフレーム81cには足載せ板85(図13を参照)が取り付けられている。この足載せ板85は、後述するシート86に着座した乗員が足を置く場所である。
シートフレーム81eには、シート86(図13を参照)が支持されている。シート86は、車両前後方向において車体フレーム81の中間部から後端部にかけて延びている。
シート86の下方には、空間G1(図15を参照)が形成されている。この空間G1には収納ボックス(図示せず)が配置されている。収納ボックスは、上部が開放された箱型に形成されている。シート86は、収納ボックスの上面の開口を開閉するための蓋としての機能を兼ね備えている。収納ボックスは、左右両シートフレーム81eの間に配置される。収納ボックスは、リアフレーム81dおよびシートフレーム81eに支持される。
図13に示すように、自動二輪車80は、車体フレーム81等を覆う車体カバー87を有する。車体カバー87は、フロントカバー87aと、レッグシールド87bと、メインカバー87cと、アンダーカバー87dを有する。フロントカバー87aは、ヘッドパイプ81aの前方に配置される。レッグシールド87bは、ヘッドパイプ81aの後方に配置される。フロントカバー87aとレッグシールド87bは、ヘッドパイプ81aとメインフレーム81bを覆っている。メインカバー87cは、足載せ板85の後部から上方に立ち上がった形態である。メインカバー87cは、収納ボックスの略全体を覆っている。アンダーカバー87dは、フロントカバー87a、レッグシールド87b、およびメインカバー87cの下方に配置される。アンダーカバー87dは、後述するエンジン本体94の前上部を、前方および左右両方から覆っている。
車体フレーム81には、ユニットスイングタイプの単気筒4ストロークエンジンユニット93が取り付けられている。単気筒4ストロークエンジンユニット93は、エンジン本体94と、動力伝達部95(図14および図16参照)を有する。動力伝達部95は、エンジン本体94の後部に接続されている。動力伝達部95は、エンジン本体94の左方に配置されている。動力伝達部95には変速機が収容されている。動力伝達部95は、後輪88を回転可能に支持している。
エンジン本体94と動力伝達部95は、一体的に、車体フレーム81に対して揺動可能となっている。具体的には、図15および図16に示すように、エンジン本体94の下部の左右両端部には、右リンク部材90Rと左リンク部材90Lが接続されている。右リンク部材90Rと左リンク部材90Lは、エンジン本体94から前方に延びている。右リンク部材90Rと左リンク部材90Lのそれぞれの先端部は、ピボット軸89を介して車体フレーム81に回動可能に接続されている。また、右リンク部材90Rと左リンク部材90Lは、それぞれピボット軸91(図15を参照)を介してエンジン本体94に回動可能に接続されている。なお、図14は、右リンク部材90Rおよびエンジン本体94の後述するシュラウド96などを部分的に除いた表示となっている。
単気筒4ストロークエンジンユニット93は、エンジン本体94と、動力伝達部95と、エアクリーナ(図示せず)と、吸気管110(図17を参照)と、排気管111と、消音器112と、メイン触媒116(単一燃焼室用メイン触媒)と、上流酸素検出部材114(単一燃焼室用上流酸素検出部材)とを備えている。また、単気筒4ストロークエンジンユニット93は、実施形態1の電子制御ユニット45と同様の電子制御ユニットを有する。電子制御ユニットは、エンジン本体94を制御する。
エンジン本体94は、単気筒4ストロークエンジンである。エンジン本体94は、強制空冷式のエンジンである。エンジン本体94は、シュラウド96と、ファン97と、クランクケース部98と、シリンダ部99とを備えている。
シリンダ部99は、クランクケース部98から前方に延びている。シュラウド96は、シリンダ部99の後部を全周にわたって覆っている。詳細には、シュラウド96は、後述するシリンダボディ101全体とシリンダヘッド102全体を全周にわたって覆っている。但し、シリンダヘッド102に接続される排気管111の周囲は覆われていない。シュラウド96は、クランクケース部98の右側部分を覆っている。
ファン97は、シュラウド96とクランクケース部98との間に配置されている。シュラウド96のファン97と対向する部分には、空気を取り入れるための流入口が形成されている。ファン97は、エンジン本体94を冷却するための空気流を発生させる。より具体的には、ファン97の回転により、シュラウド96内に空気が導入される。この空気流がエンジン本体94に当たることでクランクケース部98およびシリンダ部99が冷却される。
クランクケース部98は、クランクケース本体100と、クランクケース本体100に収容されたクランク軸104等を有する。クランク軸104の中心線(クランク軸線)Cr3は、左右方向に延びている。クランク軸104の右端部には、ファン97が一体に回転可能に連結されている。ファン97は、クランク軸104の回転によって駆動される。クランクケース本体100内には潤滑用のオイルが貯蔵されている。かかるオイルはオイルポンプ(図示せず)によって搬送され、エンジン本体94内を循環している。
シリンダ部99は、シリンダボディ101と、シリンダヘッド102と、ヘッドカバー103と、これらの内部に収容された部品とを有する。図14に示すように、シリンダボディ101は、クランクケース本体100の前部に接続されている。シリンダヘッド102は、シリンダボディ101の前部に接続されている。ヘッドカバー103は、シリンダヘッド102の前部に接続されている。
図17に示すように、シリンダボディ101には、シリンダ孔101aが形成されている。シリンダ孔101a内には、ピストン105が往復移動可能に収容されている。ピストン105はコンロッドを介してクランク軸104に連結されている。以下、シリンダ孔101aの中心線Cy3を、シリンダ軸線Cy3と称する。図15に示すように、エンジン本体94は、シリンダ軸線Cy3が、前後方向に延びるように配置されている。より詳細には、シリンダ軸線Cy3のクランクケース部98からシリンダ部99に向かう方向は、前上向きである。シリンダ軸線Cy3の水平方向に対する傾斜角度は、0度以上45度以下である。
図17に示すように、シリンダ部99の内部には、1つの燃焼室106が形成されている。燃焼室106は、シリンダボディ101のシリンダ孔101aの内面と、シリンダヘッド102と、ピストン105とによって形成されている。図15に示すように、燃焼室106は、クランク軸線Cr3よりも前方に位置する。これは、以下のように言い換えられる。クランク軸線Cr3を通り、上下方向と平行に延びる直線をL5とする。左右方向から見て、燃焼室106は直線L5の前方に配置されている。
図17に示すように、シリンダヘッド102には、シリンダ吸気通路部107と、シリンダ排気通路部108(単一燃焼室用シリンダ排気通路部)が形成されている。シリンダヘッド102において、燃焼室106を形成する壁部には、吸気ポート107aおよび排気ポート108aが形成されている。シリンダ吸気通路部107は、吸気ポート107aからシリンダヘッド102の外面(上面)に形成された吸入口まで延びている。シリンダ排気通路部108は、排気ポート108aからシリンダヘッド102の外面(下面)に形成された排出口まで延びている。燃焼室106に供給される空気は、シリンダ吸気通路部107内を通過する。燃焼室106から排出される排ガスは、シリンダ排気通路部108を通過する。
シリンダ吸気通路部107には吸気弁V5が配置されている。シリンダ排気通路部108には排気弁V6が配置されている。吸気ポート107aは、吸気弁V5の運動により開閉される。排気ポート108aは、排気弁V6の運動により開閉される。シリンダ吸気通路部107の端部(吸入口)には吸気管110が接続されている。シリンダ排気通路部108の端部(排出口)には排気管111が接続されている。シリンダ排気通路部108の経路長をa3とする。
上述したように、図14は、右リンク部材90Rおよびシュラウド96などを部分的に除いた表示となっている。これにより、シリンダヘッド102の下面と排気管111との接続部を見えるようにしている。図14および図16に示すように、下方から見て、排気管111の上流端部は、右リンク部材90Rと左リンク部材90Lの間に位置している。しかし、図15に示すように、左右方向から見て、排気管111は、右リンク部材90Rおよび左リンク部材90Lの上方を通っている。したがって、排気管111は、右リンク部材90Rと左リンク部材90Lの間を通っていない。
単気筒4ストロークエンジンユニット93は、実施形態1のエンジン本体20と同様に、点火プラグ、動弁機構、インジェクタ、スロットルバルブを備えている。また、単気筒4ストロークエンジンユニット93は、実施形態1と同様に、エンジン回転速度センサ、スロットル開度センサ等の各種センサを備えている。
上述したように、単気筒4ストロークエンジンユニット93は、エンジン本体94と、排気管111と、消音器112と、メイン触媒116と、上流酸素検出部材114とを備えている。排気通路部113(単一燃焼室用排気通路部)は、排気管111と消音器112によって、構成される。消音器112は、大気に面する放出口112eを有する。排気通路部113は、シリンダ排気通路部108の下流端から放出口112eまで排ガスを流す。燃焼室106から放出口112eに至る経路を、排気経路118(図17を参照)とする。排気経路118は、シリンダ排気通路部108と排気通路部113とによって形成される。排気経路118は、排ガスが通過する空間である。
図17に示すように、排気管111の上流端部は、シリンダ排気通路部108に接続される。排気管111の下流端部は、消音器112に接続される。排気管111の途中には、触媒ユニット115が設けられている。排気管111の触媒ユニット115より上流の部分を、上流排気管111aとする。排気管111の触媒ユニット115より下流の部分を下流排気管111bとする。なお、図17では、簡略化のために排気管111を一直線状に描いているが、排気管111は一直線状ではない。
図14に示すように、排気管111は、自動二輪車80の右部に設けられている。図15に示すように、排気管111の一部は、クランク軸線Cr3の下方に位置する。排気管111は、2つの屈曲部を有する。2つの屈曲部のうち上流の屈曲部を、単に、上流の屈曲部という。2つの屈曲部のうち下流の屈曲部を、単に、下流の屈曲部という。上流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、下向きから後下向きに変化させる。下流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、後下向きから後上向きに変化させる。下流の屈曲部より下流の部分が、クランク軸線Cr3の下方に位置する。メイン触媒116の下流端は、下流の屈曲部に配置されている。
消音器112には、排気管111の下流端から排出された排ガスが流入する。消音器112は、排気管111に接続されている。消音器112は、排ガスの脈動波を抑制するように構成されている。それにより、消音器112は、排ガスによって生じる音(排気音)の音量を低減できる。消音器112内には、複数の膨張室と、膨張室同士を連通する複数のパイプが設けられている。排気管111の下流端部は、消音器112の膨張室内に配置されている。消音器112の下流端には、大気に面する放出口112eが設けられている。図17に示すように、排気管111の下流端から放出口112eに至る排気経路の経路長をe3とする。消音器112を通過した排ガスは、放出口112eから大気へ放出される。図15に示すように、放出口112eは、クランク軸線Cr3よりも後方に位置する。
メイン触媒116は、排気管111(排気通路部113)内に配置されている。触媒ユニット115は、筒状のケーシング117と、メイン触媒116とを有する。ケーシング117の上流端は、上流排気管111aに接続される。ケーシング117の下流端は、下流排気管111bに接続されている。ケーシング117は、排気管111(排気通路部113)の一部を構成する。メイン触媒116は、ケーシング117の内部に固定されている。排ガスは、メイン触媒116を通過することで浄化される。メイン触媒116には、燃焼室106の排気ポート108aから排出された全ての排ガスが通過する。メイン触媒116は、排気経路118において、燃焼室106から排出された排ガスを最も浄化する。
メイン触媒116の材質は、実施形態1のメイン触媒39と同様である。メイン触媒116は、多孔構造を有している。メイン触媒116には、上流排気管111aの経路幅より十分に細い複数の孔が形成されている。図17に示すように、メイン触媒116の経路方向の長さをc3とする。メイン触媒116の経路方向に垂直な方向の最大幅をw3とする。メイン触媒116の長さc3は、メイン触媒116の最大幅w3より長い。
図17に示すように、ケーシング117は、触媒配置通路部117bと、上流通路部117aと、下流通路部117cとを有する。触媒配置通路部117bには、メイン触媒116が配置される。経路方向において、触媒配置通路部117bの上流端および下流端は、メイン触媒116の上流端および下流端とそれぞれ同じ位置である。触媒配置通路部117bの経路方向に直交する断面の面積はほぼ一定である。上流通路部117aは、触媒配置通路部117bの上流端に接続されている。下流通路部117cは、触媒配置通路部117bの上流端に接続されている。
上流通路部117aは、少なくとも一部が、テーパー状に形成されている。このテーパー部は、下流に向かって内径が大きくなっている。下流通路部117cは、少なくとも一部が、テーパー状に形成されている。このテーパー部は、下流に向かって内径が小さくなっている。触媒配置通路部117bの経路方向に直交する断面の面積をS3とする。上流通路部117aの上流端(少なくとも一部)の経路方向に直交する断面の面積は面積S3よりも小さい。下流通路部117cの少なくとも一部の経路方向に直交する断面の面積は面積S3よりも小さい。ここでの下流通路部117cの少なくとも一部には、下流通路部117cの下流端が含まれる。
図15に示すように、メイン触媒116の少なくとも一部は、クランク軸線Cr3よりも前方に配置されている。つまり、左右方向から見て、メイン触媒116は、直線L5の前方に配置されている。上述したように、直線L5は、クランク軸線Cr3を通り、上下方向と平行に延びる直線である。当然ながら、メイン触媒116の上流端も、クランク軸線Cr3よりも前方に配置されている。また、左右方向から見て、メイン触媒116は、シリンダ軸線Cy3の前方(下方)に位置する。
図15に示すように、シリンダ軸線Cy3に直交し且つクランク軸線Cr3に直交する直線をL6とする。左右方向から見て、メイン触媒116は、直線L6の前方に位置する。
図17に示すように、排気通路部113(排気管111)の上流端からメイン触媒116の上流端までの経路長をb4とする。経路長b4は、上流排気管111aと触媒ユニット115の上流通路部117aからなる通路部の経路長である。言い換えると、経路長b4は、シリンダ排気通路部108の下流端からメイン触媒116の上流端までの経路長である。また、メイン触媒116の下流端から排気管111の下流端までの経路長をd4とする。経路長d4は、触媒ユニット115の下流通路部117cと下流排気管111bからなる通路部の経路長である。燃焼室106からメイン触媒116の上流端までの経路長は、a3+b4である。メイン触媒116の下流端から放出口112eまでの経路長は、d4+e3である。
メイン触媒116は、経路長a3+b4が、経路長d4+e3よりも短くなる位置に配置される。また、メイン触媒116は、経路長a3+b4が、経路長d4よりも短くなる位置に配置される。さらに、メイン触媒116は、経路長b4が、経路長d4よりも短くなる位置に配置される。
上流酸素検出部材114は、排気管111(排気通路部113)に配置されている。上流酸素検出部材114は、メイン触媒116よりも上流に配置される。上流酸素検出部材114は、排ガスに含まれる酸素濃度を検出するセンサである。上流酸素検出部材114の構造は、実施形態1の上流酸素検出部材と同様である。
図17に示すように、燃焼室106から上流酸素検出部材114までの経路長をh7とする。上流酸素検出部材114からメイン触媒116の上流端までの経路長をh8とする。上流酸素検出部材114は、経路長h7が経路長h8よりも長くなる位置に配置されている。
以上説明したように、実施形態3の自動二輪車80は、クランク軸線Cr3より前方にメイン触媒116を有する。それ以外にも実施形態1の自動二輪車1と同様の配置関係を有する。実施形態1と同様の配置関係については、実施形態1で述べた効果と同様の効果を奏する。
また、実施形態3の自動二輪車80においても、上述した変形例1の排気系の構成を適用することが可能である。この場合、変形例1と同様の作用が得られる。
(実施形態4)
図18は、本発明の実施形態4の自動二輪車の側面図である。図19は、実施形態4の自動二輪車の底面図である。図20は、実施形態4の自動二輪車の車体カバー等を外した状態の側面図である。図21は、実施形態4の自動二輪車の車体カバー等を外した状態の底面図である。図22は、実施形態4の自動二輪車のエンジンと排気系を示す模式図である。
実施形態4のビークルは、いわゆるスポーツスクータ型の自動二輪車120である。図20に示すように、自動二輪車120は、車体フレーム121を有する。車体フレーム121は、ヘッドパイプ121aと、メインフレーム121bと、右シートレール122Rと、左シートレール122Lと、左右一対のアンダーフレーム121cと、クロスメンバ121d(図21を参照)を有する。メインフレーム121bは、ヘッドパイプ121aから後下向きに延びている。アンダーフレーム121cは、メインフレーム121bの中途部から後下向きに延びた後、後方に湾曲して後向きに略水平に延びている。図21に示すように、クロスメンバ121dは、左右のアンダーフレーム121cに連結されている。クロスメンバ121dは、左右方向に延びている。図20に示すように、左シートレール122Lは、メインフレーム121bの中途部から後上向きに延びている。図21に示すように、右シートレール122Rは、クロスメンバ121dの右端部に接続されている。図20に示すように、右シートレール122Rは、クロスメンバ121dから上向きに延びた後、後方に湾曲している。右シートレール122Rの後部は、左シートレール122Lと略平行に延びている。
ヘッドパイプ121aには、ステアリングシャフトが回転自在に挿入されている。ステアリングシャフトの上部にはハンドル123が設けられている。ハンドル123の近傍には、表示装置(図示せず)が配置されている。表示装置には、車速、エンジン回転速度、各種の警告などが表示される。
ステアリングシャフトの下部には、左右一対のフロントフォーク124が支持されている。フロントフォーク124の下端部には、前輪125が回転自在に支持されている。
左右のシートレール122L、122Rには、シート126(図18を参照)が支持されている。
図18に示すように、自動二輪車120は、車体フレーム121等を覆う車体カバー127を有する。車体カバー127は、フロントカウル127aと、メインカバー127bと、アンダーカバー127cとを有する。フロントカウル127aは、ヘッドパイプ121aと、メインフレーム121bの上部を覆っている。メインフレーム121bの下部は、メインカバー127bとアンダーカバー127cによって覆われている。メインカバー127bは、右シートレール122Rと、左シートレール122Lを覆っている。アンダーカバー127cは、アンダーフレーム121cと、クロスメンバ121dを覆っている。メインカバー127bは、後述するエンジン本体133の前部と、エアクリーナ147(図20を参照)を覆っている。エアクリーナ147は、エンジン本体133の前方に配置されている。
車体フレーム121には、ユニットスイングタイプの単気筒4ストロークエンジンユニット132が取り付けられている。単気筒4ストロークエンジンユニット132は、エンジン本体133と、動力伝達部134(図19および図21を参照)を有する。動力伝達部134は、エンジン本体133の後部に接続されている。動力伝達部134は、エンジン本体133の左方に配置されている。動力伝達部134には変速機が収容されている。動力伝達部134は、後輪128を回転可能に支持している。
エンジン本体133と動力伝達部134は、一体的に、車体フレーム121に対して揺動可能となっている。具体的には、図20および図21に示すように、エンジン本体133の下部の左右両端部には、右リンク部材130Rと左リンク部材130Lが接続されている。右リンク部材130Rと左リンク部材130Lは、エンジン本体133から前方に延びている。右リンク部材130Rと左リンク部材130Lのそれぞれの先端部は、ピボット軸129を介して車体フレーム121(アンダーフレーム121c)に回動可能に接続されている。また、右リンク部材130Rと左リンク部材130Lは、それぞれピボット軸131を介してエンジン本体133に回動可能に接続されている。
単気筒4ストロークエンジンユニット132は、水冷式のエンジンである。単気筒4ストロークエンジンユニット132は、エンジン本体133と、水冷却装置135と、動力伝達部134と、エアクリーナ147(図20および図21を参照)と、吸気管148(図20を参照)と、排気管149と、消音器150と、メイン触媒154(単一燃焼室用メイン触媒)と、上流酸素検出部材152(単一燃焼室用上流酸素検出部材)とを備えている。また、単気筒4ストロークエンジンユニット132は、実施形態1の電子制御ユニット45と同様の電子制御ユニットを有する。電子制御ユニットは、エンジン本体133を制御する。
水冷却装置135は、ラジエータ(図示せず)と、水ポンプ(図示せず)と、ファン(図示せず)と、カバー部135aとを有する。ファンは、エンジン本体133の後部の右に配置される。ラジエータは、ファンの右方に配置される。カバー部135aは、ラジエータを右方から覆う。さらに、カバー部135aは、ラジエータとファンを上下および前後から覆う。
エンジン本体133は、単気筒4ストロークエンジンである。図20に示すように、エンジン本体133は、クランクケース部136と、シリンダ部137とを備えている。シリンダ部137は、クランクケース部136から前方に延びている。
クランクケース部136は、クランクケース本体138と、クランクケース本体138に収容されたクランク軸142等を有する。クランク軸142の中心線(クランク軸線)Cr4は、左右方向に延びている。クランクケース本体138内には潤滑用のオイルが貯蔵されている。かかるオイルはオイルポンプ(図示せず)によって搬送され、エンジン本体133内を循環している。
クランク軸142の右端部には、水冷却装置135のファンが一体に回転可能に連結されている。ファンは、クランク軸142の回転によって駆動される。ファンは、エンジン本体133を冷却するための空気流を発生させる。より具体的には、ファンの回転により、カバー部135a内に空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気とラジエータの冷却水とが熱交換することで、冷却水が冷却される。そして、冷却された冷却水によってエンジン本体133が冷却される。
シリンダ部137は、シリンダボディ139と、シリンダヘッド140と、ヘッドカバー141と、これらの内部に収容された部品とを有する。図20および図21に示すように、シリンダボディ139は、クランクケース本体138の前部に接続されている。シリンダヘッド140は、シリンダボディ139の前部に接続されている。図20に示すように、ヘッドカバー141は、シリンダヘッド140の前部に接続されている。
図22に示すように、シリンダボディ139には、シリンダ孔139aが形成されている。シリンダ孔139a内には、ピストン143が往復移動可能に収容されている。ピストン143はコンロッドを介してクランク軸142に連結されている。以下、シリンダ孔139aの中心線Cy4を、シリンダ軸線Cy4と称する。図20に示すように、エンジン本体133は、シリンダ軸線Cy4が、前後方向に延びるように配置されている。より詳細には、シリンダ軸線Cy4のクランクケース部136からシリンダ部137に向かう方向は、前上向きである。シリンダ軸線Cy4の水平方向に対する傾斜角度は、0度以上45度以下である。
図22に示すように、シリンダ部137の内部には、1つの燃焼室144が形成されている。燃焼室144は、シリンダボディ139のシリンダ孔139aの内面と、シリンダヘッド140と、ピストン143とによって形成されている。図20に示すように、燃焼室144は、クランク軸線Cr4よりも前方に位置する。これは、以下のように言い換えられる。クランク軸線Cr4を通り、上下方向と平行に延びる直線をL7とする。左右方向から見て、燃焼室144は直線L7の前方に配置されている。
図22に示すように、シリンダヘッド140には、シリンダ吸気通路部145と、シリンダ排気通路部146(単一燃焼室用シリンダ排気通路部)が形成されている。シリンダヘッド140において、燃焼室144を形成する壁部には、吸気ポート145aおよび排気ポート146aが形成されている。シリンダ吸気通路部145は、吸気ポート145aからシリンダヘッド140の外面(上面)に形成された吸入口まで延びている。シリンダ排気通路部146は、排気ポート146aからシリンダヘッド140の外面(下面)に形成された排出口まで延びている。燃焼室144に供給される空気は、シリンダ吸気通路部145内を通過する。燃焼室144から排出される排ガスは、シリンダ排気通路部146を通過する。
シリンダ吸気通路部145には吸気弁V7が配置されている。シリンダ排気通路部146には排気弁V8が配置されている。吸気ポート145aは、吸気弁V7の運動により開閉される。排気ポート146aは、排気弁V8の運動により開閉される。シリンダ吸気通路部145の端部(吸入口)には吸気管148が接続されている。シリンダ排気通路部146の端部(排出口)には排気管149が接続されている。シリンダ排気通路部146の経路長をa4とする。
図21に示すように、排気管149は、シリンダヘッド140の下面に接続されている。下方から見て、排気管149の上流端部は、右リンク部材130Rと左リンク部材130Lの間に位置している。さらに、図20に示すように、左右方向から見て、排気管149の一部は、右リンク部材130Rおよび左リンク部材130Lと重なっている。したがって、排気管149は、右リンク部材130Rおよび左リンク部材130Lの間を通っている。
単気筒4ストロークエンジンユニット132は、実施形態1と同様に、点火プラグ、動弁機構、インジェクタ、スロットルバルブを備えている。また、単気筒4ストロークエンジンユニット132は、実施形態1と同様に、エンジン回転速度センサ、スロットル開度センサ等の各種センサを備えている。
上述したように、単気筒4ストロークエンジンユニット132は、エンジン本体133と、排気管149と、消音器150と、メイン触媒154と、上流酸素検出部材152とを備えている。排気管149と消音器150によって、排気通路部151(単一燃焼室用排気通路部)が構成される。消音器150は、大気に面する放出口150eを有する。排気通路部151は、シリンダ排気通路部146の下流端から放出口150eまで排ガスを流す。燃焼室144から放出口150eに至る経路を、排気経路156(図22を参照)とする。排気経路156は、シリンダ排気通路部146と排気通路部151とによって形成される。排気経路156は、排ガスが通過する空間である。
図22に示すように、排気管149の上流端部は、シリンダ排気通路部146に接続される。排気管149の下流端部は、消音器150に接続される。排気管149の途中には、触媒ユニット153が設けられている。排気管149の触媒ユニット153より上流の部分を、上流排気管149aとする。排気管149の触媒ユニット153より下流の部分を下流排気管149bとする。なお、図22では、簡略化のために排気管149を一直線状に描いているが、排気管149は一直線状ではない。
図19および図21に示すように、排気管149の大部分は、自動二輪車120の右部に設けられている。排気管149の上流端部は、自動二輪車120の左右方向の略中央部に位置している。図20に示すように、排気管149の一部は、クランク軸線Cr4の下方に位置する。排気管149は、2つの屈曲部を有する。2つの屈曲部のうち上流の屈曲部を、単に、上流の屈曲部という。2つの屈曲部のうち下流の屈曲部を、単に、下流の屈曲部という。上流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、上下方向に延びる方向から前後方向に延びる方向に変化させる。より具体的には、上流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、下向きから後下向きに変化させる。下流の屈曲部は、左右方向から見て、排ガスの流れ方向を、後下向きから後向きに変化させる。下流の屈曲部より下流の部分が、クランク軸線Cr4の下方に位置する。メイン触媒154はこの2つの屈曲部の間に配置されている。
消音器150には、排気管149の下流端から排出された排ガスが流入する。消音器150は、排気管149に接続されている。消音器150は、排ガスの脈動波を抑制するように構成されている。それにより、消音器150は、排ガスによって生じる音(排気音)の音量を低減できる。消音器150内には、複数の膨張室と、膨張室同士を連通する複数のパイプが設けられている。排気管149の下流端部は、消音器150の膨張室内に配置されている。消音器150の下流端には、大気に面する放出口150eが設けられている。図22に示すように、排気管149の下流端から放出口150eに至る排気経路の経路長をe4とする。消音器150を通過した排ガスは、放出口150eから大気へ放出される。図20に示すように、放出口150eは、クランク軸線Cr4よりも後方に位置する。
メイン触媒154は、排気管149(排気通路部151)内に配置されている。触媒ユニット153は、筒状のケーシング155と、触媒ユニット153とを有する。ケーシング155の上流端は、上流排気管149aに接続されている。ケーシング155の下流端は、下流排気管149bに接続されている。ケーシング155は、排気管149(排気通路部151)の一部を構成する。メイン触媒154は、ケーシング155の内部に固定されている。排ガスは、メイン触媒154を通過することで浄化される。メイン触媒154には、燃焼室144の排気ポート146aから排出された全ての排ガスが通過する。メイン触媒154は、排気経路156において、燃焼室144から排出された排ガスを最も浄化する。
メイン触媒154の材質は、実施形態1のメイン触媒39と同様である。メイン触媒154は、多孔構造を有している。メイン触媒154には、上流排気管149aの経路幅より十分に細い複数の孔が形成されている。図22に示すように、メイン触媒154の経路方向の長さをc4とする。メイン触媒154の経路方向に垂直な方向の最大幅をw4とする。メイン触媒154の長さc4は、メイン触媒154の最大幅w4より長い。
図22に示すように、ケーシング155は、触媒配置通路部155bと、上流通路部155aと、下流通路部155cとを有する。触媒配置通路部155bには、メイン触媒154が配置される。経路方向において、触媒配置通路部155bの上流端および下流端は、メイン触媒154の上流端および下流端とそれぞれ同じ位置である。触媒配置通路部155bの経路方向に直交する断面の面積はほぼ一定である。上流通路部155aは、触媒配置通路部155bの上流端に接続されている。下流通路部155cは、触媒配置通路部155bの上流端に接続されている。
上流通路部155aは、少なくとも一部が、テーパー状に形成されている。このテーパー部は、下流に向かって内径が大きくなっている。下流通路部155cは、少なくとも一部が、テーパー状に形成されている。このテーパー部は、下流に向かって内径が小さくなっている。触媒配置通路部155bの経路方向に直交する断面の面積をS4とする。上流通路部155aの少なくとも一部の経路方向に直交する断面の面積を面積S4よりも小さい。ここでの上流通路部155aの少なくとも一部には、上流通路部155aの上流端が含まれる。下流通路部155cの少なくとも一部の経路方向に直交する断面の面積は面積S4よりも小さい。ここでの下流通路部155cの少なくとも一部には、下流通路部155cの下流端が含まれる。
図20に示すように、メイン触媒154は、クランク軸線Cr4よりも前方に配置されている。つまり、左右方向から見て、メイン触媒154は、直線L7の前方に配置されている。上述したように、直線L7は、クランク軸線Cr4を通り、上下方向と平行に延びる直線である。当然ながら、メイン触媒154の上流端も、クランク軸線Cr4よりも前方に配置されている。また、左右方向から見て、メイン触媒154は、シリンダ軸線Cy4の前方(下方)に位置する。
図20に示すように、シリンダ軸線Cy4に直交し且つクランク軸線Cr4に直交する直線をL8とする。左右方向から見て、メイン触媒154は、直線L8の前方に位置する。
図22に示すように、排気通路部151(排気管149)の上流端からメイン触媒154の上流端までの経路長をb5とする。経路長b5は、上流排気管149aと触媒ユニット153の上流通路部155aからなる通路部の経路長である。言い換えると、経路長b5は、シリンダ排気通路部146の下流端からメイン触媒154の上流端までの経路長である。また、メイン触媒154の下流端から排気管149の下流端までの経路長をd5とする。経路長d5は、触媒ユニット153の下流通路部155cと下流排気管149bからなる通路部の経路長である。燃焼室144からメイン触媒154の上流端までの経路長は、a4+b5である。メイン触媒154の下流端から放出口150eまでの経路長は、d5+e4である。
メイン触媒154は、経路長a4+b5が、経路長d5+e4よりも短くなる位置に配置される。また、メイン触媒154は、経路長a4+b5が、経路長d5よりも短くなる位置に配置される。さらに、メイン触媒154は、経路長b5が、経路長d5よりも短くなる位置に配置される。
上流酸素検出部材152は、排気管149(排気通路部151)に配置されている。上流酸素検出部材152は、メイン触媒154よりも上流に配置される。上流酸素検出部材152は、排ガスに含まれる酸素濃度を検出するセンサである。上流酸素検出部材152の構造は、実施形態1の上流酸素検出部材と同様である。
図22に示すように、燃焼室144から上流酸素検出部材152までの経路長をh9とする。上流酸素検出部材152からメイン触媒154の上流端までの経路長をh10とする。上流酸素検出部材152は、経路長h9が経路長h10よりも長くなる位置に配置されている。
以上説明したように、実施形態4の自動二輪車120は、クランク軸線Cr4より前方にメイン触媒154を有する。それ以外にも実施形態1の自動二輪車1と同様の配置関係を有する。実施形態1と同様の配置関係については、実施形態1で述べた効果と同様の効果を奏する。
また、実施形態4の自動二輪車120においても、上述した変形例1の排気系の構成を適用することが可能であり、変形例1と同様の作用が得られる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。また、後述する変更例は適宜組み合わせて実施することができる。
上記実施形態1〜4において、触媒ユニット38、79、115、153のケーシング40、181、117、155と、上流排気管34a、75a、111a、149aとは、別々に形成された後に接合されている。しかし、触媒ユニット38、79、115、153のケーシング40、181、117、155と、上流排気管34a、75a、111a、149aとは、一体成形されていてもよい。
上記実施形態1〜4において、触媒ユニット38、79、115、153のケーシング40、181、117、155と、下流排気管34b、75b、111b、149bとは、別々に形成された後に接合されている。しかし、触媒ユニット38、79、115、153のケーシング40、181、117、155と、下流排気管34b、75b、111b、149bとは、一体成形されていてもよい。
上記実施形態1の排気管34の形状は、図1〜図3に示した形状に限定されない。また、消音器35の内部構造は、図5の模式図に示す構造に限定されない。上記実施形態2〜4の排気管75、111、149および消音器76、112、150についても同様である。
上記実施形態1〜4において、メイン触媒39、116、180、154及び消音器35、76、112、150は、自動二輪車1、50、80、120の左右方向中央より右方に配置されている。しかし、メイン触媒及び消音器は、自動二輪車の左右方向中央より左方に配置されていてもよい。なお、自動二輪車の左右方向中央とは、上下方向から見て、前輪の左右方向中央と後輪の左右方向中央を通る直線の位置である。
上記実施形態1〜4において、排気管34、75、111、149は、その一部が、クランク軸線Cr1〜Cr4の下方に位置している。しかし、排気管(単一燃焼室用排気通路部)は、その一部が、クランク軸線の上方に位置していてもよい。
上記実施形態1〜4において、メイン触媒39、180、116、154は、三元触媒である。しかし、本発明の単一燃焼室用メイン触媒は、三元触媒でなくてもよい。単一燃焼室用メイン触媒は、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のいずれか1つまたは2つを除去する触媒であってもよい。また、単一燃焼室用メイン触媒は、酸化還元触媒でなくてもよい。メイン触媒は、酸化または還元のいずれか一方だけで有害物質を除去する酸化触媒または還元触媒であってもよい。還元触媒の一例として、窒素酸化物を還元反応によって除去する触媒がある。この変形例は、上流サブ触媒200に適用してもよい。
上記実施形態1において、メイン触媒39は、経路方向の長さc1が、最大幅w1よりも大きい。上記実施形態2〜4のメイン触媒180、116、154についても同様である。しかし、本発明の単一燃焼室用メイン触媒は、経路方向の長さが、経路方向に垂直な方向の最大幅より短くてもよい。但し、本発明の単一燃焼室用メイン触媒は、排気経路において、排ガスを最も浄化するように構成される。ここでの排気経路とは、燃焼室から、大気に面する放出口に至る経路である。
本発明の単一燃焼室用メイン触媒は、複数ピースの触媒が近接して配置された構成としてもよい。各ピースは、基材と触媒物質を有する。ここで、近接とは、各ピースの経路方向の長さよりも、ピース同士の離間距離が短い状態のことである。複数ピースの基材の組成は、一種類でも、複数種類でもよい。複数ピースの触媒の触媒物質の貴金属は、一種類でも、複数種類でもよい。触媒物質の担体の組成は、一種類でも、複数種類でもよい。この変形例は、上流サブ触媒200に適用してもよい。
上記実施形態1の変形例1では、上流サブ触媒200は、多孔構造を有しない。しかし、上流サブ触媒200は、多孔構造を有していてもよい。上流サブ触媒200が多孔構造であることにより、以下の効果が得られる。多孔構造の上流サブ触媒200は、排ガスの流れの抵抗となる。それにより、上流サブ触媒200の上流で、排ガスの流速を低下させることができる。また、多孔構造の上流サブ触媒200は、圧力脈動の反射を生じさせる。そのため、上流サブ触媒200の上流において、燃焼室29から排出された排ガスとこの反射波が衝突する。これにより、上流サブ触媒200の上流において、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。また、この衝突によって、上流サブ触媒200の上流において、排ガスの流速をより低下させることができる。
よって、メイン触媒39の上流において、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。さらに、メイン触媒39の上流において、排ガスの流速をより低下させることができる。
したがって、上流酸素検出部材37は、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材37は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより一層安定的に検出することができる。
メイン触媒39、180、116、154の配置位置は、各図に示された位置に限定されない。但し、メイン触媒39、180、116、154の少なくとも一部は、クランク軸線Cr1〜Cr4よりも前方に配置される。この「少なくとも一部」は、メイン触媒39、180、116、154の上流端を含む。以下、メイン触媒の配置位置の具体的な変更例を説明する。
上記実施形態1〜4において、メイン触媒39、180、116、154は、排気管34、75、111、149に配置されている。しかし、メイン触媒は、シリンダ部22、63、99、137のシリンダ排気通路部31、72、108、146に配置されていてもよい。
上記実施形態1〜4において、メイン触媒39、180、116、154は、全体が、クランク軸線Cr1〜Cr4よりも前方に配置されている。しかし、メイン触媒は、少なくとも一部が、クランク軸線Cr1〜Cr4よりも前方に配置されていればよい。例えば図23に示すように、メイン触媒180の一部だけが、クランク軸線Cr2よりも前方に配置されていてもよい。図23のメイン触媒180は排気管375に配置されている。
上記実施形態1〜4のメイン触媒39、180、116、154は、左右方向から見て、全体が直線L2、L4、L6、L8の前方に配置されている。しかし、左右方向から見て、メイン触媒の少なくとも一部が、直線L2、L4、L6、L8の前方に配置されていてもよい。また、左右方向から見て、メイン触媒の少なくとも一部が、直線L2、L4、L6、L8の後方に配置されていてもよい。
上記実施形態2のメイン触媒180は、左右方向から見て、全体がシリンダ軸線Cy2の前方に配置されている。しかし、メイン触媒180の一部が、左右方向から見て、シリンダ軸線Cy2の後方に配置されていてもよい。上記実施形態2のシリンダ軸線Cy2は、上下方向に延びている。
上記実施形態1のメイン触媒39は、経路長a1+b1が、経路長d1+e1よりも短くなる位置に配置される。しかし、メイン触媒39は、経路長a1+b1が、経路長d1+e1よりも長くなる位置に配置されてもよい。なお、経路長a1+b1は、燃焼室29からメイン触媒39の上流端までの経路長である。経路長d1+e1は、メイン触媒39の下流端から放出口35eまでの経路長である。この変形例は、上記実施形態2〜4のメイン触媒180、116、154に適用してもよい。
上記実施形態1のメイン触媒39は、経路長a1+b1が、経路長d1よりも短くなる位置に配置される。しかし、メイン触媒39は、経路長a1+b1が、経路長d1よりも長くなる位置に配置されてもよい。なお、経路長a1+b1は、燃焼室29からメイン触媒39の上流端までの経路長である。経路長d1は、メイン触媒39の下流端から排気管34の下流端までの経路長である。なお、この変形例は、上記実施形態2〜4のメイン触媒180、116、154に適用してもよい。
上記実施形態1のメイン触媒39は、経路長b1が、経路長d1よりも短くなる位置に配置される。しかし、メイン触媒39は、経路長b1が、経路長d1よりも長くなる位置に配置されてもよい。なお、経路長b1は、排気管34の上流端からメイン触媒39の上流端までの経路長である。経路長d1は、メイン触媒39の下流端から排気管34の下流端までの経路長である。なお、この変形例は、上記実施形態2〜4のメイン触媒180、116、154に適用してもよい。
上記実施形態の変形例1の上流サブ触媒200は、メイン触媒39より上流に設けられている。具体的には、上流サブ触媒200は、上流排気管34aに設けられている。しかし、メイン触媒39より上流に設けられる上流サブ触媒(単一燃焼室用上流サブ触媒)の配置位置は、上流排気管34aに限定されない。上流サブ触媒は、シリンダ排気通路部31に設けられていてもよい。また、上流サブ触媒は、触媒ユニット38の上流通路部40aに設けられていてもよい。この変形例は、上記実施形態2〜4に適用してもよい。
メイン触媒の下流に、下流サブ触媒(単一燃焼室用下流サブ触媒)が設けられていてもよい。下流サブ触媒は、上記実施形態の変形例1の上流サブ触媒200と同様の構成であってもよい。また、下流サブ触媒は、多孔構造であってもよい。例えば図24(d)および図24(e)に示すように、排気管34に、下流サブ触媒400が設けられていてもよい。また、下流サブ触媒は、消音器35内に設けられてもよい。また、下流サブ触媒は、排気管34の下流端より下流に設けられてもよい。また、メイン触媒がシリンダ排気通路部に設けられる場合、下流サブ触媒はシリンダ排気通路部に設けられてもよい。これら変形例は、上記実施形態2〜4に適用してもよい。また、下流サブ触媒を設ける場合、メイン触媒の上流に上流サブ触媒200を設けてもよい。
下流サブ触媒が多孔構造でない場合、以下の効果が得られる。下流サブ触媒は、メイン触媒に比べて、排ガスの流れに対する抵抗が小さい。また、この場合、下流サブ触媒は、メイン触媒に比べて、排ガスによる圧力脈動の反射を生じさせる作用が小さい。そのため、下流サブ触媒を設けても、排ガスの流れに大きな影響を与えない。よって、メイン触媒と上流酸素検出部材の配置によって得られる効果を妨げない。
下流サブ触媒が多孔構造の場合、以下の効果が得られる。多孔構造の下流サブ触媒は、排ガスの流れの抵抗となる。それにより、下流サブ触媒の上流で、排ガスの流速を低下させることができる。また、多孔構造の下流サブ触媒は、圧力脈動の反射を生じさせる。そのため、下流サブ触媒の上流において、燃焼室から排出された排ガスとこの反射波が衝突する。これにより、下流サブ触媒の上流において、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。また、この衝突によって、下流サブ触媒の上流において、排ガスの流速をより低下させることができる。
上流酸素検出部材は、下流サブ触媒より上流に配置される。したがって、上流酸素検出部材は、より酸化が進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより一層安定的に検出することができる。
メイン触媒の下流に下流サブ触媒が設けられる場合、メイン触媒は、排気経路において、燃焼室から排出された排ガスを最も浄化する。メイン触媒と下流サブ触媒のそれぞれの浄化の寄与度は、変形例1で述べた測定方法で測定できる。変形例1で述べた測定方法における「フロント触媒」をメイン触媒とし、「リア触媒」を「下流サブ触媒」とする。
メイン触媒の下流に下流サブ触媒が設けられる場合、下流サブ触媒の浄化能力は、メイン触媒の浄化能力より小さくても大きくてもよい。つまり、下流サブ触媒だけを設けた場合の排ガスの浄化率は、メイン触媒だけを設けた場合の排ガスの浄化率より小さくても大きくてもよい。
メイン触媒の下流に下流サブ触媒が設けられる場合、メイン触媒は下流サブ触媒よりも劣化の進行が速い。そのため、累積走行距離が長くなると、メイン触媒と下流サブ触媒の浄化の寄与度の大小関係が逆転する場合がある。本発明の単一燃焼室用メイン触媒は、排気経路において、燃焼室から排出された排ガスを最も浄化する。これは、上述したような逆転現象が生じる前の状態のことである。つまり、累積走行距離が所定距離(例えば1000km)に到達していない状態のことである。
本発明において、単気筒4ストロークエンジンユニットに設けられる触媒の数は、1つであっても複数であってもよい。触媒が複数の場合には、排気経路において、燃焼室から排出された排ガスを最も浄化する触媒が、本発明の単一燃焼室用メイン触媒に相当する。触媒が1つの場合は、この1つの触媒が、本発明の単一燃焼室用メイン触媒である。メイン触媒の上流と下流に上流サブ触媒と下流サブ触媒を設けてもよい。メイン触媒より上流に2つ以上の上流サブ触媒を設けてもよい。また、メイン触媒より下流に2つ以上の下流サブ触媒を設けてもよい。
上流酸素検出部材37、78、114、152(単一燃焼室用上流酸素検出部材)の配置位置は、各図に示された位置に限定されない。但し、上流酸素検出部材37、78、114、152は、メイン触媒39、180、116、154より上流に配置される。それに加えて、上流酸素検出部材37、78、114、152は、経路長h1、h3、h5、h7、h9が、それぞれ、経路長h2、h4、h6、h8、h10よりも長くなる位置に配置される。以下、上流酸素検出部材の配置位置の具体的な変更例を説明する。
上記実施形態1〜4において、上流酸素検出部材37、78、114、152は、排気管34、75、111、149、234に配置されている。しかし、上流酸素検出部材は、シリンダ部22、63、99、137のシリンダ排気通路部31、72、108、146に配置されてもよい。
変形例1の上流酸素検出部材37は、図24(b)と同様に、上流サブ触媒200より上流に配置されている。しかし、メイン触媒39の上流に上流サブ触媒200を設けた場合、上流酸素検出部材37の配置位置は、以下の位置であってもよい。例えば図24(a)に示すように、上流酸素検出部材37は、上流サブ触媒200より下流に設けられてもよい。また、例えば図24(c)に示すように、上流サブ触媒200の上流と下流に2つの上流酸素検出部材37A、37Bを設けてもよい。上流酸素検出部材37Aは、上流サブ触媒200の上流に設けられる。上流酸素検出部材37Bは、上流サブ触媒200より下流でメイン触媒39より上流に設けられる。
例えば図24(b)に示すように、上流酸素検出部材37が、上流サブ触媒200より上流に設けられた場合、以下の効果が得られる。上流サブ触媒が多孔構造の場合、上流サブ触媒200の上流において、排ガス中の未燃燃料と酸素が混ざりやすくなる。さらに、上流サブ触媒200の上流において、排ガスの流速が低下する。そのため、上流酸素検出部材37は、酸化がより進んだ状態の排ガスを検出対象とすることができる。言い換えると、上流酸素検出部材37は、酸素濃度がより安定した排ガスを検出対象とすることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより一層安定的に検出することができる。
上記実施形態1〜4において、上流酸素検出部材37、78、114、152は、メイン触媒39、180、116、154の上流に1つだけ配置されている。しかし、本発明のビークルに設けられる単一燃焼室用上流酸素検出部材の数は、2つ以上であってもよい。
メイン触媒の下流に、少なくとも1つの下流酸素検出部材(単一燃焼室用下流酸素検出部材)が設けられていてもよい。下流酸素検出部材の具体的な構成は、上記実施形態1の上流酸素検出部材37と同様である。例えば図24(a)、図24(b)、図24(d)、図24(e)に示すように、下流酸素検出部材437は、排気管34に設けられていてもよい。また、下流酸素検出部材は、消音器35に設けられていてもよい。下流酸素検出部材は、排気管34の下流端より下流の排ガスを検出対象とするように設けられていてもよい。また、メイン触媒がシリンダ排気通路部に設けられる場合、下流酸素検出部材はシリンダ排気通路部に設けられてもよい。これらの変形例は、上記実施形態2〜4および変形例1に適用してもよい。
メイン触媒39の下流に下流サブ触媒400を設けた場合、下流酸素検出部材437の配置位置は、以下の2つの位置のいずれであってもよい。例えば図24(d)に示すように、下流酸素検出部材437は、メイン触媒39より下流で下流サブ触媒400より上流に設けられてもよい。また、例えば図24(e)に示すように、下流酸素検出部材437は、下流サブ触媒400より下流に設けられてもよい。また、下流サブ触媒400の上流と下流にそれぞれ下流酸素検出部材を設けてもよい。
メイン触媒より下流に下流酸素検出部材が設けられる場合、電子制御ユニット(制御装置)は、下流酸素検出部材の信号を処理する。電子制御ユニット(制御装置)は、下流酸素検出部材の信号に基づいて、メイン触媒の浄化能力を判定してもよい。また、電子制御ユニット(制御装置)は、上流酸素検出部材と下流酸素検出部材の信号に基づいて、メイン触媒の浄化能力を判定してもよい。また、電子制御ユニット(制御装置)は、上流酸素検出部材と下流酸素検出部材の信号に基づいて、燃焼制御を行ってもよい。
下流酸素検出部材の信号に基づいてメイン触媒の浄化能力を判定する具体的な方法の一例を説明する。まず、一定期間(数秒間)、混合ガスがリッチとリーンを繰り返すように燃料噴射量を制御する。そして、燃料噴射量の変化に対する、下流酸素検出部材の信号の変化の遅れを検出する。下流酸素検出部材の信号の変化の遅れが大きい場合に、メイン触媒の浄化能力が所定のレベルより低下したと判定する。この場合、電子制御ユニットから表示装置に信号が送られる。そして、表示装置の警告灯(図示せず)が点灯される。これにより、乗員にメイン触媒の交換を促すことができる。
このように、メイン触媒の下流に配置された下流酸素検出部材の信号を用いることで、メイン触媒の劣化を検知できる。そのため、メイン触媒の劣化が所定のレベルに達する前に報知して、メイン触媒の交換を促すことができる。それにより、ビークルの排気浄化に関する初期性能をより長期間維持することができる。
上流酸素検出部材と下流酸素検出部材の信号に基づいてメイン触媒の浄化能力を判定する具体的な方法の一例を説明する。例えば、上流酸素検出部材の信号の変化と下流酸素検出部材の信号の変化を比較して、メイン触媒の浄化能力を判定してもよい。メイン触媒の上流と下流に配置された2つの酸素検出部材の信号を使うことで、メイン触媒の劣化の程度をより精度よく検出できる。そのため、下流酸素検出部材の信号だけを使ってメイン触媒の劣化を判定する場合に比べて、より適切なタイミングで単一燃焼室用メイン触媒の交換を促すことができる。よって、車両の排気浄化性能に関する初期性能を維持しつつ、1つのメイン触媒をより長期間使用することが可能となる。
上流酸素検出部材と下流酸素検出部材の信号に基づいて燃焼制御を行う具体的な方法の一例を説明する。まず、上記実施形態1と同様に、上流酸素検出部材37の信号に基づいて基本燃料噴射量を補正して、インジェクタ48から燃料を噴射させる。この燃料の燃焼によって発生する排ガスを下流酸素検出部材で検知する。そして、下流酸素検出部材の信号に基づいて燃料噴射量を補正する。これにより、目標空燃比に対する混合ガスの空燃比のずれをより低減できる。
メイン触媒の上流と下流に配置された2つの酸素検出部材の信号を用いることで、メイン触媒による実際の浄化の状況を把握できる。そのため、2つの酸素検出部材の信号に基づいて、燃料制御を行った場合には、燃料制御の精度を向上できる。また、上流酸素検出部材は、排ガス中の酸素濃度を安定的に検出できる。したがって、燃料制御の精度をより一層向上できる。それにより、メイン触媒の劣化の進行を遅らせることができるため、ビークルの排気浄化に関する初期性能をより長期間維持することができる。
上記実施形態1では、上流酸素検出部材37の信号に基づいて、点火タイミングおよび燃料噴射量を制御する。この構成は、上記実施形態2〜4についても同様である。しかし、上流酸素検出部材37の信号に基づく制御処理は、特に制限されるものではなく、点火タイミングおよび燃料噴射量のうちの一方のみであってもよい。また、上流酸素検出部材37の信号に基づく制御処理は、上記以外の制御処理を含んでいてもよい。
上流酸素検出部材37、78、114、152は、ヒータを内蔵していてもよい。上流酸素検出部材37、78、114、152の検出部は、高温に加熱されて活性化状態となったときに、酸素濃度を検知できる。そのため、上流酸素検出部材37、78、114、152がヒータを内蔵していると、運転開始と同時にヒータにより検出部を加熱することで、酸素検出の開始を早めることができる。メイン触媒より下流に下流酸素検出部材を設ける場合、下流酸素検出部材にこの変形例を適用してもよい。
排気管のメイン触媒より上流の少なくとも一部は、多重管で構成されていてもよい。多重管は、内管と、内管を覆う少なくとも1つの外管とを有する。図25は、排気管534のメイン触媒より上流の少なくとも一部が、二重管500で構成された一例を示す。例えば図25に示すように、排気管534のメイン触媒より上流の少なくとも一部は、二重管で構成されていてもよい。二重管500は、内管501と、内管501を覆う外管502とを含む。図25では、内管501と外管502は、両端部のみ互いに接触している。多重管の内管と外管は、両端部以外の部分で接触していてもよい。例えば、屈曲部において、内管と外管が接触していてもよい。接触している面積は、接触していない面積より小さいことが好ましい。また、内管と外管は全体的に接触していてもよい。排気管が多重管を有する場合、上流酸素検出部材は多重管の途中もしくは多重管より下流に配置することが好ましい。多重管を設けることで、排ガスの温度が低下するのを抑制できる。それにより、エンジン始動時に、上流酸素検出部材をより早期に活性化温度まで上昇させることができる。したがって、排ガス中の酸素濃度をより安定的に検出することができる。
例えば図26に示すように、触媒配置通路部40bの外面の少なくとも一部は、触媒プロテクター600で覆われていてもよい。触媒プロテクター600は、略円筒状に形成されている。触媒プロテクター600を設けることで、触媒配置通路部40bおよびメイン触媒39を保護できる。さらに、触媒プロテクター600を設けることで、外観性を向上できる。この変形例は、上記実施形態2〜4に適用してもよい。
上記実施形態1〜4において、エンジン駆動時に排気経路41、182、118、156を流れるガスは、燃焼室29、70、106、144から排出された排ガスだけである。しかし、本発明の単気筒4ストロークエンジンユニットは、排気経路に空気を供給する二次空気供給機構を備えていてもよい。二次空気供給機構の具体的な構成は、公知の構成が採用される。二次空気供給機構は、エアポンプによって強制的に排気経路に空気を供給する構成であってもよい。また、二次空気供給機構は、排気経路の負圧によって空気を排気経路に引き込む構成であってもよい。この場合、二次空気供給機構は、排ガスによる圧力脈動に応じて開閉するリード弁を備える。二次空気供給機構を設ける場合、上流酸素検出部材の配置位置は、空気が流入する位置よりも上流に設けても下流に設けてもよい。
上記実施形態1〜4において、燃焼室29、70、106、144に燃料を供給するために、インジェクタが用いられている。燃焼室に燃料を供給する燃料供給装置は、インジェクタに限らない。例えば、負圧により燃焼室に燃料を供給する燃料供給装置を設けてもよい。
上記実施形態1〜4において、1つの燃焼室29、70、106、144に対して、排気ポート31a、72a、108a、146aは1つだけ設けられている。しかし、1つの燃焼室に対して複数の排気ポートが設けられていてもよい。例えば、可変バルブ機構を備える場合がこの変形例に該当する。ただし、複数の排気ポートから延びる排気経路は、メイン触媒よりも上流で集合する。複数の排気ポートから延びる排気経路は、シリンダ部において集合することが好ましい。
本発明の燃焼室は、主燃焼室と、主燃焼室につながる副燃焼室とを有する構成であってもよい。この場合、主燃焼室と副燃焼室とによって、1つの燃焼室が形成される。
上記実施形態1〜4において、燃焼室29、70、106、144は、全体が、クランク軸線Cr1、Cr2、Cr3、Cr4より前方に位置している。しかし、本発明の燃焼室は、少なくとも一部が、クランク軸線より前方に位置していればよい。つまり、燃焼室の一部が、クランク軸線より後方に位置していてもよい。この変形例は、シリンダ軸線が上下方向に延びる場合に実現可能である。
上記実施形態1〜4において、クランクケース本体23、64、100、138と、シリンダボディ24、65、101、139とは、別体である。しかし、クランクケース本体とシリンダボディとは、一体成形されていてもよい。また、上記実施形態1〜4において、シリンダボディ24、65、101、139と、シリンダヘッド25、66、102、140と、ヘッドカバー26、67、103、141とは、別体である。しかし、シリンダボディと、シリンダヘッドと、ヘッドカバーのいずれか2つまたは3つが一体成形されていてもよい。
上記実施形態1〜4では、単気筒4ストロークエンジンユニットを備えたビークルとして、自動二輪車を例示した。しかし、本発明のビークルは、単気筒4ストロークエンジンユニットの動力で移動するビークルであれば、どのようなビークルであってもよい。本発明のビークルは、自動二輪車以外の鞍乗型車両であってもよい。鞍乗型車両とは、乗員が鞍にまたがるような状態で乗車する車両全般を指す。鞍乗型車両には、自動二輪車、三輪車、四輪バギー(ATV:All Terrain Vehicle(全地形型車両))、水上バイク、スノーモービル等が含まれる。本発明のビークルは、鞍乗型車両でなくてもよい。また、本発明のビークルは、運転者が乗車しないものであってもよい。また、本発明のビークルは、人を乗せずに走行可能なものであってもよい。これらの場合、ビークルの前方向とは、ビークルの前進方向のことである。
上記実施形態3、4の単気筒4ストロークエンジンユニット93、132は、ユニットスイングタイプである。エンジン本体94、133は車体フレーム81、121に対して揺動可能に設置されている。そのため、走行状況によって、メイン触媒116、154に対するクランク軸線Cr3、Cr4の位置は変化する。本明細書および本発明において、メイン触媒がクランク軸線の前方に位置するとは、エンジン本体が可動範囲内のいずれかの位置のときにメイン触媒がクランク軸の前方に位置することをいう。これ以外の位置関係についても、エンジン本体の可動範囲内のいずれかにおいて実現すればよい。
本明細書および本発明において、メイン触媒の上流端とは、メイン触媒において燃焼室からの経路長が最も短くなる端を意味する。メイン触媒の下流端とは、メイン触媒において燃焼室からの経路長が最も長くなる端を意味する。メイン触媒以外の要素の上流端および下流端についても同様の定義が適用される。
本明細書および本発明において、通路部とは、経路を囲んで経路を形成する壁体等を意味し、経路とは対象が通過する空間を意味する。排気通路部とは、排気経路を囲んで排気経路を形成する壁体等を意味する。なお、排気経路とは、排気が通過する空間を意味する。
本明細書および本発明において、排気経路の経路長とは、排気経路の真ん中のラインの経路長を言う。また、消音器の膨張室の経路長は、膨張室の流入口の真ん中から膨張室の流出口の真ん中を最短で結んだ経路の長さを意味する。
本明細書において、経路方向とは、排気経路の真ん中を通る経路の方向で、且つ、排ガスが流れる方向を意味する。
本明細書において、通路部の経路方向に直交する断面の面積という表現が用いられている。また、本明細書および本発明において、通路部の排ガスの流れる方向に直交する断面の面積という表現が用いられている。ここでの通路部の断面の面積は、通路部の内周面の面積であってもよく、通路部の外周面の面積であってもよい。
また、本明細書および本発明において、部材または直線がA方向に延びるとは、部材または直線がA方向と平行に配置されている場合だけを示すのではない。部材または直線がA方向に延びるとは、部材または直線が、A方向に対して±45°の範囲で傾斜している場合を含む。なお、A方向は、特定の方向を指すものではない。A方向を、水平方向や前後方向に置き換えることができる。
本明細書のクランクケース本体23、64、100、138は、本願の基礎出願の明細書中のクランクケース部18、61、95、135にそれぞれ相当する。本明細書のシリンダボディ24、65、101、139は、上述の基礎出願の明細書中のシリンダ部24、62、96、136にそれぞれ相当する。本明細書のエンジン本体20、61、94、133は、上述の基礎出願の明細書中のエンジン20、60、93、131にそれぞれ相当する。本明細書のシリンダ排気通路部31は、上述の基礎出願の明細書中の排ガスの通路P2を形成する通路部に相当する。
本発明は、本明細書の開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良および/または変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきである。クレームの限定事項は、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。そのような実施形態は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、本明細書において、「好ましくは」や「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」や「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味するものである。