JP6200747B2 - ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂発泡シート、及び、容器 - Google Patents
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また、消臭剤としてのハイドロタルサイト焼成物及びシリカ系消臭剤を、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂に均一に分散させるべく、予め、ハイドロタルサイト焼成物及びシリカ系消臭剤を溶融物よりも高濃度にポリスチレン系樹脂組成物に含有させ、このポリスチレン系樹脂組成物を用いて溶融物を作製することが行われている。
ハイドロタルサイト焼成物と、シリカ系消臭剤と、脂肪酸金属塩と、グリセリン脂肪酸エステルと、ポリスチレン系樹脂とを含有しており、
前記ハイドロタルサイト焼成物の含有割合が2.5質量%以上15質量%未満であり、
前記シリカ系消臭剤の含有割合が2.5質量%以上15質量%未満であり、
前記脂肪酸金属塩の含有割合が0.2質量%以上5.0質量%未満であり、
前記グリセリン脂肪酸エステルの含有割合が0.2質量%以上5.0質量%未満であることを特徴とするポリスチレン系樹脂組成物を提供する。
前記第2樹脂組成物は、前記ポリスチレン系樹脂及び前記ポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対して、前記第1樹脂組成物を0.5〜20質量部混合して得られるポリスチレン系樹脂発泡シートを提供する。
本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、ハイドロタルサイト焼成物及びシリカ系消臭剤を、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂に混合させるために用いられるポリスチレン系樹脂組成物である。
また、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、ハイドロタルサイト焼成物と、シリカ系消臭剤と、脂肪酸金属塩と、グリセリン脂肪酸エステルと、ポリスチレン系樹脂とを含有している。また、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂から臭気の元になる成分を除去することが出来る点において、ポリスチレン系樹脂シートに含有させるポリフェニレンエーテル系樹脂の一部を含有してもよい。さらに、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、添加剤を含有してもよい。前記添加剤としては、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等があげられる。
M1 8-xM2 x(OH)16CO2・nH2O
ここで、M1 としては、Mg2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Li2+、Ni2+、Co2+、Cu2+の何れかであり、M2 としては、Al3+、Fe3+、Mn3+の何れかであり、xは2〜5が好ましく、nは0以上の整数である。
該ハイドロタルサイト焼成物としては、例えば、下記一般式で表されるものを採用することが好ましい。
Mg0.7Al0.3O1.15
該ハイドロタルサイト焼成物は、粉末X線回折装置(株式会社リガク社製、RADシステム)で2θ=10〜70度で分析した粉末X線回折パターンに特徴的な3つのピークを示すものであり、図3に示すようなチャート結果を示す物質である。
従って、ポリスチレン系樹脂組成物の製造を容易にさせ得る点において本実施形態において採用する前記焼成物の粒径(体積平均径)は、1〜100μmとすることが好ましく、2〜20μmとすることがより好ましい。
前記シリカ系消臭剤は、本実施形態におけるポリスチレン系樹脂組成物に2.5質量%以上15質量%未満の割合で含有されていることが重要であり、5質量%以上13質量%未満の割合で含有されていることが好ましい。
前記脂肪酸金属塩は、本実施形態におけるポリスチレン系樹脂組成物に0.2質量%以上5.0質量%未満の割合で含有されていることが重要であり、0.5質量%以上4.0質量%未満の割合で含有されていることが好ましい。
また、前記脂肪酸金属塩の融点は、溶融混練時に消臭剤を分散しやすくするという観点から、200℃以下が好ましく、80〜150℃がより好ましい。
前記グリセリン脂肪酸エステルは、本実施形態におけるポリスチレン系樹脂組成物に0.2質量%以上5.0質量%未満の割合で含有されていることが重要であり、0.5質量%以上4.0質量%未満の割合で含有されていることが好ましい。
前記ポリスチレン系樹脂は、本実施形態におけるポリスチレン系樹脂組成物に30質量%以上90質量%以下の割合で含有されていることが好ましく、50質量%以上80質量%以下の割合で含有されていることがより好ましい。
また、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、ハイドロタルサイト焼成物と、シリカ系消臭剤と、脂肪酸金属塩と、グリセリン脂肪酸エステルとを混合機で予め均一に混合した後に、押出機などに投入しポリスチレン系樹脂と共に溶融混錬後に造粒して得てもよい。前記混合機としては、タンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどが挙げられる。
本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物は、マスターバッチとしても用いることができる。
本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物たる第1樹脂組成物と、ポリスチレン系樹脂と、ポリフェニレンエーテル系樹脂とを混合することにより第2樹脂組成物を得、該第2樹脂組成物を押出発泡して得られるポリスチレン系樹脂発泡シートである。
前記第2樹脂組成物は、前記ポリスチレン系樹脂及び前記ポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対して、前記第1樹脂組成物を0.5〜20質量部混合して得られる樹脂組成物である。
本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、連続気泡率に係る上記のような特性を有することで内部の臭気成分を利用者に感じさせない程度に徐々に放散させることができ、臭気の抑制効果に特に優れるという利点を有する。
前記連続気泡率は、ASTM D−2856−87に準拠して1−1/2−1気圧法にて測定することができる。
具体的には、空気比較式比重計(東京サイエンス(株)社製)を用いて測定される、発泡シートの試験体の体積Vから、下記式より算出することができる。
連続気泡率(%)=(V0 −V)/V0 ×100
尚、上記式において、Vは上記した方法で測定される試験体の体積(cm3 )、V0 は測定に使用した試験体の外形寸法から計算される試験体の見掛けの体積(cm3 )である。
なお、ポリスチレン系樹脂発泡シートの平均気泡径は、ASTM D2842−69に記載されている方法に準拠して測定することができる。即ち、試験用の発泡シート試料を、押出方向に直交する平面に沿って切断し、また、押出方向及び厚み方向に広がる平面に沿って切断し、それぞれの切断面厚み方向の両外側1/10の部分を除いた部分につき、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製「S−3000N」)を用いて17〜20倍、必要に応じて最大200倍に拡大して撮影する。撮影した4つの画像をそれぞれA4用紙上に印刷して、MD方向(押出方向)、TD方向(押出方向に直交し且つシート面に沿った方向)、VD方向(厚み方向)の各方向に沿った平行な線分(長さ60mm)を各A4用紙につき6ヶ所引く。斯かる線分に重なる気泡の数から、各方向における気泡の平均弦長(t)を下記式(1)により算出する。ただし、線分は、できる限り気泡が接点でのみ接しないように引き、接してしまった場合は、気泡数に含めることとする。
平均弦長(t)=60/(気泡数×写真の倍率)・・・(1)
そして、下記式(2)により、各方向における気泡径を算出する。
D=t/0.616・・・(2)
更に、上記の如くして測定した各気泡径(DMD、DTD、DVD)に基づいて、平均気泡径を下記式(3)により算出する。
平均気泡径(mm)=(DMD+DTD+DVD)/3・・・(3)
なお、試験用の発泡シート試料の厚みが薄く、VD方向に60mm長さ分の線分を引くことができない場合は、30mm又は20mm長さの線分に重なる気泡数を数えて、60mm長さ線分における気泡数に換算する。
また、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、平均気泡径を450μm以下とした場合には、気泡径が大きすぎず、外観が良好となり、また、平滑性や光沢性にも優れ、さらに、割れ難くなるという効果を奏する。
例示すれば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジクロルフェニレン−1,4−エーテル)等が本実施形態において用いられ得る。
また、重合度nは、通常10〜5000の範囲内である。
なお、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性の向上に有効なものであり、ポリスチレン系樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下となる割合で含有させるのは、上記範囲未満では、ポリフェニレンエーテル系樹脂の添加効果が十分に発揮されないおそれを有し、逆に上記範囲を超えてポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させても、それ以上にポリフェニレンエーテル系樹脂の添加効果が発揮されないおそれを有するためである。
また、一般的にはポリスチレン系樹脂に比べて高価であるために上記範囲を超えてポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させると材料コストの観点においても問題を生じさせるおそれを有する。
一方で、上記のようにポリフェニレンエーテル系樹脂をブレンドする方法は、単に製品に耐熱性を付与することができるばかりでなく、優れた靱性を付与することができる点においても優れている。
本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートは、前記押出機における前記溶融物の最高到達温度が340℃以下である場合には、臭気成分の含有量、特にノルマル酪酸の含有量が低減され、臭気が抑制されるという利点を有する。また、前記押出機における前記溶融物の最高到達温度が220℃以上である場合には、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂及び前記ポリスチレン系樹脂が十分に溶融混合されて、得られる第2樹脂組成物の発泡性が高まるという利点を有する。
すなわち、前記第2樹脂組成物は、前記ポリスチレン系樹脂及び前記ポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対して、前記第1樹脂組成物を0.5〜20質量部混合して得られる。
前記発泡剤とともに併用される気泡調整剤としては、タルク、シリカ等の無機粉末や、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムとの反応混合物等が挙げられる。気泡調整剤の添加量は、前記ポリスチレン系樹脂と前記ポリフェニレンエーテル樹脂との合計100質量部に対して0.5〜5質量部であることが好ましい。
なお、前記添加剤としては、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等があげられる。
次いで、該発泡剤含有溶融物を第1押出機から第2押出機に供給する。そして、前記発泡剤含有溶融物を冷却して前記第2押出機から円柱状となって押し出される発泡剤含有溶融物の温度(「樹脂温度」ともいう。)について、シリンダーの断面における中心部から外周部までの温度の最高温度から最低温度を引いた値(以下、「樹脂温度の高低差」ともいう。)を、好ましくは、20℃以下にし、シリンダーの外周部から中心部に向かって該外周部からシリンダーの内径の1/4の深さの位置の温度を、好ましくは、得られる発泡シートのガラス転移温度+30℃から該ガラス転移温度+70℃までの範囲内にし、サーキュラーダイを用いて前記発泡剤含有溶融物を押出し発泡させ筒状の発泡体を形成させる。
該樹脂温度は、具体的には、第2押出機の出口に設けられ且つ径方向に孔が穿設されたブレーカープレートの前記孔にサーミスターを通し、サーミスターを少しずつ(5mmずつ)移動させて断面における中心部から外周部までの温度分布を測定する。
なお、樹脂温度の高低差を20℃以下にさせる具体的な方法としては、スクリューの先端部において発泡剤含有溶融物の混練性を高める方法が挙げられる。
例えば、一般的にスクリューの先端面は、中央部を突出させた円錐形状となっているがこの先端面に溝や突起を設けてブレーカープレートに向けて流動する発泡剤含有溶融物を前記突起や前記溝によって撹拌させるようにすればよい。
より具体的には、第2押出機のスクリューの先端部を外周部から中心に向けて延びる複数本の溝が放射状に設けられた形状として、シリンダーの中心部から外周部までの発泡剤含有溶融物の混練性を高めることにより、樹脂温度の高低差を小さくすることが可能である。ところで、第2押出機は、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、及び発泡剤を第1押出機で加熱し溶融混練して得られた発泡剤含有溶融物をシリンダーの壁面やスクリューと接触させることにより、該発泡剤含有溶融物を発泡させるのに適した溶融張力を示す温度にまで冷却させるものである。したがって、第2押出機内の発泡剤含有溶融物が急激に冷却された場合、特に、該発泡剤含有溶融物が第2押出機の出口側で急激に冷却された場合には、前記スクリューの先端部での混練性を高めても、樹脂温度の高低差が十分に小さくならないおそれがある。よって、第2押出機は、第1押出機側から金型側にかけて発泡剤含有溶融物が緩やかに冷却されるように温度設定することが好ましい。
さらに、該発泡体の内外に設置した空冷リングで押出直後の該発泡体にエアーを吹き付けて冷却し、得られた筒状の発泡体を押出方向に沿って切断し、ポリスチレン系樹脂発泡シート(発泡シート)を作製する。
その機構については明確に把握されているわけではないが、該第1押出機内での温度が340℃以下となるように加熱した場合には、ポリスチレンの熱による分解が抑制されて臭気成分が生成され難くなるからであると考えられる。
また、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法では、前記のように、シリンダーの外周部から中心部に向かって該外周部からシリンダーの内径の1/4の深さの位置の温度を、前記発泡シートのガラス転移温度+30℃以上にすることにより、前記発泡剤含有溶融物の粘度が高くなりすぎず、該発泡剤含有溶融物を押出機から押出しやすくなって押出条件が安定するという利点がある。また、得られる発泡シートの外観が良好なものとなるため、歩留まりが良くなり、生産性が向上するという利点がある。
また、前記折り曲げ成形としては、ポリスチレン系樹脂発泡シートにV溝加工を施し、該V溝を介して折り曲げて折箱容器とする方法などが挙げられる。
ポリスチレン系樹脂(東洋スチレン社製、商品名:「HRM12」)と、ハイドロタルサイト焼成物(以下、「焼成物」ともいう。)(東亞合成社製、消臭剤「ケスモンNS−70」、平均粒径6μm)と、シリカ系消臭剤としてのシリカ単独粒子(東亞合成社製、消臭剤「ケスモンNS−100」、平均粒径6μm)と、脂肪酸金属塩としてのステアリン酸亜鉛(融点:130℃)と、グリセリン脂肪酸エステルとしてのグリセリン12−ヒドロキシステアレート(融点:75℃)を、表1の配合となるように二軸押出機(口径:30mm、L/D=35)に供給し、樹脂温度200℃、回転数150rpmにて二軸押出機中で溶融混練させ、二軸押出機の先端に取り付けられたダイス(口径:3mm、ランド:5mm、孔数:2個)から押出量10kg/hにてストランド状に押し出しストランドを得た。
次いで、該ストランドを、冷却水(30℃)を収容する水槽(長さ:2m)内を通過させて冷却し、冷却したストランドをペレタイザーで切断して、実施例1のポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
なお、ここで用いたハイドロタルサイト焼成物は、図3と同様のX線回折パターンを示すものである。
グリセリン12−ヒドロキシステアレートの含有割合を1.0質量%にしたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
焼成物の含有割合を10質量%にし、シリカ単独粒子の含有割合を10質量%にし、ステアリン酸亜鉛の含有割合を0.3質量%にしたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
焼成物として、協和化学工業社製の消臭剤「KW−2100」(平均粒径5μm)を用い、グリセリン12−ヒドロキシステアレートの含有割合を1.0質量%にしたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
焼成物の含有割合を10質量%にし、シリカ系消臭剤としてシリカと酸化亜鉛との複合粒子(ラサ工業社製、消臭剤「シュークレンズKD−211G」、平均粒径3μm)を用い、シリカと酸化亜鉛との複合粒子の含有割合を10質量%にしたこと以外は、実施例4と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
脂肪酸金属塩としてステアリン酸ナトリウム(融点:220℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
焼成物の含有割合を15質量%にし、シリカ単独粒子の含有割合を15質量%にしたこと以外は、実施例2と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
シリカ単独粒子と、ステアリン酸亜鉛とを用いず、焼成物の含有割合を28質量%にし、グリセリン12−ヒドロキシステアレートの含有割合を4.0質量%にした以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
シリカ単独粒子と、グリセリン12−ヒドロキシステアレートとを用いず、焼成物の含有割合を28質量%にし、ステアリン酸亜鉛の含有割合を4.0質量%にした以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
グリセリン12−ヒドロキシステアレートを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
ステアリン酸亜鉛の含有割合を0.1質量%にし、グリセリン12−ヒドロキシステアレートの含有割合を0.1質量%にした以外は、実施例3と同様にしてポリスチレン系樹脂組成物を作製した。
200メッシュのスクリーンの両面に60メッシュのスクリーンを重ね、これらのスクリーンをブレーカープレートに取り付け、そして、該ブレーカープレートを単軸押出機(口径:40mm、L/D:30mm)の出口に取り付けた。
次いで、ポリスチレン系樹脂(DIC社製、商品名:「XC−515」)を単独で単軸押出機に投入し、樹脂温度200℃にて単軸押出機中で溶融混練させ、単軸押出機の先端に取り付けたTダイ(巾:120mm、スリットクリアランス:0.8mm)から押出量5kg/hにて押出し、単軸押出機の先端部分の圧力を圧力計で連続測定し、安定した圧力を基準圧力とした。
そして、ハイドロタルサイト焼成物及びシリカ系消臭剤の合計の配合割合が10質量%となるように、ポリスチレン系樹脂組成物と、ポリスチレン系樹脂(DIC社製、商品名:「XC−515」)とをドライブレンドしたものを単軸押出機に投入し、基準圧力を求めた時と同様に押出し、基準圧力から4MPa分上昇した時までに押出した吐出物の量を測定した。
このことから、本発明によれば、分散性に優れたポリスチレン系樹脂組成物を提供することができ、また、生産性に優れるポリスチレン系樹脂発泡シート、及び、容器を提供することができることがわかる。
ポリスチレン系樹脂(DIC社製、製品名:「XC−515」)70質量部と、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)及びポリスチレン系樹脂(PS)の混合樹脂(SABIC社製、製品名:「ノリルEFN4230」、(PPE/PS=70質量部/30質量部)30質量部とからなる樹脂100質量部に対して、実施例1のポリスチレン系樹脂組成物が3.0質量部、気泡調整剤としてのタルク含有樹脂組成物(タルクが練り込まれたポリスチレン、タルクの含有量:40質量%)(東洋スチレン社製、製品名「DSM1401A」)が0.5質量部となるように、ポリスチレン系樹脂、混合樹脂、実施例1のポリスチレン系樹脂組成物、及び、タルク含有樹脂組成物を第1押出機(φ115mm)に投入した。
そして、該第1押出機における溶融物の最高到達温度が約270℃となるように加熱しこれらを溶融混練した。
次いで、該第1押出機の途中に設けた注入口から、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対して、発泡剤としてのブタンガス(イソブタン及びノルマルブタンを組成とするもの)3.8質量部を前記第1押出機に圧入し、溶融物と、前記ブタンガスとを混合して発泡剤含有溶融物を得た。
そして、該発泡剤含有溶融物を第1押出機から第2押出機(φ150mm)に供給し、前記発泡剤含有溶融物を冷却して、サーキュラーダイを用いて前記発泡剤含有溶融物を押出し発泡させ発泡体を得た。次に、該発泡体の内外に設置した空冷リングで押出直後の該発泡体にエアーを吹き付けて冷却し、筒状体を得た。得られた筒状体を押出方向に沿って切断し、坪量130g/m2 、厚み1.6mm、幅1050mmのポリスチレン系樹脂発泡シート(発泡シート)を得た。
ここで、押出量は、180kg/hと一定にし、48時間に亘り発泡シートを作製し、発泡シートの作製中は、第1押出機の先端部分の圧力を圧力計で連続測定し、圧力変化を確認した。
なお、第1押出機の先端には、80メッシュのスクリーンの両面に30メッシュのスクリーンを重ねたものが取り付けられたブレーカープレートが設けられている。
実施例4のポリスチレン系樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例7と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡シートを作製した。
比較例4のポリスチレン系樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例7と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡シートを作製した。
生産性は、以下のようにして評価した。
○:上昇分の圧力が4MPa未満で安定しており、スクリーンの交換の必要がなかった。
×:上昇分の圧力が4MPa以上であり、スクリーンの交換の必要となった。
このことから、本発明によれば、生産性に優れるポリスチレン系樹脂発泡シート、及び、容器を提供することができることがわかる。
Claims (6)
- ハイドロタルサイト焼成物及びシリカ系消臭剤を、ポリスチレン系樹脂及びポリフェニレンエーテル系樹脂に混合させるために用いられるポリスチレン系樹脂組成物であって、
ハイドロタルサイト焼成物と、シリカ系消臭剤と、脂肪酸金属塩と、グリセリン脂肪酸エステルと、ポリスチレン系樹脂とを含有しており、
前記ハイドロタルサイト焼成物の含有割合が2.5質量%以上15質量%未満であり、
前記シリカ系消臭剤の含有割合が2.5質量%以上15質量%未満であり、
前記脂肪酸金属塩の含有割合が0.2質量%以上5.0質量%未満であり、
前記グリセリン脂肪酸エステルの含有割合が0.2質量%以上5.0質量%未満であることを特徴とするポリスチレン系樹脂組成物。 - 前記シリカ系消臭剤が、シリカ単独粒子、及び、シリカと酸化亜鉛との複合粒子の少なくとも何れか一方を有する請求項1に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
- 前記脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛を有する請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
- 前記グリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレートを有する請求項1〜3の何れか1項に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載のポリスチレン系樹脂組成物たる第1樹脂組成物と、ポリスチレン系樹脂と、ポリフェニレンエーテル系樹脂とを混合することにより第2樹脂組成物を得、該第2樹脂組成物を押出発泡して得られ、
前記第2樹脂組成物は、前記ポリスチレン系樹脂及び前記ポリフェニレンエーテル系樹脂の合計量100質量部に対して、前記第1樹脂組成物を0.5〜20質量部混合して得られるポリスチレン系樹脂発泡シート。 - 請求項5に記載のポリスチレン系樹脂発泡シートが成形されて得られる容器。
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