以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。また、薄膜の積層構造において、A/Bと表される場合、B層はA層の上に形成されていることを表している。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1(a)および図1(b)は、第1の実施形態に係る圧力センサの構成を例示する模式図である。
図1(a)は、模式的平面図である。図1(b)は、図1(a)に表したA1−A2線断面図である。図1(a)および図1(b)では、図を見易くするために、一部の層の図示を省略している。
図1(a)および図1(b)に表したように、本実施形態に係る圧力センサ310は、基板70と、第1電極51と、第2電極52と、絶縁体55と、積層体10と、を含む。基板70は、支持基板71と、エッチングストッパ層72と、ダイアフラム膜73と、を含む。ダイアフラム膜73は、支持基板71の上に設けられる。エッチングストッパ層72は、支持基板71とダイアフラム膜73との間に設けられる。
本願明細書において、「上に設けられる」状態は、直接接して設けられる状態の他に、間に他の要素が挿入されて設けられる状態も含む。
基板70は、第1領域75と、第2領域77と、を含む。第1領域75は、支持基板71と、エッチングストッパ層72と、ダイアフラム膜73のうちで支持基板71の上に位置する第1の部分73aと、を含む。第2領域77は、ダイアフラム膜73のうちで支持基板71の内側に位置する第2の部分73bを含む。つまり、ダイアフラム膜73は、第1の部分73aと、第2の部分73bと、を含む。第2領域77は、第1領域75の内側に設けられる。すなわち、第2領域77は、第1領域75に取り囲まれている。
ここで、ダイアフラム膜73に対して平行な面をX−Y平面とする。ダイアフラム膜73が平面でない場合には、支持基板71の上面を含む平面をX−Y平面とする。X−Y平面に対して垂直な方向をZ軸方向とする。
ダイアフラム膜73のうちで支持基板71の内側に位置する第2の部分73bは、例えば、支持基板71の一部が薄く加工されたものである。以下、ダイアフラム膜73のうちで支持基板71の内側に位置する第2の部分73bを単に「ダイアフラム」という。第2領域77の厚さ(Z軸方向の長さ)は、第1領域75の厚さ(Z軸方向の長さ)よりも薄い。ダイアフラム74は、可撓性を有する。ダイアフラム74は、外部から圧力が印加されたときに撓む。外部圧力は、圧力そのものもあれば、音波または超音波などによる圧力も含む。音波または超音波などの場合は、圧力センサは、マイクロフォンとして機能することになる。
第1電極51は、第1領域75に設けられる。第2電極52は、第1電極51の上に設けられる。絶縁体55の一部は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。積層体10の一部は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。積層体10の他の一部は、第2領域77の上に設けられる。積層体10は、第2領域(ダイアフラム74)に発生する歪に応じて電気抵抗が変化する歪検知素子として機能する。
図2(a)および図2(b)は、第1の実施形態に係る圧力センサの一部の構成を例示する模式図である。
図2(a)は、第1の実施形態に係る圧力センサの一部の構成を例示する模式的斜視図である。図2(b)は、第1の実施形態に係る圧力センサに設けられる積層体の構成を例示する模式的平面図である。
図2(a)および図2(b)に表したように、積層体10の一部は、第1領域75の上に設けられる。積層体10のうちで第1領域75の上に設けられた部分は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。第1電極51と第2電極52との間に電圧を加えると、第1電極51から第2電極52へ向かう方向(積層方向(Z軸方向))または、第2電極52から第1電極51へ向かう方向に電流が流れる。
積層体10は、第1磁性層11と、第2磁性層12と、スペーサ層25と、を含む。第1磁性層11は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。第2磁性層12は、第1電極51と第1磁性層11との間、及び、第1磁性層11と第2電極52との間のいずれかに設けられる。第2磁性層12の磁化の方向は、可変である。スペーサ層25は、第1電極51から第2電極52へ向かう積層方向において、第1磁性層11と第2磁性層12との間に設けられる。
この例では、積層体10は、第1磁性層11と、第2磁性層12と、第3磁性層13と、スペーサ層25と、下地層26と、ピニング層27と、第1キャップ層28と、第2キャップ層29と、を含む。第1磁性層11は、第1参照層11aと、磁気結合層11bと、第2参照層11cと、を含む。但し、第1磁性層11は、1層の参照層から形成されていてもよい。
この例の第1領域75の上において、下地層26は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。下地層26と第2電極52との間に、第2磁性層12が設けられる。第2磁性層12と第2電極52との間に、スペーサ層25が設けられる。スペーサ層25と第2電極52との間に、第1参照層11aが設けられる。第1参照層11aと第2電極52との間に、磁気結合層11bが設けられる。磁気結合層11bと第2電極52との間に、第2参照層11cが設けられる。第2参照層11cと第2電極52との間に、ピニング層27が設けられる。ピニング層27と第2電極52との間に、第1キャップ層28が設けられる。
この例の第2領域77の上において、第2キャップ層29が設けられる。ダイアフラム74と第2キャップ層29との間に、下地層26が設けられる。下地層26と第2キャップ層29との間に、第3磁性層13が設けられる。
この例では、第3磁性層13は、第2磁性層12と連続している。例えば、第3磁性層13は、第2磁性層12と一体の磁性層として形成される。この場合、第2磁性層12は、1つの磁性層のうちの第1部分P1であって、第1電極51と第2電極52との間に設けられる第1部分P1である。この場合、第3磁性層13は、1つの磁性層のうちの第2部分P2であって、第2領域77の上に設けられる第2部分P2である。
あるいは、第3磁性層13は、第2磁性層12と別体の磁性層として形成されてもよい。この場合、第3磁性層13は、積層方向と交差する方向において第2磁性層12と接する。
いずれの場合でも、積層方向と交差する方向(図2(a)の例では、X軸方向)において、第3磁性層13は、第2磁性層12と重なる部分を含む。言い換えれば、第3磁性層13は、積層方向において第2磁性層12と離間していない。
以下では、第3磁性層13が、第2磁性層12と一体の磁性層として形成される場合について説明する。
第1磁性層11は、例えば、参照層である。参照層として、磁化固定層または磁化自由層が用いられる。例えば、第1参照層11aは、磁化固定層または磁化自由層である。例えば、第2参照層11cは、磁化固定層または磁化自由層である。
第2磁性層12は、例えば、磁化自由層である。第3磁性層13は、例えば磁化自由層である。第2磁性層12の磁化は、第1磁性層11の磁化よりも変化し易い。
以下では、第1磁性層11が磁化固定層である場合(第1参照層11aおよび第2参照層11cが磁化固定層である場合)について説明する。
以下、本実施形態に係る圧力センサの動作の例について説明する。
図3(a)および図3(b)は、本実施形態に係る圧力センサの動作を例示する模式図である。
図4(a)および図4(b)は、本実施形態に係る圧力センサの動作を例示する模式図である。
図3(a)は、外部圧力が加えられていない状態の圧力センサを例示する模式的平面図である。図3(b)は、外部圧力が加えられていない状態の磁化方向を例示する模式的斜視図である。
図4(a)は、ダイアフラムの裏面(下面)から外部圧力を加えた状態の圧力センサを例示する模式的平面図である。図4(b)は、ダイアフラムの裏面(下面)から外部圧力を加えた状態の磁化方向を例示する模式的斜視図である。
圧力センサ310における積層体10が歪検知素子として機能する動作は、「逆磁歪効果」と「磁気抵抗効果」との応用に基づく。「逆磁歪効果」は、磁化自由層に用いられる強磁性層において得られる。「磁気抵抗効果」は、参照層とスペーサ層と磁化自由層との積層膜で発現する。
「逆磁歪効果」は、強磁性体の磁化が強磁性体に印加された歪によって変化する現象である。すなわち、積層膜(磁気抵抗効果素子)に外部歪が印加されると、磁化自由層の磁化方向が変化する。その結果、参照層の磁化と磁化自由層の磁化との間の相対角度が変化する。「磁気抵抗効果」により、電気抵抗の変化が引き起こされる。
「磁気抵抗効果(MR効果)」は、磁性体を有する積層膜において、外部磁界が印加されたときに、磁性体の磁化の変化によって積層膜の電気抵抗の値が変化する現象である。MR効果は、例えば、GMR(Giant magnetoresistance)効果、または、TMR(Tunneling magnetoresistance)効果などを含む。積層膜に電流を流すことで、磁化の向きの相対角度の変化を電気抵抗変化として読み取ることで、MR効果は発現する。例えば、積層膜に加わる応力に基づいて、積層膜に引っ張り応力が加わる。磁化自由層の磁化の向きと、参照層に加わる引っ張り応力の方向と、が異なるときに、逆磁歪効果によりMR効果が発現する。低抵抗状態の抵抗をRとし、MR効果によって変化する電気抵抗の変化量をΔRとしたときに、ΔR/Rを「MR変化率」という。
図3(a)および図3(b)に表したように、外部圧力が印加されていない状態では、ダイアフラム74の撓みは生じない。第3磁性層13が設けられたダイアフラム74のエッジ部(第1領域75と第2領域77との境界部)にも、歪は発生しない。図3(b)は、歪が発生していない状態において、第1磁性層の磁化M1と、第2磁性層12の磁化M2と、のアライメントが180°である場合を例示している。図3(b)は、歪が発生していない状態において、第1磁性層の磁化M1と、第3磁性層の磁化M3と、のアライメントが180°である場合を例示している。ここで、第3磁性層13は、第2磁性層12と連続している。第3磁性層13は、第2磁性層12と磁気結合している。
図4(a)および図4(b)に表したように、ダイアフラム74の裏面から正の圧力が印加されている状態では、ダイアフラム74の表面(上面)には、凸の撓みが生ずる。この場合、ダイアフラム74の中心部は凸形状となる。そのため、中心部のダイアフラム74の表面の歪は引張歪となる。一方、ダイアフラム74のエッジ部では、ダイアフラム74と支持基板71との接合部が固定端となり、反りかえりが発生する。そのため、ダイアフラム74のエッジ部では、凹の撓みが生ずる。この場合、図4(b)に表した矢印A1および矢印A2のように、ダイアフラム74のエッジ部では、ダイアフラム74の表面において半径方向に圧縮の歪が発生する。
この際、第3磁性層13に圧縮歪が発生する。そのため、第3磁性層13が正の磁歪定数を有する強磁性体で形成されている場合には、第3磁性層13の磁化は圧縮の歪が加わった方向から逸れるように「逆磁歪効果」が働く。そのため、図4(b)に表した矢印A4のように、第3磁性層の磁化M3と、第1磁性層の磁化M1と、の間の相対角度は、ダイアフラム74が撓んでいない状態における180°から変化する。
一方、第2磁性層12において、歪は、実質的に発生しない。ここで、第2磁性層12は、第3磁性層と磁気的に結合している。そのため、図4(b)に表した矢印A3のように、第2磁性層12の磁化M2は、第3磁性層13の磁化M3の変化に連動して変化する。言い換えれば、第2磁性層12の磁化M2の方向は、第3磁性層13の磁化M3の方向に応じて変化する。すなわち、歪が発生する第2領域77の上に設けられた第3磁性層13の磁化M3の変化を、第1領域75の上に設けられた第2磁性層12の磁化M2に伝達(トランスデュース)することができる。
第2領域77の上の第3磁性層13と、第1領域75の上の第2磁性層12と、との間における歪による物理量変化のトランスデュースは、シリコン(Si)ピエゾ抵抗変化素子では存在しない。このトランスデュースは、磁性膜を用いた歪検知素子における現象である。歪の発生しない第1領域75においても、外部圧力による第2磁性層の磁化M2の変化を引き起こすことができる。これにより、外部圧力に対する電気抵抗の変化を得ることができる。
図5は、外部圧力が加えられている状態の圧力センサを例示する模式的平面図である。 図6は、ダイアフラムの撓みを例示するグラフ図である。
図7は、ダイアフラムに発生する歪を例示するグラフ図である。
ダイアフラム74の撓みW(r)と、ダイアフラム74の表面の半径方向に発生する歪ε
r(r)と、ダイアフラム74の表面の円周方向に発生する歪ε
c(r)と、は、それぞれ次式で表される。
図5に表したように、「r」は、外部圧力が加わった場合のダイアフラム74の中心からの距離である。「r
0」は、ダイアフラム74の半径である。「E」は、ダイアフラム74のヤング率である。「ν」は、ダイアフラム74のポアソン比である。「h」は、ダイアフラム74の厚さ(Z軸方向の長さ)である。「p」は、ダイアフラム74の裏面に加わる外部圧力である。
図6および図7は、上記の式の計算結果を例示している。各構造パラメータについては、r=150μm、P=10kPa、E=165GPa(Si単結晶の値)、ν=0.22(Si単結晶の値)である。図6に表したように、ダイアフラム74の中心付近(r〜0)は、凸型に反っている。ダイアフラム74のエッジ部(r〜150)は、凹型に反っている。図7に表したように、ダイアフラム74のエッジ部の半径方向において、より大きい歪が得られている。上記の式(2)により、ダイアフラム74の上に発生する歪は、ダイアフラム74の厚さの2乗に反比例する。ダイアフラム74が薄いと、圧力に対して発生する歪を大きくできる。そのため、圧力感度を向上することができる。
本実施形態に係る圧力センサ310では、第1電極51は、第1領域75に設けられる。第2電極52は、第1電極51の上に設けられる。第1電極51の厚さ(Z軸方向の長さ)は、第3磁性層13の厚さよりも厚い。第2電極52の厚さ(Z軸方向の長さ)は、第3磁性層13の厚さよりも厚い。第3磁性層13の厚さは、例えば約4〜20ナノメートル(nm)である。第3磁性層13の厚さは、ダイアフラム74の厚さよりも薄い。第3磁性層13は、第2領域77の上に設けられる。そのため、第1電極51および第2電極52が第1領域75の上にそれぞれ設けられることで、第2領域77の上に形成される素子の厚さをより低減することができる。すなわち、ダイアフラム74の厚さの薄膜化が実現される。これにより、圧力感度が向上する。実施形態によれば、高い圧力感度を有する圧力センサを提供することができる。
本実施形態に係る圧力センサ310では、上述したように、第2領域77の上に第3磁性層13が設けられる。第1電極51は、第1領域75に設けられる。第2電極52は、第1電極51の上に設けられる。つまり、第2電極52は、第2領域77の上に設けられる。第3磁性層13の厚さは、第1電極51の厚さよりも薄い。第3磁性層13の厚さは、第2電極52の厚さよりも薄い。これにより、圧力センサ310は、外部圧力に対する大きい歪を得ることができる。圧力センサ310は、大きい歪で変化した第3磁性層13の磁化を第2磁性層12の磁化にトランスデュースすることで、大きい電気抵抗の変化を検出することができる。
図3(a)〜図4(b)に関する説明では、第3磁性層13が正の磁歪定数を有する強磁性体で形成され、圧縮の歪が加わった方向との角度が増大するように磁化が変化する場合について説明した。第3磁性層13が正の磁歪定数を有する強磁性体で形成され、引張の歪が加わった方向に磁化が向いてもよい。第3磁性層13が負の磁歪定数を有する強磁性体で形成される場合には、圧縮の歪が加わった方向に磁化が向いてもよい。この場合には、引張の歪が加わった方向との角度が増大するように磁化が変化してもよい。
図4(a)および図4(b)に関する説明では、ダイアフラム74の裏面から正の外部圧力が加わった場合について説明した。本実施形態に係る圧力センサ310は、負の外部圧力が加わった場合でも同様の動作をする。図4(a)および図4(b)に関する説明では、外部圧力が加えられていない状態において、第1磁性層の磁化M1と、第2磁性層12の磁化M2と、のアライメントが180°である場合について説明示した。図4(a)および図4(b)に関する説明では、外部圧力が加えられていない状態において、第1磁性層の磁化M1と、第3磁性層の磁化M3と、のアライメントが180°である場合について説明した。第1磁性層の磁化M1と、第2磁性層12の磁化M2と、の初期の相対角度は、任意である。第1磁性層の磁化M1と、第3磁性層の磁化M3と、の初期の相対角度は、任意である。
以下、参考例について説明する。
参考例に係る圧力センサでは、積層体10、第1電極51及び第2電極52は、第2領域77の上に設けられる。積層体10、第1電極51及び第2電極52は、ダイアフラム74のエッジ部に設けられる。第1電極51の厚さは、例えば約100〜300nm程度である。第2電極52の厚さは、例えば約100〜300nm程度である。積層体10の厚さは、例えば約40nm程度である。ダイアフラム74の厚さは、例えば約500nm程度である。
参考例に係る圧力センサでは、第1電極51の厚さは、ダイアフラム74に対して無視できない厚さである。第2電極52の厚さは、ダイアフラム74に対して無視できない厚さである。これは、実質的にダイアフラム74のエッジ部の厚さを厚くすることと同じになる。そのため、ダイアフラム74の厚さを薄くしても、圧力に対する歪変化を十分に大きくすることができない場合もある。
以下、本実施形態に係る積層体の構成の例について、図面を参照して説明する。
以下の図8〜図13に表した積層体の構造は、磁化自由層が磁化固定層よりも下に形成されたトップ型のスピンバルブ構造である。
図8は、第1積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図8に表した第1積層体10aは、第1磁性層11と、第2磁性層12と、第3磁性層13と、スペーサ層25と、下地層26と、ピニング層27と、第1キャップ層28と、を含む。第1磁性層11は、第1参照層11aと、磁気結合層11bと、第2参照層11cと、を含む。
第1領域75の上において、下地層26は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。下地層26と第2電極52との間に、第2磁性層12が設けられる。第2磁性層12と第2電極52との間に、スペーサ層25が設けられる。スペーサ層25と第2電極52との間に、第1参照層11aが設けられる。第1参照層11aと第2電極52との間に、磁気結合層11bが設けられる。磁気結合層11bと第2電極52との間に、第2参照層11cが設けられる。第2参照層11cと第2電極52との間に、ピニング層27が設けられる。ピニング層27と第2電極52との間に、第1キャップ層28が設けられる。
第2領域77の上において、第3磁性層13が設けられる。ダイアフラム74と第3磁性層13との間に、下地層26が設けられる。
第3磁性層13は、第2磁性層12と連続している。例えば、第3磁性層13は、第2磁性層12と一体の磁性層として形成される。この場合、第2磁性層12は、1つの磁性層のうちの第1部分P1であって、第1電極51と第2電極52との間に設けられる第1部分P1である。この場合、第3磁性層13は、1つの磁性層のうちの第2部分P2であって、第2領域77の上に設けられる第2部分P2である。
あるいは、第3磁性層13は、第2磁性層12と別体の磁性層として形成されてもよい。この場合、第3磁性層13は、積層方向と交差する方向において第2磁性層12と接する。
いずれの場合でも、積層方向と交差する方向(X軸方向)において、第3磁性層13は、第2磁性層12と重なる部分を含む。言い換えれば、第3磁性層13は、積層方向において第2磁性層12と離間していない。第3磁性層13が第2磁性層12と別体の磁性層として形成される場合、第3磁性層13の磁歪定数の絶対値は、第2磁性層12の磁歪定数の絶対値よりも大きいことが好ましい。
第1積層体10aは、例えば、以下の構成を有する。
支持基板71には、シリコンが用いられる。
第1電極51には、タンタル(Ta)/銅(Cu)/タンタル(Ta)が用いられる。銅の下に形成されるタンタルの厚さ(Z軸方向の長さ)は、10nmである。銅の厚さ(Z軸方向の長さ)は、200nmである。銅の上に形成されるタンタルの厚さ(Z軸方向の長さ)は、30nmである。
下地層26には、Ta/Cuが用いられる。Taの厚さ(Z軸方向の長さ)は、3nmである。Cuの厚さ(Z軸方向の長さ)は、2nmである。
第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれには、Fe80Ga20/Co40Fe40B20が用いられる。Fe80Ga20の厚さは、4nmである。Co40Fe40B20の厚さは、2nmである。
スペーサ層25には、1.5nmの厚さのMgO層が用いられる。
第1参照層11aには、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
磁気結合層11bには、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。
第2参照層11cには、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。
ピニング層27には、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。
第1キャップ層28には、Ta/Ruが用いられる。Ta層の厚さ(Z軸方向の長さ)は、1nmである。Ru層の厚さ(Z軸方向の長さ)は、5nmである。
第2電極52には、タンタル(Ta)/銅(Cu)/タンタル(Ta)が用いられる。銅の下に形成されるタンタルの厚さ(Z軸方向の長さ)は、10nmである。銅の厚さ(Z軸方向の長さ)は、200nmである。銅の上に形成されるタンタルの厚さ(Z軸方向の長さ)は、30nmである。
第1電極51および第2電極52には、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム銅合金(Al−Cu)、銅(Cu)、銀(Ag)、及び金(Au)などが用いられる。第1電極51および第2電極52として、電気抵抗が比較的小さい材料を用いることで、第1積層体10aに効率的に電流を流すことができる。
第1電極51は、第1電極51用の下地層(図示せず)と、キャップ層(図示せず)と、の間に、上述した電気抵抗の比較的小さい材料の層が設けられた構造を有してもよい。例えば、第1電極51には、タンタル(Ta)/銅(Cu)/タンタル(Ta)などが用いられる。第1電極51用の下地層としてTaを用いることで、支持基板71と第1電極51との密着性を向上することができる。第1電極51用の下地層として、Ta以外にもチタン(Ti)、窒化チタン(TiN)などを用いることができる。
Ta層の表面には、表面酸化による不導体皮膜ができる。そのため、第1電極51用のキャップ層としてTaを用いることで、キャップ層の下の銅(Cu)などの酸化を防ぐことができる。第1電極51用のキャップ層として、Ta以外にもチタン(Ti)、窒化チタン(TiN)などが用いられる。
下地層26には、バッファ層(図示せず)とシード層(図示せず)との積層構造が用いられる。バッファ層は、例えば、第1電極51やダイアフラム74の表面の荒れを緩和し、バッファ層の上に積層される層の結晶性を改善する。バッファ層として、例えば、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)及びクロム(Cr)よりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。バッファ層として、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金を用いてもよい。
バッファ層の厚さは、1nm以上10nm以下が好ましい。バッファ層の厚さは、1nm以上5nm以下がより好ましい。バッファ層の厚さが薄すぎると、バッファ効果が失われる。一方、バッファ層の厚さが厚すぎると、ダイアフラム74の上の薄膜(積層体10)の厚さが厚くなる。バッファ層の上にシード層が形成され、そのシード層がバッファ効果を有することができる。この場合には、バッファ層は省略しても良い。バッファ層には、例えば、3nmの厚さのTa層が用いられる。
図示しないシード層は、シード層の上に積層される層の結晶配向を制御する。シード層は、シード層の上に積層される層の結晶粒径を制御する。シード層として、fcc構造(face-centered cubic structure:面心立方格子構造)、hcp構造(hexagonal close-packed structure:六方最密格子構造)またはbcc構造(body-centered cubic structure:体心立方格子構造)の金属等が用いられる。
シード層として、hcp構造のルテニウム(Ru)またはfcc構造のNiFeやCuを用いることにより、例えば、シード層の上のスピンバルブ膜(第2磁性層12および第3磁性層13)の結晶配向をfcc(111)配向にすることができる。シード層には、例えば、2nmの厚さのCu層や2nmの厚さのRu層が用いられる。シード層の上に形成される層の結晶配向性を高める場合には、シード層の厚さは、1nm以上5nm以下が好ましい。シード層の厚さは、1nm以上3nm以下がより好ましい。これにより、結晶配向を向上させるシード層としての機能が十分に発揮される。一方、例えば、シード層の上に形成される層を結晶配向させる必要がない場合(例えば、アモルファスの磁化自由層を形成する場合など)には、シード層は省略しても良い。シード層としては、2nmの厚さのCu層が用いられる。
第2磁性層12は、磁化自由層である。第3磁性層13は、磁化自由層である。第2磁性層12および第3磁性層13には、強磁性体材料が、用いられる。第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれの材料として、例えばFeCo合金、NiFe合金等が用いられる。他にも、第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれの材料として、Co−Fe−B合金、Fe−Co−Si−B合金、λs(磁歪定数)>100ppmを示すFe−Ga合金、Fe−Co−Ga合金、Tb−M−Fe合金(Mは、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Tb−M1−Fe−M2合金(M1は、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。M2は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Fe−M3−M4−B合金(M3は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。M4は、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Ni、Fe−Alやフェライト(Fe3O4、(FeCo)3O4)など)等が用いられる。第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれの厚さは、例えば2nm以上である。
第2磁性層12は、多層構造を有してもよい。第3磁性層13は、多層構造を有してもよい。第2磁性層12は、例えば、2層構造を有してもよい。第3磁性層13は、例えば、2層構造を有してもよい。スペーサ層25としてMgOのトンネル絶縁層を用いる場合には、スペーサ層25に接する界面には、Co−Fe−B合金の層を設けることが好ましい。これにより、高い磁気抵抗効果が得られる。この場合、下地層26の上には、Fe−Co−Si−B合金、λs>100ppmを示すFe−Ga合金、Fe−Co−Ga合金、Tb−M−Fe合金(Mは、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Tb−M1−Fe−M2合金(M1は、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。M2は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Fe−M3−M4−B合金(M3は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。M4は、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Ni、Fe−Alやフェライト(Fe3O4、(FeCo)3O4)など)を形成し、その上にCo−Fe−B合金の層を設けた積層構造が用いられる。例えば、Fe80Ga20/Co40Fe40B20が用いられる。Fe80Ga20の厚さは、4nmである。Co40Fe40B20の厚さは、2nmである。
スペーサ層25は、第2磁性層12と第1磁性層11との磁気的な結合を分断する。スペーサ層25には、金属又は絶縁体が用いられる。金属としては、例えば、Cu、Au、Ag等が用いられる。スペーサ層25として金属を用いる場合、スペーサ層25の厚さは、例えば約1nm〜7nm程度である。絶縁体としては、例えば、マグネシウム酸化物(MgO等)、アルミ酸化物(Al2O3等)、チタン酸化物(TiO等)、亜鉛酸化物(ZnO等)、または、酸化ガリウム(Ga−O)などが用いられる。スペーサ層25として絶縁体を用いる場合、スペーサ層25の厚さは、例えば約0.6nm〜2.5nm程度である。スペーサ層25としては、例えば、CCP(Current-Confined-Path)スペーサ層が用いられる。スペーサ層25としてCCPスペーサ層を用いる場合には、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)の絶縁層の中に銅(Cu)メタルパスが形成された構造が用いられる。例えば、スペーサ層25として、1.5nmの厚さのMgO層が用いられる。
第1参照層11aには、磁性層が用いられる。第1参照層11aに用いられる磁性層は、MR効果に直接的に寄与する。第1参照層11aとして、例えば、Co−Fe−B合金が用いられる。具体的には、第1参照層11aとして、(CoxFe100−x)100−yBy合金(x=0%〜100%、y=0%〜30%)を用いることもできる。第1参照層11aとして(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いた場合には、例えば、第1積層体10aのサイズが小さくなった場合においても結晶粒に起因した素子間のバラツキを抑えることができる。第1参照層11aとして(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いた場合には、第2参照層11cをより平坦な膜にすることができる。このため、第2参照層11cの上に形成される層(例えばトンネル絶縁層(図示せず))を平坦化することができる。トンネル絶縁層の平坦化により、トンネル絶縁層の欠陥密度を減らすことができる。そのため、より低い面積抵抗でより大きいMR変化率が得られる。例えば、トンネル絶縁層の材料としてMgOを用いる場合には、(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いることで、トンネル絶縁層の上に形成されるMgO層の(100)配向性を強めることができる。MgO層の(100)配向性をより高くすることで、より大きいMR変化率が得られる。(CoxFe100−x)100−yBy合金は、アニール時にMgO層の(100)面をテンプレートとして結晶化する。このため、MgOと(CoxFe100−x)100−yBy合金との良好な結晶整合が得られる。良好な結晶整合を得ることで、より大きいMR変化率が得られる。
第1参照層11aとして、Co−Fe−B合金以外に、例えば、Fe−Co合金を用いてもよい。
第1参照層11aの厚さがより厚いと、より大きなMR変化率が得られる。より大きな固定磁界を得るためには、第2参照層11cの厚さは薄いほうが好ましい。MR変化率と固定磁界との間には、第2参照層11cの厚さにおいてトレードオフの関係が存在する。第1参照層11aとしてCo−Fe−B合金を用いる場合には、第1参照層11aの厚さは、1.5nm以上5nm以下が好ましい。第1参照層11aの厚さは、2.0nm以上4nm以下がより好ましい。
第1参照層11aには、上述した材料の他に、fcc構造のCo90Fe10合金又はhcp構造のCo若しくはCo合金が用いられる。第1参照層11aとして、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。第1参照層11aとして、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金が用いられる。第1参照層11aとして、bcc構造のFeCo合金材料、50%以上のコバルト組成を含むCo合金、または、50%以上のNi組成の材料を用いることで、例えば、より大きなMR変化率が得られる。第1参照層11aとして、Co2MnGe、Co2FeGe、Co2MnSi、Co2FeSi、Co2MnAl、Co2FeAl、Co2MnGa0.5Ge0.5、Co2FeGa0.5Ge0.5などのホイスラー磁性合金層を用いることもできる。例えば、第1参照層11aとして、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
磁気結合層11bは、第1参照層11aと第2参照層11cとの間に反強磁性結合を生じさせる。磁気結合層11bは、シンセティックピン構造を形成する。磁気結合層11bとして、例えば、Ruが用いられる。磁気結合層11bの厚さは、0.8nm以上1nm以下であることが好ましい。第1参照層11aと第2参照層11cとの間に十分な反強磁性結合を生じさせる材料であれば、磁気結合層11bとしてRu以外の材料を用いてもよい。磁気結合層11bの厚さは、RKKY(Ruderman-Kittel-Kasuya-Yosida)結合のセカンドピーク(2ndピーク)に対応する0.8nm以上1nm以下の厚さの代わりに、RKKY結合のファーストピーク(1stピーク)に対応する0.3nm以上0.6nm以下の厚さでもよい。磁気結合層11bとして、例えば、0.9nmの厚さのRuが用いられる。これにより、より高信頼性の結合が安定して得られる。
第2参照層11cには、例えば、CoxFe100−x合金(x=0%〜100%)、NixFe100−x合金(x=0%〜100%)、または、これらに非磁性元素を添加したものが用いられる。第2参照層11cとして、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。第2参照層11cとして、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金を用いてもよい。第2参照層11cとして、(CoxFe100−x)100−yBy合金(x=0%〜100%、y=0%〜30%)を用いることもできる。第2参照層11cとして、(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いることで、第1積層体10aのサイズが小さくなった場合にも素子間のバラツキを抑えることができる。第2参照層11cの厚さは、1.5nm以上5nm以下が好ましい。これにより、例えば、ピニング層27による一方向異方性(unidirectional anisotropy)磁界の強度をより強く確保することができる。例えば、磁気結合層11bを介し、第2参照層11cとピニング層27との間の反強磁性結合磁界の強度をより強く確保することができる。第2参照層11cの磁気膜厚(飽和磁化Bsと厚さtとの積(Bs・t))は、第1参照層11aの磁気膜厚と実質的に等しいことが好ましい。
薄膜でのCo40Fe40B20の飽和磁化は、約1.9T(テスラ)である。例えば、第1参照層11aが3nmの厚さのCo40Fe40B20の場合には、第1参照層11aの磁気膜厚は、1.9T×3nm=5.7Tnmとなる。一方、Co75Fe25の飽和磁化は、約2.1Tである。上記と等しい磁気膜厚を与える第1参照層11aの厚さは、5.7Tnm/2.1T=2.7nmとなる。この場合、第2参照層11cには、約2.7nmの厚さのCo75Fe25を用いることが好ましい。第2参照層11cとして、例えば、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。
図8に示した例では、第1磁性層11として、第1参照層11aと磁気結合層11bと第2参照層11cとのシンセティックピン構造を用いている。その代わりに、第1磁性層11として1層の磁化固定層からなるシングルピン構造を用いてもよい。シングルピン構造を用いる場合には、第1磁性層11として、例えば、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。シングルピン構造の磁化固定層に用いる強磁性層としては、上述した第1参照層11aに用いることのできる材料と同じものを用いてもよい。
ピニング層27は、例えば、ピニング層27の下に形成される第2参照層11cの強磁性層に、一方向異方性(unidirectional anisotropy)を付与して磁化を固定する。ピニング層27には、例えば、反強磁性層が用いられる。ピニング層27には、IrMn、PtMn、PdPtMn及びRuRhMnよりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。十分な強さの一方向異方性を付与するために、ピニング層27の厚さを適切に設定する。ピニング層27の材料がPtMnやPdPtMnである場合には、ピニング層27の厚さは、8nm以上20nm以下が好ましい。ピニング層27の厚さは、10nm以上15nm以下がより好ましい。ピニング層27の材料がIrMnである場合には、ピニング層27の材料がPtMnなどである場合よりも薄い厚さのピニング層27で、一方向異方性を付与可能である。この場合には、ピニング層27の厚さは、4nm以上18nm以下が好ましい。ピニング層27の厚さは、5nm以上15nm以下がより好ましい。ピニング層27には、例えば、7nmの厚さのIr22Mn78層が用いられる。
ピニング層27として、ハード磁性層が用いられる。ハード磁性層として、例えば、CoPt(Co=50%〜85%)、(CoxPt100−x)100−yCry(x=50%〜85%、y=0%〜40%)、または、FePt(Pt=40%〜60%)などを用いてもよい。
第1キャップ層28は、第1のキャップ層28の下に設けられる各層をそれぞれ保護する。第1キャップ層28には、例えば、複数の金属層が用いられる。第1キャップ層28には、例えば、Ta層とRu層との2層構造(Ta/Ru)が用いられる。Ta層の厚さは、1nmである。Ru層の厚さは、5nmである。
第1キャップ層28として、Ta層やRu層の代わりに他の金属層を設けてもよい。第1キャップ層28の構成は、任意である。第1のキャップ層28の下に設けられる各層をそれぞれ保護可能なものであれば、第1キャップ層28として、他の材料を用いてもよい。
第2磁性層12および第3磁性層13の少なくともいずれかの上の位置であって、スペーサ層25が設けられていない位置に、第1キャップ層28とは異なる第2キャップ層(例えば、図2に関して説明した第2キャップ層29)が設けられていてもよい。
図9は、第2積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図8に表した第1積層体10aと比較して、図9に表した第2積層体10bは、第4磁性層14をさらに含む。第4磁性層14は、第2磁性層12とスペーサ層25との間に設けられる。つまり、第1領域75の上において、下地層26は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。下地層26と第2電極52との間に、第2磁性層12が設けられる。第2磁性層12と第2電極52との間に、第4磁性層14が設けられる。第4磁性層と第2電極52との間に、スペーサ層25が設けられる。スペーサ層25と第2電極52との間に、第1参照層11aが設けられる。第1参照層11aと第2電極52との間に、磁気結合層11bが設けられる。磁気結合層11bと第2電極52との間に、第2参照層11cが設けられる。第2参照層11cと第2電極52との間に、ピニング層27が設けられる。ピニング層27と第2電極52との間に、第1キャップ層28が設けられる。
第4磁性層14は、磁化自由層である。第2磁性層12は、第3磁性層13と磁気的に結合している。第4磁性層14は、第2磁性層12と磁気的に結合している。第4磁性層14の磁化は、第2磁性層12の磁化の変化に連動して変化する。言い換えれば、第4磁性層14の磁化の方向は、第2磁性層12の磁化の方向に応じて変化する。すなわち、歪が発生する第2領域77の上に設けられた第3磁性層13の磁化の変化を、第2磁性層12を介して第4磁性層14の磁化に伝達(トランスデュース)することができる。
第3磁性層13は、歪の発生するダイアフラム74の上で「逆磁歪効果」により、歪による磁化の変化を得る。第3磁性層13は、歪に対する磁化の応答性に寄与する。そのため、第3磁性層13には、より高い磁歪を有する強磁性材料を用いることが望ましい。
第4磁性層14は、スペーサ層25と接して設けられ、「磁気抵抗効果」により磁化の応答に対する電気抵抗の変化率に寄与する。そのため、第4磁性層14には、より高い磁気抵抗効果を発現する強磁性材料を用いることが望ましい。第4磁性層14には、例えば、第1積層体10aにおける第1参照層11cに用いる材料と同様のものを用いることができる。第4磁性層14には、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層を用いてもよい。
より高い磁歪を有する強磁性材料は、より高い磁気抵抗効果を発現する強磁性材料とは必ずしも一致しない。そのため、それぞれの層に適切な材料を用いる。第3磁性層13には、第4磁性層14の磁歪定数の絶対値よりも大きい絶対値の磁歪定数を有する強磁性体を用いることが望ましい。
第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれの材料として、例えばFeCo合金、NiFe合金等が用いられる。他にも、第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれの材料として、Co−Fe−B合金、Fe−Co−Si−B合金、λs(磁歪定数)>100ppmを示すFe−Ga合金、Fe−Co−Ga合金、Tb−M−Fe合金(Mは、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Tb−M1−Fe−M2合金(M1は、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。M2は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Fe−M3−M4−B合金(M3は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。M4は、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Ni、Fe−Alやフェライト(Fe3O4、(FeCo)3O4)など)等を用いてもよい。例えば、第2磁性層12として、10nmの厚さのFe80Ga20を用いてもよい。例えば、第3磁性層13として、10nmの厚さのFe80Ga20を用いてもよい。
その他の各層の構造および材料は、第1積層体10aに関して説明した各層の構造および材料とそれぞれ同様である。
図10は、第3積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図9に表した第2積層体10bと比較して、図10に表した第3積層体10cは、第5磁性層15をさらに含む。第5磁性層15は、第3磁性層13の上に設けられる。つまり、第2領域77の上において、下地層26は、第1電極51と第5磁性層15との間に設けられる。下地層26と第5磁性層15との間に、第3磁性層13が設けられる。第1領域75の上において、第1電極51と第2電極52との間に設けられる各層の構成は、第2積層体10bにおいて第1電極51と第2電極52との間に設けられる各層の構成とそれぞれ同様である。
第5磁性層15は、磁化自由層である。第3磁性層13は、第5磁性層15と磁気的に結合している。第5磁性層15の磁化は、第3磁性層13の磁化の変化に連動して変化する。言い換えれば、第5磁性層15の磁化の方向は、第3磁性層13の磁化の方向に応じて変化する。すなわち、歪が発生する第2領域77の上に設けられた第3磁性層13の磁化の変化を、第5磁性層15の磁化に伝達(トランスデュース)することができる。
第2磁性層12は、第3磁性層13と磁気的に結合している。第4磁性層14は、第2磁性層12と磁気的に結合している。そのため、第2磁性層12および第3磁性層13には、交換結合がより強い強磁性体を用いることが望ましい。
第5磁性層15は、歪の発生するダイアフラム74の上で「逆磁歪効果」により、歪による磁化の変化を得る。第5磁性層15は、歪に対する磁化の応答性に寄与する。そのため、第5磁性層15には、より高い磁歪を有する強磁性材料を用いることが望ましい。第5磁性層15には、第4磁性層14の磁歪定数の絶対値よりも大きい絶対値の磁歪定数を有する強磁性体を用いることが望ましい。
第5磁性層15の材料として、例えばFeCo合金、NiFe合金等が用いられる。他にも、第5磁性層15の材料として、Co−Fe−B合金、Fe−Co−Si−B合金、λs(磁歪定数)>100ppmを示すFe−Ga合金、Fe−Co−Ga合金、Tb−M−Fe合金(Mは、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Tb−M1−Fe−M2合金(M1は、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。M2は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Fe−M3−M4−B合金(M3は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。M4は、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Ni、Fe−Alやフェライト(Fe3O4、(FeCo)3O4)など)等が用いられる。例えば、第5磁性層15として、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。
第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれとして、例えばFe、Co、Niよりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれとして、Fe−Co合金、Ni−Fe合金、Co−Ni合金よりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。他にも、第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれとして、Co−Fe−B合金など、Fe、Co、Niよりなる群から選択された少なくとも1つの材料を含む任意の強磁性体がそれぞれ用いられる。例えば、第2磁性層12として、5nmの厚さのFe50Co50層が用いられる。例えば、第3磁性層13として、5nmの厚さのFe50Co50層が用いられる。
第4磁性層14として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
その他の各層の構造および材料は、第1積層体10aおよび第2積層体10bに関して説明した各層の構造および材料とそれぞれ同様である。
図11は、第4積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図8に表した第1積層体10aと比較して、図11に表した第4積層体10dは、第5磁性層15をさらに含む。第5磁性層15は、第3磁性層13の上に設けられる。つまり、第2領域77の上において、下地層26は、第1電極51と第5磁性層15との間に設けられる。下地層26と第5磁性層15との間に、第3磁性層13が設けられる。第1領域75の上において、第1電極51と第2電極52との間に設けられる各層の構成は、第1積層体10aにおいて第1電極51と第2電極52との間に設けられる各層の構成とそれぞれ同様である。
第5磁性層15として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。第2磁性層12として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第3磁性層13として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
第5磁性層の15には、第3積層体10cに関して説明した第5磁性層15の材料と同様の材料を用いることができる。
その他の各層の構造および材料は、第1積層体10aに関して説明した各層の構造および材料とそれぞれ同様である。
図12は、第5積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図8に示した第1積層体10aと比較して、図12に表した第5積層体10eは、第6磁性層16をさらに含む。第6磁性層16は、第2領域77に設けられる。第6磁性層16は、第2領域77に埋設される。図8に表した第1積層体10aと比較して、図12に表した第5積層体10eには、下地層26が設けられていない。
本願明細書において、「埋設」の状態は、層の全てが埋め込まれる状態の他に、層の一部が埋め込まれる状態も含む。
第6磁性層16として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。第2磁性層12として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第3磁性層13として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
第6磁性層16には、第3積層体10cに関して説明した第5磁性層15の材料と同様の材料を用いることができる。
その他の各層の構造および材料は、第1積層体10aに関して説明した各層の構造および材料とそれぞれ同様である。
図13は、第6積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図9に表した第2積層体10bと比較して、図13に表した第6積層体10fは、第6磁性層16をさらに含む。第6磁性層16は、第2領域77に設けられる。第6磁性層16は、第2領域77に埋設される。図9に表した第2積層体10bと比較して、図13に表した第6積層体10fには、下地層26が設けられていない。
第6磁性層16として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。第2磁性層12として、例えば、5nmの厚さのFe50Co50層が用いられる。第3磁性層13として、例えば、5nmの厚さのFe50Co50層が用いられる。第4磁性層14として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第6磁性層16には、第3積層体10cに関して説明した第5磁性層15の材料と同様の材料を用いることができる。
その他の各層の構造および材料は、第1積層体10aに関して説明した各層の構造および材料とそれぞれ同様である。
以下の図14〜図19に表した積層体の構造は、磁化自由層が磁化固定層よりも上に形成されたボトム型のスピンバルブ構造である。
図14は、第7積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図14に表した第7積層体10gは、第1磁性層11と、第2磁性層12と、第3磁性層13と、スペーサ層25と、下地層26と、ピニング層27と、第1キャップ層28と、を含む。第1磁性層11は、第1参照層11aと、磁気結合層11bと、第2参照層11cと、を含む。
第1領域75において、下地層26は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。下地層26と第2電極52との間に、ピニング層27が設けられる。ピニング層27と第2電極52との間に、第2参照層11cが設けられる。第2参照層11cと第2電極52との間に、磁気結合層11bが設けられる。磁気結合層11bと第2電極52との間に、第1参照層11aが設けられる。第1参照層11aと第2電極52との間に、スペーサ層25が設けられる。スペーサ層25と第2電極52との間に、第2磁性層12が設けられる。第2磁性層12と第2電極52との間に、第1キャップ層28が設けられる。
下地層26、ピニング層27、第1磁性層11及びスペーサ層25は、第1領域75に埋設される。
第2領域77の上において、第1キャップ層28が設けられる。ダイアフラム74と第1キャップ層28との間に、第3磁性層13が設けられる。
第3磁性層13は、第2磁性層12と連続している。例えば、第3磁性層13は、第2磁性層12と一体の磁性層として形成される。この場合、第2磁性層12は、1つの磁性層のうちの第1部分P1であって、第1電極51と第2電極52との間に設けられる第1部分P1である。この場合、第3磁性層13は、1つの磁性層のうちの第2部分P2であって、第2領域77の上に設けられる第2部分P2である。
あるいは、第3磁性層13は、第2磁性層12と別体の磁性層として形成されてもよい。この場合、第3磁性層13は、積層方向と交差する方向において第2磁性層12と接する。
いずれの場合でも、積層方向と交差する方向(X軸方向)において、第3磁性層13は、第2磁性層12と重なる部分を含む。言い換えれば、第3磁性層13は、積層方向において第2磁性層12と離間していない。
第2磁性層12には、図8に関して説明した第2磁性層12の材料と同様の材料を用いることができる。第3磁性層13には、図8に関して説明した第3磁性層13の材料と同様の材料を用いることができる。第7積層体10gにおける第2磁性層12に対するスペーサ層25の配置は、第1積層体10aにおける第2磁性層12に対するスペーサ層25の配置とは積層方向(Z軸方向)において反対である。そのため、第2磁性層12および第3磁性層13の少なくともいずれかが2層構造を有する場合には、2層構造(2層の配置関係)を積層方向(Z軸方向)において第1積層体10aの場合とは反対にすることが望ましい。
スペーサ層25としてMgOのトンネル絶縁層を用いる場合には、スペーサ層25に接する界面には、Co−Fe−B合金の層を設けることが好ましい。これにより、高い磁気抵抗効果が得られる。この場合、スペーサ層25の上には、Co−Fe−B合金の層を設け、その上にFe−Co−Si−B合金、λs(磁歪定数)>100ppmを示すFe−Ga合金、Fe−Co−Ga合金、Tb−M−Fe合金(Mは、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Tb−M1−Fe−M2合金(M1は、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。M2は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Fe−M3−M4−B合金(M3は、Ti、Cr、Mn、Co、Cu、Nb、Mo、W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。M4は、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Ni、Fe−Alやフェライト(Fe3O4、(FeCo)3O4)など)を形成することが望ましい。例えば、第2磁性層12および第3磁性層13の少なくともいずれかとして、Co40Fe40B20/Fe80Ga20を用いることができる。Co40Fe40B20の厚さは、2nmである。Fe80Ga20の厚さは、4nmである。第2磁性層12および第3磁性層13以外の各層には、第1積層体10aに関して説明した材料と同様の材料をそれぞれ用いることができる。
図15は、第8積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図14に表した第7積層体10gと比較して、図15に表した第8積層体10hは、第4磁性層14をさらに含む。第4磁性層14は、第1領域75においてスペーサ層25と第2磁性層12との間に設けられる。第4磁性層14は、第1領域75に埋設される。
第4磁性層14として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第2磁性層12として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。第3磁性層13として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。
第4磁性層14には、第2積層体10bに関して説明した第4磁性層14の材料と同様の材料を用いることができる。第2磁性層12には、第2積層体10bに関して説明した第2磁性層12の材料と同様の材料を用いることができる。第3磁性層13には、第2積層体10bに関して説明した第3磁性層13の材料と同様の材料を用いることができる。
第2磁性層12、第3磁性層13及び第4磁性層14以外の各層には、第1積層体10aに関して説明した材料と同様の材料をそれぞれ用いることができる。
図16は、第9積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図15に表した第8積層体10hと比較して、図16に表した第9積層体10iは、第5磁性層15をさらに含む。第5磁性層15は、第3磁性層13の下に設けられる。第5磁性層15は、第2領域77に埋設される。
第2磁性層12として、例えば、5nmの厚さのFe50Co50層が用いられる。第3磁性層13として、例えば、5nmの厚さのFe50Co50層が用いられる。第4磁性層14として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第5磁性層15として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。
第2磁性層12の材料には、第3積層体10cに関して説明した第2磁性層12の材料と同様の材料を用いることができる。第3磁性層13の材料には、第3積層体10cに関して説明した第3磁性層13の材料と同様の材料を用いることができる。第4磁性層14の材料には、第3積層体10cに関して説明した第4磁性層14の材料と同様の材料を用いることができる。第5磁性層15の材料には、第3積層体10cに関して説明した第5磁性層15の材料と同様の材料を用いることができる。第2磁性層12、第3磁性層13、第4磁性層14及び第5磁性層以外の各層には、第1積層体10aに関して説明した材料と同様の材料をそれぞれ用いることができる。
図17は、第10積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図14に表した第7積層体10gと比較して、図17に表した第10積層体10jは、第5磁性層15をさらに含む。第5磁性層15は、第3磁性層13の下に設けられる。第5磁性層15は、第2領域77に埋設される。
第2磁性層12として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第3磁性層13として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第5磁性層15として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。
第2磁性層12の材料には、第4積層体10dに関して説明した第2磁性層12の材料と同様の材料を用いることができる。第3磁性層13の材料には、第4積層体10dに関して説明した第3磁性層13の材料と同様の材料を用いることができる。第5磁性層15の材料には、第4積層体10dに関して説明した第5磁性層15の材料と同様の材料を用いることができる。第2磁性層12、第3磁性層13及び第5磁性層15以外の各層には、第1積層体10aに関して説明した材料と同様の材料をそれぞれ用いることができる。
図18は、第11積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図14に表した第7積層体10gと比較して、図18に表した第11積層体10kは、第6磁性層16をさらに含む。第6磁性層16は、第2領域の上において第3磁性層13の上に設けられる。つまり、ダイアフラム74と第6磁性層16との間に、第3磁性層13が設けられる。
第2磁性層12として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第3磁性層13として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第6磁性層16として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。
第2磁性層12の材料には、第5積層体10eに関して説明した第2磁性層12の材料と同様の材料を用いることができる。第3磁性層13の材料には、第5積層体10eに関して説明した第3磁性層13の材料と同様の材料を用いることができる。第6磁性層16の材料には、第5積層体10eに関して説明した第6磁性層16の材料の同様の材料を用いることができる。第2磁性層12、第3磁性層13及び第6磁性層16以外の各層には、第1積層体10aに関して説明した材料と同様の材料をそれぞれ用いることができる。
図19は、第12積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図15に表した第8積層体10hと比較して、図19に表した第12積層体10lは、第6磁性層をさらに含む。第6磁性層16は、第2領域の上において第3磁性層13の上に設けられる。つまり、ダイアフラム74と第6磁性層16との間に、第3磁性層13が設けられる。
第6磁性層16として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。第2磁性層12として、例えば、5nmの厚さのFe50Co50層が用いられる。第3磁性層13として、例えば、5nmの厚さのFe50Co50層が用いられる。第4磁性層14として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
第2磁性層12の材料には、第6積層体10fに関して説明した第2磁性層12の材料と同様の材料を用いることができる。第3磁性層13の材料には、第6積層体10fに関して説明した第3磁性層13の材料と同様の材料を用いることができる。第4磁性層14の材料には、第6積層体10fに関して説明した第4磁性層14の材料と同様の材料を用いることができる。第6磁性層16の材料には、第6積層体10fに関して説明した第6磁性層16の材料と同様の材料を用いることができる。第2磁性層12、第3磁性層13、第4磁性層14及び第6磁性層16以外の各層には、第1積層体10aに関して説明した材料と同様の材料をそれぞれ用いることができる。
以下の図20〜図23に表した積層体の構造は、磁化自由層の上下に磁化固定層が形成されたデュアル型のスピンバルブ構造である。積層体の構造がデュアル型のスピンバルブ構造である場合において、例えば、スペーサ層にトンネル絶縁層を用いると、絶縁層が2層となる。積層体に定電圧を加えた場合において、絶縁層1層あたりに加わる電圧は、1層で形成された絶縁層に加わる電圧よりも低くなる。そのため、より高い電圧において、より高い磁気抵抗効果が得られる。より高い電圧において、より高い素子通電信頼性が得られる。
図20は、第13積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図20に表した第13積層体10mは、第1積層部の第1磁性層111と、第2積層部の第1磁性層112と、第2磁性層12と、第3磁性層13と、第1スペーサ層251と、第2スペーサ層252と、下地層26と、第1ピニング層271と、第2ピニング層272と、第1キャップ層28と、を含む。第1積層部の第1磁性層111は、第1積層部の第1参照層111aと、第1積層部の磁気結合層111bと、第1積層部の第2参照層111cと、を含む。第2積層部の第1磁性層112は、第2積層部の第1参照層112aと、第2積層部の磁気結合層112bと、第2積層部の第2参照層112cと、を含む。
第1領域75において、下地層26は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。下地層26と第2電極52との間に、第1ピニング層271が設けられる。第1ピニング層271と第2電極52との間に、第1積層部の第2参照層111cが設けられる。第1積層部の第2参照層111cと第2電極52との間に、第1積層部の磁気結合層111bが設けられる。第1積層部の磁気結合層111bと第2電極52との間に、第1積層部の第1参照層111aが設けられる。第1積層部の第1参照層111aと第2電極52との間に、第1スペーサ層251が設けられる。第1スペーサ層251と第2電極52との間に、第2磁性層12が設けられる。第2磁性層12と第2電極52との間に、第2スペーサ層252が設けられる。第2スペーサ層252と第2電極52との間に、第2積層部の第1参照層112aが設けられる。第2積層部の第1参照層112aと第2電極52との間に、第2積層部の磁気結合層112bが設けられる。第2積層部の磁気結合層112bと第2電極52との間に、第2積層部の第2参照層112cが設けられる。第2積層部の第2参照層112cと第2電極52との間に、第2ピニング層272が設けられる。第2ピニング層272と第2電極52との間に、第1キャップ層28が設けられる。
下地層26、第1ピニング層271、第1積層部の第1磁性層111及び第1スペーサ層251は、第1領域75に埋設される。
第2領域77の上において、第3磁性層13が設けられる。
第3磁性層13は、第2磁性層12と連続している。例えば、第3磁性層13は、第2磁性層12と一体の磁性層として形成される。この場合、第2磁性層12は、1つの磁性層のうちの第1部分P1であって、第1電極51と第2電極52との間に設けられる第1部分P1である。この場合、第3磁性層13は、1つの磁性層のうちの第2部分P2であって、第2領域77の上に設けられる第2部分P2である。
あるいは、第3磁性層13は、第2磁性層12と別体の磁性層として形成されてもよい。この場合、第3磁性層13は、積層方向と交差する方向において第2磁性層12と接する。
いずれの場合でも、積層方向と交差する方向(X軸方向)において、第3磁性層13は、第2磁性層12と重なる部分を含む。言い換えれば、第3磁性層13は、積層方向において第2磁性層12と離間していない。
第2磁性層12には、図8に関して説明した第2磁性層12の材料と同様の材料を用いることができる。第3磁性層13には、図8に関して説明した第3磁性層13の材料と同様の材料を用いることができる。第13積層体10mでは、第1スペーサ層251が第2磁性層12の下にある。第13積層体10mでは、第2スペーサ層252が第2磁性層12の上にある。そのため、第2磁性層12および第3磁性層13の少なくともいずれかが2層構造を有する場合には、第1スペーサ層251の界面には、より高い磁気抵抗効果が得られる強磁性体を配置することが望ましい。第2スペーサ層252の界面には、より高い磁気抵抗効果が得られる強磁性体を配置することが望ましい。
第1スペーサ層251および第2スペーサ層252のそれぞれにMgOのトンネル絶縁層を用いる場合には、第1スペーサ層251および第2スペーサ層252のそれぞれに接する界面には、Co−Fe−B合金の層を設けることが好ましい。これにより、高い磁気抵抗効果が得られる。この場合、第1スペーサ層251および第2スペーサ層252のそれぞれの界面には、Co−Fe−B合金の層をそれぞれ設け、その間にFe−Co−Si−B合金、λs(磁歪定数)>100ppmを示すFe−Ga合金、Fe−Co−Ga合金、Tb−M−Fe合金(Mは、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Tb−M1−Fe−M2合金(M1は、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。M2は、Ti,Cr,Mn,Co,Cu,Nb,Mo,W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Fe−M3−M4−B合金(M3は、Ti,Cr,Mn,Co,Cu,Nb,Mo,W及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つ。M4は、Ce,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy及びErよりなる群から選択された少なくとも1つ。)、Ni、Fe−Alやフェライト(Fe3O4、(FeCo)3O4)など)の層を形成することが望ましい。例えば、第2磁性層12および第3磁性層13として、Co40Fe40B20/Fe80Ga20/Co40Fe40B20を設けることが望ましい。Co40Fe40B20の厚さは、例えば2nmである。Fe80Ga20の厚さは、例えば4nmである。第2磁性層12および第3磁性層13以外の各層には、第1積層体10aに関して説明した材料と同様の材料をそれぞれ用いることができる。
第2磁性層12および第3磁性層13の少なくともいずれかとして、Co40Fe40B20/Fe80Ga20/Co40Fe40B20が用いられる。Co40Fe40B20の厚さは、2nmである。Fe80Ga20の厚さは、6nmである。Co40Fe40B20の厚さは、2nmである。
図21は、第14積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図20に表した第13積層体10mと比較して、図21に表した第14積層体10nは、第1積層部の第4磁性層141と、第2積層部の第4磁性層142と、をさらに含む。第1積層部の第4磁性層141は、第1スペーサ層251と第2磁性層12との間に設けられる。第2積層部の第4磁性層142は、第2磁性層12と第2スペーサ層252との間に設けられる。第1積層部の第4磁性層141は、第1領域75に埋設される。
第1積層部の第4磁性層141として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層を用いられる。第2磁性層12として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層を用いられる。第3磁性層13として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層を用いられる。第2積層部の第4磁性層142として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層を用いられる。
第1積層部の第4磁性層141には、第2積層体10bに関して説明した第4磁性層14の材料と同様の材料を用いることができる。第2積層部の第4磁性層142には、第2積層体10bに関して説明した第4磁性層14の材料と同様の材料を用いることができる。第2磁性層12には、第2積層体10bに関して説明した第2磁性層12の材料と同様の材料を用いることができる。第3磁性層13には、第2積層体10bに関して説明した第3磁性層13の材料と同様の材料を用いることができる。
第2磁性層12、第3磁性層13、第1積層部の第4磁性層141及び第2積層部の第4磁性層142以外の各層には、第1積層体10aに関して説明した材料と同様の材料をそれぞれ用いることができる。
図22は、第15積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図20に表した第13積層体10mと比較して、図22に表した第15積層体10oは、第5磁性層15をさらに含む。第5磁性層15は、第3磁性層13の上に設けられる。つまり、第2領域77の上において、第3磁性層13は、ダイアフラム74と第5磁性層15との間に設けられる。
第2磁性層12として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第3磁性層13として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第5磁性層15として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。
第2磁性層12の材料には、第4積層体10dに関して説明した第2磁性層12の材料と同様の材料を用いることができる。第3磁性層13の材料には、第4積層体10dに関して説明した第3磁性層13の材料と同様の材料を用いることができる。第5磁性層15の材料には、第4積層体10dに関して説明した第5磁性層15の材料と同様の材料を用いることができる。第2磁性層12、第3磁性層13及び第5磁性層15以外の各層には、第1積層体10aに関して説明した材料と同様の材料をそれぞれ用いることができる。
図23は、第16積層体の構成を例示する模式的断面図である。
図21に表した第14積層体10nと比較して、図23に表した第16積層体10pは、第5磁性層15をさらに含む。第5磁性層15は、第3磁性層13の上に設けられる。つまり、第2領域77の上において、第3磁性層13は、ダイアフラム74と第5磁性層15との間に設けられる。
第1積層部の第4磁性層141として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第2磁性層12として、例えば、5nmの厚さのFe50Co50層が用いられる。第3磁性層13として、例えば、5nmの厚さのFe50Co50層が用いられる。第2積層部の第4磁性層142として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。第5磁性層15として、例えば、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。
第2磁性層12の材料には、第3積層体10cに関して説明した第2磁性層12の材料と同様の材料を用いることができる。第3磁性層13の材料には、第3積層体10cに関して説明した第3磁性層13の材料と同様の材料を用いることができる。第1積層部の第4磁性層141には、第3積層体10cに関して説明した第4磁性層14の材料と同様の材料を用いることができる。第2積層部の第4磁性層142には、第3積層体10cに関して説明した第4磁性層14の材料と同様の材料を用いることができる。第5磁性層15の材料には、第3積層体10cに関して説明した第5磁性層15の材料と同様の材料を用いることができる。
第2磁性層12、第3磁性層13、第1積層部の第4磁性層141、第2積層部の第4磁性層142及び第5磁性層15以外の各層には、第1積層体10aに関して説明した材料と同様の材料をそれぞれ用いることができる。
図24(a)〜図24(g)は、本実施形態に係る積層体の第1の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
これらの図は、第3積層体10cの製造方法の例を表している。
図24(a)に示すように、支持基板(例えばSi基板)71の上に、ダイアフラム膜73となる薄膜(例えばSiO2/Si)73fを形成する。ここでは、積層体の製造方法の詳細について述べ、ダイアフラム膜73の製造方法は後に述べる。
図24(b)に示すように、ダイアフラム膜73となる薄膜73fの一部をエッチングする。エッチングを行った部分に、第1電極51となる金属を埋め込む。この工程には、例えば、「リフトオフ」工程が用いられる。リフトオフ工程では、フォトリソグラフィーにより第1電極51となる金属のパターンを開口部としたレジストを形成する。レジストを残したままで、第1電極51となる金属を成膜する。その後、レジストを剥離することで、第1電極51のパターン外のレジスト上の金属も同時に剥離する。これにより、ダイアフラム膜73の一部に、第1電極51が埋め込まれた構造を形成することができる。
図24(b)〜図24(g)では、支持基板71の図示を省略する。
この工程では、リフトオフ工程以外の工程を用いることができる。第1電極51のパターンの部分のダイアフラム膜73を除去する工程の後に、第1電極51を全面に成膜する。第1電極51のパターンの部分の外の第1電極51の金属を除去する。これらの2回のフォトリソグラフィーを行ってもよい。ダイアフラム膜73や第1電極51のエッチングには、物理ミリング、RIE(リアクティブ・イオン・エッチング)などを用いることができる。第1電極51の膜の形成には、スパッタ、メッキ、CVDなどが用いられる。図24(b)に例示した構造の作製の最後に、表面にCMP(ケミカルメカニカルポリッシング)による表面平坦化を行ってもよい。表面平坦化を行うことで、第2磁性膜12f、第4磁性膜14f、スペーサ膜25f及び第1参照膜11afなどを平坦とすることができる。これにより、より高い磁気抵抗効果が得られる。
図24(c)に示すように、支持基板71の上において、第1領域75と第2領域とに第3積層体10cとなる膜を形成する。この工程では、支持基板71の上の全面に第3積層体10cとなる膜を成膜する。第3積層体10cとなる膜の成膜には、例えばスパッタが用いられる。第1電極51の上に、下地層26となる下地膜26fを形成する。下地膜26fの上に、第2磁性層12となる第2磁性膜12fを形成する。下地膜26fの上に、第3磁性層13となる第3磁性膜13fを形成する。第2磁性膜12fおよび第3磁性膜13fの上に、第4磁性層14となる第4磁性膜14fを形成する。第4磁性膜14fの上に、スペーサ層25となるスペーサ膜25fを形成する。スペーサ膜25fの上に、第1参照層11aとなる第1参照膜11afを形成する。第1参照膜11afの上に、磁気結合層11bとなる磁気結合膜11bfを形成する。磁気結合膜11bfの上に、第2参照層11cとなる第2参照膜11cfを形成する。第2参照膜11cfの上に、ピニング層27となるピニング膜27fを形成する。ピニング膜27fの上に、第1キャップ層28となる第1キャップ膜28fを形成する。
実施形態においては、多層膜の真空一貫成膜を行うため、10元程度の多元カソードのスパッタ装置を用いることが望ましい。フォトリソグラフィーとエッチングとにより、ダイアフラム74のエッジ部における第1領域75および第2領域77以外の第3積層体10cの膜を除去する。
図24(d)に示すように、フォトリソグラフィーとエッチングとにより、第2領域77の第3積層体10cの膜の中で、第4磁性膜14f、スペーサ膜25f、第1参照膜11af、磁気結合膜11bf、第2参照膜11cf、ピニング膜27f及び第1キャップ膜28fをエッチングにより除去する。これにより、第1領域75の上に、下地層26と、第2磁性層12と、第4磁性層14と、スペーサ層25と、第1参照層11aと、磁気結合層11bと、第2参照層11cと、ピニング層27と、第1キャップ層28と、が形成される。第1領域75および第2領域77の上に、下地層26と、第3磁性層13と、が形成される。この際、リフトオフ工程を用いることで、第3積層体10cの膜の周囲が絶縁膜55fによって埋め込まれる。
図24(e)に示すように、フォトリソグラフィーとエッチングとにより、第2領域77の上の絶縁膜55fを除去する。これにより、絶縁体55が第3積層体10cの膜の周囲に形成される。図24(e)において、第3磁性層13の上の絶縁膜55fは、図24(d)に関して説明した工程においてフォトリソグラフィーとエッチングとにより第2領域77の上に埋めこまれたものである。
図24(f)に示すように、第3磁性層13の上に、第5磁性膜15fを形成する。第5磁性膜15fの上に、第2キャップ層29を形成する。この工程では、第5磁性膜15fを成膜する前に、第3磁性層13の表面をエッチングで除去し、第3磁性層13の表面の酸化物を除去する。第5磁性膜15fを支持基板71の上の全面に形成した後に、フォトリソグラフィーとエッチングとにより、第2領域77の第3磁性層13の上以外に成膜された第5磁性膜15fを除去する。これにより、第3磁性層13の上に、第5磁性層15が形成される。
図24(g)に示すように、第1領域75の第3積層体10cの上に第2電極52を形成する。この工程においては、第2電極52の成膜、第2電極52のパターンのフォトリソグラフィーとエッチングとにより形成できる。
図24(g)に示す工程において、第3積層体10cの製造は完了する。その後、ダイアフラム構造の形成が行われる。
図24(a)〜図24(g)に示した製造方法は、一例である。フォトリソグラフィーとエッチングとによるパターニングの順番や、リフトオフ工程の使用の有無などは、技術的に可能な範囲で変えても良い。例えば、図24(g)に示す第2電極52の形成後に、全面に保護膜を形成してもよい。保護膜として、絶縁層や樹脂などを用いてもよい。第2キャップ層29は、省略してもよい。
図25(a)〜図25(g)は、本実施形態に係る積層体の第2の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
これらの図は、第3積層体10cの製造方法の他の例を表している。
図25(a)に表した工程は、図24(a)に関して説明した工程と同一である。図25(b)に表した工程は、図24(b)に関して説明した工程と同一である。
図25(c)に示すように、支持基板71の上において、第1領域75と第2領域77とに第3積層体10cとなる膜を形成する。この工程では、支持基板71の上の全面に第3積層体10cとなる膜を成膜する。第3積層体10cとなる膜の成膜には、例えばスパッタが用いられる。第1電極51の上に、下地層26となる下地膜26fを形成する。下地膜26fの上に、第2磁性層12となる第2磁性膜12fを形成する。下地膜26fの上に、第3磁性層13となる第3磁性膜13fを形成する。第2磁性膜12fおよび第3磁性膜13fの上に、キャップ層となるキャップ膜24fを形成する。このキャップ層24は、後の工程において除去される。
実施形態においては、多層膜の真空一貫成膜を行うため、10元程度の多元カソードのスパッタ装置を用いることが望ましい。フォトリソグラフィーとエッチングとにより、ダイアフラム74のエッジ部における第1領域75および第2領域77以外の第3積層体10cの膜を除去する。
図25(d)に示すように、フォトリソグラフィーとエッチングとにより、第2磁性層12の上に、第4磁性14、スペーサ層25、第1参照層11a、磁気結合層11b、第2参照層11c、ピニング層27及び第1キャップ層28を形成する。この工程では、まず、図25(c)において、第2磁性膜12fおよび第3磁性膜13fの上に形成されたキャップ層24をミリングもしくは基板バイアススパッタにより除去する。第2磁性膜12fおよび第3磁性膜13fの上に、第4磁性膜14f、スペーサ膜25f、第1参照膜11af、磁気結合膜11bf、第2参照膜11cf、ピニング膜27f及び第1キャップ膜28fを全面に形成する。
次に、第2磁性膜12fの上以外に形成された第4磁性膜14f、スペーサ膜25f、第1参照膜11af、磁気結合膜11bf、第2参照膜11cf、ピニング膜27f及び第1キャップ膜28fをフォトリソグラフィーとエッチングにより除去する。これにより、第1領域75の上に、下地層26と、第2磁性層12と、第4磁性層14と、スペーサ層25と、第1参照層11aと、磁気結合層11bと、第2参照層11cと、ピニング層27と、第1キャップ層28と、が形成される。第1領域75および第2領域77の上に、下地層26と、第3磁性層13と、が形成される。この際、リフトオフ工程を用いることで、第3積層体10cの膜の周囲が絶縁膜55fによって埋め込まれる。
図25(e)に表した工程は、図24(e)に関して説明した工程と同一である。図25(f)に表した工程は、図24(f)に関して説明した工程と同一である。図25(g)に表した工程は、図24(g)に関して説明した工程と同一である。
図25(a)〜図25(g)に示した製造方法は、一例である。フォトリソグラフィーとエッチングとによるパターニングの順番や、リフトオフ工程の使用の有無などは、技術的に可能な範囲で変えてもよい。例えば、図25(g)に示す第2電極52の形成後に、全面に保護膜を形成してもよい。保護膜として、絶縁層や樹脂などを用いてもよい。第2キャップ層29は、省略してもよい。
図26は、本実施形態に係る第1磁化自由層の構成を例示する模式的斜視図である。
図27は、本実施形態に係る第2磁化自由層の構成を例示する模式的斜視図である。
図26および図27では、第3積層体10cの構成の例を説明する。以下の第3積層体10cに関する説明は、第1積層体10a、第2積層体10b及び第4積層体10d〜第16積層体10pに適用され得る。
図26に示すように、第1磁化自由層は、第2磁性層121と、第3磁性層131と、第4磁性層141と、第5磁性層151と、を含む。第2磁性層121、第3磁性層131、第4磁性層141及び第5磁性層151は、2次元的に長方形の形状を有してもよい。
図27に示すように、第2磁化自由層は、第2磁性層122と、第3磁性層132と、第4磁性層142と、第5磁性層152と、を含む。第3磁性層132の体積は、第2磁性層122の体積よりも大きくてもよい。第3磁性層132の体積は、第4磁性層142の体積よりも大きくてもよい。第5磁性層152の体積は、第2磁性層122の体積よりも大きくてもよい。第5磁性層152の体積は、第4磁性層142の体積よりも大きくてもよい。
図27に示すように、積層方向と直交する平面への第3磁性層132の投影面積は、積層方向と直交する平面への第2磁性層122の投影面積よりも大きくてもよい。積層方向と直交する平面への第3磁性層132の投影面積は、積層方向と直交する平面への第4磁性層142の投影面積よりも大きくてもよい。積層方向と直交する平面への第5磁性層152の投影面積は、積層方向と直交する平面への第2磁性層122の投影面積よりも大きくてもよい。積層方向と直交する平面への第5磁性層152の投影面積は、積層方向と直交する平面への第4磁性層142の投影面積よりも大きくてもよい。
図27に示すように、第3磁性層132の厚さ(Z軸方向の長さ)は、第2磁性層122の厚さ(Z軸方向の長さ)よりも厚くてもよい。第3磁性層132の厚さは、第4磁性層142の厚さ(Z軸方向の長さ)よりも厚くてもよい。第5磁性層152の厚さ(Z軸方向の長さ)は、第2磁性層122の厚さよりも厚くてもよい。第5磁性層152の厚さ(Z軸方向の長さ)は、第4磁性層142の厚さよりも厚くてもよい。
図27の示すように、第3磁性層132の厚さと第5磁性層152の厚さとの和は、第2磁性層122の厚さと第4磁性層142の厚さとの和よりも厚くてもよい。
第3積層体10cにおいて、ダイアフラム74の歪により磁化の変化が起きる磁化自由層は、第2領域77の上に形成される磁化自由層(第3磁性層131および第5磁性層151、または、第3磁性層132および第5磁性層152)である。第3磁性層131は、第2磁性層121と磁気的に結合している。第3磁性層132は、第2磁性層122と磁気的に結合している。そのため、第2磁性層121の磁化は、第3磁性層131の磁化の変化に連動して変化する。言い換えれば、第2磁性層121の磁化の方向は、第3磁性層131の磁化の方向に応じて変化する。第2磁性層122の磁化は、第3磁性層132の磁化の変化に連動して変化する。言い換えれば、第2磁性層122の磁化の方向は、第3磁性層132の磁化の方向に応じて変化する。
第2磁性層121の磁化は、第3磁性層131の磁化の変化に完全に連動して変化しなくてもよい。第2磁性層122の磁化は、第3磁性層132の磁化の変化に完全に連動して変化しなくてもよい。磁化のトランスデュースの際に、若干の損失(ロス)が生ずる。
図27に表した第2磁化自由層の場合には、第3磁性層132の体積は、第2磁性層122の体積よりも大きい。言い換えれば、第2磁性層122の体積は、第3磁性層132の体積よりも小さい。そのため、図26に表した第1磁化自由層の場合と比較して、第2磁性層122の磁化は、より容易に、第3磁性層132の磁化に連動して変化する。これにより、磁化のトランスデュースの際の損失を最小限に抑えることができる。
より高い圧力感度を得る上では、第2磁化自由層の構造は、第1磁化自由層の構造よりも好ましい。
図28は、本実施形態に係る第1ハードバイアス層の構成を例示する模式的斜視図である。
以下の図28〜図32では、本実施形態に係る圧力センサ310が第3積層体10cを含む場合を例に挙げて、本実施形態について説明する。以下の図28〜図32に関する説明は、本実施形態に係る圧力センサ310が第1積層体10a、第2積層体10b及び第4積層体10d〜第16積層体10pのいずれかを含む場合に適用され得る。
図28に表した圧力センサは、第1ハードバイアス層30aを含む。第1ハードバイアス層30aは、第1ハードバイアス31と、第2ハードバイアス32と、第3ハードバイアス33と、第4ハードバイアス34と、を含む。第1ハードバイアス31は、第1領域75の上に設けられる。第2ハードバイアス32は、第1領域75の上に設けられる。第3ハードバイアス33は、第2領域77の上に設けられる。第4ハードバイアス34は、第2領域77の上に設けられる。
積層方向と交差する方向(この例ではY軸方向)において、第1ハードバイアス31と第2ハードバイアス32との間に、第2磁性層12および第4磁性層14が設けられる。積層方向と交差する方向(この例ではY軸方向)において、第3ハードバイアス33と第4ハードバイアス34との間に、第3磁性層13および第5磁性層15が設けられる。
この例では、第1ハードバイアス31は、第3ハードバイアス33と連続している。例えば、第3ハードバイアス33は、第1ハードバイアス31と一体のハードバイアスとして形成される。この場合、第1ハードバイアス31は、1つのハードバイアスのうちの第1ハードバイアス部分P11であって、第1領域75の上に設けられる第1ハードバイアス部分P11である。この場合、第3ハードバイアス33は、1つのハードバイアスのうちの第3ハードバイアス部分P13であって、第2領域77の上に設けられる第3ハードバイアス部分P13である。
あるいは、第1ハードバイアス31は、第3ハードバイアス33と別体のハードバイアスとして形成されていてもよい。この場合、第3ハードバイアス33は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第1ハードバイアス31と接する。
この例では、第2ハードバイアス32は、第4ハードバイアス34と連続している。例えば、第4ハードバイアス34は、第2ハードバイアス32と一体のハードバイアスとして形成される。この場合、第2ハードバイアス32は、1つのハードバイアスのうちの第2ハードバイアス部分P12であって、第1領域75の上に設けられる第2ハードバイアス部分P12である。この場合、第4ハードバイアス34は、1つのハードバイアスのうちの第4ハードバイアス部分P14であって、第2領域77の上に設けられる第4ハードバイアス部分P14である。
あるいは、第2ハードバイアス32は、第4ハードバイアス34と別体のハードバイアスとして形成されていてもよい。この場合、第4ハードバイアス34は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第2ハードバイアス32と接する。
第1ハードバイアス31の磁化は、一方向に向けられている。第2ハードバイアス32の磁化は、一方向に向けられている。第3ハードバイアス33の磁化は、一方向に向けられている。第4ハードバイアス34の磁化は、一方向に向けられている。この例では、第1ハードバイアス31〜第4ハードバイアス34のそれぞれの磁化は、ダイアフラム74の円周方向と同じ方向に向けられている。
第1ハードバイアス31は、第1ハードバイアス31自身の磁化により、第2磁性層12〜第5磁性層15の少なくともいずれかの磁化を任意の方向に向かせる。第2ハードバイアス32は、第2ハードバイアス32自身の磁化により、第2磁性層12〜第5磁性層15の少なくともいずれかの磁化を任意の方向に向かせる。第3ハードバイアス33は、第3ハードバイアス33自身の磁化により、第2磁性層12〜第5磁性層15の少なくともいずれかの磁化を任意の方向に向かせる。第4ハードバイアス34は、第4ハードバイアス34自身の磁化により、第2磁性層12〜第5磁性層15の少なくともいずれかの磁化を任意の方向に向かせる。
これにより、圧力がダイアフラム74に印加されていない状態において、第2磁性層12〜第5磁性層15のそれぞれの磁化を任意の方向に向かせることができる。第2磁性層12〜第5磁性層15のそれぞれの磁化を第1ハードバイアス層30aによりバイアスすることで、第2磁性層12〜第5磁性層15のそれぞれの内部の磁区の発生を抑制し、再現性のよい圧力−電気抵抗特性を得ることができる。
第1ハードバイアス31には、例えば、CoPt、CoCrPt、FePt等の磁気異方性が比較的高い硬質強磁性材料が用いられる。第1ハードバイアス31には、硬質強磁性材料以外にも、FeCoやFeなどの軟磁性材料を反強磁性層と積層して交換結合により一方向に磁化を揃えたものを用いてもよい。第1ハードバイアス31の厚さ(Z軸方向の長さ)は、例えば約5nm〜50nm程度である。第2ハードバイアス32〜第4ハードバイアス34のそれぞれには、第1ハードバイアス31の材料と同様の材料を用いられる。第2ハードバイアス32〜第4ハードバイアス34のそれぞれの厚さは、第1ハードバイアス31の厚さと同程度である。
図29は、本実施形態に係る第2ハードバイアス層の構成を例示する模式的斜視図である。
図29に表した圧力センサは、第2ハードバイアス層30bを含む。第2ハードバイアス層30bは、第1ハードバイアス31と、第2ハードバイアス32と、第3ハードバイアス33と、第4ハードバイアス34と、を含む。第1ハードバイアス31は、第1領域75の上に設けられる。第2ハードバイアス32は、第1領域75の上に設けられる。第3ハードバイアス33は、第2領域77の上に設けられる。第4ハードバイアス34は、第2領域77の上に設けられる。
この例では、第1ハードバイアス31は、第3ハードバイアス33と別体のハードバイアスとして形成されている。第3ハードバイアス33は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第1ハードバイアス31と離間して設けられる。第2ハードバイアス32は、第4ハードバイアス34と別体のハードバイアスとして形成されている。第4ハードバイアス34は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第2ハードバイアス32と離間して設けられる。
その他の第2ハードバイアス層30bの構造は、第1ハードバイアス層30aの構造と同様である。
この例では、第5磁性層15の材料や形状などに合わせたより適正なハードバイアスを選択して使い分けることができる。この例では、第4磁性層14の材料や形状などに合わせたより適正なハードバイアスを選択して使い分けることができる。例えば、第5磁性層15の厚さが第4磁性層14の厚さよりも厚い場合には、第3ハードバイアス33の磁気膜厚を第1ハードバイアス31の磁気膜厚および第2ハードバイアス32の磁気膜厚のそれぞれよりも大きくする。あるいは、第4ハードバイアス34の磁気膜厚を第1ハードバイアス31の磁気膜厚および第2ハードバイアス32の磁気膜厚のそれぞれよりも大きくする。あるいは、第3磁性層13の厚さと第5磁性層15の厚さとの和が、第2磁性層12の厚さと第4磁性層14の厚さとの和よりも厚い場合には、第3ハードバイアス33の磁気膜厚を第1ハードバイアス31の磁気膜厚および第2ハードバイアス32の磁気膜厚のそれぞれよりも大きくする。あるいは、第4ハードバイアス34の磁気膜厚を第1ハードバイアス31の磁気膜厚および第2ハードバイアス32の磁気膜厚のそれぞれよりも大きくする。第3ハードバイアス33の磁界は、第1ハードバイアス31の磁界および第2ハードバイアス32の磁界のそれぞれよりも大きくなる。第4ハードバイアス34の磁界は、第1ハードバイアス31の磁界および第2ハードバイアス32の磁界のそれぞれよりも大きくなる。これにより、第2磁性層12〜第5磁性層15のそれぞれに対してより適正なバイアス磁界を加えることができる。
図30は、本実施形態に係る第3ハードバイアス層の構成を例示する模式的斜視図である。
図30に表した圧力センサは、第3ハードバイアス層30cを含む。第3ハードバイアス層30cは、第3ハードバイアス33と、第4ハードバイアス34と、を含む。つまり、第3ハードバイアス層30cには、第1ハードバイアス層30aと比較して、第1ハードバイアス31および第2ハードバイアス32が設けられていない。
その他の第3ハードバイアス層30cの構造は、第1ハードバイアス層30aの構造と同様である。
この例では、第3ハードバイアス層30cから第3磁性層13へ磁界を加える。この例では、第3ハードバイアス層30cから第5の磁性層15へ磁界を加える。第2磁性層12は、第3磁性層13と磁気的に結合している。そのため、第2磁性層12のバイアスポイントおよび第4磁性層14のバイアスポイントを制御することができる。
図31は、本実施形態に係る第4ハードバイアス層の構成を例示する模式的斜視図である。
図31に表した圧力センサは、第4ハードバイアス層30dを含む。第4ハードバイアス層30dは、第1ハードバイアス31と、第2ハードバイアス32と、を含む。つまり、第4ハードバイアス層30dには、第1ハードバイアス層30aと比較して、第3ハードバイアス33および第4ハードバイアス34が設けられていない。
その他の第4ハードバイアス層30dの構造は、第1ハードバイアス層30aの構造と同様である。
この例では、第4ハードバイアス層30dから第2磁性層12へ磁界を加える。この例では、第4ハードバイアス層30dから第4の磁性層14へ磁界を加える。第3磁性層13は、第2磁性層12と磁気的に結合している。そのため、第3磁性層13のバイアスポイントおよび第5磁性層15のバイアスポイントを制御することができる。
図32は、本実施形態に係る第5ハードバイアス層の構成を例示する模式的斜視図である。
図32に表した圧力センサは、第5ハードバイアス層30eを含む。第5ハードバイアス層30eの構造は、磁化の方向を除き、第1ハードバイアス層30aの構造と同様である。この例では、第1ハードバイアス31〜第4ハードバイアス34のそれぞれの磁化は、ダイアフラム74の円周方向から傾いた方向(例えば45°方向)に向けられている。
図28および図32に表したように、第1ハードバイアス31〜第4ハードバイアス34のそれぞれの磁化の方向は、任意である。第1ハードバイアス31〜第4ハードバイアス34のそれぞれの磁化の方向は、例えば、5kOe(エルステッド:Oe)の磁界を第1ハードバイアス31〜第4ハードバイアス34のそれぞれに加えて着磁することで決定する。
着磁の際に加える磁界は、第1ハードバイアス31〜第4ハードバイアス34のそれぞれに用いられる硬質強磁性材料の保磁力よりも大きい値とする。第1ハードバイアス31〜第4ハードバイアス34のそれぞれに、軟磁性材料と反強磁性層との積層体を用いる場合には、磁界中熱処理を行う。例えば、第1ハードバイアス31〜第4ハードバイアス34のそれぞれに、FeCoとIrMnとの積層体を用いる場合には、290℃の温度で1時間の磁界中熱処理を行う。これにより、FeCoの磁化を一方向に向けることができる。
(第2の実施形態)
図33(a)および図33(b)は、第2の実施形態に係る圧力センサの構成を例示する模式図である。
図33(a)は、模式的平面図である。図33(b)は、図33(a)に表したB1−B2線断面図である。図33(a)および図33(b)では、図を見易くするために、一部の層の図示を省略している。
図33(a)および図33(b)に表したように、本実施形態に係る圧力センサ311は、基板70と、第1電極51と、第2電極52と、絶縁体55と、積層体110と、を含む。基板70は、第1の実施形態に関して説明した基板70と同様である。第1電極51は、第1の実施形態に関して説明した第1電極51と同様である。第2電極52は、第1の実施形態に関して説明した第2電極52と同様である。絶縁体55は、第1の実施形態に関して説明した絶縁体55と同様である。
積層体110の一部は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。積層体110の他部は、第2領域77の上に設けられる。積層体110は、第2領域(ダイアフラム74)に発生する歪に応じて電気抵抗が変化する歪検知素子として機能する。
図34(a)および図34(b)は、第2の実施形態に係る圧力センサの一部の構成を例示する模式図である。
図34(a)は、第2の実施形態に係る圧力センサの一部の構成を例示する模式的斜視図である。図34(b)は、第2の実施形態に係る圧力センサに設けられる積層体の構成を例示する模式的平面図である。
積層体110は、第1磁性層11と、第2磁性層12と、スペーサ層25と、を含む。第1磁性層11は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。第2磁性層12は、第1電極51と第1磁性層11との間、及び、第1磁性層11と第2電極52との間のいずれかに設けられる。第2磁性層12の磁化の方向は、可変である。スペーサ層25は、第1電極51から第2電極52へ向かう積層方向において、第1磁性層11と第2磁性層12との間に設けられる。
この例では、積層体110は、第1磁性層11と、第2磁性層12と、第3磁性層13と、スペーサ層25と、第1下地層261と、第2下地層262と、ピニング層27と、第1キャップ層28と、第2キャップ層29と、を含む。第1磁性層11は、第1参照層11aと、磁気結合層11bと、第2参照層11cと、を含む。但し、第1磁性層11は、1層の参照層から形成されていてもよい。
この例の第1領域75の上において、第1下地層261は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。第1下地層261と第2電極52との間に、第2磁性層12が設けられる。第2磁性層12と第2電極52との間に、スペーサ層25が設けられる。スペーサ層25と第2電極52との間に、第1参照層11aが設けられる。第1参照層11aと第2電極52との間に、磁気結合層11bが設けられる。磁気結合層11bと第2電極52との間に、第2参照層11cが設けられる。第2参照層11cと第2電極52との間に、ピニング層27が設けられる。ピニング層27と第2電極52との間に、第1キャップ層28が設けられる。
この例の第2領域77の上において、第2キャップ層29が設けられる。ダイアフラム74と第2キャップ層29との間に、第2下地層262が設けられる。第2下地層262と第2キャップ層29との間に、第3磁性層13が設けられる。
この例では、第3磁性層13は、第2磁性層12と別体の磁性層として形成されている。第3磁性層13は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第2磁性層12と離間して設けられる。第2下地層262は、第1下地層261と別体の下地層として形成される。第2下地層262は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第1下地層261と離間して設けられる。
あるいは、第3磁性層13は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第2磁性層12と接してもよい。第2下地層262は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第1下地層261と接してもよい。
いずれの場合でも、積層方向と交差する方向(この例では、X軸方向)において、第3磁性層13は、第2磁性層12と重なる部分を含む。言い換えれば、第3磁性層13は、積層方向において第2磁性層12と離間していない。
以下では、第3磁性層13が、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第2磁性層12と離間して設けられる場合について説明する。以下では、第2下地層262が、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第1下地層261と離間して設けられる場合について説明する。
その他の積層体110の構造は、第1の実施形態に係る積層体10の構造と同様である。つまり、その他の各層の配置および機能などは、第1の実施形態に係る積層体10に関して説明した各層の配置および機能などとそれぞれ同様である。
以下、本実施形態に係る圧力センサの動作の例について説明する。
図35(a)および図35(b)は、本実施形態に係る圧力センサの動作を例示する模式図である。
図36(a)および図36(b)は、本実施形態に係る圧力センサの動作を例示する模式図である。
図35(a)は、外部圧力が加えられていない状態の圧力センサを例示する模式的平面図である。図35(b)は、外部圧力が加えられていない状態の磁化方向を例示する模式的斜視図である。
図36(a)は、ダイアフラムの裏面(下面)から外部圧力を加えた状態の圧力センサを例示する模式的平面図である。図36(b)は、ダイアフラムの裏面(下面)から外部圧力を加えた状態の磁化方向を例示する模式的斜視図である。
図4(a)および図4(b)に関して説明したように、ダイアフラム74のエッジ部では、ダイアフラム74の表面に半径方向に圧縮の歪が発生する。
この際、第3磁性層13に圧縮歪が発生する。そのため、第3磁性層13が正の磁歪定数を有する強磁性体で形成されている場合には、第3磁性層13の磁化は圧縮の歪が加わった方向との角度が増大するように「逆磁歪効果」が働く。そのため、図36(b)に表した矢印A4のように、第3磁性層の磁化M3と、第1磁性層の磁化M1と、の間の相対角度は、ダイアフラム74が撓んでいない状態における180°から変化する。
一方、第2磁性層12に歪は発生しない。ここで、図36(b)に表したように、第2磁性層12には、第3磁性層13からの漏洩磁界M32が加わる。そのため、第2磁性層12の磁化M2は、第3磁性層13の磁化M3の変化に連動して変化する。言い換えれば、第2磁性層12の磁化M2の方向は、第3磁性層13の磁化M3の方向に応じて変化する。すなわち、歪が発生する第2領域77の上に設けられた第3磁性層13の磁化M3の変化を、第1領域75の上に設けられた第2磁性層12の磁化M2に伝達(トランスデュース)することができる。
第2領域77の上の第3磁性層13と、第1領域75の上の第2磁性層12と、との間における歪による物理量変化のトランスデュースは、シリコン(Si)ピエゾ抵抗変化素子では存在しない。このトランスデュースは、磁性膜を用いた歪検知素子における現象である。歪の発生しない第1領域75においても、外部圧力による第2磁性層の磁化M2の変化を引き起こすことができる。これにより、外部圧力に対する電気抵抗の変化を得ることができる。
その他の圧力センサ311の動作は、図3(a)〜図7に関して説明した圧力センサ310の動作と同様である。
以下、本実施形態に係る積層体の構成の例について、図面を参照して説明する。
図37は、第17積層体の構成を例示する模式的断面図である。
第17積層体110aの構造は、磁化自由層が磁化固定層よりも下に形成されたトップ型のスピンバルブ構造である。
第17積層体110aは、第1磁性層11と、第2磁性層12と、第3磁性層13と、スペーサ層25と、第1下地層261と、第2下地層262と、ピニング層27と、第1キャップ層28と、第2キャップ層29と、を含む。第1磁性層11は、第1参照層11aと、磁気結合層11bと、第2参照層11cと、を含む。
第1領域75の上において、第1下地層261は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。第1下地層261と第2電極52との間に、第2磁性層12が設けられる。第2磁性層12と第2電極52との間に、スペーサ層25が設けられる。スペーサ層25と第2電極52との間に、第1参照層11aが設けられる。第1参照層11aと第2電極52との間に、磁気結合層11bが設けられる。磁気結合層11bと第2電極52との間に、第2参照層11cが設けられる。第2参照層11cと第2電極52との間に、ピニング層27が設けられる。ピニング層27と第2電極52との間に、第1キャップ層28が設けられる。
第2領域77の上において、第2キャップ層29が設けられる。ダイアフラム74と第2キャップ層29との間に、第2下地層262が設けられる。第2下地層262と第2キャップ層29との間に、第3磁性層13が設けられる。
第3磁性層13は、第2磁性層12と別体の磁性層として形成されている。第3磁性層13は、積層方向と交差する方向(X軸方向)において第2磁性層12と離間して設けられる。第2下地層262は、第1下地層261と別体の下地層として形成される。第2下地層262は、積層方向と交差する方向(X軸方向)において第1下地層261と離間して設けられる。
あるいは、第3磁性層13は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第2磁性層12と接してもよい。第2下地層262は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第1下地層261と接してもよい。
いずれの場合でも、積層方向と交差する方向(X軸方向)において、第3磁性層13は、第2磁性層12と重なる部分を含む。言い換えれば、第3磁性層13は、積層方向において第2磁性層12と離間していない。第3磁性層13の磁歪定数の絶対値は、第2磁性層12の磁歪定数の絶対値よりも大きいことが好ましい。
第17積層体110aは、例えば以下の構成を有する。
支持基板71には、シリコンが用いられる。
第1電極51には、タンタル(Ta)/銅(Cu)/タンタル(Ta)が用いられる。銅の下に形成されるタンタルの厚さは、10nmである。銅の厚さは、200nmである。銅の上に形成されるタンタルの厚さは、30nmである。
第1下地層261には、5nmの厚さのTa層が用いられる。
第2磁性層12には、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
スペーサ層25には、1.5nmの厚さのMgO層が用いられる。
第1参照層11aには、3nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
磁気結合層11bには、0.9nmの厚さのRu層が用いられる。
第2参照層11cには、2.5nmの厚さのCo75Fe25層が用いられる。
ピニング層27には、7nmの厚さのIrMn層が用いられる。
第1キャップ層28には、Ta/Ruが用いられる。Ta層の厚さは、1nmである。Ru層の厚さは、5nmである。
第2電極52には、タンタル(Ta)/銅(Cu)/タンタル(Ta)が用いられる。銅の下に形成されるタンタルの厚さは、10nmである。銅の厚さは、200nmである。銅の上に形成されるタンタルの厚さは、30nmである。
第2下地層262には、Ta/Cuが用いられる。Taの厚さは、1nmである。Cuの厚さは、2nmである。
第3磁性層13には、10nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。
第2キャップ層29には、Ta/Ruが用いられる。Taの厚さは、2nmである。Ruの厚さは、5nmである。
第1電極51には、第1積層体10aに関して説明した第1電極51の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2電極52には、第1積層体10aに関して説明した第2電極52の構造および材料をそれぞれ用いることができる。
第1下地層261には、第1積層体10aに関して説明した下地層26の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2下地層262には、第1積層体10aに関して説明した下地層26の構造および材料をそれぞれ用いることができる。
第1下地層261には、例えば、第1バッファ層(図示せず)と第1シード層(図示せず)との積層構造が用いられる。第1バッファ層には、例えば、5nmの厚さのTa層が用いられる。
第2下地層262には、第2バッファ層(図示せず)と第2シード層(図示せず)との積層構造が用いられる。第2バッファ層には、例えば、1nmの厚さのTa層が用いられる。
第2磁性層12は、磁化自由層である。第3磁性層13は、磁化自由層である。第2磁性層12および第3磁性層13には、強磁性体材料がそれぞれ用いられる。
第3磁性層13は、歪の発生するダイアフラム74の上で「逆磁歪効果」により、歪による磁化の変化を得る。第3磁性層13は、歪に対する磁化の応答性に寄与する。そのため、第3磁性層13には、より高い磁歪を有する強磁性材料を用いることが望ましい。
第2磁性層12は、スペーサ層25と接して設けられ、「磁気抵抗効果」により磁化の応答に対する電気抵抗の変化率に寄与する。そのため、第2磁性層12には、より高い磁気抵抗効果を発現する強磁性材料を用いることが望ましい。より高い磁歪を有する強磁性材料は、より高い磁気抵抗効果を発現する強磁性材料とは必ずしも一致しない。そのため、それぞれの層に適切な材料を用いる。第3磁性層13には、第2磁性層12の磁歪定数の絶対値よりも大きい絶対値の磁歪定数を有する強磁性体を用いることが望ましい。
第3磁性層13には、第1積層体10aに関して説明した第3磁性層13の構造および材料をそれぞれ用いることができる。
第2磁性層12として、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。具体的には、第2磁性層12として、(CoxFe100−x)100−yBy合金(x=0%〜100%、y=0%〜30%)が用いられる。第2磁性層12として(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いた場合には、例えば、第17積層体110aのサイズが小さくなった場合においても結晶粒に起因した素子間のバラツキを抑えることができる。第2磁性層12として(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いた場合には、第2参照層11cをより平坦な膜にすることができる。このため、第2参照層11cの上に形成される層(例えばトンネル絶縁層(図示せず))を平坦化することができる。トンネル絶縁層の平坦化により、トンネル絶縁層の欠陥密度を減らすことができる。そのため、より低い面積抵抗でより大きいMR変化率が得られる。例えば、トンネル絶縁層の材料としてMgOを用いる場合には、(CoxFe100−x)100−yByのアモルファス合金を用いることで、トンネル絶縁層の上に形成されるMgO層の(100)配向性を強めることができる。MgO層の(100)配向性をより高くすることで、より大きいMR変化率が得られる。(CoxFe100−x)100−yBy合金は、アニール時にMgO層の(100)面をテンプレートとして結晶化する。このため、MgOと(CoxFe100−x)100−yBy合金との良好な結晶整合が得られる。良好な結晶整合を得ることで、より大きいMR変化率が得られる。
第2磁性層12として、Co−Fe−B合金以外に、例えば、Fe−Co合金を用いてもよい。
第2磁性層12の厚さがより厚いと、より大きなMR変化率が得られる。より大きな固定磁界を得るためには、第2磁性層12の厚さは薄いほうが好ましい。MR変化率と固定磁界との間には、第2磁性層12の厚さにおいてトレードオフの関係が存在する。第2磁性層12としてCo−Fe−B合金を用いる場合には、第2磁性層12の厚さは、1.5nm以上5nm以下が好ましい。第2磁性層12の厚さは、2.0nm以上4nm以下がより好ましい。
第2磁性層12には、上述した材料の他に、fcc構造のCo90Fe10合金又はhcp構造のCo若しくはCo合金を用いてもよい。第2磁性層12として、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。第2磁性層12として、これらの材料から選択された少なくとも1つの材料を含む合金が用いられる。第2磁性層12として、bcc構造のFeCo合金材料、50%以上のコバルト組成を含むCo合金、または、50%以上のNi組成の材料を用いることで、例えば、より大きなMR変化率が得られる。第2磁性層12として、Co2MnGe、Co2FeGe、Co2MnSi、Co2FeSi、Co2MnAl、Co2FeAl、Co2MnGa0.5Ge0.5、Co2FeGa0.5Ge0.5などのホイスラー磁性合金層を用いることもできる。
スペーサ層25には、第1積層体10aに関して説明したスペーサ層25の構造および材料をそれぞれ用いることができる。
第1参照層11aには、第1積層体10aに関して説明した第1参照層11aの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1参照層11aとして、例えば、4nmの厚さのCo40Fe40B20層が用いられる。
磁気結合層11bには、第1積層体10aに関して説明した磁気結合層11bの構造および材料をそれぞれ用いることができる。
第2参照層11cには、第1積層体10aに関して説明した第2参照層11cの構造および材料をそれぞれ用いることができる。
ピニング層27には、第1積層体10aに関して説明したピニング層27の構造および材料をそれぞれ用いることができる。
第1キャップ層28には、第1積層体10aに関して説明した第1キャップ層28の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2キャップ層29には、第1積層体10aに関して説明した第1キャップ層28の構造および材料をそれぞれ用いることができる。
図38は、第18積層体の構成を例示する模式的断面図である。
第18積層体110bの構造は、磁化自由層が磁化固定層よりも上に形成されたボトム型のスピンバルブ構造である。
第18積層体110bは、第1磁性層11と、第2磁性層12と、第3磁性層13と、スペーサ層25と、第1下地層261と、第2下地層262と、ピニング層27と、第1キャップ層28と、第2キャップ層29と、を含む。第1磁性層11は、第1参照層11aと、磁気結合層11bと、第2参照層11cと、を含む。
第1領域75において、第1下地層261は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。第1下地層261と第2電極52との間に、ピニング層27が設けられる。ピニング層27と第2電極52との間に、第2参照層11cが設けられる。第2参照層11cと第2電極52との間に、磁気結合層11bが設けられる。磁気結合層11bと第2電極52との間に、第1参照層11aが設けられる。第1参照層11aと第2電極52との間に、スペーサ層25が設けられる。スペーサ層25と第2電極52との間に、第2磁性層12が設けられる。第2磁性層12と第2電極52との間に、第1キャップ層28が設けられる。
第1下地層261、ピニング層27、第1磁性層11及びスペーサ層25は、第1領域75に埋設される。
第2領域77の上において、第2キャップ層29が設けられる。ダイアフラム74と第2キャップ層29との間に、第2下地層262が設けられる。第2下地層262と第2キャップ層29との間に、第3磁性層13が設けられる。
第3磁性層13は、第2磁性層12と別体の磁性層として形成されている。第3磁性層13は、積層方向と交差する方向(X軸方向)において第2磁性層12と離間して設けられる。第2下地層262は、第1下地層261と別体の下地層として形成される。第2下地層262は、積層方向と交差する方向(X軸方向)において第1下地層261と離間して設けられる。
あるいは、第3磁性層13は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第2磁性層12と接してもよい。第2下地層262は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第1下地層261と接してもよい。
いずれの場合でも、積層方向と交差する方向(X軸方向)において、第3磁性層13は、第2磁性層12と重なる部分を含む。言い換えれば、第3磁性層13は、積層方向において第2磁性層12と離間していない。第3磁性層13の磁歪定数の絶対値は、第2磁性層12の磁歪定数の絶対値よりも大きいことが好ましい。
第1下地層261には、第17積層体110aに関して説明した第1下地層261の構造および材料をそれぞれ用いることができる。ピニング層27には、第17積層体110aに関して説明したピニング層27の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2参照層11cには、第17積層体110aに関して説明した第2参照層11cの構造および材料をそれぞれ用いることができる。磁気結合層11bには、第17積層体110aに関して説明した磁気結合層11bの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1参照層11aには、第17積層体110aに関して説明した第1参照層11aの構造および材料をそれぞれ用いることができる。スペーサ層25には、第17積層体110aに関して説明したスペーサ層25の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2磁性層12には、第17積層体110aに関して説明した第2磁性層12の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1キャップ層28には、第17積層体110aに関して説明した第1キャップ層28の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2下地層262には、第17積層体110aに関して説明した第2下地層262の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第3磁性層13には、第17積層体110aに関して説明した第3磁性層13の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2キャップ層29には、第17積層体110aに関して説明した第2キャップ層29の構造および材料をそれぞれ用いることができる。
図39は、第19積層体の構成を例示する模式的断面図である。
第19積層体110cの構造は、磁化自由層が磁化固定層よりも上に形成されたボトム型のスピンバルブ構造である。
図38に表した第18積層体110bと比較して、図39に表した第19積層体110cでは、第1下地層261、ピニング層27及び第1磁性層11は、第1領域75の上に設けられる。その他の各層の構成は、第18積層体110bの各層の構成とそれぞれ同様である。
第1下地層261には、第17積層体110aに関して説明した第1下地層261の構造および材料をそれぞれ用いることができる。ピニング層27には、第17積層体110aに関して説明したピニング層27の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2参照層11cには、第17積層体110aに関して説明した第2参照層11cの構造および材料をそれぞれ用いることができる。磁気結合層11bには、第17積層体110aに関して説明した磁気結合層11bの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1参照層11aには、第17積層体110aに関して説明した第1参照層11aの構造および材料をそれぞれ用いることができる。スペーサ層25には、第17積層体110aに関して説明したスペーサ層25の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2磁性層12には、第17積層体110aに関して説明した第2磁性層12の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1キャップ層28には、第17積層体110aに関して説明した第1キャップ層28の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2下地層262には、第17積層体110aに関して説明した第2下地層262の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第3磁性層13には、第17積層体110aに関して説明した第3磁性層13の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2キャップ層29には、第17積層体110aに関して説明した第2キャップ層29の構造および材料をそれぞれ用いることができる。
積層方向と交差する方向(X軸方向)において、第3磁性層13は、第2磁性層12と重なる部分を含む。言い換えれば、第3磁性層13は、積層方向において第2磁性層12と離間していない。第3磁性層13は、積層方向において第2磁性層12の位置(高さ)と同じ位置(高さ)に設けられることが望ましい。
第2下地層262として、例えば、Ta/Cuが用いられる。Taの厚さは、10nmである。Cuの厚さは、10nmである。第3磁性層13として、例えば、20nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。第2キャップ層29として、例えば、Ta/Ruが用いられる。Taの厚さは、2nmである。Ruの厚さは、5nmである。
図40は、第20積層体の構成を例示する模式的断面図である。
第20積層体110dの構造は、磁化自由層の上下に磁化固定層が形成されたデュアル型のスピンバルブ構造である。積層体の構造がデュアル型のスピンバルブ構造である場合において、例えば、スペーサ層にトンネル絶縁層を用いると、絶縁層が2層となる。第20積層体110dに定電圧を加えた場合において、絶縁層1層あたりに加わる電圧は、1層で形成された絶縁層に加わる電圧よりも低くなる。そのため、より高い電圧において、より高い磁気抵抗効果が得られる。より高い電圧において、より高い素子通電信頼性が得られる。
第20積層体110dは、第1積層部の第1磁性層111と、第2積層部の第1磁性層112と、第2磁性層12と、第3磁性層13と、第1スペーサ層251と、第2スペーサ層252と、第1下地層261と、第2下地層262と、第1ピニング層271と、第2ピニング層272と、第1キャップ層28と、第2キャップ層29と、を含む。第1積層部の第1磁性層111は、第1積層部の第1参照層111aと、第1積層部の磁気結合層111bと、第1積層部の第2参照層111cと、を含む。第2積層部の第1磁性層112は、第2積層部の第1参照層112aと、第2積層部の磁気結合層112bと、第2積層部の第2参照層112cと、を含む。
第1領域75において、第1下地層261は、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。第1下地層261と第2電極52との間に、第1ピニング層271が設けられる。第1ピニング層271と第2電極52との間に、第1積層部の第2参照層111cが設けられる。第1積層部の第2参照層111cと第2電極52との間に、第1積層部の磁気結合層111bが設けられる。第1積層部の磁気結合層111bと第2電極52との間に、第1積層部の第1参照層111aが設けられる。第1積層部の第1参照層111aと第2電極52との間に、第1スペーサ層251が設けられる。第1スペーサ層251と第2電極52との間に、第2磁性層12が設けられる。第2磁性層12と第2電極52との間に、第2スペーサ層252が設けられる。第2スペーサ層252と第2電極52との間に、第2積層部の第1参照層112aが設けられる。第2積層部の第1参照層112aと第2電極52との間に、第2積層部の磁気結合層112bが設けられる。第2積層部の磁気結合層112bと第2電極52との間に、第2積層部の第2参照層112cが設けられる。第2積層部の第2参照層112cと第2電極52との間に、第2ピニング層272が設けられる。第2ピニング層272と第2電極52との間に、第1キャップ層28が設けられる。
第1下地層261、第1ピニング層271、第1積層部の第1磁性層111及び第1スペーサ層251は、第1領域75に埋設される。
第2領域77の上において、第2キャップ層29が設けられる。ダイアフラム74と第2キャップ層29との間に、第2下地層262が設けられる。第2下地層262と第2キャップ層29との間に、第3磁性層13が設けられる。
第3磁性層13は、第2磁性層12と別体の磁性層として形成されている。第3磁性層13は、積層方向と交差する方向(X軸方向)において第2磁性層12と離間して設けられる。第2下地層262は、第1下地層261と別体の下地層として形成される。第2下地層262は、積層方向と交差する方向(X軸方向)において第1下地層261と離間して設けられる。
あるいは、第3磁性層13は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第2磁性層12と接してもよい。第2下地層262は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第1下地層261と接してもよい。
いずれの場合でも、積層方向と交差する方向(X軸方向)において、第3磁性層13は、第2磁性層12と重なる部分を含む。言い換えれば、第3磁性層13は、積層方向において第2磁性層12と離間していない。第3磁性層13の磁歪定数の絶対値は、第2磁性層12の磁歪定数の絶対値よりも大きいことが好ましい。
第1下地層261には、第17積層体110aに関して説明した第1下地層261の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1ピニング層271には、第17積層体110aに関して説明したピニング層27の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1積層部の第2参照層111cには、第17積層体110aに関して説明した第2参照層11cの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1積層部の磁気結合層111bには、第17積層体110aに関して説明した磁気結合層11bの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1積層部の第1参照層111aには、第17積層体110aに関して説明した第1参照層11aの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1スペーサ層251には、第17積層体110aに関して説明したスペーサ層25の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2磁性層12には、第17積層体110aに関して説明した第2磁性層12の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2スペーサ層252には、第17積層体110aに関して説明したスペーサ層25の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2積層部の第1参照層112aには、第17積層体110aに関して説明した第1参照層11aの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2積層部の磁気結合層112bには、第17積層体110aに関して説明した磁気結合層11bの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2積層部の第2参照層112cには、第17積層体110aに関して説明した第2参照層11cの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2ピニング層272には、第17積層体110aに関して説明したピニング層27の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1キャップ層28には、第17積層体110aに関して説明した第1キャップ層28の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2下地層262には、第17積層体110aに関して説明した第2下地層262の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第3磁性層13には、第17積層体110aに関して説明した第3磁性層13の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2キャップ層29には、第17積層体110aに関して説明した第2キャップ層29の構造および材料をそれぞれ用いることができる。
図41は、第21積層体の構成を例示する模式的断面図である。
第21積層体110eの構造は、磁化自由層の上下に磁化固定層が形成されたデュアル型のスピンバルブ構造である。
図40に表した第20積層体110dと比較して、図41に表した第21積層体110eでは、第1下地層261、第1ピニング層271、第1積層部の第1磁性層111及び第1スペーサ層251は、第1領域75の上に設けられる。その他の各層の構成は、第20積層体110dの各層の構成とそれぞれ同様である。
第1下地層261には、第17積層体110aに関して説明した第1下地層261の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1ピニング層271には、第17積層体110aに関して説明したピニング層27の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1積層部の第2参照層111cには、第17積層体110aに関して説明した第2参照層11cの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1積層部の磁気結合層111bには、第17積層体110aに関して説明した磁気結合層11bの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1積層部の第1参照層111aには、第17積層体110aに関して説明した第1参照層11aの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1スペーサ層251には、第17積層体110aに関して説明したスペーサ層25の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2磁性層12には、第17積層体110aに関して説明した第2磁性層12の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2スペーサ層252には、第17積層体110aに関して説明したスペーサ層25の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2積層部の第1参照層112aには、第17積層体110aに関して説明した第1参照層11aの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2積層部の磁気結合層112bには、第17積層体110aに関して説明した磁気結合層11bの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2積層部の第2参照層112cには、第17積層体110aに関して説明した第2参照層11cの構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2ピニング層272には、第17積層体110aに関して説明したピニング層27の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第1キャップ層28には、第17積層体110aに関して説明した第1キャップ層28の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2下地層262には、第17積層体110aに関して説明した第2下地層262の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第3磁性層13には、第17積層体110aに関して説明した第3磁性層13の構造および材料をそれぞれ用いることができる。第2キャップ層29には、第17積層体110aに関して説明した第2キャップ層29の構造および材料をそれぞれ用いることができる。
積層方向と交差する方向(X軸方向)において、第3磁性層13は、第2磁性層12と重なる部分を含む。言い換えれば、第3磁性層13は、積層方向において第2磁性層12と離間していない。第3磁性層13は、積層方向において第2磁性層12の位置(高さ)と同じ位置(高さ)に設けられることが望ましい。
第2下地層262として、例えば、Ta/Cuが用いられる。Taの厚さは、10nmである。Cuの厚さは、10nmである。第3磁性層13として、例えば、20nmの厚さのFe80Ga20層が用いられる。第2キャップ層29として、例えば、Ta/Ruが用いられる。Taの厚さは、2nmである。Ruの厚さは、5nmである。
図42は、本実施形態に係る第3磁化自由層の構成を例示する模式的斜視図である。
図43は、本実施形態に係る第4磁化自由層の構成を例示する模式的斜視図である。
図42および図43では、第17積層体110aを例に挙げて、本実施形態について説明する。以下の第17積層体110aに関する説明は、第18積層体110b、第19積層体110c、第20積層体110d及び第21積層体110eに適用され得る。
図42に示すように、第3磁化自由層は、第2磁性層123と、第3磁性層133と、を含む。第2磁性層123および第3磁性層133は、正方体または直方体の形状を有することができる。
図43に示すように、第4磁化自由層は、第3磁性層134と、第2磁性層124と、を含む。第3磁性層134の体積は、第2磁性層124の体積よりも大きくてもよい。
図43に示すように、積層方向と直交する平面への第3磁性層134の投影面積は、積層方向と直交する平面への第2磁性層124の投影面積よりも大きくてもよい。
図43に示すように、第3磁性層134の厚さ(Z軸方向の長さ)は、第2磁性層124の厚さ(Z軸方向の長さ)よりも厚くてもよい。
第17積層体110eにおいて、ダイアフラム74の歪により磁化の変化が起きる磁化自由層は、第2領域77の上に形成される磁化自由層(第3磁性層133または第3磁性層134)である。第2磁性層123には、第3磁性層133からの漏洩磁界が加わる。第2磁性層124には、第3磁性層134からの漏洩磁界が加わる。そのため、第2磁性層123の磁化は、第3磁性層133の磁化の変化に連動して変化する。言い換えれば、第2磁性層123の磁化の方向は、第3磁性層133の磁化の方向に応じて変化する。第2磁性層124の磁化は、第3磁性層134の磁化の変化に連動して変化する。言い換えれば、第2磁性層124の磁化の方向は、第3磁性層134の磁化の方向に応じて変化する。
但し、第2磁性層123の磁化は、第3磁性層133の磁化の変化に完全に連動して変化するわけではない。第2磁性層124の磁化は、第3磁性層134の磁化の変化に完全に連動して変化するわけではない。磁化のトランスデュースの際に、若干の損失(ロス)が生ずる。
図43に表した第4磁化自由層の場合には、第3磁性層134の体積は、第2磁性層124の体積よりも大きい。言い換えれば、第2磁性層124の体積は、第3磁性層134の体積よりも小さい。そのため、図42に表した第3磁化自由層の場合と比較して、第2磁性層124の磁化は、より容易に、第3磁性層134の磁化に連動して変化する。これにより、磁化のトランスデュースの際の損失を最小限に抑えることができる。
より高い圧力感度を得る上では、第4磁化自由層の構造は、第3磁化自由層の構造よりも好ましい。
図44は、本実施形態に係る第6ハードバイアス層の構成を例示する模式的斜視図である。
以下の図44〜図48では、本実施形態に係る圧力センサ311が第17積層体110aを含む場合を例に挙げて、本実施形態について説明する。以下の図44〜図48に関する説明は、本実施形態に係る圧力センサ311が第18積層体110b〜第21積層体110eのいずれかを含む場合に適用され得る。
図44に表した圧力センサは、第6ハードバイアス層30fを含む。第6ハードバイアス層30fは、第5ハードバイアス35と、第6ハードバイアス36と、第7ハードバイアス37と、第8ハードバイアス38と、を含む。第5ハードバイアス35は、第1領域75の上に設けられる。第6ハードバイアス36は、第1領域75の上に設けられる。第7ハードバイアス37は、第2領域77の上に設けられる。第8ハードバイアス38は、第2領域77の上に設けられる。
積層方向と交差する方向(この例ではY軸方向)において、第5ハードバイアス35と第6ハードバイアス36との間に、第2磁性層12が設けられる。積層方向と交差する方向(この例ではY軸方向)において、第7ハードバイアス37と第8ハードバイアス38との間に、第3磁性層13が設けられる。
この例では、第5ハードバイアス35は、第7ハードバイアス37と連続している。例えば、第7ハードバイアス37は、第5ハードバイアス35と一体のハードバイアスとして形成される。この場合、第5ハードバイアス35は、1つのハードバイアスのうちの第5ハードバイアス部分P15であって、第1領域75の上に設けられる第5ハードバイアス部分P15である。この場合、第7ハードバイアス37は、1つのハードバイアスのうちの第7ハードバイアス部分P17であって、第2領域77の上に設けられる第7ハードバイアス部分P17である。
あるいは、第5ハードバイアス35は、第7ハードバイアス37と別体のハードバイアスとして形成されていてもよい。この場合、第7ハードバイアス37は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第5ハードバイアス35と接する。
この例では、第6ハードバイアス36は、第8ハードバイアス38と連続している。例えば、第8ハードバイアス38は、第6ハードバイアス36と一体のハードバイアスとして形成される。この場合、第6ハードバイアス36は、1つのハードバイアスのうちの第6ハードバイアス部分P16であって、第1領域75の上に設けられる第6ハードバイアス部分P16である。この場合、第8ハードバイアス38は、1つのハードバイアスのうちの第8ハードバイアス部分P18であって、第2領域77の上に設けられる第8ハードバイアス部分P18である。
あるいは、第6ハードバイアス36は、第8ハードバイアス38と別体のハードバイアスとして形成されていてもよい。この場合、第8ハードバイアス38は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第6ハードバイアス36と接する。
第5ハードバイアス35の磁化は、一方向に向けられている。第6ハードバイアス36の磁化は、一方向に向けられている。第7ハードバイアス37の磁化は、一方向に向けられている。第8ハードバイアス38の磁化は、一方向に向けられている。この例では、第5ハードバイアス35〜第8ハードバイアス38のそれぞれの磁化は、ダイアフラム74の円周方向と同じ方向に向けられている。
第5ハードバイアス35は、第5ハードバイアス35自身の磁化により、第2磁性層12および第3磁性層13の少なくともいずれかの磁化を任意の方向に向かせる。第6ハードバイアス36は、第6ハードバイアス36自身の磁化により、第2磁性層12および第3磁性層13の少なくともいずれかの磁化を任意の方向に向かせる。第7ハードバイアス37は、第7ハードバイアス37自身の磁化により、第2磁性層12および第3磁性層13の少なくともいずれかの磁化を任意の方向に向かせる。第8ハードバイアス38は、第8ハードバイアス38自身の磁化により、第2磁性層12および第3磁性層13の少なくともいずれかの磁化を任意の方向に向かせる。
これにより、圧力がダイアフラム74に印加されていない状態において、第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれの磁化を任意の方向に向かせることができる。第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれの磁化を第6ハードバイアス層30fによりバイアスすることで、第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれの内部の磁区の発生を抑制し、再現性のよい圧力−電気抵抗特性を得ることができる。
第5ハードバイアス35には、例えば、CoPt、CoCrPt、FePt等の磁気異方性が比較的高い硬質強磁性材料が用いられる。第5ハードバイアス35には、硬質強磁性材料以外にも、FeCoやFeなどの軟磁性材料を反強磁性層と積層して交換結合により一方向に磁化を揃えたものが用いられる。第5ハードバイアス35の厚さ(Z軸方向の長さ)は、例えば約5nm〜50nm程度である。第6ハードバイアス36〜第8ハードバイアス38のそれぞれには、第5ハードバイアス35の材料と同様の材料が用いられる。第6ハードバイアス36〜第8ハードバイアス38のそれぞれの厚さは、第5ハードバイアス35の厚さと同程度である。
図45は、本実施形態に係る第7ハードバイアス層の構成を例示する模式的斜視図である。
図45に表した圧力センサは、第7ハードバイアス層30gを含む。第7ハードバイアス層30gは、第5ハードバイアス35と、第6ハードバイアス36と、第7ハードバイアス37と、第8ハードバイアス38と、を含む。第5ハードバイアス35は、第1領域75の上に設けられる。第6ハードバイアス36は、第1領域75の上に設けられる。第7ハードバイアス37は、第2領域77の上に設けられる。第8ハードバイアス38は、第2領域77の上に設けられる。
この例では、第5ハードバイアス35は、第7ハードバイアス37と別体のハードバイアスとして形成されている。第7ハードバイアス37は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第5ハードバイアス35と離間して設けられる。第6ハードバイアス36は、第8ハードバイアス38と別体のハードバイアスとして形成されている。第8ハードバイアス38は、積層方向と交差する方向(この例ではX軸方向)において第6ハードバイアス36と離間して設けられる。
その他の第7ハードバイアス層30gの構造は、第6ハードバイアス層30fの構造と同様である。
この例では、第3磁性層13の材料や形状などに合わせたより適正なハードバイアスを選択して使い分けることができる。この例では、第2磁性層12の材料や形状などに合わせたより適正なハードバイアスを選択して使い分けることができる。例えば、第3磁性層13の厚さが第2磁性層12の厚さよりも厚い場合には、第7ハードバイアス37の磁気膜厚を第5ハードバイアス35の磁気膜厚および第6ハードバイアス36の磁気膜厚よりも大きくする。あるいは、第8ハードバイアス38の磁気膜厚を第5ハードバイアス35の磁気膜厚および第6ハードバイアス36の磁気膜厚よりも大きくする。第7ハードバイアス37の磁界は、第5ハードバイアス35の磁界および第6ハードバイアス36の磁界よりも大きくなる。第8ハードバイアス38の磁界は、第5ハードバイアス35の磁界および第6ハードバイアス36の磁界よりも大きくなる。これにより、第2磁性層12および第3磁性層13のそれぞれに対してより適正なバイアス磁界を加えることができる。
図46は、本実施形態に係る第8ハードバイアス層の構成を例示する模式的斜視図である。
図46に表した圧力センサは、第8ハードバイアス層30hを含む。第8ハードバイアス層30hは、第7ハードバイアス37と、第8ハードバイアス38と、を含む。つまり、第8ハードバイアス層30hには、第6ハードバイアス層30fと比較して、第5ハードバイアス35および第6ハードバイアス36が設けられていない。
その他の第8ハードバイアス層30hの構造は、第6ハードバイアス層30fの構造と同様である。
この例では、第8ハードバイアス層30hから第3磁性層13へ磁界を加える。この例では、第2磁性層12には、第3磁性層13からの漏洩磁界が加わる。そのため、第2磁性層12のバイアスポイントを制御することができる。
図47は、本実施形態に係る第9ハードバイアス層の構成を例示する模式的斜視図である。
図47に表した圧力センサは、第9ハードバイアス層30iを含む。第9ハードバイアス層30iは、第5ハードバイアス35と、第6ハードバイアス36と、を含む。つまり、第9ハードバイアス層30iには、第6ハードバイアス層30fと比較して、第7ハードバイアス37および第8ハードバイアス38が設けられていない。
その他の第9ハードバイアス層30iの構造は、第5ハードバイアス層30fの構造と同様である。
この例では、第9ハードバイアス層30iから第2磁性層12へ磁界を加える。この例では、第3磁性層13には、第2磁性層12からの漏洩磁界が加わる。そのため、第3磁性層13のバイアスポイントを制御することができる。
図48は、本実施形態に係る第10ハードバイアス層の構成を例示する模式的斜視図である。
図48に表した圧力センサは、第10ハードバイアス層30jを含む。第10ハードバイアス層30jの構造は、磁化の方向を除き、第6ハードバイアス層30fの構造と同様である。この例では、第5ハードバイアス35〜第8ハードバイアス38のそれぞれの磁化は、ダイアフラム74の円周方向から傾いた方向(例えば45°方向)に向けられている。
図44および図48に表したように、第5ハードバイアス35〜第8ハードバイアス38のそれぞれの磁化の方向は、任意である。第5ハードバイアス35〜第8ハードバイアス38のそれぞれの磁化の方向は、例えば5kOe(エルステッド:Oe)の磁界を第5ハードバイアス35〜第8ハードバイアス38のそれぞれに加えて着磁することで決定することができる。
着磁の際に加える磁界は、第5ハードバイアス35〜第8ハードバイアス38のそれぞれに用いられる硬質強磁性材料の保磁力よりも大きい値とする。第5ハードバイアス35〜第8ハードバイアス38のそれぞれに、軟磁性材料と反強磁性層との積層体を用いる場合には、磁界中熱処理を行う。例えば、第5ハードバイアス35〜第8ハードバイアス38のそれぞれに、FeCoとIrMnとの積層体を用いる場合には、290℃の温度で1時間の磁界中熱処理を行う。これにより、FeCoの磁化を一方向に向けることができる。
(ダイアフラムの構造)
以下、本実施形態に係るダイアフラムの構造の例について説明する。
図49(a)および図49(b)は、第1の実施形態および第2の実施形態に係る圧力センサの構成を例示する模式図である。
図49(a)は、模式的平面図である。図49(b)は、図49(a)に表したC1−C2線断面図である。図49(a)および図49(b)では、図を見易くするために、一部の層の図示を省略している。
図49(a)および図49(b)に示すように、第1の実施形態に係る圧力センサ310および第2の実施形態に係る圧力センサ311のダイアフラム74として、円形のダイアフラム74が用いられる。
円形のダイアフラム74の製造方法としては、まず、支持基板71の上にダイアフラム膜73を形成する。例えば、Si基板上にSiOx/Siの積層膜をスパッタにより形成する。他にも、SiOx単層やSiN単層、Alなどの金属膜をダイアフラム膜73として形成してもよい。また、ポリイミド、パリレンなどのフレキシブルプラスティック材料をダイアフラム膜73として用いてもよい。基板の貼り合わせによってSi基板上にSiO2/Siが形成されたSOI(Si−On−Insulator)基板をダイアフラム膜73として用いてもよい。
以下、Si基板上にSiOx/Siの積層膜をダイアフラム膜73として形成する場合を例に挙げて、本実施形態について説明する。また、ダイアフラム膜73が形成された面を基板表面とする。
次に、基板表面のダイアフラム膜73の上に積層体10あるいは積層体110を形成する。積層体10および積層体110の形成方法については、例えば、図24に例示している。
次に、ダイアフラム膜73の裏面(下面)から表面(上面)へ向かって、基板の深堀加工を行うことにより、ダイアフラム膜73のホール(ダイアフラム74)を形成する。ダイアフラム膜73のホールを形成するためのマスクとして、例えば両面アライナー露光装置を用いる。これにより、表面の積層体10(あるいは積層体110)の位置に合わせて、レジストのホールパターンを裏面にパターニングする。
次に、Si基板のエッチングを行う。エッチングの方法としては、例えばRIEを用いたボッシュプロセスが用いられる。ボッシュプロセスでは、SF6ガスを用いたエッチング工程と、C4F8ガスを用いた堆積工程と、を繰り返す。これにより、支持基板71の側壁のエッチングを抑えて、支持基板71の深さ方向(Z軸方向)に選択的にエッチングを行う。エッチングのエンドポイントとして、例えば、SiOx層が設けられるポイントを用いる。つまり、Siに対して選択比の大きいSiOx層にてエッチングを止める。ここで、エッチングストッパ層として機能するSiOx層は、そのままダイアフラム74の一部として用いられてもよい。あるいは、SiOx層は、その後、無水フッ化水素およびアルコールなどの処理で除去されてもよい。
(第3の実施形態)
図50(a)および図50(b)は、第3の実施形態に係る圧力センサの構成を例示する模式図である。
図50(a)は、模式的平面図である。図50(b)は、図50(a)に表したD1−D2線断面図である。図50(a)および図50(b)では、図を見易くするために、一部の層の図示を省略している。
図50(a)および図50(b)に示すように、第3の実施形態に係る圧力センサ312のダイアフラム74aとして、矩形のダイアフラム74aが用いられる。
矩形のダイアフラム74aの製造方法としては、円形のダイアフラム74の製造方法と同様の方法が用いられる。矩形のダイアフラム74aでは、Si基板のエッチング工程において、エッチング溶液(例えば、KOHの水溶液)によるSiの異方性エッチングを行ってもよい。このようなエッチングを行った場合には、図50(b)に示すように、ホールパターンの構造は、Si基板の結晶面に応じて傾斜した構造となる。
(第4の実施形態)
図51(a)および図51(b)は、第4の実施形態に係る圧力センサの構成を例示する模式図である。
図51(a)は、模式的平面図である。図51(b)は、図51(a)に表したE1−E2線断面図である。図51(a)および図51(b)では、図を見易くするために、一部の層の図示を省略している。
図51(a)および図51(b)に示すように、第4の実施形態に係る圧力センサ313の、圧力に対して撓む構造体74bの構造として、片持ち梁構造を用いることができる。片持ち梁構造は、例えば、パターニングした犠牲層(図示せず)の上に片持ち梁を形成し、その後に、犠牲層を除去することにより、形成できる。
(第5の実施形態)
図52(a)および図52(b)は、第5の実施形態に係る圧力センサの構成を例示する模式図である。
図52(a)は、模式的平面図である。図52(b)は、図52(a)に表したF1−F2線断面図である。図52(a)および図52(b)では、図を見易くするために、一部の層の図示を省略している。
図52(a)および図52(b)に示すように、第5の実施形態に係る圧力センサ314の、圧力に対して撓む構造体74cの構造として、両持ち梁構造を用いることができる。
(第6の実施形態)
図53(a)および図53(b)は、第6の実施形態に係る圧力センサの構成を例示する模式図である。
図53(a)は、模式的平面図である。図53(b)は、図53(a)に表したG1−G2線断面図である。図53(a)および図53(b)では、図を見易くするために、一部の層の図示を省略している。
図53(a)および図53(b)に示すように、圧力センサ315において、圧力に対して撓む構造体(ダイアフラム74d)として、梁79が設けられたダイアフラム74dを用いることができる。梁79が設けられたダイアフラム74dは、例えば、以下のように形成する。パターニングした犠牲層(図示せず)の上に、両持ち梁を形成し、その後に、犠牲層を除去する。これにより、梁79が設けられたダイアフラム74dを形成することができる。
以上、図49(a)〜図53(b)を参照しつつ、本実施形態に係るダイアフラムの構造について説明した。本実施形態に係るダイアフラムの構造は、これに限定されない。実施形態においては、支持基板(圧力に対して撓まない部分:第1領域75)の上に形成された磁化自由層(例えば第2磁性層12)を含む積層体(例えば積層体10または積層体110)と、ダイアフラム(圧力に対して撓む部分:第2領域77)の上に形成された磁化自由層(例えば第3磁性層13)と、が設けられる。圧力センサの、圧力に対して撓む部分の構造は、任意である。
(圧力センサの回路構成)
以下、本実施形態に係る圧力センサの回路構成の例について説明する。
図54(a)および図54(b)は、第1の実施形態に係る圧力センサの構成を例示する模式図である。
図54(a)は、模式的平面図である。図54(b)は、圧力センサの回路構成図である。
ここでは、第1の実施形態に係る圧力センサ310の電気抵抗の取り出しについて説明する。第2の実施形態に係る圧力センサ311の電気抵抗の取り出しは、第1の実施形態に係る圧力センサ310の電気抵抗の取り出しと同様である。
第1の実施形態に係る圧力センサ310において、ダイアフラム74の上(第2領域77の上)に形成される積層体10に2端子もしくは4端子で電圧端子および電流端子を取り付ける。これにより、定電圧もしくは定電流のバイアス下で、電気抵抗を測定することができる。
図54(a)に示すように、例えば、第1積層体MRaは、第3積層体MRcと、積層方向に対して垂直な1つの方向(第1方向)に沿って並ぶ。第2積層体MRbは、第4積層体MRdと、積層方向に対して垂直で上記の第1方向に対して垂直な第2方向に沿って並ぶ。第1積層体MRaと第3積層体MRcとを結ぶ線分は、第2積層体MRbと第4積層体MRdとを結ぶ線分と直交する。
図54(b)に示すように、第1の実施形態に係る圧力センサ310では、ダイアフラム74の上に形成された複数の積層体(第1〜第4積層体MRa、MRb、MRc、MRd)により、ブリッジ回路が形成される。ダイアフラム74の上の4箇所に配置された第1〜第4積層体MRa、MRb、MRc、MRdにより、図54(b)に示すようなホイートストンブリッジが形成される。
圧力センサ310では、第1積層体MRa及び第3積層体MRcが配置される位置においてダイアフラム74の上に発生する歪の方向は、第2積層体MRb及び第4積層体MRdが配置される位置においてダイアフラム74の上に発生する歪の方向に対して、90°異なる。これを利用して、積層体の磁化自由層の初期の磁化の向きを適切に調整する。これにより、第1積層体MRa及び第3積層体MRcにおける、圧力に対する電気抵抗の変化の極性を、第2積層体MRb及び第4積層体MRdにおける、圧力に対する電気抵抗の変化の極性と、逆にすることができる。逆極性の圧力-電気抵抗特性を有する積層体を組み合わせて図54(b)に表したようなホイートストンブリッジにより、最終的に得られる圧力感度を最大で4倍に増幅することが可能である。また、図54(b)に表したようなホイートストンブリッジにより、温度補償を行うことができる。これにより、ダイアフラム74の外に設ける温度補償用の素子を省略できる。
(第7の実施形態)
図55は、第7の実施形態に係る音響マイクの構成を例示する模式的断面図である。
以下、本実施形態に係る音響マイク320が第1の実施形態に係る圧力センサ310を含む場合を例に挙げて、本実施形態について説明する。本実施形態に係る音響マイク320は、第1の実施形態〜第6の実施形態に係る圧力センサのいずれかまたはその変形の圧力センサを含む。
本実施形態に係る音響マイク320は、プリント基板321と、カバー323と、圧力センサ310と、を含む。プリント基板321は、例えばアンプなどの回路を含む。カバー323には、アコースティックホール325が設けられる。音329は、アコースティックホール325を通って、カバー323の内部に進入する。
第1の実施形態に係る圧力センサ310が、音響マイク320として応用される。音響マイク320は、音圧に対して感応する圧力センサである。そのため、高感度な圧力センサ310を、高感度な音響マイク320として用いることができる。図55に示すように、圧力センサ310を音響マイク320として用いる場合には、圧力センサ310をプリント基板321の上に搭載し、電気信号ラインを取り出す。圧力センサ310を覆うように、プリント基板321の上にカバー323を設ける。
第1の実施形態に係る圧力センサ310を用いることで、高感度な音響マイク320を提供することができる。
(第8の実施形態)
図56(a)および図56(b)は、第8の実施形態に係る血圧センサの構成を例示する模式図である。
図56(a)は、ヒトの動脈血管の上の皮膚を例示する模式的平面図である。図56(b)は、図56(a)に表したH1−H2線断面図である。
以下、本実施形態に係る血圧センサ330が第1の実施形態に係る圧力センサ310を含む場合を例に挙げて、本実施形態について説明する。本実施形態に係る血圧センサ330は、第1の実施形態〜第6の実施形態に係る圧力センサのいずれかまたはその変形の圧力センサを含む。
第1の実施形態に係る圧力センサ310は、血圧センサ330として応用される。第1の実施形態に係る圧力センサ310を用いることで、小さいサイズの圧力センサで高感度な圧力センシングが可能となる。そのため、図56(b)に示すように、圧力センサ310を動脈血管101の上の皮膚103に押し当てることで、血圧センサ330は、連続的に血圧測定を行うことができる。
(第9の実施形態)
図57は、第9の実施形態に係るタッチパネルの構成を例示する模式図である。
以下、本実施形態に係るタッチパネル340が第1の実施形態に係る圧力センサ310を含む場合を例に挙げて、本実施形態について説明する。本実施形態に係るタッチパネル340は、第1の実施形態〜第6の実施形態に係る圧力センサのいずれかまたはその変形の圧力センサを含む。
第1の実施形態に係る圧力センサ310は、タッチパネル340として用いられる。タッチパネル340においては、圧力センサ310が、ディスプレイの内部およびディスプレイの外部の少なくともいずれかに搭載される。
例えば、タッチパネル340は、複数の第1配線346と、複数の第2配線347と、複数の圧力センサ310と、制御部341と、を含む。
複数の第1配線346は、第1方向(この例ではY軸方向)に沿って並ぶ。複数の第1配線346のそれぞれは、第1方向と交差する第2方向(この例ではX軸方向)に沿って延びる。
複数の第2配線347は、第1方向と交差する第3方向(この例ではX軸方向)に沿って並ぶ。複数の第2配線347のそれぞれは、第3方向と交差する第4方向(この例ではY軸方向)に沿って延びる。
複数の圧力センサ310のそれぞれは、複数の第1配線346と複数の第2配線347とのそれぞれの交差部に設けられる。圧力センサ310の1つは、検出のための検出要素310eの1つとなる。ここで、交差部は、第1配線346と第2配線347とが交差する位置の周辺の領域を含む。
複数の圧力センサ310のそれぞれの一端310aは、複数の第1配線346のそれぞれと接続される。複数の圧力センサ310のそれぞれの他端310bは、複数の第2配線347のそれぞれと接続される。
制御部341は、複数の第1配線346と複数の第2配線347とに接続される。
例えば、制御部341は、複数の第1配線346に接続された第1配線用回路346dと、複数の第2配線347に接続された第2配線用回路347dと、第1配線用回路346dと第2配線用回路347dとに接続された制御回路345と、を含む。
第1の実施形態に係る圧力センサ310は、小型で高感度な圧力センシングが可能である。そのため、高精細なタッチパネルを実現することが可能である。
第1の実施形態〜第6の実施形態に係る圧力センサについては、上記に挙げたアプリケーション以外にも気圧センサやタイヤの空気圧センサなど、様々な圧力センサデバイスに用いることができる。
実施形態によれば、高感度の圧力センサ、音響マイク、血圧センサ及びタッチパネルを提供することができる。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、圧力センサに含まれる支持基板、エッチングストッパ層、ダイアフラム膜、電極、絶縁体、下地層、磁性層、スペーサ層、参照層、磁気結合層、ピニング層及びキャップ層などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した圧力センサ、音響マイク、血圧センサ及びタッチパネルを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての圧力センサ、音響マイク、血圧センサ及びタッチパネルも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。