しかしながら、上述した特許文献1に開示されている可変容量型ターボチャージャでは、高温の排気ガスの影響による熱変形に対応するために、ノズル翼とハウジング内壁面との隙間を大きく確保する必要がある。よって、この隙間から排気ガスが漏れることでタービン効率が低下してしまうとの問題がある。また、可変ノズルという可動部材を高温の排気ガスが流れるノズル部に用いるため、固定部材を用いる場合と比べて破損等のトラブルが生じるリスクが高いとの問題がある。
また、上述した特許文献2に開示されているターボチャージャでは、2つのスクロール流路のノズル出口がタービン軸方向に隣接しているため、最小流量時や中間流量時において、圧力の高い一方のノズル出口から圧力の低い他方のノズル出口へと排気ガスが流れる逆流現象が生じ、これにより圧力損失が発生してタービン効率が低下するとの問題がある。
また、上述した特許文献3に開示されているターボ過給機では、特にシュラウド部に設けられたノズル孔から排気ガスを流さない場合において、このノズル孔によって圧力損失が発生してタービン効率が低下するとの問題がある。
本発明の少なくとも一つの実施形態は、上述したような従来の課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、破損等のトラブルが生じるリスクが低く、広い流量範囲において高いタービン効率を発揮するラジアルタービン又は斜流タービンを提供することにある。
本発明の少なくとも一つの実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンは、
(1)
排気ガスが流れる渦巻き状または環状のスクロール空間が内部に形成されるタービンハウジング、を含むケーシングと、
前記ケーシング内に回転可能に収容される回転軸と、該回転軸に固定され、先端側に向けて連続的に半径が小さくなるように構成されたハブと、該ハブの周面から径方向に突出して設けられる複数の翼と、からなるタービン動翼と、
前記タービン動翼のタービン動翼入口の周囲に形成される前記スクロール空間をタービン軸方向に分割することで、シュラウド側スクロール流路とハブ側スクロール流路の2つのスクロール流路を形成する分割壁と、を備え、
前記シュラウド側スクロール流路と前記タービン動翼入口との間には、前記シュラウド側スクロール流路を臨むノズル入口を有する、前記シュラウド側スクロール流路を流れる前記排気ガスを前記タービン動翼入口に導くためのシュラウド側ノズル流路が周方向に複数形成され、
前記ハブ側スクロール流路と前記タービン動翼入口との間には、前記ハブ側スクロール流路を臨むノズル入口を有する、前記ハブ側スクロール流路を流れる前記排気ガスを前記タービン動翼入口に導くためのハブ側ノズル流路が周方向に複数形成され、
複数の前記シュラウド側ノズル流路のノズル出口及び複数の前記ハブ側ノズル流路のノズル出口の各々が、前記タービン動翼入口に対して半径方向に対向し、且つ、前記タービン軸方向における同一軸方向位置において周方向に交互に配置されることで環状のノズル出口部が構成される。
上記(1)に記載のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、複数のシュラウド側ノズル流路のノズル出口と、複数のハブ側ノズル流路のノズル出口の各々が、タービン動翼入口に対して半径方向に対向し、且つ、タービン軸方向における同一軸方向位置において周方向に交互に隣接して配置されることで環状のノズル出口部が構成される。このため、特許文献2に開示されているような2つのスクロール流路のノズル出口がタービン軸方向に隣接しているものと比べて、圧力の高い一方のノズル出口から圧力の低い他方のノズル出口へと排気ガスが流れる逆流現象が抑制される。これにより、圧力損失の発生に伴うタービン効率の低下を防ぐことが出来る。
また、上記(1)に記載のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、特許文献1に開示されているような可変ノズルを設ける可変容量タービンとは異なり、ノズル部には可動部材を設けない。このため、可動部材と壁面の隙間からの漏れ流れによるタービン効率の低下の問題は生じない。また、高速・高温の排気ガスが流れるノズル部に可動部材を設けないため、破損等のリスクが低く、構造的な信頼性が高い。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記シュラウド側スクロール流路及びハブ側スクロール流路の少なくともいずれか一方を流れる排気ガスの流量を調整可能な流量調整機構をさらに備えている。
上記(2)に記載のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、流量調整機構によってシュラウド側スクロール流路及びハブ側スクロール流路の少なくともいずれか一方を流れる排気ガスの流量を調整することが出来る。例えば、流量調整機構によって、最大流量時には両方のスクロール流路に設計流量相当の排気ガスが流れるように制御することが出来る。また、最小流量時には一方のスクロール流路からのみ排気ガスを流すように制御することも出来る。また中間流量時には、一方のスクロール流路には設計流量相当の排気ガスを流し、他方のスクロール流路を流れる排気ガスの流量を調整するように制御することも出来る。したがって、このような流量調整機構を備えることで、最小流量から最大流量までの広い流量範囲において高いタービン効率を実現可能な可変機構を構成することが出来るようになっている。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)、(2)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記シュラウド側ノズル流路は、子午面視において、タービン軸方向に対して直交する方向に沿ってタービン動翼入口(4a)に向かって延在する。上記ハブ側ノズル流路は、子午面視において、タービン動翼入口からタービン動翼出口に向かう方向に沿うように、タービン軸方向に対して傾斜して延在するように形成される。
上記(3)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、従来のラジアルタービンと同様に、シュラウド側ノズル流路から流出する排気ガスの流れをタービン軸方向に対してほぼ直交する半径方向の流れとすることが出来る。したがって、シュラウド側ノズル流路を流れる排気ガスの流れがシュラウド側からハブ側に向かうようにタービン軸に対して傾斜する方向に沿って流れる場合と比べて、排気ガスの流れの転向角を小さくすることが出来る。これにより圧力損失を抑制し、タービン効率の低下を防止することが出来る。また、ハブ側ノズル流路から流出する排気ガスの流れについても、従来のラジアルタービンよりもその流れの転向角を小さくすることが出来るため、より一層圧力損失を抑制し、タービン効率の低下を防止することが出来る。
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記分割壁は、タービン軸方向と直交する方向に延在し、スクロール空間を分割する環板状の分割部と、この分割部の内周部からハブ側に向かって延在し、ケーシングのハブ側壁面と当接するハブ側当接部とからなる。上記ケーシングのハブ側壁面は、子午面視において、ハブ側ノズル流路のノズル入口からノズル出口に向かって、このハブ側壁面と回転軸との半径方向距離が短くなるようにタービン軸方向に対して傾斜して延在する。上記ハブ側ノズル流路は、ハブ側当接部のハブ側当接面に形成される溝部と、ハブ側壁面と、で画定されるハブ側空間を少なくとも含む。
このラジアルタービン又は斜流タービンは、分割部の内周部とケーシングのシュラウド側壁面との間において周方向に間隔を置いて形成される複数のシュラウド側ノズル翼をさらに備える。そして、シュラウド側ノズル流路は、分割部の内周部と、周方向に隣り合う2つのシュラウド側ノズル翼と、ケーシングのシュラウド側壁面とで画定されるシュラウド側空間を含むように構成される。
上記(4)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、ハブ側ノズル流路は、ハブ側当接部のハブ側当接面に形成される溝部とハブ側壁面とで画定されるハブ側空間を少なくとも含む。このため、分割壁に対して貫通孔を形成することなく、加工が容易な溝部によってハブ側ノズル流路を形成することが出来る。分割壁に貫通孔を形成する場合には複雑な鋳造等で製作する必要があるが、当接面に開口を有する溝であれば、比較的単純な構造の中子で鋳造によって製作可能である。また、高い表面加工精度が要求される場合であっても、エンドミルによって容易に加工することが出来る。
また、上記(4)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、分割部の内周部とケーシングのシュラウド側壁面との間において周方向に間隔を置いて形成される複数のシュラウド側ノズル翼をさらに備える。そして、シュラウド側ノズル流路は、分割部の内周部と、周方向に隣り合う2つのシュラウド側ノズル翼と、ケーシングのシュラウド側壁面とで画定されるシュラウド側空間を含むように構成される。このため、周方向に隣り合う2つのシュラウド側ノズル翼の圧力面と負圧面とによって、シュラウド側スクロール流路から流出する排気ガスの流れを周方向に導流することが出来、タービン効率をより一層高めることが出来るようになっている。
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記シュラウド側ノズル翼の内部には、分割部と接続するハブ側の断面及び後端部に開口を有する溝状又は貫通孔状の中空部が形成される。そして、上記ハブ側ノズル流路は、ハブ側空間と、ハブ側の断面においてこのハブ側空間と連通する中空部とから構成される。
上記(5)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、上述したハブ側空間とシュラウド側ノズル翼の内部に形成される溝状又は貫通孔状の中空部とによってハブ側ノズル流路が構成される。このため、周方向に隣り合う2つのシュラウド側ノズル翼によって形成されるシュラウド側空間を含むシュラウド側ノズル流路を流れる排気ガスと、シュラウド側ノズル翼の内部に形成される溝状又は貫通孔状の中空部を含むハブ側ノズル流路を流れる排気ガスとが、それぞれのノズル出口まで互いに干渉することなく流れる。これにより、排気ガスの圧力損失を抑制でき、タービン効率をより一層高めることが出来るようになっている。
(6)幾つかの実施形態では、上記(4)、(5)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記ハブ側ノズル流路のノズル出口の周方向幅が、シュラウド側ノズル流路のノズル出口の周方向幅よりも小さくなるように形成される。
上記(6)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、例えば、最大流量時には両方のノズル流路から設計流量相当の排気ガスを流し、最小流量時にはノズル出口の周方向幅の小さいハブ側ノズル流路からのみ排気ガスを流し、中間流量時には、ハブ側ノズル流路には設計流量相当の排気ガスを流し、ノズル出口の周方向幅の大きいシュラウド側ノズル流路を流れる排気ガスの流量を調整することで、最小流量から最大流量までの広い流量範囲において高いタービン効率を実現する可変機構を構成することが出来る。
(7)幾つかの実施形態では、上記(4)〜(6)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記ハブ側ノズル流路のノズル入口は、このノズル入口(34A)の前記子午面視における開口の最大幅をWA、周方向に沿った開口の最大幅をWCで表した時に、WA<WCである。
上記(7)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、ハブ側ノズル流路のノズル入口を子午面方向よりも周方向に長い形状とすることで、ケーシングのタービン軸方向の長さを短くすることが出来る。これによりケーシングの形状をコンパクトにすることが出来る。
(8)幾つかの実施形態では、上記(5)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記シュラウド側ノズル翼は、タービン軸と直交する方向の断面視において、外周側に配向される圧力面及び内周側に配向される負圧面の2つの周面を有する翼形状の外面形状を有する。そして、タービン軸と直交する方向の断面視において、隣接するシュラウド側ノズル翼の負圧面後端と交差し、且つ、ノズル出口の圧力面後端及び負圧面後端で規定される下流端面と直交する方向に延伸する仮想線が、圧力面後端及び負圧面後端の間を通過するように、ハブ側ノズル流路のノズル出口が構成される。
上記(8)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、例えば、最小流量時においてハブ側ノズル流路からのみ排気ガスを流す場合であっても、ハブ側ノズル流路から流出する排気ガスが、隣接するシュラウド側ノズル翼の負圧面によってその排気ガスの流れが大きく妨げられることなく周方向に沿って環状流路を流れていく。このため、ハブ側ノズル流路から流出する排気ガスが周方向に途切れることなく流れ、環状流路の全体からタービン動翼入口に流入する。
最大流量時においては、ハブ側ノズル流路とシュラウド側ノズル流路の両方のノズル出口を合わせた面積から排気ガスが流出する。ここで好ましくは、ハブ側ノズル流路及びシュラウド側ノズル流路から流出する排気ガスの流速が最大流量時において等しくなるように、2つのノズル流路のノズル出口のスロート幅が設計されるとよい。ハブ側ノズル流路とシュラウド側ノズル流路とでは排気ガスの流出方向が異なる。しかしながら、シュラウド側ノズル流路から流出する排気ガスは、隣接するシュラウド側ノズル翼の負圧面によってその流出方向が制約されており、負圧面に沿って流れる。よって、2つのノズル流路から流出する排気ガスは、大きく流れが乱れることなく、一つの大きな排気ガスの流れとして合流し、動翼入口の環状流路の全体から動翼に流入する。
中間流量時においては、上述した最大流量時と比べてシュラウド側ノズル流路のノズル出口から流出する排気ガスの流速が遅くなる。しかしながら、ハブ側ノズル流路から流出する排気ガスの流れによって、シュラウド側ノズル流路の流れ幅が狭まり、これによりシュラウド側ノズル流路から流出する排気ガスの流速が加速される。そして、2つのノズル流路から流出する排気ガスは、大きく流れが乱れることなく、一つの大きな排気ガスの流れとして合流し、最小流量時と最大流量時の中間の流れ角を有しながら、動翼入口の環状流路の全体からタービン動翼入口に流入する。
このように、上記(8)のラジアルタービン又は斜流タービンでは、最小流量から最大流量までの広い流量範囲において、動翼入口の環状流路の全体からタービン動翼入口に向かって排気ガスを流すことが出来る。しかも、流量の変化に応じて流れ角も連続的に変化するため、あたかも可変ノズルによって排気ガスの流れ方向を制御する場合と同様の制御性能を有する。このため、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、最小流量から最大流量までの広い流量範囲において、高いタービン効率を実現する可変機構を構成することが出来るようになっている。
(9)幾つかの実施形態では、上記(5)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記シュラウド側ノズル翼は、タービン軸と直交する方向の断面視において、外周側に配向される圧力面及び内周側に配向される負圧面の2つの周面を有する翼形状の外面形状を有する。そして、タービン軸と直交する方向の断面視において、隣接するシュラウド側ノズル翼の負圧面後端と交差し、且つ、ノズル出口の圧力面後端と中空部の負圧面後端側のノズル内面とを最短距離で結ぶ線として規定される下流端面と直交する方向に延伸する仮想線が、圧力面後端及び負圧面後端の間を通過するように、ハブ側ノズル流路のノズル出口が構成される。
上記(9)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、ハブ側ノズル流路のノズル出口から流出する排気ガスの流れに対して、このノズル出口の下流端面に対して垂直方向の流速成分を付与することが出来る。このため、例えば、ハブ側ノズル流路とシュラウド側ノズル流路の両方のノズル出口から排気ガスが流出する中間流量時において、上述した(8)のラジアルタービン又は斜流タービンよりも、2つのノズル出口から流出する排気ガスの混合が促進される。これにより、流れの一様性が向上し、動翼に流入する際の圧力損失を軽減することが出来る。
(10)幾つかの実施形態では、上記(4)〜(9)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記翼は、子午面視において、上流側に位置する前縁と、下流側に位置する後縁と、半径方向外側に位置する外側縁と、半径方向内側に位置し、ハブの周面に固着される内側縁とを有する。内側縁と前縁との第1交点の半径方向距離をRH、外側縁と前縁との第2交点の半径方向距離をRSで表した時に、RH<RSであり、前縁の形状線は上流側に向かって凸状に形成される。そして、シュラウド側ノズル翼の後端部の形状線は、子午面視において、前縁に対向して凹状に形成される。
ハブ側ノズル流路から流出する排気ガスの速度成分の主体は周方向成分であるが、子午面視においては半径方向成分と軸方向成分も有しており、タービン軸に対して傾斜して流れてタービン動翼入口に流入する。しかしながら、翼の前縁が一定の半径方向距離を有するラジアルタービンでは、この子午面視における排気ガスの流れの転向角が大きくなり、ハブ周面において排気ガスの流れに剥離等が生じ、圧力損失が発生してしまう。
上記(10)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、翼のハブ側の前縁がハブ側に向かって半径方向距離が短くなるように傾斜して形成される。また、ハブ側ノズル流路のノズル出口が開口するシュラウド側ノズル翼の後端部の形状線は、子午面視において、前縁に対向して凹状に形成される。このため、ハブ側ノズル流路から流出する排気ガスの子午面視における流れの転向角を小さく出来、流れ角変化による圧力損失を低減することが出来る。
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記ハブ側ノズル流路のノズル出口は、このノズル出口のスロート幅が、シュラウド側よりもハブ側の方が広くなるように形成される。
導入する排気ガスの流量が変動するタービンにおいては、小流量時には理論速度比(U/C0)の低い領域で高いタービン効率が要求され、大流量時には理論速度比(U/C0)の高い領域で高いタービン効率が要求される。ここで、U:動翼入口における周速、C0:理論速度である。
上記(11)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、翼の前縁の形状線が上流側に向かって凸に形成される。また、シュラウド側ノズル翼の後端部の形状線が、子午面視において、前縁に対向して凹状に形成される。このため、翼の前縁は、タービン軸に対して傾斜したハブ側の衝動タービンの機能が大きい部分と、タービン軸に対してほぼ平行で且つ半径がほぼ一定となるシュラウド側の反動タービンの機能が大きい部分とを有することとなる。よって、ハブ側ノズル流路のノズル出口のスロート幅を、シュラウド側のスロート幅よりもハブ側のスロート幅を広く形成することで、小流量時において理論速度比(U/C0)の低い領域で高いタービン効率を発揮する衝動タービンの機能が大きい前縁のハブ側に小さい流れ角で多くの排気ガスを流入させることが出来る。また、大流量時において理論速度比(U/C0)の高い領域で高いタービン効率を発揮する反動タービンの機能が大きい前縁4aのシュラウド側に大きい流れ角で多くの排気ガスを流入させることが出来る。これにより、小流量〜大流量の広い流量範囲においてタービン効率の向上を図ることが出来るようになっている。
(12)幾つかの実施形態では、上記(4)〜(9)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記翼は、上流側に位置する前縁と、下流側に位置する後縁と、半径方向外側に位置する外側縁と、半径方向内側に位置し、ハブの周面に固着される内側縁とを有する。前縁は、一定の半径方向距離からなる形状線を有する。ハブは、子午面視において、このハブの周面の外周端縁における接線方向が、タービン軸と直交する方向に対して、タービン動翼のハブの背面側に5〜30°傾斜して形成される。そして、上記ケーシングのハブ側壁面は、子午面視において、ハブ側ノズル流路のノズル入口からノズル出口に向かって、このハブ側壁面と回転軸との半径方向距離が短くなるようにタービン軸方向に対して傾斜して延在する。
ハブ側ノズル流路から流出する排気ガスの速度成分の主体は周方向成分であるが、子午面視においては半径方向成分と軸方向成分も有しており、タービン軸に対して傾斜して流れて翼に流入する。しかしながら、ハブの周面の外周端縁における接線方向が半径方向に延伸するラジアルタービンでは、この子午面視における排気ガスの流れの転向角が大きくなり、ハブ周面において排気ガスの流れに剥離等が生じ、圧力損失が発生する。
上記(12)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、ハブは、このハブの周面の外周端縁における接線方向が、タービン軸と直交する方向に対して、タービン動翼のハブの背面側に5〜30°傾斜して形成される。このため、ハブ側ノズル流路から流出する排気ガスの子午面視における流れの転向角を小さく出来、流れ角変化による圧力損失を低減することが出来る。
(13)幾つかの実施形態では、上記(4)〜(12)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記シュラウド側ノズル流路のノズル出口は、ハブ側ノズル流路のノズル出口よりも大きい流路面積を有する。そして、流量調整機構は、シュラウド側スクロール流路、又はシュラウド側スクロール流路に排気ガスを導入するシュラウド側排気管の流路面積を調整可能な流量調整弁からなる。
上記(13)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、ハブ側スクロール流路の流路面積、又はハブ側スクロール流路に排気ガスを導入するハブ側排気管の流路面積ではなく、シュラウド側スクロール流路の流路面積、又はシュラウド側スクロール流路に排気ガスを導入するシュラウド側排気管の流路面積を調整する。このため、両方のスクロール流路の流路面積を調整する場合と比べて流量調整弁が一つで済むため、流量調整機構の構造及び制御を単純化できる。
また、シュラウド側ノズル流路のノズル出口は、ハブ側ノズル流路のノズルよりも大きい流路面積を有しており、シュラウド側ノズル流路の方がハブ側ノズル流路よりも多くの排気ガスを流すことが出来るようになっている。そして、本実施形態の流量調整機構は、このシュラウド側ノズル流路を流れる排気ガスの流量を調整するように構成されている。このため、ハブ側ノズル流路を流れる排気ガスの流量を調整する場合と比べて、より広い範囲において流量調整を行うことが出来るようになっている。
(14)幾つかの実施形態では、上記(4)〜(13)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記分割壁は、分割部とこの分割部と一体的に形成されるハブ側当接部とから構成される。この分割壁はタービンハウジングとは別部材から構成される。上記シュラウド側ノズル翼は、分割壁及びタービンハウジングとは別部材から構成される。そして、タービンハウジングは、子午面視においてハブ側に位置するハブ側ハウジング部と、ハブ側ハウジング部とは別部材からなる、子午視においてシュラウド側に位置するシュラウド側ハウジング部とから構成される。
上記(14)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、分割壁、シュラウド側ノズル翼、及びタービンハウジングが、各々別部材から構成される。また、タービンハウジングは、互いに別部材からなるハブ側ハウジング部及びシュラウド側ハウジング部とからなる。このため、これらの部材をタービン軸方向に組み付けて一体化することで本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンを製造することが出来、製造性に優れている。
(15)幾つかの実施形態では、上記(14)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記分割壁及びシュラウド側ハウジング部は、タービン軸に対して軸対称に形成される。
上記(15)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、分割壁及びシュラウド側ハウジング部がタービン軸に対して軸対称に形成される。このため、分割壁及びシュラウド側ハウジング部をタービン軸方向に組み付けて一体化する際にその周方向位置を位置決めする工程を省略することが出来、組み立て性に優れている。
(16)幾つかの実施形態では、上記(14)、(15)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記ケーシングのハブ側壁面は、タービンハウジングとは別部材から構成される、タービン動翼の背面に沿って排気ガスが漏れるのを防止するための背板の壁面からなる。
上記(16)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、上述したケーシングのハブ側壁面がタービンハウジングとは別部材から構成される背板の壁面からなる。このため、この背板をタービンハウジングなどとともにタービン軸方向に組み付けて一体化することで、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンを製造することが出来る。
(17)幾つかの実施形態では、上記(14)、(15)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、ケーシングは、タービンハウジングとは別部材から構成される、ハブ側ハウジング部に支持される弾性変形可能な第1プレート部材を含む。第1プレート部材は、子午面視において、ハブ側ノズル流路のノズル入口からノズル出口に向かって、ハブ側壁面と回転軸との半径方向距離が短くなるようにタービン軸方向に対して傾斜する傾斜面を有し、この傾斜面がケーシングのハブ側壁面を構成する。そして、分割壁のハブ側当接部が、この第1プレート部材の傾斜面と当接するように構成される。
上記(17)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、分割壁のハブ側当接部は弾性変形可能な第1プレート部材の傾斜面と当接する。このため、タービンハウジングとは別部材から構成される分割壁が高温の排気ガスによって熱変形した場合に、第1プレート部材が弾性変形することで、その熱変形を吸収することが出来る。よって、分割壁やシュラウド側ノズル翼をタービンハウジングとは別部材で構成した場合であっても、熱変形によってハブ側ノズル流路に隙間などが生じることがない。
(18)幾つかの実施形態では、上記(17)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記ケーシングは、シュラウド側ハウジング部に固定される弾性変形可能な第2プレート部材をさらに含む。第2プレート部材は、子午面視において、タービン軸と直交する方向に沿って延在するシュラウド側壁面の少なくとも一部を構成する側面を有する。そして、シュラウド側ノズル翼が、第2プレート部材の側面と当接し、この側面と分割壁によって支持されるように構成される。
上記(18)のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、シュラウド側ノズル翼は、弾性変形可能な第2プレート部材と当接した状態で第2プレート部材と分割壁との間に支持される。このため、タービンハウジングとは別部材から構成される分割壁やシュラウド側ノズル翼が高温の排気ガスによって熱変形した場合に、第2プレート部材が弾性変形することで、その熱変形を吸収することが出来る。よって、分割壁やシュラウド側ノズル翼をタービンハウジングとは別部材で構成した場合であっても、熱変形によってハブ側ノズル流路に隙間などが生じることがない。
(19)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記分割壁の内周部において周方向に間隔を置いて複数形成された、ケーシングのシュラウド側壁面と当接する複数のシュラウド側ノズル部と、分割壁の内周部において周方向に間隔を置いて複数形成された、ケーシングのハブ側壁面と当接する複数のハブ側ノズル部とをさらに備える。シュラウド側ノズル部は、このシュラウド側ノズル部の内部に、ハブ側において、半径方向外端から内端に通じ、ハブ側スクロール流路を臨む入口とタービン動翼入口を臨む出口とを有するハブ側溝部を有する。ハブ側ノズル部は、このハブ側ノズル部の内部に、シュラウド側において、半径方向外端から内端に通じ、シュラウド側スクロール流路を臨む入口とタービン動翼入口を臨む出口とを有するシュラウド側溝部を有する。シュラウド側ノズル流路は、ケーシングのシュラウド側壁面と、ハブ側ノズル部のシュラウド側溝部における周方向に対向する2つの側壁面及び底壁面とで形成される。ハブ側ノズル流路は、ケーシングのハブ側壁面と、シュラウド側ノズル部のハブ側溝部における周方向に対向する2つの側壁面及び底壁面とで形成される。シュラウド側ノズル流路のノズル出口がシュラウド側溝部の出口であり、ハブ側ノズル流路のノズル出口がハブ側溝部の出口である。そして、複数のシュラウド側溝部の出口及び複数のハブ側溝部の出口の各々が、タービン動翼入口に対して半径方向に対向し、且つ、タービン軸方向における同一軸方向位置において周方向に交互に隣接して配置されることで環状のノズル出口部が構成される。
(20)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記分割壁は、タービン軸方向と直交する方向に延在し、スクロール空間を分割する環板状の分割部と、分割部の内周部からハブ側に向かって延在し、ケーシングのハブ側壁面と当接するハブ側当接部とからなる。このラジアルタービン又は斜流タービンは、分割部の内周部とケーシングのシュラウド側壁面との間において周方向に間隔を置いて形成される複数のシュラウド側ノズル翼をさらに備える。このシュラウド側ノズル翼は、子午面視において、分割部の内周部からタービン軸方向に沿ってシュラウド側に延在し、タービン軸方向に対してほぼ平行に形成される前縁形状を有するとともに、タービン軸と直交する方向の断面視において、外周側に配向される圧力面及び内周側に配向される負圧面の2つの周面を有する翼形状の外面形状を有する。ハブ側ノズル流路のノズル入口は、ハブ側当接部をタービン軸方向から視認した場合に、このハブ側当接部の外周側に位置する外周端面に形成される。この外周端面は、子午面視において、ノズル出口に対してほぼ平行に延在するか、ハブ側ノズル流路のノズル入口からノズル出口に向かって、ハブ側壁面と回転軸との半径方向距離が短くなるように延在するケーシングのハブ側壁面に対してほぼ直交する方向に延在するか、または、半径方向に沿って延在するように形成される。ハブ側ノズル流路は、分割壁の内部に形成される貫通孔状、または分割壁をハブ側から視認して溝状に形成されるハブ側空間と、このハブ側空間と連通するシュラウド側ノズル翼の内部に形成される貫通孔状、またはシュラウド側ノズル翼をハブ側から視認して溝状に形成される中空部とを含む。ハブ側ノズル流路のノズル出口は、シュラウド側ノズル翼をタービン軸方向から視認した場合におけるシュラウド側ノズル翼の内周端部に、子午面視においてタービン軸方向に対してほぼ平行に形成されるとともに、タービン軸と直交する方向の断面視において、シュラウド側ノズル翼の後端部に形成される2つの後端の間に形成される。シュラウド側ノズル流路は、分割部の内周部と、周方向に隣り合う2つのシュラウド側ノズル翼と、ケーシングのシュラウド側壁面とで画定されるシュラウド側空間を含む。そして、シュラウド側ノズル流路のノズル出口は、タービン軸と直交する方向の断面視におけるシュラウド側ノズル翼の2つの後端が存在する周方向領域において、ハブ側ノズル流路のノズル出口を除く領域に形成される。
(21)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記分割壁は、タービン軸方向と直交する方向に延在し、スクロール空間を分割する環板状の分割部と、分割部の内周部からハブ側に向かって延在し、ケーシングのハブ側壁面と当接するハブ側当接部とからなる。このラジアルタービン又は斜流タービンは、分割部の内周部とケーシングのシュラウド側壁面との間において周方向に間隔を置いて形成される複数のシュラウド側ノズル翼をさらに備える。このシュラウド側ノズル翼は、子午面視において、分割部の内周部からタービン軸方向に沿ってシュラウド側に延在し、タービン軸方向に対してほぼ平行に形成される前縁形状を有するとともに、タービン軸と直交する方向の断面視において、外周側に配向される圧力面及び内周側に配向される負圧面の2つの周面を有する翼形状の外面形状を有する。ハブ側ノズル流路のノズル入口は、ハブ側当接部をタービン軸方向から視認した場合に、ハブ側当接部の外周側に位置する外周端面に形成されるとともに、この外周端面は、子午面視において、ノズル出口に対してほぼ平行に延在するか、ハブ側ノズル流路のノズル入口からノズル出口に向かって、ハブ側壁面と回転軸との半径方向距離が短くなるように延在するケーシングのハブ側壁面に対してほぼ直交する方向に延在するか、または、半径方向に沿って延在するように形成される。ハブ側ノズル流路は、分割壁の内部に形成される貫通孔状、または分割壁をハブ側から視認して溝状に形成されるハブ側空間と、このハブ側空間と連通するシュラウド側ノズル翼の内部に形成される貫通孔状、またはシュラウド側ノズル翼をハブ側から視認して溝状に形成されると中空部を含む。そして、ハブ側ノズル流路のノズル出口は、シュラウド側ノズル翼をタービン軸方向から視認した場合のシュラウド側ノズル翼の内周端部に、子午面視において凸状に形成されたタービン動翼の翼の前縁に対してほぼ一定の離間距離を有する凹状に形成されるとともに、タービン軸と直交する方向の断面視において、シュラウド側ノズル翼の後端部に形成される2つの後端の間に形成される。
(22)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記分割壁は、タービン軸方向と直交する方向に延在し、スクロール空間を分割する環板状の分割部と、分割部の内周部からハブ側に向かって延在し、ケーシングのハブ側壁面と当接するハブ側当接部とからなる。このラジアルタービン又は斜流タービンは、分割部の内周部とケーシングのシュラウド側壁面との間において周方向に間隔を置いて形成される複数のシュラウド側ノズル翼をさらに備える。このシュラウド側ノズル翼は、子午面視において、分割部からタービン軸方向に沿ってシュラウド側に延在するとともに、タービン軸方向に対してほぼ平行に形成される前縁形状を有するとともに、タービン軸と直交する方向の断面視において、外周側に配向される圧力面及び内周側に配向される負圧面の2つの周面を有する翼形状の外面形状を有する。ハブ側ノズル流路のノズル入口は、ハブ側当接部をタービン軸方向から視認した場合に、このハブ側当接部の外周に位置する外周端面に形成されるとともに、この外周端面は、子午面視において、ノズル出口に対してほぼ平行に延在するか、ハブ側ノズル流路のノズル入口からノズル出口に向かって、ハブ側壁面と回転軸との半径方向距離が短くなるように延在するケーシングのハブ側壁面に対してほぼ直交する方向に延在するか、または、半径方向に沿って延在するように形成される。ハブ側ノズル流路は、ハブ側当接部の内部に形成される貫通孔状、またはハブ側当接部をハブ側から視認して溝状に形成されるハブ側空間を含む。ハブ側ノズル流路のノズル出口は、分割部のシュラウド側の側面部に開口する。そして、シュラウド側ノズル翼の前記圧力面には、ノズル出口から流出する排気ガスをタービン動翼入口に案内するための凹部が形成されている。
(23)幾つかの実施形態では、上記(22)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記タービン軸と直交する方向の断面視において、凹部の上流端の壁面には凹状の案内溝が形成されている。
(24)幾つかの実施形態では、上記(23)のラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、上記凹状の案内溝は、シュラウド側ノズル翼のハブ側の断面からシュラウド側の側面部に向かって下流側に移動しながら連続的に溝の深さが浅くなるように構成される。
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、破損等のトラブルが生じるリスクが低く、広い流量範囲において高いタービン効率を発揮するラジアルタービン又は斜流タービンを提供することが出来る。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいてより詳細に説明する。
ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、本発明の範囲をそれにのみ限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンの基本構成を説明するための概略子午面図である。図2は、本発明の第1実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンの構造を説明するための概略子午面図である。図3は、図1におけるa部(ノズル部)の拡大図である。図4は、図2におけるA−A断面を示した概略矢視図である。
図2に示したように、第1実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1aは、タービン動翼5と、ケーシング8と、分割壁10と、流量調整機構20とを備える。
タービン動翼5は、ケーシング8内に回転可能に収容される回転軸2と、この回転軸2の一端側に固定されるハブ3と、このハブ3の周面3aから径方向に突出して設けられる複数の翼4とからなる。ハブ3は、タービン軸方向に延伸するタービン軸線CLに対して直交する方向に延在する背面3bと、背面3bと平行な先端面3cとを有し、先端面3cに向けて連続的に半径が小さくなる円錐状(裁頭円錐状)に形成されている。
ケーシング8は、図2に示したように、タービン動翼5の周囲に形成される渦巻き状または環状のスクロール空間を内部に有するタービンハウジング6を含む。本実施形態のタービンハウジング6は、それぞれ別部材から構成されるハブ側ハウジング部6Aとシュラウド側ハウジング部6Bとがタービン軸方向に結合されることで構成されている。図示した実施形態では、ハブ側ハウジング部6Aは、回転軸2を回転可能に支持するベアリング(不図示)を収容するベアリングハウジング7Aと結合される。シュラウド側ハウジング部6Bは、スクロール空間のシュラウド側のスクロール壁面16b及びシュラウド部16を含む。
分割壁10は、タービン軸線CLと直交する方向に延在し、スクロール空間をタービン軸方向に分割する分割部10Aと、分割部10Aの内周部に形成されるハブ側当接部10Bとからなる。分割部10Aは、円形状の板部材の中央部に円形の開口が形成されてなる環板状をなしている。ハブ側当接部10Bは、この分割部10Aの内周部からハブ側に向かってタービン軸線CLに沿って延在する部材である。そして、分割部10Aによって、渦巻き状または環状スクロール空間がタービン軸方向に分割されることで、タービンハウジング6内に、シュラウド側に位置するシュラウド側スクロール流路12と、ハブ側に位置するハブ側スクロール流路14の2つのスクロール流路が形成される。図2中の矢印e1、e2は、シュラウド側スクロール流路12及びハブ側スクロール流路14から後述するシュラウド側ノズル流路32及びハブ側ノズル流路34に流入する排気ガスの子午面上の流れ方向を示している。
図1において符号9はノズル部を示す。ノズル部9は、シュラウド側スクロール流路12及びハブ側スクロール流路14の出口部と、翼4の前縁4aとの間に形成される環状の空間である。図2に示した実施形態では、ノズル部9は、シュラウド部16のシュラウド側壁面16aと、ハブ側ハウジング部6Aのハブ側壁部18のハブ側壁面18aとによって画定される。これらシュラウド側壁面16a及びハブ側壁面18aは、ともにタービン軸線CLに対して直交する方向に延在している。ハブ側壁部18は、ハブ3の背面3bとそのタービン軸方向位置をほぼ同じとする。そして、図2に示したように、このハブ側壁面18aに上述したハブ側当接部10Bハブ側当接面10Bcが当接している。
また、図1に模式的に示したように、シュラウド側スクロール流路12の出口部とタービン動翼入口4aとの間には、複数のシュラウド側ノズル流路32が形成されている。これら複数のシュラウド側ノズル流路32は、周方向に等間隔に配置されている。このシュラウド側ノズル流路32は、シュラウド側スクロール流路12を臨むノズル入口32Aを有する。そして、シュラウド側スクロール流路12を流れる排気ガスをこのノズル入口32Aから取り込み、タービン動翼入口4aへと導くように構成されている。
また、図1に模式的に示したように、ハブ側スクロール流路14の出口部とタービン動翼入口4aとの間には、複数のハブ側ノズル流路34が形成されている。これら複数のハブ側ノズル流路34は、周方向に等間隔に配置されている。このハブ側ノズル流路34は、ハブ側スクロール流路14を臨むノズル入口34Aを有する。そして、ハブ側スクロール流路14を流れる排気ガスをこのノズル入口34Aから取り込み、タービン動翼入口4aへと導くように構成されている。
そして、本発明の少なくとも一実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1aでは、図4に示したように、複数のシュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bおよび複数のハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bの各々が、タービン動翼入口4aに対して半径方向に対向して配置される。そして図3に模式的に示したように、複数のシュラウド側ノズル流路32のノズル出口32B及び複数のハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bの各々が、タービン軸方向における同一軸方向位置において周方向に交互に隣接して配置されることで環状のノズル出口部30が構成されている。
シュラウド側ノズル流路32及びハブ側ノズル流路34の各々は、それぞれのノズル入口32A、34Aの流路面積よりもノズル出口32B、34Bの流路面積の方が小さく構成されたノズル状の絞り流路となっている。これにより、シュラウド側ノズル流路32及びハブ側ノズル流路34を通過する排気ガスを加速させながらタービン動翼入口4aへと導くようになっている。
シュラウド側ノズル流路32及びハブ側ノズル流路34のノズル入口32A、32Bの断面形状は、楕円状、長円状、矩形状、台形状等の各種形状を採用することができる。ノズル出口32B、34Bの断面形状は特に限定されないが、ノズル出口32B、34Bがタービン軸方向においてノズル部9のほぼ全幅に亘って形成されているとよい。すなわち、ノズル出口32B、34Bが、翼4の前縁4aの全高に亘って形成されているとよい。
このように構成される本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1aによれば、上述したように、複数のシュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bと複数のハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bの各々が、タービン軸方向における同一軸方向位置において周方向に交互に配置される。すなわち、これら2つのノズル流路のノズル出口32B、34Bは、タービン軸方向には隣接していない。このため、特許文献2に開示されているような2つのスクロール流路のノズル出口がタービン軸方向に隣接しているものと比べて、圧力の高い一方のノズル出口から圧力の低い他方のノズル出口へと排気ガスが流れる逆流現象が抑制される。これにより、圧力損失の発生に伴うタービン効率の低下を防ぐことが出来る。
また、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1aによれば、特許文献1に開示されているような可変ノズルを設ける可変容量タービンとは異なり、可変ノズルなどの可動部材がノズル部9に設けられない。このため、可動部材と壁面との隙間から排気ガスが漏れ流れることによってタービン効率が低下するという従来技術の問題は生じない。また、高速・高温の排気ガスが流れるノズル部9に可動部材を設けないため、破損等のリスクが低く、構造的な信頼性が高い。
幾つかの実施形態では、図1に示したように、ラジアルタービン又は斜流タービン1aは、シュラウド側スクロール流路12及びハブ側スクロール流路14の少なくともいずれか一方を流れる排気ガスの流量を調整可能な流量調整機構20をさらに備えている。
図示した実施形態では、上述したシュラウド側スクロール流路12及びハブ側スクロール流路14には、エンジン(不図示)から排出された排気ガスが、排気管21並びに排気管21から分岐するシュラウド側排気管23及びハブ側排気管25を介して供給されるように構成されている。シュラウド側スクロール流路12に対して排気ガスを供給するシュラウド側排気管23には、このシュラウド側排気管23の流路面積を調節可能なシュラウド側流量調整弁22が配置されている。また、ハブ側スクロール流路14に対して排気ガスを供給するハブ側排気管25には、このハブ側排気管25の流路面積を調節可能なハブ側流量調整弁24が配置されている。これらシュラウド側流量調整弁22及びハブ側流量調整弁24の弁開度を調節することで、シュラウド側スクロール流路12及びハブ側スクロール流路14を流れる排気ガスの流量を調整することが出来るようになっている。
すなわち図示した実施形態では、上述した流量調整機構20が、シュラウド側流量調整弁22と、ハブ側流量調整弁24とから構成されている。
また図示しないが、シュラウド側流量調整弁22及びハブ側流量調整弁24を、シュラウド側排気管23及びハブ側排気管25ではなく、シュラウド側スクロール流路12及びハブ側スクロール流路14の内部空間に配置してもよい。そして、シュラウド側スクロール流路12及びハブ側スクロール流路14の流路面積を調節することで、シュラウド側スクロール流路12及びハブ側スクロール流路14を流れる排気ガスの流量を調整するように構成してもよい。
このような実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1aによれば、流量調整機構20によってシュラウド側スクロール流路12及びハブ側スクロール流路14の少なくともいずれか一方を流れる排気ガスの流量を調整することが出来る。例えば、流量調整機構20によって、最大流量時には両方のスクロール流路に設計流量相当の排気ガスが流れるように制御することが出来る。また、最小流量時には一方のスクロール流路にのみ排気ガスを流すように制御することが出来る。また中間流量時には、一方のスクロール流路には設計流量相当の排気ガスを流し、他方のスクロール流路を流れる排気ガスの流量を調整するように制御することも出来る。したがって、このような流量調整機構20を備えることで、最小流量から最大流量までの広い流量範囲において高いタービン効率を実現可能な可変機構を構成することが出来る。
また、特に限定されないが、シュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bの流路面積と、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bの流路面積とは、それぞれ異なるように形成されているとよい。図5Aに示した実施形態では、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bの周方向幅(ノズルピッチP2)が、シュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bの周方向幅(ノズルピッチP1)よりも小さく形成される。そして、上述したシュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bは、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bよりも大きい流路面積を有するように構成される。
このように、シュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bの流路面積と、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bの流路面積とをそれぞれ異なるように形成することで、シュラウド側ノズル流路32とハブ側ノズル流路34とでノズル特性を異ならしめることが出来る。よって、例えば中間流量時において、排気ガスをシュラウド側ノズル流路32に流すか、ハブ側ノズル流路34に流すかを適切に制御することで、タービン効率を向上させることが出来る。また例えば、最小流量時にはノズル出口の流路面積が小さい方のノズル流路にのみ排気ガスが流れるように構成することで、より広い流量範囲で排気ガスの流量を調整することが出来る。
次に、本実施形態におけるシュラウド側ノズル流路32及びハブ側ノズル流路34の構造形状について説明する。図5A及び図5Bは、本発明の第1実施形態に対応したラジアルタービン又は斜流タービンのノズル部を示した概略斜視図である。図5Aは、シュラウド側ノズル流路32のノズルピッチP1と、ハブ側ノズル流路34のノズルピッチP2とが異なる場合の実施形態を示しており、図4に対応する図面である。図5Bは、シュラウド側ノズル流路32のノズルピッチP1と、ハブ側ノズル流路34のノズルピッチP2とが同じ場合の実施形態を示している。ここでノズルピッチとは、ノズル出口の周方向距離として定義される。また、図5Cは、図5Bのラジアルタービン又は斜流タービンのノズル部を示した概略斜視図において、図1の符号A〜Hに対応する形状を示した図である。
本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1aは、図5A及び図5Bに示したように、分割部10Aの内周部とケーシング8のシュラウド側壁面16aとの間において周方向に間隔を置いて形成される複数のシュラウド側ノズル翼17を備えている。シュラウド側ノズル翼17は、分割部10Aの内周部からタービン軸線CLに沿ってシュラウド側に延在する。シュラウド側ノズル翼17は、そのハブ側の断面(側面部)17cにおいて分割部10Aの内周部と接続し、そのシュラウド側の側面部17dにおいてシュラウド側壁面16aと接続する。シュラウド側ノズル翼17は、子午面視において、タービン軸線CLに対してほぼ平行に形成される前縁形状及び後縁形状を有している。またこのシュラウド側ノズル翼17は、図4に示したように、タービン軸線CLと直交する方向の断面視において、外周側に配向される圧力面17S1及び内周側に配向される負圧面17S2の2つの周面を有する翼形状の外面形状を有している。また、その前端部17Aが後端部17Bに対して回転軸2の回転方向Rの上流側に位置するように、周方向において傾斜して配置されている。
そして、シュラウド側ノズル流路32は、分割部10Aの内周部と、周方向に隣り合う一方のシュラウド側ノズル翼17の圧力面17S1と、他方のシュラウド側ノズル翼17の負圧面17S2と、ケーシング8のシュラウド側壁面16aとで画定されるシュラウド側空間17s(図5A及び図5Bを参照)とから構成される。
また、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1aは、図5A及び図5Bに示したように、ハブ側当接部10Bのハブ側当接面10Bc(図2を参照)に溝部10Bdが形成されている。そして、この溝部10Bdとハブ側壁面18aとによってハブ側空間19sが画定されている。また、シュラウド側ノズル翼17の内部には、分割部10Aの内周部と接続するハブ側の断面17c(図2参照)及び後端部17Bに開口を有する中空部17hが形成されている。この中空部17hは、シュラウド側ノズル翼17の内部に形成される貫通孔状、またはシュラウド側ノズル翼17をハブ側から視認して溝状に形成される。
そして、ハブ側ノズル流路34は、図5A及び図5Bに示したように、上述したハブ側空間19sと、このハブ側空間19sと連通する中空部17hとから構成されている。
ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aは、ハブ側当接部10Bをタービン軸方向から視認した場合に、このハブ側当接部10Bの外周側に位置する外周端面10Baに形成される。この外周端面10Baは、図2に示したように、子午面視において、シュラウド側ノズル翼17の後端部17Bに開口するノズル出口34Bに対してほぼ平行に延在する。
ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bは、シュラウド側ノズル翼17をタービン軸方向から視認した場合におけるシュラウド側ノズル翼17の内周端部(後端部17B)に形成される。このハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bは、子午面視においてタービン軸方向に対してほぼ平行に形成される。また図4に示したように、タービン軸と直交する方向の断面視において、シュラウド側ノズル翼17の後端部17Bに形成される2つの後端17a、17bの内側に画定されている。図示した実施形態では、この2つの後端17a、17bは、タービン軸と直交する方向の断面視において、タービン軸線CLから半径方向に距離R1だけ離れた位置に形成されている。また、この2つの後端17a、17bと、ハブ3の外周端縁3dとの間には、周方向に連続する環状流路33が形成されている。
図6は、図2におけるA−A断面を示した概略矢視図であって、シュラウド側ノズル流路及びハブ側ノズル流路から流出する排気ガスの流れを説明するための図である。
図6の符号f1は、シュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bから環状流路33に流出する排気ガスの流れf1の流れ方向を示している。符号f2は、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bから環状流路33に流出する排気ガスの流れを示している。
本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1aでは、図6に示したように、周方向に交互に隣接して形成される複数のシュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bと、複数のハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bとから排気ガスが流出することで、環状流路33の周方向に途切れなく排気ガスが流れ、タービン動翼入口4aへと導かれるようになっている。
図7は、本発明の第1実施形態の変形例にかかるラジアルタービン又は斜流タービンのノズル部を示した概略斜視図である。
本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1aは、図5A及び図5Bに示した実施形態のものと比べ、分割壁10の内周部からハブ側に延在してハブ側壁面18aに当接する部位19C(図5A及び図5Bにおけるハブ側当接部10B)の形状、及び分割壁10の内周部からシュラウド側に延在してシュラウド側壁面16aに当接する部位17C(図5A及び図5Bにおけるシュラウド側ノズル翼17)の形状が大きく異なっている。
すなわち、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1aは、図7に示したように、分割壁10の内周部において周方向に間隔を置いて複数形成された、ケーシング8のシュラウド側壁面16aと当接する複数のシュラウド側ノズル部17Cと、分割壁10の内周部において周方向に間隔を置いて複数形成された、ケーシング8のハブ側壁面18aと当接する複数のハブ側ノズル部19Cとを備えている。シュラウド側ノズル部17Cは、このシュラウド側ノズル部17Cの内部に、ハブ側において、半径方向外端から内端に通じ、ハブ側スクロール流路14を臨む入口とタービン動翼入口4aを臨む出口とを有するハブ側溝部17gを有している。ハブ側ノズル部19Cは、このハブ側ノズル部19Cの内部に、シュラウド側において、半径方向外端から内端に通じ、シュラウド側スクロール流路12を臨む入口とタービン動翼入口4aを臨む出口とを有するシュラウド側溝部19gを有している。シュラウド側ノズル流路32は、ケーシング8のシュラウド側壁面16aと、ハブ側ノズル部19Cのシュラウド側溝部19gにおける周方向に対向する2つの側壁面19Sa、19Sb及び底壁面19Scとで形成される。ハブ側ノズル流路34は、ケーシング8のハブ側壁面18aと、シュラウド側ノズル部17Cのハブ側溝部17gにおける周方向に対向する2つの側壁面17Sa、17Sb及び底壁面17Scとで形成される。シュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bがシュラウド側溝部19gの出口からなる。また、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bがハブ側溝部17gの出口からなる。そして、複数のシュラウド側溝部19gの出口及び複数のハブ側溝部17gの出口の各々が、タービン動翼入口4aに対して半径方向に対向し、且つ、タービン軸方向における同一軸方向位置において周方向に交互に隣接して配置されることで環状のノズル出口部30が構成されている。
このように、本発明の一実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1aは、図7に示すような形状を有していてもよいものである。
<第2実施形態>
次に、図8〜図11に基づいて本発明の第2実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1bを説明する。図8は、本発明の第2実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンを説明するための概略子午面図である。図9は、図8におけるB−B断面を示した概略矢視図である。
なお、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンは、上述した第1実施形態と基本的には同様な構成を有している。よって、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第2実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1bでは、図8に示したように、上述したタービンハウジング6が、ハブ側ハウジング部6Aおよびシュラウド側ハウジング部6Bが同一部材からなる一体化構造を有している。また分割壁10も、タービンハウジング6と同一部材からなる一体化構造として構成されている。また、第2実施形態にかかるハブ側ハウジング部6Aは、上述したハブ側壁部18を有しておらず、その代わりにケーシング8を構成する一部材である背板7Bが配置されている。そして、上述したケーシング8のハブ側壁面18aは、背板7Bの壁面から構成されている。この背板7Bの壁面は、図8に示したように、ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aからノズル出口34Bに向かって、このハブ側壁面18aと回転軸2との半径方向距離が短くなるようにタービン軸線CLに対して傾斜している。
また、分割壁10のハブ側当接部10Bには貫通孔10Bhが形成されている。そして、この貫通孔10Bhによって上述したハブ側空間19sが形成されている。この貫通孔10Bhは、ハブ側当接部10Bをタービン軸方向から視認した場合に、ハブ側当接部10Bの外周側に位置する外周端面10Baから分割部10Aの内周部までを貫通するように形成されている。図示した実施形態では、この外周端面10Baは子午面視においてハブ側壁面18aに対してほぼ直交する方向に延在している。なお図示しないが、この外周端面10Baを子午面視においてタービン軸線CLとほぼ直交する半径方向に沿って延在するように構成してもよい。
また、本実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1bでは、図8に示したように、分割壁10の分割部10Aが、タービン軸方向においてハブ3の背面3bとほぼ同じ位置に形成されている。そして、シュラウド側ノズル流路32は、子午面視においてタービン軸線CLに対して直交する方向に沿ってタービン動翼入口4aに向かって延在している。ハブ側ノズル流路34は、子午面視において、タービン動翼入口4aからタービン動翼出口4bに向かう方向に沿うように、タービン軸方向に対して傾斜して延在するように形成される。
このような実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1bによれば、従来のラジアルタービンと同様に、シュラウド側ノズル流路32から流出する排気ガスの子午面上の流れe1をタービン軸線CLに対してほぼ直交する半径方向の流れとすることが出来る。したがって、シュラウド側ノズル流路32を流れる排気ガスの流れがシュラウド側からハブ側に向かうようにタービン軸に対して傾斜する方向に沿って流れる場合と比べて、排気ガスの流れの転向角を小さくすることが出来る。これにより圧力損失を抑制し、タービン効率の低下を防止することが出来るようになっている。
また、ハブ側ノズル流路34から流出する排気ガスの子午面上の流れe2についても、従来のラジアルタービンよりもその流れの転向角を小さくすることが出来る。このため、より一層圧力損失を抑制し、タービン効率の低下を防止することが出来るようになっている。
また上述したように、本実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1bでは、ケーシング8のハブ側壁面18aがタービンハウジング6とは別部材から構成される背板7Bの壁面からなる。このため、この背板7Bをタービンハウジング6などと共にタービン軸方向に組み付けて一体化することで本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1bを製造することが出来るため、製造性に優れている。
また、本実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1bでは、図8及び図9に示したように、ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aは、このノズル入口34Aの子午面視における開口の最大幅をWA、周方向の最大幅をWCで表した時に、WA<WCである。すなわち本実施形態のノズル入口34Aは、その開口の最大幅が子午面方向(子午面視における外周端面10Baに沿った方向)よりも周方向に長く形成されている。図示した実施形態におけるノズル入口34Aは、図9に示したように、周方向に長軸(長さWC)を有し、タービン軸方向に短軸(長さWA´)を有する楕円形状に形成されている。
このような実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1bによれば、ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aを子午面方向よりも周方向に長い形状とすることで、ケーシング8のタービン軸方向の長さを短くすることが出来る。これにより、ケーシング8の形状をコンパクトにすることが出来る。
図10は、図8におけるA−A断面を示した概略矢視図である。
幾つかの実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1bでは、図10に示したように、上述したシュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bは、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bよりも大きい流路面積を有する。そして、上述した流量調整機構20は、シュラウド側スクロール流路12の流路面積を調整可能な流量調整弁、又はシュラウド側スクロール流路12に排気ガスを導入するシュラウド側排気管23の流路面積を調整可能な流量調整弁からなる。
図8に示した実施形態では、シュラウド側排気管23にのみ流量調整弁(シュラウド側流量調整弁22)が配置され、ハブ側排気管25には流量調整弁は配置されていない。このため、両方のスクロール流路の流路面積を調整する場合と比べて流量調整弁が一つで済み、流量調整機構20の構造及び制御を単純化できる。
また、本実施形態のシュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bは、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bよりも大きい流路面積を有しており、シュラウド側ノズル流路32の方がハブ側ノズル流路34よりも多くの排気ガスを流すことが出来るようになっている。そして、本実施形態の流量調整機構20は、このシュラウド側ノズル流路32を流れる排気ガスの流量を調整するように構成されている。
したがって、例えば、最大流量時にはシュラウド側流量調整弁22を全開にして、両方のノズル流路32、34から設計流量相当の排気ガスが流れるように制御することができる。また、最小流量時にはシュラウド側流量調整弁22を全閉として、ノズル出口の流路面積の小さいハブ側ノズル流路34からのみ排気ガスを流すように制御することが出来る。また中間流量時には、シュラウド側流量調整弁22を中間開度に制御し、ハブ側ノズル流路34には設計流量相当の排気ガスを流し、ノズル出口の流路面積の大きいシュラウド側ノズル流路32を流れる排気ガスの流量を調整するように制御することが出来る。これにより、最小流量から最大流量までの広い流量範囲において高いタービン効率を実現する可変機構を構成することが出来る。
図11は、図8におけるB−B方向の概略矢視図であって、シュラウド側ノズル翼の変形例を示した図である。この図11に示したシュラウド側ノズル翼17は、図7に示した翼頭部が存在しない角錐状のシュラウド側ノズル部17Cに対応するものである。本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1bにおいては、このような形状のシュラウド側ノズル翼17を採用することも出来る。
<第3実施形態>
次に、図12及び図13に基づいて、本発明の第3実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンを説明する。図12は、本発明の第3実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンにおけるハブ側ノズル流路のノズル出口の形状を説明するための図である。図13は、本発明の第3実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、シュラウド側ノズル流路及びハブ側ノズル流路から流出する排気ガスの流れを説明するための図である。
なお、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンは、上述した実施形態と基本的には同様な構成を有している。よって、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図12に示したように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンのシュラウド側ノズル翼17は、タービン軸と直交する方向の断面視において、隣接するシュラウド側ノズル翼17´の負圧面後端17bと交差し、且つ、シュラウド側ノズル翼17のハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bの圧力面後端17a及び負圧面後端17bで規定される下流端面34Baと直交する方向に延伸する仮想線IL1が、シュラウド側ノズル翼17の圧力面後端17a及び負圧面後端17bの間を通過するように、シュラウド側ノズル翼17のハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bが構成される。
ここで仮想線IL1と下流端面34Baとの交点は、下流端面34Baの中心には限定されない。仮想線IL1と下流端面34Baとの交点が、シュラウド側ノズル翼17の圧力面後端17aと負圧面後端17bとの間のいずれかの位置に存在するように構成されていればよい。
このような実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、図13の(a)に示したように、例えば最小流量時においてハブ側ノズル流路34からのみ排気ガスを流す場合であっても、ハブ側ノズル流路34から流出する排気ガスが、隣接するシュラウド側ノズル翼17´の負圧面17´S2によってその排気ガスの流れが大きく妨げられることなく周方向に沿って環状流路33を流れていく。このため、ハブ側ノズル流路34から流出する排気ガスが周方向に途切れることなく流れ、環状流路33の全体からタービン動翼入口4aに流入する。
最大流量時においては、図13の(b)に示したように、ハブ側ノズル流路34とシュラウド側ノズル流路32の両方のノズル出口を合わせた面積から排気ガスが流出する。ここで好ましくは、ハブ側ノズル流路34及びシュラウド側ノズル流路32から流出する排気ガスの流速が最大流量時において等しくなるように、2つのノズル流路32、34のノズル出口32B、34Bのスロート幅S1、S2が設計されるとよい。ここでスロート幅とは、図13に示したように、タービン軸と直交する方向の断面視において、ノズル流路32、34のノズル出口32B、34Bを形成する対向する2つの面の最短距離として定義される。シュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bのスロート幅S1は、隣接する一方のシュラウド側ノズル翼17の圧力面後端17aと隣接する他方のシュラウド側ノズル翼17´の負圧面17´S2とを結ぶ最短距離である。ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bのスロート幅S2は、図示した実施形態では、シュラウド側ノズル翼17の圧力面後端17aと負圧面後端17bとを結ぶ距離である。
図13の(b)に示したように、ハブ側ノズル流路34とシュラウド側ノズル流路32とでは排気ガスの流出方向が異なる。しかしながら、シュラウド側ノズル流路32を流れる排気ガスは、隣接するシュラウド側ノズル翼17´の負圧面17´S2によってその流れ方向が制約されており、負圧面17´S2に沿って流れる。よって、2つのノズル流路32、34から流出する排気ガスは、大きく流れが乱れることなく一つの大きな排気ガスの流れとして合流し、動翼入口の環状流路33の全体からタービン動翼入口4aに流入する。
中間流量時においては、図13の(c)に示したように、上述した最大流量時と比べてシュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bから流出する排気ガスの流速が遅くなる。しかしながら、ハブ側ノズル流路34から流出する排気ガスの流れによって、シュラウド側ノズル流路32の流れ幅が狭まり、これによりシュラウド側ノズル流路32から流出する排気ガスの流速が加速される。そして、2つのノズル流路32、34から流出する排気ガスは、大きく流れが乱れることなく一つの大きな排気ガスの流れとして合流し、最小流量時と最大流量時の中間の流れ角を有しながら、動翼入口の環状流路33の全体からタービン動翼入口4aに流入する。
このように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンでは、最小流量から最大流量までの広い流量範囲において、動翼入口の環状流路33の全体からタービン動翼入口4aに向かって排気ガスを流すことが出来る。しかも、流量の変化に応じて流れ角も連続的に変化するため、あたかも可変ノズルによって排気ガスの流れ方向を制御する場合と同様の制御性能を有する。このため、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、最小流量から最大流量までの広い流量範囲において、高いタービン効率を実現する可変機構を構成することが出来るようになっている。
<第3−2実施形態>
次に、図14及び図15に基づいて、本発明の第3−2実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンを説明する。図14は、本発明の第3−2実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンにおけるハブ側ノズル流路のノズル出口の形状を説明するための図である。図15は、本発明の第3−2実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンにおいて、シュラウド側ノズル流路及びハブ側ノズル流路から流出する排気ガスの流れを説明するための図である。
なお、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンは、上述した実施形態と基本的には同様な構成を有している。よって、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図14に示したように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンのシュラウド側ノズル翼17は、タービン軸と直交する方向の断面視において、隣接するシュラウド側ノズル翼17´の負圧面後端17bと交差し、且つ、ノズル出口34Bの圧力面後端17aと中空部17hの負圧面後端17b側のノズル内面17S3とを最短距離で結ぶ線として規定される下流端面34Bbと直交する方向に延伸する仮想線IL2が、圧力面後端17a及び負圧面後端17bの間を通過するように、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bが構成される。図示した実施形態では、図12及び図13に示した実施形態に対して、圧力面後端17aが負圧面後端17bよりも距離Xだけ上流側(シュラウド側ノズル翼17の後端部17B側)に位置するように構成されている。
ここで仮想線IL2と下流端面34Baとの交点は、下流端面34Bbの中心には限定されない。仮想線IL2と下流端面34Bbとの交点が、シュラウド側ノズル翼17の圧力面後端17aと負圧面後端17bとの間のいずれかの位置に存在するように構成されていればよい。
このような実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンによれば、図15に示したように、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bから流出する排気ガスの流れに対して、このノズル出口34Bの下流端面34Baに対して垂直方向の流速成分を付与することが出来る。このため、図15の(c)に示したように、ハブ側ノズル流路34とシュラウド側ノズル流路32の両方のノズル出口34B、32Bから排気ガスが流出する中間流量時において、上述した第3実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンよりも、2つのノズル出口34B、32Bから流出する排気ガスの混合が促進される。これにより、流れの一様性が向上し、タービン動翼入口4aに流入する際の圧力損失を軽減することが出来る。
<第4実施形態>
次に、図16〜図19に基づいて、本発明の第4実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1cを説明する。図16は、本発明の第4実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1を説明するための概略子午面図である。図17は、図16におけるB−B方向の概略矢視図である。図18は、図16におけるA−A方向の概略矢視図である。図19は、図16におけるノズル部の拡大図である。
なお、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンは、上述した実施形態と基本的には同様な構成を有している。よって、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図16〜図19に示したように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1cは、上述した実施形態と同様に、分割壁10は、タービン軸方向と直交する方向に延在し、スクロール空間を分割する環板状の分割部10Aと、この分割部10Aの内周部からハブ側に向かって延在し、ケーシング8のハブ側壁面18aと当接するハブ側当接部10Bとからなる。ケーシング8のハブ側壁面18aは、子午面視において、ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aからノズル出口34Bに向かって、このハブ側壁面18aと回転軸2との半径方向距離が短くなるようにタービン軸線CLに対して傾斜して延在する。
ハブ側当接部10Bのハブ側当接面10Bcには、半径方向の外端から内端に通じる溝部10Bdが形成されている。そして、上述したハブ側ノズル流路34は、溝部10Bdの底面および対抗する側面とハブ側壁面18aとで画定される空間(ハブ側空間19s)を含むように構成される。すなわち、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1cでは、上述した第2実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1bとは異なり、ハブ側空間19sが貫通孔ではなく溝から形成されている。なお、図16中の符号R2は、ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aとタービン軸線CLからの半径方向距離を示している。
このような実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1cによれば、上述した第2実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1bとは異なり、分割壁10に対して貫通孔10Bhを形成することなく、加工が容易な溝部10Bdによってハブ側ノズル流路34を形成することが出来る。分割壁10に貫通孔10Bhを形成する場合には複雑な鋳造等で製作する必要があるが、当接面に開口を有する溝部10Bdであれば、比較的単純な構造の中子で鋳造によって製作可能である。また、高い表面加工精度が要求される場合であっても、エンドミルによって容易に加工することが出来る。
また、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1cは、上述した実施形態と同様に、分割部10Aの内周部におけるシュラウド側の側面部10Ab(図19参照)とケーシング8のシュラウド側壁面16aとの間において周方向に間隔を置いて形成される複数のシュラウド側ノズル翼17をさらに備える。シュラウド側ノズル流路32は、分割部10Aの内周部におけるシュラウド側の側面部10Abと、周方向に隣り合う2つのシュラウド側ノズル翼17、17と、ケーシング8のシュラウド側壁面16aとで画定されるシュラウド側空間17s(図18参照)を含むように構成される。また、このシュラウド側ノズル翼17の内部には、分割部10Aと接続するハブ側の断面17c及び後端部17Bに開口を有する溝状又は貫通孔状の中空部17hが形成されている。そして、上述したハブ側空間19sは、この貫通孔状の中空部17hと連通している。すなわち、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1cでは、これらハブ側空間19sと中空部17hとによってハブ側ノズル流路34が構成されている。
このような実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1cによれば、上述したハブ側空間19sとシュラウド側ノズル翼17の内部に形成される溝状又は貫通孔状の中空部17hとによってハブ側ノズル流路34が構成される。このため、周方向に隣り合う2つのシュラウド側ノズル翼17、17によって形成されるシュラウド側空間17sを含むシュラウド側ノズル流路32を流れる排気ガスと、シュラウド側ノズル翼17の内部に形成される溝状又は貫通孔状の中空部17hを含むハブ側ノズル流路34を流れる排気ガスとが、それぞれのノズル出口まで互いに干渉することなく流れて環状流路33に流出する。このような構成により、2つのノズル流路を流れる排気ガスの干渉を抑制することが出来るため、排気ガスの圧力損失を抑制でき、タービン効率をより一層高めることが出来るようになっている。
<第5実施形態>
次に、図20〜図25に基づいて、本発明の第5実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1dを説明する。図20は、本発明の第5実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンを説明するための概略子午面図である。図21は、図20におけるB−B方向の概略矢視図である。図22Aは、図20における翼周辺の拡大図である。図22Aは、翼前縁の形状を説明するための図である。図23は、一実施形態にかかる図20におけるA−A方向の概略矢視図である。図24は、他の実施形態にかかる図20におけるA−A方向の概略矢視図である。図25は、本発明の第5実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンのノズル部を示した概略斜視図である。
なお、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンは、上述した実施形態と基本的には同様な構成を有している。よって、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図20〜図25、特に図22Aにおいて拡大して示したように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1dでは、翼4は、子午面視において、上流側に位置する前縁4aと、下流側に位置する後端4bと、半径方向外側に位置する外側縁4cと、半径方向内側に位置し、ハブ3の周面3aに固着される内側縁4dとを有する。そして、内側縁4dと前縁4aとの第1交点a1の半径方向距離をRH、外側縁4cと前縁4aとの第2交点a2の半径方向距離をRSで表した時に、RH<RSであり、前縁4aの形状線は上流側に向かって凸状に形成される。一方、シュラウド側ノズル翼17の後端部17Bの形状線は、子午面視において、前縁4aに対向して凹状に形成される。
前縁4aの形状を図22Bに示す。前縁4aは、上流側に向かって湾曲状に形成されているハブ側に位置する曲線部4a1と、変位点a3を境として、直線状に延在するシュラウド側に位置する直線部4a2とからなる。曲線部4a1は、シュラウド側からハブ側に向かって徐々に半径方向距離が短くなるように形成される。直線部4a2は、その半径方向距離がほぼ等しく形成される。そして、前縁4aの形状線は、全体として上流側、すなわちノズル部9側に向かって凸状に形成される。そして、前縁4aの第1交点a1から第2交点a2に亘って、前縁4aとシュラウド側ノズル翼17の後端部17Bとの離間距離はほぼ一定に形成される。
ハブ側ノズル流路34から流出する排気ガスの速度成分の主体は周方向成分であるが、子午面視においては半径方向成分と軸方向成分も有しており、タービン軸に対して傾斜して流れてタービン動翼入口4aに流入する。しかしながら、翼4の前縁4aが一定の半径方向距離を有するラジアルタービンでは、この子午面視における排気ガスの流れの転向角が大きくなり、ハブ3の周面3aにおいて排気ガスの流れに剥離等が生じ、圧力損失が発生してしまう。
したがって、このような実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1dによれば、翼4のハブ側の前縁4aがハブ側に向かって半径方向距離が短くなるように傾斜して形成される。また、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bが開口するシュラウド側ノズル翼17の後端部17Bの形状線は、子午面視において、前縁4aに対向して凹状に形成される。このため、ハブ側ノズル流路34から流出する排気ガスの子午面視における流れの転向角を小さく出来、流れ角変化による圧力損失を低減することが出来る。
また、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1dでは、図23に示したように、上述した実施形態と同様、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bのスロート幅S2をシュラウド側からハブ側に至るまで一定幅に形成してもよい。好ましくは、図24に示したように、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bのスロート幅S2を、シュラウド側のスロート幅S2aよりもハブ側のスロート幅S2b方が広くなるように形成するとよい(S2a<S2b)。
なお、図23及び図24は、図20におけるA−A方向の概略矢視図であり、そのスロート幅S2、S2a、S2bを概念的に表示するものである。
導入する排気ガスの流量が変動するタービンにおいては、小流量時には理論速度比(U/C0)の低い領域で高いタービン効率が要求され、大流量時には理論速度比(U/C0)の高い領域で高いタービン効率が要求される。
本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1dでは、翼4の前縁4aの形状線が上流側に向かって凸状に形成される。また、シュラウド側ノズル翼17の後端部17Bの形状線が、子午面視において、前縁4aに対向して凹状に形成される。このため、翼4の前縁4aは、タービン軸に対して傾斜したハブ側の衝動タービンの機能が大きい部分(図22Bの符号4a1)と、タービン軸に対してほぼ平行で且つ半径がほぼ一定となるシュラウド側の反動タービンの機能が大きい部分(図22Bの符号4a2)とを有することとなる。よって、図25に示したように、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bのスロート幅S2を、シュラウド側のスロート幅S2aよりもハブ側のスロート幅S2bを広く形成することで(S2a<S2b)、小流量時において理論速度比(U/C0)の低い領域で高いタービン効率を発揮する衝動タービンの機能が大きい前縁4aのハブ側の部分(曲線部4a1)に小さい流れ角で多くの排気ガスを流入させることが出来る。また、大流量時において理論速度比(U/C0)の高い領域で高いタービン効率を発揮する反動タービンの機能が大きい前縁4aのシュラウド側の部分4a2に大きい流れ角で多くの排気ガスを流入させることが出来る。これにより、小流量〜大流量の広い流量範囲においてタービン効率の向上を図ることが出来るようになっている。
<第6実施形態>
次に、図26、図27に基づいて、本発明の第6実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1eを説明する。図26は、本発明の第6実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンを説明するための概略子午面図である。図27は、図26における翼周辺の拡大図である。
なお、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンは、上述した実施形態と基本的には同様な構成を有している。よって、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
特に図27において拡大して示したように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1eでは、翼4は、上流側に位置する前縁4aと、下流側に位置する後端4bと、半径方向外側に位置する外側縁4cと、半径方向内側に位置し、ハブ3の周面3aに固着される内側縁4dとを有する。前縁4aは、一定の半径方向距離からなる形状線を有する。ハブ3は、このハブ3の周面3aの外周端縁3dにおける接線方向L1が、タービン軸と直交する方向L2に対して、タービン動翼5のハブ3の背面3b側に角度β(5〜30°)だけ傾斜して形成される。そして、ケーシング8のハブ側壁面18aは、上述した実施形態と同様に、子午面視において、ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aからノズル出口34Bに向かって、このハブ側壁面18aと回転軸2との半径方向距離が短くなるようにタービン軸方向に対して傾斜して延在する。
図示した実施形態では、翼4の前縁4aは、子午面視において、上述した第5実施形態とは異なり、タービン軸線CLに対してほぼ平行に延在している。また、シュラウド側ノズル翼17の後端部17Bの形状も、タービン軸線CLに対してほぼ平行に形成されている。そして、翼4の全高に亘って、前縁4aとシュラウド側ノズル翼17の後端部17Bとの離間距離はほぼ一定に形成されている。
ハブ側ノズル流路34から流出する排気ガスの速度成分の主体は周方向成分であるが、子午面視においては半径方向成分と軸方向成分も有しており、タービン軸に対して傾斜して流れて翼4に流入する。しかしながら、ハブ3の周面3aの外周端縁3dにおける接線方向が半径方向に延伸するラジアルタービンでは、この子午面視における排気ガスの流れの転向角が大きくなり、ハブ周面において排気ガスの流れに剥離等が生じ、圧力損失が発生する。
これに対して本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1eによれば、ハブ3は、このハブ3の周面3aの外周端縁3dにおける接線方向L1が、タービン軸と直交する方向に対して、タービン動翼5のハブ3の背面3b側に角度β(5〜30°)だけ傾斜して形成される。このため、ハブ側ノズル流路34から流出する排気ガスの子午面視における流れf2の転向角を小さく出来、流れ角変化による圧力損失を低減することが出来る。
<第7実施形態>
次に、図28〜図30に基づいて、本発明の第7実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1fを説明する。図28は、本発明の第7実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンを説明するための概略子午面図である。図29は、図28におけるB−B方向の概略矢視図である。図30は、図28におけるA−A方向の概略矢視図である。
なお、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンは、上述した実施形態と基本的には同様な構成を有している。よって、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図28〜図30に示したように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1fは、その分割壁10が、タービン軸線CLと直交する方向に延在し、スクロール空間を分割する分割部10Aと、分割部10Aの内周部からシュラウド側に向かって延在し、ケーシング8のシュラウド部16のシュラウド側壁面16aと当接するシュラウド側当接部10Cとからなる。そしてシュラウド側ノズル流路32は、シュラウド部16のシュラウド側壁面16aと、シュラウド側当接部10Cにおけるシュラウド側壁面16aとの当接面に形成される溝部とによって画定される空間を少なくとも含むように構成される。
また、ハブ側スクロール流路14とタービン動翼5との間には、ハブ側ノズル翼19が同心円状に複数配置されている。そして、ハブ側ノズル流路34は、周方向に隣り合う2つのハブ側ノズル翼19との間に形成される。
このように構成される本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1fであっても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることが出来る。
<第8実施形態>
次に、図31〜図33に基づいて、本発明の第8実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1gを説明する。図31は、本発明の第8実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンを説明するための概略子午面図である。図32は、図31におけるB−B方向の概略矢視図である。図33は、図31におけるA−A方向の概略矢視図である。
なお、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンは、上述した実施形態と基本的には同様な構成を有している。よって、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図31〜図33、特に図33において模式的に示したように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1gでは、上述した実施形態とは異なり、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bの流路面積の方が、シュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bの流路面積よりも大きく形成されている。
すなわち、本実施形態における2つのノズル流路32、34のノズル出口32B、34Bの流路面積は、上述した第2実施形態などとはその大小関係が反対になっている。
また、図31に示したように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1gでは、ハブ側排気管25にのみ流量調整弁(ハブ側流量調整弁24)が配置され、シュラウド側排気管23には流量調整弁は配置されていない。すなわち本実施形態では、流量調整機構20は、ハブ側スクロール流路14に排気ガスを導入するハブ側排気管25の流路面積を調整可能なハブ側流量調整弁24からなる。
このような実施形態によれば、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bは、シュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bよりも大きい流路面積を有するため、ハブ側ノズル流路34に排気ガスを導入するハブ側スクロール流路14の流路面積を調整することで、より広い範囲において流量調整を行うことが出来る。
また例えば、上述した実施形態と同様に、最小流量時にはノズル出口の流路面積の小さいシュラウド側ノズル流路32からのみ排気ガスを流し、最大流量時には両方のノズル流路32、34から設計流量相当の排気ガスを流し、中間流量時には、シュラウド側ノズル流路32には設計流量相当の排気ガスを流し、ノズル出口の流路面積の大きいハブ側ノズル流路34を流れる排気ガスの流量を調整することで、最小流量から最大流量までの広い流量範囲において高いタービン効率を実現する可変機構を構成することが出来る。しかも、大流量時において、上述した第5実施形態において説明したような理論速度比(U/C0)の低い領域で高いタービン効率を発揮する衝動タービンとしての機能をより顕著に発揮させることが出来るようになっている。
<第9実施形態>
次に、図34〜図36に基づいて、本発明の第9実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1hを説明する。図34は、本発明の第9実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンを説明するための概略子午面図である。図35は、図34におけるB−B方向の概略矢視図である。図36は、図34におけるA−A方向の概略矢視図である。
なお、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンは、上述した実施形態、特に上述した第2実施形態と基本的には同様な構成を有している。よって、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図34〜図36に示したように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1hは、上述した第2実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1bに対して、シュラウド側ノズル翼17の内部に中空部17hが形成されていない。本実施形態のハブ側ノズル流路34は、分割壁10のハブ側当接部10Bに形成されている貫通孔10Bhからなるハブ側空間19sのみによって構成されている。そして本実施形態では、シュラウド側ノズル翼17の内部に中空部17hが形成されていない代わりに、シュラウド側ノズル翼17の圧力面17S1に凹部17Gが形成されている。この凹部17Gは、タービン軸と直交する方向の断面視において、シュラウド側ノズル翼17の圧力面17S1の一部を前端部17Aの下流側から後端部17Bにかけて削り取ったような形状を呈している。そして、この凹部17Gによって、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bから流出した排気ガスを翼4の前縁4aに対して直交する方向に導流するように構成されている。
<第9−2実施形態>
次に、図37〜図39に基づいて、本発明の第9−2実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1iを説明する。図37は、本発明の第9−2実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンを説明するための概略子午面図である。図38は、図37におけるB−B方向の概略矢視図である。図39は、図37におけるA−A方向の概略矢視図である。
なお、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンは、上述した実施形態、特に上述した第4実施形態と基本的には同様な構成を有している。よって、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図37〜図39に示したように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1iは、上述した第4実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1cに対して、シュラウド側ノズル翼17に中空部17hが形成されていない。本実施形態のハブ側ノズル流路34は、分割壁10のハブ側当接部10Bのハブ側当接面10Bcに形成されている溝部10Bdからなるハブ側空間19sのみによって構成されている。そして本実施形態では、シュラウド側ノズル翼17の内部に上述した中空部17hが形成されていない代わりに、上述した第9実施形態と同様に、シュラウド側ノズル翼17の圧力面17S1に凹部17Gが形成されている。そして、この凹部17Gによって、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bから流出した排気ガスを翼4の前縁4aに対して直交する方向に導流するように構成されている。
本実施形態と上述した第9実施形態との相違点は、本実施形態では分割壁10のハブ側当接部10Bのハブ側当接面に形成される溝部10Bdによってハブ側空間19sが形成されているのに対し、第9実施形態では分割壁10のハブ側当接部10Bに形成される貫通孔10Bhによってハブ側空間19sが形成されている点である。
すなわち、上記第9実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1h、及び第9−2実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1iは、上述した実施形態と同様、分割壁10は、タービン軸線CLと直交する方向に延在し、スクロール空間を分割する環板状の分割部10Aと、分割部10Aの内周部からハブ側に向かって延在し、ケーシング8のハブ側壁面18aと当接するハブ側当接部10Bとからなる。そして、分割部10Aの内周部とケーシング8のシュラウド側壁面16aとの間において周方向に間隔を置いて形成される複数のシュラウド側ノズル翼17をさらに備えている。このシュラウド側ノズル翼17は、子午面視において、分割部10Aの内周部からタービン軸線CLに沿ってシュラウド側に延在するとともに、タービン軸線CLに対してほぼ平行に形成される前縁形状を有するとともに、タービン軸と直交する方向の断面視において、外周側に配向される圧力面17S1及び内周側に配向される負圧面17S2の2つの周面を有する翼形状の外面形状を有する。ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aは、ハブ側当接部10Bをタービン軸方向から視認した場合に、このハブ側当接部10Bの外周に位置する外周端面10Baに形成される。この外周端面10Baは、子午面視において、ノズル出口34Bに対してほぼ平行に延在するか、ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aからノズル出口34Bに向かって、このハブ側壁面18aと回転軸2との半径方向距離が短くなるように延在するケーシング8のハブ側壁面18aに対してほぼ直交する方向に延在するか、または、半径方向に沿って延在するように形成される。ハブ側ノズル流路34は、ハブ側当接部10Bの内部に形成される貫通孔状、またはハブ側当接部10Bをハブ側から視認して溝状に形成されるハブ側空間19sを含む。ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bは、分割部10Aのシュラウド側の側面部10Abに開口する。そして、シュラウド側ノズル翼17の圧力面17S1には、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bから流出する排気ガスをタービン動翼入口4aに案内するための凹部17Gが形成されている。
このような実施形態によれば、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bから流出した排気ガスが凹部17Gによってタービン動翼入口4aまで案内される。このため、シュラウド側ノズル翼17の内部に溝状ないし孔状の中空部17hを形成する必要がなく、製造性に優れている。
また、幾つかの実施形態では、図36及び図39に示したように、タービン軸線CLと直交する方向の断面視において、凹部17Gの上流端の壁面(凹部17Gにおけるシュラウド側ノズル翼17の前端部17A側の壁面)に凹状の案内溝17guが形成されている。
このような実施形態によれば、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bから流出した排気ガスがこの凹状の案内溝17guに沿ってタービン動翼入口4aに向かって流れるため、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bから流出した排気ガスを円滑にタービン動翼入口4aまで案内することが出来る。また、図示した実施形態では、通気抵抗が小さくなるように、案内溝17guの断面はU字状に形成されている。
また、幾つかの実施形態では、この凹状の案内溝17guは、図34及び図37に示したように、シュラウド側ノズル翼17のハブ側の断面17cからシュラウド側の側面部17dに向かって下流側(シュラウド側ノズル翼17の後端部17B側)に移動しながら連続的に溝の深さが浅くなるように構成される。
このような実施形態によれば、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bから流出した排気ガスをタービン動翼入口4aまで案内する際の通気抵抗をより一層小さくすることが出来るようになっている。
<第10実施形態>
次に、図40に基づいて、本発明の第10実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1jを説明する。図40は、本発明の第10実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンを説明するための概略子午面図である。
なお、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンは、上述した実施形態と基本的には同様な構成を有している。よって、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図40に示したように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1jでは、上述した分割壁10は、分割部10Aとこの分割部10Aと一体的に形成されるハブ側当接部10Bとから構成される。この分割壁10はタービンハウジング6とは別部材から構成される。上述したシュラウド側ノズル翼17は、分割壁10及びタービンハウジング6とは別部材から構成される。そして、タービンハウジング6は、子午面視においてハブ側に位置するハブ側ハウジング部6Aと、子午視においてシュラウド側に位置するシュラウド側ハウジング部6Bとから構成される。これらハブ側ハウジング部6Aとシュラウド側ハウジング部6Bとは、互いに別部材として構成される、
図示した実施形態では、ハブ側ハウジング部6Aには、タービン軸線CLに対して直交する方向に沿ってスクロール空間側に突出する分割凸部13が形成されている。この分割凸部13の先端部には段差が形成され、タービン軸方向に配向された突き合わせ面13aが形成されている。そして、分割部10Aの基端部にもこれに対応して段差が形成されており、タービン軸方向に配向された突き合わせ面10Aaが形成されている。そして、これら分割凸部13の突き合わせ面10Aaと分割部10Aの突き合わせ面13aとを突き合わせた状態で両者をボルト等の締結部材によって締結することで、分割壁10の分割部10Aがタービンハウジング6に固定される。また、図示した実施形態の分割壁10のハブ側当接部10Bには貫通孔10Bhが形成されおり、この貫通孔10Bhによってハブ側空間19sが形成されている。なお、貫通孔10Bhに代えて上述した溝部10Bdをハブ側当接部10Bに形成し、この溝部10Bdによってハブ側空間19sを形成してもよい。
また、ハブ側ハウジング部6Aのシュラウド側の一端部には、タービン軸方向に配向された突き合わせ面6Aaが形成されている。そして、シュラウド側ハウジング部6Bの上端部にもこれに対応して、タービン軸方向に配向された突き合わせ面6Baが形成されている。そして、これら突き合わせ面6Aaと突き合わせ面6Baとを突き合わせた状態で両者をボルト等の締結部材によって締結することで、ハブ側ハウジング部6Aとシュラウド側ハウジング部6Bとが固定される。これによりタービンハウジング6が形成される。
複数のシュラウド側ノズル翼17は、シュラウド部16のシュラウド側壁面16aと、分割壁10の分割部10Aの内周部におけるシュラウド側の側面部10Abとの間に固定される。また、シュラウド側ノズル翼17の内部には上述した中空部17hが形成されており、この中空部17hと上述したハブ側空間19sとによってハブ側ノズル流路34が構成される。
このような実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1jによれば、分割壁10、シュラウド側ノズル翼17、及びタービンハウジング6が、各々別部材から構成される。またタービンハウジング6は、互いに別部材からなるハブ側ハウジング部6A及びシュラウド側ハウジング部6Bとからなる。そして、これらの互いに別部材からなるハブ側ハウジング部6A、シュラウド側ハウジング部6B、分割壁10、シュラウド側ノズル翼17、背板7Bなどの各部材をタービン軸方向に組み付けて一体化することで、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンを組み立てることが出来る。このため製造性に優れている。
幾つかの実施形態では、このラジアルタービン又は斜流タービン1jにおいて、上述した分割壁10及びシュラウド側ハウジング部6Bは、タービン軸線CLに対して軸対称に形成される。すなわち、分割壁10及びシュラウド側ハウジング部6Bは、その中心軸線に対して対称な形状を有する環状部材として構成されている。また、背板7Bについても、タービン軸線CLに対して軸対称に形成することも出来る。さらに、複数のシュラウド側ノズル翼17についても、これら複数のシュラウド側ノズル翼17をリング状の部材によって環状に連結することで、タービン軸線CLに対して軸対称に形成された一つの部材として構成することが出来る。
このような実施形態によれば、これら分割壁10及びシュラウド側ハウジング部6Bなどの軸対称の部材をタービン軸方向に組み付けて一体化する際に、その周方向位置を位置決めすることなく組み立てることが出来る。このため製造性に優れている。
<第11実施形態>
次に、図41に基づいて、本発明の第10実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービン1kを説明する。図41は、本発明の第10実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンを説明するための概略子午面図である。
なお、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンは、上述した第10実施形態と基本的には同様な構成を有している。よって、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図41に示したように、本実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1kでは、ケーシング8は、タービンハウジング6とは別部材から構成される、ハブ側ハウジング部6Aに支持される弾性変形可能な第1プレート部材42を含む。この第1プレート部材42は、例えば板金などから構成される。第1プレート部材42は、子午面視において、ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aからノズル出口34Bに向かって、ハブ側壁面18aと回転軸2との半径方向距離が短くなるようにタービン軸線CLに対して傾斜する傾斜面42aを有し、この傾斜面42aが上述したケーシング8のハブ側壁面18aを構成している。そして、分割壁10のハブ側当接部10Bのハブ側当接面10Bcが、この第1プレート部材42の傾斜面42a(ケーシング8のハブ側壁面18a)と当接するように構成される。
このような実施形態のラジアルタービン又は斜流タービン1kによれば、分割壁10のハブ側当接部10Bは弾性変形可能な第1プレート部材42の傾斜面42aと当接する。このため、タービンハウジング6とは別部材から構成される分割壁10が高温の排気ガスによって熱変形した場合に、第1プレート部材42が弾性変形することで、その熱変形を吸収することが出来る。よって、分割壁10やシュラウド側ノズル翼17をタービンハウジング6とは別部材で構成した場合であっても、熱変形によってハブ側ノズル流路34に隙間などが生じることがない。また、第1プレート部材42をタービン軸線CLに対して軸対称に形成すれば、上述した第10実施形態と同様に、タービン軸方向に組み付けて一体化する際にその周方向位置を位置決めする必要がなく、組み立て性が向上する。
幾つかの実施形態では、図41に示したように、このラジアルタービン又は斜流タービン1kにおいて、ケーシング8は、シュラウド側ハウジング部6Bに固定される弾性変形可能な第2プレート部材44をさらに含む。この第2プレート部材44は、例えば板金などから構成される。第2プレート部材44は、子午面視において、タービン軸線CLと直交する方向に沿って延在するシュラウド側壁面16aの少なくとも一部を構成する側面44aを有する。そして、シュラウド側ノズル翼17が、第2プレート部材44の側面44aと当接し、この側面44aと分割壁10とによって支持されるように構成される。
このような実施形態によれば、シュラウド側ノズル翼17は、弾性変形可能な第2プレート部材44の側面44aと当接した状態で第2プレート部材44と分割壁10との間に支持される。このため、タービンハウジング6とは別部材から構成される分割壁10やシュラウド側ノズル翼17が高温の排気ガスによって熱変形した場合に、第2プレート部材44が弾性変形することで、その熱変形を吸収することが出来る。よって、分割壁10やシュラウド側ノズル翼17をタービンハウジング6とは別部材で構成した場合であっても、熱変形によってハブ側ノズル流路34に隙間などが生じることがない。また、第2プレート部材44をタービン軸線CLに対して軸対称に形成すれば、上述した第10実施形態と同様に、タービン軸方向に組み付けて一体化する際にその周方向位置を位置決めする必要がなく、組み立て性が向上する。
また上述した実施形態において、第2プレート部材44は、子午面視において、側面44aと、側面44aから略直交する方向に延在する上面44bと、を有するL字状に形成されている。そして、側面44aの端縁がシュラウド側ハウジング部6Bのシュラウド部16に固定され、上面44bの側面44aの端縁がシュラウド側ハウジング部6Bのスクロール壁面16bに固定される。これにより、第2プレート部材44とシュラウド側ハウジング部6Bとの間に空間46が形成されている。この空間46は、高温の排気ガスが流れるシュラウド側スクロール流路12とシュラウド部16との間に位置し、シュラウド側スクロール流路12を流れる排気ガスの熱がシュラウド部16に作用するのを妨げるための断熱空間として機能する。したがって、シュラウド部16の加熱に伴うシュラウド側スクロール流路12を流れる排気ガスの放熱損失や、翼4を流れる排気ガスにシュラウド部16を介して熱が伝わることによって生じる翼流れのエンタルピ上昇に伴うタービン動翼5の出力低下等の、シュラウド部16が加熱されることによって発生する各種の損失を低減することが出来る。これによりタービン効率を向上させることが出来るようになっている。
<その他の実施形態>
また、幾つかの実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンでは、上述した図面、特に図8〜11、図26、図27に示したように、分割壁10は、タービン軸線CLと直交する方向に延在し、スクロール空間を分割する環板状の分割部10Aと、分割部10Aの内周部からハブ側に向かって延在し、ケーシング8のハブ側壁面18aと当接するハブ側当接部10Bとからなる。このラジアルタービン又は斜流タービンは、分割部10Aの内周部とケーシング8のシュラウド側壁面16aとの間において周方向に間隔を置いて形成される複数のシュラウド側ノズル翼17をさらに備える。このシュラウド側ノズル翼17は、子午面視において、分割部10Aの内周部からタービン軸線CLに沿ってシュラウド側に延在し、タービン軸線CLに対してほぼ平行に形成される前縁形状を有するとともに、タービン軸線CLと直交する方向の断面視において、外周側に配向される圧力面17S1及び内周側に配向される負圧面17S2の2つの周面を有する翼形状の外面形状を有する。ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aは、ハブ側当接部10Bをタービン軸方向から視認した場合に、このハブ側当接部10Bの外周側に位置する外周端面10Baに形成される。この外周端面10Baは、子午面視において、ノズル出口34Bに対してほぼ平行に延在するか、ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aからノズル出口34Bに向かって、ハブ側壁面18aと回転軸2との半径方向距離が短くなるように延在するケーシング8のハブ側壁面18aに対してほぼ直交する方向に延在するか、または、半径方向に沿って延在するように形成される。ハブ側ノズル流路34は、分割壁10Bの内部に形成される貫通孔状、または分割壁10Bをハブ側から視認して溝状に形成されるハブ側空間19sと、このハブ側空間19sと連通するシュラウド側ノズル翼17の内部に形成される貫通孔状、またはシュラウド側ノズル翼17をハブ側から視認して溝状に形成される中空部17hとを含む。ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bは、シュラウド側ノズル翼17をタービン軸方向から視認した場合におけるシュラウド側ノズル翼17の内周端部(後端部17B)に、子午面視においてタービン軸線CLに対してほぼ平行に形成されるとともに、タービン軸線CLと直交する方向の断面視において、シュラウド側ノズル翼17の後端部17Bに形成される2つの後端17a、17bの間に形成される。シュラウド側ノズル流路32は、分割部10Aの内周部と、周方向に隣り合う2つのシュラウド側ノズル翼17と、ケーシング8のシュラウド側壁面16aとで画定されるシュラウド側空間17sを含む。そして、シュラウド側ノズル流路32のノズル出口32Bは、タービン軸線CLと直交する方向の断面視におけるシュラウド側ノズル翼17の2つの後端17a、17bが存在する周方向領域において、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bを除く領域に形成される。
このように、本発明の幾つかの実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンは、上述したような形状を有していてもよいものである。
また、幾つかの実施形態のラジアルタービン又は斜流タービンでは、上述した図面、特に図20〜図25に示したように、分割壁10は、タービン軸線CLと直交する方向に延在し、スクロール空間を分割する環板状の分割部10Aと、分割部10Aの内周部からハブ側に向かって延在し、ケーシング8のハブ側壁面18aと当接するハブ側当接部10Bとからなる。このラジアルタービン又は斜流タービンは、分割部10Aの内周部とケーシング8のシュラウド側壁面16aとの間において周方向に間隔を置いて形成される複数のシュラウド側ノズル翼17をさらに備える。このシュラウド側ノズル翼17は、子午面視において、分割部10Aの内周部からタービン軸線CLに沿ってシュラウド側に延在し、タービン軸線CLに対してほぼ平行に形成される前縁形状を有するとともに、タービン軸線CLと直交する方向の断面視において、外周側に配向される圧力面17S1及び内周側に配向される負圧面17S2の2つの周面を有する翼形状の外面形状を有する。ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aは、ハブ側当接部10Bをタービン軸方向から視認した場合に、ハブ側当接部10Bの外周側に位置する外周端面10Baに形成されるとともに、この外周端面10Baは、子午面視において、ノズル出口34Bに対してほぼ平行に延在するか、ハブ側ノズル流路34のノズル入口34Aからノズル出口34Bに向かって、ハブ側壁面18aと回転軸2との半径方向距離が短くなるように延在するケーシング8のハブ側壁面18aに対してほぼ直交する方向に延在するか、または、半径方向に沿って延在するように形成される。ハブ側ノズル流路34は、分割壁10Bの内部に形成される貫通孔状、または分割壁10Bをハブ側から視認して溝状に形成されるハブ側空間19sと、このハブ側空間19sと連通するシュラウド側ノズル翼17の内部に形成される貫通孔状、またはシュラウド側ノズル翼17をハブ側から視認して溝状に形成される中空部17hとを含む。そして、ハブ側ノズル流路34のノズル出口34Bは、シュラウド側ノズル翼17をタービン軸方向から視認した場合のシュラウド側ノズル翼17の内周端部(後端部17B)に、子午面視において凸状に形成されたタービン動翼5の翼4の前縁4aに対してほぼ一定の離間距離を有する凹状に形成されるとともに、タービン軸線CLと直交する方向の断面視において、シュラウド側ノズル翼17の後端部17Bに形成される2つの後端17a、17bの間に形成される。
このように、本発明の幾つかの実施形態にかかるラジアルタービン又は斜流タービンは、上述したような形状を有していてもよいものである。
以上、本発明の好ましい形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではない。例えば上述した実施形態を組み合わせても良く、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。