JP6295579B2 - 風力発電システム - Google Patents
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Description
風車1は、プロペラ形や縦形(ダリウス形等)等の種類があり、ブレードに受けた風を回転エネルギーに変換する。この風車1には、永久磁石同期発電機(以下、単に発電機ともいう)2の永久磁石からなる回転子が直結されており、発電機2の電機子(固定子)コイルから出力される交流電圧は、コンバータ装置3により直流電圧に整流された後、平滑コンデンサ7を介してコンバータ装置4により交流電圧に変換される。この交流電圧は、ACL(交流リアクトル)5及び高調波抑制用のフィルタ回路6を経由して電源系統に供給される。
なお、8は制御装置、9,10は各コンバータ装置3,4の半導体スイッチング素子を制御するための制御回路である。
コギングトルクは、永久磁石同期発電機の回転子の磁石と、スロット及び歯部からなる固定子鉄心との位置関係に起因する空隙磁束密度の変化によって発生する。
回転子が回転して磁石が位置M1からM2に移動し、固定子鉄心と磁石との位置関係が変化しても、磁石の長さがスロットピッチの整数倍であるため、破線の楕円で囲んだ部分の面積の増加分と減少分とは等しい。このため、回転前後の範囲B1,B2内の磁束及び磁気エネルギーに変化はなく、コギングトルクは発生しない。
回転子が回転して磁石が位置M1からM2に移動し、固定子鉄心と磁石との位置関係が変化すると、磁石の長さがスロットピッチの整数倍ではないため、破線の楕円で囲んだ部分の面積の増加分と減少分とは等しくならない。このため、回転前後の範囲B1,B2内の磁束及び磁気エネルギーが変化することとなり、コギングトルクが発生する。
空隙磁束密度に高調波成分が存在する場合、この高調波成分に応じて相電圧にも高調波成分が現れる。例えば、空隙磁束密度の波形が台形波であり、相電圧に第5調波成分及び第7調波成分が含まれる場合、電流が正弦波であっても数式1のように電力Pに基本周波数の6倍の脈動成分が生じる。この脈動成分がトルクリプル(いわゆる6fトルクリプル)に相当するものであり、発電機の振動や騒音の原因となる。
このため、例えば特許文献1には、電力変換器の動作により永久磁石同期発電機の電機子巻線にコギングトルクを打ち消すトルクを発生させ、微風下における起動特性を改善するようにした風車の起動アシスト制御装置が記載されている。
図8において、31は風車、32は永久磁石同期発電機、33はコンバータ回路、34は平滑コンデンサ、35は降圧チョッパ回路、36はスイッチング素子、37はリアクトル、38はコンデンサ、39は蓄電池、40は負荷である。発電機32には回転子センサ51が設置されており、その出力信号が起動アシスト制御装置50内の磁極位置検出回路52及び回転数検出回路53に入力されている。これらの検出回路52,53により検出された磁極位置及び回転数は起動アシスト制御回路54に入力されると共に、回転数は発電制御回路56にも入力されている。起動アシスト制御回路54の出力はPWMゲートドライバ55に入力されてコンバータ回路33のスイッチング素子に対するゲート信号が生成され、発電制御回路56の出力はPWMゲートドライバ57に入力されて降圧チョッパ回路35内のスイッチング素子36に対するゲート信号が生成される。
この制御動作では、磁極位置検出値に基づいてコギングトルクを打ち消すような位相制御が行われ、発電機32の起動トルクが軽減される。この状態で風車31に自己起動風速が加わり、その回転数がN1以上になれば起動アシスト制御をオフとし、発電運転モードに移行する(S105Yes,S107,S101No,S108)。
起動アシスト制御動作を一定時間T1継続しても所定の回転数N1が得られない無風状態においても、起動アシスト制御はオフとなる(S105No,S106Yes,S107)。
その後に回転数NがN2を下回ると、発電制御オフとなり(S109No,S111)、更に風速が低下して風車31が自然停止したら、再び起動アシストモードに移行する(S101Yes,S102)。
このため、トルク脈動成分によって発電機32が振動し、最悪の場合には、風車タワーが加振されて軸受部分等を損傷してしまうという問題があり、発電機から発生する騒音も、環境や健康を阻害する原因となっていた。
前記第1の推定手段は、前記発電機の誘起電圧の角周波数と、基本周波数の偶数調波の次数設定値と、前記偶数調波の振幅成分設定値と、を用いてそれぞれ演算した複数の偶数調波成分を合成することにより、前記コギングトルクを推定するものである。
前記第1の推定手段は、前記発電機の誘起電圧角周波数と、基本周波数の偶数調波の次数設定値と、前記偶数調波の振幅成分設定値と、を用いてそれぞれ演算した複数の偶数調波成分を合成することにより、前記コギングトルクを推定することを特徴とする。
また、本発明におけるトルク脈動成分の演算はソフトウェアにて実現可能であり、専用のハードウェアは不要であるため、装置の大型化を招くおそれもない。
図1は、第1実施形態の主要部を示す構成図であり、永久磁石同期発電機のコギングトルクを打ち消すための最終トルク指令値を生成するブロック図である。なお、この最終トルク指令値は、例えば前述した図5におけるコンバータ装置3側の制御回路9において、コンバータ装置3内の半導体スイッチング素子を制御するために用いられる。
[数式2]
τc2=A2sin(2ωt+φ2)
[数式3]
τc4=A4sin(4ωt+φ4)
[数式4]
τc6=A6sin(6ωt+φ6)
[数式5]
τc=τc2+τc4+τc6
τc:コギングトルクの合成値〔N・m〕
τc2:コギングトルクの第2調波成分〔N・m〕
τc4:コギングトルクの第4調波成分〔N・m〕
τc6:コギングトルクの第6調波成分〔N・m〕
A2,A4,A6:各偶数調波成分の振幅〔N・m〕
ω:誘起電圧の角周波数〔rad/s〕
φ2,φ4,φ6:各偶数調波成分の位相〔rad/s〕
である。
なお、次数2,4,6、位相φ2,φ4,φ6、及び振幅A2,A4,A6は、コギングトルク推定値τcを演算するための補正パラメータQとしてメモリに記憶されている。
なお、図2は、発電機のU相誘起電圧、コギングトルクの第2調波成分,第4調波成分,第6調波成分、及び合成値(コギングトルク推定値)の一例を示す波形図である。
数式1によって説明したように、空隙磁束密度の波形が台形波であって相電圧に第5調波成分及び第7調波成分が含まれる場合、電流が正弦波であっても電力Pに基本周波数の6倍の脈動成分が生じ、この脈動成分がトルクリプルとなる。従って、発電機の誘起電圧を解析して第5調波成分及び第7調波成分を事前に求めることができれば、発電機のトルクリプルτrを推定することができる。
こうして求めたトルクリプル推定値τrを減算手段23にてトルク指令値τgから減算することにより、発電機が発生するトルクリプルを相殺する最終トルク指令値τ*を求める。この最終トルク指令値τ*に基づいて、例えば図5の制御回路9がコンバータ装置3を介して発電機2を制御することにより、トルクリプルを打ち消すことができる。
この実施形態では、第1実施形態によりコギングトルク推定手段100Cが求めたコギングトルク推定値τcを減算手段17にてトルク指令値τgから減算し、その結果τg’から、前記トルクリプル推定手段100Rが求めたトルクリプル推定値τrを減算手段23にて減算することにより、最終トルク指令値τ*を求めている。
この実施形態によれば、発電機のコギングトルク及びトルクリプルの両方を打ち消してトルク脈動の抑制機能を一層向上させることができる。
2:永久磁石同期発電機
3,4:コンバータ装置
5:ACL
6:フィルタ回路
7:平滑コンデンサ
8:制御装置
9,10:制御回路
11:発電機トルクパターン
12,15,18,20,21:乗算手段
13,22:加算手段
14:正弦波テーブル
16:合成手段
17,23:減算手段
19:余弦波テーブル
100C:コギングトルク推定手段
100R:トルクリプル推定手段
Q:補正パラメータ
Claims (3)
- 風車と、前記風車の回転エネルギーを回転子及び固定子を介して電気エネルギーに変換する永久磁石同期発電機と、前記発電機の発電電力を電源系統に供給するための電力変換器と、を備え、前記回転子の磁石と固定子鉄心との間の空隙の磁束密度の変化によって発生するコギングトルクを第1の推定手段により推定し、前記第1の推定手段により推定したコギングトルクを相殺するトルク指令値に従って前記電力変換器を制御する風力発電システムにおいて、
前記第1の推定手段は、前記発電機の誘起電圧角周波数と、基本周波数の偶数調波の次数設定値と、前記偶数調波の振幅成分設定値と、を用いてそれぞれ演算した複数の偶数調波成分を合成することにより、前記コギングトルクを推定することを特徴とする風力発電システム。 - 風車と、前記風車の回転エネルギーを回転子及び固定子を介して電気エネルギーに変換する永久磁石同期発電機と、前記発電機の発電電力を電源系統に供給するための電力変換器と、を備え、前記回転子の磁石と固定子鉄心との間の空隙の磁束密度の変化によって発生するコギングトルクを第1の推定手段により推定し、かつ、前記回転子の磁石と固定子鉄心との間の空隙の磁束密度の高調波成分及び負荷電流によって発生するトルクリプルを第2の推定手段により推定し、前記第1の推定手段により推定したコギングトルクを相殺し、かつ、前記第2の推定手段により推定したトルクリプルを相殺するトルク指令値に従って前記電力変換器を制御する風力発電システムにおいて、
前記第1の推定手段は、前記発電機の誘起電圧角周波数と、基本周波数の偶数調波の次数設定値と、前記偶数調波の振幅成分設定値と、を用いてそれぞれ演算した複数の偶数調波成分を合成することにより、前記コギングトルクを推定することを特徴とする風力発電システム。 - 請求項2に記載した風力発電システムにおいて、
前記第2の推定手段は、前記発電機の誘起電圧角周波数の6倍の値に対する余弦波信号と、誘起電圧の第5調波成分及び第7調波成分の各振幅と、を用いて前記トルクリプルを推定することを特徴とする風力発電システム。
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