JP6292249B2 - 予混合圧縮着火式エンジン - Google Patents
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Description
本発明は、燃焼室が形成された気筒と、前記燃焼室内に燃料を供給する燃料噴射装置と、当該燃料噴射装置を制御する制御手段とを備え、前記燃焼室内で燃料と空気との予混合気を自着火させる予混合圧縮着火燃焼を実施可能な予混合圧縮着火式エンジンに関する。
従来より、エンジンにおいて、燃焼室内で予め燃料と空気とを混合させて予混合気を形成し、この予混合気を圧縮上死点付近で自着火させる予混合圧縮着火燃焼を実施することが検討されている。
例えば、ディーゼルエンジンにおいて拡散燃焼に代えて予混合圧縮着火燃焼を実施することや、ガソリンエンジンにおいて点火プラグを用いて予混合気を燃焼させる形態に代えて予混合圧縮着火燃焼を行うことが検討されている。
上記予混合圧縮着火燃焼を実施するエンジンとしては、特許文献1のようなディーゼルエンジンがある。
特許文献1のディーゼルエンジンでは、エンジン負荷が低い低負荷領域では予混合圧縮着火燃焼を実施し、エンジン負荷が高い高負荷領域では拡散燃焼を実施する。このエンジンでは、低負荷領域において、吸気行程ないし圧縮行程に燃料を噴射する第1噴射を実施して燃焼室内に空気と燃料との予混合気を形成し、この予混合気を圧縮上死点付近で燃焼させている。
ただし、この予混合気を単純に圧縮によって自着火させた場合には、燃焼の開始時期が所望の時期よりも早くなるおそれがある。そこで、特許文献1のエンジンでは、第1噴射により形成された予混合気の冷炎反応中に燃焼室内に燃料を噴射する第2噴射を実施する。
このような噴射形態によれば、第1噴射によって早期に燃料を燃焼室に供給することでより均質な予混合気を形成することができるとともに、第2噴射によって冷炎反応中の予混合気に燃料を供給することで予混合気の冷炎反応から熱炎反応への移行を抑制することができる。従って、予混合気が熱炎反応を開始する時期すなわち着火時期を適切に制御して、より適正な燃焼を実現することができる。
しかしながら、特許文献1のエンジンにおいて、エンジン負荷が高い領域でも予混合圧縮着火燃焼を実施しようとすると、燃焼騒音が増大してしまうという問題が生じる。すなわち、エンジン負荷が高い領域であって、噴射される燃料が多く、しかも、燃焼室内の温度および圧力が高く燃焼が促進される領域では、前記のように予混合気の冷炎反応中に第2噴射を行って熱炎反応への移行を抑制したとしても、着火時期を十分に遅らせることができず、燃焼室内の圧力がまだ高い時期に燃焼が開始して燃焼騒音が悪化してしまう。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、高負荷領域において予混合圧縮着火燃焼を実施しながら燃焼騒音の増大を抑制することができる予混合圧縮着火式エンジンを提供することを目的とする。
前記課題を解決するためのものとして、本発明は、燃焼室が形成された気筒と、前記燃焼室内に燃料を供給する燃料噴射装置と、当該燃料噴射装置を制御する制御手段とを備え、前記燃焼室内で燃料と空気との予混合気を自着火させる予混合圧縮着火燃焼を実施可能な予混合圧縮着火式エンジンであって、前記制御手段は、エンジン負荷が予め設定された基準負荷以上の高負荷領域において、前記予混合圧縮着火燃焼を実施するとともに、当該高負荷領域において、前記燃焼室内に予混合気が形成されるように、吸気行程、圧縮行程の初期または圧縮行程の中期に前記燃焼室内に燃料を噴射する主噴射と、前記主噴射により形成された予混合気が着火可能な量の燃料を圧縮行程の後期において前記燃焼室内に噴射する第1後段噴射と、前記燃焼室内において圧縮上死点よりも遅角側で混合気が着火するように前記第1後段噴射の実施後に前記第1後段噴射により供給された燃料を含む混合気に向けて燃料を噴射する第2後段噴射とを、前記燃料噴射装置に、実施させることを特徴とするものである(請求項1)。
この発明によれば、吸気行程、圧縮行程の初期または圧縮行程の中期に燃焼室内に燃料を噴射する主噴射を実施するとともに、その後の第1後段噴射によってこの予混合気を着火可能な状態にしている。すなわち、第1後段噴射によってはじめて燃焼室内に着火源となる比較的リッチな(空気過剰率が小さい)混合気が形成されるようになっている。そのため、主噴射によって燃料と空気とを十分に混合させながら、これにより形成された予混合気が第1後段噴射よりも前に燃焼を開始するのを抑制することができる。さらに、第2後段噴射を実施して、第1後段噴射によって供給された燃料を含む混合気であって前記着火源となる混合気に燃料を噴射している。そのため、この着火源となる混合気を第2後段噴射による燃料の気化熱によって冷却してこの混合気の反応を抑制することができ、燃焼室内で燃焼が開始する時期すなわち着火時期を十分に遅らせることができる。従って、エンジン負荷が高く着火時期が圧縮上死点付近になりやすい領域においても、燃焼室内で燃焼が生じる時期すなわち着火時期を、圧縮上死点よりも十分に遅角側の時期として燃焼騒音が増大するのを抑制することができる。
本発明において、前記制御手段は、前記高負荷領域において、前記第2後段噴射のペネトレーションが前記第1後段噴射のペネトレーションよりも高くなるように前記燃料噴射装置を制御するのが好ましい(請求項2)。
このようにすれば、第2後段噴射による燃料を、より確実に前記着火源となる混合気に到達させることができ、より確実にこの混合気を冷却して着火時期を遅らせることができる。また、第2後段噴射による燃料を燃焼室内により均一に拡散させることができる。従って、燃焼室内の混合気の空気過剰率をより均一にしてスモークの発生を抑制することができる。
本発明において、前記制御手段は、前記高負荷領域において、エンジン負荷が高い方が前記主噴射の噴射量が大きくなるように、かつ、前記第2後段噴射の噴射量の方が前記第1後段噴射の噴射量よりもエンジン負荷の増加に対する増加割合が大きくなるように、前記燃料噴射装置を制御するのが好ましい(請求項3)。
このようにすれば、エンジン負荷に応じたエンジントルクを実現しつつ、エンジン負荷が高く、これに伴って、燃焼室内の圧力が高くなって燃焼騒音が増大しやすい場合であっても、増量された第2後段噴射による燃料によって前記着火源となる混合気を適切に冷却することができ、燃焼騒音の増大をより確実に抑制することができる。
前記構成において、前記制御手段は、前記高負荷領域において、エンジン負荷が高い方が前記第2後段噴射のペネトレーションが高くなるように前記燃料噴射装置を制御するのが好ましい(請求項4)。
このようにすれば、前記のように第2後段噴射による噴射量を増大させつつ、この噴射に係る燃料を燃焼室内により均一に拡散させてスモークの増加を抑制することができる。
本発明において、前記制御手段は、エンジン回転数が高い方が前記第1後段噴射の噴射開始時期が進角側になるように、かつ、エンジン回転数が高い方が前記第2後段噴射のペネトレーションが高くなるように、前記燃料噴射装置を制御するのが好ましい(請求項5)。
このようにすれば、エンジン回転数が高い場合であっても、第1後段噴射の噴射開始時期から着火時期までの時間を確保することができるとともに、第2後段噴射に係る燃料の飛散距離を大きくしてこの第2後段噴射に係る燃料の拡散を促進することができる。従って、これら後段噴射によって、燃焼室内に局所的に過度にリッチな混合気が形成されるのを抑制することができ、スモークの増大を抑制することができる。
本発明において、前記燃料噴射装置は、リフト量が増大されることで噴射する燃料のペネトレーションを高くすることが可能な外開弁式の噴射装置であるのが好ましい(請求項6)。
このようにすれば、比較的簡単にかつ精度よく、燃料のペネトレーションを変更することができる。
以上説明したように、本発明の予混合圧縮着火式エンジンによれば、高負荷領域において予混合圧縮着火燃焼を実施しながら燃焼騒音の増大を抑制することがすることができる。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる予混合圧縮着火式エンジンの全体構成を概略的に示した図である。本図に示されるエンジン本体1は、走行用の動力源として車両に搭載された4サイクルエンジンであり、紙面に直交する方向に並ぶ複数(例えば4つ)の気筒2を有する直列多気筒型のエンジンである。本実施形態では、このエンジンは、ガソリンエンジンであってガソリンを主とする燃料により駆動される。エンジン本体1には、燃焼用の空気を導入するための吸気通路20と、エンジン本体1で生成された燃焼ガス(排気)を排出するための排気通路30とが接続されている。
図1は、本発明の一実施形態にかかる予混合圧縮着火式エンジンの全体構成を概略的に示した図である。本図に示されるエンジン本体1は、走行用の動力源として車両に搭載された4サイクルエンジンであり、紙面に直交する方向に並ぶ複数(例えば4つ)の気筒2を有する直列多気筒型のエンジンである。本実施形態では、このエンジンは、ガソリンエンジンであってガソリンを主とする燃料により駆動される。エンジン本体1には、燃焼用の空気を導入するための吸気通路20と、エンジン本体1で生成された燃焼ガス(排気)を排出するための排気通路30とが接続されている。
エンジン本体1は、円筒状の気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、気筒2の上面を塞ぐようにシリンダブロック3に取り付けられたシリンダヘッド4と、各気筒2にそれぞれ往復動可能に挿入されたピストン5とを有している。
ピストン5の上方には燃焼室6が画成されている。本実施形態では、図1に示すように、燃焼室6は所謂ペントルーフ型であり、その天井面すなわちシリンダヘッド4の下面は吸気側及び排気側の2つの傾斜面からなる三角屋根状をなしている。また、ピストン5の冠面の中心部には、凹状のキャビティ6aが形成されている。なお、燃焼室6の形状およびピストン5の冠面の具体的形状はこれに限らない。
燃焼室6には、インジェクタ11から噴射されるガソリンを主成分とする燃料が供給される。供給された燃料は燃焼室6で燃焼し、その燃焼による膨張力で押し下げられることでピストン5は上下方向に往復運動する。インジェクタ11は、シリンダヘッド4に取り付けられている。図1に示すように、本実施形態では、インジェクタ11は、気筒2の中心軸上において、その先端が燃焼室6の天井面の中心を臨むように取り付けられている。インジェクタ11の詳細構造については後述する。
ピストン5の下方には、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸15が配設されている。クランク軸15は、ピストン5とコネクティングロッド14を介して連結され、ピストン5の往復運動に応じて中心軸回りに回転する。
シリンダヘッド4には、各気筒2に対応して、吸気通路20から供給される空気(吸気)を各気筒2に導入するための吸気ポート7と、各気筒2で生成された排気を排気通路30に導出するための排気ポート8と、吸気ポート7を開閉可能に閉鎖する吸気弁9と、排気ポート8を開閉可能に閉鎖する排気弁10とがそれぞれ設けられている。
吸気通路20は、各吸気ポート7に繋がるように設けられている。吸気通路20には、上流側から順に、エアクリーナ21、コンプレッサ22、インタークーラ23、スロットルバルブ24が設けられている。
排気通路30は、エンジン本体1の各排気ポート11に繋がるように設けられている。排気通路30には、上流側から順に、コンプレッサ22を回転駆動するタービン31、触媒装置32が設けられている。また、排気通路30には、タービン31をバイパスするバイパス通路33と、これを開閉するウエストゲート34とが設けられている。
本実施形態のエンジンは、排気の一部を吸気に還流させるEGR装置80を有している。EGR装置80は、排気通路30のうちタービン31よりも上流側の部分と、吸気通路20のうちスロットルバルブ24よりも下流側の部分とを連通するEGR通路81と、これを開閉するEGRバルブ82とを含んでいる。
なお、本実施形態では、後述するように、全運転領域において予混合圧縮着火燃焼が実施されるようになっており、点火プラグは設けられていない。ただし、冷間始動時等において点火により燃焼を開始させる、あるいは、燃焼をアシストする場合等には、点火プラグを設けてもよい。
(2)インジェクタの詳細構造
図2はインジェクタ11の一部を示した概略断面図である。この図2に示すように、インジェクタ11は、外開弁式のインジェクタであり、内側を燃料が流通する燃料管112と、この燃料管112の先端(燃焼室6側の端部)に形成されたノズル口112aを開閉する外開弁114とを有する。
図2はインジェクタ11の一部を示した概略断面図である。この図2に示すように、インジェクタ11は、外開弁式のインジェクタであり、内側を燃料が流通する燃料管112と、この燃料管112の先端(燃焼室6側の端部)に形成されたノズル口112aを開閉する外開弁114とを有する。
燃料管112は、気筒2の中心軸に沿って延びている。ノズル口112aは、先端側(燃焼室6側)ほど径が大きくなるテーパ状に形成されている。燃料管112の基端側(反燃焼室6側)の端部は、ケース119の内部に収容されたピエゾ素子116に接続されている。
外開弁114は、ピエゾ素子116から燃料管112内を通ってノズル口112aまで延びる連結部114bと、連結部114bの先端(燃焼室6側の端部)に設けられた弁本体114aとを有している。弁本体114aは先端に向かって縮径する形状を有している。この弁本体114aの連結部114b側の部分は、ノズル口112aと略同じ形状を有しており、図2の実線で示すように、この部分がノズル口112aに当接すなわち着座していると、ノズル口112aは閉口される。一方、この状態から外開弁114が燃焼室6側にスライドすると、図2の破線で示すように、ノズル口112aが開口されてノズル口112aから燃焼室6内に燃料が噴射される。燃料は、気筒2の中心軸を中心とするコーン状にノズル口112aから燃焼室6内に噴射される。
具体的には、ピエゾ素子116は電圧が印加されると変形し、これに伴ってコイルバネ118に抗して外開弁114を燃焼室6側に押圧する。一方、ピエゾ素子116への電圧の印加が停止すると、ピエゾ素子116は元の状態に復帰し、これに伴って外開弁114もノズル口112aを塞ぐ位置に戻る。
ここで、ピエゾ素子116に印加される電圧が大きいほど、ノズル口112aを閉じた状態からの外開弁114のリフト量(以下、単にリフト量という)は大きくなる。そして、このリフト量が大きいほど、ノズル口112aの開度、すなわち、噴射開口面積は大きくなり、ノズル口112aから燃焼室6内に噴射される燃料噴霧の粒径は大きくなる。そして、粒径が大きくなるのに伴って、燃料のペネトレーション(貫徹力)が高くなる。
(3)制御系統
次に、図3を用いて、エンジンの制御系について説明する。本実施形態のエンジンシステムは、車両に搭載されたECU(エンジン制御ユニット、制御手段)500によって制御される。ECU500は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM、I/F等から構成されるマイクロプロセッサである。
次に、図3を用いて、エンジンの制御系について説明する。本実施形態のエンジンシステムは、車両に搭載されたECU(エンジン制御ユニット、制御手段)500によって制御される。ECU500は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM、I/F等から構成されるマイクロプロセッサである。
ECU500には、各種センサからの情報が入力される。例えば、ECU500は、クランクシャフト15の回転数すなわちエンジンの回転数を検出するためのエンジン回転数センサSN1、各気筒2に導入される吸気量を検出するためのエアフローセンサSN2、車両に設けられて運転者により操作されるアクセルペダル(不図示)の開度を検出するアクセル開度センサSN3等と電気的に接続されており、これらのセンサからの入力信号を受け付ける。
ECU500は、各センサSN1〜SN2からの入力信号等に基づいて種々の演算等を実行し、インジェクタ11(ピエゾ素子に加える電力を制御するための装置)、スロットルバルブ24(スロットルバルブ24を駆動する装置)、EGRバルブ82(EGRバルブ82を駆動する装置)等にそれぞれ制御信号を出力する。
ここで、本実施形態では、全負荷域を除くほぼ全運転領域において、EGRが実施されるようになっており、ほぼ全運転領域においてEGRバルブ82は開弁される。ただし、その開度は、エンジン回転数とエンジン負荷等によって変更される。例えば、エンジン負荷が高いほどEGRバルブ82の開度は小さくされる。
(4)噴射制御
本実施形態では、図4に示すように、全運転領域において圧縮予混合着火燃焼を実施する。すなわち、燃焼室6内に比較的早いタイミングで燃料を噴射して、圧縮上死点前において予め燃料と空気とを混合して予混合気を形成し、この予混合気を圧縮上死点付近で自着火させる。
本実施形態では、図4に示すように、全運転領域において圧縮予混合着火燃焼を実施する。すなわち、燃焼室6内に比較的早いタイミングで燃料を噴射して、圧縮上死点前において予め燃料と空気とを混合して予混合気を形成し、この予混合気を圧縮上死点付近で自着火させる。
ただし、図4に示すように、運転領域は、エンジン負荷が予め設定された基準負荷T1未満の低負荷領域A1と、エンジン負荷が基準負荷T1以上の高負荷領域A2とに区画されており、これら領域A1,A2においてそれぞれ適正な予混合圧縮着火燃焼が実現されるように、低負荷領域A1と高負荷各領域A2とで異なる噴射制御が実施される。
(4−1)高負荷領域A2
図5は、高負荷領域A2における燃料の噴射パターンと筒内圧(燃焼室6内の圧力)とを、横軸をクランク軸として示した図である。なお、図5の上側のグラフの縦軸は、インジェクタ11のリフト量、すなわち、外開弁114のリフト量である。
図5は、高負荷領域A2における燃料の噴射パターンと筒内圧(燃焼室6内の圧力)とを、横軸をクランク軸として示した図である。なお、図5の上側のグラフの縦軸は、インジェクタ11のリフト量、すなわち、外開弁114のリフト量である。
この図5に示されるように、高負荷領域A2では、1燃焼サイクルで気筒2に供給される燃料の全量が3回に分けて噴射されるようになっており、進角側から順に、主噴射Qm、第1後段噴射Qa1、第2後段噴射Qa1が実施される。
主噴射Qmは、燃焼室6内に予混合気を形成するための噴射であり、吸気行程、圧縮行程の初期または圧縮行程の中期であって圧縮上死点(TDC)よりも十分に進角側の時期θmに開始される。このように圧縮上死点よりも十分に進角側の時期に行われることで、主噴射Qmにより燃焼室6内に供給された燃料は、圧縮上死点に到達するまでの間に十分に空気と混合することができる。従って、主噴射Qmによって、燃焼室6内には、均質な予混合気が形成される。
なお、○○行程の初期、中期、後期とは、この○○行程の実施期間(クランク角での期間)を均等に3分割した時の各期間をいい、例えば、圧縮行程の初期は、吸気下死点から吸気下死点後60°CA(圧縮上死点前120°CA)までの期間、圧縮行程の中期は、吸気下死点後60°CA(圧縮上死点前120°CA)から吸気下死点後120°CA(圧縮上死点前60°CA)までの期間、圧縮行程の後期は、吸気下死点後120°CA(圧縮上死点前60°CA)から圧縮上死点までの期間をいう。
図5は、エンジン回転数が低い場合の例であり、この場合には、主噴射Qmは、圧縮行程中期、例えば、BTDC(圧縮上死点前)90°CA付近で開始される。
主噴射Qmは、エンジントルクを主として生成するための燃料を噴射するものであり、その噴射量は、各後段噴射Qa1,Qa2よりも多く設定されている。一方で、主噴射Qmの噴射量は、主噴射Qmのみではその全燃料を自着火させることができない量に設定されている。すなわち、噴射以外の条件(EGRガス量等)をそろえた状態において、仮に、各後段噴射Qa1,Qa2を停止して主噴射Qmのみを実施した場合に、圧縮上死点を超えても燃焼室6内で燃焼が生じない、あるいは、燃焼が生じたとしてもすべての燃料(すべての予混合気)が燃焼する前に失火に至ってしまうように、主噴射Qmの噴射量は設定されている。
例えば、主噴射Qmの噴射量は、1燃焼サイクルで各気筒2に供給される燃料の総量(主噴射Qmと各後段噴射Qa1,Qa2の噴射量の合計)に対して50%〜80%程度の量に設定されている。これに伴い、主噴射Qmにより形成される予混合気は、その空気過剰率が1以上のリーンで均質な混合気となる。
第1後段噴射Qa1は、燃焼室6内の一部の混合気をリッチにして(空気過剰率を小さくして)着火源を生成し、これにより、主噴射Qmにより形成された予混合気および第1後段噴射Qa1により供給された燃料を含む混合気を自着火可能とするための噴射である。すなわち、本実施形態では、上記のように、主噴射Qmにより形成される予混合気は、これのみでは自着火がほぼ不可能なリーンな混合気である。これに対して、第1後段噴射Qa1を実施すれば、燃焼室6内に局所的にリッチで自着火可能な混合気(着火源)を形成することができ、この混合気の自着火によって混合気全体の燃焼を実現することができる。
この第1後段噴射Qa1は、着火源となるリッチな混合気が適切に形成されるように、圧縮行程後期の所定時期θa1に開始される。例えば、図5に示した例では、BTDC14°CA付近で第1後段噴射Qa1は開始される。すなわち、燃焼室6の容積が大きい状態で第1後段噴射Qa1を実施すると、この第1後段噴射Qa1に係る燃料が燃焼室6内で過剰に拡散してしまい着火源となるリッチな混合気を適切に形成することができなくなる。従って、第1後段噴射Qa1は、前記着火源が適切に形成されるように圧縮行程後期に開始される。
なお、前記のように、主噴射Qmにより形成された予混合気は自着火がほぼ不可能な混合気であるが、この予混合気の一部が燃焼する場合がありうる。これに対して、第1後段噴射Qa1により噴射された燃料がこの予混合気に供給されれば、第1後段噴射の燃料の気化潜熱によって前記予混合気の温度を低下させて一部の予混合気が熱炎反応に至って予期せず早期に燃焼が開始するのを抑制することができる。従って、第1後段噴射Qa1の実施時期としては、主噴射Qmにより形成された予混合気が冷炎反応を開始するおそれのある時期以降に設定されるのが好ましい。
また、第1後段噴射Qa1の噴射量は、着火源となるリッチな混合気が適切に形成されるような量に設定されており、1燃焼サイクルで各気筒2に供給される燃料の総量(主噴射Qmと各後段噴射Qa1,Qa2の噴射量の合計)に対して10%〜25%程度の量に設定されている。例えば、主噴射Qmが前記総量の75%に設定された場合において、第1後段噴射Qa1の噴射量は12.5%に設定される。
第2後段噴射Qa2は、第1後段噴射Qa1によって形成された着火源を冷却して、燃焼室6内の混合気の着火時期を圧縮上死点後のより遅角側とするための噴射である。すなわち、着火源となる混合気に新たに燃料を供給すれば、この燃料の気化潜熱によってこの混合気を冷却することができる。そして、着火源となるこの混合気の反応が進行するのを抑えて着火時期を遅らせることができる。
第2後段噴射Qa2の噴射量は、着火源となる空燃比の高い混合気に燃料を供給することが可能な量に設定されており、第1後段噴射と同程度、すなわち、1燃焼サイクルで各気筒2に供給される燃料の総量(主噴射Qmと各後段噴射Qa1,Qa2の噴射量の合計)に対して10%〜25%程度の量に設定されている。例えば、主噴射Qmが前記総量の75%に設定された場合には、第2後段噴射Qa2の噴射量は第1後段噴射Qa1と同じく12.5%に設定される。
一方、本実施形態では、第2後段噴射Qa2のペネトレーションは、第1後段噴射Qa1のペネトレーションよりも高く設定される。そして、これに伴い、図5に示すように、第2後段噴射Qa2では外開弁114のリフト量は第1後段噴射Qa1のリフト量よりも大きくされる。
以上の噴射パターンにおいて、高負荷領域A2では、エンジン負荷が高くなるほど主噴射Qmおよび第2後段噴射Qa2の噴射量が大きくされる。また、エンジン負荷が高くなるほど第2後段噴射Qa2のペネトレーションが高くされる。
具体的には、図6に示すように、破線で示したエンジン負荷が小さい場合に対して、エンジン負荷が高い場合には、実線で示すように、主噴射Qmの噴射終了時期が遅角側にされて主噴射Qmの噴射期間が長くされる。また、第2後段噴射Qa2の噴射終了時期も、エンジン負荷が高くなると、遅角側にされて第2後段噴射Qa2の噴射期間が長くされる。そして、第2後段噴射Qa2実施時において外開弁43のリフト量が大きくされて第2後段噴射Qa2のペネトレーションが高くされる。一方、本実施形態では、図6に示すように、第1後段噴射Qa1の噴射量および噴射開始時期はエンジン負荷によらず一定に維持される。なお、本明細書において噴射開始時時期および噴射期間は、いずれもクランク角についての時期および期間である。
本実施形態では、第2後段噴射Qa2の噴射量およびペネトレーションは、エンジン負荷の増大に比例して大きくされる。
また、高負荷領域A2では、エンジン回転数が高くなるほど第1後段噴射Qa1の噴射開始時期が早くされる。また、エンジン回転数が高くなるほど第2後段噴射Qa2のペネトレーションが高くされる。
具体的には、図7に示すように、破線で示したエンジン回転数が低い場合に対して、エンジン回転数が高い場合には、実線で示すように、第1後段噴射Qa1の噴射開始時期が進角側にされる。一方、第2後段噴射Qa2の噴射開始時期はエンジン回転数によらず一定に維持される。ただし、エンジン回転数が高いほど、第2後段噴射Qa2実施時の外開弁43のリフト量が大きくされて第2後段噴射Qa2のペネトレーションが高くされる。
本実施形態では、第1後段噴射Qa1の噴射開始時期の進角量および第2後段噴射Qa2のペネトレーションは、エンジン回転数の増大に比例して大きくされる。
(4−2)低負荷荷領域A1
低負荷領域A1での燃料の噴射パターンについて簡単に説明する。本実施形態では、低負荷領域A1では、1燃焼サイクルで気筒2内に供給する燃料の全量が、一括して、圧縮上死点後期よりも前のタイミングで噴射される。そして、この全燃料と空気とを予め混合して予混合気を形成し、圧縮上死点付近でこの予混合気を圧縮自着火させる。
低負荷領域A1での燃料の噴射パターンについて簡単に説明する。本実施形態では、低負荷領域A1では、1燃焼サイクルで気筒2内に供給する燃料の全量が、一括して、圧縮上死点後期よりも前のタイミングで噴射される。そして、この全燃料と空気とを予め混合して予混合気を形成し、圧縮上死点付近でこの予混合気を圧縮自着火させる。
(5)作用等
以上のように、本実施形態では、高負荷領域A2において、吸気行程、圧縮行程の初期または圧縮行程の中期に主噴射Qmを実施して燃焼室6内に予混合気を形成する。そして、圧縮行程後期に、この予混合気の着火源を形成する第1後段噴射Qa1を実施する。さらに、第1後段噴射Qa1の実施後かつ圧縮上死点前にこの着火源を冷却するための第2後段噴射Qa2を実施する。
以上のように、本実施形態では、高負荷領域A2において、吸気行程、圧縮行程の初期または圧縮行程の中期に主噴射Qmを実施して燃焼室6内に予混合気を形成する。そして、圧縮行程後期に、この予混合気の着火源を形成する第1後段噴射Qa1を実施する。さらに、第1後段噴射Qa1の実施後かつ圧縮上死点前にこの着火源を冷却するための第2後段噴射Qa2を実施する。
従って、エンジン負荷が高く燃焼室6内の温度および圧力が高くなるとともに、燃焼室6に供給される燃料量が多い高負荷領域A2において、着火時期を圧縮上死点よりも十分に遅角側にすることができ、圧縮着火燃焼を実現しつつ燃焼騒音が増大するのを抑制することができる。
以下、具体的に説明する。
まず、高負荷領域A2において、前記実施形態と異なり、仮に、1燃焼サイクルに燃焼室6内に供給する多量の燃料を圧縮行程後期よりも前に一括して供給して、この燃料と空気との予混合気を形成したとすると、次の問題が生じる。
すなわち、前記のように高負荷領域A2では燃焼室6内の温度および圧力が高く、燃焼室6内は混合気が燃焼しやすい状態にある。そのため、この状態の燃焼室6内で、多量の燃料を含み燃焼しやすい状態にある予混合気が形成されると、圧縮に伴って比較的早期に燃焼が開始して圧縮上死点近傍で予混合気が燃焼を開始することになる。そのため、ピストンクランク機構上、燃焼室6内の体積変化が小さく燃焼室6内の圧力変化に対して体積変化が追従できない圧縮上死点近傍で燃焼地う6内の圧力が増大することで、燃焼室6内の圧力の増加率いわゆるdP/dθ(P:筒内圧 θ:クランク角)、または、dP/dt(P:筒内圧 t:時間)が非常に高くなって燃焼騒音が増大してしまう。また、圧縮上死点よりも前に燃焼が開始してしまい、エンジントルクが適切に得られないという問題が生じるおそれがある。
また、高負荷領域A2において、前記実施形態と異なり、仮に、特許文献1のような噴射を行った場合、すなわち、吸気行程ないし圧縮行程に燃料を噴射する第1噴射を実施するとともに、この第1噴射により形成された予混合気の冷炎反応中に燃焼室内に燃料を噴射する第2噴射を実施した場合には、前記のように一括噴射を行う場合よりは燃焼騒音の増大を抑制することができる。しかしながら、この2回の噴射を行う場合であっても、十分に燃焼騒音を小さくすることはできない。
すなわち、高負荷領域A2では、燃焼室6内に供給される燃料が多いことに伴い前記第2噴射の噴射量も多くなる。そのため、この第2噴射によって燃焼室6内には非常にリッチな混合気であって燃焼しやすい混合気が形成されることになる。従って、この過剰にリッチな今後機を着火源として混合気全体が早期に燃焼を開始してしまう。従って、この場合でも、圧縮上死点近傍に燃焼が開始してしまい燃焼室6内の圧力の増加率が高くなって燃焼騒音が増大する。
なお、この2回の噴射を行う場合において、第1噴射の量のみを多くして第2噴射の量を少なく抑えることも考えられるが、この場合には、第1噴射により形成された予混合気の反応を第2噴射によって十分に抑えることができず、やはり早期に燃焼が開始してしまう。
これに対して、本実施形態では、主噴射Qmではリーンで均質な予混合気を形成するにとどめ、第1後段噴射Qa1によってはじめて着火源となる混合気を形成している。従って、燃焼室6内の混合気の燃焼に向けた反応を、第1後段噴射Qa1の実施時期付近の比較的遅い時期から開始させることができる。しかも、このようにした上で、第2後段噴射Qa2によって、この着火源となる混合気に燃料を供給している。そのため、第2後段噴射Qa2に係る燃料によって着火源となる混合気を冷却して、この混合気の反応の進行を抑えることができ、混合気の着火開始時期を十分に遅角側にすることができる。そのため、圧縮上死点後の燃焼室6内の圧力が比較的低くなった時期に燃焼を開始させて、燃焼室6内の圧力の増加率を小さくすること、および、燃焼を緩慢にすることができ、燃焼騒音の増大をより確実に抑制することができる。
なお、図8は、高負荷領域A2において、本実施形態に係る噴射パターンを実施した場合の熱発生率(L1)と、この噴射パターンにおいて第2後段噴射Qa2を省略した場合の熱発生率(L0)とを比較して示した図である。この図8に示されるように、本実施形態に係る噴射パターンを実施した場合では、その着火時期ts1が、第2後段噴射Qa2を省略した場合の着火時期ts0よりも遅角側にすることができ、熱発生率の立ち上がりを緩やかにすることができる。
特に、本実施形態では、第2後段噴射Qa2のペネトレーションを第1後段噴射Qa1のペネトレーションよりも高めている。そのため、第2後段噴射Qa2に係る燃料をより確実に前記着火源となる混合気に到達させることができ、これを効果的に冷却することができる。すなわち、第2後段噴射Qa2は、第1後段噴射Qa1よりも圧縮上死点に近く燃焼室6内の圧力がより高い状態で実施される。そのため、第2後段噴射Qa2の噴射の飛散距離は短くなりやすい。これに対して、前記のように第2後段噴射Qa2のペネトレーションを高めれば、第2後段噴射Qa2の飛散距離を長くして、前記着火源となる混合気に到達させることができ、着火時期をより確実に遅角側にすることができる。
また、このように第2後段噴射Qa2のペネトレーションを高めれば、第2後段噴射Qa2をより燃焼室6内で拡散させることができる。すなわち、第2後段噴射Qa2の実施時期から着火時期までの時間は短いため、第2後段噴射Qa2により噴射された燃料は拡散しにくく、着火前において燃焼室6内に過剰にリッチな混合気が形成されるおそれがある。これに対して、第2後段噴射Qa2のペネトレーションを高めれば、この燃料を拡散させて、過剰にリッチな混合気が形成されるのを抑制することができる。従って、スモークの悪化を抑制することができる。
また、本実施形態では、エンジン負荷が高くなるほど主噴射Qmと第2後段噴射Qa2の噴射量を増大させるとともに、第2後段噴射Qa2のペネトレーションを高くしている。そのため、エンジントルクを要求に応じて適切に高めながら、燃焼騒音を抑制しつつスモークの悪化を抑制することができる。
具体的には、主噴射Qmをエンジン負荷の増加に応じて増大させていることで、エンジントルクを確保することができる。そして、エンジン負荷が高くなると燃焼室6内の温度および圧力が高くなって着火が促進されるのに対して、第2後段噴射Qa2の噴射量を増大させているため、混合気の着火源の温度をより低下させて着火時期をより遅らせることができる。従って、燃焼騒音の増大を抑制することができる。
ここで、このように第2後段噴射Qa2の噴射量を増大させると、この第2後段噴射Qa2の燃料によって燃焼室6内に過剰にリッチな混合気が形成されやすいが、本実施形態では、前記のように、第2後段噴射Qa2のペネトレーションが高められているため、この燃料の拡散を促進することができ、過剰なリッチ化を抑制してスモークの悪化を抑制することができる。
また、本実施形態では、エンジン回転数が高くなるほど、第1後段噴射Qa1の噴射開始時期を進角側にしている。そのため、第1後段噴射Qa1の噴射開始時期から着火時期までの時間を確保して、着火までの間に第1後段噴射Qa1の燃料を適切に拡散させることができる。さらに、本実施形態では、エンジン回転数が高くなるほど、第2後段噴射Qa2のペネトレーションを高くしている。そのため、エンジン回転数が高くなって第2後段噴射Qa2の実施時期から着火時期までの時間が短くなって第2後段噴射Qa2に係る燃料の拡散時間が短くなる場合であっても、第2後段噴射Qa2の飛散距離を大きくしてこの第2後段噴射Qa2に係る燃料をより広範囲に拡散させることができる。従って、燃焼室6内に局所的に過剰にリッチな混合気が形成されるのを抑制して、スモークの増大を抑制することができる。
(6)変形例
前記実施形態では、インジェクタ11として、外開弁式であって図2に示すような構造を有するものを用いた場合について説明したが、インジェクタ11の具体的な種類および構造はこれに限らない。ただし、外開弁式のインジェクタ11であれば、簡単な構造で精度よく燃料噴霧のペネトレーションを変更することができる。
前記実施形態では、インジェクタ11として、外開弁式であって図2に示すような構造を有するものを用いた場合について説明したが、インジェクタ11の具体的な種類および構造はこれに限らない。ただし、外開弁式のインジェクタ11であれば、簡単な構造で精度よく燃料噴霧のペネトレーションを変更することができる。
また、前記実施形態では、第2後段噴射Qa2のペネトレーションを第1後段噴射Qa1のペネトレーションよりも高くした場合について説明したが、これらのペネトレーションを同じにしてもよい。
ただし、第2後段噴射Qa2のペネトレーションを第1後段噴射Qa1よりも高くすれば、エンジン負荷が高いほど第2後段噴射Qa2のペネトレーションを高くすれば、前記のように、より確実に第2後段噴射Qa2の燃料を着火源となる混合気に到達させてこれをより確実に冷却し、これにより、燃焼騒音の悪化を抑制することができるとともに、第2後段噴射Qa2の燃料の拡散を促進してスモークの悪化を抑制することができる。
また、前記実施形態では、エンジン負荷によらず第1後段噴射Qa1の噴射量を一定に維持する一方、第2後段噴射Qa2の噴射量を増大させる場合について説明したが、エンジン負荷が高い方が第1後段噴射Qa1の噴射量が大きくなるようにしてもよい。ただし、この場合であっても、第2後段噴射Qa2の増加割合の方が第1後段噴射Qa1の増加割合よりも大きくするのが好ましい。このようにすれば、増量された主噴射Qmおよび第1後段噴射Qa1に係る燃料によって形成される着火源となる混合気を、第1後段噴射Qa1によってより確実に冷却することができる。
また、第2後段噴射Qa2の噴射量をエンジン負荷によらず一定としてもよい。ただし、前記のように、第2後段噴射Qa2の噴射量をエンジン負荷が高いほど高くすれば、第2後段噴射Qa2の燃料によってより確実に着火源となる混合気を冷却することができる。
また、エンジン負荷によらず第2後段噴射Qa2のペネトレーションを一定としてもよい。ただし、前記のように、エンジン負荷が高いほど第2後段噴射Qa2のペネトレーションを高くすれば、着火源をより確実に冷却することができるとともにスモークの悪化を抑制できる。
また、エンジン負荷に対する第2後段噴射Qa2の噴射量およびペネトレーションの増大のさせ方は、前記のように比例して増大させるものに限らず、エンジン負荷が高い方が、これらが大きくなるようにすればよい。
また、前記実施形態では、エンジン回転数が高いほど第1後段噴射Qa1の噴射開始時期を進角させた場合について説明したが、エンジン回転数によらずこの噴射開始時期を一定としてもよい。
また、エンジン回転数に対する第1後段噴射Qa1の噴射開始時期の進角量の増大のさせ方は、前記のように比例に限らず、エンジン回転数が高い方が、この噴射開始時期が進角側になるようにすればよい。
また、前記実施形態では、エンジン回転数が高いほど第2後段噴射Qa2のペネトレーションを高くした場合について説明したが、エンジン回転数によらずこれを一定としてもよい。
ただし、前記のように、エンジン回転数が高いほど第2後段噴射Qa2のペネトレーションを高くすれば、第2後段噴射Qa2の拡散を促進してスモークの悪化を抑制することができる。
また、前記実施形態では、エンジン回転数によらず第2後段噴射Qaの噴射開始時期を一定とした場合について説明したが、エンジン回転数に応じて第2後段噴射Qa2の噴射開始時期を変化させてもよい。例えば、エンジン回転数が高い方が、第2後段噴射Qa2の噴射開始時期が進角側となるようにしてもよい。
1 エンジン本体
11 インジェクタ
Qm 主噴射
Qa1 第1後段噴射
Qa2 第2後段噴射
11 インジェクタ
Qm 主噴射
Qa1 第1後段噴射
Qa2 第2後段噴射
Claims (6)
- 燃焼室が形成された気筒と、前記燃焼室内に燃料を供給する燃料噴射装置と、当該燃料噴射装置を制御する制御手段とを備え、前記燃焼室内で燃料と空気との予混合気を自着火させる予混合圧縮着火燃焼を実施可能な予混合圧縮着火式エンジンであって、
前記制御手段は、エンジン負荷が予め設定された基準負荷以上の高負荷領域において、前記予混合圧縮着火燃焼を実施するとともに、当該高負荷領域において、前記燃焼室内に予混合気が形成されるように、吸気行程、圧縮行程の初期または圧縮行程の中期に前記燃焼室内に燃料を噴射する主噴射と、前記主噴射により形成された予混合気が着火可能な量の燃料を圧縮行程の後期において前記燃焼室内に噴射する第1後段噴射と、前記燃焼室内において圧縮上死点よりも遅角側で混合気が着火するように前記第1後段噴射の実施後に前記第1後段噴射により供給された燃料を含む混合気に向けて燃料を噴射する第2後段噴射とを、前記燃料噴射装置に、実施させることを特徴とすることを特徴とする予混合圧縮着火式エンジン。 - 請求項1に記載の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、
前記制御手段は、前記高負荷領域において、前記第2後段噴射のペネトレーションが前記第1後段噴射のペネトレーションよりも高くなるように前記燃料噴射装置を制御することを特徴とする予混合圧縮着火式エンジン。 - 請求項1または2に記載の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、
前記制御手段は、前記高負荷領域において、エンジン負荷が高い方が前記主噴射の噴射量が大きくなるように、かつ、前記第2後段噴射の噴射量の方が前記第1後段噴射の噴射量よりもエンジン負荷の増加に対する増加割合が大きくなるように、前記燃料噴射装置を制御することを特徴とする予混合圧縮着火式エンジン。 - 請求項3に記載の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、
前記制御手段は、前記高負荷領域において、エンジン負荷が高い方が前記第2後段噴射のペネトレーションが高くなるように前記燃料噴射装置を制御することを特徴とする予混合圧縮着火式エンジン。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、
前記制御手段は、エンジン回転数が高い方が前記第1後段噴射の噴射開始時期が進角側になるように、かつ、エンジン回転数が高い方が前記第2後段噴射のペネトレーションが高くなるように、前記燃料噴射装置を制御することを特徴とする予混合圧縮着火式エンジン。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、
前記燃料噴射装置は、リフト量が増大されることで噴射する燃料のペネトレーションを高くすることが可能な外開弁式の噴射装置であることを特徴とする予混合圧縮着火式エンジン。
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