JP6288558B2 - プラズマ処理された表面平滑化フッ素系樹脂フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
少なくとも一方の面がプラズマ処理されたフッ素系樹脂フィルムであって、
前記プラズマ処理された面の表面粗さ(Rz)が0.20μm以上、0.70μm以下であり、かつ、前記フィルムのヘイズ値が20%以上、52%以下であるフッ素系樹脂フィルムが提供される。
上記のフッ素系樹脂フィルムを製造する方法であって、
フッ素系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に室温を超える温度かつ該フッ素系樹脂フィルムの融点未満の温度で加熱プレス処理を加える工程と、
前記フィルムの加熱プレス処理を行う面にプラズマ処理を加える工程と
を含んでなる方法が提供される。
ゴム栓と、その表面の少なくとも一部を被覆するフッ素系樹脂フィルムと、を備えたラミネートゴム栓であって、
前記フッ素系樹脂フィルムが、上記のフッ素系樹脂フィルムであり、
前記ゴム栓の表面と前記フッ素系樹脂フィルムのプラズマ処理された面とが対向するように、ゴム栓表面に前記フッ素系樹脂フィルムが被覆されている、ラミネートゴム栓が提供される。
本発明によるフッ素系樹脂フィルムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体樹脂(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体樹脂(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体樹脂(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。これらの中でも、耐薬品性、すべり特性、耐熱性および非粘着性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)が好ましい。
本発明によるフッ素系樹脂フィルムは、該フィルムの少なくとも一面が加熱プレス処理されている。加熱プレス処理は、種々のプレス機を用いて行うことができるが、図1のようなロールプレス装置を用いると効率的に処理することができる。ここで、図1のロールプレス装置は金属ロール3と、弾性ロール4とを備えている。この金属ロールと弾性ロールとを所定の圧力で当接させ、このロール間にフィルムを挿んで金属ロールを回転させることによって、フィルムに所定の圧力を連続的に加えることができる。また、金属ロールを加熱することで、フィルムに熱および圧力を同時に加えることができ、加熱プレス処理の程度はロール間を通過するフィルムの速度を変更することで、調整することができる。
本発明によるフッ素系樹脂フィルムの製造方法に使用されるフッ素系樹脂フィルムは、該フィルムの加熱プレス処理を行う面が、プラズマ処理される。本明細書において、加熱プレス処理を行う面とは、これから加熱プレス処理をする面だけでなく、既に加熱プレス処理をした面も含むものとする。つまり、プラズマ処理は加熱プレス処理の前もしくは後のいずれのタイミングで行ってもよく、または加熱プレス処理の前後の両方で行ってもよいが、少なくともプラズマ処理前に加熱プレス処理を行うことが、接着強度の面から好ましい。理論に拘束されるものではないが、加熱プレス処理を行うことでフィルム表面の微細な凹凸が減少し、フィルム表面がプラズマによってより効率的に処理されるものと考えられる。
本発明による表面平滑化フッ素系樹脂フィルムで表面の少なくとも一部を被覆することによって、様々な物品の表面に優れた耐薬品性、離型性、防汚性および滑り性等を付与することができる。そのような被覆された物品の一例として、ゴム栓の表面と本発明によるフッ素系樹脂フィルムのプラズマ処理された面とが対向するように、ゴム栓表面にフッ素系樹脂フィルムが被覆されているラミネートゴム栓が挙げられる。図3は、フッ素系樹脂フィルムで被覆したゴム栓(ラミネートゴム栓)の断面概略図であり、図4は図3のラミネートゴム栓の外観斜視図である。
<加熱プレス処理>
厚さ50μmのPTFEフィルム(ニチアス株式会社製、ナフロン PTFEシート、TOMBO No.9000(品番)、スカイブ品)に、図1のような装置を用いてプレス処理を行った。この装置は、機械構造用炭素鋼(S45C)からなる表面粗さ(Rz)が0.4μmの金属ロール3と、コットン75%およびウール25%からなる弾性ロール4とを備えている。最初に、室温(22.6℃)で金属ロールと弾性ロールとを30kgf/cm2の圧力で当接させた。次いで、このロール間に上記PTFEフィルムを挿み、金属ロール回転させて該フィルムを1m/minの速度で搬送することで、フィルムに圧力を加えた。
金属ロールを50℃に加熱してフィルムに圧力と熱とを加えた以外は例A1と同様にして、加熱プレス処理を行った。
金属ロールを60℃に加熱した以外は例A2と同様にして、加熱プレス処理を行った。
金属ロールを80℃に加熱した以外は例A2と同様にして、加熱プレス処理を行った。
金属ロールを100℃に加熱した以外は例A2と同様にして、加熱プレス処理を行った。
金属ロールを140℃に加熱した以外は例A2と同様にして、加熱プレス処理を行った。
金属ロールを180℃に加熱した以外は例A2と同様にして、加熱プレス処理を行った。
1.フィルムを適当な大きさ(3×3cm)に切り出し、可動式の測定台に四隅をメンディングテープでシワの入らないように固定する。
2.測定台をレーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製、カラー3Dレーザー顕微鏡VK−9700)にセットし、観察アプリケーションVK−H1V1(VKviewer)を用いて、倍率150倍のレンズで表面形状を測定する(測定モード:カラー超深度、光学ズーム:1.0倍、測定ピッチ:0.02μm、実倍率2100倍)。
3.測定データを保存し、このデータから形状解析アプリケーションVK−H1A1(VKAnalyzer)を用いて、表面粗さを解析する。測定領域を5×5μm四方の正方形の領域で60箇所設定し、各領域の表面粗さ(十点平均表面粗さRz:JISB0601準拠の演算処理で算出)を測定する。
4.測定した各60値の表面粗さデータの平均を計算する。
1.フィルムを適当な大きさ(3×3cm)に切り出し、可動式の測定台に固定する。測定機器として、日本電色工業株式会社製のヘイズメーターNDH4000を用いる。
2.測定ボタンを押し、全光線透過率、ヘイズ、拡散透過率、平行透過率を測定する。測定モードは、JISK7136準拠のモードで行い、サンプル数は各3水準とする。
3.測定した各3値のヘイズの平均を計算する。
1.プラズマ処理済PTFEフィルムと加硫前の塩素化ブチルゴムシートとを重ね合わせる。
2.ヒートシーラ(TP−701−B(テスター産業株式会社製))を用いて、170℃、1kgf/cm、7minの条件で熱プレスし、PTFEフィルムと塩素化ブチルゴムシートとを圧着させる。
3.熱プレス部と垂直になるように15mm幅にサンプルをカットする。
4.引張り試験機(テンシロン万能試験機RTC1310A(ORIENTEC社製))を用いて、引張速度10mm/minにて90°剥離して、PTFEフィルムの塩素化ブチルゴムシートに対する接着強度を測定する。その際、PTFEフィルムの端部を上部に、ゴムシートの端部を下部にそれぞれチャッキングし、PTFEフィルムの端部を上方向に引張り、この引張り強さを接着強度とする。
<プラズマ処理>
上記例A1で得られたフィルムの熱プレス処理を施した面に、真空プラズマ処理を実施した。この処理は図2に示すようなプラズマ処理装置を用いてアルゴンガス雰囲気下で行い、アルゴンガスの投入ガス量を4500sccmとした。真空度は2.5〜3.0×10−2mBarに設定した。40kHzの交流電源を用いて、投入電力を12kwとした。フィルム搬送速度は4m/分とした。
上記例A2〜A7で得られたフィルムについても、A1と同様にプラズマ処理を実施した。
2 加熱プレス処理されたフッ素系樹脂フィルム
3 金属ロール
4 弾性ロール
5 供給ローラ
6 巻き取りローラ
11 プラズマ処理装置
13 チャンバー
15 供給ローラ
17 巻き取りローラ
19 冷却・電極ドラム
21 補助ローラ
23 電源
25 真空ポンプ
27 ノズル
29 原料揮発供給装置
31 ガス供給装置
33 マグネット
35 プラズマ処理された表面平滑化フッ素系樹脂フィルム
37 ゴム栓
39 ラミネートゴム栓
Claims (9)
- 少なくとも一方の面がプラズマ処理されたフッ素系樹脂フィルムであって、
前記プラズマ処理された面の表面粗さ(Rz)が0.20μm以上、0.70μm以下であり、かつ、前記フィルムのヘイズ値が20%以上、52%以下であり、
前記フィルムが、スカイブ法により得られたフィルムであることを特徴とする、フッ素系樹脂フィルム。 - 前記プラズマ処理された面の表面粗さ(Rz)が0.20μm以上、0.65μm以下であり、かつ、前記フィルムのヘイズ値が20%以上、50%以下である、請求項1に記載のフッ素系樹脂フィルム。
- 前記フィルムがPTFEフィルムである、請求項1または2に記載のフッ素系樹脂フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ素系樹脂フィルムを製造する方法であって、 フッ素系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に室温を超える温度かつ該フッ素系樹脂フィルムの融点未満の温度で加熱プレス処理を加える工程と、
前記フィルムの加熱プレス処理を行う面にプラズマ処理を加える工程と
を含んでなる、方法。 - 前記加熱プレス処理が60℃以上の温度で行われる、請求項4に記載の方法。
- 前記加熱プレス処理が前記フッ素系樹脂フィルムのガラス転移温度以上の温度で行われる、請求項4に記載の方法。
- 前記プラズマ処理が不活性ガス雰囲気下で行われる、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記フッ素系樹脂フィルムが、スカイブ法によって得られた1.00μmを超える表面粗さ(Rz)を有するフッ素系樹脂フィルムである、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
- ゴム栓と、その表面の少なくとも一部を被覆するフッ素系樹脂フィルムと、を備えたラミネートゴム栓であって、
前記フッ素系樹脂フィルムが、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ素系樹脂フィルムであり、
前記ゴム栓の表面と前記フッ素系樹脂フィルムのプラズマ処理された面とが対向するように、ゴム栓表面に前記フッ素系樹脂フィルムが被覆されている、ラミネートゴム栓。
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