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JP6288558B2 - プラズマ処理された表面平滑化フッ素系樹脂フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

プラズマ処理された表面平滑化フッ素系樹脂フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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本発明は、表面接着性が改善された表面平滑化フッ素系樹脂フィルムに関するものである。本発明はまた、表面接着性が改善された表面平滑化フッ素系樹脂フィルムの製造方法にも関するものである。
多機能フィルムとして、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような、フッ素系樹脂フィルムが知られている。フッ素系樹脂フィルムは、優れた耐薬品性、離型性、防汚性、滑り性などを有するため、現在様々な分野で広く用いられている。
一般的にフッ素系樹脂フィルムは離型性に優れる反面、他のフィルムや物品と接着し難いという特徴があり、そのため、フッ素系樹脂フィルムを他のフィルムや物品に貼合しようとしても、両者が接着しないか、あるいは接着したとしても密着性が非常に低いという問題がある。この点を解消するために、従来から金属ナトリウムとアンモニア溶液を用いてフッ素系樹脂の表面に存在するフッ素原子を除去する処理を行うことにより、フッ素系樹脂フィルムの接着性が改善できることが知られている。しかしながら、金属ナトリウムは非常に反応性が高く、発火や爆発の危険性を有するため、取り扱いが難しいという問題点があった。また、金属ナトリウムを用いた表面処理方法では、処理後にフッ素系樹脂フィルムの表面が赤褐色に変色してしまうため、貼合体を使用する用途によっては、変色したフッ素系樹脂フィルムが問題となる場合もあった。近年では、金属ナトリウムを用いずに、Na/ナフタリン錯体のTHF溶液やエーテル溶液等も使用されているが、依然としてナトリウムを用いないフッ素系樹脂の表面改質方法が望まれている。
ナトリウムを用いない方法として、例えば、特開平10−60140号公報では、フッ素樹脂フィルムの接着性を改善するために、フッ素樹脂フィルムの表面に真空中でのDCプラズマによる処理を行って表面改質を行うことが提案されている。また、プラズマ処理による表面改質では、高分子鎖の熱揺らぎ等により改質効果が経時的に減少してしまうため、特開2012−233038号公報では、プラズマ処理する際に、アクリル酸等の親水性モノマーを導入することでフッ素樹脂フィルム表面へプラズマ重合を行い、フッ素樹脂フィルムの表面にモノマー重合層を形成して、表面改質効果を長時間持続させる試みがなされている。
また、フッ素系樹脂フィルム表面に加熱処理と放電処理を併用して接着性を付与する試みもなされている。例えば、特開2000−178369号公報では、フッ素樹脂成形物に対して不飽和炭化水素を含有する雰囲気下で放電処理を行って表面改質を行うと共に、その表面改質の前および/または後に該フッ素樹脂成形物をその融点以上の温度で加熱処理することで、接着剤との接着性および耐摩耗性を改善できることが開示されている。この文献ではさらに、表面をサンドペーパー等を用いて粗化処理することで接着力をより向上させられることが開示されている。
特開平10−60140号公報 特開2012−233038号公報 特開2000−178369号公報
通常、フッ素系樹脂フィルムの接着性を向上させようとする場合、特許文献3に示したようにフッ素系樹脂フィルムの表面を粗面化する方が好ましいと考えられている。ところで、使用するフッ素系樹脂フィルムによっては、例えば、スカイブ法により製造されるフィルムのように、表面が予め粗面化されたものがあるが、このような粗面化されたフッ素系樹脂フィルムでは、接着性が向上しないとの知見を得た。そして本発明者らは、今般、プラズマ処理されたフッ素系樹脂フィルムの表面粗さおよびフィルムのヘイズ値を所定の範囲に低減することで、フッ素系樹脂フィルムの接着性を向上させることができるという予想外の知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、接着性の向上した表面平滑化フッ素系樹脂フィルムを提供することにある。
本発明の別の目的は、上記の表面平滑化フッ素系樹脂フィルムを製造する方法を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
少なくとも一方の面がプラズマ処理されたフッ素系樹脂フィルムであって、
前記プラズマ処理された面の表面粗さ(Rz)が0.20μm以上、0.70μm以下であり、かつ、前記フィルムのヘイズ値が20%以上、52%以下であるフッ素系樹脂フィルムが提供される。
本発明の他の一態様によれば、
上記のフッ素系樹脂フィルムを製造する方法であって、
フッ素系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に室温を超える温度かつ該フッ素系樹脂フィルムの融点未満の温度で加熱プレス処理を加える工程と、
前記フィルムの加熱プレス処理を行う面にプラズマ処理を加える工程と
を含んでなる方法が提供される。
また、本発明のさらに他の一態様によれば、
ゴム栓と、その表面の少なくとも一部を被覆するフッ素系樹脂フィルムと、を備えたラミネートゴム栓であって、
前記フッ素系樹脂フィルムが、上記のフッ素系樹脂フィルムであり、
前記ゴム栓の表面と前記フッ素系樹脂フィルムのプラズマ処理された面とが対向するように、ゴム栓表面に前記フッ素系樹脂フィルムが被覆されている、ラミネートゴム栓が提供される。
本発明によれば、接着性の向上した表面平滑化フッ素系樹脂フィルムを提供することが可能となる。
本発明による表面平滑化フッ素系樹脂フィルムを加熱プレス処理する装置の模式図である。 本発明による表面平滑化フッ素系樹脂フィルムをプラズマ処理する装置の模式図である。 本発明の一態様による表面平滑化フッ素系樹脂フィルムを用いたフッ素系樹脂積層フィルムを用いたラミネートゴム栓の断面概略図である。 図3のラミネートゴム栓の外観斜視図である。
本発明による接着性の向上した表面平滑化フッ素系樹脂フィルムは、スカイブ法によって得られたフッ素系樹脂フィルムの少なくとも一面に、加熱プレス処理およびプラズマ処理を施すことによって得ることができる。以下、詳細について説明する。
<フッ素系樹脂フィルム>
本発明によるフッ素系樹脂フィルムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体樹脂(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体樹脂(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体樹脂(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。これらの中でも、耐薬品性、すべり特性、耐熱性および非粘着性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)が好ましい。
フッ素系樹脂フィルムは、キャスト法、スカイブ法(切削法)、インフレーション押出し法またはTダイ押出し法等によって製造されたものがあるが、本発明においては、スカイブ法(切削法)によって製造されたものを用いる。ここでスカイブ法とは、フッ素系樹脂の粉末を焼結した塊から、フィルムを薄く削り出す方法を言い、溶融粘度の高い樹脂をフィルム化する際に一般的に用いられる手法である。なお、本明細書において「スカイブ品」とはスカイブ法によって得られたフィルムのことをいう。キャスト法とは、出発物質であるフッ素系樹脂の粒子を分散させた液を、金属板などの支持体上に塗布し、その後乾燥および焼成した上で支持体から剥離してフィルムを形成する手法である。また、インフレーション法とTダイ押出し法は、一般的なプラスチックフィルムの製造に用いられる溶融押出し法の一種である。
上記したスカイブ法によって得られたフィルムは、その製造方法に起因して表面粗さが大きくなる傾向があり、通常1.00μmを超える表面粗さ(Rz)を有する。また、一般的にキャスト法によって得られたフィルムよりも、ヘイズ値が高い傾向がある。本発明者らは、このような粗面のフッ素系樹脂フィルムの場合、室温を超える温度かつ該フッ素系樹脂フィルムの融点未満の温度で加熱プレス処理を行うことによって、フッ素系樹脂フィルムの表面粗さ(Rz)だけでなく、ヘイズ値をも低減させることができるとの知見を得た。そして、このような表面粗さを低減したフッ素系樹脂フィルム自体は接着性をほとんど示さないが、このようなフィルムの加熱プレス処理した表面にプラズマ処理を行うことで、接着強度が大幅に向上するとの予想外の知見が得られた。なお、本明細書において「室温」とは、20〜30℃の温度を意味するものとする。
本発明においては、プラズマ処理および加熱プレス処理後のフッ素系樹脂フィルムの表面粗さ(Rz)は、0.20μm以上、0.70μm以下であり、好ましくは0.20μm以上、0.65μm以下であり、さらに好ましくは0.30μm以上、0.60μm以下である。なお、本発明において、「表面粗さ(Rz)」とは十点平均表面粗さRzを意味するものであり、3×3cmに切り出したフィルムの表面を後記に示すレーザー顕微鏡および観察アプリケーションを用いて、実倍率2100倍で表面形状を測定し、測定領域を5×5μm四方の正方形の領域で60箇所設定して各領域の表面粗さをJISB0601準拠の演算処理で算出し、各60値の表面粗さデータの平均を計算することによって得られる。
本発明においては、プラズマ処理および加熱プレス処理後のフッ素系樹脂フィルムのヘイズ値は、20%以上、52%以下であり、好ましくは20%以上、50%以下であり、さらに好ましくは30%以上、48%未満である。なお、本発明において、「ヘイズ値」とはJIS K7136に準拠した方法により測定された値を意味する。具体的には、フィルムを適当な大きさ(3×3cm)に切り出して可動式の測定台に固定し、測定機器として、例えば日本電色工業株式会社製のヘイズメーターNDH4000、を用いて測定することができる。
本発明において用いられるフッ素系樹脂フィルムの厚さは、使用する用途にもよるが、概ね1μm〜1mm程度、特に、10μm〜300μm程度が好ましい。
<加熱プレス処理>
本発明によるフッ素系樹脂フィルムは、該フィルムの少なくとも一面が加熱プレス処理されている。加熱プレス処理は、種々のプレス機を用いて行うことができるが、図1のようなロールプレス装置を用いると効率的に処理することができる。ここで、図1のロールプレス装置は金属ロール3と、弾性ロール4とを備えている。この金属ロールと弾性ロールとを所定の圧力で当接させ、このロール間にフィルムを挿んで金属ロールを回転させることによって、フィルムに所定の圧力を連続的に加えることができる。また、金属ロールを加熱することで、フィルムに熱および圧力を同時に加えることができ、加熱プレス処理の程度はロール間を通過するフィルムの速度を変更することで、調整することができる。
金属ロールは、種々の金属からなっていてもよいが、耐摩耗性の観点から、機械構造用炭素鋼を用いるのが好ましい。また、金属ロールは、フッ素系樹脂フィルムの表面粗さを低減させる上で粗さ(Rz)が低いほど好ましく、0.5μm以下であるのがより好ましい。
弾性ロールは、種々の材料からなっていてもよいが、金属製の芯部を弾性材料でコーティングしたものが好ましく用いることができる。また、弾性材料としてはコットン75%およびウール25%からなるものが好ましい。
加熱プレス処理の際、金属ロールと弾性ロールは1kgf/cm〜300kgf/cmの線圧で当接されるのが好ましく、20kgf/cm〜200kgf/cmの線圧で当接されるのがより好ましい。
加熱プレス処理は、室温を超える温度、かつ、処理するフッ素系樹脂フィルムの融点未満の温度で行う。これにより、フッ素系樹脂フィルムの表面粗さ(Rz)だけでなく、ヘイズ値をも低減させることができる。加熱プレス処理は、処理されるフッ素系樹脂フィルムの融点未満の温度であれば、より高い温度で行うのが好ましく、例えば60℃以上で行うのが好ましい。ガラス転移温度が60℃よりも高いフッ素系樹脂フィルムの場合は、ガラス転移温度以上の温度、かつ、該フッ素系樹脂フィルムの融点未満の温度で加熱プレス処理を行うことが、より高い接着強度を得る点で、さらに好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)の場合、ガラス転移温度が127℃であり、融点が327℃であるため、127℃以上327℃未満で加熱プレス処理を行うことが好ましい。また、ポリフッ化ビニルの場合は、ガラス転移温度が41℃であり、融点が227℃であることから、41℃以上、227℃未満で加熱プレス処理を行うことが好ましい。
<プラズマ処理>
本発明によるフッ素系樹脂フィルムの製造方法に使用されるフッ素系樹脂フィルムは、該フィルムの加熱プレス処理を行う面が、プラズマ処理される。本明細書において、加熱プレス処理を行う面とは、これから加熱プレス処理をする面だけでなく、既に加熱プレス処理をした面も含むものとする。つまり、プラズマ処理は加熱プレス処理の前もしくは後のいずれのタイミングで行ってもよく、または加熱プレス処理の前後の両方で行ってもよいが、少なくともプラズマ処理前に加熱プレス処理を行うことが、接着強度の面から好ましい。理論に拘束されるものではないが、加熱プレス処理を行うことでフィルム表面の微細な凹凸が減少し、フィルム表面がプラズマによってより効率的に処理されるものと考えられる。
このプラズマ処理は、図2に示すようなプラズマ処理装置を用いると効率的に処理することができる。ここで、図2のプラズマ処理装置11は、チャンバー13、このチャンバー13内に配設された供給ローラ15、巻き取りローラ17、冷却・電極ドラム19、補助ローラ21、21を備え、冷却・電極ドラム19は電源23に接続されているとともに、チャンバー13内は真空ポンプ25により、所望の真空度に設定できるようになっている。さらに、チャンバー13内の冷却・電極ドラム19の近傍には、ノズル27の開口部が位置しており、このノズル27の他端は、チャンバー13外部に配設されている原料揮発供給装置29およびガス供給装置31に接続されている。そして、ガス供給装置31からAr等の不活性ガスが供給されることとなる。また、冷却・電極ドラム19の近傍にはマグネット33を設置し、プラズマの発生を促進している。
上述のようなプラズマ処理装置11の供給ローラ15に、加熱プレス処理したフッ素系樹脂フィルム2(またはフッ素系樹脂フィルム1)を装着し、補助ローラ21、冷却・電極ドラム19、補助ローラ21を経由して巻取ローラ17に至る図示のようなフィルム搬送パスを形成する。
図2の装置でプラズマ処理を行う場合は、チャンバー13内を真空ポンプ25により減圧して、真空度1×10−1〜1×10−8torr、好ましくは、真空度1×10−3〜1×10−7torrとする。そして、ガス供給装置31から供給される不活性ガスをノズル27を介してチャンバー13中に導入する。不活性ガスの投入ガス量は、装置の大きさ等によっても異なるが、1〜5000sccm程度が好ましい。
一方、冷却・電極ドラム19には電源23から所定の電圧が印加されているため、チャンバー13内のノズル27の開口部と冷却・電極ドラム19との近傍でグロー放電プラズマPが確立される。このグロー放電プラズマPは、不活性ガス成分から導出されるものである。この状態で、フッ素系樹脂フィルム2を一定速度で搬送させ、グロー放電プラズマPによって冷却・電極ドラム19の周面上のフッ素系樹脂フィルム2の片側表面がプラズマ処理される。このようにプラズマ処理がなされたフッ素系樹脂フィルム2は巻取ローラ17に巻き上げられる。
プラズマ処理は、好ましくはアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、窒素(N)等の不活性ガス雰囲気下で、図2に示すようなプラズマ処理装置等を用いて行われる。
<表面平滑化フッ素系樹脂フィルムを用いたラミネートゴム栓>
本発明による表面平滑化フッ素系樹脂フィルムで表面の少なくとも一部を被覆することによって、様々な物品の表面に優れた耐薬品性、離型性、防汚性および滑り性等を付与することができる。そのような被覆された物品の一例として、ゴム栓の表面と本発明によるフッ素系樹脂フィルムのプラズマ処理された面とが対向するように、ゴム栓表面にフッ素系樹脂フィルムが被覆されているラミネートゴム栓が挙げられる。図3は、フッ素系樹脂フィルムで被覆したゴム栓(ラミネートゴム栓)の断面概略図であり、図4は図3のラミネートゴム栓の外観斜視図である。
図3に示すようなラミネートゴム栓に適用した場合、ゴム栓の表面と表面平滑化フッ素系樹脂フィルムのプラズマ処理された面とが対向するように、フッ素系樹脂フィルムがラミネートゴム栓6の外表面に配置される。このような構成とすることで、例えば液体を収容する容器の栓として用いた場合、ゴムに含まれる成分が液体中に溶出することを防ぎつつ、容器に入れた液体が漏出するのを効果的に防ぐことができる。また、本発明によるラミネートゴム栓は、従来のNa処理によって得られたものと異なり、フッ素系樹脂の着色を生じない点で優れている。
このようなラミネートゴム栓は一般的なゴム栓を、本発明によるフッ素系樹脂フィルムとインモールド成形等することによって得てもよい。
このようなゴム栓に用いられるゴム素材としては、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。その中でもバリア性の観点から、特に塩素化ブチルゴムが好ましい。
次に、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明が実施例により限定されるものではない。
例A1
<加熱プレス処理>
厚さ50μmのPTFEフィルム(ニチアス株式会社製、ナフロン PTFEシート、TOMBO No.9000(品番)、スカイブ品)に、図1のような装置を用いてプレス処理を行った。この装置は、機械構造用炭素鋼(S45C)からなる表面粗さ(Rz)が0.4μmの金属ロール3と、コットン75%およびウール25%からなる弾性ロール4とを備えている。最初に、室温(22.6℃)で金属ロールと弾性ロールとを30kgf/cmの圧力で当接させた。次いで、このロール間に上記PTFEフィルムを挿み、金属ロール回転させて該フィルムを1m/minの速度で搬送することで、フィルムに圧力を加えた。
例A2
金属ロールを50℃に加熱してフィルムに圧力と熱とを加えた以外は例A1と同様にして、加熱プレス処理を行った。
例A3
金属ロールを60℃に加熱した以外は例A2と同様にして、加熱プレス処理を行った。
例A4
金属ロールを80℃に加熱した以外は例A2と同様にして、加熱プレス処理を行った。
例A5
金属ロールを100℃に加熱した以外は例A2と同様にして、加熱プレス処理を行った。
例A6
金属ロールを140℃に加熱した以外は例A2と同様にして、加熱プレス処理を行った。
例A7
金属ロールを180℃に加熱した以外は例A2と同様にして、加熱プレス処理を行った。
未処理のフィルム、ならびに上記例A1〜A7で得られたフィルムについて、以下に示す方法で、表面粗さ、ヘイズおよび接着強度をそれぞれ測定した。
<表面粗さ測定>
1.フィルムを適当な大きさ(3×3cm)に切り出し、可動式の測定台に四隅をメンディングテープでシワの入らないように固定する。
2.測定台をレーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製、カラー3Dレーザー顕微鏡VK−9700)にセットし、観察アプリケーションVK−H1V1(VKviewer)を用いて、倍率150倍のレンズで表面形状を測定する(測定モード:カラー超深度、光学ズーム:1.0倍、測定ピッチ:0.02μm、実倍率2100倍)。
3.測定データを保存し、このデータから形状解析アプリケーションVK−H1A1(VKAnalyzer)を用いて、表面粗さを解析する。測定領域を5×5μm四方の正方形の領域で60箇所設定し、各領域の表面粗さ(十点平均表面粗さRz:JISB0601準拠の演算処理で算出)を測定する。
4.測定した各60値の表面粗さデータの平均を計算する。
<ヘイズ測定>
1.フィルムを適当な大きさ(3×3cm)に切り出し、可動式の測定台に固定する。測定機器として、日本電色工業株式会社製のヘイズメーターNDH4000を用いる。
2.測定ボタンを押し、全光線透過率、ヘイズ、拡散透過率、平行透過率を測定する。測定モードは、JISK7136準拠のモードで行い、サンプル数は各3水準とする。
3.測定した各3値のヘイズの平均を計算する。
<接着強度測定>
1.プラズマ処理済PTFEフィルムと加硫前の塩素化ブチルゴムシートとを重ね合わせる。
2.ヒートシーラ(TP−701−B(テスター産業株式会社製))を用いて、170℃、1kgf/cm、7minの条件で熱プレスし、PTFEフィルムと塩素化ブチルゴムシートとを圧着させる。
3.熱プレス部と垂直になるように15mm幅にサンプルをカットする。
4.引張り試験機(テンシロン万能試験機RTC1310A(ORIENTEC社製))を用いて、引張速度10mm/minにて90°剥離して、PTFEフィルムの塩素化ブチルゴムシートに対する接着強度を測定する。その際、PTFEフィルムの端部を上部に、ゴムシートの端部を下部にそれぞれチャッキングし、PTFEフィルムの端部を上方向に引張り、この引張り強さを接着強度とする。
上記測定によって得られた値を以下の表1に示す。
Figure 0006288558
次いで、例A1〜A7で得られたフィルムに対してプラズマ処理を行った。
例B1
<プラズマ処理>
上記例A1で得られたフィルムの熱プレス処理を施した面に、真空プラズマ処理を実施した。この処理は図2に示すようなプラズマ処理装置を用いてアルゴンガス雰囲気下で行い、アルゴンガスの投入ガス量を4500sccmとした。真空度は2.5〜3.0×10−2mBarに設定した。40kHzの交流電源を用いて、投入電力を12kwとした。フィルム搬送速度は4m/分とした。
例B2〜例B7
上記例A2〜A7で得られたフィルムについても、A1と同様にプラズマ処理を実施した。
上記B1〜B7で得られたフッ素系樹脂フィルムについて、A1〜A7の場合と同様に剥離強度測定を行った。結果を以下の表に示す。
Figure 0006288558
1 フッ素系樹脂積層フィルム
2 加熱プレス処理されたフッ素系樹脂フィルム
3 金属ロール
4 弾性ロール
5 供給ローラ
6 巻き取りローラ
11 プラズマ処理装置
13 チャンバー
15 供給ローラ
17 巻き取りローラ
19 冷却・電極ドラム
21 補助ローラ
23 電源
25 真空ポンプ
27 ノズル
29 原料揮発供給装置
31 ガス供給装置
33 マグネット
35 プラズマ処理された表面平滑化フッ素系樹脂フィルム
37 ゴム栓
39 ラミネートゴム栓

Claims (9)

  1. 少なくとも一方の面がプラズマ処理されたフッ素系樹脂フィルムであって、
    前記プラズマ処理された面の表面粗さ(Rz)が0.20μm以上、0.70μm以下であり、かつ、前記フィルムのヘイズ値が20%以上、52%以下であり、
    前記フィルムが、スカイブ法により得られたフィルムであることを特徴とする、フッ素系樹脂フィルム。
  2. 前記プラズマ処理された面の表面粗さ(Rz)が0.20μm以上、0.65μm以下であり、かつ、前記フィルムのヘイズ値が20%以上、50%以下である、請求項1に記載のフッ素系樹脂フィルム。
  3. 前記フィルムがPTFEフィルムである、請求項1または2に記載のフッ素系樹脂フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ素系樹脂フィルムを製造する方法であって、 フッ素系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に室温を超える温度かつ該フッ素系樹脂フィルムの融点未満の温度で加熱プレス処理を加える工程と、
    前記フィルムの加熱プレス処理を行う面にプラズマ処理を加える工程と
    を含んでなる、方法。
  5. 前記加熱プレス処理が60℃以上の温度で行われる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記加熱プレス処理が前記フッ素系樹脂フィルムのガラス転移温度以上の温度で行われる、請求項4に記載の方法。
  7. 前記プラズマ処理が不活性ガス雰囲気下で行われる、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記フッ素系樹脂フィルムが、スカイブ法によって得られた1.00μmを超える表面粗さ(Rz)を有するフッ素系樹脂フィルムである、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. ゴム栓と、その表面の少なくとも一部を被覆するフッ素系樹脂フィルムと、を備えたラミネートゴム栓であって、
    前記フッ素系樹脂フィルムが、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ素系樹脂フィルムであり、
    前記ゴム栓の表面と前記フッ素系樹脂フィルムのプラズマ処理された面とが対向するように、ゴム栓表面に前記フッ素系樹脂フィルムが被覆されている、ラミネートゴム栓。
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