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JP6286950B2 - 硬化性樹脂組成物およびそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物およびそれを用いたパターン形成方法 Download PDF

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JP6286950B2 JP2013180946A JP2013180946A JP6286950B2 JP 6286950 B2 JP6286950 B2 JP 6286950B2 JP 2013180946 A JP2013180946 A JP 2013180946A JP 2013180946 A JP2013180946 A JP 2013180946A JP 6286950 B2 JP6286950 B2 JP 6286950B2
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Description

本発明は、インプリント方法、特にナノインプリント方法にて高精度のパターン形成を可能とする硬化性樹脂組成物と、そのような硬化性樹脂組成物を用いたパターン形成方法に関する。
近年、フォトリソグラフィー技術に替わる微細なパターン形成技術として、インプリント方法を用いたインプリントリソグラフィーによるパターン形成技術が注目されている。インプリント方法は、微細な凹凸構造を備えた型部材(モールド)を用い、凹凸構造を被成型物に転写することで微細構造を等倍転写するパターン形成技術である。例えば、光硬化性樹脂組成物を用いたインプリント方法では、基板の表面に光硬化性樹脂組成物の液滴を供給し、所望の凹凸構造を有するモールドと基板とを所定の距離まで近接させて凹凸構造内に光硬化性樹脂組成物を充填し、この状態でモールド側から光を照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させ、その後、モールドを硬化樹脂から引き離すことにより、モールドが備える凹凸が反転した凹凸構造を有するパターン(凹凸パターン)を基板上に形成する。そして、このパターンをマスクとして基板をエッチングすることにより、基板にパターン構造体を形成することができる。
このようなインプリント方法では、良好なパターンを形成するために、モールドと硬化樹脂との離型が重要であるが、離型時にモールドと硬化樹脂との界面に摩擦が生じ、離型力として硬化樹脂に作用し、パターンに変形等を生じることがある。そこで、離型性向上のために界面活性剤を硬化性樹脂組成物に添加することが知られている(特許文献1、2)。
特開2008−19292号公報 特開2011−222647号公報
従来の界面活性剤を添加した硬化性樹脂組成物は、例えば、ハーフピッチが数百nm〜数μm程度の凹凸構造を有するパターンをインプリント法で形成する場合には、良好な離型性を発現することができた。しかし、上記のような離型力は、凹凸構造が微細に密集しているほど大きくなり、例えば、ハーフピッチが50nm以下、残膜厚(凹凸構造を有するパターンの凹部に該当する部位の厚み)が50nm以下であるような微細な凹凸構造を有するパターンをインプリント法で形成する場合、硬化性樹脂組成物に界面活性剤を添加したにもかかわらず離型性能が十分に発現せず、硬化樹脂の変形・伸長が生じ、モールドから離型して得られたパターンの凹凸構造の凸部の高さ、幅等の寸法均一性が低下し、良好なパターンが得られないという問題があった。一方、離型性能を高めるために界面活性剤の添加量を増大させると、硬化性樹脂組成物のパターン形成性能や、形成されたパターンのエッチング耐性が低下するという問題があった。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、インプリント方法にて微細で高精度のパターン形成が可能な硬化性樹脂組成物、このような硬化性樹脂組成物を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明の硬化性樹脂組成物は、1種以上のアクリルモノマーと、光重合開始剤と、フッ素含有組成物と、を含有し、硬化後の表面硬さが200N/mm2以上220N/mm 2 以下であるような構成とした。
本発明の他の態様として、硬化後の離型力が10000mN以下であるような構成とした。
本発明の他の態様として、ハーフピッチが50nm以下、残膜厚が50nm以下である微細な凹凸構造を少なくとも有するパターンをインプリント法で形成するための硬化性樹脂組成物あるような構成とした。
本発明の他の態様として、粘度が20cP以下であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記光重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の総固形分において0.1〜10重量%の範囲であるような構成とした。
本発明のパターン形成方法は、ハーフピッチが50nm以下、残膜厚が50nm以下である微細な凹凸構造を少なくとも有するパターンの形成方法であって、上述のいずれかの硬化性樹脂組成物の液滴を転写基板に供給する樹脂供給工程と、凹凸構造を有するモールドと前記転写基板を近接させて、前記モールドと前記転写基板との間に前記液滴を展開して被成形樹脂層を形成する接触工程と、前記被成形樹脂層を硬化させて前記凹凸構造が転写された硬化樹脂とする硬化工程と、前記硬化樹脂と前記モールドを引き離して、前記硬化樹脂であるパターン構造体を前記転写基板上に位置させた状態とする離型工程と、を有するような構成とした。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後に200N/mm2以上の表面硬さを発現するので、インプリント方法にて微細で高精度のパターン形成が可能である。また、本発明のパターン形成方法は微細で高精度のパターン形成が可能である。
図1は、本発明のパターン形成方法の一実施形態を説明するための工程図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[硬化性樹脂組成物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、1種以上のアクリルモノマーと、光重合開始剤と、フッ素含有組成物と、を含有するものであり、硬化後の表面硬さが200N/mm2以上である。光硬化性樹脂組成物の硬化後の表面硬さが200N/mm2未満であると、インプリントにおけるモールドと硬化樹脂との離型において、硬化樹脂の変形・伸長が生じ、モールドから離型して得られたパターンの凹凸構造の凸部の高さ、幅等の寸法均一性が低下し、良好なパターンが得られないことがあり好ましくない。
ここで、表面硬さの測定は以下のように行うことができる。すなわち、フィッシャー微小硬度計(フィッシャー・インストルメンツ(株)製 HM500)を使用し、25℃、40%RHの測定環境で、石英基板上に配置した厚み500nmの試料に対して、ビッカース圧子(対面角度136°)を、最大荷重0.050mN、荷重速度0.005mN/secで押し込み、押し込まれた深さを変位として測定し、下記の式により硬さを算出する。尚、表面硬さの測定のための試料は、ヘリウム雰囲気下で硬化性樹脂組成物を硬化することにより作製する。
硬さ=C・F/t2
Cはフィッシャー微小硬度計での定数
Fは押し込み荷重(単位:N)
tは圧子が押し込まれた深さ(単位:mm)
本発明の光硬化性樹脂組成物を構成するアクリルモノマーとしては、少なくとも1つの重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する化合物を用いることができる。具体的には、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、および、上記のアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、フェノール−エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリレートモノマー、および、これらのアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたエポキシアクリレートオリゴマー、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたウレタンメタクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたポリエステルメタクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたエポキシメタクリレートオリゴマー、アクリレート基を有するポリウレタンアクリレート、アクリレート基を有するポリエステルアクリレート、アクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂、メタクリレート基を有するポリウレタンメタクリレート、メタクリレート基を有するポリエステルメタクリレート、メタクリレート基を有するエポキシメタクリレート樹脂、アダマンチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート、および、上記のアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート誘導体等が挙げられる。
これらは使用することができるアクリルモノマーの一例であり、これらに限定されるものではなく、光硬化性樹脂組成物の硬化後の表面硬さが200N/mm2以上となるようにアクリルモノマーを適宜選択することができる。また、上記のアクリルモノマーのなかで、インプリントにおいて光硬化性樹脂組成物に要求されるインクジェット適性、離型性、パターン形成性、エッチング耐性の観点から適宜配合を検討することが望ましい。パターンの形成・表面硬さを向上させるためには架橋剤として機能するアクリルモノマーを添加することが好ましく、このようなアクリルモノマーとしては、1分子中に2つ以上の反応性官能基を持つ多官能モノマー材料である。例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等があげられ、特に官能基にはさまれる炭素数が少ない方が架橋密度が増し、硬さ向上に効果がある。このような多官能モノマー材料の中で、特にエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートが好ましい。
このようなアクリルモノマーの含有量は、光硬化性樹脂組成物の硬化後の表面硬さが200N/mm2以上となるように適宜設定することができ、例えば、光硬化性樹脂組成物の総固形分において60重量%以上、好ましくは75重量%以上で設定することができる。アクリルモノマー含有量の上限は限定されず、他の組成物質との和が100重量%となるように配合されれば良い。また、パターンの形成・表面硬さを向上させるために上記のような架橋剤として機能するアクリルモノマーを添加する場合、その含有量は光硬化性樹脂の総固形分において1〜50重量%、好ましくは、15〜40重量%である。
また、本発明の光硬化性樹脂組成物を構成する光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、N,N´テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4´−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルチアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、特開2013−42096号公報に開示の下記一般式(I)で表される光重合開始剤等が挙げられる。本発明では、これらの重合開始剤を単独で、また、光硬化反応速度を調整するために2種以上を混合して使用することができる。
Figure 0006286950
(式中、R1〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数4〜20のシクロアルケニル基、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカノイル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケノイル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基又は置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜14のヘテロ環基を示す。R3は、R4またはR5と一緒になって環を形成していてもよい。R4は、R5と一緒になって環を形成していてもよい。また、Arは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基又は置換もしくは無置換の環形成炭素数5〜14のヘテロアリール基を示す。Wは、単結合又は酸素原子を示す。Zは、単結合、酸素原子又は>NR3'(R3'は、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を示すか、又はR3'はR3とつがなって、窒素原子と共に環を形成している。)を示す。nは、1〜10の整数を示す。nが2〜10の整数の場合、複数のR4及びR5は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
このような光重合開始剤の添加量は、光硬化性樹脂組成物の総固形分において0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5.0重量%の範囲で設定することができる。光重合開始剤の添加量が0.1重量%未満であると、硬化後の表面硬さが200N/mm2未満となるおそれがあり、また、5重量%を超えると、硬化性樹脂組成物のパターン形成性能や、形成されたパターンのエッチング耐性が低下することがある。
また、本発明の光硬化性樹脂組成物を構成するフッ素含有組成物は、光硬化性樹脂組成物の硬化後の離型力を10000mN以下、好ましくは1000mN以下とすることを目的として添加するものである。フッ素含有組成物としては、例えば、AGCセイミケミカル(株)製サーフロンシリーズ S−242、S−243、S−386、S−420、S−611、S−650、S−651、S−656、 (株)ネオス製フタージェントシリーズ 215、212M、215M、250、209F、222F、245F、208G、FTX−218G、240G、212P、220P、228P、FTX−218、710FS、710FM、710FL、730FL、730LM、 DIC(株)製メガファックシリーズ F−410、F−430、F−444、F−477、F−552、F−553、F−554、F−555、F−556、F−557、F−558、F−559、F−561、F−562、RS−75、RS−72−K、RS−76−E、RS−76−NS、RS−77、TF−1760、TF−2066、TF−2148、TF−2149、 住友スリーエム(株)製 FC−4430、FC−4432等のフッ素系界面活性剤を挙げることができ、これらのフッ素系界面活性剤のなかで、特に、AGCセイミケミカル(株)製サーフロンシリーズ S−656、S−386、S−650、 (株)ネオス製フタージェントシリーズ FTX−218、208G、212P、 住友スリーエム(株)製 FC−4432が好適である。
このようなフッ素含有組成物の添加量は、光硬化性樹脂組成物の総固形分において0.001〜10重量%、好ましくは0.1〜5.0重量%の範囲で設定することができる。フッ素含有組成物の添加量が0.001重量%未満であると、光硬化性樹脂組成物の硬化後の離型力が10000mNを超え、本発明の効果が奏されないことがあり、また、10重量%を超えると、光硬化性樹脂組成物のパターン形成性能や、形成されたパターンのエッチング耐性が低下することがある。
ここで、光硬化性樹脂組成物の硬化後の離型力の測定では、25℃、40%RHの測定環境で、密着層を形成したシリコン基板上に、マイクロピペットを用いて光硬化性樹脂組成物を0.3μL塗布し、この樹脂組成物の液滴にモールドを10mN/mm2で押し付け、ヘリウム環境下でモールド側から高圧水銀ランプにて1200mJ/cm2の条件で光照射を行って光硬化性樹脂組成物を硬化させ、その後、モールドを硬化膜から引き離す際の最大抵抗力を測定し離型力(mN)とする。尚、離型力の測定に使用するモールドは、樹脂組成物の液滴に押し付ける面が、曲率半径41.4mmの曲面である石英ガラスとする。
[パターン形成方法]
次に、本発明のパターン形成方法について図面を参照しながら説明する。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
図1は、本発明のパターン形成方法の一実施形態を説明するための工程図である。
<樹脂供給工程>
本発明のパターン形成方法では、まず、インプリント用の転写基板11上の所望の領域に、インクジェットヘッド(図示せず)から硬化性樹脂組成物の液滴21を吐出して供給する(図1(A))。
本発明のパターン形成方法に使用する転写基板11は適宜選択することができ、例えば、石英やソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基板、金属基板、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合材料基板であってよい。また、例えば、半導体やディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路、ホログラフィのような光学的構造等の所望のパターン構造物が形成されたものであってもよい。
硬化性樹脂組成物は、上述の本発明の硬化性樹脂組成物を使用する。インクジェットヘッドは、その構造および材質等に応じて、適合する液体の粘度、表面張力等が異なる。このため、本発明の硬化性樹脂組成物の中から、使用するインクジェットヘッドに適したものを選択することが好ましく、また、使用する本発明の硬化性樹脂組成物に適合するインクジェットヘッドを適宜に選択することが好ましい。
転写基板11上に供給する硬化性樹脂組成物の液滴21の個数、隣接する液滴の距離は、個々の液滴の滴下量、必要とされる硬化性樹脂組成物の総量、転写基板に対する硬化性樹脂組成物の濡れ性、後工程である接触工程におけるモールド12と転写基板11との間隙等から適宜設定することができる。
<接触工程>
次に、モールド12と転写基板11を近接させて、このモールド12と転写基板11との間に硬化性樹脂組成物の液滴21を展開して被成形樹脂層22を形成する(図1(B))。
図示例では、モールド12は凸構造部位12Aを有するメサ構造であり、この凸構造部位12Aに凹凸構造を有している。
<硬化工程>
次いで、被成形樹脂層22を硬化させて、モールド12の凹凸構造が転写された硬化樹脂25とする(図1(C))。この硬化工程では、使用する硬化性樹脂組成物が光硬化性樹脂組成物であれば、モールド12側から光照射を行うことにより被成形樹脂層22を硬化させることができる。また、転写基板11が光透過性の材料からなる場合、転写基板11側から光照射を行ってもよく、また、転写基板11とモールド12の両側から光照射を行ってもよい。一方、使用する硬化性樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物であれば、被成形樹脂層22に対して加熱処理を施すことにより硬化させることができる。
<離型工程>
次に、離型工程にて、硬化樹脂25とモールド12を引き離して、硬化樹脂25であるパターン構造体31を転写基板11上に位置させた状態とする(図1(D))。
また、上記のように形成したパターン構造体31を介して転写基板11をエッチングしてパターン構造体を形成することができる。さらに、本発明のパターン形成方法では、このようにエッチングでパターン構造体が形成された転写基板をレプリカモールドとして使用し、上記のように、凹凸構造を備えたパターン形成を行うこともできる。
また、本発明のパターン形成方法では、転写基板としてウエハを使用し、インプリントリソグラフィーにより半導体装置を製造することができる。
上述のパターン形成方法の実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、硬化性樹脂組成物をスピンコート法により転写基板11上に供給するようにしてもよい。
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
<硬化性樹脂組成物の調製>
下記組成の光硬化性樹脂組成物A〜光硬化性樹脂組成物Eを調製した。
(光硬化性樹脂組成物Aの組成)
・ネオペンチルグリコールジアクリレート … 21.0重量%
・イソボルニルアクリレート … 51.0重量%
・ジシクロペンテニルアクリレート … 21.0重量%
・重合開始剤 … 4.5重量%
・界面活性剤 … 2.5重量%
(AGCセイミケミカル(株)製 サーフロンS−386)
(光硬化性樹脂組成物Bの組成)
・ネオペンチルグリコールジアクリレート … 21.0重量%
・イソボルニルアクリレート … 48.5重量%
・ジシクロペンテニルアクリレート … 21.0重量%
・重合開始剤 … 4.5重量%
・界面活性剤 … 5.0重量%
(AGCセイミケミカル(株)製 サーフロンS−386)
(光硬化性樹脂組成物Cの組成)
・ネオペンチルグリコールジアクリレート … 21.0重量%
・イソボルニルアクリレート … 51.0重量%
・ジシクロペンテニルアクリレート … 21.0重量%
・重合開始剤 … 4.5重量%
・フッ素アクリルモノマー … 2.5重量%
(ユニマテック(株)製 CHEMINOX FAAC-6)
(光硬化性樹脂組成物Dの組成)
・ネオペンチルグリコールジアクリレート … 21.0重量%
・ベンジルアクリレート … 51.0重量%
・ジシクロペンテニルアクリレート … 21.0重量%
・重合開始剤 … 4.5重量%
・界面活性剤 … 2.5重量%
(AGCセイミケミカル(株)製 サーフロンS−386)
(光硬化性樹脂組成物Eの組成)
・ヘキサンジオールジアクリレート … 21.0重量%
・イソボルニルアクリレート … 71.0重量%
・重合開始剤 … 4.5重量%
・界面活性剤 … 2.5重量%
(AGCセイミケミカル(株)製 サーフロンS−386)
尚、上記の光重合性樹脂組成物A〜光重合性樹脂組成物Eに使用した重合開始剤は、下記の構造式を有するものとした。この重合開始剤は、特開2013−42096号公報の<合成例1>と同様にして合成した。
Figure 0006286950
<硬化性樹脂組成物の物性測定>
上記の光硬化性樹脂組成物A〜光硬化性樹脂組成物Eについて、下記のように硬化後の表面硬さ、離型力、粘度を測定し、結果を下記の表1に示した。
(表面硬さの測定)
石英基板上にスピンコート法により光硬化性樹脂組成物を塗布し、ヘリウム雰囲気下において1200mJ/cm2の条件で照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させて厚み500nmの試料を作製し、石英基板上に配置した。フィッシャー微小硬度計(フィッシャー・インストルメンツ(株)製 HM500)を使用し、25℃、40%RHの測定環境で、試料にビッカース圧子(対面角度136°)を、最大荷重0.050mN、荷重速度0.005mN/secで押し込み、押し込まれた深さを変位として測定し、下記の式により硬さを算出した。
硬さ=C・F/t2
Cはフィッシャー微小硬度計での定数
Fは押し込み荷重(単位:N)
tは圧子が押し込まれた深さ(単位:mm)
(離型力の測定)
(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−5103)を塗布して密着層を形成したシリコンウエハ基板上に、マイクロピペットで光硬化性樹脂組成物を0.3μL塗布し、この樹脂組成物の液滴にモールドを10mN/mm2で押し付け、ヘリウム雰囲気下でモールド側から高圧水銀ランプを用いて1200mJ/cm2の条件で光照射を行って光硬化性樹脂組成物を硬化させ、その後、モールドを100μm/秒の速度で引き上げ、硬化膜から引き離す際の最大抵抗力を測定し、離型力(mN)とした。モールドは、樹脂組成物の液滴に押し付ける面が曲率半径41.4mmの曲面である石英ガラスを使用した。
(粘度の測定)
25℃、40%RHの測定環境で、ティ・エィ・インスツルメント製 AR−G2を使用して測定した。
<硬化性樹脂組成物のインプリント適性の評価>
転写基板として、中央に26mm×32mm、高さ30μmの凸構造部位を有するメサ構造の石英ガラス基板(152mm×152mm、厚み6.35mm)を準備した。この転写基板の凸構造部位に、光硬化性樹脂組成物の液滴を、インクジェット装置を用いて供給した。光硬化性樹脂組成物は、上記のように調製した光硬化性樹脂組成物A〜光硬化性樹脂組成物Eを使用した。
次に、光硬化性樹脂組成物の液滴を供給した転写基板とモールドを近接させ、モールドと転写基板との間に液滴を展開して、被成形樹脂層を形成した。使用したモールドは、凸構造部位上に、ライン/スペース(28nm/28nm)の凹凸構造を備えた15μm×10μmの大きさのチップ領域を390個有するものであった。
次いで、ヘリウム雰囲気下でインプリント装置の照明光学系から平行光(ピーク波長が365nmの紫外線)をモールド側に1200mJ/cm2の条件で照射した。これにより、被成形樹脂層を硬化させて、モールドのライン/スペース形状の凹凸構造が転写された硬化樹脂とした。この硬化樹脂の残膜厚は、15nmであった。
次に、硬化樹脂とモールドを引き離して、硬化樹脂であるパターン構造体を転写基板上に位置させた状態とした。
このように形成したパターン構造体を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、凸部の変形・伸長が生じたチップ領域の発生率(%)を測定して、下記の表1に示した。
Figure 0006286950
表1に示されるように、光硬化性樹脂組成物Aおよび光硬化性樹脂組成物Bは、良好なインプリント適性を有し、特に、離型力が1000mN以下である光硬化性樹脂組成物Aは、優れたインプリント適性を有することが確認された。
また、光硬化性樹脂組成物Cは、光硬化性樹脂組成物Aおよび光硬化性樹脂組成物Bに比べて不良発生率がやや高いものであるが、実用に供し得るレベルにあった。
これに対して、硬化後の表面硬さが200N/mm2未満である光硬化性樹脂組成物Dは、離型力が1000mN以下であっても、インプリント適性が劣り、実用に供し得ないものであった。
さらに、硬化後の表面硬さが200N/mm2未満であり、離型力が10000mNを大幅に超える光硬化性樹脂組成物Eは、インプリント適性が劣悪であった。
インプリント方法を用いた種々のパターン構造体の製造、基板等の被加工体へ微細加工等に適用可能である。
11…転写基板
12…モールド
21…硬化性樹脂組成物の液滴
22…被成形樹脂層
25…硬化樹脂
31…パターン構造体

Claims (6)

  1. 1種以上のアクリルモノマーと、光重合開始剤と、フッ素含有組成物と、を含有し、硬化後の表面硬さが200N/mm2以上220N/mm 2 以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 硬化後の離型力が10000mN以下であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. ハーフピッチが50nm以下、残膜厚が50nm以下である微細な凹凸構造を少なくとも有するパターンをインプリント法で形成するための硬化性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 粘度が20cP以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記光重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の総固形分において0.1〜10重量%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  6. ハーフピッチが50nm以下、残膜厚が50nm以下である微細な凹凸構造を少なくとも有するパターンの形成方法において、
    請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の液滴を転写基板に供給する樹脂供給工程と、
    凹凸構造を有するモールドと前記転写基板を近接させて、前記モールドと前記転写基板との間に前記液滴を展開して被成形樹脂層を形成する接触工程と、
    前記被成形樹脂層を硬化させて前記凹凸構造が転写された硬化樹脂とする硬化工程と、
    前記硬化樹脂と前記モールドを引き離して、前記硬化樹脂であるパターン構造体を前記転写基板上に位置させた状態とする離型工程と、を有することを特徴とするパターン形成方法。
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