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JP6285009B2 - 前立腺ガンの予後の検知及び判定のための組成物及び該検知及び判定方法 - Google Patents

前立腺ガンの予後の検知及び判定のための組成物及び該検知及び判定方法 Download PDF

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Description

本願は、2013年3月14日出願の米国仮特許出願第61/785,375号の優先権を主張し、該出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(配列表の組み込み)
(マイクロソフト ウィンドウズ(登録商標)において測定して)4KBであり、2014年3月13日に作成されたものである、「NGNLP0002WO_ST25.txt」と名付けられたファイル中に格納された配列表が、電子的提出により本明細書と共にファイルされ、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、概括的にはガン生物学の分野に関係する。より詳細には、本発明は、前立腺ガンの存在の検知方法及びその侵攻性の判定方法に関する。
前立腺ガンは、男性において肺ガンに続く2番目に最も一般的なガンであり、その発生率は高齢化に起因して増加しつつある。前立腺ガンはまた、男性におけるガン関連死の第2位の原因である。現在の前立腺ガンの判別検査方法は、血清前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen)(PSA)の測定に基づいている。ミリリットル当たり4.0ng以上のPSA濃度が、生検への照会の一般的な閾値である。高いPSA濃度は、PSA濃度と前立腺の大きさとの相関性に起因して、それが良性前立腺肥大症(Benign Prostatic Hyperplasia)(BPH)の特徴でもあるために、前立腺ガンの潜在的な存在を誤って示すことが知られている。PSA濃度への依存は、75%の疑陽性及び余りに多い不要な生検という結果をもたらす。更に重要なことは、前立腺ガンが検知された場合であっても、このガンの臨床的挙動は著しく多様であり、該疾患は一部の患者においては致死性である場合があっても、別な患者においては緩慢性である場合がある。現在のデータは、血清PSAに依存することにより、一部の患者が過剰な治療を受けることを示唆しており、従って、PSA試験が、不必要な前立腺切除術から起こり得る副作用に起因する、より多くの害を引き起こす場合があることが示唆されている。前立腺ガンの組織学的グリーソン等級付けが、依然として前立腺ガンの臨床的挙動の最も信頼性の高い予測因子である。説得力のあるデータが、患者は、当該患者のガンがグリーソンスコア6の場合には、治療を受けるまたは受けないに拘わらず、同様の結果が得られることを示している。
血清PSAの臨床的有用性を改善するために多くの試みがなされている。遊離及び複合体のPSA並びにPSAのイソ型がPSAの補助剤として使用されており、これらは、特に患者が「グレーゾーン」にいると見なされる場合に、感度及び特異性において何がしかの改善を示すが、これらの全てが、BPHを有する患者におけるガンの予測を改善することについては不十分のままである。PSAの速度及び倍加時間も用いられ、何がしかの改善は示したが、この改善は限定的なものにとどまっている。不要な生検を回避するために、ガンの存在の予測においてPSA濃度での判別検査に改良を加えるだけでなく、前立腺ガンの臨床的挙動を予測することも可能な試験を開発する必要がある。
本発明の実施形態は、高精度な前立腺ガンの検知及び前立腺ガンの侵攻性の判定のために用いることができる、一連の血液及び尿マーカーを提供する。例えばいくつかの態様において、被験者に、前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを、当該被験者の尿試料中の少なくとも1種のmRNA及び当該被験者由来の血液試料中の少なくとも1種のmRNAの測定した発現レベルに基づいて識別する方法が提供される。いくつかの態様において、かかる方法は、上記被験者の血液中の少なくとも1種のタンパク質の発現を測定することを更に含む。更なる態様において、方法は、被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを、当該被験者の尿試料中の少なくとも2種若しくは3種のmRNA、または該被験者由来の血液試料中の少なくとも2種若しくは3種のmRNAの測定した発現レベル(及び任意選択で、該被験者の血液中の少なくとも1種のタンパク質の濃度)に基づいて、識別することを含む。
従って、一実施形態において、被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるか否かの検知方法であって、(a)上記被験者より生物学的試料を得ることと、(b)上記試料中の少なくとも3種の遺伝子であり、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、及びB2Mからなる群より選択される上記少なくとも3種の遺伝子の発現レベルを測定することと、(c)上記遺伝子の発現レベルに基づいて、上記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することとを含む、上記方法が提供される。更なる態様において、本実施形態の方法は、(a)上記被験者より生物学的試料を得ることと、(b)上記試料中の少なくとも3種の遺伝子であり、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN及びARからなる群より選択される上記少なくとも3種の遺伝子の発現レベルを測定することと、(c)上記遺伝子の発現レベルに基づいて、上記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することとを含む。一態様において、上記方法は、上記被験者に前立腺ガンの危険性があることを識別することを更に含む。別な態様において、上記方法は、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11または12の上記遺伝子の発現レベルを測定することを更に含む。更に別な態様において、上記方法は、上記UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、及びB2M遺伝子の発現レベルを測定すること更に含む。更に別な態様において、上記方法は、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN及びAR遺伝子の発現レベルを測定することを更に含む。
本実施形態のある態様において、被験者は前立腺ガンを有することが既に診断されているかまたは診断されつつある。従って、方法は、ガンを有する被験者に侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することを含むことができる。ある態様において、上記被験者は以前に前立腺摘除術を受けている。更なる態様において、上記被験者は、前立腺肥大症すなわち良性前立腺肥大症(BPH)を有することが既に診断されているか、または診断されつつある。
本実施形態のいくつかの態様において、上記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、上記測定した遺伝子の発現及び上記被験者の年齢に基づく。一態様において、上記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、上記遺伝子の発現レベルを前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性と相関付けることを更に含む。いくつかの場合において、かかる相関付けるステップはコンピュータにより行われる。いくつかの態様において、記載した遺伝子の測定した発現レベルの相対的な予想値を重み付けるアルゴリズムが用いられる。かかるアルゴリズムの例が本明細書に提供される。いくつかの場合において、上記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、SVM、ロジスティック回帰、lasso、ブースティング、バギング、ランダムフォレスト、CART、またはMATTアルゴリズムを用いた上記遺伝子の発現レベルの解析を更に含む。いくつかの場合において、かかる解析はコンピュータにより行われてもよい。
いくつかの態様において、本実施形態に係る使用する試料は、血液試料、尿試料、または、いくつかの場合においては血液試料及び尿試料の両方である。これらの態様において、上記方法は、上記被験者より(直接または第三者からのいずれかで)血液試料または尿試料を得ることを更に含む。更なる態様において、上記方法は、上記血液試料または尿試料中の、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN及びARからなる群より選択される少なくとも3、4、5またはそれ以上の遺伝子の発現レベルを測定することを更に含む。一層更なる態様において、上記方法は、上記尿試料中のUAP1、PDLIM5、IMPDH2、PCA3、TMPRSS2及び/またはHSPD1の発現レベルを測定することを更に含む。更に別な態様において、上記方法は、上記血液試料中のUAP1、IMPDH2、HSPD1、PSA、及び/またはERGの発現レベルを測定することを更に含む。
別な態様において、本実施形態の方法は、(i)上記尿試料中のHSPD1、IMPDH2及びPDLIM5の発現レベル並びに上記血液試料中のERGの発現レベルを測定することと、(ii)上記尿試料中のIMPDH2、HSPD1、PCA3、及びPDLIM5の発現レベル並びに上記血液試料中のERG及びPSAの発現レベルを測定することと、(iii)上記尿試料中のIMPDH2、HSPD1、PCA3、及びPDLIM5の発現レベル並びに上記血液試料中のUAP1、ERG及びPSAの発現レベルを測定することとを含む。
更なる態様において、本実施形態の方法は、(i)尿試料中のPCA3、PTEN及びB2Mの発現レベル(例えば、mRNA発現レベル)と、(ii)被験者の血液試料中のERG、AR、BM2及びGAPDHの発現レベル(例えば、mRNA発現レベル)とを測定すること、並びに上記遺伝子の発現レベルに基づいて、上記被験者に(BPHに対して)前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することを含む。いくつかの態様において、かかる方法は、上記被験者の血液中のPSAタンパク質の濃度を測定することを更に含む。従って、本実施形態の特定の態様において、方法は、(i)血液試料中のPSAのタンパク質発現レベルと、(ii)尿試料中のPCA3、PTEN及びB2MのmRNA発現レベルと、(iii)被験者の血液試料中のERG、AR、B2M及びGAPDHのmRNA発現レベルとを測定すること、並びに上記発現レベルに基づいて、上記被験者に(BPHに対して)前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することを含む。
一層更なる態様において、本実施形態の方法は、(i)尿試料中のPSA、GAPDH、B2M、PTEN、PCA3及びPDLIM5の発現レベル(例えば、mRNA発現レベル)と、(ii)被験者の血液試料中のERGの発現レベル(例えば、mRNA発現レベル)とを測定すること、並びに上記遺伝子の発現レベルに基づいて、上記被験者に侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することを含む。例えば、いくつかの特定の態様において、本実施形態の方法は、(i)尿試料中のPSA、GAPDH、B2M、PTEN、PCA3及びPDLIM5の発現レベル(例えば、mRNA発現レベル)と、(ii)被験者の血液試料中のERG、PCA3、B2M及びHSPD1の発現レベル(例えば、mRNA発現レベル)とを測定すること、並びに上記遺伝子の発現レベルに基づいて、上記被験者に侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することを含む。いくつかの態様において、かかる方法は、上記被験者の血液中のPSAタンパク質の濃度を測定すること及び/または上記被験者の年齢を特定することを更に含む。従って、本実施形態の特定の態様において、方法は、(i)血液試料中のPSAのタンパク質発現レベルと、(ii)尿試料中のPSA、GAPDH、B2M、PTEN、PCA3及びPDLIM5のmRNA発現レベルと、(iii)被験者の血液試料中のERG、PCA3、B2M及びHSPD1のmRNA発現レベルとを測定すること、並びに上記発現レベルに基づいて、上記被験者に侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することを含む。
本実施形態の一層更なる態様において、方法は、(a)(i)血液試料中のPSAのタンパク質発現レベルと、(ii)尿試料中のPCA3、PTEN及びB2MのmRNA発現レベルと、(iii)被験者の血液試料中のERG、AR、B2M及びGAPDHのmRNA発現レベルとを測定すること、並びに上記発現レベルに基づいて、上記被験者に関する第1の前立腺ガンの危険性因子を判定すること、(b)(i)血液試料中のPSAのタンパク質発現レベルと、(ii)尿試料中のPSA、GAPDH、B2M、PTEN、PCA3及びPDLIM5のmRNA発現レベルと、(iii)被験者の血液試料中のERG、PCA3、B2M及びHSPD1のmRNA発現レベルとを測定すること、並びに上記発現レベルに基づいて、上記被験者に関する第2の前立腺ガンの危険性因子を判定すること、並びに(c)上記第1及び第2の前立腺ガンの危険性因子に基づいて、被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することを含む。いくつかの態様において、かかる方法は、被験者を生検または抗ガン療法に関して選択するために用いることができる。
更なる態様において、上記方法は、上記試料中の上記遺伝子の発現レベルを測定すること、及び基準試料中の上記遺伝子の発現レベルを測定することと、並びに上記被験者由来の上記試料中の上記遺伝子の発現レベルを、上記基準試料中の上記遺伝子の発現レベルと比較することにより、上記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することを更に含む。
いくつかの態様において、上記遺伝子における発現を測定することはタンパク質発現レベルを測定することを含む。タンパク質発現レベルを測定することは、例えば、ELISA、ウェスタンブロットまたは抗体アレイへ結合することを行うことを含んでもよい。別な態様において、上記遺伝子の発現を測定することはRNA発現レベルを測定することを含む。RNA発現レベルを測定することはRT−PCR、ノーザンブロットまたはアレイハイブリダイゼーションを行うことを含んでもよい。好ましくは、上記遺伝子の発現レベルを測定することはRT−PCR(例えば、リアルタイムRT−PCR)を行うことを含む。
いくつかの態様において、方法は、上記被験者が前立腺ガンを有するか、または侵攻性立腺ガンを有するかを報告することを更に含む。報告することが、口頭での、書面でのまたは電子的な報告書の作成を含んでもよい。従って、報告書の提供は、上記報告書を上記患者、医師、病院または保険会社に対して提供することを含んでもよい。
別な実施形態において、本開示は、被験者の治療方法であって、本実施形態に従って前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があると識別される被験者を選択することと、当該被験者に抗ガン療法を施すこととを含む上記治療方法を提供する。方法は、例えば、(a)上記被験者由来の試料中の少なくとも3種の遺伝子であって、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN及びARからなる群より選択される上記少なくとも3種の遺伝子の発現レベルを得ることと、(b)上記遺伝子の発現レベルに基づいて、前立腺ガンを有するまたは侵攻性前立腺ガンを有する被験者を選択することと、(c)上記選択された被験者を抗ガン療法により治療することを含むことができる。ある態様において、上記抗ガン療法は化学療法、放射線療法、ホルモン療法、標的療法、免疫療法または外科的療法(例えば、前立腺摘除術)である。
別な実施形態において、本開示は、(a)上記被験者由来の試料中の少なくとも3種の遺伝子であって、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN及びARからなる群より選択される上記少なくとも3種の遺伝子の発現レベルを得ることと、(b)上記遺伝子の発現レベルに基づいて、前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンを有する危険性がある被験者を選択することと、(c)上記被験者に診断方法を実施することを含む、診断法に対する被験者の選択方法を提供する。例えば、上記診断法は生検とすることができる。
更に別な実施形態において、本開示は、(a)上記被験者より生物学的試料を得ることと、(b)上記試料中の少なくとも3種の遺伝子であり、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN、及びARからなる群より選択される上記少なくとも3種の遺伝子の発現レベルを測定することと、(c)上記遺伝子の発現レベルに基づいて、上記被験者が侵攻性前立腺ガンを有するかまたは有さないかを識別することと含む、前立腺ガンを有する被験者に対する予後のイン・ビトロ判定方法を提供する。
一層更なる実施形態において、本開示は、コンピュータ可読のコードを備える有形のコンピュータ可読の媒体であって、上記コードが、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、(a)被験者由来の試料中のUAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN、及びAR遺伝子の発現のレベルに対応する情報を受け取ることと、(b)基準レベルと比較した、1又は複数の上記遺伝子の発現の相対的なレベルを判定することであり、基準レベルと比較した、1又は複数の上記遺伝子の変化した発現が、上記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンを有する危険性があることを示す上記判定することとを含むオペレーションを行わせる、上記媒体を提供する。
一態様において、上記有形のコンピュータ可読の媒体は、健常な被験者由来の試料中のUAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN、及びARの発現の基準レベルに対応する情報を受け取ることを更に含む。更に別な態様において、上記有形のコンピュータ可読の媒体は、コンピュータ可読のコードであって、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、1又は複数の上記遺伝子発現の相対的なレベルに対応する情報を、有形のデータ保存デバイスに送信することを含む、1又は複数の更なるオペレーションを行わせる上記コンピュータ可読のコードを更に備える。更に別な態様において、上記コンピュータ可読のコードは、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、c)上記試料が前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンを有する被験者に由来する公算を示す、上記試料に関する診断スコアを計算することを更に含むオペレーションを行わせるコードである。一態様において、上記試料に関する診断スコアを計算することは、SVM、ロジスティック回帰、lasso、ブースティング、バギング、ランダムフォレスト、CART、またはMATTアルゴリズムを用いることを含む。
一層更なる態様において、上記基準レベルは上記有形のコンピュータ可読の媒体に保存されている。別な態様において、情報を受け取ることは、有形のデータ保存デバイスより、被験者由来の試料中の1又は複数の上記遺伝子の発現のレベルに対応する情報を受け取ることを含む。更なる態様において、情報を受け取ることは、被験者由来の試料中の、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の上記遺伝子の発現のレベルに対応する情報を受け取ることを更に含む。
本明細書で用いられる「a」または「an」は1又は複数を意味する場合がある。本特許請求の範囲に記載される、単語「含む」または「備える」(comprising)と併せて用いられる単語「a」または「an」は、1又は複数を意味する場合がある。
本特許請求の範囲における用語「又は」(or)の使用は、択一のみ、すなわち互いに排他的である択一を指すことが明示的に示されない限りにおいて、「及び/または」(and/or)を意味するために用いられる。但し、本開示は、択一のみ並びに「及び/または」を指す定義に対応する。本明細書において用いられる「別の」(another)は、少なくとも第2のまたはそれ以上を意味する。
本願全体を通じて、用語「約」(about)は、数値が、当該数値を測定するために用いられる装置、方法に関する固有の誤差の変動、または検討対象間に存在する変動を含むことを示すために用いられる。
以下の詳細な説明から、本発明の他の目的、特徴及び利点が明らかとなろう。但し、この詳細な説明から、本発明の趣旨及び範囲内の様々な変更や修正が、当業者にとって明らかになることから、該詳細な説明及び具体的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すのであって、例証のためのみに提示されるものであることが理解されるべきである。
以下の図面は本明細書の一部を形成し、本発明のある態様を更に例証するために加えられる。1または複数のこれらの図面を、本明細書に提示される具体的な実施形態の詳細な説明との組み合わせで参照することにより、本発明をよりよく理解することができる。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるか否かのイン・ビトロ検知方法であって、
(a)前記被験者より血液試料及び尿試料を得ることと、
(b)前記尿試料由来の遺伝子及び前記血液試料由来の遺伝子のmRNA発現レベルを測定することと、
(c)前記遺伝子の発現レベルに基づいて、前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することと
を含む、前記方法。
(項目2)
少なくとも3、4、5、6、7、8、9または10の遺伝子の発現レベルを測定することを含む、項目1記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目3)
UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、及びB2Mからなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定することを含む、項目1記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目4)
前記尿試料中のUAP1、PDLIM5、IMPDH2、PCA3、TMPRSS2またはHSPD1のmRNA発現レベルを測定することを含む、項目3記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目5)
前記血液試料中のUAP1、IMPDH2、HSPD1またはERGのmRNA発現レベルを測定することを含む、項目3記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目6)
前記血液試料中のPSAのタンパク質発現レベルを測定することを含む、項目1〜5のいずれか1項に記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目7)
前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、前記遺伝子の発現レベルを前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性と相関付けることを更に含む、項目1記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目8)
前記相関付けることがコンピュータにより行われる、項目7記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目9)
前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、SVM、ロジスティック回帰、lasso、ブースティング、バギング、ランダムフォレスト、CART、またはMATTアルゴリズムを用いた前記遺伝子の発現レベルの解析を更に含む、項目1記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目10)
被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるか否かのイン・ビトロ検知方法であって、
(a)前記被験者より生物学的試料を得ることと、
(b)前記試料中の少なくとも3種の遺伝子であり、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、及びB2Mからなる群より選択される前記少なくとも3種の遺伝子の発現レベルを測定することと、
(c)前記遺伝子の発現レベルに基づいて、前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することと
を含む、前記方法。
(項目11)
前記被験者に前立腺ガンの危険性があることを識別することを更に含む、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目12)
前記被験者が前立腺ガンを有することが既に診断されているかまたは診断されつつあり、前記被験者に侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することを含む、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目13)
少なくとも4、5、6、7、8、9または10の前記遺伝子の発現レベルを測定することを更に含む、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目14)
前記UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、及びB2M遺伝子の発現レベルを測定することを更に含む、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目15)
前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、前記遺伝子の発現及び前記被験者の年齢に基づく、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目16)
前記試料が尿試料である、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目17)
前記試料が血液試料である、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目18)
前記被験者より血液試料及び尿試料を得ることを更に含む、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目19)
前記血液試料または尿試料中の、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、及びB2Mからなる群より選択される少なくとも3種の遺伝子の発現レベルを測定することを含む、項目18記載
のイン・ビトロ検知方法。
(項目20)
前記尿試料中のUAP1、PDLIM5、IMPDH2、PCA3、TMPRSS2またはHSPD1の発現レベルを測定することを含む、項目19記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目21)
前記血液試料中のUAP1、IMPDH2、HSPD1、PSA、またはERGの発現レベルを測定することを含む、項目19記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目22)
(i)前記尿試料中のHSPD1、IMPDH2及びPDLIM5の発現レベル並びに前記血液試料中のERGの発現レベルを測定することと、
(ii)前記尿試料中のIMPDH2、HSPD1、PCA3、及びPDLIM5の発現レベル並びに前記血液試料中のERG及びPSAの発現レベルを測定することと、
(iii)前記尿試料中のIMPDH2、HSPD1、PCA3、及びPDLIM5の発現レベル並びに前記血液試料中のUAP1、ERG及びPSAの発現レベルを測定することと
を含む、項目19記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目23)
前記被験者が以前に前立腺摘除術を受けている、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目24)
前記被験者が、前立腺肥大症すなわち良性前立腺肥大症(BPH)を有することが既に診断されているかまたは診断されつつある、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目25)
前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、前記遺伝子の発現レベルを前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性と相関付けることを更に含む、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目26)
前記相関付けることがコンピュータにより行われる、項目25記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目27)
前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、SVM、ロジスティック回帰、lasso、ブースティング、バギング、ランダムフォレスト、CART、またはMATTアルゴリズムを用いた前記遺伝子の発現レベルの解析を更に含む、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目28)
前記解析がコンピュータにより行われる、項目27記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目29)
(b)前記試料中の前記遺伝子の発現レベルを測定すること、及び基準試料中の前記遺伝子の発現レベルを測定することと、
(c)前記被験者由来の前記試料中の前記遺伝子の発現レベルを、前記基準試料中の前記遺伝子の発現レベルと比較することにより、前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することと
を更に含む、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目30)
前記遺伝子の発現レベルを測定することがRT−PCRを行うことを含む、項目29記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目31)
前記遺伝子における発現を測定することがタンパク質発現レベルを測定することを含む、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目32)
タンパク質発現レベルを測定することがELISAを行うことを含む、項目31記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目33)
前記の前記遺伝子における発現を測定することがRNA発現レベルを測定することを含む、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目34)
RNA発現レベルを測定することがRT−PCR、ノーザンブロットまたはアレイハイブリダイゼーションを行うことを含む、項目33記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目35)
前記被験者が前立腺ガンを有するか、または侵攻性立腺ガンを有するかを報告することを更に含む、項目10記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目36)
報告することが、書面でのまたは電子的な報告書の作成を含む、項目35記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目37)
前記報告書を、前記患者、医師、病院または保険会社に対して提供することを含む、項目35記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目38)
項目1または10に従って前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があると識別される被験者を選択することと、
前記選択された被験者を抗ガン療法に関して識別することと
を含む、抗ガン療法に対する被験者の識別方法。
(項目39)
前記抗ガン療法が化学療法、放射線療法、ホルモン療法、標的療法、免疫療法または外科的療法である、項目38記載の被験者の識別方法。
(項目40)
前記外科的療法が前立腺摘除術である、項目39記載の被験者の識別方法。
(項目41)
項目1または10に従って前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があると識別される被験者を選択することと、
前記選択された被験者を診断法に関して識別することと
を含む、診断法に対する被験者の識別方法。
(項目42)
前記診断法が生検である、項目41記載の被験者の識別方法。
(項目43)
前立腺ガンを有する被験者に対する予後のイン・ビトロ判定方法であって、
(a)前記被験者より生物学的試料を得ることと、
(b)前記試料中の少なくとも3種の遺伝子であり、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、及びB2Mからなる群より選択される前記少なくとも3種の遺伝子の発現レベルを測定することと、
(c)前記遺伝子の発現レベルに基づいて、前記被験者が侵攻性前立腺ガンを有するかまたは有さないかを識別することと
を含む、前記方法。
(項目44)
コンピュータ可読のコードを備える有形のコンピュータ可読の媒体であって、前記コードが、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、
a)被験者由来の試料中のUAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、またはB2M遺伝子の発現のレベルに対応する情報を受け取ることと、
b)基準レベルと比較した、1又は複数の前記遺伝子の発現の相対的なレベルを判定することであり、基準レベルと比較した、1又は複数の前記遺伝子の変化した発現が、前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンを有する危険性があることを示す前記判定することと
を含むオペレーションを行わせる前記媒体。
(項目45)
健常な被験者由来の試料中のUAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、またはB2Mの発現の基準レベルに対応する情報を受け取ることを更に含む、項目44記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
(項目46)
前記基準レベルが前記有形のコンピュータ可読の媒体に保存されている、項目44記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
(項目47)
前記情報を受け取ることが、有形のデータ保存デバイスより、被験者由来の試料中の1又は複数の前記遺伝子の発現のレベルに対応する情報を受け取ることを含む、項目44記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
(項目48)
コンピュータ可読のコードを更に備える、項目44記載の有形のコンピュータ可読の媒体であって、前記コードが、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、1又は複数の前記遺伝子発現の相対的なレベルに対応する情報を、有形のデータ保存デバイスに送信することを含む、1又は複数の更なるオペレーションを行わせる前記媒体。
(項目49)
前記情報を受け取ることが、被験者由来の試料中の、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10の前記遺伝子の発現のレベルに対応する情報を受け取ることを更に含む、項目44記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
(項目50)
前記コンピュータ可読のコードが、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、c)前記試料に関する診断スコアであって、前記試料が前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンを有する被験者に由来する公算を示す前記診断スコアを計算することを更に含むオペレーションを行わせる、項目44記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
(項目51)
前記試料に関する診断スコアを計算することが、SVM、ロジスティック回帰、lasso、ブースティング、バギング、ランダムフォレスト、CART、またはMATTアルゴリズムを用いることを含む、項目50記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
(項目52)
被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるか否かのイン・ビトロ検知方法であって、
(a)前記被験者より血液試料及び尿試料を得ることと、
(b)前記尿試料由来の遺伝子及び前記血液試料由来の遺伝子のmRNA発現レベルを測定することと、
(c)前記遺伝子の発現レベルに基づいて、前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することと
を含む、前記方法。
(項目53)
少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の遺伝子の発現レベルを測定することを含む、項目52記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目54)
UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN及びARからなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定することを含む、項目52記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目55)
前記尿試料中の、PCA3、PTEN及びB2MのmRNA発現レベル、あるいはPSA、GAPDH、B2M、PTEN、PCA3、及びPDLIM5のmRNA発現レベルを測定することを含む、項目54記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目56)
前記血液試料中のERG、AR、BM2及びGAPDHのmRNA発現レベル、あるいはERGのmRNA発現レベルを測定することを含む、項目54記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目57)
前記尿試料中のPCA3、PTEN及びB2M、並びに前記血液試料中のERG、AR、B2M及びGAPDHのmRNA発現レベルを測定することを含む、項目54記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目58)
前記尿試料中のPSA、GAPDH、B2M、PTEN、PCA3、及びPDLIM5のmRNA発現レベル、並びに前記血液試料中のERGのmRNA発現レベルを測定することを含む、項目54記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目59)
前記血液試料中のPSAのタンパク質発現レベルを測定することを含む、項目52〜58のいずれか1項に記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目60)
前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、前記遺伝子の発現レベルを前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性と相関付けることを更に含む、項目52〜59のいずれか1項に記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目61)
前記相関付けることがコンピュータにより行われる、項目60記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目62)
前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、SVM、ロジスティック回帰、lasso、ブースティング、バギング、ランダムフォレスト、CART、またはMATTアルゴリズムを用いた前記遺伝子の発現レベルの解析を更に含む、項目52記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目63)
被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるか否かのイン・ビトロ検知方法であって、
(a)前記被験者より生物学的試料を得ることと、
(b)前記試料中の少なくとも3種の遺伝子であり、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN及びARからなる群より選択される前記少なくとも3種の遺伝子の発現レベルを測定することと、
(c)前記遺伝子の発現レベルに基づいて、前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することと
を含む、前記方法。
(項目64)
前記被験者に前立腺ガンの危険性があることを識別することを更に含む、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目65)
前記被験者が前立腺ガンを有することが既に診断されているかまたは診断されつつあり、前記被験者に侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することを含む、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目66)
少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11または12の前記遺伝子の発現レベルを測定することを更に含む、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目67)
前記PDLIM5、HSPD1、PCA3、PSA、ERG、GAPDH、B2M、PETN及びAR遺伝子の発現レベルを測定すること更に含む、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目68)
前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、前記遺伝子の発現レベル及び前記被験者の年齢に基づく、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目69)
前記試料が尿試料である、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目70)
前記試料が血液試料である、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目71)
前記被験者より血液試料及び尿試料を得ることを更に含む、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目72)
前記血液試料または尿試料中の、PDLIM5、HSPD1、PCA3、PSA、ERG、GAPDH、B2M、PTEN及びARからなる群より選択される少なくとも3種の遺伝子の発現レベルを測定することを含む、項目71記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目73)
前記尿試料中のPCA3、PTEN及びB2MのmRNA発現レベル、あるいはPSA、GAPDH、B2M、PTEN、PCA3、及びPDLIM5のmRNA発現レベルを測定することを含む、項目72記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目74)
前記血液試料中のERG、AR、B2M及びGAPDHのmRNA発現レベル、あるいはERG、PCA3、B2M及びHSPD1のmRNA発現レベルを測定することを含む、項目72記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目75)
前記尿試料中のPCA3、PTEN及びB2M、並びに前記血液試料中のERG、AR、B2M及びGAPDHのmRNA発現レベルを測定することを含む、項目72記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目76)
前記尿試料中のPSA、GAPDH、B2M、PTEN、PCA3、及びPDLIM5、並びに前記血液試料中のERG、PCA3、B2M及びHSPD1のmRNA発現レベルを測定することを含む、項目72記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目77)
前記被験者が以前に前立腺摘除術を受けている、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目78)
前記被験者が、前立腺肥大症すなわち良性前立腺肥大症(BPH)を有することが既に診断されているかまたは診断されつつある、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目79)
前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、前記遺伝子の発現レベルを前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性と相関付けることを更に含む、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目80)
前記相関付けることがコンピュータにより行われる、項目79記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目81)
前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することが、SVM、ロジスティック回帰、lasso、ブースティング、バギング、ランダムフォレスト、CART、またはMATTアルゴリズムを用いた前記遺伝子の発現レベルの解析を更に含む、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目82)
前記解析がコンピュータにより行われる、項目81記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目83)
(b)前記試料中の前記遺伝子の発現レベルを測定すること、及び基準試料中の前記遺伝子の発現レベルを測定することと、
(c)前記被験者由来の前記試料中の前記遺伝子の発現レベルを、前記基準試料中の前記遺伝子の発現レベルと比較することにより、前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があるかまたはその危険性がないかを識別することと
を更に含む、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目84)
前記遺伝子の発現レベルを測定することがRT−PCRを行うことを含む、項目83記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目85)
前記遺伝子における発現を測定することがタンパク質発現レベルを測定することを含む、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目86)
タンパク質発現レベルを測定することがELISAを行うことを含む、項目85記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目87)
前記の前記遺伝子における発現を測定することがRNA発現レベルを測定することを含む、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目88)
RNA発現レベルを測定することがRT−PCR、ノーザンブロットまたはアレイハイブリダイゼーションを行うことを含む、項目87記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目89)
前記被験者が前立腺ガンを有するか、または侵攻性立腺ガンを有するかを報告することを更に含む、項目63記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目90)
報告することが、書面でのまたは電子的な報告書の作成を含む、項目89記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目91)
前記報告書を、前記患者、医師、病院または保険会社に対して提供することを含む、項目89記載のイン・ビトロ検知方法。
(項目92)
項目52または63に従って、前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があると識別される被験者を選択することと、
前記選択された被験者を抗ガン療法に関して識別することと
を含む、抗ガン療法に対する被験者の識別方法。
(項目93)
前記抗ガン療法が化学療法、放射線療法、ホルモン療法、標的療法、免疫療法または外科的療法である、項目92記載の被験者の識別方法。
(項目94)
前記外科的療法が前立腺摘除術である、項目93記載の被験者の識別方法。
(項目95)
項目52または63に従って、前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンの危険性があると識別される被験者を選択することと、
前記選択された被験者を診断法に関して識別することと
を含む、診断法に対する被験者の識別方法。
(項目96)
前記診断法が生検である、項目95記載の被験者の識別方法。
(項目97)
前立腺ガンを有する被験者に対する予後のイン・ビトロ判定方法であって、
(a)前記被験者より生物学的試料を得ることと、
(b)前記試料中の少なくとも3種の遺伝子であり、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN、及びARからなる群より選択される前記少なくとも3種の遺伝子の発現レベルを測定することと、
(c)前記遺伝子の発現レベルに基づいて、前記被験者が侵攻性前立腺ガンを有するかまたは有さないかを識別することと
を含む、前記方法。
(項目98)
コンピュータ可読のコードを備える有形のコンピュータ可読の媒体であって、前記コードが、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、
a)被験者由来の試料中のUAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN、及びAR遺伝子の発現のレベルに対応する情報を受け取ることと、
b)基準レベルと比較した、1又は複数の前記遺伝子の発現の相対的なレベルを判定することであり、基準レベルと比較した、1又は複数の前記遺伝子の変化した発現が、前記被験者に前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンを有する危険性があることを示す前記判定することとを含むオペレーションを行わせる前記媒体。
(項目99)
健常な被験者由来の試料中のUAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN、またはARの発現の基準レベルに対応する情報を受け取ることを更に含む、項目98記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
(項目100)
前記基準レベルが前記有形のコンピュータ可読の媒体に保存されている、項目98記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
(項目101)
前記情報を受け取ることが、有形のデータ保存デバイスより、被験者由来の試料中の1又は複数の前記遺伝子の発現のレベルに対応する情報を受け取ることを含む、項目98記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
(項目102)
コンピュータ可読のコードを更に備える、項目98記載の有形のコンピュータ可読の媒体であって、前記コードが、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、1又は複数の前記遺伝子発現の相対的なレベルに対応する情報を、有形のデータ保存デバイスに送信することを含む、1又は複数の更なるオペレーションを行わせる、前記媒体。
(項目103)
前記情報を受け取ることが、被験者由来の試料中の、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の前記遺伝子の発現のレベルに対応する情報を受け取ることを更に含む、項目98記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
(項目104)
前記コンピュータ可読のコードが、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、c)前記試料に関する診断スコアであって、前記試料が前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンを有する被験者に由来する公算を示す前記診断スコアを計算することを更に含むオペレーションを行わせる、項目98記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
(項目105)
前記試料に関する診断スコアを計算することが、SVM、ロジスティック回帰、lasso、ブースティング、バギング、ランダムフォレスト、CART、またはMATTアルゴリズムを用いることを含む、項目104記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
トレーニングセットにおいて種々のアルゴリズムを用いた、AUC(図1A)及び誤り率(図1B)の図である。当該アルゴリズム中の6の変数のそれぞれの寄与も示される(図1C)。 試料のテストセットを用いた、種々のアルゴリズムによるAUC(図2A)及び誤り率(図2B)を示す図である。 ガン患者をBPHから識別するためのカットオフポイントの決定を示す図である。間の破線は0.565、左右の破線はそれぞれ0.55及び0.58である。 テストセットにおいて種々のアルゴリズムを用いた、AUC(図4A)及び誤り率(図4B)を示す図である。アルゴリズムに含まれる4の変数のそれぞれの寄与も示す(図4C)。 侵攻性前立腺ガンのBPH/グリーソン<7からの識別におけるROC曲線を示す図である。 予測のための両モデル(ガン対ガンなし及び侵攻性ガン対BPH/緩慢性ガン)を利用した組み合わせ点数化システムを示す図である。各四角形は患者を表わす。患者の分布が上の2つの列に示される。75%が一致する結果(感度=68%、特異度=99%)。25%が陽性/陰性:混合の:陰性/陽性<7/陽性≧7。 BPHからPCa(前立腺ガン(Pristate cancer))を識別するためのアッセイデータのROC曲線を示す図である。解析に用いたマーカーは、(1)血清PSAタンパク質濃度、(2)血漿ERG mRNA濃度、(3)血漿AR mRNA濃度、(4)尿PCA3 mRNA濃度、(5)尿PTEN濃度、(6)尿B2M mRNA濃度、(7)血漿B2M mRNA濃度、及び(8)血漿GAPDH mRNA濃度であった。 BPH/グリーソン<7から侵攻性前立腺ガンを識別するためのアッセイデータのROC曲線を示す図である。複数の曲線は、異なる数のマーカーが用いられたとき(すなわち、ステップ0は1マーカー、ステップ1は2マーカー、ステップ2は3マーカー等々)の結果を示す。0.79777のAUROCを達成したステップ8の曲線に用いられたマーカーは、(1)血清PSAタンパク質濃度、(2)年齢、(3)尿PSA、(4)血漿ERG mRNA濃度、(5)尿GAPDH mRNA濃度、(6)尿B2M mRNA濃度、(7)尿PTEN mRNA濃度、(8)尿PCA3 mRNA濃度、及び(9)尿PDLIM5 mRNA濃度であった。
本明細書では2つのアルゴリズムが開示され、一つは良性前立腺肥大症(BPH)を有する患者における前立腺ガンの存在を予測するためのものであり、2番目は侵攻性前立腺ガンの存在(グリーソン≧7)を予測するためのものである。これらのアルゴリズムは、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、及びB2Mを始めとする、リアルタイムPCRにより尿及び血漿の両方から単離された生物マーカーの組み合わせをアッセイすることによって開発された。従って、本開示は、侵攻性前立腺ガンを検知するための、2つのアルゴリズムを利用する点数化システムを提供する。この点数化システムは、75%の患者において、非常に正確な侵攻性前立腺ガンの存在の予測(99%の特異度及び68%の感度)を提供する。25%の患者においては、88%の特異度及び67%の感度でガンの存在のみを予測することができるが、該疾患の侵攻性は予測できない。この手法は、患者が生検を必要としているか否かを判定するために、並びに生検が代表的ではないかも知れないとの疑念がある場合に用いることができる。
上記第1のアルゴリズムは、トレーニングセットにおいては0.77のAUC、及びテストセットにおいては0.78のAUCでガンを予測した。全体としての特異度及び感度はそれぞれ88%及び67%であった。上記第2のアルゴリズムは、グリーソン≧7を有する患者を、有意に優る、トレーニングセットにおける0.87のAUC、及びテストセットにおける0.88のAUCでガンを予測した(特異度99%及び感度47%)。上記2つのモデルを点数化システムに組み込むことで、75%の患者が当該2つのモデル間での一致を示した。両モデルにより一致した患者において、グリーソン≧7の予測は99%の特異度及び68%の感度であった。上記2つのモデル間で不一致を示した患者においては、該疾患の侵攻性の予測は正確でなく、ガンなしに対してガンありを予測する第1のモデルのみを用いることができる。
アッセイは、その後更に2つの追加のマーカー(AR及びPTENのmRNA濃度)を組み込むことで更に開発された。ここでも、アッセイは、(I)BPHに対してPCaを、及び(II)危険性の低いガン(GS<7)またはBPHに対して危険性の高いPCa(GS≧7)を判定するために開発された。これらの解析の(PCaをBPHから区別するための)第1については、用いたマーカーは、(1)血清PSAタンパク質濃度、(2)血漿ERG mRNA濃度、(3)血漿AR mRNA濃度、(4)尿PCA3 mRNA濃度、(5)尿PTEN濃度、(6)尿B2M mRNA濃度、(7)血漿B2M mRNA濃度、及び(8)血漿GAPDH mRNA濃度であった。これらのマーカーを用いることで、0.87のAUROCでPCaをBPHから区別することができた。このモデルに対するテストセットは、0.64のカットオフポイントを用いた際に、76%の感度及び71%の特異度を示した(例えば、図7及び表5を参照されたい)。(GS<7のガンまたはBPHに対して危険性の高いPCa(GS≧7)を区別するための)第2の解析は、(1)血清PSAタンパク質濃度、(2)年齢、(3)尿PSA、(4)血漿ERG mRNA濃度、(5)尿GAPDH mRNA濃度、(6)尿B2M mRNA濃度、(7)尿PTEN mRNA濃度、(8)尿PCA3 mRNA濃度、(9)尿PDLIM5 mRNA濃度、並びに必要に応じて、(10)血漿PCA3 mRNA濃度、(11)血漿B2M mRNA濃度、及び(12)血漿HSPDl mRNA濃度のマーカーを用いて開発された。これらのマーカーを用いることで、危険性の高いPCaを、0.80のAUROCで低等級のガン(GS<7)またはBPHと区別することができた。
更に、記載した2つの解析の結果を組み合わせることにより、(生検を必要とせずに)超高特異的高感度診断を達成することができる。両解析共に陰性の場合、高い確率でガンは存在せず、いずれにしても、危険性の高いガンの確率は非常に低い。従って、かかる被験者は生検などのより観血的な診断を見送ることもでき、より低い頻度での監視しか必要としないこととなる。一方、両解析共に陽性である場合は、当該被験者がガンを有し、且つ当該のガンが侵攻性である確率が高い。これらの被験者は、生検及び/または外科的切除等の(積極的な)抗ガン療法に供されることとなろう。同様に、アッセイが、被験者が「PCa陰性」であるが、危険性の高いガンに対して陽性であることを示す場合には、当該被験者は、ガンを有する確率、及び当該のガンが高危険度である確率が高い。ここでもまた、これらの被験者は、生検及び/または(積極的な)抗ガン療法に供されることとなろう。「PCa陽性」であるが危険性の高いPCaに対しては陰性であると示された患者の場合には、当該患者はガンを有する確率は高いが、当該のガンの危険性が高いことはほぼない。これらの被験者は生検を受けることもできるが、早急なる積極的な療法や監視はほぼ必要としない。
このように、上記の新たに開発されたアッセイ及び解析は、前立腺生検を実施する必要性を判定する際に特に役立ち、積極的な監視において患者を監視すること及び進行を予測することに役立ち得る。但し、このPCaの存在及び侵攻性の予測は、生検の結果に基づく。
特に、本明細書において識別される尿及び血漿発現マーカーとしては以下が挙げられる。
・PDZ及びLIMドメイン5(PDLIM5)(例えば、NCBI受託番号NM_006457.4、NM_001011513.3、NM_001011515.2、NM_001011516.2、NM_001256425.1、NM_001256426.1、NM_001256427.1、NM_001256428.1、NR_046186.1及びNM_001256429.1を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
・膜貫通プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)(例えば、NCBI受託番号NM_001135099.1及びNM_005656.3を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
・UDP−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼ1(UAP1)(例えば、NCBI受託番号NM_003115.4を参照されたく、これは参照により本明細書に組み込まれる)。
・IMP(イノシン5’−モノホスフェート)デヒドロゲナーゼ2(IMPDH2)(例えば、NCBI受託番号NM_000884.2を参照されたく、これは参照により本明細書に組み込まれる)。
・熱衝撃60kDaタンパク質1(シャペロニン)(HSPD1)(例えば、NCBI受託番号NM_002156.4、及びNM_199440.1を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
・前立腺ガン抗原3(PCA3)(例えば、NCBI受託番号NR_015342.1を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
・PSAすなわちカリクレイン関連ペプチダーゼ3(KLK3)(例えば、NCBI受託番号NM 001030047.1、NM_001030048.1、及びNM_001648.2を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
・v-ets erythroblastosis virus E26 oncogene homolog(ERG)(例えば、NCBI受託番号NM_ 001136154.1、NM_001136155.1、NM_001243428.1、NM_001243429.1、NM_001243432.1、NM_004449.4、及びNM_182918.3を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
・PTENすなわちホスファターゼ・テンシン・ホモログ(例えば、NCBI受託番号NM_000314.4を参照されたく、これは参照により本明細書に組み込まれる)。
・ARすなわちアンドロゲン受容体(例えば、NCBI受託番号NM_000044.3及びNM_001011645.2を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
・グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)(例えば、NCBI受託番号NM_001256799.1、及びNM_002046.4を参照されたく、これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
・β−2−ミクログロブリン(B2M)(例えば、NCBI受託番号NM_004048.2を参照されたく、これは参照により本明細書に組み込まれる)。
I.生物マーカーの検知
生物マーカーすなわち遺伝子の発現は、当技術分野で周知の種々の技法によって測定することができる。生物マーカーのメッセンジャーRNA(mRNA)の濃度を定量することを用いて、当該生物マーカーの発現を測定することができる。あるいは、生物マーカーのタンパク質生成物の濃度を定量することを用いて、当該生物マーカーの発現を測定することができる。後述する方法に関する追加情報を、Ausubelら(2003)またはSambrookら(1989)に見ることができる。当業者は、どのパラメータが、着目するmRNAまたはタンパク質の検知を最適化するために操作することができるかを知得しているであろう。
いくつかの実施形態において、上記発現情報を得ることは、例えば、cDNAマイクロアレイ、定量的RT−PCR、イン・シチュ・ハイブリダイゼーション、ノーザンブロッティングまたはヌクレアーゼ保護などのRNAの定量を含むことができる。上記発現情報を得ることは、例えば、免疫組織化学的検査、ELISA、放射免疫測定(radioimmunoassay)(RIA)、免疫放射定量測定、蛍光免疫測定、化学発光アッセイ、生物発光アッセイ、ゲル電気泳動、ウェスタンブロット分析、質量分析、またはタンパク質マイクロアレイを含むタンパク質の定量法などのタンパク質の定量法を含むことができる。
核酸マイクロアレイを用いて、複数の生物マーカーの示差的発現を定量することができる。マイクロアレイ解析は、Affymetrix社(カリフォルニア州サンタクララ)のGeneChip(登録商標)技術またはIncyte社(カリフォルニア州フリーモント)のマイクロアレイシステムを用いることによるなどし、製造者のプロトコルに従って、市販の装置を用いて行うことができる。例えば、一本鎖核酸(例えば、cDNAまたはオリゴヌクレオチド)をマイクロチップ基板上にプレートする、すなわち配列してもよい。次いで、上記配列された配列に、着目する細胞由来の特定の核酸プローブをハイブリダイズさせる。着目する細胞から抽出したRNAの逆転写による、蛍光標識されたデオキシヌクレオチドの組込みを介して、蛍光標識cDNAプローブを生起させることができる。あるいは、上記RNAを、イン・ビトロ転写によって増幅し、ビオチンなどのマーカーで標識することができる。上記標識プローブは、その後、マイクロチップ上に固定化された核酸に、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせる。非特異的に結合したプローブを除去するためのストリンジェントな洗浄の後、共焦点レーザー顕微鏡により、またはCCDカメラなどの別な検出法によって、チップが走査される。ハイブリダイゼーションファイル内の蛍光強度の生データは、一般的に、robust multichip average(RMA)アルゴリズムで前処理されて、発現値が作成される。
定量的リアルタイムPCR(Quantitative real−time PCR)(qRT−PCR)を用いて、複数の生物マーカーの示差的発現を測定することもできる。qRT−PCRにおいて、RNA鋳型は、一般的に、cDNAへ逆転写され、cDNAはその後のPCR反応によって増幅される。PCR生成物の量はリアルタイムでサイクル毎に追跡され、これによってmRNAの初期濃度の測定が可能になる。PCR生成物の量を測定するために、上記反応は、二本鎖DNAに結合するSYBRグリーンなどの蛍光色素の存在下で行われてもよい。上記反応はまた、増幅されるDNAに特異的な蛍光レポータープローブを用いて行われてもよい。
蛍光レポータープローブの非限定的な例は、TaqMan(登録商標)プローブ(Applied Biosystems社、カリフォルニア州フォスターシティー)である。上記蛍光レポータープローブは、クエンチャーがPCRの伸長サイクルの間に除去される際に蛍光を発する。それぞれが異なる発蛍光団を含有する多数の遺伝子特異性レポータープローブを用いることによって、多重のqRT−PCRを行うことができる。蛍光値は各サイクルの間に記録され、増幅反応におけるその時点までに増幅された生成物の量を表わす。誤差を最小化し、如何なる試料間の変動も低減するために、qRT−PCRは、参照標準を用いて行われてもよい。理想的な参照標準は、異なる組織間において一定レベルで発現し、実験の処理によって影響を受けない。好適な参照標準としては、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド−3−リン酸−デヒドロゲナーゼ(glyceraldehyde−3−phosphate−dehydrogenase)(GAPDH)及びβ−アクチンのmRNAが挙げられるが、それらに限定されない。元の試料中のmRNAの濃度又は各生物マーカーの発現の変化倍率は、当技術分野で周知の計算を用いて決定することができる。
免疫組織化学的染色を用いて、複数の生物マーカーの示差的発現を測定することもできる。この方法は、組織切片の細胞中のタンパク質を、当該タンパク質の特異的抗体との相互作用によって局在化することを可能にする。このためには、組織をホルムアルデヒドまたは別な適宜の固定液中で固定し、ワックスまたはプラスチック中に包埋し、ミクロトームを用いて(約0.1mmから数mmの厚さの)薄い切片に切断することができる。あるいは、クライオスタットを用いて組織を凍結させて、薄い切片に切断することができる。該組織片を固体表面上に配列し、貼り付けることができる(即ち、組織マイクロアレイ)。上記組織切片は着目する抗原に対する一次抗体と共にインキュベートされ、続いて未結合の抗体を除去するために洗浄される。上記一次抗体は検出系に連結されてもよく、または該一次抗体は、検出系に連結された二次抗体を用いて検出されてもよい。上記検出システムは発蛍光団であってもよく、あるいは該検出システムは、基質を比色、蛍光、または化学発光生成物に転化することができる、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼなどの酵素であってもよい。染色された組織切片は、一般的に顕微鏡下で走査される。ガンを有する被験者由来の組織の試料は不均一であることがある、すなわち、一部の細胞は正常であり、他の細胞がガン性であることがあり、組織中の陽性に染色された細胞の割合を測定することができる。この測定を染色の強度の定量化と共に用いて、生物マーカーに関する発現値を得ることができる。
酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme−linked immunosorbent assay)、すなわちELISAを用いて、複数の生物マーカーの示差的発現を測定することができる。ELISAアッセイの多くの変化形が存在する。該変化形の全ては、固体表面、一般にはマイクロタイタープレート上への抗原または抗体の固定化に基づく。当初のELISA法は、着目する生物マーカータンパク質を含有する試料を調製すること、マイクロタイタープレートのウェルを上記試料で被覆すること、特定の抗原を認識する一次抗体と共に各ウェルをインキュベートすること、未結合の抗体を洗い流すこと、及びその後、抗体−抗原複合体を検知することを含む。抗体−抗体複合体が直接検知されてもよい。このためには、上記一次抗体は、検出可能な生成物を生成する酵素などの検出系に接合される。上記抗体−抗体複合体は間接的に検知されてもよい。このためには、上記一次抗体は、上述のような検出系に接合している二次抗体により検知される。次に、上記マイクロタイタープレートが走査され、強度の生データを当技術分野で公知の手段を用いて発現値に変換することができる。
抗体マイクロアレイを用いても、複数の生物マーカーの示差的発現を測定することができる。このためには、複数の抗体がマイクロアレイ、すなわちバイオチップの表面に配列され、共有結合によって連結される。着目する生物マーカータンパク質を含有するタンパク質抽出物は、一般に、蛍光色素またはビオチンで標識される。標識生物マーカータンパク質は、上記抗体マイクロアレイと共にインキュベートされる。未結合のタンパク質を除去するための洗浄の後、マイクロアレイが走査される。蛍光強度の生データは、当技術分野で公知の手段を用いて発現値に変換することができる。
Luminex社の多重化ミクロスフェアを用いても、複数の生物マーカーの示差的発現を測定することができる。この顕微鏡的なポリスチレンビーズは、各ビーズが(100種までに及ぶ)固有のスペクトル上の識別特性を有するように、内部から蛍光色素で色分けされている。同一の識別特性を持つビーズは、着目する標的(すなわち、それぞれ、生物マーカーのmRNAまたはタンパク質)に結合することとなる特異的オリゴヌクレオチドまたは特異的抗体を用いてタグ付けされる。次に、上記標的もまた蛍光レポーターを用いてタグ付けされる。従って、一方はビーズ由来であり、他方は標的上のレポーター分子由来である2つの色の出所が存在する。次いで、ビーズは上記標的を含有する試料と共にインキュベートされ、100種までに及ぶ標的を一つのウェル中で検出することができる。上記ビーズの小さなサイズ/表面積及びビーズの標的への三次元的曝露が、結合反応の間のほぼ溶液相に近い動力学を可能にする。捕捉された標的は、レーザーが、各ビーズを識別する内部の色素及びアッセイの間に捕捉された全てのレポーター色素も励起する、フローサイトメトリーに基づくハイテク流体工学によって検知される。取得ファイルからのデータは、当技術分野で公知の手段を用いて発現値に変換することができる。
イン・シチュ・ハイブリダイゼーションを用いても、複数の生物マーカーの示差的発現を測定することができる。この方法は組織切片の細胞中の着目するmRNAの局在化を可能にする。この方法では、組織を凍結または固定し、包埋し、その後、薄い切片に切断し、該切片を固体表面上に配列し、貼り付けることができる。上記組織切片は、着目するmRNAとハイブリダイズすることとなる標識アンチセンスプローブと共にインキュベートされる。上記ハイブリダイゼーション及び洗浄ステップは、一般に、高度にストリンジェントな条件下で行われる。上記プローブは、標識されたハイブリッドを顕微鏡下で検知し可視化することができるように、別のタンパク質または抗体によって検知することができる発蛍光団または(ビオチンまたはジゴキシゲニンなどの)小さなタグで標識することができる。各アンチセンスプローブが識別可能な標識を有するとの前提において、多数のmRNAを同時に検出することができる。ハイブリダイズされた組織アレイは、一般的に、顕微鏡下で走査される。ガンを有する被験者由来の組織の試料は不均一である場合がある、すなわち、一部の細胞は正常であり、他の細胞がガン性であることがあり、組織中の陽性に染色された細胞の割合を測定することができる。この測定を染色の強度の定量化と共に用いて、各生物マーカーに関する発現値を得ることができる。
さらなる実施形態において、マーカー濃度が、コントロール由来のマーカーの濃度と比較されてもよく、ここで該コントロールは、ある転移性の腫瘍を有する、若しくはある転移性の腫瘍を有しないと判定された、あるいはその両方の1または複数の患者から採取された、1または複数の腫瘍の試料を含んでもよい。
上記コントロールは、患者の個々のデータと同時に(例えば、同一のハイブリダイゼーション実験において)得られたデータを含んでもよく、あるいは、例えば、コンピュータ上若しくはコンピュータ可読の媒体上に保存された等の、保存された値または一連の保存された値であってもよい。後者が用いられる場合、初期またはフォローアップ試料から得られた、上記選択されたマーカー(複数可)に関する新たな患者のデータを、追加の対照実験を必要とせずに、同一のマーカー(複数可)に関して、保存されたデータと比較することができる。
マーカー発現の統計的解析
本明細書に更に詳細に述べるように、試料に関して発現レベルの測定値が得られた後、該測定値を、当該試料に関する診断スコアを計算するためのアルゴリズムに適用することができる。一般に、試料に関する診断スコアを決定する際に用いられるアルゴリズムは、SVM、ロジスティック回帰、lasso、ブースティング、バギング、ランダムフォレスト、CART、またはMATTアルゴリズムを使用することを含むことができる。本明細書に開示されるマーカーの測定に適用することができる具体的なアルゴリズムの例としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる(uは尿マーカーを示し、pは血漿マーカーを示す)。

式#1:log_オッズ=l.1459+0.1776*sPSA−0.00004505uPCA3−0.001314pHSPDl+0.0001012pIMPDH2+0.0006353pPDLIM5−0.9314pERG
オッズ=exp(log_オッズ)
確率=オッズ/(1+オッズ)

式#2:log_オッズ=−0.1303+0.786sPSA+0.0000440uPCA3−0.0013pHSPDl+0.0000102pIMPDH2+0.00000072856pPDLIM5−0.00002379pERG
オッズ=exp(log_オッズ)
確率=オッズ/(1+オッズ)

式#3:log_オッズ=0.1569+0.2786sPSA−0.00004405uPCA3−0.0001114pHSPDl+0.0001052pIMPDH2+0.0000006253pPDLIM5−0.0009314pERG
オッズ=exp(log_オッズ)
確率=オッズ/(1+オッズ)

式#5:log_オッズ=1.340e+00+1.999e−01sPSA+1.237e−04pERG−2.367e−05uPDLIM5+1.613e−04pUAPl
オッズ=exp(log_オッズ)
確率=オッズ/(1+オッズ)

式#5:log_オッズ=−2.670e+00+2.955e−01sPSA−2.288e−04pERG−7.885e−05uPDLIM5+2.623e−04pUAPl
オッズ=exp(log_オッズ)
確率=オッズ/(1+オッズ)
いくつかの場合において、適当な関数形式が決定された後、それらの適当な関数形式における全ての発現マーカーを、ロジスティック回帰式にまとめることができる。一致指数(concordance index)を測定することに加えて、当該モデルを、感度及び特異度に関して試験することができる。ROC(受信者動作特性(receiver operating characteristic))曲線がグラフ化され、モデルの予測能力を調べる。ROC曲線は、単純に偽陽性率に対するモデルの感度のグラフである。ROC曲線下面積(area under the ROC curve)(AUC)が大きいほど、当該モデルの一致指数がより優れ、当該モデルの再発の予測における能力が、高感度及び高特異度であってより優れる。AUCは単純にROC曲線の下にある面積であり、AUCが1であることは、完璧な予測能力、すなわち0%の偽陽性で100%の感度を示す。AUCが0.5であることは、予測結果における当該モデルの正確さは、偶然と同程度であるに過ぎないことを示す。AUCが1により近いほど、当該モデルの予測能力がより優れる。一致指数は、当該モデルの危険性を識別する能力の尺度であり、換言すると、危険性が低いとの観測は低い確率であることが予測されるとの尺度であり、当該事象に関して危険性が高いとの観測は、高い確率で起こることが予測されるとの尺度である。感度は、再発に関して陽性と試験され、後に実際に再発した患者の比率である。特異度は、再発に関して陰性と試験され、後に実際には再発しなかった患者の比率である。偽陽性率は1から特異度を減じたものであり、換言すれば、再発に関して陽性と試験されたが実際には再発しなかった患者の比率である。
II.定義
本明細書中で用いられる「生物学的試料を得ること」または「血液試料を得ること」とは、例えば、直接または間接的のいずれかで、生物学的試料または血液試料を受け取ることをいう。本明細書中で用いられる生物学的試料としては、血漿、血清、尿などの本質的に無細胞の体液が挙げられる。いくつかの実施形態において、例えば、血液試料又は末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells)(PBMC)を含有する試料などの生物学的試料が、実験室若しくは当該生物学的試料が分析されることとなる場所またはその近傍で、被験者から直接得られてもよい。他の実施形態において、生物学的試料は第三者によって抜き取られ、すなわち採取され、その後例えば別個の機関または分析場所へ輸送されてもよい。他の実施形態において、同一の場所で、試料が得られ且つ医療現場での試験(point−of care test)を用いて試験されてもよい。これらの実施形態において、上記「得ること」とは、例えば、当該患者から、実験室から、医師の事務所から、郵便、配達業者、または郵便局等から試料を受け取ることをいう。いくつかの更なる態様において、上記方法は、判定を、当該被験者、健康保険支払者、主治医、薬剤師、薬剤給付管理者、または当該判定がその人にとって着目すべきものであり得る任意の人に対して報告することを更に含んでもよい。
「被験者」または「患者」とは、治療または診断試験が望まれる任意の単一の対象を意味する。この場合、被験者または患者は一般的にヒトを指す。また、被験者として包含されることが意図されるものとして、如何なる疾患の臨床的徴候も示していない臨床研究試験に関与する全ての被験者、または疫学的研究に関与する被験者、またはコントロールとして用いられる被験者が挙げられる。
本明細書で用いられる「発現の増加」は、適宜のコントロール(例えば、非ガン性組織または細胞試料、参照標準)との対比における、ガン試料における上昇したすなわち増加した発現のレベルをいい、ここで、遺伝子発現のレベルの上昇すなわち増加とは、統計的に有意なもの(p<0.05)である。コントロール対比でのガン試料における遺伝子の発現の増加が統計的に有意であるか否かは、適宜のt検定(例えば、1標本t検定、2標本t検定、ウェルチのt検定)または当業者に公知の他の統計的検定を用いて判定することができる。ガンにおいて過剰発現する遺伝子とは、例えば、ガンにおいて過剰発現することが知られている、または過剰発現することが以前に特定されている遺伝子とすることができる。
本明細書で用いられる「発現の減少」とは、適宜のコントロール(例えば、非ガン性組織または細胞試料、参照標準)との対比における、ガン試料の低下したすなわち減少した発現のレベルをいい、ここで、遺伝子発現のレベルの低下すなわち減少とは、統計的に有意なもの(p<0.05)である。いくつかの実施形態において、低下したすなわち減少した遺伝子発現のレベルは、遺伝子発現が完全に存在しない、すなわち発現レベルゼロとすることができる。コントロール対比でのガン試料における遺伝子の発現の減少が統計的に有意であるか否かは、適宜のt検定(例えば、1標本t検定、2標本t検定、ウェルチのt検定)または当業者に公知の他の統計的検定を用いて判定することができる。ガンにおいて過小発現する遺伝子とは、例えば、ガンにおいて過小発現することが知られている、または過小発現することが以前に特定されている遺伝子とすることができる。
本明細書における用語「抗原結合フラグメント」は、最も広い意味で用いられ、詳細には、未変化のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2の未変化の抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体フラグメントを包含する。
本明細書で用いられる用語「プライマー」は、鋳型依存的過程において新生核酸の合成をプライミングすることができる任意の核酸を包含することを意味する。プライマーは、長さが10から20及び/または30塩基対のオリゴヌクレオチドであってもよいが、より長い配列を用いることができる。プライマーは、二本鎖及び/または一本鎖の形態で提供することができるが、一本鎖の形態が好ましい。
III.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を例証するために加えられる。以下の実施例に開示される技法が、本発明の実施において十分に機能することが本発明者によって見出された技法を代表し、従って、該技法は、本発明の実施のための好ましい様式を構成すると考えることができることが、当業者によって理解されるべきである。但し、当業者は、本開示に照らして、開示される特定の実施形態において多くの変更がなされ、それでもなお、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
実施例1 患者及び方法
(患者及び試料) 尿及び血液試料を、3の群に分類した141名の男性より収取した。アーム1は、生検後に前立腺ガンについて陽性であった61名の患者から構成されていた。アーム2は、生検後に前立腺ガンについて陰性であった60名の患者から構成されていた。アーム3は、最近前立腺摘除術を受けた20名の患者から構成されていた。アーム1及びアーム3の患者に関して、グリーソンスコアによる腫瘍の組織学的等級が提供された。各患者の血清PSA濃度を測定し記録した。DREを行うことなく、各患者より尿を採取し、速やかに発送し、翌日に処理を行った。採取した尿の量は30mL〜110mLの範囲であった。各患者は、種々の量の、採取用カップ1つ分の、防腐剤を含有しない尿を提供し、全ての患者は、EDTA中に保存した約9mLの末梢血を提供した。全ての作業は、同意書を受け、治験審査委員会(IRB)承認済みプロトコル(ウェスタンIRP)に従って実施し、全ての試料は、地域開業泌尿器科グループ(community practise urology groups)から収取した。
(尿及び血漿の処理) 各患者から採取した尿を、3kDaの膜を有するAmcion Ultra−15遠心分離フィルターユニット(Millipore社、マサチューセッツ州ビレリカ)を用いて遠心分離により濃縮した。スイングバケットローターを用い4,000×gで、濃縮された尿が僅か1mL残るまで尿を遠心分離した。末梢血試料から血漿を分離し、全核酸抽出に使用した。NucliSens(BioMerieux社、ノースカロライナ州ダーラム)抽出キットを用いて、全核酸を患者の尿及び血漿から抽出した。
(定量的RT−PCR) ViiA 7リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社、カリフォルニア州フォスターシティ)を用いたRNA Ultrasenseワンステップ定量的RT−PCRシステム(Applied Biosystems社)を用い、以下のサーモサイクラー条件:50℃の段階を15分間、95℃の段階を2分間保持し、続いて95℃で15秒間及び60℃で30秒間を45サイクルにて、定量的RT−PCRを行った。PDLIM5、PCA3、TMPRSS2:ERG、及びERG用のプライマープローブセットを、それぞれ、アッセイID Hs00935062_m1、Hs01371939_g1、Hs03063375、及びHs01554629_m1を有するTaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイ(Applied Biosystems社)として購入した。UAPl用のプライマープローブセットは、70bpのPCR生成物:5’−TTGCATTCAGAAAGGAGCAGACT−3’(順方向、配列番号1);5’−CAACTGGTTCTGTAGGGTTCGTTT−3’(逆方向、配列番号2);及び5’−VIC(登録商標)−TGGAGCAAAGGTGGTAGA−小溝結合剤非蛍光消光剤(minor groove binder nonfluorescent quencher)(MGBNFQ)−3’(プローブ、配列番号3)を生成した。HSPD1用のプライマープローブセットは、64bpのPCR生成物:5’−AACCTGTGACCACCCCTGAA−3’(順方向、配列番号4);TCTTTGTCTCCGTTTGCAGAAA5’−3’(逆方向、配列番号5);5’−VIC(登録商標)ATTGCACAGGTTGCTAC−MGBNFQ−3’(プローブ、配列番号6)を生成した。IMPDH2用のプライマープローブセットは、エキソン10及び11を含むように設計され、74bpのPCR生成物:5’−CCACAGTCATGATGGGCTCTC−3’(順方向、配列番号7);5’−GGATCCCATCGGAAAAGAAGTA(逆方向、配列番号8);5’−6FAM(商標)−ACCACTGAGGCCCCT―MGBNFQ−3’(プローブ、配列番号9)を生成した。PSA用のプライマーセットのプローブは、67bpのPCR生成物:5’−CCACTGCATCAGGAACAAAAG−3’(順方向、配列番号10);5−TGTGTCTTCAGGATGAAACAGG−3’(逆方向、配列番号11);5’−VIC(登録商標)−CGTGATCTTGCTGGGT−MGBNFQ(プローブ、配列番号12)を生成した。B2M及びGAPDHのmRNA転写物をコントロールとして測定し、開発前のTaqMan(登録商標)アッセイ試薬(Applied Biosystems社)として購入した。ヒト前立腺ガン細胞(CRL−2505)を陽性コントロール(ATCC)のためのRNAを提供するために用い、QIAamp RNA血液ミニキット(Qiagen社、ドイツ国ヒルデン)を用いて抽出した。陰性コントロールは、First Choice(登録商標)ヒト前立腺全RNA(Applied Biosystems社)より入手した。
実施例2 結果
(患者の特性) 生検で確認された前立腺ガン及びBPHを有する患者は類似の年齢であった(それぞれ、メジアンで66対63)(P=0.21)(表1)。民族分布も同様であり、患者の大部分が白人であった(表1)。しかし、予想通り、血清PSAにおいて、メジアンでBPH群においては4.4ng/ml、ガン群においては5.7ng/mlであり、両群間に有意差があった(P<0.001)(表1)。コントロールとして、前立腺ガンによる前立腺摘除術後の20名の患者についてデータ及び試料を収取した。表1に示すように、この群の患者は、同様の年齢及び民族的背景を有していたが、PSAは、ここでもBPH群及びガン群の両方よりも有意に低かった(メジアンで0.01ng/ml)。グリーソン組織学的等級は、ガン患者と前立腺摘除術後の患者の間で類似していた。グリーソン等級付けは2005年のコンセンサス会議に基づいた、新しい変更されたシステムに従って行った。
(前立腺摘除術後の患者とガン及びBPHの患者との間の有意差) 単変量解析においては、前立腺摘除術後の患者とガン群との間に、尿中のPDLIM5(p=0.005)、UAP1(p=0.001)、PCA3(P<0.0001)、TMPRSS(p=0.009)及び血漿中のHSPD(p=0.01)、IMPDH2(p=0.003)、UAP1(p=0.02)、及びERG(P=0.02)において有意な差(p<0.05)があった。
前立腺摘除術後の患者とBPHとの間に、尿中のHSPD1(p=0.004)、IMPDH2(p=0.002)、PDLMI5(p=0.0003)、UAP1(p=0.0003)、PCA3(P<0.0001)、TMPRSS(P=0.0006)及び血漿中のHSPD(p=0.006)、IMPDH2(p=0.002)、UAP1(p=0.03)において有意な差があった。このことは、これらのマーカーの殆どが前立腺特異性であり、これが血漿試料並びに尿試料に反映されることを明確に示している。
(単変量比較を用いたBPHと前立腺ガンとの僅かな違い) BPHと前立腺ガンとの間に、尿中のHSPD1(P=0.05)、IMPDH2(P=0.01)、PDLIM5(P=0.05)及び血漿中のErg(P=0.0003)においてのみ有意差があった。
血漿ERG発現を除き、BPHとガンとの間の違いは僅かであり、このことは、上記2の条件間で区別することの難しさを反映し、ガンを有する殆どの患者はBPHも有するという事実に起因する可能性が最も高い。
BPHからガンを識別するための多変量解析及びアルゴリズムの開発) BPHから前立腺ガンを有する患者を識別すると同時に、可能な限り多くの変数を利用することができ、それのみならず、関連のない変数を排除することができるようにするために、本発明者らは、数学的アルゴリズムの値を検討した。本発明者らはまず、試料を、70名の患者(ガン35名及びBPH35名)を含む学習(トレーニング)群及び51名の患者(ガン26名及びBPH25名)を含む試験群に分けた。更に、51名の患者のテストセットを用いたモデルの検証の前に、トレーニングセットの、凡そ3分の2をモデルの作成に、凡そ3分の1を試験に用いた。アルゴリズムの開発に含まれる変数はUAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、年齢及び血清PSAであった。
本発明者らは、特徴選択のために多数の数学的アルゴリズムを使用し、種々のアルゴリズム間の平均AUC及び平均誤り率を比較した。全ての用いたアルゴリズムは機械学習に基づいており、ロジスティック回帰、SVM(Support vector machine)、Lasso(least absolute shrinkage and selection operator)、ブースティング、バギング、ランダムフォレスト、CART(classification and regression tree)、matt、及びctree(Conditional interference tree)を含んでいた。表2及び図1に示すように、全てのアルゴリズム由来の最高のAUC及び最低誤り率は、ロジスティック回帰により得られた。このアルゴリズムにおいて、トレーニングセットの試験は0.77のAUC及び0.27の平均誤り率を示した。このモデルにおいては6の変数が含まれ、各変数の寄与を図1に示す。モデルを改善するために、特徴除去を用いて、寄与していなかった変数を除去した。このモデルに含まれる6の変数は、血漿ERG、血清PSA、尿PCA3、尿MPDH2、尿PDLIM5、及び尿HSPD1であった。
同じモデルをテストセットに適用したところ、同様の結果が得られた(図2)。ロジスティック回帰に関して、発明者らは、このセットに対して0.78の平均AUC値を得た。121全ての試料を考慮し、各群を、無作為の試料を毎回選択して100回試験したところ、本発明者らは、0.70と0.85との間で変化するAUCを得た。ロジスティック回帰アルゴリズムは、0.25の最小誤り率で0.565のカットオフポイント(図3)を示した。このカットオフポイントで、特異度及び感度は、それぞれ88%及び67%であった。
この患者群においては、血清PSAを単独で使用し、4のカットオフポイントを用いて、特異度は62%、感度は56%であった。sPSA及びカットオフ>14.1を用いて、我々は100%の特異性、但し18%の感度を得る。
(侵攻性前立腺ガンを識別するための多変量解析及びアルゴリズムの開発) 変更されたグリーソン点数化システムにおいて、スコア<7は緩慢性ガンであり、当該ガンによる死亡の危険性は非常に小さい。グリーソンスコア<6の前立腺ガンを有する患者では、診断後10〜15年以内に死亡する危険性が、治療を行っても行わなくても同一である(Carterら、JCO、2012年12月10日)。従って、我々は、グリーソン<7の患者をBPHの患者と同様に扱い、グリーソン≧7の前立腺がん患者(32名)を残りの患者(グリーソン<7及びBPH)(89名の患者)から予測するに当たって、我々の生物マーカーの可能性を調査した。
全データセットを、18名の侵攻性ガンを有する患者及び51名のBPH/グリーソン<7を含むトレーニング(69名)に無作為に分配した。テスト群(52名の患者)は14名の侵攻性ガン患者及び38名のBPH/グリーソン<7を有する患者を含んでいた。
トレーニングセットを用い、上記と同様の方式にて数学的モデルを作成し、AUC及び誤り率を比較した。図4は、それぞれのアルゴリズムについて平均AUC及び誤り率を示す。ここでも、ロジスティック回帰が、無作為な選択後の100回のテストに基づいて、トレーニングセットにおいて0.87の平均AUCである、最も有益なモデルであることを示した。テストセットは0.88のAUCを示した。全ての試料を組み合わせてテストすると、AUCは0.88であった。このモデルでは、このアルゴリズムを開発するためには4の変数が適切であり、該変数としては、図4に示すように、血清PSA、血漿UPA1、血漿ERG及び尿PDCIM5を含んでいた。これらの変数の各々の寄与を図4Cに示す。
AUCに基づいて、我々はカットオフとして0.61を選択し、これにより0.99の特異度及び0.47の感度を得た(表3)。
進行ガンの数は比較的少ないが(32名の患者)、0.87のAUC値は1標準偏差内である。平均±1標準偏差は、50回の反復試験に基づいて0.73〜0.92であった。
(緩慢性ガンまたはBPHの患者から侵攻性ガンの患者を検知するための組み合わせモデル) 上記の2のモデルは、異なる変数及び異なるアルゴリズムを用い、完全に独立である。両モデルを用いて個々の患者を評価したときに、該2のモデルによって一致した結果が得られることが、より強力な予測を表わしている可能性が最も高い。これを検証するために、本発明者らは、121名の患者全てを用いて上記2のモデル間の結果を比較した。121名の患者のうち、91名(75%)が一致する結果を得た。この患者群では、緩慢性ガンまたはBPHに対して侵攻性ガンを予測することにおいて、特異度及び感度はそれぞれ99%及び68%であった(表4、図6)。残りの患者(合計数の25%)は不一致の結果であり、実際的な理由から、これらの患者は、88%及び67%の特異性及び感度がある前立腺ガンの有無の予測のみにおいて判断されるべきであり、当該ガンの侵攻性に関しては、信頼性をもって分類することはできない。
実施例3 更なるマーカーを用いたアッセイ
材料及び方法
研究設計及び患者
前立腺肥大を呈し、前立腺生検が予定されていた287名の男性由来の尿及び血液試料を、4の泌尿器科開業医より収取した。生検で確認されたPCaに関する腫瘍の組織学的GS(グリーソンスコア)は、各患者の診療場所によって提供された。グリーソン等級付けは2005年のコンセンサス会議(Epsteinら、2006、参照により本明細書に組み込まれる)に基づいた、新しい変更されたシステムに従って行われた。生検は、103名(36%)の患者がBPHを有し、184名(64%)の患者がPCaを有することを示していた。107名のPCa患者が危険性の高い群(PCaの58%であり全体の37%)に入っていた。BPHまたはPCaに関して如何なる治療であってもこれを受けていた患者は除外し、患者に、研究に参加するために新たに診断を受けることを求めた。直腸指診(digital rectal exam)(DRE)を行うことなく尿試料を採取し、採取の48時間以内に処理した。全ての患者が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)中に保存した9mLの末梢血を提供した。この他には選択基準はなく、試料は平均的な患者を代表していた。全ての実験室作業はIRB承認済みのプロトコル(ウェスタンIRP)によって行った。
尿及び血漿の処理
各患者から排泄された尿を、3kDaの膜を有するAmcion Ultra−15遠心分離フィルターユニット(Millipore社、マサチューセッツ州ビレリカ)を用いた、スイングバケットローター中、4,000×gでの遠心分離により、容量1mlまで濃縮した。血漿を、標準的な遠心分離を用いて末梢血から分離した。NucliSENS(登録商標)抽出キット(BioMerieux社、ノースカロライナ州ダーラム)を用いて、濃縮した尿及び血漿から全核酸を抽出した。
定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT―PCR)
RNA Ultrasenseワンステップ定量RT−PCRシステム(Applied Biosystems社)を用いて、ViiA(商標)7リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社、カリフォルニア州フォスターシティ)上で、以下のサーモサイクラー条件:50℃の段階を15分間、95℃の段階を2分間保持し、続いて95℃で15秒間及び60℃で30秒間を45サイクルにて、定量的逆転写リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qRT―PCR)を行った。六点希釈スタンダードシリーズをFirst Choice(登録商標)ヒト前立腺全RNA(Applied Biosystems社)より入手した。PDLIM5、PCA3、TMPRSS2、ERG及びPTENプライマー及びプローブを、それぞれ、アッセイID Hs00935062_m1、Hs01371939_g1、Hs01120965_m1、Hs01554629_m1、及びHs01920652_s1を有するTaqMan遺伝子発現アッセイ(Applied Biosystems社)として購入した。UAPl用のプライマープローブセットは、70bpのPCR生成物5’−TTGCATTCAGAAAGGAGCAGACT−3’(順方向、配列番号1);5’−CAACTGGTTCTGTAGGGTTCGTTT−3’(逆方向、配列番号2);及びVIC(登録商標)−TGGAGCAAAGGTGGTAGA−MGBNFQ(プローブ、配列番号3)を生成した。HSPD1用のプライマープローブセットは、64bpのPCR生成物:5’−AACCTGTGACCACCCCTGAA−3’(順方向、配列番号4);5’−TCTTTGTCTCCGTTTGCAGAAA5’−3’(逆方向、配列番号5);VIC(登録商標)−ATTGCACAGGTTGCTAC−MGBNFQ(プローブ、配列番号6)を生成した。IMPDH2用のプライマープローブセットは、エキソン10及び11を含むように設計され、74bpのPCR生成物:5’−CCACAGTCATGATGGGCTCTC−3’(順方向、配列番号7);5’−GGATCCCATCGGAAAAGAAGTA(逆方向、配列番号8);6FAM(商標)−ACCACTGAGGCCCCT−MGBNFQ(プローブ、配列番号9)を生成した。PSA用のプライマーセットのプローブは、67bpのPCR生成物:5’−CCACTGCATCAGGAACAAAAG−3’(順方向、配列番号10);5’−TGTGTCTTCAGGATGAAACAGG−3’(逆方向、配列番号11);VIC(登録商標)−CGTGATCTTGCTGGGT−MGBNFQ(プローブ、配列番号12)を生成した。AR用のプライマープローブセットは、エキソン6及び7を含むように設計され、91bpのPCR生成物:5’−GGAATTCCTGTGCATGAAAGC−3’(順方向、配列番号13);5’−CATTCGAAGTTCATCAAAGAATT−3’(逆方向、配列番号14);VIC(登録商標)−CTTCAGCATTATTCCAGTG−MGBNFQ(プローブ、配列番号15)を生成した。B2M及びGAPDHのmRNA転写物をコントロールとして測定するために、B2M及びGAPDH用の開発前のTaqMan(登録商標)アッセイ試薬(Applied Biosystems社)を購入した。全てのアッセイにおいて、RNA抽出に関して等量の血漿を用い、RNAを等量の溶出緩衝液中に溶出させ、等量のRNA溶液を各アッセイに用いた。尿に関しても同様に、1mlの全濃縮尿からRNAを抽出し、等量の溶出緩衝液中に溶出させ、等量のRNA溶液を各アッセイに用いた。
結果
生検の結果は、287名の患者の103名(36%)がBPHを有しており、また184名(64%)の患者がPCaを有し、その内の107名(PCaの58%であり全体の37%)が危険性の高いPCaを有していることを示していた。トレーニングセットを用い、BPHからPCaを区別するためにアルゴリズムを開発した。この評価のために用いられたマーカーは、(1)血清PSAタンパク質濃度、(2)血漿ERG mRNA濃度、(3)血漿AR mRNA濃度、(4)尿PCA3 mRNA濃度、(5)尿PTEN濃度、(6)尿B2M mRNA濃度、(7)血漿B2M mRNA濃度、及び(8)血漿GAPDH mRNA濃度であった。これらのマーカーを用いて、0.87の受信者動作特性曲線下面積(area under the receiver operating characteristic curve)(AUROC)で、PCaをBPHから識別することができた。このモデルについてのテストセットは、0.64のカットオフポイントを用いた際に、76%の感度及び71%の特異度を示した(例えば、図7及び表5を参照されたい)。
GS<7のガンまたはBPHを有する患者に対して、危険性の高いPCa(GS≧7)を有する患者を予測するために、更なるアルゴリズムを開発した。この評価に対して用いられるマーカーは、(1)血清PSAタンパク質濃度、(2)年齢、(3)尿PSA mRNA濃度、(4)血漿ERG mRNA濃度、(5)尿GAPDH mRNA濃度、(6)尿B2M mRNA濃度、(7)尿PTEN mRNA濃度、(8)尿PCA3 mRNA濃度、及び(9)尿PDLIM5 mRNA濃度であった。これらのマーカーを用いることで、0.80のAUROCで、危険性の高いPCaを低等級のガン(GS<7)またはBPHから識別することができた(例えば、図8及び表6を参照されたい)。いくつかの更なる計算において、追加の3種のマーカー((10)血漿PCA3 mRN濃度、(11)血漿B2M mRNA濃度、及び(12)血漿HSPD1 mRNA濃度)を用い、0.8487のAUROCを達成した。
2種の解析の間で一致する結果であった患者は、高等級の侵攻性PCaを有することに関しては89%の特異度及び59%の感度を示し(表7)、PCaを有し且つBPHを有さないことに関しては94%の特異度及び81%の感度を示したが(表8)、危険性の低いPCaが検知されないことは容認せざるを得なかったことが、更なる解析によって示された。このように、上記2種の解析を組み合わせ、且つ、侵攻性の如何に拘わらず、2種の解析の一方がガンについて陽性である場合にはPCaの診断を受け入れることで、危険性の低いガンを検知しない可能性(PPV=86%及びNPV=90%)を伴いながら、それぞれ82%及び92%の特異度及び感度を示した(表9)。両アルゴリズムにおいて、最も強力に貢献する生物マーカーは、sPSAに加えて、血漿及び尿ERG、PTEN、AR、及びPCA3 mRNAであり、程度はより低くなるが、血漿及び尿中のPDLIM5及びPSA mRNAであった。
このように、上述の2種の解析(すなわち、BPHからPCaを識別するためのマーカーのアッセイ、及び危険性の低いPCa(GS<7)またはBPHから危険性の高いPCaを識別するためのマーカーのアッセイ)の結果を組み合わせることによって、高度に特異的且つ高感度の診断を達成することができる。ここで詳述した検討を用いて達成された詳細な診断結果は以下を示す。
1)両解析が陰性:
-如何なる前立腺ガンの形跡もない(感度=59%、特異度=89%)。
-危険性の高い侵攻性前立腺ガン(グリーソン≧7)の形跡はないが、低等級のガン(グリーソン<7)を完全には排除できず(感度=81%、特異度=94%)。
2)両解析が陽性:
-侵攻性のガン(グリーソン≧7)を有する確率が高い(感度=59%、特異度=89%)。
-いずれかの前立腺ガン(いずれかの等級)を有する確率が高い(感度=81%、特異度=94%)。
3)PCaが陽性且つ高等級が陰性:
-いずれかの前立腺ガンを有する確率が高い(感度=92%、特異度=82)が、高等級ではないと見込まれる(特異度=76%、感度=44%)。
4)PCaが陰性且つ高等級が陽性:
-いずれかの前立腺ガンを有する確率が高い(感度=92%、特異度=82)が、高等級と見込まれる(特異度=76%、感度=44%)。
本願において開示及び権利請求される全ての方法は、本開示に照らして、過度の実験なしで行い、実施することができる。本発明の組成物及び方法は好ましい実施形態の観点から説明されてきたが、本願記載の方法に対して、及び該方法のステップまたは連続したステップにおいて、本発明の概念、趣旨及び範囲より逸脱することなく、変化形が適用され得ることは当業者にとって明らかであろう。より詳細には、同一または類似の結果を達成しつつ、化学的及び生理学的の両方で関係するある薬剤が、本願に記載の薬剤に代えて用いられてもよいことは明らかであろう。当業者に明らかな全てのかかる類似の置換及び変更は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨、範囲及び概念の内にあると認められる。
参照文献
以下の参照文献は、それらが、例示的な手順上のまたは他の詳細であって、本明細書に記載された該詳細に対して補足となる上記詳細を提供する程度に、参照により具体的に本明細書に組み込まれる。
Ausubelら、分子生物学における最近のプロトコル(Current protocols in molecular biology)、John Wiley & Sons Ltd、Wiley Interscience、2003
Carterら、J.Clin.Oncol、30:4294〜4296、2012
Epsteinら、「前立腺ガン向けグリーソン等級付けシステムの更新:泌尿器病理学者国際コンセンサス会議の結果」(「Update on the Gleason grading system for prostate cancer:results of an international consensus conference of urologic pathologists」)、Adv.Anat.Pathol.、13(l):57〜9、2006
Sambrookら、分子クローニング:実験室便覧(Molecular cloning:A laboratory manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989

Claims (8)

  1. コンピュータ可読のコードを備える有形のコンピュータ可読の媒体であって、前記コードが、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、
    a)被験者由来の試料中のUAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN、及びAR遺伝子の発現のレベルに対応する情報を受け取ることと、
    b)基準レベルと比較した、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、PTENおよびAR遺伝子の発現の相対的なレベルを判定することと、
    を含むオペレーションを行わせ、
    基準レベルと比較した、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、PTENおよびAR遺伝子の変化した発現が、前記被験者に侵攻性前立腺ガンを有する危険性があることを示す、
    前記媒体。
  2. 基準レベルと比較した、UAP1遺伝子の発現の相対的なレベルを判定することを更に行わせる請求項1記載の有形のコンピュータ可読の媒体であって、基準レベルと比較した、UAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、PTENおよびAR遺伝子の変化した発現が、前記被験者に侵攻性前立腺ガンを有する危険性があることを示す、前記媒体。
  3. 健常な被験者由来の試料中のUAP1、PDLIM5、IMPDH2、HSPD1、PCA3、PSA、TMPRSS2、ERG、GAPDH、B2M、PTEN、またはARの発現の基準レベルに対応する情報を受け取ることを更に含む、請求項1または2記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
  4. 前記基準レベルが前記有形のコンピュータ可読の媒体に保存されている、請求項1または2記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
  5. 前記情報を受け取ることが、有形のデータ保存デバイスより、被験者由来の試料中の遺伝子の発現のレベルに対応する情報を受け取ることを含む、請求項1または2記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
  6. コンピュータ可読のコードを更に備える、請求項1または2記載の有形のコンピュータ可読の媒体であって、前記コードが、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、前記遺伝子発現の相対的なレベルに対応する情報を、有形のデータ保存デバイスに送信することを含む、1又は複数の更なるオペレーションを行わせる、前記媒体。
  7. 前記コンピュータ可読のコードが、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに、c)前記試料に関する診断スコアであって、前記試料が前立腺ガンまたは侵攻性前立腺ガンを有する被験者に由来する公算を示す前記診断スコアを計算することを更に含むオペレーションを行わせる、請求項1または2記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
  8. 前記試料に関する診断スコアを計算することが、SVM、ロジスティック回帰、lasso、ブースティング、バギング、ランダムフォレスト、CART、またはMATTアルゴリズムを用いることを含む、請求項記載の有形のコンピュータ可読の媒体。
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