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JP6284185B2 - トイレットロールの製造方法及びトイレットロール - Google Patents

トイレットロールの製造方法及びトイレットロール Download PDF

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JP6284185B2 JP2014040772A JP2014040772A JP6284185B2 JP 6284185 B2 JP6284185 B2 JP 6284185B2 JP 2014040772 A JP2014040772 A JP 2014040772A JP 2014040772 A JP2014040772 A JP 2014040772A JP 6284185 B2 JP6284185 B2 JP 6284185B2
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Description

本発明は、複数プライのトイレットペーパーがロール状に巻かれたトイレットロールの製造方法及びそのトイレットロールに関する。
帯状のトイレットペーパーをロール状に巻いたトイレットロールは、良く知られる。このトイレットロールの中には、複数のトイレットペーパー原紙を積層一体化して複数プライとしたトイレットペーパーを巻いたものがある。この複数プライのものは、積層された各原紙同士を型押し一体化(エッジエンボス、コンタクトエンボスなどとも呼ばれる。以下、この型押し一体化を本発明及び明細書においてはエッジエンボスと称する)して、プライ剥離を防止するようにしている。
このエッジエンボスは、重ね合わせた原紙を、複数の単位凸エンボスが所定のエンボスパターンで付与された比較的幅の狭い凸エンボスロール(エッジエンボスロールとも言われる)により、所定のエンボスパターンで型押して施す。
従来、このエッジエンボスに関して、以下のような問題が生じていた。すなわち、付与時に凸エンボスロールが振動によって飛び跳ねたり、がたついたり(このような飛び跳ねを業界では、バウンジングともいう)、凸エンボスロールが、紙面に面接せずに傾いて接してしまうことがあり(このように傾いて紙面に接してしまうことを業界では、片当たりともいう)、このバウンジングや片当たりによって、エンボスが付与されない部分が生じたり、過度の加圧によって孔があいたりして、見栄えの悪い製品となってしまうことがあった。また、従来のエッジエンボスでは、付与された部分が、リブ状に盛り上がり、見栄えの悪い製品となることがあった。
特許第5399727号 特許第4627892号 特許第4450421号 特許第5331530号 特許第5005085号
そこで、本発明の主たる課題は、上記エッジエンボスに関する製造上の問題を解決し、プライ剥離の防止性、バウンジングや片当たりの防止性、ロール状にした際のリブ状部分の形成の防止性、エッジエンボスロールの耐摩耗性に優れるトイレットロールの製造方法及びトイレットロールを提供することにある。
上記課題を解決した本発明とその効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
複数枚の帯状のトイレットペーパー原紙を重ね合わせた状態で連続方向に沿って、凸エンボスロールにより型押しし、積層一体化してプライ構造のトイレットペーパーとするエッジエンボス付与工程を有するトイレットロールの製造方法であって、
前記凸エンボスロールの凸エンボスパターンが;
単位凸エンボスが回転方向に一定間隔で配列してなる凸エンボス列が、回転軸方向に平行な幅方向に2〜5列配され、その単位凸エンボスが、前記幅方向に平行な0.3〜0.7mmの辺を回転方向前方側に有し、天面面積が0.035〜0.49mm2であり、単位凸エンボスの天面面積率が2〜6%であり、かつ、幅方向の最左列と最右列の凸エンボス列における単位凸エンボスの、回転方向で最も近い単位凸エンボス同士一組が、回転方向において一部重なるように配した、
凸エンボスパターンとされている、ことを特徴とするトイレットロールの製造方法。
<請求項2記載の発明>
単位凸エンボスが、天面から凸エンボスロール基準面に向かって裾広がりとなる山形状であり、その天面から凸エンボスロールの基準面までの斜面が、天面と基準面との間から所定高さ位置までの第1傾斜面と、その所定高さ位置から基準面までの前記第1傾斜面よりも緩い第2傾斜面とを有している、請求項1記載のトイレットロールの製造方法。
<請求項3記載の発明>
単位凸エンボスが、天面から凸エンボスロール基準面に向かって裾広がりとなる山形状であり、その裾野部分が角取りされている、請求項1又は2記載のトイレットロールの製造方法。
<請求項4記載の発明>
複数枚の帯状のトイレットペーパー原紙が連続方向に沿って施されたエッジエンボスによって積層一体化されてなる複数プライのトイレットペーパーをロール状に巻いたトイレットロールであって、
前記エッジエンボスパターンが;
単位凹エンボスがトイレットペーパーの連続方向に一定間隔で配列してなる凹エンボス列が、前記連続方向に直交する幅方向に2〜5列配され、その単位凹エンボスが、前記幅方向に平行な0.3〜0.7mmの辺をトイレットロールの巻き開始側に有し、底面面積が0.035〜0.49mm2であり、底面面積率が2〜6%であり、かつ、幅方向の最左列と最右列の凹エンボス列における単位凹エンボスの、連続方向で最も近い単位凹エンボス同士一組が、連続方向において一部重なるように配した、
エッジエンボスパターンとされている、ことを特徴とするトイレットロール。
以上の本発明によれば、プライ剥離の防止性、バウンジングや片当たりの防止性、ロール状にした際のリブ状部分の形成の防止性、エッジエンボスロールの耐摩耗性に優れるトイレットロールの製造方法及びトイレットロールが提供される。
本発明の実施形態に係るトイレットロール製造方法の概略を説明するための図である。 本発明の実施形態に係るエッジエンボスの付与態様を説明するための図である。 本発明の実施例に係る凸エンボスロールを説明するための図である。 本発明の実施例に係る凸エンボスパターンを説明するための図である。 本発明の実施例に係る他の凸エンボスパターンを説明するための図である。 本発明の実施例に係る単位凸エンボスの断面図である。 本発明の実施例に係る他の単位凸エンボスの断面図である。 本発明の実施形態に係るトイレットロールの斜視図である。 プライ剥離防止性の試験方法を説明するための図である。 比較例1に係る凸エンボスパターンを説明するための図である。 比較例2に係る凸エンボスパターンを説明するための図である。 比較例3に係る凸エンボスパターンを説明するための図である。 従来例1に係る凸エンボスパターンを説明するための図である。
次いで、本発明の実施の形態について図1〜8を参照しながら詳述する。なお、限定されないが、本製造方法は、2プライ又は3プライのトイレットロールの製造に適し、特に、2プライのトイレットロールを製造するに適する。また、紙厚が100〜350μm、1プライ当り米坪が11.0〜25.0g/m2であるトイレットペーパーが巻かれたトイレットロールを製造するに適するものである。
この本実施形態のトイレットロール10の製造方法は、図1に示すように、長尺の紙管30を製造する工程(A)と、その長尺の紙管30を用いてログを製造するログ製造工程(B)と、ログを裁断して個々のトイレットロールにする裁断工程(C)と、を有する。
本実施形態の紙管製造工程は、図1中(A)に示すように、原反ロール31A,32Aから繰出された二枚の帯状の紙管原紙31,32のうち一方の紙管原紙31の一方面に糊付けロール51により糊を付与し、前記一方の紙管原紙31の糊付けされた面に他方の紙管原紙32を幅方向に一部重ね、前記他方の紙管原紙32の糊付け面と接しない面をマンドレルシャフト52に対向する面、すなわち紙管内面となる面にして、各紙管原紙31,32をマンドレルシャフト52に螺旋状に巻き付けて連続的に筒状に形成し、その筒状にされた部分をトイレットロールの複数倍幅以上の幅でカッターによりカットしてスパイラル状の長尺紙管30を形成する。
その一方、上記の長尺紙管30の製造と並行して又はその後において、ログ製造工程(図1中(B))にて、ログ70を製造する。なお、ログ70とは、業界においての一般用語であり、最終製品であるトイレットロール10の径と同径でありかつ幅が最終製品の複数個分以上ある中間製品である。
本実施形態に係るトイレットロール10の製造方法では、このログ製造工程(B)において、図2にも示すように、予めログ70の幅に対応する幅広のトイレットペーパー原紙71,71が巻きとられた複数の原反ロール71A,71Aから、それぞれトイレットペーパー原紙71,71を繰出し、重ね合わせ部81で重ね合わせた後、これを長尺紙管30に巻き付ける。そして、特にその重ね合わせから巻き付けまでの間に、重ね合わせた状態のトイレットペーパー原紙72を凸エンボスロール5及びこれを受ける受けロール6とで構成されるエッジエンボス付与手段56に通して、エッジエンボスを特徴的に付与して積層一体化する。図示例では、二枚のトイレットペーパー原紙71,71を重ねており2プライのトイレットペーパーのトイレットロールを製造する例であるが、三枚のトイレットペーパー原紙を重ねるようにすれば3プライのトイレットロールを製造することもできる。
エッジエンボスを付与する位置としては、後の裁断工程(C)においてログ70を裁断してトイレットロール10とした際に、それを構成するトイレットペーパー1の両縁部となる位置、より具体的には両縁から50mm以内の範囲の縁部となる位置に形成するのがよい。
そして、本実施形態に係るトイレットロール10の製造方法では、このエッジエンボスを付与する凸エンボスロール5における凸エンボスパターンが特徴的に以下のようになっている。すなわち、図3及び図4に示すように、凸エンボスパターンが、単位凸エンボス20が回転方向に一定間隔で配列してなる凸エンボス列20L,20L…が、回転軸方向に平行な幅方向に2〜5列配されており(図は3列のものを表している)、その単位凸エンボス20が、前記幅方向に平行な0.3〜0.7mmの辺20Eを回転方向前方側に有しているものとなっている。さらに、単位凸エンボス20の天面20xの面積が0.035〜0.49mm2とされ、単位凸エンボス20の天面面積率が2〜6%とされている。この凸エンボスパターンは、単位凸エンボス20の天面面積とその天面面積率が非常に小さい。換言すれば紙面に小さい凹エンボスが疎に配される凸エンボスパターンとなっている。したがって、この凸エンボスパターンであると、エッジエンボスが目立たず、また、ロール状にした際にエッジエンボス付与部分がリブ状に目立たない。さらに、天面面積が小さい単位凸エンボス20であっても、それを凸エンボス列20Lに形成し、幅方向に2〜5列配することで、一つの小さい単位凸エンボス20により押される部分(紙面に転写された際の単位凹エンボス)が小さくとも、それが近接配置されていることによって、プライ剥離の防止性も問題なく発揮される。
天面面積率は、図4中に二点鎖線で囲まれる符号Xで示す範囲のように、繰り返し現れるエンボスパターン範囲中にある総天面面積(天面の数×一つの天面面積)の割合である。単位凸エンボスの回転方向のピッチと凸エンボス列間の間隔が一定であれば、((一つの天面面積×列数)/(施工幅L1×ピッチL5))×100で算出される。なお、施工幅L1は、最右列の幅方向右端から最左列の幅方向左端までの幅であり、ピッチL5は、回転方向における単位凸エンボスの辺20E間の距離である。
なお、本実施形態においては、特に施工幅L1は、3.00〜13.00mmであるのが望ましい。すなわち各凸エンボス列20Lが、幅方向の3.00〜13.00mmの範囲内に収められているのが望ましい。ピッチL5は4.5〜5.5mmであるのが望ましい。
また、本実施形態に係る単位凸エンボス20は、上記のとおり回転軸方向に平行な幅方向に平行な0.3〜0.7mmの辺20Eを回転方向前方側に有しているものとなっている。したがって、この凸エンボスロール5では、単位凸エンボス20の天面20xが紙面に押し付けられる際に、その辺20Eから紙面に接することになる。単位凸エンボスが、菱形や三角形の頂点から接するパターンや円形のパターンであると、その単位凸エンボスが紙面に接し始める際に頂点や円形の一点に過度に力が加わることになるため、凸エンボスロールの特に単位凸エンボスの摩耗が生じやすくなるが、本実施形態に係る凸エンボスパターンは、常に単位凸エンボス20の天面20xは辺20Eから紙面に線接触するようになるため、一点に過度の力が加わることがなく、単位凸エンボス20の摩耗が低減される。すなわち、凸エンボスロール5の摩耗防止性に優れる。なお、辺20Eは、0.3mm未満では、摩耗防止性の効果が発現し難く、0.7mmを超えると単位凸エンボス20の大きさが大きくなりエッジエンボスが目立ちやすくなる。特に、0.3〜0.7mmの範囲であると一般的なトイレットロールの加工速度において十分な摩耗防止性を発揮する。
ここで、単位凸エンボス20の具体的形状としては、係る辺20Eを有する形状であれば限定はされないが、この辺20Eから回転方向後方に向かって広がらないような形状が望ましい。すなわち、図3及び図4に示すような当該辺20Eの両端から回転方向に沿う辺を有するような正方形や長方形、或いは図5に示すような当該辺20Eから回転方向後方に向かって狭窄するような三角形、当該辺20Eから回転方向後方に向かって狭窄するような台形などが望ましい例である。このような辺20Eから紙面に対して接触面が広がらず、同じか又は小さくなる形状であると、エッジエンボスが目立ち難くなるとともに、凸エンボスロール5の摩耗防止性においてもより優れたものとなる。
さらに、本実施形態に係る凸エンボスパターンは、凸エンボス列20Lを幅方向に2〜5列配するようにしているため、凸エンボスロール5が、紙面に対して安定的に接するようになり、凸エンボスロール5が紙面に対して傾いて接する片当たりやバウンジングの現象が発現し難くなる。そして、特に本実施形態に係る凸エンボスパターンでは、この片当たり等の防止性の効果が特別に発揮されるように、幅方向の最左列と最右列の凸エンボス列20Lにおける単位凸エンボス20の、回転方向で最も近い位置にある単位凸エンボス同士一組(例えば、図4及び図5中の20Yで囲む一組)が、回転方向において一部重なるように配されている(図4及び図5中において、最左列と最右列の凸エンボス列における単位凸エンボスの、回転方向で最も近い単位凸エンボス同士一組20Yの重なりを符号Pで示す)。換言すれば、これは、幅方向の最左列と最右列の凸エンボス列20Lにおける単位凸エンボス20の、回転方向で最も近い位置にある単位凸エンボス同士一組において、先に紙面に接し始める方の単位凸エンボス20(図中では最左列の単位凸エンボス)の回転方向後方側端20Uと、後に紙面に接し始める方の単位凸エンボス20(図中では最右列の単位凸エンボス)の回転方向前方側辺20Eとの位置が、回転方向において一致している、又は、先に紙面に接し始める方の単位凸エンボス20(図中では最左列の単位凸エンボス)の回転方向後方側端20Uより、後に紙面に接し始める方の単位凸エンボス20(図中では最右列の単位凸エンボス)の回転方向前方側辺20Eが、回転方向前方に位置するようにして配されているということである。
このような凸エンボスパターンとすることで、左右のがたつきがより一層防止され、凸エンボスロール5が幅方向にぶれることが防止され片当たり及びバウンジングが防止される。なお、図示例は、先に紙面に接する方の単位凸エンボス20が、最左列の単位凸エンボスとなっているが、本発明は必ずしも最左列の単位凸エンボスが先行するパターンに限定されない。最右列の単位凸エンボスが先行するパターン、例えば図4及び図5に示すパターンを左右対称に入れ替えたパターンであってもよい。さらには、最右列と最左列とが同時に接するパターンであってもよい。但し、何れかが先行する方ががたつきの防止効果は高い。
さらに、本実施形態に係る凸エンボスパターンは、各凸エンボス列20Lによる単位凸エンボス20が、幅方向に対して40〜50°の角度を持って配列される組みパターン20Gが連続に繰り返し現れるパターンとなっているのが望ましい。図5に示す例では、凸エンボス列が三列であるため、組みパターン20Gは、三つ組みパターンとなっている。なお、図中、幅方向との間の角度は符号∠Aで示している。このパターンであると、凸エンボスロール5と紙面との接触時に、重ね合わせたトイレットペーパー原紙71,71が幅方向へずれ難く、また、皺が逃げやすくなり、しっかりとしたエッジエンボスが付与されやすくなる。
ここで、本実施形態に係る単位凸エンボス20のエンボス高さ20Hとしては、凸エンボスロール5の基準面から0.4〜0.7mmの高さとするのが望ましい。この範囲であれば、プライ剥離を防止できる程度にしっかりとしたエッジエンボスを付与でき、また、付与時にトイレットペーパー原紙71,71に孔が形成されたり、過度にエッジエンボスが目立つようなものとなることがない。なお、0.4〜0.7mmの高さの単位凸エンボス20とした場合には、一般的なトイレットペーパーであれば、0.1〜0.7mmの深さの単位凹エンボスが形成される。
ここで、本実施形態に係る単位凸エンボス20は、特に図6に示されるような、天面20xから凸エンボスロール5の基準面Gに向かって裾広がりとなる山形状であり、その天面20xから凸エンボスロール5の基準面Gまでの斜面が、天面と基準面との間から所定高さ位置までの第1傾斜面20Aと、その所定高さから基準面Gまでの前記第1傾斜面20Aよりも緩い第2傾斜面20Bとを有するものであるのが望ましく、その場合において、特に、第1傾斜面20Aの傾斜角度∠aが55〜65°、第2傾斜面20Bの傾斜角度∠bが65〜45°であるのが望ましい。このように傾斜面を二段階の角度に形成することで、単位凸エンボス20の天面面積を小さくしても単位凸エンボス20が欠ける事故が生じ難くなり、摩耗防止性が高まる。また、凸エンボスロール5が使用によって摩耗していっても第2傾斜面20Bに係る位置まで進行した際にその摩耗速度が鈍化するため耐久性も向上する。さらに、第2傾斜面20Bまで摩耗が進行すると天面面積が広くなるため、転写される凹エンボスの形状が大きくなり、視覚的に凸エンボスロール5の交換時期を適切に判断できる副次的な効果をも奏する。第1傾斜面20Aから第2傾斜面20Bに変化する高さ位置としては、凸エンボスロール5の基準面Gから0.08〜0.25mmの高さ位置とするのが望ましい。この高さであると特に欠け防止性に優れる。
他方、上記の単位凸エンボス20が二段の傾斜面を有するものとするのと同様の効果を奏するものとして、図7に示すように、単位凸エンボス20を、天面20xから凸エンボスロール基準面Gに向かって裾広がりとなる山形状にして、その裾野部分20Cを角取りするように構成してもよい。この場合の角取りはR=0.2〜0.3mmとするのが望ましい。
なお、エッジエンボス付与手段でのエンボス圧は原紙の米坪及び紙厚などを考慮して適宜に調整すればよい。
上述のとおり凸エンボスパターンを有する凸エンボスロール5と受けロール6との組み合わせによりエッジエンボスを付与した後には、そのエッジエンボスが付与されて積層一体化されたトイレットペーパー原紙73を、適宜にミシン目線を形成するなどした後、巻き取り機で巻き取ってログ70とする。そして、ログ70を製造したならば、本実施形態に係るトイレットロールの製造方法では、そのログ70を既知のログアキュームレーターX3で複数本をストックしつつ後段のログカッター設備X4へと移動させる。そして、その後に図1中(C)に示すように、既知のログカッター91でログ70を製品幅に裁断し、個々のトイレットロール10,10…とする。
この本実施形態の製造方法に係るトイレットロール10は、図8に示すように、複数枚の製品幅の帯状のトイレットペーパー原紙11,11がその縁部において連続方向に沿って施されたエッジエンボス2によって積層一体化されてなる複数プライのトイレットペーパー1が紙管3にロール状に巻かれたものとなる。
エッジエンボス2が配される位置は、上述のとおりトイレットペーパー1の両縁部、より具体的には両縁から50mm以内の範囲の縁部にそれぞれにあるのが好ましいが、必ずしもこの位置に限定されない。また、片側縁部のみに配されていてもよい。プライ数については、2プライから3プライであるのが望ましく、特に、2プライであるのが望ましい。また、トイレットペーパー1の紙厚は、100〜350μm、また、1プライ当り米坪は、11.0〜25.0g/m2であるのが望ましい。このプライ数、紙厚及び米坪の範囲にあると使用時の柔らかさや吸水性を確保でき、特に、本発明に係る構成の凸エンボスパターンによる効果がより顕著となる。
なお、ここでの米坪とは、JIS P 8124(1998)の米坪測定方法によるものであり、紙厚とは、JIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて5回測定した平均値をいう。
トイレットロール10の大きさ等は、限定されないが、一般的には、幅L2が100〜120mm、直径L3が100〜120mm、巻き長さ(トイレットペーパーの全長)が18〜70m、紙管内径L4が35〜50mmであり、本発明に係るトイレットロール10もこの範囲のものとすることができる。また、この大きさ及び巻き長さにおいて、エッジエンボス付与部分がリブ状に盛り上がる現象が好適に防止されたものとなる。
他方、本実施形態に係るトイレットペーパー1に施されるエッジエンボス2は、上記凸エンボスロール5における凸エンボスパターンが転写されたものであり、すなわち、単位凸エンボス20に対応する単位凹エンボス25が形成されたエッジエンボスパターンとなっている。すなわち、エッジエンボスのパターンは、単位凹エンボス25がトイレットペーパー1の連続方向に一定間隔で配列してなる凹エンボス列25Lが、前記連続方向に直交する幅方向に2〜5列配され、その単位凹エンボス25が、連続方向に直交する幅方向に平行な0.3〜0.7mmの辺をトイレットロールの巻き開始側に有するものとなっている。また、その単位凹エンボス25は、底面面積が0.035〜0.49mm2であり、底面面積率が2〜6%である。なお、単位凹エンボスの底面は、凸エンボスの天面が押されて形成される部分である。また、幅方向の最左列と最右列の凹エンボス列25における単位凹エンボス25の、連続方向で最も近い単位凹エンボス同士一組が、連続方向においてその縁又は端が重なるように配されている。このエッジエンボス2のパターン及びそれによる効果は、上記凸エンボスパターン5における説明において明らかにしたとおりである。
次いで、本発明の実施例、比較例及び従来例の凸エンボスパターンに関して、凸エンボスロールの摩耗性、見た目の意匠性(目立つか否か)、プライ剥離の防止性について試験を行なった。トイレットペーパー原紙は、実施例、比較例及び従来例のいずれも米坪が16.5g/m2のトイレットペーパー原紙を2枚重ねにしたものであり、2プライ構造のものを製造することを想定した。厚みは210μm(2プライ)である。
各例に係る凸エンボスパターンの概要及び結果は、下記表1に示すとおりである。
なお、実施例1及び実施例2は、図4に示すパターンであり、天面形状が正四角形であり、天面面積が0.38mm2である単位凸エンボスが、回転方向に所定ピッチで配される凸エンボス列が3列幅方向に均等間隔で並ぶパターンとした。実施例1及び実施例2の施工幅L1は5.4mmであり、ピッチL5は5mmである。
なお、比較例1に係る凸エンボスパターンは、図10に示すとおりであり、天面形状が細長平行四辺形であり、天面面積2.5mm2である単位凸エンボス120Aが回転方向に連続して配されたパターンとした。比較例1における「回転方向における重なり幅の割合」の算出基準となる重なり部分は、図10におけるP’であり0.5mmである。また、比較例1における施工幅L1aは5mmであり、ピッチL5aは5mmである。
比較例2に係る凸エンボスパターンは、図11に示すとおりであり、天面形状が正方形であり、天面面積0.25mm2である単位凸エンボス120Bが回転方向に所定ピッチで配される凸エンボス列が3列幅方向に並ぶパターンとした。但し、実施例と異なり、単位凸エンボス120Bが、回転方向において一部重なる配置を有さない。なお、比較例2における施工幅L1bは3.2mmであり、ピッチL5bは5mmである。
比較例3に係る凸エンボスパターンは、図12に示すとおりであり、天面形状が真円であり、天面面積0.03mm2である単位凸エンボス120Cが回転方向に所定ピッチで配される凸エンボス列が5列幅方向に並ぶパターンとした。なお、比較例3における施工幅L1cは3.2mmであり、ピッチL5cは4mmである。
従来例1に係る凸エンボスパターンは、図13に示すとおりであり、天面形状が正方形であり、天面面積1.21mm2である単位凸エンボス120Dが回転方向に所定ピッチで配される凸エンボス列が2列幅方向に並ぶパターンとした。なお、従来例1における施工幅L1dは3.8mmであり、ピッチL5dは5.4mmである。
評価については、「見た目の意匠性」は、エッジエンボスが目立たないか否かを目視にて確認し、特に目立たないものを◎、目立たないものを○、目立つものを×と評価した。
「凸エンボスロールの摩耗性」については、凸エンボスロールの摩耗を確認し、表中に示す従来例を基準としてそれ以下のものを×、従来例と同等の摩耗であったものを○、従来例よりも摩耗がないものを◎と評価した。
「プライ剥離の防止性」については、図9の(1)正面視、(2)側面視を示したように、トイレットペーパーのエッジエンボスを含むようにして幅方向に20mm、連続方向に240mmのミシン目のない範囲で裁断した試料を用意し、その試料を連続方向の一方端から裁断長の33%を残して剥離して、その分離端25mmを引張り試験機の各チャックに固定してセットして、一方のチャックを100mm/minの速度で、裁断長の22%の長さを引っ張った際の、プライ剥離の強度を測定した。その測定値が4.5〜5.5cNの範囲にあれば◎、5.5cNを超えるものは○、4.5cN未満は×とした。
Figure 0006284185
表1の結果から理解されるとおり、本発明の構成を採ることで、エッジエンボスの存在が目立たず、しかも、凸エンボスロールの耐摩耗性、トイレットペーパーのプライ剥離の防止性について、良好な結果となることが示された。本発明の構成外とすると、見た目の意匠性、凸エンボスロールの耐摩耗性の何れかにおいて、十分な効果が得られなかった。このことから、本発明に係る凸エンボスパターンとすることにより、見た目の意匠性に優れ、凸エンボスロールの耐摩耗性が向上し、しかも十分なプライ剥離の防止性を有するものとなることが示された。
10…トイレットロール、11…トイレットペーパー原紙、1…トイレットペーパー、2…エッジエンボス、3…紙管、31A,32A…原反ロール、31、32…紙管原紙、51…糊付けロール、44…糊、52…マンドレルシャフト、58…カッター、30…長尺紙管、71…幅広のトイレットペーパー原紙、70…ログ、5…凸エンボスロール、6…受けロール、56…エッジエンボス付与手段、20…単位凸エンボス、21…凸エンボス列、20E…単位凸エンボスの凸エンボスロールの回転軸方向に平行な幅方向に平行な辺、20x…単位凸エンボスの天面、L1…施工幅、20Y…最左列と最右列の回転方向に近接する単位凸エンボスの組み、∠A…三つ組みパターンとトイレットペーパー原紙の幅方向の角度、G…凸エンボスロールの基準面、20H…単位凸エンボスの高さ、20A…第1傾斜面、20B…第2傾斜面、20C…裾野部分、L2…トイレットロールの幅、L3…トイレットロールの直径、L4…紙管内径、25…単位凹エンボス、25L…凹エンボス列、2…エッジエンボス(型押し)、91…ログカッター。

Claims (4)

  1. 複数枚の帯状のトイレットペーパー原紙を重ね合わせた状態で連続方向に沿って、凸エンボスロールにより型押しし、積層一体化してプライ構造のトイレットペーパーとするエッジエンボス付与工程を有するトイレットロールの製造方法であって、
    前記凸エンボスロールの凸エンボスパターンが;
    単位凸エンボスが回転方向に一定間隔で配列してなる凸エンボス列が、回転軸方向に平行な幅方向に2〜5列配され、その単位凸エンボスが、回転軸方向に平行な幅方向に平行な0.3〜0.7mmの辺を回転方向前方側に有し、天面面積が0.035〜0.49mm2であり、単位凸エンボスの天面面積率が2〜6%であり、かつ、幅方向の最左列と最右列の凸エンボス列における単位凸エンボスの、回転方向で最も近い単位凸エンボス同士一組が、回転方向において一部重なるように配した、
    凸エンボスパターンとされている、ことを特徴とするトイレットロールの製造方法。
  2. 単位凸エンボスが、天面から凸エンボスロール基準面に向かって裾広がりとなる山形状であり、その天面から凸エンボスロールの基準面までの斜面が、天面と基準面との間から所定高さ位置までの第1傾斜面と、その所定高さ位置から基準面までの前記第1傾斜面よりも緩い第2傾斜面とを有している、請求項1記載のトイレットロールの製造方法。
  3. 単位凸エンボスが、天面から凸エンボスロール基準面に向かって裾広がりとなる山形状であり、その裾野部分が角取りされている、請求項1又は2記載のトイレットロールの製造方法。
  4. 複数枚の帯状のトイレットペーパー原紙が連続方向に沿って施されたエッジエンボスによって積層一体化されてなる複数プライのトイレットペーパーをロール状に巻いたトイレットロールであって、
    前記エッジエンボスパターンが;
    単位凹エンボスがトイレットペーパーの連続方向に一定間隔で配列してなる凹エンボス列が、前記連続方向に直交する幅方向に2〜5列配され、その単位凹エンボスが、前記幅方向に平行な0.3〜0.7mmの辺をトイレットロールの巻き開始側に有し、底面面積が0.035〜0.49mm2であり、底面面積率が2〜6%であり、かつ、幅方向の最左列と最右列の凹エンボス列における単位凹エンボスの、連続方向で最も近い単位凹エンボス同士一組が、連続方向において一部重なるように配した、
    エッジエンボスパターンとされている、ことを特徴とするトイレットロール。
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