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JP6271732B2 - 静電容量値分布検出回路、タッチパネルシステム、及び電子機器 - Google Patents

静電容量値分布検出回路、タッチパネルシステム、及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、複数の第1信号線と複数の第2信号線との交点にそれぞれ形成される複数のキャパシタの静電容量の分布を検出する静電容量値分布検出回路、並びに、これを用いたタッチパネルシステム及び電子機器に関する。特に、本発明は、隣接する第2信号線に沿って出力される線形和信号を差動増幅する差動増幅器の出力から当該分布を検出する静電容量値分布検出回路、並びに、これを用いたタッチパネルシステム及び電子機器に関する。
従来、隣接するセンスラインに沿って出力される線形和信号を差動増幅する差動増幅器の出力から、複数のドライブラインと複数のセンスラインとの交点にそれぞれ形成される複数のキャパシタの静電容量の分布を検出するタッチパネルコントローラが知られている。差動増幅器によって複数のセンスラインの出力信号を増幅すると、タッチパネルコントローラのノイズ耐性を十分に強めることができる。このようなタッチパネルコントローラが特許文献1に開示されている。
図7は、特許文献1に開示されている、タッチパネルコントローラ3を備えたタッチパネルシステム1の構成を示す回路図である。タッチパネルシステム1は、タッチパネル2とタッチパネルコントローラ3とを備えている。タッチパネル2は、ドライブラインDL1〜DL4とセンスラインSL1〜SL4との交点にそれぞれ形成されたキャパシタC11〜C44を有している。
タッチパネルコントローラ3は、キャパシタC11〜C44をドライブラインDL1〜DL4に沿って駆動する駆動回路4を有している。
タッチパネルコントローラ3には、センスラインSL1〜SL4のうち隣接する2本に接続された複数の増幅回路7が設けられている。各増幅回路7は、駆動回路4により駆動されたキャパシタC11〜C44に基づく複数個の線形和信号をセンスラインSL1〜SL4に沿って読み出して増幅する。各増幅回路7は、センスラインSL1〜SL4のうち接続された2本から線形和信号が入力され、これらの線形和信号を差動増幅する。増幅回路7は、差動増幅器18と、差動増幅器18に並列に接続された積分容量Cint及びリセットスイッチを有している。差動増幅器18は、互いに隣接するセンスラインに沿って読み出される線形和信号を受け取って増幅する。
タッチパネルコントローラ3は、増幅回路7の出力をアナログ・デジタル変換するAD変換回路13と、アナログ・デジタル変換された増幅回路7の出力に基づいてキャパシタC11〜C44の静電容量を推定する復号演算回路8とを有している。
国際公開第2014/042153号公報(2014年3月20日公開)
しかしながら、差動増幅器18によって増幅回路7を構成したタッチパネルシステム1では、差動増幅器18の出力信号に壁ノイズが混入する可能性がある。壁ノイズとは、タッチパネル2とタッチパネル2に接触または近接する物体との間に形成される容量(いわゆる、自己容量)に起因して、差動増幅器18の出力信号に重畳するノイズである。壁ノイズは、全てのドライブラインDL1〜DL4に対応する、復号演算回路8による復号の結果を概ね均一に変動させ、これにより、タッチパネルシステム1では、キャパシタC11〜C44の静電容量の推定結果に悪影響が及び、タッチ位置を誤認識する可能性がある。
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、壁ノイズに起因するタッチ位置の誤認識が発生する可能性を低減させることを可能とする静電容量値分布検出回路、並びに、これを用いたタッチパネルシステム及び電子機器を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る静電容量値分布検出回路は、D本の第1信号線(Dは複数)と一対の第2信号線との交点にそれぞれ形成される複数のキャパシタの静電容量の分布を検出する静電容量値分布検出回路であって、M行N列の符号系列(M、NはD<N≦Mを満たす整数)のうちのM行D列の部分符号系列に基づいて、前記複数のキャパシタを並列駆動する駆動回路と、前記駆動回路により並列駆動されたキャパシタに蓄積された電荷に基づく線形和信号を前記一対の第2信号線に沿って読み出し、差動増幅して出力する差動増幅器と、前記差動増幅器の出力と前記M行N列の符号系列との内積演算に基づいて前記差動増幅器の出力を復号する復号回路と、前記復号回路による復号結果のうち、前記M行D列の部分符号系列に対応する復号結果である実復号結果を、前記M行N列の符号系列から前記M行D列の部分符号系列を除去した残余符号系列に対応する復号結果であるダミー復号結果を参照して補正する補正回路とを備えていることを特徴としている。
本発明の一態様によれば、壁ノイズに起因するタッチ位置の誤認識が発生する可能性を低減させることが可能となる。
本発明の実施の形態1に係るタッチパネルシステムの構成を示す回路図である。 図2の(a)及び(b)は、壁ノイズの発生メカニズムを説明する図である。 図3の(a)及び(b)は、壁ノイズがほとんどない場合の復号の結果と、大きな壁ノイズがある場合の復号の結果とを対比するグラフである。 復号演算について説明する図である。 後述する成分Aに対して成分Bが無視できない場合の、静電容量値推定回路による補正について説明するグラフである。 本発明の実施の形態2に係るタッチパネルシステムの構成を示す回路図である。 従来技術に係るタッチパネルコントローラを備えたタッチパネルシステムの構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態3に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
〔壁ノイズの発生メカニズム〕
図2の(a)及び(b)、並びに、図7を参照して、壁ノイズの発生メカニズムについて説明する。
図2の(a)及び(b)は、図7に示す増幅回路7を参照して、壁ノイズの発生メカニズムを説明する図である。図2の(a)は増幅回路7のリセット状態を示しており、図2の(b)は増幅回路7の積分状態を示している。
図2の(a)及び(b)中、キャパシタCa1及びCb1は、いわゆる相互容量である。キャパシタCa1は、センスラインSL1〜SL4のいずれかであるセンスラインSLaと、センスラインSLaと交差するドライブラインDL1と、の交点に形成されるキャパシタを示している。同様に、キャパシタCb1は、センスラインSL1〜SL4のいずれかでありセンスラインSLaに隣接するセンスラインSLbと、センスラインSLbと交差するドライブラインDL1と、の交点に形成されるキャパシタを示している。つまり、キャパシタCa1及びCb1は、キャパシタC11〜C41(図7参照)のいずれか1つに相当し、静電容量方式のタッチパネルシステムの動作原理上、必要不可欠なものである。
一方、図2の(a)及び(b)中、容量Cp1及びCp2は、各センスラインSLa及びSLbと対AC接地ノード間との容量成分である。容量Cp1及びCp2は例えば、2層のプリント基板(図示しない)上の一層に各センスラインSLa及びSLb、もう一方の一層にベタGNDが配置されていて、各センスラインSLa及びSLbがベタGND上に配線されている場合の(寄生)容量成分であったり、タッチパネル2とタッチパネル2に接触または近接する物体との間に形成されるいわゆる自己容量等である。容量Cp1及びCp2の静電容量の変化は、相互静電容量方式のタッチパネルシステムの動作を妨げ得るものであり、発生しないほうが好ましい。しかしながら、容量Cp1及びCp2は一種の寄生容量であり、容量Cp1及びCp2の静電容量の変化を発生させないようにすることは難しい。
増幅回路7の差動増幅器18の各入力端子には、コモンモード電圧Vcが印加されている。ここで、図2の(a)に示すとおり、増幅回路7のリセット状態においては、ドライブラインDL1は接地されており、各リセットスイッチは短絡されている。
増幅回路7の積分状態になると、図2の(b)に示すとおり、ドライブラインDL1に駆動電圧Vdが印加され(ドライブラインDL1が駆動され)、各リセットスイッチは解放される。
ここで、図2の(a)及び(b)に示すノードXにおける電荷保存より、下記数式(1)が成り立つ。また、図2の(a)及び(b)に示すノードYにおける電荷保存より、下記数式(2)が成り立つ。
(Ca1+Cp1)Vc=Ca1(Vc+Voff−Vd)+Cp1(Vc+Voff)+Cint(Voff+Vout/2) ・・・(1)
(Cb1+Cp2)Vc=Cb1(Vc+Voff−Vd)+Cp2(Vc+Voff)+Cint(Voff−Vout/2) ・・・(2)
これにより、増幅回路7の積分状態におけるオフセット電圧Voffは、下記数式(3)によって求められる。また、増幅回路7の積分状態における増幅回路7の出力Voutは、下記数式(4)によって求められる。
Voff=(Ca1+Cb1)Vd/(Ca1+Cb1+Cp1+Cp2+2Cint) ・・・(3)
Vout={(Ca1−Cb1)(Vd−Voff)−(Cp1−Cp2)Voff}/Cint ・・・(4)
数式(4)から、出力Voutは、相互容量であるキャパシタCa1及びCb1の容量差に比例する成分と、容量Cp1及びCp2の容量差に比例する成分とを含んでいる。つまり、出力Voutは、容量Cp1及びCp2の静電容量の変化に依存して変化し、この出力Voutを変化させるノイズが、壁ノイズであると言える。
なお、オフセット電圧Voffが駆動電圧Vdと比較して十分小さく、かつCp1=Cp2である場合、下記数式(5)に示す出力Voutを得ることができる。
Vout=(Ca1−Cb1)Vd/Cint ・・・(5)
また、以下、出力Voutにおける、キャパシタCa1及びCb1の容量差に比例する成分(Ca1−Cb1)(Vd−Voff)を成分Aと称し、容量Cp1及びCp2の容量差に比例する成分−(Cp1−Cp2)Voffを成分Bと称する。
図3の(a)及び(b)は、壁ノイズがほとんどない場合の復号の結果(図3の(a))と、大きな壁ノイズがある場合の復号の結果(図3の(b))とを対比するグラフである。図3の(a)及び(b)において、横軸は復号の結果に対応する各ドライブラインの位置を示しており、縦軸は復号の結果の大きさを示している。また、タッチ位置Tpの横軸の位置(範囲)は、図3の(a)と図3の(b)とで互いに同じである。
図3の(a)では、タッチ位置Tp以外において復号の結果は0に近い値となっている。一方、図3の(b)では、壁ノイズに起因して、復号の結果の値は、タッチに伴う出力が正の場合は大きく、同出力が負の場合は小さくなっている。なお、このような復号の結果の値の変動は、タッチ位置Tp内であるか否かに関係無く、全ドライブラインの位置において同程度(図3の(b)中、wn+及びwn−)生じている。
なお、図3の(a)に示す、壁ノイズがほとんどない復号の結果が得られる条件は、例えば符号長が15であり、駆動されるドライブラインの総数が15である。
なお、図3の(a)及び(b)中「系列1」は例えば、後述する実施の形態1における、センスラインSL4からの線形和信号とセンスラインSL3からの線形和信号との差である。また、図3の(a)及び(b)中「系列2」は例えば、後述する実施の形態1における、センスラインSL6からの線形和信号とセンスラインSL5からの線形和信号との差である。
〔実施の形態1〕
説明の便宜上、先に説明した部材と同じ符号を付記する部材については、同じ機能を有し、その説明を省略する。
図1は、本実施の形態に係る静電容量値分布検出回路を備えているタッチパネルシステム101の構成を示す回路図である。タッチパネルシステム101は、タッチパネル102とタッチパネルコントローラ103とを備えている。タッチパネル102は、ドライブラインDL1〜DL7とセンスライン(第2信号線)SL1〜SL7とを備えている。また、タッチパネル102は、ドライブライン(第1信号線)DL1〜DL5とセンスラインSL1〜SL7との交点にそれぞれ形成されたキャパシタC11〜C75を有している。
タッチパネルコントローラ103は、キャパシタC11〜C75をドライブラインDL1〜DL5に沿って駆動する駆動回路104を有している。ここで、駆動回路104は、ドライブラインDL1〜DL7のうち、ドライブラインDL1〜DL5を並列駆動する一方、ドライブラインDL6及びDL7を駆動しない。
また、駆動回路104は、並列駆動されるドライブラインDL1〜DL5の本数(D本)より多い行数(M行)及び列数(N列)を有する符号系列に基づいて、ドライブラインDL1〜DL5を並列駆動する。例えば、駆動回路104は、7行7列(M行N列)の直交符号系列のうちの7行5列(M行D列)に基づいてドライブラインDL1〜DL5を駆動する(符号長:7)。
タッチパネルコントローラ103には、センスラインSL1〜SL7のうち隣接する2本に接続された複数の増幅回路7が設けられている。各増幅回路7は、駆動回路104により駆動されたキャパシタC11〜C75に蓄積された電荷に基づく複数個の線形和信号をセンスラインSL1〜SL7に沿って読み出して増幅する。各増幅回路7は、センスラインSL1〜SL7のうち接続された2本(一対の第2信号線)から線形和信号が入力され、これらの線形和信号を差動増幅する。増幅回路7は、差動増幅器18と、差動増幅器18に並列に接続された積分容量Cint及びリセットスイッチを有している。差動増幅器18は、互いに隣接するセンスラインに沿って読み出される線形和信号を受け取って増幅する。
タッチパネルコントローラ103は、増幅回路7の出力をアナログ・デジタル変換するAD変換回路(アナログ・デジタル変換回路)13と、アナログ・デジタル変換された増幅回路7の出力に基づいてキャパシタC11〜C75の静電容量を推定する復号演算回路108とを有している。
復号演算回路108は、復号回路108aと静電容量値推定回路(補正回路)108bとを備えている。復号回路108aは、アナログ・デジタル変換された各増幅回路7の出力と、前記7行7列の直交符号系列との内積演算に基づいて各増幅回路7の出力を復号する。静電容量値推定回路108bは、ドライブラインDL1〜DL5とセンスラインSL1〜SL7との交点に対応する復号回路108aによる復号の結果(実復号結果)を、ドライブラインDL6及びDL7とセンスラインSL1〜SL7との交点に対応する復号回路108aによる復号の結果(ダミー復号結果)を参照して補正し、キャパシタC11〜C75の静電容量を推定する。前記実復号結果は、前記7行5列の部分符号系列に対応する復号結果である。前記ダミー復号結果は、前記7行7列の符号系列から前記7行5列の部分符号系列を除去した符号系列(残余符号系列)に対応する復号結果である。
(復号演算及び壁ノイズ成分の特定)
図4は、復号演算について説明する図である。図4では、センスラインSL1〜SL7のうちの任意の1本であるセンスラインSLに着目する。
例えば、タッチパネルシステム101では、7行7列のM系列符号のうちの7行5列によりキャパシタを並列駆動することによって静電容量を推定することができる。数式(6)〜数式(8)に示すように、線形和信号である読取値Ya〜Ygと前記7行7列のM系列符号との内積を演算することにより、キャパシタCa〜Ceの静電容量を推定することができる。「M系列」は、二進擬似乱数列の一種であり、1と−1(または1と0)の2値のみから構成される。M系列の1周期の長さは、2−1である。長さ=2−1=7のM系列の例としては、「1、−1、−1、1、1、1、−1」が挙げられる。ここでは、駆動回路104が7行7列の直交符号系列に基づいてドライブラインDL1〜DL5を並列駆動する例を説明する。
センスラインSLとドライブラインDL1〜DL5との交点のそれぞれには、キャパシタCa〜Ceが形成されている。キャパシタCa〜Ceは相互容量であり、キャパシタC11〜C15、キャパシタC21〜C25、・・・、キャパシタC71〜75のいずれか(図1参照)に相当する。
駆動回路104(図1参照)は、ドライブラインDL1〜DL5をTime1〜Time7の7回並列駆動し、ドライブラインDL6及びDL7は駆動せず、当該並列駆動毎にセンスラインSLから出力される線形和信号を増幅回路7が読み取る(読取値Ya〜Yg)。このとき、キャパシタCa〜Ceの静電容量と読取値Ya〜Ygとの関係は、図4の数式(6)となる。ここで、数式(6)の左辺にある7行7列の行列は、駆動回路104がドライブラインDL1〜DL5を駆動するための駆動符号である。当該駆動符号の各行は7回の並列駆動の各々に相当し、当該駆動符号の各列は各ドライブラインDL1〜DL7に相当する。なお、数式(6)にて7行7列の行列の計算を可能にするため、ドライブラインDL6及びDL7に駆動符号を割り当てると共に、センスラインSLとドライブラインDL6及びDL7との交点のそれぞれに架空のキャパシタCf及びCgが存在する設定としている。ドライブラインDL6及びDL7については、駆動されず、実際にキャパシタを有していないことは言うまでもない。
復号演算回路108の復号回路108a(図1参照)は、数式(6)の両辺に、左から、上記駆動符号の転置行列(復号符号)を掛け(内積演算を実施し)、復号を行う(数式(7))。
数式(8)の左辺には、数式(7)の左辺において、復号符号(駆動符号の転置行列)と駆動符号との内積をとったものを示している。数式(8)の右辺は、復号回路108aによる復号後のデータに相当する。
ここからは、タッチパネルシステム101において壁ノイズ成分を特定する原理について説明する。ここでは、符号長が7であり、ドライブラインDL1〜DL7のうちドライブラインDL1〜DL5のみを駆動する場合を例に説明する。また、ここでは、センスラインSLとドライブラインDL1〜DL7との交点のそれぞれを交点D1〜D7と称する。
交点D3に対してタッチが行われたとする。この場合、交点D3にあるキャパシタCcの静電容量が変化することでセンスラインSLから出力される線形和信号のレベルが変化し、交点D1〜D5の各々における自己容量の存在に起因して当該線形和信号のレベルが変化する。ここでは、当該線形和信号のレベルが変化する要素を、交点D1〜D7のそれぞれについて、成分Aに係る信号変化量であるA3と成分Bに係る信号変化量であるB1、B2、B3、B4、及びB5とを用いて、下記のように表す。
交点D1:B1
交点D2:B2
交点D3:A3+B3
交点D4:B4
交点D5:B5
交点D6:0(ドライブラインDL6が駆動されておらず、信号出力が無いと解釈されるため)
交点D7:0(ドライブラインDL7が駆動されておらず、信号出力が無いと解釈されるため)
また、復号演算回路108の復号回路108aによる復号により、上記線形和信号から、交点D1〜D7の各々に対応する復号の結果が得られる。すなわち、交点D1〜D7の各々に対応する復号の結果は、下記のとおりである(説明を簡潔にするために、交点D1〜D7のそれぞれに対応する前記線形和信号のレベルが変化する要素について、D1〜D7と称している)。ここでは、簡単化のため、A3=AかつB1=B2=B3=B4=B5=Bとする。
復号の結果(交点D1に対応):+7D1−D2−D3−D4−D5−D6−D7=+7B1−B2−(A3+B3)−B4−B5−0−0=−A+3B
復号の結果(交点D2に対応):−D1+7D2−D3−D4−D5−D6−D7=−B1+7B2−(A3+B3)−B4−B5−0−0=−A+3B
復号の結果(交点D3に対応):−D1−D2+7D3−D4−D5−D6−D7=−B1−B2+7(A3+B3)−B4−B5−0−0=7A+3B
復号の結果(交点D4に対応):−D1−D2−D3+7D4−D5−D6−D7=−B1−B2−(A3+B3)+7B4−B5−0−0=−A+3B
復号の結果(交点D5に対応):−D1−D2−D3−D4+7D5−D6−D7=−B1−B2−(A3+B3)−B4+7B5−0−0=−A+3B
復号の結果(交点D6に対応):−D1−D2−D3−D4−D5+7D6−D7=−B1−B2−(A3+B3)−B4−B5+0−0=−A−5B
復号の結果(交点D7に対応):−D1−D2−D3−D4−D5−D6+7D7=−B1−B2−(A3+B3)−B4−B5−0+0=−A−5B
つまり、対応するドライブラインDL1〜DL5が駆動されている交点D1〜D5ではいずれも、復号の結果において3Bの成分が観測されている。一般化して述べると、対応するドライブラインが駆動されている前記交点では、復号の結果(真復号結果)において「(符号長−駆動されるドライブラインの総数+1)×B」の成分が観測される。
一方、対応するドライブラインDL6及びDL7が駆動されていない交点D6及びD7ではいずれも、復号の結果において−5Bの成分が観測されている。一般化して述べると、対応するドライブラインが駆動されていない前記交点では、復号の結果(ダミー復号結果)において「(−駆動されるドライブラインの総数)×B」の成分が観測される。
成分A>>成分Bであり、成分Aに対して成分Bが無視できる場合、成分Aに係る信号変化があった交点D3以外の各交点D1、D2、D4、D5、D6、及びD7に対応する復号の結果は、−Aとなり、信号変化には無かった成分が現れている。
一方、成分Aに対して成分Bが無視できない場合、成分Aに係る信号変化があった交点D3以外の各交点D1、D2、D4、及びD5に対応する復号の結果は、+3BのB成分を有し、各交点D6及びD7に対応する復号の結果は、−5BのB成分を有する。つまり、本来検出したい成分Aに係る信号変化以外に、各交点D1〜D5に対応する復号の結果には、+3Bの壁ノイズ成分が、各交点D6及びD7に対応する復号の結果には、−5Bの壁ノイズ成分が混入した結果となる。
(交点D1〜D5に対応する復号の結果の補正)
静電容量値推定回路108bは、まず、交点D6及びD7に対応する復号の結果の平均値を求める。なお、静電容量値推定回路108bが当該平均値を求めることは、最も好適な例の一つに過ぎず、静電容量値推定回路108bは、交点D6及びD7に対応する復号の結果のいずれかを選択してもよい。
成分Aに対して成分Bが無視できる場合、静電容量値推定回路108bは、交点D1〜D5に対応する復号の結果から前記平均値を減算する。こうして、静電容量値推定回路108bは、交点D1〜D5に対応する復号の結果を補正する。
成分Aに対して成分Bが無視できない場合、静電容量値推定回路108bは、前記平均値に含まれるB(比例係数)に相当する当該平均値の変化量を算出する。そして、静電容量値推定回路108bは、交点D1〜D5に対応する復号の結果からBに比例する交点D1〜D5に対応する復号の結果の成分を減算する。こうして、静電容量値推定回路108bは、交点D1〜D5に対応する復号の結果を補正する。
成分Aに対して成分Bが無視できない場合の、静電容量値推定回路108bによる補正について、図5に示すグラフを参照して詳細に説明する。図5に示すグラフでは、符号長が31であり、駆動するドライブラインの総数が18である場合を例示している。図5に示すグラフにおいて、横軸はセンスラインとドライブラインとの交点の番号を示しており、縦軸は復号の結果の値を示している。図5に示すグラフでは、交点の番号1〜18のそれぞれにある各ドライブラインが駆動されており、交点の番号19〜31のそれぞれにある各ドライブラインが駆動されていないものとする。
符号長が31であり、駆動するドライブラインの総数が18である場合、交点の番号1〜18に対応する復号の結果において14Bの成分が観測され、交点の番号19〜31に対応する復号の結果において−18Bの成分が観測される。
ここで、正である復号の結果(折れ線)51pに関し、交点の番号19〜31に対応する復号の結果はおよそ−50で均一となっている。このことから、交点の番号19〜31に対応する復号の結果の平均値を−50とすると、Bに相当する当該平均値の変化量は、−50/−18で表され、交点の番号1〜18に対応する復号の結果に含まれるBに比例する成分14Bは、14・−50/−18、すなわちおよそ38.9で表される。
そして、静電容量値推定回路108bは、復号の結果(折れ線)51pから、14Bに相当する38.9を減算し、補正後の復号の結果(折れ線)52pを得る。
なお、負である復号の結果(折れ線)51nに関しても、復号の結果(折れ線)51nに、前記と同様の手順で求められた成分14Bに相当する復号の結果の変化量を減算すればよい。復号の結果(折れ線)51nに対する補正の手順は、復号の結果(折れ線)51pに対する補正の手順と同様であるため、詳細な説明については省略する。
なお、成分Aに対して成分Bが無視できるか否かが不明である場合、静電容量値推定回路108bは、成分Aに対して成分Bが無視できる場合の補正(第1補正)と、成分Aに対して成分Bが無視できない場合の補正(第2補正)との両方を実施する。そして、交点の番号1〜18に対応する復号の結果の各値(複数のキャパシタの静電容量の推定値に対応)のうち、より多くが所定の数値範囲thに収まるほうの補正により、交点の番号1〜18に対応する復号の結果を補正すればよい。所定の数値範囲thは、交点の番号1〜18に対応する復号の結果の値として許容できる範囲を適宜設定すればよい。
このように、成分Aに対して成分Bが無視できる場合の補正と成分Aに対して成分Bが無視できない場合の補正とのうち、より適切な補正が行われているほうを選択することにより、より高精度の補正を行うことができる。
タッチパネルシステム101によれば、壁ノイズに起因する復号の結果の変化を補正することができるため、壁ノイズに起因するタッチ位置の誤認識が発生する可能性を低減させることが可能となる。
すなわち、タッチパネルシステム101によれば、交点D1〜D5に対応する復号の結果を、交点D6及びD7に対応する復号の結果を参照して補正することにより、線形和信号から壁ノイズ成分を特定することが可能となる。そして、特定した壁ノイズ成分を排除するように交点D1〜D5に対応する復号の結果を補正することにより、壁ノイズに起因するタッチ位置の誤認識が発生する可能性を低減させることが可能となる。
並列駆動されるドライブラインの総数をD、前記符号系列の行数をM、前記符号系列の列数をNとすると、Dは複数であり、D、M、NはD<N≦Mを満たす整数であればよい。
〔実施の形態2〕
説明の便宜上、先に説明した部材と同じ符号を付記する部材については、同じ機能を有し、その説明を省略する。
図6は、本実施の形態に係る静電容量値分布検出回路を備えているタッチパネルシステム201の構成を示す回路図である。
図6に示すタッチパネルシステム201は、タッチパネル102のかわりにタッチパネル202を備えている点が、図1に示すタッチパネルシステム101と異なっており、その他の構成はタッチパネルシステム101と同じである。図6に示すタッチパネル202は、ドライブラインDL6及びDL7を備えていない点が、図1に示すタッチパネル102と異なっており、その他の構成はタッチパネル102と同じである。
前記線形和信号のレベルが変化する要素を、センスラインSL1〜SL7とドライブラインDL6及びDL7との交点のそれぞれについて表せば、0である。換言すれば、理論上、ドライブラインDL6及びDL7の有無は、当該線形和信号に影響を及ぼさない。
このことから、ドライブラインDL6及びDL7を省略することが可能である。換言すれば、ドライブラインDL6及びDL7を、実体の無い架空のドライブライン(駆動されていない)として取り扱うことができる。
タッチパネルシステム201では、ドライブラインDL6及びDL7が省略されているため、タッチパネルシステム101に比べ、タッチパネルの小型化および低コスト化が期待できる。
〔付記事項〕
本発明は、駆動回路104と、差動増幅器18を有している増幅回路7と、AD変換回路13と、復号回路108a及び静電容量値推定回路108bを有している復号演算回路108とを備えている静電容量値分布検出回路と解釈することもできる。当該静電容量値分布検出回路をタッチパネル102または202と組み合わせることで、タッチパネルシステム101または201と同様の効果を得ることができるためである。
〔実施の形態3〕
タッチパネルシステム101を備えた電子機器についても、本発明の範疇に入る。当該電子機器としては、携帯電話機等が挙げられる。
図8は、本実施の形態に係る携帯電話機(電子機器)90の構成を示すブロック図である。携帯電話機90は、CPU96と、RAM97と、ROM98と、カメラ95と、マイクロフォン94と、スピーカ93と、操作キー91と、表示パネル92b及び表示制御回路92aを含む表示部92と、タッチパネルシステム101とを備えている。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。
CPU96は、携帯電話機90の動作を制御する。CPU96は、たとえばROM98に格納されたプログラムを実行する。操作キー91は、携帯電話機90のユーザによる指示の入力を受ける。RAM97は、CPU96によるプログラムの実行により生成されたデータ、または操作キー91を介して入力されたデータを揮発的に格納する。ROM98は、データを不揮発的に格納する。
また、ROM98は、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどの書込みおよび消去が可能なROMである。なお、図8には示していないが、携帯電話機90が、他の電子機器に有線により接続するためのインターフェイス(IF)を備える構成としてもよい。
カメラ95は、ユーザの操作キー91の操作に応じて、被写体を撮影する。なお、撮影された被写体の画像データは、RAM97や外部メモリ(たとえば、メモリカード)に格納される。マイクロフォン94は、ユーザの音声の入力を受付ける。携帯電話機90は、当該入力された音声(アナログデータ)をデジタル化する。そして、携帯電話機90は、通信相手(たとえば、他の携帯電話機)にデジタル化した音声を送る。スピーカ93は、たとえば、RAM97に記憶された音楽データなどに基づく音を出力する。
タッチパネルシステム101は、タッチパネル102とタッチパネルコントローラ103とを有している。CPU96は、タッチパネルシステム101の動作を制御する。
表示パネル92bは、表示制御回路92aにより、ROM98、RAM97に格納されている画像を表示する。表示パネル92bは、タッチパネル102に重ねられているか、タッチパネル102を内蔵している。
勿論、タッチパネルシステム101およびタッチパネル102の組み合わせは、タッチパネルシステム201およびタッチパネル202の組み合わせに変更されてもよい。
〔まとめ〕
本発明の一態様に係る静電容量値分布検出回路は、D本(5本)の第1信号線(Dは複数)(ドライブラインDL1〜DL5)と一対の第2信号線(センスラインSL1〜SL7)との交点にそれぞれ形成される複数のキャパシタの静電容量の分布を検出する静電容量値分布検出回路であって、M行N列(7行7列)の符号系列(M、NはD<N≦Mを満たす整数)のうちのM行D列(7行5列)の部分符号系列に基づいて、前記複数のキャパシタを並列駆動する駆動回路と、前記駆動回路により並列駆動されたキャパシタに蓄積された電荷に基づく線形和信号を前記一対の第2信号線に沿って読み出し、差動増幅して出力する差動増幅器と、前記差動増幅器の出力と前記M行N列の符号系列との内積演算に基づいて前記差動増幅器の出力を復号する復号回路と、前記復号回路による復号結果のうち、前記M行D列の部分符号系列に対応する復号結果である実復号結果を、前記M行N列の符号系列から前記M行D列の部分符号系列を除去した残余符号系列に対応する復号結果であるダミー復号結果を参照して補正する補正回路(静電容量値推定回路108b)とを備えている。
前記の構成によれば、実復号結果を、ダミー復号結果を参照して補正することにより、線形和信号から壁ノイズ成分を特定することが可能となる。そして、特定した壁ノイズ成分を排除するように実復号結果を補正することにより、壁ノイズに起因するタッチ位置の誤認識が発生する可能性を低減させることが可能となる。
また、本発明の別の態様に係る静電容量値分布検出回路は、前記補正回路は、前記実復号結果から前記ダミー復号結果の平均値を減算して、前記実復号結果を補正する。
また、本発明のさらに別の態様に係る静電容量値分布検出回路は、前記補正回路は、前記ダミー復号結果の平均値に含まれる比例係数(B)に相当する当該平均値の変化量を算出し、前記実復号結果から当該比例係数に比例する当該実復号結果の成分を減算して、前記実復号結果を補正する。
前記の構成によれば、複数のダミー復号結果の平均値から、実復号結果を補正することができる。
また、本発明のさらに別の態様に係る静電容量値分布検出回路は、前記補正回路は、前記実復号結果から前記ダミー復号結果の平均値を減算して、前記実復号結果を補正する第1補正と、前記ダミー復号結果の平均値に含まれる比例係数に相当する当該平均値の変化量を算出し、前記実復号結果から当該比例係数に比例する当該実復号結果の成分を減算して、前記実復号結果を補正する第2補正とを行うことが可能であり、前記第1補正と前記第2補正とのうち、前記複数のキャパシタの静電容量の推定値のより多くが所定の数値範囲に収まるほうにより、前記実復号結果を補正する。
前記の構成によれば、第1補正と第2補正とのうち、より適切な補正が行われているほうを選択することにより、より高精度の補正を行うことができる。
また、本発明のさらに別の態様に係るタッチパネルシステムは、前記のいずれかの静電容量値分布検出回路を備えている。
また、本発明のさらに別の態様に係る電子機器は、前記タッチパネルシステムを備えている。
前記の構成によれば、本発明の各態様に係る静電容量値分布検出回路と同様に、壁ノイズに起因するタッチ位置の誤認識が発生する可能性を低減させることが可能となる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明は、複数の第1信号線と複数の第2信号線との交点にそれぞれ形成される複数のキャパシタの静電容量の分布を検出する静電容量値分布検出回路、並びに、これを用いたタッチパネルシステム及び電子機器に利用することができる。特に、本発明は、隣接する第2信号線に沿って出力される線形和信号を差動増幅する差動増幅器の出力から当該分布を検出する静電容量値分布検出回路、並びに、これを用いたタッチパネルシステム及び電子機器に利用することができる。当該電子機器の一例としては、携帯電話機が挙げられる。
7 増幅回路
13 AD変換回路(アナログ・デジタル変換回路)
18 差動増幅器
90 携帯電話機(電子機器)
101 タッチパネルシステム
104 駆動回路
108a 復号回路
108b 静電容量値推定回路(補正回路)
201 タッチパネルシステム
C11〜C75 キャパシタ
Ca〜Ce キャパシタ
D1〜D5 交点(並列駆動される複数の第1信号線と複数の第2信号線との交点)
D6及びD7 交点(並列駆動される複数の第1信号線と複数の第2信号線との交点と異なる位置)
DL1〜DL5 ドライブライン(第1信号線)
SL センスライン(第2信号線)
SL1〜SL7 センスライン(第2信号線)
th 所定の数値範囲

Claims (6)

  1. D本の第1信号線(Dは複数)と一対の第2信号線との交点にそれぞれ形成される複数のキャパシタの静電容量の分布を検出する静電容量値分布検出回路であって、
    M行N列の符号系列(M、NはD<N≦Mを満たす整数)のうちのM行D列の部分符号系列に基づいて、前記複数のキャパシタを並列駆動する駆動回路と、
    前記駆動回路により並列駆動されたキャパシタに蓄積された電荷に基づく線形和信号を前記一対の第2信号線に沿って読み出し、差動増幅して出力する差動増幅器と、
    前記差動増幅器の出力と前記M行N列の符号系列との内積演算に基づいて前記差動増幅器の出力を復号する復号回路と、
    前記復号回路による復号結果のうち、前記M行D列の部分符号系列に対応する復号結果である実復号結果を、前記M行N列の符号系列から前記M行D列の部分符号系列を除去した残余符号系列に対応する復号結果であるダミー復号結果を参照して補正する補正回路とを備えていることを特徴とする静電容量値分布検出回路。
  2. 前記補正回路は、前記実復号結果から前記ダミー復号結果の平均値を減算して、前記実復号結果を補正することを特徴とする請求項1に記載の静電容量値分布検出回路。
  3. 前記補正回路は、前記ダミー復号結果の平均値に含まれる比例係数に相当する当該平均値の変化量を算出し、前記実復号結果から当該比例係数に比例する当該実復号結果の成分を減算して、前記実復号結果を補正することを特徴とする請求項1に記載の静電容量値分布検出回路。
  4. 前記補正回路は、
    前記実復号結果から前記ダミー復号結果の平均値を減算して、前記実復号結果を補正する第1補正と、
    前記ダミー復号結果の平均値に含まれる比例係数に相当する当該平均値の変化量を算出し、前記実復号結果から当該比例係数に比例する当該実復号結果の成分を減算して、前記実復号結果を補正する第2補正とを行うことが可能であり、
    前記第1補正と前記第2補正とのうち、前記複数のキャパシタの静電容量の推定値のより多くが所定の数値範囲に収まるほうにより、前記実復号結果を補正することを特徴とする請求項1に記載の静電容量値分布検出回路。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の静電容量値分布検出回路を備えていることを特徴とするタッチパネルシステム。
  6. 請求項5に記載のタッチパネルシステムを備えていることを特徴とする電子機器。
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