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JP6265087B2 - 車両の駆動装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両の駆動装置に関し、特に、電動機と、変速機とを備える車両の駆動装置に関する。
特開平9‐9415号公報には、ハイブリッド車両において、制動時に変速点を低速側に移動させ、エンジンの回転数を全体的に低めにしてエンジンブレーキを小さくし、回生電力を増大させる制御を行なうことが開示されている。
特開平9‐9415号公報
上記の文献に開示された技術では、エンジンの回転数を全体的に低めているが、エンジンの回転数を低めると、トルクが大きくなる。回収可能な回生エネルギーは、電動機のトルクの大きさによって制限される。このため、電動機のトルクの制限により、回生エネルギーを取りきれない場合があり、改善の余地がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、電動機の回生エネルギーの回収量が改善された車両の駆動装置を提供することである。
この発明は、車両の駆動装置に関するものであって、電動機と、電動機の動力を駆動輪に伝達する変速機と、変速機を制御する制御部とを備える。制御部は、電動機が回生制動を行なう場合において、電動機のトルクが所定値を超えないときには、変速機のギヤ段を変速線図に基づいて決定したギヤ段に設定し、電動機のトルクが所定値を超えたときには、変速機のギヤ段を変速線図に基づいて決定したギヤ段よりも低速側のギヤ段に変更する。
このような制御行うことによって、回生時の電動機のトルクが所定値を超えた場合には、ダウンシフトによって電動機のトルクを所定値以内に収めることができる。これによって、電動機のトルクの制限によって回生エネルギーが回収できないといった事態を少なくすることができるので、車両の燃費が向上する。
好ましくは、車両の駆動装置は、内燃機関と、内燃機関の回転軸と電動機の回転軸とを係合させるクラッチとをさらに備える。制御部は、回生制動を行なう場合には、クラッチを非係合状態に制御する。
上記の構成および制御によると、特に、電動機のトルク容量を大きくできないハイブリッド自動車において、回生制動を行なう場合に内燃機関を切り離して車両の燃費を向上させることができるとともに、電動機のトルクの制限によって回生エネルギーが回収できないといった事態を少なくすることができる。
本発明の実施の形態に係る車両の駆動装置を搭載する車両の構成を示すブロック図である。 実施の形態1の制御を適用した場合と適用しない場合のモータトルクおよび自動変速機のギヤ段の変化を示した波形図である。 本実施の形態における変速制御を説明するためのフローチャートである。 実施の形態1における図3のステップS4のダウンシフト時のギヤ段の決定処理を説明するためのフローチャートである。 実施の形態1で回収しきれないエネルギについて説明するための波形図である。 実施の形態2の制御を適用した場合と適用しない場合のモータトルクおよび自動変速機のギヤ段の変化を示した波形図である。 実施の形態2で行なわれるモータトルクの推定について説明するための波形図である。 実施の形態2における図3のステップS4のダウンシフト時のギヤ段の決定処理を説明するためのフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態に係る車両の駆動装置を搭載する車両の構成を示すブロック図である。図1を参照して、車両1はエンジン10と、K0クラッチ12と、モータジェネレータ22(以下、MG22と記載する)と、自動変速機23と、トルクコンバータ24と、油圧回路26と、PCU(Power Control Unit)40と、バッテリ42と、駆動輪72と、差動機構70と、ECU(Electronic Control Unit)100とを含む。
エンジン10の出力軸であるクランク軸と、MG22の回転軸とは、K0クラッチ12を介在して連結される。MG22の回転軸は、トルクコンバータ24の入力軸に連結される。トルクコンバータ24の出力軸は、自動変速機23の入力軸に連結される。差動機構70は、自動変速機23の出力軸と駆動輪72とに連結される。
MG22は、たとえば、三相交流回転電機である。MG22は、バッテリ42からPCU40を経由して供給される電力によって駆動される。MG22は、車両1の駆動力を発生させるモータとして機能と、エンジン10を始動させるスタータとしての機能とを有する。
トルクコンバータ24は、MG22の回転軸に連結されるポンプインペラー24aと、自動変速機23の入力軸に連結されるタービンインペラー24bと、ポンプインペラー24aとタービンインペラー24bとの間に設けられるステータ24cとを含む。トルクコンバータ24の入力軸と出力軸とは、ロックアップクラッチ(図示せず)が係合状態になることにより回転が同期し、ロックアップクラッチが解放状態になることにより回転の同期が解除される。
本実施の形態において、自動変速機23は、たとえば、複数のギヤ段を連続的に変更する有段式自動変速機であるものとして説明する。自動変速機23においては、複数の変速レンジが設定される。複数の変速レンジは、たとえば、前進走行レンジ(以下、Dレンジと記載する)と、後進走行レンジ(以下、Rレンジと記載する)と、パーキングレンジ(以下、Pレンジと記載する)と、ニュートラルレンジ(以下、Nレンジと記載する)とを含む。
たとえば、変速レンジとしてDレンジが選択される場合には、自動変速機23において、車両1の運転状態に応じて、1速から上限のギヤ段(たとえば6速)までの間のいずれかが形成される。
自動変速機23は、たとえば、単数あるいは複数の遊星歯車機構を含む変速部と、遊星歯車機構の回転要素の回転を停止させるブレーキや、他の回転要素と回転を同期させるクラッチ等の複数の係合要素とを含む。
自動変速機23において、ギヤ段が変更される場合には、ブレーキやクラッチ等の複数の係合要素のうちのいずれかの係合要素が解放されたり、あるいは、いずれかの係合要素が係合されたりする。これにより、変速部(自動変速機23)の入力軸と出力軸との比(変速比)が変更されることによって変更後のギヤ段が形成される。
エンジン10は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン10のクランク軸とMG22の回転軸とは、K0クラッチ12を介在させて連結される。
K0クラッチ12は、エンジン10とMG22との間を動力伝達状態にする場合に係合され、エンジン10とMG22のとの間を動力遮断状態にする場合に解放される。
油圧回路26は、ECU100からの制御信号に基づいて、K0クラッチ12および自動変速機23中の係合要素の少なくともいずれかに作動油を供給する。
ECU100は、たとえば、K0クラッチ12が解放状態であって、かつ、エンジン10が停止状態である場合に、エンジン10の作動が要求されると、K0クラッチ12を係合する。これにより、エンジン10とMG22とが動力伝達状態となる。そのため、MG22によってエンジン10をクランキングしたり、あるいは、車両1の惰性走行時のMG22の回転軸の回転によりエンジン10をクランキングしたりすることによってエンジン10を作動させることができる。
エンジン10が作動することによって、車両1は、エンジン10の動力あるいはエンジン10の動力に加えてMG22の動力を用いて走行する。またエンジン10が作動することによってあるいは車両1の惰性走行時にMG22において発電して発電した電力を用いてバッテリ42を充電することも可能となる。
一方、ECU100は、たとえば、K0クラッチ12が係合状態であって、かつ、エンジン10が作動状態である場合に、エンジン10の停止が要求されると、K0クラッチ12を解放するとともに、エンジン10の作動を停止させる。
ECU100は、車両1の運転状態に応じてエンジン10の作動を要求したり、エンジン10の停止を要求したりする。ECU100は、たとえば、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量と車両1の速度に基づく車両1に要求されるパワー(要求パワー)を算出し、要求パワーがしきい値を超える場合に、エンジン10の作動を要求してもよいし、要求パワーがしきい値を下回る場合に、エンジン10の停止を要求してもよい。
特に限定されないが、好ましくは、ECU100は、回生制動を行なう場合には、K0クラッチ12を非係合状態に制御する。すると、エンジン10のフリクションによる損失が発生しないので、回収する回生エネルギを増加させることができる。
図1に示した車両1は、一つのモータジェネレーターを搭載したハイブリッド自動車(以降、1M−HVという)であるが、ハイブリッド自動車には、主として駆動輪を駆動する電動機として働くモータジェネレータと、主として発電機として働くモータジェネレータの二つのモータジェネレーターを搭載するタイプ(以降、2M−HVという)も存在する。
図1の1M−HVは、モータを搭載しない車両のエンジンとトルクコンバータとの間にK0クラッチ12とMG22とを追加した構成となっている。ハイブリッド車両ではない従来の車両のエンジン、自動変速機、トルクコンバータに大きな変更を加えずに、車両に駆動装置を搭載しようとすると、車両の搭載スペースの制限があるためMG22はなるべく薄く小型にすることが好ましい。小型のモータは、ステータコイルの巻き数が少ないので、大きなトルクに対応できない。このため、1M−HVのモータジェネレータは、2M−HVのモータジェネレータよりも小容量のモータとなる場合が多い。小容量のモータは、回生時のトルクが大容量のモータよりも制限される。したがって、制動時に回生エネルギを有効に回収できない場合が考えられる。
図2は、実施の形態1の制御を適用した場合と適用しない場合のモータトルクおよび自動変速機のギヤ段の変化を示した波形図である。図2を参照して、モータトルクと車速の波形が重ねて示され、その下に回生要求のON・OFF、ギヤ段の変化が示されている。
モータトルクの波形に重ねて回生可能な最大トルクが破線で示されている。ここで、モータトルクは負の値が回生トルクであるので、最大トルクより下のトルクはモータが回生できない。
時刻t1〜t2、t3〜t6において、ユーザのブレーキペダルの操作に応じて回生要求がONとなっている。時刻t1〜t5において車速が80km/hから0まで次第に低下している。このときに、実線で示すように、ギヤ段を6速から1速までダウンシフトすると、時刻t3〜t4において、モータトルクが回生可能最大トルクよりも下に飛び出てしまう。したがって、実際には、本実施の形態の制御を適用しない場合には、トルクが回生可能最大トルクよりも下に飛び出さないように、全制動力のうちモータの回生制動力を制限して摩擦ブレーキの配分を増やす必要がある。摩擦ブレーキの配分を増やすと、エネルギーが熱として失われる。
一方、全体的に回生トルクが制限されるように、早めにダウンシフトするように変速線を決定してダウンシフトを実行すると、回生可能な場合でもダウンシフトが発生することによって、再加速要求時にもたつきが生じドライバの運転快適性が劣ってしまう。
そこで、本実施の形態では、ECU100は、モータジェネレータ22が回生制動を行なう場合において、モータジェネレータ22のトルクが所定値(回生可能最大トルクに対応して定められるしきい値)を超えないときには、自動変速機23のギヤ段を変速線図に基づいて決定したギヤ段に設定し、モータジェネレータ22のトルクが所定値を超えたときには、自動変速機23のギヤ段を変速線図に基づいて決定したギヤ段よりも低速側のギヤ段に変更する。具体的には、図2の時刻t3〜t4において、モータトルクが回生可能最大トルクに近づいたときに限り、破線で示すように通常よりも早めにダウンシフトを行なう。これによって、破線で示すようにモータトルクも回生可能最大トルクよりも下に飛び出ることは無くなるので、回収される回生エネルギーが増加し、燃費が改善される。
図3は、本実施の形態における変速制御を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理は所定のメインルーチンから一定時間ごとまたは所定の条件が発生するごとに呼び出されて実行される。
図3を参照して、ステップS1において、変速線図からギヤ段が決定される。変速線図は、ギヤ段を決定する際に一般に用いられるものであり、アクセル開度を縦軸、車速を横軸とする平面に、アップシフト線、ダウンシフト線が記載されている。
続いて、ステップS2において回生要求時であるか否かが判断される。たとえば、ブレーキペダルが踏まれた状態(ON状態)であれば、回生要求時であると判断される。なお、自動ブレーキが作動する場合にはブレーキ作動要求を走行制御装置が発生した場合に回生要求時であると判断されるようにしても良い。
ステップS2において、回生要求時でないと判断された場合(S2でNO)、ステップS1で変速線図に基づいて決定されたギヤ段がそのまま自動変速機に適用され、制御はメインルーチンに戻される。
一方、ステップS2において、回生要求時であると判断された場合(S2でYES)、ステップS3に処理が進められる。ステップS3では、モータトルクの大きさ(|Tm|)が回生可能最大トルクの大きさ(|Tmmax|)よりも大きいか否かが判断される。
ステップS3において、|Tm|が|Tmmax|以下であった場合には、(S3でNO)、ステップS1で変速線図に基づいて決定されたギヤ段がそのまま自動変速機に適用され、制御はメインルーチンに戻される。
ステップS3において、|Tm|が|Tmmax|より大きい場合には、(S3でYES)、ステップS4に処理が進められる。ステップS4では、ステップS1で変速線図で決定したギヤ段よりもさらにダウンシフトを実施する。このギヤ段の決定処理については図4で後述する。ステップS4でギヤ段が決定されると制御はメインルーチンに戻される。
図4は、実施の形態1における図3のステップS4のダウンシフト時のギヤ段の決定処理を説明するためのフローチャートである。図4を参照して、まずステップS1においてプロペラシャフトトルクTpを取得する。具体的には、ECU100の内部で発生しているモータトルクTmの指令値を自動変速機23の現在の変速比を用いて逆算することによってプロペラシャフトトルクTpを算出する。
続いて、ステップS20において、1速〜6速の各ギヤ段に変速した場合のモータトルクTm(1)〜Tm(6)を次式によって算出する。
Tm(1)=Tp/(1速ギヤ比)
Tm(2)=Tp/(2速ギヤ比)
Tm(3)=Tp/(3速ギヤ比)
Tm(4)=Tp/(4速ギヤ比)
Tm(5)=Tp/(5速ギヤ比)
Tm(6)=Tp/(6速ギヤ比)
また、ステップS30では、通常走行時に使用される変速線から仮ギヤ段nが決定される。
ステップS40においては、回生要求が有るか否かが判断される。回生要求については、図3のS2と同様であるので、ここでは説明は繰返さない。
ステップS40において、回生要求が無かった場合には、ステップS80に処理が進められ、仮ギヤ段nがそのまま変速後ギヤ段に設定される。そして、ステップS90において、制御は図3のフローチャートに戻される。
一方、ステップS40において、回生要求があった場合には、ステップS50に処理が進められる。ステップS50では、仮ギヤ段nのモータトルクの大きさ|Tm(n)|が回生可能最大トルクの大きさ|Tmmax|よりも小さいか否かが判断される。
ステップS50において、|Tm(n)|<|Tmmax|が成立しない場合には、このままではモータジェネレータ22で回収しきれないエネルギーが存在するので、ステップS60に処理が進められ仮ギヤ段nを一段ダウンシフトさせる。そして再びステップS50の処理が実行される。
ステップS50において、|Tm(n)|<|Tmmax|が成立するまで仮ギヤ段nがダウンシフトされたら、ステップS70において、仮ギヤ段nを変速後ギヤ段に決定する。そして、ステップS90において、制御は図3のフローチャートに戻される。
このようにすることにより、図2の時刻t3〜t4においては、早めのダウンシフトが発生し、モータトルクの大きさが回生可能最大トルクの大きさを超えないように(図2で回生可能最大トルクより下に波形が飛び出さないように)自動変速機の制御が行なわれる。したがって、回生可能なエネルギが増加するので車両の燃費が改善される。
[実施の形態2]
実施の形態1の処理では、ダウンシフトが発生しやすくするように変速線図を一律に変更するのではなく、回生要求があるときにのみトルクを考慮して変速線図で決まる変速段に対してダウンシフトをさらに実行した。しかしそれだけでは、トルクの変化に変速が追いつかず、回生エネルギとして車両の運動エネルギを回収しきれない場合が考えられる。
図5は、実施の形態1で回収しきれないエネルギについて説明するための波形図である。図5にも図2と同様に、モータトルクと車速の波形が重ねて示され、その下に回生要求のON・OFF、ギヤ段の変化が示されており、モータトルクの波形に重ねて回生可能な最大トルクが破線で示されている。
図5の時刻t11においてユーザのブレーキペダルの操作に応じて回生要求がOFFからONに変化している。通常のダウンシフトが行なわれた場合が実線の波形で示され、実施の形態1のダウンシフトが行なわれた場合が破線の波形で示される。
時刻t12では、モータトルクの大きさが回生可能最大トルクの大きさよりも大きくなったため、6速から3速にダウンシフトが発生している。このため、モータトルクの実線の波形よりも破線の波形のほうが、回生可能最大トルクの下側に突出する部分が少なくなっている。
しかし、ダウンシフトのタイミングが遅いので、時刻t12の変速開始前後では、破線の波形でも、回生可能最大トルクの下側に突出する部分が少し存在している。実施の形態2では、トルクの変化を予測することによって、この破線の突出部分をなくして、回生エネルギを増加させる。なお、実施の形態2でも図1の車両の構成および図3の基本処理については共通して適用される。以下に実施の形態2が実施の形態1と異なる部分について説明する。
図6は、実施の形態2の制御を適用した場合と適用しない場合のモータトルクおよび自動変速機のギヤ段の変化を示した波形図である。図6でも図2と同様に、モータトルクと車速の波形が重ねて示され、その下に回生要求のON・OFF、ギヤ段の変化が示されており、モータトルクの波形に重ねて回生可能な最大トルクが破線で示されている。
図6の時刻t21において、ユーザのブレーキペダルの操作に応じて回生要求がOFFからONに変化している。通常のダウンシフトが行なわれた場合が実線の波形で示され、実施の形態2のダウンシフトが行なわれた場合が破線の波形で示される。
時刻t22では、予測するモータトルクの大きさが回生可能最大トルクの大きさよりも大きくなったため、6速から3速にダウンシフトが発生している。このため、モータトルクの実線の波形と比べると破線の波形では、回生可能最大トルクの下側に突出する部分がなくなっている。図5の波形と比べると、図6の波形は、ギヤ段の変化を示す破線の波形の変速開始タイミングが少し早くなっている。
このため、破線のモータトルクを比べると、図5ではモータトルクが回生可能最大トルクよりも下側に突出する部分が残っていたが、図6ではこの突出部はなくなっている。
図7は、実施の形態2で行なわれるモータトルクの推定について説明するための波形図である。図7の時刻t31において、ユーザのブレーキペダルの操作に応じて回生要求がOFFからONに変化している。その後、t32,t33,t34,t35では、ECU100の制御サイクルごとに、車速とモータトルクとが各々測定または演算され、実施の形態1の制御が実行されている。
ここで、実施の形態2では実施の形態1の制御に加えて、モータトルクの演算時に、t33における前回値と、t34における今回値から、t35における次回値を推定する処理を行なう。そして、この次回値の大きさが回生可能最大トルクの大きさを超える場合には、ダウンシフトを開始する制御が実行される。これにより、早めのダウンシフトが可能となる。
モータトルクの推定は、特に限定されないが、トルクの変化が直線的になると仮定して、前回値と今回値とを結ぶ直線の延長に推定値があると演算すればよい。具体的には、前回値からの増加分を今回値に加えればよいので、前回値をT(k−1)、今回値をT(k)、次回値をT(k+1)とすると、次式によって次回値は容易に推定できる。
T(k+1)=T(k)+(T(k−1)−T(k))
図8は、実施の形態2における図3のステップS4のダウンシフト時のギヤ段の決定処理を説明するためのフローチャートである。なお、図8のフローチャートの処理は、図4のフローチャートの処理に対してステップS41,S42,S43が追加された部分が実施の形態1との相違点である。他のステップの処理については、図4で説明しているので以下では説明は繰返さない。
実施の形態2では、ステップS40において回生要求があると判断された場合には、ステップS41の処理が実行される。ステップS41では、次回値のモータトルクTm(k+1)を前回値のモータトルクTm(k−1)と今回値のモータトルクTm(k−1)から推定する。推定は、特に限定されないが、図7で説明したように次式で推定することができる。
T(k+1)=T(k)+(T(k−1)−T(k))
続いて、ステップS42において、次回値のモータトルクの大きさ|T(k+1)|が回生可能最大トルクの大きさ|Tmmax|を超えており、かつ車速がしきい値Vt以上であるという条件(飛び変速条件)が成立するか否かが判断される。ステップS42において、飛び変速条件が成立した場合(S42でYES)には、ステップS43の処理が実行された後にステップS50の処理が実行される。ステップS43では、ステップS30において、変速線図に基づいて決定された仮ギヤ段をさらに2段ダウンシフトする処理が実行される。一方、ステップS42において、飛び変速条件が成立しない場合(S42でNO)にはステップS50に処理が進められる。
ステップS50,S60,S70では、図4と同様に仮ギヤ段モータトルクの大きさ|Tm(n)|が回生可能最大トルクの大きさ|Tmmax|を下回るまで、仮ギヤ段nをダウンシフトする処理を行なった後に、仮ギヤ段nを変速後ギヤ段とする処理が行なわれる。
以上説明したように、実施の形態2においては、S41〜S43の処理が追加されたことによって、実施の形態1よりもダウンシフトが早めに開始されるので、回生エネルギの回収率が向上する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、10 エンジン、12 K0クラッチ、22 モータジェネレータ、23 自動変速機、24 トルクコンバータ、24a ポンプインペラー、24b タービンインペラー、24c ステータ、26 油圧回路、40 PCU、42 バッテリ、70 差動機構、72 駆動輪、100 ECU。

Claims (1)

  1. 電動機と、
    前記電動機の動力を駆動輪に伝達する変速機と、
    前記変速機を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、プロペラシャフトトルクを変速機の複数のギヤ段に変速した場合の前記電動機のトルクを算出するとともに、変速線から仮ギヤ段を決定し、
    前記制御部は、前記電動機が回生制動を行なわない場合には、前記仮ギヤ段を前記変速機のギヤ段に設定し、
    前記制御部は、前記電動機が回生制動を行なう場合には、
    (a)前記仮ギヤ段に対応する前記電動機のトルクの変化に基づいて推定した前記仮ギヤ段に対応する前記電動機のトルクの次回値が所定値を超えるときには、前記仮ギヤ段を低速側に変更し、
    (b)前記仮ギヤ段に対応する前記電動機のトルクが前記所定値を超えないときには、前記変速機のギヤ段を前記仮ギヤ段に設定し、前記仮ギヤ段に対応する前記電動機のトルクが所定値を超えときには、前記変速機のギヤ段を前記ギヤ段よりもさらに低速側のギヤ段に変更する、車両の駆動装置。
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