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JP6262161B2 - X線管 - Google Patents

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Description

本発明は、高真空状態とされたパッケージの内部で電子源から電子を放出させてX線ターゲットに衝突させ、X線ターゲットから放出されたX線をパッケージのX線透過窓から外部に放射するX線管に関するものである。
従来、除電対象物を除電するためにX線を発生するX線管としては、例えば下記特許文献1に開示された図9に示すものが知られている。図9のX線管101は、いわゆる丸型管と呼ばれるものであって、コバールガラス製の円筒状のバルブ102を有している。バルブ102のステム104の末端には、密封された排気管103が設けられている。また、バルブ102の開放端には、コバール金属製の円筒状の出力窓保持部105が溶融接続されている。出力窓保持部105には、その中央円形開口105aを塞ぐように円板状の出力窓(X線透過窓)106が固定されている。出力窓106の内面側には、電子ビームの衝突によりX線を発生させるX線ターゲット107が蒸着されている。ステム104には、2本のステムピン108,108が貫通して固定されている。バルブ102内のステムピン108,108の先端には、所定電圧で電子ビームを放出するカソードとしてフィラメント109が固定されている。これらステムピン108のいずれか一方には、ステンレス製の円筒状の部材であるフォーカス110が固定されている。なお、出力窓保持部105は、コバール金属製であるため熱伝動性及び導電性が良好であるとともに、アースされたケース内に電気的に接続されることで接地電位になっている。その結果、X線ターゲット107も接地電位に維持されている。
ところで、従来から販売されているX線管は、上述した特許文献1に開示される図9のX線管を含め、X線透過窓としてベリリウムを使用したものが一般的であった。しかしながら、ベリリウムは、X線透過特性に優れているものの、毒性が高いために扱いが非常に難しくメンテナンス面での負担が大きいという問題があった。
そこで、本願発明者等は、下記特許文献2に開示されるようにX線透過窓としてチタン(Ti)を用いたX線管を開発した。
下記特許文献2に開示されるX線管は、開口部が形成された426合金製の基板と、基板の開口部を塞ぐように設けられたチタン箔のX線透過窓と、基板に取り付けられて内部が真空状態とされた扁平箱型の容器部と、容器部の内部において開口部に設けられたX線ターゲットと、容器部の内部にてX線ターゲットに電子を入射させる電子源とを備えている。また、電子源は、線状の陰極と、陰極から電子を引き出す第1制御電極と、引き出した電子の照射範囲を規制する第2制御電極とを備える。この特許文献1に開示されるX線管によれば、第1制御電極によって陰極から引き出された電子は、第2制御電極により照射範囲がX線ターゲット近傍に規制される。そして、X線ターゲットに電子が入射して発生したX線は、基板の開口部で規制されたX線透過窓から放射される。
特開2014―075190号公報 特開2013―182868号公報
ところで、X線管のX線強度は、図7に示すような特性を有している。図7は30cm離れた位置でのX線強度であり、管電圧(定格ターゲット電圧)を5kV一定として入力電力を上げていく場合には、X線強度が管電流に依存し、図7の実線で示すように、管電流に対して比例する傾向にある。これに対し、管電流を150μm一定として入力電力を上げていく場合には、X線強度が管電圧(定格ターゲット電圧)に依存し、図7の破線で示すように、管電圧に対して二乗に比例する傾向にある。また、管電流を150μm一定として入力電力を上げていく場合には、放射されるX線エネルギーも高くなるため、空気減衰が低くなり、二乗以上に増大する傾向にある。したがって、X線管のX線強度の向上を図るには、管電圧の上昇が不可欠であった。
しかしながら、上述した特許文献2のX線管では、リード線から基板までの高さが10mm程度と低く抑えることにより、図9のX線管よりも小型化を図っている。そして、上述した図7に示すX線強度の特性を活かし、X線管の容器部の高さ10mmを維持したままの状態で従来の管電圧5kVよりも高い電圧(例えば9.8kV)を印加すると、リード線と基板との間で放電が発生し、そのままでは管電圧を上昇させることができないという新たな課題を発見した。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、放電を発生させることなくX線強度の向上を図ることができるX線管を提供することを目的とするものである。
上記した目的を達成するために、請求項1に記載されたX線管は、開口部が形成された金属材料からなる基板と、
前記開口部を塞ぐように設けられたX線透過窓と、
内部が真空状態になるように前記基板に取り付けられた背面板と枠状の側面板からなる箱型の容器部と、
前記容器部の内部において前記開口部に前記X線透過窓と密着して設けられたX線ターゲットと
子を放出する線状の陰極と、該陰極から放出された電子を制御する制御電極とを前記容器部の内部に含み、前記陰極および制御電極のリード線が前記背面板側から前記側面板の側面を介して外部に延出する電極部とを備え、
前記陰極から放出されて前記制御電極により制御された電子を前記X線ターゲットに衝突させてX線を発生し、この発生したX線を前記X線透過窓から外部に透過させて放出するX線管において、
前記基板は、前記容器部の外寸よりも小さく形成され、前記背面板と対向して前記側面板と接合し、該側面板との接合部分の外周端面の角部を覆うように1種類の被覆材で被覆することを特徴とする。
請求項2に記載されたX線管は、請求項1のX線管において、
前記側面板の内面側には、前記基板を位置決めして接合するための欠切部が形成されることを特徴とする。
本発明によれば、基板を背面板と枠状の側面板からなる容器部の外寸よりも小さく形成して側面板と接合し、基板と側面板との接合部分の基板の外周端面の角部を覆うように1種類の被覆材で被覆する構成なので、電極部の各リード線から基板の外周端面の角部が見通せなくなり、電極部の各リード線と基板との間で放電を発生させることなく管電圧を高くすることができる。その結果、従来のX線管と同等の高さであっても、上昇させた管電圧を安定して印加し通電させることができ、従来のX線管よりもX線強度が増すとともに除電速度を速くすることができる。しかも、基板の外周端面の角部全体が1種類の被覆材で覆われて完全に隠れるので、より確実に放電の発生を抑えることができる。
また、基板を位置決めして接合するための欠切部を側面板の内面側に形成すれば、X線管の高さを小さくでき、基板を側面板に接合する際に、基板の四隅を欠切部に位置決めして組み立て時における作業性の向上を図ることができる。
本発明のX線管の実施の形態の断面図であって、容器部と基板の接合構造の一例を示す図である。 本発明のX線管の実施の形態の平面図である。 本発明のX線管の実施の形態における電極構造を示す分解拡大斜視図である。 (a),(b)本発明のX線管の容器部と基板の接合構造の他の例を示す図である。 (a)本発明のX線管と従来のX線管のX線強度の対比図である。 (b)本発明のX線管と従来のX線管を用いて除電装置を構成した場合における除電速度の対比図である。 本発明に係るX線管の他の実施の形態の断面図である。 入力電力とX線強度の関係を示す図である。 本発明のX線管と比較するための比較用のX線管の断面図である。 従来の丸型管の断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者等により考え得る実施可能な他の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれるものとする。
[1.本発明の概要について]
本発明は、管電圧を上昇させても電極部の各リード線と基板との間で放電が起きないように、電極部のリード線に対して電位差が大きい基板の露出部分を減らし、電極部の各リード線から基板の外周端面における角部分(稜線部分)を見通せなくした構成を特徴としている。
[2.X線管の構成について]
<2−1.管構造について>
まず、本発明のX線管1の構成について説明する。
図1に示すように、本例のX線管1は、箱型形状のパッケージ2を本体とする平型管である。パッケージ2は、シールガラス(鉛ガラス)を介在させてガラス製(例えば、ソーダライムガラス)の背面板3aと枠状の側面板3bとを箱型に組み立てた容器部3を大気焼成によってドライシール化し、さらに第1基板4aと第2基板4bとでチタン箔のX線透過窓5を挟んだ構成の基板4を後述する接合構造により容器部3と接合して取り付けて閉止される。また、パッケージ2の内部は、背面板3aに形成した不図示の排気孔から高真空状態に排気されている。
基板4は、X線不透過性の426合金でできた矩形板である。426合金とは42%Ni、6%Cr、残部Fe等の合金であり、容器部3を構成するソーダライムガラスと熱膨張係数が略等しい。なお、容器部3に使用するガラスの材質によって、基板4の金属材料も熱膨張率等を鑑みて適宜変更することができる。
また、図2に示すように、第1基板4aと第2基板4bの中央には、長手方向に沿って細長い矩形状(又はスリット状)の開口部6が形成されている。
X線透過窓5は、第1基板4a及び第2基板4bと略同等の大きさのチタン箔で形成される。このチタン箔を第1基板4aと第2基板4bとの間に挟んだ状態で、真空又は不活性ガス(例えば、Arガス)雰囲気中で熱拡散接合によって一体化されることで開口部6がチタン箔のX線透過窓5で閉止された基板4を構成している。
なお、熱拡散接合とは、母材を密着させ、母材の融点以下の温度条件で塑性変形が可能な限り生じない程度に加圧して、接合面間に生じる原子の拡散を使用して接合する方法である。
そして、熱拡散接合を用いた方法では、第1基板4aと第2基板4bの他の部分でもチタン箔が固着剤の作用をし、第1基板4aと第2基板4bが強固に固着し、基板4の強度を向上させる効果がある。また、基板4を金属材料としているので、金属のチタン箔からなるX線透過窓5との接合性が良好である。
また、X線透過窓5の内面には、開口部6の内側からX線透過窓5の内面に密着するように、タングステン(W)の膜が蒸着されることによりX線ターゲット7が形成されている。なお、X線ターゲット7としては、モリブデンなどのタングステン以外の金属を用いても良い。また、X線ターゲット7を形成せず、X線透過窓5のチタン箔をX線ターゲットとして利用することもできる。この場合、後述する陰極9から放出された電子がチタン箔に衝突した際にチタンから発生する特性X線を利用してX線を外部に放出することができる。
<2−2.接合構造について>
次に、管電圧を上昇させても電極部12の後述する各リード線8a,9a,10b,11cと基板4との間で放電が起きないように、電極部12の各リード線8a,9a,10b,11cから基板4の外周端面の角部分(稜線部分)を見通せなくした容器部3と基板4の接合構造について図1および図4を参照しながら説明する。
図1の接合構造において、基板4は、容器部3の外寸よりも小さく、枠状の側面板3bの内寸よりも大きく形成されている。また、枠状の側面板3bの内面側には、幅方向に凹状に欠切された欠切部3baが形成されている。欠切部3baの深さは、基板4の厚さと同等、もしくは基板4の厚さよりも若干厚めに設定される。図1の接合構造では、基板4の四隅を欠切部3baに突き当てて位置決めし、基板4の外周端面の角部が覆われて隠れるように、例えばフリットシールガラス等の被覆材21により枠状の側面板3bと基板4との間を封着して接合する。
図4(a)の接合構造において、基板4は、図1の接合構造と同様に、容器部3の外寸よりも小さく、枠状の側面板3bの内寸よりも大きく形成されている。図4(a)の接合構造では、基板4が枠状の側面板3bからはみ出さないように、基板4を枠状の側面板3bの端面に突き当て、基板4の外周端面の角部が覆われて隠れるように、例えばフリットシールガラス等の被覆材21により枠状の側面板3bと基板4との間を封着して接合する。
図4(b)の接合構造において、基板4は、図1や図4(a)の接合構造と同様に、基板4が容器部3の外寸よりも小さく、容器部3の枠状の側面板3bの内寸よりも大きく形成されている。また、図4(b)の接合構造では、被覆部材としての被覆基板22が用いられる。被覆基板22は、容器部3の背面板3aと同等の大きさのガラス板からなり、中央がくり抜かれた開口22aを有して枠状に形成されている。なお、開口22aは、X線透過窓5からのX線を外部に放射することを考慮して形状や大きさが適宜設定される。図4(b)の接合構造では、基板4が枠状の側面板3bと枠状の被覆基板22からはみ出さないように、枠状の側面板3bと枠状の被覆基板22との間に基板4を挟み込み、基板4の外周端面の角部が覆われて隠れるように、例えばフリットシールガラス等の被覆材21により枠状の側面板3bと基板4との間、及び基板4と枠状の被覆基板22との間を封着して接合する。
このように、上述した図1や図4(a),(b)の接合構造によれば、電極部12の後述する各リード線8a,9a,10b,11cから基板4の外周端面の角部分が見通せなくなり、管電圧を上昇させても電極部12の各リード線8a,9a,10b,11cと基板4との間で放電を発生させることなくX線管1を駆動することができる。
また、特に、図1の接合構造では、枠状の側面板3bの欠切部3baに基板4が収まる構成なので、X線管の高さを必要最小限に小さくすることができる。しかも、基板4を枠状の側面板3bに接合する際、基板4の四隅を欠切部3baに位置決めでき、X線管1の組み立て時における作業性の向上を図ることができる。
<2−3.電極構成について>
次に、X線管1のパッケージ2内部における電極構成について説明する。
図1及び図3に示すように、パッケージ2の内部には、X線透過窓5と反対側の容器部3の内面に、ガラスへの帯電を防止するための背面電極8が設けられている。
背面電極8の下方には、電子源である線状の陰極9が張設されている。背面電極8は、容器部3から外部に延出して引き出されたリード線8aを介して後述する駆動回路13に接続されている。なお、図1におけるリード線8aは、背面板3aから引き出された線として図示しているが、実際には容器部3の長手方向の側面板3bの側面から外部に延出して引き出されている。
陰極9は、タングステン等からなるワイヤー上の芯線の表面に炭酸塩を施したもので、芯線を通電加熱することで、熱電子を放出するものである。陰極9は、容器部3の長手方向の側面板3bの両側面から外部に延出して引き出されたリード線9aを介して後述する駆動回路13に接続されている。
陰極9の下方には、陰極9から電子を引き出すためのメッシュ状の開口10aを有する第1制御電極10が設けられている。第1制御電極10は、陰極9と同様に、容器部3の長手方向の側面板3bの両側面から外部に延出して引き出されたリード線10bを介して後述する駆動回路13に接続されている。
第1制御電極10の下方には、電子線の照射範囲を規制する第2制御電極11が設けられている。第2制御電極11は、周囲の四方を板体に囲まれた箱型の電極部材であり、線状の陰極9と対応する部分に細長いスリットの開口11aを有し、かつ開口11aにメッシュ11bが形成されている。
第2制御電極11の開口11a及びメッシュ11bは、前述した第1基板4aの開口部6及びその近傍に設けられたX線ターゲット7に対応しており、陰極9から放出された電子が第2制御電極11から放射される範囲を規制し、第1基板4a側のX線透過窓5のX線ターゲット7やその近傍に電子を当てることによって、効率的にX線を発生させてパッケージ2外に取り出せるように構成されている。また、第2制御電極11とX線ターゲット7の距離も、X線透過窓5に電子が適切な状態で衝突するために適した値に設定されている。さらに、第2制御電極11は、陰極9や第1制御電極10と同様に、容器部3の長手方向の側面板3bの両側面から外部に延出して引き出されたリード線11cを介して後述する駆動回路13に接続されている。
X線管1は、電極部12を構成する背面電極8、陰極9、第1制御電極10、第2制御電極11にそれぞれ所定の駆動電圧を印加する駆動回路13を備えている。この駆動回路13は、図1に示すように、4個の高電圧電源13a,13b,13c,13dを備えている。高電圧電源13aは、陰極が背面電極8に接続され、陽極がX線透過窓5に接続されて接地されており、X線透過窓5をグランド電位(0V)にしている。高電圧電源13bは、陽極が陰極9に接続され、陰極が高電圧電源13aの陰極に接続されている。高電圧電源13cは、陽極が第1制御電極10に接続され、陰極が高電圧電源13aの陰極に接続されている。高電圧電源13dは、陽極が第2制御電極11に接続され、陰極が高電圧電源13aの陰極に接続されている。そして、駆動回路13は、高電圧電源13aから背面電極8に駆動電圧を印加するとともに、この高電圧電源13aの電圧を基準とする所定の駆動電圧を陰極9、第1制御電極10、第2制御電極11にそれぞれ印加しており、このようなX線管1のX線透過窓5側を接地した構造を陽極接地と呼び、陽極接地の駆動回路13でX線管1を駆動することを陽極接地駆動と呼ぶ。
なお、上述した背面電極8、陰極9、第1制御電極10、第2制御電極11によって電極部12を構成している。
このような電極構成により、陰極9は、周囲が所定の電位が印加された電極で囲われるので、容器部3内面の帯電の影響を受けることなく、陰極9周囲の電位を安定させることができる。
また、第2制御電極11には、第1制御電極10によって引き出された電子がX線透過窓5以外の場所、例えばパッケージ2の内壁等に衝突し、アノードであるX線ターゲット7と陰極9との絶縁性を悪化させることがないように、陰極9側を遮蔽する機能も有している。
なお、背面電極8は、容器部3と線状の陰極9との距離が十分保たれていれば、容器部3への電子の帯電の影響が少なく不要である。また、制御電極は、第1制御電極10、第2制御電極11に加えて、線状の陰極9からX線透過窓5までの距離、管電圧、あるいはX線透過窓5から取り出すX線の集束度合いに応じて追加しても良い。
さらに、第1制御電極10ならびに第2制御電極11は、基板4と同様、容器部3の熱膨張係数をほぼ等しくするために、426合金を使用することが望ましい。
そして、上述した構成を備えたX線管1によれば、空気等にX線を照射してイオン化し、このイオンを帯電した被除電体(X線照射対象物)に放射することで、被除電体の除電処理を行うことができる。
[3.性能評価について]
次に、本発明のX線管1の性能評価として、耐電圧、X線強度、除電速度について説明する。
<3−1.耐電圧について>
前述した接合構造による本発明のX線管1と従来のX線管とをそれぞれ作製し、管電圧15kVまでの耐電圧の測定を行ったところ、下記表1に示すような結果が得られた。
Figure 0006262161
なお、本発明のX線管1として、図1や図4(a),(b)の構成において容器部3からの基板4(4a,4b)のはみ出し量が−0.5mmの4個のサンプルを用意した。また、本発明のX線管1と比較するための比較用のX線管として、容器部からの基板のはみ出し量がプラス0.5mmの9個のサンプルを用意した。この比較用のX線管201は、図8に示すように、電極部202(背面電極202a、陰極202b、第1制御電極202c、第2制御電極202d)の各リード線203から基板204(X線透過窓205を挟み込んだ2枚の基板204a,204b)の外周端面における角部分(稜線部分)が見通せる構成となっており、容器部206からの基板204のはみ出し量が+0.5mmである。なお、図8のX線管201は、容器部206と基板204の接合構造以外の部分を本発明のX線管1と同一構成として作製した。そして、これら本発明の4個のサンプルのX線管1と比較用の9個のサンプルのX線管201に対し、個々に管電圧15kVまでの耐電圧の測定を行った。
上記表1に示すように、比較用のX線管では、耐電圧が10.5kV〜14.0kVとバラツキがあり、9個のサンプル全てで放電が発生して管電圧15kVに耐えられないという結果が得られた。これに対し、本発明のX線管では、4個のサンプル全てが管電圧15kVまで耐え、管電圧15kV以上の耐電圧があるという結果が得られた。
<3−2.X線強度について>
本発明のX線管として、上述した接合構造を採用した高さ10mmのパッケージを構成し、X線ターゲットにチタン箔を用い、管電圧9.8kV、管電流150μAを駆動条件として、X線照射対象物までの距離が50cmのときのX線強度を測定した。
また、比較対象としての従来のX線管は、高さ10mmのパッケージを構成し、X線ターゲットにチタン箔を用い、管電圧5kV、管電流150μAを駆動条件として、X線照射対象物までの距離が50cmのときのX線強度を測定した。図5(a)はこれらの測定によって得られた本発明のX線管と従来のX線管のX線強度の対比図である。
本発明のX線管によれば、図5(a)に示すように、X線照射対象物までの距離が50cmのときの従来のX線管のX線強度を1倍とすると、管電圧を5kVから9.8kVへ上昇させることにより、X線強度が従来のX線管の50倍以上になる結果が得られた。
<3−3.除電速度について>
本発明のX線管として、上述した接合構造を採用した高さ10mmのパッケージを構成し、X線ターゲットにチタン箔を用い、管電圧9.8kV、管電流150μAを駆動条件として、被除電体までの距離が50cmのときの除電速度を測定した。
また、比較対象としての従来のX線管は、高さ10mmのパッケージを構成し、X線ターゲットにチタン箔を用い、管電圧5kV、管電流150μAを駆動条件として、被除電体までの距離が50cmのときの除電速度を測定した。図5(b)はこれらの測定によって得られた本発明のX線管と従来のX線管を用いて除電装置を構成した場合における除電速度の対比図である。
本発明のX線管によれば、図5(b)に示すように、被除電体までの距離が50cmのときの従来のX線管の除電速度を1倍とすると、管電圧を5kVから9.8kVへ上昇させることにより、除電速度が従来のX線管の8.6倍になる結果が得られた。
そして、以上説明したように、上述した実施形態のX線管によれば、基板4を容器部3の外寸よりも小さく形成し、基板4が容器部3の外形からはみ出さないように容器部3と基板4とを接合している。これにより、電極部12を構成する背面電極8、陰極9、第1制御電極10、第2制御電極11の各リード線8a,9a,10b,11cから基板4の外周端面の角部(稜線部分)が見通せなくなり、電極部12の各リード線8a,9a,10b,11cと基板4との間で放電を発生させることなく管電圧を高くすることができる。その結果、小型化を図った特許文献2に開示される従来のX線管と同等の高さであっても、上昇させた管電圧を安定して印加し通電させることができ、従来のX線管よりもX線強度が増すとともに除電速度を速くすることができる。
また、本実施の形態のX線管によれば、基板4と容器部3(枠状の側面板3b)との接合部分が被覆材21で覆われ、基板4の外周端面の角部全体が覆われて完全に隠れるので、より確実に放電の発生を抑えることができる。
ところで、上述した実施の形態では、容器部3の外寸より全体的に小さくなる寸法で基板4を形成し、図1や図4(a),(b)の接合構造を採用して容器部3と基板4とを接合しているが、これに限定されるものではない。すなわち、基板4は、少なくとも容器部3との接合部分のみを容器部3の外寸より小さい寸法に形成し、この接合部分が容器部3からはみ出さず、電極部12を構成する背面電極8、陰極9、第1制御電極10、第2制御電極11の各リード線8a,9a,10b,11cから基板4の外周端面の角部が見通せない接合構造であればよい。
また、図1の実施の形態における側面板3bの欠切部3baは、図示の形状に限定されるものではない。例えば、基板4との接合部分における側面板3bの外面側より内面側が低くなるように傾斜した傾斜面の欠切部3baを形成し、この傾斜面の欠切部3baに対応して基板4側にも傾斜面を形成し、傾斜面同士を突き合わせて接合する構成としても良い。すなわち、側面板3bの欠切部3baは、電極部12を構成する背面電極8、陰極9、第1制御電極10、第2制御電極11の各リード線8a,9a,10b,11cから基板4の外周端面の角部が見通せないように基板4と枠状の側面板3bとを接合できる形状であればよい。
さらに、図1の実施の形態のX線管1は、各々中央に開口部6が形成された第1基板4aと第2基板4bの2枚の基板4でX線透過窓5を挟み込み、開口部6の内側からX線透過窓5の内面に密着するようにX線ターゲット7を形成した構成であるが、この構成に限定されるものではない。例えば、図6に示すように、中央に開口部6が形成された1枚の基板4の外側に開口部6を塞ぐようにX線透過窓5を形成し、開口部6の内側からX線透過窓5の内面に密着するようにX線ターゲット7を形成した構成であってもよい。尚、この図6の構成を図4(a),(b)に採用することもできる。
1 X線管
2 パッケージ
3 容器部
3a 背面板
3b 側面板
3ba 欠切部
4 基板
4a 第1基板
4b 第2基板
5 X線透過窓
6 開口部
7 X線ターゲット
8 背面電極
8a リード線
9 陰極
9a リード線
10 第1制御電極
10a 開口
10b リード線
11 第2制御電極
11a 開口
11b メッシュ
11c リード線
12 電極部
13 駆動回路
13a,13b,13c,13d 高電圧電源
21 被覆材
22 被覆基板(被覆部材)
22a 開口

Claims (2)

  1. 開口部が形成された金属材料からなる基板と、
    前記開口部を塞ぐように設けられたX線透過窓と、
    内部が真空状態になるように前記基板に取り付けられた背面板と枠状の側面板からなる箱型の容器部と、
    前記容器部の内部において前記開口部に前記X線透過窓と密着して設けられたX線ターゲットと
    子を放出する線状の陰極と、該陰極から放出された電子を制御する制御電極とを前記容器部の内部に含み、前記陰極および制御電極のリード線が前記背面板側から前記側面板の側面を介して外部に延出する電極部とを備え、
    前記陰極から放出されて前記制御電極により制御された電子を前記X線ターゲットに衝突させてX線を発生し、この発生したX線を前記X線透過窓から外部に透過させて放出するX線管において、
    前記基板は、前記容器部の外寸よりも小さく形成され、前記背面板と対向して前記側面板と接合し、該側面板との接合部分の外周端面の角部を覆うように1種類の被覆材で被覆することを特徴とするX線管。
  2. 前記側面板の内面側には、前記基板を位置決めして接合するための欠切部が形成されることを特徴とする請求項1記載のX線管。
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