JP6260092B2 - 眼鏡レンズ - Google Patents
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Description
一方、ビスフェノールAのように石油資源から誘導される原料を用いない、植物由来モノマーとして、イソソルビドのような酸素原子含有環式構造を有するポリカーボネート樹脂が提案されている。(特許文献1、2)これらのポリカーボネート樹脂は、機械的強度に優れ、耐熱性があり、かつ透明性に優れ、屈折率が小さく、アッベ数が大きく、複屈折が小さいといった光学特性にも優れることが知られている。
即ち、十分な遮光性と、耐候性及び耐衝撃性を兼ね備えた眼鏡レンズは得られないという課題があった。
に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート共重合体と着色剤を特定量含む樹脂組成物を基体とする眼鏡レンズが、十分な遮光性と耐候性、耐衝撃性及び耐傷付性に優れることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は下記[1]〜[8]に存する。
[1]下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート共重合体と着色剤とを含む樹脂組成物を基体とする眼鏡レンズであって、前記ポリカーボネート共重合体100重量部に対して、着色剤が0.005重量〜5重量部である眼鏡レンズ。
[3]前記樹脂組成物から成形された成形体(厚み2mm)の全光線透過率が40%以下である上記[1]または[2]に記載の眼鏡レンズ。
[4]前記樹脂組成物から成形された成形体(厚み2mm)の波長250nmから400nmの紫外線平均光線透過率が5%以下である上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
[5] 前記ポリカーボネート共重合体が、前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及び脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート共重合体である上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
[6]前記脂環式ジヒドロキシ化合物が1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物である上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
[7]前記ポリカーボネート共重合体において、前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が40〜80モル%であり、前記脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が20〜60モル%である上記[5]または[6]に記載の眼鏡レンズ。
[8]前記眼鏡レンズの少なくとも一面がハードコート層からなる上記[1]乃至[7]のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
本発明で使用するポリカーボネート共重合体は、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート共重合体である。
上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、成形性、耐熱性、耐衝撃性、表面硬度、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
本発明で使用するポリカーボネート共重合体は、前述した一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位以外に、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有する。
その他のジヒドロキシ化合物としては、脂肪族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。ここで、脂肪族ジヒドロキシ化合物のなかには、直鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物、分岐脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物及びその複数を有するジヒドロキシ化合物が挙げられる。透明性や耐衝撃性の観点から、直鎖又は脂環式ジヒドロキシ化合物が含むことが好ましく、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことが特に好ましい。
直鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、炭素数2〜20のものが好ましく、炭素数2〜12のものがより好ましく、炭素数2〜8のものが特に好ましい。
直鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパン−sec−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオールのなどのジヒドロキシ化合物が挙げられる。
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、特に限定されないが、通常、5員環構造又は6員環構造を含む化合物を用いる。また、6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。脂環式ジヒドロキシ化合物が5員環、6員環構造であることにより、得られるポリカーボネート共重合体の耐熱性を高くすることができる。脂環式ジヒドロキシ化合物に含まれる炭素原子数は通常70以下であり、好ましくは50以下、さら
に好ましくは30以下である。この値が大きくなるほど、耐熱性が高くなるが、合成が困難になったり、精製が困難になったり、コストが高価だったりする。炭素原子数が小さくなるほど、精製しやすく、入手しやすくなる。
HOCH2−R1−CH2OH (II)
HO−R2−OH (III)
(式(II),(III)中、R1,R2は、炭素数4〜20のシクロアルキル基、又は炭素数6〜20のシクロアルコキシル基を表す。)
上記一般式(II)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるシクロヘキサンジメタノールとしては、一般式(II)において、R1が下記一般式(IIa)(式中、R3は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)で示される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
なお、上記例示化合物は、本発明に使用し得る脂環式ジヒドロキシ化合物の一例であって、何らこれらに限定されるものではない。これらの脂環式ジヒロドキシ化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
合が少なすぎると耐衝撃性が低下する場合がある。
ポリカーボネート共重合体の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さくなる可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
なお、還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート共重合体を溶かし、溶液とし、濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
本発明で使用するポリカーボネート共重合体は、一般に用いられる重合方法で製造することができ、その重合方法は、ホスゲンを用いた溶液重合法、炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法のいずれの方法でも良いが、重合触媒の存在下に、ジヒドロキシ化合物を、より環境への毒性の低い炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。
溶融重合法で用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
上記一般式(2)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示される。
前述した溶融重合法において、前記一般式(2)で表される炭酸ジエステルは、反応に用いる前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を少なくとも含む全ジヒドロキシ化合物に対し、0.90〜1.10のモル比率で用いることが好ましく、0.96〜1.04のモル比率で用いることがさらに好ましい。
前記一般式(I)で表されるジヒドロキシ化合物を少なくとも含むジヒドロキシ化合物を、重合触媒の存在下で炭酸ジエステルと反応させる方法は、通常、2段階以上の多段工程で実施されることが好ましい。
例えば、ジヒドロキシ化合物としてイソソルビドと1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いる場合は、全ジヒドロキシ化合物に対し、1,4−シクロヘキサンジメタノールのモル比が50モル%以上の場合は、1,4−シクロヘキサンジメタノールがモノマーのまま留出しやすくなるので、反応系内の圧力が13kPa程度の減圧下で、温度を1時間あたり40℃以下の昇温速度で上昇させながら反応させ、さらに、6.67kPa程度までの圧力下で、温度を1時間あたり40℃以下の昇温速度で上昇させ、最終的に200Pa以下の圧力で、200℃から250℃の温度で重縮合反応を行うと、十分に重合度が上昇したポリカーボネート共重合体が得られるため、好ましい。
また、押出されたポリカーボネート共重合体を冷却しペレタイズする際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが好ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが好ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
本発明で使用する着色剤としては、無機顔料、有機顔料や有機染料等の有機系染顔料が挙げられ、着色できるものであれば特に制限は無い。
無機顔料としては例えば、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料等が挙げられる。
これら着色剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で使用する樹脂組成物は、前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート共重合体と着色剤とを含む樹脂組成物である。
前記着色剤の量は、前記ポリカーボネート共重合体100重量部に対して、0.005重量部以上5重量部以下である。より好ましくは0.0075重量部以上3重量部以下であり、特に好ましくは0.01重量部以上2重量部以下である。着色剤の量が0.005重量部以上であれば、眼鏡レンズとして十分な減光効果が得られ、5重量部以下であれば、眼鏡レンズとして全光線透過率が高くなり、日蔭等での視認性が高くなる。
本発明で使用する樹脂組成物には光安定剤を含むことが好ましい。
光安定剤とは、主に紫外線等の光による樹脂の劣化を防止し、光に対する安定性を向上させる作用を有するものであり、光安定剤としては、紫外線などの光を吸収し、そのエネルギーを熱エネルギーなどのポリマーの分解に寄与しないエネルギーとして変換して放出するものが挙げられる。より具体的には、紫外線そのものを吸収する紫外線吸収剤や、ラジカル捕捉作用のある光安定剤等を挙げることができる。
本発明で使用する樹脂組成物には紫外線吸収剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤を含むことにより眼鏡レンズとして長時間屋外で使用しても特性を保持できる。紫外線吸収剤としては紫外線吸収能を有する化合物であれば特に限定されない。紫外線吸収能を有する化合物としては、有機化合物、無機化合物が挙げられる。なかでも有機化合物はポリカーボネート共重合体との親和性を確保しやすく、均一に分散しやすいので好ましい。
、シアノアクリレート系化合物、マロン酸エステル系化合物、シュウ酸アニリド系化合物等が挙げられる。なかでも、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、マロン酸エステル系化合物が好ましく用いられる。これらは、単独で用いても、2種以上で用いてもよい。
マロン酸エステル系化合物としては、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類、テトラエチル−2,2‘−(1,4−フェニレン−ジメチリデン)−ビスマロネートなどが挙げられる。
シュウ酸アニリド系化合物としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド等が挙げられる。
前記樹脂組成物における紫外線吸収剤の量は、ポリカーボネート共重合体100重量部に対して0.001重量部以上が好ましく、0.01重量部以上が更に好ましい。一方、1重量部以下が好ましく、0.5重量部以下が更に好ましい。紫外線吸収剤の量が少なすぎると紫外線吸収剤による耐候性向上の効果が低くなる場合があり、多すぎると紫外線吸収剤のブリードアウトによる外観不良が生ずるおそれがある。
本発明で使用する樹脂組成物には、ラジカル補足作用のある光安定剤を用いることができる。該光安定剤としては、塩基性化合物が好ましく、更にはアミン化合物が好ましい。通常、ポリカーボネート樹脂は、アルカリなどの塩基成分に対して常温でも不安定であることが知られており、アミン化合物によっても加水分解を受けることが知られているが、本発明で使用する樹脂組成物においては逆に、塩基性化合物を混合することにより、更にはアミン化合物を混合することにより、紫外線などの光に対する安定性が飛躍的に向上し、しかも加水分解などの劣化が非常に小さくなる。なかでも、窒素が環式構造の一部となっている構造を有するものが好ましく、ピペリジン構造を有するヒンダードアミン系耐光
安定剤であることがより好ましい。ここで規定するピペリジン構造には、飽和6員環状のアミン構造となっていれば如何なる構造であっても構わず、ピペリジン構造の一部が置換基により置換されているものも含む。該ピペリジン構造が有していてもよい置換基としては、炭素数4以下のアルキル基が挙げられ、特にはメチル基が好ましい。アミン化合物としては、更には、ピペリジン構造を複数有する化合物が好ましく、複数のピペリジン構造を有する場合、それらのピペリジン構造がエステル構造により連結されている化合物が好ましい。特には下記式(6)で表される化合物が好ましい。
その他、市販の光安定剤としては、下記式(7)で表されるヒンダードアミン系光安定剤であるBASFジャパン社製「チヌビン765」、下記式(8)で表されるヒンダードアミン系光安定剤であるBASFジャパン社製「キマソーブ944FDL」、下記式(9)で表されるヒンダードアミン系光安定剤であるBASFジャパン社製「キマソーブ2020FDL」などを用いることもできる。
このような光安定剤を樹脂組成物に含有させることにより、耐候試験において白濁が防止され、透明性及び機械的強度に優れた樹脂成形品としての眼鏡レンズを得ることができる。
本発明で使用するポリカーボネート共重合体には本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、中和剤、離型剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加してもよい。
酸化防止剤としては、ホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤等の公知の酸化防止剤が挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などをあげることができる。上記のうち、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等の化合物が挙げられる。
本発明に用いる樹脂組成物は、眼鏡レンズ成形時に金型からの離型性をより向上させるために、離型剤を含んでいることが好ましい。
離型剤としては、高級脂肪酸、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、蜜蝋等の天然動物系ワックス、カルナバワックス等の天然植物系ワックス、パラフィンワックス等の天然石油系ワックス、モンタンワックス等の天然石炭系ワックス、オレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられ、高級脂肪酸、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステルが特に好ましい。
ネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニル及びエチレングリコールジステアレートが好ましく用いられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
かかる離型剤の量は、ポリカーボネート共重合体100重量部に対し、0.0001重量部以上が好ましく、0.01重量部以上がより好ましく、0.1重量部以上が特に好ましい。一方、1重量部以下が好ましく、0.7重量部以下がより好ましく、0.5重量部以下が特に好ましい。
尚、前記光安定剤、酸化防止剤、中和剤、離型剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等の添加時期や添加方法は着色剤の添加時期や添加方法と同じで構わない。
本発明の眼鏡レンズは樹脂組成物を基体として形成される。本発明の眼鏡レンズは、極めて透明性に優れている。すなわち眼鏡レンズの基体である樹脂組成物から成形された成形体(厚み2mm)における全光線透過率が好ましくは10%以上40%以下、特に好ましくは20%以上30%以下である。全光線透過率が40%を超えると太陽光などの減光効果が小さくなる場合があり、全光線透過率が10%より少ないと日陰等での視認性が低い眼鏡レンズとなる可能性がある。
本発明の眼鏡レンズは、高い耐衝撃強度および高い屈折率を有するとともに、紫外線吸収効果、殊に250mm〜400mmの有害紫外線の吸収効果が優れている。
すなわち眼鏡レンズの基体である樹脂組成物から成形された成形体(厚み2mm)における紫外線平均光線透過率が5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下が更に好ましい。
前記樹脂組成物を基体として眼鏡レンズを成形するには、それ自体公知の方法を採用することができる。具体的には、本発明の眼鏡レンズは射出成形、圧縮成形、押出成形または射出圧縮成形等各種の成形方法により成形されるが、射出圧縮成形が光学歪みの少ない眼鏡レンズを成形でき最も好ましい方法である。たとえば射出圧縮成形において、シリンダー温度は210℃〜260℃が好ましく、金型温度は40℃〜120℃が好ましい。
本発明の樹脂組成物を基体とする眼鏡レンズはその表面にハードコート層、反射防止コート層または防曇コート層などの保護層を形成させることが好ましい。
本発明の眼鏡レンズの表面に形成されるハードコート層としては、熱硬化性または活性エネルギー硬化性のいずれでも構わない。
熱硬化性ハードコート材料としては、オルガノポリシロキサンなどのシリコーン系樹脂およびメラミン系樹脂等が挙げられる。
る。(ここでR1およびR2はそれぞれ独立にアルキル基、アリル基、アシル基、ハロゲン基、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基、フェニル基、メルカプト基、メタクリルオキシ基およびシアノ基からなる群より選ばれる有機基を示し、R3は、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、アルコキシアルキル基、アリル基、アシル基であり、aおよびbはそれぞれ独立に0または1の整数である。)
シル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン等の
トリアルコキシシランまたはその加水分解物、さらにジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジメトキシシランまたはその加水分解物等が挙げられる。
これらの有機ケイ素化合物は、硬化温度を下げ硬化をより進行させるためには加水分解して使用することが好ましい。加水分解は、塩酸、硫酸などの無機酸や酢酸などの有機酸の存在下に行うことが好ましい。用いる酸の添加量を調節することによって、加水分解の度合いは容易に制御することが可能である。また、加水分解を均一に行うために、有機溶剤を用いてもよい。これら有機溶剤としては、アルコール、ケトン、エーテル、セロソルブまたは芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して使用される。
上記メラミン系樹脂は、単独で用いてもよいし、また2種以上混合して用いてもよい。また、物性を損わない範囲でアクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂またはシリコン樹脂等の変性剤を混合してもよい。
架橋剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等の短鎖グリコール、およびポリエチレングリコール等の長鎖グリコールが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を配合してもよい。
活性エネルギー線硬化性ハードコート材料としては、特開昭54−097633号、特開平03−145602号および特開2000−229384号公報等に記載されている材料を用いることができる。例えば、活性エネルギー線硬化性の官能基を2個以上有する多官能性化合物が挙げられ、該活性エネルギー線硬化性官能基として、(メタ)アクリロイル基、ビニル基またはアリル基などの不飽和基を有する基、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有するものが挙げられる。例えば、多価アルコール等の2個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸からなるポリ(メタ)アクリレートである。
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン
ジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシルエチルイソシアヌレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールのテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン付加物ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。好ましくは、トリメチロールプロパン系ポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレートとイソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
する化合物(2)および水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(3)との反応生成物等が挙げられる。
1分子中に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する化合物(1)としては、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,
5−ナフタレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリオールなどが挙げられる。
〜20重量部、特に0.1重量部〜10重量部が好ましい。
また、適当な粘度に調節する目的で、有機溶剤が含まれてもよい。有機溶剤としては、アルコール、ケトン、エーテル、セロソルブまたは芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して使用される。
特に、表面硬度向上のためには、高分子量無水ケイ酸の水および/またはアルコールなどの有機溶媒中のコロイド状分散体であるコロイダルシリカが好適に使用される。コロイダルシリカは粒径1μm〜100μmのシリカ微粒子を分散させたものが好適に使用される。
また、コロイダルシリカは反射防止膜との密着性向上のためには5重量%〜70重量%
の範囲で好ましく使用される。
乾燥および/または加熱は硬化膜が十分な硬度を与えるまで行われ、加熱温度が高くなるほど短時間で済み、0.3時間〜5時間かけて行うとよい。
なお、基体とハードコート層との密着性を高める目的で、コーティング組成物の塗布前に基体に対する前処理を行うのが好ましい。例えば、酸、アルカリ、有機溶剤などによる化学的処理、プラズマ、紫外線などの物理的処理、各種洗剤による洗浄処理、さらには各種樹脂を用いたプライマー処理等が例示される。
(1)還元粘度
ポリカーボネート共重合体のサンプルを、溶媒として塩化メチレンを用いて溶解し、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0と溶液の通過時間tから次式より相対粘度ηrelを求め、
ηrel=t/t0
相対粘度から次式より比粘度ηspを求めた。
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
比粘度を濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
示差走査熱量計(メトラー社製「DSC822」)を用いて、ポリカーボネート共重合体試料約10mgを10℃/minの昇温速度で加熱して測定し、JIS K 7121(1987)に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた折線との交点の温度でる、補外ガラス転移開始温度Tigを求めた。
樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)によりシリンダー温度:220℃、金型:60℃で100mm×100mm×2mmtのシートを成形した。該シートをJIS K 7105に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業社製NDH2000)により、D65光源にて全光線透過率およびヘーズを測定した。
樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)によりシリンダー温度:220℃、金型:60℃で100mm×100mm×2mmtのシートを成形した。該シートの中心から75mm×25mmのシートを切り出し、紫外可視分光光度計(日本分光社製:V−570)により、波長250nm〜400nmにおける光線透過率(%T)を2nm毎に測定し、その平均値を樹脂組成物の紫外線平均光線透過率とした。
樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)によりシリンダー温度:220℃、金型:60℃で100mm×100mm×2mmtのシートを成形した。該シートをJIS−K5600に準拠し、表面測定器(新東科学製:トライポギア
タイプ14DR)により、下記条件で表面硬度を測定した。
荷重 750g
測定スピード30mm/min
測定距離 7mm
鉛筆として三菱鉛筆製 UNI を用いた。
鉛筆硬度としては4H,3H,2H,H,F,HB,B、2B,3B,4Bを用いた。
5回測定し、2回以上、傷がついた鉛筆硬度のひとつ柔らかい硬度を測定物質の鉛筆硬度とした。
樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)によりシリンダー温度:260℃、金型:70℃、型締め力75トンで外形75mm、中心厚2mmのレンズに成形した。該レンズに45gの鋼球を135cmの高さからレンズ中心部に向かって自然落下させる剛球落下試験により耐衝撃性を評価した。評価として○は割れなかったことを示し、×は割れたことを示す。
ポリカーボネート共重合体およびポリカーボネート樹脂組成物(A−1)の製造
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、イソソルビド(ISB)と1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(DPC)および酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.5/0.5/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005体積%〜0.001体積%)。続いて熱媒で内容物の加温を行った。
内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を、還流冷却器に導いた。還流冷却器で凝縮した成分を重合反応装置に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
ポリカーボネート樹脂組成物(A−2)の製造
製造例1において、ISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物のモル比率を0.6/0.4/1.00/1.3×10−6に変えた以外は、製造例1と同様に行った。
ポリカーボネート樹脂組成物(A−3)の製造
製造例1において、ISB/トリシクロデカンジメタノール(TCDDM)/DPC/酢酸カルシウム1水和物のモル比率を0.5/0.5/1.00/1.3×10−6に変えた以外は、製造例1と同様に行った。
ポリカーボネート樹脂組成物(A−4)の製造
製造例1において、ISB/DPC/酢酸カルシウム1水和物のモル比率を1.0/1.00/1.3×10−6に変えた以外は、製造例1と同様に行った。
製造例1で得たポリカーボネート樹脂組成物(A−1)100.45重量部と、着色剤としてSolvent Green 3を0.00275重量部、Dispers Violet 31を0.00031重量部、Solvent Red 179を0.00715重量部及びSolvent Bleu 97を0.005重量部とをスクリュー径20mmの単軸押出機に導入し、シリンダー温度220℃で混練し、ペレタイザーによりペレット化を行った。得られたペレットを、乾燥機で85℃、6時間乾燥した。
乾燥したペレットをシリンダー温度:260℃、金型:70℃で型締め力75トン射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)で外形75mm、中心厚2mmのレンズに
成形した。また、シリンダー温度220℃、金型温度:60℃で100mm×100mm×2mmtのシートを成形した。結果を表1に示す。
製造例2で得たポリカーボネート樹脂組成物(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
製造例3で得たポリカーボネート樹脂組成物(A−3)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
製造例4で得たポリカーボネート樹脂組成物(A−4)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
合に有用である。更に、適度の全光線透過率を有することから遮光性を有し、特に紫外線透過性が小さいことからサングラスや保護眼鏡に好適に使用することができる。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート共重合体と着色剤とを含む樹脂組成物を基体とする眼鏡レンズであって、
前記ポリカーボネート共重合体が、直鎖脂肪族および脂環式の少なくとも一方のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含み、
前記ポリカーボネート共重合体のガラス転移温度が、90℃以上145℃以下であり、
前記ポリカーボネート共重合体の還元粘度が、0.35dL/g以上1.20dL/g以下であり、
前記ポリカーボネート共重合体100重量部に対して、着色剤が0.005重量部〜5重量部であり、
前記樹脂組成物が、アルカリ土類金属化合物を含み、
前記樹脂組成物から成形された成形体(厚み2mm)の全光線透過率が10%以上40%以下であることを特徴とする眼鏡レンズ。
- 前記樹脂組成物が、紫外線吸収剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の眼鏡レンズ。
- 前記樹脂組成物から成形された成形体(厚み2mm)の波長250nmから400nmの紫外線平均光線透過率が5%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の眼鏡レンズ。
- 前記ポリカーボネート共重合体が、前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及び脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネ
ート共重合体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。 - 前記脂環式ジヒドロキシ化合物が1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,2−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項4に記載の眼鏡レンズ。
- 前記ポリカーボネート共重合体において、前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が40モル%〜80モル%であり、前記脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が20モル%〜60モル%であることを特徴とする請求項4または5に記載の眼鏡レンズ。
- 前記眼鏡レンズの少なくとも一面がハードコート層からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
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